説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】少ない工程数で製造可能であり、かつゲート電極付近の電界集中を緩和させる。
【解決手段】下地11上に第1及び第2絶縁膜13及び15を順次形成し、第2絶縁膜に表面から第1開口パターン、及び第1絶縁膜を露出させ、かつ第1開口パターンよりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第2開口パターンを形成し、第1開口パターンを厚み方向に沿って拡大することによって第1開口部19、第1及び第2開口パターンからの露出面から第1絶縁膜を部分的に除去することによって、第1開口部から連続し、かつ第1開口部19よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第2開口部21、及び第2開口部から連続した、下地面を露出させ、かつ第2開口部よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第3開口部23を形成し、第1〜第3開口部を含む電極形成用開口部17を埋め込むとともに、電極形成用開口部周辺の第2絶縁膜の表面を被覆する電極を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動作時において、ゲート電極付近の電界集中が緩和された半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、近年、高温動作、高速スイッチング動作、大電力動作等の点において、優れた電子素子を実現する半導体装置として、2次元電子ガス(以下、2DEGとも称する)層を電流通路として使用したHEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)が注目されている。このようなHEMTにおいて、例えばGaN(窒化ガリウム)等の化合物を利用したHEMTでは、トランジスタを駆動させつつ、かつ素子破壊を回避するために、ゲート電極付近の電界集中を緩和できる構造とすることが必要である。
【0003】
そこで、このような電界集中を緩和するために、従来、ゲート電極の付近において、電界が集中する箇所を増やすことによって電界集中を分散させている。
【0004】
そのために、例えばフィールドプレートを設けることによって、ゲート電極付近の電界集中を緩和した半導体装置の構造が周知である(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示されている技術では、基板上に形成した絶縁膜に、基板面を露出させる開口部を形成し、この開口部を埋め込んでゲート電極を形成している。そして、ゲート電極の表面から、ゲート電極のドレイン電極側の側面、及びドレイン電極側の絶縁膜の表面に渡って、フィールドプレートを形成している。これによって、この特許文献1に開示されている技術では、電界が集中する箇所を、ゲート電極及び基板間の境界面におけるドレイン電極側端部、及びフィールドプレート及び絶縁膜間の境界面におけるドレイン側端部の2点に分散し、電界の集中を緩和している。
【0006】
このように、電界が集中する部分を増やし、その各々に電界の集中を分散させることによって、各電界が集中する箇所における電界強度を低減することができる。
【0007】
これに鑑みて、さらなるゲート電極付近の電界集中の緩和を図るために、ゲート電極と基板または基板上に形成された絶縁膜との間における電界集中箇所の分布を、広い領域に分散させることによって、この領域内におけるピーク電界強度(すなわち電界強度の最高値)を低減する技術が周知である(例えば非特許文献1参照)。
【0008】
非特許文献1に開示されている技術では、基板上に形成した絶縁膜に、内壁面が複数段の階段状である開口部を形成し、この開口部を埋め込んでゲート電極を形成する。その結果、ゲート電極と絶縁膜との境界面において、上述した階段状の内壁面に対応した、複数の角部が形成され、これら各角部が、電界が集中する箇所となる。そのため、この非特許文献1に係る構造では、電界が集中する箇所が分散し、電界の集中が緩和される。
【0009】
上述したように、この非特許文献1に開示されている技術では、電界が集中する角部を増やすことによって電界集中を分散し、その結果、各電界集中箇所における電界強度を低減する。従って、上述した階段状の内壁面の段数を増やすほど、すなわち、この内壁面を湾曲したなだらかな傾斜面に近づけるほど、電界の集中が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−200248号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】2008 Microwave Workshop Exhibition (MWE2008) Microwave Workshop Digest (WS9−1 p.219−224)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した階段状の内壁面の段数を増やすためには、開口部を形成する際に、基板上の絶縁膜に対して、段数に応じた複数回のフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行う必要がある。例えば、絶縁膜に形成する開口部の内壁面を3段の階段状とするためには、開口パターン付きのレジスト層を形成するフォトリソグラフィ工程と、このレジスト層をマスクとして、絶縁膜をエッチングするエッチング工程とを3回繰り返して行う。
【0013】
そのため、絶縁膜との境界面を複数段の階段状とすることによって、電界集中が緩和されたゲート電極を形成するためには、多大な労力と時間が費やされる。
【0014】
そこで、この発明の目的は、少ない工程数で、より具体的にはフォトリソグラフィ工程を1回行うのみで製造可能であり、かつゲート電極付近の電界集中が緩和された半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的の達成を図るため、この発明による半導体装置は、以下の特徴を有している。
【0016】
すなわち、この発明による半導体装置は、下地と、この下地の下地面を被覆して順次形成された第1及び第2絶縁膜とを具えている。第1及び第2絶縁膜には、これら第1及び第2絶縁膜を連続的に貫通しており、かつ下地面を露出させる電極形成用開口部が形成されている。さらに、この発明による半導体装置は、電極形成用開口部を埋め込むとともに、電極形成用開口部周辺の第2絶縁膜の表面を被覆する電極を具えている。
【0017】
そして、電極形成用開口部は、第1開口部と第2開口部と第3開口部とを含んでいる。
【0018】
第1開口部は、第2絶縁膜の上側表面からこの第2絶縁膜の厚み方向の中途まで貫いて形成されている。
【0019】
第2開口部は、第1開口部から連続して、第2絶縁膜の厚み方向の中途から第1絶縁膜の中途まで貫いて形成されている。そして、第2開口部は、第1開口部よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い。
【0020】
第3開口部は、第2開口部から連続して、第1絶縁膜の厚み方向の中途からこの第1絶縁膜を貫いて形成されている。そして、第3開口部は、第2開口部よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い。
【0021】
さらに、電極形成用開口部内の内壁面は、第1方向に沿って両側に3段の階段状となっている。
【0022】
また、この発明による半導体装置の製造方法は、以下の第1工程から第4工程までの各工程を含んでいる。
【0023】
すなわち、まず、第1工程では、下地上に、この下地の下地面を被覆する第1及び第2絶縁膜を順次形成する。
【0024】
次に、第2工程では、第2絶縁膜に、この第2絶縁膜の表面から、第1開口パターン、及び第1絶縁膜の表面を露出させ、かつ第1開口パターンよりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第2開口パターンを同時に形成する。
【0025】
この第2工程では、レジスト開口パターンが形成されたレジスト層をマスクとして用いて、これら第1開口パターン及び第2開口パターンを形成する。
【0026】
次に、第3工程では、第1開口パターンを第2絶縁膜の厚み方向に沿って拡大することによって第1開口部、第2開口パターンからの第1絶縁膜の露出面から、第1絶縁膜を部分的に除去することによって、第1開口部から連続して、第2絶縁膜の厚み方向の中途から第1絶縁膜の厚み方向の中途まで貫き、かつ第1開口部よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第2開口部、及びこの第2開口部から連続して、第1絶縁膜の厚み方向の中途からこの第1絶縁膜を貫くことによって下地面を露出させ、かつ第2開口部よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第3開口部を、それぞれ形成する。
【0027】
この第3工程では、レジスト層、及びこのレジスト層上に形成され、かつレジスト開口パターンの開口端を、第1方向に沿った両側から狭める金属膜をマスクとして用いて、これら第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を形成する。
【0028】
次に、第4工程では、第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を含む電極形成用開口部を埋め込むとともに、この電極形成用開口部周辺の第2絶縁膜の表面を被覆する電極を形成する。
【発明の効果】
【0029】
この発明による半導体装置では、電極形成用開口部が、開口端の第1方向に沿った長さ、すなわち開口長の異なる第1開口部、第2開口部、及び第3開口部によって構成されている。これによって、電極形成用開口部内の内壁面は、第1方向に沿って両側に3段の階段状となっている。そして、電極を、電極形成用開口部を埋め込み、かつ電極形成用開口部周辺の第2絶縁膜の表面を被覆して設けることによって、3段の階段状の内壁面に対応した各電界集中部と、電極及び第2絶縁膜間の境界面における端部とが形成される。
【0030】
従って、この発明による半導体装置では、装置の駆動時において、これら各電界集中部及び端部に電界集中が分散し、電界集中が緩和される。
【0031】
また、この発明による半導体装置では、電極は、第1開口部内における第2絶縁膜との境界面、及び第2開口部内における第1絶縁膜との境界面において、下地面側に凸状に湾曲している傾斜面を含んでいる。そのため、装置の駆動時において、これら境界面では、電界強度が全面的に分散するため、電界集中が緩和される。
【0032】
このように、この発明による半導体装置では、電極形成用開口部の内壁面を3段の階段状とすることにより、この階段状に対応した各電界集中部に電界集中を分散し、さらに、湾曲した傾斜面を具えることにより、電界強度をこれら傾斜面の全面に分散するため、効率良く電界集中を緩和することができる。
【0033】
また、この発明による半導体装置の製造方法によれば、上述したように、第2工程において、レジスト開口パターンが形成されたレジスト層をマスクとして用いて、第1開口パターン及び第2開口パターンを形成する。そして、第3工程において、第2工程で用いたのと同じレジスト層、及びレジスト開口パターンの開口端を狭める金属膜をマスクとして用いて、第1開口パターン及び第2開口パターンから、開口長の異なる第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を形成する。
【0034】
従って、この発明による半導体装置の製造方法によれば、1つのレジスト層を使用するのみで第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を形成することができる。そのため、レジスト層を形成するためのフォトリソグラフィ工程を1回行うのみで、上述した第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を形成することができる。従って、この発明による半導体装置の製造方法では、電界集中が緩和された半導体装置を少ない工程数で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1の実施の形態を説明する概略図であり、第1の実施の形態による半導体装置をゲート長方向に沿って厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【図2】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図である。
【図3】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図であり、図2(B)に続く工程図である。
【図4】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図であり、図3(B)に続く工程図である。
【図5】この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図であり、図4(B)に続く工程図である。
【図6】この発明の変形例を説明する概略図であり、変形例による半導体装置をゲート長方向に沿って厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る半導体装置について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
【0037】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、内壁面の第1方向に沿った両側が3段の階段状となっている電極形成用開口部、及びこの電極形成用開口部を埋め込んで形成された電極を具える半導体装置、及びその製造方法について説明する。
【0038】
なお、この第1の実施の形態では、電極がゲート電極である場合の構成例について説明する。そして、第1の実施の形態による半導体装置のゲート長方向を第1方向とする。そこで、以下、電極をゲート電極、電極形成用開口部をゲート形成用開口部、第1方向をゲート長方向とも称する。
【0039】
図1は、この発明の第1の実施の形態を説明する概略図であり、第1の実施の形態による半導体装置を図中に矢印で示すゲート長方向に沿って厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【0040】
第1の実施の形態による半導体装置10は、下地11を具えている。
【0041】
下地11は、従来周知の半導体基板であり、例えば、ヘテロ接続面を有する基板、すなわち例えばSi基板上にAlGaN層及びGaN層を積層した基板や、Si基板上にAlGaAs層及びGaAs層を積層した基板等、または、Si基板、SOI基板、その他の半導体基板の中から設計に応じて好適なものを用いればよい。
【0042】
また、第1の実施の形態による半導体装置10は、下地11の下地面11aを被覆して順次形成された第1絶縁膜13及び第2絶縁膜15を具えている。
【0043】
第1絶縁膜13及び第2絶縁膜15は、下地11を汚染から保護するため、または表面電荷の発生を抑制するための保護膜として、下地面11a上に第1絶縁膜13が、さらにこの第1絶縁膜13の上側表面13a上に第2絶縁膜15が積層されて設けられている。そのために、これら第1絶縁膜13及び第2絶縁膜15は、例えばSiN膜、SiO膜、SiON膜を材料として形成されている。
【0044】
また、第1及び第2絶縁膜13及び15には、これら第1及び第2絶縁膜13及び15を連続的に貫通して、下地面11aを露出させる電極形成用開口部17、すなわちゲート形成用開口部17が形成されている。
【0045】
ゲート形成用開口部17は、厚み方向に連続する第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23を含んで構成されている。
【0046】
第1開口部19は、第2絶縁膜15の上側表面15aからこの第2絶縁膜15の厚み方向の中途まで貫いて形成されている。
【0047】
また、第2開口部21は、第1開口部19から連続して、第2絶縁膜15の厚み方向の中途から第1絶縁膜13の中途まで貫いて形成されている。そして、この第2開口部21の開口端21aのゲート長方向に沿った長さ、すなわち第2開口長L2は、第1開口部19の開口端19aのゲート長方向に沿った長さ、すなわち第1開口長L1よりも短く設定されている。
【0048】
また、第3開口部23は、第2開口部21から連続して、第1絶縁膜13の厚み方向の中途からこの第1絶縁膜13を貫いて形成されている。そして、この第3開口部23の開口端23aのゲート長方向に沿った長さ、すなわち第3開口長L3は、第2開口部21の開口長L2よりも短く設定されている。
【0049】
このように、各開口長L1、L2、及びL3が設定された第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23によって構成されていることによって、開口部17内の、第1開口部19内における第2絶縁膜15の側面15b、第2開口部21内における第2絶縁膜15の側面15c、第2開口部21内における第1絶縁膜13の側面13b、及び第3開口部23内における第1絶縁膜13の側面13cによって構成されたゲート形成用内壁面17aは、ゲート長方向に沿って両側に3段の階段状となっている。
【0050】
また、ゲート形成用開口部17は、第1開口部19内における第2絶縁膜15の側面15bが下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面15baを含んでいる。
【0051】
また、ゲート形成用開口部17は、第2開口部21内における第1絶縁膜13の側面13bが下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面13baを含んでいる。
【0052】
これら傾斜面13b及び15bは、好ましくは滑らかな面として、より効果的に電界を分散させるのが良い。
【0053】
そして、このゲート形成用開口部17を埋め込むとともに、ゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aを被覆する電極25、すなわちゲート電極25が形成されている。
【0054】
ゲート電極25は、ゲート形成用開口部17からの下地11の露出面11bにおいて下地11と接触している。そして、ゲート電極25は、この下地11の露出面11b、すなわちゲート電極25と下地11との境界面11bにおいて、下地11とショットキ接合している。なお、ゲート電極25は、下地11とショットキ接合をとるために、下地11を構成する材料に応じた金属を材料として形成されている。例えば、下地11として最上層がGaN層である化合物半導体基板を用いた場合には、例えばNi、Au、またはPt等の金属を材料としてゲート電極25が形成されているのが好ましい。
【0055】
また、既に説明したように、ゲート形成用開口部17内の内壁面17aは、このゲート形成用開口部17を構成する第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23の各開口長L1、L2、及びL3の差によって、ゲート長方向に沿って両側に3段の階段状となっている。そのため、ゲート電極25は、ゲート形成用開口部17の3段の内壁面17aに対応して、両側内壁面17aとの境界面に、それぞれ3つの電界集中部が形成されている。
【0056】
すなわち、第3開口部23内におけるゲート電極25及び第1絶縁膜13の側面13c間の境界面、すなわち境界面13cと、ゲート電極25及び下地11の露出面11b間の境界面、すなわち境界面11bとが成す角部には、双方の境界面の交差により電界集中部27a及び27bが形成されている。
【0057】
また、第2開口部21と第3開口部23との段差によって、第2開口部21内において、第2絶縁膜15及びゲート電極25間の境界面15cと、第1絶縁膜13及びゲート電極25間の境界面13bとの間に交差が生じ、この交差部分に電界集中部29a及び29bが形成されている。
【0058】
また、第1開口部19と第2開口部21との段差によって、第1開口部19内におけるゲート電極25及び第2絶縁膜15間の境界面15bには、電界集中部31a及び31bが形成されている。
【0059】
さらに、第1の実施の形態による半導体装置10では、ゲート電極25が、ゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aを被覆して形成されているため、ゲート電極25及び第2絶縁膜15の上側表面15a間の境界面の、ゲート長方向に沿った両側には、端部33a及び33b、すなわち電界集中部33a及び33bが形成されている。
【0060】
また、既に説明したように、第1開口部19内における第2絶縁膜15の側面15bは、下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面15baを含んでいる。また、第2開口部21内における第1絶縁膜13の側面13bは、下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面13baを含んでいる。従って、これらを埋め込んで形成されているゲート電極25は、第1開口部19内における第2絶縁膜との境界面、すなわち側面15bが下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面15baを含んでいる。また、ゲート電極25は、第2開口部21内における第1絶縁膜13との境界面、すなわち側面13bが下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面13baを含んでいる。
【0061】
以上説明したように、第1の実施の形態による半導体装置10では、ゲート形成用開口部17が、開口長の異なる第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23により構成されていることによって、ゲート形成用開口部17内の内壁面17aは、ゲート長方向に沿って両側に3段の階段状となっている。そして、ゲート電極25を、ゲート形成用開口部17を埋め込み、かつゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aを被覆して設けることによって、3段の階段状の内壁面17aに対応した各電界集中部、すなわち電界集中部27a及び27b、電界集中部29a及び29b、及び電界集中部31a及び31bと、ゲート電極25及び第2絶縁膜15間の境界面の端部33a及び33bすなわち電界集中部33a及び33bとに、電界が分散して集中する箇所としてそれぞれ形成されている。
【0062】
従って、第1の実施の形態による半導体装置10では、装置の駆動時において、これら電界集中部27a及び27b、電界集中部29a及び29b、電界集中部31a及び31b、及び電界集中部33a及び33bのうちドレイン電極(図示せず)側に配置された4つの電界集中部に電界集中が分散し、電界集中が緩和される。
【0063】
また、第1の実施の形態による半導体装置10では、ゲート電極25は、第1開口部19内における第2絶縁膜との境界面15b、及び第2開口部21内における第1絶縁膜13との境界面13bにおいて、下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面15ba及び13baを含んでいる。そのため、装置の駆動時において、これら境界面13b及び15bでは、電界強度が全面的に分散するため、電界集中が緩和される。
【0064】
このように、第1の実施の形態による半導体装置10では、ゲート形成用開口部17の内壁面17aを3段の階段状とすることにより、電界集中を4箇所に分散し、さらに、湾曲した傾斜面を具えることにより、境界面13b及び15bにおける電界強度をこれら境界面13b及び15bの全面に分散するため、効率良く電界集中を緩和することができる。
【0065】
次に、この第1の実施の形態による半導体装置10の製造方法について説明する。この製造方法は、第1工程から第4工程までの各工程を含んでいる。以下、第1工程から順に各工程につき説明する。
【0066】
図2(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図である。また、図3(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図であり、図2(B)に続く工程図である。また、図4(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図であり、図3(B)に続く工程図である。また、図5は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図であり、図4(B)に続く工程図である。これらの各図は、各製造工程で得られた構造体を、基板の厚み方向に切り取った切り口で示してある。製造される半導体装置のゲート長方向に沿って、厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【0067】
まず、第1工程では、下地11上に、この下地11の下地面11aを被覆する第1及び第2絶縁膜13及び15を順次形成して図2(A)に示すような構造体を得る。
【0068】
上述したように、下地11は、従来周知の半導体基板であり、例えば、ヘテロ接続面を有する基板、すなわち例えばSi基板上にAlGaN層及びGaN層を積層した基板や、Si基板上にAlGaAs層及びGaAs層を積層した基板等、または、Si基板、SOI基板、その他の半導体基板の中から設計に応じて好適なものを用いるのがよい。
【0069】
そして、このような下地11上に、下地11を汚染から保護するため、または表面電荷の発生を抑制するための保護膜として、下地面11aに第1及び第2絶縁膜13及び15を形成する。そのために、この第1の実施の形態では、例えば周知のPE−CVD法または熱CVD法等を用い、例えばSiN膜、SiO膜、SiON膜を材料として第1及び第2絶縁膜13及び15を形成するのが好ましい。
【0070】
ところで、この第1の実施の形態では、製造された半導体装置の駆動時においてゲート電極付近の電界集中を分散させるために、これら第1及び第2絶縁膜13及び15に複数の電界集中部を有するゲート形成用開口部を形成する。そのために、この第1の実施の形態では、続く第2工程及び第3工程において、これら第1及び第2絶縁膜13及び15に対してそれぞれ個別にエッチングを行う。そこで、第1及び第2絶縁膜13及び15をそれぞれ選択的にエッチングするために、この第1工程では、第2絶縁膜15のエッチングレートの値が第1絶縁膜13のエッチングレートの値以上となるように形成するのが好ましい。
【0071】
より具体的には、第1絶縁膜13を、例えばICP−RIE(誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)法でエッチングすることを想定した場合には、例えば5〜20nm/minのエッチングレートとなるように形成するのが好ましい。また、第2絶縁膜15を、例えばICP−RIE法でエッチングすることを想定した場合には、例えば30〜60nm/minのエッチングレートとなるように形成するのが好ましい。なお、これらのエッチングレートの値はあくまで一例であり、例えば、これら第1及び第2絶縁膜13及び15を構成する各材料及び各膜厚、または、後の各工程において各開口部を形成する際のエッチング条件、設定される開口長等に応じて、任意好適に調整するのが好ましい。
【0072】
次に、第2工程では、第1開口パターン35及び第2開口パターン37を形成する。
【0073】
この第2工程では、第1開口パターン35及び第2開口パターン37を形成するために、まず、例えば周知の塗布技術及びフォトリソグラフィ技術を用いて第2絶縁膜15上にレジスト層39を形成する(図2(B))。
【0074】
この第1の実施の形態では、周知のいわゆるリフトオフ法を用いて、ゲート形成用開口部及びこれを埋め込むゲート電極を形成するため、この第2工程ではレジスト層39をネガ型のレジストで形成する。
【0075】
そして、このようなレジスト層39をマスクとして用い、第1開口パターン35及び第2開口パターン37を開口形成するために、まず、レジスト層39に、周知の露光技術を用いて、第2絶縁膜15の上側表面15aを露出面15dとして露出させるレジスト開口パターン41を形成する。
【0076】
レジスト開口パターン41は、上述したようにレジスト層39をネガ型のレジストで形成してあるため、開口端41aからレジスト層39の厚み方向に深さが深くなるにしたがって中空部が徐々に拡張する、いわゆる逆テーパ状となる。
【0077】
そして、このレジスト開口パターン41付きのレジスト層39をマスクとして、第2絶縁膜15に、この第2絶縁膜15の上側表面15aから異方性エッチングを行うことによって、第1開口パターン35及び第2開口パターン37をそれぞれ形成して図3(A)に示すような構造体を得る。
【0078】
この第2工程では、好ましくは例えば周知のICP−RIE法またはECR(電子サイクロトロン共鳴)−RIE法等を用いて異方性エッチングを行う。
【0079】
そして、この異方性エッチングにより、レジスト開口パターン41からの露出面15dに対する、開口端41aの正射影で与えられる領域、すなわち被エッチング領域43(図2(B)参照)の第2絶縁膜15が除去されて、第1絶縁膜13の上側表面13aを露出させる第2開口パターン37が形成される。
【0080】
このとき、同時に、エッチングガスのプラズマに含まれるラジカルイオンによって、レジスト開口パターン41から露出した第2絶縁膜15が、露出面15d全面に渡ってわずかに等方性エッチングされる。その結果、第2工程では、第2開口パターン37が形成された時点で、この等方性エッチングによって、第2開口パターン37よりも浅い開口深さで第1開口パターン35が形成される。
【0081】
このように、異方性エッチングによって形成される第2開口パターン37が、レジスト開口パターン41の開口端41aに対する被エッチング領域43(図2(B)参照)に、また、等方性エッチングによって形成される第1開口パターン35が、レジスト開口パターン41からの露出面15d(図2(B)参照)全面に渡って、それぞれ形成される。従って、第2開口パターン37の開口端37aの第1方向に沿った長さは、第1開口パターン35の開口端35aの第1方向に沿った長さよりも短くなる。なお、第1方向とは、この第1の実施の形態により製造される半導体装置10(図1参照)においてゲート長方向となる方向である。そこで、以下、この第1方向をゲート長方向とも称するとともに、図2(B)以降の各図において矢印で示す。
【0082】
ところで、第1開口パターン35及び第2開口パターン37は、続く第3工程において、深さ方向に拡大されて、第1開口パターン35が上述した第1開口部19(図1参照)、また、第2開口パターン37が上述した第2開口部21(図1参照)となる。
【0083】
そこで、この第2工程では、第1開口パターン35を、開口端35aの第1方向に沿った長さが第1開口長L1となるように、また、第2開口パターン37を、開口端37aの第1方向に沿った長さが第2開口長L2となるように形成する。
【0084】
そのために、マスクとして用いるレジスト層39を、レジスト開口パターン41の第1方向に沿った長さ、すなわち第4開口長が第2開口長L2となるように、また、レジスト開口パターン41から露出した露出面15dの第1方向に沿った長さが第1開口長L1となるように形成する(図2(B)参照)。
【0085】
次に、第3工程では、第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23をそれぞれ形成する。
【0086】
この第1の実施の形態では、上述した第2工程において形成したレジスト層39を再びマスクとして用いたエッチングを行うことによって、第1開口パターン35を深さ方向に拡大して第1開口部19を、第2開口パターン37を深さ方向に拡大して第2開口部21を、及び第1絶縁膜13を部分的に除去することによって第3開口部23を形成する。
【0087】
ここで、この第1の実施の形態では、第3開口部23の開口長L3を、第2開口部21の開口長L2よりも短く設定する(図1参照)。そこで、まず、レジスト開口パターン41の第4開口長を、第2開口パターン37の第2開口長L2よりも狭める必要がある。
【0088】
そのために、この第3工程では、まず、レジスト層39上に金属膜45を形成する(図3(B)参照)。
【0089】
第4開口長を狭めるためには、金属膜45を、いわゆる周知の斜め蒸着によって形成するのが好ましい。すなわち、周知の真空蒸着機を用いて、金属膜45の材料となる例えばAl等の蒸発金属分子線を、下地面11aの法線方向に対して、60〜70°の斜め方向から、レジスト層39の表面39aに蒸着する(図示せず)。
【0090】
そして、このような斜め蒸着を、ゲート長方向に沿った両側(図3(B)の紙面に向かって左右)から行うことによって、金属膜45を、レジスト層39表面39aから、レジスト開口パターン41の開口端41aまで迫り出して形成することができる。その結果、レジスト開口パターン41の開口端41aは、第1方向、すなわちゲート長方向に沿った両側から金属膜45によって狭められる。
【0091】
そして、上述したように、第2工程において、第2開口パターン37は、金属膜45形成前のレジスト開口パターン41の開口端41aに対応した領域に形成されている(図2(B)及び図3(A)参照)。そのため、この第3工程において、金属膜45によって狭められたレジスト開口パターン41の新たな開口端、すなわち開口端41bの下地面11aに沿った正射影領域、すなわち被エッチング領域47は、第2開口パターン37からの第1絶縁膜13の露出面13dに含まれる領域となる。
【0092】
また、この第3工程では、この被エッチング領域47内の第1絶縁膜13を異方性エッチングすることによって、第3開口部23を形成する。そこで、レジスト開口パターン41の開口端41bのゲート長方向に沿った長さが、形成される第3開口部23の第3開口長L3となるように、上述した金属膜45を形成する。
【0093】
そして、この金属膜45付きのレジスト層39をマスクとして、第2開口パターン37からの第1絶縁膜13の露出面13dから異方性エッチングを行うことによって、第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23をそれぞれ形成して図4(B)に示すような構造体を得る。
【0094】
この第3工程では、好ましくは例えば周知のICP−RIE法またはECR−RIE法等を用いて異方性エッチングを行う。
【0095】
そして、この異方性エッチングにより、上述した被エッチング領域47(図3(B)参照)の第1絶縁膜13が除去されて、下地面11aを露出させる第3開口部23が形成される。
【0096】
そして、第3開口部23は、上述した被エッチング領域47に対応して形成されるため、第3開口部23の開口端23aの第3開口長L3は、第2開口部21の開口端21aの開口長L2よりも短くなる。
【0097】
このとき、同時に、エッチングガスに含まれるラジカルイオンによって、第1開口パターン35が第2絶縁膜15の厚み方向に沿って拡大されて、第1開口部19が形成される。
【0098】
また、同時に、上述したラジカルイオンによって、第2開口パターン37から露出した第1絶縁膜13の露出面13dが、全面に渡ってわずかに等方性エッチングされる。そのため、第3開口部23が形成された時点で、この等方性エッチングによって、露出面13dの全面が第3開口部23よりも浅くエッチングされる。その結果、第2開口パターン37が厚み方向に拡大されて、第2開口部21が形成される。
【0099】
このように、第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23を形成することによって、第1開口部19は、第2絶縁膜15の上側表面15aからこの第2絶縁膜15の厚み方向の中途まで貫いて、また、第2開口部21は、第1開口部19から連続して、第2絶縁膜15の厚み方向の中途から第1絶縁膜13の厚み方向の中途まで貫いて、また、第3開口部23は、第2開口部21から連続して、第1絶縁膜13の厚み方向の中途からこの第1絶縁膜13を貫いて、すなわち下地面11aを露出させて、それぞれ形成される。
【0100】
そして、既に説明したように、第2開口部21の第2開口長L2は、第1開口部19の第1開口長L1よりも短く、また、第3開口部23の第3開口長L3は、第2開口部21の第2開口長L2よりも短く形成されている。
【0101】
このように、各開口長L1、L2、及びL3を設定することによって、第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23によって構成されたゲート形成用開口部17は、内壁面17aが、ゲート長方向に沿って両側に3段の階段状となる。
【0102】
また、この第3工程では、既に説明したように、等方性エッチングによって、第1開口パターン35及び第2開口パターン37を深さ方向に拡大して、第1開口部19及び第2開口部21を形成する。その結果、第1開口部19は、第1開口端19aの端部19aaと第2開口部21の第2開口端21aの端部21aaとの間において、この第1開口部19内に露出した第2絶縁膜15の側面15bが下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面15baを含んで形成される。また、第2開口部21は、第2開口端21aの端部21aaから第1絶縁層13に至る垂直壁、すなわち側面15cと、この第2開口部21内に露出した第1絶縁膜13の側面13bが下地面11a側に凸状に湾曲している傾斜面13baを含んで形成される。
【0103】
次に、第4工程では、ゲート電極25を形成する。
【0104】
第1の実施の形態では、ゲート電極25を、ゲート形成用開口部17を埋め込むとともに、ゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aを被覆するように形成する。
【0105】
そのために、この第4工程では、まず、例えば周知のウェットエッチングを用いて金属膜45を除去し、しかる後、周知の酸素アッシングを用いてレジスト開口パターン41を、ゲート長方向に沿って両側に拡大する(図4(B)参照)。なお、このアッシングによるレジスト開口パターン41の拡大に伴って、レジスト層39の厚みが薄くなる(図示せず)。
【0106】
レジスト開口パターン41を拡大することによって、ゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aが、この拡大されたレジスト開口パターン41、すなわちレジスト開口パターン49から露出する。
【0107】
そして、このレジスト開口パターン49付きのレジスト層39をマスクとして、例えば回転蒸着等の周知の蒸着技術を用いて、ゲート電極25を形成することによって図5に示すような構造体を得る。
【0108】
上述したように、レジスト開口パターン49内では、ゲート形成用開口部17及びゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aが露出しているため、ゲート電極25は、ゲート形成用開口部17を埋め込むとともに、ゲート形成用開口部17周辺の第2絶縁膜15の上側表面15aを被覆して形成される。
【0109】
また、既に説明したように、この第1の実施の形態では、例えば、下地11として最上層がGaN層である化合物半導体基板を用いた場合には、ゲート電極25を例えばNi、Au、またはPt等の金属を材料として形成するのが好ましい。
【0110】
そして、このゲート電極25の形成後、例えばアセトン等の有機溶剤を用いて、レジスト層39を除去することによって、すなわちリフトオフすることによって、図1に示す半導体装置10を得る。
【0111】
以上説明したように、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法では、第2工程において、レジスト開口パターン41が形成されたレジスト層39をマスクとして用いて、第1開口パターン35及び第2開口パターン37を形成する。そして、第3工程において、第2工程で用いたのと同じレジスト層39、及びレジスト開口パターン41の開口端41aを狭める金属膜45をマスクとして用いて、開口長の異なる第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23を形成する。
【0112】
従って、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法によれば、1つのレジスト層39を使用するのみで第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23を形成することができる。そのため、レジスト層39を形成するためのフォトリソグラフィ工程を第2工程において1回行うのみで、上述した第1開口部19、第2開口部21、及び第3開口部23を形成することができる。従って、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法では、電界集中が緩和された半導体装置10(図1参照)を少ない工程数で製造することができる。
【0113】
ここで、この第1の実施の形態では、電極25がゲート電極である場合の構成例について説明した。しかし、この第1の実施の形態では、電極25を、ゲート電極としてのみでなく、独立したフィールドプレート電極として形成する構成としてもよい。
【0114】
そこで、以下、第1の実施の形態の変形例として、上述した電極25をフィールドプレート電極として形成した半導体装置について説明する。
【0115】
図6は、第1の実施の形態の変形例を説明する概略図であり、変形例による半導体装置をゲート長方向に沿って厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【0116】
変形例による半導体装置50では、下地の構成を、上述した第1の実施の形態による半導体装置10の下地11(図1参照)から変更する。
【0117】
すなわち、変形例による半導体装置50では、下地として、上述した下地11に、さらにゲート電極51を形成して構成されている下地53、すなわちゲート電極付き下地53を用いる。
【0118】
下地53は、上述した下地11上に、例えばリフトオフ法等の従来周知の方法を用いてゲート電極51を形成することによって得られる。
【0119】
そして、下地53は、上述した下地11上に、さらに下地面11aを被覆する第1下地絶縁膜55を具えている。第1下地絶縁膜55には、下地面11aを露出させる開口部63が形成されている。そして、この開口部63を埋め込むとともに、開口部63周辺の第1下地絶縁膜55の表面55aを被覆してゲート電極51が形成されている。さらに、ゲート電極51を含む、第1下地絶縁膜55の上側全面を被覆して第2下地絶縁膜57が形成されている。
【0120】
ここで、下地53は、上述したように、ゲート電極51を、開口部63を埋め込むとともに、開口部63周辺の第1下地絶縁膜55の上側表面55aを被覆して形成することによって、2つの電極集中部を有している。
【0121】
すなわち、開口部63内におけるゲート電極51及び第1下地絶縁膜55の側面55b間の境界面(すなわち境界面55b)と、ゲート電極51及び下地11の露出面11c間の境界面(すなわち境界面11c)とが成す角部には、双方の境界面の交差により電界集中部59a及び59bが形成されている。
【0122】
また、ゲート電極51が、開口部63周辺の第1下地絶縁膜55の上側表面55aを被覆して形成されているため、ゲート電極51及び第1下地絶縁膜55の上側表面55a間の境界面の、ゲート長方向に沿った両側には、端部61a及び61b、すなわち電界集中部61a及び61bが形成されている。
【0123】
従って、この変形例では、装置の駆動時において、電界集中部59a及び59b、及び電界集中部61a及び61bのうちドレイン電極(図示せず)側に配置された2つの電界集中部に電界集中が分散する。
【0124】
そして、変形例による半導体装置50では、このような下地53の下地面53a、すなわち第2下地絶縁膜57の上側表面57aに、上述した第1の実施の形態と同様の第1絶縁膜13、第2絶縁膜15、及び電極25(図1参照)が形成されている。
【0125】
このように、電極25を形成することによって、電極25は独立したフィールドプレート電極として機能する。そして、既に説明したように、電極25では、電界集中部27a及び27b、電界集中部29a及び29b、電界集中部31a及び31b、及び電界集中部33a及び33bのうちドレイン電極(図示せず)側に配置された4つの電界集中部に電界集中が分散する。
【0126】
従って、変形例による半導体装置50では、装置の駆動時において、下地53内における電界集中部59a及び59b、及び電界集中部61a及び61b、また、フィールドプレート電極としての電極25による電界集中部27a及び27b、電界集中部29a及び29b、電界集中部31a及び31b、及び電界集中部33a及び33bのうちドレイン電極側に配置された6つの電界集中部に電界集中が分散し、電界集中が緩和される。
【0127】
ここで、電極25を独立したフィールドプレート電極として形成する場合には、好ましくは、この電極25をゲート電極51からゲート長方向に沿ってドレイン電極側にずらした位置に配設するのがよい。すなわち、電極25を、電極25の電界集中部27a及び27bのうちドレイン電極側に配置された一方を、ゲート電極51の電界集中部61a及び61bのうちドレイン電極側に配置された一方よりも、ゲート長方向に沿ってドレイン電極側に近づけて形成するのが好ましい。その結果、電界集中部59a及び59b、電界集中部61a及び61b、電極25による電界集中部27a及び27b、電界集中部29a及び29b、電界集中部31a及び31b、及び電界集中部33a及び33bのうちドレイン電極側に配置された6つの電界集中部が、ゲート長方向に沿って階段状、すなわち湾曲したなだらかな傾斜面状に配列されるため、効率良く電界の集中が緩和される。
【0128】
なお、図6では、紙面に向かって右側にドレイン電極が形成されている場合の構成例を示してある。従って、図6に示す構成例では、電極25のドレイン電極側の電界集中部27bが、ゲート電極51のドレイン電極側の電界集中部61bよりも右側に、すなわちゲート長方向に沿ってドレイン電極側にずれて配置されている。
【0129】
また、変形例による半導体装置50では、フィールドプレート電極として形成した電極25を、ゲート電極51と電気的に接続することによってゲートフィールドプレート電極として、または、図示しないソース電極と電気的に接続することによってソースフィールドプレート電極として、それぞれ使用することができる(図示せず)。
【0130】
このように、電極25をフィールドプレート電極として形成した場合には、ゲート電極51の電界集中部に加え、追加的にこの電極25による4つの電界集中部を設けることができるため、上述した第1の実施の形態による半導体装置10と比して、より効率良く電界集中を緩和することができる。
【符号の説明】
【0131】
10、50:半導体装置
11:下地
13:第1絶縁膜
15:第2絶縁膜
17:電極形成用開口部(ゲート形成用開口部)
19:第1開口部
21:第2開口部
23:第3開口部
25:電極
35:第1開口パターン
37:第2開口パターン
39:レジスト層
41、49:レジスト開口パターン
45:金属膜
51:ゲート電極
53:下地(ゲート電極付き下地)
55:第1下地絶縁膜
57:第2下地絶縁膜
63:開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地と、
該下地の下地面を被覆して順次形成された第1及び第2絶縁膜と、
該第1及び第2絶縁膜を連続的に貫通して形成された、前記下地面を露出させる電極形成用開口部を埋め込むとともに、該電極形成用開口部周辺の前記第2絶縁膜の表面を被覆する電極と
を具え、
前記電極形成用開口部は、
前記第2絶縁膜の上側表面から該第2絶縁膜の厚み方向の中途まで貫いて形成された第1開口部と、
該第1開口部から連続して、前記第2絶縁膜の厚み方向の中途から前記第1絶縁膜の中途まで貫いて形成されており、かつ前記第1開口部よりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第2開口部と、
該第2開口部から連続して、前記第1絶縁膜の厚み方向の中途から該第1絶縁膜を貫いて形成されており、かつ前記第2開口部よりも開口端の前記第1方向に沿った長さが短い第3開口部と
を含み、
該電極形成用開口部内の内壁面が、前記第1方向に沿って両側に3段の階段状となっている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記電極は、前記第1開口部内における前記第2絶縁膜との境界面が前記下地面側に凸状に湾曲している傾斜面を含み、かつ前記第2開口部内における前記第1絶縁膜との境界面が前記下地面側に凸状に湾曲している傾斜面を含む
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
前記電極がゲート電極である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
下地上に、該下地の下地面を被覆する第1及び第2絶縁膜を順次形成する第1工程と、
前記第2絶縁膜に、該第2絶縁膜の表面から、第1開口パターン、及び前記第1絶縁膜の表面を露出させ、かつ前記第1開口パターンよりも開口端の第1方向に沿った長さが短い第2開口パターンを同時に形成する第2工程と、
前記第1開口パターンを前記第2絶縁膜の厚み方向に沿って拡大することによって第1開口部、前記第2開口パターンからの前記第1絶縁膜の露出面から、該第1絶縁膜を部分的に除去することによって、前記第1開口部から連続して、前記第2絶縁膜の厚み方向の中途から前記第1絶縁膜の厚み方向の中途まで貫き、かつ前記第1開口部よりも開口端の前記第1方向に沿った長さが短い第2開口部、及び該第2開口部から連続して、前記第1絶縁膜の厚み方向の中途から該第1絶縁膜を貫くことによって前記下地面を露出させ、かつ前記第2開口部よりも開口端の前記第1方向に沿った長さが短い第3開口部を、それぞれ形成する第3工程と、
前記第1開口部、前記第2開口部、及び前記第3開口部を含む電極形成用開口部を埋め込むとともに、該電極形成用開口部周辺の前記第2絶縁膜の表面を被覆する電極を形成する第4工程と
を含み、
前記第2工程では、レジスト開口パターンが形成されたレジスト層をマスクとして用いて、前記第1開口パターン及び前記第2開口パターンを形成し、
前記第3工程では、前記レジスト層、及び該レジスト層上に形成され、かつ前記レジスト開口パターンの開口端を、前記第1方向に沿った両側から狭める金属膜をマスクとして用いて、前記第1開口部、前記第2開口部、及び前記第3開口部を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第3工程において、前記第1開口部を、該第1開口部内に露出した前記第2絶縁膜の側面が前記下地面側に凸状に湾曲している傾斜面を含むように形成し、かつ前記第2開口部を、該第2開口部内に露出した前記第1絶縁膜の側面が前記下地面側に凸状に湾曲している傾斜面を含むように形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記電極をゲート電極として形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−251540(P2010−251540A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99795(P2009−99795)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】