説明

半導体装置の製造方法

【課題】絶縁膜のドライエッチング工程を含む半導体装置の製造方法において、エッチング加工制御性を向上する手段を提供する。
【解決手段】下部構造部10上のストッパー膜11上に炭素元素を含む絶縁膜である被加工膜12を形成する。この上にマスクパターン13aを形成し、このマスクパターンをマスクに被加工膜に向けて電子線等のエネルギー注入を行って被加工膜に硬化部位12aを形成し、このマスクパターンをマスクに被加工膜の硬化部位を異方性エッチングし溝12bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上で微細加工を行う半導体装置の製造方法に係り、特に、エッチング工程を含む半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高集積半導体デバイス製造で導入が進められている層間絶縁膜であるLow−k材料(低比誘電率材料)は、一般的にエッチング制御がより難しく、加工深さが制御できずに所望の深さ以上に加工が進んでしまう、いわゆる突きぬけ現象が発生しやすい。縦方向のみならず横方向への加工の広がりについても同様である。
【0003】
一般的に絶縁膜の加工深さの制御は、被加工膜とその下に位置するストッパー膜とのエッチング選択比を利用してストッパー膜の直上まで被加工材を加工するという方法が用いられる。ここで被加工膜とストッパー膜のどちらもがLow−k材料である場合には、上記の現象は顕著である。これは、TEOS(tetraethylorthosilicate)を原料とする絶縁膜などの非Low−k材料と比べてLow−k材料は、上記のようにエッチングレートが高い傾向を有し、さらにそれらの間でエッチング選択比も高く取れない傾向を有するためである。
【0004】
なお、本願に関連するエッチング工程を有する半導体装置の製造方法には、例えば下記特許文献に開示のものがある。特許文献1では、2重ダマシン型ビア・コンタクトについて開示がされ、特許文献2では、そのなかでも特に低比誘電率膜を使用した構造が開示されている。特許文献3にも2重ダマシン構造を有する半導体装置が開示されており、この開示ではビアのリソグラフィがハードマスク溝の形成後になされている。いずれも本願の内容に対して一般的な技術水準を開示するものである。
【特許文献1】特開2000−3959号公報
【特許文献2】特開2002−217289号公報
【特許文献3】特開2000−349152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エッチング工程を含む半導体装置の製造方法において、エッチング加工制御性を向上することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、被加工膜上にマスクパターンを形成する工程と、前記マスクパターンをマスクに前記被加工膜に向けてエネルギー注入を行い前記被加工膜に硬化部位を形成する工程と、前記マスクパターンをマスクに前記被加工膜の前記硬化部位をエッチングする工程とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エッチング工程を含む半導体装置の製造方法において、エッチング加工制御性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法では、被加工膜上にマスクパターンを形成し、このマスクを利用して被加工膜にエネルギー注入して被加工膜に硬化部位を形成する。そして、同じマスクで被加工膜の硬化部位をエッチングする。すなわち、このエッチングでは、硬化部位のエッチングとなるので加工制御性が向上されている。
【0009】
実施態様として、前記被加工膜が、前記エネルギー注入によって密度が増加する材料である、とすることができる。一般にエネルギー注入により物理的・化学的変化が被加工膜に生じるがこの場合は硬化するとともに密度が増加する材料を使用するものである。
【0010】
また、実施態様として、前記被加工膜が、3.0未満の比誘電率を有し、該被加工膜に接触して該被加工膜の下側に3.0未満の比誘電率を有する該被加工膜とは異なる材質の下層膜があらかじめ形成されている、とすることができる。これは、被加工膜およびその下側の膜(下層膜:すなわちストッパー膜)がともにいわゆる低比誘電率の材料の場合である。このような場合に本願の内容は特に有用である。3.0未満の比誘電率としているのは、一般的な分類基準のひとつに基づいたものである。
【0011】
また、実施態様として、前記エネルギー注入が、電子線の照射によりなされる、とすることができる。エネルギー注入の代表的な方法である。
【0012】
ここで、前記マスクパターンの膜厚と密度とが、前記電子線の照射によって電子が突き抜けない膜厚および密度に設定されている、とするのが好ましい。すなわち、この場合のマスクパターンは、電子線の照射によってその下側の被加工膜に対して影響が生じることのないように膜厚および密度が設定される。
【0013】
またここで、前記被加工膜に接触して該被加工膜の下側に該被加工膜とは異なる材質の下層膜があらかじめ形成されており、該下層膜の膜厚と密度とが、前記電子線の照射によって電子が突き抜けない膜厚および密度に設定されている、とすることができる。これは、下層膜をこのように限定することで、ストッパー膜としての機能をより高めるためである。すなわち、ストッパー膜の下側にさらに別の膜がある場合にその別の膜に電子線照射の影響が出ないようにする。
【0014】
また、実施態様として、前記エネルギー注入が、紫外ないし可視域(波長150nmないし500nm)の光の照射によりなされる、とすることができる。エネルギー注入の別の代表的な方法である。波長150nmないし500nmとしたのは、半導体装置の被加工膜の材質を想定した場合に、より効果的な硬化作用が期待できる波長だからである。
【0015】
ここで、前記被加工膜が、炭素元素を含む組成であり、前記照射される光が、前記被加工膜の前記組成に対して炭素元素の結合を切断する作用のある波長であり、前記マスクパターンが、前記作用のある波長が含まれる吸収帯を有する材料を含む、とすることができる。半導体装置の被加工膜が炭素元素を含む組成の場合、その炭素元素の結合を切断する作用のある波長の光を用いれば、被加工膜を効果的に硬化することができる。さらにマスクパターンは、この波長を吸収することでその下側の被加工膜に影響を与えないようにする。
【0016】
ここで、前記被加工膜が、SiOC系の材料であり、前記照射される光が、ほぼ422nmの波長である、とすることができる。SiOC系の材料の場合、ほぼ波長422nmの光を照射すると炭素元素の結合を効果的に切断することができ、被加工膜の組成としてSiOの割合が増加して硬化する。
【0017】
また、実施態様として、前記エッチングが、RIE(reactive ion etching)法またはCDE(chemical dry etching)法によりなされる、とすることができる。RIE法またはCDE法では異方性エッチングができる。横方向に対する制御性がよい。
【0018】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1、図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図である。図1、図2の順に工程が進行しまたこれらの図内では(a)、(b)、(c)の順、または(a)、(b)の順に工程が進行する。図1、図2において同一または同一相当の部位には同一符号を付してある。この実施形態は原理的・一般的説明のための一例である。
【0019】
まず、図1(a)に示すように、下部構造部位10上に、ストッパー膜11、被加工膜12、ハードマスク用膜13からなる積層構造を形成する。下部構造部位10は、少なくとも半導体基板を含んでその上に各種の構造(例えばトランジスタ素子や配線構造など)が形成された部位である。ストッパー膜11、被加工膜12は、それぞれ例えばLow−k材料からなり、ハードマスク用膜13は非Low−k材料の膜である。
【0020】
より具体的には例えば、ストッパー膜11はSiCの組成を基本とする絶縁膜、被加工膜12はSiOCの組成を含む絶縁膜、ハードマスク用膜13はTEOSを原料とする絶縁膜(以下「TEOS膜」ともいう)とすることができる。これらの絶縁膜11、12、13は、例えばプラズマCVD(chemical vapor deposition)法、SiターゲットとO系、N系ガスとによる反応性スパッタリング、真空蒸着、塗布などの方法により形成することができる。被加工膜12は、現実には、図示するような1層構造のもののみならず多層構造のものの場合もある。
【0021】
一般的に、ストッパー膜11またはハードマスク用膜13が含有する元素種には、Si、O、C、H、N、F、Ti、Co、W、Ta、Ru、Al、Cu、Mo、Ge、B、P、As、Mn、Br、Zn、Ni、Cr、Sn、Sb、In、Hf、Ag、Pt、Zrを挙げることができる。また、被加工膜12が含有する元素種にはこれらの元素のうち金属元素を除く各元素を挙げることができる。
【0022】
次に、図1(b)に示すように、ハードマスク用膜13上に所定のパターン化がされたレジスト膜14を形成する。レジスト膜14のパターン化には周知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。レジスト膜14のパターンは被加工膜12の加工されるべきパターンに対応している。
【0023】
続いて、パターン化されたレジスト膜14をマスクにハードマスク用膜13をエッチング加工する。この加工には、例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。エッチングガスには、ハードマスク用膜13がTEOS膜の場合例えばO系やNH系などのガスを含むガスを用いることができる。ハードマスク用膜13と被加工膜12との選択比が確保できるようにエッチング時のパワー、圧力、ガス流量を調整する。ハードマスク用膜13のエッチング加工のあとレジスト膜14は除去され得る。これにより図1(c)に示すように、被加工膜12の上にハードマスク13aが形成された状態になる。
【0024】
次に、図2(a)に示すように、ハードマスク13aをマスクに被加工膜12に向けて電子線(以下EBともいう)を照射する。これにより、被加工膜12にはハードマスク13aのパターンに応じて硬化部位12aが生じる。電子線の照射エネルギーや照射時のガス雰囲気は、ハードマスク13aのパターンに応じた範囲で被加工膜12が硬化するように適宜設定する。照射エネルギーは例えば2〜3keVとすることができる。この硬化は、被加工膜12がSiOCの組成を含む絶縁膜である場合には分子レベルで炭素の結合が切断されSiOの占める割合が増加することによる。SiOの割合が増加することで密度も増加する。
【0025】
ハードマスク13aの厚さおよび密度は、電子線照射で電子が突き抜け下側の被加工膜12に影響を与えることのないように設定する。より具体的には、例えば「膜厚(μm)×密度(g/cm)>A×V」を満たすように膜厚および密度を設定する。ここでA、Bは定数であり、Vは加速電圧(kV)である。定数Aは例えば0.01<A<0.1の範囲の値(一例として0.0667)、定数Bは例えば1<B<2の範囲の値(一例として1.667)であり、使用する電子線照射装置やその他の条件を確定すると定まる。
【0026】
被加工膜12の下に位置するストッパー膜11についてもハードマスク13aと同様な考えで厚さおよび密度の設定をしておくのが好ましい。これはやはり電子線照射で被加工膜12を通してストッパー膜11からも電子が突き抜ける心配があるからである。このような電子の突き抜けは下部構造部位10に対する悪影響になる。電子の突き抜けの防止効果を高めるのにストッパー膜11を図示する1層構造ではなく異なる材料の多層構造としてもよい。多層構造の場合は、膜厚はそれらの合計膜厚、密度は各膜厚に応じた加重平均を上記説明の膜厚および密度にそれぞれ対応させることができる。
【0027】
次に、ハードマスク13aをマスクに被加工膜12の硬化部位12aをエッチング除去しエッチング部位12bを形成する(図2(b))。このエッチングには、例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。エッチングガスには、被加工膜12がSiOCの組成を含む絶縁膜の場合例えばCF系やCO系などのガスを含むガスを用いることができる。一般的には、反応ガスとして、C、F、O、N、Ar、Cl、Br、H、Bなどの元素を含むガスを用いることができる。被加工膜12の硬化部位12aとストッパー膜11との選択比が確保できるようにエッチング時のパワー、圧力、ガス流量を調整する。
【0028】
図2(b)に示すエッチングでは、被加工膜12に形成された硬化部位12aの領域がエッチングされるため、そのエッチングレートが低く抑えられ得る。すなわち、深さ方向の加工制御性が向上しておりストッパー膜11がLow−k膜であってもこの膜に対する突き抜け部位の形成を抑制することができる。したがって、高集積半導体デバイス製造で導入が進められている層間絶縁膜がLow−k材料となっているプロセスにおいて好適なエッチング方法である。なお、一般にLow−k材料をEBなどで硬化させるとその部分の誘電率が増加するという副作用があるが、本実施形態では硬化部位12aは除去される部位なので製造される半導体装置として悪影響にはならない。
【0029】
次に、本発明の別の実施形態について図3、図4を参照して説明する。図3、図4は、本発明の別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図である。図3、図4の順に工程が進行しまたこれらの図内では(a)、(b)、(c)の順、または(a)、(b)の順に工程が進行する。図3、図4において同一または同一相当の部位には同一符号を付しており、また既に説明した図1、図2に登場したものに同一または同一相当の部位とも同一符号を使用している。すでに説明した部位と同一または同一相当の部位については加えることがない限り説明を省略する。この実施形態も原理的・一般的説明のための一例である。
【0030】
この実施形態は、被加工膜12に硬化部位を形成することは上記実施形態と同じであり、その硬化方法として紫外ないし可視域の波長を有する光の照射を利用する。以下説明する。まず、図3(a)に示すように、下部構造部位10上に、ストッパー膜11、被加工膜12からなる積層構造を形成する。
【0031】
次に、図3(b)に示すように、被加工膜12上に所定のパターン化がされたレジスト膜15を形成する。レジスト膜15のパターン化には周知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。レジスト膜15のパターンは被加工膜12の加工されるべきパターンに対応している。
【0032】
次に、図3(c)に示すように、レジスト膜15をマスクに被加工膜12に向けて光を照射する。これにより、被加工膜12にはレジスト膜15のパターンに応じて硬化部位12aが生じる。光の波長は、被加工膜12がSiOCの組成を含む絶縁膜である場合、より詳細にはSi−CH結合を有するSiOCHである場合にはほぼ422nmとすることができる。これにより、分子レベルで炭素の結合が切断されSiOの占める割合が増加して硬化部位12aが生じる。SiOの割合が増加することで密度も増加する。照射する光の波長は、被加工膜12の組成を考慮して硬化の作用がより強く現われる波長とすることができる。一般的には150nmから500nm(紫外から可視域)の波長とすることができる。
【0033】
レジスト膜15の材料には、照射する光の波長が吸収帯となる性質のものを用いる。これは、その下側に位置する被加工膜12に悪影響がでないようにするためである。すなわち一般的には、被加工膜12の材質が最初に決められているとしてこの材質に応じて照射する光の波長が、被加工膜12の硬化作用の大きい波長として決められる。そしてその波長を吸収する材料のレジスト膜15を選択する。
【0034】
次に、図4(a)に示すように、レジスト膜15をマスクに被加工膜12の硬化部位12aをエッチング除去しエッチング部位12bを形成する。このエッチングには、上記実施形態と同様に、例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。エッチングガスについても上記実施形態と同様である。エッチング部位12bの形成のあとレジスト膜15を除去する(図4(b))。
【0035】
この実施形態におけるエッチングにおいても、被加工膜12に形成された硬化部位12aの領域がエッチングされるため、そのエッチングレートが低く抑えられ得る。すなわち、深さ方向の加工制御性が向上しておりストッパー膜11がLow−k膜であってもこの膜に対する突き抜け部位の形成を抑制することができる。したがって、高集積半導体デバイス製造で導入が進められている層間絶縁膜がLow−k材料となっているプロセスにおいて好適なエッチング方法である。また、この実施形態の場合も、硬化させた部分の誘電率が増加するという副作用は、硬化部位12aが除去される部位なので製造される半導体装置として悪影響にはならない。
【0036】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図5、図6、図7を参照して説明する。図5、図6、図7は、本発明のさらに別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図である。図5、図6、図7の順に工程が進行しまたこれらの図内では(a)、(b)、(c)の順に工程が進行する。これらの図において同一または同一相当の部位には同一符号を付している。
【0037】
この実施形態は、いわゆるデュアルダマシン工程による配線形成における一例である。被加工膜の硬化には、後述するが電子線の照射を用いている。前提として、図5(a)に示す構造があらかじめ得られているとして以下説明する。図5(a)に示す構造では、素子形成部位50、層間絶縁膜51、52、下層配線53、ストッパー膜54、被加工膜55、56、ハードマスク用膜57が図示するように形成されている。
【0038】
図5(a)について補足すると、素子形成部位50は少なくとも半導体基板を含んでその上にトランジスタ素子などの素子が形成された部位である。下層配線53は、図示紙面と垂直方向に延びる配線であり、例えばCuからなっており、あとから形成される上層の配線(不図示)とはビア(不図示)を介して電気的導通する。層間絶縁膜51、52(厚さは例えばそれぞれ100nm、50nm)は、下層配線53の縦方向位置と同じ縦方向位置を満たす層間絶縁膜である。
【0039】
ストッパー膜54(厚さ例えば50nm)、被加工膜55(厚さ例えば100nm)、被加工膜56(厚さ例えば150nm)は、図1におけるストッパー膜11、被加工膜12、ハードマスク用膜13にそれぞれ相当する膜である。すなわち、被加工膜55、ストッパー膜54は、それぞれLow−k材料の膜である。なお、被加工膜55の加工部位にはビアが、被加工膜56の加工部位には上層配線がそれぞれ形成される。ハードマスク用膜57(厚さ例えば75nm)は上側の被加工膜56を所定に加工するためのマスクとなる膜である。
【0040】
図5(a)に示す状態に続いて、ハードマスク用膜57上に所定のパターン化がされたレジスト膜58を形成する(図5(b))。レジスト膜58のパターン化には周知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。レジスト膜58のパターンは上層側の被加工膜56の加工されるべきパターン(上層配線のパターン:幅例えば200nm)に対応している。
【0041】
続いて、パターン化されたレジスト膜58をマスクにハードマスク用膜57をエッチング加工しハードマスク57aを形成する(図5(c))。この加工には、例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。エッチングガスには、ハードマスク用膜57がTEOS膜の場合例えばO系やNH系などのガスを含むガスを用いることができる。ハードマスク用膜57と被加工膜56との選択比が確保できるようにエッチング時のパワー、圧力、ガス流量を調整する。ハードマスク57aの形成のあとレジスト膜58は除去される。
【0042】
次に、図6(a)に示すように、ビアのパターンが形成されたレジスト膜59を上面上に形成し、さらにこのレジスト膜59をマスクに被加工膜56をエッチング加工し被加工膜56にビアパターン56a(径例えば100nm)を形成する。レジスト膜59の上記パターン化には周知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。被加工膜56のエッチングには例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。被加工膜56にビアパターン56aを形成したあとレジスト膜59は除去される。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、被加工膜56をマスクにその下の被加工膜55に向けて電子線を照射する。これにより、被加工膜55には被加工膜56のビアパターン56aに応じて硬化部位55aが生じる。被加工膜55の下に位置するストッパー膜54についてはすでに説明したように所定に厚さおよび密度の設定をしておくのが好ましい。電子線照射で被加工膜55を通してストッパー膜54から下層配線53に電子が突き抜けるのを防止するためである。
【0044】
次に、被加工膜56をマスクに被加工膜55の硬化部位55aをエッチング除去しビアホール55bを形成する(図6(c))。このエッチングには、例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。エッチングガスには、被加工膜55がSiOCの組成を含む絶縁膜の場合例えばCF系やCO系などのガスを含むガスを用いることができる。被加工膜55の硬化部位55aとストッパー膜54との選択比が確保できるようにエッチング時のパワー、圧力、ガス流量を調整する。
【0045】
次に、図7に示すように、ハードマスク57aをマスクに被加工膜56をエッチング加工し上層配線用トレンチ56bを形成する。このエッチングには、例えばCDE法やIRE法などの異方性エッチングを用いることができる。このとき被加工膜56と被加工膜55との選択比が確保できるようにエッチング時のパワー、圧力、ガス流量を調整する。この後は図示しないが、ビアホール55bに露出するストッパー膜54を取り除き、ビアホール55b内および上層配線用トレンチ56b内に例えばCuからなる埋め込み部位を形成する。これにより、上層配線用トレンチ56b内には下層配線53に電気的導通する上層配線が形成できる。
【0046】
この実施形態では、図6(c)に示すエッチングにおいて、被加工膜55に形成された硬化部位55aの領域がエッチングされるため、そのエッチングレートが低く抑えられ得る。すなわち、深さ方向の加工制御性が向上しておりストッパー膜54がLow−k膜であってもこの膜に対する突き抜け部位の形成を抑制することができる。したがって、層間絶縁膜としてLow−k材料が用いられる高集積半導体デバイスの配線形成プロセスにおいて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【図2】図1の続図であって、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【図3】本発明の別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【図4】図3の続図であって、本発明の別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【図5】本発明のさらに別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【図6】図5の続図であって、本発明のさらに別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【図7】図6の続図であって、本発明のさらに別の実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的な断面で示す工程図。
【符号の説明】
【0048】
10…下部構造部位、11…ストッパー膜、12…被加工膜、12a…硬化部位、12b…エッチング除去部、13…ハードマスク用膜、13a…ハードマスク、14…レジスト膜、15…レジスト膜、50…素子形成部位、51…層間絶縁膜、52…層間絶縁膜、53…下層配線、54…ストッパー膜、55…被加工膜(層間絶縁膜)、55a…硬化部位、55b…ビアホール、56…被加工膜(層間絶縁膜)、56a…ビアパターン、56b…上層配線用トレンチ、57…ハードマスク用膜、57a…ハードマスク、58…レジスト膜、59…レジスト膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜上にマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンをマスクに前記被加工膜に向けてエネルギー注入を行い前記被加工膜に硬化部位を形成する工程と、
前記マスクパターンをマスクに前記被加工膜の前記硬化部位をエッチングする工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エネルギー注入が、電子線の照射によりなされることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記マスクパターンの膜厚と密度とが、前記電子線の照射によって電子が突き抜けない膜厚および密度に設定されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記エネルギー注入が、紫外ないし可視域(波長150nmないし500nm)の光の照射によりなされることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記被加工膜が、炭素元素を含む組成であり、
前記照射される光が、前記被加工膜の前記組成に対して炭素元素の結合を切断する作用のある波長であり、
前記マスクパターンが、前記作用のある波長が含まれる吸収帯を有する材料を含むこと
を特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−273848(P2007−273848A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99252(P2006−99252)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】