説明

回路接続部材、導電性粒子および導電性粒子の製造方法

【課題】異方導電性シートは、シートの押込み量(シートの変位量)に対する電気抵抗値の安定性(押込み耐性)が求められている。そこで充分な押込み耐性を有する回路接続部材を提供する。
【解決手段】高分子材料と導電性粒子2とを含有するシート形成材料から形成されるシート状の回路接続部材であって、粒子本体2aが、円盤状、板状または球状であり、粒子本体2aに貫通孔4が形成されていることを特徴とする回路接続部材。導電性粒子2は、導電性強磁性粒子であって、単体の金属粒子、2種以上の金属が混合されてなる複合粒子、前記金属粒子もしくは複合粒子を金属で被覆してなる被覆粒子、有機もしくは無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子、または前記単体の金属粒子、複合粒子および被覆粒子から選ばれる2種以上の混合粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路接続部材、導電性粒子および導電性粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、回路素子相互間の電気的接続やプリント回路基板の検査装置におけるコネクターとして好ましく用いられる、異方導電性シートおよび異方導電性コネクターなどの回路接続部材、それに用いる導電性粒子ならびに導電性粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異方導電性シートは、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示すものである。異方導電性シートは、ハンダ付けまたは機械的嵌合などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を行うことが可能であること、および機械的な衝撃やひずみを吸収してソフトな接続が可能であることなどの特長を有する。このため異方導電性シートは、電子計算機、電子式デジタル時計、電子カメラおよびコンピューターキーボードなどの分野において、回路素子、例えばプリント回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルなどとの相互間の電気的接続を実現するためのコネクターとして広く用いられている。
【0003】
また、プリント回路基板などの回路基板の電気的検査においては、検査対象である回路基板の一面に形成された被検査電極と、検査用回路基板の表面に形成された接続用電極との電気的接続を行うために、回路基板の被検査電極領域と検査用回路基板の接続用電極領域との間に異方導電性シートを介在させることが行われている。
【0004】
従来、このような異方導電性シートとしては、種々の構成を有するものが知られている。特許文献1には、導電性金属が被覆された導電性粒子が厚み方向に配向された状態で含有されてなる異方導電性シートが開示されている。特許文献2には、絶縁性シート体が、熱膨張係数の小さい弾性高分子材料により構成されていることを特徴とする異方導電性シートが開示されている。特許文献3には、異方導電性シート中に含まれる導電性粒子が、数平均粒子径がa[μm]である導電性粒子Aと、数平均粒子径がb[μm]である導電性粒子Bとを含有してなり、前記導電性粒子Aの数平均粒子径a[μm]と、前記導電性粒子Bの数平均粒子径b[μm]との粒子径比(a/b)が4〜9であることを特徴とする異方導電性シートが開示されている。特許文献4には、異方導電性シート中に含まれる導電性粒子の表面に、潤滑剤または離型剤が塗布されていることを特徴とする異方導電性シートが開示されている。特許文献5には、異方導電性シート中に含まれる導電性粒子が、数平均粒子径が5〜100μm、BET比表面積が0.01×103〜0.7×1032/kg、硫黄元素濃度が0.1質量%以下、酸素元素濃度が0.5質量%以下、炭素元素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とする異方導電性シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−235509号公報
【特許文献2】特開2000−243486号公報
【特許文献3】特開2001−015190号公報
【特許文献4】特開2002−170608号公報
【特許文献5】特開2002−173702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来、種々の構成を有する異方導電性シートが知られている。
ところで、接続・検査対象の回路基板は、通常は平坦ではなく、段差を有していたり屈曲していたりする。特に、携帯電話などの素子を小スペースに接続するには、この段差や屈曲がより大きくなる傾向にある。
【0007】
したがって、回路接続部材には、シートの押込み量(シートの変位量)に対する電気抵抗値の安定性(押込み耐性)、つまり、シートの厚み方向に係る負荷量に対して電気抵抗値が一定である性能が求められている。
【0008】
しかしながら、従来の回路接続部材は、上記押込み耐性が充分ではなかった。即ち本発明の課題は、充分な押込み耐性を有する回路接続部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定の形状を有する導電性粒子を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明およびその好ましい態様は、以下の[1]〜[14]に関する。
【0010】
[1]高分子材料と導電性粒子とを含有するシート形成材料から形成されるシート状の回路接続部材であって、前記導電性粒子は、粒子本体に貫通孔が形成されていることを特徴とする回路接続部材。
【0011】
[2]前記粒子本体が、円盤状、板状または球状である[1]に記載の回路接続部材。
[3]前記導電性粒子が、導電性強磁性粒子である[1]または[2]に記載の回路接続部材。
【0012】
[4]前記導電性強磁性粒子が、単体の金属粒子、2種以上の金属が混合されてなる複合粒子、前記金属粒子もしくは複合粒子を金属で被覆してなる被覆粒子、有機もしくは無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子、または前記単体の金属粒子、複合粒子および被覆粒子から選ばれる2種以上の混合粒子である[3]に記載の回路接続部材。
【0013】
[5]前記回路接続部材中の全構成部の体積分率を100%とするとき、前記導電性粒子の含有割合(体積分率)が3〜30%である[1]〜[4]の何れか一項に記載の回路接続部材。
【0014】
[6]前記導電性粒子を含有する多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とからなるシート状の回路接続部材である[1]〜[4]の何れか一項に記載の回路接続部材。
【0015】
[7]前記導電部が、厚み方向に伸びる多数の導電部であり、かつ前記導電性粒子の集合体および高分子材料から形成される[6]に記載の回路接続部材。
[8]前記回路接続部材中の全構成部の体積分率を100%とするとき、前記導電部の体積分率が5〜80%である[6]または[7]に記載の回路接続部材。
【0016】
[9]回路接続部材に用いられる導電性粒子であって、粒子本体に貫通孔が形成されていることを特徴とする回路接続部材用の導電性粒子。
[10]前記粒子本体が、円盤状、板状または球状である[9]に記載の導電性粒子。
【0017】
[11]導電性強磁性粒子である[9]または[10]に記載の導電性粒子。
[12]単体の金属粒子、2種以上の金属が混合されてなる複合粒子、前記金属粒子もしくは複合粒子を金属で被覆してなる被覆粒子、有機もしくは無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子、または前記単体の金属粒子、複合粒子および被覆粒子から選ばれる2種以上の混合粒子である[11]に記載の導電性粒子。
【0018】
[13][9]〜[12]の何れか一項に記載の導電性粒子の製造方法であって、下記(1)、(2a)および(3)に示す工程を順次行うことを特徴とする導電性粒子の製造方法。
(1)基板上に、前記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する工程。
(2a)前記レジストパターン間に、導電性粒子形成材料を析出させる工程。
(3)前記レジストパターンおよび前記基板を除去する工程。
【0019】
[14][12]に記載の有機または無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子である導電性粒子の製造方法であって、下記(1)、(2b)、(3)および(4)に示す工程を順次行うことを特徴とする導電性粒子の製造方法。
(1)基板上に、前記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する工程。
(2b)前記レジストパターン間に、有機または無機材料からなる粒子を形成する工程。
(3)前記レジストパターンおよび前記基板を除去する工程。
(4)得られた粒子の表面の一部または全部を金属で被覆する工程。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、充分な押込み耐性を有する回路接続部材が提供される。また、このような回路接続部材を提供することを可能とする、回路接続部材用の導電性粒子およびその製造方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の導電性粒子の形状を説明する模式図である。
【図2】図2は、本発明の回路接続部材の押込み耐性を説明する模式図である。
【図3】図3は、本発明の偏在型回路接続部材の一具体例を示す図である。
【図4】図4は、実施例の導電性粒子の製造工程を説明する図である。
【図5】図5は、実施例の導電性粒子のパターン・形状を説明する模式図である。
【図6】図6は、実施例および比較例の回路接続部材の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の特徴である回路接続部材用の導電性粒子およびその製造方法について説明した後、本発明の回路接続部材(例えば、分散型/偏在型回路接続部材)の詳細を説明する。
【0023】
〔回路接続部材用の導電性粒子〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の回路接続部材用の導電性粒子を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る導電性粒子を示したものである。
【0024】
本発明の回路接続部材用の導電性粒子2は、その粒子本体2aに貫通孔4が形成されている。導電性粒子2は、図1(A)に示したように円盤状の導電性粒子の他に、図1(B)に示したように円盤状の粒子本体2aの両側に軸状部分2bが一体的に延出された導電性粒子、図1(C)に示したように粒子本体2aが矩形の平板状の導電性粒子、図1(D)に示したようにリング状に形成された導電性粒子((D1)はリング状の導電性粒子の斜視図、(D2)はDD’線断面図である。)、さらには粒子本体2aが球状に形成された導電性粒子であってもよい。要は、導電性粒子本体2aの中央部に貫通孔4が形成されていれば粒子本体2aの形状はいかなるものであってもよい。また、貫通孔4は円形あるいは楕円形であってもよい。
【0025】
ここで、貫通孔4の軸芯に沿う方向を「軸方向」とし、貫通孔4の軸に対して垂直な方向を「径方向」とする。例えば、導電性粒子が円盤状または板状粒子である場合には、その軸方向の長さは、導電性粒子の厚みとなる。また、「円盤状」、「板状」とは、図1(E1)に示したように粒子の厚み方向の本体断面が四角形であることに限定されず、図1(E2)に示したように粒子の厚み方向の本体断面が一部に円弧を有するものを含む概念である。
【0026】
導電性粒子の径方向の最大長さLは、通常は10〜300μm、好ましくは40〜200μm、より好ましくは50〜150μmである。
導電性粒子の軸方向の長さT(円盤状または板状粒子の場合はその厚み)は、通常は10〜150μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。
【0027】
導電性粒子が有する貫通孔の径方向の最大長さSは、通常は5〜200μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmである。
本発明において導電性粒子の長さおよび厚みは、走査電子顕微鏡やレーザー変位計によって測定される。
【0028】
本発明の効果は、以下の理由により発現するものと推定される。回路接続部材をその厚み方向に押し込むと、接触する導電性粒子には押込み方向と垂直な方向に移動するように力が働く。したがって、従来のような球状あるいは楕円状の導電性粒子を用いた場合、この力により導電性粒子間の接触が保たれなくなるため、回路接続部材の厚み方向に係る負荷量に対して電気抵抗値にバラツキが生じてしまう。ところが本発明の導電性粒子は粒子本体に貫通孔が形成されており、図2に示すように、押込み力に対して導電性粒子が変形することができるため、導電性粒子間の接触を保つことができる。このため、回路接続部材の厚み方向に係る負荷量に対して電気抵抗値が一定であり、充分な押込み耐性を有する回路接続部材が得られるのである。
【0029】
導電性粒子は、磁場を作用させることにより該粒子を容易に回路接続部材の厚み方向に配向または集合させることができ、ひいてはより良好な押込み耐性が得られることから、強磁性を有する導電性強磁性粒子であることが好ましい。本発明において「強磁性」とは、磁化率が1×106cm3/g以上のものをいう。
【0030】
導電性粒子は、粒子全体が導電性物質で形成されている必要はなく、少なくとも表面が導電性物質で形成されていればよい。粒子表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、電気メッキまたは無電解メッキなどが挙げられる。
【0031】
導電性粒子としては、単体の金属粒子、2種以上の金属が混合されてなる複合粒子、前記金属粒子もしくは複合粒子を金属で被覆してなる被覆粒子、有機もしくは無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子、または前記単体の金属粒子、複合粒子および被覆粒子から選ばれる2種以上の混合粒子などが挙げられる。
【0032】
このような導電性粒子としては、例えば、(1)ニッケル、鉄、コバルトなどの強磁性を示す金属の粒子およびこれらを含む合金の粒子、(2)セラミックスなどの無機粒子や樹脂などの有機粒子中に該金属粒子または合金粒子を混練して磁性を持たせた粒子、(3)これらの粒子に、金、銀、銅、錫、パラジウム、ロジウムなどをメッキなどにより被覆してなる粒子、ならびに(4)ポリマー粒子または非磁性金属粒子もしくはガラスビーズなどの無機質粒子に、ニッケル、鉄、コバルトなどの強磁性を示す金属のメッキを施してなる粒子などが挙げられる。
【0033】
製造コストの低減化を図る観点からは、ニッケル、鉄またはこれらの合金の粒子が好ましい。また、導通抵抗が小さいという電気的特性を利用するソケット、コネクターなどの用途では、表面が金メッキされた粒子が好ましい。
【0034】
〔回路接続部材用の導電性粒子の製造方法〕
本発明の回路接続部材用の導電性粒子の第1の製造方法は、粒子本体に貫通孔が形成された上述の導電性粒子の製造方法であって、下記(1)、(2a)および(3)に示す工程を順次行うことを特徴とする。必要に応じて、下記(4)に示す工程を更に行ってもよい。
【0035】
(1)基板上に、前記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する工程。
(2a)前記レジストパターン間に、導電性粒子形成材料を析出させる工程。
(3)前記レジストパターンおよび前記基板を除去する工程。
(4)得られた粒子の表面の一部または全部を金属で被覆する工程。
【0036】
《工程(1)》
工程(1)では、基板上に、詳述した上記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する。以下では、レジストパターンが形成された基板を「パターニング基板」ともいう。
【0037】
レジストパターンを形成する方法や使用されるレジスト組成物は特に限定されず、従来公知の方法およびレジスト組成物を採用することができる。例えば、レジスト組成物としては、電気鋳造する際のレジストパターンへのダメージなどを鑑みると、特開平8−301911号公報、特開2005−181976号公報、特開2005−189810号公報に記載されたレジスト組成物が好ましく、レジストパターンの形成条件もこれらの公報に記載の条件を採用することができる。
【0038】
通常は、基板上にレジスト組成物を塗布して塗膜を形成し、露光処理および現像処理を行い、上記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する。以下の記載はその一具体例であるが、レジストパターンの形成条件はこれらに限定されるものではない。
【0039】
塗膜形成:レジスト組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥して溶媒を除去することによって所望の塗膜を作成する。基板としては、通常は導電性基板(例:SUS板、銅箔板)が用いられる。基板上への塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などが挙げられる。塗膜の乾燥条件は、レジスト組成物中の各成分の種類、配合割合、塗膜の厚みなどによって異なるが、通常は40〜160℃、好ましくは50〜150℃で、5〜60分間程度である。
【0040】
露光処理:得られた塗膜に、詳述した上記導電性粒子の形状に対応するパターンを有するフォトマスクを介して活性光線を照射する。ここで活性光線とは紫外線、可視光線などを意味し、光源としては、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプなどの公知の光源が挙げられる。活性光線の照射量は、レジスト組成物中の各成分の種類、配合割合、塗膜の厚みなどによって異なるが、(超)高圧水銀灯を使用する場合、通常は100〜1500mJ/cm2である。
【0041】
現像処理:未露光部の上記塗膜(ネガ型)あるいは露光部の上記塗膜(ポジ型)を、現像液を用いて選択的に除去してレジストパターンを形成する。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、前記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。なお、アルカリ類の水溶液による現像処理がなされた後は、通常は水洗処理が施される。
上記レジストパターンの厚みは、導電性粒子の厚みに対応して、通常は10〜150μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。
【0042】
《工程(2a)》
工程(2a)では、上記レジストパターン間に、導電性粒子形成材料を析出させる。ここでは、上記レジストパターンが鋳型となる。導電性粒子形成材料を析出させるには、例えば電気メッキ法などを採用することができる。具体的には、上記パターニング基板を電気メッキ用の各種メッキ液に浸漬し、所望のメッキ厚となるように電流値および通電時間を設定してメッキを行い、電鋳物を形成する。各種メッキ液としては、ニッケルメッキ液、コバルトメッキ液、鉄メッキ液、およびそれらの金属イオンを含む合金メッキ液などが挙げられる。
【0043】
《工程(3)》
工程(3)では、上記レジストパターンおよび上記基板を除去する。レジストパターンおよび基板を該パターン間に形成された導電性粒子から剥離するには、例えば50〜80℃で攪拌中の剥離液にパターニング基板を5〜30分間浸漬すればよい。ここで使用される剥離液としては、第4級アンモニウム塩の水溶液、第4級アンモニウム塩とジメチルスルホキシドと水との混合溶液、水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
【0044】
《工程(4)》
必要に応じて行われる工程(4)では、得られた粒子の表面の一部または全部を金属で被覆する。粒子表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、電気メッキまたは無電解メッキなどが挙げられる。各種メッキ液としては、金メッキ液、銀メッキ液、銅メッキ液、ニッケルメッキ液、半田メッキ液などが挙げられる。
【0045】
以上のようにして、本発明の導電性粒子を製造することができる。
本発明の回路接続部材用の導電性粒子の第2の製造方法は、粒子本体に貫通孔が形成され、かつ有機または無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子である上述の導電性粒子の製造方法であって、下記(1)、(2b)、(3)および(4)に示す工程を順次行うことを特徴とする。
【0046】
(1)基板上に、前記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する工程。
(2b)前記レジストパターン間に、有機または無機材料からなる粒子を形成する工程。
(3)前記レジストパターンおよび前記基板を除去する工程。
(4)得られた粒子の表面の一部または全部を金属で被覆する工程。
【0047】
《工程(1)》
工程(1)は、第1の製造方法で詳述した上記工程(1)と同様である。
【0048】
《工程(2b)》
工程(2b)では、上記レジストパターン間に、有機または無機材料からなる粒子を形成する。その形成方法としては、例えば有機材料(熱硬化性樹脂など)、無機材料(セラミック材料やポリシロキサンなど)、有機材料と無機材料との混合物などの組成物を、スクリーン印刷、凹版印刷などによりレジストパターン間に埋め込んだ後、硬化処理する方法が挙げられる。なお、磁性を持つ粒子(フェライト、強磁性金属粉末など)を混ぜ込んだ樹脂ペースト、セラミックペーストなどを組成物として用いる場合は、硬化処理後に行う磁性付与の下記メッキ工程を省略できる。
【0049】
《工程(3)》
工程(3)は、第1の製造方法で詳述した上記工程(3)と同様である。
【0050】
《工程(4)》
工程(4)では、得られた粒子の表面の一部または全部を金属で被覆する。粒子表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、電気メッキまたは無電解メッキなどが挙げられる。各種メッキ液としては、ニッケルメッキ液、コバルトメッキ液、鉄メッキ液、およびそれらの金属イオンを含む合金メッキ液などが挙げられる。
以上のようにして、本発明の導電性粒子を製造することができる。
【0051】
〔回路接続部材〕
本発明の回路接続部材は、高分子材料と導電性粒子とを含有するシート形成材料から形成されるシート状の回路接続部材であって、前記導電性粒子は、粒子本体に貫通孔が形成されていることを特徴とする。前記導電性粒子は、上述の本発明の導電性粒子である。
【0052】
上記の回路接続部材は、導電性粒子が回路接続部材の面方向に均一に分散した「分散型回路接続部材」、導電性粒子を含有する多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とからなるシート状の「偏在型回路接続部材」の何れでもよい。本発明の分散型回路接続部材は、厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す。本発明の偏在型回路接続部材は、厚み方向にのみ導電性を示すものでもよく、厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示すものでもよい。
本発明の回路接続部材はシート状であり、そのシートの厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができ、通常は0.1〜10mmである。
【0053】
《分散型回路接続部材》
本発明の分散型回路接続部材において、導電性粒子は、回路接続部材の面方向に均一に分散しており、かつ厚み方向に並ぶように配向した状態で含有されていることが好ましい。導電性粒子として導電性強磁性粒子を用い、磁場配向により回路接続部材を製造する場合、磁場配向によって導電性強磁性粒子を厚み方向に並ぶように配向させることができるため、得られる回路接続部材は異方性の高いものとなる。
【0054】
本発明の分散型回路接続部材中の全構成部の体積分率を100%とするとき、導電性粒子の含有割合(体積分率)は、通常は3〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは7〜23%である。この含有割合が前記範囲を下回ると、充分に電気抵抗値の小さい回路接続部材が得られないことがある。一方、この含有割合が前記範囲を上回ると、得られる回路接続部材は脆弱なものとなりやすく、回路接続部材として必要な弾性が得られないことがある。さらに、接続端子と他の接続端子との間の電気絶縁性が確保できなくなることがある。
【0055】
本発明の分散型回路接続部材は、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、高分子材料と導電性粒子とを含有するシート形成材料を調製する。ここで、シート形成材料に対して、必要に応じて減圧による脱泡処理を行うことができる。前記シート形成材料において、導電性粒子の含有割合(体積分率)は、通常は3〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは7〜23%である。
【0056】
次いで、上記シート形成材料を、従来公知の基板フィルム(例:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム)上に塗布してシート形成材料層を形成し、シート形成材料層と基板フィルムとからなる塗布基板を製造する。
【0057】
次いで、上記塗布基板の上面および下面に、例えば電磁石または永久磁石を配置し、上記シート形成材料層の厚み方向に平行磁場を作用させる。この磁場配向により、シート形成材料層に分散されている導電性粒子が、面方向に均一に分散された状態を維持しながら厚み方向に並ぶように配向する。シート形成材料層に作用される平行磁場の強度は、平均で0.02〜1.5T(テスラ)であることが好ましい。なお、この平行磁場を作用させる工程は省略することも可能である。
【0058】
ここで、シート形成材料層を硬化することにより、高分子材料(好ましくは絶縁性高分子材料)から形成された硬化層中に、導電性粒子が面方向に均一に分散しており、かつ厚み方向に並ぶように配向した状態で含有されている本発明の分散型回路接続部材が得られる。
【0059】
シート形成材料層の硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。また、平行磁場の作用を途中で停止して、作用方向を反転させた後、再度平行磁場を作用させてもよい。
【0060】
シート形成材料層の硬化処理は、高分子材料の種類によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、高分子材料などの種類、導電性粒子の配向に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0061】
《偏在型回路接続部材》
本発明の偏在型回路接続部材は、回路基板などの電極パターンと対掌のパターンに従って導電部が形成されているため、分散型回路接続部材と比較して、接続すべき電極が小さいピッチで配置されている回路装置などに対しても電極間の電気的接続を高い信頼性で達成することができる点で有利である。特に、導電部が絶縁部から突出するよう形成された偏在型回路接続部材は、被検査電極に対する接触が確実に行われる点でより有利である。
【0062】
図3に、本発明の偏在型回路接続部材の一具体例である回路接続部材1の、上面5および下面6に垂直な断面の一部分の模式図を示す(導電性粒子の形状は便宜上球形で表しているが、実際は粒子本体に貫通孔が形成されている)。以下、回路接続部材1を例にして本発明の偏在型回路接続部材の基本的な構造を説明する。
【0063】
回路接続部材1は、導電性粒子2を含有する多数の導電部2と、これらを相互に絶縁する絶縁部3とからなる。例えば、回路接続部材1中の全構成部の体積分率を100%とするとき、導電部2の体積分率は、通常は5〜80%、好ましくは10〜70%、より好ましくは20〜60%である。
【0064】
導電部2は、回路接続部材1の上面5から下面6にわたって形成され、回路接続部材1の厚み方向の導電性を確保する機能を有する。導電部2は、回路接続部材1の厚み方向の導電性を確保できる程度に多数形成されている。すなわち導電部2は、厚み方向に伸びる多数の導電部であり、かつ導電性粒子4の集合体および高分子材料から形成されていることが好ましい。
【0065】
導電性粒子4は、それぞれ厚み方向に並んだ状態で配向していることが好ましい。導電性粒子4は、回路接続部材1の厚み方向にその上面5から下面6にわたって、相互に接触しながら、あるいは加圧時に相互に接触するよう配列されて、導電部2を形成している。つまり、導電部2は、厚み方向にのみ導電性を示すものでもよく、厚み方向に加圧されて圧縮されたときに抵抗値が減少して導電部2が形成される加圧導電部でもよい。
【0066】
絶縁部3は、導電部2を面方向に囲むように高分子材料から形成され、多数の導電部2を相互に絶縁し、回路接続部材1の面方向の絶縁性を確保する機能を有する。
導電部の、回路接続部材の面方向に平行な断面の形状には特に制限はなく、円形状、楕円形状、線状、その他任意の形状を採り得る。導電部の前記断面の形状および大きさは、回路接続部材の厚み方向のどの位置においても同じであってもよく、また厚み方向の位置によって異なっていてもよい。導電部の径は、通常は0.02〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mmである。また導電部は、回路接続部材の厚み方向の導電性が確保される限り、回路接続部材の厚み方向に平行に形成されていてもよく、また平行に形成されていなくてもよい。
【0067】
回路接続部材の表面側から見た導電部における導電性粒子の集合密度は均一であることが好ましい。集合密度が均一であると、回路接続部材をソケットまたはコネクターなどの電子回路の実装用に用いることができる程度に導通抵抗を小さくすることが容易になる。
【0068】
本発明の偏在型回路接続部材は、その上面または下面の少なくとも一方の面において、平面部と該平面部から突出した導電部からなる突起部とを有していてもよい。突起部の形状は特に限定されず、例えば円盤状の突起部が挙げられる。回路接続部材がこのような突起部を有していると、加圧時に接続端子にかかる荷重を軽減できるという利点がある。
【0069】
本発明の偏在型回路接続部材は、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、高分子材料と導電性粒子とを含有するシート形成材料を調製する。ここで、シート形成材料に対して、必要に応じて減圧による脱泡処理を行うことができる。前記シート形成材料において、導電性粒子の含有割合(体積分率)は、形成すべき導電部における導電性粒子の含有割合などを考慮して定められるが、通常は5〜40%、好ましくは8〜33%、より好ましくは10〜30%である。
【0070】
次いで、(1)上記シート形成材料を、電磁石および磁極板を備えてなる金型内に注入してシート形成材料層を形成し、(2)前記シート形成材料層に対して強度分布を有する磁場を前記シート形成材料層の厚み方向に作用させることにより、シート形成材料層中の導電性粒子を導電部となる部分に集合させ、(3)その状態でシート形成材料層を硬化することにより、高分子材料から形成された硬化層中に導電性粒子が密に充填された多数の導電部と、これらを相互に絶縁する高分子材料から形成された絶縁部とからなる本発明の偏在型回路接続部材が得られる。
【0071】
シート形成材料層の硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。また、平行磁場の作用を途中で停止して、作用方向を反転させた後、再度平行磁場を作用させてもよい。
【0072】
シート形成材料層の硬化処理は、高分子材料の種類によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、高分子材料などの種類、導電性粒子の配向に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0073】
《高分子材料》
本発明の回路接続部材で用いられる高分子材料は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、絶縁性高分子材料であることが好ましい。絶縁性高分子材料としては、シリコーンゴム、エチレンプロピレン系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、ポリエステル系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、スチレンブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレンイソプロピレンブロック共重合体ゴム、軟質エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0074】
絶縁性高分子材料としては、シート製造時の温度で液状であるかまたは流動性を有し、その後硬化するものが好ましい。絶縁性高分子材料がこのような性質を有すると、シート製造時に磁場を作用させることにより導電性強磁性粒子を配向または集合させることができ、その後、絶縁性高分子材料を硬化させて導電性強磁性粒子を固定することができる。
【0075】
例えば、熱硬化型のシリコーンゴムは、常温で液状であり、加熱により硬化して固形ゴムになるので好ましい。また例えば、軟質液状エポキシ樹脂、熱可塑性エラストマー、熱可塑性軟質樹脂などは、常温で固体であっても、後述のシート製造時に流動性を有し、シート製造後は固体となるので好ましい。
【0076】
また、絶縁性高分子材料としては、架橋構造を有するものが耐熱性、耐久性などの点において好ましい。このような架橋構造を有する材料としては、上記シリコーンゴム、エチレンプロピレン系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、ポリエステル系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、スチレンブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレンイソプロピレンブロック共重合体ゴム、軟質エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0077】
絶縁性高分子材料は、固体状であり、かつゴム弾性を有するものが、回路接続部材を電気回路部品、電気回路基板などに接続するときに、それらの表面の凹凸を吸収し、安定な電気的接触を得るのに有利である点で好ましい。シートの用途によっては、弾性が小さいものであってもかまわない。
【0078】
また、回路接続部材を基板などに接着または粘着することが要求される場合には、絶縁性高分子材料は接着性または粘着性を有する絶縁性高分子材料であることが好ましい。このような接着性または粘着性を有する絶縁性高分子材料としては、エポキシ樹脂やメラミン樹脂などが挙げられる。
【実施例】
【0079】
(1)導電性粒子の製造
[実施例1]導電性粒子の製造(図4参照)
レジスト組成物を、SUS板上にスピンコーターを用いて塗布し、次いで、ホットプレートにて100℃で5分間熱処理を行い、膜厚20μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、図5(A)に示すパターンマスクを介して、超高圧水銀灯(ウシオ電機社製USH−1000KS)を用いて600mJ/cm2の紫外線で露光した。露光後の塗膜を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液で現像した。その後、脱イオン水にて流水洗浄し、スピン乾燥して、パターンマスクの配置と同じパターンを有するレジストパターンを形成した。このレジストパターンを有する基板を「パターニング基板」という。
【0080】
上記パターニング基板に対して、電解ニッケル浴(スルファミン酸ニッケル浴)を用いてニッケルメッキを行った。その後、剥離液としてTHB−S2(JSR社製)を用い、50℃で10分間攪拌しながら上記パターニング基板を浸漬してレジストパターンおよびSUS板を剥離することにより、ニッケル電鋳物を得た。このニッケル電鋳物を、走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、径方向の最大長さ100μm、貫通孔の径方向の最大長さ40μm、厚み20μmであった。
【0081】
無電解メッキ法により、金メッキの厚みがおおよそ60〜100nmとなる条件にて、上記ニッケル電鋳物表面に金メッキを行い、導電性粒子を得た。この導電性粒子は、走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、径方向の最大長さ100μm、貫通孔の径方向の最大長さ40μm、厚み20μmであった(図5(B))。また、磁化率測定装置により磁化率を測定したところ、55×109cm3/gであった。
【0082】
なお、上記レジスト組成物としては、アルカリ可溶性樹脂(メタクリル酸/p−イソプロペニルフェノール/イソボルニルアクリレート/n−ブチルアクリレート/トリシクロ(5.2.1.02,6)デカニルメタクリレート=10/15/40/5/15(重量部)の共重合体)100重量部、エチレン性不飽和化合物として、商品名「アロニックスM8100」(東亞合成(株)製)を60重量部、商品名「アロニックスM320」(東亞合成(株)製)を10重量部、ラジカル重合開始剤として、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールを4重量部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1を10重量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを0.2重量部、界面活性剤として、商品名「FTX−218」((株)ネオス製)を0.3重量部、乳酸エチルを150重量部含有する組成物を用いた。
【0083】
(2)回路接続部材の製造
[実施例2]回路接続部材の製造
付加型液状シリコーンゴムに、実施例1で得られた導電性粒子を、導電性粒子の体積分率が12%となるように添加して混合した後、減圧による脱泡処理を行うことにより、シート形成材料を調製した。このシート形成材料を、スクリーン印刷法によって、PTFEフィルム(商標)上に塗布して塗布基板を形成した。得られた塗布基板を、100℃に加熱しながら、平行磁場(0.5〜1テスラ)中に置き、外部磁場を30分間加えた。PTFEフィルムを剥がした後、200℃で4時間加熱処理を行うことにより、厚み400μmの分散型回路接続部材を製造した。
【0084】
なお、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が250Pa・sで、B液の粘度が250Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が35、硬化物の引裂強度が25kN/mのものを用いた。
【0085】
[比較例1]
導電性粒子として、金により被覆された直径50μmの球状ニッケル粒子(金の厚み=60〜100nm)を用いたこと以外は実施例2と同様の手法にて、回路接続部材を製造した。また、磁化率測定装置により球状ニッケル粒子の磁化率を測定したところ、55×109cm3/gであった。
【0086】
(3)回路接続部材の評価(押込み耐性)
金メッキ板上に、回路接続部材を乗せ、さらにその上にプローブ電極(直径300μmの円形状)を乗せた。前記プローブ電極を押し込みながら、金メッキ板とプローブ電極間に流れる電流の抵抗値(Ω)を測定した。また、プローブ電極に係る荷重(回路接続部材の反発によるプローブ電極に係る荷重)についても、プローブ電極にロードセルを設置することにより測定を行った。結果を表1および図6に示す。
【0087】
【表1】

上記結果から明らかなように、実施例2の回路接続部材は、シートの厚み方向に係る負荷量に対して電気抵抗値が一定であった。これに対して、比較例1の回路接続部材は、シートの厚み方向に係る負荷量に対して電気抵抗値にバラツキが生じた。また、押し込み量に対する荷重の増加も、実施例2に比較して比較例1は大きい結果となった。
【符号の説明】
【0088】
図1において
2 ・・・導電性粒子
2a・・・導電性粒子本体
2b・・・軸状部分
4 ・・・貫通孔
L ・・・導電性粒子の径方向の最大長さ
T ・・・導電性粒子の軸方向の長さ
S ・・・貫通孔の径方向の最大長さ
図3および図5において
1 ・・・回路接続部材
2 ・・・導電部
3 ・・・絶縁部
4 ・・・導電性粒子
5 ・・・回路接続部材の上面
6 ・・・回路接続部材の下面
7 ・・・透光部
8 ・・・遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料と導電性粒子とを含有するシート形成材料から形成されるシート状の回路接続部材であって、前記導電性粒子は、粒子本体に貫通孔が形成されていることを特徴とする回路接続部材。
【請求項2】
前記粒子本体が、円盤状、板状または球状である請求項1に記載の回路接続部材。
【請求項3】
前記導電性粒子が、導電性強磁性粒子である請求項1または2に記載の回路接続部材。
【請求項4】
前記導電性強磁性粒子が、単体の金属粒子、2種以上の金属が混合されてなる複合粒子、前記金属粒子もしくは複合粒子を金属で被覆してなる被覆粒子、有機もしくは無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子、または前記単体の金属粒子、複合粒子および被覆粒子から選ばれる2種以上の混合粒子である請求項3に記載の回路接続部材。
【請求項5】
前記回路接続部材中の全構成部の体積分率を100%とするとき、前記導電性粒子の含有割合(体積分率)が3〜30%である請求項1〜4の何れか一項に記載の回路接続部材。
【請求項6】
前記導電性粒子を含有する多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とからなるシート状の回路接続部材である請求項1〜4の何れか一項に記載の回路接続部材。
【請求項7】
前記導電部が、厚み方向に伸びる多数の導電部であり、かつ前記導電性粒子の集合体および高分子材料から形成される請求項6に記載の回路接続部材。
【請求項8】
前記回路接続部材中の全構成部の体積分率を100%とするとき、前記導電部の体積分率が5〜80%である請求項6または7に記載の回路接続部材。
【請求項9】
回路接続部材に用いられる導電性粒子であって、粒子本体に貫通孔が形成されていることを特徴とする回路接続部材用の導電性粒子。
【請求項10】
前記粒子本体が、円盤状、板状または球状である請求項9に記載の導電性粒子。
【請求項11】
導電性強磁性粒子である請求項9または10に記載の導電性粒子。
【請求項12】
単体の金属粒子、2種以上の金属が混合されてなる複合粒子、前記金属粒子もしくは複合粒子を金属で被覆してなる被覆粒子、有機もしくは無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子、または前記単体の金属粒子、複合粒子および被覆粒子から選ばれる2種以上の混合粒子である請求項11に記載の導電性粒子。
【請求項13】
請求項9〜12の何れか一項に記載の導電性粒子の製造方法であって、下記(1)、(2a)および(3)に示す工程を順次行うことを特徴とする導電性粒子の製造方法。
(1)基板上に、前記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する工程。
(2a)前記レジストパターン間に、導電性粒子形成材料を析出させる工程。
(3)前記レジストパターンおよび前記基板を除去する工程。
【請求項14】
請求項12に記載の有機または無機材料を金属で被覆してなる被覆粒子である導電性粒子の製造方法であって、下記(1)、(2b)、(3)および(4)に示す工程を順次行うことを特徴とする導電性粒子の製造方法。
(1)基板上に、前記導電性粒子の形状に対応するレジストパターンを形成する工程。
(2b)前記レジストパターン間に、有機または無機材料からなる粒子を形成する工程。
(3)前記レジストパターンおよび前記基板を除去する工程。
(4)得られた粒子の表面の一部または全部を金属で被覆する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−150837(P2011−150837A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9955(P2010−9955)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】