説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】高熱伝導性の樹脂により被覆された半導体素子を備えた半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、搭載領域と、この搭載領域に隣接する周辺領域とを有する回路基板2を準備する工程と、前記搭載領域上に半導体素子1を搭載する工程と、半導体素子1の側面および前記周辺領域上を第1の樹脂3bにより被覆する工程と、第1の樹脂3bから露出した半導体素子1の表面および第1の樹脂3b上を第2の樹脂3aにより被覆する工程とを備え、第1の樹脂3bは第2の樹脂3aより高い流動性を有し、第2の樹脂3aは第1の樹脂3bより高い熱伝導率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂により被覆された、回路基板上の半導体素子を有する半導体装置、及びその半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置分野において、外部環境からの保護や機密保持などを目的に、半導体素子を樹脂封止することは広く実用化されている。その一つの方法として、半導体素子を実装したリードフレームや回路基板を金型に入れ、この金型内に溶融した樹脂を充填し、固化する方法が知られている。また、他の方法として、シート状の樹脂を用いて半導体素子を樹脂封止する方法が知られている。
【特許文献1】特開2003−249607号公報
【特許文献2】特開平11−251347号公報
【特許文献3】特開2007−142247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の半導体素子と電子部品とにより構成される回路を単一のパッケージ内に納めたSiP(System in Package)モジュールでは、半導体素子の実装密度が高くなるため、半導体素子で発生した熱を速やかに外部へ放熱することができる熱伝導率の高い封止樹脂の適用が検討されている。しかし、封止樹脂の熱伝導率を高くするためには樹脂中に高熱伝導性のフィラーを多量に分散して配合しなければならない。フィラーを樹脂中に多量に分散して配合することにより樹脂の流動性が低下し、その結果、樹脂封止工程においてボンディングワイヤの倒れや、半導体素子の周囲にボイドが発生する可能性がある。そのため、封止樹脂として高熱伝導性の樹脂を採用することは困難であった。
特に、フリップチップ実装タイプの半導体装置においては、半導体素子と回路基板間の狭い隙間に流動性の低い樹脂を充填することはさらに困難性が高かった。
【0004】
本発明の目的は、斯かる課題を可能な限り克服した、高熱伝導性の樹脂により被覆された半導体素子を備えた半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明に係わる半導体製造装置の製造方法および半導体装置は以下の構成を備える。
請求項1記載の半導体装置の製造方法は、搭載領域と、この搭載領域に隣接する周辺領域とを有する回路基板を準備する工程と、前記搭載領域上に半導体素子を搭載する工程と、前記半導体素子の側面および前記周辺領域上を第1の樹脂により被覆する工程と、前記第1の樹脂から露出した前記半導体素子の表面および前記第1の樹脂上を第2の樹脂により被覆する工程とを備え、前記第1の樹脂は前記第2の樹脂より高い流動性を有し、前記第2の樹脂は前記第1の樹脂より高い熱伝導率を有する。
請求項2記載の半導体装置の製造方法は、請求項1記載の構成に加え、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂はエポキシ樹脂から構成される。
請求項3記載の半導体装置の製造方法は、請求項1または請求項2記載の構成に加え、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は熱伝導性セラミックから成るフィラーを含有し、前記第2の樹脂中には前記第1の樹脂中よりも多くの前記フィラーが含まれる。
請求項4記載の半導体装置の製造方法は、請求項1から3のいずれか記載の構成に加え、
前記第2の樹脂は、硬化時の熱伝導率が2W/mK以上である。
請求項5記載の半導体装置の製造方法は、請求項1から4のいずれかに記載の構成に加え、前記第1の樹脂は第1のシート状樹脂から構成されると共に、前記第1のシート状樹脂は前記搭載領域上の前記半導体素子の外形に応じて樹脂が形成されていない未形成領域を有し、前記第2の樹脂は第2のシート状樹脂から構成されると共に、前記第2のシート状樹脂は前記第1のシート状樹脂上に重ねて形成され、この重ねて形成された前記第1及び第2のシート状樹脂を前記回路基板上の前記半導体素子と前記未形成領域とが対応するように配置した後、加熱しながら加圧することにより、前記半導体素子の側面、前記周辺領域、および前記半導体素子の露出した表面を被覆する。
請求項6記載の半導体装置の製造方法は、請求項5記載の構成に加え、前記回路基板上に搭載された前記半導体素子を枠型内に配置し、前記加圧を行うことにより、前記第1及び第2のシート樹脂の内、余剰な樹脂が前記枠型から外部にオーバーフローする。
請求項7記載の半導体装置は、回路基板と、前記回路基板上に配置された半導体素子と、
前記半導体素子の側面および前記側面近傍の前記回路基板の表面を被覆する第1の樹脂と、前記第1の樹脂から露出した前記半導体素子の表面および前記第1の樹脂上を被覆し、前記第1の樹脂より高い熱伝導率を有する第2の樹脂とを備える。
請求項8記載の半導体装置は、請求項7記載の構成に加え、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂はエポキシ樹脂から構成される。
請求項9記載の半導体装置は、請求項8記載の構成に加え、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は熱伝導性セラミックから成るフィラーを含有し、前記第2の樹脂中には前記第1の樹脂中よりも多くの前記フィラーが含まれる。
請求項10記載の半導体装置は、請求項9記載の構成に加え、前記第2の樹脂は、熱伝導率が2W/mK以上である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、高い流動性を有する第1の樹脂により半導体素子の凹凸、隙間にまで流動して半導体素子を効果的に封止できると共に、半導体素子上に高い熱伝導率を示す第2の樹脂が配置されているので、放熱性に優れた半導体装置を形成することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明により得られる効果に加え、第1及び第2の樹脂が同じ材質であるため、両者の界面での接着強度が強固になる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明により得られる効果に加え、第1及び第2の樹脂中の高熱伝導性フィラーの量を調整することにより、流動性及び熱伝導率の双方を所望の値に設定できる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3記載の発明により得られる効果に加え、パッケージ表面からの放熱を飛躍的に向上させた半導体装置を実現できる。この半導体装置は、ヒートスプレッダと半導体装置を一体的に樹脂封止した従来の構造に比べて、材料コストおよび生産コストの両面で有利である。
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至4記載の発明により得られる効果に加え、
第1のシート状樹脂が半導体素子の凹凸、隙間の形状に追従し易くなり、より微細な構造を有す半導体装置の樹脂封止を効果的に実現できる。
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明により得られる効果に加え、加圧時に余剰な樹脂が枠型からオーバーフローするので、シート状樹脂が枠型外へ流出することなく、流動性の高い樹脂が封止すべき領域へ効果的に供給される。特に、フリップチップ実装タイプの半導体装置の製造方法においては、半導体素子と基板間のアンダーフィル部への樹脂充填を効果的に行うことができる。
請求項7記載の発明によれば、放熱性に優れた半導体装置を実現できる。特に、小型化、薄肉化された半導体装置の放熱性の改善には優れた効果がある。これにより半導体装置の電気的特性も改善され、優れた機能を発揮する半導体装置が実現できる。
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明により得られる効果に加え、界面での接着強度が強固な封止樹脂を実現できる。
請求項9記載の発明によれば、請求項7または8記載の発明により得られる効果に加え、第1及び第2の樹脂中の高熱伝導性フィラーの量を調整することにより、流動性及び熱伝導率を所望の値に設定できる。
請求項10記載の発明によれば、請求項9記載の発明により得られる効果に加え、半導体装置の表面からの放熱を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態で参酌する図面では、発明の理解を容易にするため、各要素が模式的に示されている。本欄においては、前出の要素と同じ要素に同一符号を付すことにより、その説明が省略されることもある。
【0008】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、2つの半導体素子1、回路基板2、樹脂3、ボンディングワイヤ4を備える。本実施形態では、説明の簡略化のため、2つの半導体素子しか示されていないが、実際には、説明されない複数の半導体素子および電子部品が回路基板2上に実装されている。回路基板2については、種々の樹脂基板、セラミック基板、FPC基板やリードフレーム等、半導体素子を実装でき、その表面に半導体素子と電気的に接続可能な回路が形成されている基板であれば、本発明を適用できる。
【0009】
半導体素子1は回路基板2の搭載領域に実装され、その表面に形成された回路がボンディングワイヤ4を介して回路基板2上の配線に接続される。搭載領域に隣接する回路基板2の表面を周辺領域と称する。本実施形態では、接続手段としてボンディングワイヤ4を例示しているが、後述の他の実施形態にも示される通り、半導体素子と回路基板との電気的接続は、ボンディング装置により接続された金属細線に限られるものではなく、両者を電気的に接続し、電気的回路の機能を発揮できるものであれば本発明に適用可能なことは言うまでもない。
【0010】
樹脂3はエポキシ樹脂から構成され、成形前において常温では固体でシート形状を保持しているが、加熱すると溶融化し流動するものである。この樹脂シート3は特性の異なるシート状の樹脂3a、3bの2層から構成されている。
【0011】
樹脂3aは樹脂中に高熱伝導性セラミックスの粉末状アルミナがフィラーとして分散して配置されている。樹脂が硬化した際の熱伝導率が2W/mK以上となるよう高熱伝導性セラミックスの配合量を調整している。樹脂3a中には、樹脂3bよりもフィラーが多量に充填されているため、樹脂3aの流動性は樹脂3bより著しく低くなる。
【0012】
これに対し樹脂3bは、後述する成形工程において半導体素子1の凹凸形状に樹脂が追従していくほどの高い流動性(易流動性と称する場合もある)を有するものであるので、樹脂3b中のフィラーの量は樹脂3a中のフィラーの量より少ない。樹脂3a、3b中に配合するフィラーは同種のものを用いれば調整が容易であるが、樹脂3aの熱伝導率が2W/mK以上、樹脂3bの易流動性を維持できるものであれば、異なるフィラーを用いてもよい。
【0013】
樹脂シート3a、3bの母材となる樹脂には、エポキシ樹脂を用いている。母材が同じ材質であるため、これら2層間の接着は、半導体素子1や回路基板2との界面に比べ強固である。
【0014】
このような半導体装置は放熱性に優れている。特に、半導体装置が小型化、薄肉化された場合、半導体素子から発される熱の影響は大きくなるので、放熱特性の改善は優れた技術的効果がある。
【0015】
次に、このような半導体装置の製造方法について説明する。説明は樹脂封止の工程を中心に説明される。図6には、樹脂封止装置のワーク設置部の概略構成図が示されている。ワークとは、図1に示される半導体装置を得るための構成要素の総称を言うものである。
この樹脂封止装置には、ワークを載置するワーク設置台11、ワークを加圧する加圧板10、ワークを加熱する加熱手段(図示されない)、ワーク雰囲気を真空にする真空チャンバー13、ワークの上下から加圧力を付与する加圧手段12から構成されている。
【0016】
図6(a)の状態から加圧手段12が下降し、真空チャンバ13によりワークの周囲が外気から遮断された時(図6(b)の状態)、チャンバ13に接続された図示しない真空ポンプを作動して開始され、ワークの雰囲気が真空引きされる。その後、加圧手段12がさらに下降し、加圧板10がワークの上端と接触することでワークに上下方向の加圧力が付与される。なお、加圧板10およびワーク設置台11には図示しないヒータが内蔵されており、温度調節手段によりワークの温度をコントロールできる。
【0017】
図2には、ワーク部およびその周辺の要部拡大断面図が示されている。図2(a)にはワークが加圧される前、図2(b)にはワークが加圧されている時の様子が示されている。
半導体素子1が搭載された回路基板2はワーク固定冶具7により固定されている。半導体素子1の周囲には、素子1を包囲する枠型5が配置されている。シート状の樹脂3a、3bはシート基材6に保持される。シート基材6としては、加圧時に湾曲しないような剛性を有し、かつ、加熱時に膨張しないような低線膨張係数となるような材質のものが好ましい。また硬化後において、樹脂3との離型性が良好な表面状態を有するものが好ましい。
【0018】
2層構造のシート状の樹脂3は、形状追従性を良好にし、半導体素子1の上面を高熱伝導性の樹脂シート3aに直接接触させるため、樹脂シート3bの半導体素子1にかかる部位の一部を切り抜いている。切り抜いた部分を樹脂の未形成領域と称する場合もある。本実施形態では、加圧時に流動性の低い樹脂3aによるボンディングワイヤへの圧迫を低減するため、ボンディングワイヤの上部に相当する部分は未形成領域ではない。すなわち、ボンディングワイヤ上部に対応する部分にはシート状の樹脂3bが形成されている。樹脂3bの厚さは、回路基板2からボンディングワイヤ4の最高部までの領域が樹脂3bにより封止できる程度に厚みが調整されている。樹脂3をこのような構成とすることにより、加圧時にボンディングワイヤを樹脂3aから保護すると共に、封止後に樹脂シート3aが半導体素子1の上面に接触した構造が得られ、素子1の上面から半導体装置外部への放熱経路を形成することができる。樹脂シート3aについては、加圧時に余剰な樹脂が枠型5からオーバーフローする程度の厚さに設定されている。余剰な樹脂3aがオーバーフローするように設定されるので、樹脂シート3bは外部に流出せず、易流動性の樹脂で封止すべき領域への樹脂の供給量を確保することができる。
【0019】
枠型5は樹脂を加圧して封止する際に樹脂3が外側へ流出するのを防止し、さらに、加圧手段12の加圧力が上下方向だけでなく半導体装置のあらゆる方向に付与され、半導体素子1の側面にも樹脂を押し付けられるようにするためのものである。図2(b)に示すように、ワークが加圧された時、枠型5とシート基材6の間に形成された複数の隙間9から、余剰な樹脂3aがオーバーフローする。
【0020】
本実施形態の樹脂封止工程は以下の手順により実施される。
まず、図2(a)の状態から加圧手段12を下降し、真空チャンバ13よりワーク周囲を外気から遮断する。その後、真空ポンプによりワーク周囲の雰囲気を真空状態にする。
【0021】
その後、加圧板10およびワーク設置台11に内蔵されたヒータによりワークを加熱する。樹脂3a、3bが溶融温度に到達後、加圧手段12をさらに下降し、図2(b)のように樹脂3a、3bにより半導体素子1および回路基板2を埋め込み封止する。
【0022】
その後、加圧手段12による加圧状態を保持しながら真空チャンバ13内の真空状態を大気開放する。大気開放することで枠型5の外部からワーク内に大気圧がかかる。この状態を保持するか、もしくはこの状態からワークの温度を上げて1次硬化を行う。加圧手段12と大気圧の作用により半導体素子1と回路基板2の凹凸形状に樹脂シート3a、3bが追従していく。ワーク内は真空状態であるため樹脂内部の隙間に空気は無く、ワーク内での樹脂の流動が空気により阻害されることはない。また、枠型5の外部は大気開放されているので枠型5に設けられたオーバーフロー用の隙間9からの樹脂流出は大気圧により抑制され、硬化時に溶融した樹脂がワークから引かれることはない。
【0023】
1次硬化終了後、樹脂封止装置からワークを取り出し、取り出したワークを2次硬化させて図1に示す半導体装置が得られる。
【0024】
図3には、他の実施形態に係わる半導体装置の断面図が示されている。本実施形態の半導体装置1’はフリップチップ実装により回路基板2へ接続されている。フリップチップ実装では、バンプ接合部8を介して半導体素子1と回路基板2が接続され、半導体素子1と回路基板2との間に狭ギャップの領域が形成されている。一般に、この狭ギャップの領域を封止するために、アンダーフィル充填工程と呼ばれる別工程においてアンダーフィル樹脂を充填するプロセスが採用されている。この狭ギャップの領域を有するような半導体装置へ本発明を適用すれば、さらに効果が顕著になる。本実施形態の説明においては、半導体素子1’および樹脂3の形状について中心的に説明する。その他の要素については上述の実施形態の説明を参酌できる。
【0025】
本実施形態の樹脂シート3は上述の実施形態と同様の材料により構成されると共に、2層構造のものである。本実施形態では、図4に示されるように樹脂シート3bが半導体素子1の形状とほぼ一致するように切り抜かれている。すなわち、上述の実施形態の樹脂3bと比較して未形成領域が大きい。フリップチップ実装の場合、ボンディングワイヤが存在しないので、半導体素子1’の上面全体が高熱伝導性を有す樹脂シート3aと接触するように樹脂3の形状が設定される。これにより、最終的に得られた半導体装置において半導体素子1’の放熱面積が拡大するので、より放熱効果が期待できる。
【0026】
本実施形態における樹脂封止工程は、基本的には上述の封止工程と同様である。本実施形態では、ワークの1次硬化を行う際、加圧手段12と大気圧の作用により半導体素子1’と回路基板2の凹凸形状に樹脂シート3a、3bが追従していくのと併せ、半導体素子1’と回路基板2間の狭ギャップ領域にも加圧による作用で溶融した樹脂シート3bが充填されていく。なお、この過程で狭ギャップ領域は真空状態になっているため、樹脂の充填が空気により阻害されないことは言うまでも無い。1次硬化終了後、樹脂封止装置からワークを取り出し、取り出したワークを2次硬化させて図3に示す半導体装置が得られる。
【0027】
本発明に係わる半導体装置は、半導体素子1、1’の上面から外部までの放熱経路に熱伝導率2W/mK以上の樹脂を適用できる。このため、半導体装置のパッケージ表面からの放熱を飛躍的に向上することができる。また、放熱性を得るためにヒートスプレッダなどと半導体装置を一体的に樹脂封止するといった必要もなく、材料コストと生産コストの両面で従来に比べて優れている。
【0028】
本発明の実施形態では、エポキシ樹脂を用いたが、その他に不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いてもよい。フィラーとして粉末状アルミナの他に窒化アルミ、窒化ホウ素などの高熱伝導性セラミックスなどの粉末微粒子または繊維を用いてもよい。種々の半導体装置において要求される任意の熱伝導性に応じてフィラーの配合比率を変えることにより適宜熱伝導率を設定することができる。
【0029】
本発明は上述の実施形態の半導体装置に限定されるものではなく、例えば、図5に示すような複数の半導体装置が単一の回路基板上に構成された構成にも適用できる。この例では、上述の実施形態に従い回路基板上の複数の半導体装置を樹脂封止した後、図5中の点線部分(切断箇所)をダイシング工程により切断する。これによりパッケージ化された複数の半導体装置を得ることができる。この例では、複数の半導体装置の樹脂封止を一括して行うことができ、生産性をさらに向上させることができる。
【0030】
さらに、本実施形態では樹脂封止装置からワークを取り出し後、2次硬化により樹脂を完全硬化させるといった手順を取ったが、装置内で樹脂の硬化を完了させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係わる半導体装置の断面図
【図2】本発明の実施形態に係わる樹脂封止工程を説明する工程断面図
【図3】本発明の他の実施形態に係わる半導体装置の断面図
【図4】本発明の他の実施形態に係わる樹脂封止工程を説明する工程断面図
【図5】本発明の応用例を説明する工程断面図
【図6】本発明の実施形態における樹脂封止装置の断面構成図
【符号の説明】
【0032】
1 半導体素子
2 回路基板
3a、3b 樹脂
4 ボンディングワイヤ
5 枠型
6 シート基材
7 ワーク固定ジグ
8 バンプ接合部
9 隙間
10 加圧板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載領域と、この搭載領域に隣接する周辺領域とを有する回路基板を準備する工程と、
前記搭載領域上に半導体素子を搭載する工程と、
前記半導体素子の側面および前記周辺領域上を第1の樹脂により被覆する工程と、
前記第1の樹脂から露出した前記半導体素子の表面および前記第1の樹脂上を第2の樹脂により被覆する工程とを備え、
前記第1の樹脂は前記第2の樹脂より高い流動性を有し、前記第2の樹脂は前記第1の樹脂より高い熱伝導率を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂はエポキシ樹脂から構成されたことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は熱伝導性セラミックから成るフィラーを含有し、前記第2の樹脂中には前記第1の樹脂中よりも多くの前記フィラーが含まれることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の樹脂は、硬化時の熱伝導率が2W/mK以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の樹脂は第1のシート状樹脂から構成されると共に、前記第1のシート状樹脂は前記搭載領域上の前記半導体素子の外形に応じて樹脂が形成されていない未形成領域を有し、
前記第2の樹脂は第2のシート状樹脂から構成されると共に、前記第2のシート状樹脂は前記第1のシート状樹脂上に重ねて形成され、
この重ねて形成された前記第1及び第2のシート状樹脂を前記回路基板上の前記半導体素子と前記未形成領域とが対応するように配置した後、加熱しながら加圧することにより、前記半導体素子の側面、前記周辺領域、および前記半導体素子の露出した表面を被覆することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記回路基板上に搭載された前記半導体素子を枠型内に配置し、前記加圧を行うことにより、前記第1及び第2のシート樹脂の内、余剰な樹脂が前記枠型から外部にオーバーフローすることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
回路基板と、
前記回路基板上に配置された半導体素子と、
前記半導体素子の側面および前記側面近傍の前記回路基板の表面を被覆する第1の樹脂と、
前記第1の樹脂から露出した前記半導体素子の表面および前記第1の樹脂上を被覆し、前記第1の樹脂より高い熱伝導率を有する第2の樹脂とを備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂はエポキシ樹脂から構成されたことを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は熱伝導性セラミックから成るフィラーを含有し、前記第2の樹脂中には前記第1の樹脂中よりも多くの前記フィラーが含まれることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2の樹脂は、熱伝導率が2W/mK以上であることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−109246(P2010−109246A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281338(P2008−281338)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】