説明

垂直搬送装置

【課題】複数階において様々な搬送方向の搬送軌道が敷設される搬送システムにおいて階層間の搬送効率を向上させる。
【解決手段】昇降コンベア5は、ターンテーブル17とローラコンベア18から構成される。ローラコンベア18はターンテーブル17上に支持され、ターンテーブルコントローラ7によりターンテーブル17を旋回して荷受け又は荷渡しするコンベアレールの搬送方向とローラコンベア18を一致させた上でコンベアレールとローラコンベア18を駆動してFOUP8を荷受け又は荷渡しする。昇降コンベア5は、ケーブルベア20の結合部材20bで昇降空間9内に設置されるケーブル20aに支持され、昇降コンベアコントローラ4によりケーブルベア20の垂直方向の往復循環によりケーブルベア20の動きに連動して各階に設置されたポート21に昇降自在に停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階に敷設された複数の搬送軌道を接続し、被搬送物を垂直方向に搬送する垂直搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場、液晶表示パネル製造工場等の製造工場では、製造過程の品物(例えば、半導体製造工場の場合、半導体基板や液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の処理対象物)を収納したキャリアを、搬送コンベア、OHT、OHS等を用いた搬送システムにより、プロセスに従って、搬送する。搬送システムを用いた製造工場では、生産規模の拡大、製造工場の大規模化が図られ、これに伴い、製造装置台数の増加、搬送システムの規模拡大がなされ、製造工程が複数の階にまたがって構成されている場合がある。そのような場合は、垂直方向である階層間の搬送と、水平方向である同一階内の搬送とが行われる。
【0003】
ここで、コンベア搬送方式を用いて階層間に荷を搬送する搬送システムにおいて、垂直方向の搬送を行う従来技術として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されるコンベア機能を備えるリフタ等の垂直搬送装置がある。特許文献1では、コンベア機能付きリフタが開示されており、リフターコンベアは、1,2階部分の立体ループ搬送装置の水平部に隣接した荷揚げ場に設置され1,2階を昇降し、ローラ搬送を実施する。また、特許文献2は、特許文献1と類似する機能を有するリフタ付入出庫チェーンコンベアが開示されている。
【0004】
また、コンベア搬送方式以外の搬送方式を用いて階層間に荷を搬送する搬送システムにおいて、垂直方向の搬送を行う従来技術としては、スタッカクレーン、移載装置を装備したエレベータ、パンタグラフ方式の昇降装置等の垂直搬送装置がある。
【0005】
【特許文献1】特開平6−239416号公報
【特許文献2】特開平5−262407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、近年、生産効率に対する要求が更に強まり、搬送システムにおいて搬送効率の向上(例えば、搬送時間の短縮)が求められている。特に、搬送能力が高く、高い生産効率を達成できるコンベア搬送方式を用いた搬送システムでは、階層間に荷を搬送する垂直搬送装置についても、その搬送能力に調和させるために、階層間を効率よく搬送可能とすることが重要になっている。しかしながら、先行技術の一例として前述した特許文献1及び2に係るコンベア機能を備えるリフタでは、いずれの場合もリフタに装備されたコンベアの搬送方向は常に固定され、荷受けする階に敷設されるコンベアのコンベア搬送方向と、荷渡しする階に敷設されるコンベアのコンベア搬送方向は常に一致するよう固定されており、コンベア搬送方向を考慮した上で全て統一した仕様で規制しないと搬送コンベア軌道のライン構築ができないという問題を有している。即ち、先行技術に係るリフタは、様々な搬送方向の搬送コンベア軌道を有するコンベア搬送方式を用いた搬送システムに適用することができない、また、搬送システムの規模拡大に伴う搬送コンベア軌道の搬送方向の変更に対応できないという問題を有していた。また、垂直搬送装置に荷物を移載するための移載機(移載ロボットなど)を組み合わせることにより、複数階において様々な搬送方向の搬送コンベア軌道を備える搬送システムに対応することができるが、移載機は搬送能力が低いため、コンベア搬送方式の持つ高い搬送能力に調和することができず、非効率な搬送システムになるという問題がある。
【0007】
また、コンベア搬送方式以外の搬送方式を用いて階層間に荷を搬送する搬送システムにおける垂直搬送装置では、例えば、パンタグラフ方式の昇降装置は、昇降高さに限界があり、多階層からなる搬送システムには対応できない問題がある。また、スタッカクレーンは高さ方向に制限のない昇降自在な搬送装置であるが、荷物の移載には移載ロボットなどの移載機が必要となり、移載機の移載時間が階層間の搬送効率を低下させる原因となるという問題がある。更に、従来技術の垂直搬送装置では、移載装置を装備したエレベータでは移載装置を使用するため、荷の移載に時間を要し、階層間の搬送効率の向上は得られない。
【0008】
そこで、本発明は、複数階において様々な搬送方向の搬送軌道が敷設される搬送システムにおいて、階層間の搬送効率を向上することができる垂直搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明に係る垂直搬送装置は、複数階に敷設された複数の搬送軌道を接続し、被搬送物を垂直方向に搬送する垂直搬送装置であって、前記搬送軌道のいずれかから搬送される被搬送物を載置すると共に当該被搬送物を前記搬送軌道のいずれかに搬送することが可能な搬送コンベアと、前記搬送軌道の搬送方向に合わせて当該搬送コンベアを旋回させる回転装置と、を備える搬送方向設定装置と、前記複数階の搬送軌道間で、前記搬送方向設定装置を垂直方向に昇降させる昇降装置と、被搬送物に対する搬送指令に基づいて、前記搬送方向設定装置と前記昇降装置を制御する垂直搬送制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、上位の搬送システムからの被搬送物に対する搬送指令に基づいて、回転装置で荷受けする搬送軌道及び荷渡しする搬送軌道の搬送方向に搬送コンベアを一致せると同時に、昇降装置で荷受けする搬送軌道が敷設される階から荷渡しする搬送軌道が敷設される階に搬送方向設定装置を昇降することができ、複数階において様々な搬送方向の搬送軌道が敷設される搬送システムにおいて、階層間の搬送効率を向上することができる。
【0011】
ここで、本発明に係る垂直搬送装置は、前記垂直搬送制御装置が、被搬送物を荷受けする際に、前記搬送方向設定装置を荷受けする搬送コンベアが敷設される階に昇降するよう前記昇降装置を制御すると同時に前記搬送コンベアを荷受けする前記搬送軌道の搬送方向と一致するよう前記回転装置を制御し、被搬送物を荷渡しする際に、前記搬送方向設定装置を荷渡しする搬送コンベアが敷設される階に昇降するよう前記昇降装置を制御すると同時に前記搬送コンベアを荷渡しする前記搬送軌道の搬送方向と一致するよう前記回転装置を制御して良い。
【0012】
これにより、垂直搬送制御装置により、上位の搬送システムからの被搬送物に対する搬送指令に基づいて、自動的に、回転装置で荷受けする搬送軌道及び荷渡しする搬送軌道の搬送方向に搬送コンベアを一致させるとともに、昇降装置で荷受けする搬送軌道が敷設される階から荷渡しする搬送軌道が敷設される階に搬送方向設定装置を昇降することができ、複数階において様々な搬送方向の搬送軌道が敷設される搬送システムにおいて、階層間の搬送効率をより向上することができる。
【0013】
また、本発明に係る垂直搬送装置は、前記昇降装置が、前記搬送軌道が敷設される複数階にまたがって垂直方向に設置される昇降軌道と、前記搬送方向設定装置を前記昇降軌道に支持させる支持部材と、から構成され、前記昇降軌道又は前記支持部材のいずれか一方が駆動することにより、前記搬送方向設定装置を昇降させて良い。
【0014】
これにより、簡易な構成により昇降装置を実現することができ、複数階において様々な搬送方向の搬送軌道が敷設される搬送システムにおいて、階層間の垂直方向の搬送、特に多階層間の垂直方向の搬送をも容易に実現することができる。
【0015】
更に、本発明に係る垂直搬送装置は、前記搬送軌道が、複数階からなる製造工場に敷設されたものであり、前記搬送軌道及び前記搬送コンベアが、ローラコンベアから構成されて良い。
【0016】
これにより、特に、生産規模の拡大、製造工場の大規模化が図られ、これに伴い、製造装置台数の増加、搬送システムの規模拡大がなされ、製造工程が複数の階にまたがって構成されている搬送システムを用いた製造工場において、階層間を効率よく搬送可能とすることが重要になっているローラコンベア搬送方式を用いた階層間に荷を搬送する搬送システムに本発明に係る垂直搬送装置を適用することにより、階層間の搬送効率の向上を実現することができる。
【0017】
本発明において、搬送軌道とは、コンベア搬送方式を採用する搬送システムの搬送コンベア軌道の他、OHS、OHT等の搬送方式を採用する搬送システムの搬送軌道を含むものである。また、搬送コンベアとは、ローラコンベア、チェーンコンベアの他、ベルトコンベア等を含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る垂直搬送装置を実施するための最良の形態について具体的な一例に即して説明する。尚、本実施形態においては、製造工程が複数の階にまたがって構成されている半導体製造工場において、複数階に敷設されるローラコンベアを用いた搬送システムに適用する場合を想定する。
【0019】
本実施形態に係る垂直搬送装置について、図1に基づいて以下に説明する。図1は、本実施形態に係る垂直搬送装置を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、垂直搬送装置1は、昇降コンベア(搬送方向設定装置)5と、ケーブルベア(昇降装置)20と、昇降コントローラ4及びターンテーブルコントローラ7とからなる垂直搬送コントローラ(垂直搬送制御装置)3と、から構成される。尚、図1中のシステムコントローラ2は、搬送システム全体を制御するコントローラであり、被搬送物であるFOUP8に対する搬送指令を出すものである。
【0021】
昇降コンベア5は、4層階を貫き外壁22で区切られた昇降空間9に設置される。そして、昇降空間9には、各階毎にポート21−1〜21−4が設置され、各階のポート21−1〜21−4には、それぞれ1つ又は複数のコンベアレール(搬送軌道)が接続設置されている。図1に示す例では、1階において3つのコンベアレール(コンベアレール10−1、コンベアレール11−1、コンベアレール12−1)がポート21−1で接続設置され、2階において3つのコンベアレール(コンベアレール10−2、コンベアレール11−2、コンベアレール12−2)がポート21−2で接続設置され、3階において2つのコンベアレール(コンベアレール10−3、コンベアレール11−3)がポート21−3で接続設置され、更には、4階において1つのコンベアレール(コンベアレール13)がポート21−4で接続設置されている。尚、1〜4階の各階のコンベアレールには、各階のコンベアレールに対応したコンベアレールコントローラ6−1、6−2、6−3、6−4が設置される。
【0022】
ここで、本実施形態に係るケーブルベア20について図8に基づいて、詳細に説明する。図8は、本実施形態に係る垂直搬送装置のケーブルベアを示す一部断面を含む正面図である。ケーブルベア20は、ケーブル(昇降軌道)20aと、結合部材(支持部材)20bとから構成されている。そして、昇降コンベア5は、例えば、図8に示すような結合部材20bで、昇降空間9内に設置されるケーブル20aに支持され、昇降コンベアコントローラ4の制御下で、ケーブルベア20(即ち、ケーブル20a)の垂直方向への往復循環によりケーブルベア20(即ち、ケーブル20a)の動きに連動して、1〜4の各階に設置されたポート21に昇降自在に停止する。
【0023】
ここで、本実施形態に係る昇降コンベア5について図2〜図4に基づいて、詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るFOUPを搭載した垂直搬送装置のターンテーブルを示す一部断面を含む正面図である。図3は、本実施形態に係る垂直搬送装置のターンテーブルの旋回位置決め駆動原理を説明するA−A´断面図である。図4は、本実施形態に係る垂直搬送装置のローラコンベアの駆動原理を説明する正面図である。
【0024】
昇降コンベア5は、図2に示すように、ターンテーブル(回転装置)17と、ローラコンベア(搬送コンベア)18とから構成されている。ここで、ローラコンベア18は、ターンテーブル17を構成するテーブル41に支持される。そして、テーブル41は、支持部材33により旋回軸35に支持され、旋回軸35は軸受け36を介してリフタ枠16に固定される。また、旋回軸35にはプーリ34が軸止され、タイミングベルト37を介し駆動モータ38の回転軸40に軸止されたプーリ39に連結され、駆動モータ38の駆動のより正逆回転する。そして、リフタ枠16内にはターンテーブルコントローラ7が設置され、後述するフォトセンサ45及びドグ30で検出したテーブル41の回転方向に基づいて、後述するシステムコントローラ2からの搬送指令に基づいて、駆動モータ38を駆動させてテーブル41を旋回させる。尚、昇降コンベア5に備えられる搬送コンベアは、ローラコンベア18に限らず、チェーンコンベア、ベルトコンベア等であっても良い。
【0025】
ここで、昇降コンベア5を構成するターンテーブル17の旋回位置決め機構及びその駆動原理について、図2及び図3に基づいて説明する。図2に示すように、リフタ枠16の上部端面には受光素子31と発光素子32が対となって構成されるフォトセンサ45が、テーブル41の下面に設置されたドグ30を挟んだ状態で設置される。このうちフォトセンサ45とドグ30は、ターンテーブル17、即ちテーブル41の回転方向を検出し、ローラコンベアの搬送方向を決定するために設置されるものである。図3に示すように、ターンテーブル17の旋回位置決め機構は4つのドグ検出センサ45a、45b、45c、45d、補助ドグ検出センサ45eと、ドグ30とから構成される。ドグ30は、テーブル41の回転位置認識手段であって、テーブル41の外周に沿ってテーブル41上に湾曲させて設置された平板である。尚、ドグ30は、テーブル41の半周より僅かに短い範囲をカバーする長さで形成される。4つのドグ検出センサ45a、45b、45c、45dは、リフタ枠16の上面円周縁部であって、回転軸52を中心として中心角を4等分する各分割線の延長線上に、発光素子31と受光素子32とでドグ30を挟んで固定設置される。また、補助ドグ検出センサ45eは、ドグ検出センサ45aより時計回り方向に中心角θだけ離れたリフタ枠16の上面円周縁部に固定設置される。ここに、ドグ検出センサ45aは−90°位置センサ、ドグ検出センサ45bは0°位置センサ、ドグ検出センサ45cは+90°位置センサ、ドグ検出センサ45dは+180°位置センサ、ドグ検出センサ45eはオーバ位置判別センサと呼ぶ。補助ドグ検出センサ45eは、+180°オーバ位置と、−90°オーバ位置を判別するために設置されている。テーブル41の回転位置はドグ30の中心位置で判断され、例えば、図3ではドグ30の中心は0°の位置にあり、テーブル41は0°位置にあると言う。尚、テーブル41の停止位置は、ドグ30の中心位置が0°、+90°、+180°、−90°の4箇所に限定される。以上により、テーブル41の回転位置は、検出センサ45a、45b、45c、45dと補助ドグ検出センサ45eの合計5個のフォトセンサ45による、ドグ30の検出の有無の組合せにより認識できる。また、テーブル41の回転には時計回り方向と反時計回り方向の2方向がある。回転は0°の位置が原点となり、−90°位置に位置合せする場合は原点から時計回り方向に回転させ、+90°と+180°の位置に位置合せする場合は原点から反計回り方向にテーブル41を回転させる。そして、フォトセンサ45及びドグ30で検出したテーブル41の回転位置に基づいて、システムコントローラ2からの搬送指令に基づいてターンテーブルコントローラ7から出力される旋回指令により、駆動モータ38を駆動させてテーブル41を旋回させる。尚、上述したターンテーブル17の旋回位置決め機構は、ローラコンベアの搬送方向の決定のみならず、電源投入時に実施するテーブル位置初期化に於ける、ターンテーブル位置検出も行う。また、ターンテーブル17の旋回位置決め機構は、上述の構成に限らず、ターンテーブル17の回転位置に基づいて、ターンテーブル17を所定の方向に旋回することができる機構であれば良い。
【0026】
次に、昇降コンベア5を構成するローラコンベア18の説明を、図2及び図4に基づいて行う。ローラコンベア18は、ターンテーブル17上に支持され、ローラ支持フレーム29、ローラ27、ローラ軸28から構成される。そして、ローラ27はフレーム29の両側に設けられ、一方の側に設けられる駆動機構を有する駆動ローラ47と、他方の側に設けられる駆動機構を有せず回転自在な従動ローラ44と、で構成される。駆動ローラ47は、図4に示すように、5個のローラ27により1ブロックで構成される。そして、駆動ローラ47は、ローラコンベア18のローラ支持フレーム29に対してローラ軸28が回動自在に支持され、ローラ軸28には荷受け部49と鍔部50が一体に設けられ、荷受け部49の外周にはウレタンゴム51が挿入される。また、ローラ軸28には歯付プーリ48が挿入され、駆動モータ53の駆動軸55には、スプロケット54が固定され、当該スプロケット54は、一連のローラ27に固定されたスプロケット48と同一垂直平面に配置されている。また、タイミングベルト46は、ローラ27の駆動源となる駆動モータ53のスプロケット54及び直線状に並ぶ一連のローラ27のそれぞれに設けた複数個(図4に示す例では5個)のスプロケット48に対して順次歯部側(内周面)を係合し、1ループを形成している。そして、タイミングベルト46の歯部を有しない側(外周面)の適所(図4に示す例では2箇所)には、テンションローラ52が配置されている。尚、テンションローラ52の支持軸は、タイミングベルト46に張力を与えている。また、鍔部50はローラコンベア18上を輸送されるFOUP8がコンベア軌道上から逸脱しないよう左右方向の動きを強制的に規正する機能を担う。
【0027】
また、ローラコンベア18のローラ支持フレーム29には1対のセンサ支持部材26が取り付けられ、1対のセンサ支持部材26上には、それぞれ、在荷センサ25が設置される。1対の在荷センサ25はFOUP8の存在の有無と、FOUP8が正規の位置に搭置されているかどうかの判定を行う。1対の在荷センサ25の双方が検出する状態にあればFOUP8は正規の位置に搭置されていると判断し、1対の在荷センサ25のいずれか一方が検出する状態にあればFOUP8は正規の位置に搭置されていないと判断し、1対の在荷センサ25の双方が検出しない状態にあればFOUP8は存在しないと判断する。尚、在荷センサ25におけるFOUP8の存在の有無と、FOUP8が正規の位置に搭置されているかどうかの判定は、ターンテーブルコントローラ7に出力される。
【0028】
次に、昇降コンベア5及びケーブルベア20を制御する垂直搬送コントローラ3の動作説明を、図5に基づいて行う。図5は、本実施形態に係る垂直搬送装置の垂直搬送コントローラを示すブロック図である。図5に示すように、垂直搬送コントローラ3は、昇降コンベア5を制御するためのターンテーブルコントローラ7と、ケーブルベア20を制御するための昇降コントローラ4と、から構成される。
【0029】
ターンテーブルコントローラ7は、システムコントローラ2と、昇降コントローラ4と、各階のコンベアレールコントローラ6(1〜N階コンベアレールコントローラ6−1〜6−N)とに接続され、ターンテーブルコントローラ7と接続される各コントローラとの間で信号の送受信が行われる。また、ターンテーブルコントローラ7は、FOUP8に付属するデータ(各階毎に固有なターンテーブル17の搬送方向データ、昇降コントローラ4が移動する階データ)を記憶する。そして、ターンテーブルコントローラ7は、システムコントローラ2からの搬送要求を受信して、現在の階が目標の階(荷受けするコンベアレールが敷設される階或いは荷渡しするコンベアレールが敷設される階)であるかを判断して、異なる階である場合は昇降コントローラ4に対して昇降指令を送信する。同時に、ターンテーブルコントローラ7は、ターンテーブル17を目標のコンベアレール(荷受けするコンベアレール或いは荷渡しするコンベアレール)の搬送方向に一致させるように旋回する。また、ターンテーブルコントローラ7は、目標の階(荷受けするコンベアレールが敷設される階或いは荷渡しするコンベアレールが敷設される階)に到着後、荷受け或いは荷渡しするコンベアレールと昇降コンベア5とのローラコンベア18を軌道連結させた状態で、その階のコンベアレールコントローラ6に対してコンベアレールのローラの駆動指令を送信すると共に、昇降コンベア5の駆動ローラ47を駆動させる。
【0030】
昇降コントローラ4は、ターンテーブルコントローラ7からの昇降指令を受信してケーブルベア20を垂直方向に往復循環させることにより昇降コンベア5を目標の階(荷受けするコンベアレールが敷設される階或いは荷渡しするコンベアレールが敷設される階)に昇降させ、目標の階(荷受けするコンベアレールが敷設される階或いは荷渡しするコンベアレールが敷設される階)のポートに到着したことを確認すると、昇降動作完了信号をターンテーブルコントローラ7に送信する。
【0031】
ここで、システムコントローラ2から搬送要求が出され、ある階にて荷受けし、ある階(同一階の場合もある)まで昇降し、荷渡しするまでの垂直搬送コントローラ3の処理の手順について、図6及び図7に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係る垂直搬送コントローラ3のターンテーブルコントローラ7の処理の手順を示したフローチャートである。図7は、本実施形態に係る垂直搬送コントローラ3の昇降コントローラ4の処理の手順を示したフローチャートである。
【0032】
まず、ターンテーブルコントローラ7の処理の手順について、図6に基づいて説明する。図6に示すように、まず、ターンテーブルコントローラ7は、所定の時間間隔毎に、搬送システムコントローラ2からの搬送要求があるかどうか判断し、搬送システムコントローラ2からの搬送要求を受信すると(ステップS1:YES)、現在位置が荷受け階であるか否かの判断を行う(ステップS2)。
【0033】
そして、現在位置が荷受け階の場合は(ステップS2:YES)、昇降コントローラ4に対して昇降指令を送信せず、ターンテーブル17の駆動モータ38を駆動させてターンテーブル17を荷受けするコンベアレールの搬送方向に一致させるように旋回する(ステップS3)。一方、現在位置が荷受け階と異なる場合は(ステップS2:NO)、昇降コントローラ4に対して荷受け階までの昇降指令を送信すると同時に、ターンテーブル17の駆動モータ38を駆動させてターンテーブル17を荷受けするコンベアレールの搬送方向に一致させるように旋回する(ステップS4)。
【0034】
次いで、荷受け階に到着して昇降コントローラ4から昇降動作完了信号を受信すると(ステップS5:YES)、昇降コンベア5のローラコンベア18と、荷受けするコンベアレールとを軌道連結させた状態で、荷受けするコンベアレールが敷設される階のコンベアレールコントローラ6に対して荷受けするコンベアレールのローラの駆動指令を送信すると共に、昇降コンベア5の駆動ローラ47の駆動モータ55を駆動させ、FOUP8を荷受けするコンベアレールから昇降コンベア5上まで輸送し、荷受けを完了させる(ステップS6)。尚、昇降コンベア5上の1対の在荷センサ25の双方が検出する状態にありFOUP8は正規の位置に搭置されていると判断した場合に、荷受けが完了する。
【0035】
荷受けが完了すると(ステップS6:YES)、昇降コントローラ4に対して荷渡し階までの昇降指令を送信すると同時に、ターンテーブル17の駆動モータ38を駆動させてターンテーブル17を荷渡しするコンベアレールの搬送方向に一致させるように旋回する(ステップS7)。
【0036】
次いで、荷渡し階に到着して昇降コントローラ4から昇降動作完了信号を受信すると(ステップS8:YES)、昇降コンベア5のローラコンベア18と、荷渡しするコンベアレールとを軌道連結させた状態で、荷渡しするコンベアレールが敷設される階のコンベアレールコントローラ6に対して荷渡しするコンベアレールのローラの駆動指令を送信すると共に、昇降コンベア5の駆動ローラ47の駆動モータ55を駆動させ、FOUP8を昇降コンベア5から荷渡しするコンベアレール上まで輸送し、荷受けを完了させる(ステップS9)。尚、昇降コンベア5上の1対の在荷センサ25の双方が検出しない状態にありFOUP8は存在しないと判断した場合に、荷渡しが完了する。
【0037】
次に、昇降コントローラ4の処理の手順について、図7に基づいて説明する。図7に示すように、まず、昇降コントローラ4は、所定の時間間隔毎に、ターンテーブルコントローラ7からの昇降指令があるかどうか判断し、ターンテーブルコントローラ7からの昇降指令を受信すると(ステップS21:YES)、ケーブルベア20を垂直方向に往復循環させることにより、昇降コンベア5を、指令を受けた目標の階(荷受けするコンベアレールが敷設される階或いは荷渡しするコンベアレールが敷設される階)に昇降させる(ステップS22)。
【0038】
そして、指令を受けた目標の階(荷受けするコンベアレールが敷設される階或いは荷渡しするコンベアレールが敷設される階)のポートに到着したことを確認すると(ステップS23:YES)、昇降動作完了信号をターンテーブルコントローラ7に送信し(ステップS24)、昇降動作完了となる。
【0039】
このように、本実施形態に係る垂直搬送装置1によると、システムコントローラ2からのFOUP8に対する搬送要求に基づいて、昇降コンベア5のターンテーブル17で荷受けするコンベアレール及び荷渡しするコンベアレールの搬送方向に、FOUP8を載置して階層間を昇降する昇降装置を合わせるとともに、ターンテーブル17で荷受けするコンベアレール及び荷渡しするコンベアレールの搬送方向に昇降コンベア5のローラコンベア18を一致せると同時に、ケーブルベア20で荷受けするコンベアレールが敷設される階から荷渡しするコンベアレールが敷設される階に昇降コンベア5を昇降することができ、複数階において様々な搬送方向のコンベアレールが敷設される搬送システムにおいて、階層間の搬送効率を向上することができる。
【0040】
特に、生産規模の拡大、製造工場の大規模化が図られ、これに伴い、製造装置台数の増加、搬送システムの規模拡大がなされ、製造工程が複数の階にまたがって構成されている搬送システムを用いた製造工場において、階層間を効率よく搬送可能とすることが重要になっているローラコンベア搬送方式を用いた階層間に荷を搬送する搬送システムに本発明に係る垂直搬送装置1を適用することにより、階層間の搬送効率の向上を実現することができる。
【0041】
また、昇降空間9内に設置されるケーブルベア20という簡易な構成により昇降装置を実現することができ、複数階において様々な搬送方向の搬送コンベアが敷設されるコンベア搬送方式の搬送システムにおいて、階層間の垂直方向の搬送、特に多階層間の垂直方向の搬送をも容易に実現することができる。
【0042】
また、垂直搬送コントローラ3により、システムコントローラ2からのFOUP8に対する搬送要求に基づいて、自動的に、昇降コンベア5のターンテーブル17で荷受けするコンベアレール及び荷渡しするコンベアレールの搬送方向に、昇降コンベア5のローラコンベア18を合わせるとともに、ケーブルベア20で荷受けするコンベアレールが敷設される階から荷渡しするコンベアレールが敷設される階に昇降コンベア5を昇降することができ、複数階において様々な搬送方向のコンベアレールが敷設される搬送システムにおいて、階層間の搬送効率をより向上することができる。
【0043】
以上、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。また、具体例は、本発明の構成を例示したものであり、本発明を限定するものではない。
【0044】
例えば、上述の実施形態では、昇降装置を、図8に示すような昇降コンベア5を結合部材20bで結合した昇降空間9内に設置されるケーブル20aで構成されるケーブルベア20で実現しているがそれに限らない。例えば、図9に示すように、昇降空間内9の垂直方向にレール(昇降軌道)60aを設けると共に、昇降コンベア5を結合する結合部材(支持部材)60bにギア60c及びギア60cを駆動させるモータ60dを設け、当該レール60aとギア60cをかみ合わせ、モータ60dによりギア60cを駆動させることにより、レール60aに沿って、昇降コンベア5を垂直方向に昇降させるような昇降装置60の構成であっても良い。
【0045】
また、上述の実施形態に係る垂直搬送装置は、ローラコンベアを用いた搬送システムに適用する場合を想定しているが、それに限らない。例えば、上述の実施形態に係る垂直搬送装置を、ベルトコンベア、チェーンコンベア等の他の搬送コンベアを用いた搬送システムや、OHT、OHS等の搬送方式を用いた搬送システムに用いることもできる。ここで、OHT、OHS等の搬送方式を用いた搬送システムに上述の実施形態に係る垂直搬送装置を用いる場合は、OHT、OHSの搬送軌道から、隣接設置したOHT、OHS用のポートを介して図1における各ポート21に搬送するようにすると良い。尚、OHSの場合は、更に、荷台をコンベア構成とすることにより、OHS用のポートとコンベア搬送で被搬送物を受け渡しが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る垂直搬送装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るFOUPを搭載した垂直搬送装置のターンテーブルを示す一部断面を含む正面図である。
【図3】本実施形態に係る垂直搬送装置のターンテーブルの旋回位置決め駆動原理を説明するA−A´断面図である。
【図4】本実施形態に係る垂直搬送装置のローラコンベアの駆動原理を説明する正面図である。
【図5】本実施形態に係る垂直搬送装置の垂直搬送コントローラを示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る垂直搬送コントローラのターンテーブルコントローラの処理の手順を示したフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る垂直搬送コントローラの昇降コントローラの処理の手順を示したフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る垂直搬送装置のケーブルベアを示す一部断面を含む正面図である。
【図9】他の実施形態に係る垂直搬送装置のケーブルベアを示す一部断面を含む正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 垂直搬送装置
3 垂直搬送コントローラ(垂直搬送制御装置)
4 昇降コントローラ
5 昇降コンベア(搬送方向設定装置)
7 ターンテーブルコントローラ
8 FOUP(被搬送物)
10−1〜10−3 コンベアレール(搬送軌道)
11−1〜11−3 コンベアレール(搬送軌道)
12−1〜12−2 コンベアレール(搬送軌道)
13 コンベアレール(搬送軌道)
17 ターンテーブル(回転装置)
18 ローラコンベア(搬送コンベア)
20 ケーブルベア(昇降装置)
20a ケーブル(昇降軌道)
20b 結合部材(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階に敷設された複数の搬送軌道を接続し、被搬送物を垂直方向に搬送する垂直搬送装置であって、
前記搬送軌道のいずれかから搬送される被搬送物を載置すると共に当該被搬送物を前記搬送軌道のいずれかに搬送することが可能な搬送コンベアと、前記搬送軌道の搬送方向に合わせて当該搬送コンベアを旋回させる回転装置と、を備える搬送方向設定装置と、
前記複数階の搬送軌道間で、前記搬送方向設定装置を垂直方向に昇降させる昇降装置と、
被搬送物に対する搬送指令に基づいて、前記搬送方向設定装置と前記昇降装置を制御する垂直搬送制御装置と、
を備えることを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項2】
前記垂直搬送制御装置が、
被搬送物を荷受けする際に、前記搬送方向設定装置を荷受けする搬送コンベアが敷設される階に昇降するよう前記昇降装置を制御すると同時に前記搬送コンベアを荷受けする前記搬送軌道の搬送方向と一致するよう前記回転装置を制御し、
被搬送物を荷渡しする際に、前記搬送方向設定装置を荷渡しする搬送コンベアが敷設される階に昇降するよう前記昇降装置を制御すると同時に前記搬送コンベアを荷渡しする前記搬送軌道の搬送方向と一致するよう前記回転装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の垂直搬送装置。
【請求項3】
前記昇降装置が、
前記搬送軌道が敷設される複数階にまたがって垂直方向に設置される昇降軌道と、
前記搬送方向設定装置を前記昇降軌道に支持させる支持部材と、
から構成され、前記昇降軌道又は前記支持部材のいずれか一方が駆動することにより、前記搬送方向設定装置を昇降させることを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直搬送装置。
【請求項4】
前記搬送軌道が、複数階からなる製造工場に敷設されたものであり、
前記搬送軌道及び前記搬送コンベアが、ローラコンベアから構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の垂直搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−161460(P2007−161460A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362757(P2005−362757)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】