説明

回転体のアース構造、像担持体ユニット、プロセスユニット及び画像形成装置並びに回転体のアース方法

【課題】導電部材の摺動部において発生する摩耗や異音を防止すると共に、長期に亘って良好な導通を維持することが可能な回転体のアース構造を提供する。
【解決手段】筒状の回転体2と、回転体2内に挿入されたシャフト40と、回転体2とシャフト40の間に配設されて回転体2をシャフト40に対して回転可能に支持する支持部材31と、支持部材31に取り付けられると共に回転体2の内周面とシャフト40の外周面に接触して導通させる可撓性の導電部材50とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる回転体のアース構造、この回転体のアース構造を用いた、像担持体ユニット、プロセスユニット及び画像形成装置並びに回転体のアース方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、感光体ドラム等の回転体とそれを回転可能に支持するシャフトとを、金属製の導電性部材を介して導通させて回転体をアースするアース構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記回転体のアース構造の概略構成を図31に示す。
図31において、符号100は感光体ドラム、符号200は感光体ドラムを支持する導電性のシャフトである。感光体ドラム100の一端部には、非伝導性樹脂などから成る支持部材としてのフランジ300が嵌合されており、フランジ300によって、感光体ドラム100はシャフト200に対して回転可能に支持されている。また、フランジ300には、導電部材としての金属製の板バネ400が取り付けられおり、板バネ400は、図の符号400aと400bに示す箇所において感光体ドラム100の内周面とシャフト200の外周面にそれぞれ接触している。このように、板バネ400によって感光体ドラム100とシャフト200とが導通され、感光体ドラム100がアースされていた。
【0004】
また、回転体とシャフトとを導通させるアース構造ではないが、導電性の布等を用いて回転体をアースするアース構造が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
特許文献2に記載のアース構造は、発泡弾性樹脂製の芯材に導電性の布を巻き付けてアース手段としてのガスケットを作製し、そのガスケットの表面(導電性の布)にローラ軸を押し当ててアースしている。
特許文献3に記載のアース構造は、アース用導電板に導電性の布を貼り付け、その導電性の布を搬送ローラの回転軸に接触させることによってアースしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図31に示す上記感光体ユニットにおいて、感光体ドラム100を回転させると、板バネ400はシャフト200に対して摺動する。しかしながら、この場合、板バネ400は金属製であるので、板バネ400とシャフト200との接触部400bにおいて、互いにもしくはいずれか一方の部材に摩耗が生じ、これが原因で異音が発生すると言った問題がある。また、板バネ400が金属製であることにより、酸化による導通不良が発生する虞もある。上記板バネの摺動による摩耗を防止策として、板バネとシャフトとの接触部に導電性潤滑剤を塗布する方法があるが、板バネの摺動に伴って潤滑剤が次第に掻き取られることにより潤滑効果が経時的に低下するため、根本的な解決には至らない。
【0006】
また、金属製の導電部材を使用しない例として、上記特許文献2、3に開示された技術があるが、これらは、回転体とシャフトとを導通させるアース構造ではいため、シャフトに対して回転可能に取り付けられた回転体のアース構造に適用することは困難である。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、導電部材の摺動部において発生する摩耗や異音を防止すると共に、長期に亘って良好な導通を維持することが可能な回転体のアース構造、像担持体ユニット、プロセスユニット及び画像形成装置並びに回転体のアース方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、筒状の回転体と、前記回転体内に挿入されたシャフトと、前記回転体と前記シャフトの間に配設されて前記回転体を前記シャフトに対して回転可能に支持する支持部材と、前記支持部材に取り付けられると共に前記回転体の内周面と前記シャフトの外周面に接触して導通させる可撓性の導電部材とを備えたものである。
【0009】
回転体を回転させると、導電部材が回転体の内周面又はシャフトの外周面に対して摺動しながら回転するが、導電部材は可撓性を有するので、回転体又はシャフトとの導電部材の摺動部において摩耗が生じることがほとんどない。これにより、摺動部における異音の発生を高度に抑制又は防止することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の回転体のアース構造において、前記導電部材を前記支持部材に取り付け、当該支持部材を前記回転体内に挿入可能な位置に位置合わせした状態で、前記回転体の軸方向から見て、前記導電部材は、前記回転体の内周面のよりも外周側に配設された第1接触部と、前記回転体内の前記シャフトを挿入する位置に配設された第2接触部とを有するものである。
【0011】
これにより、回転体と、シャフトと、導電部材を取り付けた支持部材とを組み付けることによって、導電部材の第1接触部を回転体の内周面に接触させると共に、導電部材の第2接触部をシャフトの外周面に接触させて、回転体とシャフトとを導通させることが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の回転体のアース構造において、前記導電部材を前記支持部材の前記回転体への挿入方向前端に取り付け、前記支持部材の外周面の前記挿入方向前端側において少なくとも前記導電部材の前記第1接触部に対応した部分に、前記回転部材の内周面との間に隙間を形成するための隙間形成部を設けたものである。
【0013】
この場合、支持部材に導電部材を取り付けた状態で、その支持部材を回転体内に挿入すると、導電部材の第1接触部は、隙間形成部と回転体の内周面との間に形成される隙間に収容される。このため、支持部材を回転体内に挿入する際に、導電部材が回転体の開口端と支持部材との間に噛み込まれることがない。これにより、噛み込まれることによる導電部材の破損を防止することができると共に、支持部材を回転に挿入しやすくなる。また、上記隙間内に第1接触部を収容することによって、第1接触部と回転体との接触範囲を広く確保することができるようになり、導通性を向上させることもできる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の回転体のアース構造において、前記第1接触部を前記回転体の周方向に複数配設したものである。
【0015】
第1接触部を回転体の周方向に複数配設することによって、回転体に対する導電部材の接触部を増やすことができ、より安定した導通を確保することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4に記載の回転体のアース構造において、前記複数の第1接触部を前記回転体の周方向に等間隔に配設したものである。
【0017】
複数の第1接触部を回転体の周方向に等間隔に配設することにより、組み付け時に生じる回転体の内周面と第1接触部との摺接による引っ張り力を、導電部材の周方向に均等に作用させることができる。これにより、導電部材が位置ずれすることなく所定の位置で回転体やシャフトに接触することができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2から5のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記第1接触部の内径側の幅を外径側の幅よりも大きく形成したものである。
【0019】
この場合、第1接触部の内径側の幅が大きく形成されているため、回転体に接触しても第1接触部が倒れにくくなり、第1接触部の先端部(外径側)において回転体との接触圧が低い状態で、安定した導通を確保することができる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項2から6のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記導電部材を矩形のシート材で構成し、当該シート材の角部を前記第1接触部としたものである。
【0021】
シート材の角部を前記第1接触部とした場合、第1接触部の内径側の幅が大きく形成されているため、回転体に接触しても第1接触部が倒れにくくなり、第1接触部の先端部(外径側)において回転体との接触圧が低い状態で、安定した導通を確保することができる。また、導電部材を矩形のシート材で構成する場合は、素材から導電部材を切り取って作製する際に、素材の無駄が出にくくなり、製造コストを低減することが可能である。
【0022】
請求項8の発明は、請求項2から7のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記第2接触部を、前記導電部材に前記シャフトを挿通可能な切れ込みを形成することによって構成したものである。
【0023】
これにより、第2接触部を、導電部材に切れ込みを形成するだけの簡単な加工によって構成することができる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項2から7のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記第2接触部を、前記シャフトが挿通される部分から放射状に伸びる複数の切れ込みで構成したものである。
【0025】
この場合は、シャフトに対する導電部材の接触部を増やすことができ、より安定した導通を確保することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記支持部材に凸部を設けると共に、前記導電部材に前記凸部を挿通させるための切れ込み、スリット又は孔部を設けたものである。
【0027】
支持部材に設けた凸部を、導電部材に設けた切れ込み、スリット又は孔部に挿通させることにより、導電部材を支持部材に位置決めして保持することができる。これにより、導電部材を取り付けた支持部材を回転体内に挿入する際、導電部材が位置ずれするのを防止することができる。
【0028】
請求項11は、請求項1から10のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記支持部材に前記導電部材の外縁に当接して径方向の移動を規制する規制部を設けたものである。
【0029】
導電部材を取り付けた支持部材を回転体内に挿入する際、規制部が導電部材の外縁に当接して径方向の移動を規制することができるので、導電部材が位置ずれするのを防止することができる。
【0030】
請求項12の発明は、請求項1から11のいずれか1項に記載の回転体のアース構造において、前記支持部材を前記回転体内に挿入可能な位置に位置合わせした状態で、前記回転体の軸方向から見て、前記回転体の内周面よりも外周側に突出した部分を有すると共に前記回転体の径方向に弾性変形可能な押圧部材を前記支持部材に設け、当該押圧部材によって前記導電部材を前記回転体の内周面に押圧するように構成したものである。
【0031】
押圧部材によって導電部材を回転体の内周面に押圧することができるので、回転体に対する導電部材の接触圧を十分に確保することができ、安定した導通を得ることができる。
【0032】
請求項13の発明は、請求項12に記載の回転体のアース構造において、前記押圧部材の前記回転体の内周面よりも外周側に突出した部分に、前記回転体への挿入方向前方に向かって内径方向に傾斜する傾斜面を設けたものである。
【0033】
支持部材を回転体内に挿入する際、傾斜面が回転体の開口端に当接することにより、押圧部材が回転体の開口端に引っ掛かりにくくなり、支持部材を回転体内に挿入しやすくなる。
【0034】
請求項14の発明は、表面に画像を担持可能な回転体によって構成された像担持体と、前記像担持体内に挿入されたシャフトと、前記像担持体と前記シャフトの間に配設されて前記像担持体を前記シャフトに対して回転可能に支持する支持部材とを備えた像担持体ユニットにおいて、前記像担持体のアース構造として請求項1から13のいずれか1項に記載の回転体のアース構造を用いたものである。
【0035】
像担持体のアース構造に、請求項1から13のいずれか1項に記載の回転体のアース構造を用いたことにより、これらのアース構造による上記効果が得られる。
【0036】
請求項15の発明は、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つと、像担持体とを一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、請求項14に記載の像担持体ユニットを備えたプロセスユニットである。
【0037】
プロセスユニットが、請求項14に記載の像担持体ユニットを備えているので、この像担持体ユニットが備えるアース構造による上記効果が得られる。
【0038】
請求項16の発明は、請求項15に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置である。
【0039】
画像形成装置が、請求項15に記載のプロセスユニットを備えているので、このプロセスユニットが備えるアース構造による上記効果が得られる。
【0040】
請求項17の発明は、請求項1から13のいずれか1項に記載の回転体のアース構造を備えた画像形成装置である。
【0041】
画像形成装置が、請求項1から13のいずれか1項に記載の回転体のアース構造を備えているので、これらのアース構造による上記効果が得られる。
【0042】
請求項18の発明は、筒状の回転体とシャフトとの間に配設された支持部材によって前記回転体を前記シャフトに対して回転可能に支持した回転体のアース方法において、前記支持部材に可撓性の導電部材を取り付け、当該支持部材と前記回転体と前記シャフトを組み付けることによって、前記導電部材を前記回転体の内周面及び前記シャフトの外周面に接触させて、前記回転体と前記シャフトを導通させる方法である。
【0043】
回転体を回転させると、導電部材が回転体の内周面又はシャフトの外周面に対して摺動しながら回転するが、導電部材は可撓性を有するので、回転体又はシャフトとの導電部材の摺動部において摩耗が生じることがほとんどない。これにより、摺動部における異音の発生を高度に抑制又は防止することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、回転体又はシャフトとの導電部材の摺動部において摩耗が生じることがほとんどないので、摺動部における異音の発生を高度に抑制又は防止することができる。また、本発明の構成によれば、導電部材とシャフト又は回転体との接触箇所に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤を塗布する必要がないので、環境への負荷も軽減できる。また、導電部材は酸化することがないため、安定した導通を長期に亘って確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明のプロセスユニットの概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る像担持体ユニットの外観斜視図である。
【図4】前記像担持体ユニットの周辺部品を像担持体ユニットの長手方向に切断した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る構成の断面図である。
【図6】前記第1実施形態に係る構成の分解断面図である。
【図7】前記第1実施形態に係る構成の分解斜視図である。
【図8】前記第1実施形態に係る導電部材の平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る構成の分解斜視図である。
【図10】前記第2実施形態に係る導電部材の平面図である。
【図11】前記第2実施形態に係る導電部材の切り取り方を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る構成の断面図である。
【図13】前記第3実施形態に係る構成の分解断面図である。
【図14】前記第3実施形態に係る構成の分解斜視図である。
【図15】前記第3実施形態に係る支持部材の要部拡大図である。
【図16】前記第3実施形態に係る支持部材の変形例を示す図である。
【図17】本発明に係る導電部材の変形例を示す図である。
【図18】本発明に係る導電部材の他の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る構成の断面図である。
【図20】前記第4実施形態に係る構成の分解断面図である。
【図21】前記第4実施形態に係る構成の分解斜視図である。
【図22】本発明の第5実施形態に係る構成の断面図である。
【図23】前記第5実施形態に係る構成の分解断面図である。
【図24】前記第5実施形態に係る環状弾性体を取り付けた支持部材の斜視図である。
【図25】前記環状弾性体の変形例を示す図である。
【図26】前記支持部材の変形例を示す図である。
【図27】本発明に係る導電部材のその他の変形例を示す図である。
【図28】本発明に係る導電部材に形成した切れ込みの変形例を示す図である。
【図29】図28(e)に示す切れ込みにシャフトを挿通した状態を示す図である。
【図30】本発明の構成を駆動ローラのアース構造に適用した実施形態を示す断面図である。
【図31】従来の回転体のアース構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0047】
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、画像形成装置本体25に対して着脱可能に構成された4つのプロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cを備えている。各プロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cは、カラー画像の色分解成分に対応するブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0048】
図2は、上記各プロセスユニットの概略構成図である。
図2に示すように、プロセスユニット1は、像担持体としての感光体ドラム2と、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体ドラム2の表面にトナーを供給する現像手段としての現像装置4と、感光体ドラム2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5等を一体的に有している。なお、図2において、色の識別を表す符号のアルファベット(Bk,Y,M,C,)は省略している。
【0049】
図1において、各プロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cの上方には、感光体ドラム2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。また、各プロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9及び従動ローラ10に張架され、図の矢印の方向に回転(周回走行)可能に構成されている。
【0050】
4つの感光体ドラム2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体ドラム2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
【0051】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0052】
画像形成装置本体25の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ15や、給紙トレイ15から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。一方、画像形成装置本体25の上部には、記録用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0053】
また、画像形成装置本体内60には、下部の給紙トレイ15から上部の排紙トレイ18へ記録用紙を案内するための搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ16から二次転写ローラ12に至る途中には、一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12から排紙ローラ17に至る途中に、記録用紙上の画像を定着させるための定着装置20を配設している。この定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21を加圧する加圧部材としての加圧ローラ22等を有する。定着ローラ21と加圧ローラ22とが互いに圧接した箇所には定着ニップが形成されている。
【0054】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cの感光体ドラム2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体ドラム2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラム2の表面には、露光装置6からレーザ光L(図2参照)がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体ドラム2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0055】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体ドラム2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cの感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0056】
トナー画像が転写された後の各感光体ドラム2の表面に付着する残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0057】
また、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、給紙トレイ15に収容された記録用紙Pが搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12に、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、二次転写ニップに転写電界が形成される。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排出ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0058】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Bk,1Y,1M,1Cのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0059】
図3は、本実施形態に係る像担持体ユニット24の外観斜視図である。また、図4は、前記像担持体ユニット24の周辺部品を像担持体ユニット24の長手方向(軸方向)に切断した断面図である。
図3及び図4に示すように、像担持体ユニット24は、円筒状の感光体ドラム2と、その感光体ドラム2の両端部内に挿入された2つの支持部材31,32と、各支持部材31,32の中心部を貫通するように設けられたシャフト40等によって構成されている。感光体ドラム2はこれらの支持部材31,32を介してシャフト40に対して回転可能に支持されている。
【0060】
詳しくは、各支持部材31,32は、それぞれ、シャフト40を挿通するための孔31a,32aを有する円筒状の部材で構成されている。本実施形態では、各支持部材31,32は、感光体ドラム2に圧入嵌合して取り付けられている。また、各支持部材31,32は、それぞれ、外径方向に突出した当接部31b,32bを有し、各支持部材31,32を感光体ドラム2内に圧入された際、それら当接部31b,32bが感光体ドラム2の開口端に当接することによって、各支持部材31,32は所定の位置で位置決めされるようになっている。
【0061】
図3又は図4において、左側の支持部材32の感光体ドラム2から露出した部分の外周面には、周方向に配設された複数の歯列から成るギア部32cが設けてある。このギア部32cは、図示しない駆動装置のギア列等の駆動力伝達部材と噛み合っており、前記駆動装置の回転駆動がギア部32cを介して伝達されることによって、感光体ドラム2はシャフト40に対して回転するようになっている。
【0062】
シャフト40は、その両端部において、プロセスユニットのフレーム29によって支持されている。また、シャフト40は、フレーム29に対して、止め輪等の回転防止部材33によって回転しないように取り付けられていると共に、図の左側への抜け止めがされている。また、シャフト40は、回転防止部材33を配設した端部側と反対側の端部において、図示しない別部材によって軸方向に対する完全な抜け止めがされている。
【0063】
上述のように、感光体ドラム2は、画像形成を行う毎に帯電と除電を繰り返し行われる。帯電された感光体ドラム2に蓄積された静電気を除電するために、感光体ドラム2にはアース構造が設けられている。本実施形態では、シャフト40は、導電性の特殊鋼等の金属で構成されており導電性を有するが、2つの支持部材31,32は、それぞれ非導電性樹脂などで構成されている。このため、本実施形態では、図4に示すように、右側の支持部材31に導電部材50を取り付け、この導電部材50を介して感光体ドラム2とシャフト40とを導通させるようにしている。
【0064】
以下、本発明の特徴部分であるアース構造について説明する。
まず、図5〜図8に基づいて、本発明の第1実施形態に係る構成について説明する。
図5は、感光体ドラム2の導電部材50を配設した端部周辺の断面図、図6は、図5に示す感光体ドラム2、支持部材31、シャフト40の組み付け前の状態を示す分解斜視図である。また、図7は、支持部材31と導電部材50との取り付け前の状態を示す分解斜視図、図8は、導電部材50の平面図である。
【0065】
図5に示すように、感光体ドラム2は、円筒状の導電性基材2aと、その導電性基材2aの外周面に配設された感光体層2bによって構成されている。導電部材50は、この感光体ドラム2の導電性基材2a(内周面)と接触する第1接触部Aと、シャフト40の外周面とに接触する第2接触部Bを有している。また、導電部材50は、導電性と可撓性を有するシート状の部材で構成されている。例えば、導電部材50は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維及びポリエステル繊維の少なくとも1つの繊維とニッケル及び銅とを織り込んだ布状材から成り、導通性と共に適度な潤滑性も有している。
【0066】
図5において、支持部材31は図の右側から左側へ向かって感光体ドラム2内に挿入されており、その支持部材31の挿入方向前端31cに導電部材50が取り付けられている。詳しくは、図7に示すように、支持部材31の挿入方向前端31c(端面)には複数の凸部31dが設けてあり、各凸部31dを導電部材50に形成された一文字型の切れ込み50aに挿通することで、導電部材50を支持部材31に取り付けることができるようになっている。本実施形態において、上記凸部31dと切れ込み50aは、それぞれ中央部に対して対称位置に2つ設けてある。また、切れ込み50aの代わりに、開口幅のあるスリットや孔部などを形成してもよい。
【0067】
図7に示すように、導電部材50の中央部には十文字型又は放射状の切れ込み50bが形成されている。この十文字型の切れ込み50bは、導電部材50を支持部材31に対する取付位置に配置した状態で、シャフト挿通用の孔31aに対応した位置に配設されている。すなわち、十文字型の切れ込み50bは、支持部材31にシャフト40を挿入する位置に形成されている。この十文字型の切れ込み50bを形成することによって、導電部材50の中央部には独立して撓むことが可能な4つの三角形状の片50dが形成される。これらの三角形状の片50dは、切れ込み50bにシャフト40が挿入された際、撓んでシャフト40の外周面に接触する上記第2接触部Bとして機能するようになっている(図5参照)。
【0068】
また、図7又は図8に示すように、導電部材50は、その周縁から突出した2つの矩形の突片部50cを有している。各突片部50cは、中央部を挟んで互いに反対側の縁に配設されている。図6に示すように、導電部材50を支持部材31に取り付け、当該支持部材31を感光体ドラム2内に挿入可能な位置に位置合わせした状態で、感光体ドラム2の軸方向から見て(図8参照)、上記各突片部50cは、感光体ドラム2の内周面2cよりも外周側に配設されている。すなわち、突片部50cは、感光体ドラム2内に挿入された際にその内周面2cに接触する上記第1接触部Aとして機能するようになっている(図5参照)。
【0069】
図7に示すように、支持部材31の外周面は、最も外径の大きい上記位置決め用の当接部31bと、当接部31bよりも小さい外径であって感光体ドラム2の内周面と嵌合する嵌合部31fと、嵌合部31fよりもさらに小さい外径の隙間形成部31eとによって構成されている。また、隙間形成部31eは、挿入方向前端31cと連続状に状に形成されている。これにより、本実施形態では、支持部材31を感光体ドラム2に挿入した状態で(図5参照)、隙間形成部31eと感光体ドラム2の内周面2cとの間には隙間Sが形成されるようになっている。
【0070】
以下、感光体ドラム2、導電部材50、支持部材31及びシャフト40の組み付け方法について説明する。
まず、図7において、導電部材50の一文字型の各切れ込み50aに、支持部材31の各凸部31dを挿通させて、導電部材50を支持部材31に対して位置決めして取り付ける。次に、図6に示すように、導電部材50を取り付けた支持部材31を感光体ドラム2内に挿入する。このとき、導電部材50の突片部50cは感光体ドラム2の開口端に当接して撓み、感光体ドラム2内に挿入される。そして、突片部50cは感光体ドラム2の内周面に摺接しつつ感光体ドラム2の奥側(軸方向中央部側)に押し込まれる。そのとき、感光体ドラム2の内周面に摺接する突片部50cには、摩擦によって引っ張り力が作用するが、導電部材50が支持部材31の凸部31dによって保持されているため位置ずれが防止される。そして、図5に示すように、支持部材31の当接部31bが感光体ドラム2の開口端に当接した時点で、支持部材31の挿入が完了する。図5に示す支持部材31の挿入完了状態では、突片部50c(第1接触部A)は、支持部材31の隙間形成部31eと感光体ドラム2の内周面2cとの間に形成される隙間Sに収容された状態で、感光体ドラム2の内周面2cに対し接触した状態で維持される。
【0071】
上記支持部材31の挿入を完了した後、支持部材31の孔31aにシャフト40を図5の右側から左側に向かって挿入する。そして、シャフト40の先端が導電部材50の位置に到達したとき、シャフト40は導電部材50の中央に形成された十文字型の切れ込み50bを押し広げるようにして貫通する。このとき、十文字型の切れ込み50bによって形成された三角形状の各片50d(第2接触部B)は、撓んでシャフト40の外周面に接触する。そして、シャフト40の挿通を完了した状態で、上記三角形状の各片50dはシャフト40の外周面に対して接触した状態で維持される。このようにして、各部材の組付けが完了した状態となり、その結果、感光体ドラム2とシャフト40とが導電部材50を介して導通された状態となる。
【0072】
上記本発明の実施形態では、支持部材31を感光体ドラム2内に挿入する際に、導電部材50の突片部50cが隙間形成部31eと感光体ドラム2の内周面2cとの間の隙間Sに収容されるようになっているので、導電部材50が感光体ドラム2の開口端と支持部材31の外周面との間に噛み込まれることがない。このため、噛み込まれることによる導電部材50の破損を防止することができると共に、支持部材31を感光体ドラム2に挿入しやすくなる。また、上記隙間S内に突片部50cを収容することによって、突片部50cと感光体ドラム2との接触範囲を広く確保することができるようになり、導通を向上させることも可能である。本実施形態では、隙間形成部31eを支持部材31の外周の一周に渡って形成しているが、隙間形成部31eは少なくとも突片部50cに対応した位置にあればよい。
【0073】
なお、感光体ドラム2に対する支持部材31及びシャフト40の組み付け順は、上記説明した順に限定されるものではない。各部材の組み付け後の状態が図5に示す状態となるのであれば、組み付け順は適宜変更することが可能である。例えば、支持部材31にシャフト40を挿通させてから、その支持部材31を感光体ドラム2内に挿入してもよい。
【0074】
図9〜図11に、本発明の第2実施形態に係る構成を示す。
図9は、支持部材31と導電部材50との取り付け前の状態を示す分解斜視図、図10は、導電部材50の平面図である。また、図11は、導電部材50の切り取り方を示す図である。
【0075】
この第2実施形態では、上記第1実施形態と比較して、導電部材50と支持部材31の構成が異なる。まず、導電部材50の構成について説明する。
図9及び図10に示すように、第2実施形態に係る導電部材50は、外形が正方形に形成されている。図10に示す大小2つの一点鎖線円のうち、大きい方の一点鎖線円は、導電部材50を上記感光体ドラム2に挿入する位置に位置合わせした状態で、軸方向から見た感光体ドラム2の内周面2cの位置を示す。図10に示すように、導電部材50の4つの角部50iは、それぞれ感光体ドラム2の内周面2cよりも外周側に配設されている。すなわち、この実施形態では、4つの角部50iは、感光体ドラム2内に挿入された際にその内周面2cに接触する上記第1接触部Aとして機能する。
【0076】
また、図10において、小さい方の一点鎖線円は、シャフト40の挿入位置を示す。そのシャフト40の挿入位置に対応する導電部材50の部位には、上記第1実施形態と同様に、十文字型の切れ込み50bを形成して、独立して撓むことが可能な4つの三角形状の片50d(第2接触部B)を形成している。
【0077】
次に、第2実施形態に係る支持部材31の構成について説明する。
図9に示すように、支持部材31の挿入方向前端31c(端面)の周縁には、4つの凸状の規制部31gが設けられている。各規制部31gは、導電部材50が支持部材31に取り付けられた状態で、導電部材50の外縁に当接して径方向の移動を規制するようになっている。また、導電部材50が支持部材31に取り付けられた状態で、導電部材50の4つの角部50iに対応する支持部材31の外周面には、平面状の隙間形成部31eが形成されている。これにより、支持部材31を感光体ドラム2内に挿入した際、導電部材50の各角部50iを、隙間形成部31eと感光体ドラム2との間に形成される隙間に挿入することができる。また、第2実施形態における各部材の組み付けは、上記第1実施形態と同様に行うことが可能であるので説明を省略する。
【0078】
上記のように、本発明に係る第2実施形態では、支持部材31に複数の規制部31gを設けているので、導電部材50を取り付けた支持部材31を感光体ドラム2内に挿入する際に、導電部材50が径方向に位置ずれするのを防止することができる。また、第2実施形態では、導電部材50を正方形に形成しているので、図11に示すように、シート材49から導電部材50を切り取って作製する際に、素材としてのシート材49の無駄が出にくくなる。これにより、製造コストを低減することが可能である。また、この実施形態では、三角形状の角部50iを第1接触部Aとしているので、第1接触部Aの内径側の幅が外径側の幅に比べて大きくなる。このため、第1接触部Aは感光体ドラム2に接触しても倒れにくくなり、第1接触部Aの先端部(外径側)において感光体ドラム2との接触圧が低い状態で、安定した導通を確保することができる。
【0079】
図12〜図15に、本発明の第3実施形態に係る構成を示す。
図12は、感光体ドラム2の導電部材50を配設した端部周辺の断面図、図13は、図12に示す感光体ドラム2、支持部材31、シャフト40の組み付け前の状態を示す分解断面図である。また、図14は、支持部材31と導電部材50との取り付け前の状態を示す分解斜視図、図15は、支持部材31の要部拡大図である。
【0080】
図12〜図14に示すように、第3実施形態に係る支持部材31は、導電部材50を押圧する押圧部材として、径方向に弾性変形可能な一対の弾性アーム31hを有している。それ以外は、各部材において図5〜図7等に示す上記第1実施形態と基本的に同様に構成されている。上記各弾性アーム31hの先端部は、支持部材31を感光体ドラム2に対して挿入する位置に位置合わせした状態で(図13参照)、感光体ドラム2の内周面2cよりも外周面側に突出している。また、この実施形態では、各弾性アーム31hを、支持部材31の隙間形成部31eと嵌合部31fとを繋ぐ段差面から挿入方向前方に向かって突出又は延伸するように一体的に設けてある。
【0081】
図14に示すように、導電部材50を支持部材31に対して取付位置に配設した状態(同図の点線で示す導電部材50の位置)で、各弾性アーム31hと導電部材50の突片部50cは互いに対応するようになっている。なお、弾性アーム31hの個数は、導電部材50に設けた突片部50cの個数に対応させて決定すればよいので、この実施形態のように2つに限定されることはない。
【0082】
図15(a)は、上記弾性アーム31hを拡大した図である。また、同図において一点鎖線は、上記支持部材31を感光体ドラム2に対して挿入する位置に位置合わせした状態での感光体ドラム2の内周面2cの位置を示している。
【0083】
図15(a)に示すように、この実施形態では、弾性アーム31hの少なくとも感光体ドラム2の内周面2cよりも外周側に突出した部分に、平面状の傾斜面310が形成されている。この傾斜面310は、挿入方向前方(図15(a)の左方向)に向かって内径方向に傾斜している。また、図15(b)に示すように、上記傾斜面310は曲面状に形成されていてもよい。
【0084】
図13に示すように、支持部材31に導電部材50を取り付け、その支持部材31を感光体ドラム2内に挿入すると、導電部材50の突片部50cと弾性アーム31hが、感光体ドラム2の開口端に当接する。さらに、支持部材31を感光体ドラム2内に押し込むと、弾性アーム31hは内径方向に弾性変形して突片部50cと共に感光体ドラム2内に挿入される。そして、図12に示すように、支持部材31の挿入を完了すると、各突片部50cは弾性アーム31hによって感光体ドラム2の内周面2cに押圧された状態で保持される。また、この状態で、各突片部50cは、支持部材31の隙間形成部31eと感光体ドラム2の内周面2cとの間に形成された隙間Sに収容されている。また、この第3実施形態において、支持部材31に対する導電部材50の取り付けと、支持部材31とシャフト40との組み付けについては、上記第1実施形態と同様に行うことが可能であるので説明を省略する。
【0085】
上記のように、本発明に係る第3実施形態では、弾性アーム31hによって導電部材50の突片部50cを感光体ドラム2の内周面2c側に押圧することができるので、感光体ドラム2に対する突片部50cの接触圧を十分に確保することができる。これにより、導電部材50と感光体ドラム2との間で安定した導通を得ることが可能となる。また、この実施形態では、弾性アーム31hに傾斜面310を形成しているので、支持部材31を感光体ドラム2に挿入する際、弾性アーム31hが感光体ドラム2の開口端に引っ掛かりにくくなり、弾性アーム31hを感光体ドラム2内に挿入しやすくなる。
【0086】
上記弾性アーム31hを有していない本発明のアース構造(例えば、図7や図9等参照)においては、隙間形成部31eによって形成される隙間Sの径方向の幅を小さくするほど、感光体ドラム2の内周面2cに対する突片部50cの接触圧を確保しやすくなる。しかし、隙間Sの径方向幅を小さくし過ぎると、突片部50cを隙間S内に挿入しにくくなるため、隙間Sの寸法管理が重要となる。これに対し、第3実施形態では、弾性アーム31hによって突片部50cの接触圧を確保することが可能であるので、その接触圧が上記隙間Sの大きさに依存することがなく、隙間Sの寸法管理も容易となる利点がある。
【0087】
また、図16に、上記第3実施形態に係る支持部材31の変形例を示す。
図16に示す変形例では、弾性アーム31hを支持部材31と別部材で構成している。この変形例では、支持部材31の嵌合面31fに凹部311を形成し、その凹部311に弾性アーム31hを嵌め込んで図示しない固定手段によって弾性アーム31hを固定している。このように、弾性アーム31hを支持部材31と別部材で構成している場合は、弾性アーム31hの材質を支持部材31の材質とは異なるものを選択できるようになるので、上記導電部材50の突片部50cに対する弾性アーム31hの押圧力を調整することが可能となる。
【0088】
図17と図18は、導電部材50の変形例を示す図である。
図17(a)に示すように、導電部材50が略S字状に形成されている場合は、導電部材50の一対の突片部50cを弾性アーム31hに対応させて取り付ける。また、図18(a)に示すように、導電部材50が菱形に形成されている場合は、導電部材50の対向する一対の角部50iを弾性アーム31hに対応させて取り付ければよい。また、このように、導電部材50を上記略S字型又は上記菱形に形成した場合は、図17(b)又は図18(b)に示すように、シート材49から導電部材50を切り取る際に、シート材49の無駄が出にくくなり、製造コストを低減することが可能である。
【0089】
図19〜図21に、本発明の第4実施形態に係る構成を示す。
図19は、感光体ドラム2の導電部材50を配設した端部周辺の断面図、図20は、図19に示す感光体ドラム2、支持部材31、シャフト40の組み付け前の状態を示す分解断面図である。また、図21は、支持部材31と導電部材50との取り付け前の状態を示す分解斜視図である。
【0090】
図19〜図21に示すように、第4実施形態に係る支持部材31は、上記第2実施形態における規制部31g(図9等参照)と、上記第3実施形態における弾性アーム31h(図14等参照)とをそれぞれ有するものである。ただし、第4実施形態における規制部31g及び弾性アーム31hは、第2実施形態及び第3実施形態のものと多少構成が異なっている。具体的には、図21に示すように、規制部31gは、取り付ける導電部材50の形状に対応して2つだけ設けられている。また、弾性アーム31hは、挿入方向後端へ向かって延伸するように形成されており、全体として挿入方向前方に向かって内径方向に傾斜している。なお、第4実施形態における規制部31gと弾性アーム31hによる作用・効果は、上記第2実施形態及び第3実施形態において説明した作用・効果と同様であるので説明を省略する。
【0091】
図22〜図26に、本発明の第5実施形態に係る構成を示す。
図22は、感光体ドラム2の導電部材50を配設した端部周辺の断面図、図23は、図22に示す感光体ドラム2、支持部材31、シャフト40の組み付け前の状態を示す分解斜視図である。また、図24は、環状弾性体31iを取り付けた支持部材31の斜視図、図25は、環状弾性体31iの変形例を示す図、図26は、支持部材31の変形例を示す図である。
【0092】
図22〜図24に示すように、第5実施形態に係る支持部材31の隙間形成部31eには、導電部材50を押圧する押圧部材として、ゴムやスポンジなどで形成された環状弾性体31iが装着されている。図23に示すように、環状弾性体31iを装着した支持部材31を、感光体ドラム2に対して挿入する位置に位置合わせした状態では、環状弾性体31iの外周面は、感光体ドラム2の内周面2cよりも外周面側に突出している。
【0093】
図23に示すように、支持部材31に導電部材50を取り付けて、その支持部材31を感光体ドラム2内に挿入すると、環状弾性体31iは感光体ドラム2の開口端に対し突片部50cを介して当接する。さらに、支持部材31を感光体ドラム2内に押し込むと、環状弾性体31iは内径方向に圧縮弾性変形して感光体ドラム2内に挿入される。そして、図22に示すように、支持部材31の挿入を完了した状態では、各突片部50cが隙間形成部31eと感光体ドラム2の内周面2cとの間に形成された隙間Sに収容されると共に、各突片部50cは圧縮された環状弾性体31iによって感光体ドラム2の内周面2cに押圧された状態で保持される。また、この第5実施形態において、支持部材31に対する導電部材50の取り付けと、支持部材31とシャフト40との組み付けについては、上記第1実施形態において説明したのと同様に行うことが可能である。
【0094】
上記のように、第5実施形態では、環状弾性体31iによって導電部材50の突片部50cを感光体ドラム2の内周面2c側に押圧することができるので、感光体ドラム2に対する突片部50cの接触圧を十分に確保することができ、安定した導通を得ることが可能である。また、環状弾性体31iを有することによって、突片部50cの接触圧が隙間形成部31eと感光体ドラム2との間の隙間Sの大きさに依存しなくなるので、隙間Sの寸法管理も容易となる。
【0095】
また、この実施形態では、環状弾性体31iの外周面は、図24(a)に示すように円形に形成されており、その外周面の全周に渡って導電部材50を感光体ドラム2の内周面に押圧可能に構成されている。これ以外に、図24(b)に示すように、環状弾性体31iの外周面を六角形等の多角形に形成することも可能である。また、この場合、環状弾性体31iの角部を導電部材50の突片部50cの位置に対応させて配置することにより、突片部50cを感光体ドラム2の内周面に確実に押圧することができる。
【0096】
また、環状弾性体31iの断面形状は、図25(a)に示す円形や、図25(b)に示す矩形、あるいはそれ以外の形状であってもよい。また、図25(c)に示すように、環状弾性体31iが自由状態(支持部材31に装着されない状態)である場合、必ずしも円環状に形成されていなくてもよい。
【0097】
また、支持部材31における隙間形成部31eの外周形状は、図26(a)に示すような円形であってもよいし、又は図26(b)に示すような六角形等の多角形であってもよい。例えば、図26(b)に示す六角形の隙間形成部31eに、図25(c)に示す環状弾性体31iを装着することによって、環状弾性体31iを六角形状に変形させ、その角部によって導電部材50を押圧することも可能である。
【0098】
また、図27に、導電部材50のその他の変形例を示す。
図27(a)に示す導電部材50は、矩形の突片部50cを周方向に等間隔に4つ設けている。それ以外は、図8に示す導電部材50と同様に構成されている。このように、突片部50cの数を多くすることによって、感光体ドラム2との接触部(第1接触部A)を増やすことができ、より安定した導通を確保することができる。
【0099】
これに対し、図27(b)に示す導電部材50は、突片部50cを1つのみ設けている。突片部50cを1つとすることで、導電部材50のサイズを小さくしコスト削減を図ることが可能である。また、本変形例では、突片部50cの形状を、その内径側から外径側に向かうにつれて幅が小さくなる三角形状に形成している。この場合、突片部50cの根本部位(内径側)の幅を大きくすることができ、感光体ドラム2に接触しても突片部50cが倒れにくくなるので、突片部50cの先端部(外径側)において感光体ドラム2との接触圧が低い状態で、安定した導通を確保できる。
【0100】
図27(c)に示す導電部材50は、シャフト40を挿入する位置に矩形の片50eを配設している。この場合、シャフト40は電部材50を貫通しない構成となっている。また、本変形例では、感光体ドラム2の内周面2cに接触する突片部50cは、外径側に向かって細くなる三角形状に形成されたものが1つ設けてある。これにより、突片部50cは感光体ドラム2に接触しても倒れにくくなり、突片部50cの先端部において感光体ドラム2との接触圧が低い状態で、安定した導通を確保することができる。また、この導電部材50には、上記支持部材31の凸部31d(図7等参照)を挿通させる箇所に、切れ込みに代えて孔部50fが2つ形成されている。
【0101】
図27(d)に示す導電部材50は、外径側に向かうにつれて細くなる三角形状の突片部50cを複数有しており、各突片部50c同士は間隔をあけずに配設されている。この場合も、感光体ドラム2との接触部(第1接触部A)を増やすことができ、より安定した導通を確保することができる。さらに、突片部50cの根本部位の幅が大きく形成されているため、感光体ドラム2に接触しても突片部50cが倒れにくくなり、突片部50cの先端部において感光体ドラム2との接触圧が低い状態で、安定した導通を確保することも可能である。
【0102】
図27(e)に示す変形例では、導電部材50の外径D1を、感光体ドラム2の内径D2よりも大きく形成し、その導電部材50の外周縁に放射状の切れ込み50gを形成している。各切れ込み50gの間に形成された複数の片50hは、それぞれ独立して撓むことが可能であり、導電部材50が感光体ドラム2内に挿入された際にこれらの片50hが感光体ドラム2の内周面2cに接触する第1接触部Aとして機能する。
【0103】
ところで、導電部材50を取り付けた支持部材31を、感光体ドラム2内に挿入する際、導電部材50の突片部50cが感光体ドラム2の内周面2cと摺接するので、その摩擦抵抗によって導電部材50には突片部50cの先端側へ引っ張り力が作用する。このとき、導電部材50が引っ張り力によって移動してずれないように、突片部50cは、例えば、上記図8や図27(a)に示すように、等間隔に複数設けることが好ましい。これにより、感光体ドラム2の内周面2cとの摺接による引っ張り力を導電部材50の周方向に均等に作用させることができるので、導電部材50が径方向にずれにくくなる。また、図27(d)や(e)に示す導電部材50を用いた場合も、感光体ドラム2との摺接による引っ張り力を導電部材50の周方向に均等に作用させることができ、導電部材50のずれを抑制することが可能である。
【0104】
また、図28に、導電部材50のシャフト40を挿入する位置に設けた切れ込み50bの変形例を示す。
図28(a)に示すように、切れ込み50bは、上記十文字型以外に、一文字型に形成してもよい。また、図28(b)に示す切れ込み50bのように、十文字型の切れ込みに、さらに放射状に切れ込みを追加してもよい。この場合は、シャフト40との接触部を増やすことができ、より安定した導通を確保することができる。
【0105】
図28(c)に示す切れ込み50bは、折れ線型に形成されており、シャフト40を挿入する範囲を切れ込み50bが複数回横切っている。この場合も、シャフト40との接触部を増やすことができ、より安定した導通を確保することが可能である。また、切れ込み50bを、曲線の角部を有する波線型に形成してもよい。
【0106】
図28(d)に示す切れ込み50bは、図の横方向の1つの切れ込みに対して図の縦方向に複数の切れ込みを形成している。これにより、導電部材50とシャフト40との接触部が多くなり安定した導通を確保できる。また、本変形例では、図の縦方向の切れ込みの長さを、シャフト40の外径形状に倣って変化させている。これにより、切れ込みを形成する範囲を必要最低限に抑えることができ、導電部材50の剛性を向上させてそのサイズをコンパクト化することができる利点がある。
【0107】
図28(e)に示す切れ込み50bは、放射状に形成されているが、その中心は、シャフト40を挿入する範囲の中心から偏倚した位置に配設されている。この切れ込み50bにシャフト40を挿通させると、図29に示すように、導電部材50をシャフト40の軸方向に異なる位置で接触させることができ、接触範囲の拡大が図れるため、導通の安定性が期待できる。
【0108】
以下、上記本発明の各実施形態の共通する作用・効果について、図4及び図5を例に説明する。
図4において、図示しない駆動装置からの駆動力を左側の支持部材32に設けたギア部32cに伝達して、その支持部材32を回転させると、感光体ドラム2、支持部材31及び導電部材50が回転する。このとき、導電部材50は、図5に示す第2接触部Bにおいてシャフト40の外周面上を摺動しながら回転するが、本発明に係る導電部材50は可撓性の部材で構成されているので、導電部材50とシャフト40との間で摩耗が生じることがほとんどない。
【0109】
これにより、本発明の実施形態においては、導電部材50とシャフト40との摺動部において、摩耗による異音の発生を高度に抑制又は防止することができる。また、本発明の構成によれば、導電部材50とシャフト40との接触箇所に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば、導電性グリース等)を塗布する必要がないので、環境への負荷も軽減できる。また、導電部材50は酸化することがないため、安定した導通を長期に亘って確保することも可能となる。また、本発明に係る導電部材50は、シート材を所定の形状に切り取り、切れ込みや孔等を形成するだけの非常に簡単な加工によって作製することが可能であり、簡易な構成によって上記効果を得ることができる。
【0110】
上記本発明に係る各実施形態は、感光体ドラムのアース構造に本発明の構成を適用した例であるが、本発明の構成は、感光体ドラム以外の回転体のアース構造にも適用可能である。例えば、図1に示す駆動ローラ9のアース構造に本発明の構成を適用することも可能である。以下、図30に基づいて、本発明の構成を駆動ローラ9のアース構造に適用した実施形態について説明する。
【0111】
図30は、駆動ローラ9の一端部周辺の断面図である。
図30に示すように、駆動ローラ9は、円筒状の導電性基材9aと、その導電性基材9aの外周面に配設されたゴム製のコーティング層9bによって構成されている。また、駆動ローラ9の一端部内には、非導電性樹脂などで構成された支持部材71が挿入して固定されており、この支持部材71によって駆動ローラ9は導電性を有するシャフト60に対して回転可能に支持されている。
【0112】
駆動ローラ9は、図1に示す中間転写ベルト8を張架する以外に、同図に示す二次転写ローラ12に印加されたバイアスにより生じる電流の一部を、グランドに流す役割を兼ねている。しかしながら、中間転写ベルト8の成分や、ベルト内部に混入した異物、トナーなどにより、駆動ローラ9の表面にフィルミングが生じると抵抗値が上昇することがある。このような状態で、二次転写バイアスが繰り返し印加されると、駆動ローラ9のコーティング層が帯電し、経時的に異常放電を起こして画像に放電痕を残すことがある。また、放電時の電流が、二次転写ローラ12の高圧電源側に逆流して高圧基板に異常をきたすこともある。
【0113】
そこで、図30に示すように、導電性と可撓性を有するシート状の部材から成る導電部材50を、駆動ローラ9の内周面とシャフト60の外周面とに接触させることにより、駆動ローラ9とシャフト60との間で導通を確保することができる。また、駆動ローラ9を回転させた際、支持部材71と共に導電部材50も回転し、導電部材50はシャフト60との接触部において摺動するが、上記本発明の各実施形態の場合と同様に、導電部材50とシャフト60との間で摩耗が生じることがほとんどないので、異音の発生を高度に抑制又は防止することができる。また、導電部材50とシャフト60との接触箇所に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば、導電性グリース等)を塗布する必要がないので、環境への負荷も軽減できる。また、導電部材50は酸化することがないため、安定した導通を長期に亘って確保することも可能である。なお、図30において、支持部材71や導電部材50は、図5等に示す上記第1実施形態と同様に構成されているが、その他の上記実施形態に係る構成を適用することも可能である。
【0114】
また、感光体ドラムや駆動ローラ等の回転体をシャフトに対して回転可能に支持する支持部材を、例えば、回転体の内周面に固定された外輪と、シャフトの外周面に固定された内輪と、外輪と内輪との間で転動する球体等から成るベアリングで構成することも可能である。この場合、導電部材をシャフトに対して回転しないようにベアリング(支持部材)に取り付けることも可能であり、その場合は、導電部材は回転体の内周面に対して摺動することになる。このような構成においても、導電部材を可撓性を有する部材で構成することにより、導電部材と回転体との間での摩耗を抑制し、異音の発生を高度に抑制又は防止することが可能である。
【0115】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、本発明は、図1に示す電子写真方式の画像形成装置に限らず、静電記録方式の画像形成装置、又は磁気記録方式等の画像形成装置において、アースが必要な回転体に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 プロセスユニット
2 感光体ドラム(回転体)
9 駆動ローラ(回転体)
24 像担持体ユニット
25 画像形成装置本体
31 支持部材
31c 挿入方向前端
31d 凸部
31e 隙間形成部
31g 規制部
31h 弾性アーム(押圧部材)
31i 環状弾性体(押圧部材)
40 シャフト
50 導電部材
50a 切れ込み
50b 切れ込み
50c 突片部
60 シャフト
71 支持部材
310 傾斜面
A 第1接触部
B 第2接触部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【特許文献1】特開平11−249495号公報
【特許文献2】特開2000−48873号公報
【特許文献3】特許第3950635号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の回転体と、
前記回転体内に挿入されたシャフトと、
前記回転体と前記シャフトの間に配設されて前記回転体を前記シャフトに対して回転可能に支持する支持部材と、
前記支持部材に取り付けられると共に前記回転体の内周面と前記シャフトの外周面に接触して導通させる可撓性の導電部材とを備えたことを特徴とする回転体のアース構造。
【請求項2】
前記導電部材を前記支持部材に取り付け、当該支持部材を前記回転体内に挿入可能な位置に位置合わせした状態で、前記回転体の軸方向から見て、前記導電部材は、前記回転体の内周面のよりも外周側に配設された第1接触部と、前記回転体内の前記シャフトを挿入する位置に配設された第2接触部とを有する請求項1に記載の回転体のアース構造。
【請求項3】
前記導電部材を前記支持部材の前記回転体への挿入方向前端に取り付け、前記支持部材の外周面の前記挿入方向前端側において少なくとも前記導電部材の前記第1接触部に対応した部分に、前記回転部材の内周面との間に隙間を形成するための隙間形成部を設けた請求項2に記載の回転体のアース構造。
【請求項4】
前記第1接触部を前記回転体の周方向に複数配設した請求項2又は3に記載の回転体のアース構造。
【請求項5】
前記複数の第1接触部を前記回転体の周方向に等間隔に配設した請求項4に記載の回転体のアース構造。
【請求項6】
前記第1接触部の内径側の幅を外径側の幅よりも大きく形成した請求項2から5のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項7】
前記導電部材を矩形のシート材で構成し、当該シート材の角部を前記第1接触部とした請求項2から6のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項8】
前記第2接触部を、前記導電部材に前記シャフトを挿通可能な切れ込みを形成することによって構成した請求項2から7のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項9】
前記第2接触部を、前記シャフトが挿通される部分から放射状に伸びる複数の切れ込みで構成した請求項2から7のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項10】
前記支持部材に凸部を設けると共に、前記導電部材に前記凸部を挿通させるための切れ込み、スリット又は孔部を設けた請求項1から9のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項11】
前記支持部材に前記導電部材の外縁に当接して径方向の移動を規制する規制部を設けた請求項1から10のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項12】
前記支持部材を前記回転体内に挿入可能な位置に位置合わせした状態で、前記回転体の軸方向から見て、前記回転体の内周面よりも外周側に突出した部分を有すると共に前記回転体の径方向に弾性変形可能な押圧部材を前記支持部材に設け、当該押圧部材によって前記導電部材を前記回転体の内周面に押圧するように構成した請求項1から11のいずれか1項に記載の回転体のアース構造。
【請求項13】
前記押圧部材の前記回転体の内周面よりも外周側に突出した部分に、前記回転体への挿入方向前方に向かって内径方向に傾斜する傾斜面を設けた請求項12に記載の回転体のアース構造。
【請求項14】
表面に画像を担持可能な回転体によって構成された像担持体と、前記像担持体内に挿入されたシャフトと、前記像担持体と前記シャフトの間に配設されて前記像担持体を前記シャフトに対して回転可能に支持する支持部材とを備えた像担持体ユニットにおいて、
前記像担持体のアース構造として請求項1から13のいずれか1項に記載の回転体のアース構造を用いたことを特徴とする像担持体ユニット。
【請求項15】
帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つと、像担持体とを一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、
請求項14に記載の像担持体ユニットを備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項16】
請求項15に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか1項に記載の回転体のアース構造を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
筒状の回転体とシャフトとの間に配設された支持部材によって前記回転体を前記シャフトに対して回転可能に支持した回転体のアース方法において、
前記支持部材に可撓性の導電部材を取り付け、当該支持部材と前記回転体と前記シャフトを組み付けることによって、前記導電部材を前記回転体の内周面及び前記シャフトの外周面に接触させて、前記回転体と前記シャフトを導通させることを特徴とする回転体のアース方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−118207(P2011−118207A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276264(P2009−276264)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】