基板保持機構、およびこの基板保持機構を備える基板処理装置
【課題】基板の搬送や、基板の回転を確実に行うことができる基板保持機構、およびこの基板保持機構を備える基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置は、基板を保持して回転させるスピンチャックを備えている。スピンチャックは、開位置と閉位置との間で変位可能であり、開位置と閉位置との間の当接位置で基板の周端面に当接して当該基板を保持するための可動ピンと、可動ピンの変位量に応じた変位量で可動ピンと連動し、開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する磁石62と、開検知位置と閉検知位置との間における磁石62の位置に応じて変化する磁界を検知するセンサ64と、センサ64の検出値に基づいて、開位置と閉位置との間における可動ピンの位置を検出する制御部63とを含む。
【解決手段】基板処理装置は、基板を保持して回転させるスピンチャックを備えている。スピンチャックは、開位置と閉位置との間で変位可能であり、開位置と閉位置との間の当接位置で基板の周端面に当接して当該基板を保持するための可動ピンと、可動ピンの変位量に応じた変位量で可動ピンと連動し、開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する磁石62と、開検知位置と閉検知位置との間における磁石62の位置に応じて変化する磁界を検知するセンサ64と、センサ64の検出値に基づいて、開位置と閉位置との間における可動ピンの位置を検出する制御部63とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を保持する基板保持機構、およびこの基板保持機構を備える基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、たとえば、半導体ウエハなどの基板に対して処理液を用いた処理が行われる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させる基板保持機構を備えている(たとえば特許文献1参照)。
この特許文献1に係る基板保持機構は、水平に配置された円板状の回転台と、回転台の中心を通る鉛直軸線まわりに回転台を回転させるモータと、回転台上で基板を水平に保持するための複数の固定式保持部材および回動式保持部材と、回動式保持部材を鉛直軸線まわりに回動させるための磁石とを備えている。
【0003】
複数の固定式保持部材および回動式保持部材は、回転台上において、基板の外縁に沿うように同一円周上に配置されている。回動式保持部材は、基板を保持する保持位置と、基板の保持を開放する開放位置との間で鉛直軸線まわりに回動するように構成されている。基板保持機構は、各回動式保持部材を回動させることにより、複数の固定式保持部材および回動式保持部材によって基板の周端面を挟持して、当該基板を回転台上で保持することができる。また、基板保持機構は、モータによって回転台を回転させることにより保持した基板を回転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−135314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る基板保持機構に基板が搬送されるときには、基板同士の衝突を避けるために、回転台上に基板が無いことを確認する必要がある。また、この基板保持機構に基板が搬送されるときには、基板と回動式保持部材との衝突を避けるために、回動式保持部材を退避させる必要がある。また、この基板保持機構によって基板を回転させるときには、基板の回転が開始される前に、基板が確実に保持されていることを確認する必要がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、基板の搬送や、基板の回転を確実に行うことができる基板保持機構、およびこの基板保持機構を備える基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、非回転ベース(10)と、前記非回転ベースに対して、所定の回転軸線(L1)まわりに回転可能に設けられた回転ベース(7)と、前記回転ベースを回転駆動する回転駆動機構(9)と、前記回転ベースに設けられ、開位置と閉位置との間で変位可能であり、前記開位置と前記閉位置との間の当接位置で基板の周端面に当接して当該基板を保持するための可動保持部材(16)と、前記回転ベースに設けられ、前記可動保持部材の変位量に応じた変位量で前記可動保持部材と連動し、前記開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する磁石(62、262)と、前記非回転ベースに設けられ、前記回転ベースが所定の検知回転位置にあるときに前記磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置され、前記開検知位置と閉検知位置との間における前記磁石の位置に応じて変化する磁界を検知する磁気検出手段(64、264)と、前記磁気検出手段の検出値に基づいて、前記開位置と閉位置との間における前記可動保持部材の位置を検出する位置検出手段(63)とを含む、基板保持機構(4)である。なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
【0008】
この発明によれば、回転駆動機構によって回転駆動される回転ベースに、基板を保持するための可動保持部材が設けられている。また、可動保持部材は、開位置と閉位置との間で変位可能であり、開位置と閉位置との間には、可動保持部材を基板の周端面に当接させて、当該基板を保持するための当接位置が設けられている。したがって、所定の基板保持位置に基板が位置している状態で、可動保持部材を閉位置に向けて変位させることにより、可動保持部材を当接位置で基板の周端面に当接させて、当該基板を保持することができる。また、可動保持部材が当接位置にある状態で、回転駆動機構が回転ベースを回転させることにより、保持された基板を回転させることができる。さらに、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、可動保持部材を開位置に位置させることにより、基板と可動保持部材との衝突を回避しつつ、当該基板を前記基板保持位置に搬送することができる。
【0009】
また、この発明によれば、回転ベースに、可動保持部材と連動する磁石が設けられており、非回転ベースに、磁界を検知する磁気検知手段が設けられている。より具体的には、前記磁石は、可動保持部材の変位量に応じた変位量で可動保持部材と連動し、可動保持部材の開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する。また、磁気検知手段は、回転ベースが所定の検知回転位置にあるときに前記磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置され、前記開検知位置と閉検知位置との間における前記磁石の位置に応じて変化する磁界を検知する。したがって、位置検出手段は、磁気検出手段の検出値に基づいて、開位置と閉位置との間における可動保持部材の位置を検出することができる。
【0010】
前記基板保持位置に基板があれば、可動保持部材は閉位置まで変位することができない。したがって、可動保持部材が閉位置にあることを検出することにより、前記基板保持位置に基板が無いことを確認することができる。そのため、前記基板保持位置に基板が搬送される前に、可動保持部材を閉位置に位置させて、これを確認することにより、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、基板同士が衝突することを防止することができる。
【0011】
また、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、可動保持部材が開位置にあることを検出することにより、可動保持部材が確実に退避していることを確認することができる。これにより、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、基板が可動保持部材に衝突することを防止することができる。
また、可動保持部材が当接位置にあることを検出することにより、可動保持部材によって基板が保持されていることを確認することができる。したがって、回転駆動機構が回転ベースを回転させる前に、可動保持部材が当接位置にあることを検出することにより、基板が確実に保持されていない状態で基板の回転が開始されることを防止することができる。
【0012】
さらに、回転駆動機構が回転ベースを回転させているときには、回転ベースが検知回転位置を通るから、基板の回転中にも可動保持部材の位置を検出することができる。したがって、基板の回転中に可動保持部材が当接位置にあることを検出することにより、基板が確実に保持された状態で基板の回転が行われていることを確認することができる。
このように本発明によれば、開位置と閉位置との間における可動保持部材の位置を検出することにより、基板保持機構に対する基板の搬送や、基板保持機構による基板の回転を確実に行うことができる。また、磁気検出手段が非回転ベースに設けられているので、回転ベースの大型化、および構造の複雑化を抑制または防止することができる。さらに、磁気検知手段が磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置されており、常に互いに非接触の状態であるので、回転ベースの回転中に、前記磁石と磁気検知手段とが互いに摺動するようなことがない。これにより、摺動する部材同士の摩耗による不具合(摺動する部材の寿命の低下や、摺動に伴う摩耗粉による汚染等)を抑制または防止することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記磁気検出手段は、磁界の強さをそれぞれ検出する開位置用磁気検出手段(64a)、閉位置用磁気検出手段(64b)、および当接位置用磁気検出手段(64c)を含むものであり、前記開位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、前記閉位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、前記当接位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、前記位置検出手段は、前記開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段により検出された磁界の強さに基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構である。
【0014】
この発明によれば、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が開検知位置にあるときに、開位置用磁気検出手段が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が閉検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が閉検知位置にあるときに、閉位置用磁気検出手段が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が可動保持部材の当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、当接位置用磁気検出手段が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および閉検知位置にあるときよりも大きくなる。
【0015】
位置検出手段は、開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段の検出値に基づいて、可動保持部材の位置を検出することができる。たとえば、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、可動保持部材が当接位置にあるときには、当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になり、開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値未満になる。したがって、位置検出手段は、当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になり、開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値未満になったときに、可動保持部材が当接位置にあることを検知することができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明のように、位置検出手段は、前記当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になったとき、または前記開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以下になったときに、前記可動保持部材が当接位置にあることを検知することもできる。この場合、1つまたは2つの磁気検出手段の検出値に基づいて可動保持部材の位置が検出されるので、3つ以上の磁気検出手段の検出値に基づいて可動保持部材の位置が検出される場合に比べて検出速度を高めることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記磁気検出手段は、磁界の強さおよび磁極を検知する磁気検出素子(264)を含むものであり、前記磁気検出素子は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに前記磁石の一方の磁極から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに前記磁石の他方の磁極(たとえば、前記一方の磁極がN極であれば、他方の磁極はS極)から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが小さくなるように配置されたものであり、前記位置検出手段は、前記磁気検出素子により検出された磁界の強さおよび磁極に基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構である。
【0018】
この発明によれば、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が開検知位置にあるときに、磁気検出素子が前記磁石の一方の磁極から受ける磁界の強さが、前記磁石が閉検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が閉検知位置にあるときに、磁気検出素子が前記磁石の他方の磁極から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が可動保持部材の当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、磁気検出素子が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および閉検知位置にあるときよりも大きくなる。
【0019】
位置検出手段は、磁気検出素子の検出値に基づいて、可動保持部材の位置を検出することができる。より具体的には、位置検出手段は、前記磁石の一方の磁極から磁気検出素子が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動保持部材が開位置にあることを検知することができる。また、位置検出手段は、前記磁石の他方の磁極から磁気検出素子が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動保持部材が閉位置にあることを検知することができる。また、また、位置検出手段は、前記磁石から磁気検出素子が受ける磁界の強さが所定値未満になったときに、可動保持部材が当接位置にあることを検知することができる。すなわち、本発明によれば、位置検出手段は、1つの磁気検出素子からの検出値に基づいて、可動保持部材の3つの位置を検知する。これにより、基板保持機構の部品点数を減少させて、基板保持機構の部品コストや組立コストを低減することができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記可動保持部材、および当該可動保持部材に対応する前記磁石をそれぞれ有する複数の保持ユニット(12)を含み、前記位置検出手段は、前記複数の保持ユニットの全ての可動保持部材の位置を検知するものであり、前記位置検出手段によって検出される前記全ての可動保持部材の位置に基づいて、基板の保持状態を判定する状態判定手段(63)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持機構である。
【0021】
この発明によれば、可動保持部材をそれぞれ有する複数の保持ユニットが設けられている。また、各保持ユニットには、可動保持部材に対応する前記磁石が設けられている。したがって、位置検出手段は、全ての可動保持部材の位置を検知することができる。これにより、状態判定手段は、全ての可動保持部材の位置に基づいて、基板の保持状態を判定することができる。たとえば、状態判定手段は、全ての可動保持部材が当接位置に位置して、基板が確実に保持されていることを検知することができる。また、状態判定手段は、一部の可動保持部材が当接位置に位置しておらず、基板が斜めに保持されているおそれがあることを検知することができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、前記複数の保持ユニットと同数の前記磁気検出手段が、前記回転ベースが前記検知回転位置にあるときに前記複数の保持ユニットの前記磁石の磁界をそれぞれ検出するように配置されている、請求項5記載の基板保持機構である。
この発明によれば、複数の保持ユニットと同数の磁気検出手段が設けられおり、これらの磁気検出手段は、回転ベースが検知回転位置にあるときに、それぞれ、複数の保持ユニットの前記磁石の磁界を検出するように配置されている。したがって、位置検出手段は、回転ベースが検知回転位置にあるときに、複数の保持ユニットにそれぞれ設けられた複数の可動保持部材の位置を同時に検出することができる。これにより、複数の可動保持部材の位置を効率的に検出することができる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板保持機構と、前記基板保持機構に保持された基板に処理液を供給する処理液供給機構(5)とを含む、基板処理装置(1)である。
この発明によれば、処理液供給機構が、基板保持機構に保持された基板に処理液を供給することにより、当該基板が処理される。より具体的には、たとえば、基板保持機構が基板を回転させながら、処理液供給機構が回転状態の基板に処理液を供給することにより、当該基板が処理される。前述のように、可動保持部材の位置を検出することにより、基板の搬送や、基板の回転を確実に行うことができるので、基板搬送工程から処理液供給工程までの一連の工程を含む処理を円滑に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスピンチャックが備えられた基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るスピンチャックの平面図である。
【図3】スピンチャックの内部構造を説明するためのスピンチャックの要部の側面図である。
【図4】下側固定ユニットの要部の拡大斜視図である。
【図5】上側回転ユニットおよびこれに関連する構成を下方から見た斜視図である。
【図6】上側回転ユニットおよびこれに関連する構成を下方から見た斜視図である。
【図7】上側回転ユニットの分解斜視図である。
【図8】可動ピンと上側回転ユニットの一部の斜視図である。
【図9】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図10】従動磁石の動作を説明するための磁石保持部および従動磁石の断面図である。
【図11】位置検出ユニットの要部の側面である。
【図12】図11に示すXII−XII線に沿う位置検出ユニットの断面図である。
【図13】位置検出ユニットの要部を上方から見た斜視図である。
【図14(a)】検知用磁石およびセンサの対向状態を示す断面図である。
【図14(b)】検知用磁石およびセンサの対向状態を示す断面図である。
【図14(c)】検知用磁石およびセンサの対向状態を示す断面図である。
【図15】可動ピンが各位置にあるときの各センサのON/OFF状態を示す表である。
【図16】スピンチャックに基板を搬送して、この基板をスピンチャックによって回転させるときのフローチャートである。
【図17】基板の回転中における基板の保持状態を判定するときの確認方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図18】基板の回転中における基板の保持状態を判定するときの確認方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図19(a)】この発明の第2実施形態に係る検知用磁石およびセンサの対向状態を示す検知用磁石およびセンサの断面図である。
【図19(b)】この発明の第2実施形態に係る検知用磁石およびセンサの対向状態を示す検知用磁石およびセンサの断面図である。
【図19(c)】この発明の第2実施形態に係る検知用磁石およびセンサの対向状態を示す検知用磁石およびセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るスピンチャック4が備えられた基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係るスピンチャック4の平面図である。以下では、図1および図2を参照して、基板処理装置1の概略構成について説明する。
【0026】
この基板処理装置1は、半導体ウエハなどの基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、隔壁2で区画された処理室3内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック4(基板保持機構)と、基板Wに処理液を供給する処理液供給ユニット5(処理液供給機構)とを備えている。
スピンチャック4は、鉛直に延びる回転軸6の上端に水平な姿勢で固定された円盤状のスピンベース7(回転ベース)と、スピンベース7上で基板Wを水平に保持するための保持ユニット(固定ユニット11および可動ユニット12)と、回転軸6を回転させるスピンモータ9(回転駆動機構)と、回転軸6およびスピンモータ9の周囲を包囲する筒状のカバー10(非回転ベース)とを備えている。
【0027】
スピンベース7の内部は中空であり、保持ユニットの一部(後述の上側回転ユニット21)は、スピンベース7の内部に配置されている。また、スピンモータ9は、たとえばサーボモータであり、スピンベース7の中心を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転軸6およびスピンベース7を一体的に回転させることができる。スピンモータ9は、スピンベース7の回転位置を精度よく制御することができる。また、カバー10の下端は、隔壁2に固定されており、カバー10の上端は、スピンベース7の近傍にまで及んでいる。スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、スピンベース7およびカバー10は、回転軸線L1まわりに相対回転する。
【0028】
保持ユニットは、複数の固定ユニット11と、複数の可動ユニット12とを備えている。保持ユニットは、複数の固定ユニット11および複数の可動ユニット12を協働させてスピンベース7上で1枚の基板Wを水平に保持することができる。この実施形態では、たとえば、固定ユニット11および可動ユニット12がそれぞれ2つずつ設けられている。
各固定ユニット11は、固定ピン13と、支持部材14とを備えている。固定ピン13は、基板Wの周端面に当接させて当該基板Wを挟持するためのものである。また、支持部材14は、基板Wの下面周縁部に当接させて当該基板Wを下方から支持するためのものである。固定ピン13は、一対のピン15により構成されている。一対のピン15は、それぞれ、スピンベース7に固定されている。また、支持部材14は、スピンベース7に固定されている。支持部材14は、固定ピン13に隣接して配置されている。
【0029】
各可動ユニット12は、可動ピン16(可動保持部材)と、支持部材17と、可動ピン16を変位させるための駆動ユニット18と、可動ピン16の位置を検出するための位置検出ユニット19とを含む。可動ピン16は、基板Wの周端面に当接させて当該基板Wを挟持するためのものである。また、支持部材17は、基板Wの下面周縁部に当接させて当該基板Wを下方から支持するためのものである。可動ピン16は、スピンベース7に連結されている。可動ピン16は、スピンベース7に対して、開位置と閉位置との間でスピンベース7の径方向に変位するように構成されている。開位置は、閉位置よりも外側の位置である。また、支持部材17は、スピンベース7に固定されている。支持部材17は、可動ピン16に隣接して配置されている。
【0030】
各駆動ユニット18は、カバー10に固定された下側固定ユニット20と、スピンベース7とともに回転する上側回転ユニット21とを備えている。下側固定ユニット20は、上側回転ユニット21と協働して可動ピン16を開位置に向けて変位させる。また、上側回転ユニット21は、可動ピン16を閉位置に向けて変位させる。下側固定ユニット20は、カバー10内に配置されている。また、上側回転ユニット21は、スピンベース7内に配置されている。スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、下側固定ユニット20および上側回転ユニット21は、回転軸線L1まわりに相対回転する。下側固定ユニット20は、上側回転ユニット21の下方に位置する状態で、上側回転ユニット21と協働して可動ピン16を開位置に向けて変位させる。
【0031】
図2に示すように、複数の固定ピン13、および複数の可動ピン16は、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。より具体的には、固定ピン13同士、可動ピン16同士は、それぞれ、スピンベース7の周方向に隣接して配置されている。さらに、一方の固定ピン13は、一方の可動ピン16に対してスピンベース7の径方向に対向する位置に配置されており、他方の固定ピン13は、他方の可動ピン16に対してスピンベース7の径方向に対向する位置に配置されている。
【0032】
複数の固定ピン13、および複数の可動ピン16は、基板Wの周端面を挟持して、当該基板Wを保持することができる。また、各固定ピン13が一対のピン15により構成されているので、固定ピン13が、基板Wの外周部に形成されたV字状のノッチ(いわゆるVノッチ)に対峙しても、いずれかのピン15が基板Wの周端面に当接して、基板Wが確実に保持される。基板Wの回転は、複数の固定ピン13、および複数の可動ピン16によって基板Wが保持された状態で、スピンベース7が回転駆動されることにより行われる。
【0033】
処理液供給ユニット5は、基板Wにリンス液を供給するためのリンス液供給ユニット22と、基板Wに薬液を供給するための薬液供給ユニット23とを備えている。リンス液供給ユニット22は、リンス液を吐出するリンス液ノズル24と、リンス液ノズル24にリンス液を供給するリンス液供給管25と、リンス液供給管25に介装されたリンス液バルブ26とを含む。リンス液ノズル24は、吐出したリンス液がスピンチャック4に保持された基板Wの上面中央部に着液するように配置されている。また、薬液供給ユニット23は、薬液を吐出する薬液ノズル27と、薬液ノズル27に薬液を供給する薬液供給管28と、薬液供給管28に介装された薬液バルブ29とを含む。薬液ノズル27は、吐出した薬液がスピンチャック4に保持された基板Wの上面中央部に着液するように配置されている。
【0034】
この基板処理装置1による基板Wの処理では、たとえば、スピンチャック4によって基板Wを回転させつつ、当該基板Wの上面中央部に向けて薬液ノズル27から薬液が吐出される。薬液ノズル27から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域に薬液が供給され、基板Wの上面に薬液処理が行われる。また、薬液処理が行われた後は、薬液ノズル27からの薬液の吐出が停止され、リンス液ノズル24からリンス液が吐出される。リンス液ノズル24から吐出されたリンス液は、回転状態の基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板W上を外方に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域にリンス液が供給され、基板W上の薬液がリンス液によって洗い流される。このようにして、基板W上から薬液が除去され、基板Wの上面に対するリンス処理が行われる。リンス処理が行われた後は、スピンチャック4によって基板Wを高速回転させて当該基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。
【0035】
図3は、スピンチャック4の内部構造を説明するためのスピンチャック4の要部の側面図である。また、図4は、下側固定ユニット20の要部の拡大斜視図である。以下では、図3および図4を参照して、下側固定ユニット20について説明する。
図3に示すように、2つの下側固定ユニット20は、スピンベース7の周方向に間隔を隔てて配置されている。2つの下側固定ユニット20の間隔は、2つの可動ピン16の間隔に対応している。各下側固定ユニット20は、アクチュエータの一例であるシリンダ30と、リンク機構31と、駆動磁石32(図4参照)とを備えている。シリンダ30は、ロッド33が鉛直となる姿勢でロッド33を上に向けて配置されている。シリンダ30は、空気の供給を受けて、上位置と下位置との間でロッド33を昇降させることができる。図3および図4では、ロッド33が下位置にある状態を示している。
【0036】
リンク機構31は、図4に示すように、第1アーム34、第2アーム35および第3アーム36を備えている。第1アーム34は、ロッド33に連結されており、第2アーム35は、第1アーム34を介してロッド33に連結されている。第1アーム34および第2アーム35は、ロッド33とともに鉛直方向に一体移動する。また、第3アーム36は、ピン37を介して第2アーム35に連結されている。ピン37は、第3アーム36に固定されており、第2アーム35に設けられた二股状のガイド部38の内側に配置されている。ガイド部38は、水平方向に延びており、ピン37は、ガイド部38内を水平移動することができる。
【0037】
図4に示すように、第3アーム36は、回動ブラケット39を介して固定ブラケット40に連結されている。回動ブラケット39は、水平な回動軸線L2まわりに回動可能に固定ブラケット40に連結されている。ピン37が押し上げられると、第3アーム36および回動ブラケット39は、回動軸線L2まわりに上方に回動する。
また、図4に示すように、駆動磁石32は、第3アーム36に連結されている。駆動磁石32は、第3アーム36とともに回動軸線L2まわりに回動する。ロッド33が下位置にある状態では、駆動磁石32は、固定ブラケット40に固定されたヨーク41内に収容されている。また、図4に示すように、ロッド33が下位置にある状態では、駆動磁石32のN極が横に向けられている。ヨーク41は、たとえば、鉄製であり、平面視略C形に形成されている。ロッド33が下位置にある状態では、駆動磁石32がヨーク41内に収容されており、駆動磁石32の磁気がヨーク41によって遮断される。これにより、駆動磁石32の磁気がスピンチャック4の他の構成に及ぶことを抑制または防止することができる。
【0038】
シリンダ30が駆動されてロッド33が上昇すると、ロッド33とともに、第1アーム34および第2アーム35が一体的に上昇する。これにより、ピン37が押し上げられて、第3アーム36の姿勢が水平になるまで、第3アーム36および駆動磁石32が、回動軸線L2まわりに上方に回動する(図4に示す矢印A1参照)。したがって、ヨーク41内に収容されている駆動磁石32がヨーク41の上方に移動して、駆動磁石32のN極が上に向けられる。また、このときピン37がガイド部38の基端部に向かって水平移動して、第2アーム35および第3アーム36の相対的な位置関係が変化する。後述するように、スピンベース7が所定の回転位置にあるときに、駆動磁石32のN極が上に向けられると、駆動磁石32の磁力によって上側回転ユニット21が駆動されて、可動ピン16が開位置の方に変位する。
【0039】
図5および図6は、上側回転ユニット21およびこれに関連する構成を下方から見た斜視図である。また、図7は、上側回転ユニット21の分解斜視図であり、図8は、可動ピン16と上側回転ユニット21の一部の斜視図である。以下では、図5〜図8を参照して、上側回転ユニット21について説明する。
図5および図8に示すように、各上側回転ユニット21は、可動ピン16を保持するピンホルダ42を備えている。ピンホルダ42は、棒状の部材であり、スピンベース7の径方向に沿って配置されている。ピンホルダ42は、第1リニアガイド43を介してスピンベース7に連結されている。ピンホルダ42は、スピンベース7に対してスピンベース7の径方向に移動することができる。図5に示すように、ピンホルダ42の一端は、スピンベース7の外に配置されており、一端を除くピンホルダ42の大部分はスピンベース7の内部に配置されている。可動ピン16は、ピンホルダ42の一端に連結されている。また、図8に示すように、ピンホルダ42の他端には、第1嵌合溝44が形成された可動ブラケット45が連結されている。
【0040】
また、図5および図6に示すように、各上側回転ユニット21は、従動磁石46と、偏心シャフト47とを備えている。図7に示すように、偏心シャフト47は、円柱状の主軸部48と、主軸部48の途中部に設けられた略四角柱状の磁石保持部49と、主軸部48の一端部および他端部にそれぞれ設けられた第1偏心部50および第2偏心部51とを含む。従動磁石46は、磁石保持部49に保持されている。従動磁石46のN極およびS極は、磁石保持部49の外周面上に配置されている。また、第1偏心部50および第2偏心部51は、それぞれ円柱状に形成されている。第1偏心部50および第2偏心部51は、それぞれ、主軸部48に対して逆方向に偏心している。
【0041】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、主軸部48の一端部および他端部にそれぞれ取り付けられる2つの第1軸受52を備えている。偏心シャフト47は、2つの第1軸受52を介してシャフト用ベース53に保持されている。また、シャフト用ベース53は、固定ベース54を介してスピンベース7に固定されている。したがって、偏心シャフト47は、シャフト用ベース53および固定ベース54等を介して、主軸部48の中心軸線L3(図7参照)まわりに回転可能にスピンベース7に保持されている。
【0042】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、第1偏心部50の外周に同軸的に取り付けられる第2軸受55を備えている。図5に示すように、第2軸受55は、可動ブラケット45に設けられた第1嵌合溝44に嵌合している。偏心シャフト47が主軸部48の中心軸線L3回りに回転すると、第2軸受55と可動ブラケット45との係合により、可動ブラケット45をスピンベース7の径方向に変位させる力が可動ブラケット45に与えられる。したがって、偏心シャフト47が主軸部48の中心軸線L3まわりに回転すると、可動ブラケット45、ピンホルダ42、および可動ピン16は、一体的にスピンベース7の径方向に変位する。
【0043】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、第2偏心部51の外周に同軸的に取り付けられる第3軸受56を備えている。図6に示すように、第3軸受56は、カウンタウェイト57に形成された第2嵌合溝58に嵌合している。カウンタウェイト57は、第2リニアガイド59を介してスピンベース7に連結されている。カウンタウェイト57は、スピンベース7に対してスピンベース7の径方向に変位することができる。
【0044】
図6に示すように、カウンタウェイト57には、ばね60の一端が係合している。カウンタウェイト57は、ばね60の付勢力によって、スピンベース7に対してスピンベース7の径方向外方に付勢されている。また、第3軸受56は、ばね60の付勢力によって、カウンタウェイト57を介して、スピンベース7の径方向外方に引っ張られている。そのため、上側回転ユニット21が駆動されていないときには、ばね60の付勢力によって第2偏心部51がスピンベース7の径方向外方側に変位する。また、第1偏心部50および第2偏心部51が主軸部48に対して逆方向に偏心しているので、第2偏心部51がスピンベース7の径方向外方側に変位すると、第1偏心部50は、スピンベース7の径方向内方に変位する。したがって、上側回転ユニット21が駆動されていないときには、スピンベース7の径方向内方向きの力が可動ブラケット45に伝達され、可動ピン16が閉位置に変位する。
【0045】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、第2偏心部51の先端部に取り付けられる磁石用ベース61と、磁石用ベース61を介して第2偏心部51に取り付けられる検知用磁石62(磁石)とを備えている。磁石用ベース61および検知用磁石62は、偏心シャフト47に対して主軸部48の中心軸線L3まわりに一体回転可能に連結されている。2つの上側回転ユニット21にそれぞれ設けられた2つの検知用磁石62は、スピンベース7の回転軸線L1上に中心を有する同一円周上で、スピンベース7の周方向に間隔を隔てて配置されている。
【0046】
図6に示すように、検知用磁石62は、たとえば直方体状である。検知用磁石62のN極およびS極は、それぞれ、検知用磁石62において平行に対向する2つの面に形成されている。検知用磁石62のN極およびS極は、検知用磁石62の回転方向に直交するように配置されている。偏心シャフト47が回動して可動ピン16が変位すると、当該偏心シャフト47に対応する検知用磁石62は、可動ピン16の変位量に応じた変位量で可動ピン16に連動する。各検知用磁石62は、可動ピン16の開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置との間で、主軸部48の中心軸線L3まわりに回動する。また、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wが挟持されると、可動ピン16は、開位置と閉位置との間の当接位置に配置される。このとき検知用磁石62は、可動ピン16の当接位置に対応する当接検知位置に配置される。
【0047】
図9は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御部63(位置検出手段、状態判定手段)を備えている。制御部63は、スピンモータ9やシリンダ30などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられたバルブの開閉は、制御部63によって制御される。さらに、制御部63には、後述のセンサ64の検出値が入力される。
【0048】
図10は、従動磁石46の動作を説明するための磁石保持部49および従動磁石46の断面図である。図10では、可動ピン16が閉位置にあるときの磁石保持部49および従動磁石46の状態が示されている。以下では、図3、図5、および図10を参照して、偏心シャフト47の動作について説明する。
上側回転ユニット21が下側固定ユニット20によって駆動されていないときには、偏心シャフト47がばね60の付勢力によって回動して、図10に示すように、従動磁石46のN極が斜め下方に向けられる。この状態から、シリンダ30が駆動されてロッド33が上昇すると、図10に示すように、駆動磁石32の回動に伴って駆動磁石32のN極が従動磁石46のN極に近づいて、駆動磁石32および従動磁石46間に大きな磁力(反発力)が働く。これにより、偏心シャフト47が、ばね60の付勢力による回動方向とは反対の方向(図10に示す矢印A2参照)に回動して、可動ブラケット45およびピンホルダ42がスピンベース7の径方向外方に変位する。これにより、可動ピン16が開位置に向かって変位する。
【0049】
一方、可動ピン16が開位置にある状態で、シリンダ30が駆動されてロッド33が降下すると、駆動磁石32のN極が従動磁石46から遠ざかって、駆動磁石32および従動磁石46間に働く磁力が小さくなる。そのため、ばね60の付勢力によって偏心シャフト47が再び回動して、可動ピン16が閉位置に向かって変位する。このとき複数の支持部材14、17によって基板Wが支持されていれば、可動ピン16は、基板Wの周端面に当接して、当該基板Wを固定ピン13の方に付勢する。これにより、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wが挟持され保持される。複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wが挟持されている状態では、可動ピン16は、開位置と閉位置との間の当接位置に位置し、従動磁石46は、当接位置に対応する角度で保持される。
【0050】
下側固定ユニット20による上側回転ユニット21の駆動は、上側回転ユニット21が下側固定ユニット20の上方に位置する状態で行われる。より具体的には、スピンベース7が図3に示す所定の回転位置(検知回転位置)に位置する状態で行われる。この状態では、各上側回転ユニット21が対応する下側固定ユニット20の上方に位置するので、2つの下側固定ユニット20によってそれぞれ2つの上側回転ユニット21を同時に駆動させて、2つの可動ピン16を同時に変位させることができる。
【0051】
図11は、位置検出ユニット19の要部の側面である。また、図12は、図11に示すXII−XII線に沿う位置検出ユニット19の断面図であり、図13は、位置検出ユニット19の要部を上方から見た斜視図である。以下では、図3および図11〜図13を参照して、位置検出ユニット19について説明する。
図13に示すように、各位置検出ユニット19は、3つのセンサ64(磁気検出手段)により構成されるセンサ群65を備えている。各センサ群65を構成する3つのセンサ64は、保持ブラケット66によって水平に並んで一体的に保持されている。2つの保持ブラケット66は、スピンベース7の周方向に間隔を隔てた位置で固定ブラケット40に固定されている。センサ64としては、たとえば、ホール素子やMR素子などの磁気検出素子を含むセンサが挙げられる。
【0052】
2つの位置検出ユニット19にそれぞれ設けられた2つのセンサ群65は、スピンベース7の回転軸線L1上に中心を有する同一円周上で、スピンベース7の周方向に間隔を隔てて配置されている。また、図示はしないが、2つのセンサ群65が配置された円の直径は、2つの検知用磁石62が配置された円の直径と略同じ大きさに設定されている。したがって、スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、2つの検知用磁石62は、2つのセンサ群65の上方を通過する。
【0053】
また、各センサ群65を構成する3つのセンサ64は、スピンベース7が所定の回転位置にあるときに、2つの検知用磁石62のいずれかに対向するように配置されている。より具体的には、スピンベース7が図3に示す検知回転位置にある場合には、一方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64が一方の検知用磁石62に対向し、他方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64が他方の検知用磁石62に対向する。また、スピンベース7が検知回転位置から右回りまたは左まわりに所定角度回動すると、一方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のみが一方の検知用磁石62に対向する。
【0054】
すなわち、この実施形態では、スピンベース7に、3つの状態(第1状態、第2状態、および第3状態)が設けられている。第1状態は、全てのセンサ64が検知用磁石62に対向する状態であり、第2状態は、2つのセンサ群65のうち一方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のみが一方の検知用磁石62に対向する状態である。また、第3状態は、全てのセンサ64がいずれの検知用磁石62にも対向しない状態である。したがって、スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64は、スピンベース7が一回転する間に、2つの検知用磁石62に対向する。
【0055】
図14(a)、図14(b)、および図14(c)は、それぞれ、検知用磁石62およびセンサ64の対向状態を示す断面図である。図14(a)、図14(b)、および図14(c)では、それぞれ、検知用磁石62が開検知位置、閉検知位置、および当接検知位置にある状態が示されている。以下では、図14(a)、図14(b)、および図14(c)を参照して、各センサ64の配置について説明する。
【0056】
この実施形態では、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64が、それぞれ、開位置用センサ64a(開位置用磁気検出手段)、閉位置用センサ64b(閉位置用磁気検出手段)、および当接位置用センサ64c(当接位置用磁気検出手段)として働く。
図14(a)に示すように、開位置用センサ64aは、対向する検知用磁石62が開検知位置にあるときに、当該検知用磁石62から受ける磁界の強さが、検知用磁石62が他の位置(この場合は、閉検知位置および当接検知位置)にあるときよりも大きくなる位置に配置されている。
【0057】
また、図14(b)に示すように、閉位置用センサ64bは、対向する検知用磁石62が閉検知位置にあるときに、当該検知用磁石62から受ける磁界の強さが、検知用磁石62が他の位置にあるときよりも大きくなる位置に配置されている。
また、図14(c)に示すように、当接位置用センサ64cは、対向する検知用磁石62が当接検知位置にあるときに、当該検知用磁石62から受ける磁界の強さが、検知用磁石62が他の位置にあるときよりも大きくなる位置に配置されている。制御部63は、センサ64の検出値に基づいて可動ピン16の位置を検出する。
【0058】
図15は、可動ピン16が各位置にあるときの各センサ64のON/OFF状態を示す表である。図15では、一方のセンサ群65に対応する3つのセンサ64が、それぞれ、第1センサ、第2センサ、および第3センサと示されている。また、図15では、他方のセンサ群65に対応する3つのセンサ64が、それぞれ、第4センサ、第5センサ、および第6センサと示されている。第1および第4センサは、閉位置用センサ64bであり、第2および第4センサは、当接位置用センサ64cであり、第3および第6センサは、開位置用センサ64aである。以下では、図12および図15を参照して、各センサ64のON/OFFについて説明する。
【0059】
各センサ64の検出値は、制御部63に入力される。また、制御部63は、センサ64からの入力値に基づいて当該センサ64のON/OFFを判定する。より具体的には、センサ64からの入力値が所定値以上である場合には、制御部63は、当該センサ64がONになっていると判定し、センサ64からの入力値が所定値未満である場合には、制御部63は、当該センサ64がOFFになっていると判定する。
【0060】
図15を参照して具体的に説明すると、たとえば一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が開位置にあると、第1センサおよび第2センサがOFFになり、第3センサがONになる。また、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が閉位置にあると、第1センサがONになり、第2センサおよび第3センサがOFFになる。また、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が当接位置にあると、第2センサがONになり、第1センサおよび第3センサがOFFになる。
【0061】
同様に、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が開位置にあると、第4センサおよび第5センサがOFFになり、第6センサがONになる。また、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が閉位置にあると、第4センサがONになり、第5センサおよび第6センサがOFFになる。また、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が当接位置にあると、第5センサがONになり、第4センサおよび第6センサがOFFになる。
【0062】
したがって、制御部63は、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、一方のセンサ群65を構成するセンサ64のON/OFFを検知することにより、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16の位置を検出することができる。同様に、制御部63は、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、他方のセンサ群65を構成するセンサ64のON/OFFを検知することにより、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16の位置を検出することができる。また、スピンベース7が検知回転位置にあれば、一方のセンサ群65が一方の検知用磁石62に対向し、他方のセンサ群65が他方の検知用磁石62に対向するので、制御部63は、2つの可動ピン16の位置を同時に検出することができる。
【0063】
制御部63は、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のON/OFFを監視して、可動ピン16の位置を検出してもよいし、いずれか1つのセンサ64のONだけを監視して、可動ピン16の位置を検出してもよい。また、制御部63は、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のうちの2つのセンサ64のOFFだけを監視して、可動ピン16の位置を検出してもよい。
【0064】
図15を参照して具体的に説明すると、たとえば、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が当接位置にあると、当接位置用センサ64cとして働く第2センサがONになり、第1センサおよび第3センサがOFFになる。したがって、制御部63は、第2センサがONになり、第1センサおよび第3センサがOFFなっていることを検知すれば、可動ピン16が当接位置にあることを検出することができる。また、制御部63は、第1センサおよび第3センサがOFFになっていることを検知しなくても、第2センサがONになっていることを検知すれば、可動ピン16が当接位置にあることを検出することができる。さらに、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向していれば、第1センサ、第2センサ、および第3センサのうちのいずれかのセンサ64がONになるから、制御部63は、第1センサおよび第3センサがOFFになっていることを検知すれば、可動ピン16が当接位置にあることを検出することができる。
【0065】
図16は、スピンチャック4に基板Wを搬送して、この基板Wをスピンチャック4によって回転させるときのフローチャートである。以下では、図3、図5、および図16を参照して、スピンチャック4に基板Wを搬送して、この基板Wをスピンチャック4によって回転させるときのフローについて説明する。
スピンチャック4に対する基板Wの搬送は、スピンベース7上に基板Wが無い状態で行われる。したがって、スピンチャック4に基板Wが搬送される前に、スピンベース7上に基板Wが無いことが確認される(ステップS1)。より具体的には、各下側固定ユニット20に設けられたシリンダ30のロッド33が下位置にある状態で、制御部63がスピンベース7を図3に示す検知回転位置に移動させる。そして、制御部63が各センサ64のON/OFFを調べて、2つの可動ピン16が閉位置にあることを検知する。すなわち、スピンベース7上に基板Wがあれば、2つの可動ピン16が閉位置に位置することができないので、制御部63は、2つの可動ピン16が閉位置にあることを検知して、スピンベース7上に基板Wが無いことを確認する。
【0066】
次に、制御部63は、2つの可動ピン16を開位置に変位させる(ステップS2)。より具体的には、スピンベース7が検知回転位置にある状態で、制御部63が各下側固定ユニット20に設けられたシリンダ30を駆動させて、各シリンダ30のロッド33を上位置に移動させる。これにより、2つの偏心シャフト47が回動して、2つの可動ピン16が開位置に向かって変位する。そして、制御部63は、センサ64のON/OFFを調べて、2つの可動ピン16が開位置に位置したことを確認した後(ステップS3)、図示しない搬送ロボットによって複数の支持部材14、17上に基板Wを載置させる(ステップS4)。このとき、2つの可動ピン16が開位置にあるので、搬送ロボットによって搬送される基板Wは、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16に衝突することなく、複数の支持部材14、17上に載置される。
【0067】
次に、制御部63は、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wを挟持させる(ステップS5)。より具体的には、スピンベース7が検知回転位置にある状態で、制御部63が各下側固定ユニット20に設けられたシリンダ30を駆動させて、各シリンダ30のロッド33を下位置に移動させる。これにより、2つの偏心シャフト47が、ばね60の付勢力によって回動する。そのため、2つの可動ピン16は、閉位置に向かって変位する。2つの可動ピン16は、閉位置に向かって変位する途中で、複数の支持部材14、17上に載置された基板Wの周端面に当接して、当該基板Wを固定ピン13に向けて付勢する。これにより、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16が基板Wの周端面に当接して、当該基板Wが挟持される。
【0068】
次に、制御部63は、各可動ピン16が当接位置にあることを確認する(ステップS6)。より具体的には、スピンベース7が検知回転位置にある状態で、制御部63が少なくとも2つ以上のセンサ64のON/OFFを調べる。すなわち、制御部63は、全てのセンサ64(6つのセンサ64)のON/OFFを調べて、各可動ピン16が当接位置にあることを確認してもよいし、当接位置用センサ64cとして働く2つのセンサ64のONだけを調べて、各可動ピン16が当接位置にあることを確認してもよい。また、制御部63は、開位置用センサ64aとして働く2つのセンサ64と、閉位置用センサ64bとして働く2つのセンサ64とのOFFだけを調べて、各可動ピン16が当接位置にあることを確認してもよい。
【0069】
制御部63は、全ての可動ピン16が当接位置にあることを確認できた場合(ステップS6でYesの場合)には、基板Wが正常に保持されていると判定して、スピンベース7を回転させる。これにより、基板Wの回転が開始される(ステップS7)。一方、全ての可動ピン16が当接位置にあることを確認できなかった場合(ステップS6でNoの場合)には、制御部63は、基板Wが正常に保持されていないと判定する。より具体的には、たとえば、一方の可動ピン16が当接位置にあることが確認されても、他方の可動ピン16が当接位置にあることが確認されない場合には、基板Wが斜めに保持されているおそれがある。したがって、制御部63は、全ての可動ピン16が当接位置にあることを確認できなかった場合には、基板Wが正常に保持されていないと判定して、異常を報知する(ステップS8)。
【0070】
スピンチャック4による基板Wの回転が開始されると、各検知用磁石62と各センサ64とが相対回転するので、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64は、スピンベース7が一回転する間に、2つの検知用磁石62に対向する。そのため、各センサ64から制御部63には、スピンベース7が一回転する間に2回検出値が入力される。制御部63は、この断続的に入力される検出値に基づいて基板Wの回転中における基板Wの保持状態を確認する(ステップS9)。基板Wの保持状態の具体的な確認方法については後述する。
【0071】
制御部63は、基板Wが正常に保持されていることが確認された場合(ステップS9でYesの場合)には、基板Wの回転を継続させる(ステップS10)。そして、制御部63は、基板Wが正常に保持されていることを引き続き確認する(ステップS9に戻る)。一方、基板Wが正常に保持されていることが確認されなかった場合(ステップS9でNoの場合)には、制御部63は即座に基板Wの回転を停止させる(ステップS11)。そして、制御部63は異常を報知する(ステップS12)。
【0072】
図17は、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の一例を説明するためのフローチャートである。以下では、図15および図17を適宜参照して、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の一例について説明する。
前述のように、スピンチャック4による基板Wの回転が行われている間は、スピンベース7が一回転する間に、各センサ64から制御部63に検出値が2回入力される。このとき2つの可動ピン16がそれぞれ当接位置にあり、基板Wが確実に保持されていれば、当接位置用センサ64cとして働く第2センサは、基板Wが一回転する間に2回ONになる(図15参照)。同様に、2つの可動ピン16が当接位置にあれば、当接位置用センサ64cとして働く第5センサは、基板Wが一回転する間に2回ONになる(図15参照)。したがって、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第2センサおよび第5センサの少なくとも一方が2回ONになることを検知することにより、基板Wが正常に保持されていることを確認することができる。
【0073】
図17を参照して確認方法の一例を具体的に説明すると、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第2センサが2回ONになることを調べる(ステップS1A)。このとき、第2センサが2回ONにならない場合(ステップS1AでNoの場合)には、制御部63は、基板Wの保持が異常であると判定する(ステップS2A)。一方、第2センサが2回ONになった場合(ステップS1AでYesの場合)には、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第5センサが2回ONになることを調べる(ステップS3A)。そして、制御部63は、第5センサが2回ONにならない場合(ステップS3AでNoの場合)には、基板Wの保持が異常であると判定し(ステップS2A)、2回ONになった場合(ステップS3AでYesの場合)には、基板Wが正常に保持されていると判定する(ステップS4A)。前述の基板Wの保持状態の確認(図16におけるステップS9)は、たとえば、このようにして行われる。
【0074】
図18は、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の他の例を説明するためのフローチャートである。以下では、図15および図18を適宜参照して、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の他の例について説明する。
前述のように、スピンチャック4による基板Wの回転が行われている間は、スピンベース7が一回転する間に、各センサ64から制御部63に検出値が2回入力される。このとき2つの可動ピン16がそれぞれ当接位置にあり、基板Wが確実に保持されていれば、開位置用センサ64aとして働く第1センサと、閉位置用センサ64bとして働く第3センサとは、それぞれ、基板Wが一回転する間に2回OFFになる(図15参照)。同様に、2つの可動ピン16が当接位置にあれば、開位置用センサ64aとして働く第4センサと、閉位置用センサ64bとして働く第6センサとは、それぞれ、基板Wが一回転する間に2回OFFになる(図15参照)。したがって、制御部63は、基板Wが一回転する間に、二対のセンサ64(第1センサと第3センサ、および第4センサと第6センサ)のうち少なくとも一方の対をなす2つのセンサ64が2回OFFになることを検知することにより、基板Wが正常に保持されていることを確認することができる。
【0075】
図18を参照して確認方法の他の例を具体的に説明すると、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第1センサおよび第3センサが2回OFFになることを調べる(ステップS1B)。このとき、第1センサおよび第3センサが2回OFFにならない場合(ステップS1BでNoの場合)には、制御部63は、基板Wの保持が異常であると判定する(ステップS2B)。一方、第1センサおよび第3センサが2回OFFになった場合(ステップS1BでYesの場合)には、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第4センサおよび第6センサが2回OFFになることを調べる(ステップS3B)。そして、制御部63は、第4センサおよび第6センサが2回OFFにならない場合(ステップS3BでNoの場合)には、基板Wの保持が異常であると判定し(ステップS2B)、2回OFFになった場合(ステップS3BでYesの場合)には、基板Wが正常に保持されていると判定する(ステップS4B)。前述の基板Wの保持状態の確認(図16におけるステップS9)は、たとえば、このようにして行われる。
【0076】
以上のように第1実施形態では、開位置と閉位置との間における可動ピン16の位置を検出することができる。これにより、スピンチャック4に対する基板Wの搬送や、スピンチャック4による基板Wの回転を確実に行うことができる。したがって、基板搬送工程から処理液供給工程までの一連の工程を含む処理を円滑に進行させることができる。また、各センサ64がカバー10に設けられているので、スピンベース7の大型化、および構造の複雑化を抑制または防止することができる。さらに、各センサ64が検知用磁石62から離れた所定位置で各検知用磁石62に対向するように配置されており、常に互いに非接触の状態であるので、スピンベース7を回転させたときに、各検知用磁石62と各センサ64とが互いに摺動するようなことがない。これにより、摺動に伴う摩耗による不具合(寿命の低下や、摺動に伴う摩耗粉による汚染)を抑制または防止することができる。
【0077】
図19(a)、図19(b)、および図19(c)は、この発明の第2実施形態に係る検知用磁石262およびセンサ264の対向状態を示す検知用磁石262およびセンサ264の断面図である。図19(a)、図19(b)、および図19(c)では、それぞれ、検知用磁石262が開検知位置、閉検知位置、および当接検知位置にある状態が示されている。この図19(a)、図19(b)、および図19(c)において、前述の図1〜図18に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0078】
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64に代えて、磁界の強さおよび磁極を検知できるセンサ264(磁気検出手段、磁気検出素子)が設けられていることにある。すなわち、この第2実施形態では、前述の6つのセンサ64に代えて、2つのセンサ264が設けられている。2つのセンサ264は、スピンベース7の回転軸線L1上に中心を有する同一円周上に配置されている。各センサ264の検出値は、制御部63に入力される。センサ264としては、たとえば、ホール素子やMR素子などの磁気検出素子を含むセンサが挙げられる。
【0079】
また、検知用磁石262(磁石)は、たとえば、略直方体状である。検知用磁石262には面取りが2箇所行われており、検知用磁石262の所定面において平行に向かい合う2つ辺が除去されている。検知用磁石262のN極およびS極は、それぞれ、一辺が除去された平行に向かい合う2つの面に形成されている。検知用磁石262は、偏心シャフト47(図7参照)に対して主軸部48の中心軸線L3まわりに一体回転可能に連結されている。検知用磁石262のN極およびS極は、検知用磁石262の回転方向に直交するように配置されている。
【0080】
また、各センサ264は、スピンベース7が所定の回転位置にあるときに(スピンベース7が前述の第1状態または第2状態にあるときに)、検知用磁石262から離れた所定位置で検知用磁石262に対向するように配置されている。
より具体的には、図19(a)に示すように、センサ264は、対向する検知用磁石262が開検知位置にあるときに、検知用磁石262が他の位置(この場合は、閉検知位置および当接検知位置)にあるときよりも、検知用磁石262のN極に近づいて、検知用磁石262のN極から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されている。
【0081】
また、図19(b)に示すように、センサ264は、対向する検知用磁石262が閉検知位置にあるときに、検知用磁石262が他の位置にあるときよりも、検知用磁石262のS極に近づいて、検知用磁石262のS極から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されている。
また、図19(c)に示すように、センサ264は、対向する検知用磁石262が当接検知位置にあるときに、検知用磁石262が他の位置にあるときよりも、検知用磁石262のN極およびS極から遠ざかって、検知用磁石262から受ける磁界の強さが小さくなる位置に配置されている。
【0082】
制御部63は、センサ264の検出値に基づいて、可動ピン16の位置を検出することができる。より具体的には、制御部63は、検知用磁石262のN極からセンサ264が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動ピン16が開位置にあることを検知することができる。また、制御部63は、検知用磁石262のS極からセンサ264が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動ピン16が閉位置にあることを検知することができる。また、また、制御部63は、検知用磁石262からセンサ264が受ける磁界の強さが所定値未満(たとえば、略零)になったときに、可動ピン16が当接位置にあることを検知することができる。
【0083】
以上のように第2実施形態では、制御部63が、1つのセンサ264の検出値に基づいて、可動ピン16の3つの位置を検知する。したがって、スピンチャック4の部品点数を減少させることができ、スピンチャック4の部品コストや組立コストを低減することができる。また、検知用磁石262のN極およびS極が形成された面の面積が、面取りによって小さくされているので、センサ264による磁極の判定が精度よく行われる。これにより、可動ピン16の位置を精度よく検出することができる。
【0084】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 基板処理装置
4 スピンチャック(基板保持機構)
5 処理液供給ユニット(処理液供給機構)
7 スピンベース(回転ベース)
9 スピンモータ(回転駆動機構)
10 カバー(非回転ベース)
12 可動ユニット(保持ユニット)
16 可動ピン(可動保持部材)
62 検知用磁石(磁石)
63 制御部(位置検出手段、状態判定手段)
64 センサ(磁気検出手段)
64a 開位置用センサ(開位置用磁気検出手段)
64b 閉位置用センサ(閉位置用磁気検出手段)
64c 当接位置用センサ(当接位置用磁気検出手段)
262 検知用磁石(磁石)
264 センサ(磁気検出手段、磁気検出素子)
L1 回転軸線
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を保持する基板保持機構、およびこの基板保持機構を備える基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、たとえば、半導体ウエハなどの基板に対して処理液を用いた処理が行われる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させる基板保持機構を備えている(たとえば特許文献1参照)。
この特許文献1に係る基板保持機構は、水平に配置された円板状の回転台と、回転台の中心を通る鉛直軸線まわりに回転台を回転させるモータと、回転台上で基板を水平に保持するための複数の固定式保持部材および回動式保持部材と、回動式保持部材を鉛直軸線まわりに回動させるための磁石とを備えている。
【0003】
複数の固定式保持部材および回動式保持部材は、回転台上において、基板の外縁に沿うように同一円周上に配置されている。回動式保持部材は、基板を保持する保持位置と、基板の保持を開放する開放位置との間で鉛直軸線まわりに回動するように構成されている。基板保持機構は、各回動式保持部材を回動させることにより、複数の固定式保持部材および回動式保持部材によって基板の周端面を挟持して、当該基板を回転台上で保持することができる。また、基板保持機構は、モータによって回転台を回転させることにより保持した基板を回転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−135314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る基板保持機構に基板が搬送されるときには、基板同士の衝突を避けるために、回転台上に基板が無いことを確認する必要がある。また、この基板保持機構に基板が搬送されるときには、基板と回動式保持部材との衝突を避けるために、回動式保持部材を退避させる必要がある。また、この基板保持機構によって基板を回転させるときには、基板の回転が開始される前に、基板が確実に保持されていることを確認する必要がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、基板の搬送や、基板の回転を確実に行うことができる基板保持機構、およびこの基板保持機構を備える基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、非回転ベース(10)と、前記非回転ベースに対して、所定の回転軸線(L1)まわりに回転可能に設けられた回転ベース(7)と、前記回転ベースを回転駆動する回転駆動機構(9)と、前記回転ベースに設けられ、開位置と閉位置との間で変位可能であり、前記開位置と前記閉位置との間の当接位置で基板の周端面に当接して当該基板を保持するための可動保持部材(16)と、前記回転ベースに設けられ、前記可動保持部材の変位量に応じた変位量で前記可動保持部材と連動し、前記開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する磁石(62、262)と、前記非回転ベースに設けられ、前記回転ベースが所定の検知回転位置にあるときに前記磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置され、前記開検知位置と閉検知位置との間における前記磁石の位置に応じて変化する磁界を検知する磁気検出手段(64、264)と、前記磁気検出手段の検出値に基づいて、前記開位置と閉位置との間における前記可動保持部材の位置を検出する位置検出手段(63)とを含む、基板保持機構(4)である。なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
【0008】
この発明によれば、回転駆動機構によって回転駆動される回転ベースに、基板を保持するための可動保持部材が設けられている。また、可動保持部材は、開位置と閉位置との間で変位可能であり、開位置と閉位置との間には、可動保持部材を基板の周端面に当接させて、当該基板を保持するための当接位置が設けられている。したがって、所定の基板保持位置に基板が位置している状態で、可動保持部材を閉位置に向けて変位させることにより、可動保持部材を当接位置で基板の周端面に当接させて、当該基板を保持することができる。また、可動保持部材が当接位置にある状態で、回転駆動機構が回転ベースを回転させることにより、保持された基板を回転させることができる。さらに、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、可動保持部材を開位置に位置させることにより、基板と可動保持部材との衝突を回避しつつ、当該基板を前記基板保持位置に搬送することができる。
【0009】
また、この発明によれば、回転ベースに、可動保持部材と連動する磁石が設けられており、非回転ベースに、磁界を検知する磁気検知手段が設けられている。より具体的には、前記磁石は、可動保持部材の変位量に応じた変位量で可動保持部材と連動し、可動保持部材の開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する。また、磁気検知手段は、回転ベースが所定の検知回転位置にあるときに前記磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置され、前記開検知位置と閉検知位置との間における前記磁石の位置に応じて変化する磁界を検知する。したがって、位置検出手段は、磁気検出手段の検出値に基づいて、開位置と閉位置との間における可動保持部材の位置を検出することができる。
【0010】
前記基板保持位置に基板があれば、可動保持部材は閉位置まで変位することができない。したがって、可動保持部材が閉位置にあることを検出することにより、前記基板保持位置に基板が無いことを確認することができる。そのため、前記基板保持位置に基板が搬送される前に、可動保持部材を閉位置に位置させて、これを確認することにより、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、基板同士が衝突することを防止することができる。
【0011】
また、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、可動保持部材が開位置にあることを検出することにより、可動保持部材が確実に退避していることを確認することができる。これにより、前記基板保持位置に基板が搬送されるときに、基板が可動保持部材に衝突することを防止することができる。
また、可動保持部材が当接位置にあることを検出することにより、可動保持部材によって基板が保持されていることを確認することができる。したがって、回転駆動機構が回転ベースを回転させる前に、可動保持部材が当接位置にあることを検出することにより、基板が確実に保持されていない状態で基板の回転が開始されることを防止することができる。
【0012】
さらに、回転駆動機構が回転ベースを回転させているときには、回転ベースが検知回転位置を通るから、基板の回転中にも可動保持部材の位置を検出することができる。したがって、基板の回転中に可動保持部材が当接位置にあることを検出することにより、基板が確実に保持された状態で基板の回転が行われていることを確認することができる。
このように本発明によれば、開位置と閉位置との間における可動保持部材の位置を検出することにより、基板保持機構に対する基板の搬送や、基板保持機構による基板の回転を確実に行うことができる。また、磁気検出手段が非回転ベースに設けられているので、回転ベースの大型化、および構造の複雑化を抑制または防止することができる。さらに、磁気検知手段が磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置されており、常に互いに非接触の状態であるので、回転ベースの回転中に、前記磁石と磁気検知手段とが互いに摺動するようなことがない。これにより、摺動する部材同士の摩耗による不具合(摺動する部材の寿命の低下や、摺動に伴う摩耗粉による汚染等)を抑制または防止することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記磁気検出手段は、磁界の強さをそれぞれ検出する開位置用磁気検出手段(64a)、閉位置用磁気検出手段(64b)、および当接位置用磁気検出手段(64c)を含むものであり、前記開位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、前記閉位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、前記当接位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、前記位置検出手段は、前記開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段により検出された磁界の強さに基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構である。
【0014】
この発明によれば、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が開検知位置にあるときに、開位置用磁気検出手段が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が閉検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が閉検知位置にあるときに、閉位置用磁気検出手段が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が可動保持部材の当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、当接位置用磁気検出手段が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および閉検知位置にあるときよりも大きくなる。
【0015】
位置検出手段は、開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段の検出値に基づいて、可動保持部材の位置を検出することができる。たとえば、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、可動保持部材が当接位置にあるときには、当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になり、開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値未満になる。したがって、位置検出手段は、当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になり、開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値未満になったときに、可動保持部材が当接位置にあることを検知することができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明のように、位置検出手段は、前記当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になったとき、または前記開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以下になったときに、前記可動保持部材が当接位置にあることを検知することもできる。この場合、1つまたは2つの磁気検出手段の検出値に基づいて可動保持部材の位置が検出されるので、3つ以上の磁気検出手段の検出値に基づいて可動保持部材の位置が検出される場合に比べて検出速度を高めることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記磁気検出手段は、磁界の強さおよび磁極を検知する磁気検出素子(264)を含むものであり、前記磁気検出素子は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに前記磁石の一方の磁極から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに前記磁石の他方の磁極(たとえば、前記一方の磁極がN極であれば、他方の磁極はS極)から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが小さくなるように配置されたものであり、前記位置検出手段は、前記磁気検出素子により検出された磁界の強さおよび磁極に基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構である。
【0018】
この発明によれば、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が開検知位置にあるときに、磁気検出素子が前記磁石の一方の磁極から受ける磁界の強さが、前記磁石が閉検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が閉検知位置にあるときに、磁気検出素子が前記磁石の他方の磁極から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および当接検知位置にあるときよりも大きくなる。また、回転ベースが所定の検知回転位置にあり、前記磁石が可動保持部材の当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、磁気検出素子が前記磁石から受ける磁界の強さが、前記磁石が開検知位置および閉検知位置にあるときよりも大きくなる。
【0019】
位置検出手段は、磁気検出素子の検出値に基づいて、可動保持部材の位置を検出することができる。より具体的には、位置検出手段は、前記磁石の一方の磁極から磁気検出素子が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動保持部材が開位置にあることを検知することができる。また、位置検出手段は、前記磁石の他方の磁極から磁気検出素子が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動保持部材が閉位置にあることを検知することができる。また、また、位置検出手段は、前記磁石から磁気検出素子が受ける磁界の強さが所定値未満になったときに、可動保持部材が当接位置にあることを検知することができる。すなわち、本発明によれば、位置検出手段は、1つの磁気検出素子からの検出値に基づいて、可動保持部材の3つの位置を検知する。これにより、基板保持機構の部品点数を減少させて、基板保持機構の部品コストや組立コストを低減することができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記可動保持部材、および当該可動保持部材に対応する前記磁石をそれぞれ有する複数の保持ユニット(12)を含み、前記位置検出手段は、前記複数の保持ユニットの全ての可動保持部材の位置を検知するものであり、前記位置検出手段によって検出される前記全ての可動保持部材の位置に基づいて、基板の保持状態を判定する状態判定手段(63)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持機構である。
【0021】
この発明によれば、可動保持部材をそれぞれ有する複数の保持ユニットが設けられている。また、各保持ユニットには、可動保持部材に対応する前記磁石が設けられている。したがって、位置検出手段は、全ての可動保持部材の位置を検知することができる。これにより、状態判定手段は、全ての可動保持部材の位置に基づいて、基板の保持状態を判定することができる。たとえば、状態判定手段は、全ての可動保持部材が当接位置に位置して、基板が確実に保持されていることを検知することができる。また、状態判定手段は、一部の可動保持部材が当接位置に位置しておらず、基板が斜めに保持されているおそれがあることを検知することができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、前記複数の保持ユニットと同数の前記磁気検出手段が、前記回転ベースが前記検知回転位置にあるときに前記複数の保持ユニットの前記磁石の磁界をそれぞれ検出するように配置されている、請求項5記載の基板保持機構である。
この発明によれば、複数の保持ユニットと同数の磁気検出手段が設けられおり、これらの磁気検出手段は、回転ベースが検知回転位置にあるときに、それぞれ、複数の保持ユニットの前記磁石の磁界を検出するように配置されている。したがって、位置検出手段は、回転ベースが検知回転位置にあるときに、複数の保持ユニットにそれぞれ設けられた複数の可動保持部材の位置を同時に検出することができる。これにより、複数の可動保持部材の位置を効率的に検出することができる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板保持機構と、前記基板保持機構に保持された基板に処理液を供給する処理液供給機構(5)とを含む、基板処理装置(1)である。
この発明によれば、処理液供給機構が、基板保持機構に保持された基板に処理液を供給することにより、当該基板が処理される。より具体的には、たとえば、基板保持機構が基板を回転させながら、処理液供給機構が回転状態の基板に処理液を供給することにより、当該基板が処理される。前述のように、可動保持部材の位置を検出することにより、基板の搬送や、基板の回転を確実に行うことができるので、基板搬送工程から処理液供給工程までの一連の工程を含む処理を円滑に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスピンチャックが備えられた基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るスピンチャックの平面図である。
【図3】スピンチャックの内部構造を説明するためのスピンチャックの要部の側面図である。
【図4】下側固定ユニットの要部の拡大斜視図である。
【図5】上側回転ユニットおよびこれに関連する構成を下方から見た斜視図である。
【図6】上側回転ユニットおよびこれに関連する構成を下方から見た斜視図である。
【図7】上側回転ユニットの分解斜視図である。
【図8】可動ピンと上側回転ユニットの一部の斜視図である。
【図9】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図10】従動磁石の動作を説明するための磁石保持部および従動磁石の断面図である。
【図11】位置検出ユニットの要部の側面である。
【図12】図11に示すXII−XII線に沿う位置検出ユニットの断面図である。
【図13】位置検出ユニットの要部を上方から見た斜視図である。
【図14(a)】検知用磁石およびセンサの対向状態を示す断面図である。
【図14(b)】検知用磁石およびセンサの対向状態を示す断面図である。
【図14(c)】検知用磁石およびセンサの対向状態を示す断面図である。
【図15】可動ピンが各位置にあるときの各センサのON/OFF状態を示す表である。
【図16】スピンチャックに基板を搬送して、この基板をスピンチャックによって回転させるときのフローチャートである。
【図17】基板の回転中における基板の保持状態を判定するときの確認方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図18】基板の回転中における基板の保持状態を判定するときの確認方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図19(a)】この発明の第2実施形態に係る検知用磁石およびセンサの対向状態を示す検知用磁石およびセンサの断面図である。
【図19(b)】この発明の第2実施形態に係る検知用磁石およびセンサの対向状態を示す検知用磁石およびセンサの断面図である。
【図19(c)】この発明の第2実施形態に係る検知用磁石およびセンサの対向状態を示す検知用磁石およびセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るスピンチャック4が備えられた基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係るスピンチャック4の平面図である。以下では、図1および図2を参照して、基板処理装置1の概略構成について説明する。
【0026】
この基板処理装置1は、半導体ウエハなどの基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、隔壁2で区画された処理室3内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック4(基板保持機構)と、基板Wに処理液を供給する処理液供給ユニット5(処理液供給機構)とを備えている。
スピンチャック4は、鉛直に延びる回転軸6の上端に水平な姿勢で固定された円盤状のスピンベース7(回転ベース)と、スピンベース7上で基板Wを水平に保持するための保持ユニット(固定ユニット11および可動ユニット12)と、回転軸6を回転させるスピンモータ9(回転駆動機構)と、回転軸6およびスピンモータ9の周囲を包囲する筒状のカバー10(非回転ベース)とを備えている。
【0027】
スピンベース7の内部は中空であり、保持ユニットの一部(後述の上側回転ユニット21)は、スピンベース7の内部に配置されている。また、スピンモータ9は、たとえばサーボモータであり、スピンベース7の中心を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転軸6およびスピンベース7を一体的に回転させることができる。スピンモータ9は、スピンベース7の回転位置を精度よく制御することができる。また、カバー10の下端は、隔壁2に固定されており、カバー10の上端は、スピンベース7の近傍にまで及んでいる。スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、スピンベース7およびカバー10は、回転軸線L1まわりに相対回転する。
【0028】
保持ユニットは、複数の固定ユニット11と、複数の可動ユニット12とを備えている。保持ユニットは、複数の固定ユニット11および複数の可動ユニット12を協働させてスピンベース7上で1枚の基板Wを水平に保持することができる。この実施形態では、たとえば、固定ユニット11および可動ユニット12がそれぞれ2つずつ設けられている。
各固定ユニット11は、固定ピン13と、支持部材14とを備えている。固定ピン13は、基板Wの周端面に当接させて当該基板Wを挟持するためのものである。また、支持部材14は、基板Wの下面周縁部に当接させて当該基板Wを下方から支持するためのものである。固定ピン13は、一対のピン15により構成されている。一対のピン15は、それぞれ、スピンベース7に固定されている。また、支持部材14は、スピンベース7に固定されている。支持部材14は、固定ピン13に隣接して配置されている。
【0029】
各可動ユニット12は、可動ピン16(可動保持部材)と、支持部材17と、可動ピン16を変位させるための駆動ユニット18と、可動ピン16の位置を検出するための位置検出ユニット19とを含む。可動ピン16は、基板Wの周端面に当接させて当該基板Wを挟持するためのものである。また、支持部材17は、基板Wの下面周縁部に当接させて当該基板Wを下方から支持するためのものである。可動ピン16は、スピンベース7に連結されている。可動ピン16は、スピンベース7に対して、開位置と閉位置との間でスピンベース7の径方向に変位するように構成されている。開位置は、閉位置よりも外側の位置である。また、支持部材17は、スピンベース7に固定されている。支持部材17は、可動ピン16に隣接して配置されている。
【0030】
各駆動ユニット18は、カバー10に固定された下側固定ユニット20と、スピンベース7とともに回転する上側回転ユニット21とを備えている。下側固定ユニット20は、上側回転ユニット21と協働して可動ピン16を開位置に向けて変位させる。また、上側回転ユニット21は、可動ピン16を閉位置に向けて変位させる。下側固定ユニット20は、カバー10内に配置されている。また、上側回転ユニット21は、スピンベース7内に配置されている。スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、下側固定ユニット20および上側回転ユニット21は、回転軸線L1まわりに相対回転する。下側固定ユニット20は、上側回転ユニット21の下方に位置する状態で、上側回転ユニット21と協働して可動ピン16を開位置に向けて変位させる。
【0031】
図2に示すように、複数の固定ピン13、および複数の可動ピン16は、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。より具体的には、固定ピン13同士、可動ピン16同士は、それぞれ、スピンベース7の周方向に隣接して配置されている。さらに、一方の固定ピン13は、一方の可動ピン16に対してスピンベース7の径方向に対向する位置に配置されており、他方の固定ピン13は、他方の可動ピン16に対してスピンベース7の径方向に対向する位置に配置されている。
【0032】
複数の固定ピン13、および複数の可動ピン16は、基板Wの周端面を挟持して、当該基板Wを保持することができる。また、各固定ピン13が一対のピン15により構成されているので、固定ピン13が、基板Wの外周部に形成されたV字状のノッチ(いわゆるVノッチ)に対峙しても、いずれかのピン15が基板Wの周端面に当接して、基板Wが確実に保持される。基板Wの回転は、複数の固定ピン13、および複数の可動ピン16によって基板Wが保持された状態で、スピンベース7が回転駆動されることにより行われる。
【0033】
処理液供給ユニット5は、基板Wにリンス液を供給するためのリンス液供給ユニット22と、基板Wに薬液を供給するための薬液供給ユニット23とを備えている。リンス液供給ユニット22は、リンス液を吐出するリンス液ノズル24と、リンス液ノズル24にリンス液を供給するリンス液供給管25と、リンス液供給管25に介装されたリンス液バルブ26とを含む。リンス液ノズル24は、吐出したリンス液がスピンチャック4に保持された基板Wの上面中央部に着液するように配置されている。また、薬液供給ユニット23は、薬液を吐出する薬液ノズル27と、薬液ノズル27に薬液を供給する薬液供給管28と、薬液供給管28に介装された薬液バルブ29とを含む。薬液ノズル27は、吐出した薬液がスピンチャック4に保持された基板Wの上面中央部に着液するように配置されている。
【0034】
この基板処理装置1による基板Wの処理では、たとえば、スピンチャック4によって基板Wを回転させつつ、当該基板Wの上面中央部に向けて薬液ノズル27から薬液が吐出される。薬液ノズル27から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域に薬液が供給され、基板Wの上面に薬液処理が行われる。また、薬液処理が行われた後は、薬液ノズル27からの薬液の吐出が停止され、リンス液ノズル24からリンス液が吐出される。リンス液ノズル24から吐出されたリンス液は、回転状態の基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板W上を外方に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域にリンス液が供給され、基板W上の薬液がリンス液によって洗い流される。このようにして、基板W上から薬液が除去され、基板Wの上面に対するリンス処理が行われる。リンス処理が行われた後は、スピンチャック4によって基板Wを高速回転させて当該基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。
【0035】
図3は、スピンチャック4の内部構造を説明するためのスピンチャック4の要部の側面図である。また、図4は、下側固定ユニット20の要部の拡大斜視図である。以下では、図3および図4を参照して、下側固定ユニット20について説明する。
図3に示すように、2つの下側固定ユニット20は、スピンベース7の周方向に間隔を隔てて配置されている。2つの下側固定ユニット20の間隔は、2つの可動ピン16の間隔に対応している。各下側固定ユニット20は、アクチュエータの一例であるシリンダ30と、リンク機構31と、駆動磁石32(図4参照)とを備えている。シリンダ30は、ロッド33が鉛直となる姿勢でロッド33を上に向けて配置されている。シリンダ30は、空気の供給を受けて、上位置と下位置との間でロッド33を昇降させることができる。図3および図4では、ロッド33が下位置にある状態を示している。
【0036】
リンク機構31は、図4に示すように、第1アーム34、第2アーム35および第3アーム36を備えている。第1アーム34は、ロッド33に連結されており、第2アーム35は、第1アーム34を介してロッド33に連結されている。第1アーム34および第2アーム35は、ロッド33とともに鉛直方向に一体移動する。また、第3アーム36は、ピン37を介して第2アーム35に連結されている。ピン37は、第3アーム36に固定されており、第2アーム35に設けられた二股状のガイド部38の内側に配置されている。ガイド部38は、水平方向に延びており、ピン37は、ガイド部38内を水平移動することができる。
【0037】
図4に示すように、第3アーム36は、回動ブラケット39を介して固定ブラケット40に連結されている。回動ブラケット39は、水平な回動軸線L2まわりに回動可能に固定ブラケット40に連結されている。ピン37が押し上げられると、第3アーム36および回動ブラケット39は、回動軸線L2まわりに上方に回動する。
また、図4に示すように、駆動磁石32は、第3アーム36に連結されている。駆動磁石32は、第3アーム36とともに回動軸線L2まわりに回動する。ロッド33が下位置にある状態では、駆動磁石32は、固定ブラケット40に固定されたヨーク41内に収容されている。また、図4に示すように、ロッド33が下位置にある状態では、駆動磁石32のN極が横に向けられている。ヨーク41は、たとえば、鉄製であり、平面視略C形に形成されている。ロッド33が下位置にある状態では、駆動磁石32がヨーク41内に収容されており、駆動磁石32の磁気がヨーク41によって遮断される。これにより、駆動磁石32の磁気がスピンチャック4の他の構成に及ぶことを抑制または防止することができる。
【0038】
シリンダ30が駆動されてロッド33が上昇すると、ロッド33とともに、第1アーム34および第2アーム35が一体的に上昇する。これにより、ピン37が押し上げられて、第3アーム36の姿勢が水平になるまで、第3アーム36および駆動磁石32が、回動軸線L2まわりに上方に回動する(図4に示す矢印A1参照)。したがって、ヨーク41内に収容されている駆動磁石32がヨーク41の上方に移動して、駆動磁石32のN極が上に向けられる。また、このときピン37がガイド部38の基端部に向かって水平移動して、第2アーム35および第3アーム36の相対的な位置関係が変化する。後述するように、スピンベース7が所定の回転位置にあるときに、駆動磁石32のN極が上に向けられると、駆動磁石32の磁力によって上側回転ユニット21が駆動されて、可動ピン16が開位置の方に変位する。
【0039】
図5および図6は、上側回転ユニット21およびこれに関連する構成を下方から見た斜視図である。また、図7は、上側回転ユニット21の分解斜視図であり、図8は、可動ピン16と上側回転ユニット21の一部の斜視図である。以下では、図5〜図8を参照して、上側回転ユニット21について説明する。
図5および図8に示すように、各上側回転ユニット21は、可動ピン16を保持するピンホルダ42を備えている。ピンホルダ42は、棒状の部材であり、スピンベース7の径方向に沿って配置されている。ピンホルダ42は、第1リニアガイド43を介してスピンベース7に連結されている。ピンホルダ42は、スピンベース7に対してスピンベース7の径方向に移動することができる。図5に示すように、ピンホルダ42の一端は、スピンベース7の外に配置されており、一端を除くピンホルダ42の大部分はスピンベース7の内部に配置されている。可動ピン16は、ピンホルダ42の一端に連結されている。また、図8に示すように、ピンホルダ42の他端には、第1嵌合溝44が形成された可動ブラケット45が連結されている。
【0040】
また、図5および図6に示すように、各上側回転ユニット21は、従動磁石46と、偏心シャフト47とを備えている。図7に示すように、偏心シャフト47は、円柱状の主軸部48と、主軸部48の途中部に設けられた略四角柱状の磁石保持部49と、主軸部48の一端部および他端部にそれぞれ設けられた第1偏心部50および第2偏心部51とを含む。従動磁石46は、磁石保持部49に保持されている。従動磁石46のN極およびS極は、磁石保持部49の外周面上に配置されている。また、第1偏心部50および第2偏心部51は、それぞれ円柱状に形成されている。第1偏心部50および第2偏心部51は、それぞれ、主軸部48に対して逆方向に偏心している。
【0041】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、主軸部48の一端部および他端部にそれぞれ取り付けられる2つの第1軸受52を備えている。偏心シャフト47は、2つの第1軸受52を介してシャフト用ベース53に保持されている。また、シャフト用ベース53は、固定ベース54を介してスピンベース7に固定されている。したがって、偏心シャフト47は、シャフト用ベース53および固定ベース54等を介して、主軸部48の中心軸線L3(図7参照)まわりに回転可能にスピンベース7に保持されている。
【0042】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、第1偏心部50の外周に同軸的に取り付けられる第2軸受55を備えている。図5に示すように、第2軸受55は、可動ブラケット45に設けられた第1嵌合溝44に嵌合している。偏心シャフト47が主軸部48の中心軸線L3回りに回転すると、第2軸受55と可動ブラケット45との係合により、可動ブラケット45をスピンベース7の径方向に変位させる力が可動ブラケット45に与えられる。したがって、偏心シャフト47が主軸部48の中心軸線L3まわりに回転すると、可動ブラケット45、ピンホルダ42、および可動ピン16は、一体的にスピンベース7の径方向に変位する。
【0043】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、第2偏心部51の外周に同軸的に取り付けられる第3軸受56を備えている。図6に示すように、第3軸受56は、カウンタウェイト57に形成された第2嵌合溝58に嵌合している。カウンタウェイト57は、第2リニアガイド59を介してスピンベース7に連結されている。カウンタウェイト57は、スピンベース7に対してスピンベース7の径方向に変位することができる。
【0044】
図6に示すように、カウンタウェイト57には、ばね60の一端が係合している。カウンタウェイト57は、ばね60の付勢力によって、スピンベース7に対してスピンベース7の径方向外方に付勢されている。また、第3軸受56は、ばね60の付勢力によって、カウンタウェイト57を介して、スピンベース7の径方向外方に引っ張られている。そのため、上側回転ユニット21が駆動されていないときには、ばね60の付勢力によって第2偏心部51がスピンベース7の径方向外方側に変位する。また、第1偏心部50および第2偏心部51が主軸部48に対して逆方向に偏心しているので、第2偏心部51がスピンベース7の径方向外方側に変位すると、第1偏心部50は、スピンベース7の径方向内方に変位する。したがって、上側回転ユニット21が駆動されていないときには、スピンベース7の径方向内方向きの力が可動ブラケット45に伝達され、可動ピン16が閉位置に変位する。
【0045】
また、図7に示すように、各上側回転ユニット21は、第2偏心部51の先端部に取り付けられる磁石用ベース61と、磁石用ベース61を介して第2偏心部51に取り付けられる検知用磁石62(磁石)とを備えている。磁石用ベース61および検知用磁石62は、偏心シャフト47に対して主軸部48の中心軸線L3まわりに一体回転可能に連結されている。2つの上側回転ユニット21にそれぞれ設けられた2つの検知用磁石62は、スピンベース7の回転軸線L1上に中心を有する同一円周上で、スピンベース7の周方向に間隔を隔てて配置されている。
【0046】
図6に示すように、検知用磁石62は、たとえば直方体状である。検知用磁石62のN極およびS極は、それぞれ、検知用磁石62において平行に対向する2つの面に形成されている。検知用磁石62のN極およびS極は、検知用磁石62の回転方向に直交するように配置されている。偏心シャフト47が回動して可動ピン16が変位すると、当該偏心シャフト47に対応する検知用磁石62は、可動ピン16の変位量に応じた変位量で可動ピン16に連動する。各検知用磁石62は、可動ピン16の開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置との間で、主軸部48の中心軸線L3まわりに回動する。また、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wが挟持されると、可動ピン16は、開位置と閉位置との間の当接位置に配置される。このとき検知用磁石62は、可動ピン16の当接位置に対応する当接検知位置に配置される。
【0047】
図9は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御部63(位置検出手段、状態判定手段)を備えている。制御部63は、スピンモータ9やシリンダ30などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられたバルブの開閉は、制御部63によって制御される。さらに、制御部63には、後述のセンサ64の検出値が入力される。
【0048】
図10は、従動磁石46の動作を説明するための磁石保持部49および従動磁石46の断面図である。図10では、可動ピン16が閉位置にあるときの磁石保持部49および従動磁石46の状態が示されている。以下では、図3、図5、および図10を参照して、偏心シャフト47の動作について説明する。
上側回転ユニット21が下側固定ユニット20によって駆動されていないときには、偏心シャフト47がばね60の付勢力によって回動して、図10に示すように、従動磁石46のN極が斜め下方に向けられる。この状態から、シリンダ30が駆動されてロッド33が上昇すると、図10に示すように、駆動磁石32の回動に伴って駆動磁石32のN極が従動磁石46のN極に近づいて、駆動磁石32および従動磁石46間に大きな磁力(反発力)が働く。これにより、偏心シャフト47が、ばね60の付勢力による回動方向とは反対の方向(図10に示す矢印A2参照)に回動して、可動ブラケット45およびピンホルダ42がスピンベース7の径方向外方に変位する。これにより、可動ピン16が開位置に向かって変位する。
【0049】
一方、可動ピン16が開位置にある状態で、シリンダ30が駆動されてロッド33が降下すると、駆動磁石32のN極が従動磁石46から遠ざかって、駆動磁石32および従動磁石46間に働く磁力が小さくなる。そのため、ばね60の付勢力によって偏心シャフト47が再び回動して、可動ピン16が閉位置に向かって変位する。このとき複数の支持部材14、17によって基板Wが支持されていれば、可動ピン16は、基板Wの周端面に当接して、当該基板Wを固定ピン13の方に付勢する。これにより、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wが挟持され保持される。複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wが挟持されている状態では、可動ピン16は、開位置と閉位置との間の当接位置に位置し、従動磁石46は、当接位置に対応する角度で保持される。
【0050】
下側固定ユニット20による上側回転ユニット21の駆動は、上側回転ユニット21が下側固定ユニット20の上方に位置する状態で行われる。より具体的には、スピンベース7が図3に示す所定の回転位置(検知回転位置)に位置する状態で行われる。この状態では、各上側回転ユニット21が対応する下側固定ユニット20の上方に位置するので、2つの下側固定ユニット20によってそれぞれ2つの上側回転ユニット21を同時に駆動させて、2つの可動ピン16を同時に変位させることができる。
【0051】
図11は、位置検出ユニット19の要部の側面である。また、図12は、図11に示すXII−XII線に沿う位置検出ユニット19の断面図であり、図13は、位置検出ユニット19の要部を上方から見た斜視図である。以下では、図3および図11〜図13を参照して、位置検出ユニット19について説明する。
図13に示すように、各位置検出ユニット19は、3つのセンサ64(磁気検出手段)により構成されるセンサ群65を備えている。各センサ群65を構成する3つのセンサ64は、保持ブラケット66によって水平に並んで一体的に保持されている。2つの保持ブラケット66は、スピンベース7の周方向に間隔を隔てた位置で固定ブラケット40に固定されている。センサ64としては、たとえば、ホール素子やMR素子などの磁気検出素子を含むセンサが挙げられる。
【0052】
2つの位置検出ユニット19にそれぞれ設けられた2つのセンサ群65は、スピンベース7の回転軸線L1上に中心を有する同一円周上で、スピンベース7の周方向に間隔を隔てて配置されている。また、図示はしないが、2つのセンサ群65が配置された円の直径は、2つの検知用磁石62が配置された円の直径と略同じ大きさに設定されている。したがって、スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、2つの検知用磁石62は、2つのセンサ群65の上方を通過する。
【0053】
また、各センサ群65を構成する3つのセンサ64は、スピンベース7が所定の回転位置にあるときに、2つの検知用磁石62のいずれかに対向するように配置されている。より具体的には、スピンベース7が図3に示す検知回転位置にある場合には、一方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64が一方の検知用磁石62に対向し、他方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64が他方の検知用磁石62に対向する。また、スピンベース7が検知回転位置から右回りまたは左まわりに所定角度回動すると、一方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のみが一方の検知用磁石62に対向する。
【0054】
すなわち、この実施形態では、スピンベース7に、3つの状態(第1状態、第2状態、および第3状態)が設けられている。第1状態は、全てのセンサ64が検知用磁石62に対向する状態であり、第2状態は、2つのセンサ群65のうち一方のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のみが一方の検知用磁石62に対向する状態である。また、第3状態は、全てのセンサ64がいずれの検知用磁石62にも対向しない状態である。したがって、スピンモータ9によってスピンベース7が回転駆動されると、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64は、スピンベース7が一回転する間に、2つの検知用磁石62に対向する。
【0055】
図14(a)、図14(b)、および図14(c)は、それぞれ、検知用磁石62およびセンサ64の対向状態を示す断面図である。図14(a)、図14(b)、および図14(c)では、それぞれ、検知用磁石62が開検知位置、閉検知位置、および当接検知位置にある状態が示されている。以下では、図14(a)、図14(b)、および図14(c)を参照して、各センサ64の配置について説明する。
【0056】
この実施形態では、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64が、それぞれ、開位置用センサ64a(開位置用磁気検出手段)、閉位置用センサ64b(閉位置用磁気検出手段)、および当接位置用センサ64c(当接位置用磁気検出手段)として働く。
図14(a)に示すように、開位置用センサ64aは、対向する検知用磁石62が開検知位置にあるときに、当該検知用磁石62から受ける磁界の強さが、検知用磁石62が他の位置(この場合は、閉検知位置および当接検知位置)にあるときよりも大きくなる位置に配置されている。
【0057】
また、図14(b)に示すように、閉位置用センサ64bは、対向する検知用磁石62が閉検知位置にあるときに、当該検知用磁石62から受ける磁界の強さが、検知用磁石62が他の位置にあるときよりも大きくなる位置に配置されている。
また、図14(c)に示すように、当接位置用センサ64cは、対向する検知用磁石62が当接検知位置にあるときに、当該検知用磁石62から受ける磁界の強さが、検知用磁石62が他の位置にあるときよりも大きくなる位置に配置されている。制御部63は、センサ64の検出値に基づいて可動ピン16の位置を検出する。
【0058】
図15は、可動ピン16が各位置にあるときの各センサ64のON/OFF状態を示す表である。図15では、一方のセンサ群65に対応する3つのセンサ64が、それぞれ、第1センサ、第2センサ、および第3センサと示されている。また、図15では、他方のセンサ群65に対応する3つのセンサ64が、それぞれ、第4センサ、第5センサ、および第6センサと示されている。第1および第4センサは、閉位置用センサ64bであり、第2および第4センサは、当接位置用センサ64cであり、第3および第6センサは、開位置用センサ64aである。以下では、図12および図15を参照して、各センサ64のON/OFFについて説明する。
【0059】
各センサ64の検出値は、制御部63に入力される。また、制御部63は、センサ64からの入力値に基づいて当該センサ64のON/OFFを判定する。より具体的には、センサ64からの入力値が所定値以上である場合には、制御部63は、当該センサ64がONになっていると判定し、センサ64からの入力値が所定値未満である場合には、制御部63は、当該センサ64がOFFになっていると判定する。
【0060】
図15を参照して具体的に説明すると、たとえば一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が開位置にあると、第1センサおよび第2センサがOFFになり、第3センサがONになる。また、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が閉位置にあると、第1センサがONになり、第2センサおよび第3センサがOFFになる。また、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が当接位置にあると、第2センサがONになり、第1センサおよび第3センサがOFFになる。
【0061】
同様に、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が開位置にあると、第4センサおよび第5センサがOFFになり、第6センサがONになる。また、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が閉位置にあると、第4センサがONになり、第5センサおよび第6センサがOFFになる。また、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が当接位置にあると、第5センサがONになり、第4センサおよび第6センサがOFFになる。
【0062】
したがって、制御部63は、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、一方のセンサ群65を構成するセンサ64のON/OFFを検知することにより、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16の位置を検出することができる。同様に、制御部63は、他方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、他方のセンサ群65を構成するセンサ64のON/OFFを検知することにより、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16の位置を検出することができる。また、スピンベース7が検知回転位置にあれば、一方のセンサ群65が一方の検知用磁石62に対向し、他方のセンサ群65が他方の検知用磁石62に対向するので、制御部63は、2つの可動ピン16の位置を同時に検出することができる。
【0063】
制御部63は、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のON/OFFを監視して、可動ピン16の位置を検出してもよいし、いずれか1つのセンサ64のONだけを監視して、可動ピン16の位置を検出してもよい。また、制御部63は、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64のうちの2つのセンサ64のOFFだけを監視して、可動ピン16の位置を検出してもよい。
【0064】
図15を参照して具体的に説明すると、たとえば、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向しているときに、当該検知用磁石62に対応する可動ピン16が当接位置にあると、当接位置用センサ64cとして働く第2センサがONになり、第1センサおよび第3センサがOFFになる。したがって、制御部63は、第2センサがONになり、第1センサおよび第3センサがOFFなっていることを検知すれば、可動ピン16が当接位置にあることを検出することができる。また、制御部63は、第1センサおよび第3センサがOFFになっていることを検知しなくても、第2センサがONになっていることを検知すれば、可動ピン16が当接位置にあることを検出することができる。さらに、一方のセンサ群65が検知用磁石62に対向していれば、第1センサ、第2センサ、および第3センサのうちのいずれかのセンサ64がONになるから、制御部63は、第1センサおよび第3センサがOFFになっていることを検知すれば、可動ピン16が当接位置にあることを検出することができる。
【0065】
図16は、スピンチャック4に基板Wを搬送して、この基板Wをスピンチャック4によって回転させるときのフローチャートである。以下では、図3、図5、および図16を参照して、スピンチャック4に基板Wを搬送して、この基板Wをスピンチャック4によって回転させるときのフローについて説明する。
スピンチャック4に対する基板Wの搬送は、スピンベース7上に基板Wが無い状態で行われる。したがって、スピンチャック4に基板Wが搬送される前に、スピンベース7上に基板Wが無いことが確認される(ステップS1)。より具体的には、各下側固定ユニット20に設けられたシリンダ30のロッド33が下位置にある状態で、制御部63がスピンベース7を図3に示す検知回転位置に移動させる。そして、制御部63が各センサ64のON/OFFを調べて、2つの可動ピン16が閉位置にあることを検知する。すなわち、スピンベース7上に基板Wがあれば、2つの可動ピン16が閉位置に位置することができないので、制御部63は、2つの可動ピン16が閉位置にあることを検知して、スピンベース7上に基板Wが無いことを確認する。
【0066】
次に、制御部63は、2つの可動ピン16を開位置に変位させる(ステップS2)。より具体的には、スピンベース7が検知回転位置にある状態で、制御部63が各下側固定ユニット20に設けられたシリンダ30を駆動させて、各シリンダ30のロッド33を上位置に移動させる。これにより、2つの偏心シャフト47が回動して、2つの可動ピン16が開位置に向かって変位する。そして、制御部63は、センサ64のON/OFFを調べて、2つの可動ピン16が開位置に位置したことを確認した後(ステップS3)、図示しない搬送ロボットによって複数の支持部材14、17上に基板Wを載置させる(ステップS4)。このとき、2つの可動ピン16が開位置にあるので、搬送ロボットによって搬送される基板Wは、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16に衝突することなく、複数の支持部材14、17上に載置される。
【0067】
次に、制御部63は、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16によって基板Wを挟持させる(ステップS5)。より具体的には、スピンベース7が検知回転位置にある状態で、制御部63が各下側固定ユニット20に設けられたシリンダ30を駆動させて、各シリンダ30のロッド33を下位置に移動させる。これにより、2つの偏心シャフト47が、ばね60の付勢力によって回動する。そのため、2つの可動ピン16は、閉位置に向かって変位する。2つの可動ピン16は、閉位置に向かって変位する途中で、複数の支持部材14、17上に載置された基板Wの周端面に当接して、当該基板Wを固定ピン13に向けて付勢する。これにより、複数の固定ピン13および複数の可動ピン16が基板Wの周端面に当接して、当該基板Wが挟持される。
【0068】
次に、制御部63は、各可動ピン16が当接位置にあることを確認する(ステップS6)。より具体的には、スピンベース7が検知回転位置にある状態で、制御部63が少なくとも2つ以上のセンサ64のON/OFFを調べる。すなわち、制御部63は、全てのセンサ64(6つのセンサ64)のON/OFFを調べて、各可動ピン16が当接位置にあることを確認してもよいし、当接位置用センサ64cとして働く2つのセンサ64のONだけを調べて、各可動ピン16が当接位置にあることを確認してもよい。また、制御部63は、開位置用センサ64aとして働く2つのセンサ64と、閉位置用センサ64bとして働く2つのセンサ64とのOFFだけを調べて、各可動ピン16が当接位置にあることを確認してもよい。
【0069】
制御部63は、全ての可動ピン16が当接位置にあることを確認できた場合(ステップS6でYesの場合)には、基板Wが正常に保持されていると判定して、スピンベース7を回転させる。これにより、基板Wの回転が開始される(ステップS7)。一方、全ての可動ピン16が当接位置にあることを確認できなかった場合(ステップS6でNoの場合)には、制御部63は、基板Wが正常に保持されていないと判定する。より具体的には、たとえば、一方の可動ピン16が当接位置にあることが確認されても、他方の可動ピン16が当接位置にあることが確認されない場合には、基板Wが斜めに保持されているおそれがある。したがって、制御部63は、全ての可動ピン16が当接位置にあることを確認できなかった場合には、基板Wが正常に保持されていないと判定して、異常を報知する(ステップS8)。
【0070】
スピンチャック4による基板Wの回転が開始されると、各検知用磁石62と各センサ64とが相対回転するので、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64は、スピンベース7が一回転する間に、2つの検知用磁石62に対向する。そのため、各センサ64から制御部63には、スピンベース7が一回転する間に2回検出値が入力される。制御部63は、この断続的に入力される検出値に基づいて基板Wの回転中における基板Wの保持状態を確認する(ステップS9)。基板Wの保持状態の具体的な確認方法については後述する。
【0071】
制御部63は、基板Wが正常に保持されていることが確認された場合(ステップS9でYesの場合)には、基板Wの回転を継続させる(ステップS10)。そして、制御部63は、基板Wが正常に保持されていることを引き続き確認する(ステップS9に戻る)。一方、基板Wが正常に保持されていることが確認されなかった場合(ステップS9でNoの場合)には、制御部63は即座に基板Wの回転を停止させる(ステップS11)。そして、制御部63は異常を報知する(ステップS12)。
【0072】
図17は、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の一例を説明するためのフローチャートである。以下では、図15および図17を適宜参照して、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の一例について説明する。
前述のように、スピンチャック4による基板Wの回転が行われている間は、スピンベース7が一回転する間に、各センサ64から制御部63に検出値が2回入力される。このとき2つの可動ピン16がそれぞれ当接位置にあり、基板Wが確実に保持されていれば、当接位置用センサ64cとして働く第2センサは、基板Wが一回転する間に2回ONになる(図15参照)。同様に、2つの可動ピン16が当接位置にあれば、当接位置用センサ64cとして働く第5センサは、基板Wが一回転する間に2回ONになる(図15参照)。したがって、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第2センサおよび第5センサの少なくとも一方が2回ONになることを検知することにより、基板Wが正常に保持されていることを確認することができる。
【0073】
図17を参照して確認方法の一例を具体的に説明すると、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第2センサが2回ONになることを調べる(ステップS1A)。このとき、第2センサが2回ONにならない場合(ステップS1AでNoの場合)には、制御部63は、基板Wの保持が異常であると判定する(ステップS2A)。一方、第2センサが2回ONになった場合(ステップS1AでYesの場合)には、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第5センサが2回ONになることを調べる(ステップS3A)。そして、制御部63は、第5センサが2回ONにならない場合(ステップS3AでNoの場合)には、基板Wの保持が異常であると判定し(ステップS2A)、2回ONになった場合(ステップS3AでYesの場合)には、基板Wが正常に保持されていると判定する(ステップS4A)。前述の基板Wの保持状態の確認(図16におけるステップS9)は、たとえば、このようにして行われる。
【0074】
図18は、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の他の例を説明するためのフローチャートである。以下では、図15および図18を適宜参照して、基板Wの回転中における基板Wの保持状態を判定するときの確認方法の他の例について説明する。
前述のように、スピンチャック4による基板Wの回転が行われている間は、スピンベース7が一回転する間に、各センサ64から制御部63に検出値が2回入力される。このとき2つの可動ピン16がそれぞれ当接位置にあり、基板Wが確実に保持されていれば、開位置用センサ64aとして働く第1センサと、閉位置用センサ64bとして働く第3センサとは、それぞれ、基板Wが一回転する間に2回OFFになる(図15参照)。同様に、2つの可動ピン16が当接位置にあれば、開位置用センサ64aとして働く第4センサと、閉位置用センサ64bとして働く第6センサとは、それぞれ、基板Wが一回転する間に2回OFFになる(図15参照)。したがって、制御部63は、基板Wが一回転する間に、二対のセンサ64(第1センサと第3センサ、および第4センサと第6センサ)のうち少なくとも一方の対をなす2つのセンサ64が2回OFFになることを検知することにより、基板Wが正常に保持されていることを確認することができる。
【0075】
図18を参照して確認方法の他の例を具体的に説明すると、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第1センサおよび第3センサが2回OFFになることを調べる(ステップS1B)。このとき、第1センサおよび第3センサが2回OFFにならない場合(ステップS1BでNoの場合)には、制御部63は、基板Wの保持が異常であると判定する(ステップS2B)。一方、第1センサおよび第3センサが2回OFFになった場合(ステップS1BでYesの場合)には、制御部63は、基板Wが一回転する間に、第4センサおよび第6センサが2回OFFになることを調べる(ステップS3B)。そして、制御部63は、第4センサおよび第6センサが2回OFFにならない場合(ステップS3BでNoの場合)には、基板Wの保持が異常であると判定し(ステップS2B)、2回OFFになった場合(ステップS3BでYesの場合)には、基板Wが正常に保持されていると判定する(ステップS4B)。前述の基板Wの保持状態の確認(図16におけるステップS9)は、たとえば、このようにして行われる。
【0076】
以上のように第1実施形態では、開位置と閉位置との間における可動ピン16の位置を検出することができる。これにより、スピンチャック4に対する基板Wの搬送や、スピンチャック4による基板Wの回転を確実に行うことができる。したがって、基板搬送工程から処理液供給工程までの一連の工程を含む処理を円滑に進行させることができる。また、各センサ64がカバー10に設けられているので、スピンベース7の大型化、および構造の複雑化を抑制または防止することができる。さらに、各センサ64が検知用磁石62から離れた所定位置で各検知用磁石62に対向するように配置されており、常に互いに非接触の状態であるので、スピンベース7を回転させたときに、各検知用磁石62と各センサ64とが互いに摺動するようなことがない。これにより、摺動に伴う摩耗による不具合(寿命の低下や、摺動に伴う摩耗粉による汚染)を抑制または防止することができる。
【0077】
図19(a)、図19(b)、および図19(c)は、この発明の第2実施形態に係る検知用磁石262およびセンサ264の対向状態を示す検知用磁石262およびセンサ264の断面図である。図19(a)、図19(b)、および図19(c)では、それぞれ、検知用磁石262が開検知位置、閉検知位置、および当接検知位置にある状態が示されている。この図19(a)、図19(b)、および図19(c)において、前述の図1〜図18に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0078】
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、同一のセンサ群65を構成する3つのセンサ64に代えて、磁界の強さおよび磁極を検知できるセンサ264(磁気検出手段、磁気検出素子)が設けられていることにある。すなわち、この第2実施形態では、前述の6つのセンサ64に代えて、2つのセンサ264が設けられている。2つのセンサ264は、スピンベース7の回転軸線L1上に中心を有する同一円周上に配置されている。各センサ264の検出値は、制御部63に入力される。センサ264としては、たとえば、ホール素子やMR素子などの磁気検出素子を含むセンサが挙げられる。
【0079】
また、検知用磁石262(磁石)は、たとえば、略直方体状である。検知用磁石262には面取りが2箇所行われており、検知用磁石262の所定面において平行に向かい合う2つ辺が除去されている。検知用磁石262のN極およびS極は、それぞれ、一辺が除去された平行に向かい合う2つの面に形成されている。検知用磁石262は、偏心シャフト47(図7参照)に対して主軸部48の中心軸線L3まわりに一体回転可能に連結されている。検知用磁石262のN極およびS極は、検知用磁石262の回転方向に直交するように配置されている。
【0080】
また、各センサ264は、スピンベース7が所定の回転位置にあるときに(スピンベース7が前述の第1状態または第2状態にあるときに)、検知用磁石262から離れた所定位置で検知用磁石262に対向するように配置されている。
より具体的には、図19(a)に示すように、センサ264は、対向する検知用磁石262が開検知位置にあるときに、検知用磁石262が他の位置(この場合は、閉検知位置および当接検知位置)にあるときよりも、検知用磁石262のN極に近づいて、検知用磁石262のN極から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されている。
【0081】
また、図19(b)に示すように、センサ264は、対向する検知用磁石262が閉検知位置にあるときに、検知用磁石262が他の位置にあるときよりも、検知用磁石262のS極に近づいて、検知用磁石262のS極から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されている。
また、図19(c)に示すように、センサ264は、対向する検知用磁石262が当接検知位置にあるときに、検知用磁石262が他の位置にあるときよりも、検知用磁石262のN極およびS極から遠ざかって、検知用磁石262から受ける磁界の強さが小さくなる位置に配置されている。
【0082】
制御部63は、センサ264の検出値に基づいて、可動ピン16の位置を検出することができる。より具体的には、制御部63は、検知用磁石262のN極からセンサ264が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動ピン16が開位置にあることを検知することができる。また、制御部63は、検知用磁石262のS極からセンサ264が受ける磁界の強さが所定値以上になったときに、可動ピン16が閉位置にあることを検知することができる。また、また、制御部63は、検知用磁石262からセンサ264が受ける磁界の強さが所定値未満(たとえば、略零)になったときに、可動ピン16が当接位置にあることを検知することができる。
【0083】
以上のように第2実施形態では、制御部63が、1つのセンサ264の検出値に基づいて、可動ピン16の3つの位置を検知する。したがって、スピンチャック4の部品点数を減少させることができ、スピンチャック4の部品コストや組立コストを低減することができる。また、検知用磁石262のN極およびS極が形成された面の面積が、面取りによって小さくされているので、センサ264による磁極の判定が精度よく行われる。これにより、可動ピン16の位置を精度よく検出することができる。
【0084】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 基板処理装置
4 スピンチャック(基板保持機構)
5 処理液供給ユニット(処理液供給機構)
7 スピンベース(回転ベース)
9 スピンモータ(回転駆動機構)
10 カバー(非回転ベース)
12 可動ユニット(保持ユニット)
16 可動ピン(可動保持部材)
62 検知用磁石(磁石)
63 制御部(位置検出手段、状態判定手段)
64 センサ(磁気検出手段)
64a 開位置用センサ(開位置用磁気検出手段)
64b 閉位置用センサ(閉位置用磁気検出手段)
64c 当接位置用センサ(当接位置用磁気検出手段)
262 検知用磁石(磁石)
264 センサ(磁気検出手段、磁気検出素子)
L1 回転軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非回転ベースと、
前記非回転ベースに対して、所定の回転軸線まわりに回転可能に設けられた回転ベースと、
前記回転ベースを回転駆動する回転駆動機構と、
前記回転ベースに設けられ、開位置と閉位置との間で変位可能であり、前記開位置と前記閉位置との間の当接位置で基板の周端面に当接して当該基板を保持するための可動保持部材と、
前記回転ベースに設けられ、前記可動保持部材の変位量に応じた変位量で前記可動保持部材と連動し、前記開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する磁石と、
前記非回転ベースに設けられ、前記回転ベースが所定の検知回転位置にあるときに前記磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置され、前記開検知位置と閉検知位置との間における前記磁石の位置に応じて変化する磁界を検知する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段の検出値に基づいて、前記開位置と閉位置との間における前記可動保持部材の位置を検出する位置検出手段とを含む、基板保持機構。
【請求項2】
前記磁気検出手段は、磁界の強さをそれぞれ検出する開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段を含むものであり、
前記開位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、
前記閉位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、
前記当接位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、
前記位置検出手段は、前記開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段により検出された磁界の強さに基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構。
【請求項3】
前記位置検出手段は、前記当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になったとき、または前記開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以下になったときに、前記可動保持部材が当接位置にあることを検知するものである、請求項2記載の基板保持機構。
【請求項4】
前記磁気検出手段は、磁界の強さおよび磁極を検知する磁気検出素子を含むものであり、
前記磁気検出素子は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに前記磁石の一方の磁極から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに前記磁石の他方の磁極から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが小さくなるように配置されたものであり、
前記位置検出手段は、前記磁気検出素子により検出された磁界の強さおよび磁極に基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構。
【請求項5】
前記可動保持部材、および当該可動保持部材に対応する前記磁石をそれぞれ有する複数の保持ユニットを含み、
前記位置検出手段は、前記複数の保持ユニットの全ての可動保持部材の位置を検知するものであり、
前記位置検出手段によって検出される前記全ての可動保持部材の位置に基づいて、基板の保持状態を判定する状態判定手段をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持機構。
【請求項6】
前記複数の保持ユニットと同数の前記磁気検出手段が、前記回転ベースが前記検知回転位置にあるときに前記複数の保持ユニットの前記磁石の磁界をそれぞれ検出するように配置されている、請求項5記載の基板保持機構。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された基板に処理液を供給する処理液供給機構とを含む、基板処理装置。
【請求項1】
非回転ベースと、
前記非回転ベースに対して、所定の回転軸線まわりに回転可能に設けられた回転ベースと、
前記回転ベースを回転駆動する回転駆動機構と、
前記回転ベースに設けられ、開位置と閉位置との間で変位可能であり、前記開位置と前記閉位置との間の当接位置で基板の周端面に当接して当該基板を保持するための可動保持部材と、
前記回転ベースに設けられ、前記可動保持部材の変位量に応じた変位量で前記可動保持部材と連動し、前記開位置および閉位置にそれぞれ対応する開検知位置および閉検知位置の間で変位する磁石と、
前記非回転ベースに設けられ、前記回転ベースが所定の検知回転位置にあるときに前記磁石から離れた所定位置で前記磁石に対向するように配置され、前記開検知位置と閉検知位置との間における前記磁石の位置に応じて変化する磁界を検知する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段の検出値に基づいて、前記開位置と閉位置との間における前記可動保持部材の位置を検出する位置検出手段とを含む、基板保持機構。
【請求項2】
前記磁気検出手段は、磁界の強さをそれぞれ検出する開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段を含むものであり、
前記開位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、
前記閉位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、
前記当接位置用磁気検出手段は、前記磁石が前記当接位置に対応した当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが大きくなる位置に配置されたものであり、
前記位置検出手段は、前記開位置用磁気検出手段、閉位置用磁気検出手段、および当接位置用磁気検出手段により検出された磁界の強さに基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構。
【請求項3】
前記位置検出手段は、前記当接位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以上になったとき、または前記開位置用磁気検出手段および閉位置用磁気検出手段が検出する磁界の強さが所定値以下になったときに、前記可動保持部材が当接位置にあることを検知するものである、請求項2記載の基板保持機構。
【請求項4】
前記磁気検出手段は、磁界の強さおよび磁極を検知する磁気検出素子を含むものであり、
前記磁気検出素子は、前記磁石が前記開検知位置にあるときに前記磁石の一方の磁極から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記閉検知位置にあるときに前記磁石の他方の磁極から受ける磁界の強さが大きくなり、前記磁石が前記当接検知位置にあるときに、前記磁石から受ける磁界の強さが小さくなるように配置されたものであり、
前記位置検出手段は、前記磁気検出素子により検出された磁界の強さおよび磁極に基づいて前記可動保持部材の位置を検出するものである、請求項1記載の基板保持機構。
【請求項5】
前記可動保持部材、および当該可動保持部材に対応する前記磁石をそれぞれ有する複数の保持ユニットを含み、
前記位置検出手段は、前記複数の保持ユニットの全ての可動保持部材の位置を検知するものであり、
前記位置検出手段によって検出される前記全ての可動保持部材の位置に基づいて、基板の保持状態を判定する状態判定手段をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持機構。
【請求項6】
前記複数の保持ユニットと同数の前記磁気検出手段が、前記回転ベースが前記検知回転位置にあるときに前記複数の保持ユニットの前記磁石の磁界をそれぞれ検出するように配置されている、請求項5記載の基板保持機構。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された基板に処理液を供給する処理液供給機構とを含む、基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図14(c)】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図19(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図14(c)】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図19(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【公開番号】特開2010−232523(P2010−232523A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80006(P2009−80006)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]