説明

圧電デバイスとこれを用いた電子機器、及び自動車

【課題】低背化を目的として、リード線が圧電振動子を保持する圧電デバイスを提供する。
【解決手段】圧電デバイスは、回路パターンにその一端が電気的に接続されるリード線12と、リード線12の他端に電気的に接続された端子13Aを有する圧電振動子13とを備え、圧電振動子13の端子13Aとリード線12とが絶縁層14を介して容量結合されている構成としたものであり、圧電デバイスの低背化を適えることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の電子機器や自動車等に用いられる圧電デバイスと、これを用いた電子機器、及び自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の圧電デバイスは、図8に示されるように、外容器1と、外容器1の底面1Aにその一端が配置されたリード線2と、リード線2の他端に保持される圧電振動子3とを備え、圧電振動子3の端子3Aとリード線2とが金バンプ4等により電気的に接続される構成としていた。
【0003】
このような構成とすることにより、IC等から送信された交流信号がリード線2、金バンプ4を介して圧電振動子3に伝達されて圧電振動子3が駆動し、その後この圧電振動子3からの交流検知信号が、金バンプ4、リード線2を介して、前記IC等へと伝達される構成を実現していた。
【0004】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2007−167854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の圧電デバイスは、低背化が難しいことが問題となっていた。
【0006】
すなわち、上記従来の構成においては、金バンプ4をリード線2と圧電振動子3の端子3Aとの間にボンディング工程により形成するため、金バンプ4の厚みを薄くすることが難しく、その結果として、低背化が難しくなっていた。
【0007】
そこで本発明は、リード線が圧電振動子を保持する圧電デバイスにおいて、その低背化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、回路パターンにその一端が電気的に接続されるリード線と、前記リード線の他端に電気的に接続された端子を有する圧電振動子とを備え、前記圧電振動子の端子と前記リード線とが絶縁層を介して容量結合されている構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の圧電デバイスは、圧電振動子の端子とリード線とが絶縁層を介して容量結合されている構成としたため、圧電振動子の端子とリード線との間に金バンプ等を別途設けることなく、ボンディング工程が不要で薄膜形成が可能な絶縁層によりリード線と圧電振動子との間の交流信号の伝達を可能とし、その結果として、当該圧電デバイスの低背化を適えることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における圧電デバイスについて図面を参照しながら説明する。
【0011】
本実施の形態における圧電デバイスは、図1に示すごとく、セラミックパッケージ等の外容器11と、この外容器11の底面11Aにその一端が配置されるリード線12と、リード線12の他端に保持される圧電振動子13とを備えており、リード線12が屈曲した形状であることにより、圧電振動子13が外容器11内で中空保持された状態となっている。なお、リード線12の一端は、支持基板16により保持されている。
【0012】
そして、圧電振動子13の端子13Aとリード線12とが絶縁層14を介して容量結合されている。
【0013】
ここで、図示はしていないが、底面11Aには本圧電デバイスを駆動させるとともに、本圧電デバイスからの信号を検知するICと、このICに電気的に接続された回路パターンとを形成しており、リード線12の一端がこの回路パターンに電気的に接続されている。なお、前記回路パターンは、TAB(Tape Automated Bonding)基板を用いて構成することにより、より低背型の圧電デバイスを構成することを可能としている。
【0014】
このように、圧電振動子13の端子13Aとリード線12とが絶縁層14を介して容量結合されている構成としたため、端子13Aとリード線12との間に金バンプ等を別途設けることなく、ボンディング工程が不要で薄膜形成が可能な絶縁層14によりリード線12と圧電振動子13との間の交流信号の伝達を可能とし、その結果として、当該圧電デバイスの低背化を適えることができるのである。
【0015】
なお、絶縁層14としては、エポキシ等の樹脂や、SiO2、SiNなどを用いて構成することができる。エポキシ等の樹脂であれば、当該樹脂を圧電振動子13の端子13A形成面に塗布し、その後にリード線14を接着剤等で固着して構成することができる。
【0016】
さらに、図2に示すごとく、リード線12の他端には、その圧電振動子13に対する接続面12Aの裏面12Bに支持部材15を設けることが望ましい。このような構成により、リード線12の他端における圧電振動子13との接続面12Aの裏面12Bに設けられた支持部材15が、リード線12と絶縁層14との間に加わる応力を当該支持部材15内で分散させるため、リード線12と絶縁層14との接続点において、局所的に応力が加わる可能性を低減することができ、その結果として、電気的信頼性を向上させることができるのである。
【0017】
なお、この支持部材15は例えばポリイミドやエポキシ等の、耐熱性のある樹脂を用いて構成することができる。具体的には、これらの樹脂を板状に固めた物を接着剤等により貼り付ける等して構成することができる。
【0018】
さらに、支持部材15を、リード線12の他端における圧電振動子13との接続面12Aの裏面12Bから絶縁層14に面接触するまで設ける構成とすることにより、支持部材15がリード線12、絶縁層14と接触する面積を増加させることができるため、よりリード線12と絶縁層14との電気的接続信頼性を向上させることができ望ましい。このような支持部材15は、ポリイミドやエポキシ等の耐熱性のある液状樹脂をリード線12、および絶縁層14に塗布後、硬化させることにより形成することができる。
【0019】
また、圧電振動子13が図3に示すような基部13Cと脚部13Bとからなり、リード線12の他端が、基部13Cに配置された端子13Aに電気的に接続される様な場合、図3に示すごとく、支持部材15の面積が基部13Cにおけるリード線12との接続面と同じ面積か、それよりも大きい面積とすることにより、圧電振動子13で発生した応力をより広い範囲に分散させることができるため、望ましい。
【0020】
なお、図3に示す圧電振動子13の形状は、このような音叉型に限らず、図6、図7に示すように、一つの基部13Cに対し複数の脚部13Bを有する構成であっても構わない。
【0021】
なお、IC及び回路パターンは、外容器11の外に形成するとともに、ビアホール等でリード線12の一端と電気的に接続するような構成としても構わないが、外容器11内に回路パターンを形成する構成とすることにより、素子と回路パターンとを外容器11により一体化させることができ望ましい。
【0022】
なお、本実施の形態に示すような低背型の圧電デバイスを、デジタルカメラ等の電子機器や自動車等に実装することにより、それらの多機能化を実現することができる。
【0023】
具体的には、本実施形態に示す圧電デバイスを携帯電話用、あるいは車載用のナビセンサや、車両制御システム用センサ、撮像素子の手振れ補正用センサ等として、それぞれ実装することにより、当該圧電デバイスを低背にした分、新たな電子部品を追加して実装することを可能とし、その結果として、それらの多機能化を実現することができるのである。
【0024】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における圧電デバイスについて図面を参照しながら説明する。
【0025】
本実施の形態における圧電デバイスは、図4に示すごとく、セラミックパッケージ等からなり、その底面21Aに凹部21Bを有する外容器21と、この外容器21の底面21Aにその一端が配置されるとともに、凹部21B内方へと伸びるリード線22と、リード線22の他端に保持される圧電振動子23とを備えている。そして、リード線22が屈曲した形状であることにより、圧電振動子23が外容器21の凹部21B内で中空保持された状態となっている。なお、リード線22の一端は、支持基板26により保持されている。
【0026】
そして、圧電振動子23の端子23Aとリード線22とが絶縁層24を介して容量結合されている。
【0027】
ここで、図示はしていないが、底面21Aあるいは凹部21Bの底面21Cには本圧電デバイスを駆動させるとともに、本圧電デバイスからの信号を検知するICと、このICに電気的に接続された回路パターンとを形成しており、リード線22の一端がこの回路パターンに電気的に接続されている。なお、前記回路パターンは、TAB(Tape Automated Bonding)基板を用いて構成することにより、より低背型の圧電デバイスを構成することを可能としている。
【0028】
このように、圧電振動子23の端子23Aとリード線22とが絶縁層24を介して容量結合されている構成としたため、端子23Aとリード線22との間に金バンプ等を別途設けることなく、ボンディング工程が不要で薄膜形成が可能な絶縁層24によりリード線22と圧電振動子23との間の交流信号の伝達を可能とし、その結果として、当該圧電デバイスの低背化を適えることができるのである。
【0029】
なお、絶縁層24としては、エポキシ等の樹脂や、SiO2、SiNなどを用いて構成することができる。具体的には、これらの材料を圧電振動子23の端子23A形成面に塗布し、その後にリード線22を接着剤等で固着して構成することができる。
【0030】
さらに、図5に示すごとく、リード線22の他端には、その圧電振動子23に対する接続面22Aの裏面22Bに支持部材25を設けることが望ましい。このような構成により、リード線22の他端における圧電振動子23との接続面22Aの裏面22Bに設けられた支持部材25が、リード線22と絶縁層24との間に加わる応力を当該支持部材25内で分散させるため、リード線22と絶縁層24との接続点において、局所的に応力が加わる可能性を低減することができ、その結果として、電気的信頼性を向上させることができるのである。
【0031】
なお、この支持部材25は例えばポリイミドやエポキシ等の、耐熱性のある樹脂を用いて構成することができる。具体的には、これらの樹脂を板状に固めた物を接着剤等により貼り付ける等して構成することができる。
【0032】
さらに、支持部材25を、リード線22の他端における圧電振動子23との接続面22Aの裏面22Bから絶縁層24に面接触するまで設ける構成とすることにより、支持部材25がリード線22、絶縁層24と接触する面積を増加させることができるため、よりリード線22と絶縁層24との電気的接続信頼性を向上させることができ望ましい。このような支持部材25は、ポリイミドやエポキシ等の耐熱性のある液状樹脂をリード線22、および絶縁層24に塗布後、硬化させることにより形成することができる。
【0033】
また、実施の形態1と同様に、圧電振動子23が基部と脚部とからなり、リード線22の他端が、前記基部に接続される様な場合、支持部材25の面積が基部におけるリード線22との接続面と同じ面積か、それよりも大きい面積とすることにより、圧電振動子23で発生した応力をより広い範囲に分散させることができるため、望ましい。
【0034】
なお、圧電振動子23の形状は、基部と脚部とを有する構成であれば、音叉型である必要は無い。
【0035】
なお、IC及び回路パターンは、外容器21の外に形成するとともに、ビアホール等でリード線22の一端と電気的に接続するような構成としても構わないが、外容器21内に回路パターンを形成する構成とすることにより、素子と回路パターンとを外容器21により一体化させることができ望ましい。
【0036】
なお、本実施の形態に示すような低背型の圧電デバイスを、デジタルカメラ等の電子機器や自動車等に実装することにより、それらの多機能化を実現することができる。
【0037】
具体的には、本実施形態に示す圧電デバイスを携帯電話用、あるいは車載用のナビセンサや、車両制御システム用センサ、撮像素子の手振れ補正用センサ等として、それぞれ実装することにより、当該圧電デバイスを低背にした分、新たな電子部品を追加して実装することを可能とし、その結果として、それらの多機能化を実現することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の圧電デバイスは、更なる低背化を実現し、自動車や各種電子機器において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの断面図
【図2】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの他の実施例を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの上面図
【図4】本発明の実施の形態2における圧電デバイスの断面図
【図5】本発明の実施の形態2における圧電デバイスの他の実施例を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの他の実施例を示す上面図
【図7】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの他の実施例を示す上面図
【図8】従来の圧電デバイスの断面図
【符号の説明】
【0040】
11 外容器
11A 底面
12 リード線
13 圧電振動子
13A 端子
14 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンにその一端が電気的に接続されるリード線と、
前記リード線の他端に電気的に接続された端子を有する圧電振動子とを備え、
前記圧電振動子の端子と前記リード線とが絶縁層を介して容量結合されている
圧電デバイス。
【請求項2】
前記圧電振動子が前記リード線の他端により中空保持されており、
前記リード線の他端における
前記圧電振動子保持面の裏面には支持部材を設けた
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
底面に凹部を有する外容器を有し、
前記外容器の底面に前記リード線の一端が配置され、
前記圧電振動子が前記凹部内方に配置されている
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動子が前記リード線の他端により前記凹部内方にて中空保持されており、
前記リード線の他端における
前記圧電振動子保持面の裏面には支持部材を設けた
請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の圧電デバイスが実装された電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4に記載の圧電デバイスが実装された自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−130235(P2009−130235A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305412(P2007−305412)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】