説明

半導体装置の製造方法

【課題】薄型及び小型であり且つ機械的強度および耐湿性に優れた光半導体装置を提供する。
【解決手段】受光部または発光部を有する光半導体素子14が封止樹脂により封止された光半導体装置10Aに於いて、光半導体素子の表面を覆い、光半導体素子に入射するまたは光半導体素子から発光される光に対して透明な材料からなる被覆層12が設けられ、封止樹脂は、フィラーが混入され、被覆層上面に対応する封止樹脂は、凹状で、被覆層が封止樹脂から露出している事で解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図29を参照して、従来型の光半導体装置100の構成を説明する(例えば特許文献1を参照)。図29(A)は半導体装置100の平面図であり、図29(B)は半導体装置100の断面図である。
【0003】
図29(A)および図29(B)を参照して、光半導体素子103は、銅等の導電部材より成るランド102上に固着されている。ここで光半導体素子103としては、CCD(Charged Coupled Device)イメージセンサ等の受光素子や、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子がその表面に形成された半導体素子を採用することができる。ランド102に接近して多数個のリード101が設けられており、光半導体素子103の周囲に設けた電極とリード101とは、金属細線104を介して電気的に接続されている。
【0004】
透明樹脂105は、光半導体素子103、ランド102、金属細線104およびリード101を封止している。透明樹脂105は、光学的に透明な熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる。従って、光半導体素子103は、その上部を被覆する透明樹脂105を介して、外部との光信号の入出力を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−102449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来型の光半導体装置100に用いた透明樹脂105は、その透明さを保つためにフィラーが添加されていなかった。このことから、光半導体素子103から発生する熱の放熱性に問題がり、使用状況下の温度変化によって透明樹脂105に亀裂が入ってしまう問題があった。更に、透明樹脂105は耐湿性、機械的強度および導電部材との密着性にも問題があった。このことも光半導体装置100の信頼性の低下を招いていた。
【0007】
また、樹脂封止を行うモールド金型と透明樹脂105との過度の密着を防止するために、透明樹脂105には離形剤等の添加物が混入されていた。従って、これらの添加物により透明樹脂105の透明度が充分でない問題があった。更に、透明樹脂105自身も樹脂であることから、ガラス等と比較すると透明度が劣る。このことから、光半導体素子103がCCDである場合は、外部から入射する光が透明樹脂105で減衰・反射してしまい、CCDの性能を充分に発揮できない問題があった。
【0008】
また、透明樹脂105は、光半導体素子103の表面のみならず、金属細線104の頂部も被覆するように厚く形成されていた。このことから、光半導体素子103全体の厚みが増加してしまい、小型化および薄型化に限界がある問題があった。
【0009】
本発明は上記した問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の主な目的は、耐湿性および機械的強度に優れ且つ薄型の光半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、
受光部または発光部を有する光半導体素子が封止樹脂により封止された光半導体装置に於いて、
前記光半導体素子の表面を覆い、前記光半導体素子に入射するまたは前記光半導体素子から発光される光に対して透明な材料からなる被覆層が設けられ、
前記封止樹脂は、フィラーが混入され、
前記被覆層上面に対応する前記封止樹脂は、凹状で、前記被覆層が前記封止樹脂から露出している事で解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、以下に示すような効果を奏することができる。
【0012】
本発明の光半導体装置によれば、光半導体素子14の上面を被覆する被覆層12を、封止樹脂13から露出させることができる。従って、透明樹脂により全体が封止されていた従来例と比較すると、封止樹脂13は薄く形成することが可能であり、装置全体の厚みを薄くすることができる。更に、被覆層12を介して光半導体素子14が外部に露出していることから、光半導体素子14が受光素子である場合は、外部から入力する光信号の減衰を抑止して受光することができる。また、光半導体素子14が発光素子である場合は、発光する光信号の減衰を抑止することができる。
【0013】
更に、フィラーが混入された遮光性の封止樹脂を用いて光半導体装置10は構成されている。このことにより、機械的強度および耐湿性に優れた光半導体装置を構成することができる。
【0014】
本発明の光半導体装置の製造方法によれば、被覆層12の上部をシート51でカバーした後に、封止樹脂13による封止を行っている。また、接着剤によりシート51は被覆層12に貼り付けられている。従って、モールド封止の工程で、被覆層12の表面に封止樹脂13が付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の光半導体装置を説明する斜視図(A)、裏面図(B)である。
【図2】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)である。
【図3】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)である。
【図4】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図5】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する平面図(A)、断面図(B)である。
【図6】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する平面図(A)、断面図(B)である。
【図7】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図8】本発明の光半導体装置を説明する斜視図(A)、裏面図(B)である。
【図9】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)である。
【図10】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図12】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図13】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図14】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図15】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図16】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)である。
【図17】本発明の光半導体装置を説明する斜視図(A)、断面図(B)、断面図(C)である。
【図18】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図19】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する平面図(A)、断面図(B)である。
【図20】本発明の光半導体装置の製造方法を説明する断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)、断面図(D)である。
【図21】本発明の光半導体装置に内蔵される光半導体素子を説明する断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)である。
【図22】本発明の光半導体装置に内蔵される光半導体素子の製造方法を説明する斜視図(A)、断面図(B)、断面図(C)、断面図(D)である。
【図23】本発明の光半導体装置に内蔵される光半導体素子の製造方法を説明する断面図である。
【図24】本発明の光半導体装置に内蔵される光半導体素子の製造方法を説明する断面図である。
【図25】本発明の光半導体装置に内蔵される光半導体素子の製造方法を説明する断面図である。
【図26】本発明の光半導体装置を説明する断面図(A)、断面図(B)である。
【図27】本発明の光半導体装置を説明する断面図である。
【図28】本発明の光半導体装置を説明する断面図である。
【図29】従来の光半導体装置を説明する平面図(A)、断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図1から図7を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Aの構成および製造方法を説明する。先ず、図1から図3を参照して、光半導体装置10Aの構成を説明する。図1(A)は光半導体装置10Aの斜視図であり、図1(B)はその裏面図である。図2(A)(B)および図3(A)(B)は、図1(A)のX−X線に於ける断面図である。
【0017】
光半導体装置10Aは、受光部または発光部を有する光半導体素子14が封止樹脂13により封止された光半導体装置10Aに於いて、光半導体素子14の表面を被覆する被覆層12が封止樹脂13の表面から露出する構成と成っている。更に詳述すると、本実施の形態に係る光半導体装置10Aは、受光部または発光部を有する光半導体素子14と、光半導体素子14の表面を被覆する被覆層12と、光半導体素子14が固着されるランド16と、金属細線15を介して光半導体素子14と電気的に接続され外部電極を形成するリード11と、光半導体素子14、金属細線15、ランド16およびリード11を封止する封止樹脂13とを具備し、被覆層12が封止樹脂13から露出する構成と成っている。このような構成を以下にて説明する。
【0018】
図1(A)を参照して、被覆層12は、封止樹脂13の表面から露出する構成と成っている。ここでは、光半導体装置10Aの中央部付近に光半導体素子14が配置され、その表面を被覆する被覆層12が封止樹脂13から露出している。被覆層12の材料としては、光半導体素子14に入力される光または光半導体素子14から出力される光に対して透明なものが用いられる。例えば、光半導体素子14が可視光線を感知する素子であれば、可視光線に対して透明性を有する材料が被覆層12として採用される。具体的には、ガラスまたはアクリル板等を被覆層12として用いることができる。更に、光半導体素子14がCCDイメージセンサ等の撮像素子である場合は、フィルタ等が付加される。
【0019】
図1(B)を参照して、光半導体装置10Aの裏面の周辺部には、部分的に露出したリード11が外部電極を形成している。即ち、光半導体装置10Aの表面に被覆層12が露出し、裏面にリード11から成る外部電極端子が露出している。
【0020】
図2(A)を参照して、光半導体素子14はランド16上に固着されている。光半導体素子14とリード11とは、金属細線15を介して電気的に接続されている。ここで、光半導体素子14としては、受光素子または発光素子を採用することができる。受光素子としては、CCD(Charged Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子や、フォトダイオードやフォトトランジスタ等のフォトセンサを光半導体素子14として採用することができる。発光素子としては、発光ダイオードまたは半導体レーザーを光半導体素子14として採用することができる。更には、光半導体素子14に替えてMEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いることも可能である。
【0021】
窪み部14Aは、光半導体素子14の周辺部を一様に窪ませた領域であり、その表面には、メッキ膜等から成るメタル配線14Bが形成されている。窪み部14Aの表面は、メタル配線14Bから成るボンディングパッドが形成され、このボンディングパッドに金属細線15が接続されている。窪み部14Aを設けることの利点を説明する。本発明では、光半導体素子14を被覆する被覆層12は封止樹脂13の表面から露出する。従って、光半導体素子14の上面から封止樹脂13の表面までの距離は、被覆層12の厚み(d1)と同等になる。このことから、金属細線15の盛り上がりの高さ(d2)が、被覆層12の厚み(d1)よりも高い場合は、d2の高さをどのように確保するかが問題となる。ここでは、上記した窪み部14Aを設けて、この窪み部14Aに金属細線15をワイヤボンディングすることにより、この問題を解決している。即ち、被覆層12の厚み(d1)と窪み部14Aの深さとを加算した長さを、金属細線15の盛り上がりの高さ(d2)よりも長く設定することで、金属細線15の形成領域を確保している。また、金属細線15の盛り上がりの高さ(d2)よりも、被覆層12の厚さ(d1)が厚く形成された場合には、窪み部14Aを省いた構成にすることも可能である。
【0022】
また、被覆層12の側面を傾斜の付いた構造にすることも可能であり、この場合は、アンカー効果により、被覆層12と封止樹脂13との密着を向上させることができる。
【0023】
ランド16は、ロウ材の付着性、ボンディング性、メッキ性が考慮されてその材料が選択され、材料としては、Cuを主材料とした金属、Alを主材料とした金属またはFe−Ni等の合金から成る。ここでは、ランド16は、光半導体装置10Aの中央部に配置され、その表面には接着剤を介して、光半導体素子14が固着されている。そして、ランド16の裏面は封止樹脂13により被覆されることで装置の耐湿性が向上されている。また、ランド16の裏面を封止樹脂13から露出させることもできる。このことにより、光半導体素子14から発せられる熱の高熱性を向上させることができる。
【0024】
リード11は、ランド16を囲むように複数個が設けられ、個々がランド16の近傍から光半導体装置10Aの周辺部まで延在している。ランド16に近接する方のリード11の端部は、金属細線15を介して光半導体素子14と電気的に接続している。また、リード11の他端付近の裏面は、封止樹脂13から露出して、外部電極を形成している。ここでは、リード11は、ガルウイング形状に成型されている。
【0025】
封止樹脂13は、被覆層12の表面を露出させて、ランド16、リード11、金属細線15、光半導体素子14および被覆層12を封止している。また、封止樹脂13は、機械的強度の向上および耐湿性の向上のために、無機フィラーが混入されて遮光性のものとなっている。無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、および、ケイ素化合物を採用することができる。また、封止樹脂13に用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の両方を全般的に採用することができる。本発明に適用可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエラストマーが挙げられる。また、本発明に適用可能な熱硬化性樹脂としては、例えば、ユリア、フェノール、メラミン、フラン、アルキド、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート、エポキシ、ケイ素樹脂およびポリウレタンを挙げることができる。
【0026】
図2(B)を参照して、他の形態の半導体装置10Aの構成を説明する。同図に示した光半導体装置10Aの基本的な構成は上述したものと同様であり、相違点は、半導体素子17を有していることにある。この相違点の詳細を以下にて説明する。
【0027】
半導体素子17は、ランド16上に固着されており、更にこの半導体素子17の上部に光半導体素子14が設けられている。そして、半導体素子17とリード11とは、金属細線15を介して電気的に接続されている。従って、半導体素子17と光半導体素子14とは、金属細線15およびリード11を介して電気的に接続することができる。半導体素子17としては、光半導体素子14の制御または半導体素子17から出力された電気信号の処理を行う素子を採用することができる。
【0028】
光半導体素子14がCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである場合は、CCDを駆動させるためのドライバー回路や、A/Dコンバータ、信号処理回路等を半導体素子17に形成することができる。更には、画像圧縮機能や色素補正機能を有する回路を、半導体素子17に形成することも可能である。また、光半導体素子14が発光ダイオード等の発光素子である場合は、この発光素子を制御する回路を、半導体素子17に形成することが可能である。このような半導体素子17を、光半導体素子14に加えて半導体装置10Aに内蔵させることにより、光半導体装置10Aの付加価値を向上させることができる。
【0029】
図2(C)を参照して、ここでは、金属細線15が接続する箇所のリード11が封止樹脂13に埋め込まれ、封止樹脂13の側部からリード11が導出している。 図3を参照して、他の形態の光半導体装置10Aの構成を説明する。同図に示す光半導体装置10Aの基本的な構成は、図1を参照して説明したものと同一であり、相違点はリード11が平坦に形成されている点にある。図3(A)では、光半導体素子14のみが光半導体装置10Aに内蔵され、図3(B)では、光半導体素子14に加えて半導体素子14が内蔵されている。
【0030】
図3(C)を参照して、ここでは金属細線15により光半導体素子14とパッド11Aが接続され、パッド11Aの裏面が封止樹脂13の裏面から露出することで外部電極を形成している。
【0031】
次に図4から図7を参照して、本実施の形態の光半導体装置10Aの製造方法を説明する。光半導体装置10Aは、受光部または発光部を有する光半導体素子14を封止樹脂13で封止する工程を具備する光半導体装置の製造方法に於いて、前記光半導体素子の表面を被覆する被覆層の上面をシートで保護してから、前記封止樹脂の封止を行うことで、前記被覆層を前記封止樹脂から露出させることにより製造される。更に詳しくは、光半導体装置10Aの製造方法は、導電部材から成る基板41を加工し、基板上にランド16およびリード11を設ける工程と、基板41全体の下面を第1のシート51Aに貼り付ける工程と、表面に被覆層12を有する光半導体素子14を基板41のランド16に固着する工程と、被覆層12の上面を第2のシート51Bで保護する工程と、基板41のランド16、リード11および光半導体素子14を封止樹脂13により封止する工程とを具備する。以下にて図を参照しつつ上記工程の詳細を説明する。
【0032】
図4を参照して、先ず、導電部材から成る基板41を加工し、基板41上にランド16およびリード11を設ける。基板41は、例えば、厚さが約100〜250μmの銅を主体とする板状体から成る。しかし、Fe−Niを主体とした金属を用いても良いし、他の金属材料も採用可能である。そして、基板41上には、一点鎖線で示した一つの光半導体装置に対応するユニットを示す搭載部42が、マトリックス状に複数個形成されている。同図では、4個の搭載部が設けられているが、少なくとも1つが配置されれば良い。この搭載部42は、紙面に対して左右方向に延在する一対の第1の連結条体43と、紙面に対して上下方向に延在する一対の第2の連結条体44とにより囲まれている。そして、この第1および第2の連結条体43、44により、1枚の基板41上に複数個の搭載部42が設けられている。
【0033】
図5(A)は、図4で示した搭載部42の拡大図である。図示の如く、搭載部42は、主に、ランド16とランド16を支持する吊りリード16Aと、複数のリード11とを有する。ここで、リード11は、ランド16の4側辺の近傍に一端が位置し、この4側辺を囲み第1および第2の連結条体43、44へと他端が延在される。
【0034】
次に、図5(B)を参照して、基板41全体の下面を第1のシート51Aに貼り付ける。第1のシート51Aは、機械的力および熱に対して伸縮性の低い素材から採用される。例えば、本実施の形態では、PET(ポリエチレンテレフタレート)材を用いるが、上記の上面を満たすものであれば、他の材料を用いることもできる。
【0035】
次に、図6を参照して、表面に被覆層12を有する光半導体素子14を基板41のランド16に固着する。図6(A)は本工程における1つの搭載部42の平面図であり、図6(B)はその断面図である。
【0036】
表面に被覆層12が設けられた光半導体素子14は、接着剤を介してランド16の上部に固着される。そして、光半導体素子14とリード11とは、金属細線15により電気的に接続される。光半導体素子14の周辺部には、窪み部14Aが設けられており、この窪み部14Aに金属細線15が接続するボンディングパッドが形成されている。
【0037】
次に、図7を参照して、被覆層12の上面を第2のシート51Bで保護した後に、基板41のランド16、リード11および光半導体素子14を封止樹脂13により封止する。図7(A)は本工程を説明する断面図であり、図7(B)は他の形態の本工程を説明する断面図である。
【0038】
図7(A)を参照して、本工程では、上金型50Aおよび下金型50Bよりなるモールド金型を用いて樹脂封止を行う。封止方法としては、熱硬化性樹脂を用いるトランスファーモールドまたは、熱可塑性樹脂を用いるインジェクションモールド等を採用することができる。基板41の下面に貼り付けられた第1のシート51Aは、下金型50Bに当接している。また、第1のシート51Aの平坦性を維持するために、下金型50B設けた吸引手段にて、第1のシート51Aを固定しても良い。
【0039】
第2のシート51Bは、被覆層12の上面が封止樹脂13により被覆されないように保護する役割を有する。ここでは、上金型50Aの内壁の殆どが、第2のシート51Bの上面により被覆される。更に、被覆層12の上面には第2のシート51Bの下面が当接している。この状態で、金型に設けたゲートから、封止樹脂13を封入することにより、封止の工程が行われる。封止の工程が終了した後に、第1のシート51Aおよび第2のシート51Bは剥離される。
【0040】
第2のシート51Bとしては、上述した第1のシートと同様のものを用いることができるが、耐熱性等を満たすものであれば他の材料を用いることもできる。また、被覆層12と当接する第2のシート51Bの面に接着剤を塗布すると、第2のシート51Bと被覆層12との接着性が向上され、両者の界面に封止樹脂13が侵入するのを防止することができる。また、上金型50Aの内壁と第2のシート51Bとの接着力を向上させるために、上金型50Aに吸引手段を設けて、この吸引手段により、第2のシート51Bを保持することが可能である。
【0041】
図7(B)を参照して、他の形態の封止方法を説明する。ここでは、被覆層12の上面に対応する箇所のみに、第2のシート51Bが設けられている。従って、樹脂封止の工程が終了した後に、第2のシート51Bを剥離すると、第2のシート51Bが設けられた箇所が凹状になる。
【0042】
上記の説明では各搭載部42毎に個別のキャビティで樹脂封止を行ったが、複数個の搭載部42を1つのキャビティで樹脂封止を行い、その後にダイシング等により個々の搭載部42に分割することも可能である。この様な工程は一般的にMAP(Multi Area Package)と呼ばれている。
【0043】
上記した工程の後に、樹脂を硬化させるモールドキュアの工程、外部に露出したリード11をメッキ膜により被覆するメッキの工程、各搭載部42を分離するダイシングの工程、電気的特性および良否判定を行う測定の工程を経て、光半導体装置10Aが製造される。
【0044】
本発明の特徴は、図1を参照して、光半導体素子14の上面を被覆する被覆層12が、封止樹脂13から露出することにある。換言すると、被覆層12を介して光半導体素子14が、封止樹脂13から露出している。従って、透明樹脂により全体が封止されていた従来例と比較すると、封止樹脂13は薄く形成することが可能であり、装置全体の厚みを薄くすることができる。更に、被覆層12を介して光半導体素子14が外部に露出していることから、光半導体素子14が受光素子である場合は、外部から入力する光信号の減衰を抑止して受光することができる。また、光半導体素子14が発光素子である場合は、発光する光信号の減衰を抑止することができる。
【0045】
更に、本発明の特徴は、フィラーが混入された封止樹脂を用いて光半導体装置10を構成することにある。このことにより、機械的強度および耐湿性に優れた光半導体装置を構成することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図8から図10を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Bの構成および製造方法を説明する。先ず、図8および図9を参照して、本実施の形態に係る光半導体装置10Bの構成を説明する。
【0047】
図8(A)は光半導体装置10Bの斜視図であり、図8(B)はその裏面図である。同図から明らかなように、光半導体装置10Bの基本的な構成は、第1の実施の形態で説明した光半導体装置10Aと同様であり、相違点は、光半導体装置10Bの裏面に被覆層12が露出することにある。具体的には、リード11が露出して外部電極を構成する面の封止樹脂13から、被覆層12が露出している。
【0048】
図9を参照して光半導体装置10Bの断面構造に関して説明する。図9(A)および図9(B)は図8(A)のX−X線に於ける断面図である。
【0049】
図9(A)を参照して、ランド16の下面に光半導体素子14が固着されている。光半導体素子14とリード11とは金属細線15により接続されており、ここでは、金属細線15の一端はリード11の下面に接続されている。また、金属細線15の他端は、半導体素子14の周囲に設けた窪み部14Aのメタル配線14Bに接続されている。
【0050】
図9(B)を参照して、ここでは、光半導体素子14に加えて半導体素子14も光半導体装置10Bに内蔵されている。半導体素子17に形成される回路の種類および半導体素子17を内蔵することによる効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
図9(C)を参照して、上述した光半導体装置10Bの実装構造を説明する。光半導体装置10Bは、半田等のロウ材を介して、基板52上に固着される。具体的には、基板52に設けられた導電路とリード11の露出部をロウ材で接続する。また、光半導体素子14と外部との光の入出力を可能にするために、基板52には、光半導体素子14の位置および大きさに対応した開口部53が設けられている。
【0052】
図10を参照して、上述した光半導体装置10Bの製造方法を説明する。ここで、第1の実施の形態で説明した光半導体装置10Aの製造方法と重複する工程に関しては、その説明を割愛する。具体的には、導電性の基板41にランド16およびリード11を形成する工程、基板41に第1のシートを貼り付ける工程、光半導体素子14の固着および金属細線15のワイヤボンディングの工程に関しては、第1の実施の形態と基本的には同じである。なお、ここでは、光半導体素子14の固着およびワイヤボンディングを行った後に、シート51の貼り付けを行っている。更に、第1の実施の形態では、第1のシート51Aおよび第2のシート51Bの2枚のシートを用いてモールド封止の工程を行っていたが、ここでは、1枚のシート51を用いて、モールド封止の工程を行っている。
【0053】
図10を参照して、モールド封止の工程を説明する。外部に露出する部分のリード11の下面はシート51に貼り付けられている。そして、シート51は下金型50Bにより支持されている。更に、半導体素子14を被覆する被覆層12も、シート51に貼り付けられている。従って、本工程では、リード11およびランド16が形成された基板41が貼り付けられるシート51に、被覆層12も貼り付けられている。この状態で封止樹脂13の封入を行っている。従って、1枚のシートを用いたモールド封止の工程を実現できる。
【0054】
上記した工程の後に、樹脂を硬化させるモールドキュアの工程、外部に露出したリード11をメッキ膜により被覆するメッキの工程、各搭載部42を分離するダイシングの工程、電気的特性および良否判定を行う測定の工程を経て、光半導体装置10Bが製造される。
【0055】
(第3の実施の形態)
図11および図12を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Cの構成および製造方法を説明する。先ず、図11を参照して、本実施の形態に係る光半導体装置10Cの構成を説明する。
【0056】
図11を参照して、光半導体装置10Cは、受光部または発光部を有する光半導体素子14と、光半導体素子14の表面を被覆する被覆層12と、表面に導電路20が形成され且つ光半導体素子14が載置される実装基板18と、光半導体素子14と導電路20とを電気的に接続する金属細線15と、光半導体素子14および金属細線15を封止する封止樹脂13とを具備し、被覆層12が封止樹脂13から露出する構成と成っている。
【0057】
上記したように、本実施の形態に係る光半導体装置10Cの基本的な構成は、第1および第2の実施の形態で説明したものと同様であり、相違点は、実装基板18を基板(インターポーザ)として用いる点にある。
【0058】
図11(A)を参照して、光半導体素子14は、接着剤を介して、実装基板18の上面に固着されている。実装基板18の表面には、ボンディングパッド等を構成する導電路20が設けられ、実装基板18を貫通させて外部電極19が下面に露出している。また、絶縁部材を介して積層された複数層の配線を設けることも可能である。
【0059】
図11(B)を参照して、ここでは、光半導体素子14に加えて半導体素子17が、光半導体装置10Cに内蔵されている。
【0060】
次に、図12を参照して、光半導体装置10Cの製造方法を説明する。図12(A)を参照して、実装基板18上には光半導体素子14が固着され、金属細線15介して導電路20と光半導体素子14とが接続される。その後に、光半導体素子14が固着された実装基板18は、下金型50Bにセットされる。シート51の上面は、上金型50Aの内壁の殆どの領域に当接しており、シート51Bの下面は被覆層12に当接している。この状態で、封止樹脂13の封入を行う。下金型50Bには、実装基板18が全面的に当接しているので、ここでは1枚のシート51を用いてモールド封止の工程が行われる。
【0061】
図12(B)を参照して、ここでは、被覆層12と同程度の大きさのシート51を用いて、被覆層12を保護している。封止樹脂13の封入を行った後に、シート51が剥離される。従って、露出する被覆層12の上面は、封止樹脂13から成る上面よりも、シート51の厚みだけ内側に窪んだ形状になる。
【0062】
上記した工程の後に、樹脂を硬化させるモールドキュアの工程、電気的特性および良否判定を行う測定の工程を経て、光半導体装置10Cが製造される。
【0063】
(第4の実施の形態)
図13から図16を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Dの構成および製造方法を説明する。先ず、図13を参照して、本実施の形態に係る光半導体装置10Dの構成を説明する。
【0064】
図13(A)を参照して、光半導体装置10Dは、受光部または発光部を有する光半導体素子14と、光半導体素子14の表面を被覆する被覆層12と、分離溝24により離間され且つ光半導体素子14が上部に固着された導電パターン21と、導電パターン21の裏面を露出させて光半導体素子14および導電パターンを被覆し且つ分離溝24に充填された封止樹脂13とを具備し、被覆層12が封止樹脂13から露出する構成と成っている。これらの構成要素を以下にて説明する。
【0065】
導電パターン21は、第1の導電パターン21Aおよび第2の導電パターン21Bとから成る。第1の導電パターン21Aはランド状に形成され、その上部には、光半導体素子14が実装されている。第2の導電パターン21Bは、第1の導電パターン21Aに接近した箇所に設けられ、ボンディングパッドの役割を有する。また、第2の導電パターン21Bの裏面には、半田等のロウ材から成る外部電極23が設けられる。
【0066】
第1の導電パターン21Aおよび第2の導電パターン21Bの側面は、内側に湾曲した形状に成る。従って、導電パターン21の湾曲した側面部と封止樹脂13が嵌合することにより、両者の結合力は強固になっている。
【0067】
封止樹脂13としては、第1の実施の形態で述べたものと同一の樹脂を採用することができる。ここでは、導電パターン21が封止樹脂13に埋め込まれた構造に成っている。従って、光半導体装置10Dは、封止樹脂13の剛性により全体が支持されている。
【0068】
光半導体素子14、被覆層12、金属細線等の他の構成要素に関しては、上述した第1の実施の形態と同様であるので、その説明は割愛する。
【0069】
図13(B)を参照して、ここでは、光半導体素子14に加えて半導体素子17が、光半導体装置10Dに内蔵されている。
【0070】
次に、図14から図16を参照して、光半導体装置10Dの製造方法を説明する。光半導体装置10Dの製造方法は、導電箔40の導電パターン21となる箇所を除いた領域に分離溝24を形成することで導電パターン21を形成する工程と、表面に被覆層12を有する光半導体素子14を導電パターン21上に固着する工程と、被覆層12の上面をシート51で保護する工程と、光半導体素子14を被覆して分離溝24に充填されるように封止樹脂13を形成する工程と、各導電パターン21を電気的に分離する工程とから成る。これらの工程を以下にて説明する。
【0071】
図14(A)を参照して、銅またはアルミニウムを主成分とする導電箔40を用意して、分離溝24を設けることにより、導電パターン21を形成する。具体的には、導電箔40の導電パターン21が形成される箇所の表面をエッチング用のレジストRにて被覆して、ウェットエッチングを行うことで分離溝24を形成する。エッチングにより成る分離溝24の側面は湾曲し、更に粗面に成るので、封止樹脂13との密着は強固になる。分離溝24が形成された後に、レジストRは剥離して除去する。また、導電パターン21の表面には、メッキ膜が形成される。
【0072】
図14(B)を参照して、導電パターン21に光半導体素子14を実装する。ここでは、光半導体素子14を第1の導電パターン21Aに固着し、金属細線15により光半導体素子14と第2の導電パターン21Bとを電気的に接続している。
【0073】
次に、図15を参照して、被覆層の上面を第2のシートで保護し、光半導体素子14を被覆して分離溝24に充填されるように封止樹脂を形成する。本工程を以下にて説明する。
【0074】
図15(A)を参照して、光半導体素子14が表面に固着された導電箔40を下金型50Bに載置する。上金型50Aの内壁の殆どにはシート51の上面が当接し、シート51の下面は被覆層12の上面に当接している。この状態で、光半導体素子14および金属細線15を被覆して、分離溝24に充填されるように封止樹脂13を形成する。
【0075】
図15(B)では、被覆層12と同程度の大きさのシート51を用いて、被覆層12を保護している。この方法でも、被覆層12の上面を保護できる。
【0076】
次に、図16を参照して、各導電パターン21を電気的に分離する工程を説明する。
【0077】
図16(A)を参照して、導電箔40を裏面から全面的に除去することにより、各導電パターン21を電気的に分離する。具体的には、導電箔40の裏面を全面的にエッチングを行うことにより、各導電パターン21を電気的に分離することができる。従って、分離溝24に充填された封止樹脂13が導電パターン21から露出する構造となる。同図では、一点鎖線で示した箇所まで導電箔40を裏面からエッチングすることにより、本工程が行われる。
【0078】
図16(B)は、本工程により、各導電パターン21が電気的に分離された状態を示している。
【0079】
図16(C)を参照して、裏面に露出した導電パターン21を被覆樹脂22で被覆する。そして、被覆樹脂22の所望の箇所に開口部を設けて、外部電極23を形成する。最後に、マトリックス状に形成された各回路装置を、封止樹脂23をダイシングすることで、個別の光半導体装置10Dに分割する。
【0080】
本工程の利点は、封止樹脂13を被覆するまでは、導電パターン21となる導電箔40が支持基板となることである。本発明では、支持基板となる導電箔40は、電極材料として必要な材料である。そのため、構成材料を極力省いて作業できるメリットを有し、コストの低下も実現できる。
【0081】
(第5の実施の形態)
図17から図20を参照して、本実施の形態に係る光半導体装置10Eの構成および製造方法を説明する。先ず、図17および図18を参照して、本実施の形態に係る光半導体装置10Eの構成を説明する。
【0082】
図17(A)は光半導体装置10Eの斜視図であり、図17(B)および図17(C)はその断面図である。同図を参照して光半導体装置10Eは、受光部または発光部を有する光半導体素子14と、光半導体素子の下方に設けられ且つ前記光半導体素子と金属細線15を介して接続された外部電極と、透明な材料から成る被覆層12が上部に設けられ且つ内部に光半導体素子14および金属細線15が収納される筐体と、前記筐体の内部と前記光半導体素子との間の間隙に充填された透明樹脂とを具備する構成となっている。各要素の詳細を以下にて説明する。
【0083】
図17(A)および図17(B)を参照して、筐体25は、光半導体装置10Eの外形を成しており、その上部には、透明な材料から成る被覆層12が設けられている。筐体25の内部は空洞部となっており、この空洞部の大きさはそこに内蔵される光半導体素子14の大きさ以上に形成される。筐体25の材料としては、上述した封止樹脂13の材料と同じ樹脂を採用することができる。即ち、遮光性の樹脂を、筐体25の材料として採用することができる。更には、セラミックや金属等を筐体25の材料として採用することも可能である。
【0084】
光半導体素子14は、第1の実施の形態で説明したものと同様の素子を採用することができる。光半導体素子14とリード11とは金属細線15を介して接続される。ここでも、半導体素子17の周辺部には窪み部14Aが設けられ、この窪み部14Aに金属細線15がボンディングされている。従って、透明樹脂26の厚みを薄くすることが可能となり、光半導体装置10E全体の薄型化を実現することができる。
【0085】
リード11は、半導体素子17の下方に形成され、その表面は金属細線15が接続されるボンディングパッドとなり、その裏面は部分的に露出して外部電極を形成する。また、リード11は、外部電極となる箇所を除いて、被覆樹脂22で被覆されても良い。
【0086】
透明樹脂26は、光半導体素子14と金属細線15とを封止するように、筐体25の空洞部に充填されている。透明樹脂26としては、被覆層12と同等以上の透明を有する樹脂を採用することができる。
【0087】
図17(C)を参照して、ここでは、光半導体素子14の下方に半導体素子17が載置されている。半導体素子17としては、前述した第1の実施の形態と同様のものを採用することができる。
【0088】
図18を参照して、他の形態の光半導体装置10Eの構成を説明する。図18(A)を参照して、同図に示す光半導体装置10Eの基本的な構成は、図17にしめしたものと同様であり、相違点は、実装基板18を有している点にある。具体的には、実装基板18の表面には導電路20が形成され、実装基板18を貫通させて導電路20と電気的に接続された外部電極19が設けられている。ここで、外部電極19は、銀または銅等の金属から成る。また、図18(B)を参照して、光半導体装置10Eに加えて、半導体素子17を光半導体装置10Eに内蔵させることも可能である。
【0089】
次に、図19および図20を参照して、光半導体装置10Eの製造方法を説明する。光半導体装置10Eの製造方法は、透明な材料から成る被覆層12が上部に設けられた筐体25を用意する工程と、光半導体素子14の裏面に外部電極を形成して光半導体素子14と外部電極とを金属細線15で電気的に接続する工程と、透明樹脂26で光半導体素子14および金属細線15を封止することにより透明樹脂26の外形を筐体25の内部に即した形状にする工程と、透明樹脂26を筐体25の内部に嵌合させる工程とから成る。このような各工程を以下にて説明する。
【0090】
先ず、図19を参照して、透明な材料から成る被覆層12が上部に設けられた筐体25を用意する。筐体25は内部に空洞部27を有するケースの如き形状であり、内蔵される光半導体素子14が光信号のやり取りを行うための被覆層12が、上部に設けられている。空洞部27の大きさは、そこに内蔵される光半導体素子14およびその接続領域が確保されるように、光半導体素子14よりも若干大きいスペースと成っている。
【0091】
次に、図20(A)を参照して、光半導体素子14の下方にリード11を設け、リード11の表面と光半導体素子14とを金属細線15にて電気的に接続する。金属細線15は、光半導体素子14の窪み部14Aにボンディングされることから、金属細線15の最頂部の高さを極力低くすることができる。
【0092】
次に、図20(B)を参照して、透明樹脂26で光半導体素子14および金属細線15を封止することにより透明樹脂26の外形を筐体25の内部に即した形状にする。本工程は、熱硬化性樹脂を用いたトランスファーモールドまたは熱可塑性樹脂を用いたインジェクションモールドにより行うことができる。また、上述したように、窪み部14Aを設けることにより、金属細線15の最頂部の位置は極力低く成っている。従って、光半導体素子14の表面を被覆する透明樹脂26を薄くすることができる。
【0093】
次に、図20(C)を参照して、接着剤により透明樹脂26を筐体25の内部に嵌合させる。このことにより、光半導体素子14は筐体25内部に収納される。また、透明樹脂26を筐体25内部に嵌合させるために使用する接着剤としては、透明性を有するものを用いる。
【0094】
最後に、図20(D)を参照して、光半導体装置10Eの裏面を被覆樹脂22で被覆する。被覆樹脂22として遮光性の樹脂を用いることにより、光半導体装置10E内部に裏面からノイズが侵入することを防止することができる。
【0095】
(第6の実施の形態)
図21から図25を参照して、上記各実施の形態に於いて、光半導体装置10に内蔵される光半導体素子14の構成およびその製造方法に関して説明する。先ず、本実施の形態に係る半導体装置10Eの構成および製造方法を説明する。
【0096】
先ず、図21(A)を参照して、本実施の形態に係る光半導体素子14の構成を説明する。光半導体素子14は、その表面に受光素子または発光素子を有し、周辺部には、一様に窪ませた窪み部14Aが設けられている。また、素子の表面には被覆層12が設けられている。
【0097】
光半導体素子14の表面に形成される受光素子としては、CCD(Charged Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子や、フォトダイオードやフォトトランジスタ等のフォトセンサを光半導体素子14として採用することができる。また、発光素子としては、発光ダイオードまたは半導体レーザーを光半導体素子14として採用することができる。更には、光半導体素子14に替えてMEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いることも可能である。
【0098】
被覆層12の材料としては、光半導体素子14に入力される光または光半導体素子14から出力される光に対して透明なものが用いられる。例えば、光半導体素子14が可視光線を感知する素子であれば、可視光線に対して透明性を有する材料が被覆層12として採用される。具体的には、ガラスまたはアクリル板を被覆層12として用いることができる。更に、光半導体素子14がCCDイメージセンサ等の撮像素子である場合は、フィルタ等が付加される。
【0099】
窪み部14Aは、光半導体素子14の周辺部を一様に窪ませた領域であり、その表面には、メッキ膜等から成るメタル配線14Bが形成されている。この窪み部14Aの表面は、メタル配線14Bから成るボンディングパッドが形成され、このボンディングパッドに金属細線が接続される。窪み部14Aを設けることにより、そこにボンディングされる金属細線15の最頂部の高さを、光半導体素子14に対して低くすることができる。また、ここでは、窪み部14Aの側面は、光半導体素子14の面方向に対して垂直に成っている。また、メタル配線14Bは、半導体基板14Cの表面に形成された回路を、周辺部に設けた窪み部14Aまで再配線させる働きを有する。
【0100】
図21(B)を参照して、同図に示す光半導体素子14では、窪み部14Aの側面に傾斜が付いた形状と成っている。このことにより、角部14Dの角度αは鈍角となり、メッキ法等によりメタル配線14Bをパターニングする工程に於いて、この角部14Dで断線等が発生するのを防止することができる。
【0101】
図21(C)に示す光半導体素子14では、窪み部14Aの断面は曲面となる。従って、メッキ法等によりメタル配線14Bをパターニングする工程に於いて、この角部14Dで断線等が発生するのを防止することができる。
【0102】
次に図22から図25を参照して、光半導体素子14の製造方法を説明する。
【0103】
図22を参照して、先ずダイシングソー46を用いてハーフスクライブを行うことにより、窪み部14Aを形成する。図22(A)は本工程の概要を示す斜視図であり、図22(B)(C)(D)は刃先の形状が異なるダイシングソー46を用いてハーフスクライブを行う状態を示す断面図である。
【0104】
図22(A)を参照して、本工程に投入されたウェハ45には、受光素子または発光素子を含む個々の回路がマトリックス状に形成されえおり、各回路の境界に対応するダイシングラインDに沿ってハーフスクライブを行う。
【0105】
図22(B)を参照して、ここでは、平坦な刃先を有するダイシングソー46Aを用いてハーフスクライブを行っている。従って、窪み部14Aの断面形状は、同図右側に示すように、側面が直角に成る。
【0106】
図22(C)を参照して、ここでは、刃先の両端に傾斜部を有するダイシングソー46Aを用いてハーフスクライブを行っている。従って、窪み部14Aの断面形状は、同図右側に示すように、側面が傾斜に形成される。
【0107】
図22(D)を参照して、ここでは、刃先の両端が曲線形状を有するダイシングソー46Aを用いてハーフスクライブを行っている。従って、窪み部14Aの断面形状は、同図右側に示すように、曲線を描くように成る。
【0108】
次に、図23を参照して、ウェハ45の表面に形成された回路と電気的に接続されたメタル配線14Bを、窪み部14Aに設ける。メタル配線14Bの材料としては、Ag、Au、PtまたはPd等であり、蒸着、スパッタリング、CVD等の低真空、または高真空下の被着、電界メッキ、無電界メッキまたは焼結等により被覆される
次に、図24を参照して、ウェハ45の表面に形成された各回路を保護するために、各回路の上部に被覆層12を張り合わせる。被覆層12のメタル配線14Bに対応する箇所は、メタル配線14Bと干渉しないように加工が施されている。また、被覆層12の張り合わせは、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて行われる。
【0109】
次に、図25を参照して、ダイシングソー47を用いて全体スクライブを行うことにより、各光半導体素子14を分離する。ここでは、窪み部14Aの中央部の、ウェハ45の残りの厚み部分およびメタル配線14Bを、ダイシングソー47により切断している。ここで用いるダイシングソー47は、先述したダイシングソー46よりも幅が狭いものが用いられる。上記の工程により、本実施の形態に係る光半導体素子14が製造される。
【0110】
(第7の実施の形態)
図26および図27を参照して、本実施の形態に係る光半導体装置10Fの構成および製造方法を説明する。光半導体装置10Fは、受光部または発光部を有する光半導体素子14と、光半導体素子14の表面を被覆する被覆層12と、光半導体素子14と電気的に接続された半導体素子17と、半導体素子17と電気的に接続されて外部との電気信号の入出力を行う外部電極と、光半導体素子14および半導体素子17を封止する封止樹脂13とを具備し、被覆層12が封止樹脂13から露出する構成と成っている。外部電極としては、例えば、一端が封止樹脂17から露出するリード等を外部電極として採用することができる。
【0111】
上記したように、本実施の形態に係る光半導体装置10Fの基本的な構成は、第1の実施の形態で説明したものと同様であり、相違点は、光半導体素子14と電気的に接続された半導体素子17を有することにある。更に、貫通電極14Eを介して両者の電気的接続は行われている。
【0112】
図26(A)を参照して、光半導体素子14は、その表面から裏面まで貫通するように形成された貫通電極14Eを有し、貫通電極14Eを介して半導体素子17と電気的に接続されている。
【0113】
貫通電極14Eは、光半導体素子14の表面に形成された電気回路と電気的に接続されており、貫通孔に銅等の金属が埋め込まれることにより形成されている。ここでは、光半導体素子14の表面の中央部付近に受光素子または発光素子を含む電気回路が構成され、この電気回路と接続された貫通電極14Eが周辺部に形成されている。そして、光半導体素子14の裏面に露出する貫通電極14Eには、バンプ電極14Fが形成されている。
【0114】
半導体素子17は、その上部に光半導体素子14が固着されている。そして、光半導体素子14が有する貫通電極14Eに対応した箇所に、第1のパッド17Aが設けられている。第1のパッド17Aは半導体素子17の表面に形成された電気回路と接続されている。また、外部との接続を行う第2のパッド17Bが、半導体素子11表面の周辺部に設けられている。ここでは、外部電極を構成するリード11と第2のパッド17Bとが、金属細線15を介して電気的に接続されている。半導体素子17に構成される電気回路としては、第1の実施の形態で説明したように、光半導体素子14により得られる信号の処理等を行う回路を採用することができる。また、半導体素子17は、ランド16上に固着されている。
【0115】
図26(B)を参照して、ここでは、リード11と半導体素子17とが直に接続されている。リード11の一端は、封止樹脂13の裏面から露出して外部電極を形成している。そして、リード11の他端は、半導体素子17の周辺部に設けた第2のパッド17Bに半田等のロウ材を介して直に接続されている。この様なリード11の接続構造により、半導体素子17は機械的にリード11に固着されている。従って、ランド16を省いて全体の装置を構成することも可能である。
【0116】
図27を参照して、ここでは、半導体素子17の周辺部に設けた第2のパッド17Bが、基板52に接続されている。具体的には、光半導体素子14が収納できる程度以上の大きさの開口部53が基板52に設けられている。開口部53の周辺部には、第2のパッド17Bの位置に対応した導電路52Aのパッド部が備えられている。そして、半導体素子17の第2のパッド17Bと導電路52Aとが半田等のロウ材により接続されている。半導体素子17と光半導体素子14との接続構造は、図26に示したものと同様である。また、導電路52Aは、基板52を貫通してその反対面まで延在しても良い。
【0117】
充填樹脂13Aは、光半導体素子14と開口部53との間隙や、半導体素子17と光半導体素子14との間隙に充填されている。更に、被覆層12の側面部を保護するように充填樹脂13Aが形成されても良い。また、封止樹脂13は、半導体素子17を被覆するように形成されている。
【0118】
図28を参照して、他の形態の光半導体装置10Fの構成を説明する。同図に示す光半導体装置10Fの基本的な構成は、図26に示したものと同様であり、主な相違点は、リード11に替えて導電パターン21を有していることにある。この相違点を中心に光半導体装置10Fの構成を以下に詳述する。
【0119】
上部に光半導体素子14が載置された半導体素子17は、ランド状の第1の導電パターン21Aに固着されている。また、第1の導電パターン21Aを囲むように、第2の導電パターン21Bが形成されており、第1の導電パターン21Aと第2の導電パターン21Bとは金属細線15により接続されている。封止樹脂31が充填された分離溝24により、各導電パターン21は電気的に分離されている。
【0120】
封止樹脂13により、光半導体素子14、半導体素子17、導電パターン21および金属細線15が封止されている。そして、導電パターン21の裏面は封止樹脂13から露出している。また、外部電極23が形成される箇所以外の光半導体装置10Fの裏面は、被覆樹脂22により被覆されている。更にまた、外部電極23が形成される面に対向する面の封止樹脂13から、被覆層12が露出している。
【0121】
上記した光半導体装置10Fでは、光半導体素子14に設けた貫通電極14Eにより、光半導体素子14と半導体素子17とが電気的に接続されていることから、金属細線で両者が接続された場合と比較すると高速で動作することができる。
【0122】
上記の説明では、本発明に斯かる光半導体装置およびその製造方法ついて説明を行ったが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。具体的には、図2等を参照して、光半導体素子14とリード11とは金属細線15を介して接続されているが、バンプ等の他の接続手段で両者を接続することも可能である。即ち、ILB(Inner Lead Bonding)やTAB(Tape Automated Bonding)を用いて、光半導体素子14とリード11との接続を行うことができる。
【0123】
本発明では、以下に示すような効果を奏することができる。
【0124】
本発明の光半導体装置によれば、光半導体素子14の上面を被覆する被覆層12を、封止樹脂13から露出させることができる。従って、透明樹脂により全体が封止されていた従来例と比較すると、封止樹脂13は薄く形成することが可能であり、装置全体の厚みを薄くすることができる。更に、被覆層12を介して光半導体素子14が外部に露出していることから、光半導体素子14が受光素子である場合は、外部から入力する光信号の減衰を抑止して受光することができる。また、光半導体素子14が発光素子である場合は、発光する光信号の減衰を抑止することができる。
【0125】
更に、フィラーが混入された遮光性の封止樹脂を用いて光半導体装置10は構成されている。このことにより、機械的強度および耐湿性に優れた光半導体装置を構成することができる。
【0126】
本発明の光半導体装置の製造方法によれば、被覆層12の上部をシート51でカバーした後に、封止樹脂13による封止を行っている。また、接着剤によりシート51は被覆層12に貼り付けられている。従って、モールド封止の工程で、被覆層12の表面に封止樹脂13が付着するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0127】
10A〜10F 光半導体装置
11 リード
12 被覆層
13 封止樹脂
14 光半導体素子
15 金属細線
16 ランド
17 半導体素子
18 被覆樹脂
19 外部電極
20 導電路
21A、21B 導電パターン
22 被覆樹脂
23 外部電極
24 分離溝
25 筐体
26 透明樹脂
27 空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部または発光部を有する光半導体素子が封止樹脂により封止された光半導体装置に於いて、
前記光半導体素子の表面を覆い、前記光半導体素子に入射するまたは前記光半導体素子から発光される光に対して透明な材料からなる被覆層が設けられ、
前記封止樹脂は、フィラーが混入され、
前記被覆層上面に対応する前記封止樹脂は、凹状で、前記被覆層が前記封止樹脂から露出している事を特徴とした光半導体装置。
【請求項2】
前記光半導体素子は、導電部材から成るアイランドの上に固着され、前記アイランドの周囲に位置するリードと電気的に接続される請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記光半導体素子は、実装基板に設けられ、前記実装基板の導電路と金属細線で接続される請求項1に記載の光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−93285(P2010−93285A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279617(P2009−279617)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【分割の表示】特願2003−86383(P2003−86383)の分割
【原出願日】平成15年3月26日(2003.3.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(301079420)関東三洋セミコンダクターズ株式会社 (70)
【Fターム(参考)】