説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】 半導体基板上の配線を規定の幅に近づけて形成することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置10の製造方法は、まず半導体基板11上にスリット溝17を有する第1アルミ配線12を形成する。次に、第1アルミ配線12の上面と半導体基板11の上面との段差を抑制するためのSOG膜14の原料であるSOG液を、半導体基板11全体に亘って塗布する。これにより、第1アルミ配線12のうち、第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍にSOG液が載るが、スリット溝17の中に移動することによって、前記領域近傍上に載るSOG液を少なくすることができる。次に、SOG液を乾燥によって硬化させSOG膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ法によって、第1アルミ配線12の延在方向に対し交差するように第2アルミ配線16を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線構造を有する半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法では、図4(a)〜(c)に示すように、半導体基板101上に、例えば、特許文献1に記載のようなパターニングにより第1アルミ配線102を形成し、第1アルミ配線102上に第1層間絶縁膜103を形成する。次に、第1層間絶縁膜103上に第1アルミ配線102の段差(第1アルミ配線102の上面から半導体基板101までの高さ)を抑制するためのSOG(Spin on Glass)膜104を形成し、SOG膜104の上に第2層間絶縁膜105を形成する。次に、第2層間絶縁膜105上に第1アルミ配線102と交差するように第2アルミ配線106を形成している。
【0003】
具体的には、SOG膜104の形成では、SOG液をスピンコート塗布法によって塗布した後に硬化させる。第2アルミ配線106の形成では、フォトリソグラフィ法を用いる。例えば、フォトマスクを基にして露光及び現像を行ってレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第2アルミ配線106を形成する前の第2アルミ膜をエッチングすることにより形成する。
【0004】
【特許文献1】特開平10−50706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1アルミ配線102の幅102aが比較的太い場合(例えば、10μm以上)、第1アルミ配線102の段差102bを抑制するために塗布するSOG液が、スピンコート塗布法によって、図4(b)に示すように、第1アルミ配線102上に載りやすくなり、そのままの状態で上記の硬化を行うと、第1アルミ配線102上に突出したSOG膜104aが形成されてしまう。これにより、SOG膜104aの上に形成する第2層間絶縁膜105、第2アルミ膜およびレジスト膜のうち、SOG膜104aの上にある部分107が上方に突出する。よって、前記交差する領域近傍上のC部と、前記交差する領域近傍上以外のD部とに段差が生じていた。従って、レジストパターンを形成するときに、例えばD部に相当する位置に光のピントを合わせると、C部に相当する位置のピントがぼやけてしまい、露光のための光が散乱してしまう。その結果、レジスト膜のD部に相当する部分は規定の幅に近いレジストパターンに形成されるが、C部に相当する部分は規定の幅より多く除去されて細いレジストパターンに形成される。この細くなったレジストパターンをマスクとして第2アルミ膜をエッチングすると、図4(a)に示すように、規定の幅より細い第2アルミ配線106aが形成される。その結果、第2アルミ配線106aが細くなったり、断線したりするという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術の有する未解決な課題に着目してなされたものであって、半導体基板上の配線を規定の幅に近づけて形成することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された第1配線と、前記半導体基板全体に亘って平坦化するように形成されるべき絶縁体と、前記第1配線と交差するように形成された第2配線と、を有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板全体に亘って前記絶縁体を形成する絶縁体形成工程と、前記絶縁体上に、前記第2配線の基となる配線膜を形成する配線膜形成工程と、前記配線膜上に、レジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜から前記レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記配線膜から前記第2配線を形成する第2配線形成工程と、前記絶縁体形成工程に先立ち、前記半導体基板上に、前記第1配線と前記第2配線とが交差する領域近傍の前記第1配線上に形成された一部の前記絶縁体を受け入れ可能な溝を有する前記第1配線を形成する第1配線形成工程と、を有する。
【0008】
この方法によれば、第1配線形成工程によって、半導体基板上に、第1配線のうち第1配線と第2配線とが交差する領域近傍の絶縁体を受け入れることが可能な溝を有する第1配線を形成し、絶縁体形成工程によって、前記交差する領域近傍に載った絶縁体を前記溝に移動し、第1配線のうち前記交差する領域近傍に載る絶縁体を少なくすることから、配線膜形成工程によって前記絶縁体上に配線膜を形成し、レジスト膜形成工程によって前記配線膜上に形成されたレジスト膜のうち前記交差する領域近傍上のレジスト膜の部分と、前記交差する領域近傍上以外のレジスト膜の部分との段差を少なくすることができる。よって、レジストパターン形成工程のとき、前記交差する領域近傍上以外のレジスト膜の部分に光のピントを合わせたとしても、前記交差する領域近傍上のレジスト膜の部分のピントの誤差(ぼやける)を少なくすることが可能となり、規定のフォトマスクのパターン幅に近づけてレジストパターンを形成することができる。これにより、第2配線形成工程によって、前記レジストパターンをマスクとして配線膜をエッチングしたとき、前記交差する領域近傍上の第2配線であっても、規定の幅に近づけて形成することが可能となり、その結果、第2配線が細くなったり断線したりすることを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、前記第1配線は、10μm以上の幅を有することが望ましい。
【0010】
この方法によれば、10μm以上の比較的広い配線なので第1配線上に絶縁体が載りやすくなっているが、第1配線のうち第1配線と第2配線と交差する領域近傍に溝が形成されているので、載った絶縁体を溝に移動することが可能となる。よって、第1配線のうち前記交差する領域近傍上に載る絶縁体を少なくすることができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、前記絶縁体は、液状の材料であり、前記絶縁体形成工程は、前記液状の材料をスピンコート塗布法によって前記半導体基板上に塗布する塗布工程と、前記塗布した液状の材料を硬化させる硬化工程と、を更に有することが望ましい。
【0012】
この方法によれば、塗布工程によって、スピンコート塗布法を用いて半導体基板上に液状の材料を塗布するので、段差の低い部分(凹部)に液状の材料を容易に埋め込むことができ、半導体基板上に形成された第1配線の段差を抑制することができる。そして、硬化工程によって塗布した液状の材料を硬化させて半導体基板上の平坦化を行うので、容易に半導体基板上の平坦化を行うことができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、前記液状の材料は、SOG液であることが望ましい。
【0014】
この方法によれば、SOG液を塗布するので、例えば乾燥によって硬化させることが可能となり、容易に平坦化のための絶縁膜を形成することができる。
【0015】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、前記溝は、スリット状であり、前記第1配線形成工程は、前記第1配線と前記第2配線とが交差する領域近傍の前記第1配線に複数のスリット状の溝を形成することが望ましい。
【0016】
この方法によれば、第1配線のうち第1配線と第2配線とが交差する領域近傍に複数のスリット状の溝が形成されているので(第1配線として電気的に品質を低下させない程度に)、前記交差する領域近傍上に載った絶縁体をより溝の中に移動し易くすることができる。よって、第1配線の前記交差する領域近傍上の絶縁体を少なくすることが可能となる。
【0017】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、前記第1配線形成工程は、フォトリソグラフィ法によって前記溝を有する前記第1配線を形成することが望ましい。
【0018】
この方法によれば、フォトリソグラフィ法によって溝を有する第1配線を形成するので、工程を増やすことなくフォトマスクの形状を追加させるだけなので、容易に形成することができる。
【0019】
上記問題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に形成された第1配線と、前記半導体基板全体に亘って平坦化するように形成されるべき絶縁体と、前記絶縁体上に、前記第1配線と交差するように形成された第2配線と、を有する半導体装置であって、前記第1配線は、前記絶縁体を形成するとき、前記第1配線と前記第2配線とが交差する領域近傍の前記第1配線上に形成された一部の前記絶縁体を受け入れることが可能な溝を有する。
【0020】
この構成によれば、半導体基板上に、第1配線のうち第1配線と第2配線とが交差する領域近傍の絶縁体を受け入れることが可能な溝を有する第1配線が形成されているので、前記交差する領域近傍に載った絶縁体を前記溝に移動し、第1配線のうち前記交差する領域近傍の絶縁体を少なくすることから、前記絶縁体上に配線膜を形成したあと、前記配線膜上に形成されたレジスト膜のうち前記交差する領域近傍上のレジスト膜の部分と、前記交差する領域近傍上以外のレジスト膜の部分との段差を少なくすることができる。よって、例えば、レジストパターンを形成するとき、前記交差する領域近傍上以外のレジスト膜の部分に光のピントを合わせたとしても、前記交差する領域近傍上のレジスト膜の部分のピントの誤差(ぼやける)を少なくすることが可能となり、規定のフォトマスクのパターン幅に近づけてレジストパターンを形成することができる。これにより、前記レジストパターンをマスクとして配線膜をエッチングしたとき、前記交差する領域近傍上の第2配線であっても、規定の幅に近づけて形成することが可能となり、その結果、第2配線が細くなったり断線したりすることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法および半導体装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の半導体装置の構造を模式的に示す断面図である。図1(a)は、半導体装置を上面からみた平面図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面を模式的に示す断面図である。図1(c)は、図1(a)におけるB−B断面を模式的に示す断面図である。以下、本実施形態の半導体装置を、図1を参照しながら説明する。本実施形態の半導体装置10は、シリコンからなる半導体基板11と、第1配線である第1アルミ配線12と、第1層間絶縁膜13と、絶縁体であるSOG膜14と、第2層間絶縁膜15と、第2配線である第2アルミ配線16とを有する。
【0023】
半導体基板11には、トランジスタや抵抗、コンデンサなどの素子(いずれも図示せず)が形成されている。半導体基板11の前記素子上には、素子間を絶縁するための、例えばシリコン酸化膜(図示せず)が形成されている。このシリコン酸化膜上に、アルミやアルミ合金からなる第1アルミ配線12が形成されている。
【0024】
第1アルミ配線12は、上記したシリコン酸化膜に形成された導電部(図示せず)を介して素子に電気的に接続されている。第1アルミ配線12は、例えば、スパッタリングによって半導体基板11上に蒸着させ、その後、フォトリソグラフィ法でパターンニング及びエッチング処理することにより形成される。第1アルミ配線の幅は、例えば10μm以上である。
【0025】
第1アルミ配線12には、溝であるスリット溝17が、第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31に、例えば3つ形成されている。スリット溝17は、前記第1アルミ配線12をフォトリソグラフィ法で形成するとき、パターニングの形状を追加することにより同時に形成される。スリット溝17の幅は、例えば0.5μmである。スリット溝17の深さは、第1アルミ配線12の厚み分の深さであり、第1アルミ配線12上から半導体基板11上までである。
【0026】
第1層間絶縁膜13は、半導体基板11上および第1アルミ配線12上に形成されている。第1層間絶縁膜13は、複数の配線同士が導通しないために、例えばシリコン酸化膜で形成される。第1層間絶縁膜13は、例えばプラズマCVD法によって形成される。
【0027】
SOG膜14は、第1層間絶縁膜13上に形成されている。SOG膜14は、第1アルミ配線12の厚み(第1アルミ配線12の上面と半導体基板11の上面との差)によってできた段差を抑制するために形成される。詳しくは、SOG膜14の原料である液状の材料としてのSOG液を第1層間絶縁膜13上に垂下したあと、スピンコート塗布法によって半導体基板11を回転させて第1アルミ配線12等によってできた窪み(凹部)の中にSOG液を埋め込む。その後、SOG液を乾燥させて硬化することによりSOG膜14が形成され、半導体基板11の上面が全体に亘って平坦化される。このとき、第1アルミ配線12のうち第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31に載ったSOG液は、大半が3つのスリット溝17の中に流れ込むことが可能となっている。これにより、第1アルミ配線12のうち前記交差する領域近傍31にわずかなSOG液が残っているものの、半導体基板11上全体に亘って平坦化することができる。
【0028】
第2層間絶縁膜15は、SOG膜14上に形成されている。第2層間絶縁膜15は、シリコン酸化膜からなり、上記した第1層間絶縁膜13と同様にして形成される。
【0029】
第2アルミ配線16は、第2層間絶縁膜15上に形成される。第2アルミ配線16は、第1アルミ配線12の延在方向に対して交差するように形成されている。第2アルミ配線16は、上記した前記第1アルミ配線12と同様に形成される(スパッタリング蒸着、パターンニング及びエッチング処理など)。第2アルミ配線16の幅は、例えば1μmである。
【0030】
図2、図3は、半導体装置の製造方法を模式的に示す断面図である。以下、半導体装置の製造方法を、図2、図3を参照しながら説明する。
【0031】
図2に示すように工程1(第1配線形成工程)では、半導体基板11上に3つのスリット溝17を含む第1アルミ配線12を形成する。まず、スパッタリングによって半導体基板11上に第1アルミ膜(図示せず)を形成する。次に、この第1アルミ膜の上に第1レジスト膜(図示せず)を塗布する。次に、ステッパ等の露光装置を用いて、フォトマスクのパターンが抜けている部分に相当する第1レジスト膜を露光する。このフォトマスクには、3つのスリット溝17を含む第1アルミ配線12を形成するためのパターンが形成されている。そして、第1アルミ配線12及び3つのスリット溝17に相当する部分の第1レジスト膜が露光される。
【0032】
次に、第1レジスト膜を現像処理することにより、露光された部分の第1レジスト膜が除去され第1レジストパターンが形成される。次に、この第1レジストパターンをマスクとして第1アルミ膜をドライエッチングする。その後、第1レジストパターンを剥離することにより、3つのスリット溝17を含む第1アルミ配線12が半導体基板11上に形成される。第1アルミ配線12の幅は、例えば10μm以上である。
【0033】
3つのスリット溝17は、第1アルミ配線12のうち第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31(図1参照)において、第1アルミ配線12のうち前記交差する領域近傍31に載ったSOG液の大半が流れ込むことが可能な大きさに形成される。
【0034】
工程2では、第1アルミ配線12上にシリコン酸化膜からなる第1層間絶縁膜13を形成する。第1層間絶縁膜13は、プラズマCVD装置(図示せず)によって半導体基板11上及び第1アルミ配線12上に、シリコン酸化膜を堆積することによって形成される。
【0035】
工程3(絶縁体形成工程)では、第1層間絶縁膜13上にスピンコート塗布法を用いてSOG膜14を形成する。まず、半導体基板11をSOG塗布装置(図示せず)に載置する。次に、SOG塗布装置によって、半導体基板11上の略中央部にSOG膜14の原料であるSOG液を垂らす。その後、半導体基板11を回転させて、半導体基板11の略中央部に投入されたSOG液を半導体基板11の外周方向に移動させる。これにより、半導体基板11上の全体に亘ってSOG液が行き渡り、第1アルミ配線12の根元部分32にSOG液が埋め込まれる。
【0036】
また、第1アルミ配線12は、10μm以上の幅を有しているのでSOG液が載りやすくなっている。しかしながら、第1アルミ配線12のうち第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31に3つのスリット溝17が形成されていることにより、第1アルミ配線12のうち前記領域近傍31に載ったSOG液の大半をスリット溝17に流し込むことが可能となっている。よって、第1アルミ配線12のうち前記交差する領域近傍31に載るSOG液を少なくすることができる。
【0037】
次に、半導体基板11全体に亘って塗布したSOG液を、乾燥によって硬化させる。これにより、第1層間絶縁膜13上にSOG膜14が形成される。
【0038】
工程4では、SOG膜14上にシリコン酸化膜からなる第2層間絶縁膜15を形成する。第2層間絶縁膜15は、上記した第1層間絶縁膜13と同様の方法(プラズマCVD装置によるシリコン酸化膜の堆積)によって形成する。以上によって形成した、第1層間絶縁膜13とSOG膜14と第2層間絶縁膜15とによって、第1アルミ配線12と第2アルミ配線16との層間が絶縁される。
【0039】
次に、図3に示す工程5(配線膜形成工程)では、第2層間絶縁膜15上に配線膜である第2アルミ膜16aを形成する。第2アルミ膜16aは、上記した、第1アルミ膜の形成方法(スパッタリング)と同様に形成される。
【0040】
工程6(レジスト膜形成工程)では、第2アルミ膜16a上にポジ型の第2レジスト膜21を塗布する。第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31上の第2レジスト膜21の部分35と、前記交差する領域近傍31上以外の第2レジスト膜の部分34とは、段差が抑制された状態になっている。
【0041】
工程7(レジストパターン形成工程)では、第2アルミ膜16a上に、第2レジストパターン21aを形成する。まず、ステッパ等の露光装置(図示せず)を用いて、フォトマスクのパターンが抜けている部分(例えば、第2アルミ配線16以外の部分)に相当する第2レジスト膜21を露光する。詳しくは、まず、第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31(図1参照)上以外の第2レジスト膜21の部分34に露光のための光のピントを合わせる。次に、フォトマスクのパターンを縮小して第2アルミ配線16の形状に沿って第2レジスト膜21を露光する。第2レジスト膜21の部分35と部分34との段差が低減されているので、露光装置からの光のピントの誤差を許容範囲内にすることが可能となる。よって、第2アルミ配線16の幅を正規の幅に近づけて露光をすることができる。
【0042】
次に、第2レジスト膜21を現像処理することにより、露光された部分に相当する第2レジスト膜21を除去し、第2レジストパターン21aを形成する。
【0043】
工程8(第2配線形成工程)では、第2アルミ配線16を形成する。まず、工程7において形成した正規の形状(幅)に近い第2レジストパターン21aをマスクとして第2アルミ膜16aをドライエッチングする。このドライエッチングにより、第2アルミ膜16aのうち、第2アルミ配線16に相当する以外の第2アルミ膜16aの部分が除去される。その後、第2レジストパターン21aを剥離することにより、第2アルミ配線16が形成される。その結果、正規の幅に近い幅の第2アルミ配線16が形成される。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態によれば、半導体基板11上に、第1アルミ配線12と第2アルミ配線16とが交差する領域近傍31のSOG液を受け入れることが可能なスリット溝17を有する第1アルミ配線12を形成したので、前記交差する領域近傍31に載ったSOG液を前記スリット溝に移動することが可能となり、第1アルミ配線12のうち前記交差する領域近傍31のSOG膜14を少なくすることができる。よって、SOG膜14及び第2アルミ膜16a上に形成した第2レジスト膜21のうち、前記交差する領域近傍31上の第2レジスト膜21の部分35(図3、工程6参照)と、前記交差する領域近傍上以外のレジスト膜の部分34(図3、工程6参照)との段差を少なくすることが可能となる。従って、第2レジスト膜21の部分34に光のピントを合わせたとしても、部分35のピントの誤差(ぼやける)を少なくすることが可能となり、規定のフォトマスクのパターン幅に近づけて第2レジストパターン21aを形成することができる。これにより、前記第2レジストパターン21aをマスクとして第2アルミ膜16aをエッチングしたとき、前記交差する領域近傍31上の第2アルミ配線16であっても、規定の幅に近づけて形成することが可能となり、その結果、第2アルミ配線16が細くなったり断線したりすることを抑制することができる。
【0045】
(2)本実施形態によれば、フォトリソグラフィ法によって、第1アルミ配線12を形成するのと同時に3つのスリット溝17を形成するので、新しく工程を追加することなく形成することができる。よって、容易にスリット溝17を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】一実施形態における、半導体装置の構造を示す模式図。図1(a)は、半導体装置を上方からみた平面図。図1(b)は、半導体装置をA−A断面から見た断面図。図1(c)は、半導体装置をB−B断面から見た断面図。
【図2】半導体装置の製造方法を模式的に示す断面図。
【図3】半導体装置の製造方法を模式的に示す断面図。
【図4】従来技術の半導体装置の構造を示す模式図。図4(a)は、半導体装置を上方からみた平面図。図4(b)は、半導体装置をA−A断面から見た断面図。図4(c)は、半導体装置をB−B断面から見た断面図。
【符号の説明】
【0047】
10…半導体装置、11…半導体基板、12…第1配線としての第1アルミ配線、13…第1層間絶縁膜、14…絶縁体であるSOG膜、15…第2層間絶縁膜、16…第2配線としての第2アルミ配線、16a…膜である第2アルミ膜、17…溝であるスリット溝、21…第2レジスト膜、21a…第2レジストパターン、31…第1アルミ配線と第2アルミ配線とが交差する領域近傍。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された第1配線と、
前記半導体基板全体に亘って平坦化するように形成されるべき絶縁体と、
前記第1配線と交差するように形成された第2配線と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板全体に亘って前記絶縁体を形成する絶縁体形成工程と、
前記絶縁体上に、前記第2配線の基となる配線膜を形成する配線膜形成工程と、
前記配線膜上に、レジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記レジスト膜から前記レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記配線膜から前記第2配線を形成する第2配線形成工程と、
前記絶縁体形成工程に先立ち、
前記半導体基板上に、前記第1配線と前記第2配線とが交差する領域近傍の前記第1配線上に形成された一部の前記絶縁体を受け入れ可能な溝を有する前記第1配線を形成する第1配線形成工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1配線は、10μm以上の幅を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁体は、液状の材料であり、
前記絶縁体形成工程は、前記液状の材料をスピンコート塗布法によって前記半導体基板上に塗布する塗布工程と、
前記塗布した液状の材料を硬化させる硬化工程と、
を更に有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記液状の材料は、SOG液であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記溝は、スリット状であり、
前記第1配線形成工程は、前記第1配線と前記第2配線とが交差する領域近傍の前記第1配線に複数のスリット状の溝を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1配線形成工程は、フォトリソグラフィ法によって前記溝を有する前記第1配線を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板上に形成された第1配線と、
前記半導体基板全体に亘って平坦化するように形成されるべき絶縁体と、
前記絶縁体上に、前記第1配線と交差するように形成された第2配線と、
を有する半導体装置であって、
前記第1配線は、前記絶縁体を形成するとき、前記第1配線と前記第2配線とが交差する領域近傍の前記第1配線上に形成された一部の前記絶縁体を受け入れることが可能な溝を有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−202946(P2006−202946A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12403(P2005−12403)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】