説明

半導体メモリ素子の製造方法

【課題】エッチング方法を変化させてビットラインの損失を防止する半導体メモリ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の絶縁膜102上に金属配線層とエッチング停止膜112を形成する。金属配線層とエッチング停止膜112をパターニングして金属配線110を形成する。そして、第1の絶縁膜102上に第2の絶縁膜114を形成し、エッチング停止膜112が露出されるように第1のエッチングガスで第2の絶縁膜114の一部をエッチングする。続いて金属配線110が露出されるように第2のエッチングガスでエッチング停止膜112を除去する。それによって、たとえば比抵抗が低いアルミニウムを金属膜106として用い、そのアルミニウム金属膜106によるビットラインにビアホール120を連結する際、エッチングガスを変化させるだけで別途に追加膜を形成せずともアルミニウム金属膜106のエッチング損傷を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にビアホール(via hole)の形成方法に係る半導体メモリ素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ素子は、多数のメモリセル及びトランジスタを含み、非常に多くの個数の素子からなっている。多数の素子を連結するためにはラインも増設され、半導体メモリ素子の集積度がますます増加するに伴い、素子の幅及び素子間の間隔も狭くなる傾向がある。また、多数のメモリセルはビットライン(bit line)で連結されてストリング構造を構成するが、その際のビットラインとしては金属物質で形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ビットラインを形成する金属物質としてたとえばアルミニウムを用いることができるが、製造工程の段階でCl2やCHF3の混合ガスを用いてそのアルミニウムをエッチングして金属膜を形成する際、エッチングによってアルミニウム金属膜が損傷を受けるという問題がある。その問題を解決するために、エッチング損傷防止用として別途に追加の膜を形成することが考えられるが、その追加膜を形成する工程が増えて製造コストにも反映する。
【0004】
以上から、本発明の目的は、ビットラインと接するビアホールを形成するためのエッチング工程であり、エッチング方法を変化させてビットラインの損失を防止する半導体メモリ素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係る代表的な半導体メモリ素子の製造方法は、半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に金属配線層及びエッチング停止膜を形成する工程と、前記エッチング停止膜及び前記金属配線層をパターニングして金属配線を形成する工程と、前記エッチング停止膜を含む前記第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を形成する工程と、前記エッチング停止膜が露出されるように第1のエッチングガスによって前記第2の絶縁膜の一部をエッチングする工程と、そして、前記金属配線が露出されるように第2のエッチングガスによって前記エッチング停止膜を除去する工程と、含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の半導体メモリ素子の製造方法によれば、たとえば比抵抗が低いアルミニウムを金属膜として用いて、そのアルミニウム金属膜によるビットラインにビアホールを連結する際、エッチングガスを変化させるだけで別途に追加膜を形成せずともアルミニウム金属膜のエッチング損傷を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の半導体メモリ素子の製造方法に係る好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1(A)〜(E)は、本実施形態による半導体メモリ素子の製造方法の各工程を示す断面図である。まず、図1(A)に示すように、半導体基板100上にはトランジスタやメモリセルのような半導体素子(図示略)が形成される。半導体素子を含む半導体基板100上には第1の絶縁膜102を形成する。第1の絶縁膜102上には金属配線110を形成する。
【0009】
具体的には、第1の絶縁膜102上に金属配線層とエッチング停止膜112を形成した後、パターニング工程を実施する。これにより、金属配線110が形成され、この金属配線110の上部にエッチング停止膜112が残留する。金属配線110としては、第1の障壁金属層104と、金属膜106と、そして第2の障壁金属層108とからなる積層構造で形成することができる。第1及び第2の障壁金属層104,108は主にTiNで形成される。また、金属膜106は比抵抗が低い(2.5〜3.2uΩ-cm;常温基準)アルミニウム(alminium;Al)を用いて形成することができる。エッチング停止膜112としては、SiONまたは窒化膜(nitride)で形成することができ、望ましくはSiONで形成する。
【0010】
つぎに、図1(B)に示すように、エッチング停止膜112が全て覆われるように、第1の絶縁膜102の上部に第2の絶縁膜114を形成する。第1及び第2の絶縁膜102,114は酸化膜でもって形成することができる。その際、図示はしないがビットライン用の金属膜106が多数の素子と連結される。
【0011】
次に、図1(C)に示すように、第2の絶縁膜114の上部に反射防止膜116及びマスク膜パターン118が形成される。反射防止膜116としては有機反射防止膜(organicBARC)でもって形成することができる。
【0012】
続いて、図1(D)に示すように、マスク膜パターンに沿って反射防止膜及び第2の絶縁膜114の一部を除去するために、第1のエッチング工程を実施する。この第1のエッチング工程はビアホール120(via hole)を形成するための工程であり、第2の絶縁膜114の一部を除去してホール(hole)を形成するが、エッチング停止膜112までエッチング工程を実施する。第1のエッチング工程は、CxHyFz系列のガスを主に用いる。具体的には、CxHyFz系列の混合ガスをメイン(main)ガスとして用い、補助ガスとしてO2、Ar及びCoを混合してエッチング工程を実施することもある。上記において、エッチング停止膜112よりも深くエッチングされ、第2の障壁金属層108が示されても関係がない。第1のエッチング工程を実施した後、マスク膜パターン及び反射防止膜を除去する。
【0013】
また、図1(E)に示すように、金属配線110の金属膜106が出現するように第2のエッチング工程が実行される。この第2のエッチング工程は、第2の絶縁膜114)をマスクとし、ビアホール120を通じて露出されたエッチング停止膜パターン112aと第2の障壁金属層パターン108aを除去することによって、アルミニウムによる金属膜106を露見させるための工程である。第2のエッチング工程は、Cl2及びCHF3を混合したガスを用いる。Cl2及びCHF3は10〜20:1の比率で混合して用いる。Cl2及びCHF3の混合ガスがアルミニウム金属膜106を損傷させない原理は、以下ように説明できる。
【0014】
すなわち、Cl2ガスでアルミニウムをエッチングすれば、クロリド(chloride)系列であるAlCl3という反応物質が発生される。AlCl3は融点(melting point)が170〜190℃で、容易に除去される反応物であり、アルミニウムのエッチングを妨害することなく継続して進行することができるようにする。一方、フローリン(fluorine;F)を含有したCxHyFz系列のガスを混合してエッチング工程を進行すれば、AlCl3の反応物以外にもフローリン系列のAlF3という反応物が発生される。AlF3は、融点が1250〜1290℃と非常に高いため、非揮発性(non-volatile)の特性を有する。反応物質としてAlF3が発生してアルミニウム金属膜106の表面を覆うようになるため、アルミニウム金属膜106の損傷を防止することができる。これにより、エッチング損傷を防止するために追加の膜を形成せずにもエッチングガスを変化させることにより、金属膜106のエッチング損傷を防止することができる。
【0015】
また、第1のエッチング工程と第2のエッチング工程は、イン-サイチュウ(in-situ)またはエックス-サイチュウ(ex-situ)で実施することができる。これにより、ビアホール120を形成するためのエッチング工程時にアルミニウム金属膜106のエッチング損失を抑制することができる。
【0016】
以上、本発明の半導体メモリ素子の製造方法についてその実施形態が説明されたが、かかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で他の実施形態、応用例、変形例およびそれらの組み合わせも可能である。すなわち、本発明の技術的思想は望ましい実施形態として具体的に記述されたが、あくまでその実施形態を本発明への理解を深めるべく説明のためのものである。また、本発明は、本発明の技術分野の通常の専門家であれば、本発明の技術的思想の範囲内で多様な実施形態が可能であることを理解することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明による半導体メモリ素子の製造方法の好適な実施形態においてその工程を示す断面図。
【図1B】同実施形態の工程を示す断面図。
【図1C】同実施形態の工程を示す断面図。
【図1D】同実施形態の工程を示す断面図。
【図1E】同実施形態の工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0018】
100 :半導体基板
102 :第1の絶縁膜
104 :第1の障壁金属層
106 :金属膜
108 :第2の障壁金属層
110 :金属配線
112 :エッチング停止膜
114 :第2の絶縁膜
116 :反射防止膜
118 :マスク膜パターン
120 :ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に金属配線層及びエッチング停止膜を形成する工程と、
前記エッチング停止膜及び前記金属配線層をパターニングして金属配線を形成する工程と、
前記エッチング停止膜を含む前記第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記エッチング停止膜が露出されるように第1のエッチングガスによって前記第2の絶縁膜の一部をエッチングする工程と、そして、
前記金属配線が露出されるように第2のエッチングガスによって前記エッチング停止膜を除去する工程と、
含むことを特徴とする半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項2】
前記金属配線は、第1の障壁金属層、金属膜及び第2の障壁金属層で形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の障壁金属層は、TiNで形成することを特徴とする請求項2に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項4】
前記金属膜は、アルミニウムによって形成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項5】
前記エッチング停止膜は、SiONまたは窒化膜で形成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項6】
前記第1のエッチング工程は、CxHyFz系列のガスを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項7】
前記CxHyFz系列のガスを主に用い、それを補助する補助ガスとしてO2、Ar及びCoを混合してエッチング工程を実施することを特徴とする請求項6に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2のエッチング工程は、Cl2及びCHF3を混合したガスを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項9】
前記Cl2及びCHF3は、10〜20:1の比率でもって混合することを特徴とする請求項8に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2のエッチング工程は、イン-サイチュウまたはエックス-サイチュウで実施することを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項11】
前記第2の絶縁膜のエッチング領域は、前記金属配線の上部のビアホールが形成される領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図1D】
image rotate


【公開番号】特開2008−141155(P2008−141155A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133615(P2007−133615)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】