説明

地図画像表示装置

【課題】利用者の意思を考慮した適切な縮尺での地図画像の表示を可能とした「地図画像表示装置」を提供する。
【解決手段】カーナビゲーション装置100の本体10内の制御部102は、車両位置が地図画像上の駐車場内に存在するか否かを判定する。次に、制御部102は、車両位置が地図画像上の駐車場内に存在する場合には、地図画像の縮尺が、駐車場の全体が表示可能な最大の縮尺であるか否かを判定する。更に、制御部102は、地図画像の縮尺が、駐車場の全体が表示可能な最大の縮尺でない場合には、その駐車場の全体が表示可能な最大の縮尺に切り替えて、地図画像をディスプレイに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両位置の周辺の地図画像を表示する地図画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置は、自車を目的地まで適切に案内するために、車両位置の周辺等の地図画像をディスプレイに表示する。この際、地図画像の表示手法は、利用者の操作指示に応じて変更可能である。例えば、特許文献1に記載された技術では、利用者によるスクロールキーの連続押し時間に応じて、地図画像の縮尺が変更される。また、特許文献2に記載された技術では、利用者の操作指示によるスクロールの速度に応じて、地図画像に含まれる地域名が変更される。
【特許文献1】特開平8−69515号公報
【特許文献1】特開2005−292621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、車両位置が駐車場内であり、当該駐車場から脱出する場合には、利用者は、一般に地図画像を、出口を把握可能な縮尺に切り替えるための操作を行う。あるいは、地図画像をスクロールさせる際に、カーソル位置が湖、砂漠等の変化のない画像上にある場合には、カーソル位置が地図上のどの位置に存在するのかを把握しにくいため、利用者は、その把握を可能とすべく、一般に地図画像の縮尺を小さくするための操作を行う。このような地図画像の縮尺の切り替えは、比較的頻繁に行われるため、利用者は煩雑であると感じることも多い。
【0004】
本発明の目的は、上述した問題を解決するものであり、利用者の意思を考慮した適切な縮尺での地図画像の表示を可能とした地図画像表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る、地図画像を表示する地図画像表示装置は、前記地図画像表示装置が搭載される車両の位置を取得する車両位置取得手段と、特定領域の領域情報が含まれる地図データを取得する地図データ取得手段と、前記車両位置取得手段により取得された車両位置と、前記地図データ取得手段により取得された地図データとに基づいて、前記車両位置の周辺の地図画像を表示ユニットに表示させる処理を行う地図画像表示処理手段と、前記地図データ取得手段により取得された地図データと、前記車両位置取得手段により取得された車両位置とに基づいて、前記車両位置が前記特定領域内に存在するか否かを判定する位置判定手段と、前記位置判定手段により前記車両位置が前記特定領域内に存在すると判定された場合に、前記表示ユニットに表示されている車両位置の周辺の地図画像の縮尺を切り替える縮尺切替手段とを有することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、車両位置が例えば駐車場等の特定領域内にある場合には、車両位置の周辺の地図画像の縮尺が切り替わり、利用者は車両位置と特定領域との位置関係を把握することが可能となる。
【0007】
また、本発明に係る地図画像表示装置は、前記特定領域の領域情報が、該特定領域の出口の位置情報を含み、前記車両位置取得手段により取得された車両位置と、前記特定領域の出口の位置情報とに基づいて、前記表示ユニットに前記車両位置から前記特定領域の出口までの経路を表示させる処理を行う経路表示処理手段を有するようにしてもよい。
【0008】
この構成によれば、特定領域の全体の地図画像とともに出口までの経路をも表示されるため、利用者は、より簡易に特定領域を脱出することが可能となる。
【0009】
本発明に係る、地図画像を表示する地図画像表示装置は、特定領域の領域情報が含まれる地図データを取得する地図データ取得手段と、前記地図データ取得手段により取得された地図データに基づいて、地図画像を表示ユニットに表示させる処理を行う地図画像表示処理手段と、前記表示ユニットに表示されている地図画像上のカーソル位置を特定するカーソル位置特定手段と、前記地図データ取得手段により取得された地図データと、前記カーソル位置特定手段により特定されたカーソル位置とに基づいて、前記カーソル位置が前記特定領域内に存在するか否かを判定する位置判定手段と、前記位置判定手段により前記カーソルが前記特定領域内に存在すると判定された場合に、前記表示ユニットに表示されている車両位置の周辺の地図画像の縮尺を切り替える縮尺切替手段とを有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、カーソル位置が例えば湖等の特定領域内にある場合には、地図画像の縮尺が切り替わり、利用者はカーソル位置が地図上のどの位置に存在するのかを把握することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る地図画像表示装置は、前記縮尺切替手段が、前記車両位置の周辺の地図画像の縮尺を、前記特定領域の全体が前記表示ユニットに表示可能な最大の縮尺に切り替えるようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、車両位置が例えば駐車場等の特定領域内にある場合には、地図画像の縮尺がその特定領域の全体が表示可能な最大の縮尺に変更されるため、利用者は特定領域を脱出するための出口の位置等を把握することが可能となる。あるいは、カーソル位置が例えば湖等の特定領域内にある場合には、地図画像の縮尺がその特定領域の全体が表示可能な最大の縮尺に変更されるため、利用者はカーソル位置が地図上のどの位置に存在するのかを把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両位置や地図画像上のカーソル位置が特定領域内に存在する場合には、地図画像の縮尺が切り替えられ、利用者によって車両位置やカーソル位置と特定領域との位置関係を把握することを可能とするように、利用者の意思を考慮した適切な縮尺での地図画像の表示が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の地図画像表示装置が適用されたカーナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すカーナビゲーション装置100は、車両に搭載されており、本体10、ハードディスクドライブ(HDD)20、操作部30、通信部40、GPS受信部50、自律航法センサ60、ディスプレイ70及びスピーカ80により構成される。
【0015】
HDD20は、ハードディスク22を搭載しており、当該ハードディスク22に記録された地図データを読み出す。地図データは、段階的な縮尺毎の矩形領域の地図画像に対応する複数の図葉データを含む。この図葉データは、縮尺の情報と、矩形領域の四隅の経度及び緯度とを含んでおり、これらの経度及び緯度によって一意に特定される。また、地図データは、道路(駐車場内の通路を含む)について、緯度及び経度によって特定される複数の位置(ノード)の集合からなる道路情報を含む。
【0016】
更に、地図データは、駐車場、湖、砂漠等の予め定められた領域(特定領域)を特定するための特定領域情報を含む。図2は、特定領域情報の一例を示す図である。図2に示す特定領域情報は、特定領域毎に設けられるものであり、特定領域の識別情報である領域IDと、特定領域の種別を示す領域種別と、特定領域の外周部の経度及び緯度とを含む。また、特定領域が駐車場の場合には、特定領域情報は、当該駐車場の出口の経度及び緯度を含む。以下、図葉データと特定領域情報とをまとめて適宜地図データと称する。
【0017】
なお、地図データの記録媒体は、ハードディスク22に限られず、DVD、CD−ROM等であってもよく、記録媒体に応じたドライブが用意される。
【0018】
操作部30は、図示しない操作ボタンやジョイスティック等を有しており、誘導経路検索時の目的地の設定等において、ユーザによって操作される。通信部40は、例えば、携帯電話機であり、カーナビゲーション装置100に必要な各種情報を取得するために、外部との通信を行う。GPS受信部50は、車両の位置の検出に必要なGPS衛星からのGPS信号を受信する。自律航法センサ60は、車両の進行方向を検出するためのジャイロ等と、一定の走行距離毎にパルス(車速パルス)を発生する距離センサとにより構成される。
【0019】
本体10は、制御部102、バッファメモリ104、地図描画部106、操作画面・マーク発生部108、誘導経路記憶部110、誘導経路描画部112及び画像合成部118により構成される。
【0020】
本実施形態においては、GPS受信部50、自律航法センサ60及び制御部102が車両位置取得手段に対応し、HDD20が地図データ取得手段に対応し、地図描画部106が地図画像表示処理手段に対応し、制御部102が位置判定手段、縮尺切替手段及びカーソル位置特定手段に対応し、制御部102及び誘導経路描画部112が経路表示処理手段に対応する。
【0021】
制御部102は、カーナビゲーション装置100の全体を制御する。具体的には、制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向、車速パルスの出力間隔に基づいて、車両の位置、方位及び速度を算出する。また、制御部102は、HDD20に対して、ハードディスク22に記録された地図データの読み出しを指示する。制御部102の指示に応じてHDD104が読み出した地図データは、バッファメモリ104に格納される。地図描画部106は、バッファメモリ104に格納された地図データを読み出し、当該地図データに基づいてディスプレイ70の画面に対応する地図画像を生成する。
【0022】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、カーナビゲーション装置10の動作状態に応じて、操作画面・マーク発生部108に画像生成の指示を出す。操作画面・マーク発生部108は、この指示に応じて、各種メニュー画面や自車位置マーク、カーソル位置の画像を生成する。
【0023】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の誘導経路検索のための操作に応じて、バッファメモリ104に格納された地図データを読み出し、当該地図データに基づいて、所定の経路探索アルゴリズムを用いて目的地までの誘導経路を設定する。設定された誘導経路の情報(例えば、出発地から目的地までの誘導経路に対応する複数のノード(経度及び緯度)の集合)は、誘導経路記憶部110に記憶される。誘導経路描画部112は、誘導経路記憶部110に記憶された誘導経路情報に基づいて、誘導経路画像を生成する。
【0024】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、カーナビゲーション装置100の動作状態に応じて、画像合成部118に、画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106、操作画面・マーク発生部108及び誘導経路描画部112によって生成された各種画像を適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる。
【0025】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、カーナビゲーション装置100の動作状態に応じて、音声を生成し、スピーカ80に出力させる。例えば、制御部102は、経路誘導中に誘導経路情報に基づいて、交差点を曲がる指示等の案内音声を生成し、スピーカ80に出力させる。
【0026】
次に、カーナビゲーション装置100における地図画像表示の縮尺切り替えの詳細について説明する。本実施形態において、カーナビゲーション装置100は、車両位置やカーソル位置が地図画像の特定領域内に存在する場合に、当該地図画像の縮尺を特定領域の全体が表示可能な最大の縮尺に切り替える。
【0027】
図3は、地図画像の縮尺切り替えの第1の動作を示すフローチャートである。制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向、車速パルスの出力間隔に基づいて、車両の位置を算出する(S101)。
【0028】
次に、制御部102は、HDD20に対して、S101にて算出した車両位置周辺の所定範囲に対応する地図データの読み出しを指示する。ここで所定範囲は、車両位置を中心とするものであり、当該所定範囲の外周部の経度及び緯度により特定される。HDD20は、この指示に応じて、所定範囲の外周部の経度及び緯度と、図葉データに含まれる矩形領域の四隅の経度及び緯度とを比較し、所定範囲と重なる矩形領域の図葉データをハードディスク22から読み出す。また、HDD20は、特定領域情報及び道路情報をハードディスク22から読み出す(S101)。読み出された図葉データ、特定領域情報及び道路情報からなる地図データは、バッファメモリ104に格納される。
【0029】
次に、制御部102は、S101において算出した車両位置を地図描画部106へ通知する。地図描画部106は、バッファメモリ104に格納された図葉データを読み出し、当該図葉データに基づいて、通知された車両位置を画面中心位置とする、ディスプレイ70の画面に対応する矩形の地図画像を生成し、画像合成部118へ出力する。更に、制御部102は、画像合成部118に画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図画像と、操作画面・マーク発生部108によって生成された各種画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S103)。
【0030】
次に、制御部102は、バッファメモリ104に格納された特定領域情報のうち、領域種別が駐車場であるものを読み出す。更に、制御部102は、S101において算出した車両位置が示す経度及び緯度と、読み出した特定領域情報に含まれる特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、車両位置が駐車場内であるか否かを判定する(S104)。車両位置が駐車場外である場合には、再び、車両位置の算出(S101)以降の動作が繰り返される。
【0031】
一方、車両位置が駐車場内である場合、制御部102は、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、車両位置が存在する駐車場全体が表示可能な最大の縮尺であるか否かを判定する(S105)。具体的には、制御部102は、その時点でディスプレイ70に表示されている矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握する。ここで、その時点でディスプレイ70に表示されている矩形の地図画像は、車両位置を画面中心位置とするものであり、更には、制御部102は、その車両位置と地図画像の縮尺とを認識している。従って、制御部102は、車両位置と地図画像の縮尺とに基づいて、その時点でディスプレイ70に表示されている矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握することができる。更に、制御部102は、その時点でディスプレイ70に表示されている矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度と、車両位置が存在する駐車場の特定領域情報に含まれる当該特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、駐車場全体がディスプレイ70に表示されているか否かを判定する。
【0032】
駐車場全体がディスプレイ70に表示されていない場合には、制御部102は、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、駐車場全体が表示可能な最大の縮尺でないと判定する。一方、駐車場全体がディスプレイ70に表示されている場合には、制御部102は、更に、その時点で設定されている縮尺を1段階大きくした場合において、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握する。例えば、縮尺を2倍にした場合には、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像は、車両位置を画面中心位置とする面積が1/4の領域に対応することになる。制御部102は、このような縮尺及び車両位置とディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像との関係に基づいて、縮尺を1段階大きくした場合において、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握することができる。更に、制御部102は、縮尺を1段階大きくした場合において、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度と、車両位置が存在する駐車場の特定領域情報に含まれる当該特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、縮尺を1段階大きくした場合において、駐車場全体がディスプレイ70に表示されるか否かを判定する。そして、縮尺を1段階大きくした場合にも、駐車場全体がディスプレイ70に表示される場合には、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、駐車場全体が表示可能な最大の縮尺でないと判定する。一方、縮尺を1段階大きくした場合に、駐車場全体がディスプレイ70に表示されない場合には、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、駐車場全体が表示可能な最大の縮尺であると判定する。
【0033】
その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、駐車場全体が表示可能な最大の縮尺でない場合、制御部102は、各段階の縮尺のそれぞれにおいて、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握する。具体的には、上述と同様、制御部102は、縮尺及び車両位置とディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像との関係に基づいて、各段階の縮尺のそれぞれにおいて、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握することができる。更に、制御部102は、各段階の縮尺のそれぞれにおいて、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度と、車両位置が存在する駐車場の特定領域情報に含まれる当該特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較して、駐車場全体がディスプレイ70に表示可能な縮尺を特定し、更に特定した縮尺のうち、最大の縮尺を、駐車場全体が表示可能な最大の縮尺として特定する。
【0034】
次に、制御部102は、HDD20に対して、S101にて算出した車両位置周辺の所定範囲に対応し、車両位置が存在する駐車場全体が表示可能な最大の縮尺(以下、適宜「表示可能最大縮尺」と称する)の図葉データの読み出しを指示する。HDD20は、この指示に応じて、所定範囲の外周部の経度及び緯度と、表示可能最大縮尺の図葉データに含まれる矩形領域の四隅の経度及び緯度とを比較し、表示可能最大縮尺の図葉データのうち、所定範囲と重なる図葉データをハードディスク22から読み出す。読み出された図葉データは、バッファメモリ104に格納される。
【0035】
次に、制御部102は、S101において算出した車両位置を地図描画部106へ通知する。地図描画部106は、バッファメモリ104に格納された図葉データを読み出し、当該図葉データに基づいて、通知された車両位置を画面中心位置とするディスプレイ70の画面に対応する矩形の地図画像、すなわち、車両位置が存在する駐車場全体をディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺の地図画像を生成し、画像合成部118へ出力する。更に、制御部102は、画像合成部118に画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図画像と、操作画面・マーク発生部108によって生成された画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S106)。
【0036】
S106において、駐車場全体をディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺の地図画像が表示された場合、あるいは、S105において、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、駐車場全体が表示可能な最大の縮尺であると判定した場合、次に、制御部102は、バッファメモリ104から道路情報を読み出し、当該道路情報と、車両位置が存在する駐車場の特定領域情報に含まれる出口の経度及び緯度と、S101で算出した車両位置とに基づいて、車両位置から駐車場の出口までの誘導経路を設定する(S107)。設定された誘導経路の情報は、その時点での地図画像の縮尺とともに、誘導経路記憶部110に記憶される。
【0037】
誘導経路描画部112は、誘導経路記憶部110に記憶された誘導経路情報と、その時点での地図画像の縮尺とに基づいて、車両位置を画面中心位置とする、当該縮尺に応じた誘導経路画像を生成し、画像合成部118へ出力する。更に、制御部102は、画像合成部118に画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図画像、操作画面・マーク発生部108によって生成された画像、及び、誘導経路描画部112によって生成された車両位置から駐車場の出口までの誘導経路の画像を適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S108)。その後は、再び、車両位置の算出(S101)以降の動作が繰り返される。
【0038】
図4は、縮尺切り替えにおける地図画像の遷移の第1の例を示す図である。駐車場202内に車両位置201が存在する場合、図4(a)に示す縮尺切り替え前の状態では、出口を把握することができない。このような場合、本実施形態のナビゲーション装置100は、図4(b)に示すように、地図画像の縮尺を駐車場202の全体がディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺に切り替え、更に、駐車場202の出口までの経路203を表示する。このように、ナビゲーション装置100は、車両位置が駐車場内にある場合には、地図画像の縮尺を、その駐車場の全体がディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺に切り替えて、更に、駐車場の出口までの経路を表示することができ、駐車場を脱出したいという利用者の意思を考慮した適切な縮尺での地図画像の表示が可能となる。なお、図3に示すフローチャートの動作における特定領域は、駐車場に限定されるものではなく、他の特定領域であってもよい。
【0039】
図5は、地図画像の縮尺切り替えの第2の動作を示すフローチャートである。制御部102は、制御部102は、HDD20に対して、所定範囲に対応する地図データの読み出しを指示する。ここで所定範囲は、車両位置の周辺のみならず様々なものが想定され、当該所定範囲の外周部の経度及び緯度により特定される。HDD20は、この指示に応じて、所定範囲の外周部の経度及び緯度と、図葉データに含まれる矩形領域の四隅の経度及び緯度とを比較し、所定範囲と重なる矩形領域の図葉データをハードディスク22から読み出す。また、HDD20は、特定領域情報をハードディスク22から読み出す(S201)。読み出された図葉データ及び特定領域情報からなる地図データは、バッファメモリ104に格納される。
【0040】
地図描画部106は、バッファメモリ104に格納された図葉データを読み出し、当該図葉データに基づいて、ディスプレイ70の画面に対応する矩形の地図画像を生成し、画像合成部118へ出力する。更に、制御部102は、画像合成部118に画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図画像と、操作画面・マーク発生部108によって生成されたカーソル位置の画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S202)。ここで、カーソル位置の画像は、地図画像の画像中心位置に重ねて表示される。
【0041】
次に、制御部102は、ディスプレイ70に表示された地図画像において、ユーザによる操作部30の操作に応じて移動するカーソル位置を、当該地図画像における経度及び緯度で特定する(S203)。具体的には、地図描画部106は、S202において生成した矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を制御部102に通知する。制御部102は、通知された矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度に基づいて、カーソル位置である画像中心位置を、ディスプレイ70に表示された矩形の地図画像上の経度及び緯度に換算する。
【0042】
次に、制御部102は、バッファメモリ104に格納された特定領域情報を読み出す。更に、制御部102は、S203において特定した、ディスプレイ70に表示された地図画像におけるカーソル位置を示す経度及び緯度と、読み出した特定領域情報に含まれる特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、ディスプレイ70に表示された地図画像におけるカーソル位置を示す経度及び緯度が特定領域内であるか否かを判定する(S204)。カーソル位置を示す経度及び緯度が特定領域内でない場合には、再び、車両位置の算出(S201)以降の動作が繰り返される。
【0043】
一方、カーソル位置を示す経度及び緯度が特定領域内である場合、制御部102は、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、カーソル位置を示す経度及び緯度が存在する特定領域全体を表示可能な最大の縮尺であるか否かを判定する(S205)。具体的には、図3のS105とほぼ同様の動作が行われる。すなわち、制御部102は、地図描画部106から通知された、ディスプレイ70に表示されている矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度と、カーソル位置を示す経度及び緯度が存在する特定領域の特定領域情報に含まれる当該特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、特定領域全体がディスプレイ70に表示されているか否かを判定する。
【0044】
特定領域全体がディスプレイ70に表示されていない場合には、制御部102は、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、特定領域全体が表示可能な最大の縮尺でないと判定する。一方、特定領域全体がディスプレイ70に表示されている場合には、制御部102は、更に、その時点で設定されている縮尺を1段階大きくした場合において、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握する。例えば、縮尺を2倍にした場合には、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像は、カーソル位置を示す経度及び緯度を画面中心位置とする面積が1/4の領域に対応することになる。制御部102は、このような縮尺、カーソル位置を示す経度及び緯度とディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像との関係に基づいて、縮尺を1段階大きくした場合において、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握することができる。更に、制御部102は、縮尺を1段階大きくした場合において、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度と、カーソル位置を示す経度及び緯度が存在する特定領域の特定領域情報に含まれる当該特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、縮尺を1段階大きくした場合において、特定領域全体がディスプレイ70に表示されるか否かを判定する。そして、縮尺を1段階大きくした場合にも、特定領域全体がディスプレイ70に表示される場合には、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、特定領域全体が表示可能な最大の縮尺でないと判定する。一方、縮尺を1段階大きくした場合に、特定領域全体がディスプレイ70に表示されない場合には、その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、特定領域全体が表示可能な最大の縮尺であると判定する。
【0045】
その時点でディスプレイ70に表示されている地図画像が、特定領域全体が表示可能な最大の縮尺でない場合、制御部102は、各段階の縮尺のそれぞれにおいて、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握する。具体的には、上述と同様、制御部102は、縮尺、カーソル位置を示す経度及び緯度とディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像との関係に基づいて、各段階の縮尺のそれぞれにおいて、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度を把握することができる。更に、制御部102は、各段階の縮尺のそれぞれにおいて、ディスプレイ70に表示される仮想的な矩形の地図画像の四隅の経度及び緯度と、カーソル位置を示す経度及び緯度が存在する特定領域の特定領域情報に含まれる当該特定領域の外周部の経度及び緯度とを比較し、特定領域全体がディスプレイ70に表示可能な縮尺を特定し、更に特定した縮尺のうち、最大の縮尺を、特定領域全体が表示可能な最大の縮尺として特定する。
【0046】
次に、制御部102は、HDD20に対して、S203にて特定したカーソル位置を示す経度及び緯度の所定範囲に対応し、カーソル位置を示す経度及び緯度が存在する特定領域全体が表示可能な最大の縮尺(表示可能最大縮尺)の図葉データの読み出しを指示する。HDD20は、この指示に応じて、所定範囲の外周部の経度及び緯度と、表示可能最大縮尺の図葉データに含まれる矩形領域の四隅の経度及び緯度とを比較し、表示可能最大縮尺の図葉データのうち、所定範囲と重なる図葉データをハードディスク22から読み出す。読み出された図葉データは、バッファメモリ104に格納される。
【0047】
次に、制御部102は、S203にて特定したカーソル位置を示す経度及び緯度を地図描画部106へ通知する。地図描画部106は、バッファメモリ104に格納された図葉データを読み出し、当該図葉データに基づいて、通知されたカーソル位置を示す経度及び緯度を画面中心位置とするディスプレイ70の画面に対応する矩形の地図画像、すなわち、カーソル位置を示す経度及び緯度が存在する特定領域全体をディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺の地図画像を生成し、画像合成部118へ出力する。更に、制御部102は、画像合成部118に画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図画像と、操作画面・マーク発生部108によって生成されたカーソル位置の画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S206)。
【0048】
図6は、縮尺切り替えにおける地図画像の遷移の第2の例を示す図である。特定領域である湖205内にカーソル位置204が存在する場合、図6(a)に示す縮尺切り替え前の状態では、カーソル位置204が湖205にあり、利用者は、カーソル位置204が地図上のどの位置に存在するのかを把握しにくい。このような場合、本実施形態のナビゲーション装置100は、図6(b)に示すように、地図画像の縮尺を湖205の全体がディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺に切り替える。このように、ナビゲーション装置100は、カーソル位置が特定領域内にある場合には、地図画像の縮尺を、その特定領域の全体がディスプレイ70に表示可能な最大の縮尺に切り替えることができ、地図上のカーソル位置を把握したいという利用者の意思を考慮した適切な縮尺での地図画像の表示が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上、説明したように、本発明に係る地図画像表示装置及び地図画像表示方法は、利用者の意思を考慮した適切な縮尺での地図画像の表示を可能とし、地図画像表示装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】カーナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】特定領域情報の一例を示す図である。
【図3】地図画像の縮尺切り替えの第1の動作を示すフローチャートである。
【図4】縮尺切り替えにおける地図画像の遷移の第1の例を示す図である。
【図5】地図画像の縮尺切り替えの第2の動作を示すフローチャートである。
【図6】縮尺切り替えにおける地図画像の遷移の第2の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 本体
20 ハードディスクドライブ(HDD)
22 ハードディスク
30 操作部
40 通信部
50 GPS受信部
60 自律航法センサ
70 ディスプレイ
80 スピーカ
100 カーナビゲーション装置
102 制御部
104 バッファメモリ
106 地図描画部
108 操作画面・マーク発生部
110 誘導経路記憶部
112 誘導経路描画部
118 画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像を表示する地図画像表示装置であって、
前記地図画像表示装置が搭載される車両の位置を取得する車両位置取得手段と、
特定領域の領域情報が含まれる地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記車両位置取得手段により取得された車両位置と、前記地図データ取得手段により取得された地図データとに基づいて、前記車両位置の周辺の地図画像を表示ユニットに表示させる処理を行う地図画像表示処理手段と、
前記地図データ取得手段により取得された地図データと、前記車両位置取得手段により取得された車両位置とに基づいて、前記車両位置が前記特定領域内に存在するか否かを判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段により前記車両位置が前記特定領域内に存在すると判定された場合に、前記表示ユニットに表示されている車両位置の周辺の地図画像の縮尺を切り替える縮尺切替手段とを有することを特徴とする地図画像表示装置。
【請求項2】
前記特定領域の領域情報は、該特定領域の出口の位置情報を含み、
前記車両位置取得手段により取得された車両位置と、前記特定領域の出口の位置情報とに基づいて、前記表示ユニットに前記車両位置から前記特定領域の出口までの経路を表示させる処理を行う経路表示処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の地図画像表示装置。
【請求項3】
地図画像を表示する地図画像表示装置であって、
特定領域の領域情報が含まれる地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データ取得手段により取得された地図データに基づいて、地図画像を表示ユニットに表示させる処理を行う地図画像表示処理手段と、
前記表示ユニットに表示されている地図画像上のカーソル位置を特定するカーソル位置特定手段と、
前記地図データ取得手段により取得された地図データと、前記カーソル位置特定手段により特定されたカーソル位置とに基づいて、前記カーソル位置が前記特定領域内に存在するか否かを判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段により前記カーソルが前記特定領域内に存在すると判定された場合に、前記表示ユニットに表示されている車両位置の周辺の地図画像の縮尺を切り替える縮尺切替手段とを有することを特徴とする地図画像表示装置。
【請求項4】
前記縮尺切替手段は、前記地図画像の縮尺を、前記特定領域の全体が前記表示ユニットに表示可能な最大の縮尺に切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の地図画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−286755(P2008−286755A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134574(P2007−134574)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】