説明

半導体装置

【課題】内部集積回路の試験動作を行うとともに、不純物濃度を電気特性で確認する半導体装置を提供する。
【解決手段】ウェハ100上には、半導体集積回路が形成されているチップ101とスクライブ領域102を交互に繰り返し形成する。スクライブ領域102上にはマスク合わせや寸法測定を行うためのパターンとともに、試験動作用パッド105、不純物測定TEG104を配置する。不純物測定TEG104は不純物の濃度、深さを確認出来るモジュールであり、試験動作用パッド105とはスイッチ106を介して接続する。試験動作用パッド105は、半導体装置101の内部回路107とヒューズ108、スイッチ109を介して接続している。スイッチ106、109の切り替えによって、試験動作用パッド105から不純物測定TEGと内部集積回路107の電気特性を測定する。スイッチ106、109は、スイッチ制御回路110の信号により切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動作試験に内部集積回路を用いる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高集積化および低コスト化を実現するためには、集積回路の高集積化、微細化を行うとともに、半導体装置のチップ面積およびスクライブライン面積を縮小する方法が有効である。
【0003】
そこで、特許文献1を参照しながら、チップ面積を縮小するためにテストパッドをスクライブライン上に配した半導体装置について説明する。
【0004】
図3は、従来技術の半導体装置が形成されているチップ及びスクライブラインが配置されているウェハ平面の一部を示す概略平面図である。
【0005】
各チップの上側のスクライブラインSZつまりその形成領域の外側には、2個のテストパッドTP1及びTP2が設けられている。
【0006】
また、チップ内には内部集積回路LCがあり、プローブ検査時にはテストパッドTP1及びTP2を介して供給される試験信号に従って、その所定の回路特性が選択的に設定され、また所定の試験動作を選択的に実行する。
【0007】
また、テストパッドTP1及びTP2と対応するチップの内部集積回路LCとの間に、2個のヒューズF1及びF2が設けられている。
【0008】
このヒューズは、集積回路の試験動作が終了した後、例えば所定のレーザビームを照射することによって切断される。
【0009】
また、図面には記載がないが、スクライブラインSZには、素子形成工程や金属配線層形成工程で必要となる位置合わせ用のターゲットやプロセス評価のためのテグが形成されている。
【特許文献1】特開平6−349926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
半導体装置製造工程の条件管理項目としては、フォトマスクの重ね合わせ精度、各工程のパターン寸法、膜厚の測定とともに、熱拡散やイオン注入の不純物濃度などが挙げられる。
【0011】
また不純物濃度を直接測ることは困難であるため、TEGパターンを形成し、この抵抗値などの電気特性を測定する方法が用いられている。
【0012】
しかし、従来技術で示した半導体装置は、プローブ検査は内部集積回路を用いて行うため、不純物濃度を電気特性で確認することができない。
【0013】
そこで、前記課題に鑑み、本発明はトランジスタ特性を内部集積回路の試験動作で行うとともに、不純物濃度を電気特性で確認することが出来る半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の半導体装置は、ウェハに半導体集積回路が形成された複数のチップと、チップの間にスクライブラインがあり、チップ内には内部回路があり、スクライブラインには検査ブロックとパッドがあり、パッドは第1のスイッチの切り替えにより検査ブロックと電気的に接続し、さらにパッドは第2のスイッチの切り替えによりヒューズを介して内部回路と電気的に接続し、第1のスイッチがONのときは第2のスイッチはOFFであり、第2のスイッチがONのときは第1のスイッチはOFFであることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係る第2の半導体装置は、ウェハに半導体集積回路が形成された複数のチップと、チップの間にスクライブラインがあり、チップ内には内部回路とパッドがあり、スクライブラインには検査ブロックがあり、パッドは第1のスイッチの切り替えによりヒューズを介して検査ブロックと電気的に接続し、さらにパッドは第2のスイッチの切り替えにより内部回路と電気的に接続し、第1のスイッチがONのときは第2のスイッチはOFFであり、第2のスイッチがONのときは第1のスイッチはOFFであることを特徴とするものである。
【0016】
なお、本発明の第1および第2の半導体装置において、検査ブロックは不純物濃度を測定し、半導体装置は固体撮像装置であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半導体装置は、トランジスタ特性を内部回路の試験動作で行うとともに、不純物濃度は電気抵抗を測定することにより形成条件を確認する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を形成するチップ及びスクライブラインが配置されているウェハ平面の一部を示す概略平面図である。
【0020】
ウェハ100上には、半導体集積回路が形成されているチップ101とスクライブライン102を交互に、繰り返し形成する。
【0021】
また、スクライブライン102上には、マスク合わせや寸法測定を行うためのパターン(図示せず)とともに、試験動作用パッド105、不純物測定TEG104を配置する。
【0022】
フォトマスクの重ね合わせ精度、パターン寸法、スパッタやCVDなどの膜厚は、モニターマークまたは実パターンを用いて測定する。この測定は、不純物濃度、深さと異なり、寸法測定器、膜厚測定器、重ね合わせ測定器を用いて直接測定を行う。
【0023】
不純物測定TEG104は、抵抗値などの電気特性を測定することにより不純物の濃度、深さを確認することが出来るモジュールであり、試験動作用パッド105とはスイッチ106を介して接続する。なお、図は不純物測定TEGを3本並列接続した例を示しているが、3本に限らない。
【0024】
この不純物測定TEG104は半導体装置の動作には必要ないため、スクライブライン102上に形成する。
【0025】
また、試験動作用パッド105は、半導体装置101の内部回路107とヒューズ108、スイッチ109を介して接続している。また、I/Oパッド112はチップ内に配置する。
【0026】
スイッチ106、109の切り替えによって、試験動作用パッド105から不純物測定TEGと内部集積回路107の電気特性を測定することが出来る。
【0027】
また、スイッチ106、スイッチ109は、スイッチ制御回路110の信号により切り替えを行う。
【0028】
また、ヒューズ108はチップを切断する際に発生する異常電流により、半導体装置が破壊されることを防ぐものである。
【0029】
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の試験動作について説明する。
【0030】
まず、スイッチ制御手段110に信号を印加し、試験動作用パッド105と不純物測定TEG104を接続する。このとき、スイッチ109はOFFの状態とし、試験動作用パッド105と内部集積回路107の間は、オープン状態である。
【0031】
この状態で、不純物測定TEG104の電気特性を測定し、シリコンウェハ100が条件どおり拡散されたかどうかを判断する。たとえば、p型不純物領域で形成された不純物測定TEG104の電気特性で異常が検出された場合、p型不純物領域を形成するボロン注入工程で異常があったことが判断出来る。
【0032】
すべての不純物測定TEG104の電気測定が完了後、スイッチ制御手段110に信号印加し、試験動作用パッド105と内部回路107を電気的に接続する。
【0033】
このとき、試験動作用パッド105と不純物測定TEG104は、オープン状態である。
【0034】
その後、内部回路107の電気特性を測定した後、試験動作用パッド105から高電圧を印加し、ヒューズ108を溶断させ、試験動作用パッド105と内部回路107を電気的にオープン状態にする。
【0035】
これは後工程であるダイシング工程において、シリコンウェハ100をスクライブライン102に沿って切断するが、切断された配線が、たとえば、基板等と微妙に接触することで、リーク電流が発生し、半導体装置101が誤動作することを防ぐためである。
【0036】
なお、ヒューズ溶断時の高電圧により、内部回路107に悪影響を及ぼすことが予想される場合は、ヒューズの先にサージ用保護素子を設けるか、レーザーカット方式のヒューズを採用してもよい。
【0037】
以上の試験動作を行い、電気特性に異常がなければ、ウェハの切断、チップのパッケージングを行う。
【0038】
第1の実施形態によると、スクライブライン102上に存在した回路素子を半導体装置101内の内部回路107と共用したため、チップ面積の縮小を図りながらトランジスタ特性などの確認ができる。
【0039】
さらに、トランジスタ特性に異常が見られた場合、異常のある不純物形成工程を特定することが出来る。
【0040】
なお、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置として、不純物濃度、深さが蓄積電荷の転送効率や飽和特性など装置特性への依存が大きい固体撮像装置に用いることが出来る。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を形成されているチップ及びスクライブラインが配置されているウェハ平面の一部を示す概略平面図である。
【0043】
シリコンウエハ200上に半導体集積回路が形成されているチップ201とスクライブライン202が、交互に、繰り返し形成されている。スクライブライン202は、マスク合わせを行うためのマーク(図示せず)や、不純物測定TEG203がレイアウトされている。なお、図は不純物測定TEGを3本並列接続した例を示しているが、3本に限らない。
【0044】
また、不純物測定TEG203は、スイッチ206aとヒューズ207を介して、半導体装置201のI/Oパッド211に接続される。
【0045】
ヒューズ207はチップ201を切断する際に発生する異常電流により、半導体装置が破壊されることを防ぐものである。
【0046】
また、I/Oパッド211は、スイッチ206bを介して、半導体装置201の内部回路212と接続している。
【0047】
このとき、ヒューズ207により、チップ切断時に起こる異常電流は回避できる。
【0048】
なお、スイッチ206a、206bはスイッチ制御パッドにより制御される。
【0049】
以上から、第2の実施形態は、動作確認パッドを半導体装置201内のI/Oパッド211と共用し、スクライブライン202内にレイアウトすべき、試験動作用パッドを減らすことを特徴としている。
【0050】
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置201の試験動作は、以下のように行う。
【0051】
まず、スイッチ制御手段213に信号を印加し、I/Oパッド211と不純物測定TEG203と接続する。
【0052】
このとき、I/Oパッド211は、内部回路212、他の不純物測定TEG203とは、電気的にオープンの状態になっている。この状態で、不純物測定TEG203の電気特性を評価する。
【0053】
すべての不純物測定TEG203および内部回路212の電気特性が完了した段階で、I/Oパッド211、スイッチ制御手段213から、高電圧を印加し、ヒューズ207を溶断させ、半導体装置201とスクライブライン202の間の回路をオープンにする。
【0054】
これは、後工程であるダイシング工程において、シリコンウエハ200をスクライブライン202に沿って切断するが、切断された配線が、たとえば、基板等と微妙に接触することで、リーク電流が発生し、半導体装置201が誤動作することを防ぐためである。
【0055】
第1の実施形態において、スクライブライン102上に、不純物測定TEG104をレイアウトできる領域を増やすためには、TEGの中で最大の面積を有している試験動作用パッドを縮小することが必要である。
【0056】
しかしながら、試験動作用パッドは、測定用プローブを物理的に接触させるため、ある一定面積以下に縮小することはできない。
【0057】
したがって、本発明の実施形態に係る半導体装置は、スクライブライン202の面積を大幅に縮小することができ、したがって、同一ウェハ200におけるチップ201取れ数が大幅に増えるため、高集積化とともに低コストを実現することが出来る。
【0058】
なお、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置として、不純物濃度、深さが蓄積電荷の転送効率や飽和特性など装置特性への依存が大きい固体撮像装置に用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明にかかる半導体装置は、トランジスタ特性を内部集積回路の試験動作で行うとともに、不純物形成の条件確認を確認することができ、基板内のスクライブライン面積を縮小することができ、固体撮像装置に用いる半導体装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を形成するチップ及びスクライブラインが配置されているウェハ平面の一部を示す概略平面図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を形成するチップ及びスクライブラインが配置されているウェハ平面の一部を示す概略平面図
【図3】従来技術の半導体装置を示した平面構成図
【符号の説明】
【0061】
100 ウェハ
101 チップ
102 スクライブライン
104 不純物濃度測定用TEG
105 試験動作用パッド
106 スイッチ
107 内部回路
108 ヒューズ
109 スイッチ
110 スイッチ制御回路
112 I/Oパッド
200 ウェハ
201 チップ
202 スクライブライン
203 不純物濃度測定TEG
206 スイッチ
207 ヒューズ
211 I/Oパッド
212 内部回路
213 スイッチ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハに半導体集積回路が形成された複数のチップと、前記チップの間にスクライブラインとがあり、
前記チップ内には内部回路があり、
前記スクライブラインには検査ブロックとパッドがあり、
前記パッドは第1のスイッチの切り替えにより前記検査ブロックと電気的に接続し、
さらに前記パッドは第2のスイッチの切り替えによりヒューズを介して前記内部回路と電気的に接続し、
前記第1のスイッチがONのときは第2のスイッチはOFFであり、
前記第2のスイッチがONのときは第1のスイッチはOFFである、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
ウェハに半導体集積回路が形成された複数のチップと、前記チップの間にスクライブラインとがあり、
前記チップ内には内部回路とパッドがあり、
前記スクライブラインには検査ブロックがあり、
前記パッドは第1のスイッチの切り替えによりヒューズを介して前記検査ブロックと電気的に接続し、
さらに前記パッドは第2のスイッチの切り替えにより前記内部回路と電気的に接続し、
前記第1のスイッチがONのときは第2のスイッチはOFFであり、
前記第2のスイッチがONのときは第1のスイッチはOFFである、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記検査ブロックは不純物濃度を測定し、前記半導体装置は固体撮像装置であることを特徴とした請求項1、2記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−253363(P2006−253363A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67001(P2005−67001)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】