説明

半田ペースト印刷検査方法

【課題】本発明は、半田ペーストブリッジが検出可能な画像処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明の画像処理方法は、CCDカメラで撮像した半田ペーストが印刷される前のプリント基板の画像から白色の輝度を黒色の輝度に変換しさらに画像全体を反転させた画像と印刷後のプリント基板の画像を反転させた画像を重ね合わせることで電極パッド間の半田ペーストの検出を可能としたことを特徴とする。本発明の半田ペーストブリッジ検出方法を用いれば、容易に印刷不良の特定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板に印刷された半田ペーストが隣同士で繋がっている(以下ブリッジと称する)か否かを検出する半田ペースト印刷検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に半田ペーストを印刷した後に、半田ペーストの状態をCCDカメラで撮像して画像処理を行い、印刷不良が無いかを確認することは不良品を出さない為に必要である。引用文献1においては、基板のランドに印刷された半田の印刷状態の検査を行う半田検査装置において、検査対象となる半田印刷部S1の周囲に基板端部など半田類似の光反射特性を有する部分が存在し半田と誤認識される場合や、同一ランド状に存在する複数の半田印刷部を連結する半田が「ブリッジ」として判定される不都合を生じる場合には、これら誤認識や不都合の要因となる範囲を検査のための画像処理実行の対象としないマスク領域に設定し、マスク領域を除いた画像データを対象として画像処理を実行する。これにより、画像上のノイズや半田印刷形状に起因する検査の誤判定を排除して安定した正しい検査結果を得ることができるものが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−164455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来画像処理方法では、半田ペーストのブリッジをマスクして検出しない様にしているために、その状態のまま最終的な製品を製作した場合にブリッジ部分で電気回路の短絡が発生して不良品となってしまう。そこで半田ペーストのブリッジを検出する必要があるが、従来の画像処理方法では電極パッド間の半田ペースト検出ができない。また電極パッド間と半田ペーストの画像輝度は電極パッド上ほどの差がないため検出が困難という問題があった。
【0005】
上記の問題点に鑑み、本発明は、半田ペーストのブリッジが検出可能な画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の半田ペースト印刷検査方法は、CCDカメラで撮像した半田ペーストが印刷される前のプリント基板の画像から白色の輝度を黒色の輝度に変換し、さらに画像全体を反転させた画像と、印刷後のプリント基板の画像を反転させた画像とを重ね合わせることで電極パッド間の半田ペーストの検出を可能とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半田ペースト印刷検査方法を用いれば、容易に印刷不良の特定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1乃至図9を用いて本発明の半田ペースト印刷検査方法の実施例について詳細に説明する。
【0009】
図1は半田ペースト印刷装置の概略を示す図である。
【0010】
図1(a)に半田ペースト印刷装置(以下、スクリーン印刷装置1と称する)の正面から見た構成とシステム構成図を示す。さらに図1(b)にスクリーン印刷装置を側面から見た構成とその制御装置のブロック線図を示す。
【0011】
本体フレームには版枠受けが設けられており、版枠受けには印刷パターン形状の開口部を設けたマスク20がセットされるように構成されている。マスク20の上方には、スキージヘッド2が配置され、スキージヘッド2にはスキージ3が装着されている。スキージヘッド2はボールネジとそれを駆動するモータとからなるスキージ移動機構6により水平方向(図1(b)の矢印方向)に移動が可能であり、スキージ3はスキージ昇降機構4によって上下方向に移動できる。マスク20の下方にはマスクに対向するように印刷対象物であるプリント基板15を載置して保持する印刷テーブル10が設けて有る。この印刷テーブル10は、プリント基板15を水平方向に移動してマスク20との位置合わせを行うXYθテーブル11と、プリント基板15を受け取りコンベア26から受け取り、かつプリント基板15をスクリーン21面に近付けるか又は接触させるためのテーブル昇降機構12とを備えている。印刷テーブル10の上面には基板受け取りコンベア26が設けられており、基板搬入コンベア25によって搬入されたプリント基板15を受け取り、印刷テーブル10上に受け渡す。また、基板受け取りコンベア26は、印刷が終了すると印刷テーブル上のプリント基板15を受け取り、基板搬出コンベア27にプリント基板15を受け渡す。基板搬出コンベア27は、受け取ったプリント基板を装置外に排出する。
【0012】
全自動スクリーン印刷装置においてはマスク20とプリント基板15の位置合わせを自動的に行う機能を備えている。すなわち、CCDカメラ13によって、マスク20とプリント基板15のそれぞれに設けられている位置合わせ用マークを撮像し、画像処理して位置ずれ量を求めて、そのずれ量を補正するようにXYθテーブル11を駆動して位置合わせを行うものである。
【0013】
なお、制御装置14内には、XYθテーブル制御部45や、その他各部の駆動用モータ等を制御する印刷制御部46や、CCDカメラ13からの画像信号を処理する画像処理部17,位置座標演算部44等を備えている。この制御装置14は、印刷機本体フレームの内部に設けてある。また、制御用データの書き換えや、印刷条件の変更等を行うためのキーボード47やマウス48からなるデータ入力部60や、印刷状況等や取込んだ認識マークをモニタするためのディスプレイ等からなる表示部61が制御装置の外側に配置してある。
【0014】
図2は制御装置14の構成概略を示す図である。
【0015】
図2において、制御装置14内部には演算処理を行うCPU16や、演算処理のデータを格納するメモリ18、及び画像処理ボードからなる画像処理部17や、各種プログラムやデータを記憶しておくハードディスク19が設けてある。このCPU16等には表示部61や、データ入力部60としてのキーボード47やマウス48が信号線に接続されている。表示部61は操作画面等の表示を行う。画像処理部17はCCDカメラ13で撮像した画像を処理する。ハードディスク19内には、スクリーン印刷装置1を制御するための印刷データ22や、スクリーン印刷装置1の各部可動部を制御する印刷プログラム23、及び、印刷プログラム23を実行させるOS24が組み込まれている。CCDカメラ13で撮像した画像は画像処理部17に取り込まれ、印刷プログラム23からの指令で画像処理が行われる。画像処理の結果は表示部61に表示される。
【0016】
図3はCCDカメラ13で撮像した印刷前のプリント基板15の模式図である。プリント基板面31には複数の電極パッド32が形成されており、この上に半田ペーストが印刷される。
【0017】
図4はCCDカメラ13で撮像した印刷後のプリント基板15の模式図である。本図では、隣り合う電極パッド32上の半田ペースト33が繋がってブリッジとなっている状態を示している。
【0018】
図5に印刷前のプリント基板15撮像画像を画像処理(フィルタリング処理後平均化処理をしてノイズを除去した状態)を施した図を示す。図に示すように略撮像画像(図3)と同様の画像が得られている。
【0019】
図6は図4の画像に画像処理(フィルタリング処理や平均化処理を行った後、輝度反転した時の図である)を施した図である。画像処理を施すことによってプリント基板面36,電極パッド37,半田印刷部38の各部における輝度に差がでる。なお、本図において39は画像を構成する画素を示している。
【0020】
図7の表40は画像処理の演算対象物の輝度値例を表にしたものである。図において、上の2段は図5に示す半田印刷前の画像処理を施した時の基板面34と電極部35の輝度値を示しており、下の3段は図6の印刷後のプリント基板に対して輝度反転処理を行った場合のプリント基板面36,電極パッド37,半田印刷部38の輝度を示したものである。
【0021】
図8は図5と図6を重ね合わせることで、電極部を消去し半田ペースト部を抽出した図である。重ね合せることで、プリント基板面41,半田ペースト42,半田ペーストのブリッジ43が明確になる。
【0022】
図9は半田ペーストブリッジ検出フロー図である。まず印刷前電極パッド画像を撮像し記憶する(ステップ50)。次に、画像重ね合わせ前の処理として、電極パッドを黒に変換する(ステップ51)と、画像全体を反転処理(A画像)し記憶する(ステップ52)。次に、印刷後の半田ペースト画像を撮像(ステップ53)し、画像全体を反転処理54(B画像)し記憶する(ステップ54)。前記処理が終了すると、画像重ね合わせ処理を行う(ステップ55)。なおここでは、画像重ね合わせ処理の例外処理(ステップ56)も合わせて行う。上記処理により半田ペースト抽出する(ステップ57)。その後、ブリッジ判定を実行する(ステップ58)。
【0023】
図9のフロー図を基に本発明の半田ペーストブリッジ検出方法について、詳細に説明する。ここで各演算対象物の輝度値は輝度値例を表した図7の表40を使用する。
【0024】
印刷前の電極パッド画像、すなわち図3の画像から電極パッド32部を白色から黒色の輝度に変換する(ステップ51)。画像処理としては電極パッドの輝度値が255なので輝度値255の画素を全て輝度値0にする。続いて画像全体を反転させると図5の画像となる(ステップ52)。画像の反転により暗い輝度のものは明るく、明るい輝度のものは暗くなる。その結果、電極パッド32は電極パッド35にあるように黒色から白色となる。半田ペースト印刷後の画像(ステップ53)、すなわち図4の画像全体を反転させると図6の画像となる(ステップ54)。そして図5の画像と図6の画像を重ね合せる(ステップ55)と図8の画像となる。
【0025】
重ね合わせの方法は、図6の画像を構成する各画素毎に対応する図5の画素を引き算する。因みに、輝度値0は黒色、輝度値255は白色であり輝度値が小さいと暗い色、輝度値が大きいと明るい色である。また画素毎の引き算でマイナス値となる場合は計算式を
255−(A−B)とする(図9の56)。ここで画像Aはステップ52で得られたもので、画像Bはステップ54で得られたものである。この処理は画像処理でラップと呼ばれている。重ね合わせの処理を実際に演算を行ってみる。プリント基板面36とプリント基板面34は同じ輝度なので値0となる。電極パッド37と電極パッド35は輝度値0−
255<0となるので255−(255−0)=0となる。これに対して半田ペースト38と電極パッド35は130−255<0となるので255−(255−130)=130となる。さらに半田ペーストのブリッジ部43を見てみると半田ペースト38とプリント基板面34は130−140<0となるので255−(140−130)=245となる。これらの結果から、図8のように半田ペースト以外は輝度値0となり半田ペーストのみを抽出することが容易となる(ステップ57)。例えば輝度値100以上のものを探せば半田ペーストの塊を見つけることができ、その面積は電極パッド32の面積の2倍となるので電極パッド面積以上のものはブリッジと判定できる(ステップ58)。従って半田ペーストのブリッジ検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】半田ペースト印刷装置の概略図である。
【図2】制御装置の構成概略図である。
【図3】半田ペースト印刷前のプリント基板の模式図である。
【図4】半田ペースト印刷後のプリント基板の模式図である。
【図5】図3に画像処理を施した図である。
【図6】図4に画像処理を施した図である。
【図7】画像処理の演算対象物の輝度値例を表示した図である。
【図8】図5と図6を重ね合わせた図である。
【図9】半田ペーストブリッジ検出フロー図である。
【符号の説明】
【0027】
1…スクリーン印刷装置、2…スキージヘッド、3…スキージ、4…スキージ昇降機構、10…印刷テーブル、11…XYθテーブル、12…テーブル昇降機構、13…CCDカメラ、14…制御装置、15…プリント基板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田ペーストを印刷した電極部分の画像をCCDカメラで撮像し、前記撮像した画像と印刷される前のプリント基板の画像とから、白色の輝度を黒色の輝度に変換し、その後画像全体を反転させた画像と印刷後のプリント基板の画像を反転させた画像を重ね合わせて、印刷された電極部分の半田ペーストが隣同士で繋がっているかどうかを検出することを特徴とする半田ペースト印刷検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−232552(P2007−232552A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54271(P2006−54271)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】