説明

包装用袋充填口の位置を一定に調整する粉粒体充填包装装置および包装用袋への粉粒体充填方法

【課題】供給された包装用袋を、挟持する際に、袋の一定位置を挟持することができ、後の工程の精度を高めることができる粉粒体充填包装装置を提供することである。
【解決手段】合成樹脂製の包装用袋を供給する給袋部と、該給袋部から供給された包装用袋に粉粒体を充填包装する本体部とを備え、前記本体部が、前記給袋部から供給された包装用袋を1枚ずつ担持する吸盤と、該吸盤で担持された包装用袋の上部を挟持する袋挟持部と、該袋挟持部に挟持された包装用袋充填口の位置ズレを測定する位置ズレ測定部と、該位置ズレ測定部の測定結果により、粉粒体充填前の包装用袋充填口の位置を一定に調整する制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用袋充填口の位置を一定に調整する粉粒体充填包装装置および包装用袋への粉粒体充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小麦粉等の粉粒体を一般消費者向けに販売するような場合、包装用袋である小袋にその粉粒体を500g〜1kg程度の一定量充填して包装し、家庭用小袋として流通させるようにしている。このような家庭用小袋の充填、包装工程は機械化され、粉粒体充填包装装置として提供されている。
【0003】
従来、家庭用小袋の包装用袋としては紙製のものが用いられてきたが、最近では、合成樹脂製の包装用袋が用いられるようになってきており、この合成樹脂袋は、開封口にチャックを備えており、チャックによって開封口が開閉可能となっている。
【0004】
このように紙製の袋から合成樹脂製の袋に変えた理由は、再封を可能とすることにある。従来消費者が一度使用した小袋を保管しておいてまた使用するまでの間は、単に袋上部を折り返すだけなので保管中に虫等が混入したりすることがあった。このため、保管中の密閉を確実なものにするためにチャック式(再封用チャックテープ)を採用する必要があり、そのために紙製の袋から合成樹脂製の袋に変えたのである。
【0005】
特許文献1は本願発明と同様の家庭用小袋の充填包装装置に関する発明であるが、包装用袋として二層構造の紙製のものを使用する装置であり、粉粒体充填後の口封は折り返した後、接着剤を使用して熱圧着で口封を行っていた。
【0006】
特許文献2は穀粒等の自動袋詰め装置に関する発明であるが、口封方法については具体的な記載がない。
【0007】
特許文献3に記載の充填包装装置は、合成樹脂製の小袋に液状食品を充填するものであり、個々の包装用袋の開口部を上に向けた状態で上部を把持し、この包装用袋を把持したまま移動させて、充填に係る各工程の処理を施す。
【0008】
【特許文献1】特開2003−300505号公報
【特許文献2】特開平11−105827号公報
【特許文献3】特開2004−26308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献1、2、3に記載のような従来の充填包装装置では、充填、包装に関する基本機能については開示しているものの、その動作の細部については検討、開示されていなかった。
【0010】
たとえば、包装用袋を充填包装装置に供給し、供給された個々の包装用袋の上部を挟持する構成において、袋の挟持すべき位置からずれて挟持してしまうと、後の工程の各所で様々なトラブルの原因になってしまうという問題があった。
【0011】
特に、合成樹脂製のチャック付きの包装用袋の場合、複数の包装用袋をきれいに重ねて給袋すると、チャックの厚みのある部位どうしが重なるため、包装用袋の束の上面が水平ではなくなり、チャックのある開口部側が高く、その反対側が低くなってしまう。重なっている包装用袋の枚数により、その傾斜が刻々と変わるため、最も上にある包装用袋を1枚ずつミスすることなく取り上げるのは非常に困難であった。
【0012】
そこで、ベルトコンベヤ上に、包装用袋のチャック部が重ならないように包装用袋を少しずつずらして並べ、ベルトコンベヤを駆動してこれらの包装用袋を給袋するようにしているが、このずらすという行為は人間の手作業によるものであって、隣接する包装用袋を等間隔にずらすことは不可能であった。不等間隔にずらされた包装用袋が吸盤で担持されて粉粒体充填包装装置に供される際には、位置ズレ(高さ方向での吸盤担持位置のズレ)が生じ易く、この最初の位置ズレは後々の工程に様々なトラブルを引き起こす元凶となるので大きな問題となっていた。
【0013】
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、供給された包装用袋を挟持する際に、袋の一定位置を挟持することができ、後の工程の精度を高めることができる粉粒体充填包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため本発明は、合成樹脂製の包装用袋を供給する給袋部と、該給袋部から供給された包装用袋に粉粒体を充填包装する本体部とを備え、前記本体部が、前記給袋部から供給された包装用袋を1枚ずつ担持する吸盤と、該吸盤で担持された包装用袋の上部を挟持する袋挟持部と、該袋挟持部に挟持された包装用袋充填口の位置ズレを測定する位置ズレ測定部と、該位置ズレ測定部の測定結果により、粉粒体充填前の包装用袋充填口の位置を一定に調整する制御部とを有することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記位置ズレ測定部が、投光部と、該投光部からの光線を受光する受光部と、前記吸盤で包装用袋を担持してから該包装用袋が前記光線を遮るまでの時間を測定することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記合成樹脂製の包装用袋が、内層が低密度ポリエチレンで外層がポリエチレンテレフタレートから成る二層構造であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記合成樹脂製の包装用袋の口封部の真下に再封用チャックテープを有することを特徴とする。
【0018】
また本発明の方法は、前記位置ズレ測定部の測定結果により、粉粒体充填前の包装用袋充填口の位置を一定に調整することにより粉粒体を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、供給された包装用袋を挟持する際に、袋の一定位置を挟持することができ、後の工程の精度を高めることができる粉粒体充填包装装置を提供することができる。
【0020】
すなわち、包装用袋がコンベヤで供給されるときに位置ズレを生じていても、粉粒体充填時の包装用袋の挟持位置を一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態による粉粒体充填包装装置の概略を示す側面図である。また、図2は、図1に示した粉粒体充填包装装置の平面図である。
【0023】
図1および図2に示すように、本実施の形態の粉粒体充填包装装置1は、包装用袋5を供給する給袋部2と、包装用袋に対する粉粒体の充填、包装を行う本体部3と、粉粒体が充填され、包装された包装体500を排出する排出部4とから構成される。
【0024】
給袋部2は、図2に示すコンベヤ2aを有し、このコンベヤ2aに載せられた包装用袋5を本体部3に供給するように搬送する。
【0025】
包装用袋5は粉粒体の充填口の真下にチャックを有する合成樹脂製の袋である。
【0026】
本体部3では、給袋部2から供給された包装用袋5を、袋取り部6にて吸盤21、22で取り上げ、図2に示す第1のロータリー8の位置aにおいて爪12、13によって包装用袋5の両脇を挟持する。
【0027】
第1のロータリー8は、図2の平面図で見た場合の時計回りに回転し、爪12、13によって挟持された包装用袋5を、図2に示す位置a〜hのそれぞれに移動させて、この位置a〜hにおいて粉粒体の充填に係る各工程の処理を施す。
【0028】
たとえば位置dでは、主充填部7によって包装用袋5に粉粒体の規定量のほとんどを充填し、位置fでは、質量測定部10によって充填包装袋50の質量が測定される。
【0029】
なお、ここでは、粉粒体充填前の袋を包装用袋と呼び、粉粒体の充填包装途中の袋を充填包装袋と呼び、粉粒体の充填包装完了後の袋を包装体と呼ぶ。
【0030】
さらに工程が進み、位置hでは、充填包装袋50は、第1のロータリー8から第2のロータリー9の位置kへと引き渡される。
【0031】
第2のロータリー9は、図2の平面図で見た場合の反時計回りに回転し、第1のロータリー8と同様に、爪によって挟持された充填包装袋50を、図2に示す位置k〜rのそれぞれに移動させて、この位置k〜rにおいて粉粒体の充填に係る各工程の処理を施す。
【0032】
たとえば位置nでは、補正充填部11によって、質量測定部10で測定した質量に基づいて不足分を補正するように充填包装袋50に粉粒体を補正充填し、その後の工程で充填包装袋50の上部のチャックを閉じ、さらに充填包装袋50の上部の口封部を熱でシールして、粉粒体の包装を完了する。
【0033】
合成樹脂製の包装用袋は、内層が低密度ポリエチレンで外層がポリエチレンテレフタレートから成る二層構造であるが、それぞれの融点は内層の低密度ポリエチレンが115℃以上、外装のポリエチレンテレフタレートが255℃以上である。この温度差を利用して口封部を加熱シールする。
【0034】
加熱シール後(口封後)に、この口封が完全かどうかについては、本体部3から排出される直前の充填口部分の温度を計測して、経験値として75℃以上であれば完全に口封されていることを把握した。
【0035】
粉粒体が充填包装された包装体500は、排出部4のコンベヤ4aに載せられて排出される。このとき、本体部4での充填、包装工程中に何らかの異常が検出された包装体500は、フリッパ装置4bによってはじかれる。
【0036】
次に、図1および図2に示した袋取り部6の構造について、図面を参照して詳しく説明する。
【0037】
図3は、図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図である。
【0038】
給袋部2のコンベヤ2aに載せられて本体部3内に搬送された包装用袋5は、吸盤21、22によって吸引されて担持され、持ち上げられる。
【0039】
吸盤21、22によって包装用袋5が持ち上げられる先には、袋挟持部26が設けられており、この袋挟持部26で包装用袋5の上部を挟持した後に、吸盤21、22による担持は解除される。
【0040】
吸盤21、22が包装用袋5をコンベヤ2a上から持ち上げて、袋挟持部26に引き渡すまでの経路には、光線25を発光する発光部23と、発光部23からの光線25を受光する受光部24が設けられており、包装用袋5が通過する際に、光線25を遮るように配置されている。光線25が遮られると受光部24はその旨を検出する。
【0041】
図4は、図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図であって、包装用袋5が光線25を遮る様子を示す図である。
【0042】
また、図5は、図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図であって、袋挟持部26が包装用袋5を掴んだ様子を示す図である。
【0043】
袋挟持部26によって挟持された包装用袋5は、第1のロータリー8の位置aにおいて爪12、13へと引き渡される。
【0044】
図6は、図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図であって、袋挟持部26から爪12、13へと包装用袋5が引き渡される様子を示す図である。
【0045】
ところで、コンベヤ2aによって搬送された包装用袋5は、進行方向上のずれを生じる。このため、吸盤21、22が吸い付く包装用袋5の位置は一定しない。本発明によれば、このような状態であっても、爪12、13によって包装用袋5の一定位置を挟持することができ、包装用袋5の高さを一定に挟持することができ、後の充填、包装工程の処理を正確に施すことができる。
【0046】
具体的に説明すると、本実施の形態の粉粒体充填包装装置1では、吸盤21、22をコンベヤ2a上の包装用袋5に向けて吸引を開始したときから、包装用袋5の上端エッジ部分が光線25を遮るまでの時間(吸盤21、22に対して吸引指示を出してから、光線25の遮りを受光部24が検出するまでの時間)を計測し、この計測時間(以下、単に「計測時間」という)に基づいて、袋挟持部26から爪12、13へと包装用袋5を引き渡す際の袋挟持部26の上下位置を調整する。この制御は図示しない制御手段によって行われる。これによって、爪12、13が包装用袋5の一定位置を挟持することができる。
【0047】
すなわち、計測時間がある基準値(基準計測時間)であった場合の袋挟持部26の基準上下位置を予め測定し定めておき、また、実際の計測時間が基準計測時間からどのくらい違ったら、袋挟持部26をどのくらい上下移動させれば、爪12、13が包装用袋5の一定位置を挟持することができるかという、時間対移動量を予め測定し定めておく。
【0048】
個々の包装用袋5の処理時には、その時々の計測時間に応じ、その計測時間が基準計測時間よりも短い場合には、その差分と時間対移動量とから求まった移動量だけ袋挟持部26を下に移動させ、反対に、計測時間が基準計測時間よりも長い場合には、その差分と時間対移動量とから求まった移動量だけ袋挟持部26を上に移動させる。これによって、爪12、13が包装用袋5の一定位置を挟持することができる。
【0049】
前述のようにして、爪12、13は包装用袋5の一定位置を挟持しているので、第1のロータリー8および第2のロータリー9での各工程を正確に行うことができる。
【0050】
図7は、袋挟持部26が挟持する包装用袋5の位置と、爪12、13が挟持する包装用袋5の位置との関係を示す正面図であり、(a)は計測時間が基準計測時間よりも短い場合を示す図であり、(b)は計測時間が基準計測時間よりも長い場合を示す図である。
【0051】
図7(a)に示すように、包装用袋5がコンベヤ2a上で進み過ぎた場合でも、本実施の形態によれば、その分だけ、袋挟持部26を下に移動させることによって、爪12、13は包装用袋5の一定位置を挟持することができる。
【0052】
また、図7(b)に示すように、包装用袋5がコンベヤ2a上で進みが足りなかった場合でも、本実施の形態によれば、その分だけ、袋挟持部26を上に移動させることによって、爪12、13は包装用袋5の一定位置を挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態による粉粒体充填包装装置の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示した粉粒体充填包装装置の平面図である。
【図3】図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図である。
【図4】図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図であって、包装用袋5が光線25を遮る様子を示す図である。
【図5】図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図であって、袋挟持部26が包装用袋5を掴んだ様子を示す図である。
【図6】図1および図2に示した粉粒体充填包装装置1の袋取り部6の構造を説明する概略斜視図であって、袋挟持部26から爪12、13へと包装用袋5が引き渡される様子を示す図である。
【図7】袋挟持部26が挟持する包装用袋5の位置と、爪12、13が挟持する包装用袋5の位置との関係を示す正面図であり、(a)は計測時間が基準計測時間よりも短い場合を示す図であり、(b)は計測時間が基準計測時間よりも長い場合を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 粉粒体充填包装装置
2 給袋部
2a コンベヤ
3 本体部
4 排出部
4a コンベヤ
4b フリッパ装置
5 包装用袋
6 袋取り部
7 主充填部
8 第1のロータリー
9 第2のロータリー
10 質量測定部
11 補正充填部
12、13 爪
21、22 吸盤
23 発光部
24 受光部
25 光線
26 袋挟持部
50 充填包装袋
500 包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の包装用袋を供給する給袋部と、該給袋部から供給された包装用袋に粉粒体を充填包装する本体部とを備え、
前記本体部が、前記給袋部から供給された包装用袋を1枚ずつ担持する吸盤と、該吸盤で担持された包装用袋の上部を挟持する袋挟持部と、該袋挟持部に挟持された包装用袋充填口の位置ズレを測定する位置ズレ測定部と、該位置ズレ測定部の測定結果により、粉粒体充填前の包装用袋充填口の位置を一定に調整する制御部とを有することを特徴とする粉粒体充填包装装置。
【請求項2】
前記位置ズレ測定部が、投光部と、該投光部からの光線を受光する受光部と、前記吸盤で包装用袋を担持してから該包装用袋が前記光線を遮るまでの時間を測定する測定部から成る請求項1に記載の粉粒体充填包装装置。
【請求項3】
前記合成樹脂製の包装用袋が、内層が低密度ポリエチレンで外層がポリエチレンテレフタレートから成る二層構造である請求項1または2に記載の粉粒体充填包装装置。
【請求項4】
前記合成樹脂製の包装用袋の口封部の真下に再封用チャックテープを有する請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の粉粒体充填包装装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の粉粒体充填包装装置において、前記位置ズレ測定部の測定結果により、粉粒体充填前の包装用袋充填口の位置を一定に調整することにより粉粒体を充填する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−222294(P2008−222294A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66772(P2007−66772)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【出願人】(301049777)日清製粉株式会社 (128)
【Fターム(参考)】