説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】銅配線上に形成される銅バリア絶縁膜の膜種を選択して、銅配線上に形成されている銅バリア絶縁膜を下地の周囲に形成されている絶縁膜に対して選択的なエッチング除去を可能にする。
【解決手段】銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線(第1配線14)と、前記第1配線14上に形成されたバリア絶縁膜21と、前記第1配線14上に形成されたビアホール26とを備えた半導体装置1において、前記バリア絶縁膜21はアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンからなり、前記ビアホール26底部の前記バリア絶縁膜21が選択的に除去されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線上に形成されるビアホール底部の信頼性に優れた半導体装置および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅(Cu)配線のダマシン(Damascene)構造においては、酸化膜中へのCu拡散を防止する目的で、バリア膜が用いられている。通常、配線溝の側壁および底部分はメタル系材料を用いることが多く、配線上面のバリア絶縁膜材料としては、窒化シリコン(SiN)、窒化炭化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、SiCON等の化学的気相成長(CVD)系材料が用いられることが多い(例えば、非特許文献1参照。)
【0003】
通常、上層配線と下層配線との接続は、上層配線と下層配線との間にビアを形成することにより繋ぐ。その際、下層配線とビア部分の導通を確保するためには、配線上のバリア絶縁膜をエッチングする必要が有り、このエッチングのエッチングガスには、フロロカーボン系ガス(CFx)が用いられることが一般的である。
【0004】
また、下層配線に対するビアのパターンニングは露光機を用いて行う。その際、合わせずれが生じることが一般的で有る。例えば、下層配線と上層のビアとがずれた状態で、エッチングガスにフロロカーボン系ガスを用いてバリア絶縁膜の加工を行うと、下層配線側の絶縁膜もエッチングされるという問題が発生する。
【0005】
上記エッチングによる合わせずれ部分の層間絶縁膜の掘れ量は、加工条件、層間絶縁膜種にも依存するが、下層配線側の層間絶縁膜に低誘電率膜を適用した場合、バリア絶縁膜に対する層間絶縁膜の加工選択比が著しく低下し、掘れ量は増加する。
【0006】
配線側部の層間絶縁膜が掘れた場合、その後のバリアメタル、銅めっき用のシード層を形成した場合のカバレッジ不足、もしくは、オーバーハングに起因する配線材料となる金属(例えば銅)の埋め込み不良を引き起こし、ビアの高抵抗化、配線の信頼性劣化を引き起こす。さらに、程度が悪い場合、上層配線と下層配線との間で短絡(ショート)を引き起こす場合もある。
【0007】
以下に、従来の配線形成技術の一例を、図13〜図17の製造工程断面図によって説明する。
【0008】
図13(1)に示すように、半導体基板(図示せず)上に、化学気相法(CVD)を用いて、誘電率が3以下の無機系酸化膜211を200nmの厚さに成膜する。この無機系酸化膜211にはMSQ(methyl-hydrogen-silsesquioxane)を用いる。さらに、有機の反射防止膜212(BARC:bottom anti refractive Coat)を塗布により形成した後、溝パターンを形成するためのエッチングマスク213を、化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。この溝は線幅60nmとした。
【0009】
次に、図13(2)に示すように、無機系酸化膜211に溝214を形成する。このエッチングでは、フッ化炭素(CF)系のエッチングガスを用いた。また溝214は、深さ150nmに加工した。このエッチング加工で残ったレジストは、酸素(O2)系ガスにて剥離した。
【0010】
その後、図13(3)に示すように、スパッタリングによって、上記無機系酸化膜211表面および溝214内面にバリアメタル層215としてTa膜を5nmの厚さに形成し、さらに銅めっきのシード(図示せず)として銅(Cu)膜を45nmの厚さに成膜した。次いで、電解めっき(ECP)法もしくはCVD法にて銅(Cu)膜216を形成し、溝214を埋め込んだ。
【0011】
次に、図13(4)に示すように、機械的化学研磨法(CMP)にて、銅(Cu)膜216表面を研磨し、溝214内部にバリアメタル215を介してCu膜216からなる、下層配線217を完成させた。
【0012】
次に、図14(5)に示すように、上記下層配線217上を被覆するように上記無機酸化膜211上に、銅バリア絶縁膜221として、PE−SiCN膜を30nmの厚さに成膜した後、層間絶縁膜222として誘電率が3以下のMQS系酸化膜を250nmの厚さに成膜する。この成膜方法はCVD法でも、SOG(Spin on glass)を用いた塗布法でも構わない。
【0013】
その後、図14(6)に示すように、ビアを形成するために、上記層間絶縁膜222上に有機反射防止膜(BARC:bottom anti refractive Coat)223を塗布して形成した後ビアを形成するためのエッチングマスク224を、化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。このエッチングマスク224に形成されたビアパターン225の直径を60nmとした。その際、ビアパターン225は下層配線217に対してずれ量がdの合わせずれが発生した。
【0014】
次いで、図15(7)に示すように、上記層間絶縁膜222にビア226を形成する。このエッチングは炭化水素(CFx)系ガスを用いたドライエッチングにて行う。そのため、上記銅バリア絶縁膜221上でエッチングが停止される。そして、残ったエッチングマスク224は、酸素系ガスでアッシングにより除去する。
【0015】
引き続き、図15(8)に示すように、上記ビア226の内部を埋め込むように、上記層間絶縁膜222上に、有機の反射防止膜217(BARC:bottom anti refractive Coat)を塗布により形成した後、溝を形成するためのエッチングマスク128を、化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。このエッチングマスク228には溝パターン229が形成されている。
【0016】
次に、図16(9)に示すように、上記エッチングマスク228〔前記図15(8)参照〕を用いたドライエッチングにより、上記層間絶縁膜222に溝231を形成する。このエッチングでは、フッ化炭素(CFx)系のエッチングガスを用いた。また溝231は、深さ140nmに加工した。このエッチング加工で残ったレジストは、酸素(O2)系ガスの低圧力条件下にて剥離した。
【0017】
次に、図16(10)に示すように、ビア226を導通するために、ビア226底部の上記銅バリア絶縁膜221をエッチングにより除去する。このエッチングでは、フッ化炭素(CFx)系のエッチングガスを用いた。その際、ビア226底部のSiCN膜からなる銅バリア絶縁膜121をエッチングするが、SiCN膜と酸化膜とのエッチング選択比が小さく、SiCN膜加工時のオーバーエッチング量に応じて、合わせズレ部分直下の層間絶縁膜の無機系酸化膜211もエッチングされる。このエッチングレートはSiCN:MSQ=1:2であり、SiCNは30%オーバー加工を実施するため、机上計算上は18nmだけ酸化膜が掘れる。さらに、マイクロローディング効果により狭スペースでのエッチングが加速され、トータルで36nm程度の掘れが発生し、不要な溝232が形成された。
【0018】
その後、図17(11)に示すように、有機系洗浄液にて下層配線217の露出した銅表面を洗浄する。続いて、スパッタリングによって、上記層間絶縁膜222表面、溝231内面およびビア226内面にバリアメタル層234としてTa膜を5nmの厚さに形成し、さらに銅めっきのシード(図示せず)として銅(Cu)膜を45nmの厚さに成膜した。次いで、電解めっき(ECP)法もしくはCVD法にて銅(Cu)膜235を形成し、溝231およびビア226を埋め込んだ。その際、合わせズレ部分に形成された溝232の内部にはボイド236が発生してしまい、抵抗上昇のみならず、配線の信頼性も劣化した。
【0019】
【非特許文献1】H.Miyajima, K.Fujita, S.Ito, K.Tabuchi, T.Shimayama, K.Akiyama, T.Hachiya, K.Higashi, N.Nakamura, A.Kajita, N.Matsunaga, Y.Enomoto, R.Kanamura, M.Inohara, K.Honda, H.Kamijo, R.Nakata, H.Yano, N.Hayasaka, T.Hasegawa, S.Kadomura, H.Shibata,and T.Yoda著 「Challenge of low-k materials for 130, 90, 65nm node interconnect technology and beyond」 IEDM Tech. Dig., p.329-332 2004年12月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
解決しようとする問題点は、銅配線上に形成されている銅バリア絶縁膜を下地の周囲に形成されている絶縁膜に対して選択的なエッチング除去ができない点である。
【0021】
本発明は、銅配線上に形成される銅バリア絶縁膜の膜種を選択して、銅配線上に形成されている銅バリア絶縁膜を下地の周囲に形成されている絶縁膜に対して選択的なエッチング除去を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の半導体装置は、銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線と、前記配線上に形成されたバリア絶縁膜と、前記配線上に形成されたビアホールとを備えた半導体装置において、前記バリア絶縁膜はアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンからなり、前記ビアホール底部の前記バリア絶縁膜が選択的に除去されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の半導体装置では、銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線(以下、配線という)上に形成されるバリア絶縁膜がアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンからなることから、上記配線上に形成されるビアホールの底部に上記バリア絶縁膜が存在した場合に、上記配線周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜をエッチングすることなくビアホール内の上記バリア絶縁膜のみを選択的にエッチング除去できるようになる。このため、合わせずれによって、配線に対してビアホールがずれて形成されていても、配線周囲の絶縁膜を損傷することなく、バリア絶縁膜は選択的に除去された状態に形成される。
【0024】
本発明の半導体装置の製造方法は、銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線と、前記配線上に形成されたバリア絶縁膜と、前記配線上に形成されたビアホールとを備えた半導体装置の製造方法において、前記バリア絶縁膜をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成し、前記ビアホール底部の前記バリア絶縁膜を選択的に除去することを特徴とする。
【0025】
本発明の半導体装置の製造方法では、銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線(以下、配線という)上に形成されるバリア絶縁膜をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成したことから、上記配線周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜をエッチングすることなく上記配線上に形成されるビアホールの底部の上記バリア絶縁膜のみを選択的にエッチング除去できるようになる。このため、合わせずれによって、配線に対してビアホールがずれて形成されていても、配線周囲の絶縁膜を損傷することなく、バリア絶縁膜を選択的に除去することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の半導体装置は、いわゆる銅配線上に形成されるバリア絶縁膜がアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成されているため、配線に対してビアホールがずれて形成されていても、配線周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜をエッチングすることなく上記配線上に形成されるビアホールの底部の上記バリア絶縁膜のみを選択的にエッチング除去できているので、配線側部の絶縁膜がエッチングされることはない。このため、配線溝やビアホール内における銅の埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や上下配線間短絡(ショート)を回避することができるという利点がある。さらに、バリア絶縁膜が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【0027】
本発明の半導体装置の製造方法は、いわゆる銅配線上に形成するバリア絶縁膜をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成するため、配線に対してビアホールがずれて形成されても、配線周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜をエッチングすることなく上記配線上に形成されるビアホールの底部の上記バリア絶縁膜のみを選択的にエッチング除去できるので、配線に対してビアホールがずれて形成されても、配線側部の絶縁膜がエッチングされることがない。このため、配線溝やビアホール内に銅の埋め込む際に、埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や上下配線間短絡(ショート)を発生することがないいう利点がある。さらに、バリア絶縁膜が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態の第1例を、図1の概略構成断面図によって説明する。ここでは一例として、いわゆるシングルダマシン法に適用した一例を示す。
【0029】
図1に示すように、半導体基板10上に、誘電率が3以下の無機系酸化膜11が例えば200nmの厚さに成膜されている。この無機系酸化膜11には、例えばMSQ(methyl-hydrogen-silsesquioxane)を用いることができる。さらに、上記無機系酸化膜11には配線溝12が形成され、その内部にバリアメタル層13を介して銅(Cu)膜からなる、第1配線14が形成されている。
【0030】
上記無機酸化膜11上には上記第1配線14上を被覆するようにバリア絶縁膜21が形成されている。このバリア絶縁膜21は、例えばアモルファスカーボン膜からなり、例えば50nmの厚さに形成されている。このバリア絶縁膜21には、ダイヤモンドライクカーボン膜を用いることもできる。
【0031】
ダイヤモンドライクカーボン膜は構造的にはダイヤモンド構造を一部含んだ、炭素と水素からなる高密度な構造であり、ピンホールフリーであることが知られている。結晶粒界がないことより非常に表面粗さが小さく、ダイヤモンドと同様に硬度が高く、耐摩耗性、固体潤滑性、熱伝導性、耐薬品性、耐食性、化学的安定性、絶縁性に優れている。ダイヤモンドライクカーボンに関する基礎特性は、例えばH. Vora and T. J. Moravec著、Appl. Phys.,52, 1651(1981)に開示されている。
【0032】
一方、アモルファスカーボン膜は、粒界がなく、化学的に安定で、高硬度の膜が得られることが知られている。また、誘電率に関しても、3以下の実現が可能である。また、膜組成がCHxであることにより、加工する際のガス系としては、フロロカーボン(CFx)系ガスの適用が必要なく、水素、酸素、窒素の単ガス、もしくは、混合系ガスの適用が可能である。これらのガス系は、無機系酸化膜をエッチングしないため、合わせズレを有する、下層配線と上層ビア構造において、下層層間絶縁膜が掘れること無い。さらに、化学的に安定、誘電率が低い膜特性より、信頼性向上と容量低減も期待される。
【0033】
上記バリア絶縁膜21上には層間絶縁膜22が形成されている。この層間絶縁膜22は、例えば、誘電率が3以下のMQS系酸化膜で形成され、その膜厚は例えば250nmの厚さに設定されている。
【0034】
上記層間絶縁膜22には配線溝31が形成され、さらにこの配線溝31の底部にビアホール26が形成されている。通常、ビアホール26は、マスク合わせずれによって、例えばdだけ下層の第1配線14に対してずれて形成されることがある。図面では、ずれた場合を示してある。さらに、上記ビアホール26は、上記バリア絶縁膜21を貫通して、下層の第1配線14に達するように形成されている。
【0035】
そして、上記配線溝31の内部にはバリアメタル層32を介して銅膜33からなる第2配線34が形成されているとともに、この第2配線34の底部に接続するもので、上記ビアホール26の内部にバリアメタル層32を介して銅膜33からなるビア35が形成されている。
【0036】
上記第1例の半導体装置1では、いわゆる銅配線からなる第1配線14上に形成されるバリア絶縁膜21がアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成されているため、第1配線14に対してビアホール26がずれて形成されていても、第1配線14周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜からなる無機酸化膜11をエッチングすることなく上記第1配線14上に形成されるビアホール26の底部の上記バリア絶縁膜21のみを選択的にエッチング除去できているので、第1配線14側部の無機酸化膜11がエッチングされることはない。このため、配線溝31やビアホール26内における銅の埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や上下配線間、すなわち第1配線21と第2配線34との短絡(ショート)を回避することができるという利点がある。さらに、バリア絶縁膜21が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【0037】
次に、本発明の半導体装置に係る一実施の形態の第2例を、図2の概略構成断面図によって説明する。ここでは一例として、いわゆるデュアルダマシン法に適用した一例を示す。
【0038】
図2に示すように、半導体基板10上に、誘電率が3以下の無機系酸化膜11が例えば200nmの厚さに成膜されている。この無機系酸化膜11には、例えばMSQ(methyl-hydrogen-silsesquioxane)を用いることができる。さらに、上記無機系酸化膜11には配線溝12が形成され、その内部にバリアメタル層13を介して銅(Cu)膜からなる、第1配線14が形成されている。
【0039】
上記無機酸化膜11上には上記第1配線14上を被覆するようにバリア絶縁膜21が形成されている。このバリア絶縁膜21は、例えばアモルファスカーボン膜からなり、例えば50nmの厚さに形成されている。このバリア絶縁膜21には、ダイヤモンドライクカーボン膜を用いることもできる。ダイヤモンドライクカーボン膜およびアモルファスカーボン膜は上記第1例で説明したような膜である。
【0040】
上記バリア絶縁膜21上には層間絶縁膜22が形成されている。この層間絶縁膜22は、例えば、誘電率が3以下のMQS系酸化膜で形成され、その膜厚は例えば100nmの厚さに設定されている。さらに、上記層間絶縁膜22上には、有機系絶縁膜41と無機系絶縁膜42とが順に積層されて形成されている。上記有機系絶縁膜41は、例えば、ポリアリールエーテルで形成され、その厚さは例えば80nmに設定されている。上記無機系絶縁膜42は、例えば、プラズマエンハンスメントCVDにより成膜された酸化シリコン膜(PE酸化膜)で形成され、その厚さは例えば100nmに設定されている。
【0041】
上記有機系絶縁膜41と無機系絶縁膜42とには配線溝31が形成され、さらにこの配線溝31の底部の上記層間絶縁膜22にはビアホール26が形成されている。通常、ビアホール26は、マスク合わせずれによって、例えばdだけ下層の第1配線14に対してずれて形成されることがある。図面では、ずれた場合を示してある。さらに、上記ビアホール26は、上記バリア絶縁膜21を貫通して、下層の第1配線14に達するように形成されている。
【0042】
そして、上記配線溝31の内部にはバリアメタル層32を介して銅膜33からなる第2配線34が形成されているとともに、この第2配線34の底部に接続するもので、上記ビアホール26の内部にバリアメタル層32を介して銅膜33からなるビア35が形成されている。
【0043】
上記第2例の半導体装置2では、前記第1例の半導体装置1と同様なる作用効果を奏する。よって、配線溝31やビアホール26内における銅の埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や上下配線間、すなわち第1配線21と第2配線34との短絡(ショート)を回避することができるという利点がある。さらに、バリア絶縁膜21が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【0044】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る基本的な実施の形態の一例を、図3の製造工程断面図によって説明する。
【0045】
図3(1)に示すように、半導体基板(図示せず)上に有機系絶縁膜111と無機系絶縁膜112とが積層され、その積層膜に形成された配線溝113内部にバリアメタル層114を介して第1配線115が形成されている。
【0046】
このような上記無機系絶縁膜112上に、上記第1配線115の表面を被覆するバリア絶縁膜121を形成する。こnバリア絶縁膜121は、ダイヤモンドライクカーボンもしくはアモルファスカーボンで形成する。その後、無機絶縁膜122と有機絶縁膜123と無機絶縁膜124との積層膜を形成する。そして、上層の無機絶縁膜124に配線溝125を形成するとともに、有機絶縁膜123と下層の無機絶縁膜122に、上記配線溝124から上記バリア絶縁膜121に達するビアホール126を形成する。この状態では、ビアホール126の底部にバリア絶縁膜121が露出されている。また、通常のリソグラフィーを伴う加工では、上記ビアホール126は第1配線115に対して合わせずれが生じる。このため、第1配線115に対して上記ビアホール126がずれて形成されてしまう。
【0047】
次に、図3(2)に示すように、上記ビアホール126底部のバリア絶縁膜121を選択的に除去する。この除去加工では、ドライエッチングを用い、例えばエッチングガスに水素(H2)、窒素(N2)および酸素(O2)のうちの一種もしくは複数種を用いてエッチングを行う。これらのエッチングガスでは、無機絶縁膜、特に無機酸化シリコン膜はエッチングされない。このため、ダイヤモンドライクカーボンもしくはアモルファスカーボンからなるバリア絶縁膜121のみが選択的に除去され、ビアホール126の底部に第1配線115表面が露出される。
【0048】
上記半導体装置の製造方法は、いわゆる銅配線である第1配線115上に形成するバリア絶縁膜121をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成するため、第1配線115に対してビアホール126がずれて形成されても、第1配線115周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜112をエッチングすることなく上記第1配線115上に形成されるビアホール126の底部の上記バリア絶縁膜121のみを選択的にエッチング除去できる。したがって、第1配線121に対してビアホール126がずれて形成されても、第1配線121側部の無機系絶縁膜112がエッチングされることがない。このため、配線溝やビアホール内に銅の埋め込む際に、埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や第1、第2配線115、131間短絡(ショート)を発生することがないいう利点がある。さらに、バリア絶縁膜121が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【0049】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第1例を、図4〜図7の製造工程断面図によって説明する。この図4〜図7では、上記図3によって説明した製造方法をより具体化して説明する。ここでは一例として、いわゆるシングルダマシン法に適用した一例を示す。
【0050】
図4(1)に示すように、半導体基板(図示せず)上に、化学気相法(CVD)を用いて、誘電率が3以下の無機系酸化膜11を例えば200nmの厚さに成膜する。この無機系酸化膜11には、例えばMSQ(methyl-hydrogen-silsesquioxane)を用いる。さらに、有機の反射防止膜(BARC:bottom anti refractive Coat)(図示せず)を、例えば塗布法により形成した後、溝パターンを形成するためのエッチングマスク(図示せず)を、例えば化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。この溝パターンは線幅60nmとした。
【0051】
次に、上記無機系酸化膜11に溝12を形成する。このエッチングでは、フッ化炭素(CF)系のエッチングガスを用いた。また溝12は、深さ150nmに加工した。このエッチング加工で残ったレジストは、酸素(O2)系ガスにて剥離した。
【0052】
その後、スパッタリングによって、上記無機系酸化膜11表面および溝12内面にバリアメタル層13を形成する。このバリアメタル層13は、例えばTa膜を5nmの厚さに製造して形成する。さらに銅めっきのシード(図示せず)として銅(Cu)膜を45nmの厚さに成膜する。次いで、電解めっき(ECP)法もしくはCVD法にて銅(Cu)膜を形成し、溝12を埋め込んだ。その後、機械的化学研磨法(CMP)にて、銅(Cu)膜表面を研磨し、溝12内部にバリアメタル13を介してCu膜からなる、第1配線14を完成させた。
【0053】
次に、上記第1配線14上を被覆するように上記無機酸化膜11上に、バリア絶縁膜21を形成する。このバリア絶縁膜21は、例えばアモルファスカーボン膜を50nmの厚さに成膜して形成する。このバリア絶縁膜21には、ダイヤモンドライクカーボン膜を用いることもできる。上記、ダイヤモンドライクカーボン膜、アモルファスカーボン膜は、例えば平行平板型のプラズマCVD装置で成膜することが可能である。例えば、基盤RFバイアスパワーを200W、成膜雰囲気の圧力を400Pa、プリカーサ種にメタン(CH4)を用い、その供給流量を500cm3/min、キャリアガスにヘリウム(He)を用い、その供給流量を1000cm3/minに設定した。
【0054】
ここで、ダイヤモンドライクカーボンとアモルファスカーボンについて、簡単に接続する。両者共に、メタン(CH4)、エタン(C24)など炭化水素ガスをプラズマで分解して成膜するプラズマCVD法にて成膜可能がである。
【0055】
その後、バリア絶縁膜21上に層間絶縁膜22を形成する。この層間絶縁膜22は、例えば誘電率が3以下のMQS系酸化膜を250nmの厚さに成膜して形成する。この成膜方法はCVD法でも、SOG(Spin on glass)を用いた塗布法でも構わない。
【0056】
次に、図4(2)に示すように、上記層間絶縁膜22上に有機反射防止膜(BARC:bottom anti refractive Coat)23を塗布して形成した後、ビアを形成するためのエッチングマスク24を、例えば化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。このエッチングマスク24に形成されたビアパターン25が形成されている。このビアパターン25の直径は、例えば60nmとした。その際、ビアパターン25は第1配線14に対してずれ量がdの合わせずれが発生した。
【0057】
次に、図5(3)に示すように、上記層間絶縁膜22にビア26を形成する。このエッチングは炭化水素(CFx)系ガスを用いたドライエッチングにて行う。そのため、上記バリア絶縁膜21上でエッチングが停止される。そして、残ったエッチングマスク24〔前記図4(2)参照〕は、酸素系ガスでアッシングにより除去する。
【0058】
次に、図5(4)に示すように、上記ビア26の内部を埋め込むように、上記層間絶縁膜22上に、有機の反射防止膜27(BARC:bottom anti refractive Coat)を形成する。この反射防止膜27は、例えば塗布により形成する。その後、溝を形成するためのエッチングマスク28を、例えば化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。このエッチングマスク28には溝パターン29が形成されている。
【0059】
次に、図6(5)に示すように、上記エッチングマスク28〔前記図5(4)参照〕を用いたドライエッチングにより、上記層間絶縁膜22に配線溝31を形成する。このエッチングでは、フッ化炭素(CFx)系のエッチングガスを用いた。このエッチングでも、フッ化炭素(CFx)系のエッチングガスを用いているためビアホール26底部のバリア絶縁膜21がエッチングされることはない。また配線溝31は、深さ140nmに加工した。このエッチング加工で残ったエッチングマスク28は、酸素(O2)系ガスの低圧力条件下にて剥離(例えばアッシング)した。
【0060】
次に、図6(6)に示すように、ビア26を導通するために、ビア26底部の上記バリア絶縁膜21をエッチングにより除去する。このエッチングでは、エッチングガスに窒素(N2)と酸素(O2)とを用いた。このエッチング条件は、一例として、エッチング雰囲気の圧力を1.3Pa、窒素ガスの流量を400cm3/min、酸素ガスの領域を25cm3/minに設定し、基板バイアスパワーを上部が650W,下部電極が200Wに設定した。上記エッチングでは、水素(H2)、窒素(N2)、酸素(O2)を単独で用いることもでき、また、これらのガス系を複数種組み合わせて用いることもできる。このエッチングでは、無機系酸化膜はエッチングされないため、上記無機酸化膜11はエッチングされない。このため、従来技術のように、ビアホール26底部の第1配線14の側部、すなわち合わせずれ領域が彫れることがないので、不要な凹部が形成されることはない。
【0061】
その後、図7(7)に示すように、有機系洗浄液にて第1配線14の露出した銅表面を洗浄する。続いて、スパッタリングによって、上記層間絶縁膜22表面、配線溝31内面およびビア26内面にバリアメタル層32を形成する。このバリアメタル層32は、例えばTa膜を5nmの厚さに形成する。さらに銅めっきのシード(図示せず)として銅(Cu)膜を45nmの厚さに成膜した。次いで、電解めっき(ECP)法もしくはCVD法にて銅(Cu)膜33を形成し、溝31およびビア26を埋め込んだ。その際、合わせズレ部分では、ボイドが発生することはなくビア抵抗値は安定した。また、アモルファスカーボン膜もしくはダイヤモンドライクカーボン膜は誘電率が3以下であるため、既存技術に対して、20%程度の容量低減を実現することができ、さらに、化学的安定な膜質により、配線信頼性も向上した。
【0062】
その後、図示はしないが、上記層間絶縁膜22上の余剰な上記銅膜33およびバリアメタル層32を除去し、配線溝31の内部にバリアメタル層32を介して銅膜33からなる第2配線を形成するとともに、この第2配線の底部に接続するもので、上記ビアホール26の内部にバリアメタル層32を介して銅膜33からなるビアを形成する。
【0063】
上記第1例の半導体装置の製造方法は、第1配線14上に形成するバリア絶縁膜21をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成するため、第1配線14に対してビアホール26がずれて形成されても、第1配線14周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜である無機酸化膜11をエッチングすることなく上記第1配線14上に形成されるビアホール26の底部の上記バリア絶縁膜21のみを選択的にエッチング除去できる。このため、配線溝31やビアホール26内に銅の埋め込む際に、埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や、第1配線14と第2配線34との間で短絡(ショート)を発生することがないいう利点がある。さらに、バリア絶縁膜21が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【0064】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第2例を、図8〜図12の製造工程断面図によって説明する。この図8〜図12では、上記図3によって説明した製造方法をより具体化して説明する。ここでは一例として、いわゆるデュアルダマシン法に適用した一例を示す。
【0065】
図8(1)に示すように、半導体基板(図示せず)上に、化学気相法(CVD)を用いて、誘電率が3以下の無機系酸化膜11を例えば200nmの厚さに成膜する。この無機系酸化膜11には、例えばMSQ(methyl-hydrogen-silsesquioxane)を用いる。さらに、有機の反射防止膜(BARC:bottom anti refractive Coat)(図示せず)を、例えば塗布法により形成した後、溝パターンを形成するためのエッチングマスク(図示せず)を、例えば化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。この溝パターンは線幅60nmとした。
【0066】
次に、上記無機系酸化膜11に溝12を形成する。このエッチングでは、フッ化炭素(CF)系のエッチングガスを用いた。また溝12は、深さ150nmに加工した。このエッチング加工で残ったレジストは、酸素(O2)系ガスにて剥離した。
【0067】
その後、スパッタリングによって、上記無機系酸化膜11表面および溝12内面にバリアメタル層13を形成する。このバリアメタル層13は、例えばTa膜を5nmの厚さに製造して形成する。さらに銅めっきのシード(図示せず)として銅(Cu)膜を45nmの厚さに成膜する。次いで、電解めっき(ECP)法もしくはCVD法にて銅(Cu)膜を形成し、溝12を埋め込んだ。その後、機械的化学研磨法(CMP)にて、銅(Cu)膜表面を研磨し、溝12内部にバリアメタル13を介してCu膜からなる、第1配線14を完成させた。
【0068】
次に、上記第1配線14上を被覆するように上記無機酸化膜11上に、バリア絶縁膜21を形成する。このバリア絶縁膜21は、例えばアモルファスカーボン膜を50nmの厚さに成膜して形成する。このバリア絶縁膜21には、ダイヤモンドライクカーボン膜を用いることもできる。上記、ダイヤモンドライクカーボン膜、アモルファスカーボン膜は、例えば平行平板型のプラズマCVD装置で成膜することが可能である。例えば、基盤RFバイアスパワーを200W、成膜雰囲気の圧力を400Pa、プリカーサ種にメタン(CH4)を用い、その供給流量を500cm3/min、キャリアガスにヘリウム(He)を用い、その供給流量を1000cm3/minに設定した。
【0069】
その後、バリア絶縁膜21上に層間絶縁膜22を形成する。この層間絶縁膜22は、例えば誘電率が3以下のMQS系酸化膜を100nmの厚さに成膜して形成する。この成膜方法はCVD法でも、SOG(Spin on glass)を用いた塗布法でも構わない。さらに、有機系絶縁膜41、無機系絶縁膜42、第1ハードマスク43、第2ハードマスク44を形成する。上記有機系絶縁膜41は、例えば、ポリアリールエーテルで形成し、その厚さを80nmとした。上記無機系絶縁膜42は、例えば、プラズマエンハンスメントCVDにより成膜された酸化シリコン膜(PE酸化膜)で形成し、その厚さを100nmとした。また、上記第1、第2ハードマスク43、44は、それぞれ、50nmの厚さに形成する。
【0070】
次に、図8(2)に示すように、上記第2ハードマスク44上に有機反射防止膜(BARC:bottom anti refractive Coat)45を塗布して形成した後、配線溝パターンを形成するためのエッチングマスク46を、例えば化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。このエッチングマスク46に形成された配線溝パターン47が形成されている。
【0071】
次に、図9(3)に示すように、エッチングマスク46〔前記図9(2)参照〕を用いて上記第2ハードマスク44を加工し、配線溝パターン47〔前記図9(2)参照〕が延長形成された配線溝パターン48を形成する。その後、このエッチング加工で残ったエッチングマスク46、有機反射防止膜45を、酸素(O2)系ガスにて剥離する。
【0072】
次に、図9(4)に示すように、上記第2ハードマスク44上に上記配線溝パターン48を埋め込むように有機反射防止膜(BARC:bottom anti refractive Coat)49を塗布して形成した後、ビアを形成するためのエッチングマスク50を、例えば化学増幅型ArFレジストを用いて形成する。このエッチングマスク50に形成されたビアパターン51が形成されている。このビアパターン51の直径は、例えば60nmとした。その際、ビアパターン51は第1配線14に対してずれ量がdの合わせずれが発生した。
【0073】
次に、図10(5)に示すように、上記第1ハードマスク43、無機系絶縁膜42、有機系絶縁膜41を順にエッチング加工してビアホール26を形成する。このエッチングでは、有機系絶縁膜41のエッチング際に、上記エッチングマスク50〔前記図9(4)参照〕もエッチングされて除去される。
【0074】
次に、図10(6)に示すように、第2ハードマスク44をエッチングマスクとして第1ハードマスク43をエッチング加工し、配線溝パターン48を延長形成する。このとき、配線溝パターン48底部の無機系絶縁膜42と、ビアホール26底部の層間絶縁膜22とを同時にエッチング加工する。どちらの膜も無機酸化シリコン系の膜であるため、同時エッチングが可能となっている。このエッチングは炭化水素(CFx)系ガスを用いたドライエッチングにて行う。
【0075】
この結果、図11(7)に示すように、上記無機系絶縁膜42に配線溝51が形成され、層間絶縁膜22にビアホール26が形成される。このエッチングでは、上記バリア絶縁膜21上でビアホール26のエッチングが停止され、上記有機系絶縁膜41上で配線溝51のエッチングが停止される。また、このエッチングでは、第1ハードマスク43〔前記図10(6)参照〕も除去される。
【0076】
次に、図11(8)に示すように、ビア26を導通するために、ビア26底部の上記バリア絶縁膜21をエッチングにより除去する。このエッチングでは、エッチングガスに窒素(N2)と酸素(O2)とを用いた。このエッチング条件は、一例として、エッチング雰囲気の圧力を1.3Pa、窒素ガスの流量を400cm3/min、酸素ガスの領域を25cm3/minに設定し、基板バイアスパワーを上部が650W,下部電極が200Wに設定した。上記エッチングでは、水素(H2)、窒素(N2)、酸素(O2)を単独で用いることもでき、また、これらのガス系を複数種組み合わせて用いることもできる。このエッチングでは、無機系酸化膜はエッチングされないため、上記無機酸化膜11はエッチングされない。このため、従来技術のように、ビアホール26底部の第1配線14の側部、すなわち合わせずれ領域が彫れることがないので、不要な凹部が形成されることはない。
【0077】
その後、図12(9)に示すように、有機系洗浄液にて第1配線14の露出した銅表面を洗浄する。続いて、スパッタリングによって、上記層間絶縁膜22表面、配線溝31内面およびビアホール26内面にバリアメタル層32を形成する。このバリアメタル層32は、例えばTa膜を5nmの厚さに形成する。さらに銅めっきのシード(図示せず)として銅(Cu)膜を45nmの厚さに成膜した。次いで、電解めっき(ECP)法もしくはCVD法にて銅(Cu)膜33を形成し、配線溝31およびビアホール26を埋め込んだ。その際、合わせズレ部分では、ボイドが発生することはなくビア抵抗値は安定した。また、アモルファスカーボン膜もしくはダイヤモンドライクカーボン膜は誘電率が3以下であるため、既存技術に対して、20%程度の容量低減を実現することができ、さらに、化学的安定な膜質により、配線信頼性も向上した。
【0078】
その後、図示はしないが、上記層間絶縁膜22上の余剰な上記銅膜33およびバリアメタル層32を除去し、配線溝31の内部にバリアメタル層32を介して銅膜33からなる第2配線を形成するとともに、この第2配線の底部に接続するもので、上記ビアホール26の内部にバリアメタル層32を介して銅膜33からなるビアを形成する。
【0079】
上記第2例の半導体装置の製造方法は、いわゆる銅配線からなる第1配線14上に形成するバリア絶縁膜21をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成するため、第1配線に対してビアホール26がずれて形成されても、第1配線14周囲に形成されている例えば無機系絶縁膜である無機酸化膜11をエッチングすることがない。すなわち、上記第1配線14上に形成されるビアホール26の底部の上記バリア絶縁膜21のみを選択的にエッチング除去できるので、第1配線14に対してビアホール26がずれて形成されても、第1配線14側部の無機酸化膜11がエッチングされることがない。このため、配線溝31やビアホール26内に銅の埋め込む際に、埋め込み不良やそれに起因した信頼性劣化や第1配線14と第2配線34との間で短絡(ショート)を発生することがないという利点がある。さらに、バリア絶縁膜21が化学的に安定であり、しかも誘電率が低い膜特性を有することにより、信頼性向上と容量低減も可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の半導体装置に係る一実施の形態の第1例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置に係る一実施の形態の第2例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る基本的な実施の形態の一例を示した製造工程断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図13】従来の配線形成技術の一例を示した製造工程断面図である。
【図14】従来の配線形成技術の一例を示した製造工程断面図である。
【図15】従来の配線形成技術の一例を示した製造工程断面図である。
【図16】従来の配線形成技術の一例を示した製造工程断面図である。
【図17】従来の配線形成技術の一例を示した製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1…半導体装置、14…第1配線、21…バリア絶縁膜、26…ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線と、
前記配線上に形成されたバリア絶縁膜と、
前記配線上に形成されたビアホールとを備えた半導体装置において、
前記バリア絶縁膜はアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンからなり、
前記ビアホール底部の前記バリア絶縁膜が選択的に除去されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線上に形成されるビアホール底部の前記バリア絶縁膜が選択的に除去されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
銅もしくは銅を主体とした導電性材料からなる配線と、
前記配線上に形成されたバリア絶縁膜と、
前記配線上に形成されたビアホールとを備えた半導体装置の製造方法において、
前記バリア絶縁膜をアモルファスカーボンもしくはダイヤモンドライクカーボンで形成し、
前記ビアホール底部の前記バリア絶縁膜を選択的に除去する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ビアホール底部のバリア絶縁膜を選択的に除去する工程は、
エッチングガスに水素、窒素、酸素のうちの1種もしくは複数種を組み合わせた混合ガスを用いたドライエッチングによる
ことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−134425(P2007−134425A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324422(P2005−324422)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】