説明

半導体発光装置および画像表示装置

【課題】高輝度な半導体発光装置および画像表示装置を提供する。
【解決手段】複数の半導体薄膜発光素子が、実装基板101上に反射メタル層103を介して集積された第1半導体薄膜発光素子102と、第1半導体薄膜発光素子から放射される第1発光波長の光に対し透明な材料から構成され、かつ、第1半導体薄膜発光素子の素子構造を平坦とし、さらに電気的に絶縁性を有する第1透明絶縁平坦化膜113を介して第1半導体薄膜発光素子上に集積された第2半導体薄膜発光素子114とを備え、第2半導体薄膜発光素子は、内部の第1半導体薄膜発光素子側に、第1発光波長の光を透過し、かつ第2半導体薄膜発光素子から発光される第2発光波長の光のみを反射する半導体多層膜からなる第1半導体多層膜反射層116が形成され、第1半導体多層膜反射層を含む第2半導体薄膜発光素子は、第1発光波長の光に対し透明な材料から構成されている.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤色(Red)、緑色(Green)および青色(Blue)など異なる波長で発光する半導体発光素子を集積することにより1つの画素を形成し、この画素を二次元アレイ状に配列することにより画像表示装置を作製する場合、特許文献1に開示されているように、表示面に対して垂直方向に半導体発光素子を複数積層実装する構造が提案されている。この特許文献1に開示されている構造により、二次元平面における1画素サイズをシュリンクすることができ、高精細な表示装置を作製することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−273898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている実装方法は、各々の半導体発光素子を積層実装する際、既に表示基板上に実装されている第1の半導体発光素子上に、透光性を有する絶縁膜を介して貼り付け用電極を設け、この貼り付け用電極と第1半導体発光素子上に集積する第2の半導体発光素子の裏面に設けた被固着電極とを接着することにより実装されている。
【0005】
したがって、各々の積層実装する半導体発光素子間には、第1の半導体発光素子上に設けられた透光性を有する絶縁膜および貼り付け用電極と、第2の半導体発光素子の裏面に設けた被固着電極とを合わせた膜厚分の空気層が形成されている。
【0006】
このため、第2半導体発光素子において、裏面方向に放射される光は空気層へと放射され、空気層へ放射された光は、第1半導体発光素子表面により乱反射されるか、あるいは第1半導体素子および実装基板に吸収されてしまい、表示素子表面へ効果的に反射することができなかった。その結果、発光面に対して垂直方向に集積された複数の発光素子を画素として有する表示装置においては、高輝度表示が非常に困難であった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、積層された複数の半導体薄膜発光素子から放射される光を効果的に最上層の半導体薄膜発光素子表面から取り出すことができ、高輝度な半導体発光装置および画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の半導体発光装置は、複数の半導体薄膜発光素子が、前記半導体薄膜発光素子の発光面に対して垂直な方向に集積される半導体発光装置において、前記複数の半導体薄膜発光素子は、実装基板上に反射メタル層を介して集積された第1半導体薄膜発光素子と、前記第1半導体薄膜発光素子から放射される第1発光波長の光に対し透明な材料から構成され、かつ、前記第1半導体薄膜発光素子の素子構造を平坦とし、さらに電気的に絶縁性を有する第1透明絶縁平坦化膜を介して前記第1半導体薄膜発光素子上に集積された第2半導体薄膜発光素子とを備え、前記第2半導体薄膜発光素子は、内部の前記第1半導体薄膜発光素子側に、前記第1発光波長の光を透過し、かつ前記第2半導体薄膜発光素子から発光される第2発光波長の光のみを反射する半導体多層膜からなる第1半導体多層膜反射層が形成され、前記第1半導体多層膜反射層を含む前記第2半導体薄膜発光素子は、前記第1発光波長の光に対し透明な材料から構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記目的を達成するために、本発明の画像表示装置は、前記半導体発光装置がマトリクス状に前記実装基板上に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積層された複数の半導体薄膜発光素子から放射される光を効果的に最上層の半導体薄膜発光素子表面から取り出すことができ、高輝度な半導体発光装置および画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の半導体発光装置の構成を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施形態の半導体発光装置の構成を説明するための平面図である。
【図3】第1の実施形態の画像表示装置を説明するための平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の半導体発光装置の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
本発明の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、各図で同じ構成要素には同一の符号を付している。以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図3を参照して説明する。
まず、図1および図2を参照して、第1の実施形態の半導体発光装置150の構成及び動作を説明する。図1は半導体発光素子150の断面図であり、図2におけるX−X線による断面を示す断面図である。また、図2は半導体発光装置150の平面図である。そして、図3は、第1の実施形態の画像表示装置1000の平面図である。なお、これらの図は本実施形態の特徴を模式的に示しており、各図における各部位の寸法関係等を限定するものではない。
【0014】
(構成)
図1乃至図3を参照して、本実施形態の半導体発光装置150および画像表示装置1000の構成を説明する。
半導体発光装置150は、図1に示すように、複数の半導体薄膜発光素子をそれぞれの半導体薄膜発光素子の発光面に対し、垂直方向に三次元集積した半導体発光装置である。そして、画像表示装置1000は、図3に示すように、半導体発光装置150を二次元マトリクス状に配置した画像表示装置である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の半導体発光装置150は、3種類の異なる発光波長の光を放射する半導体薄膜発光素子を、各半導体発光素子の発光面に対して垂直方向に三次元集積した構成であって、各半導体薄膜発光素子は、実装基板101に最も近い半導体薄膜発光素子を第1半導体薄膜発光素子102とし、その上に集積する半導体薄膜発光素子を第2半導体薄膜発光素子114とし、更にその上に集積する半導体薄膜発光素子を第3半導体薄膜発光素子115とする。
【0016】
各半導体薄膜発光素子102、114、115の層構造はそれぞれ以下の通りである。まず、半導体薄膜発光素子102、114、115は少なくとも、下層からN型コンタクト層104a、104b、104c、N型クラッド層105a、105b、105c、発光層としての活性層106a、106b、106c、P型クラッド層107a、107b、107c、および、P型コンタクト層108a、108b、108cを備えて構成される。
これらの半導体層は、例えば、AlaGabIn1-a-bAsxyzSb1-x-y-z、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1からなる構成とすることができる。
【0017】
そして、各半導体層は、公知の有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、または、分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法などを用いて、GaAs基板、サファイア基板、InP基板、石英基板、あるいはSi基板上にエピタキシャル成長することができる。
【0018】
また、第2半導体薄膜発光素子114においては、第2半導体発光素子114の発光層としての活性層106bから発光される光のみを反射し、あるいは、第2半導体薄膜発光素子114および第3半導体薄膜発光素子115から発光される光のみを反射することが可能で、かつ、第1半導体薄膜発光素子102から発光される光を透過することが可能な第1半導体多層膜反射層116を、第2半導体薄膜発光素子114のNクラッド層105bの直下に備える構造を有している。
【0019】
そして、第3半導体薄膜発光素子115においては、第3半導体薄膜発光素子115の発光層としての活性層106cから発光される光のみを反射することが可能で、かつ、第1半導体薄膜発光素子102および第2半導体薄膜発光素子114から発光される光を透過することが可能な第2半導体多層膜反射層117を、第3半導体薄膜発光素子115のNクラッド層105cの直下に備える構造を有している。
【0020】
そして、これら第1半導体多層膜反射層116および第2半導体多層膜反射層117は、例えば、AlaGabIn1-a-bAsxyzSb1-x-y-z、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1からなる構成とすることができ、これらの半導体多層膜反射層も、前記した第1半導体薄膜発光素子114および第2半導体薄膜発光素子115の構成の一部として、公知の有機金属化学気相成長(MOCVD)法、または、分子線エピタキシ(MBE)法などを用いて形成することができる。
【0021】
そして、特定の波長のみを反射する第1半導体多層膜反射層116および第2半導体多層膜反射層117は、例えば、AlaGabIn1-a-bAsxyzSb1-x-y-z、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1からなる屈折率の異なる2種類の材料を用い、反射させる特定の波長λをそれぞれの材料中に伝搬させた際の波長λT(反射させたい特定の波長を材料の屈折率で除した値)に対して、1/4λT(2m+1)(m:整数)の膜厚となるように構成されている。そして、第1半導体多層膜反射層116および第2半導体多層膜反射層117は、これら屈折率の異なる半導体薄膜の対が少なくとも5以上の周期に備えて構成されている。
【0022】
そして、第2半導体薄膜発光素子114および第3半導体薄膜発光素子115におけるN型コンタクト層104b、104c、N型クラッド105b、105c、活性層106b、106c、P型クラッド層107b、107c、P型コンタクト層108b、108c、第1半導体多層膜反射層116および第2半導体多層膜反射層117の各層構造は、各々半導体薄膜発光素子の下層に集積される半導体薄膜発光素子から発光される光に対して透明な材料により構成されている。
【0023】
ここで、本実施形態の各々の半導体薄膜発光素子102、114、115の半導体組成および発光波長、そして、第1半導体多層膜反射膜116および第2半導体多層膜反射膜117についての具体例を説明する。
【0024】
第1半導体薄膜発光素子102では、P型コンタクト層108aをGaAsあるいはGaPから成る層とし、P型クラッド層107aあるいはN型クラッド層105aをAl0.5In0.5Pから成る層とし、 活性層106aを(Aly1Ga1-y10.5In0.5P、0≦y1≦0.5から成る井戸層と井戸層におけるAl組成比よりもAl組成比が大きな(Alz1Ga1-z10.5In0.5P、0<z1≦1、y1<z1から成る障壁層との組み合わせからなる量子井戸層を単層あるいは複数層構成することから成る層とし、N型コンタクト層104aをGaAsから成る層とすることができる。
【0025】
そして、半導体薄膜発光素子102における発光波長は、活性層106aを構成する井戸層のAl組成を制御することにより任意の波長λ1を得ることができ、例えば650nm≧λ1>550nmの波長帯(赤色帯)をカバーすることができる。
【0026】
また、第2半導体薄膜発光素子114および第3半導体薄膜発光素子115においては、P型コンタクト層108b、108cあるいはN型コンタクト層104b、104cをGaNから成る層とし、P型クラッド層107b、107cあるいはN型クラッド層を105b、105cをAlx2Ga1-x2N、0≦x2≦1から成る層とし、活性層106b、106cをIny2Ga1-y2N、 0<y2≦1からなる井戸層と井戸層におけるIn組成比よりもIn組成比の小さなInz2Ga1-z2N、0≦z2<1、z2<y2から成る障壁層との組み合わせからなる量子井戸層を単層あるいは複数層構成することから成る層とすることができる。
【0027】
そして、第2半導体薄膜発光素子114および第3半導体薄膜発光素子115における発光波長は、活性層106b、106cを構成する井戸層のIn組成を制御することにより任意の波長λ2および波長λ3を得ることができ、例えば550nm≧λ2>480nm(緑色帯)、480nm≧λ3≧450nm(青色帯)とすることができる。
【0028】
そして、半導体薄膜発光素子102、114、115の半導体組成を具体化したことにより、半導体多層膜反射層の具体的な組成を示す。前記第1半導体多層膜反射膜116および第2半導体多層膜反射膜117は、例えば(Alr1Ga1-r1r2In1-r2N、0≦r1≦1、0≦r2≦1からなる多層膜により構成することができる。
【0029】
そして、半導体薄膜発光素子102、114、および115の半導体薄膜形成方法は、エピタキシャル成長層と成長基板との間に選択的にケミカルエッチング可能な層(ここでは犠牲層と称する)を予め設けておき、この犠牲層を選択的にケミカルエッチングすることにより剥離可能なケミカルリフトオフ法や、エピタキシャル成長層と成長基板との光吸収係数の差を利用することによりエピタキシャル成長層と成長基板との界面をレーザ光により焼き切ることによりエピタキシャル成長層のみを剥離するレーザリフトオフ法を用いることができる。あるいは、成長基板のみをバックグラインドすることにより、エピタキシャル成長層のみを薄膜化することもできる。
なお、本実施形態では、各半導体薄膜発光素子102、114、115は、三次元集積する観点から、それぞれの総厚を5μm以下の厚みに薄膜化することが望ましい。
【0030】
各々の半導体薄膜発光素子を積層して構成される本実装形態の半導体発光装置150の構成は以下の通りである。まず、第1半導体薄膜発光素子102は、実装基板101上に薄膜形成された反射メタル層103を介してその上層に分子間力、共晶接合、あるいは、第1半導体薄膜発光素子102から発光される光に対して透明な材料からなる接着剤を介して集積されている。なお、この接着剤は、ポリイミド樹脂、ノボラック系樹脂、SOG、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等とすることができる。
【0031】
この反射メタル層103は、例えば、Au、Ti、Al、Agなどの金属材料により構成することができ、公知のスパッタ法、蒸着法などにより形成することができる。
そして、第1半導体薄膜発光素子102の発光領域は、P型コンタクト層108aからN型コンタクト層104aが露出するまでウェットエッチング、あるいは、ドライエッチングして形成されるメサ部により構成される。
【0032】
そして、露出されたN型コンタクト層104a表面に、公知のスパッタ法、蒸着法等を用いることにより、例えば、AuGeNi/Au、あるいは、Ti/Alなどから成るN電極111aを形成する。
【0033】
そして、層間絶縁膜109aを形成することで、メサ部のエッチング端面、N型コンタクト層104aの露出された表面およびこれらのエッチング端面を被覆する。そして、層間絶縁膜109aに、N電極接続配線112aおよびP電極接続配線110aがN電極111aあるいはPコンタクト層108aに接続可能なように、開口部を形成する。この層間絶縁膜109aは、例えば、SiN、SiO2等により構成することができ、公知のCVDあるいはスパッタ法により形成することができる。
【0034】
第1半導体薄膜発光素子102と第2半導体薄膜発光素子114との間、および、第2半導体薄膜発光素子114と第3半導体薄膜発光素子115との間には、第1半導体薄膜発光素子102および第2半導体薄膜発光素子114の発光波長に対して透明であり、第1半導体薄膜発光素子102および第2半導体薄膜発光素子114の構造を平坦にする働きを担い、さらに、電気的に絶縁性を有する第1透明絶縁平坦化膜113と、第2透明絶縁平坦化膜118とが形成されている。
【0035】
この第1透明絶縁平坦化膜113および第2透明絶縁平坦化膜118は、例えば、ポリイミド樹脂、ノボラック系樹脂、SOG、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができ、スピンコーティングやスプレーコーティング等の方法により形成することができる。
【0036】
そして、第1透明絶縁平坦化膜113および第2透明絶縁平坦化膜118を形成する際には、各々の透明絶縁平坦化膜上に半導体薄膜発光素子を集積する際に十分な接合力を得るために、第1透明絶縁平坦化膜113および第2透明絶縁平坦化膜118の表面ラフネスを5nm以下にすることが望ましい。
【0037】
そして、第1透明絶縁平坦化膜113上に集積される第2半導体薄膜発光素子114および第2透明絶縁平坦化膜118上に積層される第3半導体薄膜発光素子115は、分子間力、あるいは各々の半導体薄膜発光素子102、114、115から発光される光に対して透明な材料からなる接着剤を介して集積化することができる。なお、この接着剤は、ポリイミド樹脂、ノボラック系樹脂、SOG、フッ素樹脂、または、エポキシ樹脂とすることができる。
【0038】
さらに、電気的な接続配線について説明する。各々の半導体薄膜発光素子102、114、115におけるP型コンタクト層108a、108b、108cおよびN電極111a、111b、111cと、各々の半導体薄膜発光素子102、114、15用に形成されるアノード共通配線119およびカソード共通配線120とは、図2に示すように、P電極接続配線110(110a、110b、110c)およびN電極接続配線112(112a、112b、112c)を介してそれぞれ接続されている。そして、各々の半導体薄膜発光素子102、114、115からの光は、P電極接続配線110の周囲の矩形状領域の最上層の第3半導体薄膜発光素子115の表面から放射される。
【0039】
そして、各々の半導体薄膜発光素子102、114、115用に形成されているアノード共通配線119およびカソード共通配線120は、共通配線層間絶縁膜121を介してマトリクス状に形成されており、各々の半導体薄膜発光素子102、114、115用に形成されたマトリクス状の配線は、それぞれ電気的に独立に形成されている。そして、アノード共通配線119およびカソード共通配線120は、実装基板101の外周部まで延伸形成されている。
【0040】
そして、本実施形態の画像表示装置1000は、図3に示すように、複数の半導体発光装置150がマトリクス状に配設された画像表示装置である。画像表示装置1000では、図2を参照して説明した半導体発光装置150のアノード共通配線119が、実装基板101の外周領域において、第1半導体薄膜発光素子アノード共通配線接続パッド131、第2半導体薄膜発光素子アノード共通配線接続パッド132、第3半導体薄膜発光素子アノード共通配線接続パッド133に分岐形成されている。したがって、画像表示装置1000は、外部駆動素子あるいは外部装置と接続することが可能となっている。
【0041】
また、図2を参照して説明した半導体発光装置150の各々のカソード共通配線120は、実装基板101の外周領域で結線され、カソード共通配線接続パッド134を備えることにより、外部駆動素子あるいは装置と接続することが可能となっている。
【0042】
このように、複数の半導体発光装置150をマトリクス状に配設した構成とした本実施形態の画像表示装置1000が構成される。
【0043】
(動作)
つぎに、本実施形態の半導体発光装置150および画像形成装置1000の動作について説明する。
【0044】
図1に示すように、半導体発光装置150の動作において、第1半導体薄膜発光素子102の活性層106aから実装基板101方向に放射される光は、第1半導体薄膜発光素子102の下層に設けた反射メタル層103により反射され、第1半導体薄膜発光素子102表面に向けて放射される。一方、第1半導体薄膜発光素子102の活性層106aから実装基板101方向と反対側に照射される光は、反射することなく第1半導体薄膜発光素子102の表面に向けて放射される。
【0045】
このとき、第1半導体薄膜発光素子102上に積層されている第1半導体多層膜反射層116および第2半導体多層膜反射層117を含む第2半導体薄膜発光素子114および第3半導体薄膜発光素子115を構成する各層、さらには、第1透明絶縁平坦化膜113および第2透明絶縁平坦化膜118を構成する材料は、第1半導体薄膜発光素子102から放射される光に対して透明な材料で構成されているため、第1半導体薄膜発光素子102の上層で吸収されることなく、最上層の第3半導体薄膜発光素子155の表面から効果的に取り出すことができる。
【0046】
また、第2半導体薄膜発光素子114の活性層106bから実装基板101方向に放射される光は、第1半導体多層膜反射層116によって反射され、第2半導体薄膜発光素子114の表面に向けて放射される。一方、第2半導体薄膜発光素子114の活性層106bから実装基板101方向と反対側に照射される光は、反射することなく第2半導体薄膜発光素子144の表面に向けて放射される。
【0047】
そして、第2半導体薄膜発光素子114上に積層されている第2透明絶縁平坦化膜118および第2半導体多層膜反射層117を含む第3半導体薄膜発光素子115を構成する各層は、第2半導体薄膜発光素子114から放射される光に対して透明な材料で構成されている。したがって、第2半導体薄膜発光素子114から放射される光は、吸収されることなく、最上層の第3半導体薄膜発光素子115の表面から効果的に取り出すことができる。
【0048】
また、第1半導体多層膜反射層116は、第2半導体薄膜発光素子114の発光波長の光の他に、第3半導体薄膜発光素子115の発光波長の光も反射するような構造にすることにより、第2半導体多層膜反射層117で反射されなかった光も効果的に反射させることができる。
【0049】
さらに、第3半導体薄膜発光素子115の活性層106cから裏面方向に放射される光は、第2半導体多層膜反射層117によって反射され、第3半導体薄膜発光素子115の表面方向へ放射される。一方、第3半導体薄膜発光素子115の活性層106cから表面方向に放射される光は、第3半導体薄膜発光素子115よりも上層で吸収されることなく第3半導体薄膜発光素子115の表面側に放射される。したがって、第3半導体薄膜発光素子115の活性層106cから放射される光を効果的に取り出すことができる。
【0050】
したがって、本実施形態によれば、積層された複数の半導体薄膜発光素子から放射される光を効果的に最上層の半導体薄膜発光素子表面から取り出すことができるため、高輝度な半導体発光装置150および画像表示装置1000の作製が可能となる。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図4を参照して説明する。
【0052】
(構成)
本実施形態は、第1の実施形態の半導体発光装置150を半導体発光装置200とした形態である。
【0053】
半導体発光装置200の構成は、図4に示すように、第1の実施形態とは異なり、第2半導体薄膜発光素子214におけるNクラッド層105bの直下に、第2半導体薄膜発光素子214から実装基板101方向に放射される光と第3半導体薄膜発光素子215から実装基板101方向に放射される光とを反射することが可能であり、かつ、第1半導体薄膜発光素子102から放射される光を透過することが可能な、半導体多層膜からなる広域半導体多層膜反射層207を設けている。
【0054】
そして、さらに第1の実施形態とは異なる点は、第3半導体薄膜発光素子215には半導体多層膜反射層を設けていない構成となっていることである。
【0055】
(動作)
このような構成とすることで、第2半導体薄膜発光素子214から実装基板101方向に放射される光と第3半導体薄膜発光素子215から実装基板101方向に放射される光とを第2半導体薄膜発光素子214内に設けた広域半導体多層膜反射層207により反射させることが可能となる。
【0056】
したがって、第1の実施形態における第3半導体薄膜発光素子115内から第2半導体多層膜反射層117を省略した形態の第3半導体薄膜発光素子215とすることができる。
【0057】
さらに、第2半導体薄膜発光素子214から放射される光の波長と第3半導体薄膜発光素子215から放射される光の波長とが近い場合、第2半導体薄膜発光素子214から表面方向に放射される光が、第3半導体薄膜発光素子215内で反射されることなく、効果的に半導体発光装置200の表面に光を取り出すことができる。
【0058】
本実施形態によれば、積層された複数の半導体薄膜発光素子から放射される光を効果的に最上層の半導体薄膜発光素子表面から取り出すことができるため、高輝度な半導体発光装置200および画像表示装置1000の作製が可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、積層された複数の半導体薄膜発光素子から放射される光を効果的に最上層の半導体薄膜発光素子表面から取り出すことができ、高輝度な半導体発光装置および画像表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
101 実装基板
102 第1半導体薄膜発光素子
103 反射メタル層
104a、104b、104c N型コンタクト層
105a、105b、105c N型クラッド層
106a、106b、106c 活性層
107a、107b、107c P型クラッド層
108a、108b、108c P型コンタクト層
109a、109b、109c 層間絶縁膜
110、110a、110b、110c P電極接続配線
111a、111b、111c N電極
112、112a、112b、112c N電極接続配線
113 第1透明絶縁平坦化膜
114、214 第2半導体薄膜発光素子
115、215 第3半導体薄膜発光素子
116 第1半導体多層膜反射層
117 第2半導体多層膜反射層
118 第2透明絶縁平坦化膜
119 アノード共通配線
120 カソード共通配線
121 共通配線層間絶縁膜
131 第1半導体薄膜発光素子アノード共通配線接続パッド
132 第2半導体薄膜発光素子アノード共通配線接続パッド
133 第3半導体薄膜発光素子アノード共通配線接続パッド
134 カソード共通配線接続パッド
150、200 半導体発光装置
207 広域半導体多層膜反射層
1000 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体薄膜発光素子が、前記半導体薄膜発光素子の発光面に対して垂直な方向に集積される半導体発光装置において、
前記複数の半導体薄膜発光素子は、
実装基板上に反射メタル層を介して集積された第1半導体薄膜発光素子と、
前記第1半導体薄膜発光素子から放射される第1発光波長の光に対し透明な材料から構成され、かつ、前記第1半導体薄膜発光素子の素子構造を平坦とし、さらに電気的に絶縁性を有する第1透明絶縁平坦化膜を介して前記第1半導体薄膜発光素子上に集積された第2半導体薄膜発光素子とを備え、
前記第2半導体薄膜発光素子は、内部の前記第1半導体薄膜発光素子側に、前記第1発光波長の光を透過し、かつ前記第2半導体薄膜発光素子から発光される第2発光波長の光のみを反射する半導体多層膜からなる第1半導体多層膜反射層が形成され、
前記第1半導体多層膜反射層を含む前記第2半導体薄膜発光素子は、前記第1発光波長の光に対し透明な材料から構成されている
ことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記第1発光波長および前記第2波長の光に対し透明な材料から構成され、かつ、前記第2半導体薄膜発光素子の素子構造を平坦とし、さらに電気的に絶縁性を有する第2透明絶縁平坦化膜を介して前記第2半導体薄膜発光素子上に集積された第3半導体薄膜発光素子とを備え、
前記第3半導体薄膜発光素子は、内部の前記第2半導体薄膜発光素子側に、前記第1発光波長および前記第2波長の光を透過し、かつ前記第3半導体薄膜発光素子から発光される第3発光波長の光のみを反射する半導体多層膜からなる第2半導体多層膜反射層が形成され、
前記第2半導体多層膜反射層を含む前記第3半導体薄膜発光素子は、前記第1発光波長および前記第2発光波長の光に対し透明な材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記実装基板側から入射する光に対し透明な材料から構成され、かつ、前記実装基板側に隣接する隣接半導体薄膜発光素子の素子構造を平坦とし、さらに電気的に絶縁性を有する透明絶縁平坦化膜を介して前記隣接半導体薄膜発光素子上に集積された他の半導体薄膜発光素子とを備え、
前記他の半導体薄膜発光素子は、内部の前記隣接半導体薄膜発光素子側に、前記入射する光を透過し、かつ前記他の半導体薄膜発光素子から発光される波長の光のみを反射する半導体多層膜からなる他の半導体多層膜反射層が形成され、
前記他の半導体多層膜反射層を含む前記他の半導体薄膜発光素子は、前記入射する光に対し透明な材料から構成されており、
前記他の半導体薄膜発光素子が多層構造になって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記半導体薄膜発光素子は、半導体薄膜からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記第1半導体薄膜発光素子は、前記実装基板側の表面にコンタクト層が形成され、
前記第1半導体薄膜発光素子を前記反射メタル層の表面に集積する際、分子間力接合、共晶接合、あるいは、前記第1発光波長の光に対して透明な材料から成る接着剤を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記第2半導体薄膜発光素子は、第1半導体多層膜反射層の前記実装基板側の表面にコンタクト層が形成され、
前記コンタクト層と前記第1透明絶縁平坦化膜とは、分子間力接合され、または、接合界面よりも下層に集積される半導体薄膜発光素子から発光される光に対して透明な材料から成る接着剤を用いて接合されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
他の半導体薄膜発光素子は、前記他の半導体多層膜反射層の前記実装基板側の表面にコンタクト層が形成され、
前記コンタクト層と前記透明絶縁平坦化膜とは、分子間力接合され、または、接合界面よりも下層に集積される半導体薄膜発光素子から発光される光に対して透明な材料から成る接着剤を用いて接合されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記第1半導体多層膜反射層は、前記第2発光波長の光および前記他の半導体薄膜発光素子が集積されて形成された複数の半導体薄膜発光素子から発光される発光波長の光を反射し、かつ、前記第1発光波長の光を透過する
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の半導体発光装置がマトリクス状に前記実装基板上に配設されていることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159671(P2011−159671A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17985(P2010−17985)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】