説明

半導体装置、半導体装置の製造方法および実装基板

【課題】本発明の主な目的は、貫通電極の位置が精度良く規制された半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本形態の半導体装置10Aは、半導体基板11の上面に活性領域20が形成され、この活性領域20は、絶縁物が埋め込まれたトレンチ24により囲まれている。また、半導体基板11を貫通して設けた貫通孔15は、その側面がトレンチ24に接触するように形成されている。貫通孔15の内部には、銅等の導電材料から成る貫通電極16が形成される。半導体基板11の下面に形成された裏面電極19は、この貫通電極16を介して活性領域20と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通電極を具備する半導体装置、半導体装置の製造方法および実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CSP(Chip Scale Package)の一種として、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置が知られている。このBGA型の半導体装置は、半田等の金属部材からなるボール状の導電端子をインターポーザー(実装基板)の主面上に格子状に複数配列し、パッケージの他の面上に搭載される半導体チップと電気的に接続したものである。
【0003】
そして、このBGA型の半導体装置を電子機器に組み込む際には、各導電端子をプリント基板上の配線パターンに接続することで、半導体チップとプリント基板上に搭載される外部回路とを電気的に接続している。
【0004】
このようなBGA型の半導体装置は、側部に突出したリードピンを有するSOP(Small Outline Package)やQFP(Quad Flat Package)等の他の半導体装置に比べて、多数の導電端子を設けることが出来、しかも小型化できるという長所を有する。
【0005】
しかしながら、上述したBGA型の半導体装置では、インターポーザーを用いるので、更なる小型化が困難である問題等があった。このような問題点を克服するために、半導体基板を貫通する貫通電極を有する半導体装置が開発された(特許文献1)。貫通電極を採用することにより、通常は使用しない半導体基板の裏面を、裏面電極として用いて信号のやりとりを行うことができる。
【0006】
図9を参照して、貫通電極を具備する従来の半導体装置の製造方法を説明する。図9(A)から図9(D)は、従来の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0007】
図9(A)を参照して、先ず、半導体基板100の主面(ここでは下面)には、拡散工程により所定の電気回路が構成されている。また半導体基板100の下面は、シリコン酸化膜等から成る絶縁層101が形成され、絶縁層101の表面には、電気回路と接続されたパッド電極102が形成されている。半導体基板100は、接着材103を介して支持板104に固着されている。
【0008】
半導体基板100の他主面(ここでは上面)を、レジスト105を介してドライエッチングすることにより、半導体基板100を貫通する貫通孔106が形成される。シリコン酸化膜等から成る絶縁層101は、シリコンのエッチングガスでは、エッチングされにくい選択性のあるエッチャントを採用している。従って、半導体基板100の下面までドライエッチングを行うと、絶縁層101の上面にて縦方向へのエッチングが遅くなり、エッチングは横方向に進行する。結果的に、部分的に貫通孔106の幅が広くなる凹部107が形成される。
【0009】
図9(B)を参照して、次に、更にドライエッチングを行うことで、絶縁層101をエッチングして、貫通孔106の底面にパッド電極102を露出させる。
【0010】
図9(C)を参照して、次に、シリコン酸化膜から成る絶縁膜108を、貫通孔106の内壁および半導体基板100の上面に形成する。その後に、貫通孔106の底面を被覆する絶縁膜108を取り除き、パッド電極102の上面を、貫通孔106の内部に露出させる。
【0011】
図9(D)を参照して、次に、貫通孔106の内壁および半導体基板100の上面を、金属膜により被覆する。このことにより、貫通孔106の内壁には、貫通電極110が形成され、半導体基板100の上面には、裏面電極109が形成される。
【0012】
上記工程により、半導体基板100を貫通する貫通電極110を具備する半導体装置が形成される。
【特許文献1】特開2005−235858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した半導体装置およびその製造方法では、貫通電極110が形成される貫通孔106の平面的な大きさが大きくなり、半導体装置の小型化が阻害される問題があった。具体的には、上述工程により製造される貫通孔106は、オーバーエッチングにより凹部107が形成されるので、部分的に幅が広くなってしまう。従って、貫通電極を具備する半導体装置を設計する際には、凹部107が形成されることで貫通孔106が大型化することも考慮する必要があった。このことが半導体装置の小型化を阻害していた。
【0014】
また、前述したインターポーザは、プリント基板、セラミック基板、フレキシブルシート等の材料で構成されているが、実装されるSiチップとの熱膨張係数の違いを無くすために、Siから成るインターポーザが考えられている。このSiインターポーザも貫通電極を採用することで、従来の多層基板を実現できる。しかしながら前述したように、凹部107が必然的に形成されるため、インターポーザの小型化が阻害されている。
【0015】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされ、本発明の主な目的は、貫通電極の位置が精度良く規制された半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の半導体装置は、半導体基板の主面に形成された活性領域と、前記活性領域を包囲するように前記半導体基板の主面に形成されたトレンチと、前記半導体基板を貫通して設けた貫通孔と、前記貫通孔の内部に形成されて前記活性領域と電気的に接続された貫通電極とを具備し、前記貫通孔の側面の少なくとも一部は、前記トレンチに接触することを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の半導体装置は、半導体基板の主面に形成された活性領域と、前記活性領域を素子分離する分離領域と、前記半導体基板を貫通して設けた貫通孔と、前記貫通孔の内部に形成されて前記活性領域と電気的に接続された貫通電極とを具備し、前記分離領域よりも外側に位置する前記半導体基板の主面の一領域を囲むようにトレンチを設け、前記貫通孔は、前記トレンチにより囲まれる前記一領域の内部に形成されることを特徴とする。
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法は、前記半導体基板の主面にトレンチを設けて、前記トレンチに絶縁物を埋設する工程と、前記トレンチにより絶縁分離された半導体基板の前記主面に活性領域を形成する工程と、前記半導体基板を貫通する貫通孔を設ける工程と、前記活性領域と電気的に接続された貫通電極を、前記貫通孔の内部に形成する工程とを具備し、前記貫通孔を設ける工程では、前記貫通孔の側面の少なくとも一部が、前記トレンチに埋設された前記絶縁物に接触することを特徴とする。
【0019】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の主面に、分離領域により素子分離された活性領域を形成する工程と、前記半導体基板を貫通する貫通孔を形成し、前記活性領域と接続された貫通電極を前記貫通孔の内部に形成する工程とを具備し、前記分離領域よりも外側に位置する前記半導体基板の主面の一領域を囲むようにトレンチを設け、前記貫通孔を前記一領域の内部に形成することを特徴とする。
【0020】
本発明の実装基板は、半導体材料より成る実装基板であり、前記実装基板の表面と裏面には、電気的に接続される表面電極と裏面電極が設けられ、前記表面電極と前記裏面電極との間には、貫通孔が設けられ、この貫通孔に形成された導電材料により前記表面電極と前記裏面電極が電気的に接続され、前記貫通孔の周囲には、少なくともどちらか一方の実装基板の面から内部に渡り、エッチング障壁が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の半導体装置およびその製造方法によれば、貫通電極が内部に形成される貫通孔の側壁の少なくとも一部を、活性領域を区画するトレンチに埋設された絶縁物に当接させている。従って、トレンチに埋設された絶縁物により、図9に示す凹部107が形成されることが抑制される。このことにより、貫通孔の大型化が抑制され、半導体装置全体の小型に寄与する。更に、貫通電極と活性領域との距離を短くすることができるので、信号の遅延を抑制し、更に配線抵抗を低減させることができる。
【0022】
更に、本発明によれば、半導体基板の一領域を囲むトレンチに埋設された絶縁物により、貫通孔の平面的な大きさを正確に規制することができる。即ち、トレンチに埋設された絶縁物がエッチング障壁として機能する。
【0023】
更に、シリコンから成るインタポーザ(実装基板)でも、貫通孔が形成される場合は、上記したトレンチを設けることにより、上記と同様の効果を得ることができる。従って、インターポーザ(実装基板)の小型化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第1の実施の形態>
図1から図2を参照して、本形態の半導体装置の構成を説明する。
【0025】
図1(A)は貫通電極を具備する半導体装置10Aの断面図であり、図1(B)はその平面図である。図1(C)は他の形態の半導体装置10Bの断面図である。
【0026】
図1(A)を参照して、本形態の半導体装置10Aは、半導体基板11の上面に活性領域20が形成され、この活性領域20は、絶縁物が埋め込まれたトレンチ24により囲まれている。また、半導体基板11を貫通して設けた貫通孔15は、その側面がトレンチ24に接触するように形成されている。貫通孔15の内部には、銅等の導電材料から成る貫通電極16が形成される。半導体基板11の下面に形成された裏面電極19は、貫通電極16、再配線、そしてエミッタ電極を介して活性領域20(ここではエミッタ領域)と接続されている。
【0027】
活性領域20は、一般にトランジスタまたはダイオード等の能動素子が形成される領域である。ここでは、活性領域20にバイポーラトランジスタが形成されている。また、活性領域20には、MOSFET、IC、LSI、CCD、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等が形成されても良い。
【0028】
活性領域20の具体的な構造は次の通りである。P型の半導体基板11の上部には、N型の埋め込み層12が設けられ、その上にはN型のエピタキシャル層13が形成されている。更に、エピタキシャル層13の表面には、P型のベース領域23、N型のコレクタコンタクト領域21が形成されている。ベース領域23の上部には、N型のエミッタ領域25が形成されている。また、コレクタコンタクト領域21は、エピタキシャル層13の表面から埋め込み層12に到達するまで形成されている。
【0029】
上記したベース領域23、コレクタコンタクト領域21、エミッタ領域25は、各々が、ベース電極26B、コレクタ電極26C、エミッタ電極26Eと接続される。これら各領域と各電極とは、エピタキシャル層13の上面を被覆する絶縁膜14に設けた開口部を介して接続されている。
【0030】
ここでは、1層のメタル配線が示されているが、多層のメタル配線が形成されても良い。特にIC、LSI等は、多層のメタル配線が実現される。この配線は、通常は、パシベーション膜により被覆される。ここでは、貫通電極16は、活性領域上の1層目のメタルが再配線を介して接続しているが、多層のメタル配線が形成された場合は、上層のメタル配線が貫通電極16と接続されても良い。
【0031】
更に、図1(B)を参照して、ベース電極26B、コレクタ電極26Cおよびエミッタ電極26Eは、再配線22を介してトレンチ24よりも外側まで延在し、ベースパッド18B、コレクタパッド18Cおよびエミッタパッド18Eと接続されている。
【0032】
トレンチ24は、エピタキシャル層13の表面から半導体基板11に到達するまで延在しており、その内部には絶縁物が埋設されている。トレンチ24に埋設される絶縁物としては、シリコン酸化物やシリコン窒化物等がある。活性領域20を囲むようにトレンチ24は形成され、このことにより活性領域20が素子分離されている。またトレンチ24の表面に酸化膜を形成し、中にポリシリコンが埋め込まれたもので素子分離しても良い。
【0033】
半導体基板11の上面および裏面は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜または絶縁性樹脂膜から成る絶縁膜14、27により被覆されている。半導体基板11の上面を被覆する絶縁膜14には、活性領域20内に設けられたエミッタ領域25、ベース領域23およびコレクタコンタクト領域21が部分的に露出するように、開口部が設けられている。また、絶縁膜27は、半導体基板11の下面を全面的に被覆している。ここで、半導体基板11と裏面電極19とを絶縁させる必要が無い場合は、絶縁膜27を省くことができる。例えば、半導体基板がN型で半導体基板がコレクタとなり、エミッタとコレクタが接続される場合等が考えられる。
【0034】
貫通電極16は、半導体基板11、エピタキシャル層13および絶縁膜14、27を貫通するように形成された貫通孔15に埋め込まれた導電材料から成る。貫通電極16が形成される平面的な位置は、トレンチ24よりも外側である。ここでは、エミッタパッド18Eの裏面に、貫通電極16の上端部が当接している。貫通孔15の側壁は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなる側壁絶縁膜17により被覆され、側壁絶縁膜17の内部に貫通電極16が形成されている。ここでは、貫通孔15の内部に膜状の貫通電極16が形成されているが、貫通孔15に埋め込まれた銅等の導電材料により貫通電極16が形成されても良い。
【0035】
本形態では、貫通孔15の側面の少なくとも一部が、トレンチ24に埋設された絶縁物に接触している。具体的には、活性領域20を包囲するように設けられたトレンチ24の外側の側面に、貫通孔15の側面の一部が接触している。換言すると、トレンチ24と貫通孔15とは、密着して隣接している。更に、ここでは、貫通孔15の側壁は側壁絶縁膜17により被覆されているので、側壁絶縁膜17の一部が、トレンチ24に埋設された絶縁物に当接している。
【0036】
図1(B)を参照して、貫通孔15は、トレンチ24の外側に隣接する場所に形成されている。ここでは、四角形の平面的形状の貫通孔15が形成され、その内部に側壁絶縁膜17および貫通電極16が形成されている。貫通孔15の平面的な形状は4角形以外の形状でも良く、5角形等の他の多角形や円形でも良い。更に、貫通孔15は、円形のエミッタパッド18Eの下方に形成されている。
【0037】
ここでは、エミッタパッド18Eが貫通電極16を介して裏面電極19と接続され、ベースパッド18Bおよびコレクタパッド18Cの下方には貫通電極16が形成されない。ベースパッド18Bおよびコレクタパッド18Cは、金属細線が接続されるボンディングパッドとして機能する。ここで、貫通電極16は、ベースパッド18Bまたはコレクタパッド18Cの下方に形成されても良い。更にまた、後述するように、全てのパッド(エミッタパッド18E、ベースパッド18B、コレクタパッド18C)が、貫通電極16を介して裏面電極と接続されても良い。
【0038】
本形態では、貫通孔15がトレンチ24に隣接しているので、ドライエッチングにて貫通孔15を形成する工程に於いて、トレンチ24によりオーバーエッチングが抑制される。具体的には、図1(A)を参照して、貫通孔15の側面の右側上部は、トレンチ24に充填された酸化膜(絶縁物)に接触している。トレンチ24に充填された酸化物は、貫通電極16の形成に用いるエッチングガスにエッチングされ難い。従って、トレンチ24に埋設された酸化物により、横方向(ここでは右方向)へ進むオーバーエッチングが抑制され、背景技術に示したような凹部107(図9参照)の形成が防止される。図1(B)を参照すると、紙面上にて、貫通孔15の上側辺、下側辺および左側辺へのオーバーエッチングが発生する可能性はあるが、右側辺に関してはトレンチ24によりオーバーエッチングが抑制されている。このことから、横方向に進行するオーバーエッチングが抑制されるので、貫通孔15が平面的に大きくなるのを抑制することができる。
【0039】
更に、本形態では、貫通電極16が内部に形成される貫通孔15を、活性領域20を素子分離するトレンチ24に接触する位置に形成している。このことにより、エミッタ領域25と貫通電極16との距離が短くなるので、活性領域20の内部に形成されたトランジスタが例えば数GHzの高周波で動作しても、信号の遅延が抑制される。更に、配線抵抗、寄生インダクタンス等も低減されるので、活性領域20の内部に形成される素子の特性を向上させることができる。
【0040】
図1(C)を参照して、他の形態の半導体装置10Bを説明する。半導体装置10Bの基本的な構成は上述した半導体装置10Aと同様であり、相違点は、半導体基板11の裏面を被覆する絶縁膜27および側壁絶縁膜17が省かれた点にある。従って、貫通孔15の内壁に直に貫通電極16が当接し、更に、トレンチ24に埋設された絶縁物にも貫通電極16は当接する。
【0041】
側壁絶縁膜17および絶縁膜27が省かれることにより、貫通電極16および裏面電極19は、半導体基板11に直に当接する。一方、トランジスタが形成された活性領域20は、トレンチ24により素子分離されている。更に、P型の半導体基板11とN型のエピタキシャル層13とのPN接合によっても、活性領域20は素子分離されている。従って、絶縁膜を省いて、貫通電極16および裏面電極19を半導体基板11に直に接触させても、これらの電極は活性領域20とはショートを引き起こさない。
【0042】
側壁絶縁膜17および絶縁膜27を省くことにより、これらの絶縁膜を形成する工程を省略することが可能となり、歩溜まりが向上される利点がある。具体的には、貫通孔15の内壁にシリコン酸化膜を形成する場合、熱酸化法またはCVD法により酸化膜が形成される。しかしながら、酸化膜を形成するこれらの方法では、例えば1000℃程度に半導体基板11が加熱される。従って、極めて高温に半導体基板11が晒されることから、基板の表面に形成された電極に熱応力が作用し、エミッタパッド18E等が半導体基板11から剥離してしまう問題が発生していた。
【0043】
本形態により、上述した熱酸化法等の加熱を伴う工程の数を低減させることができる。従って、熱応力に起因したエミッタパッド18Eの劣化を防止できるので、製造工程の歩溜まりが向上される。更に、工程数が削減されることから、製造コストを低減することもできる。
【0044】
ここで、半導体基板11の裏面、例えば図1(A)では、絶縁膜27の表面に、また図1(C)では、半導体基板の裏面に樹脂膜を形成することにより、裏面電極19の熱膨張・収縮による電極劣化を抑止することができる。
【0045】
図2を参照して、半導体装置10Cの構成を説明する。図2(A)は半導体装置10Cの平面図であり、図2(B)は図2(A)のB−B’線での断面図である。半導体装置10Cの基本的な構成は、上述した半導体装置10Aと同様である。相違点は、全てのパッドの下方に貫通電極が設けられた点にある。
【0046】
図2(A)を参照して、本形態では、エミッタパッド18E、ベースパッド18Bおよびコレクタパッド18Cの下方に、貫通電極16E、貫通電極16Bおよび貫通電極16Cが設けられている。更に、半導体基板11の裏面には、エミッタパッド18E、ベースパッド18Bおよびコレクタパッド18Cと接続された、3つの裏面電極(不図示)が分離して形成されている。
【0047】
貫通電極16E、16Bおよび16Cは、各々が貫通孔15E、15Bおよび15Cの内部に形成される。そして、貫通孔15E、15Bおよび15Cの少なくとも一部は、活性領域20を包囲するトレンチ24の外側に接触している。更に、各貫通孔15E、15B、15Cの内壁は側壁絶縁膜17により被覆され、この側壁絶縁膜17の内部に貫通電極16E、16B、16Cが形成されている。ここでは、電位が異なる電気信号が通過する複数の貫通電極が設けられるため、各貫通電極と半導体基板11とは側壁絶縁膜17、絶縁膜27により絶縁される必要がある。
【0048】
本形態では、内部に貫通電極が形成される貫通孔15E、15B、15Cの側面をトレンチ24の外側に接触させている。このことにより、活性領域と各貫通電極との距離を短くすることができる。即ち、貫通電極16Eとエミッタ領域25との距離、貫通電極16Bとベース領域23との距離、貫通電極16Cとコレクタコンタクト領域21との距離が短くなる。従って、信号の遅延が抑制され、配線抵抗、寄生インダクタンス等が低減されるので、活性領域20の内部に形成される素子の特性を向上させることができる。
【0049】
更に、貫通孔15E、15B、15Cの側面の一部がトレンチ24に接触することにより、上述したように、オーバーエッチングが抑制される。具体的には、貫通孔15Eでは、紙面上に於いて、右側の側面のオーバーエッチングが抑制されている。貫通孔15Bでは、紙面上に於いて、下側の側面のオーバーエッチングが抑制されている。貫通孔15Cでは、紙面上に於いて、上側の側面のオーバーエッチングが抑制されている。従って、オーバーエッチングを抑制することにより、貫通孔15E、15B、15Cの平面的な面積を狭くすることができる。このことが、半導体装置10Cの小型化に寄与する。
【0050】
図2(B)を参照して、半導体基板11の裏面には、上述した貫通電極を介して活性領域と接続された複数の裏面電極が形成される。ここでは、エミッタ裏面電極19Eとコレクタ裏面電極19Cが図示されている。エミッタ裏面電極19Eは、貫通電極16Eを介してエミッタパッド18Eと接続される。コレクタ裏面電極19Cは、貫通電極16Cを介して、コレクタパッド18Cと接続される。また、図示されていないが、半導体基板11の裏面には、貫通電極16Bを介してベースパッド18Bと接続されたベース裏面電極も形成される。そして、各々の裏面電極は電気的に分離されている。
【0051】
ここでは、各貫通孔の側壁は側壁絶縁膜17により被覆され、半導体基板11の裏面は絶縁膜27により被覆されている。このようにすることで、各裏面電極同士のショートを防止している。
【0052】
<第2の実施の形態>
図3および図4を参照して、他の形態の半導体装置の構成を説明する。本形態で説明する半導体装置の構成は、基本的には上記した第1の実施の形態と同様であり、相違点はトレンチ28で包囲される領域の内部に貫通孔15が形成される点にある。
【0053】
図3(A)は半導体装置10Dの断面図であり、図3(B)はその平面図である。図3(C)は他の形態の半導体装置10Eの断面図である。
【0054】
図3(A)および図3(B)を参照して、半導体装置10Dの基本的な構成は図1に示した半導体装置10Aと同様であり、相違点は、リング状のトレンチ28で囲まれる領域に貫通孔15が形成される点にある。
【0055】
即ち、半導体基板11を貫通する貫通孔15は、トレンチ28の内側の領域に形成され、貫通孔15の側壁は側壁絶縁膜17により被覆されている。そして、側壁絶縁膜17の内部に貫通電極16が形成されている。また、貫通電極16を介して、半導体基板11上面のエミッタパッド18Eと、半導体基板11下面の裏面電極19とが接続されている。
【0056】
トレンチ28は、活性領域20を素子分離するトレンチ24の外部に位置し、半導体基板11の表面の一領域を包囲するように形成されている。ここでは、トレンチ24から離間した部分にトレンチ28が形成される。トレンチ28の具体的な大きさは、例えば、幅が1μmで深さが3μm程度であり、400μm×400μmの矩形状の領域を包囲するようにリング状に形成されている。
【0057】
トレンチ28の内部には、シリコン酸化物やシリコン窒化物等の絶縁物が埋設されている。この絶縁物は、半導体基板11のドライエッチングに用いるエッチングガスに対して、エッチングされ難い。従って、トレンチ28が設けられることにより、横方向へのエッチングの進行が素子され、図9に示すような凹部107の形成が抑制される。
【0058】
ここで、活性領域20はトレンチ24により素子分離されているが、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜や、PN接合分離により活性領域20が分離されても良い。即ち、他の形態の分離領域により、活性領域20が素子分離されても良い。その理由は、本形態では、活性領域20を素子分離する領域にて貫通孔15の平面的な位置を規制する必要がないからである。本形態では、トレンチ28により、貫通孔15の平面的な大きさが規制される。
【0059】
また、トレンチ28は、必ずしもトレンチ24から離間した位置に形成される必要はなく、トレンチ24に密着してトレンチ28が形成されても良い。この場合は、貫通孔15の周囲の3辺がトレンチ28により包囲され、残りの1辺がトレンチ24により包囲される。
【0060】
図3(B)を参照すると、エミッタパッド18Eの下方のみに貫通電極16が形成されているが、ベースパッド18Bまたはコレクタパッド18Cの下方に貫通電極16が形成されても良い。
【0061】
本形態では、トレンチ28により包囲される領域の内部に貫通孔15が形成される。従って、貫通孔15の全ての側面の上部が、トレンチ28に埋設された絶縁物により囲まれ、ドライエッチングの工程に於いて、横方向へのオーバーエッチングが抑制される。上述した第1の実施の形態では、貫通孔15の1つの側辺のみに於いてオーバーエッチングが抑制されていた。それに対して本形態では、トレンチ28により貫通孔15の全側面が包囲されているので、全ての側面に於いて、図9に示すような凹部107の形成が抑制される。従って、貫通孔15のサイズの大型化を抑制する効果、貫通孔15の位置を規制する効果を大きくすることができる。
【0062】
図3(C)を参照して、他の形態の半導体装置10Eの構成を説明する。半導体装置10Eでは、図3(A)に示した絶縁膜27および側壁絶縁膜17が省かれた構成と成っている。このように、絶縁膜27および側壁絶縁膜17を形成しなくても、トレンチ24により活性領域20は分離されているので、貫通電極16および裏面電極19と、活性領域20とは、ショートしない。また、絶縁膜27および側壁絶縁膜17を形成しないことにより、工程数を低減させることができるので、半導体装置10Eの製造コストを安くすることができる。前述したように、半導体基板がN型でコレクタとなり、エミッタとコレクタが接続される場合等も適用できる。
【0063】
図4を参照して、半導体装置10Fの構成を説明する。図4(A)は半導体装置10Fの平面図であり、図4(B)は図4(A)のB−B’線での断面図である。半導体装置10Fの基本的な構成は、上記した半導体装置10Dと同様であり、相違点は各パッドの下方に貫通電極を設けた点にある。
【0064】
図4(A)を参照して、半導体装置10Fでは、全てのパッドの下方に貫通電極が形成されている。即ち、エミッタパッド18E、ベースパッド18Bおよびコレクタパッド18Cの下方に、貫通電極16E、貫通電極16Bおよび貫通電極16Cが形成されている。そして、各貫通電極を介して、エミッタパッド18E、ベースパッド18Bおよびコレクタパッド18Cと接続された3つの裏面電極が、半導体基板11の裏面に設けられている。
【0065】
ここでは、各貫通電極が内部に形成される貫通孔は、トレンチ28により形状が規制されている。即ち、各パッドの下方に形成される貫通孔15E、15B、15Cの形状は、各々がトレンチ28により包囲される。そして、これら貫通孔15E、15B、15Cの内部に、貫通電極16E、16B、16Cが形成されている。また、貫通孔の側壁は側壁絶縁膜17により被覆されている。
【0066】
上記のように、トレンチ28により貫通孔15E、15B、15Cの位置および大きさを規制することにより、正確な位置に所定の大きさの貫通孔を形成することができる。従って、パッドと貫通電極との相対的な位置がずれてしまうことを防止することができる。
【0067】
図4(B)を参照して、ここでは、半導体基板11の裏面は絶縁膜27により被覆されている。更に、絶縁膜27の下面には、貫通電極16Eおよび貫通電極16Cと接続された、エミッタ裏面電極19Eおよびコレクタ裏面電極19Cが形成される。この詳細な構成は、図2(B)の説明と同様である。
【0068】
以上は、半導体素子が組み込まれた半導体装置に貫通電極を適用した場合の説明である。以下、図面では省略するが、Siから成るインターポーザ(実装基板)に関し、簡単に説明する。
【0069】
例えば、図4を使って説明すれば、半導体基板とエピタキシャル層に代わり、1枚の半導体基板が採用され、実装基板(インターポーザ)となる。この基板は、I、PまたはN型で成り、表と裏には、絶縁材料を介して配線パターンや電極が形成される。即ち、半導体基板の表面には表面電極が形成され、裏面には裏面電極が形成される。この実装基板は、あたかも普通のプリント基板の如く、1層または多層で形成される。
【0070】
この実装基板は、インターポーザであるため、Siから成る半導体チップがフェイスアップまたはフェイスダウンで実装される。従って、実装基板の表面には、半導体チップの電極と電気的に接続される電極が形成される。また、半導体装置がワイヤにて接続される場合は、半導体装置が載置される領域の周囲に対応する部分の、実装基板の表面にボンディングパッドが形成される。また必要によっては、インターポーザの裏面に外部接続電極が設けられる。
【0071】
つまり、実装基板の場合は、表面に形成された表面電極と、裏面に形成された裏面電極とを接続する必要があるため、本形態のテーマである貫通電極が形成される。
【0072】
インターポーザは、基本的には素子が形成されないため、一般的には図4で示されるように基板の表面から内部に渡りリング状のトレンチ28が形成される。そして貫通孔15E等は裏面から穿設され、このトレンチ28が凹部の形成を防止する防壁となる。よって基板の微細化等の効果が得られる。
【0073】
<第3の実施の形態>
本形態では、図5および図6を参照して、図1に示した半導体装置10Aの製造方法を説明する。
【0074】
図5(A)を参照して、先ず、分離領域であるトレンチ24を半導体基板11の上面に形成し、トレンチ24により包囲される活性領域20にトランジスタを形成する。トレンチ24は、エピタキシャル層13を貫通して半導体基板11に到達するように、ドライエッチングにより形成される。そして、トレンチ24の内部は、シリコン窒化物やシリコン酸化物等の絶縁物が埋設される。またトレンチ内面を酸化膜で覆い、中にポリSiを埋め込んでも良い。
【0075】
活性領域20の製造方法は、様々な方法がある。つまりBIPデバイス、MOSデバイス、Bi−CMOSデバイス等によりプロセスが異なる。ここでは、一例として、1つのバイポーラデバイスが作りこまれるものとして説明する。先ず、P型の半導体基板11の表面に、イオン注入法、または不純物デポジションによりN型の埋め込み層12を設ける。次に、半導体基板11の上面にN型のエピタキシャル層13を形成する。ここで、エピタキシャル層13の厚みは約1.5μmである。次に、コレクタコンタクト領域21、ベース領域23およびエミッタ領域25をイオン注入または拡散により形成する。コレクタコンタクト領域21は、埋め込み層12に到達するまで形成される。
【0076】
また、エピタキシャル層13の上面は、絶縁膜14により被覆される。絶縁膜14の厚みは、例えば1μmから5μm程度である。
【0077】
更に、エミッタ領域25、ベース領域23およびコレクタコンタクト領域21と接続されたエミッタ電極26E、ベース電極26Bおよびコレクタ電極26Cを、絶縁膜14のコンタクト孔を介して形成する。各々の電極は、トレンチ24の外部まで再配線を介して延在され、その先にはパッドを形成している。ここでは、エミッタ電極26Eと接続されたエミッタパッド18Eが図示されている。
【0078】
通常のLSIデバイスは、メタル多層で形成されるため、更に絶縁膜を介して2層目、3層目の配線が形成され、最上層の配線は、パシベーション膜により被覆される。
【0079】
図5(B)を参照して、次に、貫通孔を形成するために半導体基板11を支持基板30に貼着する。ここでは、活性領域20が形成された半導体基板11の主面が下面にされ、接着材29を介して、支持基板30に貼着される。支持基板30の材料としては、金属、ガラス、樹脂等を採用することができる。半導体基板11を支持基板30に貼着することにより、搬送の工程等にて半導体基板11が破損してしまうことを防止することができる。
【0080】
特に貫通電極を形成するため、また軽薄短小を目的として半導体基板の裏面を取り除き、薄くすると、薄さゆえに反りが発生したりするため、支持基板30が必要になる。
【0081】
半導体基板11の上面は、耐エッチング性を有するマスク31により選択的に被覆される。ここでは、貫通孔15が形成される部分の半導体基板11が露出するように、マスク31には開口部32が形成される。ここで、開口部32の端部Pは、トレンチ24の上方に位置している。例えば、開口部32が平面的に矩形状に形成された場合は、開口部32の1つの側辺が、トレンチ24の上方に位置する。開口部の加工精度にもよるが、貫通孔15若干の広がりを考える場合、トレンチ24の左側壁と一致させるか、それよりも少し左側に設けても良い。
【0082】
図5(C)を参照して、次に、マスク31を介してドライエッチングを行うことにより、半導体基板11を貫通する貫通孔15を形成する。この工程では、貫通孔15が絶縁膜14に到達するまでエッチングが行われる。半導体基板11のドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、例えば、CFとOの混合ガス、またはCFとOの混合ガス等を用いる。
【0083】
半導体基板11の材料であるシリコンはこれらのガスにより容易にエッチングされるが、シリコン酸化膜等から成る絶縁膜14は、これらのガスによりエッチングされ難い。従って、本工程のエッチングが、従来例で説明したように、絶縁膜14でストップすると、トレンチが無いためにエッチングが横方向に進行し、貫通孔15の幅が大きくなってしまう恐れがある。
【0084】
本形態では、トレンチ24がストッパーになり、横方向へ進行するエッチングを抑制し、貫通孔15の位置および大きさを規制している。具体的には、上記したように開口部32の端部Pがトレンチ24の上方、具体的には、トレンチ24の左側壁に一致するように位置することにより、開口部32からエッチングにより形成される貫通孔15は、トレンチ24に隣接して形成される。即ち、紙面上に於いては、貫通孔15の下部右側は、トレンチ24に埋設された絶縁物に接触している。この絶縁物は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜であるので、ドライエッチングによりエッチングされ難いものである。
【0085】
従って、絶縁膜14にて縦方向に進行するエッチングがストップして、エッチングが横方向に進行しようとしても、横方向へのエッチングの進行はトレンチ24により抑制される。このことから、紙面上では、貫通孔15の下部に於いて、左方向へエッチングが進行する恐れがあるが、右方向へのエッチングの進行はトレンチ24により抑制されている。結果的に、貫通孔15が平面的に大きくなることが抑制されている。即ち、本形態では、トレンチ24は、活性領域20を分離する機能と、トレンチ24の位置および大きさを規制する機能を有している。
【0086】
本工程が終了した後に、マスク31は剥離して除去される。
【0087】
図6(A)を参照して、次に、絶縁膜14のエッチャントガスを採用して、ドライエッチングを更に進行させて、絶縁膜14を除去して、貫通孔15の下部にエミッタパッド18Eの上面を露出させる。本工程では、酸化膜や窒化膜から成る絶縁膜14を、CFとHの混合ガス、CHFまたはCF6等を用いたドライエッチングにより除去している。本工程に於いても、トレンチ24に充填された絶縁物により、エッチングの横方向への進行が抑制されている。
【0088】
ここでは、絶縁膜14とトレンチ24の構成材料が同じであると、両者ともにエッチングされてしまう。しかし一般的に、ドライエッチングでは、異方性であるため、横方向のエッチングが進みづらいため、トレンチ24を残しながら絶縁膜14を取り除くことが可能である。
【0089】
しかし等方性であると、両者が同じレートでエッチングされるため、絶縁膜14の厚みよりもトレンチ24の厚みよりも薄くすれば、トレンチ24の側壁で、横方向の進行を抑制できる。
【0090】
図6(B)を参照して、次に、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜から成る酸化膜を、半導体基板11の上面および貫通孔15の内壁に形成する。本工程により半導体基板11の主面は絶縁膜27により被覆され、貫通孔15の側壁は側壁絶縁膜17により被覆される。また、貫通孔15の底部を被覆する絶縁膜は、異方性ドライエッチングにより除去され、エミッタパッド18Eの上面は貫通孔15の内部に露出する。
【0091】
尚、図1(C)に示す半導体装置10Bを形成する場合は、絶縁膜を形成する本工程は行われない。
【0092】
図6(C)を参照して、次に、半導体基板11の上面および貫通孔15の内部に金属膜を形成して、裏面電極19および貫通電極16を形成する。この金属膜は、バリア膜、シード膜およびメッキ膜から形成する。バリア膜は、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、チタンタングステン(TiW)、タンタルナイトライド(TaN)等からなり、スパッタ法またはCVD法等により形成される。バリア層は、金属の半導体基板11への拡散を防止する機能を有する。更に、このバリア膜の上面に、スパッタ法またはCVD法等により、厚みが数百nm程度の金属膜(例えば銅)から成るシード膜を形成する。その後に、このシード膜を電極として用いて電解メッキを行いメッキ膜(例えば銅)を形成することで、厚みが数μm程度の金属膜を形成する。
【0093】
また、フィリングメッキにより貫通孔15に埋め込まれた金属により貫通電極16を形成しても良いし、裏面電極19とは異なる金属材料(例えば半田等)を貫通孔15に埋め込んで貫通電極16を形成しても良い。
【0094】
上記工程が終了した後は、半導体基板11は支持基板30から分離される。更に、半導体基板11(ウェハ)をダイシングして、個々の半導体装置を得る。
【0095】
<第4の実施の形態>
本形態では、図7および図8を参照して、図3に示した半導体装置10Dの製造方法を説明する。本形態の製造方法は、上述した第3の実施の形態と基本的には同一である。本形態のポイントは、活性領域の素子分離を行うトレンチ24とは別体のトレンチ28を用いて、貫通孔15の位置および大きさを規制していることである。本形態に於いては、上述した第3の実施の形態と同様の部分は、その説明を割愛する。
【0096】
図7(A)を参照して、先ず、半導体基板11の上面にトレンチ24、28を形成し、トレンチ24内部に活性領域20を形成する。更に、活性領域20の各領域と接続されたエミッタ電極26E、ベース電極26B、コレクタ電極26Cを形成する。
【0097】
本形態では、活性領域20を分離させる分離領域は、必ずしもトレンチ24である必要はない。例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜や、PN接合分離により活性領域20が分離されても良い。その理由は、ここでは、貫通孔15の位置がトレンチ28により規制されるので、活性領域20の分離領域にて貫通孔15の位置を規制する必要が無いからである。
【0098】
本形態では、トレンチ24により活性領域20の素子分離を行っている。このことにより、分離領域として機能するトレンチ24と、貫通孔15の位置を規制するトレンチ28とを同一の工程にて製造できる。従って、工数の増加を伴わずに、トレンチ28を形成することができる。
【0099】
更に本形態では、エミッタパッド18Eの下方のみにトレンチ28が形成されていが、半導体基板11の表面に形成される全てのパッドの下方に貫通電極が形成される場合は、全てのパッドの下方にトレンチ28が形成される。
【0100】
トレンチ28は、例えば400μm×400μmの矩形状の領域を囲むように設けられ、その内部には、シリコン酸化物やシリコン窒化物から成る絶縁物が埋設されている。本形態では、トレンチ28に埋設された絶縁物により、貫通孔形成時に於けるドライエッチングの横方向への進行が抑制されている。
【0101】
図7(B)を参照して、活性領域20が形成された半導体基板11の主面を下面にして、接着材29を介して、半導体基板11を支持基板30に貼着させる。更に、半導体基板11の上面を、耐エッチングマスク31により選択的に被覆する。即ち、貫通孔15が形成される領域はマスク31により被覆されず、開口部32となる。また、複数の貫通孔が設けられる場合は、所定の箇所に複数の開口部32が形成される。
【0102】
本形態では、開口部32の周辺端部は、トレンチ28の上方に位置している。即ち、トレンチ28が平面的に矩形の領域を囲むように形成された場合は、矩形の形状の開口部32の外周端部が、トレンチ28に重畳する位置に形成される。
【0103】
図7(C)を参照して、次に、マスク31を介して半導体基板11のドライエッチングを行うことにより貫通孔15を形成する。本工程では、貫通孔15が絶縁膜14に到達するまで、ドライエッチングが行われる。本工程で形成される貫通孔15の下部は、トレンチ28により包囲されている。トレンチ28に埋設された絶縁物はドライエッチングされ難いので、貫通孔15の下部に於いて、ドライエッチングの横方向への進行が抑制されている。上記した第3の実施の形態では、トレンチ24により貫通孔15の一つの辺のみに於いて、横方向へのドライエッチングが抑制されていたが、本形態では、貫通孔15の全ての辺(4辺)に於いて、横方向のドライエッチングが抑制される。このことから、本形態に於いては、トレンチ28により、貫通孔15の平面的な位置および大きさが精度良く規制されている。
【0104】
図8(A)を参照して、次に、更にドライエッチングを進行させることにより、絶縁膜14を除去して、エミッタパッド18Eの上面を貫通孔15の内部に露出させる。
【0105】
図8(B)を参照して、次に、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜から成る絶縁膜を、半導体基板11の表面および貫通孔15の内壁に形成する。更に、ドライエッチングを行い、貫通孔15の底面を被覆する絶縁膜を除去して、エミッタパッド18Eを貫通孔15の内部に露出させる。絶縁膜27および側壁絶縁膜17を形成しない場合は、本工程は不要となる。
【0106】
図8(C)を参照して、次に、半導体基板11の上面および貫通孔15の内部に金属膜を形成して、裏面電極19および貫通電極16を形成する。
【0107】
上記工程により、図3に構造を示す半導体装置10Dが製造される。
【0108】
<第5の実施の形態>
以上の製造方法では、半導体装置に貫通電極を設ける製造方法を説明した。しかし本発明は、Siインターポーザ(実装基板)にも適用できる。
【0109】
上述した製造方法が適用された、実装基板(インターポーザ)の製造方法を以下に説明する。
【0110】
まずは、図7(A)に於いて半導体基板とエピタキシャル層を1枚の半導体基板として考えて説明する。その表面には、プリント基板の如く、絶縁膜を介して導電パターンが形成される。しかも表面には、表と裏の導電パターンの導通を可能としたい部分には、リング状のトレンチ28が形成される。
【0111】
続いて、半導体基板の表側を図7(B)に示すように、支持基板30に貼り合わせ、裏面をある所望の厚みにまで薄くする。当然そのままで良い場合は、薄くする工程は、省略される。
【0112】
続いて、導通をとりたい部分を除いてエッチングマスク31を形成し、リング状のトレンチ28を横方向のエッチング障壁として採用しながらエッチングして貫通孔15を図7(C)の如く形成する。
【0113】
その後、図8(A)の如く、半導体基板の表側に形成された絶縁膜14を異方性エッチングにより取り除き、絶縁膜27を図8(B)の様に形成する。
【0114】
更に図8(C)に示すように貫通孔15の側壁と半導体基板11の裏面に電極を形成する。また更に2層、3層と配線パターンが必要な場合は、絶縁層を介して形成する。
【0115】
以上簡単に説明したが、この方法により、インタポーザが製造される。ここで貫通電極の凹部が形成されないため、平面的なサイズ拡大を抑止でき、全体的なサイズの小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は平面図であり、(C)は断面図である。
【図2】本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
【図3】本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は平面図であり、(C)は断面図である。
【図4】本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)−(C)は断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)−(C)は断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)−(C)は断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)−(C)は断面図である。
【図9】従来の半導体装置およびその製造方法を示す図であり、(A)−(D)は断面図である。
【符号の説明】
【0117】
10A〜10F 半導体装置
11 半導体基板
12 埋め込み層
13 エピタキシャル層
14 絶縁膜
15 貫通孔
16 貫通電極
17 側壁絶縁膜
18E エミッタパッド
18B ベースパッド
18C コレクタパッド
19 裏面電極
20 活性領域
21 コレクタコンタクト領域
22 再配線
23 ベース領域
24 トレンチ
25 エミッタ領域
26E エミッタ電極
26B ベース電極
26C コレクタ電極
27 絶縁膜
28 トレンチ
29 接着材
30 支持基板
31 マスク
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面に形成された活性領域と、前記活性領域を包囲するように前記半導体基板の主面に形成されたトレンチと、前記半導体基板を貫通して設けた貫通孔と、前記貫通孔の内部に形成されて前記活性領域と電気的に接続された貫通電極とを具備し、
前記貫通孔の側面の少なくとも一部は、前記トレンチに接触することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記貫通電極は、前記貫通孔の内壁を被覆する絶縁膜の内部に形成され、
前記絶縁膜の一部が、前記トレンチに接触することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記貫通電極は、前記貫通孔の内壁に直に形成され、
前記貫通電極の一部が、前記トレンチに接触することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トレンチの内部には、前記半導体基板とはエッチング性が異なる絶縁物が埋設されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板の主面に形成された活性領域と、前記活性領域を素子分離する分離領域と、前記半導体基板を貫通して設けた貫通孔と、前記貫通孔の内部に形成されて前記活性領域と電気的に接続された貫通電極とを具備し、
前記分離領域よりも外側に位置する前記半導体基板の主面の一領域を囲むようにトレンチを設け、
前記貫通孔は、前記トレンチにより囲まれる前記一領域の内部に形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記貫通電極は、前記貫通孔の内壁を被覆する絶縁膜の内部に形成され、
前記絶縁膜の一部が、前記トレンチに接触することを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記貫通電極は、前記貫通孔の内壁に直に形成され、
前記貫通電極の一部が、前記トレンチに接触することを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記トレンチの内部には、前記半導体基板とはエッチング性が異なる絶縁物が埋設されることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基板の主面にトレンチを設けて、前記トレンチに絶縁物を埋設する工程と、
前記トレンチにより絶縁分離された半導体基板の前記主面に活性領域を形成する工程と、
前記半導体基板を貫通する貫通孔を設ける工程と、
前記活性領域と電気的に接続された貫通電極を、前記貫通孔の内部に形成する工程とを具備し、
前記貫通孔を設ける工程では、前記貫通孔の側面の少なくとも一部が、前記トレンチに埋設された前記絶縁物に接触することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記トレンチに埋設された前記絶縁物により、前記貫通孔の位置を規制することを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板の主面に、分離領域により素子分離された活性領域を形成する工程と、
前記半導体基板を貫通する貫通孔を形成し、前記活性領域と接続された貫通電極を前記貫通孔の内部に形成する工程とを具備し、
前記分離領域よりも外側に位置する前記半導体基板の主面の一領域を囲むようにトレンチを設け、
前記貫通孔を前記一領域の内部に形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記貫通孔の側面が、前記トレンチに埋設された絶縁物に接触することを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記トレンチは、前記分離領域から離間して設けられることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記トレンチは、前記分離領域に隣接して設けられることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
半導体材料より成る実装基板であり、前記実装基板の表面と裏面には、電気的に接続される表面電極と裏面電極が設けられ、前記表面電極と前記裏面電極との間には、貫通孔が設けられ、この貫通孔に形成された導電材料により前記表面電極と前記裏面電極が電気的に接続され、
前記貫通孔の周囲には、少なくともどちらか一方の実装基板の面から内部に渡り、エッチング障壁が形成されることを特徴とする実装基板。
【請求項16】
前記裏面電極または前記裏面電極の何れか一方には、シリコンから成る半導体装置が実装され、他方は外部接続電極となることを特徴とする請求項15記載の実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−123681(P2007−123681A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316186(P2005−316186)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(501464440)三洋半導体製造株式会社 (49)
【Fターム(参考)】