説明

化学気相成長システムおよび化学気相成長プロセス

少なくとも1つの試料を支えるためのプロセスチューブであって、炭化ケイ素で構成され、シリコンを含浸され、炭化ケイ素で被覆されたプロセスチューブと、プロセスチューブを高真空へと真空排気するポンピングシステムと、1つ以上のプロセスガスを、真空排気されたプロセスチューブへと導入するための1つ以上のガス入口と、プロセスチューブを加熱し、それにより、プロセスチューブ内の1つ以上のプロセスガスと少なくとも1つの試料とを加熱してプロセスチューブ内で少なくとも1つの試料上に化学気相成長により材料を堆積させるヒータと、を備える化学気相成長システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学気相成長(CVD:Chemical Vapour deposition)システムおよび化学気相成長プロセス、特に、炭化ケイ素などの半導体を堆積させるためのシステムおよびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
元素半導体シリコンは、その電気的および化学的特性が好都合であり、また、天然に豊富に存在するために、おそらく地球上で最も研究されている物質であり、マイクロ/ナノ電子装置、マイクロ/ナノ電子機械装置およびシステム(MEMS/NEMS)、および光起電装置の製造とそれに関連する他の技術とに用いられる主要な材料である。
【0003】
50年以上にわたって開発されてきた処理および特性における多くの利点や無類の専門技術にもかかわらず、用途によっては、他の半導体がシリコンを上回る利点を有することがある。例えば、幾つかの化合物半導体の高いキャリア移動性、広いバンドギャップ、および直接バンドギャップが、当該材料を超高速に特化したマイクロ/ナノ電子装置および固体レーザや発光ダイオード(LED)などの発光素子に用いるのに好ましいものにしている。
【0004】
大きな関心をもたれている化合物半導体の1つは炭化ケイ素であり、これは、広いバンドギャップと、高い熱伝導率と、低い熱膨張率と、高い電流密度の電流を伝導する能力と、高い耐化学性とを有する非常に硬いセラミック材料である。さらに、炭化ケイ素は、シリコンそのものを除けば、酸素と反応してSiOのデバイス品質の絶縁酸化物を形成する唯一の半導体であるので、炭化ケイ素によって、半導体素子の製作が非常に容易になる。他の化合物半導体は、一般に、デバイス品質の誘電層を堆積させることを必要とし、この重要な欠点が、こうした材料が広く採用されてこなかった理由の1つである。最後に、SiCは、不純物(例えば、窒素やアルミニウム)を導入することにより、n型およびp型の導電領域を形成するようにドープすることができる。これらの特性により、SiCは高温・高出力の電子装置を製造するための重要な材料となり、また、これらの特性は、高い耐化学性と、高い耐放射性と、高温動作と、高出力能力と、高速および高効率動作とを含む、シリコンから作られた装置よりも優れた特性を有する個別デバイス、集積回路、およびMEMS/NEMS装置の開発の更なる可能性を示している。
【0005】
炭化ケイ素ウェハは市販されているが、欠陥密度がデバイス用に十分に低いSiCを堆積させることが難しいので、非常に高価であり、また、小さなサイズのウェハでしか入手できない(例えば、直径2インチでA$1500、直径4インチでA$5000)。単結晶SiCのブールは、約2200℃の温度で形成され、この温度によって、処理装置に難題が課される。対して、単結晶シリコンのブールは、約1410℃とはるかに低温で形成される。直径150mm(およそ6インチ)の優良なシリコンウェハの価格は、ウェハ当たり約A$30にすぎない。
【0006】
炭化ケイ素には、多種多様のポリタイプがあり、4Hおよび6Hがバルクウェハ形成に用いられる最も一般的なポリタイプである。しかし、3Cのポリタイプの薄膜は、Siウェハ上にエピタキシャル堆積させることができ、それによって、高度に進化し特徴のはっきりしたシリコンチップ技術に炭化ケイ素の有効な特性を組み合わせて、市場に迅速に導入することができる費用効果のあるプラットフォームの性能を高めることができる。加えて、シリコンウェハ上の炭化ケイ素のエピタキシャル膜は、両立できる格子定数を有する他の単結晶半導体からなる1つ以上の層を続いて堆積させるためのバッファ層として用いることもでき、それによって、これらの材料から比較的低コストでシリコンウェハの処理装置を用いてデバイスを製作することが可能になる。
【0007】
SiCにおけるデバイスの製造は、通常、欠陥が少なく不純物濃度の低い高品質の単結晶SiCを必要とする。SiCが単結晶シリコン基板上にエピタキシャル成長させられた層である場合、シリコンと炭化ケイ素との間の格子の大きな不整合のために、シリコンから炭化ケイ素への完全な結晶転移が妨げられる。また、堆積中にSiC膜へと導入される不純物により品質が低下する場合がある。さらに、こうした不純物は、優先的に沈殿し、そうでなければ、SiC結晶格子内の欠陥に捕えられることがあり、および/または逆位相境界の形成、積層欠陥および/または転位を引き起こすことがあり、それによって、さらに、SiC膜の電子的および光学的特性を低下させる可能性がある。
【0008】
減圧化学蒸着(LPCVD:low pressure chemical vapour deposition)による化合物半導体のエピタキシャル堆積は、通常はゆっくりとしたプロセスである。成長面上に堆積される原子種の表面移動度が限定されるので、これらの原子種が最低エネルギーの原子位置へと移動して、欠陥密度の低い高品質単結晶材料を形成するには長い堆積時間が必要となる。しかし、処理時間が長いと、汚染の可能性が高まる。水蒸気、酸素、気体酸化物、および窒素などの望ましくない不純物は、通常、付着係数が高く、堆積された半導体膜表面に吸着し、または該表面と反応して半導体膜を汚染しやすい。対照的に、シラン(SiC堆積の場合)などの気体の堆積前駆体は、(プロセス条件に応じて)付着係数が非常に低い場合があり、これにより、表面衝突のうちのわずかな割合のみしか、所望の原子種(例えば、シランの場合はシリコン)を表面に残すという結果につながらない。従って、非常に低い汚染度を保証することが非常に重要となる。
【0009】
数十年前の科学文献では、シリコン上にデバイス品質の炭化ケイ素を堆積させる試みが多くなされているが、ほとんど成功していない。特に、商業規模でシリコンウェハ上に3C炭化ケイ素を生産するためのプロセスおよび装置を開発する試みは不成功に終わっていた。
【0010】
例えば、こうした試みの一つが非特許文献1に記載されている。非特許文献1には、高温壁シリカ反応管を有するSiC堆積システムが記載されている。しかし、低圧かつ高温では、シリカは漏れ耐性がないので、汚染材料が管壁を通り抜けてしまう。また、システムのポンピングシステムおよび真空の完全度(漏れ耐性)のために、システムの操作窓および基本圧力が制限されてしまう。漏れに対して不完全であるのは、処理中の分圧を示すグラフから明らかである。大流量および高圧であっても、これら水蒸気(17および18の原子質量単位(amu))および窒素(28amu)の形跡が明らかに現れている。非特許文献1に記載のプロセスでは、第1のガス前駆体を用い、その気体を汲み出し、その後、第2の前駆体を流して炭化ケイ素を形成している。しかし、本発明者は、プロセスの間ずっと、堆積面を汚染材料にさらされることで、非特許文献1のシステムによって提供できる堆積膜の品質は制限されやすいと考えている。
【0011】
非特許文献1の公開から10年以上が経過しているにもかかわらず、小さなウェハサイズであっても、Si上にデバイス品質の3C炭化ケイ素膜を生産することができる堆積システムの生成にはほとんど進化がみられない。
【0012】
実際に、シリコン上に炭化ケイ素を堆積させるための商業的に実現可能なプロセスがまだ確立されていないので、デバイス品質の炭化ケイ素膜を堆積させるシステムは今のところ利用できず、現在までに確固たる設計はなされていない。
【0013】
特許文献1は、C60前駆体を用いてシリコン基板上に炭化ケイ素の層を形成する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,861,346号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Nagasawa and Yagi,3C−SiC single crystal films grown on Si Substrates,Phys.Stat.Sol.(b)202,335 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
先行技術の難点を1つ以上軽減する、または、少なくとも有効な代替方法を提供する化学気相成長システムおよび化学気相成長プロセスを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によると、化学気相成長システムが提供される。この化学気相成長システムは、シリコンが含浸され、炭化ケイ素で被覆されたプロセスチューブと、プロセスチューブを高真空へと真空排気するポンピングシステムと、1つ以上のプロセスガスを真空排気したプロセスチューブへと導入するための1つ以上のガス入口と、プロセスチューブを加熱し、それにより、プロセスチューブ内の1つ以上のプロセスガスと少なくとも1つの試料とを加熱してプロセスチューブ内で少なくとも1つの試料上に化学気相成長により材料を堆積させるヒータと、を含んでいる。
【0018】
高真空は10−6mbarの範囲以下であってよい。システムは最大約1350℃の温度まで動作可能であってよい。
【0019】
ヒータは、ヒータから伸びるプロセスチューブの外側部分間に配置されるプロセスチューブの中央部の周りを取り巻くように配置されてよく、システムは、プロセスチューブの外側部分を冷却する手段を含んでいてよい。プロセスチューブの外側部分を冷却するための手段は、少なくとも1つのヒートシンクを備えてよい。
【0020】
システムはプロセスチューブ内に配置され、プロセスチューブ内で実質的に一定の温度の均一区域を中心として互いに間隔を空けられた2組の放射隔壁であって、均一区域からの放射熱損失を低減するように構成されている放射隔壁を含んでいてよい。放射隔壁のうち少なくとも内側のものが、炭化ケイ素から成り炭化ケイ素で被覆されていてよい。
【0021】
複数の放射隔壁がプロセスチューブ内の複数の領域のそれぞれを占めていてよく、1つ以上のガス入口は当該領域の1つへとそれぞれガスを供給するように構成されてよい。1つ以上のガス入口は少なくとも2つのガス入口を含んでいてよい。
【0022】
システムは、プロセスチューブ内に配置されている炭化ケイ素製のライナを含んでいてよい。
【0023】
堆積中のプロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域内に配置されるシステムの全ての構成要素は、CVDにより炭化ケイ素で被覆された炭化ケイ素から構成されていてよい。
【0024】
ポンピングシステムは、1つのターボ分子ポンプを用いて1つの端部のみからプロセスチューブを真空排気するように構成されていてよい。
【0025】
代わりに、ポンピングシステムは、プロセスチューブの各端部から汲み出しをするように構成されている2つのターボ分子ポンプを含んでいてよい。
【0026】
1つ以上のガス入口は、1つ以上のプロセスガスをプロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域の各端部から均一区域内へと導入するように構成されている2つのガス入口を含んでいてよく、システムは、連続する複数の層を堆積させる間にプロセスガスが均一区域を反対方向に流れるように複数のポンプおよび複数のガス入口を交互に用いることにより材料を連続した複数の層に堆積させて、堆積される材料の、ウェハ間での均一性を向上させるように構成されていてよい。
【0027】
1つ以上のガス入口は、1つ以上のプロセスガスをプロセスチューブ内の実質的に一定温度の均一区域の各端部から均一区域内へと導入するように構成された2つのガス入口を含んでいてよく、システムは、堆積中にプロセスガスが均一区域を互いに反対の方向に流れるように複数のポンプおよび複数のガス入口を同時に用いることにより材料を堆積させて、堆積される材料の、ウェハ間での均一性を向上させるように構成されていてよい。
【0028】
1つ以上のガス入口は、加熱された区域の各端部に配置されている2つのガス入口を含んでいてよい。
【0029】
システムは、一時的にある量のプロセスガスを蓄え、その後、プロセスチューブ内の圧力を急激に上昇させるように、蓄えられたプロセスガスを放出するように構成されているガス容器を含んでいてよい。
【0030】
システムは、堆積中に、希釈されていないプロセスガスをプロセスチューブで用いるように構成されていてよい。
【0031】
システムは、プロセスガスの汚染レベルをppbレベルに低減するユースポイント清浄器を含んでいてよい。
【0032】
システムは、堆積中に、1対以上のウェハを狭い間隔で背中合わせに垂直に配置されるように支持するように構成されたウェハホルダーであって、ウェハの各対の裏面間の狭い間隔は、裏面上の堆積厚を低減するのに十分に小さく、また、プロセスチューブの真空排気を容易にするのに十分に大きいウェハホルダーを含んでいてよい。
【0033】
システムは、堆積中にウェハを狭い間隔で背中合わせに垂直に配置されるように支持するための、互いに間隔を空けたV溝の複数の組を有する1つ以上のウェハホルダーを含んでいてよく、所望のウェハ間隔の選択を可能とし、ウェハの裏面の堆積厚を相応の堆積厚にして、各ウェハの互いに対向する両面間に応力の相応の非対称性を与えるために、V溝の複数の組は、互いに隣接するV溝の間に、互いに異なる間隔を有していてよい。
【0034】
システムは、プロセスチューブ内に、かつ、真空下に少なくとも1つの試料を維持しながら、互いに反対のドープ極性を有する半導体からなる連続する層を堆積させるように構成されていてよい。
【0035】
プロセスガスの安定した流れをプロセスチューブへと切り換える前に、プロセスチューブをバイパスしながらプロセスガスの複数の流れのそれぞれを独立して安定させることができるように、システム内のガスの流れは、質量流制御部により複数のガスマニホールドと複数のバイパスポンピング構成とを介して制御してよい。
【0036】
材料は炭化ケイ素であってよい。
【0037】
材料は炭化ケイ素であってよく、少なくとも1つの試料は少なくとも1つの単結晶シリコンウェハであってよく、当該炭化ケイ素は当該少なくとも1つの単結晶シリコンウェハ上にエピタキシャル堆積されるデバイス品質の単結晶炭化ケイ素であってよい。
【0038】
また、本発明は、化学気相成長プロセスを提供する。この化学気相成長プロセスは、炭化ケイ素で構成され、シリコンを含浸され、炭化ケイ素で被覆されたプロセスチューブを設置するステップと、プロセスチューブを高真空へと真空排気するステップと、プロセスチューブを加熱し、それにより、プロセスチューブ内の少なくとも1つの試料を加熱するステップと、1つ以上のプロセスガスを真空排気し加熱したプロセスチューブへと導入してプロセスチューブ内で加熱された少なくとも1つの試料上に化学気相成長により材料を堆積させるステップと、を含む。
【0039】
高真空は10−6mbarの範囲以下であってよい。
【0040】
堆積される材料のウェハ間での均一性を向上させるように、堆積中、プロセスチューブはそれぞれの端部から同時に汲み出しをされ、1つ以上のプロセスガスはプロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域の各端部から同時に均一区域内へと導入されて堆積された材料のウェハ間の均一性を向上させてよい。
【0041】
材料はプロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域内で少なくとも1つの試料上に堆積されてよく、材料を材料の1対以上の連続した層として堆積させてよく、堆積される材料のウェハ間での均一性を向上させるように、各組の連続した層を堆積させる間、均一区域での正味のガスの流れが互いに反対の方向になってよい。
【0042】
プロセスは、ある量の蓄えられたプロセスガスを放出してプロセスチューブ内の圧力を急激に上昇させるステップを含んでよい。
【0043】
堆積中、1つ以上のプロセスガスをプロセスチューブ内で希釈せずに用いてよい。
【0044】
少なくとも1つ以上の試料は複数のウェハを含んでいてよく、プロセスは、堆積中にウェハを狭い間隔で背中合わせに垂直に配置されるように支持するステップを含んでよく、各ウェハ対の裏面間の狭い間隔は、ウェハの裏面上の堆積厚を低減するのに十分に小さく、また、プロセスチューブの真空排気を容易にするのに十分に大きくてよい。
【0045】
少なくとも1つ以上の試料は複数のウェハを備えてよく、プロセスは、材料が各ウェハの両側に実質的に均等に堆積され実質的に均等な応力を与えるように、堆積中にウェハを互いに間隔を空けて配置されるように支持するステップを含んでよい。
【0046】
プロセスは、少なくとも1つの試料をプロセスチューブ内で真空下に維持しながら、互いに反対のドープ極性を有する半導体からなる連続する層を堆積させるステップを含んでよい。
【0047】
材料は炭化ケイ素であってよい。少なくとも1つの試料は少なくとも1つの単結晶シリコンウェハを含み、材料は少なくとも1つの単結晶シリコンウェハ上にエピタキシャル堆積されるデバイス品質の単結晶炭化ケイ素であってよい。
【0048】
また、本発明は、上記のプロセスを行うように構成された構成要素を備える化学気相成長システムを提供する。
【0049】
また、本明細書では、炉壁が、炭化ケイ素から成り、シリコンが含浸され、炭化ケイ素で被覆されたチューブであり、高真空で高温に対応できる処理容器を提供する高温壁真空炉が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、第1の実施形態の化学気相成長システムの模式的な側方断面図である。
【図2】図2は、第2の実施形態の化学気相成長システムの模式的な側方断面図である。
【図3】図3は、図1および図2に示すシステムのプロセスチューブおよびガスマニホールドの模式的な側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、添付の図面を参照し、本発明のいくつかの実施形態を単に一例として説明するが、同じ参照番号は同じ構成要素を示すものとする。
【0052】
図1および図2に示すように、化学気相成長装置または化学気相成長システム100,200は、化学気相成長(CVD)により1つ以上の材料の1つ以上の薄い層または膜が堆積される基板または試料(通常、シリコンウェハ)104を支えるための円筒形のプロセスチューブ102を含んでいる。システム100,200を、単結晶シリコン(Si)ウェハ上への炭化ケイ素(SiC)の単結晶膜の堆積に関し、以下に説明する。システム100,200は、元々、この用途のために開発されたものである。しかし、システム100,200および本発明の他の実施の形態は、同様に、または代わりに、シリコン、炭化ケイ素、または他の基板上に他の材料、(例えば、GaNなどの他の化合物半導体を含む)他の半導体材料を堆積させるのに用いることができることが理解されるべきである。当業者に理解されるように、これに関して、「半導体」という用語は、実際は、堆積されると電気的に半導体にならないことがある、つまり、伝導率が導通または絶縁になると考えられるものの、1つ以上の不純物でドープして、通常、数桁だけ伝導率を実質的に変化させることができる材料を含む。
【0053】
システム100,200では、プロセスチューブ102の、互いに反対側の両端部がOリング真空シール108によって端部フランジ106(端部フランジ106は、望まれるなら、他の実施形態において、水冷することができる)に結合されている。Oリングシール112を介して端部フランジ106の1つに接続されている装填ドア110により、プロセスチューブ102へのアクセスが可能になっている。
【0054】
動作時、基板104は、装填ドア110を介してプロセスチューブ102内に装填される。その後、プロセスチューブ102は、後に説明するように、低圧へと真空排気され、その後、プロセスチューブ102は、標準的な3区域の炉のヒータ114により加熱され、これにより、プロセスチューブ102の内容物、特に基板104が、主に放射により加熱される。当業者は、堆積システム100,200が「高温壁」の真空炉、特に、化学気相成長(CVD)反応炉の形態をとることがわかるだろう。各高温壁の炉のシステム100,200の構成により、1350℃までの均一でかつ安定した処理温度を生じさせることができる。本実施形態のプロセスチューブ102は水平であり、基板104はプロセスチューブ内で水平な片持ち梁状の支持部材115上に支持されるが、他の実施形態では、垂直に向けられたプロセスチューブを用いてよい。
【0055】
他の実施形態では、誘導加熱を用いてよいが、本実施形態では、Kahthal(登録商標)ワイヤで形成された抵抗発熱素子に電流を通すことにより熱を発生させている。炉のライナの誘導加熱は比較的複雑で、通常は大きな電力を必要とする。
【0056】
3区域のヒータ114は、プロセスチューブ102内の、互いに隣接する3つの区域を効果的に加熱し、3つの区域には、当該技術分野で「均一区域」(または「反応区域」)116と呼ばれている、中央の均一な温度の区域が含まれ、この均一区域116に、ウェハ102が位置し堆積が行われる。標準的なウェハの炉によるのと同様に、ヒータアセンブリ114からの外部への熱損失を低減するためにセラミック製で繊維状の断熱材が用いられ、均一区域116は、通常、均一区域116よりも高温で放射と伝導による熱損失を生じ得る2つの端部区域の間に配置されている。各区域の温度を測定する熱電対(図示しない)が、均一区域116に沿って均一の温度を実現するようにヒータの3つの区域への電力を制御するのに用いられる。
【0057】
ヒータの、最も外側の2つの区域の外縁部に位置して均一区域116からの放射による熱損失を低減するように構成されている放射隔壁118により、均一区域116内の温度の安定性および均一性が促される。概して、放射隔壁は、加熱される3つの区域への見通し直線を遮る場合に有効であり、その数と寸法は全体の熱損失に影響する。本実施形態では、システム100は、プロセスチューブ102内に配置された2組の放射隔壁118を含んでいる。各組は、全長180mmであり、互いに間隔を空けて配置された5つの隔壁で構成され、最も内側の隔壁が、プロセスチューブ102の、3区域のヒータ114が周りに配置されている部分のすぐ外側にくるように配置されている。どんな堆積システムに対しても、十分な温度均一性を得るための要件(大きな隔壁が好ましい)と、求められる処理圧力状態を達成するために十分な速度のポンピングを可能とする要件(小さな隔壁が好ましい)とをバランスさせるように隔壁118の寸法が選択される。例えば、システム100では、隔壁118は、直径176mmの円形であり、以下に説明するシステム100のライナ122に対して32mmの隙間を生じさせている。(i)均一区域116内の温度均一性を改善し、(ii)プロセスチューブ102外部の構成要素の加熱を低減することにより(特に、Oリングシール108の加熱を低減することにより、それを物理的に無傷に保ち、大気中の気体に対する透過性も低く維持できるので、真空度が向上する)、高真空ポンプ128と組み合わされた放射隔壁118によって、先行技術のシステムで可能であったのよりもシステム100の操作処理制御の処理範囲が広がり、また、処理中の汚染が低減される。
【0058】
どの実施形態でも、放射隔壁の形状および構成がプロセスチューブのポンピングの速度と放射を阻止する効率とに影響する。特に、概して、隔壁の縁とプロセスチューブの内壁との間の隙間が大きくなるにつれ、および/または、隔壁自体に開口を設けることにより、プロセスチューブのポンピングの速度は速くなる。しかし、プロセスチューブ102からの放射損失を低減するには、それらの隙間や開口をできるだけ(ちょうど説明しているポンピングの制限を条件として)、プロセスチューブ102への見通し線が生じないようにずらして配置し、すなわち、揃わないようにすべきである。例えば、放射隔壁は、1つの隔壁から次の隔壁へと一直線上に並ばない複数の開口を備えた円形ディスクの形態をとることができる。または、放射隔壁のいくつかを環状のリングの形態にし、他の放射隔壁を、半径が環状のリングの内径よりも大きな円形ディスクとすることができる。上記の利点が得られるようにするのに、放射隔壁の他の多くの構成および配置を考え出すことができることが明らかである。
【0059】
プロセスチューブ102は、高真空(つまり、漏れを防止)で高温に対応できる処理容器を構成するために、焼結炭化ケイ素からなり、ケイ素が含浸され、さらに炭化ケイ素で被覆されている。プロセスチューブ102の高い熱伝導率によって、均一区域116内の均一な熱分布が促され、ウェハ内でも、複数のウェハ間でも、温度精度および堆積均一性を、長時間の処理期間の間、典型的には、700℃以上の温度で、温度精度±0.5℃以下に維持することができる。本実施形態では、プロセスチューブ102は、AGCエレクトロニクスアメリカ社により製造されたものである。
【0060】
プロセスチューブ102は、長さが約1200mmで内径が約230mmであり、鉛直に支持された直径約150mmの4つのウェハ、または、水平に支持された直径約200mmの1つウェハを一度に処理可能である。しかし、システム100そして、特に、システム200の構成は、真空の要求を満たすためにポンピングシステムを大きくする必要があるが、より大きなプロセスチューブの直径をより大きく、および/またはより長くするようにシステムの大きさを容易に変えることを可能として、より大きなウェハの処理を可能とし、また、一度により多くのウェハの処理を可能とするものである。
【0061】
必須ではないが、どの実施形態でも、本実施形態のシステム100,200のように、システムの高温構成要素は全てプロセスチューブ102と同じ組成であることが非常に望ましい。
【0062】
概して、システムの加熱とポンピングの要件を緩和するために、プロセスチューブ102の、均一区域116の外側の外側部分の長さを、実用的な範囲でできるだけ短く選択することができる。しかし、プロセスチューブ102の端部がOリングシール108で密封されている上述のシステム100,200では、上記の理由により、プロセスチューブ102の端部は、真空密封Oリング108が適応できる温度に維持する必要がある。その結果、炭化ケイ素は熱伝導率が高いので、プロセスチューブ102の、ヒータ114を越えて突き出ている部分は、当該部分が非常に短い場合、積極的に冷却しなければならない場合がある。これは、本実施形態100,200では、製造時に、プロセスチューブ102に一体的な冷却フィン120の形態のヒートシンクを設けることで達成されている。しかし、代替例では、製造後に、(このような実施形態では必ずしもSiCから成る必要はない)熱伝導性のフィンを炭化ケイ素チューブ102に取り付けられ、この構成により、筒状のヒータ114に対するプロセスチューブ102の挿入および取り出しが容易になる。しかし、円筒状のヒータ114は、プロセスチューブ102の取り外しを容易にするために簡単に分離できる2つの(例えば、半円筒形などの)部分からなる形態にすることができる。いずれの場合も、冷却フィン(または他の形態のヒートシンク)の全体に向けて複数の冷却ファンを配置して冷却効率を上げることができる。水冷と比較すると、空冷にはプロセスチューブの端部付近の温度勾配を低下させるという付加的な利点があり、それによって、そうでなければ炭化ケイ素製のチューブ102にひびを生じさせてしまう可能性のある熱衝撃や熱応力の可能性が低減される。
【0063】
動作中、具体的な処理に応じて、プロセスチューブ102内の圧力および温度により反応状態を判断することができる。通常(SiCの堆積の場合のように)、反応プロセスは、所定の温度で、高圧での堆積プロセスから低圧でのエッチングプロセスへと移行する場合がある。堆積システムは、両方の反応領域にわたる操作範囲を有し、それにより、高品質な堆積膜を生成するように汚染の程度が十分に低くなるのが保証されることが非常に望ましい。
【0064】
具体的には、ポンピングの配管で測定されるシステムの基本圧力が10−6mbarの範囲またはそれより良いことが望ましい。これに関し、「基本圧力」とは、システム100,200の動作中であるが、プロセスガスが吸い出された時に通常達成できる圧力を示しており、これは、例えば、システムが数日以上の間、堆積を行わずにポンンピングされ(また、場合によってはベーキングされ)た場合に達成できる最低圧力とは対照的であり、この最低圧力は、やはり、基本圧力より少なくとも1桁小さい場合がある。しかし、当業者に理解されるように、第一に、真空計128,129をSiC製のプロセスチューブ102の外部に位置させなければならず、その結果、真空計128,129により読み取られる圧力は均一区域116における実際の圧力よりも低くなりがちであるので、概して、均一区域116における実際の圧力は直接測定できない。第二に、キャパシタンスマノメータは、プロセスガスに適応でき、ガス組成に左右されないので、堆積中に圧力を測定するのに優れているにもかかわらず、測定できる最低圧力は10−4mbarの範囲である。反対に、高真空計は、約10−5mbarより低い圧力を測定できるが、概して、プロセスに適応できない。また、プロセスチューブ102の、Oリング108の所の端部の温度が高いほど、気体がOリング108を透過する可能性が大きくなる。従って、圧力のいずれの表示もこれらの条件に照らして理解する必要がある。
【0065】
10−6mbarまでの、またはより良い高真空基本圧力を達成するには、システムの実際の事実上の真空の漏れとポンピングの速度とが、許容可能な時間内にこの基本圧力を達成するのに十分である必要がある。プロセスチューブ102の直径が大きくなるほど、ポンピングの伝わりやすさが良くなる。システム内の望ましくないガス源は、システムの構成要素からの気体放出、および、もちろん、事実上の実際の漏れを含んでいる。動作時にシステム100,200の、およびシステム100,200内の構成要素が加熱されるので、システム100,200の、およびシステム100,200内の構成要素からのどのような気体放出も非常に少なくし、システム100,200の真空の保全性を、熱サイクルの間、維持する必要がある。
【0066】
新たに堆積される材慮の原子の結合が弱くなることがあるので、更なる衝撃を低減する比較的低い圧力でプロセスガスの前駆体を使用するのが望ましく、したがって、前駆体は、堆積中にアルゴンなどの不活性ガスで希釈されない。
【0067】
極性の互いに異なる複数の層が堆積膜中に形成される場合、境界面での汚染および/または欠陥を低減するため、および、生産性を向上させるために、(例えば、n型層からp型層へと、およびp型層からn型層へと達成される)これらの層を、同じプロセスチューブ102内で真空を破壊することなく、順に堆積させることが非常に望ましい。
【0068】
堆積プロセスの間、トリメチルアルミニウム(TMAl)などのドーパント前駆体が反応炉の構成要素上に吸着し、その後、プロセス中に脱着することがあり、これが生じるのは、反対の極性にドープされる層が形成されている時を含み、この場合、脱着された種は、所望のドープを妨げる可能性がある。こうした吸着およびそれに続く脱着を低減するため、反応炉の、前駆体にさらされる、特に、均一区域116の外側の構成要素が全堆積プロセス中にわたって、実用的な範囲でできるだけ高い温度に維持され、これを達成するために、システム100はプロセスチューブ102内に円筒形のライナ122を含んでいる。本実施形態では、ライナ122の組成はプロセスチューブ102と同じであり、つまり、Siを含浸させた炭化ケイ素で形成されている。取り付けられると、ライナ122の内面がその位置でSiCでCVDにより被覆される。上記したように、プロセスチューブ102の外側部分は冷却する必要があり、それによって、これらの冷却部分への吸収が可能になるのに対して、炉のチューブ102とは異なり、ライナ122はOリングに対して密封されないので、ライナ122の全体を高温に維持することができるので、ライナ122を用いるのは有益である。ライナ122の内面および外面をCVDによるSiCの層で密封することにより、ライナ122内でのドーパントの吸着および/または浸透が抑制され、従って、特に、融合シリカ/石英などの在来の材料が用いられると起こり得る望ましくないドーパントの汚染が抑制される。
【0069】
内部システムの構成要素が、気体の吸着とそれに続く脱着を防止し抑制するのに十分に高温となることを保証することで、ドーパントの履歴の効果が回避される。これにより、同じシステム内で、n型ドープ層とp型ドープ層を順に堆積させるなどの連続した処理が可能となる。ライナ122は、清掃や交換のために容易に取り外すことができるので、システムのメンテナンスに役立つ。
【0070】
真空システム
上述のように、プロセスチューブ102は、焼結SiCで構成され、シリコンを含浸させてその後CVDによりSiC層で被覆することにより密封されているので、システム100は(10−6mbarの範囲、またはそれより良い)高真空の基本圧力で動作できることが保証される。この度合いの真空を達成するために、システム100およびシステム200はそれぞれ1つおよび2つのターボ分子ポンプ124,126を用いている。ターボポンプはプロセスガスに適応でき、選択されたモデルは高いガス負荷を扱うことができる。システム100,200では、そうでなければポンプ124,126の性能を低下させる、または、ポンプ故障を引き起こす可能性のある、プロセスチューブ102からの放射熱にポンプ124,126が直接さらされないことを保証するように、ポンプ124,126がプロセスチューブ102の高温区域の見通し線から外れている。
【0071】
ウェハ104の装填および取り出しを容易にするために、システム100,200は、堆積された材料内で不純物または汚染物質としてふるまわないアルゴンなどの高純度不活性ガスで大気圧に通気される。
【0072】
真空下では、炉壁に吸着されたどんなガスも水蒸気も放出され、これが、高真空になるのに要する時間を増加させ汚染のリスクと程度を増大させる。こうした汚染を低減し、ポンプの休止時間や、温度上昇時間や、熱サイクルを短縮するために、均一区域116の温度が少なくとも600℃に維持され、他のポンプ配管内の他の構成要素も加熱され、システム100,200は、装填中に、反応炉の構成要素の大気による汚染を低減するために排気される。システム100,200では、800℃までの炉の温度で試料の装填を行うことができる。他の実施形態は、さらに生産性に役立たせ、かつ、試料の装填および取り出し中の汚染のリスクを低減するために、グローブボックスや同様の不活性環境領域および/または真空ロードロックを含めることができる。
【0073】
試料104がプロセスチューブ102内に装填されて装填ドア110が閉じられると、システムを<1mbarまで真空排気するのに粗引きポンプ(図示しない)が用いられる。この真空排気は、そうでなければ粒子汚染につながる乱流を低減するように制御される。(ターボポンプ124,126と共に用いられるバッキングポンプを使用するのとは異なり)独立した粗引きポンプを用いることにより、プロセスガスまたはプロセス副産物ではないガスにバッキングポンプがさらされるのが低減される。そして、ターボ分子ポンプ124,126によって、システム100,200内の(高真空計128により測定される)圧力は、少なくとも10−5mbarより低くされ、典型的には、10−6mbarの範囲より低くされる。このような圧力レベルで、システム100,200の物理的な構成と、ポンピングの能力と、ガスの入口および出口と、真空密封と、内面および構成要素の組成と、温度との全てが低圧力を達成し維持する能力に影響する。システム100,200のポンピングの伝わりやすさ(または抵抗)も、反応区域116内で均一な温度を維持するために用いられる放射隔壁118の数および寸法に左右される。ポンピングの伝わりやすさを制御し、キャパシタンスナノメータ圧力計129からのフィードバックを用いた閉ループ圧力制御システムの一部とすることができるバルブ130,132を介してポンピングの伝わりやすさを変更することにより圧力制御を行うことができる。分子流の状態の低処理圧力では、気体の流れを制御することにより圧力制御をより良好に行われる。これら全ての要因がポンピングの伝わりやすさと所望の真空度を達成するのにかかる時間とに影響することは当業者には理解されるだろう。
【0074】
ガス供給システム
システム100,200の別の重要な面は、堆積プロセスで用いられるガス/前駆体の管理と供給である。高純度のガスおよび超高純度のガスが用いられる。汚染レベルを非常に低くするため、システム100,200は、水、CO、CO、およびOをppmからppbの汚染レベルへと低減するためにVCR付属器具とユースポイント清浄器306を有する内部電解研磨溶接ステンレス鋼チューブガス操作サブシステムを含んでいる。
【0075】
システム100,200は、質量流量制御部304と、複数のプロセスガスマニホールドと、複数のバイパスポンピングと、複数のガス入口134,136とを備えて処理の柔軟性と、ガス供給の正確さと、生産性に対する利点とを与えている。複数のマニホールドおよびバイパスポンピングによって、プロセスガスが反応炉へと切り替えられる前にガスをバッキングポンプへと流すことにより、質量流制御部からのガスの流れを安定させることができる。これは、圧力および/または流量に敏感な堆積プロセスにとって特に重要である。標準的な質量流制御部は、通常、質量流制御部の流量範囲の下端(例えば、5%以下)に向けた動作の時に、安定するのに数秒かかる。プロセス真空ポンプに直接ガスを流している(つまり、プロセスチューブ102をバイパスしている)時に、質量流制御部を数秒で安定させることにより、その後、必要とされる時に、安定させたガス流を切り換えてプロセスチューブ102に流すことができる。
【0076】
場合によっては、堆積プロセス(前述のSiCの堆積プロセスを含む)は、各プロセスガスを反応炉内に導入して各圧力にする交互に行われる少なくとも2つのステップを含み、各ステップでは、現在のステップに適したプロセスガスを導入する前に、他のステップ用のプロセスガスを汲み出す必要がある。この汲み出しとプロセスガスの導入との繰り返しのシーケンスによって、堆積プロセス全体の期間が長くなり、従って、プロセスのコストも増加する。特に、反応炉のチャンバーの容積は大きいので、新たなプロセスガスを反応炉に導入するたびに、当該ガスにとって望ましいプロセス圧力を確立するのにかなりの時間を要する場合がある。
【0077】
この困難を軽減するために、システム100,200は、図3に示すように、プロセスガスを一時的に蓄えてその後放出するためのガス容器302を含んでいる。例えば、反応炉チャンバーが所望の圧力に排気されて次のプロセスガスを反応炉内に導入すべき時、マニホールドのバルブが開かれて蓄えられているプロセスガスが一気に反応炉のチャンバーへと放出される。ポンピングの速度制御と組み合わせて、これによって、プロセスチューブ102内の圧力を急速に上昇させて必要に応じて維持することができ、したがって、堆積プロセス全体の期間を短縮しコストを低減することができる。図3には、独立した構成要素として示すが、このシステム100,200では、ガス容器302は、ガスマニホールドの配管の容積自体により与えられ、配管の全長および直径により容器の容積が決まっている。しかし、他の実施形態では、図3に示す構成のように独立した容器の構成を用いてよい。
【0078】
例えば、選択されたポンピングの速度および1分当たり10ccの安定状態でのガス流量によって、反応炉内の圧力が76mTorrになる、200Lの真空システム容量を有する堆積システムを考える。低圧から(<<76mTorr)、20ccのガスを基本的に瞬時に放出して200Lのシステム内の圧力を約76mTorrまで上昇させることができる。この圧力は、P=P、および温度は一定と仮定して、選択されたポンピングの速度で10ccのガスを流すことにより維持することができる。ガス容器302がなければ、設定圧力に達するのに通常は数分かかる。代替例として、複数の質量流制御部(MFCs)を用いて各プロセスガスを急速に導入し、続いてガスの流量を減少させることにより同様の圧力制御を達成することができるが、これには、各MFCの流量範囲は限られているため、各プロセスガスに対して複数のMFCが必要となる。場合によっては、堆積反応は急速に起こることがあるので、所望のプロセス圧力へと迅速に移行することで、圧力が安定する時間が長くなるのを回避し、これにより、プロセス全体の期間を大幅に短縮することができる。
【0079】
当業者に理解されるように、低圧で、かつ速いポンピングの速度で動作させる場合、均一区域116に沿った圧力は不均一になる。ガス圧力は、ガスの、堆積面(例えばウェハの表面)との衝突の頻度を示すので、堆積速度がプロセスチューブ102に沿って変化することが予期される。これは、堆積速度にも影響を与える場合があるガスの残響時間と逓減の効果によりさらに複雑になる。ウェハ間の被覆厚の均一性を高めるために、各システム100,200は、ガスをヒータアセンブリの、放射隔壁118内の区域へと直接導入するように、反応炉の容積内のチューブの形態のガス注入器134を含んでいる。ガス供給システムは、後でさらに説明するが、一度にプロセスチューブ102のどちらかの端部から、または、両端部から同時に、ガスを導入することができる。
【0080】
ガスが主に表面と衝突し、ごくまれにしか他のガス分子と衝突しない分子流の状態で、かつ、速いポンプ速度で処理を行っている時、圧力が均一区域116に沿って変化するのは避けられない。プロセスの状態によっては、典型的には、前駆体種の付着係数が非常に低い時には、ガス圧は堆積速度に直接対応し、つまり、前駆体の逓減は堆積速度に実質的に影響しない。長い均一区域に沿って配置された多くのウェハを一度に処理するどんな堆積システムを用いても、その堆積速度はウェハ間で著しく変化する可能性があり、それによって、堆積厚を正確に制御した商業的な大量生産が困難になる。均一区域116に沿ったポンピングの速度の直線的な減少は、それに応じた直線的な変化を堆積速度に生じさせる場合がある。大量のウェハ104に沿った高い精度および均一性を得るために、図2に示すシステム200は、反応炉の対向する端部に、2つのターボポンプ124,126とそれぞれの圧力制御システム130,132を含んでいる。堆積中に、両方とも組のガス注入器134とターボポンプ124,126を同時に用いることにより、システム200の、結果として得られる対称性によって、均一区域116に沿ったプロセスガスの圧力の均一性が向上し、したがって、ウェハ間の均一性が向上する。
【0081】
あるいは、ウェハ間の均一性は、連続する堆積ステップ間で、正味のプロセスガスの流れを反対にすることにより向上させることができる。具体的には、(i)左側のターボポンプ124およびその反対側の(右側の)ガス注入器136を用いるのと、(ii)右側のターボポンプ126およびその反対側の(左側の)ガス注入器134を用いるのとを交互に行うことで、システム200の対称性により、連続した交互の堆積ステップの各対を通した堆積厚の、ウェハ間での均一性が改善される。これにより、大きく変動するガスの流れ、およびプロセス状態を用いることが許され、加熱炉の高温の区域に入っているガス注入器に関連するメンテナンスと清掃の問題が、ガス注入器が均一区域にまで入っていたとしても、低減される。従って、図2のシステム200は、図1の、ポンプが単一のシステム100に比べ、堆積される材料の、ウェハ間での均一性が良くなり、また、結果的に、より大きなウェハおよび/またはより大きなバッチサイズへと拡張することができる。
【0082】
図2に示すように、ガス注入器134は、複数の放射隔壁118に沿ったほぼ真ん中の位置にプロセスガスを導入するように配置されている。プロセスガスが放射隔壁118の外側で、ターボポンプ124,126の近くに導入された場合、注入器134とターボポンプ124,126の両方の組が分子流モードで同時に動作すると、各プロセスガスの大部分がプロセスチューブ102を通過することなくシステム100,200の同じ端部の所のターボポンプへと直接汲み出されるので、プロセスガス(通常は高価で毒性がある)の利用率が低くなる。また、これらの領域内のドーパントガスは、システム100,200の比較的低温の表面に吸収され、後続の堆積ステップでドーパント汚染を引き起こす可能性がある。
【0083】
反対に、プロセスガスが加熱区域内に導入された場合、これらの領域の高温によりプロセスガスがガス注入器114の内部で反応し、および/または分解し、プロセスガスが少なくとも部分的に遮断されて堆積プロセスを妨げ、さらに、システム100,200を洗浄のために開く必要を生じさせる可能性がある。
【0084】
従って、上記の困難を軽減するため、システム100,200におけるガス注入器134の構成が選択される。
【0085】
どのような水平な炉のチューブ内でも、半導体ウェハは、通常、垂直で等間隔の配置に複数のウェハを支持するジグまたはウェハボートに搭載される。システム100,200は、プロセスチューブ102と同様、シリコンが含浸されCVDにより炭化ケイ素で被覆された炭化ケイ素から成るウェハボートを含んでいる。ウェハボートは、ボートの端部をウェハ104から十分に離れた位置(この場合、少なくとも50mm)に位置させることと、長手方向の支持レールの数と厚みを実用的な範囲内で減らすこととにより、ウェハの表面に達するプロセスガスを乱すのを低減するように構成されている。1つのウェハが、底が平坦なV型の溝により支持され、ウェハの正面および裏面の両方で堆積が起こる。これが、基板のウェハをヒータ上に水平に設置する必要があり、したがって、ウェハの1つの面のみに堆積を行う先行技術の堆積システムに対する、システム100,200の主な利点である。これは、ウェハの1つの面にのみ堆積させることによって生じさせられる非対称な応力により、ウェハの変形、すなわち、ウェハを曲げる「そり」が生じさせられ、リソグラフィーなどのその後の平面処理が困難になるからである。
【0086】
しかしながら、ウェハのそりが問題とならない場合は、1つのウェハボートは、2つのウェハを背中合わせに支えられるようにする、0.83mmまたは1.5mmの幅の平坦な底部と30°の側壁を有するV型溝を含んでおり、したがって、ウェハの裏面上への堆積が抑制され、一度に、より多くのウェハを処理できるようにすることでコストが低減される。他のウェハボートは、裏面への堆積を所望の量だけ低減しながら汲み出しを容易にするように、互いに異なる間隔で互いに隔てられた複数のV溝を含み、複数のウェハをそれらの裏面間に選択された小さな隙間を生じせて支持する。隙間の最適な大きさは、どんな状況でも、ウェハの寸法と用いられる特定の堆積プロセスとに左右される。各ウェハのそれぞれの側の応力が不均一な、前に処理されたウェハ上に堆積を行う特定の状況では、ウェハ間の隙間を所望の大きさに選択できるのが特に都合が良い。そのようなウェハは、あらかじめ存在する応力を少なくとも部分的に補償し、または打ち消すために、選択された量の材料をウェハの裏面に堆積させるように選択された間隔でウェハボートに背中合わせに設置することができる。
【0087】
所望の処理状態を達成するために、加熱される真空の区域116の全ての構成要素は、CVDにより炭化ケイ素で被覆された、高真空に適応する炭化ケイ素から構成されている。CVDによる被覆はあらかじめ存在するものであっても、システムの最初のコンディショニングプロセスの一部として堆積させてよい。他の実施形態では、少なくとも最高温度の(つまり、最も内部の)放射隔壁と、ライナ122と、片持ち梁状の支持部材115と、ウェハボートとがこのように構成されているのが望ましい。実施形態によっては、汚染と劣化の恐れがあるので、低温の隔壁とガス注入器を石英から作製することができる。各システム100,200のプロセスチューブ102内で同じSiC材料を用いることで、熱膨張の違いが最小限に抑えられ、これにより粒子による汚染が低減される。堆積された膜のどんな亀裂も、真空性能を低下させるおそれがある。
【0088】
他の堆積システムと同様に、各システム100,200は、データロギングをしながらの、計画にしたがって駆動される完全に自動化された制御を可能にするマイクロプロセッサ(図示しない)を含んでいる。また、設備と人の安全性の要求を満たすために、ソフトウェアおよびハードウェアのセーフティインターロックが用いられている。
【0089】
上記の説明から、当業者は、本発明が、改良された化学気相成長システムを提供することを理解するだろう。特に、本明細書に記載のシステムは、SiCなどの化合物半導体の高品質の層を広域に渡り堆積させることができる。例えば、上述のシステム100、特にシステム200は、商業規模の生産を可能にするために、大きなウェハ寸法(例えば、150mm、300mm、またはそれ以上)またはより大きなウェハバッチ(つまり、より多数のウェハ)へと容易に拡大できる。また、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した実施形態以外の多くの実施形態で本発明を実施可能であることを理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料を支えるためのプロセスチューブであって、炭化ケイ素で構成され、シリコンを含浸され、炭化ケイ素で被覆されたプロセスチューブと、
前記プロセスチューブを高真空へと真空排気するポンピングシステムと、
真空排気された前記プロセスチューブ内へ1つ以上のプロセスガスを導入するための1つ以上のガス入口と、
前記プロセスチューブを加熱し、それにより、前記プロセスチューブ内の前記1つ以上のプロセスガスと前記少なくとも1つの試料とを加熱して前記プロセスチューブ内で前記少なくとも1つの試料上に化学気相成長により材料を堆積させるヒータと、
を含んでいる化学気相成長システム。
【請求項2】
前記高真空は10−6mbarの範囲以下である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは約1350℃までの温度で動作可能である請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ヒータは、前記ヒーターから延びている前記プロセスチューブの両外側部分間に配置されている前記プロセスチューブの中央部の周りを取り巻くように配置され、前記システムは、前記プロセスチューブの前記外側部分を冷却する手段を含んでいる請求項1〜3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセスチューブの前記外側部分を冷却するための前記手段は、少なくとも1つのヒートシンクを含んでいる請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセスチューブ内に配置され、前記プロセスチューブ内で実質的に一定の温度の均一区域を中心に互いに間隔を空けられた2組の放射隔壁であって、前記均一区域からの放射熱損失を低減するように構成されている放射隔壁を含んでいる請求項1〜5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
前記放射隔壁のうちの、少なくとも内側のものが、炭化ケイ素から成り炭化ケイ素で被覆されている請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
複数の前記放射隔壁が前記プロセスチューブ内の複数の領域のそれぞれを占めており、前記1つ以上のガス入口は当該領域の1つへとそれぞれ前記ガスを供給するように構成されている請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上のガス入口が少なくとも2つのガス入口を含んでいる請求項1〜8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセスチューブ内に配置されている炭化ケイ素製のライナを含んでいる請求項1〜9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセスチューブ内の、堆積中に実質的に一定の温度の均一区域内に配置されている前記システムの全ての構成要素が、CVDにより炭化ケイ素で被覆された炭化ケイ素から構成されている請求項1〜10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンピングシステムは、1つのターボ分子ポンプを用いて1つの端部のみから前記プロセスチューブを真空排気するように構成されている請求項1〜11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
前記ポンピングシステムは、前記プロセスチューブの各端部から汲みだしをするように構成されている2つのターボ分子ポンプを含んでいる請求項1〜11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のガス入口は、前記1つ以上のプロセスガスを前記プロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域の各端部から前記均一区域内へと導入するように構成される2つのガス入口を含み、前記システムは、連続する複数の層を堆積させる間に前記プロセスガスが前記均一区域を互いに反対の方向に流れるように複数の前記ポンプおよび複数の前記ガス入口を交互に用いることにより前記材料を連続した複数の層に堆積させて、堆積される前記材料の、ウェハ間での均一性を向上させるように構成されている請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のガス入口は、前記1つ以上のプロセスガスを前記プロセスチューブ内の実質的に一定温度の均一区域の各端部から前記均一区域内へと導入するように構成された2つのガス入口を含み、前記システムは、堆積中に前記プロセスガスが前記均一区域を互いに反対の方向に流れるように複数の前記ポンプおよび複数の前記ガス入口を同時に用いることにより前記材料を堆積させて、前記堆積される材料の、ウェハ間での均一性を向上させるように構成されている請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のガス入口は、加熱された区域の各端部に配置されている2つのガス入口を含んでいる請求項1〜15のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項17】
一時的にある量のプロセスガスを蓄え、その後、前記プロセスチューブ内の圧力を急激に上昇させるように、蓄えられた前記プロセスガスを放出するように構成されているガス容器を含んでいる請求項1〜16のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、堆積中に、希釈されていない前記プロセスガスを前記プロセスチューブで用いるように構成される請求項1〜17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセスガスの汚染レベルをppbレベルに低減するユースポイント清浄器を含んでいる請求項1〜18のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項20】
堆積中に、1対以上のウェハを狭い間隔で背中合わせに垂直に配置されるように支持するように構成されたウェハホルダーを含み、ウェハの各対の裏面間の前記狭い間隔は、前記裏面上の堆積厚を低減するのに十分に小さく、また、前記プロセスチューブの真空排気を容易にするのに十分に大きい請求項1〜19のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項21】
堆積中にウェハを狭い間隔で背中合わせに垂直に配置されるように支持するための、互いに間隔を空けられたV溝の複数の組を有する1つ以上のウェハホルダーを含み、ウェハの前記裏面での堆積厚を相応の堆積厚にして、各ウェハの互いに対向する両面間に応力の相応の非対称性を与えるためにウェハの所望の間隔の選択を可能とするように、前記V溝の複数の組は、互いに隣接するV溝の間に、互いに異なる間隔を有している請求項1〜20のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、前記プロセスチューブ内に、かつ、真空下に前記少なくとも1つの試料を維持しながら、互いに反対のドープ極性を有する半導体からなる連続する層を堆積させるように構成されている請求項1〜21のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセスガスの安定した流れを前記プロセスチューブへと切り換える前に、前記プロセスチューブをバイパスしながら前記プロセスガスの複数の流れのそれぞれを独立して安定させることができるように、前記システム内のガスの流れは、質量流制御部により複数のガスマニホールドと複数のバイパスポンピング構成とを介して制御される請求項1〜22のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項24】
前記材料は炭化ケイ素である請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記材料は炭化ケイ素であり、前記少なくとも1つの試料は少なくとも1つの単結晶シリコンウェハであり、前記炭化ケイ素は前記少なくとも1つの単結晶シリコンウェハ上にエピタキシャル堆積されるデバイス品質の単結晶炭化ケイ素である請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
炭化ケイ素で構成され、シリコンを含浸され、炭化ケイ素で被覆されたプロセスチューブを設置するステップと、
前記プロセスチューブを高真空へと真空排気するステップと、
前記プロセスチューブを加熱し、それにより、前記プロセスチューブ内の少なくとも1つの試料を加熱するステップと、
1つ以上のプロセスガスを真空排気し加熱した前記プロセスチューブ内へ導入して前記プロセスチューブ内で加熱された前記少なくとも1つの試料上に化学気相成長により材料を堆積させるステップと、
を含む化学気相成長プロセス。
【請求項27】
前記高真空は10−6mbarの範囲以下である請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
堆積される前記材料のウェハ間での均一性を向上させるように、堆積中、前記プロセスチューブはそれぞれの端部から同時に汲み出しをされ、前記1つ以上のプロセスガスが前記プロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域の各端部から同時に前記均一区域内へと導入される請求項26または27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記材料は前記プロセスチューブ内の実質的に一定の温度の均一区域内で前記少なくとも1つの試料上に堆積され、前記材料を前記材料の1対以上の連続した層として堆積させ、堆積される前記材料のウェハ間での均一性を向上させるように、各対の連続した層を堆積させる間、前記均一区域での正味のガスの流れが互いに反対の方向になる請求項26または27に記載のプロセス。
【請求項30】
ある量の蓄えられたプロセスガスを放出して前記プロセスチューブ内の圧力を急激に上昇させるステップを含む請求項26〜29のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項31】
堆積中、前記1つ以上のプロセスガスを前記プロセスチューブ内で希釈せずに用いる請求項26〜30のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの試料は複数のウェハを含み、前記プロセスは、堆積中に前記ウェハを狭いに間隔で背中合わせに垂直に配置されるように支持するステップを含み、前記ウェハの各対の裏面間の前記狭い間隔は、前記ウェハの裏面上での堆積厚を低減するのに十分に小さく、また、前記プロセスチューブの真空排気を容易にするのに十分に大きい請求項26〜31のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項33】
前記少なくとも1つの試料は複数のウェハを含み、前記プロセスは、前記材料が各ウェハの両側に実質的に均等に堆積され実質的に均等な応力を与えるように、堆積中に前記ウェハを互いに間隔を空けて位置するように支持するステップを含む請求項26〜31のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの試料を前記プロセスチューブ内で真空下に維持しながら、互いに反対のドープ極性を有する半導体からなる連続する層を堆積させるステップを含む請求項26〜33のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項35】
前記材料は炭化ケイ素である請求項26〜34のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項36】
前記少なくとも1つの試料は少なくとも1つの単結晶シリコンウェハを含み、前記材料は前記少なくとも1つの単結晶シリコンウェハ上にエピタキシャル堆積されるデバイス品質の単結晶炭化ケイ素である請求項26〜35のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項37】
請求項26〜36のいずれか1つに記載の前記プロセスを行うように構成された構成要素を備える化学気相成長システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−517526(P2012−517526A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549395(P2011−549395)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000153
【国際公開番号】WO2010/091473
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(504317503)グリフィス ユニバーシティ (5)
【Fターム(参考)】