説明

半導体装置

【課題】半導体素子の故障の可能性を低減することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、半導体素子10と、半導体素子10に積層される第1電極部材21と、半導体素子10を挟んで第1電極部材21の反対側に積層される第2電極部材22と、半導体素子10と第1電極部材21とを接合する第1半田31と、半導体素子10と第2電極部材22とを接合する第2半田32と、を備えている。第2電極部材22は、半導体素子10と電極部材21,22との積層方向に伸びる絶縁性の複数の支柱22a〜22dを有している。また、複数の支柱22a〜22dは、半導体素子10の配置領域Aと異なる領域Bに位置し、且つ、半導体素子10が回転した場合に半導体素子10に接触する領域Cにおいて回転方向に不均一な間隔a,bでそれぞれが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子を2つの放熱部材で挟み、半導体素子と各放熱部材との間を半田等の接合部材により接合して一体化した半導体装置が提案されている。この半導体装置では、当該半導体装置の上下に配置される治具を用いて、放熱部材間の距離を制御する。詳細に説明すると、治具は、突起が半導体素子と各放熱部材との積層方向に沿って伸び、各放熱部材は治具の突起が貫通する貫通孔を有する。また、半導体素子の上方に配置された治具の突起は、半導体素子の上方に配される放熱部材の貫通孔を貫通して、半導体素子の下方に配される放熱部材に当接する。同様に、半導体素子の下方に配置された治具の突起は、半導体素子の下方に配される放熱部材の貫通孔を貫通して、半導体素子の上方に配される放熱部材に当接する。このような当接により、放熱部材間の距離(半導体装置の高さ)が制御される。よって、各放熱部材の寸法公差の影響を受けることなく、寸法公差を考慮して半田等の接合部材を厚くする必要が無くなり、接合部材の厚さは低減されることとなる。なお、治具はその使用後に不要となり、貫通孔から引き抜かれるようにして取り外されることとなる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3620399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の半導体装置の製造工程には半導体素子と2つの放熱部材とを接合するために半田を溶融させる工程がある。この工程において、半田が溶融することから、半導体素子の横方向(具体的に回転方向)に半導体素子がズレてしまうことがある。このため、半導体装置の完成後に治具を貫通孔から引き抜く段階で、治具の突起と横方向にズレた半導体素子とが接触して、半導体素子の故障を招いてしまう可能性があった。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、半導体素子の故障の可能性を低減することが可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は、半導体素子と、半導体素子に積層される第1通電部材と、半導体素子を挟んで第1通電部材の反対側に積層される第2通電部材と、半導体素子と第1通電部材とを接合する第1接合部材と、半導体素子と第2通電部材とを接合する第2接合部材とを備えている。第1及び通電部材の少なくとも一方は、半導体素子と第1及び第2通電部材との積層方向に伸びる絶縁性の複数の支柱を有している。複数の支柱は、第1及び第2通電部材の間に配置される半導体素子の配置領域と異なる領域に位置し、且つ、半導体素子が回転した場合に半導体素子に接触する領域において回転方向に不均一な間隔でそれぞれが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1及び第2通電部材の少なくとも一方は、半導体素子と第1及び第2通電部材との積層方向に伸びる複数の支柱を有しているため、支柱によって半導体装置
の高さが制御される。さらに、複数の支柱は、半導体素子が回転した場合に前記半導体素子に接触する領域において回転方向に不均一な間隔でそれぞれが配置されているため、半導体素子が時計回り及び反時計回りのいずれの方向に回転しようとしても、支柱が不均一に配置されることから、半導体素子は支柱に当接し易く、回転方向のズレが規制される。加えて、支柱は冶具のように後工程において引き抜く必要がないことから、高さの制御や回転方向のズレを規制しつつも、冶具の引き抜きによる半導体素子の故障を抑制することができる。従って、半導体素子の故障の可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る半導体装置を示す構成図である。
【図2】図1に示した半導体装置の上面図である。
【図3】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す第1側面図である。
【図4】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す第2側面図である。
【図5】図1に示した半導体装置の変形例を示す上面図である。
【図6】図1に示した半導体装置の使用時における状態を示す側面図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置を示す構成図である。
【図8】第3実施形態に係る半導体装3を示す構成図である。
【図9】図8に示した半導体装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る半導体装置1を示す構成図である。なお、図1は後述する図2のI−I断面図でもある。図1に示すように、半導体装置1は、半導体素子10、第1電極部材(第1通電部材)21、第2電極部材(第2通電部材)22、第1半田(第1接合部材)31、及び第2半田(第2接合部材)32、モールド樹脂40を備えている。この半導体装置1は、半導体素子10、第1電極部材21、第2電極部材22、第1半田31、及び第2半田32が、モールド樹脂40によってモールドされた構成となっている。次に、各部について説明する。
【0010】
半導体素子10は、電極部材21,22を通じで電流が供給されることにより駆動するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やダイオード等のパワー半導体素子で
ある。第1電極部材21は半導体素子10に積層される通電部材である。第2電極部材22は半導体素子10を挟んで第1電極部材21の反対側に積層される通電部材である。これら電極部材21,22は、電気伝導性及び熱伝導性が良好な材料からなり、例えば銅やアルミニウム、又はこれらの合金により構成される。また、電極部材21,22は、それぞれ半導体装置1外部の配線部材に電気的に接続され、電力変換装置として機能する。
【0011】
第1半田31は、半導体素子10の一方側の主面と第1電極部材21とを接合するための接合部材である。同様に第2半田32は、半導体素子10の他方側の主面と第2電極部材22とを接合するための接合部材である。具体的に第1半田31及び第2半田32は、シート半田であるが、半田ペーストであってもよい。なお、半導体素子10がIGBTである場合、第1半田31に接続される主面がエミッタ電極となり、第2半田32に接続される主面がコレクタ電極となる。
【0012】
さらに、本実施形態に係る半導体装置1において、第2電極部材22は複数の支柱22a〜22dを有している。図2は、図1に示した半導体装置1の上面図である。なお、図2においては説明の便宜上、第1電極部材21及びモールド樹脂40の図示を省略している。
【0013】
図1に示すように、複数の支柱22a〜22dは、半導体素子10と電極部材21,2
2との積層方向に伸びる絶縁性(例えばPPS(Polyphenylenesulfide)等の樹脂)の円柱部材である。これら支柱22a〜22dは、弾性率(トランスファーモールド時の温度における弾性率)が半導体素子10、第1及び第2電極部材21,22、並びに、第1及び第2半田31,32よりも大きい部材により構成されている。また、これら支柱22a〜22dは、金属−樹脂接合技術等により第2電極部材22の板部22eと一体的に形成されている。
【0014】
複数の支柱22a〜22dは、図2に示すように、半導体素子10の配置領域Aとは異なる領域B(平面視して第2電極部材22上における領域)に位置している。さらに、本実施形態において支柱22a〜22dは、半導体素子10が回転した場合に半導体素子10に接触する領域Cに配置されている。ここで、「接触する領域Cに配置されている」とは、支柱22a〜22dの全体が領域Cに配置されている場合のみならず、一部が領域Cに配置されていることも含む概念である。半導体素子10が回転した場合とは、当該半導体素子10の中心Oを基準に回転した場合をいう。
【0015】
加えて、複数の支柱22a〜22dは、半導体素子10の回転方向に不均一な間隔で配置されている。具体的に説明すると、第1支柱22aと第2支柱22bとの回転方向の間隔aは、第1支柱22aと第4支柱22dとの回転方向の間隔bと異なっている。同様に、第3支柱22cと第4支柱22dとの回転方向の間隔aは、第3支柱22cと第2支柱22bとの回転方向の間隔bと異なっている。なお、本実施形態では、第1支柱22aと第2支柱22bとの回転方向の間隔aが、第3支柱22cと第4支柱22dとの回転方向の間隔aと同じになっているが、これら間隔は異なっていてもよい。同様に、第1支柱22aと第4支柱22dとの回転方向の間隔bが、第3支柱22cと第2支柱22bとの回転方向の間隔bと同じになっているが、これら間隔は異なっていてもよい。すなわち、本実施形態に係る複数の支柱22a〜22dは、各間隔がすべて同じでなく、一部でも異なっていればよく、「不均一」とは各間隔のうち少なくとも一部が異なっていることを意味する概念である。
【0016】
なお、複数の支柱22a〜22dは、半導体素子10が平面視して四角形状となっている場合、1辺毎に少なくとも1つ存在することが好ましい。これにより、複数の支柱22a〜22dは半導体素子10を囲むように位置することとなり、半導体素子10を第2半田32上に載置する際に、特別な治具なしに位置決めを行うことができるからである。
【0017】
図3は、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す第1側面図であり、図4は、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す第2側面図である。
【0018】
図3に示すように、半導体装置1の製造にあたっては、まず、第2電極部材22上に第2半田32が載置され、第2半田32上に半導体素子10及び第1半田31がこの順で載置される。また、これらの部品10,31,32を第2電極部材22上に載置する際には、複数の支柱22a〜22dが位置決めの役割を果たすこととなり、半導体素子10の横方向の位置決めが容易化される。
【0019】
次いで、第1電極部材21が第1半田31上に載置され積層される。そして、第1電極部材21が載置された状態で、これらの複合体が半田付け炉に投入される。これにより、半田31,32が溶融及び凝固して半田付けが行われる。この際、第1電極部材21上に重りが載せられることにより、第1電極部材21は複数の支柱22a〜22dに押し付けられることとなり、半導体装置1の高さが決定されることとなる。
【0020】
その後、図4に示すように、トランスファーモールド工程において樹脂封止が行われる。トランスファーモールド工程においては、まず半導体装置1が第2モールド金型52内
に載置される。次いで、上方から第1モールド金型51がスライドして下方に降ろされ、両金型51,52が合致する。両金型51,52が合致した後、開口部53からエポキシ樹脂等の熱硬化性のモールド樹脂40が高圧状態で注入される。これにより、上記複合体がモールドされ、半導体装置1が完成することとなる。
【0021】
なお、第1モールド金型51には上方から型締め力F1が加えられ、第2モールド金型52には下方から型締め力F2が加えられる。ここで、本実施形態においてはトランスファーモールド時の温度における支柱22a〜22dの弾性率が、半導体素子10、第1及び第2電極部材21,22、並びに、第1及び第2半田31,32よりも大きい。このため、型締め力F1,F2を大きくしても、半導体素子10の損傷し難くできる。また、モールド金型51,52の接触面圧を上げてモールド樹脂40の漏れも抑制することができる。
【0022】
次に、本実施形態に係る半導体装置1の変形例を説明する。図5は、図1に示した半導体装置1の変形例を示す上面図である。なお、図5においては説明の便宜上、第1電極部材21及びモールド樹脂40の図示を省略している。
【0023】
図5に示すように、変形例に係る半導体装置2は四角柱からなる支柱22f〜22iを備えている。このように、支柱22f〜22iは、半導体素子10の回転方向への移動を規制できれば、円柱に限らず四角柱であってもよい。さらに、支柱22f〜22iは、四角柱に限らず、多角柱であってもよく楕円柱であってもよい。
【0024】
このようにして、本実施形態に係る半導体装置1によれば、第2電極部材22は、半導体素子10と第1及び第2電極部材21,22との積層方向に伸びる複数の支柱22a〜22d,22f〜22iを有しているため、支柱22a〜22d,22f〜22iによって半導体装置1の高さが制御される。さらに、複数の支柱22a〜22d,22f〜22iは、半導体素子10が回転した場合に半導体素子10に接触する領域Cにおいて回転方向に不均一な間隔でそれぞれが配置されているため、半導体素子10が時計回り及び反時計回りのいずれの方向に回転しようとしても、支柱22a〜22d,22f〜22iが不均一に配置されることから、半導体素子10は支柱に当接し易く、回転方向のズレが規制される。加えて、支柱22a〜22d,22f〜22iは冶具のように後工程において引き抜く必要がないことから、高さの制御や回転方向のズレを規制しつつも、冶具の引き抜きによる半導体素子10の故障を抑制することができる。従って、半導体素子10の故障の可能性を低減することができる。
【0025】
特に、回転方向のズレが規制されることから、半導体素子10が回転方向にズレてワイヤボンディングを打つための端子が第1半田31や第2半田32で埋まってしまう事態についても防止することができる。
【0026】
また、複数の支柱22a〜22d,22f〜22iは、弾性率が半導体素子10、第1及び第2電極部材21,22、並びに、第1及び第2半田31,32よりも大きい部材によって構成されているため、トランスファーモールド工程においてモールド金型51,52の型締め力F1,F2は、半導体素子10側よりも支柱22a〜22d,22f〜22i側に伝わり易くすることができる。これにより、モールド金型51,52の接触面圧を上げても半導体素子10の損傷し難くできると共に、モールド金型51,52の接触面圧を上げてモールド樹脂40の漏れも抑制することができる。加えて、モールド樹脂40の漏れにより樹脂40を削り取る研磨等の後工程についても省略することができる。
【0027】
また、電極部材21,22は、特許文献1に記載の放熱部材のように貫通孔を備えないため、放熱面積を大きくとることができ、放熱性を向上させることができる。
【0028】
なお、このような半導体装置1は、使用時における電力が大きくなるにつれて半導体素子10からの放熱量が多くなり、高温に達してしまうことがある。そこで、半導体装置1の使用時には冷却器が用いられる。冷却器は、熱伝導性の良好な材料からなり、例えばアルミニウムやアルミニウム合金から構成される。このような冷却器は、ダイカスト工法、押出工法、及び摩擦攪拌接合法などによって作製される。
【0029】
図6は、図1に示した半導体装置1の使用時における状態を示す側面図である。図6に示すように、半導体装置1は使用時において上下から2つの冷却器61,62に挟まれるように配置される。また、冷却器61,62の半導体装置1側には、半導体装置1との絶縁性を確保するために、絶縁層71,72が設けられる。この絶縁層71,72は、例えば窒化アルミニウムや窒化珪素等のセラミックス板により構成される。また、絶縁層71,72は、各種フィラーを混入させたエポキシ樹脂であってもよい。なお、窒化アルミニウムや窒化珪素等のセラミックス板を絶縁層71,72として用いる場合、冷却器61,62と絶縁層71,72との間には、放熱グリスが塗布されることとなる。
【0030】
このような構成であるため、半導体装置1は冷却器61,62により冷却されつつも、絶縁層71,72により絶縁性が確保されることとなる。
【0031】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る半導体装置は第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0032】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置2を示す構成図である。図7に示すように、第2実施形態に係る半導体装置2は、第2電極部材22の板部22eに複数の貫通孔22jが形成されている。これら貫通孔22jは、その位置が複数の支柱22a〜22dの位置に対応しており、複数の支柱22a〜22dは、複数の貫通孔22jに挿入された状態で配置されている。これにより、複数の支柱22a〜22dの下面22kが、板部22eの下面22lと面一となっている。このため、半導体装置2の高さは第1電極部材21と複数の支柱22a〜22dとの高さによって一層安定的に制御される。
【0033】
このようにして、第2実施形態に係る半導体装置2によれば、第1実施形態と同様に、半導体素子10の故障の可能性を低減することができ、モールド樹脂40の漏れにより樹脂40を削り取る研磨等の後工程についても省略することができる。
【0034】
さらに、第2実施形態によれば、第2電極部材22は複数の貫通孔22jを有し、複数の支柱22a〜22dは、当該複数の貫通孔22jに挿入された状態で配置されているため、半導体装置2の高さは、第1電極部材21と支柱22a〜22dとの高さによって規定されることとなり、一層半導体装置2の高さのばらつきを抑えることができる。
【0035】
また、半導体装置2の高さのばらつきを抑えられることから、半導体装置2を冷却器61,62で挟んで冷却する場合、高さの相違によって半導体装置2と冷却器61,62との接触具合が異なり、冷却効果にばらつきが生じてしまう事態も抑制することができる。
【0036】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る半導体装置は第2実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第2実施形態との相違点について説明する。
【0037】
図8は、第3実施形態に係る半導体装置3を示す構成図であり、図9は、図8に示した半導体装置3の上面図である。なお、図9においては説明の便宜上、モールド樹脂40の
図示を省略している。なお、図8は図9のII−II断面図でもある。
【0038】
図8お呼び図9に示すように、第3実施形態に係る複数の支柱22m〜22pは、それぞれ切り欠き部22m1〜22p1を有している。また、第3実施形態では、上面視した場合に第2電極部材22よりも第1電極部材21が一回り小さく形成されており、切り欠き部22m1〜22p1に第1電極部材21が合致した状態で配置されている。このため、製造工程において第1電極部材21の位置決めが容易化される。
【0039】
このようにして、第3実施形態に係る半導体装置3によれば、第2実施形態と同様に、半導体素子10の故障の可能性を低減することができ、モールド樹脂40の漏れにより樹脂40を削り取る研磨等の後工程についても省略することができる。また、一層半導体装置2の高さのばらつきを抑えることができると共に、冷却効果にばらつきが生じてしまう事態も抑制することができる。
【0040】
さらに、第3実施形態によれば、複数の支柱22m〜22pは、それぞれ切り欠き部22m1〜22p1を有し、第1電極部材21は、切り欠き部22m1〜22p1に合致した状態で配置されている。このように、第1電極部材21は切り欠き部22m1〜22p1に合致することから、第1電極部材21の位置決めを容易化して生産性の向上につなげることができる。
【0041】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせるようにしてもよい。
【0042】
例えば、上記実施形態において、支柱22a〜22d,22f〜22i,22m〜22pは第2電極部材22の一部として構成されているが、これに限らず、第1電極部材21の一部として構成されていてもよい。すなわち、支柱22a〜22d,22f〜22i,22m〜22pは、第1電極部材21及び第2電極部材22の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0043】
また、第2及び第3実施形態において、貫通孔22jは第2電極部材22に形成されているが、これに限らず、第1電極部材21が支柱22f〜22i,22m〜22pを有する場合には、第1電極部材21に形成されていてもよい。すなわち、貫通孔22jは、支柱22f〜22i,22m〜22pを有する側の電極部材21,22に形成されていればよい。
【0044】
また、第3実施形態において、第2電極部材22は支柱22m〜22pを有し、第1電極部材21は切り欠き部22m1〜22p1に合致した状態で配置されているが、第1電極部材21が支柱22m〜22pを有する場合には、第2電極部材22が切り欠き部22m1〜22p1に合致した状態で配置されていてもよい。すなわち、第1電極部材21及び第2電極部材22のうち複数の支柱22m〜22pを有しない側の電極部材21,22が切り欠き部22m1〜22p1に合致した状態で配置されていればよい。
【符号の説明】
【0045】
1〜3…半導体装置
10…半導体素子
21…第1電極部材(第1通電部材)
22…第2電極部材(第2通電部材)
22a〜22d,22f〜22i,22m〜22p…支柱
22e…板部
22j…貫通孔
22k…支柱の下面
22l…板部の下面
22m1〜22p1…切り欠き部
31…第1半田
32…第2半田
40…モールド樹脂
51,52…モールド金型
53…開口部
61,62…冷却器
71,72…絶縁層
A…半導体素子10の配置領域
B…配置領域Aとは異なる領域
C…半導体素子10が回転した場合に半導体素子10に接触する領域
a,b…間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、当該半導体素子に積層される第1通電部材と、当該半導体素子を挟んで当該第1通電部材の反対側に積層される第2通電部材と、前記半導体素子と前記第1通電部材とを接合する第1接合部材と、前記半導体素子と前記第2通電部材とを接合する第2接合部材と、を備えた半導体装置であって、
前記第1及び第2通電部材の少なくとも一方は、前記半導体素子と前記第1及び第2通電部材との積層方向に伸びる絶縁性の複数の支柱を有し、
前記複数の支柱は、前記第1及び第2通電部材の間に配置される前記半導体素子の配置領域と異なる領域に位置し、且つ、前記半導体素子が回転した場合に前記半導体素子に接触する領域において回転方向に不均一な間隔でそれぞれが配置されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1及び第2通電部材のうち、前記複数の支柱を有する側の通電部材は複数の貫通孔を有し、
前記複数の支柱は、当該複数の貫通孔に挿入された状態で配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の支柱は、弾性率が前記半導体素子、前記第1及び第2通電部材、並びに、前記第1及び第2接合部材よりも大きい部材によって構成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の支柱は、それぞれ切り欠き部を有し、
前記第1及び第2通電部材のうち、前記複数の支柱を有しない側の通電部材は、前記切り欠き部に合致した状態で配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−198804(P2011−198804A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60762(P2010−60762)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】