説明

基板処理方法

【課題】 基板上のパターンにダメージを与えることなく基板を良好に乾燥処理することができる基板処理方法を提供する。
【解決手段】 基板表面Wfに対し、侵入防止液を供給し、その後凝固対象液を基板表面Wfに供給することにより、パターン間隙内部およびパターン近傍にHFEを残留させる。その後、HFEは液体のままの状態を維持しながら、凝固対象液を凝固して、パターン間隙内部および近傍の領域を除いた基板表面Wfを凍結する。次に、凍結膜を昇華乾燥すると侵入防止液の表面が露出することで平行して侵入防止液の除去が行われる。この除去工程によって凍結膜が除去されることでパターンへのダメージを生ずることなく基板表面Wfを乾燥することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」と記載する)に対して洗浄処理を施す基板処理方法および基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品等の製造工程では、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施して微細パターンを形成していく工程が含まれる。ここで、微細加工を良好に行うためには基板表面を清浄な状態に保つ必要があり、必要に応じて基板表面に対して洗浄処理が行われる。
【0003】
例えば特許文献1に記載された装置においては、基板表面に脱イオン水(De Ionized Water:以下「DIW」と記載する)などの液体を供給し、それを凍結させた後、リンス液で解凍除去することで基板表面のパーティクル等の汚染物質(以下「パーティクル等」と記載する)を除去し洗浄が実行される。
【0004】
そして、洗浄処理後に、基板表面に付着しているDIWなどの液体を除去して基板を乾燥させる必要がある。この乾燥時における重要な課題のひとつが基板表面に形成されているパターンを倒壊させずに基板乾燥を行うことである。
【0005】
半導体装置や液晶表示装置などに代表される電子部品等に形成される微細な凹凸形状からなるパターンは、微細化がさらに進み、また、構造自体についても3次元化されるなど、微細かつ複雑な形状を有してきている。特にトランジスタやコンデンサなどの個別半導体に用いられるパターンについてこの傾向が顕著である。
【0006】
このようにパターンの微細化及び構造の複雑化が進展することにより、パターンの凸部の底面と基板とが接触する面積が縮小し、パターンの凸部と基板との付着力が小さくなっている。従って、小さな外力でもパターンの凸部が倒壊・剥離し、また凹部の形状が変形する(以下、これらをまとめてパターンへの「ダメージ」と記載する)可能性が高くなっている。
【0007】
このような微細なパターンが形成されている基板に対し、特許文献1に開示されている従来技術の洗浄方法を適用すると、洗浄処理後の基板乾燥時におけるパターン倒壊に対して更なる改良が求められる。この課題を解消する方法として昇華乾燥技術が注目されている。この昇華乾燥技術は、例えば特許文献2や特許文献3に記載されているように、基板表面に付着するDIWなどの液体を処理室室内で凍結させた後に、その処理室内を減圧して凍結体を昇華させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−71875号公報(第7図)
【特許文献2】特開平4−242930号公報(第2図)
【特許文献3】特開平4−331956号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2及び特許文献3に開示されている従来技術では、処理室内の減圧処理が必須であり、大気圧状態で基板乾燥を行うことができず、同一装置内で他の基板処理を連続的に行うことができない。例えばDIWなどの純水を用いた基板を洗浄するのに続き、基板洗浄直後のまま基板乾燥を行うことは難しい。また、処理室内を減圧させる必要があるため、処理室の気密性を確保するとともに、処理室内を減圧するための真空ポンプやバルブなどを設ける必要がある。その結果、基板乾燥装置の大型化や高コスト化を招いている。
【0010】
一方、昇華乾燥では凍結処理が行われるが、このような微細なパターンが形成されている基板に対し、従来技術の凍結方法を適用すると、DIWの流動性により微小間隔を隔てた隣接する凸部の間や3次元の円筒形状の内部等(以下「パターンの間隙」と記載する)及びパターンの外縁の近傍(以下、パターン凸部上面を除くパターンの間隙とパターンの外縁の近傍を併せて「パターン近傍」と記載する)にも侵入し、その部分も含めたDIWが凍結される。
【0011】
この従来技術は、DIWが氷となり膨張する際に力が発生しているが、この力はパターンにも等しく働く。即ち、パターン全体に対しては基板の主面と平行な方向に働く力が、また、パターン間隙については、パターン間隙を外方に押し広げようとする力が働く。この力によりパターンの凸部が倒壊・剥離し、また凹部の形状が変形する等のダメージが生ずるおそれがある。
【0012】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、微細かつ複雑な形状のパターンに対してダメージを与えることなく、基板表面に付着した液体を除去して基板を良好に乾燥させることができる基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る基板処理方法は、パターンが形成された基板に対し、侵入防止液を供給する侵入防止液供給工程と、侵入防止液が供給された基板に対し、凝固体を形成可能な凝固対象液を供給する凝固対象液供給工程と、凝固対象液の凝固体を生成する凝固工程と、を備え、侵入防止液は凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有する物質であり、パターン近傍に残留して凝固対象液がパターン近傍に侵入することを防止し、凝固工程は、基板を凝固対象液の凝固点以下かつ侵入防止液の凝固点以上に冷却する、更に、凝固工程にて形成された凝固体に向けて凝固対象液の凝固点よりも低い温度で除去用気体を供給して侵入防止液を除去する除去工程と、を具備する。
【0014】
また、第2の態様に係る基板処理方法は、凝固対象液供給工程は侵入防止液が付着した基板に対し凝固対象液を供給し、パターン近傍以外の侵入防止液を除去する。
【0015】
また、第3の態様に係る基板処理方法は、侵入防止液が凝固対象液に対し不溶性の物質である。
【0016】
このように構成された第1の態様に係る基板処理方法では、パターンが形成された基板のパターン近傍に侵入防止液を残留させ、凝固対象液が侵入しない領域を形成し、凝固対象液のみ凝固して除去用気体を供給することにより基板を乾燥している。これにより、パターンへのダメージを防止した上で、基板を乾燥する。
【0017】
即ち、凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有する侵入防止液を使用し、凝固対象液の凝固点以下、かつ侵入防止液の凝固点以上に冷却して凝固対象液のみ凝固し、侵入防止液は液体のままとされる。これにより、凝固対象液が凝固して体積膨張することによる力を受け流すことでパターンに直接外力が伝わるのを防止し、パターンへのダメージを防止することができる。次に、凝固工程にて形成された凝固体に向けて凝固対象液の凝固点よりも低い温度で除去用気体を供給して凝固体を除去する。ここで凝固体の除去は昇華乾燥することで除去される。そして、昇華乾燥による除去工程時に凍結膜の除去と平行して侵入防止液が除去されることでパターンへのダメージを防止した乾燥が可能となる。
【0018】
また、第2の態様に係る基板処理方法では、凝固対象液供給工程は、侵入防止液が付着した基板に対し凝固対象液を供給し、パターン近傍以外の侵入防止液を除去することができる。即ち、基板上に凝固対象液を供給することのみにより、基板に付着した侵入防止液をパターン近傍にのみ残留させ、他の部分については凝固対象液の流れにより押し流して除去することができる。
【0019】
また、第3の態様に係る基板処理方法では、侵入防止液を凝固対象液に対し不溶性の物質とすることができる。よって、パターン近傍以外に存在する侵入防止液を凝固対象液で除去した後、凝固対象液を凝固するまでの間に、侵入防止液が凝固対象液に混合してパターン近傍に存在する侵入防止液の領域が縮小し、または凝固対象液と混合することによりその領域の凝固点が上昇することがない。従って、本来液体の状態を維持すべき領域が縮小し、またはその領域まで凝固することがなく、凝固対象液が凝固して体積膨張することによる外力からパターンを保護する。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、パターン近傍に残留した凝固対象液の凝固点と異なる凝固点を有する侵入防止液により、パターンにダメージを与えることなく、基板の昇華乾燥をすることができる。即ち、侵入防止液をパターン近傍に残留させて凝固対象液のみ凝固することで、凝固対象液が凝固して体積膨張することによって生ずる力を、液体の侵入防止液で受け流してパターンに直接外力が伝わるのを防止する。また、凝固体の除去工程において侵入防止液の除去も平行して行うので、これによりパターンへのダメージを防止した上で基板の乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る基板処理装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1のB1−B1線に沿った矢視断面図である。
【図3】図1の矢印B2から見た側面図である。
【図4】第一の実施の形態にかかる処理ユニットの全体構成を示す図である。
【図5】図4の処理ユニットにおける基板保持手段、排液捕集手段および雰囲気遮断手段の構成を示す図である。
【図6】図4の処理ユニットにおける凝固対象液供給手段の構成を示す図である。
【図7】図6における第一DIW供給部の構成を示す図である。
【図8】図4の処理ユニットにおける侵入防止液供給手段の構成を示す図である。
【図9】図8における侵入防止液供給部の構成を示す図である。
【図10】図4の処理ユニットにおける凝固手段の構成を示す図である。
【図11】図10における凝固用窒素ガス供給部の構成を示す図である。
【図12】図4の処理ユニットにおけるリンス手段および乾燥用気体供給手段の構成を示す図である。
【図13】第一実施形態の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】侵入防止液の状態を示す模式図で、同図(a)は侵入防止液供給工程終了後の状態を示し、同図(b)は凝固対象液供給工程終了後の状態を示す。
【図15】水、氷の蒸気圧曲線である。
【図16】侵入防止液除去工程における基板表面Wfの状態を示した模式図で、(a)は侵入防止液除去工程開始後の基板表面Wfの状態を示し、(b)は侵入防止液除去工程終了後の基板表面Wfの状態を示す。
【図17】除去工程および侵入防止液除去工程における基板表面Wfの状態を示した模式図で、(a)は除去工程開始後の基板表面Wfの状態を示し、(b)は侵入防止液除去工程開始後の基板表面Wfの状態を示し、(c)は侵入防止液除去工程終了後の基板表面Wfの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明において、基板とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板をいう。
【0023】
また、以下の説明においては、一方主面のみに回路パターン等(以下「パターン」と記載する)が形成されている基板を例として用いる。ここで、回路パターン等が形成されている主面を「表面」と称し、その反対側の回路パターン等が形成されていない主面を「裏面」と称する。また、下方に向けられた基板の面を「下面」と称し、上方に向けられた基板の面を「上面」と称する。尚、以下においては上面を表面として説明する。
【0024】
また、微細な凹凸形状からなるパターンの凸部が倒壊・剥離し、あるいは凹部の形状が変形する等の影響をまとめて、パターンへの「ダメージ」と称する。また、微小間隔を隔てた隣接する凸部の間や3次元の円筒形状の内部等を「パターン間隙」と称し、パターンの間隙とパターンの外縁の近傍を併せて「パターン近傍」と称する。ただし、パターン近傍にはパターンの凸部上面は含まれないものとする。また、パターン近傍以外の領域であって、パターンが形成されていない部分(例えば個別半導体同士の間の部分)を「パターン外領域」と称する。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、半導体ウェハの処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明する。尚、本発明は、半導体ウェハの処理に限らず、液晶表示器用のガラス基板などの各種の基板の処理にも適用することができる。
【0026】
<第一実施形態>
図1、図2および図3はこの発明にかかる基板処理装置9の概略構成を示す図である。図1は基板処理装置9の正面図であり、図2は図1の基板処理装置9のB1−B1線に沿った矢視断面図である。また、図3は図1の基板処理装置9を矢印B2側からみた側面図である。この装置は半導体基板等の基板W(以下、単に「基板W」と記載する)に付着しているパーティクル等の汚染物質(以下「パーティクル等」と記載する)を除去するための洗浄処理後の乾燥処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。
【0027】
尚、各図には方向関係を明確にするため、Z軸を鉛直方向とし、XY平面を水平面とする座標系を適宜付している。また、各座標系において、矢印の先端が向く方向を+(プラス)方向とし、逆の方向を−(マイナス)方向とする。
【0028】
基板処理装置9は、基板Wを例えば25枚収容したFOUP(Front Open Unified Pod)949を載置するオープナー94と、オープナー94上のFOUP949から未処理の基板Wを取り出し、また処理完了後の基板WをFOUP949内に収納するインデクサユニット93と、インデクサユニット93とセンターロボット96との間で基板Wの受け渡しを行うシャトル95と、基板Wをセンターロボット96でその内部に収容して洗浄を行う処理ユニット91と、処理ユニット91に供給される液体や気体の配管、開閉弁等を収容する流体ボックス92と、で構成される。
【0029】
まず、これらの平面的な配置について図2を用いて説明する。基板処理装置9の一端(図2において左端)には複数の(本実施形態においては3台の)オープナー94が配置される。オープナー94の図2における右側(+Y側)に隣接してインデクサユニット93が配置される。インデクサユニット93のX方向における中央付近であって、インデクサユニットの図2における右側(+Y側)に隣接してシャトル95が配置され、シャトル95の図2における右側(+Y側)に、シャトル95と+Y方向に並ぶようにセンターロボット96が配置される。このように、インデクサユニット93と、シャトル95およびセンターロボット96は、直交する二本のラインの配置をなしている。
【0030】
+Y方向に並ぶように配置されたシャトル95とセンターロボット96の図2における上側(−X側)と下側(+X側)には処理ユニット91と流体ボックス92が配置されている。即ち、シャトル95とセンターロボット96の図2における上側(−X側)または下側(+X側)に、インデクサユニット93の図2における右側(+Y側)に隣接して、流体ボックス92、処理ユニット91、処理ユニット91、流体ボックス92の順に配置されている。
【0031】
尚、インデクサユニット93の+X側(図2における下側)の側面には後述する制御ユニット97の操作部971が設置されている(図1参照)。
【0032】
次に、オープナー94について説明する。オープナー94はその上部にFOUP949を載置する載置面941と、FOUP949の正面(図1および図2におけるFOUP949の右側(+Y側)の面)に対向して配置され、FOUP949の正面にある蓋部(図示省略)を開閉する開閉機構943(図3参照)を有する。
【0033】
基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。これにより、後述するインデクサユニット93のインデクサロボット931が、FOUP949内の基板Wを搬出し、逆にFOUP949内に基板Wを搬入することが可能となる。
【0034】
次に、インデクサユニット93について説明する。インデクサユニット93には、FOUP949から処理工程前の基板Wを一枚ずつ取り出すとともに、処理工程後の基板WをFOUP949に一枚ずつ収容し、更に基板Wをシャトル95と受け渡しする、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド933を有するインデクサロボット931が備えられている。インデクサロボット931はX軸方向に水平移動自在であり、またZ軸方向に昇降移動自在であるとともに、Z軸周りに回転可能に構成されている。
【0035】
次に、シャトル95について説明する。シャトル95には、基板Wの図2における上側(−X側)および下側(+X側)の周縁部付近であって、インデクサロボット931のハンド933および後述するセンターロボット96のハンド961と干渉しない位置を保持する、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド951と、2組のハンド951をそれぞれ独立してY軸方向に水平移動する水平移動機構(図示せず)とを備える。
【0036】
シャトル95はインデクサロボット931とセンターロボット96双方との間で基板Wを受け渡し可能に構成されている。即ち、図示しない水平移動機構によりハンド951が図2における左側(−Y側)に移動した場合、インデクサロボット931のハンド951との間で基板Wの受け渡しが可能となり、また、ハンド951が図2における右側(+Y側)に移動した場合はセンターロボット96のハンド961との間で基板Wの受け渡しが可能となる。
【0037】
次に、センターロボット96について説明する。センターロボット96には、基板Wを1枚ずつ保持し、シャトル95または処理ユニット91との間で基板Wの受け渡しを行う、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド961と、鉛直方向(Z軸方向)に延設され、ハンド961の鉛直方向の移動の軸となる昇降軸963と、ハンド961を昇降移動させる昇降機構965と、ハンド961をZ軸周りに回転させる回転機構967が備えられている。センターロボット96はZ軸方向に昇降軸963に沿って昇降移動自在であるとともに、回転機構967によってハンドがZ軸周りに回転可能に構成されている。
【0038】
尚、処理ユニット91の後述する側壁であって、センターロボット96に対向する面には、センターロボット96のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出するための開口が設けられている。また、センターロボット96が処理ユニット91と基板Wの受け渡しを行わない場合に上記開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
【0039】
尚、図1に示すように処理ユニット91と流体ボックス92は上下2段に積み上げる構成とされている。従って、本実施形態における基板処理装置9には処理ユニット91および流体ボックス92はそれぞれ8台備えられている。
【0040】
次に、インデクサロボット931、シャトル95およびセンターロボット96による基板Wの搬送の手順について説明する。基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。インデクサロボット931はFOUP949の所定の位置から下側のハンド933により基板Wを1枚取り出す。その後、インデクサロボット931はシャトル95の前(図2におけるインデクサユニット93のX軸方向中央付近)に移動する。同時にシャトル95は下側のハンド951をインデクサユニット93の側(図2における左側(−Y側))へ移動する。
【0041】
シャトル95の前に移動したインデクサロボット931は下側のハンド933に保持した基板Wをシャトル95の下側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は下側のハンド951をセンターロボット96の側(図2における右側(+Y側))に移動する。また、センターロボット96がシャトル95にハンド961を向ける位置に移動する。
【0042】
その後、センターロボット96が下側のハンド961により、シャトル95の下側のハンド951に保持された基板Wを取り出し、8つある処理ユニット91のいずれかのシャッター911へハンド961を向けるように移動する。その後、シャッター911が解放され、センターロボット96が下側のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、処理ユニット91内での基板Wの乾燥処理が開始される。
【0043】
処理ユニット91内で処理が完了した基板Wは、センターロボット96の上側のハンド961で搬出され、その後は上記未処理の基板Wを搬送する場合とは逆にセンターロボット96の上側のハンド961、シャトル95の上側のハンド951、インデクサロボット931の上側のハンド933の順に移載され、最終的にFOUP949の所定の位置に収容される。
【0044】
次に、処理ユニット91の構成について図4を用いて説明する。図4は処理ユニット91の構成を示す模式図である。ここで、本実施形態における8つの処理ユニット91はそれぞれ同じ構成であるため、図2における矢印B3の示す処理ユニット91(図1において左下側の処理ユニット91)を代表として以下説明する。この処理ユニット91は基板Wの表面Wfをリンス処理後に続く乾燥処理を用いて基板Wを乾燥させる。なお、処理ユニット91のうち任意の1つを洗浄処理用のユニットとしてもよい。
【0045】
処理ユニット91は、表面にパターンが形成された基板Wを略水平に保持し、回転する基板保持手段11と、基板保持手段11をその内側に収容し、基板保持手段11及び基板Wからの飛散物等を受け止めて排気・排液する排液捕集手段21と、基板保持手段11に保持された基板Wの表面Wfに対向して配置され、基板表面Wfの上方の空間を外気から遮断する雰囲気遮断手段23と、を有する。
【0046】
また、処理ユニット91は、基板Wの表面Wfに形成されたパターン近傍に残留させるための侵入防止液を供給する侵入防止液供給手段31と、基板Wの表面に凝固対象液を供給する凝固対象液供給手段43と、基板Wの表面Wfの凝固対象液に対し低温の凝固用気体を供給して凝固する凝固手段35と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するリンス手段51と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給して基板表面Wfおよび基板裏面Wbを外気から遮断する乾燥用気体供給手段55と、後述する洗浄プログラムに基づいて基板処理装置9の各部の動作を制御する制御ユニット97と、を有する。そして、凝固手段35は、基板表面Wf上の凝固した凝固対象液に対し凝固用気体を昇華乾燥用の除去気体として供給して凝固体を除去する除去手段としても機能する。
【0047】
尚、本実施形態においては、侵入防止液としてHFEを、凝固対象液及びリンス液として脱イオン水(De Ionized Water:以下「DIW」と記載する)を、それぞれ用いる。また、本実施形態においては、凝固用気体、除去用気体及び乾燥用気体として窒素ガスを用いる。
【0048】
ここで、HFEとはハイドロフルオロエーテル(Hydrofluoroether)を主たる成分とする液体をいう。「HFE」として例えば住友スリーエム株式会社製の商品名ノベック(登録商標)シリーズのHFEを用いることができる。具体的には、HFEとして、例えば化学式:COCH、化学式:COC、化学式:C13OCH、化学式:CHF−CH(CH)O−CHF、化学式:CHFOCH(凝固点:−(マイナス)38℃(摂氏)以下)などを用いることができる。これらのHFEは希釈されていても良い。
【0049】
また、処理ユニット91は、中空の略角柱形状を有する側壁901と、側壁901に略水平に固設され、処理ユニット91内の空間を仕切る上側ベース部材902及び下側ベース部材903と、側壁901の内部であって上側ベース部材902の上方である上側空間905と、側壁901の内部であって、上側ベース部材902の下方であり、かつ下側ベース部材903の上方である処理空間904と、側壁901の内部であって下側ベース部材903の下方である下側空間906と、を有する。尚、本実施形態において側壁901は略角柱形状としたが、側壁の形状はそれに限定されず、略円柱形状やその他の形状としても良い。
【0050】
尚、側壁901の内センターロボット96に対向する側には、センターロボットが処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出可能な開口と、その開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
【0051】
上側ベース部材902は側壁901の上方(図4における上側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である上側空間905と処理空間904との間を仕切っている。上側ベース部材902の中央付近には、上側ベース部材902の下面から、処理ユニット91の上端に連通する雰囲気導入路907が設けられている。また、雰囲気導入路907の上端付近には、処理空間904へ清浄な雰囲気を供給するファンフィルタユニット908が設けられている。上側空間905内の雰囲気導入路907に設置されたファンフィルタユニット908は、処理ユニット91上方から雰囲気を取り込み、内蔵したHEPAフィルタ等により雰囲気中の微粒子等を捕集した上で、下方である処理空間904内へ清浄化された雰囲気を供給する。
【0052】
下側ベース部材903は側壁901の中程(図4における下側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である処理空間904と下側空間906との間を仕切っている。下側ベース部材903には複数の排気口909が設けられており、各排気口909は図示しない排気系統に接続され、処理空間904内の雰囲気を外部に排出している。
【0053】
ここで、処理空間904内は清浄な雰囲気が保たれており、基板Wの洗浄等が行われる空間である。また、上側空間905及び下側空間906は処理空間904内に設置される各部材を駆動するための駆動源等が配設される空間である。
【0054】
ファンフィルタユニット908を通して処理空間904内に供給された雰囲気は、処理空間904の上方から下方へ向かう流れとなり、最終的に排気口909から処理空間904の外に排出される。これにより、後述する基板Wを処理する各工程において発生する微細な液体の微粒子等を、処理空間904の中を上から下に向かって流れる気流により下向きに移動させて排気口909から排出する。よって、これら微粒子が基板Wや処理空間904内の各部材に付着することを防止できる。
【0055】
次に、基板保持手段11、排液捕集手段21および雰囲気遮断手段23の構成について図5を用いて説明する。図5は基板保持手段11、排液捕集手段21および雰囲気遮断手段23構成を示す模式図である。
【0056】
まず、基板保持手段11について説明する。基板保持手段11のベースユニット111は下側ベース部材903の上に固設されており、ベースユニット111の上方に、中心部に開口を有する円板状のスピンベース113が回転可能に略水平に支持されている。スピンベース113の下面中心には中心軸117の上端がネジなどの締結部品によって固定されている。また、スピンベース113の周縁付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個の基板保持部材115が立設されている。基板保持部材115は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース113の周縁に沿って等角度間隔で配置されている。各基板保持部材115のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。
【0057】
各基板保持部材115は公知のリンク機構や褶動部材等を介して基板保持部材駆動機構119内のエアシリンダに連結されている。尚、基板保持部材駆動機構119はスピンベース113の下側であってベースユニット111の内部に設置される。また、基板保持部材駆動機構119は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構119のエアシリンダが伸縮することで、各基板保持部材115は、その基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する「閉状態」と、その基板保持部が基板Wの外周端面から離れる「開状態」との間を切り替え可能に構成されている。尚、基板保持部材115の駆動源としてエアシリンダ以外に、モーターやソレノイド等の公知の駆動源を用いることも可能である。
【0058】
そして、スピンベース113に対して基板Wが受渡しされる際には、各基板保持部材115を開状態とし、基板Wに対して洗浄処理等を行う際には、各基板保持部材115を閉状態とする。各基板保持部材115を閉状態とすると、各基板保持部材115は基板Wの周縁部を把持して、基板Wがスピンベース113から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持されることとなる。これにより、基板Wは、その表面Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で保持される。なお、この実施形態では、基板Wの表面Wfに微細パターンが形成されており、表面Wfがパターン形成面となっている。
【0059】
また、基板保持手段11の中心軸117には、モーターを含む基板回転機構121の回転軸が連結されている。尚、基板回転機構121は下側ベース部材903の上であってベースユニット111の内部に設置される。また、基板回転機構121は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121が駆動されると、中心軸117に固定されたスピンベース113が回転中心軸A1を中心に回転する。
【0060】
尚、スピンベース113の上面から中心軸117を通して下側空間906に至るまで、後述する下側第一供給管及び下側第二供給管が挿通可能なように、連通した中空部が形成されている。
【0061】
次に、排液捕集手段21について説明する。基板保持手段11の周囲であって下側ベース部材903の上側に略円環状のカップ210が、基板保持手段11に保持されている基板Wの周囲を包囲するように設けられている。カップ210は基板保持手段11及び基板Wから飛散する液体などを捕集することが可能なように回転中心軸A1に対して略回転対称な形状を有している。尚、図中、カップ210については説明のため断面形状を示している。
【0062】
カップ210は互いに独立して昇降可能な内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215で構成される。図5に示すとおり、内構成部材211の上に中構成部材213及び外構成部材215が重ねられた構造を有する。内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215は、下側空間906に設けられた、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成されたガード昇降機構217にそれぞれ接続されている。また、ガード昇降機構217は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令によりガード昇降機構217が駆動されると、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215がそれぞれ独立に、又は複数の部材が同期して回転中心軸A1に沿って上下方向に移動する。
【0063】
内構成部材211には、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215それぞれで捕集された液体をそれぞれ別の経路で排液処理系へ導くための収集溝が3つ設けられている。それぞれの収集溝は回転中心軸A1を中心とする略同心円状に設けられ、各収集溝には図示しない排液処理系へと接続する配管がそれぞれ管路接続されている。
【0064】
カップ210は内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの上下方向の位置を組合せて使用する。例えば、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが下位置にあるホームポジション、内構成部材211及び中構成部材213が下位置であって外構成部材215のみ上位置にある外捕集位置、内構成部材211が下位置であって中構成部材213及び外構成部材215が上位置に有る中捕集位置、及び内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが上位置にある内捕集位置である。
【0065】
ホームポジションはセンターロボット96が基板Wを処理ユニット91内に搬入出する場合などにおいて取られる位置である。外捕集位置は外構成部材215で受け止めた液体を捕集して外側の収集溝に導く位置であり、中捕集位置は中構成部材213で受け止めた液体を中間の収集溝に導く位置であり、また、内捕集位置は内構成部材211で受け止めた液体を内側の収集溝に導く位置である。
【0066】
このような構成の排液捕集手段21を用いることにより、処理に使用される液体に応じて内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの位置を変更して分別捕集することが可能となり、それぞれの液体を分別し、対応する排液処理系に排出することで、液体の再利用や混合することが危険な複数の液体を分別して処理することが可能となる。
【0067】
次に、雰囲気遮断手段23について説明する。雰囲気遮断手段23の基板対向部材である遮断部材231は、中心部に開口を有する円板状に形成されている。遮断部材231の下面は、基板Wの表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材231は、その内部が中空であって略円筒形状を有する支持軸233の下方に回転可能に略水平に支持される。
【0068】
支持軸233の上端部は遮断部材231を回転する遮断部材回転機構235の下面に固設される。遮断部材回転機構235は、例えば中空モーター237及び中空軸239で構成される。中空軸239の一端(図5における上端)は中空モーター237の回転軸に連結されており、他端(図5における下端)は支持軸233の中を通して遮断部材231の上面に連結されている。また、遮断部材回転機構235は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材回転機構235が駆動されると、遮断部材231が支持軸233の中心を通る鉛直軸周りに回転される。遮断部材回転機構235は、基板保持手段11に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材231を回転させるように構成されている。
【0069】
尚、遮断部材回転機構235の上面から遮断部材231の中心部の開口にいたるまで、後述する上側第一供給管及び上側第二供給管が挿通可能なように、中空モーター237及び中空軸239の内部空間を含む連通した中空部が形成されている。
【0070】
遮断部材回転機構235の一側面(図5における左側面)にはアーム241の一端が接続され、アーム241の他端は上下軸243の図5における上端付近に接続されている。上下軸243は排液捕集手段21のカップ210の周方向外側であって、下側ベース部材903の上に固設された円筒形状のベース部材245に昇降可能に取り付けられる。上下軸243には、ベース部材245の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された遮断部材昇降機構247が接続されている。
【0071】
尚、遮断部材昇降機構247は下側空間906に設けられている。また、遮断部材昇降機構247は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材昇降機構247が駆動されると、遮断部材231がスピンベース113に近接し、逆に離間する。
【0072】
すなわち、制御ユニット97は、遮断部材昇降機構247の動作を制御して、処理ユニット91に対して基板Wを搬入出させる際には、遮断部材231を基板保持手段11の上方の離間位置に上昇させる一方、基板Wに対して後述するリンス処理や基板Wの乾燥等を行う際には、遮断部材231を基板保持手段11に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで下降させる。
【0073】
次に、凝固対象液供給手段43の構成について図6を用いて説明する。図6は凝固対象液供給手段43の構成を示す模式図である。基板Wの表面Wfに凝固対象液を供給するノズル411は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構413に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構413のベース部材415は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
【0074】
ベース部材415の下方には、旋回上下軸417が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材415は旋回上下軸417と、後述する上下駆動部421及び旋回駆動部419を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸417の下面にはアーム423の一端が結合されており、アーム423の他端にノズル411が取り付けられている。
【0075】
旋回上下軸417はベース部材415の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部421及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部419に接続されている。また、上下駆動部421及び旋回駆動部419は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部421及び旋回駆動部419は上側空間905に配設される。
【0076】
制御ユニット97からノズル駆動機構413への動作指令により上下駆動部421が駆動されると、旋回上下軸417が上下に移動し、アーム423に取り付けられているノズル411を上下に移動させる。また、制御ユニット97からノズル駆動機構413への動作指令により旋回駆動部419が駆動されると、旋回上下軸417が回転中心軸A4を中心に回転し、アーム423を旋回することで、アーム423に取り付けられたノズル411を揺動させる。
【0077】
ノズル411は配管449を介して第一DIW供給部433に管路接続されている。配管449には開閉弁437が介挿されており、開閉弁437は常時閉成とされている。また、開閉弁437は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から凝固対象液供給手段43への動作指令により開閉弁437が開成すると、第一DIW供給部433から凝固対象液が配管449を介してノズル411へ圧送される。尚、第一DIW供給部433は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0078】
図7に第一DIW供給部433の構成を示す。第一DIW供給部433は、DIWを貯留するDIWタンク441、DIWタンク441からDIWを圧送するポンプ443及びDIWの温度を調整する温度調整ユニット445で構成される。DIWタンク441に管路接続されたポンプ443はDIWを加圧して温度調整ユニット445に送出する。ポンプ443を介して温度調整ユニット445に供給されたDIWは、温度調整ユニット445において所定の温度に調整され、配管449を介してノズル411に供給される。
【0079】
ここで、温度調整ユニット445はペルチェ素子による温度調整装置や冷媒を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、第一DIW供給部433にDIWタンク441を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、第一DIW供給部433のポンプ443は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0080】
この、第一DIW供給部433、配管449、集合配管449、開閉弁437、ノズル411およびノズル駆動機構413が、凝固対象液供給手段43を構成する。
【0081】
次に、侵入防止液供給手段31の構成について図8を用いて説明する。図8は侵入防止液供給手段31の構成を示す模式図である。基板Wに侵入防止液を供給するノズル311は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構313に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構313のベース部材315は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
【0082】
ベース部材315の下方には、旋回上下軸317が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材315は旋回上下軸317と、後述する上下駆動部321及び旋回駆動部319を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸317の下面にはアーム323の一端が結合されており、アーム323の他端にノズル311が取り付けられている。
【0083】
旋回上下軸317はベース部材315の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部321及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部319に接続されている。また、上下駆動部321及び旋回駆動部319は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部321及び旋回駆動部319は上側空間905に配設される。
【0084】
制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により上下駆動部321が駆動されると、旋回上下軸317が上下に移動し、アーム323に取り付けられているノズル311を上下に移動させる。また、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により旋回駆動部319が駆動されると、旋回上下軸317が回転中心軸A2を中心に回転し、アーム323を旋回することで、アーム323に取り付けられたノズル311を揺動させる。
【0085】
ノズル311は配管335を介して、侵入防止液供給部333に管路接続されている。尚、侵入防止液供給部333は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0086】
図9に侵入防止液供給部333の構成を示す。侵入防止液供給部333は、侵入防止液を貯留する侵入防止液タンク341、侵入防止液タンク341からの侵入防止液を圧送するポンプ343及び侵入防止液の温度を調整する温度調整ユニット345で構成される。
【0087】
侵入防止液タンク341に管路接続されたポンプ343は、侵入防止液を加圧して配管335を通して送出する。配管335に介挿されたポンプ343が侵入防止液を送出する側に、配管336が更に管路接続され、侵入防止液が送出される経路が2つに分岐されている。配管335はノズル311に、他方の配管336は侵入防止液タンク341の中に、それぞれ管路接続されている。配管335には開閉弁337が、配管336には開閉弁338がそれぞれ介挿されており、開閉弁337は常時閉成、開閉弁338は常時開成とされている。
【0088】
また、開閉弁337、338は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により、開閉弁337が開成、開閉弁338が閉成すると、侵入防止液供給部333から所定の温度に調整された侵入防止液が配管335を介してノズル311に供給される。
【0089】
また、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により、開閉弁337が閉成、開閉弁338が開成すると、ポンプ343から送出された侵入防止液が配管336を通して再び侵入防止液タンク341に戻る。これにより、侵入防止液タンク341内の侵入防止液を撹拌し、侵入防止液タンク341内の侵入防止液の温度を均一にする。尚、ポンプ343は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0090】
侵入防止液タンク341には温度調整ユニット345が設けられており、温度調整ユニット345から延びる熱交換パイプ347は侵入防止液タンク341内の侵入防止液に浸漬されている。熱交換パイプ347の内部には水が循環されるようになっており、温度調整ユニット345により、熱交換パイプ347の内部を循環する水の温度が調整される。熱交換パイプ347の内部を流れる水は、侵入防止液タンク341内の侵入防止液と熱交換を行い、侵入防止液の温度を調節する。
【0091】
ここで、開閉弁337と338は開成と閉成の状態が互いに逆となるように構成される。即ち、ノズル311から基板表面Wfに侵入防止液を吐出する場合は開閉弁337が開成し時は開閉弁338が閉成する。これに対し、ノズル311から基板表面Wfに侵入防止液を吐出しない場合は開閉弁337が閉成し、時は開閉弁338が開成する。
【0092】
ノズル311から基板表面Wfに侵入防止液を吐出しない場合、侵入防止液タンク341からポンプ343により送出された侵入防止液は、配管336を通って再び侵入防止液タンク341に戻されることにより、侵入防止液タンク341内の侵入防止液を撹拌する。これにより、侵入防止液タンク341内の侵入防止液の温度を均一にすることができる。
【0093】
尚、侵入防止液の温度調整を行う方法は、上記した方法に限られず、侵入防止液タンク341の壁面自体を温度調整する方法や、熱交換パイプ347に替えてペルチェ素子のユニットを浸漬して温度調整する方法等、公知の温度調整方法を用いることができる。
【0094】
また、侵入防止液タンク341内の侵入防止液の温度を均一にする方法としては、上記した方法に限られず、別途循環用のポンプを設けて侵入防止液を循環する方法や、侵入防止液タンク341の中に撹拌用のプロペラを設ける方法等、公知の方法を用いることができる。
【0095】
次に、凝固手段35の構成について図10用いて説明する。図10は凝固手段35の構成を示す模式図である。基板Wに凝固用気体を供給するノズル351は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構353により、昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構353のベース部材355は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に伸びるように固設されている。
【0096】
ベース部材355の下方には、旋回上下軸357が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材355は旋回上下軸357と、後述する上下駆動部361及び旋回駆動部359を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸357はベース部材355に対して昇降可能及び回転可能に支持される。旋回上下軸357の下面にはアーム363の一端が結合されており、アーム363の他端にノズル351が取り付けられている。
【0097】
旋回上下軸357はベース部材355の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部361及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部359に接続されている。また、上下駆動部361及び旋回駆動部359は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部361及び旋回駆動部359は上側空間905に配設される。
【0098】
制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により上下駆動部361が駆動されると、旋回上下軸357が上下に移動し、アーム363に取り付けられているノズル351を上下に移動させる。また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により旋回駆動部359が駆動されると、旋回上下軸357が中心軸A3を中心に回転し、アーム363を旋回することで、アーム363に取り付けられたノズル351を揺動させる。
【0099】
ノズル351は配管375を介して凝固用窒素ガス供給部373と管路接続されている。また、凝固用窒素ガス供給部373は制御ユニット97に電気的に接続されている。この凝固用窒素ガス供給部373は、凝固対象液の凝固点より低い温度の窒素ガスを制御ユニット97からの動作指令により、配管375を介してノズル351に供給する。また、凝固用窒素ガス供給部373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0100】
図11に凝固用窒素ガス供給部373の構成を示す。凝固用窒素ガス供給部373は、液体窒素の冷熱を用いて窒素ガスを冷却するガス冷却ユニット611、液体窒素を貯蔵する液体窒素タンク613、液体窒素タンク613から液体窒素をガス冷却ユニット611へ供給するポンプ615、窒素ガスを貯蔵する窒素ガスタンク619、窒素ガスタンク619から窒素ガスをガス冷却ユニット611へ供給するポンプ621および窒素ガスタンク619からガス冷却ユニット611に供給される窒素ガスの流量を制御するマスフローコントローラ625で構成される。なお、窒素ガスタンク619中の窒素ガスはドライ状態で水蒸気等の水分を含んでいない気体である。
【0101】
ガス冷却ユニット611の容器627は内部に液体窒素を貯留する事ができるようタンク状になっており、液体窒素の温度(−(マイナス)195.8℃(摂氏))に耐えうる材料、例えば、ガラス、石英またはHDPE(高密度ポリエチレン:High Density Polyetylene)により形成されている。なお、容器627を断熱容器で覆う二重構造を採用してもよい。この場合、断熱容器は、外部の雰囲気と容器627との間での熱移動を抑制するために、断熱性の高い材料、例えば発泡性樹脂やPVC(ポリ塩化ビニル樹脂:Polyvinyl Chloride)などにより形成するのが好ましい。
【0102】
容器627は配管617を介して液体窒素タンク613に管路接続されており、配管617にはポンプ615が介挿されている。また、ポンプ615は制御ユニット97と電気的に接続されている。また、容器627内には液面センサ(図示省略)が設けられ、制御ユニット97と電気的に接続されている。制御ユニット97は、液面センサが検出した値に基づいてポンプ615の動作を制御することにより、容器627内に貯留される液体窒素の量を一定に保持する。
【0103】
また、容器627の内部には、ステンレス、銅などの金属管で形成されたコイル状の熱交換パイプ629がガス通送路として設けられ、容器627に貯留された液体窒素に浸漬されている。熱交換パイプ629の一方の端(図13において容器627の側壁上方から右に突出する側)は、配管623を介して窒素ガスタンク619に管路接続されており、配管623にはポンプ621が介挿され、ポンプ621と容器627の間にはマスフローコントローラ625が介挿されている。
【0104】
マスフローコントローラ625は制御ユニット97と電気的に接続されている。また、熱交換パイプ629の他方の端(図13において容器627の上方に突出する側)は、配管375を介してノズル351に管路接続されている。尚、ポンプ621は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0105】
制御ユニット97から凝固手段35への動作指令によりマスフローコントローラ625が所定の流量となるように開放されると、窒素ガスタンク619から窒素ガスがガス冷却ユニット611内の熱交換パイプ629に供給され、窒素ガスが熱交換パイプ629内を通過する間、容器627内に貯留された液体窒素の冷熱により冷却される。熱交換パイプ629内を通過するうちに冷却された窒素ガスは配管375を介してノズル351へと供給される。
【0106】
尚、熱交換パイプ629の他方の端(図11において容器627の上方に突出する側)と容器627の間に微小な空間が設けられており、容器627の内部の空間から排気管路631に至る連通した流通経路を形成している。容器627の内部に貯留された液体窒素は、熱交換パイプ629の中を流れる窒素ガスを冷却して気化し、気化した窒素ガスは、この流通経路を通り排気管路631を介して図示しない排気系統に排出される。
【0107】
尚、本実施形態においては凝固用気体として窒素ガスを用いたが、凝固用気体としては窒素ガスに限らず、乾燥空気、オゾンガス、アルゴンガス等の他の気体を使用することも可能である。また、凝固用気体を冷却する手段としては、液体窒素に限らず、液体ヘリウム等の低温の液体を使用することが可能であり、またペルチェ素子を用いて電気的に冷却することも可能である。
【0108】
また、凝固用窒素ガス供給部373に液体窒素タンク613及び窒素ガスタンク619を設けず、工場ユーティリティー側から液体窒素と窒素ガスを供給する構成とすることも可能である。尚、凝固用窒素ガス供給部373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0109】
なお、凝固手段35は、後述するように凝固工程に続く除去工程において継続してノズル351から基板Wに冷却された窒素ガスを吐出することで除去手段としても機能する。そして、凝固用気体は除去工程において除去用気体としても機能する。
【0110】
次に、リンス手段51および乾燥用気体供給手段55の構成について図12を用いて説明する。図12は、リンス手段51および乾燥用気体供給手段55の構成を示す模式図である。リンス手段51は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するものであり、乾燥用気体供給手段55は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給するものである。
【0111】
まず、基板表面Wf側の管路構成について説明する。前述の雰囲気遮断手段23の遮断部材回転機構235の上面から、遮断部材231の中心部の開口まで連通する中空部の内部に上側第一供給管271が挿通されるとともに、当該上側第一供給管271に上側第二供給管273が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この上側第一供給管271及び上側第二供給管273の下方端部は遮断部材231の開口に延設されており、上側第二供給管273の先端にノズル275が設けられている。
【0112】
次に、基板裏面Wb側の管路構成について説明する。前述の基板保持手段11のスピンベース113の上面から中心軸117を通って下側空間906に至る連通空間の内部に下側第一供給管281が挿通されるとともに、当該下側第一供給管281に下側第二供給管283が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この下側第一供給管281及び下側第二供給管283の上方端部はスピンベース113の開口に延設されており、下側第二供給管283の先端にノズル291が設けられている。
【0113】
次に、リンス手段51について説明する。リンス手段51はリンス液の供給源である第二DIW供給部513から基板表面Wfおよび基板裏面Wbにそれぞれリンス液としてDIWを供給する。図示しないDIWタンク、温度調整ユニット及びポンプを有する第二DIW供給部513に主配管515の一端が管路接続されている。主配管515の他端は、上側分岐配管517および下側分岐配管521に分岐し、上側分岐配管517は上側第二供給管273に、下側分岐配管521は下側第二供給管283にそれぞれ管路接続している。また、第二DIW供給部513のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0114】
次に、リンス手段51について説明する。リンス手段51はリンス液の供給源である第二DIW供給部513から基板表面Wfおよび基板裏面Wbにそれぞれリンス液としてDIWを供給する。図示しないDIWタンク、温度調整ユニット及びポンプを有する第二DIW供給部513に主配管515の一端が管路接続されている。主配管515の他端は、上側分岐配管517および下側分岐配管521に分岐し、上側分岐配管517は上側第二供給管273に、下側分岐配管521は下側第二供給管283にそれぞれ管路接続している。また、第二DIW供給部513のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0115】
なお、リンス液はDIWに限られるものではなく、純水や炭酸を溶かした炭酸水やDIWにイソプロピルアルコールを添加した混合液であってもよい。前処理の薬液等を除去しえるもので通常使用されるものが適用できる。
【0116】
下側分岐配管521には開閉弁523が介挿されている。なお、開閉弁523は常時閉成されている。開閉弁523は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97からリンス手段51への動作指令により開閉弁523が開成すると、第二DIW供給部513からリンス液が主配管515、下側分岐配管521と下側第二供給管283を通してノズル291から基板裏面Wbに供給される。
【0117】
この、第二DIW供給部513、主配管515、上側分岐配管517、下側分岐配管521、開閉弁519、開閉弁523、上側第二供給管273、下側第二供給管283、ノズル275及びノズル291がリンス手段51を構成する。尚、第二DIW供給部513は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0118】
次に、乾燥用気体供給手段55について説明する。乾燥用気体供給手段55は乾燥用気体の供給源である乾燥用窒素ガス供給部553から基板表面Wf及び基板裏面Wbにそれぞれ乾燥用窒素ガスを供給する。図示しない窒素ガスタンク及びポンプを有する乾燥用窒素ガス供給部553に主配管555の一端が管路接続されている。主配管555の他端は、上側分岐配管557および下側分岐配管561に分岐し、上側分岐配管557は上側第一供給管271に、下側分岐配管は下側第一供給管281にそれぞれ管路接続している。また、乾燥用窒素ガス供給部553のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0119】
上側分岐配管557にはマスフローコントローラ559が介挿されている。マスフローコントローラ559は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段55への動作指令によりマスフローコントローラ559が所定流量となるように開放されると、常温の窒素ガスが主配管555、上側分岐配管557と上側第一供給管271を介して基板表面Wfに供給される。
【0120】
下側分岐配管561にはマスフローコントローラ563が介挿されている。マスフローコントローラ563は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段55への動作指令によりマスフローコントローラ563が所定流量となるように開放されると、常温の窒素ガスが主配管555、下側分岐配管561と下側第一供給管281を介して基板裏面Wbに供給される。
【0121】
この、乾燥用窒素ガス供給部553、主配管555、上側分岐配管557、下側分岐配管561、マスフローコントローラ559、マスフローコントローラ563、上側第一供給管271及び下側第一供給管281が乾燥用気体供給手段55を構成する。尚、乾燥用窒素ガス供給部553は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0122】
制御ユニット97は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを有する。磁気ディスクには、基板Wに応じた乾燥(処理)条件が、乾燥プログラム(レシピとも呼ばれる)として予め格納されおり、CPUがその内容をRAMに読み出し、RAMに読み出された乾燥プログラムの内容に従ってCPUが基板処理装置9の各部を制御する。尚、制御ユニット97には乾燥プログラムの作成・変更や、複数の乾燥プログラムの中から所望のものを選択するために用いる操作部971(図1参照)が接続されている。
【0123】
次に、上記のように構成された基板処理装置9における乾燥処理動作について図13を参照して説明する。図13は基板処理装置9の全体の動作を示すフローチャートである。尚、以下の説明において特に断らない限り、雰囲気遮断手段23は、遮断部材231が対向位置にある場合、基板保持手段11の基板回転機構121がスピンベース113を回転する方向に略同じ回転数で遮断部材231を回転するものとする。
【0124】
まず、所定の基板Wに応じた乾燥プログラムが操作部971で選択され、実行指示される。その後、基板Wを処理ユニット91に搬入する準備として、制御ユニット97からの動作指令により以下の動作を行う。
【0125】
すなわち、雰囲気遮断手段23が遮断部材231の回転を停止し、基板保持手段11がスピンベース113の回転を停止する。雰囲気遮断手段23が遮断部材231を離間位置へ移動すると共に、基板保持手段11がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。また、排液捕集手段21がカップ210をホームポジションに位置決めする。スピンベース113が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、基板保持手段11が基板保持部材115開状態とする。
【0126】
また、侵入防止液供給手段31がノズル311を、凝固手段35がノズル351を、凝固対象液供給手段43がノズル411をそれぞれ退避位置(各ノズルがカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。更に、開閉弁337、437、519及び523が閉成し、開閉弁338が開成する。また、マスフローコントローラ559、563及び625が流量0(ゼロ)に設定される。
【0127】
基板Wを処理ユニット91に搬入する準備が完了した後、未処理の基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程(ステップS101)が行われる。即ち、インデクサロボット931がオープナー94上のFOUP949の所定の位置にある基板Wを下側のハンド933で取り出し、シャトル95の下側のハンド951に載置する。その後、シャトル95の下側のハンド951がセンターロボット96の側に移動され、センターロボット96がシャトル95の下側のハンド951上の基板Wを、下側のハンド961で取り上げる。
【0128】
その後、処理ユニット91のシャッター911が開かれ、センターロボット96が下側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを基板保持手段11の基板保持部材115の基板支持部の上に載置する。基板Wの処理ユニット91への搬入が終了すると、センターロボット96が下側のハンド961を縮めて処理ユニット91内の外に出すとともに、シャッター911が閉じられる。
【0129】
未処理の基板Wが処理ユニット91内に搬入され、基板保持部材115の基板支持部の上に載置されると、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構119が基板保持部材115を閉状態とする。この基板処理装置9では、基板表面Wfを上方に向けた状態で表面Wfがフッ酸等の薬液処理が施された基板Wが装置内に搬入され、基板保持手段11に保持される。
【0130】
基板搬入が完了すると、次に、リンス工程が行われる(ステップS102)。DIW吐出ノズル3を基板Wの回転中心A0の上方の回転中心位置へ移動させてリンス工程を実行する。制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指示により、遮断部材昇降機構247が遮断部材231を対向位置へ移動する。また、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、リンス工程の間維持する。尚、カップ210は内捕集位置のままとされる。
【0131】
リンス工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに供給されたリンス液が基板表面Wfおよび基板裏面Wbの全面に拡散可能であり、かつ基板表面Wfを拡散する流れにより、基板表面Wfに残留する薬液を除去可能なように300〜1000rpmとすることが好ましい。以下では、リンス工程における基板Wの回転数を800rpmとして説明する。
【0132】
遮断部材231が対向位置に位置決めされた後、制御ユニット97からリンス手段51への動作指示により、開閉弁519及び開閉弁523が開成する。
【0133】
これにより、第二DIW供給部513からリンス液が、主配管515、上側分岐配管517、上側第二供給管273を介してノズル275から基板表面Wfへ、また、主配管515、下側分岐配管521、下側第二供給管283を介してノズル291から基板裏面Wbへ供給される。基板表面Wf及び基板裏面Wbのそれぞれ中心付近に供給されたリンス液は、基板Wの回転による遠心力により、基板周縁方向に流動し、最終的には基板周縁部から基板W外へ飛散し、排液捕集手段21に捕集されて排液される。
【0134】
このリンス工程では、制御ユニット97はチャック回転機構22を駆動させてスピンチャック2とともに基板Wを例えば300rpmで回転させるとともに、ノズル275およびノズル291からDIWを例えば10秒間だけ基板表面Wfと裏面Wbに供給する。基板表面Wfに供給されたDIWには、基板Wの回転に伴う遠心力が作用し、基板Wの径方向外向きに均一に広げられて基板表面Wfに対するリンス処理が実行される。尚、リンス液は、先行する各工程において基板Wの裏面Wbの部分へ飛散したDIW等や、雰囲気の中に浮遊していたパーティクル等が基板Wに付着したものなどを除去する役割をも果たす。
【0135】
リンス工程終了後、制御ユニット97からリンス手段51への動作指令により、開閉弁519及び開閉弁523が閉成する。
【0136】
次に、基板表面Wfに対して、侵入防止液を供給する侵入防止液供給工程(ステップS103)が行われる。まず、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転を開始させ、侵入防止液供給工程の間維持する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が中捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
【0137】
侵入防止液供給工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された侵入防止液が基板表面Wfの全面に拡散可能なように300〜500rpmとすることが好ましい。以下では、侵入防止液供給工程における基板Wの回転数を300rpmとして説明する。
【0138】
また、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を基板表面Wfの中心上空へ位置決めする。ノズル311の位置決めが完了した後、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により、開閉弁337が開成すると共に開閉弁338が閉成する。これにより、侵入防止液供給部333から侵入防止液としてHFEが配管335を介してノズル311から基板表面Wfの中心付近に供給される。
【0139】
尚、侵入防止液は、基板Wを冷却し、後述する凝固工程において凝固対象液の凝固に要する時間を短縮するため、−(マイナス)10℃(摂氏)〜5℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、侵入防止液の温度を0.5℃(摂氏)であるとして説明する。HFEは、凝固点が−38〜−135℃の間にあり、本実施例では−38℃として使用しているので上記の範囲に温度調整されていても液体として供給される。
【0140】
基板表面Wfの中心付近に供給された侵入防止液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散する。この侵入防止液の流動に伴って、リンス液は除去されるとともに、DIWはHFEに対して不溶性なので基板表面Wfに形成されたパターンの間隙内部にまで侵入防止液が侵入するまで侵入防止液を供給する。その結果、基板表面WfのDIWはHFEによって置換される。
【0141】
基板表面Wfの全面に侵入防止液が拡散した後、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により、開閉弁337が閉成すると共に開閉弁338が開成する。また、制御ユニット97から侵入防止液供給手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0142】
次に、侵入防止液が付着している基板表面Wfに凝固対象液を供給する凝固対象液供給工程(ステップS104)が行われる。まず、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が外捕集位置に位置決めされる。尚、基板Wの回転は侵入防止液供給工程の際の回転数と同じ回転数が維持される。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
【0143】
また、制御ユニット97から凝固対象液供給手段43への動作指令により、ノズル駆動機構413がノズル411を基板表面Wfの中心上空へ位置決めする。ノズル411の位置決めが完了した後、制御ユニット97から凝固対象液供給手段43への動作指令により、開閉弁437が開成する。これにより、第一DIW供給部433から凝固対象液としてDIWが配管449を介してノズル411から基板表面Wfの中心付近に供給される。
【0144】
尚、凝固対象液は、後述する凝固工程において凝固に要する時間を短縮するため、また温度が高いゆえに凝固工程において凝固される前に蒸発してパターンを倒壊させることがないよう、0℃(摂氏)〜5℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、凝固対象液の温度を0.5℃(摂氏)であるとして説明する。
【0145】
基板表面Wfの中心付近に供給された凝固対象液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって基板表面Wfに付着した侵入防止液を排除しながら流動する。ただし、基板表面Wfに形成されたパターンは微細なものであり、DIWは表面張力が大きいので凝固対象液はパターン間隙内部を含むパターン近傍(以下「パターン近傍」と記載する)の微小領域には容易に侵入することができない。また、HFEはDIWに対し不溶性であるため、更に侵入し難くなる。従って、凝固対象液供給工程においては、基板表面Wfに形成されたパターン近傍に侵入防止液を残留させたまま、基板表面Wf上に凝固対象液の液層が形成される。
【0146】
ここで、凝固対象液供給工程における基板表面Wfの状態について図14(a)及び(b)を用いて説明する。図14(a)は侵入防止液供給工程終了後の基板表面Wfの状態を示した模式図であり、図14(b)は凝固対象液供給工程終了後の基板表面Wfの状態を示した模式図である。
【0147】
侵入防止液供給工程において、基板表面Wfに供給された侵入防止液983は、図14(a)に示すように、パターン981とパターン981の間隙及び一群の微細な凹凸形状からなるパターン981内の隣接する凸部の間であるパターン間隙内部にまで侵入する。
【0148】
その後、凝固対象液供給工程により基板表面Wf上に供給された凝固対象液985により、基板表面Wf上の侵入防止液983が押し流される。しかし、前述のとおり、パターン981の近傍には侵入防止液983が残留することとなるため、凝固対象液供給工程が終了した時点では、図14(b)に示すような状態となる。
【0149】
即ち、基板表面Wf上に形成されたパターン981の間隙内部及び最も外側の凸部の側壁近傍については侵入防止液983が残留し、その他の部分(パターンが形成されていない基板表面やパターンの凸部上面等)については凝固対象液985の液膜が形成されている。ここで、本実施形態における「パターン近傍」とは、図14(b)において符号987で示される侵入防止液983が残留する領域を示し、「パターン外領域」とは、図14(b)において符号989で示される侵入防止液983が凝固対象液985により除去され、凝固対象液985が基板表面Wfに接している領域を示す。
【0150】
そして、パターン近傍987とパターン外領域989との境界は、凝固対象液供給工程において供給される凝固対象液985を供給する時間やその流量、基板Wの回転数などにより決定され、これらの条件を変更することにより、パターン近傍987を広くしてパターン外領域989を狭くする、あるいは、パターン近傍987を狭くしてパターン外領域989を広くすることができる。これらの領域の広狭については、パターンの強度や洗浄したいパターン外領域989の範囲等に基づいて適宜決定される。
【0151】
図13に戻る。基板表面Wfに凝固対象液の液層が形成された後、制御ユニット97から凝固対象液供給手段43への動作指令により、開閉弁437が閉成する。また、制御ユニット97から凝固対象液供給手段43への動作指令により、ノズル駆動機構413がノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0152】
次に、基板表面Wfに形成された凝固対象液の液膜を凝固する凝固工程(ステップS105)が行われる。まず、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、凝固工程の間維持する。凝固工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに形成された凝固対象液の液膜を均一に凝固可能なように30〜100rpmの回転数で回転することが望ましい。以下では、凝固工程における基板Wの回転数を60rpmとして説明する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が内捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
【0153】
また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を基板表面Wfの中心上空へ位置決めする。ノズル353の位置決めが完了した後、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、凝固用窒素ガス供給部373から凝固対象液の凝固点(DIWの凝固点0℃(摂氏))より低い温度に調整された凝固用気体が配管375を介して、ノズル351から基板表面Wfの中心部付近に供給される。
【0154】
尚、凝固用気体の温度は、凝固対象液の温度をできるだけ低下させてパーティクル等の除去率を向上する為に可能な限り低いほうが好ましい。しかし、侵入防止液を液体のまま維持して凍結洗浄を行うためには、凝固対象液と侵入防止液の温度をHFEの凝固点(最も凝固点が高いもので、−(マイナス)38℃(摂氏))より低い温度に冷却しないようにしなければならない。
【0155】
ただし、後述するように、凝固用気体は、回転する基板Wの表面Wf上を、基板Wの中心付近上空から端部上空まで移動するノズル351から吐出され、基板W、基板表面Wf上の凝固対象液および侵入防止液を冷却するため、基板W上の単位面積当たりに供給される冷熱の量は限られている。また、液体および固体を気体で冷却する効率、および、雰囲気からの吸熱も考慮して−50℃〜−(マイナス)190℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、凝固用気体の温度を−(マイナス)190℃(摂氏)に調整するとして説明する。
【0156】
ノズル351から凝固用気体の吐出が開始された後、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を基板表面Wfの中心付近上空から基板表面Wfの周縁部付近上空へ旋回移動させる。このように、基板Wを回転させながらノズル351を基板表面Wfの中心付近上空から周縁部付近上空まで旋回移動させることで、基板表面Wf全面に凝固用気体を吹きつけることが可能となり、基板表面Wf全面について均一に凝固対象液の凝固体を形成することが可能となる。
【0157】
凝固対象液であるDIWは、凝固して氷となることにより体積が増加する(0℃(摂氏)の水が0度℃(摂氏)の氷になると、その体積はおよそ1.1倍に増加する)。従って、基板表面Wfとパーティクル等との間に侵入したDIWが凝固して膨張することにより、パーティクル等が基板表面Wfから微小距離だけ離間する。その結果、基板表面Wfとパーティクル等との間の付着力が低減され、さらにはパーティクル等が基板Wから脱離することとなる。また、基板表面Wfと平行な方向にも膨張することにより、基板に固着しているパーティクル等を剥離する。これにより、後述する除去工程により凝固対象液の凝固体が除去されるとともに、パーティクル等も併せて除去が容易とされる。
【0158】
尚、凝固対象液が凝固することによる体積の膨張は基板表面Wfの全面にわたって発生するが、パターン近傍については図14(b)に示すように侵入防止液が液体の状態で残留しているため、凝固対象液が凝固して体積が膨張することによる力の影響を受けず、パターンへのダメージが防止される。即ち、体積膨張による力は液体により受け流されることにより、パターン自体に直接作用しない。従って、凝固工程による更に微細となるパターン凸部の倒壊や剥離等のダメージが生じない。
【0159】
尚、ノズル351の旋回移動は、基板表面Wfの中心付近上空から基板表面Wfの周縁部付近上空へ1回移動するだけでなく、中心付近上空から周縁部付近上空への移動を複数回繰り返し行ってもよいし、中心付近上空から周縁部付近上空との間で往復運動させてもよい。
【0160】
次に、基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体を除去する除去工程(ステップS106)が行われる。まず、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を除去工程の間維持する。一方、凝固対象液が凝固した後、凝固用気体の温度は−190℃から−60℃に調整される。
【0161】
DIWが凝固して氷となった凍結膜の形成後も凝固用気体を基板表面Wfに継続して供給し続ける。すると、上記凍結膜は時間経過とともに昇華していく。これは、冷凍庫内の氷がどんどん小さくなっていく現象と同一である。すなわち、本実施形態ではガス冷却ユニット611により窒素ガス温度を調整して凝固用窒素ガス中の水蒸気が凝結し始める温度、つまり露点を−60℃程度としており、凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧は図15に示すように1Pa(7.5×10−3Torr)程度にまで低下している。
【0162】
これに対し、凍結膜の温度は凝固用窒素ガスの温度よりも高く、実測によれば−20℃程度となっている。これは、基板Wの裏面Wbが常温雰囲気に面しており、基板裏面Wdから基板表面Wfへの熱移動により凍結膜の温度低下が抑制されていることに起因すると考えられる。ただし、基板表面Wfには凝固用窒素ガスが継続して供給されているため、凍結膜が液相に変わることはなく、凝固用窒素ガスの温度Tg(本実施形態では−60℃)とDIWの凝固点との間の温度Ts(本実施形態では−20℃)となる。
【0163】
したがって、温度Tsでの凍結膜の蒸気圧(昇華圧)、例えば−20℃で約100Paに対し、凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧は上記したように1Pa程度と非常に低く、この蒸気圧差を埋めるように凍結膜の昇華蒸発が生じる。しかも本実施形態では、凝固用窒素ガスは継続して供給されているため、凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧が凍結膜の蒸気圧よりも低いという状況が維持されて昇華乾燥が進行していく。
【0164】
しかも、昇華により発生した水蒸気成分は凝固用窒素ガスの気流に乗って基板表面Wfから取り除かれるため、凍結膜から昇華して発生した水蒸気成分が液相や固相に戻り基板表面Wfに再付着するのを確実に防止することができる。このように、本実施形態では、大気圧雰囲気で凍結膜が液相を径由することなく気相に昇華されるとともに凝固用窒素ガスと一緒に基板表面Wfから除去されて基板Wが乾燥される。よって、凝固工程から継続して除去工程において供給される凝固用気体は除去工程において除去用気体しとして機能する。
【0165】
この昇華乾燥が進行することで次に侵入防止液除去工程(ステップS107)が行われる。ここで、侵入防止液除去工程における基板表面Wfの状態について図16(a)及び(b)を用いて説明する。図16(a)は侵入防止液除去工程開始後の基板表面Wfの状態を示した模式図であり、図16(b)は侵入防止液除去工程終了後の基板表面Wfの状態を示した模式図である。
【0166】
除去工程において、基板表面Wfの凍結膜985aは凝固用窒素ガスが継続して供給されその表面から昇華蒸発が生じる。その結果、図16(a)に示すように凍結膜985aの膜厚が薄くなり、パターン981の先端が露出する。同時に、パターン近傍987に残留する液体のHFEである侵入防止液983の液面が露出する。そのため、侵入防止液983の液面に凝固用窒素ガスが供給されることとなる。
【0167】
ここで、侵入防止液983も凍結膜985aと同様に、温度Tsでの侵入防止液983であるHFEの蒸気圧(昇華圧)は−20℃で約20kPaに対し、凝固用窒素ガス中のHFE蒸気の分圧は凝固用窒素ガスを乾燥状態気体としてHFE蒸気を含まないように生成すれば0Pa程度と非常に低く、この蒸気圧差を埋めるようにHFEの蒸発が生じる。このように、凍結膜985aの昇華乾燥と同時に平行して侵入防止液983の蒸発が発生することで凍結膜の昇華乾燥による除去と侵入防止液除去工程が開始される。
【0168】
そして、図16(b)に侵入防止液除去工程の終了時点を示すように、凍結膜985aの昇華乾燥の途中において侵入防止液983が全て蒸発される。即ち、パターン981は、凝固工程においては侵入防止液983によりダメージが防止される。
【0169】
更に、侵入防止液除去工程の終了後も凝固用気体を基板表面Wfに継続して供給し続ける。凍結膜985aが、大気圧雰囲気で液相を径由することなく気相に昇華されるとともに凝固用窒素ガスと一緒に基板表面Wfから全て除去されると除去工程が完了する。このように、本実施例では凝固手段35が除去工程と侵入防止液除去工程を行う除去手段としても機能し、凝固用気体は除去工程において除去用気体としても機能する。
【0170】
基板表面Wf全面について凝固対象液の凝固体が形成された後、基板表面Wfから凝固対象液の凝固体が除去された後、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、凝固用窒素ガス供給部373からの窒素ガスの供給が停止される。また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を退避位置(ノズル351がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0171】
次に、基板表面Wfの表面の雰囲気を置換する雰囲気置換工程が行われる(ステップS108)。制御ユニット97から乾燥用気体供給手段55への動作指令により、マスフローコントローラ559とマスフローコントローラ563が所定流量となるように開放される。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は対向位置のままとされ、カップ210は内捕集位置のままとされる。
【0172】
これにより、乾燥用窒素ガス供給部553からの常温の乾燥用窒素ガスが、主配管555、上側分岐配管557、上側第一供給管271を介して基板表面Wfへ、また、主配管555、下側分岐配管561、下側第一供給管281を介して基板裏面Wbへ供給される。乾燥用窒素ガスが、対向位置に位置決めされた遮断部材231の下面と基板表面Wfとの間の空間に充満し、また、スピンベース113の上面と基板裏面Wbとの間の空間に充満することにより、基板表面Wf及び基板裏面Wbと外気とが接触することを防止する。
【0173】
基板Wが外気から遮断された後、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、雰囲気置換工程の間維持する。雰囲気置換工程に於ける基板Wの回転数は、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに残留した凝固用窒素ガスを遠心力により基板Wの外に振り切ることが可能なように1500〜3000rpmとすることが好ましい。以下では、雰囲気置換工程における基板Wの回転数を2000rpmとして説明する。
【0174】
基板Wの雰囲気置換完了後、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段55への動作指令により、マスフローコントローラ559とマスフローコントローラ563が流量0(ゼロ)に設定される。また、制御ユニット97からの動作指令により基板回転機構121がスピンベース113の回転を停止する。また、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により、遮断部材回転機構235が遮断部材231の回転を停止する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210がホームポジションに位置決めされる。スピンベース113の回転が停止した後、制御ユニット97からの動作指令により基板回転機構121がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。更に、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材昇降機構247が遮断部材231を離間位置へ移動する。
【0175】
基板表面Wfから凍結膜985aが完全に除去されて除去工程が完了した時点では基板Wの温度はDIWの凝固点以下となっており、低温状態のまま基板Wを搬出すると、基板表面Wfに結露が発生してしまう。そこで、本実施形態では除去工程の完了後に結露防止の目的で雰囲気置換工程を実行している。
【0176】
この雰囲気置換工程では、ガス冷却ユニット611からの凝固用窒素ガスの供給が停止されるのと入れ替えに常温窒素ガスの供給が開始される。このように常温窒素ガスが基板表面Wfに供給されることで基板Wの温度が常温付近まで戻される。このため、基板Wに結露が発生するのを確実に防止することができる。
【0177】
最後に、基板Wを処理ユニット91から搬出する基板搬出工程が行われる(ステップS109)。基板保持手段11が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構119が基板保持部材115を開状態として基板支持部の上に載置する。
【0178】
その後、シャッター911が開放され、センターロボット96が上側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを処理ユニット91の外に搬出し、シャトル95の上側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は上側のハンド951をインデクサユニット93の側に移動する。そして、インデクサロボット931が上側のハンド933でシャトル95の上側のハンド951に保持されている基板Wを取り出し、FOUP949の所定の位置に搬入し、一連の処理が終了する。
【0179】
以上のように、本実施形態では、パターン近傍に侵入防止液が液体の状態で残留しているため、凝固対象液が凝固して体積が膨張することによる力が軽減され、パターンへのダメージが防止される。即ち、体積膨張による力は液体により受け流されることにより、パターン自体に直接作用しない。従って、パターン自体には力が加わらないため、パターン凸部の倒壊や剥離等のダメージが生じない。
【0180】
そして、凍結膜を構成するDIWの凝固点よりも低温の凝固用窒素ガスを基板表面Wfに供給して凍結膜が液相に戻るのを防止するとともに、凝固用窒素ガスの露点を凍結膜の温度よりも低く設定することで凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧を凍結膜の蒸気圧(昇華圧)よりも低下させて昇華乾燥を実行している。
【0181】
また、昇華乾燥により凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧は瞬間的に上昇するかも知れないが、フレッシュな凝固用窒素ガスを継続して基板表面Wfに供給しているため、凍結膜を覆う凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧は常に低くなり、昇華乾燥が進行していく。しかも、昇華により発生した水蒸気成分は凝固用窒素ガスの気流に乗って基板表面Wfから取り除かれるため、水蒸気成分が液相や固相に戻り基板表面Wfに再付着するのを確実に防止することができる。このように大気圧雰囲気で基板表面Wfに付着したリンス液(DIW)をHEFで置換後して良好に除去し、DIWの供給によってHFEをパターン近傍に残留された状態でDIWの凍結膜を形成し、凍結膜を昇華乾燥して基板Wを乾燥させることができる。そのため、侵入防止液によって凍結膜によるパターンへのダメージが防止される。そして、昇華乾燥による凍結膜の除去工程の間において侵入防止液の液面が露出するので同時に侵入防止液の蒸発による除去が行われる。
【0182】
尚、上記第一実施形態では、侵入防止液としてHFEを使用しているが、凝固対象液に対し不溶性で、かつ凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有している液体であれば他の液体を使用することも可能である。例えばo−キシレン(1,2−ジメチルベンゼン)(化学式:C10、凝固点:−(マイナス)25.2℃(摂氏))、m−キシレン(1,3−ジメチルベンゼン)(化学式:C10、凝固点:−(マイナス)48.9℃(摂氏))、トリクロロメタン(化学式:CHCl、凝固点:−(マイナス)63.5℃(摂氏))、テトラクロロエチレン(化学式:CCl=CCl、凝固点:−(マイナス)22.2℃(摂氏))等である。尚、これらの物質は希釈されていても良い。
【0183】
また、侵入防止液として、凝固対象液に対し可溶性で、かつ凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有している液体を使用することも可能である。例えば、イソプロピルアルコール(化学式:CO、凝固点:−(マイナス)90℃(摂氏))、エチルアルコール(化学式:COH、凝固点:−(マイナス)114℃(摂氏))、メチルアルコール(化学式:CHOH、凝固点:−(マイナス)98℃(摂氏))などである。尚、これらの物質は希釈されていてもよい。
【0184】
尚、侵入防止液として凝固対象液に対し可溶性の物質を使用する場合、凝固対象液供給工程に要する時間を短くして、パターン近傍から完全に除去されてしまう前に次工程である凝固工程に進み、凝固対象液を凝固すればよい。また、パターン近傍で凝固対象液と侵入防止液が混合した場合、凝固対象液の凝固点を降下させることになり、凝固工程を終了した後もパターン近傍の凝固対象液と侵入防止液との混合物が液体の状態を維持することになり、パターンへのダメージを防止することができる。
【0185】
また、侵入防止液として凝固対象液に対し可溶性のものを使用した場合、凝固対象液とリンス液が同じDIWの時にリンス工程後に侵入防止液による置換がスムーズに行われるため、処理時間が短くなり好ましい。
【0186】
更に、リンス工程の後に置換工程を介在し、置換工程の後に侵入防止液供給工程を行うようにしてもよい。基板表面Wfの中心付近に供給された置換液は、基板Wの回転に伴う遠心力により、基板表面Wfの中心から基板表面Wfの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散する。基板表面Wf上に拡散した置換液は、パターン近傍に残留するリンス液と置換し、あるいはリンス液と混合する。置換液または置換液とリンス液の混合物は侵入防止液と混合しやすいため、侵入防止液供給工程においてパターン近傍の置換液あるいはリンス液と置換液の混合液が侵入防止液により除去されることとなる。
【0187】
具体的には、上記第一実施形態では、侵入防止液としてリンス液と不溶性のHFEを使用した場合、リンス液の置換液としてIPAを用いてもよい。更に、リンス液対し可溶性であり、侵入防止液と置換可能、あるいは侵入防止液と混合し、リンス液と混合しやすくする物質であれば他の物質を使用することも可能である。例えば、エチルアルコールやメチルアルコールを使用することが可能である。尚、これらの液は希釈されていてもよい。
【0188】
更に、上記基板処理装置9はリンス工程の前に薬液処理工程を行う装置であってもよい。即ち、基板処理装置9内で薬液処理機構を具備するようにしてもよい。また、基板処理装置9にリンス工程が済んだ基板を搬入して上記処理を行うようにしてもよい。
【0189】
<第二実施形態>
更に、凝固用気体は乾燥状態気体として生成し供給するようにしてもよい。こうすることで凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧は0Pa程度にまで低下する。そして、凝固用窒素ガスの温度Tgを−20℃とする。したがって、凍結膜の蒸気圧(昇華圧)、−20℃で約100Paに対し、凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧は乾燥状態気体が水蒸気を含まないため上記したように0Pa程度と非常に低く、この蒸気圧差を埋めるように昇華蒸発が生じる。そして、凝固用窒素ガスは継続して供給されているため、凝固用窒素ガス中の水蒸気の分圧が凍結膜の蒸気圧よりも低いという状況が維持されて昇華乾燥が進行していく。
【0190】
この昇華乾燥が進行することで次に侵入防止液除去工程が行われる。除去工程において、基板表面Wfの凍結膜は凝固用窒素ガスが継続して供給さるその表面から昇華蒸発が生じる。その結果、侵入防止液の液面に凝固用窒素ガスが供給されることとなる。ここで、侵入防止液のHFEの蒸気圧(昇華圧)は、−20℃で約20kPaに対し、凝固用窒素ガス中のHFE蒸気の分圧は上記したように0Pa程度と非常に低く、この蒸気圧差を埋めるように蒸発が生じる。
【0191】
そして、第二実施例ではHFEの凝固点が−38℃に対して凝固用窒素ガスの温度Tgを−20℃としているので、侵入防止液除去工程においてHFEが凝固用窒素ガスに直接晒されることとなってもHFEが凝固することを防止することができる。即ち、乾燥状態気体の凝固用窒素ガスを使用することで、侵入防止液の凝固点よりも低く無い温度の凝固用窒素ガスを使用して昇華乾燥と侵入防止液の除去を行うことができる。
【0192】
<第三実施形態>
また、上記実施形態では、凝固対象液とリンス液を同じDIWとしているが、それぞれ別の液とすることも可能である。具体的には、上記実施形態においては、侵入防止液としてHFEを、凝固対象液及びリンス液としてDIWを用いたが、それに代えて、凝固対象液としてイソプロピルアルコール(Isopropyl alcohol、以下「IPA」と記載する)とDIWの混合液を用いてもよい。こうすることで除去工程をより短時間で行うことが可能となる。以下にその除去工程を詳細に説明する。
【0193】
除去工程および侵入防止液除去工程における基板表面Wfの状態について図17(a)乃至(c)を用いて説明する。図17(a)は除去工程開始後の基板表面Wfの状態を示した模式図であり、図17(b)は侵入防止液除去工程開始後の基板表面Wfの状態を示した模式図であり、図17(c)は侵入防止液除去工程終了後の基板表面Wfの状態を示した模式図である。
【0194】
凝固対象液供給工程においてDIWとIPAを5:2の比率(凝固点が−10℃の混合液)の混合液が供給され、パターン近傍に侵入防止液が残留した状態で凝固工程が行われる。その結果、凍結膜が形成されると、図17(a)に示すように凍結膜985bはDIWが氷となり、IPAは液体のままで形成される。IPAの凝固点は−90℃のため、凍結膜985bが−20℃となっても液体のままで粒状に分散した状態となる。
【0195】
なお、凝固対象液の混合比率は、混合液の凝固点が−20℃以上となるように設定されるように比率を設定すればよい。こうすることで、−20℃の凍結膜が生成されるように凝固工程を行う際には、凝固対象液においてDIWが凍結膜を形成することとなる。
【0196】
DIW成分が完全に氷になった後も、基板表面Wfの凍結膜985aは凝固用窒素ガスが継続して供給さるその表面から昇華蒸発が生じる。即ち、第一実施例と同様に除去工程が開始される。その結果、図17(b)に示すように凍結膜985bの膜厚が薄くなり、パターン981の先端が露出するとともに液体のIPAが蒸発される。同時に、パターン近傍987に残留する液体のHFEである侵入防止液983の液面が露出する。そのため、凍結膜985bは複数の空孔が形成されたポーラス状の表面を有するとともに、侵入防止液983の液面に凝固用窒素ガスが供給されることとなる。
【0197】
このように、IPAが凝固せずに、液体のまま分散残留していることで凍結膜985bの除去の過程でIPAが露出すると露出したIPAは蒸発して凍結膜985bに空孔を形成することとなる。よって、凍結膜985bの残留量が減って、以後の除去工程において凍結膜985bの除去時間を短縮することができる。更に、空孔を介して侵入防止液983の液面が一部露出すると、その露出面から侵入防止液除去工程も開始される。このように、凍結膜985bの昇華乾燥と同時に平行してIPAと侵入防止液983の蒸発が発生することで侵入防止液除去工程が開始される。また、パターン981上面のポーラス上の凍結膜985bはパターン間においてブリッジを形成するので、空孔から侵入防止液983が蒸発除去される際には、パターン補強の役目を行う。
【0198】
そして、図17(c)に侵入防止液除去工程の終了時点を示すように、凍結膜985bの昇華乾燥の途中において侵入防止液983が全て蒸発される。即ち、パターン981は、凝固工程においては侵入防止液983によりダメージが防止され、侵入防止液983の侵入防止液除去工程においては凍結膜985bによりパターンが補強された状態で侵入防止液983の蒸発による除去が行われ、侵入防止液983の蒸発による表面張力によりパターン981の倒壊等のダメージが防止される。
【0199】
更に、侵入防止液除去工程の終了後も凝固用気体を基板表面Wfに継続して供給し続ける。凍結膜985bが、大気圧雰囲気で液相を径由することなく気相に昇華されるとともにIPAも蒸発され、ともに凝固用窒素ガスと一緒に基板表面Wfから全て除去されると除去工程が完了する。このように、本実施例では凍結膜を凝固点の異なる二成分の液体で構成し、昇華乾燥時に凍結膜よりIPAを早く蒸発させることで凍結膜の昇華乾燥をより短時間で行うことができる。即ち、凍結膜の蒸気圧(昇華圧)、−20℃で約100Paに対し、IPAの蒸気圧は−20℃で約133Paと高いため、また、凝固用窒素ガス中に含まれるIPA蒸気量がゼロに近いためIPAは凍結膜より早く蒸発する。
【0200】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態では、基板表面Wfに凝固対象液としてDIWを供給しているが、凝固対象液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。また、DIWに窒素ガスを溶解した気体溶解液を使用することもできる。
【符号の説明】
【0201】
9 基板処理装置
11 基板保持手段
21 排液捕集手段
23 雰囲気遮断手段
31 侵入防止液供給手段
35 凝固手段
43 凝固対象液供給手段
51 リンス手段
55 乾燥用気体供給手段
91 処理ユニット
97 制御ユニット
313 ノズル駆動機構
331 侵入防止液供給手段
353 ノズル駆動機構
371 凝固用窒素ガス供給手段
413 ノズル駆動機構
553 乾燥用窒素ガス供給部
738 基板保持部材駆動機構
W 基板
Wb 基板裏面
Wf 基板表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板に対し、侵入防止液を供給する侵入防止液供給工程と、
侵入防止液が供給された前記基板に対し、凝固体を形成可能な凝固対象液を供給する凝固対象液供給工程と、
前記凝固対象液の凝固体を生成する凝固工程と、
を備え、
前記侵入防止液は、前記凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有する物質であり、前記パターン近傍に残留して前記凝固対象液が前記パターン近傍に侵入することを防止し、
前記凝固工程は、記基板を前記凝固対象液の凝固点以下かつ前記侵入防止液の凝固点以上に冷却する、
更に、前記凝固工程にて形成された凝固体に向けて前記凝固対象液の凝固点よりも低い温度で除去用気体を供給して前記侵入防止液を除去する除去工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記凝固対象液供給工程は、前記侵入防止液が付着した前記基板に対し、前記凝固対象液を供給し、前記パターン近傍以外の前記侵入防止液を除去する基板処理方法。
【請求項3】
請求項2記載の基板処理方法であって、
前記侵入防止液は、前記凝固対象液に対し不溶性の物質である基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−160682(P2012−160682A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21354(P2011−21354)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】