説明

圧力センサおよび圧力センサの製造方法

メンブレン(2)はキャリア基板(3)上に配置され、キャリア基板(3)内の開口(32)上に延在する。圧力センサ(1)は、媒体との直接的な接触からメンブレン(2)を保護するために保護層(4)を有する。保護層(4)は開口(32)内側の第1領域(28)および開口(32)外側の第2領域(29)におけるメンブレン(2)を被覆する。さらに、保護層(4)がエッチング処理のためのエッチストップを形成する、圧力センサ(1)の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
MEMS技術を用いて製造することが好ましい、チップ形の圧力センサを提供する。ここで、MEMSは微小電気機械システム(Micro-Electro-Mechanical System)の略称であり、例えば小型機械構造物をウェハの容積内に組み込むような製造方法である。このタイプの圧力センサは圧力のわずかな変化を検出可能であり、ウェハに集積化することによってスペースをとらずに費用効果的にデータ解析装置に接続することができる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に圧力センサが記載されており、この圧力センサの測定用メンブレンは保護ハウジングによって液状またはガス状の腐食性の圧力媒体から保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第4315962号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は非常に費用効果が高く、信頼性が高い方法で圧力媒体から保護される圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
媒体の圧力の作用によって変形しうるピエゾ抵抗メンブレンを有する圧力センサを提供する。このメンブレンはキャリア基板上に配置する。キャリア基板は開口を有し、開口の少なくとも一部にメンブレンが延在する。圧力センサはさらに保護層を有し、媒体との直接的な接触からメンブレンを保護する。保護層は開口内側に位置する第1領域および開口外側に位置する第2領域の双方内のメンブレンを保護する。
【0006】
メンブレンの領域は、この領域がメンブレンに投影される開口の断面領域に直交する領域に位置する場合、メンブレンのこの領域は開口内側に位置するかまたは配置されることが好ましいと考えられる。この場合、キャリア基板の開口の断面領域は、キャリア基板の、メンブレンと反対側の面に位置すると考えられる。メンブレンの領域がこの投影領域の外側に位置する場合、この領域は開口の外側に位置するかまたは配置される。開口内側の領域はメンブレンの変形可能な部分であることが好ましく、開口外側の領域はキャリア基板上に載置されるメンブレンの一部であることが好ましい。
【0007】
キャリア基板はMEMS技術を用いて製造することが望ましい。キャリア基板は例えば開口をエッチング処理により設けるシリコンウェハから形成することができる。エッチング処理において、薄いシリコンの層を開口上に残存させることが可能であり、この層を、圧力を測定するためのメンブレンとして用いることができる。別の製造方法において、開口がキャリア基板を完全に貫通してキャリア基板内にスルーホールを形成するようにエッチング処理を実施することができる。その後次のステップにおいてメンブレンを開口上に形成することができる。
【0008】
メンブレンは例えばメンブレンに圧力が作用するときに起こる機械的応力が生じる際に電気抵抗を変化させるピエゾ抵抗器を有する。媒体の圧力は抵抗の変化を検出して測定することにより算出することができる。したがって、圧力センサは相対圧センサとして、または絶対圧センサとして設計することができる。抵抗を検出するために、例えばキャリア基板上に載置されるメンブレンの領域上に電気コンタクトを配置する。コンタクトはピエゾ抵抗器と電気的に接触し、ボンディングワイヤによりプリント配線基板のストリップ導体に電気的に接続させることができる。
【0009】
キャリア基板は上面および下面を有することが望ましい。保護層は例えばキャリア基板の上面上に位置し、キャリア基板に固定される。メンブレンは、例えば保護層の、キャリア基板と反対側の面に配置され、好ましくは保護層に固定される。この場合、媒体の圧力の作用によってキャリア基板の下側からメンブレンに接触可能であるように圧力センサを設計すると好ましい。
【0010】
保護層は開口内側のメンブレンを完全に被覆することが望ましい。
【0011】
この場合、開口内側の保護層は媒体のメンブレンに対するいかなる直接的接触をも防止することができ、これによりメンブレン保護の信頼性を得ることができる。
【0012】
開口外側の第2領域は開口内側の第1領域に隣接することが望ましい。
【0013】
この場合、保護層は開口内側の第1領域から直接開口外側の第2領域内に延在する。これにより、開口内縁上の媒体によるメンブレンへの直接的な接触を防ぐことができる。保護層は好ましくは開口内側のメンブレンを完全に被覆し、開口外側の領域に向かってメンブレンの表面に沿った全ての方向に延在する。好適な実施形態では、保護層は開口外側のメンブレンを完全に被覆する。
【0014】
キャリア基板の材料は保護層の材料に対して選択的にエッチングできることが望ましい。
【0015】
この場合、開口をキャリア基板に形成するエッチング処理において、保護層がエッチストップの機能を果たすことができる。
【0016】
保護層は二酸化ケイ素および窒化ケイ素の材料のうち少なくとも一方からなることが望ましい。これに代えて、またはこれに加えて、保護層はまた、例えばSiなど他の酸化物からなってもよい。基板は例えばシリコンウェハで形成する。例えばアルカリ水溶液のエッチング液を用いた化学エッチング処理において、保護層の前述の材料によってシリコンを選択的にエッチングすることができる。
【0017】
さらなる実施形態では、開口内側の第1領域内において、保護層は開口外側の第2領域内とは異なる厚さをもつ。第1領域の保護層の厚さは第2領域の保護層の厚さより薄いことが望ましい。
【0018】
開口の内側と外側における厚みの差は、例えば開口を形成するエッチング処理において生じる。これにより、開口内側において保護層の一部の層を除去することができる。こうして、メンブレンの所望の変形特性が得られるように、保護層の厚さを詳細に設定することができる。
【0019】
さらなる実施形態において、保護層は開口に対向するくぼみを有する。くぼみは保護層内に凹部として形成することが望ましい。くぼみの深さは、開口の中心に好ましくは対応するくぼみの中心から開口の内壁に向かう、すなわちくぼみの境界に向かう方向に浅くなり、その結果保護層の厚さは、くぼみの中心から開口の内壁に向かうとともにくぼみの境界に向かう方向に厚くなる。開口の内壁の位置は第1と第2の部分領域の間の境界に対応することが望ましい。さらに、くぼみは全体が第1領域内に位置することが好ましいが、第2領域にまたがってもよく、その場合、くぼみが第1領域および第2の部分領域の一部を被覆し、くぼみの境界が第2領域内に位置するようにする。言い換えれば、開口および保護層のくぼみはアンダカットを形成し、ここで、保護層とキャリア基板の間の界面の平面内のくぼみの表面積は開口の表面積より大きくなる。
【0020】
好適な実施形態では、くぼみが丸みを帯びた凹面の表面形状を有するため、メンブレンを変形させる媒体の圧力により生じるメンブレン内の曲げ応力が均等に分散され好都合である。
【0021】
さらなる実施形態において、圧力センサはメンブレンの、保護層と反対側の面に配置される少なくとも1つのさらなる層を有する。さらなる層もまた保護層の機能を果たすことができ、そのため媒体との直接的な接触からメンブレンの両面を保護することができる。この層は例えば蒸着によりメンブレンの上に成膜される。
【0022】
さらなる実施形態において、圧力センサはメンブレンの、キャリア基板と反対側の面に配置されるハウジングを有する。ハウジングはメンブレンに隣接する空洞をもつことができ好ましい。
【0023】
空洞は好ましくは開口上に位置するメンブレンの変形可能な領域に隣接する。例えばメンブレンおよびハウジングで封止することにより、空洞内が真空状態となる。これにより、媒体の絶対圧を測定することができる。
【0024】
さらなる実施形態により圧力センサを製造するための方法が提示される、ここではキャリア基板を設け、その上には媒体との直接的な接触からメンブレンを保護するための保護層を形成するために第1の層を配置する。第1の層上に第2の層を配置してメンブレンを形成する。その後、第1の層の層厚の少なくとも一部が開口上に残るようにキャリア基板に開口を形成する。
【0025】
例えば絶縁体上シリコン(SOI:Silicon-On-Insulator)ウェハを用いて圧力センサを製造することができる。このタイプのウェハは層を形成するシリコン基板からなり、その上には絶縁層、例えば酸化物層が設けられる。絶縁層上には薄いシリコン層をさらに設ける。SOIウェハの絶縁層から保護層を形成することができる。このさらなる薄いシリコン層からメンブレンを形成することができる。
【0026】
キャリア基板内の開口は構造化エッチング処理で形成することが好ましい。こうして保護層はエッチストップとして作用することができる。
【0027】
開口は、例えばエッチングされキャリア基板の下面に貫通する。キャリア基板の材料が保護層の材料に対して選択的にエッチングできる場合、エッチング処理中に保護層に達する開口が形成される。保護層はエッチング処理を減速させ、または完全に終了させるため、エッチング処理後に絶縁層の少なくとも一部の層が開口内側に残留する。これにより、費用効果的で容易に制御可能なエッチング処理において、エッチング処理中に保護層が確実に残存し、キャリア基板内の開口上のメンブレンを被覆することが可能となる。
【0028】
さらなる実施形態において、圧力センサを製造するための別の方法が提示される。ここではキャリア基板が設けられ、キャリア基板内にはキャリア基板を貫通する開口が形成される。さらに機能性基板を設けるが、機能性基板は外側に媒体との直接的な接触からメンブレンを保護するための保護層を形成する第1の層を有し、その下にはメンブレンを形成する第2の層が配置される。第1の層により機能性基板をキャリア基板に固定し、第1の層の少なくとも一部がキャリア基板内の開口上に配置されるようにする。第1の層は開口を上から被覆し、密閉することが望ましい。このため機能性基板の第1の層の一部が除去され、こうして第2の層からメンブレンが形成される。
【0029】
圧力センサの製造方法のさらなる実施形態において、保護層にくぼみが形成され、くぼみは開口に対向し、保護層内に凹部として形成される。くぼみの中心(くぼみの中心は開口の中心に対応することが望ましい)から開口の内壁、すなわちくぼみの境界の方向に深さが減少するようにくぼみを形成することにより、くぼみの中心からくぼみの内壁に向かうとともにくぼみの境界に向かう方向に保護層の厚さが増加するようにする。
【0030】
さらなる好適な実施形態において、くぼみを第1領域に形成することができ、部分的に第2領域内に延伸させてもよく、これにより開口および保護層のくぼみがアンダカットを形成するようにする。好適な実施形態では、くぼみが丸みを帯びた凹面の表面形状をもつよう形成されるため、メンブレンを変形させる媒体の圧力により生ずるメンブレン内の曲げ応力が均等に分散され好都合である。前述の処理工程および実施形態と組合せて、例えば開口を介して保護層を選択的にエッチングすることによりくぼみを形成することができる。
【0031】
この生産工程には、キャリア基板の上面、すなわち後にメンブレンが配置される面側にキャリア基板内の開口を設けられるという利点がある。こうしてチップ部を得ることができる。
【0032】
提供する圧力センサおよびその有利な実施形態について、正確な縮尺通りではなく模式的な図を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】圧力センサの実施形態の断面図である。
【図2】図2Aおよび2Bはさらなる実施形態により圧力センサを製造するための第1の方法を示す図である。
【図3】図3A〜3Cはさらなる実施形態により圧力センサを製造するための第2の方法を示す図である。
【図4】さらなる実施形態の圧力センサの断面図を示す図である。
【図5】さらなる実施形態の圧力センサの断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1はMEMS技術を用いて製造される圧力センサ1を示す。圧力センサ1はキャリア基板3に形成されるピエゾ抵抗メンブレン2を有する。メンブレン2はキャリア基板3内の開口32上を完全に被覆するよう延在する。開口32はキャリア基板3を貫通する孔である。媒体はキャリア基板3の下面36から開口32内に流れ込み、これを介してメンブレン2に圧力をかけることができる。メンブレン2は媒体の圧力により変形可能であり、かつ機械的応力がかかった場合に電気抵抗を変化させるピエゾ抵抗器を有する。
【0035】
抵抗の変化を検出するために、開口32の両側のメンブレン2上に配置される電気コンタクト5を設ける。電気コンタクト5は、例えばプリント配線基板(図示せず)上の導体ストリップにつながるボンディングワイヤに電気的に接続している。
【0036】
媒体がメンブレン2に直接接触するのを防止する保護層4は、基板3および開口32に対向するメンブレン2の下面26に形成される。保護層4は、開口32上の第1領域28内のメンブレン2の下に配置され、開口32上のメンブレン2を完全に被覆する。第1領域28は、キャリア基板3の、メンブレン2と対向する面に投影される、開口32の断面領域38の領域27内に位置している。保護層4はさらに開口32外側の第2領域29内に延び、キャリア基板3とメンブレン2との間に配置される。保護層4は開口32の外側においてもメンブレン2を完全に被覆する。こうして、メンブレン2において非常に信頼性の高い絶縁性を達成することができる。具体的には、開口32の内縁33において、媒体もメンブレン2に接触することができない。
【0037】
メンブレン2およびキャリア基板3はドーピング処理されたシリコンから形成される。所望のピエゾ抵抗特性を得るために、メンブレンのピエゾ抵抗器は、例えば硼素またはヒ素をさらにドーピングすることによって製造される。保護層4は二酸化ケイ素および窒化ケイ素の材料のうち少なくとも1つを含むかこれらの材料からなる。
【0038】
メンブレン2の厚さは、例えば10μmであり、保護層4の厚さは、例えば、1μmである。
【0039】
図2Aおよび2Bは、このタイプの圧力センサ1を製造するための方法を示す。図2Aに示すように、ここではキャリア基板3を設け、その上に保護層4を形成するための第1の層46を配置する。メンブレン2を形成する第2の層22は、この第1の層46上に配置される。
【0040】
図2Bに示すように、キャリア基板3の、層46および22と反対側の下面36に始まり、キャリア基板3の一部がエッチング処理により除去され、その結果、第2の層22の下に配置され、第1の層46により上方から境界される開口32が形成される。言い換えれば、開口32は第1の層46により被覆されかつ区切られる。こうして、後の圧力センサ1の動作において、媒体の圧力の作用によって変形しうる第2の層22からメンブレン2を形成する。
【0041】
第1の層46の材料は、開口32のエッチングの間にエッチストップを形成するようなものを選択する。例えば、第1の層46ではキャリア基板3より大幅に遅い速度でエッチング作用が起こる。こうして、開口32上に第1の層46全体がそのまま残存するか、または第1の層46の一部の層が残存するように、単純な方法でエッチング処理を制御することができる。例えばこのように形成された、開口32内側の保護層46の厚さ42は、開口32外側の保護層46の厚さ44より薄くすることができる。このようにして、メンブレン2の変形特性を詳細に設定することができる。第1の層46がエッチングされる速度が比較的遅いことにより、残存する層の厚さを正確に設定することが可能になる。
【0042】
図2Bに示すように、開口32はエッチング処理で形成される傾斜内壁37を有する。開口32をキャリア基板の下面からエッチングすると、キャリア基板3の、メンブレン2に対向する面側の開口32の断面領域38はキャリア基板3の、メンブレン2と反対の面側の開口32の断面領域39より小さくなる。
【0043】
図3A〜3Cは、さらなる実施形態により圧力センサを製造するための方法を示す。
【0044】
図3Aに示すように、キャリア基板3はシリコンウェハの形で設けられる。エッチング処理において、キャリア基板3を貫通する開口32が形成される。このため、エッチング処理はキャリア基板3の上面34から始まる。
【0045】
図3Bに示すように、その後機能性基板9が設けられ、キャリア基板3の上面34に固定される。機能性基板9は外側に、保護層4を形成するための第1の層46を有する。第1の層46は、メンブレン2を形成する第2の層22に接する。
【0046】
機能性基板9は、第1の層46がキャリア基板3に接するようにキャリア基板3に配置される。機能性基板9は、例えば融着接合または他のウェハ接合法によってキャリア基板3に固定される。
【0047】
図3Cに示すように、その後第2の層22の一部の層を機能性基板9の上面から除去し、薄いメンブレン2のみが残存するようにする。
【0048】
この方法において、開口32はキャリア基板3の上面34からエッチングされる。この場合、キャリア基板3の、メンブレン2に対向する面側の開口32の断面領域38は、キャリア基板3の、メンブレン2と反対の面側の開口32の断面領域39より大きくなる。このように、開口32の断面領域はメンブレン2および保護層4の直下で最大となり、メンブレン2の変形能に寄与する。開口32がキャリア基板3の下面36側から形成される方法と比較すると、ウェハ面積を非常に有効に使用することが可能になる。
【0049】
図4は圧力センサ1のさらなる例示的実施形態を示す。キャリア基板3はさらなるキャリア本体7に固定される。キャリア本体7は例えばガラス構造体であり、圧力センサ1を機械的に安定させる役割を果たす。
【0050】
さらなる層6をメンブレン2の前面25に固定する。さらなる層6の材料としては、例えばシリコン、二酸化ケイ素、または窒化ケイ素が挙げられる。さらなる層6は、例えば厚さおよそ100mmであり、蒸着または酸化によって形成される。このさらなる層6は圧力センサの上側14からさらにメンブレンを保護する。
【0051】
ハウジング8はメンブレン2の、開口32の真上に位置する部分の上に設けられる。ハウジング8はメンブレン2に隣接する空洞82を有する。空洞82内は真空である。これにより圧力センサ1を用いて絶対圧を測定することができる。さらに、ハウジング8はメンブレン2の、少なくとも感圧性の部分を外的影響から保護する。
【0052】
図5は圧力センサのさらなる実施形態の一部を示し、この圧力センサは開口32に対向するくぼみ47をそなえる保護層4を含む。
【0053】
くぼみ47は、くぼみの中心471から開口の内壁37に向かうとともにくぼみ47の境界472に向かう方向に深さが減少する凹部として保護層内に形成される。くぼみ47の中心471は鎖線によって模式的に図示され、好ましくは開口32の中心に対応する。
【0054】
図5に示された実施形態では、くぼみ47が丸みを帯びた凹面の表面形状を有するため、メンブレン2を変形させる媒体の圧力により生じるメンブレン2内の曲げ応力が均等に分散され好都合である。
【0055】
したがって保護層4の厚さ42は、くぼみ47の中心471で最小となり、中心471から開口32の内壁37に向かうとともにくぼみ47の境界472に向かう方向に増加する。くぼみ47の境界472において、保護層4はキャリア基板3との界面を有する。
【0056】
鎖線によって図示されるように、開口32の内壁37の位置は第1および第2の領域28および29の間の境界に対応する。図5に示すように、くぼみ47は第1領域28を完全に被覆し、かつ第2領域29に部分的に延在するため、くぼみ47の全体は第1領域28内および第2領域29の一部内に位置し、くぼみ47の境界472は第2領域29内に位置することになる。
【0057】
キャリア基板3内の開口32および保護層4のくぼみ47は、保護層4とキャリア基板3の界面の平面におけるくぼみ47の面積が開口32の面積より大きいアンダカットを形成する。
【0058】
さらに、図5の実施形態による圧力センサは、図1〜図4に関して説明した他の構成要素を含みうる。具体的には、前述した処理工程および実施形態と組合せて、例えば開口を介して保護層4を選択的にエッチングすることにより、くぼみ47を形成することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 圧力センサ
14 上側
16 下側
2 メンブレン
22 第2の層
25 メンブレンの上面
26 メンブレンの下面
27 投影領域
28 開口内側の第1領域
29 開口内側の第2領域
3 キャリア基板
32 開口
33 内縁
34 キャリア基板の上面
36 キャリア基板の下面
37 開口の内壁
38 キャリア基板の、メンブレンに対向する面側の開口の断面領域
39 キャリア基板の、メンブレンと反対側の面側の開口の断面領域
4 保護層
42 開口内側の保護層の厚さ
44 開口外側の保護層の厚さ
46 第1の層
47 くぼみ
471 中心
472 境界
5 電気コンタクト
6 さらなる層
7 キャリア本体
8 ハウジング
82 空洞
9 機能性基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の圧力の作用によって変形しうるピエゾ抵抗メンブレン(2)と、
上に前記メンブレン(2)が配置されるキャリア基板(3)であって、少なくとも一部の上に前記メンブレン(2)が延在するような開口(32)を有するキャリア基板(3)と、
前記媒体との直接的な接触から前記メンブレン(2)を保護する保護層(4)であって、前記開口(32)内側の第1領域(28)および前記開口(32)外側の第2領域(29)の双方内で前記メンブレン(2)を被覆する保護層(4)と、を有することを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサであって、前記保護層(4)が前記開口(32)内側の前記メンブレン(2)を完全に被覆することを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧力センサであって、前記第2領域(29)が前記第1領域(28)に直接隣接することを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記保護層(4)が前記開口(32)外側の前記メンブレン(2)を完全に被覆することを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧力センサであって、
前記キャリア基板(3)が上面(34)および下面(36)を有し、
前記保護層(4)が前記キャリア基板(3)の前記上面(34)上に配置され、且つ、固定され、
前記メンブレン(2)が、前記保護層(4)の、前記キャリア基板(3)と反対側の面上に配置されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記キャリア基板(3)の材料が前記保護層(4)の材料に対して選択的にエッチングされることを特徴とする圧力センサ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記保護層(4)が二酸化ケイ素および窒化ケイ素の材料のうち少なくとも1つからなることを特徴とする圧力センサ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記開口(32)内側の前記第1領域(28)の前記保護層(4)の厚さ(42)が、前記開口(32)外側の前記第2領域(29)の前記保護層(4)の厚さ(44)より薄いことを特徴とする圧力センサ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記保護層(4)が前記開口(32)に対向するくぼみ(47)を有し、前記保護層(4)の厚さ(42)が、前記くぼみ(47)の中心(471)から前記くぼみ(47)の境界(472)に向かって増加し、前記くぼみ(47)が前記第1領域(28)を完全に被覆し、前記第2領域(29)内に延在することを特徴とする圧力センサ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記メンブレン(2)の、前記保護層(4)と反対側の面に配置される少なくとも1つのさらなる層(6)を有することを特徴とする圧力センサ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の圧力センサであって、前記メンブレン(2)の、前記キャリア基板(3)と反対側の面に配置され、前記メンブレン(2)に隣接する空洞(82)を有するハウジング(8)を有することを特徴とする圧力センサ。
【請求項12】
圧力センサを製造するための方法であって、
A)媒体との直接的な接触からメンブレン(2)を保護する保護層(4)を形成するために、上に第1の層(46)を配置するキャリア基板(3)を設け、該キャリア基板(3)上にメンブレン(2)を形成する第2の層(22)を配置するステップと、
B)前記キャリア基板(3)内に開口(32)を形成し、前記第1の層(46)および前記第2の層(22)の層厚の少なくとも一部が完全に前記開口(32)上に残るようにするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、ステップB)において、構造化エッチング処理によって前記開口(32)が前記キャリア基板(3)内に形成され、前記保護層(4)がこれによりエッチストップを形成することを特徴とする方法。
【請求項14】
圧力センサを製造するための方法であって、
A)キャリア基板(3)を設けるステップと、
B)前記キャリア基板(3)を貫通する開口(32)を形成するステップと、
C)媒体との直接的な接触からメンブレン(2)を保護する保護層(4)を形成するための第1の層(46)を外側に有し、且つ、その下にメンブレン(2)を形成するための第2の層(22)が配置される機能性基板(9)を設けるステップと、
D)前記第1の層(46)の少なくとも一部が前記キャリア基板(3)の前記開口上に配置されるよう、前記第1の層(46)によって前記機能性基板(9)を前記キャリア基板(3)に固定するステップと、
E)前記機能性基板(9)の前記第2の層(22)の一部を除去し、これにより前記第2の層(22)から前記メンブレン(2)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法であって、
前記保護層(4)内にくぼみ(47)が形成され、前記くぼみ(47)は前記開口(32)に対向し、前記保護層(4)の厚さ(42)は前記くぼみ(47)の中心(471)から前記くぼみ(4)の境界(472)に向かって増加し、前記くぼみ(47)が前記第1領域(28)を完全に被覆し、前記第2領域(29)内に延在することを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−515949(P2013−515949A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545225(P2012−545225)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069645
【国際公開番号】WO2011/076620
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510263560)エプコス アーゲー (28)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【Fターム(参考)】