説明

半導体装置およびその作製方法

【課題】屋内外、または海上において場所を選ばず、必要な生体の表面を必要なタイミングで暖め、且つ、低温やけどを生じさせない装置を提供する。
【解決手段】プラスチック、または繊維体を含むシート上に非接触で電力を受け取ることのできる回路と、発熱回路と、該発熱回路の温度を制御する回路とを有する発熱機能を有するシートを作製する。使用者の身体の一部上に上記シートを配置し、無線信号を送信するバッテリー内蔵の発信装置を携帯する。シートを装着した使用者は、屋内外において発信装置から無線信号を発信させることによってシート上の発熱回路の加熱を行い、その熱を使用者の皮膚に伝導させることが可能である。また、発熱回路の温度を制御する回路により自動で温度制御ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランジスタで構成された集積回路を有する半導体装置およびその作製方法に関する。特に、トランジスタを有する集積回路を制御回路とし、発熱機能を有するシートに関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を示し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
従来、懐やポケットなどに入れて暖を取るために、使い捨てカイロが一般的になっている。さらに近年では、ゲル状の保湿剤が封入され、使用時には電子レンジで加熱する方式のカイロも利用されている。
【0004】
これらのカイロは、温度制御が不可能であり、人肌との長時間の接触により低温やけどが発生する恐れがあった。特に怪我または老衰などが原因で体の不自由な人の場合、体の不自由な人を介護する人が不注意によりカイロを体の不自由な人に当て続けてしまい、低温やけどが発生する恐れがあった。また、体温調節機能が未熟な新生児や幼児を暖めるためにカイロを用いることも低温やけどの恐れから使用を避けられている。
【0005】
新生児や幼児を暖めるため、アンカと呼ばれる手足を温める暖房装置もある。しかし、カイロと同様に人肌との長時間の接触により低温やけどが発生する恐れがある。また、人肌に接触させる暖房装置は、コンセントから配線コードを介して電力を得るため、設置箇所の自由がきかないという問題もある。
【0006】
従って、1日中、エアコンによって室内を暖め、体の不自由な人や新生児や幼児の体温を維持することが行われている。空気による熱伝導を利用する暖房装置は、効率が悪く、均一に加熱できないという欠点がある以外に、暖房装置の体積を大きくとり、温度のコントロールが困難という問題があった。また、個人によって最適温度は異なっており、複数の人においてエアコンによりそれぞれが満足する温度にすることは困難である。また、定期的に室内の換気も行うため、エアコンは膨大な電力を消費することになる。エアコンの連続使用は、省エネルギーの観点からも好ましくない。
【0007】
また、医療の分野において、全身麻酔が必要な手術時には患者の体温が低下するので、手術後の麻酔覚醒時に体温を上昇させ、感染症を予防する必要がある。
【0008】
また、山中で雨や雪に曝された後や、海水浴で海から出た後、肌に付着した水が気化することにより肌から熱が奪われる。水に濡れた肌を温めるためにカイロを用いることはできない。また、水中においては、ウェットスーツなどで保温する他に身体を加熱する加熱手段はない。
【0009】
また、電波の無線通信を利用したチップとして、無線タグが知られている。個体識別技術として利用される無線タグはRFIDタグと呼ばれている。RFIDタグは、電源を内蔵するか、外部から電源供給を受けるかの違いにより2つに分けることができる。RFIDタグの情報を含んだ電波を送信することが可能な、電源を内蔵したアクティブタイプ(能動タイプ)のRFIDタグと、外部からの電波の電力を利用して駆動するパッシブタイプ(受動タイプ)のRFIDタグとの二つのタイプに分けることができる。このうち、アクティブタイプのRFIDタグにおいては、RFIDタグを駆動するための電源を内蔵しており、電源として電池を備えた構成となっている。また、パッシブタイプにおいては、RFIDタグを駆動するための電源を外部からの電波の電力を利用して作りだし、電池を備えない構成を実現している。
【0010】
本発明者は、フレキシブルなフィルム上に様々な機能回路をTFTで構成したスポーツ用品、遊戯用品、及びトレーニング用品を特許文献1に開示している。特許文献1には、ランニングシューズのソール部に発電素子として圧電素子を配置し、圧電素子で発電した電力を利用してTFT回路を発熱させることによって足の加熱を行う記載に加え、さらに温度センサーを設置して、CPUで温度を制御することが記載されている。加えて、シューズに受信回路を搭載する記載がある。また、特許文献1には、非接触で充電が可能な無接点電力電送モジュールをスポーツ用品に搭載する記載もある。また、特許文献1には、足りない電力を補助するための補助電源(一次電池または二次電池)、例えばシート状電池を搭載または取り付ける記載もある。
【0011】
また、フレキシブルなフィルム上に無線メモリを設け、人間や動物の頭部や人体の一部に貼り付け、外部機器と無線通信を行う技術が特許文献2に開示されている。
【0012】
また、プラスチック基板上に13.56MHzの無線信号で駆動するCPUを作製する技術が非特許文献1に開示されている。
【0013】
また、電源電池と被測定部位の温度を検出して温度を示す温度データを発生させ、温度データを蓄積し、外部からの読み出し要求信号に応じて蓄積された温度データを外部に送信する電子体温計が特許文献3に開示されている。
【0014】
また、柔軟性があり、被加熱体の表面形状に合わせて曲げて変形させることができる面状のポリイミドヒータが特許文献4に開示されている。
【0015】
また、身体に装着する発熱サポータが繊維構造体と、電極、及び抵抗体が樹脂成分を含む面状発熱体からなる技術が特許文献5に開示されている。
【特許文献1】特開2005−270640号公報
【特許文献2】特開2006−51343号公報
【特許文献3】特開昭63−133027号公報
【特許文献4】特開2004−355882号公報
【特許文献5】特開2006−342449号公報
【非特許文献1】H. Dembo et al. ”RFCPUs on Glass and Plastic Substrates Fabricated by TFT Transfer Technology,” IEDM Tech. Dig. Papers, pp. 1067−1069, 2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
屋内外において場所を選ばず、必要な箇所を必要なタイミングで暖めることができる発熱機能を有するシートを提供する。
【0017】
また、身体に貼り付け、人肌に接触させても低温やけどが生じない保護機能を有するシートを提供する。また、体温の維持管理の補助を行うことのできるシートを提供する。
【0018】
また、携帯するに適した薄型、軽量の発熱機能を有するシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
互いに絶縁された複数の発熱回路を有するフレキシブルなシートを電力伝送装置から非接触で電力伝送可能な範囲内で離れた位置に配置し、そのフレキシブルなシート上には、非接触で電力を受け取ることのできる回路と、非接触で電力を受け取ることのできる回路に電気的に接続された発熱回路とを少なくとも有する。さらにフレキシブルなシートを生体の表面一部に固定するための貼着手段を設ける。生体の表面、例えば人の身体の表面はそのほとんどが曲面で形成されているため、フレキシブルなシートとすることで密着させて効率よく加熱ができる。発熱回路は、生体の表面一部に接触させるシートの面が30℃以上60℃未満となるように発熱させ、加熱する回路である。
【0020】
より具体的には、プラスチックフィルム、または繊維体上にアンテナ回路と、アンテナ回路で受信した電波を電力に変換する回路と、アンテナ回路で受信した電波を電力に変換する回路と電気的に接続する発熱回路とを有するシートであり、電波を電力に変換する回路で得られた電力を用いて発熱回路を発熱させる。
【0021】
電波の発信装置から発信された電波が届く範囲内であれば、このシートを発熱させることができる。コンセントから配線コードで設置する固定型の発信装置に限らず、バッテリー内蔵の発信装置を携帯すれば、屋内外において場所を選ばずシートの発熱が可能である。
【0022】
また、電波が届く範囲は、発信装置から発信する無線信号の周波数によって異なるため、適宜、使用用途によって選択する必要がある。具体的には、135kHz以下の周波帯、ISM(Industrial Science And Medical)周波帯、RF周波帯、UHF周波帯などを用いる。また、5kHz〜300kHzの周波数を有する無線信号を利用すれば、水中においても肌に貼り付けたシートを加熱することができる。
【0023】
なお、本明細書で電波とは電磁波の一種であり、電磁界、光、及びX線は含まない。
【0024】
アンテナ回路は、発信装置から供給された搬送波を、交流の電気信号に変換する。アンテナ回路は、整流回路を有することが好ましい。
【0025】
なお、本発明で用いることのできるアンテナの形状については特に限定されない。そのため、発信装置におけるアンテナ回路に適用する信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式又は光方式を用いることができる。本発明では信号の伝送方式として、電磁結合方式、電磁誘導方式又は電波方式を用いることが好ましい。伝送方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、伝送方式に伴って最適な長さと、形状とを有するアンテナを設ければよい。
【0026】
また、回路や発熱回路を保護するために、プラスチックフィルム、または繊維体で包むことが好ましい。回路の端子部や接続部などが包まれておらず、露出していると、短絡を生じる恐れがある。特に皮膚に接触させる場合、人間の身体はある程度導電性を有しているため感電しやすく、汗などの水分も短絡の原因となりうる。プラスチックフィルムの材料としては、樹脂材料(ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン、ポリウレタン等)、代表的には熱可塑性のプラスチック、たとえば、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、またはアクリル樹脂フィルムであるプラスチック基板を用いる。フレキシブルなフィルムとするため、厚さは、200μm〜500μmの範囲とすることが好ましい。
【0027】
人の肌に接触させる面には、熱伝導性の高い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルホン、ポリプロピレンスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、またはポリフタルアミドからなる合成樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂の中ではポリフェニレンスルホンが、0.4W/m・Kと高い熱伝導率を有している。さらに、高い熱伝導性を持たせるために低融点金属やセラミックスを含ませたプラスチックフィルムを用いてもよい。また、ポリ乳酸樹脂に炭素繊維を含ませたプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0028】
また、電波を放射する発信装置に距離が近い面には、電波を吸収しにくい材料、例えばポリ乳酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのプラスチックフィルムを用いることが好ましい。さらに、発信装置に距離が近い面に熱伝導性の低い断熱材料(ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂など)を用いれば、電波の発信装置に近い面からの放熱を防ぐことができ、効率よく人の肌に接触させる面を加熱することができる。
【0029】
また、繊維体としては、有機化合物または無機化合物の繊維を用いた織布または不織布または紙を用いることができる。繊維体として代表的には、高強度繊維を用いることができる。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維、またはヤング率が高い繊維である。また、繊維体として紙を用いる場合、人の肌に優しい感触を提供することができ、さらに汗などの体液を吸収することもできる。また、肌に当たる部分に柔軟性を持たせるために、スポンジやシリコンラバーなどの柔軟性シートを積層してもよい。繊維体や柔軟性シートは、伝熱緩衝層としても機能し、保温効果を高めるとともに、高温発熱した局所部分が直接肌に接するのを防ぐことができる。
【0030】
また、繊維体として高強度繊維を用いれば、局所的な押圧が回路に加えられた場合においても、圧力が繊維体全体に分散し、回路の一部が延伸することを防ぐことができる。
【0031】
また、発熱回路の一部である発熱体は、電気抵抗を有する金属からなる金属箔、帯状の金属薄膜、1本以上の金属線を用いることができる。電気抵抗を有する金属の材料としては、クロム、錫またはこれらの合金に加え、ニクロム、カンタル、インコネル、鋳鉄、ステンレスなどを用いることができる。
【0032】
また、発熱回路は、薄膜や線の構造に限らず、一対の電極と、それらの電極の間にカーボンブラック等の導電性粒子を含ませた樹脂、絶縁膜、または半導体膜を配置して、一対の電極間に電流を流すことでジュール熱により発熱する構造としてもよい。シートを曲げた場合又は、長い1本の金属線の場合は断線が生じる恐れがあるが、一対の電極間に材料を挟む構造とすることで、曲げに強い発熱回路とすることができる。加えて、一対の電極間に材料を挟む構造に限定されず、シート上に形成する回路を発熱体または発熱体の一部としてもよい。シート上の回路を発熱体の一部として機能させる場合、発熱体の昇温を補助することができる。この場合、回路での発熱と、発熱体の発熱とで温度差が生じるため、肌と発熱体の間及び肌と回路の間に均熱材(液状、ゲル状など)を配置することが好ましい。ただし、人の肌に接触させる面に設けるプラスチックフィルム、または繊維体が十分に均熱できる材料であれば均熱材を別途設ける必要はない。
【0033】
また、アンテナ回路で受信した電波を電力に変換する回路を発熱させて、発熱回路として機能させることでより単純な構成とすることができる。
【0034】
また、6時間を超える長時間の連続発熱や、60℃以上の発熱を防止する、発熱回路と直列に接続されるリミッタを設けることが好ましい。
【0035】
また、本発明においてリミッタの数についても特に制限はなく、一組の回路には、少なくとも一のリミッタが含まれていればよい。また、リミッタは、発熱回路とリミッタとを含む一組の回路において、高電位電源側または低電位電源側のいずれかに設けられるかについては特に制限はないが、電流が流れ込む側(つまり、発熱体よりも高電位電源側)に設けられていることが好ましい。
【0036】
ここでリミッタとは、発熱体に過度の電流が流れないように制御するために設けられ、一つの素子、または二以上の素子が組み合わされた回路等から成る電流制限手段である。例えば、一つのトランジスタから成るものであってもよいし、トランジスタやダイオード等の複数の素子が組み合わさって成る回路であってもよい。
【0037】
また、発熱体で発熱する温度が瞬間でも60℃を超えることがないシートである場合には、リミッタは設けなくてもよい。
【0038】
低温やけどは、60℃前後で約1分、50℃前後で約3分、45℃前後でも約6時間同じ部位に熱源を接触させていると起こると言われている。
【0039】
そこで、さらにシートに自動温度調節機能を具備させることによって低温やけどを防止する。プラスチックフィルム、または繊維体上にアンテナ回路と、アンテナ回路で受信した電波を電力に変換する回路と、温度センサー回路と、アンテナ回路で受信した電波を電力に変換する回路と電気的に接続する発熱体とを有するシートであり、電波を電力に変換する回路で得られた電力を用いて温度センサー回路で温度を測定し、得られた温度データに基づき、発熱体を発熱させるか否かを制御する。
【0040】
得られた温度データに基づき、発熱体を発熱させるか否かを制御するには、シートに制御回路を具備させることが好ましく、CPUなどを用いてメモリに設定された温度データとの比較を行って発熱体の発熱を自動制御し、シートの被装着者の体温の維持管理の補助を行う。
【0041】
また、さらにシートに送信回路を具備させることで、温度センサー回路で測定した温度データを電波の発信装置に送信し、発信装置で発熱を制御することもできる。例えば、ある温度を超えた温度データがシートから発信装置に送信された場合、シートへの電波の発信を停止することでシートの発熱を停止する。
【0042】
また、互いに絶縁された複数の発熱回路を有するフレキシブルなシートを用いる場合、複数の発熱回路のうち、加熱する発熱回路を発信装置が順次一つ選択し、選択した発熱回路を順次加熱することで、同じ箇所を加熱しつづけないようにして低温やけどを防止してもよい。
【0043】
また、低温やけどを防止するため、さらにシートにペルチェ素子を具備させて温度制御を行ってもよい。
【0044】
また、さらにシートに増幅回路を具備させることで、非接触で大きな電力を得られるようにしてもよい。
【0045】
また、上述したシート上に設ける様々な回路は、ノイズを低減するため、薄膜トランジスタなどの薄膜素子を用いて同一基板上に形成することが好ましい。また、薄膜トランジスタなどの薄膜素子を用いると、ICチップに比べて表面凹凸の少ないシートを提供することができる。また、様々な回路を同一基板上に形成し、コンタクト箇所を複数箇所設けることで、回路間の接続を確実に行うことができる。
【0046】
上述のようにシートに様々な回路を設けてもよいが、非接触で得られる電力には限界があるため、電力を確保するため充電回路または発電回路を設けてもよい。フレキシブルなシート上に形成できるのであれば、充電回路または発電回路は特に限定されないが、代表的には、コンデンサや二次電池や太陽電池などを用いることができる。
【0047】
スポーツ用品に送受信回路や非接触電力モジュールを搭載する技術が特許文献1に記載されているが、非接触電力モジュールで充電している間にスポーツ用品を使用することは想定しておらず、人の肌に接触させて使用することも想定していない。本発明は、非接触電力モジュールや発信装置からの信号を受信している間にシートを発熱させている点、人の肌に接触させている点で大きく特許文献1と異なっている。ただし、本発明のシートは、肌に接触させることに限定されず、薄い生地の服であり、且つ、服と皮膚との間に大きな隙間があいていなければ、服を介して加熱することもできる。
【発明の効果】
【0048】
発信装置からの信号送信できる範囲内であれば、屋内外において場所を選ばず、必要な箇所を必要なタイミングで暖めることができる発熱機能を有するシートを実現できる。また、携帯可能な小型の発信装置を持ち歩けば、屋内外において場所を選ばず、必要な箇所を必要なタイミングで暖めることができる発熱機能を有するシートを実現できる。
【0049】
また、発熱機能を有するシートを貼り付けた場合、被装着者の皮膚におけるシート貼着部分の表皮温度調節が自動でできる回路を搭載しているため、低温やけどを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明の実施形態について、以下に説明する。
【0051】
(実施の形態1)
本発明の発熱機能を有するシートの構成の簡略図を図1(A)に示す。
【0052】
シート10上には、アンテナ11と、アンテナ11に電気的に接続する受信制御回路12と、受信制御回路12と接続する電源回路13と、電源回路13に電気的に接続するヒータ駆動回路15と、ヒータ駆動回路15に電気的に接続するヒータ14とを有する。
【0053】
シート10の材料としては、断熱材料を用いることが好ましく、繊維体、または樹脂を用いる。本実施の形態では、シート10の材料は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いる。
【0054】
伝送方式として電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、135kHz以下、及び13.56MHz帯)を適用する場合、電界密度の変化による電磁誘導を利用するため、アンテナ11として機能する導電膜を輪状(例えば、ループアンテナ)又はらせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成する。
【0055】
ここではコイル状のアンテナを用いているが、アンテナ形状は、周波数や回路配置に合わせて設計すればよく、特に限定されない。また、アンテナとして機能する導電膜の形状は線状に限られず、電波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状又はこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0056】
アンテナ11で受信した電波によって誘導される交流信号は、受信制御回路12で直流信号に変換する。受信制御回路12は、ダイオード及び平滑容量を有する整流回路を少なくとも含む。本明細書では、アンテナ11及び受信制御回路12をアンテナ回路と呼ぶ。
【0057】
受信制御回路12で半波整流および平滑化された電圧は、電源回路13に入力されて電力が生じる。電源回路13は、基準電圧回路とバッファアンプとを少なくとも含む。なお、基準電圧回路やバッファアンプは薄膜トランジスタやMOSトランジスタなどの半導体素子で構成する。
【0058】
電源回路13で生じた電力は、ヒータ駆動回路15を介してヒータ14に合わせた信号に変換し、ヒータ14に電流を流して発熱させる。シート10の発熱回路は、ヒータ14である。電源回路13で出力される信号を直接ヒータ14に入力して発熱させることができるのであれば、ヒータ駆動回路15は不要である。また、電源回路13は半導体素子を有しており、半導体素子も電気抵抗を有しているため電流を流せば発熱し、電源回路13で十分に発熱させることができるのであれば、電源回路は発熱回路と見なすことができ、ヒータ14も不要である。
【0059】
安全のため、シート10を皮膚に接触させて発熱させる場合に生じる低温やけどを防止するヒータ制御回路15とすることが好ましい。
【0060】
例えば、電源回路13で生じた電力がヒータ駆動回路15に比較回路を設け、ある値を超えないと判断された場合に、ヒータ14に電流を流して発熱させる。また、発熱させたヒータ14の抵抗値が温度によって変化する場合、その抵抗値がある値を超えるとヒータ14への電流供給をストップする制御スイッチを備えたヒータ駆動回路15としてもよい。また、長時間の発熱や、異常発熱を防止するためのリミッタを備えたヒータ駆動回路15としてもよい。ヒータ駆動回路15は、リミッタまたは制御スイッチまたは比較回路を少なくとも有する構成とする。
【0061】
この低温やけどを防止するヒータ駆動回路15により温度センサなしでヒータの自動制御を行うことができる。
【0062】
また、アンテナ11と同じ材料及び同じ工程で作製できるため、蛇行形状の金属膜で構成されたヒータ14を用いているが、特に限定されない。作製工程数が増加してもよいのであれば、ヒータの材料を一対の電極に挟む構造としてもよい。一対の電極に材料を挟む構造のヒータを用いる場合、下部電極線を平行に複数配置し、下部電極線が配置されている方向と垂直な方向に上部電極線を複数配置し、下部電極線と上部電極線が交差する箇所に発熱材料を配置する構成としてもよい。また、発熱材料を一対の電極に挟む構造のヒータをアクティブマトリクス状に複数配置して、それぞれスイッチング素子を設けて、ヒータを選択して発熱させてもよい。
【0063】
また、発熱材料として有機EL材料を用いることができる。一対の電極に挟まれた有機EL材料は、電圧印加により発光させることができ、さらに熱失活によって発熱させることもできる。従って、一対の電極の一方を透明導電膜とし、シートの材料として透光性の材料を用いれば、シートの外側に可視光を発光させることができ、ヒータに電流が流れて発熱していることをユーザーが確認できる。また、故障を目視で確認できるため、シートを交換できる。
【0064】
本発明の発熱機能を有するシートの使用例の一例を示す断面図を図1(B)に示す。
【0065】
シート10上に受信制御回路12に接続する配線16が設けられており、絶縁膜19上にアンテナ11とヒータ14が設けられている。なお、配線16によりアンテナの一端が受信制御回路12に接続している。図1(B)に示すように、受信制御回路12、電源回路13、及びヒータ駆動回路15は、ダイオード、薄膜トランジスタなどの半導体素子や容量素子や抵抗素子で構成する場合、同一作製工程でシート上に作製することができる。ダイオード、薄膜トランジスタなどに用いる半導体材料としては、シリコンの他に、ZnO(zinc oxide)、a−InGaZnO(amorphous−indium gallium zinc oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ITO(indium tin oxide)、SnO(tin oxide)などの化合物半導体または酸化物半導体を用いることができる。
【0066】
また、アンテナやヒータを覆う保護層17が設けられており、この保護層17が身体の一部の皮膚20と接触する。保護層17は、熱伝導性の高い樹脂材料を用いることが好ましく、伝熱緩衝層としても機能する。また、ヒータの加熱により保護層17を介してアンテナ11も加熱され、アンテナ11の存在により保護層17で均熱を図ることができる。図1(A)では、アンテナ11とヒータ14の間隔を空けて配置しているが、互いの間隔をより近づけることによってさらに均熱を図ることができる。例えば、アンテナをシートの外周縁に設け、ヒータを中心部に設け、ヒータをアンテナで囲む配置としてもよい。このように熱伝導性の高い樹脂材料からなる保護層でヒータ14とアンテナ11との両方を覆うことは有用である。
【0067】
また、保護層17は、平坦化膜としても機能する。同一作製工程でシート上に作製した場合、保護層17により、ほとんど表面に凹凸が生じないため、皮膚に保護層17を接触させた時に保護層17との接触面に違和感を感じさせない。
【0068】
発熱機能を有するシート表面を身体の一部の皮膚20の曲面にあわせるため、固定手段21によって押さえることにより固定する。固定手段21は、サポータ、手袋、靴下、アンダーウェアなどの皮膚と接触する装着具である。固定手段21を用いなくとも、保護層17と皮膚20との間に粘着テープなどの貼着手段を備えて固定してもよい。また、固定手段21として両面テープなどの粘着テープを用いてもよく、発熱機能を有するシートの外側で皮膚20と粘着テープとを固定してもよい。
【0069】
また、身体を動かすことによって位置がずれるのを防ぐため、針と糸を使って固定手段21に縫い込むことによってさらに固定してもよい。本発明の発熱機能を有するシートはミシンを用いることができるほど薄いため、固定手段21に縫い込んでも目立たない。また、本発明の発熱機能を有するシートは軽く、縫い込んでも重量にほとんど変化がなく人の動きの邪魔にもならない。また、本発明の発熱機能を有するシートの電力供給は無線で行うため、配線コード、スイッチボタンなども不要であり、保護層17により電極が露出していないため、水や汗が付着しても身体への感電や漏電なども生じない。
【0070】
本実施の形態では、電磁誘導方式であるので、通信距離が数十cmであり、その範囲内の発信装置18から電波を送信する。発信装置18は、固定型の発信装置であってもよいし、携帯型の発信装置であってもよいし、複数の発信装置を用いてもよい。また、図2(A)に示すように、主となる発信装置18から発信した電波を発信装置18とシート10の間に配置した副発信装置22で受信し、さらにその副発信装置22が電波を発信して皮膚20に固定されたシート10に受信させることで、大幅な送信範囲の距離延長を図ってもよい。なお、副発信装置22は、バッテリーを有し、送受信回路を有する。
【0071】
なお、発信装置18は、低温やけどを防ぐため、6時間以上の連続加熱を防止するオフタイマー機能を有することが好ましい。また、本実施の形態においては、送信のみの機能でよいため、発信装置18の構成は単純なものとすることができる。
【0072】
本実施の形態では、電磁誘導方式であるため、電波が回り込み、発信装置18から身体の一部に配置したシートの発熱回路も加熱することができる。
【0073】
図1(A)では必要最低限の要素のみを示したが、より細かい自動温度調節を行うため、さらに温度センサを同一シート上に形成する例を以下に説明する。
【0074】
図2(B)に示すように、本発明の発熱機能を有するシート620は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路611、クロック発生回路612、データ復調/変調回路613、発熱回路等を制御する制御回路614、インターフェイス回路615、記憶回路616、データバス617、アンテナ618、温度センサ621、センサ回路622、発熱回路623を有する。
【0075】
電源回路611は、アンテナ618から入力された交流信号を基に、シート620の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路612は、アンテナ618から入力された交流信号を基に、シート620の内部の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。データ復調/変調回路613は、発信及び受信装置619と交信するデータを復調/変調する機能を有する。制御回路614は、記憶回路616を制御する機能も有する。また、CPUを有する制御回路614としてもよい。アンテナ618は、電波の送受信を行う機能を有する。発信及び受信装置619は、送信回路625と、シートとの交信、シートの制御及びそのデータに関する処理を行う制御回路624と、受信回路626とを有する。なお、シート620は上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路やペルチェ素子といった他の要素を追加した構成であってもよい。
【0076】
なお、記憶回路616は、例えば、DRAM、SRAM、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリから選択される1つ又は複数に相当する。
【0077】
温度センサ621は抵抗素子、熱起電力素子、サーミスタなどを用いる。工程数が増加しないように薄膜トランジスタと同じ工程で温度センサ621を作製することもできる。薄膜トランジスタのゲート電極やソース配線やドレイン配線などと同じ金属材料(アルミニウム、クロム、モリブデンまたはこれらの合金)を用いて、積層構造の配線を形成する。積層の金属材料の種類により配線は、温度によって抵抗値が変化する抵抗素子と見なすことができ、温度センサと呼べる。温度センサは幅、長さ、膜厚は、用いる金属材料の比抵抗と温度係数に基づいて決定すればよい。この温度センサの等価回路を図2(C)に示す。
【0078】
駆動電圧V1が印加される端子と接地との間には第1の抵抗R1と第2の抵抗R2とが直列に接続されている。第1の抵抗R1が温度センサに相当する。第1の抵抗R1は温度によって抵抗値が変化するため、出力電圧V2も変化する。出力電圧V2の変化の割合が温度に比例して線形を示す積層構造の配線を用いることが好ましい。なお、第2の抵抗R2は固定された抵抗である。
【0079】
また、温度センサに加えて、他のセンサ(光電変換素子を用いた光センサ)を搭載することもできる。センサ回路622はインピーダンス、リアクタンス、インダクタンス、電圧又は電流の変化を検出し、アナログ/デジタル変換(A/D変換)して制御回路614に信号を出力する。
【0080】
より細かい自動温度調節を行うシート620の動作の一例を示す。発信及び受信装置619の送信回路625から発信された無線信号によりアンテナ618を介して電源回路611で電力を形成し、電力の一部を使って発熱回路623を発熱させる。また、電力の他の一部を使って温度センサ621及びセンサ回路622で温度データの基となる電圧又は電流の変化を検出し、アナログ/デジタル変換して制御回路614に信号を出力する。その信号を記憶回路616で記憶させた後、データ復調/変調回路613で復調/変調してアンテナから信号を発信及び受信装置619に送信する。そして、送信された信号を受信回路626で受け取った発信及び受信装置619は、制御回路624で温度を算出し、無線信号の発信を続けるか、停止するかを決定する。
【0081】
上記動作は、リアルタイムで温度測定を行い、発信及び受信装置619とデータの送受信を行うことによって自動温度調節を行う例である。
【0082】
発熱機能を有するシートを複数用いて、様々な箇所の加熱を行いたい場合、上記動作では、ある一つのシートが高温となった場合、発信及び受信装置の無線信号の発信が停止されるため、全部のシートの加熱が停止されることとなる。
【0083】
そこで、発熱機能を有するシートにCPUおよび充電可能なバッテリーを設けることによって、複数のシートを用いても発信及び受信装置に依存することなく、それぞれの加熱を自動で調節するように動作させることが好ましい。
【0084】
独立して自動温度調節を行うシートの動作の一例を示す。発信及び受信装置619の送信回路625から発信された無線信号によりアンテナ618を介して電源回路611で電力を形成し、電力の一部を使って温度センサ621及びセンサ回路622で温度データの基となる電圧又は電流の変化を検出し、アナログ/デジタル変換して制御回路614に信号を出力する。その信号を記憶回路616に記憶されたデータと制御回路614に設けたCPUで比較することによって正確な温度を算出し、発熱回路623に電流を流すか流さないかを決定する。また、流さない場合には、電源回路611に設けた充電可能なバッテリーに充電する。CPUを搭載する場合にはより多くの電力が必要となるため、電源回路611に充電可能なバッテリーを設けることが好ましい。
【0085】
充電可能なバッテリーとしては、二次電池又は蓄電池とよばれるもので、外部電源から得た電気的エネルギーを化学的エネルギーの形に変換して蓄え、必要に応じて再び電力として取り出す装置であり、リチウム電池、好ましくはゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池や、リチウムイオン電池等を用いる。バッテリーは、薄いことが重要であるため、シート状に形成された電池を用いることが好ましい。ただし、バッテリーを設けると、作製工程数が増加し、製造コストが増大するため、バッテリーに代えて、半導体素子と同一工程で形成できる大容量のコンデンサを用いてもよい。コンデンサは、絶縁した二つの導体が近接し、二つの導体の一方が正、他方が負の電荷を帯びることでその電気間の引力により電荷が蓄えられる装置である。
【0086】
制御回路614にCPUを設けたとしても、非特許文献1に開示されているように薄膜トランジスタで構成したCPUの平面面積は14mm×14mmであり、アンテナやヒータの平面面積に比べて十分小さい。
【0087】
ただし、独立して自動温度調節を行うシートに、タイマーオフ機能を搭載することは困難であるため、長時間の連続加熱による低温やけどを防止するためのタイマーオフ機能を発信及び受信装置619の制御回路624に具備させておくことが好ましい。
【0088】
また、それぞれのシートの記憶回路に識別データを記憶させ、発信及び受信装置619の制御回路624で選択した識別データの交信が行われたシートのみを選択的に発熱の停止を行うことができる。識別データの交信は、シートへの電力供給の電波とは周波数の異なる電波を用いる。こうすることでシート毎に加熱する時間や昇温のプログラミングを発信及び受信装置619の制御回路624で行うこともできる。なお、異なる電波を用いる場合、その電波用にアンテナ及び整流回路を別途設ける。
【0089】
また、本実施の形態では、シート上に薄膜トランジスタ等を含む回路を形成し、その上にアンテナやヒータを形成する例を示したが、特に限定されず、シート上のアンテナやヒータを形成した後、SOI技術などを用いたMOSトランジスタを含むシリコンチップを実装してもよい。勿論、実装する場合には、人体に有害な鉛を含むハンダを用いて接続を行うわけにはいかないため、鉛フリーハンダや異方性導電接着材などを用いてアンテナやヒータと電気的な接続を行うことが好ましい。ただし、こうして実装されるアンテナとシリコンチップの接続部分は、曲げに弱いため、接続部分を守るために硬質の材料からなる平板で上下から固定することが好ましい。シリコンチップ及び接続部分は1mm×1mm程度とシート全体及びアンテナサイズに比べて十分小さいため、平板も小さくでき、シート全体のフレキシブル性にほとんど影響がない。
【0090】
(実施の形態2)
実施の形態1では電磁誘導方式の伝送方式を用いる例を示したが、ここではマイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)又は2.45GHz帯等)を適用する場合の例を以下に説明する。マイクロ波方式の場合、通信距離を数mとすることができるが、電磁誘導方式に比べて指向性が強く、人間の身体や水分に電波が吸収される問題がある。
【0091】
伝送方式として電波方式の一種であるマイクロ波方式を適用する場合、信号の伝送に用いる電波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電膜の長さや形状を適宜設定すればよい。アンテナとして機能する導電膜は例えば、線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、スロットアンテナ、パッチアンテナ)等に形成することができる。
【0092】
また、アンテナに必要な長さは受信に用いる周波数によって異なる。例えば周波数が2.45GHzの場合には、半波長ダイポールアンテナを設けるなら約60mm(1/2波長)、またはモノポールアンテナを設けるなら約30mm(1/4波長)とすればよい。特に好ましくは周波数が900MHzの場合に100mm以上150mm以下のアンテナを用いて電波方式により受信を行う。
【0093】
本実施の形態では、1枚のフレキシブルなシート上に複数の発熱回路を配置する例を示す。
【0094】
図3(A)は、1枚のシート30上に2つのヒータを配置している。それぞれ電気的に絶縁されており、第1のヒータ34は、第1の回路部33と電気的に接続され、第1のアンテナ31と第1の回路部33とが電気的に接続されている。シート30よりも硬度の高い樹脂材料の第1のフィルム32と、シート30との間に第1のアンテナ31、第1の回路部33、及び第1のヒータ34が配置されている。第1のフィルム32は、曲げによる素子破壊や断線を低減するために設けられている。特に、図3(A)に示すようにアンテナ形状が細長い場合に有用である。
【0095】
本実施の形態では、予め、第1のフィルム32上に第1のアンテナ31と第1のヒータ34とを設けておき、得られた第1のフィルム32と、第1の回路部33が設けられたシート30とを貼り合わせ、導電材料を含む材料を用いてそれぞれ導通させることによって作製する。第1の回路部33は、SOI技術やFSA(Fluidic Self Assembly)技術などを用いて作製した薄い単結晶シリコンを用いたトランジスタを含む。FSA技術とは、水中で凹部を表面に有するフィルム上にシリコンチップをふりまき、凹部にシリコンチップを配列する技術である。また、SOI技術は、SIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法で絶縁膜上に形成された単結晶の半導体膜(SOI:Silicon on Insulator)をトランジスタの活性層とする技術である。
【0096】
また、第2のヒータ44は、第2の回路部43と電気的に接続され、第2のアンテナ41と第2の回路部43とが電気的に接続されている。シート30よりも硬度の高い樹脂材料の第2のフィルム42と、シート30との間に第2のアンテナ41、第2の回路部43、及び第2のヒータ44が配置されている。第2のフィルム42も、極端な曲げによる素子破壊や断線を低減するために設けられている。
【0097】
図3(A)に示すシート30を曲げた場合、第1のフィルム32と第2のフィルム42の間で大きく曲げることができる。このようにシート全体が自由に曲がるのではなく、曲げる方向をある程度制限することで、アンテナやヒータの断線を防止し、回路部の接続部分の信頼性を向上させることができる。例えば、回路部の接続部分を中央に配置することで、極端な曲げによる素子破壊を防止することができる。
【0098】
また、シート30の収納において、曲げる方向をある程度制限されていれば、図3(B)のように収納容器50の中に、ロール状に丸めてもアンテナやヒータの断線はほとんど生じない。また、シート30の一方の面に貼着手段を設ければ、テープのように用いることができる。
【0099】
なお、マイクロ波方式の場合、人間の身体に電波が吸収されるため、アンテナと発信装置の間に人間の身体が配置されると、アンテナが受信することができない。
【0100】
人の片腕を例に図3(C)を用いて説明すると、人の片腕60の一方の面に第1のシート51を配置し、もう一方の面に第2のシート52を配置した場合、発信装置53から発信したマイクロ波は、第1のシート51の加熱を行えるが、第2のシート52にマイクロ波を送信することは困難である。従って、第1のシート51及び第2のシート52の両方を同時に加熱したい場合には、もう一つ発信装置54を配置する。また、第1のシート51及び第2のシート52を加熱する場合、交互に加熱するのでもよいのであれば、発信装置53を適宜、動かしてマイクロ波を受信させればよい。
【0101】
また、図3(C)に示すように主となる発信装置53から発信した電波を副発信装置55で受信し、さらにその副発信装置55が電波を発信することで、身体に電波を吸収されないように回り込ませてもよい。また、副発信装置55に代えて、マイクロ波を反射する反射板を配置して回り込ませてもよい。
【0102】
また、図3(A)の配置に限定されず、より小型化を図る場合には、図4(A)、(B)に示すような配置としてもよい。図4(A)、(B)では、ヒータ82がアンテナ81と絶縁膜88、89を介して一部重なる構成を示している。図4(A)中の鎖線A−Bの断面図が図4(B)に相当する。また、回路部83はシート84上に薄膜トランジスタを含む回路で構成されており、薄膜トランジスタのゲート電極と同じ工程でヒータ82を作製している。図3(A)に比べて図4(A)は幅を狭くでき、単一面積当たりに配置するヒータ82の数を増やすことができる。
【0103】
また、図4(C)に示すような配置としてもよい。図4(C)においては、シート90上に第1のヒータ92が形成され、アンテナ91と第2のヒータ94とが同じ材料で形成されている例である。回路部93は、アンテナ91と、第1ヒータ92と第2ヒータ94とそれぞれ電気的に接続している。第1ヒータ92と第2ヒータ94は、異なる面に形成されているため、被加熱体に対して異なる加熱を行うことができる。例えば、被加熱体から距離が遠い方のヒータのみの加熱を行って弱い加熱を行った後、両方のヒータを加熱して強い加熱を行うことができる。人の肌を温める場合には、急に加熱するのではなく、徐々に加熱するほうが刺激やストレスを軽減できる。
【0104】
また、図4(C)に示すように、異なる面に2つのヒータを設け、上下に配置された2つのヒータの間に回路部を配置することで静電破壊を低減することもできる。
【0105】
また、図4(D)は、温度センサ74を設けた例であり、シート70上に形成された回路部73には温度センサ74と、ヒータ72と、アンテナ71とがそれぞれ電気的に接続されている。温度センサ74を搭載することで、ヒータの加熱温度制御ができる。また、本発明において、シートの形状は限定されず、図4(D)に示すように、外周縁が全て曲線で構成されているシート70としてもよい。
【0106】
(実施の形態3)
本実施の形態では、基板上に薄膜トランジスタ及びコンデンサを含む回路を作製し、剥離技術を用いて基板から回路を剥離した後、フレキシブルな基材上に回路を配置して半導体装置、具体的には発熱機能を有するシートを作製する一例を以下に示す。
【0107】
まず図5(A)のように、絶縁表面を有する基板531を用意する。基板531は、薄膜トランジスタを製造する装置に必要な剛性と、プロセス温度に耐えうる耐熱性を備えた基板を選択する。例えば、基板531として、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板を用いることができる。本実施の形態では、基板531として、サイズが600mm×720mmのガラス基板を用い、1枚のガラス基板を用いて複数の薄膜トランジスタを作製し、発熱機能を有するシートの大量生産を低コストで行う。
【0108】
次いで、基板531表面に剥離層532を形成する。剥離層532は、後に形成される積層体を基板531から剥離するために形成する層である。特開2003−174153に記載の技術により、シリコンを活性層とするTFTをフレキシブル基板またはフィルム上に設けることが可能である。本実施の形態では、剥離層532は、タングステン膜を用いる。なお、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを設ける方法は、上述(特開2003−174153)に限定されるものではない。例えば、被剥離層と基板との間に剥離層を設け、この剥離層を薬液(エッチャント)或いはエッチングガスで除去して被剥離層と基板とを分離する方法や、被剥離層と基板との間に非晶質シリコン(またはポリシリコン)からなる剥離層を設け、基板を通過させてレーザー光を照射して非晶質シリコンに含まれる水素を放出させることにより、空隙を生じさせて被剥離層と基板を分離させる方法などを用いることが可能である。
【0109】
次いで、剥離層532の表面に薄膜トランジスタの下地絶縁膜を構成する絶縁膜523を形成する。絶縁膜523は、薄膜トランジスタへの汚染を防ぐため、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン(SiO)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)等から選ばれた材料を用いて、単層膜、多層膜で形成することができる。これらの膜はCVD法やスパッタ法で形成することができる。ただし、剥離層532であるタングステン膜と接する絶縁膜523に酸素を含まない膜を用いる場合、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液による酸化処理により、タングステン膜表面を酸化させて酸化タングステン層を得た後、絶縁膜523を成膜し、後の工程で剥離を行う。
【0110】
次いで、絶縁膜523上に半導体膜を形成し、半導体膜を覆って絶縁膜524を形成する。本実施の形態では、半導体膜としてポリシリコン膜または微結晶シリコン膜または単結晶シリコン膜を用いる。また、単結晶シリコン膜は、SOI技術を用いて、シリコン基板から得られる薄膜の単結晶シリコン膜を絶縁膜523上に接合させてもよい。なお、半導体膜の半導体材料としては、シリコンの他に、ZnO、a−InGaZnO、IZO、ITO、SnOなどの化合物半導体または酸化物半導体を用いることができる。半導体膜はTFTのチャネル形成領域536、不純物領域535が形成される半導体層である。また、半導体膜は、コンデンサ552の電極を構成する。
【0111】
本実施形態では、TFTをトップゲート構造としたため、絶縁膜524はゲート絶縁膜として機能する。また、絶縁膜524はコンデンサ552の誘電体としても機能する。絶縁膜524は、酸化シリコンや窒化酸化シリコン(SiO)の単層膜、多層膜でなり、厚さは10nm以上60nm以下の範囲とすればよい。これらの絶縁膜はCVD法またはスパッタリング法で形成することができる。
【0112】
次いで、絶縁膜524上に第1の導電層534を形成し、成膜する。第1の導電層534を構成する導電膜は、単層の導電膜でも、多層の導電膜でもよい。導電膜には、例えば、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロムから選ばれた元素でなる金属、これら元素を組み合わせた合金や、これら元素の窒化物でなる膜を用いることができる。また、リンなどのドーパントを添加することで導電性を付与されたシリコンなどを用いることができる。図5では、第1の導電層534としてTFTのゲート電極と、コンデンサの電極を図示した。また、半導体膜に不純物を添加して、pチャネルTFT550やnチャネルTFT551のソース領域またはドレイン領域として機能するn型またはp型の不純物領域535と、コンデンサの電極となる不純物領域を形成する。不純物の添加は、第1の導電層534の形成前、または形成後に行うことができる。あるいは形成前および形成後の双方とも行うこともできる。不純物領域535が形成されることで、半導体膜にチャネル形成領域536も形成される。
【0113】
次いで、基板531全面に絶縁膜525を形成する。絶縁膜525上に第2の導電層537を形成する。絶縁膜525は、第1の導電層534と第2の導電層537を層間で分離する層間膜である。絶縁膜525には、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化窒化シリコン(SiO)等の無機絶縁膜を用いることができる。また、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂膜、シロキサンを含む膜を用いてもよい。有機樹脂は感光性、非感光性のいずれでもよい。絶縁膜525は、これらの絶縁材料からなる単層構造でも多層構造とすることができる。
【0114】
第2の導電層537としては、単層の導電膜でも、多層の導電膜でもよい。導電膜には、例えば、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロムから選ばれた元素、これら元素を組み合わせた合金や、これら元素の窒化物でなる膜を用いることができる。
【0115】
第2の導電層537は、pチャネルTFT550やnチャネルTFT551の配線であり、アンテナとの接続電極538、発熱体との接続電極539も同時に形成する。図5では、TFTに接続された配線と、アンテナ511や発熱体514と接続するための接続電極のみを図示した。また、第2の導電層537を形成する前に、第2の導電層537を下層の第1の導電層534や半導体膜に電気的に接続するために、絶縁膜524、525にコンタクトホールが形成される。なお、曲げによる断線を防ぐため、複数のコンタクトホールを設けて、複数箇所で電気的接続が行われるようにする。
【0116】
次いで、pチャネルTFT550やnチャネルTFT551やコンデンサ552を含む回路部上に絶縁膜526が形成される。絶縁膜526は、回路部による凹凸を平滑化して、平坦な表面を形成できる平坦化膜として形成することが好ましい。そのため、材料を塗布または印刷し、しかる後、この材料を硬化することで形成できるポリイミド、アクリルなどの有機樹脂膜、シロキサンを含む膜を用いることが好ましい。また、絶縁膜526は単層構造ではなく、これらの有機樹脂膜などを上層に、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化窒化シリコン(SiO)等の無機絶縁膜を下層にした多層構造とすることができる。
【0117】
なお、pチャネルTFT550やnチャネルTFT551やコンデンサ552を含む回路部には、TFT及びコンデンサの他、抵抗や、ダイオードなどが同時に作製されている。pチャネルTFT550とnチャネルTFT551を用いればCMOS回路を構成することができる。また、CPUも回路部に作製することが可能である。回路部の厚さは、3μm〜5μm程度に薄く形成することができる。なお、回路部のTFTの構造は図5(A)の構造に限定されるものではない。例えば、回路部のTFTを1つの半導体層に対して複数のゲートを設けたマルチゲート構造とすることもできる。また、半導体層にチャネル形成領域に隣接して低濃度不純物領域のような高抵抗領域を形成することができる。また、トップゲート構造の代わりに、ボトムゲート構造とすることもできる。
【0118】
次いで、絶縁膜526上に第3の導電層540を形成する。第3の導電層540を設けることで、後に形成するアンテナや発熱体と電気的な接続を確実に行うことができる。また、第3の導電層540は、密着性を向上させるために設ける導電膜、例えばチタン膜やモリブデン膜であり、特に密着性が十分にある場合は設けなくとも良い。
【0119】
次いで、アンテナ511及び発熱体514を形成する。アンテナ511及び発熱体514は、導電膜をスパッタ法や蒸着法で形成した後エッチングで所望の形状に加工する方法や、スクリーン印刷法、液滴吐出法などのエッチングを用いない方法で形成することができる。前者の方法のほうがより薄いアンテナ511及び発熱体514を作製することができる。アンテナ511及び発熱体514には銅、銀、金、アルミニウム、チタン、クロムなどが用いられる。さらにこれらの金属または合金に加え、樹脂を含ませることによって曲げに強いアンテナ511及び発熱体514を実現できる。作製方法には特段の制約はなく、スパッタリング法、スクリーン印刷法、液滴吐出法等を用いることができる。本実施の形態では、蒸着マスクを用いて、クロムを選択的に蒸着することによって、アンテナ511及び発熱体514を形成する。
【0120】
本実施の形態では、工程数削減のため、アンテナ511及び発熱体514を同時に形成する例を示したが、スクリーン印刷法により銀を含むエポキシ樹脂からなる発熱体514を形成した後、インクジェット法により銀ナノペーストを用いてアンテナ511を形成して、それぞれの機能に適した材料を用いてもよい。
【0121】
また、アンテナ511の材料にアルミニウム膜を用い、第3の導電層540としてモリブデン膜を用いた場合、工程数を増加させることなく、アルミニウム膜とモリブデン膜との積層構造の配線を温度センサとして別途形成することができる。温度センサを設けることによって、発熱体の制御を細かく行うことができる。本実施の形態では、回路部にリミッタを設けることで、発熱体に流れる電流の上限を制限する。
【0122】
次いで、アンテナ511及び発熱体514を覆う保護層527を形成する。保護層527は、後に記載する剥離工程において回路部およびアンテナ等の損傷を抑えるため、素子層を保護する。保護層527には簡便な形成手段、例えば塗布法、スプレー法などで形成できる材料を選択することが好ましい。これらの条件を全て兼ね備えた材料として、保護層527を樹脂で形成することが好ましい。例えば、保護層527に用いる樹脂として、熱伝導性の高い樹脂材料が好適であり、樹脂の材料としてはポリフェニレンスルホン樹脂が挙げられる。保護層527に熱伝導性の高い樹脂材料を用いることで、発熱体で発生させた熱を効率よく取り出すとともに、温度分布を均一にすることができる。保護層527はアンテナ511および発熱体514を保護するために十分な機械的強度を有するとともに、表面の平滑性を確保することができる。
【0123】
以上により、基板531上に回路部を含む積層体の作製が完了する。この段階での断面図が図5(A)に相当する。なお、回路部は、アンテナで受信した電波を電力に変換する回路(共振回路や電源回路等)や、発熱体の発熱を制御する制御回路(リミッタ回路等)を少なくとも含んでおり、電波を電力に変換する回路はコンタクトホールを介してアンテナと電気的に接続されており、発熱体の発熱を制御する制御回路は、コンタクトホールを介して発熱体と電気的に接続されている。
【0124】
次いで、図5(B)に示すように、開口部540を形成する。開口部540は剥離層532に達するか、剥離層532を貫通するように形成される。開口部540の形成方法は、ダイサーやワイヤソーなどで物理的に積層体を切断する方法、また、レーザービームを照射したレーザーアブレーションを用いて積層体を切断する方法、エッチングにより形成する方法が採用できる。このうち、レーザーアブレーションによる切断方法が、短時間で処理が行え、他の方法よりもアンテナ511や回路部に与えられる衝撃が小さいため好ましい。
【0125】
また、開口部540を形成することで、積層体の側面が形成される。また、保護層527と共に積層体を分割しているため、絶縁膜523〜526でなる積層膜の側面と保護層527の側面とを揃うように形成することができる。
【0126】
次いで、図5(C)に示すように、保護層527の上面に支持基材541を取り付ける。支持基材541は、積層体522を可撓性基材513に転置するまで積層体522を支持するための基材である。そのため、支持基材541は積層体522から除去することが容易な基材が選択される。例えば、支持基材541として、通常の状態ではその接着力が強く、熱を加える、または光を照射することによりその接着力が弱くなる性質を有する基材を用いるとよい。例えば、加熱することにより接着力が弱くなる熱剥離テープや、紫外光を照射することにより接着力が弱くなるUV剥離テープ等を用いるとよい。また、通常の状態で接着力が弱い弱粘性テープ等を用いることができる。
【0127】
また、ここでは、開口部540を形成した後、支持基材541を取り付けた例を示したが、先に支持基材541を取り付けた後、支持基材541を貫通する開口部を形成してもよい。
【0128】
次いで、剥離層532の内部や、剥離層532に接する層との界面における分子の結合力を弱めて基板531から積層体522を分離する。本実施の形態では、物理的手段により剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指しており、その手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理)である。支持基材541に力を加えることで、図5(D)に示すように、基板531から積層体522を分離することができる。
【0129】
剥離層532の内部などで、分子の結合力を弱める方法には、剥離層532に予め分子の結合力を弱い部分が形成されるようにする方法や、剥離層532を形成してから、分子の結合力を弱める加工をする方法がある。
【0130】
また、開口部540を形成することで、保護層527が縮もうとする力が剥離層532に加わり、剥離層532と絶縁膜523の界面や、剥離層532の内部で剥離を進行させることができる。
【0131】
次いで、図6(A)に示すように、基板531を剥離した積層体522の底面、即ち絶縁膜523の露呈している面に、可撓性基材513を固定する。可撓性基材513は基材フィルムと接着層との積層構造を有する。基材フィルムは、樹脂材料を用いることができ、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドを用いることができる。また、基材フィルムは、接着性合成樹脂フィルムであるアクリル樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。本実施の形態では、効率よく発熱を取り出すために、可撓性基材513は熱伝導性の低い断熱材料(ポリエチレン樹脂)を用いる。
【0132】
可撓性基材513は、基板531を除去した積層体522の面を平滑にする機能を有する。可撓性基材513には、基材フィルムの厚さが2μm以上であり、可撓性基材513全体の厚さ(基材フィルムと接着層の合計の厚さ)が20μm以下の薄い基材を用いることができる。
【0133】
次いで、支持基材541を積層体522から剥がす。そして、所望の形状に可撓性基材513を切断することによって、複数の積層体522をそれぞれ切り分ける。以上の手順により、図6(B)に示す半導体装置501が完成する。
【0134】
また、切断しない場合には、600mm×720mmのガラス基板を用いたため、ほぼ同じサイズのシートを作製することもできる。
【0135】
なお、半導体装置501の表面は、二酸化シリコン(シリカ)の粉末により、コーティングされていてもよい。コーティングにより、高温で高湿度の環境下においても防水性を保つことができる。また、基材フィルムの表面は、インジウム錫酸化物等の導電性材料によりコーティングされていてもよい。コーティングした材料によって、基材フィルムに電荷がたまるのを防止できるため、回路部を静電気から保護することができる。その表面は、炭素を主成分とする材料(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)によりコーティングされていてもよい。コーティングにより強度が増し、半導体装置の劣化や破壊を抑制することができる。
【0136】
また、図6(B)に示したアンテナ511は、スパイラル構造のアンテナであり、発信装置からの通信信号により形成される磁界中に半導体装置501を置くと、アンテナ511と共振回路により、誘導起電力を生じる。誘導起電力は、電源回路のコンデンサ552により保持される。また、コンデンサ552によって誘導起電力の電位が安定化されてされる。回路部の各回路に電源電圧として供給される。そして、発熱体514を加熱することによって保護層527を加熱し、保護層527と接するアンテナも加熱され、均一な加熱温度分布を有する半導体装置となる。
【0137】
また、図6(B)に示したアンテナ511は、スパイラル構造のアンテナの例であるが、他の構造のアンテナを用いることもできる。例えば、実施の形態2に示すように、ダイポールアンテナ等の線状のアンテナとすることができる。アンテナの長さ、形状、大きさなどは半導体装置501の通信距離などに応じて適宜に選択される。
【0138】
また、図6(B)に示した発熱体514は、アンテナと同じ工程で形成した電気抵抗を有する金属線の例であるが、第2の導電層537と同じ工程で形成した金属配線、第1の導電層534と同じ工程で形成した金属配線、不純物領域535と同じ半導体膜で形成した配線などで発熱体を形成することもできる。また、これらの金属線をコンタクトホールで電気的に接続し、発熱体を複数の材料で構成して電気抵抗を高めてもよい。また、工程数が増えるが、発熱体514に代えて、他の構造の発熱回路を用いることもできる。
【0139】
また、図7に示すように、ラミネート装置を用いて、積層体522の底面と上面だけでなく側面をも一対の可撓性基材560、561で封止することもできる。可撓性基材560、561は、両方とも、基材フィルムの厚さが2μm以上であり、可撓性基材全体の厚さ(基材フィルムと接着層の合計の厚さ)が20μmを超えないような薄い基材を用いることができる。このような厚さの可撓性基材を選択することで、図7に示すように可撓性基材を2つ用いても、半導体装置501の厚さを、50μm以下、さらに薄く40μm以下にすることが可能である。
【0140】
また、可撓性基材に代えて繊維体を用いることもできる。図8(A)及び図8(B)に示す断面図を用いて、繊維体を用いる方法を説明する。図5(D)の工程の後、絶縁膜523の露呈している表面に繊維体553を配置する。この段階の図が図8(A)に相当する。繊維体553は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、絶縁膜523の露呈している表面全面を覆う。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができる。なお、繊維体553は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0141】
また、繊維体553は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等適宜用いることができる。
【0142】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体553の厚さを薄くすることが可能である。このため、薄型の半導体装置を作製することができる。繊維の糸束径は4μm以上400μm以下、さらには4μm以上200μm以下であれば、回路部の保護を行うことができる。
【0143】
なお、本明細書の図面においては、繊維体553は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。また、図面においてTFTが繊維体553の糸束よりも大きいが、TFTが繊維体553の糸束よりも小さい場合もある。
【0144】
次に、図8(B)に示すように、繊維体553及び積層体522上に有機樹脂層554を形成する。有機樹脂層554はエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子層に固着することが可能である。
【0145】
有機樹脂層554の形成方法としては、印刷法、キャスト法、液滴吐出法、ディップコート法等を用いることができる。
【0146】
このとき、有機樹脂層554中の有機樹脂を繊維体553に含浸させる。即ち、繊維体553は有機樹脂層554中に含まれる。このようにすることで、繊維体553及び有機樹脂層554の密着力が高まる。
【0147】
次に、有機樹脂層554を加熱して、有機樹脂層554の有機樹脂を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
【0148】
そして、支持基材541を積層体522から剥がす。
【0149】
以上の工程で、繊維体553上に積層体522を設けることができる。繊維体553を含む有機樹脂層554により高温高湿の環境に対して信頼性を向上させることができる。さらに、保護層527の露呈している表面に繊維体555を配置し、有機樹脂層556を形成することが好ましい。この場合、有機樹脂層556または繊維体555の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させる。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等がある。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。導電性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより発熱体514の発熱を外部に放出しやすくなる。
【0150】
また、可撓性基材に代えて紙を用いることができる。図9に示す断面図を用いて、複数の半導体装置501を紙に抄き込む方法を説明する。本実施形態の紙は、多層紙として形成され、紙層と紙層の間に複数の半導体装置501が抄き込まれる。
【0151】
まず、パルプを水に溶かした紙料を用意する。紙料を均一に攪拌し脱水して、湿紙571を形成する(図9(A)参照)。
【0152】
層間強度を向上させるために、湿紙571の一方の面に、燐酸エステル化澱粉などの澱粉やカチオン性ポリアクリルアミド等を噴霧する。その後、層間補強剤として澱粉などを噴霧した表面に、半導体装置501を並べる(図9(B)参照)。なお、図9では、1枚の紙に3つの半導体装置501を抄き込む例を示しているが、1枚の紙に3つ以上の複数の半導体装置501を抄き込むこともできる。
【0153】
別に用意した湿紙572を湿紙571にのせて、湿紙571と湿紙572をプレスして、湿紙571と湿紙572を抄き合わせる。半導体装置501が湿紙571、572になじむように、半導体装置501の表面を親水性とすることが望ましい。そのため、例えば、保護層527の表面をプラズマ処理、コロナ処理などを施して、親水性に改質する、また親水性を高めるようにすることが好ましい。保護層527の表面を処理するタイミングは、積層体522を分割する前でも、分割した後のいずれでもよい。
【0154】
湿紙571と湿紙572をプレスした後、乾燥することで、紙層573と紙層574の間に半導体装置501が抄き込まれた紙575が形成される。なお、半導体装置501のアンテナ511や発電体514や回路部の導電層が反射率の高い材料で形成されるため、紙575の色が白かったり、薄かったりする場合は、抄き込まれた半導体装置501が目立つおそれがある。半導体装置501が目立たないようにするため、発電体514やアンテナ511や導電層の表面に凹凸を形成する。表面に生じた凹凸により、発電体514やアンテナ511や導電層の表面で光が乱反射されて、表面が白濁したように見えることから、半導体装置501を目立たなくする効果が得られる。例えば、アルミニウムは加熱することで表面に凹凸を生じる。
【0155】
なお、図9では紙575は2層の多層紙としたが、3層以上の多層紙としてもよい。半導体装置501を紙に抄き込む方法は、多層に抄紙する方法が好適である。それは、半導体装置501を抄き込む位置の制御が容易であるからである。例えば、半導体装置501を水に溶かした紙原料中に沈める方法では、厚さ方向の位置を制御することが難しく、厚さ方向の位置を制御するために半導体装置501の比重と紙秤量を均衡させる必要があり、様々な種類の紙に半導体装置501を抄き込むことは難しくなる。一方、多層抄紙であれば、厚さ方向の位置制御について問題が無い。
【0156】
上述した作製方法により、大面積のガラス基板を用いて、半導体装置を大量生産することができ、1つ当たりの単価を安くできるため、使い捨ての用途に用いることができる。特に、医療、美容、食品包装などの分野において、シートを衛生上取り替えることが好ましい場合に本発明は有用である。なお、半導体装置の作製現場は、清浄であり、医療、美容、食品包装などの分野において、衛生上問題ない。
【0157】
また、本実施の形態は、実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
【0158】
(実施の形態4)
本実施の形態では、アンテナを複数設ける例を示す。図10(A)にブロック図の一例を示す。
【0159】
半導体装置400は第1のアンテナ401、第2のアンテナ402、制御回路403、感温部404、センサー回路407、整流回路409、発熱体410、発振回路302、変調回路303、復調回路304、論理回路305、AD変換回路306、メモリ回路308、充電回路310、バッテリー311、安定化電源回路312を有する。
【0160】
本実施の形態においては、電力を受信する第1のアンテナ401と信号を受信する第2のアンテナ402とを有している。このように機能によってアンテナを使い分けることによって、電力を送るための電波の周波数と、信号を送るための電波の周波数とを分けることができる。たとえば電力を送るための電波の周波数を13.56MHzとして磁界を用いて伝送し、信号を送るための電波の周波数を950MHzとして、電界を用いて伝送することができる。周波数及び磁界、電界を使い分けることによって、電力伝送は近距離のみの通信とし、信号伝送は遠距離も可能なものとすることができる。950MHzで電力を送った場合、遠方まで大電力が伝送され、他の無線機器の受信妨害を起こす可能性がある。そのため、近距離で済む場合には周波数を下げ、磁界を使用した伝送をおこなった方がよい。
【0161】
本実施の形態の半導体装置400の動作を以下に説明する。第1のアンテナ401で受信した交流信号は、整流回路409に含まれるダイオードにより半波整流され、平滑容量によって平滑される。この平滑された電圧を用いて、充電回路310は動作し、バッテリー311に充電を行う。バッテリー311は薄膜二次電池や大容量のコンデンサを用いることができる。
【0162】
バッテリー311は、フレキシブルな二次電池として活用できる厚さ1μm〜数μmのリチウムイオン電池を用いることが好ましい。その作製方法は、基板上に電極となる集電体薄膜を成膜する。集電体薄膜は、負極活物質層と密着性が高いこと、また抵抗が小さいことが求められる。具体的に集電体薄膜として、アルミニウム、銅、ニッケル、バナジウムなどを用いる。そして、電体薄膜上に負極活物質層を成膜する。負極活物質層は、酸化バナジウムなどを用いる。そして、負極活物質層上に固体電解質層を成膜する。固体電解質層はリン酸リチウムなどを用いる。そして、固体電解質層上に正極活物質層を成膜する。正極活物質層はマンガン酸リチウムなどを用いる。コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムを用いても良い。正極活物質層上に電極となる集電体薄膜を成膜する。集電体薄膜は正極活物質層と密着性がよく、抵抗が小さいことが求められ、アルミニウム、銅、ニッケル、バナジウムなどを用いることができる。これらの各薄膜層はスパッタ技術を用いて形成しても良いし、蒸着技術を用いても良い。それぞれの厚さは0.1um〜3umが望ましい。
【0163】
次にリチウムイオン電池の充電時、放電時の動作を説明する。充電時には、正極活物質層からリチウムがイオンとなって離脱する。そのリチウムイオンは固体電解質層を介して負極活物質層に吸収される。このときに、正極活物質層から外部へ電子が放出される。放電時には、負極活物質層からリチウムがイオンとなって離脱する。そのリチウムイオンは固体電解質層を介して、正極活物質層に吸収される。このとき負極活物質層から外部に電子が放出される。この様にして薄膜二次電池は動作する。このような薄膜二次電池を使用することにより、小型、軽量なバッテリーを構成することができる。
【0164】
バッテリー311の出力電圧は安定化電源回路312で安定化され、安定化された後の電圧をそれぞれの回路、具体的には制御回路403、発振回路302、変調回路303、復調回路304、論理回路305、AD変換回路306、センサー回路307、またはメモリ回路308に供給する。
【0165】
充電部406は、少なくとも充電回路310、バッテリー311、安定化電源回路312を有し、充電および給電を制御する。また、充電部406には、バッテリー311への過充電を防ぐ制御回路を有することが好ましい。
【0166】
そして、リミッタを含む制御回路403を介して発熱体410に電流を印加して発熱を開始する。制御回路403は、何らかの原因で大電流が流れて急激に発熱体410が発熱しないように制御する。
【0167】
また、第1のアンテナおよび第2のアンテナの配置や、発熱体410、感温部404などの配置の関係を図10(B)に示す。
【0168】
本実施の形態では、発熱体410の近くに感温部404を配置し、発熱体410近傍の温度の変化を感温部404で測定する。半導体装置400を人の肌に接触させた場合、人の体温を測定するのではなく、発熱体410近傍の温度を測定することで低温やけどを防止することができる。人の体温や皮膚の表面温度を正確に測定するには、さらに素子や構造体を追加しなければならず、工程数が大幅に増加してしまう。また、皮膚の表面温度測定のためにさらに電力を要することとなる。また、加熱しすぎた場合、皮膚の表面温度を測定した後、加熱を停止することは手遅れであり、低温やけどが生じてしまう。
【0169】
また、発熱体410と感温部404は、互いの配置を近づけ、さらに熱伝導性の高い保護層で覆うことで、発熱体410近傍の温度の測定を正確に行うことができる。本発明においては、肌と接触させる面から発熱体410までの距離よりも感温部404から発熱体410までの距離を短くする。そのため、半導体装置400を人の肌に接触させる場合、半導体装置400の外表面の肌の接触面には伝熱緩衝層を設ける。伝熱緩衝層を設けることによって、肌と接触させる面から発熱体410までの距離よりも感温部404から発熱体410までの距離を短くし、いち早く温度上昇を感知して低温やけどを防止することができる。また、発熱体410を加熱させた場合、伝熱緩衝層により、半導体装置400の外表面の肌の接触面の温度が局所的に加熱されないようにすることができる。
【0170】
発熱体410の温度上昇により、感温部404の抵抗値が変化する。本実施の形態では、感温部404は、蛇行させたパターンを有する金属抵抗体を用いる。感温部404は、金属抵抗体に限定されず、センサとして機能するのであれば、感温部の抵抗体として、Au、Ag,Pt、Ni、Cu等の金属や、半導体材料や、CoO−NiO−MnOを主成分とするスピネル構造セラミックス等からなるサーミスタを薄膜状にして用いることもできる。この抵抗値の変動をセンサー回路407で電気信号に変換する。
【0171】
外部と通信を行う信号はキャリア(搬送波)を変調して、伝送される。従って半導体装置400は変調された信号を復調する必要がある。キャリアの周波数としては、125kHz、13.56MHz、950MHzなど様々な周波数があり得るが、特に限定されるものではない。変調の方式も振幅変調、周波数変調、位相変調など様々な方式があるが、これも特に限定はされない。
【0172】
第2のアンテナ402に入力された信号は復調回路304で復調される。復調された信号は論理回路305で演算される。信号に何らかの暗号処理がされていれば、論理回路305においてデコードされる。外部の送信機が信号を変形ミラー符号、NRZ−L符号などでエンコードして送信していれば、それを論理回路305はデコードする。デコードされたデータはAD変換回路306、センサー回路407に送られ、それに従いAD変換回路306、センサー回路407は動作する。
【0173】
センサー回路407を動作させることによって、半導体装置400は温度情報を検出することができる。ここで温度情報とは、感温部404から得られる抵抗値であるが、これには限定されない。センサー回路407はその温度情報を電気信号に変換する役割を持つ。センサー回路407の出力はAD変換回路306によって、デジタル信号に変換される。AD変換回路306の出力信号は論理回路305で演算される。エンコードが必要な場合は論理回路305でエンコードされる。論理回路305の出力は変調回路303で変調され、第2のアンテナ402より電波として放出される。なお、変調回路303は発振回路302の出力と論理回路305の出力をミキシングすることによって変調を行う。
【0174】
放出された電波が受信装置で受信され、得られた温度情報が所定の温度範囲内であれば、送信装置が第1のアンテナ401への電波の送信を続ける。また、得られた温度情報が温度範囲を超えれば、送信装置が第1のアンテナ401への電波の送信を停止する。本実施の形態においては、充電部406を介して発熱体410に電流を印加する例としているため、第1のアンテナ401への電波の送信を停止しても充電部の充電量がつきるまで発熱体410を加熱する。従って、電波の送信が停止された場合、発熱体410への電流の印加を停止するスイッチを制御回路403に設けることが好ましい。さらに、発熱体410への電流の印加を停止した後、充電部の充電量がつきるまで発熱体410を冷却するペルチェ素子を発熱体近傍に別途設けて、ペルチェ素子を動作させることが好ましい。本実施の形態においては、充電部406を介して発熱体410に電流を印加する例としているが特に限定されない。
【0175】
メモリ回路308はセンシングした温度情報を蓄えておくためのものであり、不揮発性メモリであることが望ましいがそれには限定されない。センシングした温度情報を蓄えることによって、温度が変化せず同じ場合には、送信を停止して消費電流を抑えることができる。また、電源が確保されれば、揮発性メモリであっても不揮発性メモリと同様の機能を果たす。メモリ回路308はSRAM、DRAM、フラッシュメモリ、EEPROM、FeRAMなどであっても良い。
【0176】
半導体装置400を複数用いて、人の腕を加熱するサポータタイプの例を図11(A)に示す。
【0177】
人の腕450の曲面に対して、複数の半導体装置400が配置されたフレキシブルなシート454を接して設けている。複数の半導体装置400への電力供給は、発信装置451から発信される電波により供給される。供給された電力により半導体装置400のぞれぞれに搭載された発熱回路を発熱させる。また、シート454と人の腕450の接触面が低温やけどを起こさないように半導体装置400に設けられた制御回路、または発信装置451でシート454を自動制御する。
【0178】
発熱回路の温度の変化を感温部で測定し、測定された温度情報をセンサー回路で電気信号に変換し、その電気信号に基づくデータを半導体装置400から発信装置451に送信する。発熱回路の温度測定は、常時行い、温度変化があった場合に送信する。発信装置451は、送られたデータが所定の温度範囲内であるかを判定し、電波の送信または停止を選択する。
【0179】
発信装置451は、表示部453、及び操作スイッチ452を有しており、半導体装置400の温度管理を使用者が制御することもできる。発信装置451からの無線信号の発信の間隔を調節することによって、発熱回路の温度上昇曲線の傾きを調節することもできる。さらに、発信装置451には、低温やけどを防止するためタイマー機能を持たせることが好ましい。
【0180】
また、半導体装置400のそれぞれにシリアル番号を付与し、メモリ回路に記憶させて半導体装置400のシリアル番号を識別させることにより、それぞれの半導体装置の発熱回路の調節も行うことができる。この場合、シリアル番号の識別では、電力供給の無線信号とは異なる周波数の信号を用いて、電力供給の無線信号を受信するアンテナとは異なるアンテナで受信させる。人の身体は、皮下脂肪の厚さ、血管の配置などにより、部位によって温度上昇の傾向が異なるため、細かい温度制御ができることが望ましい。
【0181】
本発明の半導体装置は、発熱回路に加えて制御回路などを搭載しているため、自動で細かい温度制御を行うことができる。また、半導体装置400の平面積を小さくし、タイル状に複数並べて配置し、それぞれの温度制御を細かく行うことができる。また、半導体装置400の平面積を小さくし、タイル状に複数並べて配置することで、半導体装置400自体の曲げを抑え、それぞれの半導体装置の間を曲げて、曲げに強い発熱機能を有するシートにすることができる。また、シート454に伸縮性に優れた材料を用い、半導体装置400の平面積を小さくし、タイル状に複数並べて配置して、それぞれの半導体装置の間を伸縮させることで、腕450の動きを妨げない発熱機能を有するサポータを提供することができる。
【0182】
また、発熱回路を覆う保護層の厚さや可撓性基材の厚さを20μm以下と薄くして、発熱回路と皮膚との距離を短縮することもでき、素早い加熱も可能である。
【0183】
また、図11(A)に示した図では、アンテナなどの回路が目視できる例を示したが、シート454の材料を遮光する材料を選択すれば、目立たなくすることもできる。また、半導体装置400に用いる回路に薄膜トランジスタを用いれば、表面に凹凸もほとんどないシートを実現することができる。また、皮膚に違和感を感じさせない材料、例えば紙を用いて、実施の形態3に示したように半導体装置400を覆うこともできる。また、シート454には、制御回路が設けられているため、火災の恐れはなく、安全に用いることができる。
【0184】
ここでは腕を例に説明したが、首、肩、腰、足、など身体の一部を覆うサポータタイプの半導体装置を提供することもできる。
【0185】
また、耳を覆う耳当て、ここでヘッドフォン460に適用した例を図11(B)に示す。図11(B)においては、露出しているスピーカ部分467の回りに図中に点線で示したリング状のシート461を覆ってスポンジ466が設けられている。耳と接触するのはスポンジ466であるが、スポンジ466を介してシート461に搭載された発熱回路で両耳を加熱する。シート461は電気配線でヘッドフォン460と接続されていないので、ヘッドフォン460から取り外し、交換可能である。また、シート461は薄いため、ヘッドフォン460の重量がほとんど変化しない。
【0186】
ヘッドフォン460は、オーディオプレーヤ462から送信される無線信号を受信する受信回路と、受信した音楽データを格納する記憶回路と、記憶回路から音楽データを順次読み出してスピーカを駆動する回路とを有している。
【0187】
さらに、ヘッドフォン460は、電池を内蔵し、シート461に搭載された発熱回路を加熱するための電力供給用の無線信号も送信する回路を有する。
【0188】
オーディオプレーヤ462は、ヘッドフォン460に音楽データを無線で送信する回路と、表示部465と、操作ボタン464と、記憶部463と、二次電池とを有している。
【0189】
また、オーディオプレーヤ462は、音楽データとは別に、シート461に搭載された発熱回路を制御するための制御用の無線信号も送信することができる。
【0190】
オーディオプレーヤ462を主となる発信装置として機能させ、ヘッドフォン460を副発信回路として機能させることができる。オーディオプレーヤ462から発信した電波をヘッドフォン460で受信し、さらにそのヘッドフォン460が電波を発信してシート461に受信させる。こうすることで、身体に電波を吸収されないように回り込ませ、左右の耳を加熱することができる。
【0191】
このように無線信号を発信する携帯機器に発熱機能を有するシートを無線で制御可能な送信回路を設けることによって、常時身につけている携帯機器(携帯電話など)を用いて発熱機能を有するシートの利用ができる。また、携帯電話に用いる場合は、ヘッドフォン460にマイクを別途設けることで通話可能とすることもできる。
【0192】
このヘッドフォン460は、寒冷地での作業、船上での作業、山岳での山登り、ウィンタースポーツ、冬のジョギングなどで用いる。
【0193】
また、帽子に本発明の半導体装置を設けることで、発信装置から電力を供給して頭部を加熱することができる。また、本発明の半導体装置を美容のためのフェイスマスクとして顔の加熱に用いることもできる。また、疲れ目を回復させるため、目の回りに本発明の半導体装置を配置して、発信装置から電力を供給して加熱し、目の回りの血流をよくすることもできる。このように本発明の半導体装置を顔の加熱に用いても、部位に合わせて温度の微調節が可能であり、有用である。また、電波を熱に変え吸収することができるため、何らかの原因で放射された電波が人の健康に悪影響を与えることを低減することができる。特に、頭部において、本発明の半導体装置を用いることで、不要な電波から保護することができる。
【0194】
本実施の形態は、実施の形態1乃至3のいずれか一と自由に組み合わせることができる。
【0195】
(実施の形態5)
本実施の形態では、水滴が付着しても発熱することのできる発熱機能を有するシートの具体例を説明する。
【0196】
山中で雨や雪に曝された後や、海水浴で海から出た後、肌に付着した水が気化することより肌から熱が奪われる。従来では水分を吸収するタオルなどによって拭き取るまたは断熱材からなる保温シートを用いていた。
【0197】
実施の形態1に示す発熱機能を有するシートの表面または裏面に撥水処理を施し、発信装置からの無線信号によりシートに電力を供給して発熱させることができる。また、撥水処理を施さなくとも、撥水表面を有する材料をシートの材料に用いてもよい。特に、シートの材料として実施の形態3の図8(C)に示した高強度繊維を用いることが好ましい。また、実施の形態3の図7に示したようにシートの上下面および側面を基材フィルムで囲むことで、水分の侵入を防ぐことが好ましい。発熱機能を有するシートは発熱し、シートが水に触れるため、高温多湿の環境に置かれるが、撥水処理または実施の形態3を用いることで問題なく動作させることができる。
【0198】
また、本発明の発熱機能を有するシートは、発熱回路の温度を制御する回路も搭載し、さらに温度センサも搭載可能であるため、低温やけどを防ぐことができ、発火の恐れもない。本発明の発熱機能を有するシートは、電極やプラグが露出しておらず、水に濡れても漏電や短絡することがない。
【0199】
携帯型の発信装置を用いれば、浜辺や、船上や、山中などでも場所を問わず、本発明の発熱機能を有するシートにより身体の一部を加熱することができ、救命用具に役立てることができる。
【0200】
また、一辺が1mを超える一枚の大きいフレキシブルなシートに発熱回路及び非接触で電力を受け取る回路を複数設けることによって、人の体の一部をくるむことができる。またフレキシブルなシートは軽量であり、折りたたんで持ち運ぶことができる。
【0201】
発信装置における無線信号の伝送方式は、電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、135kHz以下、及び13.56MHz帯)を適用する。また、水滴が複数付く程度であれば、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)又は2.45GHz帯等)を適用しても加熱することができる。
【0202】
ただし、マイクロ波は水分に吸収されやすいため、シートが完全に水中に浸かる状態となる品物には、電磁結合方式又は電磁誘導方式を用いる。水中で発信させる発信装置の周波数としては、133kHzを用いる。ダイビングを行う場合、ウェットスーツの内側に発熱機能を有するシートを配置して、酸素ボンベなどの潜水器具類の一つとして発信装置を携帯すれば、水中において、発信装置から非接触で電力を受け取り、発熱機能を有するシートを発熱させて、肌を加熱することができる。発信装置から非接触で電力を供給できるため、ウェットスーツに配線の穴などを開けることなく、内側に固定するだけでセットすることができる。また、発熱機能を有するシートは、フレキシブルなシートを用い、薄く、軽量であるため、ウェットスーツの内側に配置しても発熱機能を有するシート存在がほどんどわからず、動きを妨げることもない。
【0203】
発熱機能を有するシートにより水中においても身体の一部を加熱することができ、冬の海中で体力の消耗を抑え、潜水時間を延ばすことができる。
【0204】
また、ダイビングに限らず、サーフィンなどのマリンスポーツを行う場合、ウェットスーツやラッシュガードを着るが、使用者の体温でウェットスーツ等に含まれる水分を暖めることで保温しているのみであるため、特に冬場の曇りの日は体力の消耗が激しく、陸に上がる回数が増える。
【0205】
本発明においては、使用者が発信装置を携帯していれば、使用者のウェットスーツの内側またはラッシュガードの内側に配置した発熱機能を有するシートを自在に加熱することができる。本発明の発熱機能を有するシートを用いることにより、使用者の体力の消耗を抑え、冬場の曇りの日であってもマリンスポーツを長時間楽しむことができる。
【0206】
また、冬の屋外において冷水に触れる作業や雪かき作業では、手の冷えを防止するため、厚手のゴム手袋を用いるが、長時間経てば手が冷えてしまう。また、冬の家事においても、洗濯や食器洗いなどを行う場合、手の冷えを防止するため、厚手のゴム手袋を用いるが、同様である。
【0207】
また、冷たい化学薬品を用いた実験を行う場合や、液体窒素を用いた窒素ブローを行う場合などは特に手先が冷えてしまう。
【0208】
また、医療において、臓器移植で低温の保存液中で保存していた臓器を取り出す場合や、心臓を氷水で冷却した後、心臓手術を行う場合、作業者の手が冷却され、手先の動きが鈍くなって細かい作業が困難になる恐れがある。
【0209】
そこで、本実施の形態では、発熱回路を複数設置した樹脂からなる手袋について、図12を用いて説明する。図12は左手用の手袋を図示している。
【0210】
樹脂からなる手袋1201は、複数の発熱回路及びアンテナを有しており、親指と小指に関しては他の指と異なる配置となっている。発信装置1200からの電波をアンテナから受信し、得られた電力を発熱体に印加することで加熱を行える。
【0211】
人差し指に配置する発熱体1202は、制御回路1203に電気的に接続されており、受信制御回路及び電源回路を含む信号処理回路1204は、コイル状のアンテナ1205と電気的に接続されている。また、信号処理回路1204は制御回路1203と電気的に接続されている。制御回路1203は、発熱体1202の温度を制御し、低温やけどを防止する。本実施の形態では、比較的曲がらない箇所である第2関節と第3関節の間に信号処理回路1204及び制御回路1203を配置して指の曲げによる回路破壊を防止している。
【0212】
また、発熱回路の一部である発熱体1202は、銀を含むエポキシ樹脂などの曲がりやすい材料を用いることが好ましい。発熱体1202に曲がりやすい材料を用いることで指先の動きを邪魔しない。
【0213】
子指に配置する発熱体1206は、制御回路1207に電気的に接続されており、受信制御回路及び電源回路を含む信号処理回路1208は、コイル状のアンテナ1209と電気的に接続されている。また、信号処理回路1208は制御回路1207と電気的に接続されている。本実施の形態では、比較的曲がらない箇所である手の平に信号処理回路1208及び制御回路1207を配置して指の曲げによる回路破壊を防止している。
【0214】
図12においては、5本の指を加熱するアンテナをコイル状とし、電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、135kHz以下、及び13.56MHz帯)を適用している。
【0215】
また、手首を加熱するアンテナは、ダイポール型とし、電波方式を適用している。本実施の形態において、発信装置1200は、両方のアンテナへの電波を発生する。電波方式を用いる場合、手袋1201を左手に装着して作業を行う際、電波が身体に吸収されないような箇所に発信装置を配置する。本実施の形態では、周波数の異なる無線信号による伝送方式を用いる例を示したが特に限定されず、単一の周波数の無線信号の伝送方式を用いてもよい。また、それぞれ異なる周波数毎に発信装置を複数配置してもよい。
【0216】
また、手の平の側だけでなく、さらに手の甲側に発熱回路を配置してもよい。
【0217】
樹脂からなる手袋1201の材料は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなどを用いる。手袋1201を構成する樹脂が信号処理回路などの回路部の回りを覆うように形成してもよいし、手袋の内側表面に信号処理回路などの回路部を配置してさらに回路部を覆う保護層を形成してもよい。また、樹脂からなる手袋1201の材料に、天然ゴムなどの伸縮性を有する材料を用いれば手にフィットする手袋とすることもできる。また、実施の形態3に示す作製方法により半導体装置の大量生産が可能であり、安価に発熱回路を作製することができるため、使い捨ての手袋とすることもできる。特に家事や医療現場などの衛生が重視される場合に有用である。
【0218】
また、冷たい化学薬品を用いた実験を行う場合、樹脂からなる手袋1201の材料は、薬品に強いニトリルブタジエンラバー(NBR)を用いることが好ましい。
【0219】
また、厚手のゴム手袋の内側に発熱機能を有するシートを配置することもできる。また、小さなサイズの発熱機能を有するシートを指の一部に直接貼り付けた後、樹脂からなる手袋や厚手のゴム手袋などを装着してもよい。
【0220】
本発明により、冬の屋外において、図12に示す手袋を手に装着し、携帯型の発信装置を持ち運び、無線信号を発信させて発熱体を加熱させることで、指先を温めながら冷水に触れる作業や雪かき作業などを行うことができ、長時間の作業が可能となる。
【0221】
また、図12に示す樹脂からなる手袋1201を手に装着しても薄いため、さらにその上に防寒用の手袋を重ねて装着でき、重ねた状態でも非接触で電力を供給できるため、氷点下の環境において手を温めながらの作業が可能である。
【0222】
また、冬の家事においても、食器洗いなどを行う際、図12に示す手袋を手に装着し、台所に発信装置を設置し、電波を発信させれば指先を温めながら食器洗いを行うことができる。
【0223】
また、冷たい化学薬品を用いた実験を行う場合や、液体窒素を用いた窒素ブローを行う場合、図12に示す手袋を手に装着し、ドラフトチャンバー内や、クリーンルーム内に発信装置を設置し、電波を発信させれば指先を温めながら実験を行うことができる。図12に示す手袋を用いれば手だけを温めることができるため、ドラフトチャンバー内の温度やクリーンルーム内の温度を全く変化させることなく、作業者が快適に作業できる。
【0224】
また、医療現場において、図12に示す手袋は、肌に触れる面に熱伝導性の高い材料を用い、外表面に熱伝導性の低い断熱材料を用いることで、外側表面の温度をほとんど変化させることなく、手だけを加熱することが好ましい。また、異なる材料を用いなくとも、肌に触れる面の材料層を薄くし、外表面の材料層を厚くしてもよい。
【0225】
図12に示す手袋を手に装着し、携帯型の発信装置または床に固定した発信装置を用いて電波を発信させれば指先を温めながら、保存液中で低温保存していた臓器に熱をほとんど伝導させずに、臓器を取り出すことができる。また、心臓を氷水で冷却した後、心臓手術を行う場合、図12に示す手袋を手に装着し、携帯型の発信装置または床に固定した発信装置を用いて電波を発信させれば指先を温めながら、細かい作業を行うことができる。
【0226】
また、小さなサイズの発熱機能を有するシートを患部に配置し、携帯型の発信装置を用いて無線信号を発信させて、部分的に加熱することもできる。例えば、大腿部の動脈を止めて手術する際、足の先に血液が流れず、足先の温度が低下して足先の体細胞から壊死が始まる恐れがある。大腿部においては冷却して止血し、小さなサイズの発熱機能を有するシートをふくらはぎや、足先に接触させて複数配置し、発信装置からの無線信号で加熱させることで暖め、壊死の開始を遅らせることができる。このように医療の現場で、身体の一部を非接触で選択的に加熱することは有用である。
【0227】
ただし、医療現場においては使用する電波の周波数帯がISM周波帯に限定されており、電波に影響される他の医療機器も使用する可能性も高いため、発信装置の無線信号により他の医療機器に誤作動が生じないように注意が必要であることは言うまでもない。
【0228】
本実施の形態は、実施の形態1乃至4のいずれか一と自由に組み合わせることができる。例えば、さらに温度センサーを搭載して発熱回路の温度制御を細かく行ってもよいし、バッテリーを搭載してもよい。バッテリーを搭載することで、身体の一部を動かすことで電波が遮蔽された場合にも、その間も継続して発熱回路を加熱することができる。
【0229】
(実施の形態6)
発熱機能を有するシートは、人体の表面を暖める目的に限らず、他の物を暖めることもできる。図13(A)および図13(B)に容器への応用例を示す。
【0230】
実施の形態3に示した図9の工程を用いて、発熱機能を有するシート1305を紙に抄き込み、それを組み立て図13(A)に示すような紙コップ1301にする。コップの側面を一周するように発熱機能を有するシート1305を複数設けている。なお、図13(A)では、発熱機能を有するシート1305の配置を分かりやすくするため、図示しているが、実際には、紙に抄き込んでいるため、発熱機能を有するシート1305は目視で確認することが困難である。さらに発熱機能を有するシート1305は薄いため、紙コップの側面には、ほとんど凹凸がなく、発熱機能を有するシート1305の存在が確認することが困難である。
【0231】
発熱機能を有するシート1305は、フレキシブルなプラスチックや繊維を用いている。また、発熱機能を有するシート1305上には、アンテナ1304、回路部1303、発熱体1302が設けられている。発熱機能を有するシート1305のこれら素子や回路に関しては実施の形態1または実施の形態2で説明したため、ここでは詳しい説明を省略する。アンテナ1304はダイポール型のアンテナとし、図13(A)に示すように配置することでアンテナがアンテナの長手方向に大きく曲げられることを防止している。
【0232】
アンテナ1304への電波は、マイクロ波方式で発信装置1300から伝送される。飲み物を入れた状態でマイクロ波を発信装置1300から放射すると、飲み物の水分に吸収されるため、反対側のアンテナには受信させることが困難である。従って、反対側のアンテナに無線信号を受信させるためには、複数の発信装置1300を用いて加熱する、或いは、発信装置1300を動かして加熱する、或いは、電波を回り込ませる手段を設けて加熱する。
【0233】
例えば、冷水を入れた状態の紙コップ1301に対して、発信装置1300からマイクロ波を照射してアンテナ1304で受信し、回路部1303により電力を得た後、その電力を発熱体1302に印加することで冷水を加熱することができる。
【0234】
また、回路部1303は、発熱体1302の温度を制御する回路を含んでいるため、紙コップ1301を手で持った場合に低温やけども生じないような温度範囲となるようにする。
【0235】
また、熱いコーヒーを入れた状態の紙コップ1301に対して発信装置1300からマイクロ波を照射してアンテナ1304で受信し、回路部1303により電力を得た後、その電力を発熱体1302に印加することでコーヒー温度を下がりにくくすることができる。熱い飲み物を紙コップ1301に入れた場合、紙コップの側面及び底面を介して外に熱が放射されることで冷却が行われるが、紙コップ1301の側面を加熱することによって、冷却速度を低減することができる。
【0236】
発信装置1300として携帯型の発信装置を用いて、紙コップ1301と一緒に持ち運べば、場所を問わず、加熱することができる。また、発信装置1300のオンオフを調節することで使用者の望む温度に微調節を行うことができる。例えば、熱い飲み物を入れた状態の紙コップ1301をしばらく放置して自然に冷却させ、使用者の最適な温度になったタイミングで発信装置1300をオン状態とし、非接触で電力を供給して紙コップの側面を暖めることで、飲み物を最適な温度に長時間保つことができる。また、回路部1303は、発熱体1302の温度を制御する回路を含んでいるため、紙コップ1301により舌や口内のやけどを防ぐこともできる。
【0237】
また、ここでは複数のシートを紙に抄き込む例としたが、プラスチックのコップの一部に用いることもできる。プラスチックの場合、発熱機能を有するシート1305を接着材などでコップの外側に貼り付ければよい。また、発熱機能を有するシート1305をプラスチックの内部に埋め込んでもよい。本明細書においては、発熱機能を有するシート1305を接着材などでコップの外側に貼り付けた場合においても容器の一部を構成すると見なす。また、実施の形態1で得られる発熱機能を有するシートに貼着手段を設ければ、使用者が、従来の紙コップの側面または従来のプラスチックのコップの側面に適宜貼り付けることもできる。
【0238】
また、飲み物を入れるコップに限定されず、他の食べ物を入れる容器など様々な容器に用いることができる。電子レンジは固定であり、重量がかさむため持ち運べない。なお、容器に発熱するシートを埋め込む、又は貼り付け携帯型の発信装置を用いて加熱することは、場所を問わず、電子レンジで容器を加熱することができるといえる。また、電子レンジは、アルミ箔を施した容器や、漆器など利用できない容器があり、容器の材料に制限がある。また、電子レンジは過剰な加熱で内容物を破裂することもある。しかし、本発明シートは容器を部分的に加熱することができ、広い範囲の容器を使用することができる。また、内容物への電波吸収による急激な加熱を低減することもできる。
【0239】
図13(B)に乳幼児への授乳用の容器に応用する例を示す。
【0240】
授乳用の容器1311は、熱湯などを用いて滅菌処理できるプラスチック材料を用いる。ただし、使い捨ての用途で用いる場合は、滅菌処理できないプラスチック材料や紙を用いることができる。
【0241】
授乳用の容器1311は、シリコンゴムのほ乳瓶用乳首を取り付けることができる仕組みとなる取り付け部分1316を開口付近に設けている。
【0242】
授乳用の容器1311の側面に発熱機能を有するシート1315を複数固定する。発熱機能を有するシート1315上には、アンテナ1314、回路部1313、発熱体1312が設けられている。
【0243】
例えば、冷たいミルクを入れた状態の容器1311に対して、発信装置1310からマイクロ波を照射してアンテナ1314で受信し、回路部1313により電力を得た後、その電力を発熱体1312に印加することでミルクを加熱することができる。
【0244】
乳幼児に飲ませるミルクの温度は、人肌と同じ程度の温度でよく、40℃未満とすればよい。授乳用の容器1311を用いれば、最適な温度にミルクを長時間保つことができる。また、回路部1313は、発熱体1312の温度を制御する回路を含んでいるため、授乳用の容器1311により幼児の舌や口内のやけどを防ぐこともできる。また、回路部1313により、ミルクの温度が40℃以上にならないような範囲の加熱となるように発熱体1312の温度を制御する。
【0245】
従来のガラスのほ乳瓶を用いる場合、粉ミルクを湯で溶かして混ぜてミルクを作製し、人肌と同じ温度に下がるまで待ってから乳幼児に飲ませていた。ほ乳瓶がガラス製であるため、湯が熱い間、ほ乳瓶を持っている手が低温やけどする恐れがある。また、瓶の外側の温度とミルクの温度が違うため、ミルクの温度が分かりづらく、実際に擁護者の手に垂らすなどしてミルクの温度を確認する必要があった。しかし、擁護者が一人である場合、片手に乳幼児を抱いているわけであるから、片手でこれらの作業を行うことは困難を極める。また、大人よりも低温やけどをしやすい乳幼児を片手に抱いた状態で、熱湯や熱いほ乳瓶を取り扱うことは危険である。また、乳幼児が激しく泣いたり、動いたりする場合には、歩き抱きをして乳幼児が落ち着くまで待たなければ、ミルクを与えることが困難であり、乳幼児が落ち着くまで待っている間にミルクが冷めてしまう。一度さめてしまったミルクは、お湯を追加すると濃度が変わってしまうため、結局捨てて、再度作り直すことになる。
【0246】
ガラスよりもプラスチックのほうが冷却する速度が速く、最適な温度にミルクを長時間保つことが困難であるが、発熱機能を有するシート1315を用いることにより、最適な温度にミルクを長時間保つことができる。
【0247】
また、予め、授乳用の容器1311でミルクを作製し、室温保存または冷蔵保存して冷やしておき、必要な時に発信装置1310で加熱させれば、最適な温度のミルクを与えることができる。また、発信装置1310として携帯型の小型発信装置を用いれば、乳幼児を片手に抱いた状態で歩きながらであっても、もう一方の手で発信装置1310を動作させ、電波の送信範囲内の机などに置かれている授乳用の容器1311の加熱を行った後、乳幼児に最適な温度のミルクを与えることができる。
【0248】
また、発熱機能を有するシート1315は電極や配線が露出しておらず、プラスチックまたは保護層に覆われているため、ミルクに金属成分などが流出することもない。
【0249】
本実施の形態では、マイクロ波方式での説明を行ったが、特に限定されず、他の周波数の電波を用いてもよい。
【0250】
本実施の形態は、実施の形態1乃至4のいずれか一と自由に組み合わせることができる。例えば、さらに温度センサーを搭載して発熱回路の温度制御を細かく行ってもよいし、バッテリーを搭載してもよい。バッテリーを搭載することで、電波を吸収する物体により電波が遮蔽された場合にも、その間も継続して発熱回路を加熱することができる。
【0251】
(実施の形態7)
上記実施の形態1では、蛇行した発熱体を用いる例を示したが、本実施の形態では、一対の電極間に発熱材料を設けた構造とする例を示す。
【0252】
図14(A)に示すように行方向の第1の配線を平行に設け、列方向に第2の配線を平行に複数設け、第1の配線W1と第2の配線B1が重なる領域に発熱材料を設け、発熱材料を第1の配線と第2の配線とで挟む。この構造を有する素子を発熱素子とすると発熱する領域は、第1の配線と第2の配線が重なる領域となり、1枚の発熱機能を有するシート1400に複数の発熱素子が設けられることになる。
【0253】
実施の形態1に示すような蛇行した発熱体に電力を印加した場合、全体が加熱されることになる。本実施の形態においては、印加する配線を選択し、第1の配線または第2の配線に電圧を印加することで、所望の発熱素子1407を駆動させることができる。
【0254】
例えば、急速に加熱したい場合には、発熱回路1406に配置された全ての発熱素子1407を駆動させて加熱を行い、ゆっくり加熱したい場合には、駆動させる発熱素子1407の数を増やして順次加熱を行えばよい。
【0255】
第1の配線W1の電圧は、第1の制御回路1405で制御し、第2の配線B1の電圧は第2の制御回路1404で制御すればよい。また、第1の制御回路1405及び第2の制御回路1404の電力供給は、電源回路1403から供給すればよい。また、発信装置1401からの無線信号に対してアンテナを含む回路1402で受信する。アンテナを含む回路1402は電源回路1403と電気的に接続されており、発信装置1401から非接触で電力を受け取る仕組みとなっている。
【0256】
また、図14(B)に示すように、発熱回路1416の発熱素子1417毎にスイッチング素子1418を設けてもよい。このスイッチング素子1418も発熱させて、より効率よく発熱を行う。また、図14(B)の回路構成の発熱回路は、図14(A)の回路構成に比べて低電圧駆動が可能である。低電圧駆動とすることで、1枚の発熱機能を有するシート1410の発熱量を増やすことができる。
【0257】
また、第1の配線W1の電圧は、第1の制御回路1415で制御し、第2の配線B1の電圧は第2の制御回路1414で制御すればよい。また、第1の制御回路1415及び第2の制御回路1414の電力供給は、電源回路1413から供給すればよい。また、発信装置1411からの無線信号に対してアンテナを含む回路1412で受信する。アンテナを含む回路1412は電源回路1413と電気的に接続されており、発信装置1411から非接触で電力を受け取る仕組みとなっている。
【0258】
また、図14(C)に発熱素子1417、スイッチング素子1418、及びアンテナを含む回路1412の断面構造の一例を示す。
【0259】
プラスチックまたは繊維体を含むシート1410上には、第1の絶縁層1422が設けられ、第1の絶縁層1422上に薄膜トランジスタであるスイッチング素子1418が設けられている。なお、第2の絶縁層1423はゲート絶縁膜であり、第3の絶縁層1424は層間絶縁膜である。また、第4の絶縁層1425は平坦化絶縁膜であり、スイッチング素子1418の電極に達するコンタクトホールが形成されている。また、このコンタクトホールを介してスイッチング素子1418の電極と電気的に接続する第1の電極1427が設けられている。なお、第1の電極1427の周縁部を覆う第5の絶縁層1426を設ける。また、第5の絶縁層1426で覆われていない第1の電極1427と接するように発熱材料層1428を形成する。発熱材料層1428は多層構造としてもよい。そして、発熱材料層1428上に第2の電極1429を形成する。第2の電極1429は、アンテナを含む回路1412のアンテナ材料と同じ材料を用いて工程数を減らすことができる。また、アンテナを含む回路1412のアンテナと第2の電極1429を覆う保護層1430を設ける。
【0260】
発熱材料層1428の材料は、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)やAlq(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)などの有機EL材料を用いることができる。一対の電極に挟まれた有機EL材料は、電圧印加により発光させることができ、さらに熱失活によって発熱させることもできる。従って、第1の電極1427、第2の電極1429のどちらか一方を透明導電膜とし、シート1410の材料及び絶縁層として透光性の材料を用いれば、シートの外側に可視光を発光させることができ、発熱素子1417に電流が流れて発熱していることをユーザーが確認できる。また、故障を目視で確認できるため、シート毎交換できる。
【0261】
本実施の形態においては、発熱素子1417は第1の電極1427、発熱材料層1428、及び第2の電極1429で構成する例を示したが、十分な発熱量が得られるのであれば、この構造に限定されない。
【0262】
実施の形態1に示すような蛇行した発熱体に比べて、発熱回路1416の平面面積を小さくすることができるため、シート1410のサイズを小型化することができる。
【0263】
本実施の形態は、実施の形態1乃至6のいずれか一と自由に組み合わせることができる。例えば、さらに温度センサーを搭載して発熱回路の温度制御を細かく行ってもよい。
【0264】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1で得られる発熱機能を有するシートを大面積の1枚のフレキシブルな大判シートにタイル状に固定し、そのシートを様々な場所に配置することで、活用することができる。
【0265】
例えば、ベッドや布団などの寝具のシーツ上に発熱機能を有する大判シートを配置し、発信装置から非接触で電力を供給させることで、大判シートを加熱することができる。発熱機能を有する大判シートに搭載されている制御回路または発信装置によって、怪我または老衰などが原因で体の不自由な人を大判シート上に寝かしつづけた場合でも、低温やけどにさせることなく発熱を自動制御して加熱することができる。同様に、体温調節機能が未熟な新生児や幼児を大判シート上に寝かせた場合、低温やけどにさせることなく発熱を自動制御して加熱することができる。
【0266】
発信装置における無線信号の伝送方式は、電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、135kHz以下、及び13.56MHz帯)を適用する。電磁誘導方式を用いる場合、大判シートを曲げて人の身体をくるむように包んでも電波が回り込み、発信装置から、身体の一部に配置されたシートの発熱回路も加熱することができる。また、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)又は2.45GHz帯等)も適用できる。マイクロ波方式を用いる場合、人間の身体に吸収されやすいため、大判シートの下方に発信装置を配置する。また、電波を回り込ませるため、副発信装置を配置してもよい。
【0267】
また、医療現場においては使用する電波の周波数帯がISM周波帯に限定されており、図15(A)に移動可能なベッド1502のシーツとして発熱機能を有する大判シート1501を用いる例を示す。
【0268】
図15(A)に示す移動可能なベッド1502は、車輪1503を有しており、人が寝る寝台の下に棚1504が設けられている。
【0269】
寝台の下の棚1504上に発信装置1500を配置し、上方に大判シート1501が重なる位置に配置する。なお、発信装置1500に充電可能なバッテリーを搭載させることで、ベッド1502を移動させながら発信装置1500からの無線信号の送信が可能となる。
【0270】
通常、病室から手術室にベッドを移動して手術を行い、手術後は、再度病室に移動して戻す。全身麻酔が必要な手術時には体温が低下するので、手術後の麻酔覚醒時に患者の体温を上昇させ、感染症を予防する必要がある。大判シート1501を用いることで、手術後に発信装置1500からの無線信号の送信を開始して加熱し、手術後の麻酔覚醒時に患者の体温を上昇させ、感染症を予防することができる。また、手術後の病室への移動中も患者への加熱を継続することができる。
【0271】
また、発信装置1500は、棚1504の骨組みと電気的に接続させてアンテナとして機能させ、広い面積に電波を放射してもよい。
【0272】
また、移動可能なベッド1502を折りたたみ式のベッドとして救急車に搭載可能とすれば、救急車内での搬送中及び、病院への搬入時にも患者への加熱を継続することができる。
【0273】
発熱機能を有する大判シート1501に搭載されている制御回路または発信装置1500によって、患者を大判シート1501上に寝かせ続けても、低温やけどにさせることなく発熱を自動制御して加熱することができる。また、手術中に大判シート1501を加熱することもでき、麻酔や出血が起因である患者の体温低下による体力消耗を抑えることができる。
【0274】
図15(B)に発熱機能を有する大判シート1501の拡大図を示す。実施の形態1で得られる発熱機能を有するシート1505を大面積の1枚のフレキシブルな大判シート1501にタイル状に複数固定している。発熱機能を有するシート1505の個々の間隔を空けてタイル状に複数固定することにより、主に曲げられたり、伸びたりするのは大判シートの部分となるようにすることが好ましい。
【0275】
また、大判シート1501上に患者を寝かせると、部分的に患者の体重で曲げられたり、伸びたりするが、発熱機能を有するシート1505に高強度繊維体を用いれば、圧力が繊維体全体に分散し、回路の一部が延伸することを防ぐことができる。
【0276】
また、大判シート1501の適用は、寝具に限らず、床の上に発熱機能を有する大判シートを配置して、ホットカーペットとしての用途に用いることもできる。ただし、この場合、床下に発信装置を配置する。
【0277】
椅子や座席にも用いることができる。使用の方法は、人の臀部と接触する部分に発熱機能を有する大判シート1501を配置するだけである。列車や車の座席にも用いることができる。この場合にも、大判シート1501の下方に発信装置を配置する。
【0278】
また、大判シート1501の適用は、人に限らず、ペットの加熱や樹木の加熱に用いることができる。発熱機能を有する大判シート1501に搭載されている制御回路または発信装置1500によって、ペットや樹木に害を与えることなく発熱を自動制御して加熱することができる。寒さに弱い樹木は、冬場にコモ(むしろなど)を幹に巻くが、コモの代わりに大判シート1501を樹木の幹に巻いて、信号の送信範囲内に発信装置を配置し、加熱すればよい。特に果樹園において、果樹の種類には寒すぎると次の収穫時期に果実が実らないものがある。
【0279】
本実施の形態は、実施の形態1乃至4、または実施の形態7と自由に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0280】
本発明により、大面積のガラス基板を用いて、半導体装置を大量生産することができ、1つ当たりの単価を安くできるため、使い捨ての用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】(A)は本発明のシートの上面図、(B)は使用時の断面図。
【図2】(A)は発信装置と副発信装置とシートの位置関係を示す図、(B)はブロック図、(C)は温度センサの等価回路図。
【図3】(A)は本発明のシートの上面図、(B)は複数のシートをテープ状として収納させた時の斜視図、(C)は発信装置と副発信装置とシートの位置関係を示す図。
【図4】(A)は本発明のシートの上面図、(B)はその断面図、(C)は本発明のシートの上面図、(D)は本発明のシートの上面図。
【図5】本発明のシートの作製工程を示す断面図。
【図6】本発明のシートの作製工程を示す断面図。
【図7】本発明のシートの断面図。
【図8】本発明のシートの作製工程を示す断面図。
【図9】本発明のシートの作製工程を示す断面図。
【図10】(A)はブロック図、(B)は、本発明のシートの上面図。
【図11】(A)は本発明のシートをサポータに応用した斜視図、(B)は本発明のシートをヘッドフォンに応用した斜視図。
【図12】本発明のシートを手袋に応用した上面図。
【図13】(A)は本発明のシートを紙コップに応用した斜視図、(B)は本発明のシートを容器に応用した側面図。
【図14】(A)は本発明のシートの等価回路を示す図、(B)は本発明のシートの等価回路を示す図、(C)は本発明のシートの断面図。
【図15】(A)は本発明のシートをベッドに応用した斜視図、(B)は、大判のシートに複数配置されている本発明のシートを示す模式図。
【符号の説明】
【0282】
10:シート
11:アンテナ
12:受信制御回路
13:電源回路
14:ヒータ
15:ヒータ駆動回路
16:配線
17:保護層
18:発信装置
19:絶縁膜
20:皮膚
21:固定手段
22:副発信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルなシート上に互いに絶縁された複数の発熱回路を有し、非接触で電力を受け取る回路と、前記回路に電気的に接続された発熱回路と、前記発熱回路に電気的に接続するリミッタを少なくとも有する半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、さらに、前記フレキシブルなシートの材料は、プラスチック、または繊維体を含む半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記シートは、生体の表面一部と接触するサポータの一部、容器の一部、手袋の一部、ヘッドフォンの一部、シーツの一部、又はカーペットの一部である半導体装置。
【請求項4】
プラスチック、または繊維体を含むシート上にアンテナと、前記アンテナで受信した電波を電力に変換する回路と、前記回路と電気的に接続する発熱回路と、前記発熱回路に電気的に接続するリミッタと、前記アンテナ及び前記発熱回路と接する保護層を有し、前記保護層は、シートの材料よりも熱伝導率が高い絶縁材料である半導体装置。
【請求項5】
プラスチック、または繊維体を含むシート上にアンテナと、前記アンテナで受信した電波を電力に変換する回路と、前記受信した電波を電力に変換する回路と電気的に接続する制御回路と、前記制御回路と電気的に接続する発熱回路とを有し、
前記制御回路は前記発熱回路に印加する電力を制御する半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、さらに前記発熱回路の温度データを測定する温度センサー回路を前記シート上に有する半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、さらに前記発熱回路の温度を制御するペルチェ素子を前記シート上に有する半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一において、さらに無線信号を送信する送信回路及び前記送信回路と電気的に接続するアンテナを前記シート上に有する半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一において、さらに充電回路及び前記充電回路に電気的に接続する二次電池を前記シート上に有する半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一において、前記発熱回路は、薄膜トランジスタを含む回路、発熱体を含む回路、または一対の電極間に発熱材料を有する素子を含む回路である半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一において、前記シートを複数並べて、生体の表面一部と接触するサポータの一部、容器の一部、手袋の一部、ヘッドフォンの一部、シーツの一部、或いはカーペットの一部を構成する半導体装置。
【請求項12】
ガラス基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に発熱回路を含む積層を形成し、
前記ガラス基板から前記発熱回路を含む積層を剥離し、
プラスチック、または繊維体を含むシート上に前記発熱回路を含む積層を複数固定する半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項12において、さらに、前記剥離層上に発熱回路を含む積層を形成した後、前記発熱回路を覆う保護層を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13において、前記積層は非接触で電力を受け取る回路を含む半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか一において、前記積層は前記発熱回路の温度を測定する感温部と、前記発熱回路の温度を制御する回路を含む半導体装置の作製方法。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか一において、さらに前記シートを布またはプラスチックに縫い込む半導体装置の作製方法。
【請求項17】
請求項12乃至15のいずれか一において、さらに前記シートを紙層と紙層の間に抄き込む半導体装置の作製方法。
【請求項18】
第1の基板上にアンテナと発熱体とを形成し、
第2の基板上に受信回路及び制御回路を形成し、
導電材料を含む材料を用いて前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせて、前記アンテナと前記受信回路とを電気的に接続し、且つ、前記発熱体と前記制御回路とを電気的に接続する半導体装置の作製方法。
【請求項19】
請求項18において、前記第1の基板は、プラスチック、または繊維体を含む半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−87928(P2009−87928A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221350(P2008−221350)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】