説明

半導体集積回路装置

【課題】 従来の半導体集積回路装置は、コア領域の一辺に対して最大数のI/Oユニットを配置するようにしていたため、例えば、配置すべきI/Oの数が少ない場合には、I/O領域に無駄な空きが生じて占有面積が増大することになっていた。
【解決手段】 コア領域11に接続された複数の第1のパッド23および複数の第2のパッド24を備える半導体集積回路装置1aであって、前記コア領域11の少なくとも一辺に設けられる前記各第1のパッド23および前記各第2のパッド24を、それぞれ当該一辺の長さ方向に並べて配置するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に関し、特に、ワイヤボンディング用パッドおよびウエハ試験用パッドを有する半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積化および高機能化に伴って、I/O(Input/Output)の数が増加し、チップの占有面積がI/Oの構成によって決定される場合も多くなって来ている。
【0003】
そのため、I/Oの数が多くてもチップの占有面積が小さくなるように、幅の狭いI/Oが標準ライブラリとして作成されている。また、この標準ライブラリに提供されるパッドには、ダイシングされたICチップとパッケージの入出力ピンとの接続を行うためのワイヤボンディング用パッド(WBP:Wire Bonding Pad)、および、ウエハ上に形成されたICチップにプローブピンを接触させて試験を行うためのウエハ試験用パッド(PP:Probing Pad)が含まれる。
【0004】
図1は従来の半導体集積回路装置の一例の要部を模式的に示す図である。図1において、参照符号1は半導体集積回路装置(ICチップ)、2はI/Oユニット(I/O)、11はコア領域、そして、12はI/O領域を示している。
【0005】
図1に示されるように、I/O領域12には、例えば、入力バッファや出力バッファ或いは入出力バッファ等を含むI/O回路部21、コア領域11に形成された回路(コア回路)を静電気から保護するESD保護素子部22、ICチップ1とICパッケージ(図示しない)の入出力ピンとの接続を行うワイヤボンディング用パッド23、および、ウエハ上に形成されたICチップ1に対してプローバのピンを接触させて試験を行うウエハ試験用パッド24が設けられている。
【0006】
ここで、従来のICチップ1のI/O領域12において、ICチップ1の占有面積を小さく保ちつつ多数のI/Oを配設置可能とするために、例えば、I/O回路部21,ESD保護素子部22,ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24をコア回路領域11から外側方向(高さ方向)へ順次配置した幅の狭いI/Oユニット2を、コア領域11に形成される回路の各配線に対して設けるようになっている。
【0007】
すなわち、従来のICチップ1は、例えば、コア領域11の一辺に対して最大数のI/Oユニット2を配置するために、1つのI/Oを構成するI/O回路部21,ESD保護素子部22,ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24を高さ方向に積み上げて幅が狭くなるように配置している。
【0008】
なお、図1(他の図も同様)において、コア領域11には、各ICチップ1の機能を実現する回路、例えば、RAMやROM或いはフラッシュEEPROM等のメモリ回路、または、MPUやDSP等の演算回路、或いは、他の様々な論理回路等(図示しない)が形成されている。また、コア領域11の回路,I/O回路部21,ESD保護素子部22,ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24間の配線は省略されているが、実際にはそれぞれを繋ぐ配線がなされているのはいうまでもない。
【0009】
さらに、本明細書において、I/O領域12には、I/O回路部21,ESD保護素子部22,ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24が設けられる場合を一例として説明しているが、例えば、パッドはワイヤボンディング用およびウエハ試験用のものに限定されるものではなく、また、I/Oユニットとして他の機能を実現する部分が設けられたICチップであってもよいのはもちろんである。
【0010】
ところで、従来、DA(Design Automation)処理によりレイアウト構成したマスタースライス方式の半導体集積回路として、半導体基板上の少なくとも一辺に入力バッファ回路と入出力バッファ回路もしくは出力バッファ回路からなるセルを繰り返し規則的に配置したものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開昭60−059766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来のICチップ(半導体集積回路装置)1は、占有面積を小さく保ちつつ多数のI/Oを配置可能とするために、幅の狭いI/Oユニット2を設けるようになっている。
【0013】
しかしながら、図1に示されるように、個々のICチップ1において、例えば、コア領域11の或る辺のサイズ(コア領域11の任意の一辺の長さ)に対して配置すべきI/Oの数(必要とされるワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24の数)が少ない場合も存在し、このようなときには、各I/Oユニット2の間隔を広く設定することが行われている。しかしながら、各I/Oユニット2の間隔を広く設定すると、I/O領域12に無駄な空きが生じ、結果的にICチップ1の占有面積が増大することになっていた。
【0014】
本発明は、I/O領域の無駄な空きを極力小さくして占有面積の小さい半導体集積回路装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、コア領域に接続された複数の第1のパッドおよび複数の第2のパッドを備える半導体集積回路装置であって、前記コア領域の少なくとも一辺に設けられる前記各第1のパッドおよび前記各第2のパッドを、それぞれ当該一辺の長さ方向に並べて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、I/O領域の無駄な空きを極力小さくして占有面積の小さい半導体集積回路装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る半導体集積回路装置の実施例を、添付図面を参照して詳述する。
本発明に係る半導体集積回路装置は、例えば、I/Oユニットにおけるワイヤボンディング用パッド,ウエハ試験用パッド,I/O回路部およびESD保護素子部をそれぞれパーツ化して自由に組み合わせることにより、無駄な空き領域を極力小さくしてチップのサイズを縮小するものである。
【実施例】
【0018】
図2は本発明に係る半導体集積回路装置の第1実施例の要部を模式的に示す図である。図2において、参照符号1aは半導体集積回路装置(ICチップ)、2aはI/Oユニット、11はコア領域、そして、12はI/O領域を示している。
【0019】
図2に示されるように、I/O領域12には、例えば、入力バッファや出力バッファ或いは入出力バッファを含むI/O回路部21、コア領域11に形成された回路(コア回路)を静電気から保護するESD保護素子部22、ICチップ1aとICパッケージ(図示しない)の入出力ピンとの接続を行うワイヤボンディング用パッド23、および、ウエハ上に形成されたICチップ1aに対してプローバを接触させて試験を行うウエハ試験用パッド24が設けられている。
【0020】
ここで、図2と図1との比較から明らかなように、本第1実施例のICチップ1aにおけるI/Oユニット2aは、従来例のI/Oユニット2のように、I/O回路部21,ESD保護素子部22,ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24を単に高さ方向(コア回路領域11から外側方向)に積み上げるのではなく、コア領域11の一辺に設けられたI/O回路部21およびESD保護素子部22を、その一辺の長さ方向(横方向)に並べて配置すると共に、これらI/O回路部21およびESD保護素子部22の上方にワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24を横方向に並べて配置するようになっている。
【0021】
すなわち、例えば、コア領域11の或る辺のサイズに対して配置すべきI/Oの数(必要とされるワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24の数)が少ない場合、従来のICチップ1におけるI/O領域12の無駄な空きを埋めるように本実施例のI/Oユニット2aを配置することで、I/Oユニット2a(I/O領域12)の高さを低くしてICチップ1aの占有面積を縮小することができる。
【0022】
なお、横方向に並べるワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24は交互に配置されており、ダイシングされたICチップ1とパッケージの入出力ピンとの接続を行うためのワイヤボンディング処理、並びに、ウエハ試験時のプローブピンをウエハ試験用パッド24に接触させる処理において、隣接するパッドの間隙を広くして処理を容易に行えるようになされている。
【0023】
図3は本発明に係る半導体集積回路装置の第2実施例の要部を模式的に示す図である。
図3と図2との比較から明らかなように、本第2実施例のICチップ1bのI/Oユニット2bは、上述した第1実施例のICチップ1aのI/Oユニット2aにおいて、ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24のみを横方向に並べて配置し、I/O回路部21およびESD保護素子部22は、図1を参照して説明した従来のICチップ1のI/Oユニット2と同様に(I/O回路部21およびESD保護素子部22の各サイズが大きい方の辺が積み重なるようにして)、高さ方向に積み上げるようになっている。
【0024】
図4は本発明に係る半導体集積回路装置の第3実施例の要部を模式的に示す図である。
図4と図3との比較から明らかなように、本第3実施例のICチップ1cのI/Oユニット2cは、上記の第2実施例のICチップ1aのI/Oユニット2aにおいて、I/O回路部21およびESD保護素子部22を、I/O回路部21およびESD保護素子部22の各サイズが小さい方の辺が積み重なるようにして、高さ方向に積み上げられている。
【0025】
ここで、図2〜図4に示すI/Oユニット2a〜2cは、I/O回路部21,ESD保護素子部22,ワイヤボンディング用パッド23およびウエハ試験用パッド24を模式的に描いているが、実際の形状やサイズは、様々に変化し得るのはいうまでもない。
【0026】
このように、本発明の各実施例によれば、I/O回路部21およびESD保護素子部22は分離してパーツ化され、横方向に並べて配置される各ワイヤボンディング用パッド23および各ウエハ試験用パッド24とコア領域11との間に、任意に組み合わせて配置される。
【0027】
上述した本発明の半導体集積回路装置の各実施例によれば、I/Oユニットの幅(横方向のサイズ)は大きくなるものの、その幅の広がりをI/O領域の無駄な空きで吸収することで、その高さを低くするという長所を生かすことができ、その結果、ICチップの占有面積を低減することが可能になる。このことは、1枚のウエハから取得できるICチップの数(ダイの有効数)の増加に直結し、半導体集積回路装置の価格を低廉化することが可能になる。
【0028】
さらに、I/Oユニットを分離してパーツ化することにより、種類の異なる半導体集積回路装置に対してそのパーツを共用することができるため、I/Oの開発工数の削減といった効果も期待できる。
【0029】
図5は本発明に係る半導体集積回路装置の第4実施例の全体構成を概略的に示す図である。
【0030】
図5に示されるように、本第4実施例の半導体集積回路装置は、例えば、コア領域11の上方の辺では、その辺のサイズに対して必要とされるI/Oの数が少ないために、上述した第1〜第3実施例のような幅方向(横方向)が広くて高さ方向が低いI/Oユニット20を配置し、且つ、コア領域11の左方の辺では、その辺のサイズに対して必要とされるI/Oの数が多いために、図1に示すような従来の幅方向が狭くて高さ方向が高いI/Oユニット2を配置するようになっている。この場合、従来のICチップと比較して、コア領域11の上方の辺に配置したI/Oユニット20により高さ方向でdだけ縮小され、ICチップ1dの占有面積の低減が可能になる。このように、本発明の適用は、コア領域11の全ての辺に対して行う必要はなく、各辺に対して選択的に適用することができる。
【0031】
以上において、ワイヤボンディング用パッドおよびウエハ試験用パッドは、それぞれICチップとパッケージの入出力ピンとをワイヤボンディングするためのパッドおよびウエハ上に形成されたICチップに対してプローブピンを接触させて試験を行うためのパッドとして説明したが、I/Oユニットに対して他の目的に使用するパッドを設ける場合でも本発明は同様に適用することができる。さらに、I/O回路部およびESD保護素子部に関しても、I/Oユニットに対して他の機能を実現する部分を設ける場合でも本発明は同様に適用することができるのはいうまでもない。
【0032】
(付記1)
コア領域に接続された複数の第1のパッドおよび複数の第2のパッドを備える半導体集積回路装置であって、
前記コア領域の少なくとも一辺に設けられる前記各第1のパッドおよび前記各第2のパッドを、それぞれ当該一辺の長さ方向に並べて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【0033】
(付記2)
付記1に記載の半導体集積回路装置において、前記第1のパッドは、ダイシングされた該半導体集積回路装置とパッケージの入出力ピンとの接続を行うためのワイヤボンディング用パッドであり、且つ、前記第2のパッドは、ウエハ上に形成された該半導体集積回路装置に対してプローブピンを接触させて試験を行うためのウエハ試験用パッドであることを特徴とする半導体集積回路装置。
【0034】
(付記3)
付記2に記載の半導体集積回路装置において、さらに、分離してパーツ化されたI/O回路部およびESD保護素子部を備え、該I/O回路部および該ESD保護素子部を、前記コア領域の少なくとも一辺の長さ方向に並べて配置される前記各ワイヤボンディング用パッドおよび前記各ウエハ試験用パッドと前記コア領域との間に、任意に組み合わせて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【0035】
(付記4)
付記3に記載の半導体集積回路装置において、前記I/O回路部および前記ESD保護素子部を、前記コア領域の少なくとも一辺の長さ方向に並べて配置される前記各ワイヤボンディング用パッドおよび前記各ウエハ試験用パッドに対応させて、当該コア領域の少なくとも一辺の長さ方向に並べて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【0036】
(付記5)
付記3に記載の半導体集積回路装置において、前記I/O回路部および前記ESD保護素子部を、前記コア領域の少なくとも一辺の長さ方向に並べて配置される前記各ワイヤボンディング用パッドおよび前記各ウエハ試験用パッドに対応させて、当該コア領域の少なくとも一辺の高さ方向に並べて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【0037】
(付記6)
付記1に記載の半導体集積回路装置において、前記各第1のパッドおよび前記各第2のパッドをそれぞれ前記コア領域の一辺の長さ方向に並べて配置する該コア領域の一辺は、当該コア領域の一辺のサイズが、その一辺に必要とされる数の該第1のパッドおよび該第2のパッドを長さ方向に並べたサイズよりも大きい辺であることを特徴とする半導体集積回路装置。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、様々な半導体集積回路装置に対して幅広く適用することができ、特に、ワイヤボンディング用パッドおよびウエハ試験用パッドを有する半導体集積回路装置に対して適用され、I/O領域の無駄な空きを極力小さくして半導体集積回路装置の占有面積の低減を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の半導体集積回路装置の一例の要部を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る半導体集積回路装置の第1実施例の要部を模式的に示す図である。
【図3】本発明に係る半導体集積回路装置の第2実施例の要部を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係る半導体集積回路装置の第3実施例の要部を模式的に示す図である。
【図5】本発明に係る半導体集積回路装置の第4実施例の全体構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1,1a,1b,1c,1d 半導体集積回路装置(ICチップ)
2,2a,2b,2c,20 I/Oユニット(I/O)
11 コア領域
12 I/O領域
21 I/O回路部
22 ESD保護素子部
23 ワイヤボンディング用パッド(第1のパッド)
24 ウエハ試験用パッド(第2のパッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア領域に接続された複数の第1のパッドおよび複数の第2のパッドを備える半導体集積回路装置であって、
前記コア領域の少なくとも一辺に設けられる前記各第1のパッドおよび前記各第2のパッドを、それぞれ当該一辺の長さ方向に並べて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体集積回路装置において、前記第1のパッドは、ダイシングされた該半導体集積回路装置とパッケージの入出力ピンとの接続を行うためのワイヤボンディング用パッドであり、且つ、前記第2のパッドは、ウエハ上に形成された該半導体集積回路装置に対してプローブピンを接触させて試験を行うためのウエハ試験用パッドであることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体集積回路装置において、さらに、分離してパーツ化されたI/O回路部およびESD保護素子部を備え、該I/O回路部および該ESD保護素子部を、前記コア領域の少なくとも一辺の長さ方向に並べて配置される前記各ワイヤボンディング用パッドおよび前記各ウエハ試験用パッドと前記コア領域との間に、任意に組み合わせて配置したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体集積回路装置において、前記各第1のパッドおよび前記各第2のパッドをそれぞれ前記コア領域の一辺の長さ方向に並べて配置する該コア領域の一辺は、当該コア領域の一辺のサイズが、その一辺に必要とされる数の該第1のパッドおよび該第2のパッドを長さ方向に並べたサイズよりも大きい辺であることを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−96216(P2007−96216A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286749(P2005−286749)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】