説明

含フッ素化合物、含フッ素重合体、並びに該重合体を含む組成物および膜

【課題】耐熱性に優れた重合体、さらにはアルカリ現像できる感光性組成物を得ることができる化合物を提供すること。
【解決手段】式(I)で表される化合物を提供する(式(I)中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子又は脂肪族炭化水素基を示す。R4〜R6は単結合又はアルキレン基を示す。R7は単結合又は脂肪族炭化水素基を示す。R8は脂肪族炭化水素基を示す。R9は水素原子又は脂肪族炭化水素基を示す。但しR1〜R9のいずれか一つは、フッ素原子又はフッ素原子で置換されている基である。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素化合物、含フッ素重合体、並びに該重合体を含む組成物および膜に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素を含有する重合体は、撥水性及び撥油性などの優れた特性を示すことが知られており、これまで様々な含フッ素重合体及びそのための含フッ素モノマーが研究されている。例えば特許文献1は、(ア)含フッ素エポキサイドとビニルカルボン酸とを反応させて、含フッ素ヒドロキシ不飽和エステルを製造する方法、(イ)この含フッ素ヒドロキシ不飽和エステルは容易に重合すること、及び(ウ)この重合体は繊維製品等に撥水・撥油性を付与し得ることを記載している。また特許文献1の実施例2では式(a−1)で表される化合物が合成され、その実施例1では式(a−2)で表される化合物が合成されている。
【0003】
【化1】

【0004】
なお特許文献1は、その含フッ素ヒドロキシ不飽和エステルから得られる重合体が撥水・撥油性を示すことしか開示しておらず、重合体のその他の特徴については何も開示していない。
【特許文献1】特公昭44−26286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学材料および光学製品に要求される性能の一つとして、例えば、耐熱性が挙げられる。特許文献1に記載されている重合体は、良好な撥油性を有することが示されているだけであって、耐熱性などのその他の特徴について、該文献には何ら記載がない。そこで前記重合体の耐熱性について検討したところ、当該性能に劣ることが見出された。
【0006】
本発明の目的は、高い耐熱性を有する重合体、および該重合体を形成できる新規な含フッ素化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に至った。本発明は、下記の化合物等を提供する。
【0008】
本発明は、式(I)で表される化合物を提供する。
【0009】
【化2】

【0010】
式(I)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1-13脂肪族炭化水素基を示す。
4〜R6は、それぞれ独立して、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキレン基を示す。
7は、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-15脂肪族炭化水素基を示す。
8は、フッ素原子で置換されていてもよいC1-24脂肪族炭化水素基を示す。
9は、水素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されてもいてもよいC1-24脂肪族炭化水素基、又はメチレン単位の一部が酸素原子と置き換わっているC1-24脂肪族炭化水素基を示す。
但しR1〜R9のいずれか一つは、フッ素原子又はフッ素原子で置換されている基である。
【0011】
なお本明細書において「Ca-b」とは、炭素数がa以上b以下であることを示す。また式(I)で表される化合物を「化合物(I)」と略称することがある。その他の化学式で表される化合物も同様である。
【0012】
本発明は、式(I)で表される化合物を構成モノマーとする重合体も提供する。
【0013】
上記重合体の中でも
1.式(I)で表される化合物において、R8がフッ素原子で置換されているC1-24脂肪族炭化水素基である重合体、
2.式(I)で表される化合物において、R9が水素原子である重合体、
3.式(I)で表される化合物と共重合可能な化合物との共重合体である重合体、
4.式(I)で表される化合物と共重合可能な化合物が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはそれらの混合物である重合体、
が好ましい。
【0014】
本発明は、上記重合体を含んでなる膜も提供する。
【0015】
本発明は、
1.上記重合体(A)、感光剤(B)、硬化剤(C)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物、
2.上記重合体(A)、硬化剤(C)、光酸発生剤(D)及び溶剤(H)、場合によりアミン系化合物(E)を含有する感光性組成物、
3.上記重合体(A)、重合性化合物(F)、光重合開始剤(G)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物、
4.上記重合体(A)、硬化剤(C)及び溶剤(H)を含有する硬化性組成物
も提供する。
【0016】
好ましい感光剤(B)はキノンジアジド化合物である。
好ましい硬化剤(C)はメラミン化合物である。
好ましい光酸発生剤(D)はオキシム化合物である。
好ましい重合性化合物(F)は、多官能アクリレート化合物及び多官能メタクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。より好ましい重合性化合物(F)は、5〜6官能アクリレート化合物及び5〜6官能メタクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましい光重合開始剤(G)はオキシム系化合物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の化合物(I)から、耐熱性に優れた重合体、さらにはアルカリ現像できる感光性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〈化合物(I)〉
本発明の含フッ素化合物は、式(I)で表される。
【0019】
【化3】

【0020】
式(I)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1-13脂肪族炭化水素基を示す。フッ素原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1-13脂肪族炭化水素基として、下記(1)〜(4)の基が例示できる。
【0021】
(1)アルキル基(直鎖状、分枝鎖状及び環状アルキル基を含む)
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロヘキシル基、(シクロヘキシル)メチル基。
【0022】
(2)全フッ素置換炭化水素基
全フッ素置換炭化水素基には、下記(i)〜(iii)の基が含まれる。
【0023】
(i)パーフルオロ直鎖状アルキル基
例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−ノニル基、パーフルオロ−n−デシル基。
【0024】
(ii)パーフルオロ分岐鎖状アルキル基
例えば、パーフルオロ−1−メチルエチル基、パーフルオロ−2−メチルプロピル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロ−4−メチルペンチル基、パーフルオロ−5−メチルヘキシル基、パーフルオロ−6−メチルヘプチル基、パーフルオロ−7−メチルオクチル基、パーフルオロ−8−メチルノニル基、パーフルオロ−9−メチルデシル基。
【0025】
(iii)パーフルオロ環状炭化水素基
例えばパーフルオロシクロヘキシル基などのパーフルオロ単環状アルキル基;及び1−パーフルオロアダマンチル基、2−パーフルオロアダマンチル基などのパーフルオロ橋かけ環状炭化水素基。
【0026】
(3)部分フッ素置換炭化水素基
部分フッ素置換炭化水素基には、下記(i)〜(iv)の基が含まれる。
【0027】
(i)部分フッ素置換アルキル基
例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基。
【0028】
(ii)パーフルオロ直鎖状アルキル基で置換されているアルキル基(以下「パーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基」と略称する。)
例えば(トリフルオロメチル)メチル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、(パーフルオロエチル)メチル基、2−(パーフルオロエチル)エチル基、(パーフルオロ−n−プロピル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−プロピル)エチル基、(パーフルオロ−n−ブチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ブチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ペンチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ペンチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘプチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘプチル)エチル基、(パーフルオロ−n−オクチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ノニル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ノニル)エチル基、(パーフルオロ−n−デシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−デシル)エチル基。
【0029】
(iii)パーフルオロ分岐鎖状アルキル基で置換されているアルキル基(以下「パーフルオロ分枝鎖状アルキル置換アルキル基」と略称する。)
例えば(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基、2−(パーフルオロ−1−メチルエチル)エチル基、(パーフルオロ−2−メチルプロピル)メチル基、2−(パーフルオロ−2−メチルプロピル)エチル基、(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル基、(パーフルオロ−4−メチルペンチル)メチル基、2−(パーフルオロ−4−メチルペンチル)エチル基、(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−6−メチルヘプチル)メチル基、2−(パーフルオロ−6−メチルヘプチル)エチル基、(パーフルオロ−7−メチルオクチル)メチル基、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル基、(パーフルオロ−8−メチルノニル)メチル基、2−(パーフルオロ−8−メチルノニル)エチル基、(パーフルオロ−9−メチルデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチル基。
【0030】
(iv)パーフルオロ環状炭化水素基で置換されているアルキル基
例えば(パーフルオロシクロヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロシクロヘキシル)エチル基などのパーフルオロ環状アルキル基で置換されているアルキル基;及び(1−パーフルオロアダマンチル)メチル基、2−(1−パーフルオロアダマンチル)エチル基、(2−パーフルオロアダマンチル)メチル基、2−(2−パーフルオロアダマンチル)エチル基などのパーフルオロ橋かけ環状炭化水素基で置換されているアルキル基。
【0031】
(4)水酸基置換アルキル基
例えばヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基。
【0032】
1〜R3として、水素原子、フッ素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。より好ましいR1及びR2は水素原子であり、より好ましいR3は水素原子及びメチル基である。
【0033】
式(I)中、R4〜R6は、それぞれ独立して、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキレン基を示す。フッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキレン基の例として、下記(1)〜(3)の基が挙げられる。
【0034】
(1)アルキレン基
例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基。
【0035】
(2)パーフルオロアルキレン基
例えばジフルオロメチレン基、パーフルオロエチレン基、パーフルオロ−n−プロピレン基、パーフルオロ−n−ブチレン基、パーフルオロ−n−ペンチレン基、パーフルオロ−n−へキシレン基、パーフルオロ−n−ヘプチレン基、パーフルオロ−n−オクチレン基、パーフルオロ−n−ノニレン基、パーフルオロ−n−デシレン基。
【0036】
(3)部分フッ素置換アルキレン基
例えば2,2−ジフルオロ−1,3−プロピレン基、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブチレン基、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−へキシレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1,7−ヘプチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロ−1,9−ノニレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デシレン基。
【0037】
4〜R6として、単結合、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。より好ましいR4及びR6は単結合であり、より好ましいR5はメチレン基である。
【0038】
式(I)中、R7は、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-15脂肪族炭化水素基(特にフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキレン基)を示す。R7のフッ素原子で置換されていてもよいC1-15脂肪族炭化水素基として、例えば、下記(1)〜(5)の基が挙げられる。
【0039】
(1)鎖状炭化水素基
例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、メチリデンエチレン基などのアルキレン基;及びエテニレン基、プロペニレン基などのアルケニレン基。
【0040】
(2)単環状炭化水素基
例えば1,2−シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基;及び1,2−シクロヘキセニレン基などのシクロアルケニレン基。
【0041】
(3)2価の橋かけ環状炭化水素基
2価の橋かけ環状炭化水素基として、例えば、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタン及びテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどの橋かけ環状炭化水素の2つの水素原子を結合手に置き換えた基が挙げられる。
【0042】
(4)パーフルオロアルキレン基
例えばジフルオロメチレン基、パーフルオロエチレン基、パーフルオロ−n−プロピレン基、パーフルオロ−n−ブチレン基、パーフルオロ−n−ペンチレン基、パーフルオロ−n−へキシレン基、パーフルオロ−n−ヘプチレン基、パーフルオロ−n−オクチレン基、パーフルオロ−n−ノニレン基、パーフルオロ−n−デシレン基。
【0043】
(5)部分フッ素置換アルキレン基
例えば2,2−ジフルオロ−1,3−プロピレン基、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブチレン基、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−へキシレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1,7−ヘプチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロ−1,9−ノニレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デシレン基。
【0044】
好ましいR7は、メチレン基及びエチレン基である。
【0045】
式(I)中、R8は、C1-24脂肪族炭化水素基を示す。この炭化水素基はフッ素原子で置換されていなくてもよいが、好ましくはフッ素原子で置換されている。フッ素原子で置換されているC1-24脂肪族炭化水素基としては、下記(1)〜(2)の基が挙げられる。
【0046】
(1)全フッ素置換炭化水素基
全フッ素置換炭化水素基には、下記(i)〜(iii)の基が含まれる。
【0047】
(i)パーフルオロ直鎖状アルキル基
例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−ノニル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロ−n−ウンデシル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−トリデシル基、パーフルオロ−n−テトラデシル基、パーフルオロ−n−ペンタデシル基、パーフルオロ−n−ヘキサデシル基、パーフルオロ−n−ヘプタデシル基、パーフルオロ−n−オクタデシル基、パーフルオロ−n−ノナデシル基、パーフルオロ−n−エイコシル基、パーフルオロ−n−ヘンエイコシル基。
【0048】
(ii)パーフルオロ分岐鎖状アルキル基
例えば、パーフルオロ−1−メチルエチル基、パーフルオロ−2−メチルプロピル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロ−4−メチルペンチル基、パーフルオロ−5−メチルヘキシル基、パーフルオロ−6−メチルヘプチル基、パーフルオロ−7−メチルオクチル基、パーフルオロ−8−メチルノニル基、パーフルオロ−9−メチルデシル基、パーフルオロ−10−メチルウンデシル基、パーフルオロ−11−メチルドデシル基、パーフルオロ−12−メチルトリデシル基、パーフルオロ−13−メチルテトラデシル基、パーフルオロ−14−メチルペンタデシル基、パーフルオロ−15−メチルヘキサデシル基、パーフルオロ−16−メチルヘプタデシル基、パーフルオロ−17−メチルオクタデシル基、パーフルオロ−18−メチルノナデシル基、パーフルオロ−19−メチルエイコシル基、パーフルオロ−20−メチルヘンエイコシル基。
【0049】
(iii)パーフルオロ環状炭化水素基
例えばパーフルオロシクロヘキシル基などのパーフルオロ環状アルキル基;及び1−パーフルオロアダマンチル基、2−パーフルオロアダマンチル基などのパーフルオロ橋かけ環状炭化水素基。
【0050】
(2)部分フッ素置換炭化水素基
部分フッ素置換炭化水素基には、下記(i)〜(iv)の基が含まれる。
【0051】
(i)部分フッ素置換アルキル基
例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基。
【0052】
(ii)パーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基
例えば(トリフルオロメチル)メチル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、(パーフルオロエチル)メチル基、2−(パーフルオロエチル)エチル基、(パーフルオロ−n−プロピル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−プロピル)エチル基、(パーフルオロ−n−ブチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ブチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ペンチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ペンチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘプチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘプチル)エチル基、(パーフルオロ−n−オクチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ノニル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ノニル)エチル基、(パーフルオロ−n−デシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−デシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ウンデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ウンデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ドデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ドデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−トリデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−トリデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−テトラデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−テトラデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ペンタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ペンタデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘキサデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘキサデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘプタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘプタデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−オクタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−オクタデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ノナデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ノナデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−エイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−エイコシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘンエイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘンエイコシル)エチル基。
【0053】
(iii)パーフルオロ分岐鎖状アルキル置換アルキル基
例えば(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基、2−(パーフルオロ−1−メチルエチル)エチル基、(パーフルオロ−2−メチルプロピル)メチル基、2−(パーフルオロ−2−メチルプロピル)エチル基、(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル基、(パーフルオロ−4−メチルペンチル)メチル基、2−(パーフルオロ−4−メチルペンチル)エチル基、(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−6−メチルヘプチル)メチル基、2−(パーフルオロ−6−メチルヘプチル)エチル基、(パーフルオロ−7−メチルオクチル)メチル基、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル基、(パーフルオロ−8−メチルノニル)メチル基、2−(パーフルオロ−8−メチルノニル)エチル基、(パーフルオロ−9−メチルデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチル基、(パーフルオロ−10−メチルウンデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−10−メチルウンデシル)エチル基、(パーフルオロ−11−メチルドデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−11−メチルドデシル)エチル基、(パーフルオロ−12−メチルトリデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−12−メチルトリデシル)エチル基、(パーフルオロ−13−メチルテトラデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−13−メチルテトラデシル)エチル基、(パーフルオロ−14−メチルペンタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−14−メチルペンタデシル)エチル基、(パーフルオロ−15−メチルヘキサデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−15−メチルヘキサデシル)エチル基、(パーフルオロ−16−メチルヘプタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−16−メチルヘプタデシル)エチル基、(パーフルオロ−17−メチルオクタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−17−メチルオクタデシル)エチル基、(パーフルオロ−18−メチルノナデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−18−メチルノナデシル)エチル基、(パーフルオロ−19−メチルエイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−19−メチルエイコシル)エチル基、(パーフルオロ−20−メチルヘンエイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−20−メチルヘンエイコシル)エチル基。
【0054】
(iv)パーフルオロ環状炭化水素基で置換されているアルキル基
例えば(パーフルオロシクロヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロシクロヘキシル)エチル基などのパーフルオロ環状アルキル基で置換されているアルキル基;及び(1−パーフルオロアダマンチル)メチル基、2−(1−パーフルオロアダマンチル)エチル基、(2−パーフルオロアダマンチル)メチル基、2−(2−パーフルオロアダマンチル)エチル基などのパーフルオロ橋かけ環状炭化水素基で置換されているアルキル基。
【0055】
好ましいR8は、パーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基又はパーフルオロ分岐鎖状アルキル置換アルキル基である。
【0056】
好ましいパーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基は、(トリフルオロメチル)メチル基、(パーフルオロエチル)メチル基、(パーフルオロ−n−プロピル)メチル基、(パーフルオロ−n−ブチル)メチル基、(パーフルオロ−n−ペンチル)メチル基、(パーフルオロ−n−ヘキシル)メチル基、(パーフルオロ−n−ヘプチル)メチル基、(パーフルオロ−n−オクチル)メチル基、(パーフルオロ−n−ノニル)メチル基、及び(パーフルオロ−n−デシル)メチル基である。
【0057】
好ましいパーフルオロ分岐鎖状アルキル置換アルキル基は、(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基、(パーフルオロ−2−メチルプロピル)メチル基、(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基、(パーフルオロ−4−メチルペンチル)メチル基、(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)メチル基、パーフルオロ−6−メチルヘプチル)メチル基、(パーフルオロ−7−メチルオクチル)メチル基、(パーフルオロ−8−メチルノニル)メチル基、及び(パーフルオロ−9−メチルデシル)メチル基である。これらの中で(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基{−CH2CF(CF32}、及び(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基{−CH2(CF22CF(CF32}がより好ましい。
【0058】
式(I)中、R9は、水素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されてもいてもよいC1-24脂肪族炭化水素基(特にフッ素原子で置換されてもいてもよいC1-24脂肪族炭化水素基、即ち炭素原子上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいC1-24脂肪族炭化水素基)、又はメチレン単位の一部が酸素原子と置き換わっているC1-24脂肪族炭化水素基(即ち炭素原子が酸素原子で置換されているC1-24脂肪族炭化水素基、例えばアルコキシ基で置換されている炭化水素基など)を示す。フッ素原子、水酸基、アルコキシ基などで置換されていてもよい炭化水素基として、下記(1)〜(4)の基が挙げられる。
【0059】
(1)フッ素及び水酸基を含有しない炭化水素基
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、(シクロヘキシル)メチル基などのアルキル基(直鎖状、分枝鎖状及び環状アルキル基を含む);及び1−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基などの橋かけ環状炭化水素基。
【0060】
(2)全フッ素置換炭化水素基
全フッ素置換炭化水素基には、下記(i)〜(iii)の基が含まれる。
【0061】
(i)パーフルオロ直鎖状アルキル基
例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−ノニル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロ−n−ウンデシル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−トリデシル基、パーフルオロ−n−テトラデシル基、パーフルオロ−n−ペンタデシル基、パーフルオロ−n−ヘキサデシル基、パーフルオロ−n−ヘプタデシル基、パーフルオロ−n−オクタデシル基、パーフルオロ−n−ノナデシル基、パーフルオロ−n−エイコシル基、パーフルオロ−n−ヘンエイコシル基。
【0062】
(ii)パーフルオロ分岐鎖状アルキル基
例えば、パーフルオロ−1−メチルエチル基、パーフルオロ−2−メチルプロピル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロ−4−メチルペンチル基、パーフルオロ−5−メチルヘキシル基、パーフルオロ−6−メチルヘプチル基、パーフルオロ−7−メチルオクチル基、パーフルオロ−8−メチルノニル基、パーフルオロ−9−メチルデシル基、パーフルオロ−10−メチルウンデシル基、パーフルオロ−11−メチルドデシル基、パーフルオロ−12−メチルトリデシル基、パーフルオロ−13−メチルテトラデシル基、パーフルオロ−14−メチルペンタデシル基、パーフルオロ−15−メチルヘキサデシル基、パーフルオロ−16−メチルヘプタデシル基、パーフルオロ−17−メチルオクタデシル基、パーフルオロ−18−メチルノナデシル基、パーフルオロ−19−メチルエイコシル基、パーフルオロ−20−メチルヘンエイコシル基。
【0063】
(iii)パーフルオロ環状炭化水素基
例えばパーフルオロシクロヘキシル基などのパーフルオロ環状アルキル基;及び1−パーフルオロアダマンチル基、2−パーフルオロアダマンチル基などのパーフルオロ橋かけ環状炭化水素基。
【0064】
(3)部分フッ素置換炭化水素基
部分フッ素置換炭化水素基には、下記(i)〜(iv)の基が含まれる。
【0065】
(i)部分フッ素置換アルキル基
例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基。
【0066】
(ii)パーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基
例えば(トリフルオロメチル)メチル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、(パーフルオロエチル)メチル基、2−(パーフルオロエチル)エチル基、(パーフルオロ−n−プロピル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−プロピル)エチル基、(パーフルオロ−n−ブチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ブチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ペンチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ペンチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘプチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘプチル)エチル基、(パーフルオロ−n−オクチル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ノニル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ノニル)エチル基、(パーフルオロ−n−デシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−デシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ウンデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ウンデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ドデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ドデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−トリデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−トリデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−テトラデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−テトラデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ペンタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ペンタデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘキサデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘキサデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘプタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘプタデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−オクタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−オクタデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ノナデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ノナデシル)エチル基、(パーフルオロ−n−エイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−エイコシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘンエイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−n−ヘンエイコシル)エチル基。
【0067】
(iii)パーフルオロ分岐鎖状アルキル置換アルキル基
例えば(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基、2−(パーフルオロ−1−メチルエチル)エチル基、(パーフルオロ−2−メチルプロピル)メチル基、2−(パーフルオロ−2−メチルプロピル)エチル基、(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル基、(パーフルオロ−4−メチルペンチル)メチル基、2−(パーフルオロ−4−メチルペンチル)エチル基、(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−6−メチルヘプチル)メチル基、2−(パーフルオロ−6−メチルヘプチル)エチル基、(パーフルオロ−7−メチルオクチル)メチル基、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル基、(パーフルオロ−8−メチルノニル)メチル基、2−(パーフルオロ−8−メチルノニル)エチル基、(パーフルオロ−9−メチルデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチル基、(パーフルオロ−10−メチルウンデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−10−メチルウンデシル)エチル基、(パーフルオロ−11−メチルドデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−11−メチルドデシル)エチル基、(パーフルオロ−12−メチルトリデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−12−メチルトリデシル)エチル基、(パーフルオロ−13−メチルテトラデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−13−メチルテトラデシル)エチル基、(パーフルオロ−14−メチルペンタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−14−メチルペンタデシル)エチル基、(パーフルオロ−15−メチルヘキサデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−15−メチルヘキサデシル)エチル基、(パーフルオロ−16−メチルヘプタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−16−メチルヘプタデシル)エチル基、(パーフルオロ−17−メチルオクタデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−17−メチルオクタデシル)エチル基、(パーフルオロ−18−メチルノナデシル)メチル基、2−(パーフルオロ−18−メチルノナデシル)エチル基、(パーフルオロ−19−メチルエイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−19−メチルエイコシル)エチル基、(パーフルオロ−20−メチルヘンエイコシル)メチル基、2−(パーフルオロ−20−メチルヘンエイコシル)エチル基。
【0068】
(iv)パーフルオロ環状炭化水素基で置換されているアルキル基
例えば(パーフルオロシクロヘキシル)メチル基、2−(パーフルオロシクロヘキシル)エチル基などのパーフルオロ環状アルキル基で置換されているアルキル基;及び(1−パーフルオロアダマンチル)メチル基、2−(1−パーフルオロアダマンチル)エチル基、(2−パーフルオロアダマンチル)メチル基、2−(2−パーフルオロアダマンチル)エチル基などのパーフルオロ橋かけ環状炭化水素基で置換されているアルキル基。
【0069】
(4)水酸基又はアルコキシ基で置換されているアルキル基
例えば2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、メトキシメチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基。
【0070】
好ましいR9は、水素原子、メチル基、tert−ブチル基、及び1−メチル−1−シクロヘキシル基、橋かけ環状炭化水素基、パーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基及びパーフルオロ分岐鎖状アルキル置換アルキル基である。好ましい橋かけ環状炭化水素基として、1−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基が挙げられる。好ましいパーフルオロ直鎖状アルキル置換アルキル基として、(トリフルオロメチル)メチル基、(パーフルオロエチル)メチル基、(パーフルオロプロピル)メチル基、(パーフルオロブチル)メチル基、(パーフルオロペンチル)メチル基、(パーフルオロヘキシル)メチル基、(パーフルオロヘプチル)メチル基、(パーフルオロオクチル)メチル基、(パーフルオロノニル)メチル基、及び(パーフルオロデシル)メチル基が挙げられる。好ましいパーフルオロ分岐鎖状アルキル置換アルキル基として、(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基、(パーフルオロ−2−メチルプロピル)メチル基、(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基、(パーフルオロ−4−メチルペンチル)メチル基、(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)メチル基、パーフルオロ−6−メチルヘプチル)メチル基、(パーフルオロ−7−メチルオクチル)メチル基、(パーフルオロ−8−メチルノニル)メチル基、(パーフルオロ−9−メチルデシル)メチル基、及びメトキシメチル基が挙げられる。R9が水素原子であることが特に好ましい。
【0071】
好ましい化合物(I)には、例えば、式(I−1)〜(I−30)で表される化合物が挙げられる。
【0072】
【化4】

【0073】
【化5】

【0074】
【化6】

【0075】
【化7】

【0076】
式(I−1)〜(I−30)中、R11及びR21は、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子を示す。好ましいR11及びR21は水素原子である。
式(I−1)〜(I−30)中、R31は、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基又はメチル基を示し、好ましくは水素原子又はメチル基である。
式(I−1)〜(I−30)中、R41〜R61は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、エチレン基又はn−プロピレン基を示す。好ましいR41及びR61は単結合であり、好ましいR51はメチレン基及びエチレン基である。
【0077】
式(I−1)〜(I−30)中、R91は、水素原子、tert−ブチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、(トリフルオロメチル)メチル基、(パーフルオロエチル)メチル基、(パーフルオロ−n−プロピル)メチル基、(パーフルオロ−n−ブチル)メチル基、(パーフルオロ−n−ペンチル)メチル基、(パーフルオロ−n−ヘキシル)メチル基、(パーフルオロ−n−ヘプチル)メチル基、(パーフルオロ−n−オクチル)メチル基、(パーフルオロ−n−ノニル)メチル基、(パーフルオロ−n−デシル)メチル基、(パーフルオロ−1−メチルエチル)メチル基、(パーフルオロ−2−メチルプロピル)メチル基、(パーフルオロ−3−メチルブチル)メチル基、(パーフルオロ−4−メチルペンチル)メチル基、(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)メチル基、パーフルオロ−6−メチルヘプチル)メチル基、(パーフルオロ−7−メチルオクチル)メチル基、(パーフルオロ−8−メチルノニル)メチル基、(パーフルオロ−9−メチルデシル)メチル基、又はメトキシメチル基を示す。好ましいR91は水素原子である。
【0078】
式(I−1)〜(I−30)中、aは0〜19(好ましくは0〜7)の整数である。
式(I−1)及び(I−2)中、bは0〜10(好ましくは0〜6)の整数である。
式(I−1)〜(I−30)中、cは0〜21(好ましくは1〜8)の整数である。
式(I−7)及び(I−8)中、dは1〜10(好ましくは2〜4)の整数である。
式(I−13)及び(I−14)中、eは1〜8(好ましくは2〜4)の整数である。
【0079】
式(I−1)〜(I−30)中、R41は単結合であることが好ましい。特にR11及びR12が水素原子であり、R31が水素原子又はメチル基であり、R41が単結合である(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
なお本明細書中の「(メタ)アクリル酸エステル」との表記は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。また「(メタ)アクリル酸」等の表記も同様である。
【0080】
より好ましい化合物(I)として、第1群〜第48群の化学式で表されるメタクリル酸エステル(R3=メチル基)が挙げられる。また第1群〜第48群の化学式でR3が水素原子であるアクリル酸エステルも、より好ましい化合物(I)である。
【0081】
【化8】

【0082】
【化9】

【0083】
【化10】

【0084】
【化11】

【0085】
【化12】

【0086】
【化13】

【0087】
【化14】

【0088】
【化15】

【0089】
【化16】

【0090】
【化17】

【0091】
【化18】

【0092】
【化19】

【0093】
【化20】

【0094】
【化21】

【0095】
【化22】

【0096】
【化23】

【0097】
【化24】

【0098】
【化25】

【0099】
【化26】

【0100】
【化27】

【0101】
【化28】

【0102】
【化29】

【0103】
【化30】

【0104】
【化31】

【0105】
【化32】

【0106】
【化33】

【0107】
【化34】

【0108】
【化35】

【0109】
【化36】

【0110】
【化37】

【0111】
【化38】

【0112】
【化39】

【0113】
【化40】

【0114】
【化41】

【0115】
【化42】

【0116】
【化43】

【0117】
【化44】

【0118】
【化45】

【0119】
【化46】

【0120】
【化47】

【0121】
【化48】

【0122】
【化49】

【0123】
【化50】

【0124】
【化51】

【0125】
【化52】

【0126】
【化53】

【0127】
【化54】

【0128】
【化55】

【0129】
化合物(I)は、例えば以下のようにして製造できる。まず式(a)で表される化合物(水酸基を有する不飽和エステル)で、式(b)で表される化合物(ジカルボン酸無水物)又は式(c)で表される化合物(ジカルボン酸)をエステル化することによって、化合物(I)のうちR9が水素原子である化合物(カルボン酸)を製造できる。さらに、この化合物(I)のCOOR9基(R9=H)をエステル化することによって、種々の化合物(I)を製造できる。
【0130】
【化56】

【0131】
式(a)〜(c)中、R1〜R8は、式(I)のものと同じである。
【0132】
化合物(a)は、好ましくは(メタ)アクリル酸3−パーフルオロアルキル−2−ヒドロキシプロピルであり、より好ましくはメタクリル酸3−パーフルオロアルキル−2−ヒドロキシプロピルである。(メタ)アクリル酸3−パーフルオロアルキル−2−ヒドロキシプロピルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロエチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロ−1−メチルエチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル、及び(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられ、これらは、いずれもダイキン化成品販売(株)から入手できる。
【0133】
化合物(b)としては、例えば、無水コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、パーフルオログルタル酸無水物、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、2,3−ノルボルナンジカルボン酸無水物、2−ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物などが挙げられる。
【0134】
化合物(c)には、飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、橋かけ環状炭化水素のジカルボン酸、含フッ素飽和脂肪族ジカルボン酸が含まれる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、グルタル酸、3−メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸などが挙げられる。橋かけ環状炭化水素のジカルボン酸としては、例えば2,3−ノルボルナンジカルボン酸、2−ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。含フッ素飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えばパーフルオロコハク酸、パーフルオログルタル酸、パーフルオロアジピン酸、パーフルオロスベリン酸、パーフルオロアゼライン酸などが挙げられる。前記含フッ素飽和脂肪族ジカルボン酸は、例えばダイキン化成品販売(株)から入手できる。
【0135】
化合物(a)と、化合物(b)又は化合物(c)とのエステル化反応は、有機合成分野で知られている通常の条件で行うことができる。
例えば、化合物(a)と化合物(b)とのエステル化反応は、4−ジメチルアミノピリジン及びピリジンの共存下で還流させながら撹拌して行われる。この反応混合物は、例えば、トルエン及び塩酸を用いる分液操作によって精製できる。
例えば、化合物(a)と化合物(c)との反応は、濃硫酸、硫酸マグネシウム及びクロロホルムの共存下で還流させながら攪拌して行われる。この反応混合物は、例えば、クロロホルムと飽和炭酸ナトリウム水溶液を用いる分液操作によって精製できる。
【0136】
〈重合体〉
本発明の化合物(I)から得られる重合体は、高い耐熱性を有し、さらに低屈折率および高い透明性を示す。
【0137】
重合体は、化合物(I)に由来する式(II)で表される構成単位を有する。
【0138】
【化57】

【0139】
式(II)中のR1〜R9の説明や好ましい具体例は、式(I)のものと同じである。
【0140】
重合体は、1種の化合物(I)の単独重合体であることが好ましいが、2種以上の化合物(I)から合成される共重合体でもよく、例えば、R9が水素原子である化合物(I)と、R9が水素原子以外である化合物(I)との共重合体であってもよい。また重合体は、1種又はそれ以上の化合物(I)(特にR9が水素原子である化合物(I))と、1種又はそれ以上の他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとして、例えば、化合物(I)以外の(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0141】
重合体は、例えばラジカル重合開始剤又はラジカル開始源を用いる公知の重合法(例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合又は乳化重合など)で製造できる。反応様式は、回分式、半連続式又は連続式のいずれでもよい。反応容器に特に限定は無く、例えばガラス製容器又はステンレススチール製容器などを使用できる。
【0142】
ラジカル重合開始剤に特に限定は無いが、例えばアゾ系化合物(例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)など)、過酸化物系化合物、レドックス系化合物などを使用できる。重合温度は、使用するラジカル重合開始剤などに適した温度が採用される。
【0143】
重合用の溶媒又は分散媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;トルエンなどの芳香族系溶剤;シクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。また水、フロン系溶剤、エーテル類、環状エーテル類、フルオロカーボン類、パーフルオロエーテル類なども使用できる。これらの溶媒又は分散媒は、単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
【0144】
重合体の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で、通常2,000〜100,000、好ましくは4,000〜15,000である。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は特に限定されず、例えば、2〜60程度の幅広い範囲から選択できる。
【0145】
〈膜〉
次に本発明の重合体の用途について記述する。本発明の重合体の用途は、基本的にコーティング用途である。通常、本発明の重合体を有機溶媒に溶解させたコーティング材料を用いて、成膜する。詳しくは、本発明の重合体を有機溶剤に溶解させてコーティング材料を形成し、該コーティング材料を支持体上に塗布し、有機溶剤を除去することで、本発明の膜を形成できる。
【0146】
使用する有機溶媒としては、重合体が可溶であれば特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒;フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのフッ素系溶剤;塗布性を高める目的で高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒やパラフィン系溶媒;などが使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0147】
本発明の重合体をガラス、プラスチック、液晶オパネル、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスパネルなどの表面に極薄膜でコーティングして、反射防止膜を形成できる。この反射防止膜は、単層または他の屈折率を有する薄膜と組合せて使用することもできる。
【0148】
〈組成物〉
本発明は、上記の含フッ素重合体を含有する組成物も提供する。本発明の組成物は、フォトリソグラフィによる現像に用いる感光性組成物、および現像に用いない硬化性組成物(非感光性組成物)に分類される。本発明のいずれの組成物も、上記重合体を含有し、高い耐熱性、低い低屈折率および高い透明性を示す膜を形成できる。
【0149】
含フッ素重合体は、フッ素原子を含有しているため、通常のポリマーとは異なる物性(例えば、高撥水性、高撥油性、低汚染性、高耐熱性、低屈折率、高透明性など)が期待できる。そのため含フッ素重合体をフォトリソグラフィに利用できれば、新たな特徴を有する成形体を提供可能となる。しかしアルカリ現像が可能な含フッ素重合体はほとんどない。そこで本発明の目的の1つは、アルカリ現像が可能な新規の含フッ素重合体を含む感光性組成物を提供することにある。
【0150】
本発明の感光性組成物は、例えば、レジストを形成するために用いることができる。本発明のレジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化する高分子化合物および酸発生剤を含有するポジ型レジスト組成物が最も好ましい。特に本発明のレジスト組成物は、最近の半導体の微細化に対応した193nmのArFエキシマレーザーや157nmに代表される真空紫外領域のF2レーザー用のポジ型レジスト組成物として好適である。使用できる酸不安定基(例えばt−Bu基など)を式(II)のR9に導入することで、その目的が達成される。
【0151】
ポジ型レジスト組成物に用いられる光酸発生剤については特に制限はなく、化学増幅型レジストの酸発生剤として用いられるものの中から、任意のものを選択して使用することができる。このような酸発生剤の例としては、ビススルホニルジアゾメタン類、ニトロベンジル誘導体類、オニウム塩類、ハロゲン含有トリアジン化合物類、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物類、その他のオキシムスルホネート化合物などが挙げられる。これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0152】
従来のフォトレジスト技術を使用して、レジスト組成物からレジストパターンを形成できる。例えば、まずシリコンウエハのような支持体上に、レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに露光装置などにより、エキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この技術でマスクパターンに忠実なパターンを得ることができる。
【0153】
前記のレジスト組成物は、さらに所望により、混和性のある添加物、例えば付加的樹脂、クエンチャー、溶解性抑止剤、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤などの種々の添加剤を含有することができる。
【0154】
以下、本発明の好ましい組成物をより詳しく説明する。本発明の好ましい組成物には、
1.本発明の重合体(A)、感光剤(B)、硬化剤(C)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物(以下「感光性組成物1」と呼ぶ場合がある)、
2.本発明の重合体(A)、硬化剤(C)、光酸発生剤(D)及び溶剤(H)、場合によりアミン系化合物(E)を含有する感光性組成物(以下「感光性組成物2」と呼ぶ場合がある)、
3.本発明の重合体(A)、重合性化合物(F)、光重合開始剤(G)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物(以下「感光性組成物3」と呼ぶ場合がある)、
4.本発明の重合体(A)、硬化剤(C)及び溶剤(H)、及び場合によりアミン系化合物(E)を含有する硬化性組成物(以下「硬化性組成物4」と呼ぶ場合がある)
が含まれる。
【0155】
本発明の感光性組成物1〜3および硬化性組成物4は、通常の組成物とは異なる物性(例えば、高撥水性、高撥油性、低汚染性、高耐熱性、低屈折率、高透明性など)を発揮できる。また本発明の感光性組成物1〜3および硬化性組成物4から得られる塗膜は低屈折率及び高い透明性を示す。さらに本発明の感光性組成物1〜3は、含フッ素重合体を含むにもかかわらず、非常に優れたアルカリ現像性を示す。
【0156】
本発明の組成物に含まれる重合体(A)は、上述したものである。以下では、本発明の感光性組成物1〜3および硬化性組成物4に含まれる重合体(A)以外の各成分を、順に説明する。
【0157】
〈感光性組成物1〉
本発明の感光性組成物1は、重合体(A)、感光剤(B)、硬化剤(C)及び溶剤(H)を含有する。
【0158】
〈感光剤(B)〉
感光剤(B)は、感光性組成物の分野で公知のものを使用できる。代表的な感光剤(B)は、キノンジアジド化合物(特にナフトキノンジアジド化合物)である。好ましいナフトキノンジアジド化合物は、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物(例えばo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸など)と、多価フェノール(好ましくはフェノール性水酸基を3つ以上有する多価フェノール)とのエステルである。
【0159】
多価フェノールとしては、例えば、(i)1つ又はそれ以上の水酸基を有するベンゼン環(以下「水酸基含有ベンゼン環」と略称する。)がカルボニル基を介して結合されている化合物、(ii)水酸基含有ベンゼン環がアルキレン基(好ましくはメチレン基)を介して結合されている化合物、及び(iii)ジヒドロピラン環と第一の水素基含有ベンゼン環とが縮環し、さらにこの縮環のジヒドロピラン環部分に第2の水素基含有ベンゼン環が結合している化合物が挙げられる。
【0160】
上記(i)の多価フェノールとして、例えばジ、トリ、テトラまたはペンタヒドロキシベンゾフェノン(好ましくは2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなど)が挙げられる。
【0161】
上記(ii)の多価フェノールとして、例えば、式(101)〜(107)で表される化合物が挙げられる。
【0162】
【化58】

【0163】
上記(iii)の多価フェノールとして、例えば式(108)〜(111)で表される化合物が挙げられる。
【0164】
【化59】

【0165】
多価フェノールとして、上記(iii)に分類したものが好ましく、それらの中でも化合物(110)がより好ましい。
【0166】
〈硬化剤(C)〉
硬化剤(C)としては、熱硬化作用を有する化合物を用いることができ、例えば、メラミン化合物が挙げられる。好ましいメラミン化合物は、例えば、式(III)で表される。
【0167】
【化60】

【0168】
式(III)中、R300〜R305は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状C1-12アルキル基又は分岐鎖状C3-10アルキル基を示す。但し、R300〜R305のうち水素原子の合計は、4個以下である。
【0169】
直鎖状C1-12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの直鎖状C1-6アルキル基が挙げられる。
【0170】
分岐鎖状C3-10アルキル基としては、例えば、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチル−n−ヘキシル基などが挙げられ、好ましくはイソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの分岐鎖状C3-5アルキル基が挙げられる。
【0171】
式(III)で表されるメラミン化合物としては、好ましくは、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミンなどが挙げられる。ヘキサメトキシメチルメラミン(ヘキサメトキシメチロールメラミンともいう)及びヘキサエトキシメチルメラミンがより好ましい。
【0172】
また硬化剤(C)は、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラエトキシメチルベンゾグアナミン、テトラプロポキシメチルベンゾグアナミン、テトラブトキシメチルベンゾグアナミンなどのグアナミン化合物、及び式(IV−1)〜式(IV−6)で表される化合物などであってもよい。
【0173】
【化61】

【0174】
〈重合体(A)、感光剤(B)及び硬化剤(C)の含有量〉
感光性組成物1中の重合体(A)、感光剤(B)及び硬化剤(C)の含有量(重合体(A)、感光剤(B)及び硬化剤(C)の合計100質量部に対する量)は、それぞれ以下の通りである。
重合体(A):好ましくは30〜70質量部程度、より好ましくは40〜60質量部程度。
感光剤(B):好ましくは10〜60質量部程度、より好ましくは20〜50質量部程度。
硬化剤(C):好ましくは5〜30質量部程度、より好ましくは10〜20質量部程度。
【0175】
重合体(A)の量が上記範囲内であれば、現像液に対する溶解度が充分であり、また現像工程での膜減りを生じにくく、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量が少なくなり好ましい。
感光剤(B)の量を上記範囲内にすることで、パターン形成時の現像工程での膜減りを小さくでき、またフォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光時間を短くできる。
硬化剤(C)の量が上記範囲内であれば、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量を少なくできる。また現像後のパターンの形状が良好であり、該パターンを加熱して硬化させた後のパターンの機械的強度も充分である。
【0176】
〈感光性組成物2〉
本発明の感光性組成物2は、重合体(A)、硬化剤(C)、光酸発生剤(D)及び溶剤(H)、場合によりアミン系化合物(E)を含有する。硬化剤(C)の説明は、上述した通りである。
【0177】
〈光酸発生剤(D)〉
光酸発生剤(D)としては、公知の種々の光酸発生剤、例えば、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物(ハロアルキル−s−トリアジン化合物など)、スルホン酸エステル化合物、ジスルホン化合物、ジアゾメタンスルホニル化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、オキシム系化合物などが使用できる。好ましい光酸発生剤(D)は、オキシム系化合物である。
【0178】
オキシム系化合物としては、例えば、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(カンファースルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−トリフルオロメタンスルホニルオキシイミノ−4−メトキシベンジルシアニド、α−(1−ヘキサンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−ナフタレンスルホニルオキシイミノ−4−メトキシベンジルシアニド、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−N−ジエチルアニリルシアニド、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−3,4−ジメトキシベンジルシアニド、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−チエニルシアニドなどのシアニド類;α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル、(5−トシルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−カンファースルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−n−プロピルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−n−オクチルオキシイミノ−5−カンファースルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリルなどのアセトニトリル類が挙げられる。
【0179】
〈重合体(A)、硬化剤(C)及び光酸発生剤(D)の含有量〉
感光性組成物2中の重合体(A)、硬化剤(C)及び光酸発生剤(D)の含有量(重合体(A)、硬化剤(C)及び光酸発生剤(D)の合計100質量部に対する量)は、それぞれ以下の通りである。
重合体(A)の含有量:好ましくは60〜95質量部程度、より好ましくは70〜90質量部程度。
硬化剤(C)の含有量:好ましくは1〜35質量部程度、より好ましくは5〜30質量部程度。
光酸発生剤(D)の含有量:好ましくは1〜15質量部程度、より好ましくは3〜10質量部程度。
【0180】
重合体(A)の量が前記範囲内であれば、現像液に対する溶解度が充分であり、また現像工程での膜減りが生じにくく、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量を少なくできる。
硬化剤(C)の量が前記範囲であれば、フォトリソグラフィによって本発明の感光性組成物2からパターンを形成する際に、露光量を少なくできる。また現像後のパターン形状が良好であり、該パターンを加熱して硬化させた後のパターンの機械的強度も充分である。
光酸発生剤(D)の含有量が前記範囲であれば、感光性組成物2を光硬化した後の強度及び表面平滑性を良好にできる。
【0181】
〈アミン系化合物(E)〉
本発明の感光性組成物2は、さらにアミン系化合物(E)を含有していてもよい。アミン系化合物を用いることにより、フォトリソグラフィを行うときの露光量を、感光性組成物を長期間保存する前後で大きく変化しないようにすることができる。またアミン系化合物を用いることにより、露光後に放置したときの光酸発生剤(D)の失活によるパターンの寸法変化を低減できる。
【0182】
前者の露光量安定化効果を発揮するのに有用なアミン系化合物としては、例えば、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−2−アミノ−1−ブタノールなどのアミノアルコール類;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンなどのジアザビシクロ構造を有する化合物などが含まれる。
【0183】
後者の寸法安定化効果を発揮するのに有用なアミン系化合物としては、4−ニトロアニリン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチル−ジフェニルメタン、8−キノリノール、ベンズイミダゾール、2−ヒドロキシベンズイミダゾール、2−ヒドロキシキナゾリン、4−メトキシベンジリデン−4’−n−ブチルアニリン、サリチル酸アミド、サリチルアニリド、1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレン、1,2−ジアジン(ピリダジン)、ピペリジン、p−アミノ−安息香酸、N−アセチルエチレンジアミン、2−メチル−6−ニトロアニリン、5−アミノ−2−メチルフェノール、4−n−ブトキシアニリン、3−エトキシ−n−プロピルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、4−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、モノピリジン類(イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、2−ジメチルアミノピリジン、2−メチルアミノピリジン、1,6−ジメチルピリジンなど)、ビピリジン類(ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリルアミンなど)、アンモニウム塩類(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなど)などを例示できる。
【0184】
アミン系化合物(E)を使用する場合、その含有量は、光酸発生剤(D)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部程度、より好ましくは1〜5質量部程度である
【0185】
〈感光性組成物3〉
本発明の感光性組成物3は、重合体(A)、重合性化合物(F)、光重合開始剤(G)及び溶剤(H)を含有する。
【0186】
〈重合性化合物(F)〉
重合性化合物(F)として、ビニル基を有するビニル化合物(例えばN−ビニルピロリドン)なども使用できるが、(メタ)アクリロイル基を有する単官能又は多官能(メタ)アクリレート化合物を使用することが好ましい。好ましくは2以上(より好ましくは3以上)の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を使用することが推奨される。なお重合性化合物(F)は、1種のみを使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0187】
単官能(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のエーテル化アルキレングリコール単位を有する(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の長鎖アルキル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート;エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0188】
2官能(メタ)アクリレート化合物としては、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキルジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等の分岐鎖状アルキルジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAのビス[(メタ)アクリロイロキシエチル]エーテル;エトキシ化ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0189】
3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の分岐鎖状アルキルトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルコキシ化分岐鎖状アルキルトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物などのペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類と酸無水物との反応物;カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物などのカプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物などが挙げられる。
【0190】
好ましい多官能(メタ)アクリレート化合物は、4官能(メタ)アクリレート化合物(例えばトリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、5官能(メタ)アクリレート化合物(例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;特にトリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート)、6官能(メタ)アクリレート化合物(例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;特にジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)、及び7官能以上の(メタ)アクリレート化合物(例えばトリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート)である。これらの中で、5〜6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0191】
〈光重合開始剤(G)〉
光重合開始剤(G)としては、例えば、オキシム系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びアシルフォスフィンオキサイド系化合物(好ましくはオキシム系化合物)が挙げられる(以下、これらを第1の光重合開始剤という)。光重合開始剤は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせてもよい。
【0192】
オキシム系化合物の具体例としては、O−エトキシカルボニル−α−オキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、式(V−1)で表される化合物、及び式(V−2)で表される化合物などが挙げられる。なお化合物(V−1)は、チバ・ジャパン(株)から「IRGACURE OXE01」の商品名で市販されている。
【0193】
【化62】

【0194】
アセトフェノン系化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(2−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(3−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2,3−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2、4−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(3−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(3−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(3−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−メチル−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−メチル−4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(2−ブロモ−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0195】
ビイミダゾール系化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば特開平6−75372号公報及び特開平6−75373号公報などを参照)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば特公昭48−38403号公報及び特開昭62−174204号公報などを参照)、及び4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報など参照。)などが挙げられる。
【0196】
トリアジン系化合物には、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジンなどが含まれる。
【0197】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物は、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどである。
【0198】
上記例示の光重合開始剤(G)(オキシム系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物などの第1の光重合開始剤)は、第2の光重合開始剤の1種又は2種以上と併用しても良い。第2の光重合開始剤には、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが含まれる。
【0199】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0200】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどである。
【0201】
チオキサントン系化合物には、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが含まれる。
【0202】
アントラセン系化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが例示できる。
【0203】
第2の光重合開始剤には、前記例示の化合物の他、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル(=「1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジオン」)、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノンなどが挙げられる。
【0204】
また第2の光重合開始剤として、特表2002−544205号公報に記載されているような連鎖移動を起こし得る基を有する化合物を使用することができる。このような化合物として、例えば、式(VI−1)〜式(VI−6)で表される化合物などが挙げられる。
【0205】
【化63】

【0206】
〈重合体(A)、重合性化合物(F)及び光重合開始剤(G)の含有量〉
感光性組成物3中の重合体(A)、重合性化合物(F)及び光重合開始剤(G)の含有量(重合体(A)、重合性化合物(F)及び光重合開始剤(G)の合計100質量部に対する量)は、それぞれ以下の通りである。
重合体(A):好ましくは15〜80質量部程度、より好ましくは50〜80質量部程度。
重合性化合物(F):好ましくは15〜80質量部程度、より好ましくは15〜35質量部程度。
光重合開始剤(G):好ましくは1〜15質量部程度、より好ましくは3〜10質量部程度。
なお第1の光重合開始剤を第2の光重合開始剤と組み合わせるときは、光重合開始剤(G)の前記含有量は、第1及び第2の光重合開始剤の合計量を意味する。
【0207】
重合体(A)の量が上記範囲内であれば、現像液に対する溶解度が充分であり、また現像工程での膜減りを生じにくく、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量を少なくできる。
重合性化合物(F)の量を上記範囲内にすることで、感光性組成物の感度、並びに塗膜およびパターンの強度、平滑性及び機械強度などが向上する傾向がある。
光重合開始剤(G)の量が上記範囲内であれば、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量を少なくできる。また現像後のパターンの形状が良好であり、該パターンを加熱して硬化させた後のパターンの機械的強度も充分である。
【0208】
〈硬化性組成物4〉
本発明の硬化性組成物4は、重合体(A)、硬化剤(C)及び溶剤(H)、及び場合によりアミン系化合物(E)を含有する。硬化剤(C)およびアミン系化合物(E)の説明は、上述した通りである。なお本発明の硬化性組成物は、実質的に、感光剤、光重合開始剤および光酸発生剤を含有しない。
【0209】
〈重合体(A)および硬化剤(C)の含有量〉
硬化性組成物4中の重合体(A)、硬化剤(C)及び光酸発生剤(D)の含有量(重合体(A)及び硬化剤(C)の合計100質量部に対する量)は、それぞれ以下の通りである。
重合体(A)の含有量:好ましくは70〜98質量部程度、より好ましくは80〜95質量部程度。
硬化剤(B)の含有量:好ましくは2〜30質量部程度、より好ましくは5〜20質量部程度。
【0210】
〈感光性組成物1〜3および硬化性組成物4〉
〈溶剤(H)〉
感光性組成物1〜3および硬化性組成物4の各成分は、溶剤(H)に溶解していてもよく、分散していてもよい。溶剤(H)は、各成分の溶解度や、組成物の塗布性などに応じて、適宜選択すればよい。
【0211】
溶剤(H)としては、例えば、エチレングリコール類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルなど)、プロピレングリコール類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ケトン類(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(別名ジアセトンアルコール)、シクロヘキサノンなど)、カルボン酸エステル類(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸エチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチルなど)などが挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上を組合せて用いてもよい。
【0212】
溶剤(H)の含有量は、組成物全体に対して、例えば40〜95質量%程度、好ましくは70〜90質量%程度である。溶剤量が上記範囲であれば、組成物は良好な塗布性を示し、均一な塗膜が形成される。
【0213】
〈他の添加剤(J)〉
本発明の感光性組成物1〜3および硬化性組成物4は、さらに必要に応じて、他の添加剤(J)(例えば界面活性剤、及び重合体(A)以外の他の重合体成分など)を含有していても良い。
【0214】
界面活性剤には、シリコーン系界面活性剤[例えば、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同29SHPA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(以上はトーレシリコーン(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(以上は信越シリコーン製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上はジーイー東芝シリコーン(株)製)などのシロキサン結合を有する界面活性剤など];フッ素系界面活性剤[例えば、フロラードFC430、同FC431(以上は住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(以上は大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上は新秋田化成(株)製)、サーフロンS381、同S382、同SC101、同SC105(以上は旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(以上はBM Chemie社製)などのフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤など];フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤[メガファックR08、同BL20、同F475、同F477、同F443(以上は大日本インキ化学工業(株)製)などのシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤など]が含まれる。これらの界面活性剤は、単独で又は2種類以上を組合せて使用できる。
【0215】
界面活性剤を用いる場合、その使用量は、感光性組成物全体を100質量%としたとき、例えば0.0005質量%〜0.6質量%程度、好ましくは0.001質量%〜0.5質量%程度である。界面活性剤の使用量が前記範囲内であると、感光性組成物の塗布で、平坦な塗膜が得られやすい。
【0216】
他の重合体成分としては、例えば、カルボキシル基を有し、かつアルカリ可溶性の重合体が用いられる。このようなカルボキシル基を有するアルカリ可溶性の共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体等を挙げることができる。これらの他の重合体成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0217】
本発明の感光性組成物1〜3および硬化性組成物4は、本発明の効果を損なわない程度で、さらに別の添加剤又は添加成分(例えばエポキシ系樹脂、オキセタン化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤など)を含んでいてもよい。加えて本発明の組成物は、用途に応じた機能性物質を含有していてもよい。例えばカラーフィルターなどを製造する場合には、本発明の組成物は、色素や顔料などを含有していていもよい。
【0218】
本発明の感光性組成物1〜3は幅広い分野で用いることができ、光造形品及びレジスト膜として、例えば、半導体素子、光学素子、プリント基板、印刷版、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの製造に利用できる。さらに現像(パターニングなど)する場合に限られず、現像しない用途(例えば、保護膜、平坦化膜など)にも使用できる。
【0219】
本発明の硬化性組成物4は幅広い分野で用いることができ、例えば、保護膜、平坦化膜として、半導体素子、光学素子、プリント基板、印刷版、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの製造に利用できる。
【0220】
以下、本発明の感光性組成物1〜3をフォトリソグラフィによってパターニングする場合、および本発明の硬化性組成物4から膜を形成する場合を、順に説明する。
【0221】
〈感光性組成物1〜3のフォトリソグラフィによるパターニング〉
本発明の感光性組成物1〜3は、溶剤中で各成分を混合した後、通常、ポアサイズが0.2μm以下程度のフィルタでろ過して、調製することが好ましい。ろ過することで、感光性組成物を塗布する際の均一性が向上する。
【0222】
本発明の感光性組成物1〜3からフォトリソグラフィによってパターンを形成する場合、例えば、以下の工程によって処理できる。
(1)感光性組成物を支持体上に塗布する工程
(2)溶剤を除去する工程
(3)塗布により得られた塗膜に、目的パターンに対応するマスクパターンを介して露光する工程
(4)現像工程
(5)得られたパターンに紫外線を照射する工程
(6)パターンを加熱する工程
【0223】
感光性組成物を塗布するにあたっては、予め、感光性組成物の各成分を溶剤中で混合した後、ポアサイズが0.2μm以下程度のフィルタでろ過しておくことが望ましい。ろ過することで、感光性組成物を塗布する際の均一性が向上する。
【0224】
感光性組成物が塗布される支持体としては、用途に応じて適宜設定でき、例えばCCDやCMOSなどの固体結合素子などイメージセンサが形成されたシリコンウエハ、透明なガラス板、石英ウエハなどであってもよい。
【0225】
支持体上に感光性組成物の塗膜を形成する方法は特に限定されず、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ディップ法、流延塗布法、ロール塗布法、スリット&スピンコート法、スリットコート法などの通常の塗布方法を適宜採用できる。
【0226】
感光性組成物を支持体上に塗布した後、溶剤などの揮発成分を加熱(例えば70〜120℃の加熱)などによって除去することで、塗膜を形成できる。
【0227】
塗膜を露光する際には、目的のパターンに対応するマスクパターンを介して、塗膜に光線を照射する。光線としては、例えば、g線、h線、i線などを用いることができ、これらにはg線ステッパー、h線ステッパー、i線ステッパーなどの露光機を利用すればよい。照射領域における光線の照射量は、重合体(A)及び他の成分の種類及び含有量などによって適宜選択される。また本発明の感光性組成物1及び2を使用する場合、こうして作製した塗膜を加熱してもよい。加熱することで、硬化剤(C)の作用によって塗膜が硬化し、塗膜の機械的強度が向上する。加熱する場合の加熱温度は、例えば80〜150℃程度である。
【0228】
現像は、塗膜が設けられた支持体を通常の現像液に接触することで行えばよい。現像液としては特に制限は無いが、例えばアルカリ水溶液(好ましくはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)などが用いられる。現像液には、必要に応じて界面活性剤を混合してもよい。現像液を振り切り、次いで水洗して現像液を除去することにより、パターンを形成する。なお現像液を振り切った後、リンス液でリンスをしてから、水洗する場合もある。このリンスで現像時に支持体上に残った感光性組成物の残渣を取り除くことができる。こうして塗膜からパターンが形成される。
【0229】
得られたパターンには紫外線が照射される。紫外線照射でパターン中に残存する感光成分が分解される。
【0230】
パターンへの紫外線照射後にパターンは加熱される。この加熱によってパターンの機械的強度を向上させることができる。この加熱温度は、通常、100〜220℃程度である。加熱温度が前記範囲内にあると、硬化が充分に進行する。
【0231】
なお本発明の感光性組成物1〜3は、支持体に塗布した後、パターニングすることなく硬化してもよい。このようにして得られる塗膜は、塗布面の段差を解消する特性(平坦化特性)に優れており、平坦化膜や保護膜として使用できる。
【0232】
〈硬化性組成物4からの膜の形成〉
本発明の硬化性組成物4は、支持体に塗布した後、熱硬化することによって保護膜などを形成できる。
【0233】
硬化性組成物を塗布するにあたっては、予め、硬化性組成物の各成分を溶剤中で混合した後、ポアサイズが0.2μm以下程度のフィルタでろ過しておくことが望ましい。ろ過することで、硬化性組成物を塗布する際の均一性が向上する。
【0234】
硬化性組成物が塗布される支持体としては、用途に応じて適宜設定できる。また支持体上に硬化性組成物の塗膜を形成する方法は特に限定されない。支持体および塗膜形成法の例は、感光性組成物で挙げたものと同じである。
【0235】
本発明の硬化性組成物4を支持体上に塗布した後、溶剤などの揮発成分を加熱(例えば70〜120℃の加熱)などによって除去することで、塗膜を形成できる。
【実施例】
【0236】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお実施例では、含有量または使用量を表す「%」及び「部」は、断りが無いかぎり、「質量%」及び「質量部」を示す。
【0237】
合成例1(化合物(I−1−1)の合成)
化合物(a−3)10.0g(32mmol、ダイキン化成品販売(株)製)に、無水コハク酸6.6g(65mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.36g(2.9mmol)、ピリジン52gを加えた後、還流させながら2.5時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、トルエン100mLを加え、有機層を塩酸50mLで2回及び水50mLで2回洗浄した。有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、ろ過した。ろ液にカルボラフィンを加え、60℃で1時間攪拌し、セライトを通してろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、11.9gの化合物(I−1−1)(フッ素及びカルボキシ基含有メタクリル酸エステル)を得た。
【0238】
【化64】

【0239】
【化65】

【0240】
化合物(I−1−1)の構造は、1H−NMR(EX−270;日本電子(株)製)によって同定した。
1H−NMR(270MHz、δ値(ppm、TMS基準)、CDCl3、室温);1.95(3H、s)、2.4−2.7(6H、m)、4.1−4.4(2H、m)、5.4−5.6(1H、m)、5.63(1H、d、J=1.0Hz)、6.12(1H、d、J=1.0Hz)、9.29(1H、bs)
【0241】
合成例2(重合体Aaの合成)
滴下ロート、ジムロート冷却菅、温度計、及びメカニカルスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン14.0gを仕込み、攪拌しながら15分間窒素ガスをフラスコ内に流した後、そのまま90℃まで昇温した。200mLビーカーに化合物(I−1−1)11.9g(29mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.140g(0.85mmol)及びメチルイソブチルケトン50gを加え、室温で攪拌して均一溶液にした。この溶液を滴下ロートに加え、90℃に保温した4つ口フラスコ内に1時間かけて滴下した。滴下終了後、4つ口フラスコ内を90℃に保温して4時間攪拌したところ、無色溶液が得られた。4つ口フラスコ内を室温まで冷却し、得られた無色溶液を1Lナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、11.8gの重合体Aaを得た。重合体Aaの数平均分子量(Mn)は11,800、重量平均分子量(Mw)は510,000、分散度(Mw/Mn)は44であった。
【0242】
前記重合体Aaの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の条件でのGPC法(ポリスチレン換算)で測定した。
装置:K2479((株)島津製作所製)
カラム:SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/min
検出器:RI
被検液溶媒:濃度2%のTHF溶液
【0243】
合成例3(化合物(I−1−2)の合成)
化合物(a−1)10.0g(24mmol、ダイキン化成品販売(株)製、CAS No.16083−79−7)に、無水コハク酸4.9g(49mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.31g(2.5mmol)、ピリジン51gを加えた後、還流させながら3.5時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、トルエン100mLを加え、有機層を塩酸50mLで2回洗浄した。有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液にカルボラフィンを加え、60℃で1時間攪拌し、セライトを通してろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、12.1gの化合物(I−1−2)(フッ素及びカルボキシ基含有メタクリル酸エステル)を得た。
【0244】
【化66】

【0245】
【化67】

【0246】
化合物(I−1−2)の構造は、1H−NMR分析(ECA−500;日本電子(株)製)によって同定した。
1H−NMR(500MHz、δ値(ppm、TMS基準)、DMSO、室温);1.94(3H、s)、2.3−2.8(6H、m)、4.1−4.3(1H、m)、4.3−4.5(1H、m)、5.5−5.7(1H、m)、5.62(1H、s)、6.12(1H、s)、9.29(1H、bs)
【0247】
合成例4(重合体Abの合成)
滴下ロート、ジムロート冷却菅、温度計、及びメカニカルスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン13.0gを仕込み、攪拌しながら15分間窒素ガスをフラスコ内に流した後、そのまま90℃まで昇温した。200mLビーカーに化合物(I−1−2)12.1g(24mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.120g(0.73mmol)及びメチルイソブチルケトン45gを加え、室温で攪拌して均一溶液にした。この溶液を滴下ロートに加え、前記の90℃に保温した4つ口フラスコ内に1時間かけて滴下した。滴下終了後、4つ口フラスコ内を90℃に保温して5時間攪拌したところ、無色溶液が得られた。4つ口フラスコ内を室温まで冷却し、得られた無色溶液を1Lナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した後、60℃で減圧乾燥して、12.3gの重合体Abを得た。重合体Abの数平均分子量(Mn)は9,300、重量平均分子量(Mw)は53,000、分散度(Mw/Mn)は5.7であった。なお重合体Abの分子量は、重合体Aaの場合と同様にして測定した。
【0248】
合成例5(重合体Acの合成)
滴下ロート、ジムロート冷却菅、温度計、及びメカニカルスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン(20g)を仕込み、攪拌しながら15分間窒素ガスをフラスコ内に流した後、そのまま90℃まで昇温した。200mLビーカーに、化合物(a−1)10.1g(24mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.40g(2.4mmol)及びメチルイソブチルケトン10.0gを加え、室温で攪拌して均一溶液にした。この溶液を滴下ロートに加え、90℃に保温した4つ口フラスコ内に1時間かけて滴下した。滴下終了後、4つ口フラスコ内を90℃に保温して4時間攪拌したところ、無色溶液が得られた。4つ口フラスコ内を室温まで冷却し、得られた無色溶液を1Lナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、9.9gの重合体Acを得た。重合体Acの数平均分子量(Mn)は3,800、重量平均分子量(Mw)は6,300、分散度(Mw/Mn)は1.65であった。なお重合体Acの分子量は、重合体Aaの場合と同様にして測定した。
【0249】
実施例1(重合体)
重合体Aaを固形分で100部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを400部混合した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して重合体Aaの液を得た。
重合体Aaの代りに重合体Abを用いたこと以外は、重合体Aaと同様にして重合体Abの液を得た。
重合体Aaの代りに重合体Abを用い、溶剤量を200部としたこと以外は、重合体Aaと同様にして重合体Acの液を得た。
【0250】
重合体Aa〜重合体Acの液、およびそれから得られた塗膜の特性(屈折率、平均透過率、耐熱性および現像性)を、以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0251】
(1)屈折率
シリコンウエハ上にスピンコート法で膜厚が1.0μmとなるように、重合体液を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して塗膜を形成した。塗膜の550nmにおける屈折率を分光エリプソメータ(M−220;日本分光(株)製)にて測定した。屈折率は、低いほど好ましい。
【0252】
(2)平均透過率
石英ウエハ上にスピンコート法で膜厚が1.0μmとなるように、重合体液を塗布し、ホットプレート上で、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して塗膜を形成した。この塗膜に300〜450nmの紫外光200mJ/cm2を照射後し、180℃で3分間加熱し、400〜700nmの波長−透過率スペクトルを分光光度計(DU−640;BECKMAN社製)で測定し、平均透過率を算出した。平均透過率は、高いほど好ましい。
【0253】
(3)耐熱性
(3−1)透過率の差の絶対値の平均値
石英ウエハ上にスピンコート法で膜厚が1.0μmとなるように、重合体液を塗布し、ホットプレート上で、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して塗膜を形成した。この塗膜に300〜450nmの紫外光200mJ/cm2を照射後し、180℃で3分間加熱して、塗膜を得た。該塗膜の400〜700nmの波長−透過率スペクトルを分光光度計(DU−640;BECKMAN社製)により測定し、スペクトルAを得た。
【0254】
この塗膜を、240℃で60分間加熱し、400〜700nmの波長−透過率スペクトルを測定し、スペクトルBを得た。400〜700nmの各測定波長におけるスペクトルAとスペクトルBとの透過率の差の絶対値を算出し、その平均値を、耐熱性の指標として用いた。この平均値は、加熱前後で少ないほど好ましい。
【0255】
(3−2)240℃で加熱した後の塗膜のはじきの有無
上述のようにして240℃で60分間加熱した後、塗膜のはじきを目視で観察した。「塗膜のはじき」とは、加熱によって石英ウェハ上の塗膜が玉のような形状で凝縮することを意味する。
【0256】
(4)現像性
[紫外線照射過程を含まない場合]
シリコンウエハ上にスピンコート法で膜厚が1μmとなるように、重合体液を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して塗膜を形成した。得られた塗膜の膜厚を光学干渉式膜厚計(VM1200;大日本スクリーン製造(株)製)で測定した。このときの膜厚をd1とする。
この塗膜を、110℃で1分間加熱し、現像液(2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)に1分間浸漬し、次いで水洗・乾燥した後、その膜厚を測定した。このときの膜厚をd2とする。
前記膜厚d1及びd2を下記式に代入して、現像残膜率1を求めた。
現像残膜率1(%)=d2/d1×100
【0257】
リソグラフィ特性を必要とする用途に使用する際は、現像残膜率1は0%に近い方が好ましい。
【0258】
【表1】

【0259】
実施例2(感光性組成物1)
重合体Aa:49部、感光剤(B)として式(110)で表されるフェノール化合物とo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル40部、硬化剤(C)としてヘキサメトキシメチルメラミン11部、溶剤(H)として4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン400部を混合した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して感光性組成物1aを得た。
【0260】
【化68】

【0261】
重合体Aaの代りに重合体Abを用いたこと以外は、感光性組成物1aと同様にして感光性組成物1bを得た。
重合体Aaの代りに重合体Acを用いたこと以外は、感光性組成物1aと同様にして感光性組成物1cを得た。
【0262】
感光性組成物1a〜1c及びそれら塗膜の特性(現像性、屈折率及び平均透過率)を、以下のようにして評価した。結果を表2に示す。
【0263】
(1)現像性
紫外線照射過程を含まない場合の現像残膜率1は、重合体液の代わりに感光性組成物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして測定した。紫外線照射過程を含む場合の現像残膜率2は、以下のようにして測定した。
【0264】
[紫外線照射過程を含む場合]
シリコンウエハ上にスピンコート法で膜厚が1μmとなるように、感光性組成物を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去することで塗膜を形成した。得られた塗膜に波長300〜450nmの紫外光を200mJ/cm2で照射した後、その膜厚を光学干渉式膜厚計(VM1200;大日本スクリーン製造(株)製)で測定した。このときの膜厚をd3とする。
紫外線照射後の塗膜を、110℃で1分間加熱し、現像液(2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)に1分間浸漬し、次いで水洗・乾燥した後、その膜厚を測定した。このときの膜厚をd4とする。
前記膜厚d3及びd4を下記式に代入して、現像残膜率2を求めた。
現像残膜率2(%)=d4/d3×100
【0265】
(2)屈折率
シリコンウエハ上にスピンコート法で感光性組成物を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に波長300〜450nmの紫外光を200mJ/cm2で照射し、180℃で3分間加熱した。なお前記180℃での加熱後に塗膜の膜厚が1.0μmとなるように、スピンコート法での塗布を調整した。加熱後の塗膜の550nmにおける屈折率を、分光エリプソメータ(M−220;日本分光(株)製)で測定した。屈折率は、低いほど好ましい。
【0266】
(3)平均透過率
平均透過率は、重合体液の代わりに感光性組成物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして測定した。平均透過率は、高いほど好ましい。
【0267】
【表2】

【0268】
感光性組成物1a及び1bは、それぞれ、化合物(I−1−1)及び化合物(I−1−2)から得られた重合体Aa及び重合体Abを含む本発明例である。一方、感光性組成物1cは、化合物(a−3)から得られた重合体Acを含む比較例である。表1の結果から示されるように、本発明の感光性組成物1a及び1bから得られた塗膜は、紫外線照射後の現像液浸漬で溶けて無くなっていたが、比較例の感光性組成物1cから得られた塗膜は、現像液に浸漬してもほとんど残っていた。この結果から明らかなように、本発明の感光性組成物1a及び1bは現像性に優れていた。また本発明の感光性組成物1a及び1bから得られた塗膜は、低屈折率及び高い平均透過率を示した。
【0269】
実施例3(感光性組成物2)
重合体Aa:82部、硬化剤(C)としてヘキサメトキシメチルメラミン13部、光酸発生剤(D)として下記式で表されるα−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル5部、アミン系化合物(E)として2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.15部、溶剤(H)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400部を混合した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して感光性組成物2aを得た。
【0270】
【化69】

【0271】
重合体Aaの代りに重合体Abを用いたこと以外は、感光性組成物2aと同様にして感光性組成物2bを得た。
重合体Aaの代りに重合体Acを用いたこと以外は、感光性組成物2aと同様にして感光性組成物2cを得た。
【0272】
感光性組成物2a〜2c及びそれら塗膜の特性(現像性、屈折率及び平均透過率)を、実施例2と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0273】
【表3】

【0274】
感光性組成物2a及び2bは、それぞれ、化合物(I−1−1)及び化合物(I−1−2)から得られた重合体Aa及び重合体Abを含む本発明例である。一方、感光性組成物2cは、化合物(a−3)から得られた重合体Acを含む比較例である。表1の結果から示されるように、本発明の感光性組成物2a及び2bから得られた未露光塗膜は、現像液に浸漬することによって溶けて無くなっていたが、比較例の感光性組成物2cから得られた未露光塗膜は、現像液に浸漬してもほとんど残っていた。この結果から明らかなように、本発明の感光性組成物2a及び2bは現像性に優れていた。また本発明の感光性組成物2a及び2bから得られた塗膜は、低屈折率及び高い平均透過率を示した。
【0275】
実施例4(感光性組成物3)
重合体Aa:66部、重合性化合物(F)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート29部、光重合開始剤(G)としてIRGACURE OXE01(チバ・ジャパン(株)製)5部、溶剤(H)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400部を混合した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して感光性組成物3aを得た。
重合体Aaの代りに重合体Abを用いたこと以外は、感光性組成物3aと同様にして感光性組成物3bを得た。
重合体Aaの代りに重合体Acを用いたこと以外は、感光性組成物3aと同様にして感光性組成物3cを得た。
【0276】
感光性組成物3a〜3c及びそれら塗膜の特性(現像性、屈折率及び平均透過率)を、実施例2と同様にして評価した。結果を表4に示す。
【0277】
【表4】

【0278】
感光性組成物3a及び3bは、それぞれ、化合物(I−1−1)及び化合物(I−1−2)から得られた重合体Aa及び重合体Abを含む本発明例である。一方、感光性組成物3cは、化合物(a−3)から得られた重合体Acを含む比較例である。表1の結果から示されるように、本発明の感光性組成物3a及び3bから得られた未露光塗膜は、現像液に浸漬することによって溶けて無くなっていたが、比較例の感光性組成物3cから得られた未露光塗膜は、現像液に浸漬してもほとんど残っていた。この結果から明らかなように、本発明の感光性組成物3a及び3bは現像性に優れていた。また本発明の感光性組成物3a及び3bから得られた塗膜は、低屈折率及び高い平均透過率を示した。
【0279】
実施例5(硬化性組成物4)
重合体Aa:95部、硬化剤(C)としてヘキサメトキシメチルメラミン5部、溶剤(H)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400部を混合した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して硬化性組成物4aを得た。
重合体Aaの代りに重合体Abを用いたこと以外は、硬化性組成物4aと同様にして硬化性組成物4bを得た。
【0280】
硬化性組成物4a及び4bから得られた塗膜の特性(屈折率及び平均透過率)を、感光性組成物の代わりに硬化性組成物を使用したこと以外は実施例2と同様にして評価した。
【0281】
硬化性組成物4aから得られた塗膜は、低い屈折率(1.42)及び高い平均透過率(99%)を示した。
硬化性組成物4bから得られた塗膜は、低い屈折率(1.40)及び高い平均透過率(99%)を示した。
【産業上の利用可能性】
【0282】
本発明の重合体は、固体撮像素子、液晶ディスプレイ、カラーフィルター保護膜等の光学製品又は該光学製品のための光学材料(例えば、クリアーコーティング剤、レジスト下層膜、マイクロレンズ用材料、マイクロレンズ上層膜ないしは下層膜などに適したクリアーコーティング剤など)の樹脂成分として有用である。
【0283】
本発明の感光性組成物または硬化性組成物から得られる塗膜は、低屈折率及び高い透明性を示す。さらに本発明の感光性組成物はアルカリ現像することができる。そのため本発明の感光性組成物または硬化性組成物は、保護膜等の材料;マイクロレンズ等の材料;固体撮像素子、液晶ディスプレイ及びカラーフィルター等の保護膜、レジストの下層膜、並びにマイクロレンズの上層及び下層膜等を形成するためのクリアーコーティング剤;などとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。
【化1】


〔式(I)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1-13脂肪族炭化水素基を示す。
4〜R6は、それぞれ独立して、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキレン基を示す。
7は、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-15脂肪族炭化水素基を示す。
8は、フッ素原子で置換されていてもよいC1-24脂肪族炭化水素基を示す。
9は、水素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されてもいてもよいC1-24脂肪族炭化水素基、又はメチレン単位の一部が酸素原子と置き換わっているC1-24脂肪族炭化水素基を示す。
但しR1〜R9のいずれか一つは、フッ素原子又はフッ素原子で置換されている基である。〕
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を構成モノマーとする重合体。
【化2】


〔式(I)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1-13脂肪族炭化水素基を示す。
4〜R6は、それぞれ独立して、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキレン基を示す。
7は、単結合、又はフッ素原子で置換されていてもよいC1-15脂肪族炭化水素基を示す。
8は、フッ素原子で置換されていてもよいC1-24脂肪族炭化水素基を示す。
9は、水素原子、又はフッ素原子若しくは水酸基で置換されてもいてもよいC1-24脂肪族炭化水素基、又はメチレン単位の一部が酸素原子と置き換わっているC1-24脂肪族炭化水素基を示す。
但しR1〜R9のいずれか一つは、フッ素原子又はフッ素原子で置換されている基である。〕
【請求項3】
式(I)で表される化合物において、R8がフッ素原子で置換されているC1-24脂肪族炭化水素基である請求項2に記載の重合体。
【請求項4】
式(I)で表される化合物において、R9が水素原子である請求項2又は3に記載の重合体。
【請求項5】
式(I)で表される化合物と共重合可能な化合物との共重合体である請求項2〜4のいずれかに記載の重合体。
【請求項6】
式(I)で表される化合物と共重合可能な化合物が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはそれらの混合物である請求項5に記載の重合体。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれかに記載の重合体を含んでなる膜。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれかに記載の重合体(A)、感光剤(B)、硬化剤(C)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物。
【請求項9】
感光剤(B)はキノンジアジド化合物である請求項8に記載の感光性組成物。
【請求項10】
硬化剤(C)はメラミン化合物である請求項8または9に記載の感光性組成物。
【請求項11】
請求項2〜6のいずれかに記載の重合体(A)、硬化剤(C)、光酸発生剤(D)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物。
【請求項12】
光酸発生剤(D)はオキシム化合物である請求項11に記載の感光性組成物。
【請求項13】
さらにアミン系化合物(E)を含有する請求項11又は12に記載の感光性組成物。
【請求項14】
硬化剤(C)はメラミン化合物である請求項11〜13のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項15】
請求項2〜6のいずれかに記載の重合体(A)、重合性化合物(F)、光重合開始剤(G)及び溶剤(H)を含有する感光性組成物。
【請求項16】
重合性化合物(F)は、多官能アクリレート化合物及び多官能メタクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項15に記載の感光性組成物。
【請求項17】
重合性化合物(F)は、5〜6官能アクリレート化合物及び5〜6官能メタクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項16に記載の感光性組成物。
【請求項18】
光重合開始剤(G)はオキシム系化合物である請求項15〜17のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項19】
請求項2〜6のいずれかに記載の重合体(A)、硬化剤(C)及び溶剤(H)を含有する硬化性組成物。
【請求項20】
硬化剤(C)はメラミン化合物である請求項19に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−270086(P2009−270086A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314522(P2008−314522)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】