半導体集積回路装置
【課題】過電流に対して内部回路を保護する半導体集積回路装置を提供することを目的としている。
【解決手段】多層配線構造を有する半導体集積回路装置であって、半導体集積回路装置の内部にある内部回路と半導体集積回路装置の外部にある外部回路とを接続するために半導体集積回路装置の内部に設けられたパッドパターンにおいて、第1の配線層と、第1の配線層が形成されている層とは別の層に形成されている第2の配線層と、第1の配線層と第2の配線層を接続するビアと、を備え、第2の配線層にヒューズパターンが形成されており、ヒューズパターンを経由して内部回路と外部回路とを電気的に接続する。
【解決手段】多層配線構造を有する半導体集積回路装置であって、半導体集積回路装置の内部にある内部回路と半導体集積回路装置の外部にある外部回路とを接続するために半導体集積回路装置の内部に設けられたパッドパターンにおいて、第1の配線層と、第1の配線層が形成されている層とは別の層に形成されている第2の配線層と、第1の配線層と第2の配線層を接続するビアと、を備え、第2の配線層にヒューズパターンが形成されており、ヒューズパターンを経由して内部回路と外部回路とを電気的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の半導体集積回路装置は、入力端子と内部回路の間に、入力バッファ回路が接続されている。入力バッファ回路は、PチャンネルMOSトランジスタとNチャンネルMOSトランジスタとから構成され、ESD(静電気放電)ノイズに対する保護回路の役割もある。入力バッファ回路のPチャンネルMOSトランジスタは、ドレインが入力端子に接続され、ゲートおよびソースが電源端子されている。また、NチャンネルMOSトランジスタは、ドレインが入力端子に接続され、ゲートおよびソースが接地されている。このような従来技術の半導体集積回路装置は、入力端子から静電気放電ノイズが入力された場合、ノイズとなる電流をこの入力バッファ回路からグランドか電源に逃がすことで内部回路を保護している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−75433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の半導体集積回路装置において、入力バッファ回路は、静電気放電ノイズから内部回路を保護することができるが、入力端子から過大な電流が入力された場合、内部回路の保護ができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、過電流に対して内部回路を保護する半導体集積回路装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明に係る半導体集積回路装置は、多層配線構造を有する半導体集積回路装置であって、前記半導体集積回路装置の内部にある内部回路と前記半導体集積回路装置の外部にある外部回路とを接続するために前記半導体集積回路装置の内部に設けられたパッドパターンにおいて、第1の配線層と、前記第1の配線層が形成されている層とは別の層に形成されている第2の配線層と、前記第1の配線層と前記第2の配線層を接続するビアと、を備え、前記第2の配線層にヒューズパターンが形成されており、前記ヒューズパターンを経由して前記内部回路と前記外部回路とを電気的に接続することを特徴としている。
(2)また、本発明の半導体集積回路装置において、前記ヒューズパターンは、前記第1の配線層と重ならない位置にあるようにしてもよい。
(3)また、本発明の半導体集積回路装置において、前記第2の配線層は、第1端子パッドと、前記第1端子パッドと隣接して形成されている第1延長部と、前記第1端子パッドと離間して形成されている第2延長部と、を備え、前記ヒューズパターンは、前記第1延長部と前記第2延長部との間に接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば多層配線構造を有する半導体集積回路装置において、第1の配線層と第2の配線層をビアで接続し、第2の配線層に、ヒューズパターンを形成した。これにより、過電流が生じた場合にヒューズパターンが溶断されることで後段の回路部を保護することができ、当該回路部への影響を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の等価回路図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の一例の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るヒューズパターンが形成されたパッドの断面図である。
【図5】第1実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の例を示す平面図である。
【図6】第1実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の他の例を示す平面図である。
【図7】第1実施形態に係る延長部の他の形状の例を説明する平面図である。
【図8】第2実施形態に係るヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
【図9】第3実施形態に係るヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
【図10】同実施形態に係るヒューズパターンの幅を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等が異なっている。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の等価回路図である。
図1に示すように、半導体集積回路装置1は、入力端子10、ヒューズ11、ESD(静電気放電)ノイズ保護回路12、内部ロジック回路13により構成される。
【0011】
入力端子10には、入力信号が入力される。また、入力端子10は、ヒューズ11の一方端に接続されている。
ヒューズ11は、例えば、アルミ線または銅線パターンで形成された溶解型電気ヒューズである。ヒューズ11の一方端は、入力端子10の他方端に接続され、ヒューズ11の他方端は、静電気放電ノイズ保護回路12の一方端に接続されている。
【0012】
静電気放電ノイズ保護回路12は、外部からの静電気放電ノイズに対して内部ロジック回路13の保護を行う回路である。静電気放電ノイズ保護回路12の一方端は、ヒューズ11の他方端に接続され、静電気放電ノイズ保護回路12の他方端は、内部ロジック回路13の一方端に接続されている。
また、静電気放電ノイズ保護回路12は、例えば、特許文献1に記載の静電気放電ノイズ保護回路と同様の構成とすることができる。
【0013】
内部ロジック回路13は、入力端子10からの入力信号により動作する回路であり、静電気放電ノイズ保護回路12の他方端が接続されている。なお、内部ロジック回路13は、半導体集積回路装置1の目的に応じた回路であればよく、本実施形態において具体的な構成は特に限定しない。
【0014】
本実施形態の半導体集積回路装置は、2層以上の多層配線構造を有し、複数の配線層の内、第1の配線層と第2の配線層とが、ビア(VIA;導通部ともいう)で接続されている。この第1の配線層または第2の配線層の一方の層には、ヒューズパターンが形成される。また、ヒューズパターンが形成される第2の配線層は、複数の配線層の内、どの配線層であってもよい。なお、ビアとは、多層のメタル間において、例えば、層間にあけた穴の内側に上層側のメタルを埋め込んで形成したものである。
【0015】
次に、本実施形態の構成の一例について、図2と図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の構成の一例を示す平面図である。図3は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の一例の斜視図である。
【0016】
図2と図3に示すように、本半導体集積回路装置1aは、多層配線構造を有し、入力端子10に相当するパッド100a、静電気放電ノイズ保護回路12に相当する保護回路140、内部ロジック回路部160により構成されている。
また、パッド(端子パッド、電極パッドともいう)100aは、第1メタル部130(第1端子パッド)、第1メタル延長部130a、第1メタル延長部130b(第1延長部)、第2メタル部110、第2メタル延長部110a(第2延長部)、ヒューズパターン170、及びビア120aにより構成されている。また、第1メタル部130と第2メタル部110とは、z軸方向に互いに重なり合って積層されて形成されている。また、本実施形態において、第1配線層とは、第1メタル部130、第1メタル延長部130a、第1メタル延長部130b、ヒューズパターン170が形成されている層である。第2配線層とは、第2メタル部110、第2メタル延長部110aが形成されている層である。
なお、図2と図3においては、ヒューズパターン170が形成されていない第2配線層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン170が形成されている第1配線層が、第2の配線層に対応している。
【0017】
第1メタル部130は、第1配線層に形成され、x軸方向の長さがL1とされ、y軸方向の長さがW1とされている。第1メタル部130には、第1配線層においてx軸方向の正方向に保護回路140が設けられ電気的に接続されている。また、第1メタル部130は、第1配線層において、y軸方向に、第1メタル延長部130aと第1メタル延長部130bとが形成されている。
第1メタル延長部130aは、第1メタル部130から離間して設けられている。第1メタル延長部130aと第1メタル部130とが離間している距離kは、例えば、過電流がビア120aを介して入力された場合にも、第1メタル延長部130aと第1メタル部130とが通電しない距離である。一方、第1メタル延長部130bは、第1メタル部130と接している。
また、ヒューズパターン170は、図2に示したように、第1メタル延長部130aと第1メタル延長部130bとに接して配置され、第2配線層に設けられている第2メタル部110及び第2メタル延長部110aとz軸方向において重ならないように配置されている。
【0018】
第2メタル部110は、第2配線層に形成され、x軸方向の長さがL11とされ、y軸方向の長さがW11とされている。第2メタル部110には、y軸方向に、第2メタル延長部110aが形成されている。
第1メタル延長部130aと第2メタル延長部110aとは、z軸方向に互いに重なり合って積層されて形成されている。また、第2メタル延長部110aは、第2配線層において第2メタル部110と電気的に接している。
第1メタル部130と第2メタル部110とが、ビア120aを介して第1メタル延長部130aと第2メタル延長部110aとが接続されることにより、電気的に接続されている。保護回路140は、第1メタル部130から見てx軸方向に配置され、第1メタル部130の一方辺に電気的に接続されている。内部ロジック回路部160は、第1メタル部130または第2メタル部110と同じメタルからなる配線パターン150を介して保護回路140に電気的に接続されている。
【0019】
図3に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置1aでは、入力電流が矢印線180のような経路でパッド100aから保護回路140に入力される。すなわち、まず、第2メタル部110に入力信号が入力される。この入力信号は、第2メタル部110から第2メタル延長部110aを通り、さらにビア120aを介して第1メタル延長部130a、ヒューズパターン170、第1メタル延長部130b、第1メタル部130を介して保護回路140に入力される。
ヒューズパターン170は、図2と図3において、第1配線層に形成される。さらに、具体的には、ヒューズパターン170(第1配線層)は、例えば、アルミニウムやポリシリコンなどにより形成される。
【0020】
次に、本実施形態のヒューズパターンの形成手順の一例を、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るヒューズパターンが形成されたパッドの断面図である。半導体集積回路装置は、パッド100bを有している。
パッド100bにおいて、第1配線層201は、第1メタル部201a、及び第1メタル延長部201bを含んで構成され、第1絶縁層211は、第1絶縁層211a、第1絶縁層211b、及びビア220dを含んで構成される。第2配線層202は、第2メタル部202a、ヒューズパターン240、及び第2メタル延長部202bを含んで構成され、第2絶縁層212は、第2絶縁層212a、及びビア220bを含んで構成される。第3配線層203は、第3メタル部203aを含んで構成され、第3絶縁層213は、第3絶縁層213a、及びビア220cを含み、第4配線層204は、第4メタル部204aを含んで構成される。なお、図4においては、ヒューズパターン240が形成されていない第1配線層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン240が形成されている第2配線層が、第2の配線層に対応している。
【0021】
次に、パッド100bの製造方法について説明する。
まず、第1メタル部201aの左端から第1メタル延長部201bの右端までが、連続した1つの層、すなわち第1配線層201として形成される。
第1配線層201の形成後、第1配線層201のz軸の正方向に、第1絶縁層211aの左端から第1絶縁層211bの右端までが連続した1つの層、すなわち第1絶縁層211として形成される。
第1絶縁層211の形成後、第1絶縁層211bの一部にビアを形成する穴が形成される。その後、第1絶縁層211のz軸の正方向に、ヒューズパターン240を含む第2メタル部202aの左端から第2メタル延長部202bの右端までが連続した1つの層、すなわち第2配線層202として形成される。ヒューズパターン240は、第2メタル部202a及び第2メタル延長部202bと同じメタル材料からなる。ヒューズパターン240をヒューズとして機能させるため、マスク設計時に、x軸方向の間隔(ヒューズパターンの長さという)と、y軸方向の長さ(ヒューズパターンの幅という)によりヒューズパターンの大きさを調整するようにしてもよい。
なお、第2配線層202の形成時に、第1絶縁層211bにあけた穴に第2メタル延長部202bのメタルが埋め込まれることにより、ビア220dが、第1絶縁層211bの一部に、z軸方向に形成される。
【0022】
第2配線層202の形成後、第2絶縁層212aは、第2配線層202のz軸の正方向の層、すなわち第2絶縁層212として形成される。第2絶縁層212aの形成後、第2絶縁層212aの一部にビアを形成する穴が形成される。その後、第3メタル部203aは、第2絶縁層212のz軸の正方向の層、すなわち第3配線層203として形成される。
第3配線層203の形成時に、第2絶縁層212bにあけた穴に第3メタル部203aのメタルが埋め込まれることにより、ビア220bが、第2絶縁層212bの一部に、z軸方向に形成される。
そして、第3絶縁層213aが、第3配線層203のz軸の正方向の層、すなわち第3絶縁層213として形成され、第3絶縁層213aの形成後、第3絶縁層213aの一部にビアを形成する穴が形成される。その後、第4メタル部204aは、第3絶縁層213aのz軸の正方向の層、すなわち第4配線層として形成される。第4配線層204の形成時に、第3絶縁層213bにあけた穴に第4メタル部204aのメタルが埋め込まれることにより、ビア220cが、第3絶縁層213aの一部のz軸方向に形成される。
なお、図3においては、第1配線層にヒューズパターン170を形成する場合について説明したが、この図4においては、第2配線層211にヒューズパターン240を形成するようにした。また、このヒューズパターンは、第1配線層及び第2配線層以外の他の配線層に形成するようにしてもよい。
【0023】
上述したように、ヒューズパターン240は、第2配線層202に形成され、且つ第3メタル部203等の回路部と重ならない位置に形成されている。また、ヒューズパターン240は、パッドを形成する過程で、パッドの一部として形成している。このため、本実施形態のパッド100bは、過電流によりヒューズパターン240が溶断された場合においても、他の回路への溶断時の熱等の影響が及ぶことを防ぐ効果がある。また、本実施形態のパッド100bは、過電流によりヒューズパターン240が溶断された場合においても、ヒューズパターン240の溶断した破片が他の配線層に飛び散ることによるショートを防ぐことができる。
なお、ヒューズパターン240の大きさは、パッド100bの通常動作時に入力が想定される電流値と、想定される過電流値とに基づき形成するようにしてもよい。
【0024】
次に、ヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の例について、図5と図6を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の例を示す平面図である。図6は、本実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の他の例を示す平面図である。
なお、図5と図6は、図2と図3の第1メタル延長部130a、第1メタル延長部130b、第2メタル延長部110a、ビア120a、第1メタル部130のみを平面図で表したものである。また、図5と図6において、第1メタル部130のx軸方向の長さはL100とされている。
【0025】
図5(a)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さWとx軸方向の長さLとの比が3対2の例を示す(具体的に例えば、W=30[μm]、L=20[μm])平面図である。図5(a)に示すように、ヒューズパターン340−1は、第1メタル延長部310a−1と第1メタル延長部310b−1との間に形成されている。また、第1メタル延長部310a−1のz軸の正方向には、第2メタル延長部320a−1が形成されている。さらに、第1メタル延長部310a−1と第2メタル延長部320a−1との間には、ビア330−1が接続されている。
第1メタル延長部310b−1は、第1メタル部130と同じ層で接続されて形成されている。一方、第1メタル延長部310a−1は、第1メタル部130から長さkだけ分離して形成されている。また、第2メタル延長部320a−1は、図3の第2メタル部110と同じ層で接続されている。このため、第1メタル延長部310b−1、及び第2メタル延長部320a−1のy軸の長さはk2であり、第1メタル延長部310a−1のy軸の長さはk1と長さkとを合わせた長さに等しい。
また、第1メタル延長部310b−1は、y軸に平行な面361−1、362−1、364−1を有し、面362−1がヒューズパターン340−1と接している。そして、面362−1は、ヒューズパターン340−1に接していない面364−1より、x軸に沿って長さL1だけ突出して形成されている。また、面362−1と面364−1とは、斜面363−1により互いに接続されている。また、斜面363−1は、x軸に対して角度θ1の角度を有して形成されている。
また、ヒューズパターン340−1は、第1メタル部130のx軸方向の中心位置に対して左右対称に形成されている。すなわち、ヒューズパターン340−1のx軸方向の長さがLであるため、第1メタル延長部310a−1及び310b−1のx軸方向の長さL10は、各々(L100−L)/2である。そして、第1メタル部130と接続されている面365−1のx軸方向の長さL20は、L10からL1を減算した長さである。
【0026】
図5(b)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さW’とx軸方向の長さLとの比が1対1の例を示す(具体的に例えば、W’=20[μm]、L=20[μm])平面図である。図5(b)に示すように、第1メタル延長部310b−2は、ヒューズパターン340−2のy軸方向の長さW’に応じて、x軸に対する角度θ2を有する斜面363−2と、y軸と平行な面364−2に対して長さL2だけ突出している面362−2とが形成されている。また、ヒューズパターン340−2のx軸方向の長さLは、図5(a)と同じため、第1メタル延長部310a−2及び310b−2のx軸方向の長さL10は、各々(L100−L)/2であり、第1メタル部130と接続されている面365−2のx軸方向の長さL20は、L10からL2を減算した長さである。
【0027】
図6(a)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さW’とx軸方向の長さL’との比が1対2の例を示す(具体的に例えば、W’=20[μm]、L’=40[μm])平面図である。図6(a)に示すように、この場合、ヒューズパターン340−3は、第1メタル部130と接続されている面367−3のx軸方向の長さL20は、図5(a)及び図5(b)と同様にL20である。また、ヒューズパターン340−3のx軸方向の長さがL’であるため、第1メタル延長部310a−3及び310b−3のx軸方向の長さL10’は、各々(L100−L’)/2である。
第1メタル延長部310b−3は、y軸と平行な面361−3、362−3、364−3、366−3を有し、面362−3がヒューズパターン340−3と接している。また、第1メタル延長部310b−3は、図5(a)及び図5(b)とは異なり、2つの斜面363−3と365−3を有している。
このため、ヒューズパターン340−3に接している面362−3は、図5(a)及び図5(b)とは異なり、ヒューズパターン340−3に接していない面366−3より、x軸に沿って長さL31だけ後退して形成されている。また、ヒューズパターン340−3に接している面362−3は、ヒューズパターン340−3に接していない面364−3より、x軸に沿って長さL32だけ突出して形成されている。また、面362−3と面364−3とは、斜面363−3により互いに接続されている。斜面363−3は、x軸に対して角度θ31の角度を有して形成されている。さらに、面364−3と面366−3とは、斜面365−3により互いに接続されている。斜面365−3は、x軸に対して角度θ32の角度を有して形成されている。
【0028】
図6(b)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さW’’とx軸方向の長さL’’との比が1対1の例を示す(具体的に例えば、W’’=10[μm]、L’’=10[μm])平面図である。図6(b)に示すように、ヒューズパターン340−4のy軸方向の長さW’’とx軸方向の長さL’’との比が1対1の場合、図5(a)及び図5(b)と同様に、第1メタル延長部310b−4は、ヒューズパターン340−4のy軸方向の長さW’’に応じて、x軸に対する角度θ4の大きさを有する斜面363−4と、y軸に平行な面364−4に対して長さL4だけ突出する面362−4が形成されている。
【0029】
図7は、本実施形態に係る延長部の他の形状の例を説明する平面図である。図7(a)は、第1メタル延長部のヒューズパターンと接する面と連続する面が、斜面を介してヒューズパターンと平行な面を有する場合を説明する平面図である。図7(b)は、第1メタル延長部のヒューズパターンと接する面と連続する面が、ヒューズパターンと平行な面を有しない場合を説明する平面図である。なお、図7(a)と図7(b)におけるヒューズパターン420の大きさは、同じである。
図7(a)の第1メタル延長部410bは、例えば、図5(a)と同様に、ヒューズパターン420に接する面402−1が、斜面403−1と面402−1とy軸と平行な面404−1を介して第1メタル部130と接続するように形成されている。ここで、図7(a)に示すように、延長部460は、第1メタル部130からy軸の位置に形成され、第1メタル延長部410a、ヒューズパターン420、及び第1メタル延長部410bから構成されている。この延長部460は、x軸方向の幅がlであり、y軸方向の幅がk2である。また、図3と同様に、第1メタル部130と第1メタル延長部410aとは、幅kだけ離間されて形成されている。
一方、図7(b)において、延長部460’は、第1メタル部130からy軸の正方向の位置に形成され、第1メタル延長部450a、ヒューズパターン420、及び第1メタル延長部450bから構成されている。この延長部460’は、x軸方向の幅がlであり、y軸方向の幅が図7(a)のk2より狭いk2’である。また、第1メタル延長部450bにおいて、ヒューズパターン420に接する面452−1は、斜面453−1を介して、第1メタル部130と接続するように形成されている。この場合においても、第1メタル延長部450aと第1メタル部130とは、幅kだけ離間されて形成されている。
図7(a)と図7(b)に示したように、延長部460と延長部460’のx軸方向の幅はどちらもlである。一方、延長部460のy軸方向の幅はk2であり、延長部460’のy軸方向の幅はk2’であるので、図7(b)に示した延長部460’の方が、図7(a)に示した延長部460の面積より小さい。
【0030】
以上のように、ヒューズパターンを、2つの第1メタル延長部の間に形成した。このため、パッドから過電流が入力されると、ヒューズパターンが溶断する。この結果、パッドから保護回路及び内部ロジック回路への電流経路が遮断され、保護回路及び内部ロジック回路に過大な電流が流れ込むことを防ぐことができる。
例えば第1メタル部と第2メタル部との間に、ビアの代わりにヒューズを形成した場合、ヒューズが溶断しても、ヒューズの破片が残り、これを導通することで第1メタル部と第2メタル部との間に電流が流れてしまう場合もある。これに対して、本実施形態によれば、2つの第1メタル延長部の間に形成されたヒューズパターンを含む延長部において、ヒューズパターンの上部に他のメタル部や回路部が配置されないように形成した。この結果、過電流によりヒューズパターンが溶断した場合においても、他の層へのヒューズパターンの溶断による影響を防ぐことができる。
【0031】
また、従来技術のように、ショートに対する対策が必要な端子に対して出力ショート保護回路などを用いた場合、回路規模が大きくなり、さらに入力端子には出力ショート保護回路を用いることができない。一方、本実施形態によれば、回路規模が小さくて済み、さらに入力端子にも、本実施形態の構成を設けることが可能である。また、本実施形態は、入力端子に限られず、出力端子に適用してもよい。
【0032】
また、本実施形態の半導体集積回路装置では、過電流が流れ込んだ場合、入力段で溶断するため、内部ロジック回路に影響が及ばない。この結果、内部ロジック回路の誤動作による二次障害を防ぐことができる効果もある。また、従来技術によるショート対策回路では、例えば、閾値の設定や、複雑な回路構成が必要だったため、ショート対策回路が静電気などにより誤動作する場合もあった。しかしながら、本実施形態の半導体集積回路装置では、構造がシンプルなため、このような誤動作が生じにくい効果もある。また、構造がシンプルなため、従来技術のショート対策回路に比べて、ショート対策に用いる面積が小さくて済む効果がある。
【0033】
[第2実施形態]
次に、パットから、ヒューズパターンを介して保護回路に接続する他の例について説明する。図8は、本実施形態に係るヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
図8に示すように、半導体集積回路装置1cは、パッド510、保護回路570から構成されている。また、パッド510は、第1メタル部520、第2メタル部530、ビア540、ヒューズパターン550、接続部560から構成されている。なお、図8においては、ヒューズパターン550が形成されていない第2メタル部530を含む層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン550が形成されている第1メタル部520を含む層が、第2の配線層に対応している。
【0034】
第1メタル部520と第2メタル部530とは、z軸方向に平行に配置され、ビア540で電気的に接続されている。
第1メタル部520は、ヒューズパターン550の一方端とx軸方向において電気的に接続されて形成されている。
ヒューズパターン550の一方端は、第1メタル部520と接続され、他方端は、x軸方向において接続部560の一方端に電気的に接続されている。
接続部560の一方端は、x軸方向においてヒューズパターン550の他方端と接続され、ヒューズパターン550の一辺の長さに等しい面を有している。また、接続部560の他方端は、保護回路570の一辺の長さに等しく、保護回路570と電気的に接続されて形成されている。
保護回路570の一方端は、接続部560の他方端と電気的に接続されるように形成されている。また、保護回路570は、第1実施形態と同様に、ESDノイズ保護回路である。ヒューズパターン550と接続部560の形成手順は、例えば、第1メタル部520と保護回路570が有する第1配線層の形成と同時に、アルミニウムをウェハ全面に形成する。アルミニウムを形成した後、形成したアルミニウムの上にフォトレジストを塗布し、マスクパターンを用いて所望のパターンにフォトレジストを露光・エッチング処理する。エッチング処理後、残ったフォトレジストをマスクとして用い、アルミニウムをエッチングすることで、ヒューズパターン550と接続部560を形成する。
この場合においても、ヒューズパターン550のz軸方向には、第2メタル部530や保護回路などの他の回路が形成されていない。このため、第1実施形態と同様に、過電流によりヒューズパターンが溶断した場合であっても、他の回路への溶断時の熱等の影響が及ぶことを防ぐ効果がある。
【0035】
また、図8に示したように、接続部560の他方端の長さを保護回路570の一辺の長さと同じにすることで、パッド510から通常の電流が入力された場合、保護回路570の特定箇所に入力電流が流れず、保護回路570の全体に入力電流が流れるようにできる。このように、パッド510に接続される保護回路570の形状及びヒューズパターンに合わせて、接続部560の形状を最適化するようにしてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、第1メタル延長部や第2メタル延長部を形成する必要がないため、構成面積を小さくすることができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に、複数のヒューズパターンを介して保護回路に接続する例について説明する。図9は、本実施形態に係る複数のヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
図9に示すように、半導体集積回路装置1dは、例えば、第1メタル部610と第2メタル部620及びビア680、4本のヒューズパターン630−1〜630−4、接続部640−1〜640−4、保護回路650から構成されている。なお、保護回路650には、第1実施形態と同様に、内部ロジック回路が接続されている。
ヒューズパターン630−1〜630−4の一方端は、パッドを形成する第1メタル部610の一方端と接続され、ヒューズパターン630−1〜630−4の他方端は、各々接続部640−1〜640−4を介して保護回路650に接続されている。なお、図9においては、ヒューズパターン630−1〜630−4が形成されていない第2メタル部620を含む層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン630−1〜630−4が形成されている第1メタル部610を含む層が、第2の配線層に対応している。
図9のヒューズパターン630−1〜630−4の形成手順は、例えば、第1メタル部610と保護回路650が有する第1配線層の形成と同時に、アルミニウムをウェハ全面に形成する。アルミニウムを形成した後、形成したアルミニウムの上にフォトレジストを塗布し、マスクパターンを用いて所望のアルミニウムのパターンにフォトレジストを露光・エッチング処理する。エッチング処理後、残ったフォトレジストをマスクとして用い、アルミニウムをエッチングすることで、ヒューズパターン630−1〜630−4と接続部640−1〜640−4を形成する。
また、図9に示した例では、ヒューズパターン630−1〜630−4は、各々接続部640−1〜640−4を介して保護回路650に接続される例を説明したが、接続部640−1〜640−4を設けずに、ヒューズパターン630−1〜630−4の他方端を、直接、保護回路650と接続するようにしてもよい。また、保護回路650は、1つでなくてもよく、例えば、4つの保護回路を設け、ヒューズパターン630−1〜630−4は、各々1つの保護回路に接続されるようにしてもよい。
【0038】
図9に示したように、パッドと保護回路との間に、複数のヒューズパターンを形成する場合、このヒューズパターンの本数に応じて、ヒューズパターンの幅を設定するようにしてもよい。この場合、各ヒューズパターンに通常流れると想定される電流値と、過電流時に流れると想定される電流値に基づき、ヒューズパターンの本数を構成するようにしてもよい。
次に、ヒューズパターンの幅について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るヒューズパターンの幅を説明する平面図である。ここでは、図10(a)に示すヒューズパターンが、図10(b)に示すヒューズパターンの幅より太い場合について説明する。図10(a)と図10(b)において、破線760は、ヒューズパターンのx軸方向の中点を表している。
図10(a)に示すように、ヒューズパターン730−1は、一方端750−1が図9の第1メタル部610と接続され、他方端750−2が図9の接続部640−1〜640−4のいずれかの一方端と接続されている。ヒューズパターン730−1のy軸方向の幅とx軸方向の長さは、一方端750−1の幅がW611であり、他方端の幅W612であり、長さがL611である。また、ヒューズパターン730−1は、x軸方向の中点での幅はW613で、他方端750−2の幅W612と等しい。このようなヒューズパターン730−1は、ヒューズパターンの本数が少ない場合、例えば、図9のように4本の場合に用いる。
一方、図10(b)に示すように、ヒューズパターン730−11の幅と長さは、一方端750−11の幅がW611であり、他方端750−12の幅W612であり、長さがL611である。また、ヒューズパターン730−11は、x軸方向の中点での幅はW614で、他方端750−12の幅W612より狭い。すなわち、ヒューズパターン730−11のx軸方向の中点での幅W614は、ヒューズパターン730−1のx軸方向の中点での幅W613より狭く形成されている。このようなヒューズパターン730−11は、ヒューズパターンの本数が図9より多い場合、例えば、8本の場合に用いる。
【0039】
なお、上述した第1〜第3実施形態では、ヒューズパターン(170、240、340−1〜340−4、420、550、630−1〜630−4、730−1及び730−11)の後段に、図1に示した静電気放電ノイズ回路12及び内部ロジック回路部13が接続されているため、半導体集積回路装置1(1a、1c及び1d)に過電流が流れた場合でも、ヒューズパターンが溶断し、静電気放電ノイズ回路12及び内部ロジック回路部13を保護することができる。また、本実施形態によれば、半導体集積回路装置1(1a、1c及び1d)内部の端子毎にヒューズパターンを形成するようにしたので、半導体集積回路装置1(1a、1c及び1d)の外部にヒューズ等を接続する場合に比べ、回路面積を小さくできる。
【0040】
なお、本実施形態では、第1メタル部または第2メタル部にヒューズパターンを形成する例を説明したが、ヒューズパターンは、他のメタル部、例えば、第3メタル部以降のメタル部に形成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、ヒューズパターンの後段に、静電気放電ノイズ保護回路を備える例について説明したが、半導体集積回路装置の使用状態や用途に応じて保護回路は備えなくても、過電流に対して同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は係る実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1、1a、1c、1d・・・半導体集積回路装置、100a、100b、510・・・パッド、 460、460’・・・延長部、110、202a、530、620・・・第2メタル部、110a、202b、320a−1〜320a−4・・・第2メタル延長部、120a、220d、330−1、540、680・・・ビア、130、201、520、610・・・第1メタル部、130a、130b、310a−1〜310a−4、310b−1〜310b−1、410a、410b、450a、450b・・・第1メタル延長部、140、570・・・保護回路、150・・・配線パターン、13、160・・・内部ロジック回路部、170、240、340−1〜340−4、420、550、630−1〜630−4、730−1、730−11・・・ヒューズパターン、10・・・入力端子、11・・・ヒューズ、12・・・静電気放電ノイズ保護回路、201・・・第1配線層、202・・・第2配線層
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の半導体集積回路装置は、入力端子と内部回路の間に、入力バッファ回路が接続されている。入力バッファ回路は、PチャンネルMOSトランジスタとNチャンネルMOSトランジスタとから構成され、ESD(静電気放電)ノイズに対する保護回路の役割もある。入力バッファ回路のPチャンネルMOSトランジスタは、ドレインが入力端子に接続され、ゲートおよびソースが電源端子されている。また、NチャンネルMOSトランジスタは、ドレインが入力端子に接続され、ゲートおよびソースが接地されている。このような従来技術の半導体集積回路装置は、入力端子から静電気放電ノイズが入力された場合、ノイズとなる電流をこの入力バッファ回路からグランドか電源に逃がすことで内部回路を保護している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−75433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の半導体集積回路装置において、入力バッファ回路は、静電気放電ノイズから内部回路を保護することができるが、入力端子から過大な電流が入力された場合、内部回路の保護ができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、過電流に対して内部回路を保護する半導体集積回路装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明に係る半導体集積回路装置は、多層配線構造を有する半導体集積回路装置であって、前記半導体集積回路装置の内部にある内部回路と前記半導体集積回路装置の外部にある外部回路とを接続するために前記半導体集積回路装置の内部に設けられたパッドパターンにおいて、第1の配線層と、前記第1の配線層が形成されている層とは別の層に形成されている第2の配線層と、前記第1の配線層と前記第2の配線層を接続するビアと、を備え、前記第2の配線層にヒューズパターンが形成されており、前記ヒューズパターンを経由して前記内部回路と前記外部回路とを電気的に接続することを特徴としている。
(2)また、本発明の半導体集積回路装置において、前記ヒューズパターンは、前記第1の配線層と重ならない位置にあるようにしてもよい。
(3)また、本発明の半導体集積回路装置において、前記第2の配線層は、第1端子パッドと、前記第1端子パッドと隣接して形成されている第1延長部と、前記第1端子パッドと離間して形成されている第2延長部と、を備え、前記ヒューズパターンは、前記第1延長部と前記第2延長部との間に接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば多層配線構造を有する半導体集積回路装置において、第1の配線層と第2の配線層をビアで接続し、第2の配線層に、ヒューズパターンを形成した。これにより、過電流が生じた場合にヒューズパターンが溶断されることで後段の回路部を保護することができ、当該回路部への影響を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の等価回路図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の一例の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るヒューズパターンが形成されたパッドの断面図である。
【図5】第1実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の例を示す平面図である。
【図6】第1実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の他の例を示す平面図である。
【図7】第1実施形態に係る延長部の他の形状の例を説明する平面図である。
【図8】第2実施形態に係るヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
【図9】第3実施形態に係るヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
【図10】同実施形態に係るヒューズパターンの幅を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等が異なっている。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の等価回路図である。
図1に示すように、半導体集積回路装置1は、入力端子10、ヒューズ11、ESD(静電気放電)ノイズ保護回路12、内部ロジック回路13により構成される。
【0011】
入力端子10には、入力信号が入力される。また、入力端子10は、ヒューズ11の一方端に接続されている。
ヒューズ11は、例えば、アルミ線または銅線パターンで形成された溶解型電気ヒューズである。ヒューズ11の一方端は、入力端子10の他方端に接続され、ヒューズ11の他方端は、静電気放電ノイズ保護回路12の一方端に接続されている。
【0012】
静電気放電ノイズ保護回路12は、外部からの静電気放電ノイズに対して内部ロジック回路13の保護を行う回路である。静電気放電ノイズ保護回路12の一方端は、ヒューズ11の他方端に接続され、静電気放電ノイズ保護回路12の他方端は、内部ロジック回路13の一方端に接続されている。
また、静電気放電ノイズ保護回路12は、例えば、特許文献1に記載の静電気放電ノイズ保護回路と同様の構成とすることができる。
【0013】
内部ロジック回路13は、入力端子10からの入力信号により動作する回路であり、静電気放電ノイズ保護回路12の他方端が接続されている。なお、内部ロジック回路13は、半導体集積回路装置1の目的に応じた回路であればよく、本実施形態において具体的な構成は特に限定しない。
【0014】
本実施形態の半導体集積回路装置は、2層以上の多層配線構造を有し、複数の配線層の内、第1の配線層と第2の配線層とが、ビア(VIA;導通部ともいう)で接続されている。この第1の配線層または第2の配線層の一方の層には、ヒューズパターンが形成される。また、ヒューズパターンが形成される第2の配線層は、複数の配線層の内、どの配線層であってもよい。なお、ビアとは、多層のメタル間において、例えば、層間にあけた穴の内側に上層側のメタルを埋め込んで形成したものである。
【0015】
次に、本実施形態の構成の一例について、図2と図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の構成の一例を示す平面図である。図3は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の一例の斜視図である。
【0016】
図2と図3に示すように、本半導体集積回路装置1aは、多層配線構造を有し、入力端子10に相当するパッド100a、静電気放電ノイズ保護回路12に相当する保護回路140、内部ロジック回路部160により構成されている。
また、パッド(端子パッド、電極パッドともいう)100aは、第1メタル部130(第1端子パッド)、第1メタル延長部130a、第1メタル延長部130b(第1延長部)、第2メタル部110、第2メタル延長部110a(第2延長部)、ヒューズパターン170、及びビア120aにより構成されている。また、第1メタル部130と第2メタル部110とは、z軸方向に互いに重なり合って積層されて形成されている。また、本実施形態において、第1配線層とは、第1メタル部130、第1メタル延長部130a、第1メタル延長部130b、ヒューズパターン170が形成されている層である。第2配線層とは、第2メタル部110、第2メタル延長部110aが形成されている層である。
なお、図2と図3においては、ヒューズパターン170が形成されていない第2配線層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン170が形成されている第1配線層が、第2の配線層に対応している。
【0017】
第1メタル部130は、第1配線層に形成され、x軸方向の長さがL1とされ、y軸方向の長さがW1とされている。第1メタル部130には、第1配線層においてx軸方向の正方向に保護回路140が設けられ電気的に接続されている。また、第1メタル部130は、第1配線層において、y軸方向に、第1メタル延長部130aと第1メタル延長部130bとが形成されている。
第1メタル延長部130aは、第1メタル部130から離間して設けられている。第1メタル延長部130aと第1メタル部130とが離間している距離kは、例えば、過電流がビア120aを介して入力された場合にも、第1メタル延長部130aと第1メタル部130とが通電しない距離である。一方、第1メタル延長部130bは、第1メタル部130と接している。
また、ヒューズパターン170は、図2に示したように、第1メタル延長部130aと第1メタル延長部130bとに接して配置され、第2配線層に設けられている第2メタル部110及び第2メタル延長部110aとz軸方向において重ならないように配置されている。
【0018】
第2メタル部110は、第2配線層に形成され、x軸方向の長さがL11とされ、y軸方向の長さがW11とされている。第2メタル部110には、y軸方向に、第2メタル延長部110aが形成されている。
第1メタル延長部130aと第2メタル延長部110aとは、z軸方向に互いに重なり合って積層されて形成されている。また、第2メタル延長部110aは、第2配線層において第2メタル部110と電気的に接している。
第1メタル部130と第2メタル部110とが、ビア120aを介して第1メタル延長部130aと第2メタル延長部110aとが接続されることにより、電気的に接続されている。保護回路140は、第1メタル部130から見てx軸方向に配置され、第1メタル部130の一方辺に電気的に接続されている。内部ロジック回路部160は、第1メタル部130または第2メタル部110と同じメタルからなる配線パターン150を介して保護回路140に電気的に接続されている。
【0019】
図3に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置1aでは、入力電流が矢印線180のような経路でパッド100aから保護回路140に入力される。すなわち、まず、第2メタル部110に入力信号が入力される。この入力信号は、第2メタル部110から第2メタル延長部110aを通り、さらにビア120aを介して第1メタル延長部130a、ヒューズパターン170、第1メタル延長部130b、第1メタル部130を介して保護回路140に入力される。
ヒューズパターン170は、図2と図3において、第1配線層に形成される。さらに、具体的には、ヒューズパターン170(第1配線層)は、例えば、アルミニウムやポリシリコンなどにより形成される。
【0020】
次に、本実施形態のヒューズパターンの形成手順の一例を、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るヒューズパターンが形成されたパッドの断面図である。半導体集積回路装置は、パッド100bを有している。
パッド100bにおいて、第1配線層201は、第1メタル部201a、及び第1メタル延長部201bを含んで構成され、第1絶縁層211は、第1絶縁層211a、第1絶縁層211b、及びビア220dを含んで構成される。第2配線層202は、第2メタル部202a、ヒューズパターン240、及び第2メタル延長部202bを含んで構成され、第2絶縁層212は、第2絶縁層212a、及びビア220bを含んで構成される。第3配線層203は、第3メタル部203aを含んで構成され、第3絶縁層213は、第3絶縁層213a、及びビア220cを含み、第4配線層204は、第4メタル部204aを含んで構成される。なお、図4においては、ヒューズパターン240が形成されていない第1配線層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン240が形成されている第2配線層が、第2の配線層に対応している。
【0021】
次に、パッド100bの製造方法について説明する。
まず、第1メタル部201aの左端から第1メタル延長部201bの右端までが、連続した1つの層、すなわち第1配線層201として形成される。
第1配線層201の形成後、第1配線層201のz軸の正方向に、第1絶縁層211aの左端から第1絶縁層211bの右端までが連続した1つの層、すなわち第1絶縁層211として形成される。
第1絶縁層211の形成後、第1絶縁層211bの一部にビアを形成する穴が形成される。その後、第1絶縁層211のz軸の正方向に、ヒューズパターン240を含む第2メタル部202aの左端から第2メタル延長部202bの右端までが連続した1つの層、すなわち第2配線層202として形成される。ヒューズパターン240は、第2メタル部202a及び第2メタル延長部202bと同じメタル材料からなる。ヒューズパターン240をヒューズとして機能させるため、マスク設計時に、x軸方向の間隔(ヒューズパターンの長さという)と、y軸方向の長さ(ヒューズパターンの幅という)によりヒューズパターンの大きさを調整するようにしてもよい。
なお、第2配線層202の形成時に、第1絶縁層211bにあけた穴に第2メタル延長部202bのメタルが埋め込まれることにより、ビア220dが、第1絶縁層211bの一部に、z軸方向に形成される。
【0022】
第2配線層202の形成後、第2絶縁層212aは、第2配線層202のz軸の正方向の層、すなわち第2絶縁層212として形成される。第2絶縁層212aの形成後、第2絶縁層212aの一部にビアを形成する穴が形成される。その後、第3メタル部203aは、第2絶縁層212のz軸の正方向の層、すなわち第3配線層203として形成される。
第3配線層203の形成時に、第2絶縁層212bにあけた穴に第3メタル部203aのメタルが埋め込まれることにより、ビア220bが、第2絶縁層212bの一部に、z軸方向に形成される。
そして、第3絶縁層213aが、第3配線層203のz軸の正方向の層、すなわち第3絶縁層213として形成され、第3絶縁層213aの形成後、第3絶縁層213aの一部にビアを形成する穴が形成される。その後、第4メタル部204aは、第3絶縁層213aのz軸の正方向の層、すなわち第4配線層として形成される。第4配線層204の形成時に、第3絶縁層213bにあけた穴に第4メタル部204aのメタルが埋め込まれることにより、ビア220cが、第3絶縁層213aの一部のz軸方向に形成される。
なお、図3においては、第1配線層にヒューズパターン170を形成する場合について説明したが、この図4においては、第2配線層211にヒューズパターン240を形成するようにした。また、このヒューズパターンは、第1配線層及び第2配線層以外の他の配線層に形成するようにしてもよい。
【0023】
上述したように、ヒューズパターン240は、第2配線層202に形成され、且つ第3メタル部203等の回路部と重ならない位置に形成されている。また、ヒューズパターン240は、パッドを形成する過程で、パッドの一部として形成している。このため、本実施形態のパッド100bは、過電流によりヒューズパターン240が溶断された場合においても、他の回路への溶断時の熱等の影響が及ぶことを防ぐ効果がある。また、本実施形態のパッド100bは、過電流によりヒューズパターン240が溶断された場合においても、ヒューズパターン240の溶断した破片が他の配線層に飛び散ることによるショートを防ぐことができる。
なお、ヒューズパターン240の大きさは、パッド100bの通常動作時に入力が想定される電流値と、想定される過電流値とに基づき形成するようにしてもよい。
【0024】
次に、ヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の例について、図5と図6を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の例を示す平面図である。図6は、本実施形態に係るヒューズパターンとヒューズパターンを挟む第1メタル延長部の形状の他の例を示す平面図である。
なお、図5と図6は、図2と図3の第1メタル延長部130a、第1メタル延長部130b、第2メタル延長部110a、ビア120a、第1メタル部130のみを平面図で表したものである。また、図5と図6において、第1メタル部130のx軸方向の長さはL100とされている。
【0025】
図5(a)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さWとx軸方向の長さLとの比が3対2の例を示す(具体的に例えば、W=30[μm]、L=20[μm])平面図である。図5(a)に示すように、ヒューズパターン340−1は、第1メタル延長部310a−1と第1メタル延長部310b−1との間に形成されている。また、第1メタル延長部310a−1のz軸の正方向には、第2メタル延長部320a−1が形成されている。さらに、第1メタル延長部310a−1と第2メタル延長部320a−1との間には、ビア330−1が接続されている。
第1メタル延長部310b−1は、第1メタル部130と同じ層で接続されて形成されている。一方、第1メタル延長部310a−1は、第1メタル部130から長さkだけ分離して形成されている。また、第2メタル延長部320a−1は、図3の第2メタル部110と同じ層で接続されている。このため、第1メタル延長部310b−1、及び第2メタル延長部320a−1のy軸の長さはk2であり、第1メタル延長部310a−1のy軸の長さはk1と長さkとを合わせた長さに等しい。
また、第1メタル延長部310b−1は、y軸に平行な面361−1、362−1、364−1を有し、面362−1がヒューズパターン340−1と接している。そして、面362−1は、ヒューズパターン340−1に接していない面364−1より、x軸に沿って長さL1だけ突出して形成されている。また、面362−1と面364−1とは、斜面363−1により互いに接続されている。また、斜面363−1は、x軸に対して角度θ1の角度を有して形成されている。
また、ヒューズパターン340−1は、第1メタル部130のx軸方向の中心位置に対して左右対称に形成されている。すなわち、ヒューズパターン340−1のx軸方向の長さがLであるため、第1メタル延長部310a−1及び310b−1のx軸方向の長さL10は、各々(L100−L)/2である。そして、第1メタル部130と接続されている面365−1のx軸方向の長さL20は、L10からL1を減算した長さである。
【0026】
図5(b)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さW’とx軸方向の長さLとの比が1対1の例を示す(具体的に例えば、W’=20[μm]、L=20[μm])平面図である。図5(b)に示すように、第1メタル延長部310b−2は、ヒューズパターン340−2のy軸方向の長さW’に応じて、x軸に対する角度θ2を有する斜面363−2と、y軸と平行な面364−2に対して長さL2だけ突出している面362−2とが形成されている。また、ヒューズパターン340−2のx軸方向の長さLは、図5(a)と同じため、第1メタル延長部310a−2及び310b−2のx軸方向の長さL10は、各々(L100−L)/2であり、第1メタル部130と接続されている面365−2のx軸方向の長さL20は、L10からL2を減算した長さである。
【0027】
図6(a)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さW’とx軸方向の長さL’との比が1対2の例を示す(具体的に例えば、W’=20[μm]、L’=40[μm])平面図である。図6(a)に示すように、この場合、ヒューズパターン340−3は、第1メタル部130と接続されている面367−3のx軸方向の長さL20は、図5(a)及び図5(b)と同様にL20である。また、ヒューズパターン340−3のx軸方向の長さがL’であるため、第1メタル延長部310a−3及び310b−3のx軸方向の長さL10’は、各々(L100−L’)/2である。
第1メタル延長部310b−3は、y軸と平行な面361−3、362−3、364−3、366−3を有し、面362−3がヒューズパターン340−3と接している。また、第1メタル延長部310b−3は、図5(a)及び図5(b)とは異なり、2つの斜面363−3と365−3を有している。
このため、ヒューズパターン340−3に接している面362−3は、図5(a)及び図5(b)とは異なり、ヒューズパターン340−3に接していない面366−3より、x軸に沿って長さL31だけ後退して形成されている。また、ヒューズパターン340−3に接している面362−3は、ヒューズパターン340−3に接していない面364−3より、x軸に沿って長さL32だけ突出して形成されている。また、面362−3と面364−3とは、斜面363−3により互いに接続されている。斜面363−3は、x軸に対して角度θ31の角度を有して形成されている。さらに、面364−3と面366−3とは、斜面365−3により互いに接続されている。斜面365−3は、x軸に対して角度θ32の角度を有して形成されている。
【0028】
図6(b)は、ヒューズパターンのy軸方向の長さW’’とx軸方向の長さL’’との比が1対1の例を示す(具体的に例えば、W’’=10[μm]、L’’=10[μm])平面図である。図6(b)に示すように、ヒューズパターン340−4のy軸方向の長さW’’とx軸方向の長さL’’との比が1対1の場合、図5(a)及び図5(b)と同様に、第1メタル延長部310b−4は、ヒューズパターン340−4のy軸方向の長さW’’に応じて、x軸に対する角度θ4の大きさを有する斜面363−4と、y軸に平行な面364−4に対して長さL4だけ突出する面362−4が形成されている。
【0029】
図7は、本実施形態に係る延長部の他の形状の例を説明する平面図である。図7(a)は、第1メタル延長部のヒューズパターンと接する面と連続する面が、斜面を介してヒューズパターンと平行な面を有する場合を説明する平面図である。図7(b)は、第1メタル延長部のヒューズパターンと接する面と連続する面が、ヒューズパターンと平行な面を有しない場合を説明する平面図である。なお、図7(a)と図7(b)におけるヒューズパターン420の大きさは、同じである。
図7(a)の第1メタル延長部410bは、例えば、図5(a)と同様に、ヒューズパターン420に接する面402−1が、斜面403−1と面402−1とy軸と平行な面404−1を介して第1メタル部130と接続するように形成されている。ここで、図7(a)に示すように、延長部460は、第1メタル部130からy軸の位置に形成され、第1メタル延長部410a、ヒューズパターン420、及び第1メタル延長部410bから構成されている。この延長部460は、x軸方向の幅がlであり、y軸方向の幅がk2である。また、図3と同様に、第1メタル部130と第1メタル延長部410aとは、幅kだけ離間されて形成されている。
一方、図7(b)において、延長部460’は、第1メタル部130からy軸の正方向の位置に形成され、第1メタル延長部450a、ヒューズパターン420、及び第1メタル延長部450bから構成されている。この延長部460’は、x軸方向の幅がlであり、y軸方向の幅が図7(a)のk2より狭いk2’である。また、第1メタル延長部450bにおいて、ヒューズパターン420に接する面452−1は、斜面453−1を介して、第1メタル部130と接続するように形成されている。この場合においても、第1メタル延長部450aと第1メタル部130とは、幅kだけ離間されて形成されている。
図7(a)と図7(b)に示したように、延長部460と延長部460’のx軸方向の幅はどちらもlである。一方、延長部460のy軸方向の幅はk2であり、延長部460’のy軸方向の幅はk2’であるので、図7(b)に示した延長部460’の方が、図7(a)に示した延長部460の面積より小さい。
【0030】
以上のように、ヒューズパターンを、2つの第1メタル延長部の間に形成した。このため、パッドから過電流が入力されると、ヒューズパターンが溶断する。この結果、パッドから保護回路及び内部ロジック回路への電流経路が遮断され、保護回路及び内部ロジック回路に過大な電流が流れ込むことを防ぐことができる。
例えば第1メタル部と第2メタル部との間に、ビアの代わりにヒューズを形成した場合、ヒューズが溶断しても、ヒューズの破片が残り、これを導通することで第1メタル部と第2メタル部との間に電流が流れてしまう場合もある。これに対して、本実施形態によれば、2つの第1メタル延長部の間に形成されたヒューズパターンを含む延長部において、ヒューズパターンの上部に他のメタル部や回路部が配置されないように形成した。この結果、過電流によりヒューズパターンが溶断した場合においても、他の層へのヒューズパターンの溶断による影響を防ぐことができる。
【0031】
また、従来技術のように、ショートに対する対策が必要な端子に対して出力ショート保護回路などを用いた場合、回路規模が大きくなり、さらに入力端子には出力ショート保護回路を用いることができない。一方、本実施形態によれば、回路規模が小さくて済み、さらに入力端子にも、本実施形態の構成を設けることが可能である。また、本実施形態は、入力端子に限られず、出力端子に適用してもよい。
【0032】
また、本実施形態の半導体集積回路装置では、過電流が流れ込んだ場合、入力段で溶断するため、内部ロジック回路に影響が及ばない。この結果、内部ロジック回路の誤動作による二次障害を防ぐことができる効果もある。また、従来技術によるショート対策回路では、例えば、閾値の設定や、複雑な回路構成が必要だったため、ショート対策回路が静電気などにより誤動作する場合もあった。しかしながら、本実施形態の半導体集積回路装置では、構造がシンプルなため、このような誤動作が生じにくい効果もある。また、構造がシンプルなため、従来技術のショート対策回路に比べて、ショート対策に用いる面積が小さくて済む効果がある。
【0033】
[第2実施形態]
次に、パットから、ヒューズパターンを介して保護回路に接続する他の例について説明する。図8は、本実施形態に係るヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
図8に示すように、半導体集積回路装置1cは、パッド510、保護回路570から構成されている。また、パッド510は、第1メタル部520、第2メタル部530、ビア540、ヒューズパターン550、接続部560から構成されている。なお、図8においては、ヒューズパターン550が形成されていない第2メタル部530を含む層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン550が形成されている第1メタル部520を含む層が、第2の配線層に対応している。
【0034】
第1メタル部520と第2メタル部530とは、z軸方向に平行に配置され、ビア540で電気的に接続されている。
第1メタル部520は、ヒューズパターン550の一方端とx軸方向において電気的に接続されて形成されている。
ヒューズパターン550の一方端は、第1メタル部520と接続され、他方端は、x軸方向において接続部560の一方端に電気的に接続されている。
接続部560の一方端は、x軸方向においてヒューズパターン550の他方端と接続され、ヒューズパターン550の一辺の長さに等しい面を有している。また、接続部560の他方端は、保護回路570の一辺の長さに等しく、保護回路570と電気的に接続されて形成されている。
保護回路570の一方端は、接続部560の他方端と電気的に接続されるように形成されている。また、保護回路570は、第1実施形態と同様に、ESDノイズ保護回路である。ヒューズパターン550と接続部560の形成手順は、例えば、第1メタル部520と保護回路570が有する第1配線層の形成と同時に、アルミニウムをウェハ全面に形成する。アルミニウムを形成した後、形成したアルミニウムの上にフォトレジストを塗布し、マスクパターンを用いて所望のパターンにフォトレジストを露光・エッチング処理する。エッチング処理後、残ったフォトレジストをマスクとして用い、アルミニウムをエッチングすることで、ヒューズパターン550と接続部560を形成する。
この場合においても、ヒューズパターン550のz軸方向には、第2メタル部530や保護回路などの他の回路が形成されていない。このため、第1実施形態と同様に、過電流によりヒューズパターンが溶断した場合であっても、他の回路への溶断時の熱等の影響が及ぶことを防ぐ効果がある。
【0035】
また、図8に示したように、接続部560の他方端の長さを保護回路570の一辺の長さと同じにすることで、パッド510から通常の電流が入力された場合、保護回路570の特定箇所に入力電流が流れず、保護回路570の全体に入力電流が流れるようにできる。このように、パッド510に接続される保護回路570の形状及びヒューズパターンに合わせて、接続部560の形状を最適化するようにしてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、第1メタル延長部や第2メタル延長部を形成する必要がないため、構成面積を小さくすることができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に、複数のヒューズパターンを介して保護回路に接続する例について説明する。図9は、本実施形態に係る複数のヒューズパターンの接続を説明する概略斜視図である。
図9に示すように、半導体集積回路装置1dは、例えば、第1メタル部610と第2メタル部620及びビア680、4本のヒューズパターン630−1〜630−4、接続部640−1〜640−4、保護回路650から構成されている。なお、保護回路650には、第1実施形態と同様に、内部ロジック回路が接続されている。
ヒューズパターン630−1〜630−4の一方端は、パッドを形成する第1メタル部610の一方端と接続され、ヒューズパターン630−1〜630−4の他方端は、各々接続部640−1〜640−4を介して保護回路650に接続されている。なお、図9においては、ヒューズパターン630−1〜630−4が形成されていない第2メタル部620を含む層が、第1の配線層に対応している。また、ヒューズパターン630−1〜630−4が形成されている第1メタル部610を含む層が、第2の配線層に対応している。
図9のヒューズパターン630−1〜630−4の形成手順は、例えば、第1メタル部610と保護回路650が有する第1配線層の形成と同時に、アルミニウムをウェハ全面に形成する。アルミニウムを形成した後、形成したアルミニウムの上にフォトレジストを塗布し、マスクパターンを用いて所望のアルミニウムのパターンにフォトレジストを露光・エッチング処理する。エッチング処理後、残ったフォトレジストをマスクとして用い、アルミニウムをエッチングすることで、ヒューズパターン630−1〜630−4と接続部640−1〜640−4を形成する。
また、図9に示した例では、ヒューズパターン630−1〜630−4は、各々接続部640−1〜640−4を介して保護回路650に接続される例を説明したが、接続部640−1〜640−4を設けずに、ヒューズパターン630−1〜630−4の他方端を、直接、保護回路650と接続するようにしてもよい。また、保護回路650は、1つでなくてもよく、例えば、4つの保護回路を設け、ヒューズパターン630−1〜630−4は、各々1つの保護回路に接続されるようにしてもよい。
【0038】
図9に示したように、パッドと保護回路との間に、複数のヒューズパターンを形成する場合、このヒューズパターンの本数に応じて、ヒューズパターンの幅を設定するようにしてもよい。この場合、各ヒューズパターンに通常流れると想定される電流値と、過電流時に流れると想定される電流値に基づき、ヒューズパターンの本数を構成するようにしてもよい。
次に、ヒューズパターンの幅について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るヒューズパターンの幅を説明する平面図である。ここでは、図10(a)に示すヒューズパターンが、図10(b)に示すヒューズパターンの幅より太い場合について説明する。図10(a)と図10(b)において、破線760は、ヒューズパターンのx軸方向の中点を表している。
図10(a)に示すように、ヒューズパターン730−1は、一方端750−1が図9の第1メタル部610と接続され、他方端750−2が図9の接続部640−1〜640−4のいずれかの一方端と接続されている。ヒューズパターン730−1のy軸方向の幅とx軸方向の長さは、一方端750−1の幅がW611であり、他方端の幅W612であり、長さがL611である。また、ヒューズパターン730−1は、x軸方向の中点での幅はW613で、他方端750−2の幅W612と等しい。このようなヒューズパターン730−1は、ヒューズパターンの本数が少ない場合、例えば、図9のように4本の場合に用いる。
一方、図10(b)に示すように、ヒューズパターン730−11の幅と長さは、一方端750−11の幅がW611であり、他方端750−12の幅W612であり、長さがL611である。また、ヒューズパターン730−11は、x軸方向の中点での幅はW614で、他方端750−12の幅W612より狭い。すなわち、ヒューズパターン730−11のx軸方向の中点での幅W614は、ヒューズパターン730−1のx軸方向の中点での幅W613より狭く形成されている。このようなヒューズパターン730−11は、ヒューズパターンの本数が図9より多い場合、例えば、8本の場合に用いる。
【0039】
なお、上述した第1〜第3実施形態では、ヒューズパターン(170、240、340−1〜340−4、420、550、630−1〜630−4、730−1及び730−11)の後段に、図1に示した静電気放電ノイズ回路12及び内部ロジック回路部13が接続されているため、半導体集積回路装置1(1a、1c及び1d)に過電流が流れた場合でも、ヒューズパターンが溶断し、静電気放電ノイズ回路12及び内部ロジック回路部13を保護することができる。また、本実施形態によれば、半導体集積回路装置1(1a、1c及び1d)内部の端子毎にヒューズパターンを形成するようにしたので、半導体集積回路装置1(1a、1c及び1d)の外部にヒューズ等を接続する場合に比べ、回路面積を小さくできる。
【0040】
なお、本実施形態では、第1メタル部または第2メタル部にヒューズパターンを形成する例を説明したが、ヒューズパターンは、他のメタル部、例えば、第3メタル部以降のメタル部に形成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、ヒューズパターンの後段に、静電気放電ノイズ保護回路を備える例について説明したが、半導体集積回路装置の使用状態や用途に応じて保護回路は備えなくても、過電流に対して同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は係る実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1、1a、1c、1d・・・半導体集積回路装置、100a、100b、510・・・パッド、 460、460’・・・延長部、110、202a、530、620・・・第2メタル部、110a、202b、320a−1〜320a−4・・・第2メタル延長部、120a、220d、330−1、540、680・・・ビア、130、201、520、610・・・第1メタル部、130a、130b、310a−1〜310a−4、310b−1〜310b−1、410a、410b、450a、450b・・・第1メタル延長部、140、570・・・保護回路、150・・・配線パターン、13、160・・・内部ロジック回路部、170、240、340−1〜340−4、420、550、630−1〜630−4、730−1、730−11・・・ヒューズパターン、10・・・入力端子、11・・・ヒューズ、12・・・静電気放電ノイズ保護回路、201・・・第1配線層、202・・・第2配線層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層配線構造を有する半導体集積回路装置であって、
前記半導体集積回路装置の内部にある内部回路と前記半導体集積回路装置の外部にある外部回路とを接続するために前記半導体集積回路装置の内部に設けられたパッドパターンにおいて、
第1の配線層と、
前記第1の配線層が形成されている層とは別の層に形成されている第2の配線層と、
前記第1の配線層と前記第2の配線層を接続するビアと、
を備え、
前記第2の配線層にヒューズパターンが形成されており、
前記ヒューズパターンを経由して前記内部回路と前記外部回路とを電気的に接続する
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記ヒューズパターンは、
前記第1の配線層と重ならない位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記第2の配線層は、
第1端子パッドと、前記第1端子パッドと隣接して形成されている第1延長部と、前記第1端子パッドと離間して形成されている第2延長部と、
を備え、
前記ヒューズパターンは、
前記第1延長部と前記第2延長部との間に接続されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項1】
多層配線構造を有する半導体集積回路装置であって、
前記半導体集積回路装置の内部にある内部回路と前記半導体集積回路装置の外部にある外部回路とを接続するために前記半導体集積回路装置の内部に設けられたパッドパターンにおいて、
第1の配線層と、
前記第1の配線層が形成されている層とは別の層に形成されている第2の配線層と、
前記第1の配線層と前記第2の配線層を接続するビアと、
を備え、
前記第2の配線層にヒューズパターンが形成されており、
前記ヒューズパターンを経由して前記内部回路と前記外部回路とを電気的に接続する
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記ヒューズパターンは、
前記第1の配線層と重ならない位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記第2の配線層は、
第1端子パッドと、前記第1端子パッドと隣接して形成されている第1延長部と、前記第1端子パッドと離間して形成されている第2延長部と、
を備え、
前記ヒューズパターンは、
前記第1延長部と前記第2延長部との間に接続されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体集積回路装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−69768(P2013−69768A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206066(P2011−206066)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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