説明

圧電発振器

【課題】圧電振動子とIC素子の外形形状の異なる組み合わせであっても自由に対応可能とし、特に圧電振動子と、これよりも小さいIC素子を組み合わせて実装する際の安定化を向上させた圧電発振器を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の圧電発振器10は、パッケージ28内に圧電振動片22を気密封止した圧電振動子20と、前記パッケージ28よりも平面視して外形が小さく、前記圧電振動子20の一方の主面と電気的に接続して発振させるIC素子40と、少なくとも前記IC素子40の外形を囲む大きさの開口62と、一方の主面に前記IC素子40のパッド電極44と電気的に接続したリード電極64を備えたテープキャリア部60と、からなることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧電振動子とIC素子を組み合わせて全体形状を小型化した圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧電発振器は携帯機器の小型、薄型、軽量の要求のため、小型化、低コスト化が要求されている。
圧電振動子とIC素子を組み合わせた圧電発振器は、平面上に並べて配置すると実装先のマザー基板上の占有面積が大きくなるため、発振回路部品に貫通電極を設けて端子を引き出し、その上に直接振動子を搭載した構造が提案されている。
【0003】
例えば発振回路が形成された半導体装置の回路面上にウェハレベルCSP層を形成し、貫通電極によって発振回路の一方の主面(能動素子面)に形成した端子を電気的に接続する。そして発振回路部品の他方の主面に振動子を直接搭載可能とした構造がある。
【0004】
また特許文献1に開示の圧電発振器100は、図6に示すように圧電振動子部110と集積回路素子120との間に、圧電振動子部110の一辺方向に延設した形態のフレキシブル基板130が配置され、基板接続用電極端子160と圧電振動子部接続用電極パッド170とが接続されている。さらに、各種電極端子180と集積回路素子接続用電極パッド190とが接続されている。またフレキシブル基板130の延設した部分は集積回路素子120の第2の主面方向へ折り曲げられ固着されている。さらに、折り曲げられたフレキシブル基板130の一方の主面領域には外部接続用電極端子210が形成され、外部接続用電極端子210と集積回路素子接続用電極パッド190間が電気的に接続されている。このような構成により、外部接続用電極端子210を形成する集積回路素子120を囲繞する容器体の側壁部を不要として小型化を実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−141417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動子は発振回路の裏面に搭載され、形成された発振器は発振回路の能動面上に形成された外部端子で基板実装される。発振器はユーザー側から要求される機能により外形の大きさが変化する一方で、振動子は一般的に発振器よりも形状が大きい。このため発振器と振動子のサイズが異なる場合、特に振動子のサイズが発振器のサイズに比べて大きい場合には、圧電発振器を側面視すると振動子が大きく発振器が小さい略逆三角形状となってしまう。従ってマザー基板の実装時に不安定となり、発振器の搭載に傾きが生じてしまい導通不良が発生するなどのおそれがある。
【0007】
特許文献1の圧電発振器は、フレキシブル基板として高価な両面配線基板を使用したものであり、コスト的な問題があった。
また圧電発振器構造体の厚み方向に、フレキシブル基板を折り返して使用する構造のため、フレキシブル基板が2重に積み重なり、構造体全体の厚みが増すという問題があった。
【0008】
このような上記従来技術の問題点を解決するため、本発明は圧電振動子とIC素子の外形形状の異なる組み合わせであっても自由に対応可能とし、特に圧電振動子と、これよりも小さいIC素子を組み合わせて実装する際の安定化を向上させた圧電発振器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]パッケージ内に圧電振動片を気密封止した圧電振動子と、前記パッケージよりも平面視して外形が小さく、前記圧電振動子の一方の主面と電気的に接続して発振させるIC素子と、少なくとも前記IC素子の外形を囲む大きさの開口と、一方の主面に前記IC素子のパッド電極と電気的に接続したリード電極を備えたテープキャリア部と、からなることを特徴とする圧電発振器。
【0010】
従来の構造では、IC素子にウェハレベルCSP層が形成され、そのグリッド上に配置された端子でマザー基板に実装している。しかしながら、IC素子のサイズが圧電振動子のサイズよりも小さい場合、パッケージ底部が小さい形状となるため、マザー基板実装時に不安定となり、実装品質を低下させる要因となっていた。上記構成によりIC素子の外周にテープキャリア部が配置され、テープキャリア上に形成されたリードを外部端子とするため、圧電振動子のサイズに比べて、IC素子のサイズが小さい場合でも、マザー基板の電気的接続の信頼性と安定した基板実装性を確保することができる。
【0011】
[適用例2]前記テープキャリア部は、前記圧電振動子と対向する他方の主面に接着層を形成したことを特徴とする適用例1に記載の圧電発振器。
上記構成により、テープキャリア部を圧電振動子のパッケージに固定することで、圧電発振器をマザー基板へ実装する際に伴う加熱時に生じうるテープキャリア部の反りによる外部端子の位置ズレ及び浮きを防止して実装を安定化させることができる。
【0012】
[適用例3]前記IC素子は、一方の主面から他方の主面に貫通して前記パッド電極と接続端子とを電気的に接続させた貫通電極を形成したことを特徴とする適用例2に記載の圧電発振器。
上記構成により、テープキャリア部と圧電振動子のパッケージの固定は機械的に接着してIC素子と圧電振動子の電気的接続の信頼性を確保することができる。
【0013】
[適用例4]前記リード電極は、前記一方の主面から前記テープキャリア部の4側面に向かって引き出して形成されたことを特徴とする適用例1ないし適用例3のいずれか1例に記載の圧電発振器。
【0014】
上記構成により、テープ基板の側面の4方向に向かって引き出されたリード電極のピッチ幅、又は電極幅を任意に設計変更することができる。従ってピッチ幅、端子幅を大きくした場合には良好な実装性と、電気的接続の信頼性を確保することができる。
【0015】
[適用例5]前記リード電極は、前記一方の主面から前記テープキャリア部の側面まで引き伸ばされたことを特徴とする適用例1ないし適用例4のいずれか1例に記載の圧電発振器。
【0016】
上記構成により、発振器をマザー基板に実装する際、基板の端子と圧電発振器のリード電極を接合するためのハンダがリフロー時にテープ基板側面の折り曲げられたリード電極まで、濡れ広がって裾状に形成することができる。従って接続強度と、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る圧電発振器の構成外略図である。
【図2】圧電振動子の構成概略図であり、(1)は側面の断面図を示し、(2)は平面図を示し、(3)は底面図を示している。
【図3】IC素子及びテープキャリア部の構成概略図であり、(1)は側面の断面図を示し、(2)は平面図を示し、(3)は底面図を示している。
【図4】変形例1の圧電発振器のリード電極の説明図である。
【図5】変形例2の圧電発振器のリード電極の説明図である。
【図6】従来の圧電発振器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の圧電発振器の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。図1は本発明に係る圧電発振器の構成外略図である。図示のように圧電発振器10は、圧電振動子20と、IC素子40と、テープキャリア部60を主な構成要素としている。
【0019】
図2は圧電振動子の構成概略図であり、(1)は側面の断面図を示し、(2)は平面図を示し、(3)は底面図を示している。図示のように圧電振動子20は、圧電振動片22と、圧電振動片22を収容するパッケージ28とを主な構成要素としている。
【0020】
圧電振動子20は、キャビティを持つパッケージ28の中に圧電振動片22が配置され、キャビティを覆うリッド38によって気密封止されたものである。
圧電振動片22としては、圧電効果を奏する部材、例えば水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、及び圧電セラミックス等に電極パターンを形成して励振可能としたものであれば、その形態も種々選択可能である。ここで本実施形態では、一例として部材を周波数−温度特性に優れた水晶とし、以下のような形態の圧電振動片を採用している。すなわち、一対の振動腕24と、この振動腕24を支える基部26とを有する。
【0021】
振動腕24には、その断面において対向する面に同電位の電圧が印加されるように励振電極(不図示)が形成されている。励振電極は、一例として、圧電体との密着性の高い下地層(例えばCr層)と、その上の電気抵抗が低く酸化しにくい層(例えばAu層)の2層で形成されている。
【0022】
パッケージ28は、セラミックグリーンシート等を積層して焼成した箱体であり、凹状に形成されたキャビティ内部(一方の主面)には、圧電振動片22を実装するための一対の内部実装電極30が形成されている。パッケージ28の底面(他方の主面)には、一対の外部実装端子32が形成されている。また一方の内部実装電極30aは一方の外部実装電極32aの位置まで引き回し配線33により引き回されている。外部実装端子32は、貫通電極34を介して、内部実装電極30と電気的に接続されている。
【0023】
なおパッケージ28は、材質に一例としてセラミック、ガラス、シリコンなどを用いることができる。また電気的導通を図るための各電極、端子、配線には、W、Cu、Alなどを下地金属とし、表面にはNi、Au、Cr、Sn、Sn−Agまたはこれらを組み合わせたメッキ処理が施された金属層を用いることができる。
リッド38は、パッケージ28の上面開口部を気密封止するものである。リッド38の構成部材としては、セラミック、ガラス、シリコン、金属などを用いることができる。
【0024】
上記構成による圧電振動子20は、パッケージ28に対して圧電振動片22を実装する。圧電振動片22の実装には、導電性接着材39を用いている。圧電振動片22を実装したパッケージ28の開口部を気密封止する際、リッド38は接合部材を介して接合される。
【0025】
図3はIC素子及びテープキャリア部の構成概略図であり、(1)は側面の断面図を示し、(2)は平面図を示し、(3)は底面図を示している。
圧電振動子20を発振させるIC素子40は、パッケージ28よりも平面視して外形が小さく、シリコン基板42の一方の主面42aに発振回路と複数のパッド電極44(44a、44b)が形成されている。パッド電極44は実装先のマザー基板上の端子と接続する電極(44a)と、後述する接続端子50と接続する電極(44b)から構成されている。さらに、シリコン基板42の他方の主面42bに絶縁樹脂46および金属配線48、接続端子50が形成されている。
【0026】
絶縁樹脂46は、樹脂又はSiO2、SiNなどの無機材料からなる絶縁膜である。絶縁樹脂46の膜厚はシリコン基板42と絶縁樹脂46上に形成される配線との容量の低減の要求から、一例として1μm以上であることが望ましい。絶縁樹脂46上には導電性の金属配線48及び接続端子50が形成されている。
【0027】
接続端子50は搭載する圧電振動子20の外部実装端子32と対向する位置に形成され、外部実装端子32と電気的に接続させる端子である。金属配線48は後述する接続端子用のパッド電極44bと電気的に接続された貫通電極52から接続端子50まで導電性を確保しながら引き回した配線である。
【0028】
パッド電極44のうち、後述するリード電極64と接続するパッド電極44a上にはバンプ45が形成されている。バンプ45の材質は、一例としてAu又はNi/Au周辺をハンダでコーティングしたものなどを用いることができ、スタッドバンプ工法又はメッキ処理により形成することができる。
【0029】
また接続端子用のパッド電極44bは、接続端子50と接続させるためにシリコン基板42の一方の主面42aから他方の主面42bを貫通する貫通電極52が形成されている。この構成により接続端子50と発振回路とは貫通電極52と金属配線48により電気的に接続されている。
【0030】
貫通電極52は、シリコン基板42の接続端子50が形成された他方の主面42bからパッド電極44bが形成された一方の主面42aを貫通した貫通孔に形成され、接続端子50とパッド電極44bを電気的に接続させている。パッド電極44bはAl配線により半導体基板上に形成された回路装置と結線されている。
【0031】
パッド電極44bは、一つ又は互いに絶縁膜によって隔てられた複数の金属層から形成されている。複数の金属層から形成された場合、隣接する金属層はその間に位置する絶縁膜に形成された孔により互いに電気的に接続されている。また一つの金属層は複数の金属による層が積層されたものであってもよい。
【0032】
貫通孔はシリコン基板42に形成された孔の内壁を樹脂又はSiO2、SiNなどの無機材料の絶縁膜で覆われている。絶縁膜の厚みは1μm以上であることが望ましい。特に樹脂を用いる場合には感光性樹脂であることが望ましい。
【0033】
さらに絶縁膜の内側には、その内周に形成される導電体のシリコン基板42への拡散を防止するバリア層として、TiW、Ti、TiNなどの金属膜が形成されている。バリア層となる絶縁膜の内側にはCu、Auなどの導電体が形成されている。導電体は孔内に完全に充填されていても良い。また孔内壁に沿って膜状に覆うものであっても良い。その場合、導電膜の内側の孔部には補強のための樹脂などの絶縁物を埋め込む構成が望ましい。
【0034】
テープキャリア部60は、リール状の絶縁基材であり、一例としてポリイミド又はエポキシ樹脂等を用いることができる。テープキャリア部60は、IC素子40の外周を囲む開口(デバイスホール)62を形成している。前記開口62は、リール状のテープキャリアをプレス等により打ち抜いて形成することができる。テープキャリア部60の外形は、圧電振動子20のパッケージ28の外形と略同じ大きさか、やや大きく形成すると良い。また開口62の大きさは、内部にIC素子40を挿入し外周を囲めるように、IC素子40の外形よりも大きく形成している。
【0035】
テープキャリア部60の厚みは、IC素子40の厚みよりも厚くなるように形成している。テープキャリア部60の厚みが薄い、又はIC素子40の厚みと同等以下では、後述する封止材66が吸湿した場合に水分が内部に浸入し易くなり、腐食の原因となるからである。また、リード電極64とパッド電極44の接続部分が表面に露出してしまい、機械的強度が弱まるためである。
【0036】
テープキャリア部60の一方の主面60aには、リード電極64が形成されている。リード電極64は、一例としてCuの表面にNi/Al、Sn、Sn−Ag−Cu、Sn−Pbのいずれかが被膜された金属層を用いることができる。リード電極64の形成は、まずテープキャリア部60に開口62を形成した後、接着材層を接着材としてCu箔などの配線用金属箔を張り合わせる。次にフォトリソグラフィーによりリード電極の電極パターンを形成する。このとき開口62のCu箔にエッチングレジストを塗布した状態でエッチングすることにより、リード電極64が形成され、その後エッチングレジストを剥離する。これによりリード電極64は枠状のテープキャリアから開口62面に向かって突出形成されている。リード電極64の開口62側の一方の端部64aは開口62部分でオーバーハングしている。オーバーハングした一方の端部64aは、IC素子40のパッド電極44aと対向するように形成されている。リード電極64の他方の端部64bは、発振器として機能する場合の外部端子の役割を果たしている。リード電極64の他方の端部64bは一方の端部64aと比較してリード幅及びピッチ幅を大きく形成することが望ましい。電気的接続の信頼性を確保するためである。
【0037】
なおパッド電極44a上にバンプ45を形成する構成のほか、リード電極64の一方の端部64aにバンプを形成するように構成することもできる。この場合リード電極64のバンプの形成箇所以外をエッチングにより削減することにより形成してAuなどをメッキにより成膜することで形成することができる。またバンプを一方の端部64a上に転写する方法により形成することもできる。いずれの場合においても、リード電極64上にバンプを形成した場合には、パッド電極44上にはバンプを形成する必要はなく、リード電極64又はパッド電極44のいずれか一方にバンプを形成すれば良い。
【0038】
テープキャリア部60の開口62には、IC素子を挿入し、IC素子40の周りを封止材66で覆っている。封止材66は開口62内でIC素子40を固定し、機械的強度を確保するための役割を担っている。封止材66は材質に一例としてエポキシ樹脂、シリコン樹脂などの絶縁材を用いている。
上記構成のIC素子40及びテープキャリア部60により発振回路パッケージ70が形成される。
【0039】
上記構成による本発明の圧電発振器10の製造方法について以下説明する。
本発明の圧電発振器10は、テープキャリア部60がリール状に形成されており、複数のIC素子40をリール状に連結した状態で、接合、封止を行うことができる。
【0040】
IC素子40のパッド電極44aとテープキャリア部60のリード電極64のオーバーハングされた一方の端部64aを位置合わせし、加熱、加圧により接合する。またこのとき超音波などを併用することもできる。接合時には、リード電極64の一方の端部64aが開口62の内部に若干折れ曲がるようにリード電極64を折り曲げた状態(フォーミング)にすることが望ましい。このようにすることでIC素子40はテープキャリア部60のリード形成面より奥まった位置、すなわちテープキャリア部60の開口62内に埋め込まれた形態になり、その後の封止材66でIC素子40を保護する厚みを確保することができる。
【0041】
IC素子40と、テープキャリア部60のリード電極64との接合部分を保護するため、接合部分とIC素子40の表面を液状の封止材66によって保護する。保護する領域としてはテープキャリア部60の開口62の側壁まで封止材66が至ることが望ましい。これによりテープキャリア部60のリード電極64の断線を防止することができる。また発振の外部端子となるリード電極64の他方の端部64bは封止材66を供給する領域からは除いている。封止材66の厚みはテープキャリア部60のリード電極64のテープで支えられている部分の上面(外部端子となる部分)よりも低くなることが望ましい。液状の封止材66を供給した後、加熱により封止材66を硬化させる。
【0042】
リール状のテープキャリア部60から発振器の各単位をプレスにより打ち抜き、テープキャリア部60とIC素子40からなる発振回路パッケージ70を形成する。
次に発振回路パッケージ70と圧電振動子20との接合について以下説明する。
【0043】
まず発振回路パッケージ70の一方の主面70a(テープキャリア部60の他方の主面60b)の枠状のテープキャリアの外周部分に接着層となる接着材72を供給する。接着材72は絶縁性であれば良く、液状、フィルム状のいずれの形態を適用することができる。接着工程の容易さを考慮すると保護テープが貼り付けられたフィルムを用いることが望ましい。
【0044】
そして圧電振動子20の外部実装端子32又は発振回路パッケージ70の接続端子50に接合材74を供給する。接合材74としては電気的な接続、すなわち導電性を確保するためハンダペーストを用いることができる。ハンダペーストはスクリーン印刷、塗布(ディスペンス)などで形成することができる。接合材74となるハンダペースト供給後は、接着材72の表面を保護している保護テープを剥離してフィルムの接着面を露出させる。
【0045】
圧電振動子20の外部実装端子32と発振回路パッケージ70の接続端子50を互いに位置合わせして搭載する。これと同時に接着材72を介して圧電振動子20とテープキャリア部60が固定される。
【0046】
接合材74はリフローなどで加熱することで圧電振動子20と発振回路パッケージ70が電気的に接続される。電気的接合が確保された後、発振器全体を加熱することで接着材72を硬化させて圧電振動子20とテープキャリア部60を接着させる。
【0047】
このような本発明の圧電発振器10によれば、IC素子40の外周にテープキャリア部60が配置された発振回路パッケージ70は圧電振動子20のパッケージ28と略同程度の大きさであり、テープキャリア部60上に形成されたリード電極64を外部端子とするため、圧電振動子20の外形に比べて、IC素子40の外形が小さい場合であっても、安定した基板実装性を確保することができる。またユーザー側から要求される機能により決定されたIC素子の外形の自由度に対応して、テープキャリア部60の外形及び開口62を任意に変更することにより、圧電振動子と発振回路パッケージの安定した基板実装性を確保することができる。
【0048】
テープキャリア部60は、圧電振動子20と対向する他方の主面60bに接着層を形成しているため、圧電発振器10をマザー基板へ実装する際に伴う加熱時に生じうるテープキャリア部60の反りによる外部端子(リード電極64の他方の端部64b)の位置ズレ及び浮きを防止して実装を安定化させることができる。このときIC素子40は、シリコン基板42の一方の主面42aから他方の主面42bに貫通してパッド電極44bと接続端子50とを電気的に接続させた貫通電極52を形成しているため、テープキャリア部60と圧電振動子20のパッケージ28の固定は機械的に接着して、IC素子40と圧電振動子20の電気的接続の信頼性を確保することができる。
【0049】
次に変形例1の圧電発振器について以下説明する。図4は変形例1の圧電発振器のリード電極の説明図である。変形例1の圧電発振器は、図示のようにリード電極64の他方の端部64bをテープキャリア部60の4つの側面に形成している。具体的にリード電極64の一方の端部64aは、図3(3)と同様にパッド電極44aとバンプ45を介して電気的に接続されている。そしてリード電極64の他方の端部64bは、テープキャリア部60の4つの側面に向かって引き出されている。このときリード電極64の開口62側の一方の端部64aは開口62部分でオーバーハングしている。
【0050】
上記構成による変形例1の圧電発振器によれば、テープキャリア部60の4つの側面に向かって引き出されたリード電極64のピッチ幅、又は電極幅を任意に設計変更することができる。従ってピッチ幅、電極幅を大きくした場合には良好な実装性と、電気的接続の信頼性を確保することができる。
【0051】
次に変形例2の圧電発振器について以下説明する。図5は変形例2の圧電発振器のリード電極の説明図である。変形例2の圧電発振器は、図示のようにリード電極64の他方の端部64bをテープキャリア部60の側面まで引き伸ばしている。リード電極64とテープキャリア部60との接合は、熱硬化性の接合材を用いることが望ましい。
【0052】
図5(2)に示すように、変形例2の圧電発振器をマザー基板80上に実装する際、接合材74がテープキャリア部60の側面まで引き伸ばされたリード電極64の他方の端部64bまで濡れ広がって裾状に形成することができる。
【0053】
上記構成による変形例2の圧電発振器によれば、基板の実装時に基板の端子と圧電発振器のリード電極を接合するためのハンダがリフロー時にテープ基板側面の折り曲げられたリード電極まで、濡れ広がって裾状に形成することができる。従って接続強度と、信頼性を向上させることができる。
なお変形例1のリード電極も、同様にテープキャリア部の側面に引き出すように形成することもできる。
【0054】
これによりテープ基板の側面の4方向に向かって引き出されたリード電極のピッチ幅、又は電極幅を大きくすることができる。従って良好な実装性と、接続信頼性を確保することができると共に、基板の実装時に基板の端子と圧電発振器のリード電極を接合するためのハンダがリフロー時にテープ基板側面の折り曲げられたリード電極まで、濡れ広がって裾状に形成することができる。従って接続強度と、信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0055】
10………圧電発振器、20………圧電振動子、22………圧電振動片、24………振動腕、26………基部、28………パッケージ、30………内部実装電極、32………外部実装端子、33………引き回し配線、34………貫通電極、38………リッド、39………導電性接着材、40………IC素子、42………シリコン基板、44………パッド電極、45………バンプ、46………絶縁樹脂、48………金属配線、50………接続端子、52………貫通電極、60………テープキャリア部、62………開口、64………リード電極、66………封止材、70………発振回路パッケージ、72………接着材、74………接合材、80………マザー基板、100………圧電発振器、110………圧電振動子部、120………集積回路素子、130………フレキシブル基板、160………基板接続用電極端子、170………圧電振動子部接続用電極パッド、180………電極端子、190………集積回路素子接続用電極パッド、210………外部接続用電極端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ内に圧電振動片を気密封止した圧電振動子と、
前記パッケージよりも平面視して外形が小さく、前記圧電振動子の一方の主面と電気的に接続して発振させるIC素子と、
少なくとも前記IC素子の外形を囲む大きさの開口と、一方の主面に前記IC素子のパッド電極と電気的に接続したリード電極を備えたテープキャリア部と、
からなることを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記テープキャリア部は、前記圧電振動子と対向する他方の主面に接着層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記IC素子は、一方の主面から他方の主面に貫通して前記パッド電極と接続端子とを電気的に接続させた貫通電極を形成したことを特徴とする請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記リード電極は、前記一方の主面から前記テープキャリア部の4側面に向かって引き出して形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記リード電極は、前記一方の主面から前記テープキャリア部の側面まで引き伸ばされたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160176(P2011−160176A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20014(P2010−20014)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】