説明

受信装置および音声ガイドシステム

【課題】利用者が向いている方向にある施設のガイド情報を音声で案内する音声ガイドシステムを提供する。
【解決手段】街路の交差点に案内板4を設置する。案内板4は、各方位別のガイド情報を超音波帯域の複数チャンネルで特定方向に送信する。通行人10、11、12は、それぞれ受信装置であるガイド端末を装着している。ガイド端末は、超音波のガイド情報の到来方向に基づいて自装置(通行人)の向いている方向を検出し、複数チャンネルからその方向のチャンネルを選択して、受信・再生する。これにより、通行人が向いている方向の施設等を案内するガイド情報を自動的に再生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として歩行している利用者の向きに応じたガイド音声を再生する音声ガイドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
街路や商店街等には、付近の施設を案内する案内板が設置されている。一般的に案内板には現在地と施設とを含む地図が掲載されている。しかし、地図は、地図上の表示方向と実際の方位との関係がわかりづらく一般の通行人に理解しにくい場合が多い。また、地図は、目の不自由な人には役に立たないという問題点があった。
【0003】
そこで、特許文献1のような音声案内装置が提案された。この音声案内装置は、表示板(触知板)上の地図に表示された施設に対応する選択スイッチをオンすると、その施設への道案内が音声で行われるという装置である。
【0004】
【特許文献1】登録実用新案公報第3028958号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の装置であっても、地図上の表示方向と実際の方位との関係が判りにづらいのは従来の地図と同様であり、利用者が行きたい方向とは逆の方向の施設を選択した場合でもその施設の道順を案内してしまうという問題点があった。また、音声案内の「右」、「左」等の方向指示が何を基準にしたものかが判りにくいというおそれがある。さらに、上記特許文献1の装置では、1人が利用している間は他の人が使用することができず、多人数で同時に利用することができなかった。
【0006】
そこで、この発明は、利用者が向いている方向にどのような施設があるかを音声で案内することにより、上記課題を解決した音声ガイドシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、方位別のガイド情報が複数チャンネルで送信される放送を受信する受信装置であって、自装置が向いている方位を検出する方位検出手段と、前記複数チャンネルの放送のなかから、前記方位検出手段が検出した方位に基づいて、受信するチャンネルを選択するチャンネル選択手段と、前記チャンネル選択手段によって選択されたチャンネルのガイド情報を受信して再生する受信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、方位別のガイド情報が複数チャンネルで送信される放送を受信する受信手段と、自装置が向いている方位を検出する方位検出手段と、前記方位検出手段が検出した方位に基づき、各チャンネルのガイド情報再生音量を各々決定する音量決定手段と、各チャンネルのガイド情報を前記音量決定手段で決定された再生音量でミキシングして再生する再生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、前記受信手段は、超音波で送信される放送を受信する手段であり、前記方位検出手段は、前記超音波の放送の到来方向に基づいて自装置が向いている方位を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明発明は、請求項3に記載の受信装置と、方位別のガイド情報を記憶するガイド情報記憶手段、および、各方位のガイド情報をそれぞれ別のチャンネルの超音波に重畳して放送する送信手段を備えた送信装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、受信装置の向き、すなわち受信装置を持っている利用者の向きに合わせたガイド情報が再生されるため、利用者が自分の行きたい方向を向いているのみで(その方向に歩いているのみで)、その方向にある施設等のガイド情報が受信装置から再生され、利用者が行こうとしている方向のガイド情報を的確に再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照してこの発明の実施形態である音声ガイドシステムについて説明する。
【0013】
図1は同音声ガイドシステムの案内板4が設置されている街路の平面図である。なお、この街路は方位記号5に示されるように図面の上が北である。この街路は、東西に伸びる道路1とこの道路1に南から交差する道路2によって形成されるT字路である。T字路の交差点3の北面の壁面に案内板4が設置されている。案内板4にはスピーカ37(図3参照)が設置されており、このスピーカ37から南向きに音声ガイド用の変調音声が放音されている。
【0014】
また、この図では、この交差点3に3人の通行人10、11、12が通り掛かっている。これら通行人10、11、12は、ガイド音声を再生するガイド端末20(図2参照)を装着している。ガイド端末20は、図2に示すようなヘッドセット状の端末装置である。
【0015】
各通行人10、11、12が装着しているガイド端末20は、スピーカ37が放音する変調音声を受信し、この変調音声に基づいて自己の向きを検出するとともに、変調音声からその向きに対応したコンテンツを抽出してユーザ(通行人)の進行方向に合わせたガイド音声を再生する。進行方向に合わせたガイド音声とは、たとえば、その進行方向に、どの程度の距離にどのようなガイド対象物(施設等)があるかを案内する音声等である。
【0016】
図2は通行人が装着するガイド端末20の外観図である。ガイド端末20は、ステレオヘッドホン状の形状であり、両耳に小型スピーカ21(21L,21R)が設けられ、両耳のスピーカ21L,21Rをつなぐヘッドストラップ22上に3つのマイク23、24、25が設けられている。マイク23は左側、マイク24は右側に設けられ、マイク25は中央前部に設けられている。すなわち、マイク23、24、25を直線で結ぶとマイク25を頂点とする二等辺三角形になる。これら3つのマイク23、24、25が受信する変調信号の時間ずれに基づいて、このガイド端末20すなわちユーザがどの方向を向いているかを検出する。ガイド端末の機能的構成(図5)および検出の方式(図6)は後述する。
【0017】
図3は案内板4のブロック図である。案内板の外観は、地図や周辺施設の案内等が記載されたパネル状であり、地図等を見ることによっても周辺にある施設や道を知ることができるものである。パネルの内部には正面方向(南向き)に複数(この図では12個)のスピーカ37が横一列に設置されている。スピーカ37の設置の高さは、通行人10、11、12が装着しているガイド端末20の高さとほぼ同じ高さまたは若干高くなることが好ましい。スピーカ37の高さがガイド端末20と同じ高さのとき、ガイド端末20による方位検出の精度が最も良くなる。一方、スピーカ37をガイド端末20の高さ、すなわち通行人の身長よりも若干高く設置することにより、放音された変調音声が通行人等に遮蔽されることなく遠くまで伝搬する。したがって、スピーカ37は、地面から150〜200cm程度の高さに横一列に設置される。
【0018】
なお、直線状に複数のスピーカユニットを配列し同時に(同じ位相で)同じ音声を放音することにより、斜め方向への伝搬は干渉によって打ち消され、図1の矢印に示すように正面方向(南方向)への並行な音波伝搬を実現することができる。
【0019】
案内板4は、複数チャンネル(この実施形態では4チャンネル)のガイドコンテンツを並行して送信する送信装置の機能を有している。チャンネル1(ch1)〜チャンネル4(ch4)のそれぞれにガイド情報メモリ31、読出部32、PN信号発生器34、変調器33を備えている。各チャンネルのPN信号発生器34は、それぞれ異なる符号系列のPN信号を発生する。PN信号のチップレートは超音波領域(たとえば88.2kHz)である。
【0020】
図4に示すように、チャンネル1のガイド情報メモリ31には、案内板4の設置地点から東方向にあるガイド対象物をガイドするためのガイド情報が記憶されている。チャンネル2のガイド情報メモリ31には、案内板4の設置地点から西方向にあるガイド対象物をガイドするためのガイド情報が記憶されている。チャンネル3のガイド情報メモリ31には、案内板4の設置地点から南方向にあるガイド対象物をガイドするためのガイド情報が記憶されている。なお、図1の交差点3は三叉路(T字路)であるため、通常は北方向をガイドするチャンネル4は使用されない。チャンネル4は無変調のPN信号を出力してもよいが、動作を停止させておいてもよい。
【0021】
各チャンネルにおいて、ガイド情報で変調されたPN信号(変調音声信号)は、加算器35で加算合成される。この加算合成された変調音声信号はオーディオアンプ36で増幅されスピーカ37によって放音される。
【0022】
図4は、各チャンネルのガイド情報メモリ31に記憶されているガイド情報の例を示す図である。チャンネル1のガイド情報メモリ31には、東方向にあるガイド対象物をガイドするためのガイド情報101、102が記憶され、チャンネル2のガイド情報メモリ31には、西方向にあるガイド対象物をガイドするためのガイド情報103が記憶され、チャンネル3のガイド情報メモリ31には、南方向にあるガイド対象物をガイドするためのガイド情報104が記憶されている。
【0023】
各ガイド情報は、対象物ID、カテゴリ、距離、優先度、対象物名を含む内容からなっている。対象物IDは、このガイド対象物(施設)を識別するIDであり、この実施形態では、属するチャンネルとそのチャンネル内での順位を示す4桁の数値からなっているて。カテゴリは、そのガイド対象物の種類を表す情報であり、ガイド端末20(ユーザ)が目的のガイド情報を選択しやすくするための情報である。この実施形態では、たとえば「交通」、「ビジネス」、「観光」等のカテゴリ情報が書き込まれる。距離は、案内板4の設置地点からガイド対象物までの距離である。優先度は、ガイド対象物の重要度を示す情報であり、ガイド情報メモリ31に複数のガイド対象物が記憶されている場合、優先度の高いものから順に読み出す。対象物名は、ガイド対象物の呼び名のテキスト情報である。ガイドを合成するとき、このテキスト情報が音声に合成される。なお、この対象物名はオーディオ信号で記憶してもよい。
【0024】
なお、チャンネル1のガイド情報メモリ31には、ガイド対象物のガイド情報101、102に加えて、この案内板4のガイド放送の方位設定が書き込まれた方位制御情報100が記憶されている。方位制御情報100は、放音方位およびチャンネル1〜4のガイド方位からなっている。放音方位は、スピーカ37の放音方向を示す情報である。方位(方向)は、北を基準(0度)として時計回りに測定測定した絶対方位(度)で表される。この実施形態の場合、スピーカ37が南向きに設置され、南向きに変調音声を放音するため、放音方位は180(度)である。
【0025】
チャンネル1〜4のガイド方位は、そのチャンネルのガイド情報がどの方向のガイド対象物をガイドするかを示す方位情報であり、この方位情報も北を基準(0度)として時計回りに測定測定した絶対方位(度)で表される。この実施形態では、チャンネル1は東方向をガイドするため90(度)、チャンネル2は西方向をガイドするため270(度)、チャンネル3は南方向をガイドするための180(度)である。チャンネル4はガイド方向がないためデータ無しである。
【0026】
放音方位および各チャンネルのガイド方位は、案内板4の設置場所等に応じて適宜設定される。なお、各チャンネルのガイド方位はこの実施形態では絶対方位で記憶しているが、放音方位からの相対方位で表してもよい。
【0027】
ガイド端末20は、まずチャンネル1を受信して自己の方位を算出するため、チャンネル1の放送内容にこれらの情報を含めておくことにより、ガイド端末20の絶対方位の算出やガイドチャンネルの切り換えが容易になる。
【0028】
各チャンネルの読出部32は、ガイド情報メモリ31に記憶されている上記の情報を順次繰り返して読み出し、変調器33に入力する。
【0029】
図5は、ガイド端末20のブロック図である。ヘッドストラップに取り付けられている無指向性のマイク23、24、25が収音した信号はそれぞれ復調器41、42、43で復調される。各復調器41、42、43にはPN信号発生器40が発生したチャンネル1のPN信号が入力される。各復調器41、42、43は、このPN信号を時間軸上でシフトしてマイク23、24、25が収音した音声信号(変調信号)との同期点を検出し、同期点のタイミング情報を方位算出部44に入力する。さらに、復調器43は、マイク25が収音した音声信号に含まれるチャンネル1のデータを復調し、復調したデータ(方位制御情報)を方位算出部44に入力する。マイク25が収音した音声信号から方位制御情報を復調するのは、マイク25は、ストラップ22の中央に設けられているため、他のマイク23、24に比べて収音特性が良いと考えられるからである。
【0030】
方位算出部44は、3つのマイク23、24、25で収音したチャンネル1のPN信号の同期点の時間差に基づいて、案内板4のスピーカ37の放音方向に対するガイド端末20の向きの相対角度Δθを算出し、この相対角度Δθにスピーカ37の放音方位を加算してガイド端末20の向きを算出する。なお、スピーカ37の放音方位はチャンネル1の方位制御情報に含まれていたものである。
【0031】
図6を参照してガイド端末20の相対角度Δθの検出方法について説明する。なお、この説明においては、Δθを「−90°≦Δθ≦270°」の角度範囲で扱っているが、適宜1周期角度の360°を加減することで「0°≦Δθ≦360°」の角度範囲に変換することが可能である。
【0032】
各マイク23、24、25が収音した音声信号の同起点の時間差は、スピーカ37の放音方向軸上の距離に対応する。図6(A)はこの時間差に基づく距離を図示したものである。マイク24の同期タイミングT24とマイク23の同期タイミングT23との時間差に基づく距離をΔLとする。また、マイク24の同期タイミングT24とマイク25の同期タイミングT25との時間差に基づく距離をΔRとする。すなわち、
ΔL=(T23−T24)×V
ΔR=(T25−T24)×V
とする(Vは音速)。なお、T23<T24のときΔLは負値となり、T25<T24のときΔRは負値となる。また、マイク23,マイク24間の距離をLとする。そうすると、放音方位とガイド端末20の向きとの相対角度Δθは、
sin Δθ = ΔL/L
で表され、Δθは、
Δθ=sin-1(ΔL/L) ・・・(式1)
で算出される。
【0033】
ただし、式1は、
−90°≦Δθ≦90° ・・・(式2)
の範囲に成立する。すなわち、ガイド端末20がスピーカ37の放音方向(南)を中心とした180°の範囲を向いているときに成立する。相対角度Δθが、
90°≦Δθ≦270° ・・・(式3)
の場合、
Δθ=sin-1(ΔL/L)+180° ・・・(式4)
となる。Δθが式1の範囲にあるか式2の範囲にあるかは、ΔRとΔL/2の大小関係で判定することができる。ΔL/2は、マイク23,マイク24間の距離の中点Mの放音方向軸上の距離に相当する。
【0034】
同図(B)に示すように、「−90°<Δθ<90°」のときΔR>ΔL/2であり、
「90°<Δθ<270°」のときΔR<ΔL/2である。この判定により、同図(C)に示すようなΔLが同じで向きが異なる2つの姿勢を区別することができる。
【0035】
この相対角度Δθにスピーカ37の放音角度(放音方位)を加算することにより、ガイド端末20の絶対方位を算出することができる。
【0036】
方位算出部44が算出したガイド端末20の方位はチャンネル選択部45に入力される。チャンネル選択部45には、復調器43から各チャンネルのガイド方位情報が入力されている。チャンネル選択部45は、自装置の方位に近い方位をガイドしているチャンネルを選択する。図1の例の場合、通行人10が装着しているガイド端末20の場合、東向き(絶対方位=90°)であるため、チャンネル1が選択される。また、通行人11が装着しているガイド端末20の場合、西向き(絶対方位=270°)であるため、チャンネル2が選択される。また、通行人12が装着しているガイド端末20の場合、南南西方向(相対角度Δθ=210°)であるため、南方向に正規化され、チャンネル3が選択される。通行人12の場合のように、いずれかのチャンネルのガイド方向に正確に向いていなくても、チャンネル選択部45は、最も方位が近いいずれかチャンネルを選択する。
【0037】
チャンネル選択情報はPN信号発生器46に入力される。PN信号発生器46は入力されたチャンネルのPN信号を発生する。このPN信号は復調器47に入力される。復調器47は、マイク25が収音した音声信号を入力し、この音声信号のなかからPN信号発生器46が発生したPN信号と同期を取って、そのチャンネルのデータを復調する。復調されたデータが、このガイド端末20が向いている方向の対象物をガイドするためのガイド情報である。復調されたガイド情報はバッファ48に記憶される。
【0038】
バッファ48に記憶されているガイド情報は、文言編集部49によって読み出される。文言編集部49は、ガイド情報およびテンプレートに基づいてガイド文言を編集する。ガイド文言は、たとえば東方向の場合、「ここから、300メートル先にA駅があります。200メートル先にDビルがあります。」というような文言である。東方向のガイド情報には、対象物の名称「A駅」、距離「300」、対象物の名称「Dビル」、距離「200」等の情報が含まれており、これらの情報を「ここから、○○メートル先に○○があります。」というテンプレートに当てはめてガイド文言を編集する。このテンプレートは、テンプレートメモリ50に記憶されている。
【0039】
また、カテゴリ選択部51は、ユーザがカテゴリを選択する操作部を含み、ユーザによって選択されたカテゴリを文言編集部49に入力する。文言編集部49は、同一チャンネル(同一方向)に複数のガイド情報が存在する場合、ユーザが選択したカテゴリに一致したガイド対象物のガイド文言が先になるようにガイド文言を編集する。カテゴリが一致するものがない場合、ユーザがカテゴリを選択していない場合には、優先度の高いものから順にガイド文言を編集する。
【0040】
なお、ユーザが選択したカテゴリに一致したガイドコンテンツのみを再生するようにガイド文言を編集するようにしてもよい。また、ユーザが選択したカテゴリに一致するガイド対象物がない場合には、所望のガイド対象物がない旨の文言を再生してガイド情報を再生しないようにしてもよい。
【0041】
文言編集部49が編集したガイド文言は音声合成部52に入力される。音声合成部52は、このガイド文言をデジタル音声信号に合成する。合成方式は周知の方式を用いればよい。合成されたデジタル音声信号はD/Aコンバータ53でアナログの音声信号に変換され、オーディオアンプ54で増幅されたのち、ヘッドセットのスピーカ21からユーザ(通行人)の耳に向けて放音される。
【0042】
以上の実施形態では、ガイド端末20が向いている方向に最も近い方向のガイド対象物をガイドするチャンネルを再生するようにしているが、他の方向のチャンネルも一緒に再生し、その方向に応じて音量を制御するようにしてもよい。このようなガイド端末を図7に示す。この図において図5のガイド端末と同一構成の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
このガイド端末20では、PN信号発生器46、復調器47、バッファ48、文言編集部49、音声合成部52を案内板4が送信するチャンネル数と同数(この実施形態では4チャンネル)備えている。このチャンネル1〜4が、案内板4の送信チャンネル1〜4に対応し、各チャンネルのガイド情報を復調してガイド文言を合成する。各チャンネルが合成した音声信号(ガイド音声)は、ミキサ57に入力される。
【0044】
一方、方位算出部44が算出した方位情報および各チャンネルのガイド方位情報はミキシング情報発生部56に入力される。ミキシング情報発生部56は、ガイド端末20の向いている方向と各チャンネルのガイド方位との偏角に基づき各チャンネルの音量を決定する。音量の決定は、たとえば図8に示すような音量変化曲線に基づいて決定する。
【0045】
図8において、ガイド端末20の向きに一致した方向をガイドするガイド音声(チャンネル)の音量を最大(0dB)にし、左右に偏角が大きくなるほど音量を小さくしてゆく。同図(A)のように全方位のガイド音声を再生するようにしてもよく、同図(B)のようにガイド端末20の後方のガイド音声は再生しないようにしてもよい。
【0046】
なお、この音量変化曲線を、偏角−α〜+α(αはたとえば45度)のときのみ1となり他の偏角では0となるような窓関数にすることにより、図7のガイド端末は、図2に示した1つのチャンネルを選択するタイプのガイド端末と同じ機能になる。
【0047】
ミキシング情報発生部56は、このようにして決定した各チャンネルの音量制御情報をミキサ57に出力する。ミキサ57は、入力された音量制御情報に基づいて各チャンネルのガイド音声の音量を調整してミキシングする。ミキシングされた音声信号はD/Aコンバータ53でアナログの音声信号に変換され、オーディオアンプ54で増幅されたのちスピーカ21から放音される。
【0048】
方位検出部44、ミキシング情報発生部56は、常時動作しており、ユーザが向きを変えるとその向きの変化に応じて各チャンネルのミキシングレベルもリアルタイムに調整される。したがって、ガイド端末20を装着した通行人は、ガイド音声の音量を聴きながら向きを変えることによって、そのガイド対象物の正しい方向を見つけ出すことができる。
【0049】
なお、案内板4の送信チャンネル数は4チャンネルに限定されない。より多くてもよく、少なくてもよい。
また、1つのチャンネルで複数の方位のガイド情報を送信してもよく、1つのチャンネルで全方位のガイド情報を送信してもよい。この場合、図9に示すように、各ガイド情報にガイド対象物の方位を示す対象物方位情報を含めておき、方位算出部44が算出したガイド端末20の向きに応じて適宜ガイド情報を選択、または、各ガイド情報の音量を制御するようにすればよい。
【0050】
また、この実施形態では、PN信号の符号系列を異ならせることにより、同じ周波数帯域に複数チャンネルを重畳させているが、周波数変調等を用い、複数チャンネルをそれぞれ異なる周波数帯域に分布させてもよい。
【0051】
この実施形態の音声ガイドシステムは、街路に案内板4を設置し、通行人に道案内をするシステムとして構成されているが、本発明の音声ガイドシステムは、これ以外の用途にも適用することが可能である。たとえば、展望台等における各方向ごとの展望ガイド、遊園地等におけるアトラクションへの道案内、商業施設における売り場案内等に適用することができる。
【0052】
また、この実施形態において、変調音声(ガイド情報)を送信する装置を、地図等が表示され、通行人に対して視覚的な案内を行う案内板4としているが、案内板でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施形態である音声ガイドシステムが設置されている街路を示す図
【図2】同音声ガイドシステムのガイド端末の外観図
【図3】同音声ガイドシステムの案内板のブロック図
【図4】同音声ガイドシステムのガイド情報の構成を示す図
【図5】前記ガイド端末のブロック図
【図6】同ガイド端末における相対角度算出の方式を説明する図
【図7】前記ガイド端末の他の実施形態のブロック図
【図8】同ガイド端末の音量制御曲線を示す図
【図9】前記ガイド情報の他の実施形態を示す図
【符号の説明】
【0054】
1,2…道路
3…交差点
4…案内板
10、11、12…通行人
20…ガイド端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方位別のガイド情報が複数チャンネルで送信される放送を受信する受信装置であって、
自装置が向いている方位を検出する方位検出手段と、
前記複数チャンネルの放送のなかから、前記方位検出手段が検出した方位に基づいて、受信するチャンネルを選択するチャンネル選択手段と、
前記チャンネル選択手段によって選択されたチャンネルのガイド情報を受信して再生する受信手段と、
を備えた受信装置。
【請求項2】
方位別のガイド情報が複数チャンネルで送信される放送を受信する受信手段と、
自装置が向いている方位を検出する方位検出手段と、
前記方位検出手段が検出した方位に基づき、各チャンネルのガイド情報再生音量を各々決定する音量決定手段と、
各チャンネルのガイド情報を前記音量決定手段で決定された再生音量でミキシングして再生する再生手段と、
を備えた受信装置。
【請求項3】
前記受信手段は、超音波で送信される放送を受信する手段であり、
前記方位検出手段は、前記超音波の放送の到来方向に基づいて自装置が向いている方位を検出する請求項1または請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受信装置と、
方位別のガイド情報を記憶するガイド情報記憶手段と、各方位のガイド情報をそれぞれ別のチャンネルの超音波に重畳して放送する送信手段と、を備えた送信装置と、
を有することを特徴とする音声ガイドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−128952(P2010−128952A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305021(P2008−305021)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】