説明

半導体記憶装置

【課題】 電源立ち上げ時において、揮発性メモリの通常動作で必要とされる設定情報の設定を、簡単な構成で、処理時間及びCPU負荷を低減できる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 揮発性の第1データ記憶領域21に対する通常動作の実行に必要な設定情報を記憶する揮発性のモードレジスタを備える揮発性半導体記憶装置20と、不揮発性の第2データ記憶領域12と設定情報を有する不揮発性の設定情報記憶領域を備える不揮発性半導体記憶装置10を備え、不揮発性半導体記憶装置10が、電源立ち上げ検知手段30と、電源立ち上げ後、通常動作前に、揮発性半導体記憶装置20に対し、設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段13と、を備え、揮発性半導体記憶装置20が、電源立ち上げ後、通常動作の実行前に、不揮発性半導体記憶装置10から設定情報を受け付けてモードレジスタに記憶する設定情報記憶手段を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置、特に、通常動作の実行前に、通常動作の実行に必要な設定情報をモードレジスタに設定する必要のある揮発性メモリに対し、設定情報の設定を行うための機能を有する半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部クロックに同期して動作するSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)や、DRAM構造のメモリセルとSRAM(Static Random Access Memory)構造の制御回路を有する疑似SRAM等の揮発性メモリには、内蔵されたモードレジスタに設定された設定情報を用いて、読み出し処理や書き込み処理等の通常動作を実行するものがある。
【0003】
具体的には、例えば、SDRAMの設定情報としては、1つのコマンドで複数の単位データを連続的に転送するバーストモードの設定時において、読み出し処理における読み出しデータのデータ長や書き込み処理における書き込みデータのデータ長を示すバースト長、読み出し処理を指示するリード(読み出し)コマンドまたは書き込み処理を指示するライト(書き込み)コマンドの入力から実際にデータの読み出し処理または書き込み処理が実行されるまでにかかる時間を示すレイテンシ等がある。また、バーストモードを有する疑似SRAMの設定情報としては、例えば、バースト長やレイテンシ等がある。バーストモードを有しない疑似SRAMの設定情報としては、例えば、スタンバイモード時において一部の記憶領域に対してのみリフレッシュ動作を実行するパーシャルリフレッシュ処理において、リフレッシュ動作を実行する記憶領域の範囲がある。
【0004】
ところで、SDRAMや疑似SRAM等の揮発性メモリは、通常、電源供給を停止するとデータを保持できない。このため、電源供給を停止すると、モードレジスタに記憶された設定情報は失われる。従って、設定情報を用いて通常動作を行う揮発性メモリを備える従来の揮発性半導体記憶装置では、電源立ち上げ毎に、モードレジスタに設定情報を書き込む初期設定処理を実行する必要がある。また、このような揮発性半導体記憶装置では、設定情報がモードレジスタに設定された後に通常動作が可能になるため、電源立ち上げ後、CPU(Central Processing Unit)からの通常動作を指示するコマンドが発行されるまでに、設定情報をモードレジスタに書き込む初期設定処理を完了する必要がある。
【0005】
以下、設定情報を用いて通常動作を行う揮発性メモリを備える従来の揮発性半導体記憶装置について、図5〜図7を基に簡単に説明する。
【0006】
先ず、従来の揮発性半導体記憶装置の構成について図5を基に簡単に説明する。ここで、図5は、従来技術に係る揮発性半導体記憶装置100におけるCPU200との概略接続構成例を示している。図5に示すように、従来技術に係る揮発性半導体記憶装置100は、CPU200からコマンド入力を受け付け可能に接続されており、モードレジスタの設定等を行う初期設定処理と、読み出し処理や書き込み処理等の通常動作を実行可能に構成されている。
【0007】
次に、従来の揮発性半導体記憶装置100の処理手順について図6及び図7を基に簡単に説明する。ここで、図6は、従来技術に係る揮発性半導体記憶装置100における初期設定処理の処理手順を示しており、図7は、従来技術に係る揮発性半導体記憶装置100におけるクロック信号CLK、モードレジスタの設定を指示するコマンドMRS、所定の通常動作を指示するコマンドCMDの波形の一例を示している。
【0008】
揮発性半導体記憶装置100は、図6及び図7に示すように、電源立ち上げ後、先ず、初期設定処理において、CPU200がコマンドMRSを発行し(ステップ#201)、揮発性半導体記憶装置100が、コマンドMRSの発行を受けてモードレジスタに設定情報を書き込む(ステップ#211)。CPU200は、モードレジスタの設定完了後、リードコマンドやライトコマンド等のコマンドCMDを発行し(ステップ#202)、揮発性半導体記憶装置100が、これらのコマンドCMDに基づいて通常動作を実行する(ステップ#212)。
【0009】
また、図8は、設定情報を用いて通常動作を行う揮発性メモリの一例としてのRAM120の他に、同一の半導体基板上に不揮発性メモリ110を備える複合半導体記憶装置300の例を示している。図8に示すように、複合半導体記憶装置300は、設定情報を記憶するためのモードレジスタ120を備えるRAM120と、不揮発性メモリ110を備え、外部のCPU200からのコマンド入力により、初期設定処理や、書き込み処理及び読み出し処理等の通常動作を実行するように構成されている。
【0010】
しかし、上述したように、電源立ち上げ毎に揮発性のモードレジスタに設定情報を書き込む初期設定処理を実行する従来の半導体記憶装置では、初期設定処理のためにCPUに負荷がかかるという問題があった。
【0011】
半導体記憶装置の初期設定処理に係る技術には、例えば、同一半導体基板上に、揮発性メモリとは別に、強誘電体型の不揮発性メモリを形成し、該不揮発性メモリをモードレジスタとして使用する半導体記憶装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
この半導体記憶装置は、電源供給の停止時にデータを保持可能な不揮発性メモリをモードレジスタとして利用することで、初期設定処理時のモードレジスタへの設定情報の書き込みにかかるCPUの負荷を低減している。
【0013】
以下、特許文献1に記載の半導体記憶装置について、図9〜図11を基に簡単に説明する。先ず、特許文献1に記載の半導体記憶装置400の構成について図9を基に簡単に説明する。ここで、図9は、半導体記憶装置400の概略構成例を示している。
【0014】
図9に示すように、半導体記憶装置400は、揮発性メモリの一例としてのDRAM430と、強誘電体型の不揮発性メモリで構成されたモードレジスタ410と、DRAM430及びモードレジスタ410の動作を制御するメモリ制御回路420と、を備えて構成されている。
【0015】
次に、特許文献1に記載の半導体記憶装置の処理手順について、図10及び図11を基に簡単に説明する。ここで、図10は、半導体記憶装置400における揮発性メモリの初期設定処理の処理手順を示しており、図11は、半導体記憶装置400におけるクロック信号CLK、モードレジスタの設定を指示するコマンドMRS、所定の通常動作を指示するコマンドCMDの波形の一例を示している。
【0016】
図10及び図11に示すように、半導体記憶装置400では、電源立ち上げ後、外部のCPUが、コマンドMRSを発行することなく、リードコマンドやライトコマンド等のコマンドCMDを発行し(ステップ#301)、半導体記憶装置400が、これらのコマンドCMDに基づいて通常動作を実行する(ステップ#311)。
【0017】
この半導体記憶装置400では、強誘電体型の不揮発性メモリをモードレジスタ410として使用するので、電源供給を停止しても設定情報が失われることがない。このため、初期設定時に、設定情報を書き込む初期設定処理を実行する必要がなくなり、設定情報の書き込み処理にかかる手間及び時間、CPUの負荷等を低減でき、設定情報の書き込み処理に係るプログラム等を構築する必要がなくなる。
【0018】
【特許文献1】特開2004−311002号公報
【特許文献2】特開2005−301739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記特許文献1に記載の半導体記憶装置では、同一半導体基板上に、DRAM430等の揮発性メモリと、揮発性メモリとは別のプロセスで形成する必要がある強誘電体型の不揮発性メモリ(モードレジスタ410)とを形成する構成であることから、製造工程におけるプロセス制御が複雑且つ困難になる。
【0020】
具体的には、上記特許文献1に記載の半導体記憶装置400では、強誘電体型の不揮発性メモリを形成するために、誘電率の高い薄膜である強誘電体を、DRAM等のキャパシタとして用いている。尚、強誘電体は、電圧印加により自発分極の方向を設定でき、電源供給を停止しても分極方向を持続させることができる。このような特性を利用することにより、強誘電体は、DRAM等のキャパシタとして利用可能である。
【0021】
しかし、強誘電体の薄膜を、DRAM等の不揮発性メモリを構成するメモリセルのキャパシタの形成に利用すると、DRAMの集積度を上げることが困難になる。更に、強誘電体を用いた不揮発性メモリの形成には、高度なプロセス制御技術を必要とする。このため、将来的にモードレジスタのような用途において実用化される可能性はあるが、現時点では、強誘電体の薄膜をキャパシタとして用いる不揮発性メモリを、SDRAM等の他の揮発性メモリと同一の半導体基板上に形成することは非常に困難であり、現実的ではない。また、現在実用化されているプロセスでは、上述した強誘電体を用いた不揮発性メモリ以外の不揮発性メモリは、SDRAM等の他の揮発性メモリと同一の半導体基板上に形成するためには、強誘電体を用いる場合よりも更に高度なプロセス技術を必要とするため、更に現実的ではない。
【0022】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電源立ち上げ時において、揮発性メモリの通常動作で必要とされる設定情報の設定を、簡単な構成で実行でき、処理時間及びCPUの負荷を低減できる半導体記憶装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するための本発明に係る半導体記憶装置は、所定のデータを記憶する揮発性メモリからなる第1データ記憶領域と、前記第1データ記憶領域に対する通常動作の実行に必要な設定情報を記憶するための揮発性のモードレジスタとを備える揮発性半導体記憶装置と、所定のデータを記憶する不揮発性メモリからなる第2データ記憶領域と、前記揮発性半導体記憶装置の前記通常動作の実行に必要な前記設定情報を有する不揮発性の設定情報記憶領域と、を備える不揮発性半導体記憶装置と、を備えた半導体記憶装置であって、前記不揮発性半導体記憶装置が、電源立ち上げを検知する電源立ち上げ検知手段と、前記電源立ち上げ後、前記揮発性半導体記憶装置の前記第1データ記憶領域に対する前記通常動作前に、前記揮発性半導体記憶装置に対し、前記設定情報記憶領域に記憶された前記設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段と、を備え、前記揮発性半導体記憶装置が、前記電源立ち上げ後、前記第1データ領域に対する前記通常動作の実行前に、前記不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付け、受け付けた前記設定情報を前記モードレジスタに記憶する設定情報記憶手段を備えて構成されることを第1の特徴とする。
【0024】
上記特徴の本発明に係る半導体記憶装置は、前記不揮発性半導体記憶装置が、前記揮発性半導体記憶装置に対し前記設定情報を送出するための専用のデータ出力端子を備え、前記不揮発性半導体記憶装置の前記設定情報送出手段が、前記データ出力端子を介して前記設定情報を送出し、前記揮発性半導体記憶装置が、前記不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付けるための専用のデータ入力端子を備え、前記揮発性半導体記憶装置の前記設定情報記憶手段が、前記データ入力端子を介して前記設定情報を受け付け、前記不揮発性半導体記憶装置の前記データ出力端子と、前記揮発性半導体記憶装置の前記データ入力端子が専用のデータ線で接続されていることを第2の特徴とする。
【0025】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体記憶装置は、前記揮発性半導体記憶装置及び前記不揮発性半導体記憶装置が、同一パッケージ内に構成されていることを第3の特徴とする。
【0026】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体記憶装置は、前記パッケージが、スタック型パッケージであることを第4の特徴とする。
【0027】
上記目的を達成するための本発明に係る揮発性半導体記憶装置は、所定のデータを記憶する揮発性メモリからなる第1データ記憶領域と、前記第1データ記憶領域に対する通常動作の実行に必要な設定情報を記憶するための揮発性のモードレジスタとを備える揮発性半導体記憶装置であって、電源立ち上げ後、前記第1データ記憶領域に対する前記通常動作の実行前に、内部に記憶された前記設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段を備えた外部の不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付け、受け付けた前記設定情報を前記モードレジスタに記憶する設定情報記憶手段を備えることを第1の特徴とする。
【0028】
上記特徴の本発明に係る揮発性半導体記憶装置は、前記モードレジスタと前記不揮発性半導体記憶装置を接続し、前記不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付けるための専用のデータ入力端子を備え、前記設定情報記憶手段が、前記データ入力端子を介して前記設定情報を受け付けることを第2の特徴とする。
【0029】
上記目的を達成するための本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、所定のデータを記憶する不揮発性メモリからなる第2データ記憶領域と、上記第5または第6の特徴の揮発性半導体記憶装置の前記通常動作の実行に必要な前記設定情報を有する不揮発性の設定情報記憶領域とを備える不揮発性半導体記憶装置であって、電源立ち上げを検知する電源立ち上げ検知手段と、前記電源立ち上げ後、前記揮発性半導体記憶装置の前記第1データ記憶領域に対する前記通常動作前に、前記揮発性半導体記憶装置に対し、前記設定情報記憶領域に記憶された前記設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段と、を備えることを第1の特徴とする。
【0030】
上記特徴の本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、前記揮発性半導体記憶装置の前記モードレジスタと前記設定情報記憶領域を接続し、前記揮発性半導体記憶装置に対し前記設定情報を送出するための専用のデータ出力端子を備え、前記設定情報送出手段が、前記データ出力端子を介して前記設定情報を送出することを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
上記特徴の半導体記憶装置によれば、揮発性半導体記憶装置の通常動作に必要な設定情報を、不揮発性半導体記憶装置の不揮発性の設定情報記憶領域に記憶しておき、電源立ち上げ時に、自動的に、不揮発性半導体記憶装置から揮発性半導体記憶装置に設定情報を転送し、揮発性半導体記憶装置の揮発性のモードレジスタに記憶するので、揮発性半導体記憶装置を、外部アドレスにより外部ユーザからアクセス可能な汎用の揮発性半導体記憶装置を基に、簡単な変更のみで構成でき、同様に、不揮発性半導体記憶装置を、外部アドレスにより外部ユーザからアクセス可能な汎用の不揮発性半導体記憶装置を基に、電源立ち上げ検知手段や設定情報送出手段を追加する等の簡単な変更のみで構成できる。即ち、上記特徴の半導体記憶装置によれば、従来の同一半導体基板上に揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を形成する半導体記憶装置の場合のように、特別な製造プロセスを別途使用せずに、揮発性半導体記憶装置を通常の揮発性メモリ用プロセスで作製し、不揮発性半導体記憶装置を、揮発性メモリ用プロセスとは異なる通常の不揮発性メモリ用プロセスで作製することが可能になる。
【0032】
更に、上記特徴の半導体記憶装置によれば、電源立ち上げ時に、自動的に、不揮発性半導体記憶装置から揮発性半導体記憶装置に設定情報を転送するように構成したので、CPUにより、設定情報を揮発性のモードレジスタに書き込む初期設定処理を実行する必要がなくなり、CPUの負荷を軽減できる。更に、上記特徴の半導体記憶装置によれば、自動的にモードレジスタの設定が行われるので、揮発性のモードレジスタの設定を実行するためのプログラムを備える必要がなくなり、半導体記憶装置の構成を簡素化することが可能になる。
【0033】
同様に、上記特徴の不揮発性半導体記憶装置、上記特徴の揮発性半導体記憶装置においても、上述したように、上記特徴の半導体記憶装置と同様に、揮発性半導体記憶装置を通常の揮発性メモリ用プロセスで作製し、不揮発性半導体記憶装置を、揮発性メモリ用プロセスとは異なる通常の不揮発性メモリ用プロセスで作製することが可能になる。更に、外部のCPUの負荷を軽減でき、揮発性のモードレジスタの設定にかかるプログラムを作成する必要がなくなり、当該プログラムのための記憶領域を確保する必要がなくなる。
【0034】
また、上記第2の特徴の半導体記憶装置によれば、設定情報の転送のために、専用のデータ入力端子、データ出力端子及びデータ線を設ける構成にしたので、モードレジスタに対する設定情報の書き込みの初期設定処理時に、揮発性半導体記憶装置において通常動作で使用するデータ線等を占有することがない。同様に、上記第2の特徴の揮発性半導体記憶装置及び上記第2の特徴の不揮発性半導体記憶装置においても、モードレジスタに対する設定情報の書き込みの初期設定処理時に、揮発性半導体記憶装置において通常動作で使用するデータ線等を占有することがない。
【0035】
また、上記第3及び第4の特徴の半導体記憶装置によれば、揮発性半導体記憶装置と不揮発性半導体記憶装置を同一パッケージ内に構成したので、互いに異なるプロセスで製造される揮発性半導体記憶装置と不揮発性半導体記憶装置を、特別なプロセスを用いることなく作製することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る半導体記憶装置(以下、適宜「本発明装置」と略称する)、揮発性半導体記憶装置、及び、不揮発性半導体記憶装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
先ず、本実施形態における本発明装置の構成について、図1及び図2を基に説明する。ここで、図1は、本発明装置1の初期設定に係る部分の概略構成例を示しており、図2は、本発明装置1を構成する不揮発性半導体記憶装置10と揮発性半導体記憶装置20の接続構成を示している。
【0038】
本発明装置1は、図1に示すように、所定のデータを記憶する揮発性メモリからなる第1データ記憶領域21と、第1データ記憶領域21に対する通常動作の実行に必要な設定情報を記憶するための揮発性のモードレジスタ22とを備える揮発性半導体記憶装置20と、所定のデータを記憶する不揮発性メモリからなる第2データ記憶領域12と、揮発性半導体記憶装置20の通常動作の実行に必要な設定情報を有する不揮発性のモードレジスタ(設定情報記憶領域に相当)11とを備える不揮発性半導体記憶装置10を備えて構成されている。尚、揮発性半導体記憶装置20の第1データ記憶領域21と、不揮発性半導体記憶装置10の第2データ記憶領域12は、外部アドレスによってアクセス可能であり、ユーザの利用に供されるように構成されている。
【0039】
尚、本実施形態では、本発明装置1は、同一パッケージ内に、揮発性半導体記憶装置20と不揮発性半導体記憶装置10を含むLSIチップの複数を積層して実装したスタック型パッケージを用いて作製されている場合を想定している。
【0040】
また、本実施形態の本発明装置1は、図1及び図2に示すように、装置内部に、揮発性半導体記憶装置20と不揮発性半導体記憶装置10の間に、設定情報の伝送のための専用のデータ線40が設けられている。尚、図1では、データ線40が、単位ワード分のビットを同時に伝送可能に構成されている場合について図示したが、これに限るものではなく、シリアルデータを伝送する1ビット構成のデータ線であっても良い。
【0041】
更に、揮発性半導体記憶装置20及び不揮発性半導体記憶装置10は、夫々、図2に示すように、ユーザの利用に供するために、クロック信号CLK、チップセレクト信号CS、ライトイネーブル信号WEまたは出力イネーブル信号OE、アドレス信号A、データ信号Dを受け付けるように構成されており、アドレス信号A及びデータ信号Dは、揮発性半導体記憶装置20と不揮発性半導体記憶装置10で共通のデータ線を用いて入力されるように構成されている。
【0042】
不揮発性半導体記憶装置10は、電源立ち上げを検知するパワーオン回路30(電源立ち上げ検知手段に相当)と、電源立ち上げ後、揮発性半導体記憶装置の第1データ記憶領域21に対する通常動作前に、揮発性半導体記憶装置20に対し、モードレジスタ11に記憶された設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段13と、揮発性半導体記憶装置20に対し設定情報を送出するための専用のデータ出力端子14を備えて構成されている。本実施形態では、設定情報送出手段13が、データ出力端子14及び専用のデータ線40を介して設定情報を送出するように構成されている。
【0043】
パワーオン回路30は、本実施形態では、電源立ち上げを検知すると、後述する揮発性半導体記憶装置20においてモードレジスタ22に設定情報を書き込むのに必要な時間のパルス幅を有するHレベルの検知パルスを出力し、電源立ち上げ時以外はLレベルの信号を出力するように構成されている。
【0044】
設定情報送出手段13は、モードレジスタ11の出力ビット毎に、モードレジスタ11からの出力信号を増幅するバッファ回路Bi(i=1〜n)と、パワーオン回路30からの検知パルスに応じて出力可否を制御するトランスファーゲート回路Giを備えて構成されている。より詳細には、トランスファーゲート回路Giは、パワーオン回路30からHレベルの検知パルスが出力されるとON状態となり、モードレジスタの出力を揮発性半導体記憶装置20に出力する。尚、このトランスファーゲート回路Giは、検知パルスのHレベルの期間のみON状態となり、それ以外の期間ではOFF状態となる。トランスファーゲート回路GiがOFF状態のときは、揮発性半導体記憶装置20と不揮発性半導体記憶装置10が電気的に分離される構成となっている。
【0045】
揮発性半導体記憶装置20は、電源立ち上げ後、第1データ領域に対する通常動作の実行前に、不揮発性半導体記憶装置10から設定情報を受け付け、受け付けた設定情報をモードレジスタに記憶する設定情報記憶手段(図示せず)と、不揮発性半導体記憶装置10から設定情報を受け付けるための専用のデータ入力端子23を備えて構成されている。本実施形態では、設定情報記憶手段が、データ入力端子23及び専用のデータ線40を介して設定情報を受け付けるように構成されている。
【0046】
尚、図1に示すように、ユーザの利用に供される不揮発性半導体記憶装置10に不揮発性のモードレジスタ11及び設定情報送出手段13等を構成するので、不揮発性半導体記憶装置10は、通常の不揮発性メモリの製造プロセスを用いて製造することができる。同様に、ユーザの利用に供される揮発性半導体記憶装置20に揮発性のモードレジスタ22を構成するので、揮発性半導体記憶装置20は、通常の揮発性メモリの製造プロセスを用いて製造することができる。即ち、本発明装置1は、特別な製造プロセスを用いることなく、通常の製造プロセスを用いて作製することが可能である。
【0047】
次に、本実施形態の本発明装置1における初期設定処理の処理手順について、図3及び図4を基に説明する。ここで、図3は、本発明装置1の初期設定処理の処理手順を示しており、図4は、本発明装置1のクロック信号CLK、設定情報を示すデータSI、揮発性半導体記憶装置20の外部のCPUから入力される外部コマンドCMDの各波形を示している。
【0048】
本発明装置1の不揮発性半導体記憶装置10において、パワーオン回路30が電源の立ち上げを検知してHレベルの検知パルスを出力すると(ステップ#111、時間t1〜t2)、設定情報送出手段13が、設定情報を専用のデータ出力端子14及びデータ線40を介して、揮発性半導体記憶装置20に対して出力する(ステップ#112、時間t1〜t2)。
【0049】
不揮発性半導体記憶装置10から設定情報が出力されると(ステップ#112)、本発明装置1の揮発性半導体記憶装置20において、設定情報記憶手段が、専用のデータ入力端子23を介して設定情報を受け付け(ステップ#121)、モードレジスタ22に記憶する(ステップ#122、時間t1〜t2)。尚、パワーオン回路30から出力される検知パルスは、電源立ち上げ直後に出力されるように構成されており、通常の使用では、CPUが揮発性半導体記憶装置20に対する最初のアクセス(コマンド発行)を行う前、即ち、図4に示す時間t3までに、揮発性半導体記憶装置20のモードレジスタ22への設定情報の書き込みが完了する。
【0050】
揮発性半導体記憶装置20は、外部のCPUから通常動作を指示するコマンドが出力されると(ステップ#101、時間t3〜t4)、当該コマンドに基づいて通常動作を実行する(ステップ#123)。
【0051】
このように本発明装置1を構成することにより、電源立ち上げ時における揮発性半導体記憶装置20のモードレジスタ22の設定を、CPU等の外部装置で特別なコマンドの発行等を行う必要なく、完了させることができる。
【0052】
〈別実施形態〉
〈1〉上記実施形態では、本発明装置1のパッケージが、同一パッケージ内に複数のLSIチップを積層して実装したスタック型パッケージである場合を想定して説明したが、これに限るものではない。例えば、複数のパッケージを積層するパッケージスタック(POP)等であっても良い。
【0053】
〈2〉上記実施形態では、揮発性半導体記憶装置20と不揮発性半導体記憶装置10の間に、専用のデータ線40を設けて設定情報の伝送を行う場合について説明したが、これに限るものではない。通常動作において書き込みデータや読み出しデータ等が伝送されるデータ線を用いて設定情報の伝送を行うように構成しても良い。この場合には、設定情報の揮発性半導体記憶装置20のモードレジスタ22への書き込みが終了するまで、CPUによる通常動作を指示するコマンドの発行を待機させるため、揮発性半導体記憶装置20からCPUに対し設定終了を通知する信号を出力するように構成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る半導体記憶装置の構成例を示す概略部分ブロック図
【図2】本発明に係る半導体記憶装置において、揮発性半導体記憶装置と不揮発性半導体記憶装置の接続構成を示す概略部分ブロック図
【図3】本発明に係る半導体記憶装置における初期設定処理の処理手順を示すフローチャート
【図4】本発明に係る半導体記憶装置にける各種信号の信号波形の一例を示す概略波形図
【図5】従来技術に係る揮発性半導体記憶装置におけるCPU及び揮発性メモリの接続構成例を示す概略部分ブロック図
【図6】従来技術に係る揮発性半導体記憶装置における揮発性メモリの初期設定処理の処理手順を示すフローチャート
【図7】従来技術に係る揮発性半導体記憶装置に入力されるクロック信号CLK及びコマンドMRS、CMDの一例を示す概略波形図
【図8】従来技術に係る揮発性半導体記憶装置におけるCPU及び揮発性メモリの接続構成例を示す概略部分ブロック図
【図9】従来技術に係る半導体記憶装置の一構成例を示す概略部分ブロック図
【図10】従来技術に係る半導体記憶装置における揮発性メモリの初期設定処理の処理手順を示すフローチャート
【図11】従来技術に係る半導体記憶装置に入力されるクロック信号CLK及びコマンドMRS、CMDの一例を示す概略波形図
【符号の説明】
【0055】
1 本発明に係る半導体記憶装置
10 本発明に係る不揮発性半導体記憶装置
11 モードレジスタ(設定情報記憶領域)
12 第2データ記憶領域
13 設定情報送出手段
14 専用のデータ出力端子
20 本発明に係る揮発性半導体記憶装置
21 第1データ記憶領域
22 モードレジスタ
23 専用のデータ入力端子
30 パワーオン回路
40 専用のデータ線
100 従来技術に係る揮発性半導体記憶装置
110 不揮発性メモリ
120 RAM
121 モードレジスタ
200 CPU
300 従来技術に係る複合半導体記憶装置
400 従来技術に係る揮発性半導体記憶装置
410 モードレジスタ
420 メモリ制御回路
430 DRAM
B バッファ回路
G トランスファーゲート回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータを記憶する揮発性メモリからなる第1データ記憶領域と、前記第1データ記憶領域に対する通常動作の実行に必要な設定情報を記憶するための揮発性のモードレジスタとを備える揮発性半導体記憶装置と、
所定のデータを記憶する不揮発性メモリからなる第2データ記憶領域と、前記揮発性半導体記憶装置の前記通常動作の実行に必要な前記設定情報を有する不揮発性の設定情報記憶領域と、を備える不揮発性半導体記憶装置と、を備えた半導体記憶装置であって、
前記不揮発性半導体記憶装置が、
電源立ち上げを検知する電源立ち上げ検知手段と、
前記電源立ち上げ後、前記揮発性半導体記憶装置の前記第1データ記憶領域に対する前記通常動作前に、前記揮発性半導体記憶装置に対し、前記設定情報記憶領域に記憶された前記設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段と、を備え、
前記揮発性半導体記憶装置が、
前記電源立ち上げ後、前記第1データ領域に対する前記通常動作の実行前に、前記不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付け、受け付けた前記設定情報を前記モードレジスタに記憶する設定情報記憶手段を備えて構成されることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記不揮発性半導体記憶装置が、前記揮発性半導体記憶装置に対し前記設定情報を送出するための専用のデータ出力端子を備え、
前記不揮発性半導体記憶装置の前記設定情報送出手段が、前記データ出力端子を介して前記設定情報を送出し、
前記揮発性半導体記憶装置が、前記不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付けるための専用のデータ入力端子を備え、
前記揮発性半導体記憶装置の前記設定情報記憶手段が、前記データ入力端子を介して前記設定情報を受け付け、
前記不揮発性半導体記憶装置の前記データ出力端子と、前記揮発性半導体記憶装置の前記データ入力端子が専用のデータ線で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記揮発性半導体記憶装置及び前記不揮発性半導体記憶装置が、同一パッケージ内に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記パッケージが、スタック型パッケージであることを特徴とする請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
所定のデータを記憶する揮発性メモリからなる第1データ記憶領域と、前記第1データ記憶領域に対する通常動作の実行に必要な設定情報を記憶するための揮発性のモードレジスタとを備える揮発性半導体記憶装置であって、
電源立ち上げ後、前記第1データ記憶領域に対する前記通常動作の実行前に、内部に記憶された前記設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段を備えた外部の不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付け、受け付けた前記設定情報を前記モードレジスタに記憶する設定情報記憶手段を備えることを特徴とする揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記モードレジスタと前記不揮発性半導体記憶装置を接続し、前記不揮発性半導体記憶装置から前記設定情報を受け付けるための専用のデータ入力端子を備え、
前記設定情報記憶手段が、前記データ入力端子を介して前記設定情報を受け付けることを特徴とする請求項5に記載の揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
所定のデータを記憶する不揮発性メモリからなる第2データ記憶領域と、請求項5または6に記載の揮発性半導体記憶装置の前記通常動作の実行に必要な前記設定情報を有する不揮発性の設定情報記憶領域とを備える不揮発性半導体記憶装置であって、
電源立ち上げを検知する電源立ち上げ検知手段と、
前記電源立ち上げ後、前記揮発性半導体記憶装置の前記第1データ記憶領域に対する前記通常動作前に、前記揮発性半導体記憶装置に対し、前記設定情報記憶領域に記憶された前記設定情報を自動的に送出する設定情報送出手段と、を備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
前記揮発性半導体記憶装置の前記モードレジスタと前記設定情報記憶領域を接続し、前記揮発性半導体記憶装置に対し前記設定情報を送出するための専用のデータ出力端子を備え、
前記設定情報送出手段が、前記データ出力端子を介して前記設定情報を送出することを特徴とする請求項7に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−310894(P2008−310894A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158472(P2007−158472)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】