説明

半導体製造装置及び処理方法

【課題】少ない数のピンで、被処理基体及びフォーカスリングを昇降させることが可能な半導体製造装置を提供する。
【解決手段】一実施形態の半導体製造装置は、ステージST、複数のピン70、及び駆動部を備えている。ステージは載置面PFを含む。載置面は、被処理基体Wを載置するための第1の領域R1、及び、フォーカスリング18を載置するための第2の領域R2を有する。第2の領域は、第1の領域を囲むように、設けられている。ステージには、複数の孔14hが形成されている。複数の孔は、第1の領域と第2の領域との境界を通って載置面に交差する方向に延びている。複数のピンは、複数の孔にそれぞれ設けられている。複数のピンの各々は、第1の上端面70a、及び、第2の上端面70bを有している。第2の上端面は、第1の上端面よりも上方に設けられており、当該第1の上端面よりも第1の領域の側に偏位している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面は、半導体製造装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体製造装置が記載されている。特許文献1に記載された半導体製造装置は、ステージ、及び、複数のピンを備えている。ステージには、複数の孔が設けられており、これら複数の孔には複数のピンがそれぞれ挿入されている。
【0003】
複数のピンのうち一部は、ステージ上に載置される被処理基体をステージ上面に対して昇降させるためのものである。複数のピンのうち他の一部は、ステージ上に載置されるフォーカスリングをステージ上面に対して昇降させるためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−196691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した半導体製造装置では、ピンの数に応じて当該ピンを上下動させるための複数の駆動機構が必要になる。したがって、ピンの数に応じて装置が複雑化する。また、上述した半導体製造装置では、ピンの数に応じた孔がステージに形成されている必要がある。しかしながら、ステージに形成される孔の数は、少ないことが望ましい。
【0006】
したがって、当技術分野においては、少ない数のピンで、被処理基体及びフォーカスリングを昇降させることが可能な半導体製造装置が要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る半導体製造装置は、処理容器、ステージ、複数のピン、及び駆動部を備えている。処理容器は、処理空間を画成する。ステージは、処理容器内に設けられている。ステージは載置面を含む。載置面は、被処理基体を載置するための第1の領域、及び、フォーカスリングを載置するための第2の領域を有する。第2の領域は、第1の領域を囲むように、設けられている。ステージには、複数の孔が形成されている。複数の孔は、第1の領域と第2の領域との境界を通って載置面に交差する方向に延びている。複数のピンは、複数の孔にそれぞれ設けられている。複数のピンの各々は、第1の上端面、及び、第2の上端面を有している。第2の上端面は、第1の上端面よりも上方に設けられており、当該第1の上端面よりも第1の領域の側に偏位している。駆動部は、複数のピンを前記方向において上下動させる。
【0008】
この半導体製造装置では、第1の上端面及び第2の上端面のうち第2の上端面のみがステージの載置面から突き出るように複数のピンを上方へ移動させることにより、被処理基体を載置面から持ち上げることができる。また、第1の上端面がステージの載置面から突き出るように複数のピンを上方へ移動させることにより、フォーカスリングを載置面から持ち上げることができる。即ち、各ピンが、被処理基体に接触する端面、及び、フォーカスリングに接触する端面を有している。したがって、この半導体製造装置によれば、少ない数のピンで、被処理基体及びフォーカスリングを昇降させることが可能である。
【0009】
一実施形態においては、半導体製造装置は、制御部を更に備え得る。制御部は、第1のモードにおいて、複数のピンの第1の上端面及び第2の上端面のうち第2の上端面が載置面から突き出るよう、駆動部を制御し、第2のモードにおいて、複数のピンの第1の上端面がステージの載置面から突き出るよう、駆動部を制御してもよい。即ち、半導体製造装置は、上述した駆動部の動作を制御する制御部を備えていてもよい。
【0010】
本発明の別の一側面に係る処理方法は、上述した半導体製造装置を用いた処理方法である。この処理方法は、(a)第2の領域上にフォーカスリングを載置する工程と、(b)第1の領域上に被処理基体を載置する工程と、(c)第1の領域上に被処理基体が載置され、第2の領域上にフォーカスリングが載置された状態において、被処理基体を処理する工程と、(d)複数のピンの第1の上端面及び第2の上端面のうち第2の上端面が載置面から突き出るよう、当該複数のピンを上方に移動させる工程と、(e)複数のピンによって持ち上げられた被処理基体を処理容器から取り出す工程と、(f)複数のピンの第1の上端面が載置面から突き出るように、複数のピンを上方に移動させる工程と、(g)複数のピンによって持ち上げられたフォーカスリングを処理容器から取り出す工程と、を含む。
【0011】
この処理方法によれば、少ない数のピンを用いて、被処理基体及びフォーカスリングを載置面から持ち上げることが可能となる。
【0012】
一実施形態においては、載置面の上方において被処理基体及びフォーカスリングを同時に支持した複数のピンを下方に移動させることにより、第2の領域上にフォーカスリングが載置され、第1の領域上に被処理基体が載置されてもよい。また、一実施形態においては、複数のピンにより被処理基体及びフォーカスリングを同時に載置面から持ち上げた後に、被処理基体が処理容器から取り出され、フォーカスリングが処理容器から取り出されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の種々の側面によれば、被処理基体及びフォーカスリングを昇降させることが可能な半導体製造装置、及び、この半導体製造装置を用いた処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る半導体製造装置を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す半導体製造装置のステージ、複数のピン、及び駆動部を拡大して示す断面図である。
【図3】一実施形態に係る処理方法を示す流れ図である。
【図4】図3の工程S4におけるピンの位置を示す断面図である。
【図5】図3の工程S6におけるピンの位置を示す断面図である。
【図6】別の実施形態に係る処理方法を示す流れ図である。
【図7】図6の工程S6におけるピンの位置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
図1は、一実施形態に係る半導体製造装置を概略的に示す図である。図1では、一実施形態に係る半導体製造装置の断面が示されている。図2は、図1に示す半導体製造装置のステージ、複数のピン、及び駆動部を拡大して示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、一実施形態の半導体製造装置10は、平行平板型のプラズマ処理装置であり得る。半導体製造装置10は、処理容器12を備えている。処理容器12は、略円筒形状を有しており、その内部空間として処理空間Sを画成している。半導体製造装置10は、処理容器12内に、ステージSTを備えている。一実施形態においては、ステージSTは、台14及び静電チャック50を含んでいる。台14は、略円板形状を有しており、処理空間Sの下方に設けられている。台14は、例えばアルミニウム製であり、下部電極を構成している。
【0018】
一実施形態においては、半導体製造装置10は、筒状保持部16及び筒状支持部17を更に備えている。筒状保持部16は、台14の側面及び底面の縁部に接して、台14を保持している。筒状支持部17は、処理容器12の底部から垂直方向に延在し、筒状保持部16を介して台14を支持している。
【0019】
半導体製造装置10は、フォーカスリング18を更に備えている。図2に示すように、フォーカスリング18は、台14の周縁部分の上面に載置される。フォーカスリング18は、被処理基体Wの処理精度の面内均一性を改善するための部材である。フォーカスリング18は、略環形状を有する板状部材であり、例えば、シリコン、石英、又はシリコンカーバイドから構成され得る。
【0020】
一実施形態においては、処理容器12の側壁と筒状支持部17との間には、排気路20が形成されている。排気路20の入口又はその途中には、バッフル板22が取り付けられている。また、排気路20の底部には、排気口24が設けられている。排気口24は、処理容器12の底部に嵌め込まれた排気管28によって画成されている。この排気管28には、排気装置26が接続されている。排気装置26は、真空ポンプを有しており、処理容器12内の処理空間Sを所定の真空度まで減圧することができる。処理容器12の側壁には、被処理基体Wの搬入出口を開閉するゲートバルブ30が取り付けられている。
【0021】
台14には、プラズマ生成用の高周波電源32が整合器34を介して電気的に接続されている。高周波電源32は、所定の高周波数(例えば13MHz)の高周波電力を下部電極、即ち、台14に印加する。
【0022】
半導体製造装置10は、更に、処理容器12内にシャワーヘッド38を備えている。シャワーヘッド38は、処理空間Sの上方に設けられている。シャワーヘッド38は、電極板40及び電極支持体42を含んでいる。
【0023】
電極板40は、略円板形状を有する導電性の板であり、上部電極を構成している。電極板40には、プラズマ生成用の高周波電源35が整合器36を介して電気的に接続されている。高周波電源35は、所定の高周波数(例えば60MHz)の高周波電力を電極板40に印加する。高周波電源32及び高周波電源35によって台14及び電極板40に高周波電力がそれぞれ与えられると、台14と電極板40との間の空間、即ち、処理空間Sには高周波電界が形成される。
【0024】
電極板40には、複数のガス通気孔40hが形成されている。電極板40は、電極支持体42によって着脱可能に支持されている。電極支持体42の内部には、バッファ室42aが設けられている。半導体製造装置10は、ガス供給部44を更に備えており、バッファ室42aのガス導入口25にはガス供給導管46を介してガス供給部44が接続されている。ガス供給部44は、処理空間Sに処理ガスを供給する。この処理ガスは、例えば、エッチング用の処理ガスであってもよく、又は、成膜用の処理ガスであってもよい。電極支持体42には、複数のガス通気孔40hにそれぞれ連続する複数の孔が形成されており、当該複数の孔はバッファ室42aに連通している。ガス供給部44から供給されるガスは、バッファ室42a、ガス通気孔40hを経由して、処理空間Sに供給される。
【0025】
一実施形態においては、処理容器12の天井部に、環状又は同心状に延在する磁場形成機構48が設けられている。この磁場形成機構48は、処理空間Sにおける高周波放電の開始(プラズマ着火)を容易にして放電を安定に維持するよう機能する。
【0026】
半導体製造装置10では、台14の上面に静電チャック50が設けられている。図2に示すように、静電チャック50は、電極52、並びに、一対の絶縁膜54a及び54bを含んでいる。電極52は、導電膜であり、絶縁膜54aと絶縁膜54bの間に設けられている。図1に示すように、電極52には、スイッチSWを介して直流電源56が接続されている。直流電源56から電極52に直流電圧が与えられると、クーロン力が発生し、当該クーロン力によって被処理基体Wが静電チャック50上に吸着保持される。
【0027】
一実施形態においては、半導体製造装置10は、ガス供給ライン58、及び、伝熱ガス供給部62を更に備えている。伝熱ガス供給部62は、ガス供給ライン58に接続されている。このガス供給ライン58は、静電チャック50の上面まで延びて、当該上面において環状に延在している。伝熱ガス供給部62は、例えばHeガスといった伝熱ガスを、静電チャック50の上面と被処理基体Wとの間に供給する。
【0028】
一実施形態においては、半導体製造装置10は、制御部66を更に備えている。この制御部66は、排気装置26、スイッチSW、高周波電源32、整合器34、高周波電源35、整合器36、ガス供給部44、及び、伝熱ガス供給部62に接続されている。制御部66は、排気装置26、スイッチSW、高周波電源32、整合器34、高周波電源35、整合器36、ガス供給部44、及び、伝熱ガス供給部62のそれぞれに制御信号を送出する。制御部66からの制御信号により、排気装置26による排気、スイッチSWの開閉、高周波電源32からの電力供給、整合器34のインピーダンス調整、高周波電源35からの電力供給、整合器36のインピーダンス調整、ガス供給部44による処理ガスの供給、伝熱ガス供給部62による伝熱ガスの供給が制御される。
【0029】
この半導体製造装置10では、ガス供給部44から処理空間Sに処理ガスが供給される。また、電極板40と台14との間、即ち処理空間Sにおいて高周波電界が形成される。これにより、処理空間Sにおいてプラズマが発生し、処理ガスに含まれる元素のラジカル等により、被処理基体Wの処理が行われる。なお、被処理基体Wの処理は、任意の処理であり得るものであり、例えば、被処理基体Wのエッチング、又は、被処理基体W上への成膜であってもよいが、限定されるものではない。
【0030】
以下、図1及び図2を参照して、ステージ、複数のピン、及び、駆動部の構成について、より詳細に説明する。ステージSTは、載置面PFを有している。この載置面PFは、第1の領域R1及び第2の領域R2を含んでいる。第1の領域R1は、被処理基体Wを載置するための領域である。一実施形態においては、第1の領域R1は、静電チャック50の上面によって画成されており、略円形の領域である。第2の領域R2は、フォーカスリング18を載置するための領域であり、第1の領域R1を囲むよう環状に設けられている。一実施形態においては、第2の領域R2は、台14の周縁部分の上面によって画成されている。
【0031】
ステージSTには、複数の孔14hが設けられている。複数の孔14hは、第1の領域R1と第2の領域R2の間の境界を通って、ステージSTの載置面PFに交差する方向(上下方向)に延びている。これら孔14hは、例えば、周方向に等間隔に設けられており、当該孔14hの個数は、3以上である。
【0032】
複数の孔14hには複数のピン70がそれぞれ設けられている。各ピン70は、第1の上端面70a、及び、第2の上端面70bを有している。一実施形態においては、各ピン70は、第1の柱状部70c及び第2の柱状部70dを含んでいる。第1の柱状部70cは、第2の柱状部70dの下方に設けられている。第1の柱状部70cの直径は、第2の柱状部70dの直径より大きい。第1の柱状部70cの上端面は、第1の上端面70aを構成している。第2の柱状部70dは、第1の柱状部70cの上端面から上方に延びている。第2の柱状部70dの上端面は、第2の上端面70bを構成している。この第2の柱状部70dの中心軸線は、第1の柱状部70cの中心軸線に対して第1の領域R1側に偏位している。即ち、第1の上端面70aに対して、第2の上端面70bは、第1の領域R1側に偏位している。これにより、各ピン70が上方に移動しても、第2の柱状部70dの上端面が、フォーカスリング18に当接しないようになっている。
【0033】
一実施形態においては、各ピン70の第2の柱状部70cと対応の孔14hを画成する台14の面、即ち、当該孔14hを画成する内面との間には、Oリングといったシール部材72が設けられている。シール部材72によって、孔14hが封止され、その結果、処理空間Sの気密が確保される。
【0034】
図1に示すように、複数のピン70のそれぞれには、複数の駆動部74がそれぞれ接続されている。各駆動部74は対応のピン70を上下方向に移動させる、即ち、昇降させる駆動力を発生する。複数の駆動部74には、ピン70を上下方向に移動させる任意の駆動機構が採用され得る。例えば、複数の駆動部74は、油圧又は空気圧シリンダを有していてもよい。
【0035】
上述した制御部66は、複数の駆動部74に接続されていてもよい。即ち、複数のピン72の上下方向の移動は、制御部66から複数の駆動部74に与えられる制御信号によって制御されてもよい。一実施形態においては、制御部66は、第1のモードにおいて、各ピン70の第1の上端面70a及び第2の上端面70bのうち第2の上端面70bのみが載置面PFから上方に突き出るよう、複数の駆動部74による複数のピン70の駆動を制御する。この第1のモードでは、複数のピン70の第2の上端面70bが被処理基体Wに当接し、当該複数のピン70によって被処理基体Wが載置面PF(第1の領域R1)から持ち上げられる。載置面PFから持ち上げられた被処理基体Wは、ロボットアーム等の搬送機構によりゲートバルブ30から処理容器12の外部に取り出される。
【0036】
また、制御部66は、第2のモードにおいて、各ピン70の第1の上端面70aが載置面PFから上方に突き出るよう、複数の駆動部74による複数のピン70の駆動を制御する。この第2のモードでは、複数のピン70の第1の上端面70aがフォーカスリングに当接し、当該複数のピン70によってフォーカスリング18が載置面PF(第2の領域R2)から持ち上げられる。載置面PFから持ち上げられたフォーカスリング18は、ロボットアーム等の搬送機構によりゲートバルブ30から処理容器12の外部に取り出される。
【0037】
このように、半導体製造装置10では、各ピン70が、被処理基体Wを上方に持ち上げるための第2の上端面70b、及び、フォーカスリング18を上方に持ち上げるための第1の上端面70aを有している。したがって、少ないピン数で、ステージSTからの被処理基体Wの持ち上げ、及び、フォーカスリング18の持ち上げを実現することが可能である。
【0038】
以下、一実施形態に係る半導体製造装置を用いた処理方法について説明する。図3は、一実施形態に係る処理方法を示す流れ図である。図3に示す処理方法は、半導体製造装置10を用いて行うことができる。図3に示す処理方法では、工程S1において、第2の領域R2上にフォーカスリング18を載置することができる。工程S1では、複数のピン70は、複数の孔14h内に収容された状態、即ち、第2の上端面70bが載置面PFより下方に位置する状態に設定される。この状態において、ロボットアーム等の搬送機構により、ゲートバルブ30を経由して処理空間S内の所定の位置、即ち、第2の領域R2の上方まで、フォーカスリング18が案内される。次いで、第1の上端面70aがフォーカスリング18の裏面に接するよう、複数のピン70が上方に移動される。次いで、搬送機構を処理容器12の外部に移動させた後、複数のピン70が下方に移動される。これにより、フォーカスリング18が第2の領域R2上に載置される。
【0039】
続く工程S2において、第1の領域R1上に被処理基体Wを載置することができる。工程S2では、複数のピン70は、複数の孔14h内に収容された状態、即ち、第2の上端面70bが載置面PFより下方に位置する状態に設定される。この状態で、ロボットアーム等の搬送機構により、ゲートバルブ30を経由して処理空間S内の所定の位置、即ち、第1の領域R1の上方まで被処理基体Wが案内される。次いで、第2の上端面70bが被処理基体Wの裏面に接するよう、複数のピン70が上方に移動される。次いで、搬送機構を処理容器12の外部に移動させた後、複数のピン70が下方に移動される。これにより、被処理基体Wが第1の領域R1上に載置される。
【0040】
続く工程S3において、被処理基体Wが処理される。工程S3においては、処理空間S内において、プラズマエッチング又は成膜といった任意の処理が行われる。
【0041】
続く工程S4において、第1の上端面70a及び第2の上端面70bのうち第2の上端面70bが載置面PFから突き出るように、複数のピン70が上方に移動される。図4は、図3の工程S4におけるピンの位置を示す断面図である。図4に示すように、工程S4では、第2の上端面70bが被処理基体Wの裏面に接して、複数のピン70が被処理基体Wを載置面PF(第1の領域R1)から持ち上げる。なお、工程S4においては、第1の上端面70aは、載置面PFより下方、即ち、フォーカスリング18の裏面より下方に位置する。
【0042】
続く工程S5において、被処理基体Wが処理容器12から取り出される。具体的には、ロボットアーム等の搬送機構が、ゲートバルブ30を介して、処理容器12内に送られる。次いで、搬送機構によって被処理基体Wが保持される。次いで、複数のピン70が下方に移動された後、被処理基体Wが搬送機構によって処理容器12の外部に取り出される。なお、工程S2〜S5は、被処理基体Wを交換しつつ一回以上行われ得る。
【0043】
続く工程S6においては、被処理基体Wが処理容器12から取り出された状態において、第1の上端面70aが載置面PFから突き出るよう、複数のピン70が上方に移動される。図5は、図3の工程S6におけるピンの位置を示す断面図である。図5に示すように、工程S6では、第1の上端面70aがフォーカスリング18の裏面に接して、複数のピン70がフォーカスリング18を載置面PF(第2の領域R2)から持ち上げる。
【0044】
続く工程S7においては、フォーカスリング18が処理容器12の外部に取り出される。具体的には、ロボットアーム等の搬送機構が、ゲートバルブ30を介して、処理容器12内に送られる。次いで、搬送機構によってフォーカスリング18が保持される。次いで、複数のピン70がフォーカスリング18に干渉しないよう下方に移動された後、フォーカスリング18が搬送機構によって処理容器12の外部に取り出される。これにより、交換すべきフォーカスリング18を処理容器12から取り出すことができ、その後、工程S1からの処理を繰り返すことができる。
【0045】
以下、図6を参照し、半導体製造装置10を用いて実施し得る別の実施形態に係る処理方法について説明する。図6は、別の実施形態に係る処理方法を示す流れ図である。別の実施形態においては、工程S1において、複数のピン70は、複数の孔14h内に収容された状態、即ち、第2の上端面70bが載置面PFより下方に位置する状態に設定される。この状態において、ロボットアーム等の搬送機構により、ゲートバルブ30を経由して処理空間S内の所定の位置、即ち、第2の領域R2の上方まで、フォーカスリング18が案内され、また、別の所定の位置、即ち、第1の領域R1の上方まで被処理基体Wが案内される。
【0046】
次いで、第1の上端面70aがフォーカスリング18の裏面に接し、第2の上端面70bが被処理基体Wの裏面に接するよう、複数のピン70が上方に移動される。そして、搬送機構が処理容器12の外部に移動される。このとき、被処理基体W及びフォーカスリング18は、載置面PFの上方において複数のピン70により同時に支持される。この後、複数のピン70が下方に移動される。これにより、まず、工程S1において、第2の領域R2上にフォーカスリング18が載置される。そして、更に複数のピン70が下方に移動されることにより、工程S2において、第1の領域R1上に被処理基体Wが載置される。
【0047】
別の実施形態では、工程S3において被処理基体Wが処理された後、工程S4に続けて工程S6が行われる。即ち、別の実施形態では、工程S4において、複数のピン70を上方に移動させて、当該複数のピン70により被処理基体Wを載置面PF(第1の領域R1)から持ち上げる。そして、工程S4に続く工程S6において、更に複数のピン70を上方に移動させて、当該複数のピン70によりフォーカスリング18を載置面PF(第2の領域R2)から持ち上げる。図7は、図6の工程S6におけるピンの位置を示す断面図である。図6の工程S6が行われると、図7に示すように、複数のピン70の第2の上端面70bが被処理基体Wの裏面に接し、複数のピン70の第1の上端面70aがフォーカスリング18の裏面に接する。このとき、被処理基体W及びフォーカスリング18は、載置面PFの上方において複数のピン70により同時に支持される。
【0048】
次いで、工程S5及び工程S7が同時に実施される。即ち、ロボットアーム等の搬送機構が、ゲートバルブ30を介して、処理容器12内に送られ、当該搬送機構により被処理基体W及びフォーカスリング18が保持される。そして、複数のピン70がフォーカスリング18に干渉しないよう下方に移動された後、被処理基体W及びフォーカスリング18が搬送機構によって処理容器12の外部に取り出される。このように、被処理基体W及びフォーカスリング18を同時に複数のピン70により持ち上げて、同時に処理容器12の外部に取り出すことにより、スループットが向上され得る。
【0049】
以上、種々の実施形態について説明したが、これら実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した半導体製造装置10は、平行平板型のプラズマ処理装置であったが、本発明の上述した側面及び実施形態の思想は任意のプラズマ発生源を有するプラズマ処理装置にも適用可能である。また、本発明の上述した側面及び実施形態の思想は、プラズマ処理装置に限定されず、処理空間内においてステージ上に被処理基体W及びフォーカスリングを載置して当該被処理基体Wを処理する任意の半導体製造装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…半導体製造装置、12…処理容器、14…台、14h…孔、18…フォーカスリング、50…静電チャック、66…制御部、70…ピン、70a…第1の上端面、70b…第2の上端面、70c…第1の柱状部、70d…第2の柱状部、72…シール部材、74…駆動部、PF…載置面、R1…第1の領域、R2…第2の領域、S…処理空間、ST…ステージ、W…被処理基体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理空間を画成する処理容器と、
前記処理容器内に設けられたステージであって、被処理基体を載置するための第1の領域、及び、フォーカスリングを載置するための第2の領域であり該第1の領域を囲むように設けられた該第2の領域を有する載置面を含み、前記第1の領域と前記第2の領域との境界を通って前記載置面に交差する方向に延びる複数の孔が形成されている、該ステージと、
前記複数の孔内にそれぞれ設けられた複数のピンであって、各々が、第1の上端面、及び、該第1の上端面よりも上方に設けられており、該第1の上端面よりも前記第1の領域の側に偏位した第2の上端面を有する、該複数のピンと、
前記複数のピンを前記方向において上下動させる駆動部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
第1のモードにおいて、前記複数のピンの前記第1の上端面及び前記第2の上端面のうち前記第2の上端面が前記載置面から突き出るよう、前記駆動部を制御し、第2のモードにおいて、前記複数のピンの前記第1の上端面が前記載置面から突き出るよう、前記駆動部を制御する制御部を更に備える、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
半導体製造装置を用いた処理方法であって、
前記半導体製造装置は、
処理空間を画成する処理容器と、
前記処理容器内に設けられたステージであって、被処理基体を載置するための第1の領域、及び、フォーカスリングを載置するための第2の領域であり該第1の領域を囲むように設けられた該第2の領域を有する載置面を含み、前記第1の領域と前記第2の領域との境界を通って前記載置面に交差する方向に延びる複数の孔が形成されている、該ステージと、
前記複数の孔内にそれぞれ設けられた複数のピンであって、各々が、第1の上端面、及び、該第1の上端面よりも上方に設けられており、該第1の上端面よりも前記第1の領域の側に偏位した第2の上端面を有する、該複数のピンと、
前記複数のピンを前記方向において上下動させる駆動部と、
を備え、
前記第2の領域上にフォーカスリングを載置する工程と、
前記第1の領域上に被処理基体を載置する工程と、
第1の領域上に被処理基体が載置され、第2の領域上にフォーカスリングが載置された状態において、前記被処理基体を処理する工程と、
前記複数のピンの前記第1の上端面及び前記第2の上端面のうち前記第2の上端面が前記ステージの前記載置面から突き出るよう、該複数のピンを上方に移動させる工程と、
前記複数のピンによって持ち上げられた前記被処理基体を前記処理容器から取り出す工程と、
前記複数のピンの前記第1の上端面が前記載置面から突き出るよう、該複数のピンを上方に移動させる工程と、
前記複数のピンによって持ち上げられた前記フォーカスリングを前記処理容器から取り出す工程と、
を含む処理方法。
【請求項4】
前記載置面の上方において前記被処理基体及び前記フォーカスリングを同時に支持した前記複数のピンを下方に移動させることにより、前記第2の領域上に前記フォーカスリングが載置され、前記第1の領域上に前記被処理基体が載置され、
前記複数のピンにより前記被処理基体及び前記フォーカスリングを同時に前記載置面から持ち上げた後に、前記被処理基体が前記処理容器から取り出され、前記フォーカスリングが前記処理容器から取り出される、
請求項3に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42012(P2013−42012A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178494(P2011−178494)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】