説明

化学増幅フォトレジスト組成物及びそれを使用するプロセス

【課題】 化学増幅フォトレジスト組成物及びそれを使用するプロセスを提供する。
【解決手段】 フォトレジスト組成物は、フェノール系ポリマーと、エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分を含まない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとのブレンド、及び、光酸発生剤とを含む。前記コポリマーは、アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のモノマー、並びにアクリレート、メタアクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択され、酸開裂性エステル置換基を有する第2のモノマーを含む。当該フォトレジスト組成物を用いて基板上にフォトレジスト像を形成するプロセスも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、化学的に増幅されるフォトレジスト組成物及びそれを使用するプロセスに関する。より具体的には、このフォトレジスト組成物は、フェノール系ポリマーと(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとのブレンドを含む。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術を用いて作成されるマイクロエレクトロニック・デバイス内のより高い回路密度に対する要望が、当業界において存在する。チップ当たりの構成要素数を増加させる1つの方法は、チップ上の最小加工寸法(minimum feature size)を小さくすることであり、これにはより高いリソグラフィ解像度が必要とされる。より短波長の放射線(例えば、190乃至315nm)の使用により、より高解像度の可能性が与えられる。しかし、深UV放射線(deep UV radiation)では、同じエネルギー線量に対してより少数の光子が移送され、同じ所望の光化学反応を達成するのに、より高い露光量が必要になる。さらに、現在のリソグラフィ・ツールは、深UVスペクトル領域における出力を大きく減衰させる。
【0003】
感受性を高めるために、特許文献1及び非特許文献1に開示されるもののような、幾つかの酸触媒により化学的に増幅されるフォトレジスト組成物が開発されている。フォトレジスト組成物は、一般に、感光性酸発生剤(即ち、光酸発生剤又はPAG)及び酸感受性ポリマーを含む。このポリマーは、ポリマー骨格に結合し、プロトンに対する反応性を有する酸感受性側鎖(ペンダント)基を有する。放射線への像様露光(imagewise exposure)時に、光酸発生剤がプロトンを生成する。フォトレジスト膜が加熱され、プロトンがポリマー骨格からのペンダント基の触媒的開裂を引き起こす。プロトンは、開裂反応で消費されず、更なる開裂反応を触媒し、これによりレジストの光化学反応が化学的に増幅される。開裂したポリマーは、アルコール及び塩基水溶液などの極性現像剤に可溶であり、一方、未露光のポリマーはアニソールなどの無極性有機溶媒に可溶である。従って、フォトレジストは、現像剤溶媒の選択に応じて、マスクのポジ像又はネガ像を生成することができる。レジスト技術の進歩により、193nm浸漬技術を用いてサブ22nmのラインを解像できる化学的に増幅されたフォトレジスト組成物がもたらされている。これらの高性能材料は、厳格な前工程の設計要件には必須であるが、それらの非常に高いコスト、複雑な処理条件、及び相対的に薄い膜の制約のために、一般に後工程の用途には適さない。従って、後工程要件に対しては、非特許文献2に記載されているような、より低性能のレジストが用いられる。これらのレジストは、約100−130nmの範囲までの構造を解像することができ、一般に、保護基(酸感受性保護基)を有するヒドロキシスチレン/アクリレート・コポリマーを含み、248nmの入射波長で機能する。これらのフォトレジストは、現在当業界においてしっかりと確立されているが、比較的高い製造コストに悩まされる。この問題に対処するために、Allen他は、特許文献2において、著しく低コストで前工程用途に一般的に用いられる(当時)ヒドロキシスチレン/アクリレート・コポリマーの利点を保持する、市販のポリ(メタ)アクリレートとフェノール系ポリマー(例えば、ノボラック樹脂)とのブレンドを開示した。しかしながら、当業界において、向上した解像度、及び厚膜用途(液晶及び他の平面パネル・ディスプレイのような)を包含するための可撓性、並びに種々の可溶性及びエッチング耐性要件を有する低コストのレジストに対する必要性が依然として存在する。
【0004】
化学増幅レジストは、248nm、193nm及び157nmリソグラフィ用に開発されているが、物理的制約、処理上の制約及び材料の制約のために、より高解像度及びより小さい加工寸法を実現するには幾つかの障壁が残っている。発生する1つの現象は、パターン内の像の完全性が損なわれることであり、「像ぼやけ(image blur)」と呼ばれる(例えば、非特許文献3及び非特許文献4を参照されたい)。像ぼやけは、一般に2つの要因、すなわち濃度勾配による酸拡散(酸の移動度)及び反応伝搬から生ずると考えられ、その結果、膜上に転写される投影された空間像と比べて、現像可能な像が変形する。ポリマー内の酸の移動度は、とりわけ、ポリマーの化学的官能性、レジスト処理中のベーキングの温度及び時間、並びに酸消滅剤の存在を含む、様々な因子に依存する。熱的に引き起こされる像ぼやけの程度は、従来のレジスト及び処理を用いる場合に50nmのオーダーであると推定される(例えば、Breyta他による特許文献3も参照されたい)。R.Sooriyakumaranは、最近、193nmFARMレジストに関する2つの低ぼやけ技術を開示し、その第1のものは、化学量論的な水分子の存在下で驚く程低い処理(PEB)温度を用いる、種々の酸に不安定なアセタール/ケタール保護基に基づくものであり(2003年12月4日出願の特許文献4)、第2のもの(2006年5月26日出願の特許文献5)もまた、予想外に低いPEB温度を用いる、酸に不安定な3級アルキルエステルを含むものである。後者の技術は、より長い貯蔵寿命及び実施間のばらつきが小さいことにより利点があり、機能するのに外部からの水分を必要としない。これらのレジストによって実現される例外的に低いPEB温度は、主として酸性コモノマー(すなわち、ヘキサフルオロアルコール及びフルオロスルホンアミド)によるところが大きく、これらは弱酸性バルク環境をもたらし、これにより光生成酸の作用が助けられる。これらのレジストの主な短所は、製造コストが高く、193nmにおける吸光度が比較的高いことであり、従って、それらの使用は前工程用途における非常に薄い膜に限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,491,628号
【特許文献2】米国特許第5,372,912号
【特許文献3】米国特許第6,227,546号
【特許文献4】米国特許第7,193,023号
【特許文献5】米国特許第7,476,492号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nalamasu他著、「An Overview of Resist Processing for Deep−UV Lithography」、J.Photopolymer Sci.、Technol.4、299(1991年)
【非特許文献2】Ito著、「Chemical Amplification Resists for Microlithography」、Adv.Polym.Sci.、172、37−245、2005年
【非特許文献3】Hinsberg他著、SPIE予稿集、3999、148(2000年)
【非特許文献4】Houle他著、J.Vac.Sci.Technol B、18、1874(2000年)
【非特許文献5】Thompson他編集、「Introduction to Microlithography」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当技術分野において、低コストで、100ナノメートル(nm)未満の加工寸法を解像することができ、より厚膜の用途において使用可能な低吸光度の、後工程用途のための改善された放射線感受性フォトレジスト組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術の短所を克服し、さらなる利点をもたらす、フォトレジスト像を生成するためのフォトレジスト組成物及びプロセスを提供する。本発明のフォトレジスト組成物は、フェノール系ポリマーと、エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分を含まない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとのブレンド、及び、光酸発生剤とを含む。前記コポリマーは、i)アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のモノマー、並びにii)アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択され、酸開裂性エステル置換基を有する第2のモノマーを含む。
【0009】
基板上にフォトレジスト像を形成するプロセスは、フェノール系ポリマーと、エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分を含まない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとのブレンド、及び、光酸発生剤とを含むフォトレジスト膜で基板をコーティングするステップを含む。前記コポリマーは、i)アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のモノマー、並びにii)アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択され、酸開裂性エステル置換基を有する第2のモノマーを含む。さらに、プロセスは、膜を放射線に像様露光するステップと、膜を110℃未満の温度に加熱するステップと、基板上に像を現像するステップとを含む。
【0010】
更なる特徴及び利点が、本発明の技術を通して実現される。本発明の他の実施形態及び態様は、ここに詳細に説明され、特許請求される本発明の一部と見なされる。複数の利点及び特徴を有する本発明をより良く理解するために、以下の説明及び図面を参照されたい。
【0011】
本発明と見なされる主題は、本明細書の最後にある特許請求の範囲において具体的に示され、明確に請求されている。本発明の前記及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と併用される以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】アントラセンメタノールで増感され、iライン(365nm)に露光された、本発明の種々のフォトレジスト組成物の相対的コントラスト曲線のグラフである。
【図2】ECOMA−NLMをベースとする本発明のフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。
【図3】ECPMA−MMAをベースとする本発明のフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。
【図4】比較のためのESCAPベースのフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。
【図5】ECOMA−NLMをベースとする本発明のフォトレジスト組成物から得られた140nm、150nm、及び160nmライン及び間隔の走査電子顕微鏡写真を、ESCAPをベースとするフォトレジスト組成物からのものと比較して示す。
【図6】ECPMA−MMAをベースとする本発明のフォトレジスト組成物から得られた140nm、150nm、160nm、及び170nmライン及び間隔の走査電子顕微鏡写真を、ESCAPをベースとするフォトレジスト組成物からのものと比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明は、図面を参照しながら例証として利点及び特徴と共に本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0014】
本明細書で開示されるのは、放射線感受性フォトレジスト組成物である。以下でより詳細に説明するように、この放射線感受性フォトレジスト組成物は、248nmのDUV露光波長における後工程用途に好適である。随意的に、フォトレジスト組成物は、厚膜用途のための365nmにおける像形成用のiライン・フォトレジストとして機能するように増感することができる。放射線感受性フォトレジスト組成物は、比較的低コストであり、100ナノメートル(nm)未満の加工寸法を解像することができ、像形成波長において比較的低い吸光度を示す。放射線感受性フォトレジスト組成物は、一般に、エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分のない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマー、塩基水溶液に可溶なフェノール系ポリマー、及び光酸発生剤を含む。驚いたことに、カルボン酸部分が存在しない場合、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとフェノール系ポリマーとの間に不相溶性(phase incompatibility)は観測されなかった。
【0015】
エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分のない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、2つのモノマーの反応生成物である。(メタ)アクリレートという用語は、化合物がアクリレート(CH=CHCOO−)基又はメタクリレート(CH=CCHCOO−)基を有することを示すことを意図したものである。第1のモノマーは、アルキルアクリート、置換アルキルアクリート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート及びこれらの混合物から選択される。好ましいアルキルエステルは、メチルエステル及びエチルエステルである。
【0016】
第1のモノマーはまた、少なくとも1つのヒドロキシ基を含むこともできる。適切なヒドロキシ含有アクリレート・モノマーは、以下のものである。
【化1】

【0017】
第1のモノマーはまた、少なくとも1つのスルホニルアミド基を含むこともできる。適切なスルホニルアミドアクリレート・モノマーは、以下のものである。
【化2】

【0018】
第1のモノマーはまた、少なくとも1つのラクトン基を含むこともできる。ラクトン置換基は、C−C20ラクトン置換基とすることができる。適切なラクトンアクリレート・モノマーは、以下のものである。
【化3】

【0019】
第2のモノマーは、驚く程低い活性化エネルギーを有する酸開裂性3級エステル置換基を有する(メタ)アクリレートである。この低い活性化エネルギーは、本発明のポリマーの第1のモノマーと第2のモノマーとの間の相互作用に起因すると考えられる。開裂性置換基の低い活性化エネルギーのために、コポリマーは、フォトレジスト組成物が放射線に露光された後にエステル置換基の酸開裂を引き起こすために、通常の高い露光後ベーク(PEB)温度を必要としない。この低い活性化エネルギーは、低いPEB温度の使用を可能にし、それにより放射線に露光されていないフォトレジスト膜の領域への光発生酸の熱的に引き起こされる望ましくない拡散を最小限にし、従って鮮明な線幅及び向上したレジスト性能がもたらされる。その結果、従来技術において指摘される像ぼやけが最小限になる。さらに、より鮮明な線幅及び向上したレジスト性能は、ノボラック樹脂のような、低いガラス転移温度を有するフェノール系ポリマーと共により低いPEB温度によって実現される。
【0020】
酸開裂性3級エステル置換基を有する適切な第2のモノマーには、これらに限定されるものではないが、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート(MCPMA)、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート(ECPMA)、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート(ECHXMA)、1−エチルシクロヘプチル(メタ)アクリレート(ECHPMA)、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート(ECOMA)、1−エチルシクロデシル(メタ)アクリレート(ECDMA)、1−エチルシクロドデシル(メタ)アクリレート(ECDDMA)、1−エチル−2−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート(EMOCHMA)、1−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート(BCHXMA)、1−ブチル−2−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート(BMOCHXMA)、1−シクロペンチルシクロペンチル(メタ)アクリレート(CPCPMA)、1−イソプロピルシクロヘプチル(メタ)アクリレート(IPCHPMA)、2,5−ジメチル−1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が含まれる。
【0021】
本発明の放射線感受性組成物のための適切なコポリマーは、以下の化合物を含む。
【化4】

【0022】
コポリマーにおいて所望される特性に応じて、特定のモノマーの選択、及びコポリマー中のそれらの重量パーセントを変えることができる。例えば、コポリマー中のメタクリル酸エステル成分の割合を変えることにより、組成物中のコポリマーの量を変えずに、コポリマーの特定の結合剤中での溶解性増大/抑制特性を最適化することができる。コポリマーの放射線感受性は、酸に不安定な基を有する第2のモノマー成分の割合を変えることにより、変化させることができる。最後に、ガラス転移温度は、コポリマー中でのメタクリル酸エステル成分に対するアクリレート成分の相対的割合を、結合剤中のコポリマーの溶解度の範囲内で変えることによって、ある程度まで変化させることができる。このコポリマーは、フェノール系結合剤に比類なく且つ予想外に可溶であり、相分離を起こさずに均一な組成物の形成を可能にする。この(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーはまた、深UVスペクトル域において実質的に透明であり、そのため、深UVリソグラフィ用の結合剤としてフェノール系(例えば、ノボラック)ポリマーを使用することが可能になる。
【0023】
本発明の(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、一般に、コポリマーの全重量の50乃至90重量%の量の第1のモノマーと、コポリマーの全重量の約10乃至50重量%の量の、低活性化エネルギーの酸に不安定な基成分を有する第2のモノマーとを含む。他の実施形態において、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、コポリマーの全重量の約60乃至80重量%の量の第1のモノマーと、コポリマーの全重量の20乃至40重量%の量の、低活性化エネルギーの酸に不安定な基成分を有する第2のモノマーとを含む。
【0024】
一実施形態において(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、2乃至100Kダルトンの平均分子量を有する。他の実施形態において、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは3乃至25Kダルトンの平均分子量を有し、さらに他の実施形態においては、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは4乃至10Kダルトンの平均分子量を有する。好ましいポリマーの多分散性指数は、1から3までである。
【0025】
フェノール系ポリマーは、ヒドロキシスチレン(pHOST)をベースとする付加ポリマーの類から採用されるもの及び/又は縮合ポリマー(例えば、ノボラック)であり、これらは、アセトアルデヒド又はホルムアルデヒドなどのアルデヒドと、フェノール自体、又はそれぞれ1乃至9個の炭素原子の1つ又は2つのアルキル基で置換されたフェノール、例えば、o−、m−、及びp−クレゾール、キシレノール、p−3級ブチルフェノール、及びp−ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのフェノールとの反応生成物である。一実施形態において、フェノール系ポリマーの重量平均分子量は3乃至150Kダルトンである。他の実施形態において、フェノール系ポリマーは4乃至50Kダルトンの重量平均分子量を有し、さらに他の実施形態においては、フェノール系ポリマーは3乃至15Kダルトンの重量平均分子量を有する。
【0026】
放射線感受性フォトレジストは、放射線感受性光酸発生剤(PAG)をさらに含む。これらのPAGは、化学線への露光時に酸を発生する化合物である。種々の実施形態において、選択される光酸発生剤がコーティング組成物内に十分に溶解し、その結果として得られる溶液が分注プロセス又はスピン・コーティングなどにより基板上のコーティングを形成することができる限り、イオン性又は非イオン性PAGを含む任意の適切な光酸発生剤を用いることができる。当業者には周知のように、本出願を読んだ後、本発明の種々の実施形態において、以下の例示的な光酸発生剤の類を用いることができる。
【0027】
典型的な光酸発生剤には、これらに制限されるものではなく、(1)トリフェニルスルホニウムペルフルオロメタンスルホネート(トリフェニルスルホニウムトリフレート)、トリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムペルフルオロペンタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアーセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムヨーダイド、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、ジフェニルエチルスルホニウムクロリド、及びフェナシルジメチルスルホニウムクロリドなどのスルホニウム塩、(2)ジフェニルヨードニウムペルフルオロメタンスルホネート(ジフェニルヨードニウムトリフレート)、ジフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムペルフルオロペンタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムペルフルオロオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネート、ビス−(t−ブチルフェニル)−ヨードニウムトリフレート、及びビス−(t−ブチルフェニル)−ヨードニウムトリフレート、及びビス−(t−ブチルフェニル)−ヨードニウムカンファニルスルホネートを含むハロニウム塩、特にヨードニウム塩、(3)ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、及びビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンなどのα,α’−ビス−スルホニルジアゾメタン、(4)イミド及びヒドロキシイミドのトリフルオロメタンスルホネートエステル、例えば、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(MDT)、(5)2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジルp−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートなどのニトロベンジルスルホネートエステル、(6)N−カンファスルホニルオキシナフタルイミド及びN−ペンタフルオロフェニルスルホニルオキシナフタルイミドなどのスルホニルオキシナフタルイミド、(7)ピロガロール誘導体(例えば、ピロガロールのトリメシレート)、(8)ナフトキノン−4−ジアジド、(9)アルキルジスルホン、(10)s−トリアジン誘導体、並びに(11)t−ブチルフェニル−α−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセテート、t−ブチル−α−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセテート、及びN−ヒドロキシナフタルイミドドデカンスルホネート(DDSN)、及びベンゾイントシレートを含む様々なスルホン酸発生剤が含まれる。
【0028】
本明細書で提供するコーティング組成物及び方法と共に用いるのに有用な付加的な適切な光酸発生剤は、当業者には周知であろう。
【0029】
一例として、コーティング組成物のPAGは、以下の構造体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【化5】

【0030】
フォトレジスト組成物中の各成分の、固体の全重量に基づく相対量は、以下の通りである。一実施形態において、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは5乃至95重量部、フェノール系ポリマーは5乃至95重量部、及び光酸発生剤は0.1乃至20重量部である。別の実施形態においては、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは50重量部未満であり、フェノール系ポリマーは50重量部を超え、及び光酸発生剤は0.1乃至20重量部である。さらに別の実施形態においては、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは25重量部未満であり、フェノール系ポリマーは75重量部を超え、及び光酸発生剤は0.1乃至20重量部である。
【0031】
レジスト組成物の残り部分は、一般に、溶媒からなり、さらに必要に応じて又は所望であれば、染料など通例の添加剤、アントラセンメタノールなどの増感剤(例えば、フォトレジストをiライン用途のために増感するため)、フェノチアジン又はクマリン6など安定化剤として用いられる添加剤、溶解性改質添加剤、顔料、酸拡散制御剤、塩基性化合物、界面活性剤又は消泡剤などのコーティング補助剤、架橋剤、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのフォトスピード制御剤、付着促進剤、及び可塑剤を含むことができる。
【0032】
溶媒の選択は、溶解度に限定されることなく、レジスト成分の混和性、コーティング・プロセス、並びに安全性及び環境規制など多くの因子によって決定される。さらに、他のレジスト成分に対して不活性であることが望ましい。また溶媒は、膜の均一なコーティングを可能にし、さらに塗布後ベーク・プロセス中に残留溶媒の著しい減少又は完全な除去を可能にするのに適当な揮発性を有することが望ましい。例えば、非特許文献5を参照されたい。一般に、溶媒は、エーテル含有、エステル含有、ヒドロキシ含有、及びケトン含有化合物、又はこれら化合物の混合物から選択することができる。適切な溶媒の例として、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、乳酸エチルなどの乳酸エステル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのアルキレングリコールアルキルエーテルエステル、メチルセルソルブなどのアルキレングリコールモノアルキルエステル、酢酸ブチル、2−エトキシエタノール、及びエチル−3−エトキシプロピオネートが挙げられる。好ましい溶媒には、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、並びに乳酸エチル及びエチル−3−エトキシプロピオネートの混合物が含まれる。上記の溶媒のリストは、例証目的のためだけのものであり、包括的なものであると考えるべきではなく、溶媒の選択は決して本発明を制限すると考えるべきでもない。当業者であれば、任意の数の溶媒又は溶媒混合物を用い得ることを認識するであろう。典型的には、レジスト配合物の全質量の50%より多くが溶媒からなり、好ましくは80%より多くが溶媒からなる。
【0033】
本発明はまた、放射線感受性フォトレジスト組成物の膜で基板をコーティングするステップと、膜を放射線に像様露光するステップと、膜を典型的には110℃未満の温度に加熱するステップと、像を現像するステップとを含む、基板上にレジスト像を生成するプロセスに関する。
【0034】
第1のステップは、適切な溶媒中に溶解したレジスト組成物を含む膜で基板をコーティングするステップを含む。膜は、スプレー・コーティング又はスピン・コーティング、或いはドクター・ブレーディングなどの当技術分野において周知の技術を用いて基板上にコーティングすることができる。膜を放射線に露光する前に、膜を短時間110℃未満の高温に加熱して過剰な溶媒を除去することが適切である。乾燥した膜は、約0.2乃至10.0ミクロンの厚さを有することができる。
【0035】
次に、この膜をx線、電子ビーム、EUV又は紫外線の放射エネルギー束に像様露光する。適切な紫外線放射線は、365nm(iライン)又は248nm(DUV)である。適切な放射源は、KrFエキシマ・レーザである。放射線は、レジスト組成物及び放射線感受性酸発生剤によって吸収され、遊離酸を生成する。
【0036】
露光後、膜を約1乃至2分の短時間再び約110℃又はそれより低い温度に加熱して、フォトレジスト組成物の露光部分内の酸開裂性エステル置換基を開裂させ、続いて対応する酸が形成される。この反応はこのような低温で処理できるので、膜の未露光領域への光生成酸の拡散は大幅に減少する。この反応は、(メタ)アクリレート・コポリマー中の酸開裂性3級エステル置換基の低い活性化エネルギーのために、この低温で進行する。
【0037】
加熱後、当分野の周知の技術によって、膜内でレジスト像が現像される。膜を溶媒、典型的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような塩基水溶液に曝すことが適切である。溶媒は、膜の露光された部分を除去して下層の基板を露出させる。
【0038】
本発明を、その好ましい特定の実施形態と共に説明したが、前述の説明及び以下の実施例は、本発明を例証することを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解すべきである。本発明の範囲に入る他の態様、利点及び修正は、本発明が関係する当業者には明白であろう。
【実施例】
【0039】
実施例1
この実施例においては、(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーの合成を説明する。このコポリマーは、メチルメタクリレート(MMA)である第1のモノマーと、ノルボルネンラクトンメタクリレート(NLM)及び1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート(ECPMA)の混合物である第2のモノマーとの反応によって形成された。
【0040】
温度制御式加熱マントル、窒素注入口を有するフリードリッヒ冷却器、熱電対温度計及びマグネティック・スターラを装備した250mLの3つ口丸底フラスコに、10.94g(60mmol)の1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、3.00g(30mモル)のメチル(メタ)アクリレート、6.67g(30mol)のノルボルネンラクトン(メタ)アクリレート、0.485g(2.4mol)のドデカンチオール、及び65.7gのメチルエチルケトンを加えた。この混合物を窒素封入下で短時間加熱して還流させた。還流が治まるまで混合物を冷却し、その時点で0.788gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の全量を一度に加えた。反応系を窒素でフラッシュし、混合物を加熱して還流させ、窒素雰囲気下で保持した。初めの還流温度は81.2℃であり、20時間の還流後に78.7℃となった。反応混合物を冷却して室温にし、次いで撹拌しながら3.5リットル(L)のヘキサンを加えた。沈殿したコポリマー、50:25:25の比のポリ(ECPMA/MMA/NLM)を30分間撹拌し、次いでフリットガラスろ過ロートを通してろ過した。回収した固体を3×150mL部のヘキサンで洗浄し、ろ過ケーキを60℃で100ミリトールにおいて一晩乾燥させて15.1グラムの白色ポリマー固体を得た。ポリマーは、5.6KダルトンのGPCMw(THF溶媒、ポリスチレン標準)を有していた。
【0041】
実施例2
この実施例においては、50:50の比のポリ(ECPMA/MMA)の合成を説明する。(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、メチルメタクリレート(MMA)である第1のモノマーと1−エチル−1−シクロペンチルメタクリレート(ECPMA)である第2のモノマーとの反応生成物を含んでいた。
【0042】
温度制御式加熱マントル、窒素注入口を有するフリードリッヒ冷却器、熱電対温度計及びマグネティック・スターラを装備した250mLの3つ口丸底フラスコに、10.94g(60mmol)の1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、6.01g(60mmol)のメチル(メタ)アクリレート、0.485g(2.4mmol)のドデカンチオール、及び54.8gのメチルエチルケトンを加えた。この混合物を窒素封入下で短時間加熱して還流させた。還流が治まるまで混合物を冷却し、その時点で0.787g(4.8mmol)の2、2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の全量を一度に加えた。反応系を窒素でフラッシュし、窒素雰囲気を保持しながら混合物を加熱して還流させた。初めの還流温度は81.0℃であり、20時間の還流後に78.2℃となった。反応混合物を冷却して室温にし、次いで撹拌しながら3.5リットル(L)の1:3の水/メタノールを加えた。沈殿したコポリマー、50:50の比のポリ(ECPMA/MMA)を30分間撹拌し、次いでフリットガラスろ過ロートを通してろ過した。回収した固体を3×150mL部の1:3の水/メタノールで洗浄し乾燥させた。この沈殿プロセスを2回繰り返し、固体を60℃で100ミリトールにおいて48時間乾燥した後、11.91グラムの白色ポリマー固体を得た。ポリマーは5.4KダルトンのGPCMw(THF溶媒、ポリスチレン標準)を有していた。
【0043】
実施例3
この実施例においては、裸のシリコン・ウェハ上にコーティングした増感(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーのフォトレジスト組成物の365nmにおけるコントラスト曲線を作成した。フォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂(Mw=4Kダルトン)に対するパーセンテージで、25重量パーセントの50:50のECOMA−MMA又はECPMA−MMAを(メタ)アクリレート・ベースのコポリマー(Mw=5.4Kダルトン)として含んでいた。このフォトレジスト組成物は、PGMEAに溶解した10重量パーセントの固体を含んでいた。この固体は、ノボラック樹脂及び(メタ)アクリレート・ベースのコポリマー、3重量パーセント(ポリマーに対して)のトリフェニルスルホニウムノナフレート、1重量パーセント(ポリマーに対して)のアントラセンメタノール、及び0.075重量パーセント(ポリマーに対して)のTBAHを含んでいた。
【0044】
このフォトレジスト組成物を裸のシリコン・ウェハ上にスピン・コーティングし、塗布後ベークを100℃で60秒間行い、OAI露光ツールを用いて365nmにおいて露光し、露光後ベークを100℃で60秒間行い、0.26Nの水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液中で60秒間現像した。図1は、このフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。図示するように、このフォトレジスト組成物は、365nmにおける露光時に高いコントラストを示し、これは以下の248nm放射線のデータと共に、異なる波長におけるフォトレジスト組成物の多用性を実証する。
【0045】
実施例4
この実施例においては、裸のシリコン・ウェハ上にコーティングした(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーのフォトレジスト組成物の248nmにおけるコントラスト曲線を作成した。フォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂(Mw=4Kダルトン)に対するパーセンテージで、30重量パーセントの50:50のECOMA−NLM(Mw=5.4Kダルトン)を(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとして含んでいた。フォトレジスト組成物は、PGMEAに溶解した10重量パーセントの固体を含んでいた。この固体は、ノボラック樹脂及び(メタ)アクリレート・ベースのコポリマー、3重量パーセント(ポリマーに対して)のトリフェニルスルホニウムノナフレート、及び0.075重量パーセント(ポリマーに対して)のTBAHを含んでいた。
【0046】
このフォトレジスト組成物を裸のシリコン・ウェハ上にスピン・コーティングし、塗布後ベークを90℃で90秒間行い、ASMLステッパ/スキャナ露光ツールを用いて248nmにおいて露光し、露光後ベークを87℃、95℃、103℃及び108℃で90秒間行い、0.26NのTMAH水溶液中で60秒間現像した。図2は、このフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。図示するように、このフォトレジスト組成物は248nmにおける露光により高いコントラストを示す
【0047】
実施例5
この実施例においては、裸のシリコン・ウェハ上にコーティングした(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーのフォトレジスト組成物の248nmにおけるコントラスト曲線を作成した。フォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂(Mw=4Kダルトン)の重量に対し、25重量パーセントの50:50のECPMA−MMA(Mw=5.4Kダルトン)を含んでいた。フォトレジスト組成物は、PGMEAに溶解した10重量パーセントの固体を含んでいた。この固体は、ノボラック樹脂及び(メタ)アクリレート・ベースのコポリマー、2.5重量パーセント(ポリマーに対して)のトリフェニルスルホニウムノナフレート、2.5重量パーセント(ポリマーに対して)の1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム−n−ノナフルオロブタンスルホネート及び0.3重量パーセント(ポリマーに対して)の2−フェニルイミダゾールを含んでいた。
【0048】
このフォトレジスト組成物を裸のシリコン・ウェハ上にスピン・コーティングし、塗布後ベークを90℃で90秒間行い、248nmにおいて64mJ/cmで露光し、露光後ベークを81℃、86℃、94℃及び102℃で90秒間行い、0.26NのTMAH水溶液中で90秒間現像した。図3は、このフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。図示するように、このフォトレジスト組成物は248nmにおける露光により高いコントラストを示す。
【0049】
実施例6
この実施例においては、裸のシリコン・ウェハ上にコーティングした、比較のための従来技術の、JSR社から入手可能なESCAP(環境的に安定な化学増幅フォトレジスト)ベースのフォトレジスト組成物(商品名MF028・MIA042 1/1)の248nmにおけるコントラスト曲線を作成した。このESCAPベースのフォトレジスト組成物は、ヒドロキシスチレンとt−ブチルアクリレートの比が1:1でMwが8Kダルトンのコポリマーを含んだものであり、ここで、t−ブチルエステルからカルボン酸への転化は、本発明の酸開裂性3級エステル置換基よりも高い活性化エネルギーを有する。本発明の(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーに比較して、ESCAPポリマーは、製造コストが著しく高く、遥かに大きな吸収を示す。このESCAPフォトレジスト組成物は、8重量パーセントの、PGMEAに溶解した固体を含む。この固体は、ESCAP樹脂、3重量パーセント(ポリマーに対して)のトリフェニルスルホニウムノナフレート、及び0.075重量パーセント(ポリマーに対して)のTBAHを含んでいた。
【0050】
この比較のためのESCAPフォトレジスト組成物を裸のシリコン・ウェハ上にスピン・コーティングし、塗布後ベークを130℃で60秒間行い、ASMLステッパ/スキャナ・ツールを用いて248nmにおいて12mJ/cmで露光し、露光後ベークを130℃で60秒間行い、0.26NのTMAH水溶液中で30秒間現像した。図4はこのフォトレジスト組成物のコントラスト曲線のグラフである。図1−図3のコントラスト曲線を図4のコントラスト曲線と比較することにより、著しく高コストで高活性化エネルギーのESCAPベースのフォトレジスト組成物に比べて、同程度のコントラストを本発明のフォトレジスト組成物により得ることができることが実証される。
【0051】
実施例7
この実施例においては、本発明のフォトレジスト組成物(上記の実施例4)及び従来技術のESCAPベースのフォトレジスト組成物(上記の実施例6)を、ASMLステッパ/スキャナを用いて248nm放射線に像様露光し、現像して140nm、150nm、及び160nmのライン−間隔対を形成した。実施例4のフォトレジスト組成物を232nmの厚さにコーティングし上記のように露光/処理した。比較のためのESCAPフォトレジスト組成物を230nmの厚さにコーティングし、塗布後ベークを130℃で60秒間行い、12.0mJ/cmにおいて像様露光し、露光後ベークを120℃で60秒間行い、0.26NのTMAH水溶液中で60秒間現像した。図5は現像後に得られた像の走査電子顕微鏡写真を与える。図示するように、本発明のフォトレジスト組成物は高解像度を示し、プロフィルの点から見て、従来技術のESCAPフォトレジスト組成物に匹敵するものであった。
【0052】
実施例8
この実施例においては、本発明のフォトレジスト組成物(上記の実施例5、ECPMA−MMA)及び従来技術のESCAPフォトレジスト組成物(上記の実施例6)を、ASMLステッパ/スキャナを用いて248nm放射線に像様露光し、現像して140nm、150nm、160nm、及び170nmのライン−間隔対を形成した。実施例5のECPMA−MMAベースのフォトレジスト組成物を232nmの厚さにコーティングし、塗布後ベークを90℃で90秒間行い、64mJ/cmにおいて像様露光し、露光後ベークを90℃で90秒間行い、0.26NのTMAH水溶液中で60秒間現像した。比較のためのESCAPフォトレジスト組成物を230nmの厚さにコーティングし、塗布後ベークを130℃で60秒間行い、12.0mJ/cmにおいて像様露光し、露光後ベークを120℃で60秒間行い、0.26NのTMAH水溶液中で60秒間現像した。図6は現像後に得られた像の走査電子顕微鏡写真を与える。図示するように、本発明のフォトレジスト組成物は、高解像度を示し、プロフィルの点から見て、従来技術のESCAPフォトレジスト組成物に匹敵するものであった。
【0053】
有利なことに、本発明の(メタ)アクリレート・ベースのフォトレジスト組成物は、DUVリソグラフィに用いるための低コストのフォトレジストを与える。(メタ)アクリレート・ベースのフォトレジスト組成物は、市販の材料(例えば、ノボラック樹脂)を利用して、現在のDUVフォトレジストに対する低コストの代替物を与えるものである。(メタ)アクリレート・ベースのフォトレジスト組成物は、高解像度を与え、iライン用途のために増感することができ、そして高コントラストのゆえに厚膜用途に用いることができる。さらに、同程度のESCAPベースのレジストなどの高活性化エネルギーのフォトレジストと比較して、像ぼやけは低活性化エネルギーの酸に不安定なペンダント基のために、余り問題にならない。
【0054】
本発明の実施形態の前述の説明は、例証及び説明のために与えたものである。これは網羅的であること又は本発明を開示した通りの形態に限定することを意図したものではなく、多くの修正物及び変形物が可能である。当業者には明白となり得る修正物及び変形物は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール系ポリマーと、エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分を含まない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとのブレンドであって、前記コポリマーは、i)アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のモノマー、並びに、ii)アクリレート、メタアクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択され、酸開裂性エステル置換基を有する第2のモノマーを含む、該ブレンドと、
光酸発生剤と、
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記第1のモノマーは、前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーの全重量に対し50乃至90重量パーセントで存在し、前記第2のモノマーは10乃至50重量パーセントで存在する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記フェノール系ポリマーは5乃至95重量部で存在し、前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは5乃至95重量部で存在し、前記光酸発生剤は0.1乃至20重量部で存在する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、前記フォトレジスト組成物の50重量%未満を構成する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、前記フォトレジスト組成物の25重量%未満を構成する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、3K乃至10Kダルトンの分子量有する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記フェノール系ポリマーは、3K乃至14Kダルトンの分子量有する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記第2のモノマーは、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロデシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロドデシル(メタ)アクリレート、1−エチル−2−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−ブチル−2−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−シクロペンチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘプチル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記置換アルキルアクリレート及び/又は前記置換アルキルメタクリレートは、ヒドロキシ含有置換基、スルホニルアミド置換基、又はラクトン含有置換基を有する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記フェノール系ポリマーはノボラック・ポリマーである、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
基板上にフォトレジスト像を形成するプロセスであって、
フェノール系ポリマーと、エーテル含有部分及び/又はカルボン酸含有部分を含まない(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーとのブレンドであって、前記コポリマーは、i)アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のモノマー、並びにii)アクリレート、メタアクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択され、酸開裂性エステル置換基を有する第2のモノマーを含む、該ブレンドと、光酸発生剤とを含むフォトレジスト組成物の膜で前記基板をコーティングするステップと、
前記膜を放射線に像様露光するステップと、
前記膜を110℃未満の温度に加熱するステップと、
前記基板上に前記像を現像するステップと、
を含むプロセス。
【請求項12】
前記フォトレジスト膜は20ミクロン未満の厚さを有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記放射線は248nmの波長を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記フォトレジスト膜は増感剤をさらに含み、前記放射線は365nmの波長を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第1のモノマーは50乃至90重量パーセントで存在し、前記第2のモノマーは10乃至50重量パーセントで存在する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
前記フェノール系ポリマーは5乃至95重量部で存在し、前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは5乃至95重量部で存在し、前記光酸発生剤は0.1乃至20重量部で存在する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、全組成物の50重量パーセント未満を構成する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
前記(メタ)アクリレート・ベースのコポリマーは、全組成物の25重量パーセント未満を構成する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
前記酸開裂性エステル置換基は3級アルキルエステルを構成する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項20】
前記第2のモノマーは、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロデシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロドデシル(メタ)アクリレート、1−エチル−2−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−ブチル−2−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−シクロペンチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘプチル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項21】
前記置換アルキルアクリレート及び/又は前記置換アルキルメタクリレートは、ヒドロキシ含有置換基、スルホニルアミド置換基、又はラクトン含有置換基を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項22】
前記フェノール系ポリマーはノボラック・ポリマーである、請求項11に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−503358(P2013−503358A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525965(P2012−525965)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061292
【国際公開番号】WO2011/023497
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】