説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】CSP型の半導体装置の接続信頼性を確保すると共に紫外線の影響を防止する手段を提供する。
【解決手段】半導体基板2と、半導体基板2に形成された回路素子に電気的に接続する電極パッド5と、電極パッド5に電気的に接続し、半導体基板2上に延在する配線10と、配線10上に形成されたポスト電極11とを備えた半導体装置において、ポスト電極11の側面に形成した密着性被膜13と、この密着性被膜13の表面および配線10を封止し、遮光性を有する封止層15とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回路素子を形成した半導体ウェハを個片に分割して形成するWCSP(Wafer level Chip Size Package)型に代表される小型の半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子を複数集積した半導体装置に対する小型化や薄型化の要求が高まってきており、特に薄型化を要求される半導体装置においては、半導体装置の装置おもて面に球状のバンプ電極を格子状に配置したCSP(Chip Scale Package)型の半導体装置が主流となっている。
このようなCSP型の従来の半導体装置は、半導体ウェハの半導体基板のおもて面に回路素子を形成し、この回路形成面上に形成された絶縁層上に回路素子に電気的に接続する電極パッドを設け、この縁部を表面保護膜で覆い、その上に電極パッドに到るスルーホールを有する層間絶縁膜と下地金属層とを順に積層し、この下地金属層上に電極パッド上からポスト電極を形成する電極形成領域上に到る銅(Cu)等からなる配線を形成し、フォトリソグラフィにより銅等で100μm程度のポスト電極を形成した後に、半導体ウェハを封止金型に挿入して半導体基板のおもて面側の全面にエポキシ樹脂等の封止樹脂を注入して封止層を形成し、そのおもて面を研磨してポスト電極のポスト端面を露出させ、このポスト端面に半球状のバンプ電極を形成した半導体ウェハを個片に分割して半導体装置を製造している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、半導体ウェハの半導体基板に形成された回路素子に電気的に接続する電極パッドを設け、この側面を表面保護膜で覆い、その上に電極パッドに到るスルーホールを有する層間絶縁膜を形成し、スルーホール内および層間絶縁膜を覆う金属薄膜層と銅からなる配線層とを順に積層し、配線層に銅からなるポスト電極を形成した後に配線層をパターニングして配線を形成し、この配線と層間絶縁膜およびポスト電極の先端部近傍の側面を覆い、ポスト電極の先端面を露出させた絶縁層を感光性ポリイミドのフォトリソグラフィにより形成し、半導体基板のおもて面側に感光性の封止樹脂による封止層を形成して絶縁層とポスト電極との密着性を向上させて配線とポスト電極との断線を防止しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−60120号公報(主に第6頁段落0047−第7頁段落0066、第7図−第10図)
【特許文献2】特開2001−135742号公報(第4頁段落0021−第5頁段落0032および第7頁段落0048−段落0053、第2図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術においては、ポスト電極の側面をエポキシ樹脂からなる封止樹脂で封止しているため、ポスト電極の側面と封止樹脂との間に十分な密着性が得られず、半導体装置を実装基板に実装するときのバンプ電極の接合工程等における温度により半導体装置と実装基板との熱膨張差に起因する力等の外部からの力がバンプ電極を介してポスト電極に集中し、ポスト電極と封止層との界面に剥離が生じ、その後にこの隙間から空気中の湿度等の水分等が侵入して電極ポストや配線を腐食させ、腐食した配線等に外部からの応力が繰返し負荷されると、配線の断線やその下層のクラック等が生じ、半導体装置の接続信頼性が低下するという問題がある。
【0005】
このことは、ポスト電極が銅で形成されている場合に特に顕著である。
また、特許文献2の技術においては、半導体装置の配線と層間絶縁膜およびポスト電極を感光性ポリイミドからなる絶縁層で覆い、これを感光性の封止樹脂による封止層により封止しているため、上記のポスト電極と絶縁層との界面の剥離に対しては有効であるが、感光性ポリイミドは光を透過させ、感光性の封止樹脂も光を透過させるので、半導体装置を実装基板に実装した後等に半導体装置が光に曝されるとその紫外線の影響により回路素子のメモリの内容等が消去されてしまう可能性があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、半導体装置の接続信頼性を確保すると共に紫外線の影響を防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、半導体基板と、該半導体基板に形成された回路素子に電気的に接続する電極パッドと、該電極パッドに電気的に接続し、前記半導体基板上に延在する配線と、該配線上に形成されたポスト電極とを備えた半導体装置において、前記ポスト電極の側面に形成した密着性被膜と、該密着性被膜の表面および前記配線を封止し、遮光性を有する封止層とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、ポスト電極の側面を密着性被膜を介して封止層に強固に密着させることができ、外部からの応力がポスト電極に負荷されたとしても、ポスト電極と封止層との界面に剥離が生じることがなくなり、外部からの水分等の侵入を防止して電極ポストや配線の腐食やこれに伴う配線の断線等を防止することができ、半導体装置の接続信頼性を確保することができると共に、密着性被膜を遮光性を有する封止層により封止したので、実装基板への実装後等に半導体装置の回路素子が紫外線等の光に曝されることを防止でき、回路素子のメモリの消失等を未然に防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による半導体装置およびその製造方法の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1、図2、図3は実施例1の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図1、図2、図3に示す各図は、半導体ウェハに形成される電極パッドとこれに配線等を介して接続するポスト電極との近傍を示す部分断面図である(他の図において同じ。)。
図1、図2、図3において、1は半導体ウェハであり、CSP型の半導体装置を複数同時に製造するための半導体ウェハである。
【0011】
2は半導体ウェハ1のシリコンからなる半導体基板であり、そのおもて面には図示しない半導体素子を配線で接続した複数の回路素子が形成されている(この回路素子が形成される半導体基板2のおもて面を回路形成面3という。)。
4は絶縁層であり、半導体基板2の回路形成面3上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により2酸化珪素(SiO)等の絶縁材料で形成され、半導体基板2の各回路素子の上部には図示しないコンタクトホールが形成されている。
【0012】
5は電極パッドであり、絶縁層4上にスパッタ法等によりアルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電材料で形成された導電層を所定の形状にエッチングして形成された電極であって、絶縁層4のコンタクトホールに埋め込まれた導電体を介して回路素子の所定の部位と電気的に接続している。
6は表面保護膜であり、CVD法等により窒化珪素(Si)等の絶縁材料で形成された絶縁層4上および電極パッド5の縁部を覆う保護膜である。
【0013】
7は層間絶縁膜であり、表面保護膜6上にポリイミド等の絶縁材料で形成され、電極パッド5上の部位をエッチングにより除去して電極パッド5に到るスルーホール8が形成されている。
9は金属薄膜層としての下地金属層であり、半導体ウェハ1のおもて面側の全面にスパッタ法等によりチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)等の導電材料を複数積層して形成され、層間絶縁膜7上およびスルーホール8の内面と電極パッド5上を覆っている。
【0014】
10は配線であり、フォトリソグラフィ等により下地金属層9の電極パッド5上からその電極パッド5に接続するポスト電極11を形成する領域(電極形成領域12という。)上に到る配線10の形成領域を除く領域をマスキングし、露出している下地金属層9上に電気メッキ法により銅等の導電材料を下地金属層9を一方の共通電極として電着させて形成された配線パターンであって、下地金属層9を介して電極パッド5と電気的に接続しており、半導体基板2上を電極パッド5からポスト電極11まで延在してポスト電極11と電極パッド5とを電気的に接続する機能を有している。
【0015】
ポスト電極11は、フォトリソグラフィ等により配線10の電極形成領域12を除く領域をマスキングし、露出している配線10上に下地金属層9を一方の共通電極として配線10と同一の材料を電気メッキ法により電着させて形成された100μm程度の高さを有する円柱状突起である。
13は密着性被膜であり、フォトリソグラフィにより半導体ウェハ1のおもて面側に塗布されたポジ型またはネガ型の感光性を有するポリイミド系等の密着性樹脂13aを紫外線等による露光および現像処理し、その後に熱処理により溶剤等の揮発成分を気化させ固化させて形成された光の透過性および絶縁性を有する半透明の膜であって、ポスト電極11との間および封止層15との間の強固な密着性を有しており、ポスト電極11のポスト端面11aから配線10との接合部までの側面を覆う一様な膜厚の被膜として形成される。
【0016】
本実施例の密着性樹脂13aは、感光性を有するポリイミド樹脂であり、前記の透過性、絶縁性、密着性に加えて低吸湿性を備えている。
封止層15は、半導体ウェハ1のおもて面側に塗布または注入された熱硬化性のエポキシ樹脂等の封止樹脂を加熱硬化させて形成された絶縁性および遮光性(外部からの紫外線等の光を遮蔽する機能をいう。)を有し、外部の湿度等から半導体装置を保護する機能を有する不透明な層であって、半導体装置を封止するために、半導体ウェハ1のおもて面側に形成された層間絶縁膜7上、下地金属層9、配線10上およびポスト電極11の側面に形成された密着性被膜13を覆い、封止層15のおもて面とポスト端面11aとが同一平面に位置するように形成される。この場合に密着性被膜13は、そのおもて面側の端面を除く表面が封止層15により覆われる。
【0017】
本実施例の封止層15は、熱硬化性のエポキシ樹脂を加熱硬化させて100μm程度の厚さに形成される。この場合に封止層15の厚さを60μm以上とすれば十分な遮光性を得ることができる。
16はバンプ電極であり、ポスト電極11のポスト端面11a上に半田ボール法やスクリーン印刷法等により半田等で形成された半球状の電極であって、図示しない実装基板の配線端子と接合され、半導体装置の外部端子として機能する。これにより半導体基板2に形成された回路素子は、電極パッド5、下地金属層9、配線10、ポスト電極11およびバンプ電極16を介して外部装置と接続される。
【0018】
17はレジストマスクであり、フォトリソグラフィにより半導体ウェハ1のおもて面に塗布されたレジストを露光し、その後に現像処理して形成されるマスク部材である。
上記の密着性被膜13は、図3(P10)にTで示す膜厚を5μm以上、40μm以下の厚さに形成することが好ましい。
膜厚を5μmより薄くすると、バンプ電極16の形成時の熱処理によるポスト電極11と封止層15との熱膨張差を吸収できずにポスト電極11との間または封止層15との間に剥離が生じる虞があり、膜厚を40μmより厚くすると、光を透過させる密着性被膜13を透過した紫外線等の光により、実装基板への実装後等に半導体装置の回路素子のメモリの内容等が消去されてしまう虞があるからである。
【0019】
本実施例の密着性被膜13の膜厚は、10μmである。
以下に、図1、図2、図3にPで示す工程に従って、本実施例の半導体装置の製造方法について説明する。
P1(図1)、半導体ウェハ1の半導体基板2の回路形成面3に、図示しない複数の回路素子を形成し、各回路素子の上部に図示しないコンタクトホールを設けた絶縁層4を形成した後に、絶縁層4上にスパッタ法によりアルミニウムからなる導電層を形成し、これを所定の形状にエッチングして回路素子の所定の部位と電気的に接続する電極パッド5を形成する。
【0020】
電極パッド5の形成後に、電極パッド5上と絶縁層4上にCVD法により窒化珪素からなる表面保護膜6を形成し、表面保護膜6の表層をエッチングして電極パッド5を露出させ、この表面保護膜6上および電極パッド5上にポリイミドからなる層間絶縁膜7を形成して電極パッド5の部位をエッチングにより除去し、層間絶縁膜7に電極パッド5に到るスルーホール8を形成する。
【0021】
P2(図1)、半導体ウェハ1のおもて面側にスパッタ法により層間絶縁膜7上および電極パッド5上を覆う複数層からなる下地金属層9を形成する
P3(図1)、フォトリソグラフィにより下地金属層9の電極パッド5上から電極形成領域12上に到る配線10の形成領域を除く領域にレジストマスク17を形成し、露出している下地金属層9上に下地金属層9を一方の共通電極として銅を電気メッキ法により電着させ、電極パッド5上から電極形成領域12上に到る配線10を形成する。
【0022】
P4(図1)、アセトン等の除去溶剤を用いて工程P3で形成したレジストマスク17を除去する。
P5(図2)、フォトリソグラフィにより半導体ウェハ1のおもて面側の配線10上の電極形成領域12を除く領域にレジストマスク17を形成し、露出している配線10上に下地金属層9を一方の共通電極として銅を電気メッキ法により電着させ、ポスト電極11を形成する。
【0023】
P6(図2)、除去溶剤を用いて工程P5で形成したレジストマスク17を除去し、配線10およびポスト電極11を除く領域の下地金属層9を酸素ガス雰囲気中でのプラズマエッチングにより除去する。
P7(図2)、半導体ウェハ1おもて面側の全面にスピンコート法によりネガ型の感光性を有するポリイミドからなる密着性樹脂13aを塗布する。
【0024】
P8(図3)、密着性樹脂13aの塗布後に、電極形成領域12およびその周囲(本実施例では電極形成領域12から10μmの領域)を除く領域を遮光したフォトマスク18を用いて塗布された密着性樹脂13aに露光装置から紫外線を照射して露光し、ポスト電極11の周囲の密着性樹脂13aを硬化させる。
P9(図3)、密着性樹脂13aの硬化後に、現像処理により未感光の密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させてポスト電極11の側面を被覆する膜厚10μmの密着性被膜13を形成する。
【0025】
この場合に、ポジ型の密着性樹脂13aを用いるときは、フォトマスク18を電極形成領域12およびその周囲の領域を遮光するフォトマスク18とし、塗布された密着性樹脂13aを露光し、ポスト電極11の周囲を除く領域の密着性樹脂13aを軟化させ、現像処理により感光した密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させてポスト電極11の側面を被覆する密着性被膜13を形成すればよい。
【0026】
P10(図3)、半導体ウェハ1を図示しない封止金型に収納し、半導体ウェハ1のおもて面側の全面を覆うように、つまり層間絶縁膜7上、下地金属層9、配線10上およびポスト電極11の側面に形成された密着性被膜13を覆うように熱硬化性のエポキシ樹脂からなる封止樹脂を封止金型の内部に注入し、これを加熱硬化させて封止層15を形成し、封止金型にから半導体ウェハ1を取出し、封止層15のおもて面側を研磨してポスト電極11のポスト端面11aおよび密着性被膜13のおもて面側の端面を封止層15のおもて面に露出させ、封止層15のおもて面とポスト端面11aとを同一平面に位置するようにした封止層15を形成する。
【0027】
そして、封止層15のおもて面に露出しているポスト端面11aにフラックスを塗布し、各電極形成領域12に半田ボールの直径より僅かに大きな直径を有する案内孔を穿孔した半導体ウェハ1と略同等の直径を有する図示しない半田ボール搭載治具を装着し、案内孔に半田ボールを投入してポスト端面11aに半田ボールを載置し、半田ボール搭載治具を取り除いた後に熱処理により半田ボールを溶融させ、ポスト端面11a上に半球形状に突出するバンプ電極16を形成する。
【0028】
以上の工程により、個片に分割される前の複数の半導体装置が形成された半導体ウェハ1が形成され、この半導体ウェハ1を個片に分割することにより本実施例の半導体装置が製造される。
このようにして形成された本実施例の半導体装置は、その銅で形成されたポスト電極11の側面が密着性被膜13を介して封止層15と強固に密着しているので、半導体装置を実装基板に実装するときのバンプ電極16の接合工程等における半導体装置と実装基板との熱膨張差に起因する応力等の外部からの応力がポスト電極11に負荷されたとしても、ポスト電極11と封止層15との界面に剥離が生じることはない。
【0029】
また、光を透過させる密着性被膜13を薄く形成して、遮光性を有する熱硬化性の封止樹脂を用いて遮光に十分な厚さを有する封止層15により封止したので、実装基板への実装後等に半導体装置が光に曝されたとしても、その紫外線の影響により回路素子のメモリの内容等が消去されることはない。
以上説明したように、本実施例では、半導体装置のポスト電極の側面と封止層との間に密着性被膜を設け、封止層を遮光性を有する封止樹脂で形成したことによって、ポスト電極の側面を密着性被膜を介して封止層に強固に密着させることができ、外部からの応力がポスト電極に負荷されたとしても、ポスト電極と封止層との界面に剥離が生じることがなくなり、外部からの水分等の侵入を防止して電極ポストや配線の腐食やこれに伴う外部から繰返し負荷される応力による配線の断線等を防止することができ、半導体装置の接続信頼性を確保することができると共に、密着性被膜を遮光性を有する封止層により封止したので、実装基板への実装後等に半導体装置の回路素子が紫外線等の光に曝されることを防止でき、回路素子のメモリの消失等を未然に防止することができる。
【実施例2】
【0030】
図4、図5、図6は実施例2の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の密着性被膜13は、上記実施例1と同様に、図6(PA10)にTで示す膜厚を5μm以上、40μm以下の厚さに形成することが好ましい。
本実施例では、上記実施例1と同様の理由に加えて、膜厚を5μmより薄くすると、配線10の段差部に密着性被膜13が形成されない場合があり、バンプ電極16の形成時の熱処理による配線10と封止層15との熱膨張差を吸収できずに封止層15が配線10を直接覆っている箇所に剥離が生ずる虞があるからである。
【0031】
本実施例の密着性被膜13の膜厚は、10μmである。
以下に、図4、図5、図6にPAで示す工程に従って、本実施例の半導体装置の製造方法について説明する。
本実施例の図4、図5に示す工程PA1〜工程PA7の作動は、上記実施例1の図1、図2に示す工程P1〜工程P7の作動と同様であるのでその説明を省略する。
【0032】
PA8(図6)、密着性樹脂13aの塗布後に、上記実施例1の工程P8と同様のフォトマスク18を用いてポスト電極11の周囲の密着性樹脂13aを露光して硬化させる。
PA9(図6)、密着性樹脂13aの硬化後に、現像処理の時間を調整してポスト電極11およびその周囲を除く領域の未感光の密着性樹脂13aを膜状に残留させ、その後に残留した未感光の密着性樹脂13aを再度露光して硬化させ、熱処理により固化させてポスト電極11の側面および配線10を含む半導体ウェハ1のおもて面側の全面を被覆する10μm程度の密着性被膜13を形成する。
【0033】
この場合に、ポジ型の密着性樹脂13aを用いるときは、フォトマスク18を電極形成領域12およびその周囲の領域を遮光するフォトマスク18とし、塗布された密着性樹脂13aに対する露光時間を調整して、ポスト電極11の周囲を除く領域の半導体基板2側の密着性樹脂13aを膜状に残留させた状態で密着性樹脂13aを露光により軟化させ、現像処理により感光した密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させてポスト電極11の側面および配線10を含む半導体ウェハ1のおもて面側の全面を被覆する密着性被膜13を形成すればよい。
【0034】
PA10(図6)、半導体ウェハ1を図示しない封止金型に収納し、半導体ウェハ1のおもて面側の全面を覆うように、つまり層間絶縁膜7上、下地金属層9と配線10を覆う密着性被膜13およびポスト電極11の側面に形成された密着性被膜13を覆うように封止樹脂を封止金型の内部に注入し、これを加熱硬化させて封止層15を形成する。
その後の封止層15の研磨およびバンプ電極16の形成の作動は、実施例1の工程P10の作動と同様であるのでその説明を省略する。
【0035】
以上の工程により、個片に分割される前の複数の半導体装置が形成された半導体ウェハ1が形成され、この半導体ウェハ1を個片に分割することにより本実施例の半導体装置が製造される。
このようにして形成された本実施例の半導体装置は、そのポスト電極11の側面および配線10を含む半導体ウェハ1のおもて面側の全面が密着性被膜13を介して封止層15と強固に密着しているので、外部からの応力がポスト電極11に負荷されたとしても、ポスト電極11と封止層15との界面に剥離が生じることはなく、配線10と封止層15との間の密着性が向上するので、個片化された後の半導体装置の側面等から侵入する水分により配線10に腐食が生ずることもない。
【0036】
また、上記実施例1と同様に薄い密着性被膜13を、遮光性を有する封止層15により封止したので、紫外線の影響により回路素子のメモリの内容等が消去されることはない。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、半導体装置の配線と封止層との間に密着性被膜を設けたことによって、個片化された後の半導体装置の側面等から侵入する水分による配線の腐食を防止することができ、外部から繰返し負荷される応力による配線の断線を更に防止することができる。
【0037】
なお、上記工程PA9においては、密着性被膜は半導体ウェハのおもて面側の全面に形成するとして説明したが、後述する実施例3の工程PB6と同様に密着性被膜を配線とその周囲に形成し、封止層により封止するようにしてもよい。このようにしても上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例1の工程P9および上記工程PA9において、密着性被膜を形成するときに密着性樹脂13aの除去後に、熱処理により固化させるとして説明したが、工程P9および工程PA9においては現像処理による密着性樹脂13aの除去に止め、これを工程P10および工程PA10における封止樹脂で封止し、その後の封止樹脂の硬化のための熱処理により封止層の硬化と密着性被膜の固化とを同時に行うようにしてもよい。このようにすれば、密着性被膜の熱処理を省略して半導体装置の製造方法の効率化を図ることができる。
【実施例3】
【0038】
図7ないし図10は実施例3の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の密着性被膜13は、上記実施例2と同様の理由により、図10(PB12)にTで示す膜厚を5μm以上、40μm以下の厚さに形成することが好ましい。
本実施例の密着性被膜13の膜厚は、10μmである。
【0039】
以下に、図7ないし図10にPBで示す工程に従って、本実施例の半導体装置の製造方法について説明する。
本実施例の図7に示す工程PB1〜工程PB4の作動は、上記実施例1の図1に示す工程P1〜工程P4の作動と同様であるのでその説明を省略する。
PB5(図7)、半導体ウェハ1おもて面側の全面にスピンコート法によりネガ型の感光性を有するポリイミドからなる密着性樹脂13aを塗布する。
【0040】
PB6(図8)、密着性樹脂13aの塗布後に、配線10とその周囲(本実施例では配線10から10μmの領域)を除く領域、および電極形成領域12の中央部(本実施例ではポスト電極の直径の60%以上、80%以下の領域)を遮光したフォトマスク18を用いて塗布された密着性樹脂13aを露光し、電極形成領域12の中央部を除く配線10上とその周囲の密着性樹脂13aを硬化させる。
【0041】
PB7(図8)、密着性樹脂13aの硬化後に、現像処理により未感光の密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させて電極形成領域12の中央部を除く配線10およびその周囲の下地金属層9を被覆する10μm程度の密着性被膜13を形成する。
この場合に、ポジ型の密着性樹脂13aを用いるときは、フォトマスク18を電極形成領域12の中央部を除く配線10とその周囲の領域を遮光するフォトマスク18とし、塗布された密着性樹脂13aを露光して配線10とその周囲を除く領域および電極形成領域12の中央部の密着性樹脂13aを軟化させ、現像処理により感光した密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させて電極形成領域12の中央部を除く配線10およびその周囲の下地金属層9を被覆する密着性被膜13を形成すればよい。
【0042】
PB8(図8)、実施例1の工程P5と同様にして配線10上の電極形成領域12にポスト電極11を形成する。これにより密着性被膜13が配線10とポスト電極11の接合部の内側に延在した状態でポスト電極11が形成される。
PB9(図9)、実施例1の工程P6と同様にして配線10の周囲の密着性被膜13およびポスト電極11を除く領域の下地金属層9を除去する。
【0043】
PB10(図9)、実施例1の工程P7と同様にして半導体ウェハ1おもて面側に密着性樹脂13aを塗布し、その後に実施例1の工程P8と同様にしてポスト電極11の周囲の密着性樹脂13aを硬化させる。
PB11(図9)、密着性樹脂13aの硬化後に、実施例1の工程P9と同様にして密着性樹脂13a固化させ、ポスト電極11の側面に配線10上の密着性被膜13に接続する密着性被膜13を形成する。
【0044】
PB12(図10)、半導体ウェハ1を図示しない封止金型に収納し、半導体ウェハ1のおもて面側の全面を覆うように、つまり層間絶縁膜7上、配線10上とその周囲の下地金属層9上の密着性被膜13およびポスト電極11の側面に形成された密着性被膜13を覆うように封止樹脂を封止金型の内部に注入し、これを加熱硬化させて封止層15を形成する。
【0045】
その後の封止層15の研磨およびバンプ電極16の形成の作動は、実施例1の工程P10の作動と同様であるのでその説明を省略する。
以上の工程により、個片に分割される前の複数の半導体装置が形成された半導体ウェハ1が形成され、この半導体ウェハ1を個片に分割することにより本実施例の半導体装置が製造される。
【0046】
このようにして形成された本実施例の半導体装置は、そのポスト電極11の側面および配線10が密着性被膜13を介して封止層15と強固に密着しているので、実施例2と同様に外部からの応力がポスト電極11に負荷されたとしても、ポスト電極11と封止層15との界面に剥離が生じることはなく、配線10と封止層15との間の密着性が向上するので、個片化された後の半導体装置の側面等から侵入する水分により配線10に腐食が生ずることもない。
【0047】
また、密着性被膜13が配線10とポスト電極11の接合部の内側に延在した状態でポスト電極11が形成されているので、外部からの力によりポスト電極11に負荷される応力を緩和することができる。
更に、上記実施例1と同様に薄い密着性被膜13を、遮光性を有する封止層15により封止したので、紫外線の影響により回路素子のメモリの内容等が消去されることはない。
【0048】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2と同様の効果に加えて、半導体装置の配線とポスト電極の接合部の内側に密着性被膜を延在させてポスト電極を形成したことによって、外部からの力によりポスト電極に負荷される応力を緩和することができる。
【実施例4】
【0049】
図11、図12、図13は実施例4の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
以下に、図11、図12、図13にPCで示す工程に従って、本実施例の半導体装置の製造方法について説明する。
図13に示す密着性被膜13は、ポスト電極11の側面に実施例1と同様の密着性樹脂13aを用いてフォトリソグラフィにより密着性被膜13の周面がポスト電極11の先端に向かって縮小する錐面20(本実施例では円錐台面)となるように形成され、その配線10との接合部の膜厚が10μm以上でありポスト端面11aの膜厚が1μm以下となる錐面20を有するの被膜である。
【0050】
本実施例の図11、図12に示す工程PC1〜工程PC7の作動は、上記実施例1の図1、図2に示す工程P1〜工程P7の作動と同様であるのでその説明を省略する。
PC8(図13)、密着性樹脂13aの塗布後に、上記実施例1の工程P8と同様の電極形成領域12およびその周囲を除く領域を遮光したフォトマスク18を用いてフォトマスク18と半導体ウェハ1との間隔を拡げながら、つまり露光装置を半導体ウェハ1から遠ざけながら塗布された密着性樹脂13aを露光し、ポスト電極11の周囲の密着性樹脂13aをその側面が、ポスト電極11の先端に向かって縮小する錐面20となるように硬化させる。
【0051】
PC9(図13)、密着性樹脂13aの硬化後に、現像処理により未感光の密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させてポスト電極11の側面に配線10側の膜厚が10μm程度でありポスト端面11aの膜厚が1μm程度となる錐面20を有する密着性被膜13を形成する。
この場合に、ポジ型の密着性樹脂13aを用いるときは、フォトマスク18を電極形成領域12およびその周囲の領域を遮光するフォトマスク18とし、フォトマスク18と半導体ウェハ1との間隔を拡げながら塗布された密着性樹脂13aを露光し、ポスト電極11の周囲の錐面20の内側を除く領域の密着性樹脂13aを軟化させ、現像処理により感光した密着性樹脂13aを除去し、熱処理により固化させてポスト電極の側面にポスト電極11の側面に錐面20を有する密着性被膜13を形成すればよい。
【0052】
PC10(図13)、半導体ウェハ1を図示しない封止金型に収納し、半導体ウェハ1のおもて面側の全面を覆うように、つまり層間絶縁膜7上、下地金属層9、配線10上およびポスト電極11の側面に形成された錐面20を有する密着性被膜13を覆うように封止樹脂を封止金型の内部に注入し、これを加熱硬化させて封止層15を形成する。
その後の封止層15の研磨およびバンプ電極16の形成の作動は、実施例1の工程P10の作動と同様であるのでその説明を省略する。
【0053】
以上の工程により、個片に分割される前の複数の半導体装置が形成された半導体ウェハ1が形成され、この半導体ウェハ1を個片に分割することにより本実施例の半導体装置が製造される。
このようにして形成された本実施例の半導体装置は、そのポスト電極11の側面が密着性被膜13を介して封止層15と強固に密着しているので、実施例1と同様に外部からの応力がポスト電極11に負荷されたとしても、ポスト電極11と封止層15との界面に剥離が生じることはない。
【0054】
また、上記実施例1と同様に密着性被膜13を、遮光性を有する封止層15により封止したので、紫外線の影響により回路素子のメモリの内容等が消去されることはない。
更に、密着性被膜13の周面を錐面20として封止層15のおもて面に光の透過性を有する密着性被膜13を露出させないようにしたので、半導体装置の回路素子に対する遮光性を更に向上させることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、半導体装置のポスト電極の側面に周面を錐面とした密着性被膜を形成するようにしたことによって、封止層のおもて面に光の透過性を有する密着性被膜が露出することがなくなり、半導体装置の回路素子に対する遮光性を更に向上させることができる。
なお、上記実施例1、実施例2および実施例3のポスト電極11の側面の一様な膜厚の密着性被膜に替えて、本実施例で説明した周面を錐面とした密着性被膜を形成すれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0056】
上記した半導体装置は、密着性被膜によりポスト電極と封止層の界面の剥離を防止して半導体装置の接続信頼性を確保し、遮光性を有する封止層により外部からの紫外線等の光による影響を除去しているので、種々の用途の電子機器の品質の安定化に寄与するCSP型の半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図2】実施例1の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図3】実施例1の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図4】実施例2の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図5】実施例2の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図6】実施例2の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図7】実施例3の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図8】実施例3の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図9】実施例3の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図10】実施例3の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図11】実施例4の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図12】実施例4の半導体装置の製造方法を示す説明図
【図13】実施例4の半導体装置の製造方法を示す説明図
【符号の説明】
【0058】
1 半導体ウェハ
2 半導体基板
3 回路形成面
4 絶縁層
5 電極パッド
6 表面保護膜
7 層間絶縁膜
8 スルーホール
9 下地金属層
10 配線
11 ポスト電極
11a ポスト端面
12 電極形成領域
13 密着性被膜
13a 密着性樹脂13a
15 封止層
16 バンプ電極
17 レジストマスク
18 フォトマスク
20 錐面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、該半導体基板に形成された回路素子に電気的に接続する電極パッドと、該電極パッドに電気的に接続し、前記半導体基板上に延在する配線と、該配線上に形成されたポスト電極とを備えた半導体装置において、
前記ポスト電極の側面に形成した密着性被膜と、該密着性被膜の表面および前記配線を封止し、遮光性を有する封止層とを設けたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記配線と前記封止層との間に、前記密着性被膜を設けたことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記配線と前記封止層との間に前記密着性被膜を設け、該密着性被膜を前記ポスト電極と配線の接合部の内側に延在させたことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3において、
前記密着性被膜の膜厚が、5μm以上、40μm以下の厚さであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1、請求項2または請求項3において、
前記ポスト電極の側面の密着性被膜の表面が、前記ポスト電極の先端に向かって縮小する錐面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4または請求項5において、
前記密着性被膜が、ポリイミド樹脂からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5または請求項6において、
前記封止層が、熱硬化性のエポキシ樹脂からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
半導体ウェハを個片に分割して形成する半導体装置の製造方法において、
前記半導体ウェハに形成された回路素子に電気的に接続する電極パッドを形成する工程と、
前記電極パッドから電極ポストの電極形成領域に到る配線を形成する工程と、
前記電極形成領域に電極ポスト電極を形成する工程と、
該電極ポスト電極の側面を、密着性被膜で被覆する工程と、
該密着性被膜の表面および前記配線を、遮光性を有する封止樹脂で封止する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記電極ポスト電極の側面を密着性被膜で被覆する工程を、
前記電極ポスト電極の側面および配線を、密着性被膜で被覆する工程としたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8において、
前記電極形成領域の中央部を除く前記配線を、密着性被膜で被覆する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8、請求項9または請求項10において、
前記密着性被膜を、5μm以上、40μm以下の厚さに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8、請求項9または請求項10において、
前記電極ポスト電極の側面を被覆する密着性被膜を、表面を前記ポスト電極の先端に向かって縮小する錐面で形成した密着性被膜としたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8から請求項11または請求項12において、
前記密着性被膜を、ポリイミド樹脂を用いて形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8から請求項12または請求項13において、
前記封止層を、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−142121(P2007−142121A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333414(P2005−333414)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】