説明

半導体装置

【課題】高速のデータ読出しが可能であるとともに、ワード線の活性化用のドライブ回路の面積を削減した半導体装置を提供する。
【解決手段】ワード線WLと複数箇所で接続される低抵抗の杭打ちワード線CWLを介した信号伝達によって、高速のデータ読出が可能となる。また、杭打ちワード線CWLは複数のメモリブロックBKで共通に設けられるので、ワード線ドライバ50Cを、複数のメモリブロックBKで共通化できる。さらに、サブディジット線SDLに対応して、杭打ちワード線CWLの活性状態を保持するラッチ回路92を設けることによって、杭打ちワード線CWLを介してデータ書込時の行選択信号を伝送することができ、金属配線層を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化の方向によって電気抵抗が変化する磁気抵抗効果を利用した薄膜磁性体記憶素子を基板上に集積した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低消費電力で高速動作が可能な不揮発性のRAM(Random Access Memory)として、MRAM(Magnetic Random Access Memory)が注目されている。MRAMは、磁化の方向によって電気抵抗が変化する磁気抵抗効果を利用した薄膜磁性体記憶装置の一種である。MRAMでは、磁気抵抗素子としてTMR(Tunneling Magneto-Resistive)素子が一般的に利用される。
【0003】
TMR素子は、強磁性体薄膜からなる固定磁化層および自由磁化層で薄い絶縁層を挟んだトンネル接合構造を有する磁気抵抗素子である。TMR素子は、2つの層の磁化方向が平行か反平行かによって、「1」「0」の情報を記憶する。
【0004】
データの読出時には、TMR素子にセンス電流(データ読出電流)を流して、磁化方向に起因するトンネル抵抗の違いを検知する。センス電流のオン/オフを制御するためにTMR素子と直列にアクセストランジスタが設けられる。アクセストランジスタのゲート電極にはワード線が接続される。
【0005】
データ書込時に自由磁化層の磁化方向を反転させる方法には、電流誘起による磁場によって磁化を反転させる方法と、スピン偏極した電流の注入による方法とが知られている。
【0006】
電流誘起磁場による方法では、互いに交差して配置されたビット線とディジット線に同時に電流を流すことによって誘起される合成磁場を利用する。ビット線とディジット線の交差点近傍に配置されたTMR素子では、誘起した合成磁場の大きさがアステロイド曲線の外側になり、磁化の反転が起こる。
【0007】
これに対して、スピン注入による方法では、TMR素子に閾値以上のビット線電流を直接流すことによって自由磁化層の磁化の方向を反転させる。
【0008】
自由磁化層から固定磁化層の方向に電流を流す場合には、固定磁化層と同方向のスピンを持つ電子が、トンネル絶縁膜を通過して自由磁化層に注入される。このとき、注入された電子が自由磁化層にスピントルクを及ぼすことによって、自由磁化層の磁化の方向が固定磁化層と同方向に変化する。
【0009】
逆に、固定磁化層から自由磁化層の方向に電流を流す場合には、固定磁化層と逆方向のスピンを持つ電子は、トンネル絶縁膜で反射される。このとき、反射された電子が自由磁化層にスピントルクを及ぼすことによって、自由磁化層の磁化の方向が固定磁化層と逆方向に変化する。
【0010】
この他のデータ書込方法として、スピン注入による方法に、電流誘起磁場による方法を組合わせる方法が知られている。
【0011】
たとえば、特開2007−109313号公報(特許文献1)では、データ書込時、ディジット線ドライブ回路により、選択ディジット線に書込電流を供給する。そして、その電流誘起磁場により、ディジット線に結合されるメモリセルの自由磁化層の磁化方向を、
固定磁化層と反対の方向に設定する。次いで、書込ドライブ回路からのビット線電流により、固定磁化層の偏極スピンと同一方向の偏極スピン電子を自由磁化層に注入し、データ「1」のみの書込を実行する。このスピン注入は、データ「1」を書込むメモリセルに対して並行して実行される。
【0012】
一方、TMRメモリセルが行列状に複数個配置されたメモリアレイにおいては、メモリセル行に対応して、ディジット線およびワード線が配置され、メモリセル列に対応して、ビット線が配置される。ディジット線およびワード線は、しばしば複数に分割して配置される。
【0013】
たとえば、特開2003−77267号公報(特許文献2)は、メモリアレイ全体を、m行×n列(m,n:自然数)の行列状に配置したメモリセルブロックに細分化する技術を開示する。各メモリセルブロックにおいて、TMRメモリセルは、行列状に配置される。各メモリセル行ごとに、データ読出用のサブワード線と、データ書込用のライトディジット線とが配置される。すなわち、ライトディジット線は、各メモリセルブロックごとに独立して、各メモリセル行に対応して配置される。さらに、行選択のための上位信号線として、メインワード線がサブワード線およびライトディジット線と階層的に設けられる。メインワード線は、複数のメモリセル行ごとに、行方向に互いに隣り合うn個のメモリセルブロックにまたがって共通に配置される。
【特許文献1】特開2007−109313号公報
【特許文献2】特開2003−77267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の特開2003−77267号公報(特許文献2)に開示される従来技術では、サブワード線およびライトディジット線用のドライブ回路を、行デコード回路と別に、各メモリセルブロックごとに個別に設けなければならない。したがって、メモリアレイを細分化してメモリセルブロックの数を増加させるほど、メモリアレイ全体でのドライブ回路の回路面積が増大することになる。
【0015】
一方、データ読出速度の高速化の観点からは、メモリセルブロックの数を増やしてサブワード線の長さをより短く形成するほうが好ましい。この理由は、アクセストランジスタのゲート電圧を制御するサブワード線が、ゲートと同一の配線層に、ポリシリコンやポリサイドなどを用いて形成されるからである。これらの材料を用いる結果、サブワード線は、金属配線に比べて抵抗が大きくなるので、データ読出時に信号伝達遅延が生じてしまう。すなわち、上記従来技術では、データ読出速度の向上と回路面積の縮小とが両立し難い。
【0016】
本来、磁気抵抗効果を利用するMRAMは、高速のデータ書込/読出の可能なことが特徴の1つである。したがって、フラッシュメモリとの差別化を図るためにも、MRAMには、より高速にデータ書込/読出を行なえることが望ましい。
【0017】
したがって、本発明の目的は、高速のデータ読出が可能であるとともに、ワード線ドライブ回路の面積を削減することが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、行列状に配列される複数のメモリセルを含み、行方向に複数のブロックに分割されるメモリアレイを備える半導体装置である。ここで、複数のメモリセルの各々は、磁気データに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子と、磁気抵抗素子に直列接続され、制御電極を有するスイッチ素子とを含む。そして、本発明の薄膜磁性体記憶装置は、複数
のビット線と、複数のディジット線と、複数のワード線と、複数の杭打ちワード線とをさらに備える。ここで、複数のビット線は、メモリアレイのメモリセル列にそれぞれ対応して設けられ、各々が、磁気データの書込に必要な第1のデータ書込電流を流すために用いられる。複数のディジット線は、各々が、複数のブロックの各々においてメモリセル行ごとに個別に設けられ、第1のデータ書込電流と交差する方向に第2のデータ書込電流を流すことによって磁気データの書込を行なうために用いられる。複数のワード線は、各々が、メモリアレイの対応するメモリセル行に含まれる複数の制御電極に接続され、第1のシート抵抗を有する導電層で形成される。複数の杭打ちワード線は、メモリアレイのメモリセル行にそれぞれ対応して、複数のブロックに共通に設けられ、各々が、第1のシート抵抗よりも小さい第2のシート抵抗を有する導電層で形成され、対応するメモリセル行に設けられるワード線と複数箇所で電気的に接続される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ワード線と複数箇所で接続され、ワード線が形成される導電層よりもシート抵抗の小さい導電層で杭打ちワード線が形成されるので、杭打ちワード線を介した信号伝達によって高速のデータ読出が可能となる。また、杭打ちワード線は複数のブロックで共通に設けられるので、ワード線を活性化するためのワード線ドライブ回路は、複数のブロックに共通に設けることができる。したがって、各ブロックごとに独立にワード線を設けてデータ読出の高速化を図る場合に比べて、ワード線ドライブ回路の数を削減することができる。
【0020】
一方、ディジット線は各ブロックごとに独立に設けられるので、配線抵抗をより小さく抑えることができ、結果として、データ書込に十分な電流の大きさを供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
【0022】
また、以下の各実施の形態は、電流誘起による磁場によって自由磁化層の磁化を反転させる方式のMRAMについて説明するが、本発明は、スピン注入に電流誘起による磁場を組合わせてデータ書込を行なう方式のMRAMにも適用可能なものである。
【0023】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の半導体装置1の構成の一例を模式的に示す平面図である。
【0024】
半導体装置1は、半導体基板SUB基板上に形成されたマイクロコンピュータ部2、SRAM(Static Random Access Memory)部3、アナログ回路部4、およびクロック生成部5を含む。半導体装置1は、メモリ回路、アナログ回路、およびデジタル回路が1つの半導体基板上に集積されたシステムLSI(Large Scale Integrated circuit)と
呼ばれる半導体集積回路の一例である。
【0025】
図1のマイクロコンピュータ部2は、メモリ回路としてMRAM部6を含む。従来、マイクロコンピュータには、ROM(Read Only Memory)およびRAMなどのメモリ用として、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの多種類
のメモリが混載されていた。MRAMの有する高速、低消費電力、不揮発性、無制限の書換回数という特徴を生かして、半導体装置1では、これらの多種類のメモリデバイスがMRAMに置換えられている。なお、図1では、MRAM部6と独立してSRAM部3が設けられているけれども、SRAM部3をMRAMに置換えることもできる。
【0026】
図2は、図1のMRAM部6の全体構成を示すブロック図である。
図2を参照して、MRAM部6は、命令信号CMD、クロック信号CLKおよびアドレス信号ADDに応答して、メモリアレイ10のランダムアクセスを行なうことによって、書込データDinの書込と読出データDoutの読出とを行なう。
【0027】
MRAM部6は、命令信号CMDおよびクロック信号CLKに応答してMRAM部6の全体動作を制御する制御回路140と、行列状に配置された複数のメモリセルMCを有するメモリアレイ10と、アドレス信号ADD、書込データDin、および読出データDoutの入出力のための入出力回路150とを含む。
【0028】
各メモリセルMCは、TMR素子およびアクセストランジスタATRを含む。複数のメモリセルMCに対してデータ読出およびデータ書込を行なうために、メモリアレイ10には、複数のワード線WL、ディジット線DL、およびビット線BLが配置される。ワード線WLおよびディジット線DLは、メモリセル行に対応して行方向に配置され、ビット線BLは、メモリセル列に対応して列方向に配置される。
【0029】
入出力回路150は、アドレス信号ADD、書込データDin、および読出データDoutをそれぞれ一時的に保持するアドレス信号用ラッチ回路153、書込データ用ラッチ回路151、および読出データ用ラッチ回路152を含む。
【0030】
MRAM部6は、さらに、センスアンプ20、行デコーダ(行デコード回路、行選択回路)40、ワード線ドライバ(ワード線ドライブ回路)50、ディジット線ドライバ(ディジット線ドライブ回路)60、列デコーダ(列デコード回路、列選択回路)70、およびビット線ドライバ(ビット線ドライブ回路)80を含む。
【0031】
センスアンプ20は、データ読出時において選択されたメモリセルの通過電流と基準電流との差を検知増幅する。センスアンプ20は、検知増幅した信号を読出データ用ラッチ回路152に出力する。
【0032】
行デコーダ40は、アドレス信号用ラッチ回路153からのアドレス信号ADDを受けて、アドレス信号ADDによって示される行アドレス信号RAをデコードする。行デコーダ40は、制御回路140からの命令信号CMD(読出許可信号RE,書込許可信号WE)およびクロック信号CLKに応じて、デコード結果である行選択信号を出力する。行選択信号は、メモリアレイ10の行選択を実行するために用いられる。
【0033】
ワード線ドライバ50は、データ読出時に、行デコーダ40からの行選択信号を受けて、対応するワード線を活性化する。
【0034】
ディジット線ドライバ60は、データ書込時に、行デコーダ40からの行選択信号を受けて、対応するディジット線DLに、書込データ用ラッチ回路151からの書込データDinに応じた方向の電流を流す。
【0035】
列デコーダ70は、アドレス信号用ラッチ回路153から供給されるアドレス信号ADDを受けて、アドレス信号ADDによって示される列アドレス信号CAをデコードする。列デコーダ70は、制御回路140から供給される命令信号CMD(読出許可信号RE,書込許可信号WE)およびクロック信号CLKに応じて、デコード結果である列選択信号を出力する。列選択信号は、メモリアレイ10における列選択を実行するために用いられる。
【0036】
ビット線ドライバ80は、列デコーダ70からの列選択信号を受けて、データ書込時に、対応するビット線BLにデータ書込電流を流す。
【0037】
MRAM部6は、さらに、上述のセンスアンプ20、行デコーダ40、ワード線ドライバ50、ディジット線ドライバ60、列デコーダ70、およびビット線ドライバ80などに供給する種々の参照電圧を生成する参照電源160を含む。
【0038】
図3は、図2のメモリアレイ10を構成する各メモリセルMCの構成を概略的に示す回路図である。
【0039】
図3を参照して、メモリセルMCは、磁気データに応じて電気抵抗が変化するTMR素子と、アクセストランジスタATRとを含む。ここで、TMR素子は、強磁性体薄膜からなる固定磁化層および自由磁化層で薄い絶縁層を挟んだトンネル接合構造を有する磁気抵抗素子である。通常、アクセストランジスタATRとして、電界効果トランジスタが用いられる。
【0040】
TMR素子に対して、ビット線BL、ディジット線DL、ワード線WL、およびソース線SLが配置される。図3に示すように、TMR素子は、その一端がビット線BLに接続され、他端がアクセストランジスタATRのドレインに接続される。アクセストランジスタATRのソースはソース線SLを介して接地ノードGNDに接続される。また、アクセストランジスタATRのゲートはワード線WLに接続される。
【0041】
データ書込時においては、データ書込対象となる選択メモリセルに対応するメモリセル行(以下、選択行とも称する)のディジット線DLと、選択メモリセルに対応するメモリセル列(以下、選択列とも称する)のビット線BLとに、それぞれデータ書込電流が流される。ここで、ビット線BLを流れる電流の方向は、書込データに応じて、切替え可能となっている。ビット線BLを流れる電流の方向によって、自由磁化層の磁化の方向が決定される。
【0042】
一方、データ読出時においては、選択メモリセルに対応するワード線WLが高電圧状態に活性化されて、アクセストランジスタATRが導通状態になる。この結果、センス電流(データ読出電流)が、ビット線BLからTMR素子およびアクセストランジスタATRを経て、ソース線SLに流れる。なお、以下においては、信号、信号線およびデータなどの2値的な高電圧状態および低電圧状態を、それぞれ「Hレベル」および「Lレベル」とも称する。
【0043】
上述のソース線SL、ビット線BL、およびディジット線DLは、金属配線層を用いて形成される。一方、ワード線WLは、集積度を高め、また、製造プロセスを簡略化するために、アクセストランジスタATRのゲートと一体化される。そのため、ワード線WLは、ポリシリコンやポリサイドなどを用いて形成される。
【0044】
図4は、図2のMRAM部6の各部の配置の一例を示す平面図である。以下、図4の左右方向を行方向XまたはX方向と称し、上下方向を列方向YまたはY方向と称する。
【0045】
図4を参照して、メモリアレイ10は、同一の構成を有する複数のメモリアレイに分割されて基板SUB上に配置される。図4の場合、8個のメモリアレイ10_0〜10_7が、行方向Xに4行、列方向Yに2列配置される。各メモリアレイ10_0〜10_7は、X,Y方向に行列状に配列された複数のメモリセルMCを含む。後述するように、各メモリアレイ10_0〜10_7は、行方向Xに複数のメモリブロックBKに分割される。
【0046】
列デコーダ70は、各メモリアレイ10_0〜10_7の列方向Yの両側に配置される。たとえば、メモリアレイ10_0の列方向Yの両側には列デコーダ70_0および70_1が設けられる。一方、行デコーダ40は、行方向Xのほぼ中央に、列方向Yに延在して配置される。
【0047】
センスアンプ20は、列方向Yに互いに隣接した2個1組のメモリアレイの中央に配置される。図4の場合、たとえば、センスアンプ20_0は、メモリアレイ10_0と10_1の中央に配置される。他のセンスアンプ20_1〜20_3についても同様に配置される。
【0048】
ここで、図4に示すMRAM部6は、センスアンプ20_1〜20_3に接続されるビット線BLが、センスアンプ20_1〜20_3を挟んで両側に配線されるオープンビット線方式によって構成される。なお、ビット線BLがセンスアンプ20で折り返されて同一方向に配線されるフォールデッドビット線方式についても、本発明を同様に適用することができる。
【0049】
制御回路140および入出力回路150は、MRAM部6の列方向Yの一方端に配置される。
【0050】
図5は、図4のメモリアレイ10_0の構成を説明するための図である。図5は、図4のMRAM部6のメモリアレイ10_0〜10_7を代表して、メモリアレイ10_0の構成を示したものである。
【0051】
図5を参照して、メモリアレイ10_0は、行方向Xに配置されるk個(kは2以上の整数)のメモリブロックBK<0>〜BK<k−1>(総称するとき、メモリブロックBKと称する。)を含む。
【0052】
各メモリブロックBKは、X,Y方向に行列状に配列された複数のメモリセルMCを含む。図5に示すように、各メモリブロックBKごとに、X方向にm×n行(m,nは2以上の整数)、Y方向にl列(lは2以上の整数)のメモリセルMCが配置される。したがって、メモリアレイ10_0全体では、X方向にm×n行、Y方向にk×l列のメモリセルMCが配置されることになる。なお、後述するように、パラメータmは、メインディジット線MDLの本数を意味する。
【0053】
たとえば、m=64、n=4、k=4、l=128とすれば、各メモリブロックBKは、256ワード×128ビットの構成となり、各メモリブロックBKのメモリ容量は32Kビットになる。したがって、メモリアレイ10_0のメモリ容量は128Kビットになり、図4のMRAM部6全体のメモリ容量は1Mビットになる。
【0054】
メモリアレイ10_0は、さらに、複数のビット線BL、サブディジット線SDL、メインディジット線MDL、ワード線WL、および杭打ちワード線CWLを含む。
【0055】
列方向Yには、各メモリセル列に対応して、k×l本のビット線BL<0>〜BL<kl−1>(総称するとき、ビット線BLと称する。)が設けられる。
【0056】
行方向Xには、各メモリブロックBKごとに、各メモリセル行に対応して、m×n本のサブディジット線SDL<0>〜SDL<mn−1>(総称するとき、サブディジット線SDLと称する。)が設けられる。さらに、メモリアレイ10_0のk個のメモリブロックBKで共通に、行方向Xに沿ってm本のメインディジット線MDL<0>〜MDL<m−1>(総称するとき、メインディジット線MDLと称する。)が設けられる。
【0057】
実施の形態1では、ディジット線DLがメインディジット線MDLとサブディジット線SDLとに階層化されている。このとき、各メモリブロックBKに属するm×n本のサブディジット線SDLは、互いに隣接するn本のサブディジット線SDLごとに行グループを構成すると考えることができる。サブディジット線SDL全体での行グループ数は、m個になる。メインディジット線MDLは、m個の行グループにそれぞれ対応する。たとえば、メインディジット線MDL<0>は、サブディジット線SDL<0>〜SDL<n−1>によって構成される行グループに対応する。同様に、メインディジット線MDL<m−1>は、サブディジット線SDL<mn−n>〜SDL<mn−1>によって構成される行グループに対応する。
【0058】
データ書込時に行デコーダ40から出力される行選択信号には、メインディジット線MDLによって伝送されるメインデコード信号と、nビットのサブデコード信号SDW<0>〜SDW<n−1>(サブデコード信号SDW<0:n−1>とも記載する。総称するとき、サブデコード信号SDWと称する。)とが用いられる。行デコーダ40の出力ノードは、m本のメインディジット線MDLおよびn本のサブデコード信号SDW用の信号線に接続される。データ書込時には、メインディジット線MDL上を流れるメインデコード信号によって、前述の行グループのうちの1つが選択される。さらに、選択された行グループに属する1本のサブディジット線SDLが、サブデコード信号SDWによって選択される。
【0059】
さらに、メモリアレイ10_0の行方向Xには、各メモリブロックBKごとに、各メモリセル行に対応して、m×n本のワード線WL<0>〜WL<mn−1>(総称するとき、ワード線WLと称する。)が設けられる(次図6に図示)。また、メモリアレイ10_0のk個のメモリブロックBKで共通に、各メモリセル行に対応して、m×n本の杭打ちワード線CWL<0>〜CWL<mn−1>(総称するとき、杭打ちワード線CWLと称する。)が設けられる。ワード線WLがアクセストランジスタATRのゲートと一体化されるために、ポリシリコンやポリサイドなどによって形成されるのに対して、杭打ちワード線CWLは、ワード線の上層に金属材料によって形成される。杭打ちワード線CWLは、同一のメモリセル行に設けられたワード線WLと複数箇所で電気的に接続される。杭打ちワード線CWLをシャント配線CWLとも称する。
【0060】
メモリアレイ10_0は、さらに、ワード線ドライバ50、ディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>、ビット線ドライバ80_0,80_1、およびビット線選択回路90を含む。
【0061】
ワード線ドライバ50は、k個のメモリブロックBKに共通に設けられ、実施の形態1の場合、行デコーダ40に近接して配置される。ワード線ドライバ50の出力ノードは、杭打ちワード線CWLに接続される。行デコーダ40は、読出許可信号REが活性化されている場合に、行アドレス信号RAに基づく行選択信号をワード線ドライバ50に伝送する。ワード線ドライバ50は、受信した行選択信号に応じて、選択行に対応する杭打ちワード線CWLをHレベルに活性化する。この結果、杭打ちワード線CWLと複数箇所で電気的に接続されたワード線WLが活性化されて、選択行のメモリセルのMCのアクセストランジスタATRが導通する。
【0062】
金属材料によって形成される杭打ちワード線CWLは、ポリシリコンやポリサイドなどを用いて形成されるワード線WLに比べて抵抗が小さい。このため、杭打ちワード線CWLは、ワード線WLよりも高速に信号を伝送することができる。したがって、実施の形態1のように、杭打ちワード線CWLとワード線WLとを複数個所で電気的に接続することによって、ワード線ドライバ50からの活性化信号を、最遠方のメモリセルMCまで高速に伝播させることができる。
【0063】
また、杭打ちワード線CWLを用いる場合、杭打ちワード線CWLを活性化するためのワード線ドライバ50は、複数のメモリブロックBKに共通に配置することができる。このため、ワード線ドライバ50を各メモリブロックBKごとに配置して、ワード線WLを直接活性化する場合に比べると、ワード線ドライバ50の配置面積を削減することができる。
【0064】
ディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>(総称するとき、ディジット線ドライバ60と称する。)は、メモリブロックBK<0>〜BK<k−1>にそれぞれ対応して設けられる。ディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>の各々に、m本のメインディジット線MDL、およびn本のサブデコード信号SDW用の信号線が接続される。また、ディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>には、列デコーダ70_0から対応するブロック選択信号BS<0>〜BS<k−1>(総称するとき、ブロック選択信号BSと称する。)が与えられる。列デコーダ70_0は、選択メモリセルを含むメモリブロックBK(以下、選択メモリブロックとも称する。)に対応するディジット線ドライバ60に対して、ブロック選択信号BSを活性化する。
【0065】
ディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>の出力ノードは、対応するメモリブロックBKのサブディジット線SDLに接続される。各ディジット線ドライバ60は、活性化されたブロック選択信号BSが与えられている場合に、メインディジット線MDLのメインデコード信号とサブデコード信号SDWとによって選択されるサブディジット線SDLにデータ書込電流を流す。したがって、未選択のメモリブロックBKにはデータ書込電流が流れないので、MRAM部6全体の消費電力を低減させることができ、誤書込の可能性を減少させることができる。
【0066】
また、実施の形態1のメモリアレイ10_0では、上述のように、データ書込電流を流すサブディジット線SDLが各メモリブロックBKごとに分割されて設けられている。このため、複数のメモリブロックBKに共通にディジット線が設けられている場合に比べて、ディジット線の配線抵抗を低減させることができる。この結果、電源ノードVDDの電圧を増加させなくても、ディジット線ドライバ60は、データ書込に十分な大きさの電流を供給することができる。
【0067】
ビット線ドライバ80_0,80_1は、メモリブロックBKを跨いで列方向Yの両側にそれぞれ設けられる。ビット線ドライバ80_0,80_1の出力ノードはk×l本のビット線BL<0>〜BL<kl−1>に接続される。ビット線ドライバ80_0,80_1は、データ書込時に、列デコーダ70_0,70_1からの列選択信号に基づいて、選択列に対応するビット線BLに書込データDinに応じた方向のデータ書込電流を流す。
【0068】
ビット線選択回路90は、データ読出時に、列デコーダ70_1からの列選択信号を受けて、選択列に対応するビット線BLとセンスアンプ20_0とを接続するゲートとして機能する。
【0069】
図6は、図5のメモリブロックBK<0>、およびそれに対応するディジット線ドライバ60<0>の構成を示す回路図である。図6は、図5に示すk個のメモリブロックBK<0>〜BK<k−1>、およびk個のディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>をそれぞれ代表して、ディジット線ドライバ60<0>およびメモリブロックBK<0>の構成を示したものである。
【0070】
図6を参照して、メモリブロックBK<0>に設けられた複数のメモリセルMCは、l
本のビット線BL<0>〜<l−1>、およびm×n本の杭打ちワード線CWL<0>〜CWL<mn−1>が交差する位置に設けられる。
【0071】
各メモリセルMCのアクセストランジスタATRのゲートが接続されるワード線WLは、対応する杭打ちワード線CWLと複数箇所で電気的に接続される。各メモリセルMCのアクセストランジスタATRのソースが接続されるソース線SL<0>〜SL<mn−1>(総称するとき、ソース線SLと称する。)は、行方向Xに配線される。ソース線SLの一端は、接地ノードGNDに接続される。
【0072】
サブディジット線SDLは、対応するメモリセル行に設けられたメモリセルMCのTMR素子に近接して行方向Xに配線される。各サブディジット線SDLの一端は、電源ノードVDDに接続される。各サブディジット線SDLの他端は、ディジット線ドライバ60<0>に設けられた対応する駆動トランジスタ66のドレインに接続される。
【0073】
ディジット線ドライバ60<0>は、n個のANDゲート62<0>〜62<n−1>(総称するとき、ANDゲート62と称する。)と、m×n個のANDゲート68<0>〜68<mn−1>(総称するとき、ANDゲート68と称する。)と、m×n個の駆動トランジスタ66<0>〜66<mn−1>(総称するとき、駆動トランジスタ66と称する。)とを含む。
【0074】
ANDゲート62<0>〜62<n−1>は、n本のサブデコード信号SDW<0>〜SDW<n−1>用の信号線にそれぞれ対応して設けられる。ANDゲート62<0>〜62<n−1>の一方の入力端子には、対応するブロック選択信号BS<0>が共通に入力され、他方の入力端子には、対応するサブデコード信号SDW<0>〜SDW<n−1>がそれぞれ入力される。ANDゲート62<0>〜62<n−1>の出力端子は、n本の信号線64<0>〜64<n−1>にそれぞれ接続される。ANDゲート62は、ブロック選択信号BS<0>がHレベルに活性化され、かつ、対応するサブデコード信号SDWがHレベルに活性化されているとき、対応する信号線64をHレベルに活性化する。
【0075】
ANDゲート68<0>〜68<mn−1>は、m×n本のサブディジット線SDL<0>〜SDL<mn−1>にそれぞれ対応して設けられる。したがって、サブディジット線SDLと同様に、各メインディジット線MDLに対応して、n個ずつのANDゲート68で1つの行グループが構成されると考えることができる。
【0076】
同一の行グループに属するn個のANDゲート68の一方の入力端子には、対応するメインディジット線MDLが共通に接続される。同一の行グループに属するn個のANDゲート68の他方の入力端子には、n本の信号線64<0>〜64<n−1>が個別に接続される。たとえば、メインディジット線MDL<0>に対応するANDゲート68<0>〜68<n−1>の他方の入力端子には、信号線64<0>〜64<n−1>がそれぞれ接続される。同様に、メインディジット線MDL<m−1>に対応するANDゲート68<mn−n>〜68<mn−1>の他方の入力端子には、信号線64<0>〜64<n−1>がそれぞれ接続される。
【0077】
駆動トランジスタ66は、NチャネルのMOSトランジスタである。駆動トランジスタ66<0>〜66<mn−1>のゲートには、ANDゲート68<0>〜68<mn−1>の出力端子がそれぞれ接続される。ANDゲート68の出力がHレベルに活性化されると、対応する駆動トランジスタ66が導通する。この結果、電源ノードVDDから接地ノードGNDへ、サブディジット線SDLを介してデータ書込電流が流れる。
【0078】
以上のディジット線ドライバ60<0>の構成によれば、ANDゲート62は、ブロッ
ク選択信号BSとサブデコード信号SDWとの論理積を出力する。さらに、ANDゲート68は、ANDゲート62の出力とメインディジット線MDLのメインデコード信号との論理積を出力する。この結果、ANDゲート68の出力に応じて、対応するサブディジット線SDLにデータ書込電流が流れる。このようにして、列デコーダ70によって選択された選択ブロックにおいて、行デコーダ40によって選択された選択行に対応するサブディジット線SDLにデータ書込電流が流れる。
【0079】
次に、選択メモリセルへのデータ書込、データ読出の手順を具体的なタイミングチャートを参照して説明する。
【0080】
図7は、メモリアレイ10_0のメモリセルMCへのデータ書込動作およびデータ読出動作を示すタイミングチャートである。図7において横軸は時間を表し、縦軸は上から順に、クロック信号CLK、読出許可信号RE、書込許可信号WE、メインディジット線MDL<0>の電圧波形、ブロック選択信号BSの電圧波形、サブデコード信号SDWの電圧波形、メモリブロックBK<0>におけるサブディジット線SDL<0>の電流波形I(SDL<0>)、ビット線BL<0>の電流波形I(BL<0>)、杭打ちワード線CWL<0>の電圧波形、メモリブロックBK<0>におけるワード線WL<0>の電圧波形を示す。
【0081】
以下、図6のメモリブロックBK<0>に設けられた複数のメモリセルMCのうち、ワード線WL<0>およびビット線BL<0>の交差点に近接して設けられたメモリセルMCを選択して、この選択メモリセルへのデータ書込/読出手順について、図5〜図7を参照して説明する。
【0082】
ここで、データ書込/データ読出は、クロック信号CLKに同期して実行される。書込許可信号WEがHレベルに活性化されている時刻t0〜時刻t6が、選択メモリセルにデータ書込が行なわれる書込サイクルになる。また、読出許可信号REがHレベルに活性化されている時刻t6〜時刻t9が、選択メモリセルからデータ読出が行なわれる読出サイクルになる。まず、データ書込サイクルについて説明する。
【0083】
時刻t1において、列デコーダ70_0は、ブロック選択信号BS<0>をHレベルに活性化する。このとき、他のブロック選択信号BS<1>〜BS<k−1>はLレベルのまま維持される。これによって、選択メモリセルを含むメモリブロックBK<0>(選択メモリブロック)が選択される。
【0084】
時刻t2で、行デコーダ40は、メインディジット線MDL<0>、サブデコード信号SDW<0>をHレベルに活性化する。これによって、ディジット線ドライバ60<0>のANDゲート62<0>および68<0>の出力がHレベルになるので、サブディジット線SDL<0>に接続された駆動トランジスタ66<0>が導通する。この結果、サブディジット線SDL<0>にデータ書込電流が流れる。
【0085】
次の時刻t3で、ビット線ドライバ80_0,80_1は、列デコーダ70_0,70_1からの列選択信号に応答して、選択列に対応するビット線BL<0>に書込データDinに応じた方向のデータ書込電流を流す。この結果、サブディジット線SDL<0>およびビット線BL<0>の両方にデータ書込電流が流れ、両者が交差する位置に近接して設けられた選択メモリセルにデータが書込まれる。
【0086】
時刻t4で、行デコーダ40は、メインディジット線MDL<0>およびサブデコード信号SDW<0>をLレベルに非活性化する。これによって、ディジット線ドライバ60<0>のANDゲート62<0>および68<0>の出力がLレベルに戻るので、駆動ト
ランジスタ66<0>が非導通になる。この結果、メモリブロックBK<0>におけるサブディジット線SDL<0>の電流I(SDL<0>)が停止して、選択メモリセルへのデータ書込が終了する。
【0087】
時刻t5で、列デコーダ70_0,70_1は、ブロック選択信号BS<0>をLレベルにする。また、列デコーダ70_0,70_1は、ビット線ドライバ80_0,80_1によるビット線BL<0>への電流I(BL<0>)の供給を停止する。
【0088】
次に、データ読出サイクルについて説明する。
行デコーダ40からの行選択信号を受けたワード線ドライバ50は、時刻t7に、杭打ちワード線CWL<0>をHレベルに活性化する。これによって、杭打ちワード線CWL<0>に接続されたワード線WL<0>がHレベルに活性化され、選択行のアクセストランジスタATRが導通する。さらに、列デコーダ70_1からの列選択信号を受けたビット線選択回路90は、選択列に対応するビット線BL<0>とセンスアンプ20_0とを接続する。センスアンプ20_0は、ビット線BL<0>を介して選択メモリセルに流れるデータ読出電流と基準電流との差を検知増幅する。
【0089】
次の時刻t8で、杭打ちワード線CWL<0>がLレベルに戻るので、ワード線WL<0>もLレベルに戻る。これによって、選択行のアクセストランジスタATRが非導通になる。さらに、ビット線選択回路90によって、ビット線BL<0>とセンスアンプ20_0との接続が切断される。
【0090】
図8は、実施の形態1におけるメモリセルMCの断面構造図である。
図8を参照して、p型半導体基板SUBの主面上には、アクセストランジスタATRが形成される。アクセストランジスタATRは、n型領域であるソース領域110およびドレイン領域112と、ゲートとを有する。ゲートは、ワード線WLと一体に形成される。半導体基板SUBの主面上には、第1から第5の金属配線層M1〜M5が、基板側からこの順で互いに層間絶縁膜を介して積層される。
【0091】
アクセストランジスタATRのソース領域110は、第1の金属配線層M1を用いて形成されたソース線SLと、コンタクトホールに形成された金属膜116を介して電気的に接続される。また、ゲートおよびワード線WLは、コンタクトホールに形成された金属膜114を介して、第2の金属配線層M2を用いて形成された杭打ちワード線CWLと電気的に接続される。
【0092】
メインディジット線MDLは、杭打ちワード線CWLの上層の第3の金属配線層M3を用いて形成される。さらにその上層の第4の金属配線層M4には、サブディジット線SDLが形成される。
【0093】
TMR素子は、サブディジット線SDLの上層に配置される。TMR素子は、固定された磁化方向を有する磁性体層(固定磁化層)PLと、データ書込電流によって生じるデータ書込磁界に応じた方向に磁化される磁性体層(自由磁化層)FLとを有する。固定磁化層PLおよび自由磁化層FLの間には、絶縁体膜で形成されるトンネルバリアISOが配置される。
【0094】
TMR素子は、コンタクトホールに形成された金属膜118およびバリアメタル120を介して、アクセストランジスタATRのドレイン領域112と電気的に接続される。バリアメタル120は、TMR素子と、金属膜との間を電気的に結合するために設けられる緩衝材である。ビット線BLは、TMR素子の自由磁化層FLと電気的に結合されて、TMR素子の上層の第5の金属配線層M5に設けられる。
【0095】
このように、実施の形態1のメモリセルMCでは、ソース線SL、杭打ちワード線CWL、メインディジット線MDL、サブディジット線SDL、およびビット線BLを形成するのに、全部で5層の金属配線層M1〜M5を必要とする。
【0096】
以上のとおり、実施の形態1の半導体装置のMRAM部6によれば、ワード線WLと複数箇所で電気的に接続された杭打ちワード線CWLが、複数のメモリブロックBKに共通に配設される。ワード線ドライバ50は、ワード線WLよりも抵抗が小さい杭打ちワード線CWLを用いて、ワード線WLの活性化信号を伝送する。したがって、メモリセルMCへの活性化信号の伝送を高速化することができ、メモリセルMCからのデータ読出が高速化される。
【0097】
また、杭打ちワード線CWLを用いることによって、ワード線ドライバ50を、複数のメモリブロックBKに共通に配置することができる。このため、ワード線ドライバ50を各メモリブロックBKごとに設けて、ワード線WLを直接活性化する場合に比べて、ワード線ドライバ50の配置に要する面積を削減することができる。
【0098】
一方、データ書込時にデータ書込電流を流すためのサブディジット線SDLは、各メモリブロックBKごとに分割されて設けられている。したがって、複数のメモリブロックBKに共通にディジット線が設けられている場合に比べて、ディジット線の配線抵抗を低減させることができる。この結果、データ書込に十分な大きさの電流を供給することができる。
【0099】
また、行アドレスに基づいたブロック選択信号BSを用いて、選択メモリセルを含むメモリブロックに設けられたサブディジット線SDLにのみ、データ書込電流を流すことができる。この結果、MRAM部6全体の消費電力を低減させることができ、また、未選択のメモリセルMCへの誤書込の可能性を減少させることができる。
【0100】
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1のメモリアレイの各構成要素の形状および配置などを変更することによって、メモリアレイの集積度をさらに高めることができる。本変形例では、図8の断面構造図のうち半導体基板から第2の金属配線層M2までの部分を変更する。具体的には、(i)メモリセルのソース領域の相互接続、(ii)ソース線の配線の変更、および(iii)ワード線と杭打ちワード線との接続部の形状および配置の変更を行なう。以下、図9〜図11を参照して詳しく説明する。なお、接続部は、杭打ち部またはシャント部とも称する。
【0101】
図9は、実施の形態1の変形例によるメモリアレイのパターンレイアウトを示す平面図である。
【0102】
また、図10は、図9の切断面線X−Xから見た断面図である。図9、図10は、本変形例に関係する半導体基板SUBから第2の金属配線層M2までのメモリアレイの構造を示している。また、図9では、各メモリセルMCの領域が、2点差線によって区分して示される。
【0103】
まず、(i)メモリセルのソース領域110の相互接続、および(ii)ソース線SLの配線の変更について説明する。
【0104】
図9、図10に示すように、各ワード線WLは、対応する行のメモリセルMCの中央部を通って行方向Xに延在する。各メモリセルMCでは、ワード線WLを挟んだ一方の側にアクセストランジスタATRのドレイン領域112が形成され、他方の側にソース領域110が形成される。このとき、Y方向に互いに隣接するメモリセルMCでは、ソース領域110が互いに対向するように配置される。
【0105】
本変形例では、さらに、互いに隣接するメモリセル行の境界に、行方向Xに延在するn型の不純物領域である相互接続領域110Aが形成される。相互接続領域110Aは、2行のメモリセル行ごとに配置される。各相互接続領域110Aと、その相互接続領域110Aに隣接する複数のメモリセルMCのソース領域110とは、一体的に形成される。これによって、複数のソース領域が相互接続領域110Aを介して相互に電気的に接続されることになる。
【0106】
また、第1の金属配線層M1を用いて形成されるソース線SLは、互いに隣接するメモリセル列の境界に形成され、列方向Yに延在する。図9の場合、ソース線SLは、2列のメモリセル列ごとに設けられる。ソース線SLと前述の相互接続領域110Aとは、互いの交差点で、コンタクトホールに形成された金属膜116によって接続される。これによって、各メモリセルMCのソース領域110は、ソース線SLの一端に設けられた接地ノードGNDと電気的に接続されることになる。
【0107】
図8に示すように、実施の形態1のメモリアレイでは、各メモリセルMCのソース領域110が、コンタクトホールに形成された金属膜116を介してソース線SLと個別に接続されていた。これに対して、本変形例では、メモリセルMCのソース領域110は、行方向Xに延在する相互接続領域110Aを介して相互に接続される。そして、ソース線SLは、相互接続領域110Aに接続される。したがって、各メモリセルMCのソース領域110を接地するのに必要なソース線SLの本数およびコンタクトホールの数を削減することができる。
【0108】
なお、各メモリセルMCのドレイン領域112は、コンタクトホールに形成された金属膜118によって上層のTMR素子(図示省略)と接続される。この点については実施の形態1と同様である。
【0109】
次に、(iii)ワード線WLと杭打ちワード線CWLとの接続部の形状および配置の変更について説明する。
【0110】
図9、図10に示すように、杭打ちワード線CWLは、第2の金属配線層M2を用いて、ワード線WLの直上に形成される。基板SUBの厚み方向から見ると、杭打ちワード線CWLは、ワード線WLを覆うようにワード線WLより幅広に形成される。
【0111】
ここで、実施の形態1の場合、図8に示すように、杭打ちワード線CWLは、コンタクトホールに形成された金属膜114を介して、直下のワード線WLと直接接続されていた。しかしながら、この場合、ワード線WLの線幅が細くなるにつれて、ワード線WLの上にコンタクトホールを設けることが困難になると考えられる。
【0112】
そこで、コンタクトホールを形成するために、図9の各ワード線WLには、ワード線WLの幅方向(列方向Y)に突出する矩形状の複数の凸パターン部122が設けられる。凸パターン部122は、互いに隣接するメモリセル列の境界のうち、前述のソース線SLが設けられたメモリセル列の境界を除いた一部に配置される。本変形例の場合、各ワード線WLの凸パターン部122は、4個のメモリセルMCごとに1個ずつ配置される。
【0113】
凸パターン部122の突出方向は、前述の相互接続領域110Aと離反する方向になる。もし、相互接続領域110Aに近接する方向に凸パターン部122を突出させると、ワード線WLに印加されたゲート電圧が、相互接続領域110Aを流れる電流に影響を及ぼすことになるからである。したがって、互いに隣接するワード線WLでは、凸パターン部122の突出方向を互いに反対方向にして、ワード線WLと相互接続領域110Aとの間に所定の間隔を確保する。
【0114】
また、同一のメモリセル列の境界には、互いに隣接するワード線WLの凸パターン部122が両方とも設けられることはない。この理由は、もし、互いに隣接するワード線WLの凸パターン部122が両方とも同一のメモリセル列の境界に設けられていたとすると、これらの凸パターン部122は互いに対向し、近接して配置されることになる。このため、互いに隣接する一方のワード線WLに印加されたゲート電圧が他方のワード線WLに影響を及ぼすことになり誤動作の原因になるからである。
【0115】
各凸パターン部122は、図9、図10に示すように、コンタクトホールに形成された金属膜124Aを介して、第1の金属配線層M1に形成された金属膜124Bと接続される。さらに、第1の金属配線層M1に形成された金属膜124Bは、コンタクトホールに形成された金属膜124Cを介して、杭打ちワード線CWLと接続される。このように、ワード線WLの凸パターン部122と杭打ちワード線CWLとは、接続部124A,124B,124C(総称するとき接続部124と記載する。)を介在して接続される。本変形例の場合、上述のように凸パターン部122の配置を工夫することによって、凸パターン部122の設置による新たなエリアペナルティが生じないようにしている。
【0116】
図11は、実施の形態1の変形例によるメモリブロックの回路図である。図11では、図6のメモリブロックBK<0>に対応する部分の回路図と、各メモリセルと各配線との接続とが示される。
【0117】
図11を参照して、メモリブロックBK<0>に設けられた複数のメモリセルMCは、l本(図11の場合、lは4以上の偶数)のビット線BL<0>〜<l−1>と、m×n本(m,nは2以上の整数)の杭打ちワード線CWL<0>〜CWL<mn−1>とが交差する位置に設けられる。図11では、4本の杭打ちワード線CWL<0>〜CWL<3>のみを図示している。
【0118】
各メモリセルMCのアクセストランジスタATRのゲートが接続されるワード線WLは、対応する杭打ちワード線CWLと複数の接続部124を介して接続される。前述のように、接続部124は、互いに隣接するメモリセルMCの境界に4個のメモリセルMCごとに設けられる。また、偶数番のワード線WL<0>,WL<2>,…の接続部124と、奇数番のワード線WL<1>,WL<3>,…の接続部124とは異なる列に配置される。具体的には、図11に示すように、偶数番のワード線WLの接続部124が設けられた列と、奇数番のワード線WLの接続部124が設けられた列との間に、各ソース線SLが設けられる。
【0119】
相互接続領域110Aは、互いに隣接するメモリセル行の境界に2行のメモリセル行ごとに設けられる。たとえば、図11の場合、相互接続領域110Aは、ワード線WL<0>に対応する第0番のメモリセル行と、ワード線WL<1>に対応する第1番のメモリセル行との間に設けられる。同様に、第2番と第3番のメモリセル行との間、第4番と第5番のメモリセル行との間に相互接続領域110Aが設けられる。相互接続領域110Aは、図11で太線で表示される。各相互接続領域110Aには、その両側のメモリセルMCのアクセストランジスタATRのソースが接続される。
【0120】
ソース線SL<0>〜SL<(l−2)/2>は、互いに隣接するメモリセル列の境界に2列のメモリセル列ごとに設けられる。たとえば、図11の場合、ソース線SL<0>は、ビット線BL<0>に対応する第0番のメモリセル列と、ビット線BL<1>に対応する第1番のメモリセル列の間に設けられる。同様に、第2番と第3番のメモリセル列の間にソース線SL<1>が設けられ、第4番と第5番のメモリセル列の間にソース線SL<2>が設けられる。各ソース線SLと各相互接続領域110Aとは、互いの交差点で接続される。また、ソース線SLの一端は、接地ノードGNDに接続される。
【0121】
その他の点については、実施の形態1と同様である。すなわち、サブディジット線SDLは、対応するメモリセル行に設けられたメモリセルMCのTMR素子に近接して行方向Xに配線される。また、メインディジット線MDLは、対応する複数のサブディジット線SDLごとに1本ずつ配置される。図11では、サブディジット線SDL<0>〜SDL<3>に対応して、メインディジット線MDL<0>が設けられる。
【0122】
以上のとおり、実施の形態1の変形例のメモリアレイによれば、複数のメモリセルMCのソース領域110が、行方向Xに延在する相互接続領域110Aを介して相互に接続される。そして、相互接続領域110Aは、コンタクトホールに形成された金属膜116を介してソース線SLに接続される。このため、各メモリセルMCのソース領域110を接地するのに必要なソース線SLの本数およびコンタクトホールの数を削減することができる。
【0123】
また、ワード線WLと杭打ちワード線CWLとを接続するために、ワード線WLには、ワード線WLの幅方向に突出する複数の凸パターン部122が設けられる。このとき、凸パターン部122の配置を工夫することによって、凸パターン部122の設置による新たなエリアペナルティを生じないようにすることができる。
【0124】
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2におけるメモリアレイ10A_0の構成を説明するための図である。図12のメモリアレイ10A_0は、図5の実施の形態1のメモリアレイ10_0を変形したものである。
【0125】
図12を参照して、メモリアレイ10A_0は、実施の形態1と同様に、行方向Xに配置されるk個(kは2以上の整数)のメモリブロックBK<0>〜BK<k−1>(総称するとき、メモリブロックBKと称する。)を含む。ただし、図12では、簡単のためにk=4の場合を図示している。
【0126】
各メモリブロックBKは、X,Y方向に沿って行列状に配列された複数のメモリセルMCを含む。図12に示すように、各メモリブロックBKごとに、X方向にm×n行(m,nは2以上の整数)、Y方向にl列(lは2以上の整数)のメモリセルMCが設けられる。メモリアレイ10A_0全体では、X方向にm×n行、Y方向にk×l列(図12では、4×l列)のメモリセルMCが配置される。
【0127】
さらに、メモリアレイ10A_0は、実施の形態1と同様に、複数のビット線BLと、ビット線ドライバ80_0,80_1、およびビット線選択回路90を含む。
【0128】
ビット線BLは、各メモリセル列に対応して設けられる。メモリアレイ10A_0全体で、メモリセル列と同数のk×l本のビット線BL<0>〜BL<kl−1>が列方向Yに沿って配設される。
【0129】
ビット線ドライバ80_0,80_1は、メモリブロックBKの列方向Yの両側にそれぞれ設けられる。ビット線ドライバ80_0,80_1の出力ノードは、ビット線BL<0>〜BL<kl−1>に接続される。ビット線ドライバ80_0,80_1は、データ書込時に、列デコーダ70_0,70_1からの列選択信号に基づいて、選択列に設けられたビット線BLに、書込データDinに応じた方向のデータ書込電流を流す。また、ビット線選択回路90は、データ読出時に、列デコーダ70_1からの列選択信号を受けて、選択列のビット線BLのデータをセンスアンプ20_0に伝送するためのゲートとして機能する。
【0130】
メモリアレイ10A_0は、さらに、実施の形態1と同様に、複数のメインディジット線MDL、複数のサブディジット線SDL、およびディジット線ドライバ60とを含む。
【0131】
メインディジット線MDLは、k個(実施の形態2では、k=4)のメモリブロックBKで共通に設けられる。メモリアレイ10_0全体で、m本のメインディジット線MDL<0>〜MDL<m−1>が、行方向Xに沿って設けられる。
【0132】
これに対して、サブディジット線SDLは、各メモリブロックBKごとに設けられる。各メモリブロックでは、m×n本のサブディジット線SDL<0>〜SDL<mn−1>が、m×n行のメモリセル行にそれぞれ対応して設けられる。
【0133】
各メモリブロックBKに属するm×n本のサブディジット線SDLは、互いに隣接するn本ずつのサブディジット線SDLによって1つの行グループを構成する。サブディジット線SDL全体は、m個の行グループを構成することになる。メインディジット線MDLは、m個の行グループにそれぞれ対応する。
【0134】
ディジット線ドライバ60<0>〜60<k−1>は、メモリブロックBK<0>〜BK<k−1>にそれぞれ対応して設けられる。データ書込時に、実施の形態1と同様に、各ディジット線ドライバ60は、メインディジット線MDLのメインデコード信号と、nビットのサブデコード信号SDW<0>〜SDW<n−1>とを、行デコーダ40Aから受信する。
【0135】
各ディジット線ドライバ60は、さらに、対応するブロック選択信号BS<0>〜BS<k−1>を列デコーダ70_0から受信する。ブロック選択信号BSによって、メモリブロックBKのうちの1つが選択される。選択されたメモリブロックBKに設けられる前述の行グループのうち1つの行グループが、メインディジット線MDL上を流れるメインデコード信号によって選択される。さらに、選択された行グループに属する1本のサブディジット線SDLが、サブデコード信号SDWによって選択される。ディジット線ドライバ60は、選択されたサブディジット線SDLにデータ書込電流を流す。
【0136】
メモリアレイ10A_0は、さらに、メインワード線MWL、ワード線WL、杭打ちワード線CWL0,CWL1、およびワード線ドライバ50Aを含む。
【0137】
ワード線WL(次図13に図示)は、実施の形態1と同様に、各メモリブロックBKごとに配設される。各メモリブロックBKでは、m×n本のワード線WL<0>〜WL<mn−1>がメモリセル行に対応して設けられる。ワード線WLは、対応するメモリセル行に設けられるメモリセルMCのアクセストランジスタATRのゲート電極と一体化して、ポリシリコンやポリサイドなどを用いて形成される。
【0138】
一方、杭打ちワード線CWL0,CWL1およびワード線ドライバ50の配置は、実施
の形態1と異なる。さらに、実施の形態2では、m本のメインワード線MWL<0>〜MWL<m−1>が、行方向Xに沿って設けられる。
【0139】
杭打ちワード線は、複数の第1の杭打ちワード線CWL0<0>〜CWL0<mn−1>と、複数の第2の杭打ちワード線CWL1<0>〜CWL1<mn−1>とを含む。
【0140】
第1の杭打ちワード線CWL0は、複数のメモリブロックBKのうち、メモリアレイ10A_0の行方向Xの一方側(図12の左側)に配置される複数のメモリブロックBKに共通に設けられる。第2の杭打ちワード線CWL1は、第1の杭打ちワード線CWL0が配置されたメモリブロックBKを除く複数のメモリブロックBKに共通に設けられる。好ましくは、第1の杭打ちワード線CWL0が配置されるメモリブロックBKの数と、第2の杭打ちワード線CWL1が配置されるメモリブロックBKの数とが、等しく設定される。これらの杭打ちワード線CWL0,CWL1は、メモリセル行にそれぞれ対応して設けられる。杭打ちワード線CWL0,CWL1は、金属材料によって形成され、対応するメモリセル行に設けられるワード線WLと複数箇所で電気的に接続される。
【0141】
ワード線ドライバ50Aは、第1の杭打ちワード線CWL0が配置されるメモリブロックBKと、第2の杭打ちワード線CWL1が配置されるメモリブロックBKとの間に設けられる。たとえば、図12のように、メモリブロックBKの個数がk=4の場合、メモリブロックBK<0>,BK<1>と、メモリブロックBK<2>,BK<3>との間に設けられる。この場合、杭打ちワード線CWL0,CWL1は、ワード線ドライバ50Aを起点として、ワード線ドライバ50Aの行方向Xの両側に延在する。
【0142】
このように、杭打ちワード線が2分割されることによって、各々の杭打ちワード線CWL0,CWL1の配線抵抗が、実施の形態1の場合に比べて低減する。この結果、実施の形態2では、杭打ちワード線CWLによる信号伝送が、実施の形態1の場合に比べて高速になる。このとき、ワード線ドライバ50Aは、分割された杭打ちワード線CWLの中央に配置されるので、ワード線ドライバ50Aの配置に要する面積は、実施の形態1の場合とほとんど変わらない。
【0143】
サブディジット線SDLの場合と同様に、杭打ちワード線CWL0,CWL1も、互いに隣接するn本ごとに行グループを構成すると考えることができる。ワード線ドライバ50Aに対して行方向Xの一方側(図12の左側)では、n本ずつの杭打ちワード線CWL0で1つの行グループが構成される。また、ワード線ドライバ50Aに対して行方向Xの他方側(図12の右側)では、n本ずつの杭打ちワード線CWL1で1つの行グループが構成される。
【0144】
メインワード線MWLは、行デコーダ40Aとワード線ドライバ50Aとの間に、行方向Xに沿って配設される。m本のメインワード線MWLの各々が、杭打ちワード線CWL0によって構成される行グループと、杭打ちワード線CWL1によって構成される行グループとに対応する。たとえば、メインワード線MWL<0>は、杭打ちワード線CWL0<0>〜CWL0<n−1>によって構成される行グループと、杭打ちワード線CWL1<0>〜CWL1<n−1>によって構成される行グループとに対応する。同様に、メインワード線MWL<m−1>は、杭打ちワード線CWL0<mn−n>〜CWL0<mn−1>によって構成される行グループと、杭打ちワード線CWL1<mn−n>〜CWL1<mn−1>によって構成される行グループとに対応する。
【0145】
データ読出時に行デコーダ40Aから出力される行選択信号には、メインワード線MWL上を流れるメインデコード信号と、nビットのサブデコード信号SDR<0>〜SDR<n−1>とが用いられる。データ読出時には、メインワード線MWL上を流れるメイン
デコード信号によって、前述の杭打ちワード線CWL0,CWL1によって構成される行グループが1つずつ選択される。さらに、サブデコード信号SDRによって、選択された行グループに属する杭打ちワード線CWL0,CWL1のうち、選択列に対応する杭打ちワード線CWL0,CWL1が1本ずつ選択されて活性化される。
【0146】
図13は、図12のメモリブロックBK<2>、ディジット線ドライバ60<2>、およびワード線ドライバ50Aの構成を示す回路図である。図13のメモリブロックBK<2>およびディジット線ドライバ60<2>は、図12のメモリブロックBK<0>〜BK<3>、およびディジット線ドライバ60<0>〜60<3>をそれぞれ代表するものである。ここで、図13のメモリブロックBK<2>、およびディジット線ドライバ60<2>の構成は、実施の形態1の図6で説明したものと同様であるので、説明を繰り返さない。以下では、ワード線ドライバ50Aの構成について説明する。
【0147】
図13を参照して、ワード線ドライバ50Aは、m×n個のインバータ51<0>〜51<mn−1>(総称するとき、インバータ51と称する。)と、m×n個のインバータ52<0>〜52<mn−1>(総称するとき、インバータ52と称する。)と、m×n個のNANDゲート54<0>〜54<mn−1>(総称するとき、NANDゲート54と称する。)とを含む。
【0148】
インバータ51<0>〜51<mn−1>は、行方向Xの一方側のm×n本の杭打ちワード線CWL0<0>〜CWL0<mn−1>にそれぞれ対応して設けられる。同様に、インバータ52<0>〜52<mn−1>は、行方向Xの他方側のm×n本の杭打ちワード線CWL1<0>〜CWL1<mn−1>にそれぞれ対応して設けられる。また、NANDゲート54<0>〜54<mn−1>は、ワード線ドライバ50Aに対して行方向Xの一方側のm×n本の杭打ちワード線CWL0<0>〜CWL0<mn−1>にそれぞれ対応するとともに、他方側のm×n本の杭打ちワード線CWL1<0>〜CWL1<mn−1>にもそれぞれ対応する。
【0149】
これらのインバータ51,52およびNANDゲート54は、杭打ちワード線CWL0,CWL1と同様に、n個ずつの行グループを構成すると考えることができる。各行グループにはメインワード線MWLが1本ずつ対応する。
【0150】
同一の行グループに属するn個のNANDゲート54の一方の入力端子には、対応するメインワード線MWLが共通に接続される。同一の行グループに属するn個のNANDゲート54の他方の入力端子には、n本のサブデコード信号SDR<0>〜<n−1>の信号線が個別に接続される。たとえば、メインワード線MWL<0>に対応するNANDゲート54<0>〜54<n−1>の他方の入力端子には、サブデコード信号SDR<0>〜SDR<n−1>の信号線がそれぞれ接続される。同様に、メインワード線MWL<m−1>に対応するNANDゲート54<mn−n>〜54<mn−1>の他方の入力端子には、サブデコード信号SDR<0>〜SDR<n−1>がそれぞれ接続される。
【0151】
NANDゲート54の出力は分岐し、分岐した出力の一方は、インバータ51に入力され、このインバータ51が対応する杭打ちワード線CWL0を駆動する。また、分岐した出力の他方は、インバータ52に入力され、このインバータ52が対応する杭打ちワード線CWL1を駆動する。
【0152】
以上のワード線ドライバ50Aの構成によれば、共に活性化されたメインワード線MWLおよびサブデコード信号SDRの信号線に接続されたNANDゲート54の出力が、Lレベルに活性化される。この結果、活性化されたNANDゲート54に接続されたインバータ51,52の出力がHレベルに活性化され、インバータ51,52の出力を受けて杭
打ちワード線CWL0,CWL1がHレベルに活性化される。このようにして、メインワード線MWL上を流れるメインデコード信号とサブデコード信号SDRとによって、複数の杭打ちワード線CWL0,CWL1のうち、選択行に対応する杭打ちワード線CWL0,CWL1が活性化される。
【0153】
次に、選択メモリセルへのデータ書込、データ読出の手順を具体的なタイミングチャートを参照して説明する。
【0154】
図14は、メモリアレイ10A_0のメモリセルMCへのデータ書込動作およびデータ読出動作を示すタイミングチャートである。図14において横軸は時間を表し、縦軸は上から順に、クロック信号CLK、読出許可信号RE、書込許可信号WE、メインワード線MWL<0>の電圧波形、メインディジット線MDL<0>の電圧波形、ブロック選択信号BSの電圧波形、サブデコード信号SDWの電圧波形、メモリブロックBK<2>におけるサブディジット線SDL<0>の電流波形I(SDL<0>)、ビット線BL<2l>の電流波形I(BL<2l>)、サブデコード信号SDRの電圧波形、杭打ちワード線CWL1<0>の電圧波形、メモリブロックBK<2>におけるワード線WL<0>の電圧波形を示す。
【0155】
以下、図13のメモリブロックBK<2>に設けられた複数のメモリセルMCのうち、杭打ちワード線CWL1<0>およびビット線BL<2l>の交差点に近接して設けられたメモリセルMCを選択して、この選択メモリセルへのデータ書込/読出手順について、図12〜図14を参照して説明する。
【0156】
ここで、データ書込/データ読出は、クロック信号CLKに同期して実行される。書込許可信号WEがHレベルに活性化されている時刻t0〜時刻t6が、選択メモリセルにデータ書込が行なわれる書込サイクルになる。また、読出許可信号REがHレベルに活性化されている時刻t6〜時刻t9が、選択メモリセルからデータ読出が行なわれる読出サイクルになる。まず、データ書込サイクルについて説明する。
【0157】
時刻t1において、列デコーダ70_0は、ブロック選択信号BS<2>をHレベルに活性化する。このとき、他のブロック選択信号BS<0>,BS<1>,BS<3>はLレベルのまま維持される。これによって、選択メモリセルを含むメモリブロックBK(選択メモリブロック)が選択される。
【0158】
時刻t2で、行デコーダ40Aは、メインディジット線MDL<0>、サブデコード信号SDW<0>をHレベルに活性化する。これによって、ディジット線ドライバ60<2>のANDゲート62<0>および68<0>の出力がHレベルになるので、サブディジット線SDL<0>に接続された駆動トランジスタ66<0>が導通する。この結果、サブディジット線SDL<0>にデータ書込電流が流れる。
【0159】
次に、列デコーダ70_0,70_1から列アドレス信号CAに基づく列選択信号を受けたビット線ドライバ80_0,80_1は、時刻t3で、ビット線BL<2l>に書込データDinに応じた方向のデータ書込電流を流す。この結果、サブディジット線SDL<0>およびビット線BL<2l>の両方にデータ書込電流が流れ、両者が交差する位置に近接して設けられた選択メモリセルにデータが書込まれる。
【0160】
時刻t4で、行デコーダ40Aは、メインディジット線MDL<0>およびサブデコード信号SDW<0>をLレベルに非活性化する。これによって、ディジット線ドライバ60<2>のANDゲート62<0>および68<0>の出力がLレベルに戻るので、駆動トランジスタ66<0>が非導通になる。この結果、メモリブロックBK<2>における
サブディジット線SDL<0>の電流I(SDL<0>)が停止して、選択メモリセルへのデータ書込が終了する。
【0161】
時刻t5で、列デコーダ70_0,70_1は、ブロック選択信号BS<2>をLレベルにする。また、列デコーダ70_0,70_1は、ビット線ドライバ80_0,80_1によるビット線BL<2l>への電流I(BL<2l>)の供給を停止する。
【0162】
次に、データ読出サイクルについて説明する。
行デコーダ40Aからの行選択結果を受けたワード線ドライバ50Aは、時刻t7に、メインワード線MWL<0>およびサブデコード信号SDR<0>を活性化する。これによって、杭打ちワード線CWL0<0>およびCWL1<0>がHレベルに活性化される。この結果、杭打ちワード線CWL0<0>およびCWL1<0>に接続されたワード線WL<0>がHレベルに活性化され、選択行のアクセストランジスタATRが導通する。さらに、列デコーダ70_1からの列選択信号を受けたビット線選択回路90は、選択列に対応するビット線BL<2l>とセンスアンプ20_0とを接続する。センスアンプ20_0は、ビット線BL<2l>を介して選択メモリセルに流れるデータ読出電流と基準電流との差を検知増幅する。
【0163】
次の時刻t8で、杭打ちワード線CWL<0>がLレベルに戻るので、ワード線WL<0>もLレベルに戻る。これによって、選択行のアクセストランジスタATRが非導通になる。さらに、ビット線選択回路90によって、ビット線BL<2l>とセンスアンプ20_0との接続が切断される。
【0164】
図15は、実施の形態2におけるメモリセルMCの断面構造図である。図15は、図12に示すメモリアレイ10A_0において、行デコーダ40Aとワード線ドライバ50Aとの間に配置されたメモリセルMCを、列方向Yに沿って切断した断面を模式的に示すものである。
【0165】
図15を参照して、p型半導体基板SUBの主面上には、アクセストランジスタATRが形成される。アクセストランジスタATRは、n型領域であるソース領域110およびドレイン領域112と、ゲートとを有する。ゲートは、ワード線WLと一体に形成される。半導体基板SUBの主面上には、第1から第5の金属配線層M1〜M5が、基板側からこの順で互いに層間絶縁膜を介在させて積層される。
【0166】
アクセストランジスタATRのソース領域110は、コンタクトホールに形成された金属膜116を介して、第1の金属配線層M1を用いて形成されたソース線SLと電気的に接続される。また、ゲートおよびワード線WLは、コンタクトホールに形成された金属膜114を介して、第2の金属配線層M2を用いて形成された杭打ちワード線CWL0と電気的に接続される。
【0167】
メインディジット線MDLおよびメインワード線MWLは、杭打ちワード線CWL0の上層の第3の金属配線層M3を用いて形成される。m×n行のメモリセルMCが行方向Xに配置されるのに対して、メインディジット線MDLおよびメインワード線MWLは合計で2×m本である。したがって、これらの配線を同一の金属配線層に配置することは十分に可能である。
【0168】
サブディジット線SDLは、第4の金属配線層M4を用いて形成される。また、TMR素子は、サブディジット線SDLの上層に配置される。TMR素子は、固定された磁化方向を有する磁性体層(固定磁化層)PLと、データ書込電流によって生じるデータ書込磁界に応じた方向に磁化される磁性体層(自由磁化層)FLとを有する。固定磁化層PLお
よび自由磁化層FLの間には、絶縁体膜で形成されるトンネルバリアISOが配置される。
【0169】
TMR素子は、コンタクトホールに形成された金属膜118およびバリアメタル120を介して、アクセストランジスタATRのドレイン領域112と電気的に接続される。バリアメタル120は、TMR素子と、金属膜との間を電気的に結合するために設けられる緩衝材である。ビット線BLは、TMR素子の自由磁化層FLと電気的に結合されて、TMR素子の上層の第5の金属配線層M5に設けられる。
【0170】
このように、実施の形態2のメモリセルMCでは、ソース線SL、杭打ちワード線CWL0、メインディジット線MDL、メインワード線MWL、サブディジット線SDL、およびビット線BLを形成するのに、実施の形態1と同様に全部で5層の金属配線層M1〜M5を必要とする。
【0171】
以上のとおり、実施の形態2の半導体装置1のMRAM部によれば、杭打ちワードが2分割されることによって、各々の杭打ちワード線CWL0,CWL1の配線抵抗が、実施の形態1の場合に比べて低減する。この結果、実施の形態2では、杭打ちワード線CWLによる信号伝送が、実施の形態1の場合に比べて高速になる。このとき、ワード線ドライバ50Aは、分割された杭打ちワード線CWLの中央に配置されるので、ワード線ドライバ50Aの配置に要する面積は、実施の形態1の場合とほとんど変わらない。
【0172】
一方、データ書込時にデータ書込電流を流すためのサブディジット線SDLは、実施の形態1と同様に、各メモリブロックBKごとに分割されて設けられている。したがって、複数のメモリブロックBKに共通にディジット線が設けられている場合に比べて、ディジット線の配線抵抗を低減させることができる。この結果、データ書込に十分な大きさの電流を供給することができる。
【0173】
さらに、実施の形態1と同様に、列アドレス信号CAに基づいたブロック選択信号BSを用いて、選択メモリセルを含むメモリブロックに設けられたサブディジット線SDLにのみ、データ書込電流を流すことができる。この結果、MRAM部全体の消費電力を低減させることができ、また、未選択のメモリセルMCへの誤書込の可能性を減少させることができる。
【0174】
なお、図15の断面構造図のうち半導体基板SUBから第2の金属配線層M2までの構成は、図8の実施の形態1の断面構造図と同様である。したがって、実施の形態1の変形例の場合と同様に、(i)メモリセルのソース領域の相互接続、(ii)ソース線の配線の変更、および(iii)ワード線と杭打ちワード線との接続部の形状および配置の変更を行なうことによって、メモリアレイの集積度をさらに高めることができる。
【0175】
[実施の形態2の変形例]
必要十分な書込電流を確保するために、ディジット線DLの駆動回路の電源電圧をワード線WLの駆動回路の電源電圧よりも高く設定する場合がある。たとえば、MRAM部全体の消費電力を低減させる場合に、このような複数の内部電圧が必要になる。
【0176】
具体的には、図13でサブディジット線SDLを接続する電源電圧をVDD2に増加させる。さらに、ディジット線ドライバ60の駆動トランジスタ66のゲート駆動電圧を増加するために、ANDゲート68を駆動する電源電圧をVDD2に増加させるとともに、ANDゲート68の入力信号の電圧レベルも増加させる。そこで、実施の形態2の変形例では、メインデコード信号をメインディジット線MDLに出力する前に、行デコーダ40Bに設けたレベルシフタ45によってメインデコード信号のHレベルの電圧をVDD2に増加させる。
【0177】
図16は、実施の形態2の変形例における行デコーダ40Bの構成を概略的に示すブロック図である。
【0178】
図16を参照して、行デコーダ40Bは、デコーダ41と、m個のインバータ42と、
それぞれm個のANDゲート43および44と、m個のレベルシフタ(電圧レベルシフト回路)45とを含む。インバータ42およびANDゲート43,44の動作電圧はVDD1であり、レベルシフタ45の動作電圧はVDD1より大きいVDD2である。
【0179】
デコーダ41は、行アドレス信号RAに基づくメインデコード結果をm個のインバータ42に出力する。ANDゲート43および44の各一方の入力端子には、対応するインバータ42の出力信号が与えられる。また、ANDゲート43の他方の入力端子には、読出許可信号REが共通に与えられ、ANDゲート44の他方の入力端子には、書込許可信号WEが共通に与えられる。
【0180】
このとき、インバータ42の出力がHレベルであって、読出許可信号REがHレベルに活性化されている場合には、ANDゲート43は、Hレベル(電圧VDD1)のメインデコード信号をメインワード線MWLに出力する。
【0181】
一方、インバータ42の出力がHレベルであって、書込許可信号WEがHレベルに活性化されている場合には、ANDゲート44の出力がHレベル(電圧VDD1)になる。このとき、レベルシフタ45は、ANDゲート44の出力を受けて、その電圧レベルをVDD2に増加させる。そして、電圧レベルの増加したメインデコード信号が、メインディジット線MDLに出力される。
【0182】
図17は、実施の形態2の変形例におけるメモリブロックBK<2>、ディジット線ドライバ60A<2>、およびワード線ドライバ50Aの構成を示す回路図である。ディジット線ドライバ60A<0>〜60A<3>は、実施の形態2のディジット線ドライバ60<0>〜60<3>を変形したものである。図17では、ディジット線ドライバ60A<0>〜60A<3>を代表してディジット線ドライバ60A<2>の構成を示している。
【0183】
図17を参照して、ディジット線ドライバ60A<2>は、n個のANDゲート62の出力側に設けられたn個のレベルシフタ63を含む点で、図13のディジット線ドライバ60<2>と異なる。レベルシフタ63は、対応するANDゲート62の出力を受け、その電圧レベルをVDD2まで増加させた後、ANDゲート68に出力する。
【0184】
既に説明したように、実施の形態2の変形例では、ANDゲート68の入力信号の電圧レベルをVDD2に増加させる必要がある。そこで、レベルシフタ63を設けることによって、前述のメインディジット線MDLを流れるメインデコード信号に加えて、ANDゲート68の他方の入力信号についてもHレベルの電圧をVDD2に増加させる。この場合、サブデコード信号SDWおよびブロック選択信号BSのHレベルの電圧は、VDD2より低いVDD1である。また、ANDゲート62の駆動電圧もVDD1である。
【0185】
なお、ディジット線ドライバ60A<2>にレベルシフタ63を設ける代わりに、行デコーダ40Bおよび列デコーダ70_0にレベルシフタを設けて、サブデコード信号SDWおよびブロック選択信号BSのHレベルの電圧を予めVDD2に増加させてもよい。この場合、ANDゲート62の駆動電圧もVDD2に増加させる必要がある。
【0186】
なお、図17のその他の構成については、実施の形態2の図13で説明したものと同様であるので、説明を繰り返さない。
【0187】
このように、実施の形態2の変形例では、行デコーダ40Bにメインディジット線MDLの本数に等しいm個のレベルシフタ45を設けることによって、メインデコード信号の信号レベルを増加させる。さらに、各メモリブロックBKのANDゲート62の出力側に
n個のレベルシフタ63を設けることによって、サブデコード信号の信号レベルを増加させる。この結果、駆動トランジスタ66のゲート駆動電圧を増加させて、サブディジット線を流れるデータ書込電流を増大させることを可能になる。
【0188】
ここで、駆動トランジスタ66のゲート電極の直前にレベルシフタを設けることによって、駆動トランジスタ66のゲート駆動電圧を増加させることも可能である。しかし、この場合には、各メモリブロックBKごとに駆動トランジスタ66の数に等しいm×n個のレベルシフタが必要になる。したがって、実施の形態2の変形例の方法によれば、駆動トランジスタのゲート電極の直前にレベルシフタを設ける場合よりも、レベルシフタの個数が少なくできる利点がある。なお、実施の形態1においても同様の方法によって、サブディジット線SDLに流れる書込電流を増加させることができる。
【0189】
[実施の形態3]
実施の形態1のMRAM部6は、杭打ちワード線CWLを設けることによって、高速なデータ読出が可能になるとともに、行選択のための回路の面積を減少させることができる。しかし、メモリセルの構造の点からは、実施の形態1のMRAM部6は、杭打ちワード線CWLの分だけ金属配線層が増加するので、全部で5層の金属配線層が必要である。
【0190】
実施の形態3のMRAM部6では、データ書込時の行選択信号を杭打ちワード線CWLを用いてディジット線ドライバ60に伝送させる。これによって、メインディジット線MDLが不要となるので、実施の形態1のMRAM部6よりも1層分の金属配線層を削減することが可能になる。さらに、ラッチ回路92を設けて杭打ちワード線CWLの活性化状態を保持することによって、杭打ちワード線CWLが活性化するタイミングと、ビット線BLに電流が流れるタイミングとをずらす工夫がなされている。
【0191】
図18は、実施の形態3におけるメモリアレイ10C_0の構成を説明するための図である。図18のメモリアレイ10C_0は、図5の実施の形態1のメモリアレイ10_0を変形したものである。
【0192】
図18を参照して、メモリアレイ10C_0は、実施の形態1と同様に、行方向Xに配置されるk個(kは2以上の整数)のメモリブロックBK<0>〜BK<k−1>(総称するとき、メモリブロックBKと称する。)を含む。
【0193】
各メモリブロックBKは、X,Y方向に沿って行列状に配列された複数のメモリセルMCを含む。図18に示すように、各メモリブロックBKごとに、X方向にp行(pは2以上の整数)、Y方向にl列(lは2以上の整数)のメモリセルMCが設けられる。メモリアレイ10C_0全体では、X方向にp行、Y方向にk×l列のメモリセルMCが配置される。
【0194】
さらに、メモリアレイ10C_0は、実施の形態1と同様に、複数のビット線BLと、ビット線ドライバ80_0,80_1、およびビット線選択回路90を含む。
【0195】
ビット線BLは、各メモリセル列に対応して設けられる。メモリアレイ10C_0全体で、メモリセル列と同数のk×l本のビット線BL<0>〜BL<kl−1>が列方向Yに沿って配設される。
【0196】
ビット線ドライバ80_0,80_1は、メモリブロックBKの列方向Yの両側にそれぞれ設けられる。ビット線ドライバ80_0,80_1の出力ノードは、ビット線BL<0>〜BL<kl−1>に接続される。ビット線ドライバ80_0,80_1は、データ書込時に、列デコーダ70_0,70_1からの列選択信号に基づいて、選択列に設けら
れたビット線BLに、書込データDinに応じた方向のデータ書込電流を流す。また、ビット線選択回路90は、データ読出時に、列デコーダ70_1からの列選択信号を受けて、選択列のビット線BLのデータをセンスアンプ20_0に伝送するためのゲートとして機能する。
【0197】
メモリアレイ10C_0は、さらに、ワード線WL、杭打ちワード線CWL1、およびワード線ドライバ50Cを含む。
【0198】
ワード線WL(図19に図示)は、実施の形態1と同様に、各メモリブロックBKごとに配設される。各メモリブロックBKでは、p本のワード線WL<0>〜WL<p−1>がメモリセル行に対応して設けられる。ワード線WLは、対応するメモリセル行に設けられるメモリセルMCのアクセストランジスタATRのゲート電極と一体化して、ポリシリコンやポリサイドなどを用いて形成される。
【0199】
杭打ちワード線CWLは、実施の形態1と同様に、k個のメモリブロックBKに共通に配設される。メモリアレイ10C_0全体で、p本の杭打ちワード線CWL<0>〜CWL<p−1>が、メモリセル行に対応して設けられる。杭打ちワード線CWLは、金属材料によって形成され、対応するメモリセル行に設けられるワード線WLと複数箇所で電気的に接続される。
【0200】
ワード線ドライバ50Cは、k個のメモリブロックBKに共通に、行デコーダ40Cに近接して配置される。ワード線ドライバ50Cの出力ノードは、杭打ちワード線CWLに接続される。ワード線ドライバ50Cは、データ読出時およびデータ書込時の両方の場合に、行アドレス信号RAに基づく行選択信号を行デコーダ40Cから受けて、杭打ちワード線CWLに出力する。このように、杭打ちワード線CWLがデータ読出時の行選択信号だけでなくデータ書込時の行選択信号も伝送する点で、実施の形態3は実施の形態1と異なる。
【0201】
メモリアレイ10C_0は、さらに、複数のサブディジット線SDL、およびディジット線ドライバ60Cとを含む。
【0202】
サブディジット線SDLは、実施の形態1と同様に、各メモリブロックBKごとに設けられる。各メモリブロックでは、p本のサブディジット線SDL<0>〜SDL<p−1>が、p行のメモリセル行にそれぞれ対応して設けられる。
【0203】
ディジット線ドライバ60C<0>〜60<k−1>は、メモリブロックBK<0>〜BK<k−1>にそれぞれ対応して設けられる。各ディジット線ドライバ60Cは、p本の杭打ちワード線CWLによって行選択信号を受信するとともに、行デコーダ40Cからラッチ活性信号MDLLを受信する。ラッチ活性信号MDLLは、各ディジット線ドライバ60Cに設けられる後述するラッチ回路を活性化するための信号である。さらに、ディジット線ドライバ60Cは、対応するブロック選択信号BS<0>〜BS<k−1>を列デコーダ70_0から受信する。
【0204】
データ書込時には、ブロック選択信号によって、メモリブロックBKのうちの1つが選択される。選択されたメモリブロックBKに設けられるp本のサブディジット線SDLのうち1本が、杭打ちワード線CWLを流れる行選択信号によって選択される。ディジット線ドライバ60Cは、ラッチ活性信号MDLLが活性化されている期間、選択されたサブディジット線SDLにデータ書込電流を流す。
【0205】
図19は、図18のメモリブロックBK<0>、およびそれに対応するディジット線ド
ライバ60C<0>の構成を示す回路図である。図19のディジット線ドライバ60C<0>およびメモリブロックBK<0>は、図18に示すk個のメモリブロックBK<0>〜BK<k−1>、およびk個のディジット線ドライバ60C<0>〜60C<k−1>をそれぞれ代表するものである。図19のメモリブロックBK<0>の構成は、実施の形態1の図6と同様であるので、説明を繰り返さない。以下では、ディジット線ドライバ60C<0>の構成について説明する。
【0206】
図19を参照して、ディジット線ドライバ60C<0>は、ANDゲート91と、p個のラッチ回路92<0>〜92<p−1>(総称するときは、ラッチ回路92と称する。)と、p個の駆動トランジスタ94<0>〜94<p−1>(総称するときは、駆動トランジスタ94と称する。)とを含む。
【0207】
ANDゲート91は、ラッチ活性信号MDLLと、メモリブロックBKに対応するブロック選択信号BS<0>とを受けて、メモリブロックBKごとに定まるラッチ活性信号DLL<0>を出力する。ANDゲート91は、ラッチ活性信号MDLLおよび対応するブロック選択信号BS<0>の両方とも活性化されているときに、ラッチ活性信号DLL<0>を活性化する。
【0208】
ラッチ回路92<0>〜92<p−1>は、サブディジット線SDL<0>〜SDL<p−1>にそれぞれ対応して設けられる。ラッチ回路92には、杭打ちワード線CWL上を流れる行選択信号と、ラッチ活性信号DLL<0>と、参照電圧VREFDLとが入力される。ラッチ回路92は、ラッチ活性信号DLL<0>が活性化されている間、杭打ちワード線CWLの活性化状態を保持する。そして、杭打ちワード線CWLの活性化状態を保持しているときに、ラッチ回路92は、対応するサブディジット線SDLを駆動する駆動トランジスタ94のゲート電極に、参照電圧VREFDLを供給する。参照電圧VREFDLは図2の参照電源160から供給される。
【0209】
駆動トランジスタ94<0>〜94<p−1>は、サブディジット線SDL<0>〜SDL<p−1>にそれぞれ対応して設けられる。駆動トランジスタ94は、参照電圧VREFDLがゲート電極に印加されているときに導通し、対応するサブディジット線SDLにデータ書込電流が流れる。
【0210】
図20は、図19のディジット線ドライバ60C<0>におけるラッチ回路92<0>の構成を示す回路図である。図20のラッチ回路92<0>は、図18の各ディジット線ドライバ60C<0>〜60C<k−1>に設けられるラッチ回路92を代表するものである。各ディジット線ドライバ60Cには、同様の構成のラッチ回路92が設けられている。
【0211】
図20を参照して、ラッチ回路92<0>は、pチャネルMOSトランジスタQ1と、nチャネルMOSトランジスタQ2,Q3とを含む。ここで、MOSトランジスタQ1のソースは電源ノードVDDに接続され、そのドレインはノードN1に接続される。また、MOSトランジスタQ2およびQ3は、ノードN1と接地ノードGNDとの間に直列に接続される。MOSトランジスタQ1およびQ2のゲートは、ともにラッチ活性信号DLL<0>の信号線に接続される。また、MOSトランジスタQ3のゲートは対応する杭打ちワード線CWL<0>に接続される。
【0212】
さらに、ラッチ回路92<0>は、2個のインバータ132aおよび132bと、pチャネルMOSトランジスタQ4と、nチャネルMOSトランジスタQ5およびQ6とを含む。ここで、インバータ132aの入力端子およびインバータ132bの出力端子は、ノードN1に接続される。また、インバータ132bの入力端子およびインバータ132a
の出力端子は、ノードN2に接続される。インバータ132a,132bはラッチ動作を行なう。
【0213】
また、MOSトランジスタQ4およびQ5は、CMOSトランスミッションゲートを構成する。これらの接続について説明すると、MOSトランジスタQ4のソース、およびMOSトランジスタQ5のドレインは、参照電圧VREFDLの給電線に接続される。また、MOSトランジスタQ4のドレイン、MOSトランジスタQ5のソースは、ノードN3に接続される。MOSトランジスタQ4のゲートはノードN1に接続され、MOSトランジスタQ5のゲートはノードN2に接続される。参照電圧VREFDLの設定値によって、駆動トランジスタ94<0>の導通時にサブディジット線SDLを流れるデータ書込電流の大きさが調整される。
【0214】
また、MOSトランジスタQ6は、ノードN3および接地ノードGNDの間に接続される。MOSトランジスタQ6のゲートはノードN1に接続される。ノードN3は駆動トランジスタ94<0>のゲートに接続される。
【0215】
次に、ラッチ回路92<0>の動作について説明する。
ラッチ活性信号DLL<0>の信号線および杭打ちワード線CWL<0>の両方がHレベルの場合、MOSトランジスタQ1が非導通状態になり、MOSトランジスタQ2,Q3が導通状態になる。したがって、ノードN1がLレベルになり、ノードN2がHレベルになる。以下、このノードN1,N2の電圧レベルの状態を第1の状態と称する。第1の状態では、MOSトランジスタQ4,Q5が導通状態になり、MOSトランジスタQ6が非導通状態になる。したがって、ノードN3の電位は、参照電圧VREFDLに等しくなり、駆動トランジスタ94<0>は導通状態になる。この結果、サブディジット線SDLにデータ書込電流が流れる。
【0216】
この後、杭打ちワード線CWL<0>がLレベルになると、MOSトランジスタQ3が非導通状態になるけれども、ラッチ活性信号DLL<0>の信号線がHレベルである限り、第1の状態は維持される。
【0217】
ラッチ活性信号DLL<0>の信号線がLレベルになると、MOSトランジスタQ1が導通状態になり、MOSトランジスタQ2が非導通状態になる。したがって、ノードN1はHレベルになり、ノードN2はLレベルになる。以下、このノードN1,N2の電圧レベルの状態を第2の状態と称する。第2の状態では、MOSトランジスタQ4,Q5が非導通状態になり、MOSトランジスタQ6が導通状態になる。したがって、ノードN3の電位は、接地電位GNDに等しくなり、駆動トランジスタ94<0>は非導通状態になる。この結果、サブディジット線SDLは非活性状態になる。
【0218】
このように、ラッチ回路92<0>は、ラッチ活性信号DLL<0>の信号線がHレベルの場合に、杭打ちワード線CWL<0>の活性化状態を保持して、内部状態が第1の状態になる。第1の状態では、対応するサブディジット線SDLが活性化されて、サブディジット線SDLにデータ書込電流が流れる。一方、ラッチ活性信号DLL<0>の信号線がLレベルの場合には、ラッチ回路92<0>は、内部状態が第2の状態になって、サブディジット線SDLを非活性状態にする。
【0219】
次に、選択メモリセルへの書込、読出の手順について説明する。
図21は、メモリアレイ10C_0のメモリセルMCへのデータ書込動作およびデータ読出動作を示すタイミングチャートである。図21において横軸は時間を表し、縦軸は上から順に、クロック信号CLK、読出許可信号RE、書込許可信号WE、ブロック選択信号BSの電圧波形、ビット線BL<0>の電流波形I(BL<0>)、杭打ちワード線C
WL<0>の電圧波形、メモリブロックBK<0>におけるワード線WL<0>の電圧波形、ラッチ活性信号MDLLの電圧波形、各メモリブロックBKにおけるラッチ活性信号DLLの電圧波形、メモリブロックBK<0>におけるサブディジット線SDL<0>の電流波形I(SDL<0>)を示す。
【0220】
以下、図19のメモリブロックBK<0>に設けられた複数のメモリセルMCのうち、ワード線WL<0>およびビット線BL<0>の交差点に近接して設けられたメモリセルMCを選択して、この選択メモリセルへのデータ書込手順について、図18、図19、図21を参照して説明する。時刻t7〜時刻t10のデータ読出サイクルについては、図7の実施の形態1の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
【0221】
時刻t1において、列デコーダ70_0は、ブロック選択信号BS<0>をHレベルに活性化する。このとき、他のブロック選択信号BS<1>〜BS<k−1>はLレベルで不活性状態のままである。これによって、選択メモリブロックBK<0>が選択される。
【0222】
時刻t2で、ディジット線ドライバ60C<0>は、行デコーダ40Cからの信号に応答して、選択行に対応する杭打ちワード線CWL<0>をHレベルに活性化する。これに伴って、メモリブロックBK<0>のワード線WL<0>もHレベルに活性化される。
【0223】
また、時刻t2では、ラッチ活性信号MDLLがHレベルになる。ここで、ブロック選択信号BS<0>は時刻t1以降、Hレベルの状態が維持されているので、図19のANDゲート91から出力されるラッチ活性信号DLL<0>がHレベルになる。この結果、ラッチ回路92<0>は杭打ちワード線CWL<0>の活性化状態を保持し、メモリブロックBK<0>のサブディジット線SDL<0>にデータ書込電流が流れる。
【0224】
時刻t3で、杭打ちワード線CWL<0>がLレベルに戻って非活性状態になる。これに伴って、メモリブロックBK<0>のワード線WL<0>もLレベルに戻る。この時刻t3では、ラッチ活性信号MDLLがHレベルのまま維持されているので、サブディジット線SDL<0>にはデータ書込電流が流れ続ける。
【0225】
時刻t4で、ビット線ドライバ80_0,80_1は、列デコーダ70_0,70_1からの列選択信号に応答して、選択列に対応するビット線BL<0>に書込データDinに応じた方向のデータ書込電流を流す。
【0226】
時刻t5で、ラッチ活性信号MDLLがLレベルに戻るので、図19のANDゲート91から出力されるラッチ活性信号DLL<0>もLレベルに戻る。そうすると、ラッチ回路92<0>から駆動トランジスタ94<0>のゲートに供給される電圧もLレベルになる。この結果、サブディジット線SDL<0>を流れるデータ書込電流が0になり、データ書込が終了する。
【0227】
時刻t6で、ブロック選択信号BS<0>がLレベルになるとともに、ビット線BL<0>を流れる電流がLレベルに戻る。これによって、データ書込サイクルが終了する。
【0228】
ここで、時刻t3における、杭打ちワード線CWL<0>の電圧の立下りのタイミングは、ビット線BL<0>の電流の立上がりのタイミングよりも早くなるように設定する必要がある。この理由について、図22を参照して、次に説明する。
【0229】
図22は、ビット線BL<0>を流れる電流の立上がり、および杭打ちワード線CWL<0>の電圧の立下りのタイミングを説明するためのタイミングチャートである。図22の横軸は時間を示し、図21の時刻t2〜t6に対応する。図22の縦軸は、上から順に
、ビット線BL<0>の電流波形I(BL<0>)、メモリブロックBK<0>におけるサブディジット線SDL<0>の電流波形I(SDL<0>)、ラッチ活性信号DLL<0>の電圧波形、および杭打ちワード線CWL<0>の電圧波形を示す。
【0230】
図19、図22を参照して、時刻t2〜t3の時間帯Aでは、ラッチ活性信号DLL<0>および杭打ちワード線CWL<0>の電圧が両方ともHレベルの状態であるので、ラッチ回路92<0>は杭打ちワード線CWL<0>の活性状態を保持する。また、時間帯Aでは、杭打ちワード線CWL<0>がHレベルで活性化されているので、杭打ちワード線CWL<0>に接続されたメモリセルMCのアクセストランジスタATRが導通状態になっている。
【0231】
時刻t2〜t5の時間帯Bでは、ラッチ回路92<0>が活性状態を保持する。したがって、ラッチ回路92<0>に対応する図19の駆動トランジスタ94<0>が導通状態になって、メモリブロックBK<0>のサブディジット線SDL<0>にデータ書込電流が流れる。
【0232】
時刻t4〜時刻t6の時間帯Dでは、ビット線BL<0>にデータ書込電流が流れる。したがって、時間帯Bと時間帯Dの共通部分である時刻t4〜時刻t5の間に選択メモリセルMCへのデータの書込が行なわれる。
【0233】
ここで、杭打ちワード線CWL<0>がLレベルに立下がる時刻t3が、ビット線BL<0>にデータ書込電流が流れ始める時刻t4よりも遅れると、選択メモリセルのアクセストランジスタATRを介してビット線BL<0>をデータ書込電流が流れることになる。このため、消費電流の増大と書込エラーが生じることになる。そこで、時刻t3を時刻t4よりも前にするとともに、時刻t3と時刻t4の間の時間帯Cは、ある程度の余裕を見て設定する必要がある。このように、杭打ちワード線CWLを用いてデータ書込時の行選択信号をディジット線ドライバ60Cに伝送する場合に、ラッチ回路92を用いて、ビット線BLにデータ書込電流を流すタイミングを調整する必要がある。
【0234】
図23は、実施の形態3におけるメモリセルの断面構造図である。
図23を参照して、p型半導体基板SUBの主面上には、アクセストランジスタATRが形成される。アクセストランジスタATRは、n型領域であるソース領域110およびドレイン領域112と、ゲートとを有する。ゲートは、ワード線WLと一体に形成される。半導体基板SUBの主面上には、第1から第4の金属配線層M1〜M4が、基板側からこの順で互いに層間絶縁膜を介在させて積層される。
【0235】
アクセストランジスタATRのソース領域110は、第1の金属配線層M1を用いて形成されたソース線SLと、コンタクトホールに形成された金属膜116を介して電気的に接続される。また、ゲートおよびワード線WLは、コンタクトホールに形成された金属膜114を介して、第2の金属配線層M2を用いて形成された杭打ちワード線CWLと電気的に接続される。
【0236】
サブディジット線SDLは、第3の金属配線層M3を用いて形成される。また、TMR素子は、サブディジット線SDLの上層に配置される。TMR素子は、固定された磁化方向を有する磁性体層(固定磁化層)PLと、データ書込電流によって生じるデータ書込磁界に応じた方向に磁化される磁性体層(自由磁化層)FLとを有する。固定磁化層PLおよび自由磁化層FLの間には、絶縁体膜で形成されるトンネルバリアISOが配置される。
【0237】
TMR素子は、コンタクトホールに形成された金属膜118およびバリアメタル120
を介して、アクセストランジスタATRのドレイン領域112と電気的に接続される。バリアメタル120は、TMR素子と金属膜との間を電気的に結合するために設けられる緩衝材である。ビット線BLは、TMR素子の自由磁化層FLと電気的に結合されて、TMR素子の上層の第4の金属配線層M4に設けられる。
【0238】
図8の実施の形態1のメモリセルMCでは、メインディジット線MDLを形成するための金属配線層が必要である。一方、図23の実施の形態3のメモリセルMCでは、メインディジット線MDLが不要である。したがって、図23の実施の形態3のメモリセルは、図8の実施の形態1のメモリセルMCよりも、メインディジット線MDLの1層分だけ削減されて4層になっている。
【0239】
以上のとおり、実施の形態3の半導体装置1のMRAM部によれば、杭打ちワード線CWLによってデータ書込時の行選択信号を伝送するので、実施の形態1のMRAM部のメインディジット線MDLが不要になる。したがって、実施の形態3のMRAM部では、実施の形態1のMRAM部に比べて金属配線層が一層分削減される。
【0240】
また、ディジット線ドライバ60Cに杭打ちワード線CWLの活性化状態を保持するラッチ回路92が設置される。ラッチ回路92は、選択メモリセルへの書込動作時に、選択メモリセルに対応するビット線BLに電流供給を開始する前に、選択メモリセルに対応するワード線WLの一時的な活性化を受けて対応のサブディジット線SDLに電流を流す。そして、対応のワード線WLの非活性化後も少なくとも対応するビット線BLへの電流供給が開始されるまでサブディジット線SDLへの電流供給を維持する。
【0241】
したがって、ビット線BLにデータ書込電流を流してTMR素子にデータ書込を行なうときに、ワード線WLを非活性にすることができる。この結果、ビット線BLを流れるデータ書込電流がアクセストランジスタATRを介して流れることがないので、消費電力の増加や誤書込を防止できる。
【0242】
また、データ書込時にデータ書込電流を流すためのサブディジット線SDLは、実施の形態1と同様に、各メモリブロックBKごとに分割されて設けられている。したがって、複数のメモリブロックBKに共通にディジット線が設けられている場合に比べて、ディジット線の配線抵抗を低減させることができる。この結果、データ書込に十分な大きさの電流を供給することができる。
【0243】
さらに、実施の形態1と同様に、列アドレス信号CAに基づいたブロック選択信号BSを用いて、選択メモリセルを含むメモリブロックに設けられたサブディジット線SDLにのみ、データ書込電流を流すことができる。この結果、MRAM部全体の消費電力を低減させることができ、また、未選択のメモリセルMCへの誤書込の可能性を減少させることができる。
【0244】
また、実施の形態1と同様に、各メモリセルMCと接続されたワード線WLと複数箇所で電気的に接続された杭打ちワード線CWLが、複数のメモリブロックBKに共通に配設される。したがって、ワード線WLのみを用いる場合に比べて、メモリセルMCへの活性化信号の伝送をより高速化することができ、データ読出速度を向上することができる。
【0245】
また、杭打ちワード線CWLを用いることによって、ワード線ドライバ50Cを、複数のメモリブロックBKに共通に設けることができる。このため、ワード線ドライバ50Cを各メモリブロックBKごとに設けて、ワード線WLを直接活性化する場合に比べて、ワード線ドライバ50Cの配置に要する面積を削減することができる。
【0246】
なお、図23の断面構造図のうち半導体基板SUBから第2の金属配線層M2までの構成は、図8の実施の形態1の断面構造図と同様である。したがって、実施の形態1の変形例の場合と同様に、(i)メモリセルのソース領域の相互接続、(ii)ソース線の配線の変更、および(iii)ワード線と杭打ちワード線との接続部の形状および配置の変更を行なうことによって、メモリアレイの集積度をさらに高めることができる。
【0247】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置1の構成の一例を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のMRAM部6の全体構成を示すブロック図である。
【図3】図2のメモリアレイ10を構成する各メモリセルMCの構成を概略的に示す回路図である。
【図4】図2のMRAM部6の各部の配置の一例を示す平面図である。
【図5】図4のメモリアレイ10_0の構成を説明するための図である。
【図6】図5のメモリブロックBK<0>、およびそれに対応するディジット線ドライバ60<0>の構成を示す回路図である。
【図7】メモリアレイ10_0のメモリセルMCへのデータ書込動作およびデータ読出動作を示すタイミングチャートである。
【図8】実施の形態1におけるメモリセルMCの断面構造図である。
【図9】実施の形態1の変形例によるメモリアレイのパターンレイアウトを示す平面図である。
【図10】図9の切断面線X−Xから見た断面図である。
【図11】実施の形態1の変形例によるメモリブロックの回路図である。
【図12】実施の形態2におけるメモリアレイ10A_0の構成を説明するための図である。
【図13】図12のメモリブロックBK<2>、ディジット線ドライバ60<2>、およびワード線ドライバ50Aの構成を示す回路図である。
【図14】メモリアレイ10A_0のメモリセルMCへのデータ書込動作およびデータ読出動作を示すタイミングチャートである。
【図15】実施の形態2におけるメモリセルMCの断面構造図である。
【図16】実施の形態2の変形例における行デコーダ40Bの構成を概略的に示すブロック図である。
【図17】実施の形態2の変形例におけるメモリブロックBK<2>、ディジット線ドライバ60A<2>、およびワード線ドライバ50Aの構成を示す回路図である。
【図18】実施の形態3におけるメモリアレイ10C_0の構成を説明するための図である。
【図19】図18のメモリブロックBK<0>、およびそれに対応するディジット線ドライバ60C<0>の構成を示す回路図である。
【図20】図19のディジット線ドライバ60C<0>におけるラッチ回路92<0>の構成を示す回路図である。
【図21】メモリアレイ10C_0のメモリセルMCへのデータ書込動作およびデータ読出動作を示すタイミングチャートである。
【図22】ビット線BL<0>を流れる電流の立上がり、および杭打ちワード線CWL<0>の電圧の立下りのタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図23】実施の形態3におけるメモリセルの断面構造図である。
【符号の説明】
【0249】
1 半導体装置、6 MRAM部、10,10A,10C メモリアレイ、20 センスアンプ、40,40A,40B,40C 行デコーダ、45 レベルシフタ、50,50A,50C ワード線ドライバ、60,60C ディジット線ドライバ、66,94 駆動トランジスタ、70 列デコーダ、80 ビット線ドライバ、90 ビット線選択回路、92 ラッチ回路、ADD アドレス信号、RA 行アドレス信号、CA 列アドレス信号、ATR アクセストランジスタ、BK メモリブロック、MC メモリセル、BL ビット線、WL ワード線、CWL,CWL0,CWL1 杭打ちワード線、MWL
メインワード線、SDL サブディジット線、MDL メインディジット線、DL ディジット線、SL ソース線、SDR サブデコード信号、SDW サブデコード信号、
BS ブロック選択信号、MDLL,DLL ラッチ活性信号、M1〜M5 金属配線層、SUB 基板、VREFDL 参照電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向に複数のブロックに分割され、行列状に配列される複数のメモリセルを含むメモリアレイを備え、
前記複数のメモリセルの各々は、
磁気データに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子に直列接続され、制御電極を有するスイッチ素子とを含み、
前記メモリアレイのメモリセル列にそれぞれ対応して設けられ、各々が、前記磁気データの書込みに必要な第1のデータ書込電流を流すための複数のビット線と、
各々が、前記複数のブロックの各々においてメモリセル行ごとに個別に設けられ、前記第1のデータ書込電流と交差する方向に第2のデータ書込電流を流すことによって前記磁気データの書込みを行なうための複数のディジット線と、
各々が、前記メモリアレイの対応するメモリセル行に含まれる複数の前記制御電極に接続され、第1のシート抵抗を有する導電層で形成される複数のワード線と、
前記メモリアレイのメモリセル行にそれぞれ対応して、前記複数のブロックに共通に設けられ、各々が、前記第1のシート抵抗よりも小さい第2のシート抵抗を有する導電層で形成され、対応するメモリセル行に設けられるワード線と複数箇所で電気的に接続される複数の杭打ちワード線とをさらに備える、半導体装置。
【請求項2】
前記複数のブロックに共通に設けられ、アドレス信号に基づいて、データ読取り対象およびデータ書込み対象となるメモリセルを含むメモリセル行を選択する行選択回路と、
前記複数のブロックに共通に設けられ、データ読取り時に、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられる杭打ちワード線を活性化するワード線ドライブ回路と、
前記複数のブロックにそれぞれ対応して設けられ、データ書込み時に、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられるディジット線に前記第2のデータ書込電流を流す複数のディジット線ドライブ回路とをさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のブロックに共通に設けられ、前記アドレス信号に基づいて、データ読取り対象およびデータ書込み対象となるメモリセルを含むメモリセル列を選択する列選択回路をさらに備え、
前記複数のディジット線ドライブ回路の各々は、前記列選択回路によって選択されたメモリセル列を含むブロックに対応するディジット線に、前記第2のデータ書込電流を流す、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置は、
前記複数のブロックに共通に設けられ、アドレス信号に基づいて、データ読取り対象およびデータ書込み対象となるメモリセルを含むメモリセル行を選択する行選択回路と、
前記複数のブロックに共通に設けられ、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられる杭打ちワード線を活性化するワード線ドライブ回路と、
前記複数のブロックにそれぞれ対応して設けられる複数のディジット線ドライブ回路とをさらに備え、
前記複数のディジット線ドライブ回路の各々は、前記複数の杭打ちワード線にそれぞれ接続され、接続された杭打ちワード線の活性化状態を保持する複数のラッチ回路を含み、
前記複数のラッチ回路は、前記複数のディジット線にそれぞれ対応して設けられており、
前記複数のディジット線ドライブ回路の各々は、データ書込み時に、活性化状態を保持したラッチ回路に対応するディジット線に前記第2の書込電流を流す、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のブロックに共通に設けられ、前記アドレス信号に基づいて、データ読取り対象およびデータ書込み対象となるメモリセルを含むメモリセル列を選択する列選択回路をさらに備え、
前記複数のラッチ回路の各々は、対応するディジット線が前記列選択回路で選択されたメモリセル列を含むブロックに対応する場合に、接続された杭打ちワード線の活性化状態を保持する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
データ書込み時に、前記列選択回路によって選択されたメモリセル列に前記第1のデータ書込電流を流すビット線ドライブ回路と、
前記行選択回路、ワード線ドライブ回路、複数のラッチ回路、列選択回路、およびビット線ドライブ回路を制御する制御回路とをさらに備え、
前記制御回路は、データ書込み時に、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられる杭打ちワード線を前記ワード線ドライブ回路によって活性化して、活性化された杭打ちワード線に接続されるラッチ回路に活性化状態を保持させた後、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられる杭打ちワード線を前記ワード線ドライブ回路によって非活性化し、その後、前記列選択回路によって選択されたメモリセル列に設けられるビット線に、前記ビット線ドライブ回路によって前記第1のデータ書込電流を流す、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面上に基板側から順に、各層間の絶縁層を介して積層された第1〜第4の金属配線層とをさらに備え、
前記複数のメモリセルの各磁気抵抗素子は、前記第3および第4の金属配線層の間に設けられ、
前記複数のメモリセルの各スイッチ素子は、前記半導体基板の主面上に形成された電界効果トランジスタであり、
前記制御電極は、前記電界効果トランジスタのゲート電極であり、
複数の前記電界効果トランジスタのソース電極を接続する複数の配線は、前記第1の金属配線層で形成され、
前記複数の杭打ちワード線は、前記第2の金属配線層で形成され、
前記複数のディジット線は、前記第3の金属配線層で形成され、
前記複数のビット線は、前記第4の金属配線層で形成される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
行列状に配列される複数のメモリセルを含み、行方向に配設された複数のブロックに分割されるメモリアレイを備え、
前記複数のメモリセルの各々は、
磁気データに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子に直列接続され、制御電極を有するスイッチ素子とを含み、
前記メモリアレイのメモリセル列にそれぞれ対応して設けられ、各々が、前記磁気データの書込みに必要な第1のデータ書込電流を流すための複数のビット線と、
各々が、前記複数のブロックの各々においてメモリセル行ごとに個別に設けられ、前記第1のデータ書込電流と交差する方向に第2のデータ書込電流を流すことによって前記磁気データの書込みを行なうための複数のディジット線と、
各々が、前記メモリアレイの対応するメモリセル行に含まれる複数の前記スイッチ素子の制御電極に接続され、第1のシート抵抗を有する導電層で形成される複数のワード線と、
前記メモリアレイのメモリセル行にそれぞれ対応して、前記複数のブロックのうち、前記メモリアレイの行方向の一方側に配置される複数のブロックに共通に設けられる複数の
第1の杭打ちワード線と、
前記メモリアレイのメモリセル行にそれぞれ対応して、前記複数のブロックのうち、前記複数の第1の杭打ちワード線が配置されたブロックを除く複数のブロックに共通に設けられる複数の第2の杭打ちワード線とをさらに備え、
前記複数の第1、第2の杭打ちワード線の各々は、前記第1のシート抵抗よりも小さい第2のシート抵抗を有する導電層で形成され、同一のメモリセル行に設けられるワード線と複数箇所で電気的に接続され、
前記複数のブロックに共通に設けられ、アドレス信号に基づいて、データ読取り対象およびデータ書込み対象となるメモリセルを含むメモリセル行を選択する行選択回路と、
前記複数のブロックに共通に設けられ、データ読取り時に、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられる第1、第2の杭打ちワード線を活性化するワード線ドライブ回路と、
前記複数のブロックにそれぞれ対応して設けられ、データ書込み時に、前記行選択回路によって選択されたメモリセル行に設けられるディジット線に前記第2のデータ書込電流を流す複数のディジット線ドライブ回路とをさらに備える、半導体装置。
【請求項9】
各々が基板上に行列状に配置された複数のメモリセルを含み、前記複数のメモリセルの行方向に配置される複数のメモリブロックを備え、
前記複数のメモリセルの各々は、
磁気抵抗効果を利用してデータを記憶する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子と直列に接続されたアクセストランジスタとを含み、
前記複数のメモリブロック毎に前記複数のメモリセルの行に対応して配設され、対応するメモリセルのアクセストランジスタの制御電極が接続される複数のワード線と、
前記複数のメモリブロック毎に前記複数のメモリセルの行に対応して配設され、対応するメモリセルの磁気抵抗素子に電流誘起による磁場を印加する複数のサブディジット線と、
前記複数のメモリブロックに共通に前記複数のワード線に対応して配設され、かつ前記複数のワード線より前記基板に対して上層の配線層で形成されて対応のワード線の各々と複数箇所で電気的に接続される複数の杭打ちワード線と、
前記複数のメモリブロックに対して共通に設けられ、前記複数のメモリセルの行選択を行う行選択回路と、
前記行選択回路からの第1の行選択信号を受け、前記複数の杭打ちワード線から選択された杭打ちワード線を活性化するワード線ドライブ回路と、
各々が、前記複数のメモリブロック毎に設けられ、前記行選択回路からの第2の行選択信号を受け、選択されたサブディジット線に電流を流す、複数のディジット線ドライブ回路とをさらに備える、半導体装置。
【請求項10】
前記ワード線を形成する配線層のシート抵抗は、前記杭打ちワード線を形成する配線層のシート抵抗よりも大きい、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2の行選択信号は、
メインデコード信号と、
サブデコード信号とを含み、
前記メインデコード信号は、前記複数の杭打ちワード線と異なる配線である複数のメインディジット線で伝送される、請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体装置は、前記基板の主面上に前記基板側から順に、各層間の絶縁層を介して積層された第1〜第4の金属配線層をさらに備え、
前記複数のメモリセルの各磁気抵抗素子は、前記第4の金属配線層の上層に設けられ、
前記複数のメモリセルの各アクセストランジスタは、前記基板の主面上に形成された電
界効果トランジスタであり、
前記制御電極は、前記電界効果トランジスタのゲート電極であり、
複数の前記電界効果トランジスタのソース電極を接続する複数の配線は、前記第1の金属配線層で形成され、
前記複数の杭打ちワード線は、前記第2の金属配線層で形成され、
前記複数のメインディジット線は、前記第3の金属配線層で形成され、
前記複数のサブディジット線は、前記第4の金属配線層で形成される、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2の行選択信号は、前記複数の杭打ワード線で伝送される、請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体装置は、前記基板の主面上に前記基板側から順に、各層間の絶縁層を介して積層された第1〜第3の金属配線層をさらに備え、
前記複数のメモリセルの各磁気抵抗素子は、前記第3の金属配線層の上層に設けられ、
前記複数のメモリセルの各アクセストランジスタは、前記基板の主面上に形成された電界効果トランジスタであり、
前記制御電極は、前記電界効果トランジスタのゲート電極であり、
複数の前記電界効果トランジスタのソース電極を接続する複数の配線は、前記第1の金属配線層で形成され、
前記複数の杭打ちワード線は、前記第2の金属配線層で形成され、
前記複数のサブディジット線は、前記第3の金属配線層で形成される、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体装置は、前記複数のメモリセルの列に対応して配設され、対応するメモリセルの磁気抵抗素子に電流誘起による磁場を印加する複数のビット線をさらに備え、
前記複数のディジット線ドライブ回路の各々は、選択メモリセルへの書込動作時に、前記選択メモリセルに対応するビット線に電流供給を開始する前に、前記選択メモリセルに対応するワード線の一時的な活性化を受けて対応のサブディジット線に電流を流し、前記対応するワード線の非活性化後も少なくとも前記対応するビット線への電流供給が開始されるまでサブディジット線の電流供給を維持する複数のラッチ回路を含む、請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記複数のディジット線ドライブ回路の各々は、対応するブロック内の複数のサブディジット線の各々に対応して設けられ、参照電圧を受けてデータ書込電流のオン/オフを制御する複数の駆動トランジスタをさらに含み、
前記複数のラッチ回路の各々は、対応する杭打ちワード線の活性化を保持している期間導通するトランスミッションゲートを含み、
前記複数のドライブトランジスタの各々の制御電極には、前記トランスミッションゲートを介して参照電圧が与えられる、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記行選択回路は、前記第2の行選択信号の選択状態での信号レベルを、前記第1の行選択信号の選択状態での信号レベルよりも高電圧に昇圧する電圧レベルシフト回路を含む、請求項9または10に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−176396(P2009−176396A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140921(P2008−140921)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】