基板処理装置、基板処理方法、記録媒体およびソフトウエア
【課題】処理槽の上方に乾燥処理部を備えた処理装置において、乾燥処理部に薬液雰囲気が流入することを防止でき、さらに、乾燥処理部から処理ガスを確実に排気できる基板処理装置、基板処理方法、記録媒体およびソフトウエアを提供する。
【解決手段】基板処理装置1は基板Wを処理液によって処理する処理槽3と、処理槽3の上方に配置された乾燥処理部6と、処理槽3と乾燥処理部6との間で基板Wを移動させる移動機構8とを備えている。乾燥処理部6は、移動機構8によって基板Wが処理槽3内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とをとることができる。乾燥処理部6は制御部65によって外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とに切り換えられる。
【解決手段】基板処理装置1は基板Wを処理液によって処理する処理槽3と、処理槽3の上方に配置された乾燥処理部6と、処理槽3と乾燥処理部6との間で基板Wを移動させる移動機構8とを備えている。乾燥処理部6は、移動機構8によって基板Wが処理槽3内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とをとることができる。乾燥処理部6は制御部65によって外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とに切り換えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄処理等する基板処理装置、基板処理方法、記録媒体およびソフトウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)を洗浄する種々の洗浄装置が用いられている。例えば、ウェハの表面にポリシリコンの膜を形成した後、タングステンシリサイド等の膜を形成する前に行う洗浄処理の一例としては、希釈フッ酸(DHF)等の薬液を貯留した処理槽内にウェハを浸漬させて薬液処理した後、純水によってウェハをリンス処理し、その後、ウェハにイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気等を吹き付けて乾燥処理する工程が行われている。
【0003】
従来、このようなウェハの洗浄処理を行う装置として、薬液処理を行う処理槽の上方に、乾燥処理を行う乾燥処理部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。かかる装置においては、チャンバ上部に備えた蓋を開口させてウェハを搬入し、チャンバ内の乾燥処理部を通過させて処理槽内に下降させる。次に処理槽内において薬液処理、リンス処理を行った後、乾燥処理部内にウェハを引き上げながらウェハにIPA蒸気を供給して乾燥処理するようになっている。そして、ウェハを搬出する前にチャンバ内を窒素ガスによってパージした後、蓋を開いてウェハを搬出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3126858号
【0005】
しかしながら、従来の基板処理装置にあっては、乾燥処理部内の気流を制御することが難しく、処理槽の薬液雰囲気が乾燥処理部に上昇して、チャンバの内面に残留する問題があった。また、IPA蒸気がチャンバの内面に付着しやすいため、ウェハWに効率良く供給されず、IPA蒸気の使用量が増大する懸念や、IPA蒸気がチャンバの内面に残留する問題があった。さらに、薬液雰囲気やIPA蒸気がウェハの表面に残留することにより、ウェハの表面にウォーターマークが発生する問題や、洗浄処理後にウェハの表面に形成する膜が正常に形成されず、半導体デバイスに電気特性の異常が発生する原因となる問題があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、処理槽の上方に乾燥処理部を備えた処理装置において、乾燥処理部に薬液雰囲気が流入することを防止でき、さらに、乾燥処理部から処理ガスを確実に排気できる基板処理装置、基板処理方法、記録媒体およびソフトウエアを提供することにある。
【0007】
本発明は、基板を処理液によって処理する処理槽と、処理槽の上方に配置された乾燥処理部と、処理槽と乾燥処理部との間で基板を移動させる移動機構と、乾燥処理部に処理ガスを供給する処理ガス供給ラインと、乾燥処理部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、乾燥処理部から押し出された雰囲気を排気する第1の排気ラインと、乾燥処理部を強制的に排気する第2の排気ラインと、を備えることを特徴とする、基板処理装置である。
【0008】
本発明は、処理ガス供給ラインには、加熱された不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインが接続され、不活性ガス供給ラインは常温の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインからなることを特徴とする、基板処理装置である。
【0009】
本発明は、乾燥処理部には、第1の排気ラインが接続された基端部と、乾燥処理部内の先端部とを有する排気ノズルが設けられ、排気ノズルは、一列に並べて配置された複数の排気口を有し、排気ノズルの排気口は基端部側から先端部側に向かうに従いその開口面積が大きくなることを特徴とする、基板処理装置である。
【0010】
本発明は、乾燥処理部は移動機構によって基板が処理槽内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とを取る構造を有し、乾燥処理部は制御部により外気と連通する状態と外気と遮断した状態とに切り換えられることを特徴とする、基板処理装置である。
【0011】
本発明は、処理槽は、薬液とリンス液によって基板を処理する構造を有し、制御部は、処理槽内に薬液が存在するときは、乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたときは、乾燥処理部を外気と遮断した状態に切り換え、乾燥処理部における乾燥処理の間は乾燥処理部を外気と遮断した状態にするように制御することを特徴とする、基板処理装置である。
【0012】
本発明は、乾燥処理部には開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋と、蓋に設けられ、基板を開口から搬入出させる搬入出位置と、蓋と開口との間に隙間を形成する処理位置と、開口を閉じる閉塞位置とに蓋を移動させる蓋昇降機とを有し、蓋昇降機は制御部によって制御され、制御部は蓋を搬入出位置又は処理位置に移動させることにより、前記乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、蓋を閉塞位置に移動させることにより、乾燥処理部を外気と遮断した状態にする構成としたことを特徴とする、基板処理装置である。
【0013】
本発明は、乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋とを有し、蓋に通気口を形成するとともに、この通気口に通気口開閉部材を設け、この通気口開閉部材を制御部により制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0014】
本発明は、基板を処理液によって処理する処理槽と、処理槽の上方に配置された乾燥処理部と、処理槽と乾燥処理部との間で基板を移動させる移動機構とを備え、乾燥処理部は移動機構によって基板が処理槽内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とを取る構造を有し、乾燥処理部は制御部により外気と連通する状態と外気と遮断した状態とに乗り換えられるとに切り換える制御部を備えることを特徴とする、基板処理装置である。
【0015】
本発明は、処理槽は、薬液とリンス液によって基板を処理する構造を有し、制御部は、処理槽内に薬液が存在するときは、乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたときは、乾燥処理部を外気と遮断した状態に切り換え、乾燥処理部における乾燥処理の間は乾燥処理部を外気と遮断した状態にするように制御することを特徴とする、基板処理装置である。
【0016】
本発明は、乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋と、蓋に設けられ、基板を開口から搬入出させる搬入出位置と、蓋と開口との間に隙間を形成する処理位置と、開口を閉じる閉塞位置とに蓋を移動させる蓋昇降機とを有し、蓋昇降機は制御部によって制御され、制御部は蓋を搬入出位置又は処理位置に移動させることにより、前記乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、蓋を閉塞位置に移動させることにより、乾燥処理部を外気と遮断した状態にする構成としたことを特徴とする、基板処理装置である。
【0017】
本発明は、乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋とを有し、蓋に通気口を形成するとともに、この通気口に通気口開閉部材を設け、この通気口開閉部材を制御部により制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0018】
本発明は、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法である。
【0019】
本発明は、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法である。
【0020】
本発明は、前記薬液処理工程時の前記開口と蓋との間の距離は、基板を搬入するときの前記開口と蓋との間の距離より小さいことを特徴とする、基板処理方法である。
【0021】
本発明は、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部を薬液処理時より小さい排気量で排気するようにことを特徴とする、記載の基板処理方法である。
【0022】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体である。
【0023】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエアである。
【0024】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体である。
【0025】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエアである。
【0026】
本発明によれば、第2の排気ラインによって強制排気を行うことにより、乾燥処理部から薬液雰囲気や処理ガスを確実に排気させることができる。また、乾燥処理部を外気と連通させた状態にして、外気を流入させながら、第2の排気ラインによって強制排気を行うことにより、乾燥処理部内に気流を形成し、処理槽内の薬液雰囲気が乾燥処理部に上昇することを防止できる。さらに、乾燥処理部に不活性ガスを供給することによって、乾燥処理部内の雰囲気を効果的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による基板処理装置の構成を説明する説明図である。
【図2】処理槽のトラップの断面図である。
【図3】乾燥処理部の断面図である。
【図4】処理ガス供給ノズル、およびN2ガス供給ノズルの斜視図である。
【図5】排気ノズルの斜視図である。
【図6】ウェハガイドの斜視図である。
【図7】ウェハを搬入する前の基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図8】ウェハを搬入するときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図9】ウェハを薬液処理するときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図10】DHFを純水に置換した後の基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図11】ウェハを乾燥処理するときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図12】乾燥処理部をパージするときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図13】蓋に開口と蓋部材が設けられた基板処理装置において、ウェハを薬液処理するときの状態を説明する説明図である。
【図14】蓋にパイプと開閉弁が設けられた基板処理装置において、ウェハを薬液処理するときの状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、例えば50枚のウェハWを一括して洗浄するように構成された基板処理装置に基づいて説明する。図1に示すように、本発明にかかる基板処理装置1は、ウェハWの薬液処理とリンス処理を行う処理槽3と、処理槽3の上方に配置されたチャンバ5とを備えている。チャンバ5の内部は、ウェハWの乾燥処理を行う乾燥処理部6となっている。さらに、処理槽3と乾燥処理部6との間で50枚のウェハWを一括して移動させる移動機構としてのウェハガイド8を備えている。処理槽3及び乾燥処理部6において、50枚のウェハWは、表面を略垂直にした姿勢で前後方向(図1において手前から後方に向かう方向)に並べた状態で、ウェハガイド8によって保持されるようになっている。また、処理槽3と乾燥処理部6の間を開閉するシャッター10が設けられている。シャッター10は、処理槽3とチャンバ5の間に形成されたシャッター移動部11内で移動するようになっている。チャンバ5の上方には、クリーンエアをダウンフローさせるファンフィルターユニット(FFU)12が設けられている。また、処理槽3は、ボックス13内に収納されている。
【0029】
また、基板処理装置1には、処理槽3に例えば薬液としてのDHF及びリンス液としての純水(DIW)を処理液として供給するための処理液供給ライン20が備えられている。さらに、乾燥処理部6に例えばIPAとホットN2ガス(窒素ガス)からなるIPA蒸気を乾燥用の処理ガスとして供給する処理ガス供給ライン21が備えられている。処理ガス供給ライン21は、IPA蒸気を発生させるIPA蒸気発生部22に接続されており、IPA蒸気発生部22には、IPAを供給するIPA供給ライン23と、常温より高温に加熱されたホットN2ガスを不活性ガスとして供給する第1の不活性ガス供給ラインとしてのホットN2ガス供給ライン24とが接続されている。また、常温のN2ガスを不活性ガスとして乾燥処理部6に供給する第2の不活性ガス供給ラインとしてのN2ガス供給ライン25が設けられている。さらに、乾燥処理部6内から押し出された雰囲気を排気する第1の排気ライン26と、乾燥処理部6内を強制的に排気する第2の排気ライン27とが設けられている。
【0030】
処理槽3は、ウェハWを収納する内槽30と、内槽30の上部の開口を囲むように形成された中槽31と、中槽31の開口を囲むように形成された外槽32とを備えている。
【0031】
内槽30の上面開口は、シャッター移動部11の底部11aに形成された開口部11bの下方に配置されている。内槽30の下部には、処理液供給ライン20から供給された処理液を吐出する処理液供給ノズル35が設けられている。また、内槽30の下部には、内槽30から処理液を排液するための排液管36が接続されており、排液管36を通じてボックス13内に処理液を排液するようになっている。排液管36には、開閉弁37が介設されている。
【0032】
中槽31は、内槽30の上面開口からオーバーフローした処理液を受け止めるように構成されている。中槽31には、中槽31から処理液を排液するための排液管41が接続されている。排液管41は、トラップ42に接続されている。
【0033】
図2に示すように、トラップ42には、トラップ42から処理液を排液する排液管43が接続されており、排液管43を通じてボックス13内に処理液を排液するようになっている。トラップ42内において、排液管43の上流端は、排液管41の下流端より上方に突出して設けられている。排液管41からトラップ42内に排出された排液は、排液管43の上流端の高さまで貯留され、排液管43から排液されるようになっている。トラップ42内に貯留された排液の上方には気体が溜まっている。かかる構成においては、排液管41の下流端が常に排液に浸漬した状態になっており、排液管43内やボックス13内の雰囲気が排液管41内に流入することを防止できる。例えば、内槽30内にDHFを貯留してウェハWの薬液処理を行った後、内槽30内に純水を供給してウェハWのリンス処理を行う際、ボックス13内の排液から発生した薬液雰囲気が、排液管41を通じて処理槽3内に混入することを防止できる。
【0034】
図1に示すように、外槽32内には、常時純水が溜められていると共に、環状のシール板46が設けられている。シール板46の上縁は、外槽32の上方を覆うように配置されたシャッター移動部11の底部11aの下面に密着されており、シール板46の下縁は、外槽32内の純水に浸漬されている。このため、外槽32は、純水を利用したシール機能を有し、処理槽3内の雰囲気を外部に漏らさないようになっている。
【0035】
処理液供給ライン20は、フッ酸(HF)を供給するフッ酸供給路51と、純水を供給する純水供給路52とを備えている。内槽30内にDHFを供給するときは、純水供給路52から供給された純水を内槽30に貯留させた後、フッ酸供給路51からHFを供給して、内槽30内に所定濃度のDHFを生成するようになっている。内槽30の内部には、DHF中のHF濃度を測定するための濃度計53が設けられている。
【0036】
図3に示すように、チャンバ5は、チャンバ本体61と、チャンバ本体61の上面開口61aを開閉する蓋62によって構成されている。チャンバ本体61の下面開口61bは、シャッター移動部11の上面11cに形成された開口部11dと連通している。上面開口61aは、基板処理装置1外から乾燥処理部6内にウェハWを搬入出するための開口となっている。蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じた際には、上面開口61aと蓋62の間は、Oリング63によって密閉され、乾燥処理部6内の雰囲気が外部に漏れない構成となっている。
【0037】
蓋62の内面は、例えば上に向かって凹状に形成された断面略半円形の曲面状に形成されている。また、蓋62は、蓋62を昇降させる蓋昇降機64によって支持されている。さらに、蓋昇降機64の駆動を制御する制御部65が備えられている。この制御部65により蓋昇降機64の駆動を制御して、図3に示すように、ウェハWをチャンバ本体61内に搬入出させる際の搬入出位置P1と、蓋62の下縁とチャンバ本体61の上面開口61aとの間に隙間を形成する処理位置P2と、蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じる閉塞位置P3とに蓋62を移動させることができる。即ち、蓋62を搬入出位置P1又は処理位置P2に移動させることにより、乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、蓋62を閉塞位置P3に移動させることにより、乾燥処理部6を外気と遮断した状態にする構成となっている。蓋62を搬入出位置P1に配置したとき、上面開口61aの縁部と蓋62の下縁部との間には、ウェハWを搬入出させるために十分な間隙が形成される。蓋62を処理位置P2に配置したときの、上面開口61aの縁部と蓋62の下縁部との間の距離は、蓋62を搬入出位置P1に配置したときの上面開口61aの縁部と蓋62の下縁部との間の距離より小さい。
【0038】
例えば、薬液処理工程、又は、処理槽3内のDHFを純水に置換する工程等、処理槽3内にDHFが存在する間は、上面開口61aを開いて乾燥処理部6を外気と連通させる状態にする。この状態で第2の排気ライン27によって強制排気を行うと、FFU12から供給されるクリーンエアを外気として乾燥処理部6内に流入させて気流を形成することができる。これにより、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6に上昇することを防止できる。薬液処理工程の間、及び、処理槽3内のDHFを純水に置換する工程の間は、蓋62を処理位置P2に配置することが好ましい。一方、乾燥処理部6においてIPA蒸気によって乾燥処理を行う間は、上面開口61aを閉じ、乾燥処理部6を外気と遮断した状態に切り換えて、IPA蒸気が乾燥処理部6から漏れることを防止するようになっている。
【0039】
チャンバ本体61の内部には、処理ガス供給ライン21から供給されたIPA蒸気及びホットN2ガスを吐出する2本の処理ガス供給ノズル71、71が、チャンバ本体61の左右にそれぞれ設けられている。また、N2ガス供給ライン25から供給されたN2ガスを吐出するN2ガス供給ノズル72、72が、各処理ガス供給ノズル71、71の下方に設けられている。さらに、第1の排気ライン26及び第2の排気ライン27に接続された2本の排気ノズル73、73が、チャンバ本体61下部の左右にそれぞれ設けられている。
【0040】
図4に示すように、各処理ガス供給ノズル71、71には、IPA蒸気又はホットN2ガスを吐出する複数の吐出口81が前後方向(図4において左右方向)に一列に並べて設けられている。また、図3に示すように、各処理ガス供給ノズル71、71の吐出口81は、それぞれ吐出方向が上方に向かうように配置されており、IPA蒸気又はホットN2ガスが乾燥処理部6内のウェハWの表面に直接吐出されないようになっている。各処理ガス供給ノズル71、71の吐出口81から吐出されたIPA蒸気又はホットN2ガスは、ウェハWの左側又は右側を通過して、蓋62の内周面上部に向かって上昇する。そして、蓋62の上部中央において、左右の処理ガス供給ノズル71、71から供給されたIPA蒸気又はホットN2ガスが合流して下降し、ウェハW同士の間に流入して、ウェハWの表面に沿って流下するようになっている。
【0041】
図1に示すように、各処理ガス供給ノズル71、71には、処理ガス供給ライン21が接続されている。処理ガス供給ライン21は、IPA蒸気発生部22に接続されている。IPA蒸気発生部22には、IPAを供給するIPA供給ライン23と、ホットN2ガス供給ライン24とが接続されている。IPA供給ライン23には、開閉弁82が介設されている。また、ホットN2ガス供給ライン24には、開閉弁83と、流量コントローラ84が介設されており、ホットN2ガスの流量を変化させることができるようになっている。
【0042】
かかる構成においては、IPA供給ライン23から供給されたIPAと、ホットN2ガス供給ライン24から供給されたホットN2ガスとをIPA蒸気発生部22において混合させることにより、IPA蒸気が生成されるようになっている。生成されたIPA蒸気は、IPA蒸気発生部22から処理ガス供給ライン21を通過して各処理ガス供給ノズル71、71に供給され、各処理ガス供給ノズル71、71から吐出されて乾燥処理部6に導入される構成となっている。また、開閉弁82を閉じ、開閉弁83を開いた状態にすることで、IPA供給ライン23からIPAを供給せず、ホットN2ガス供給ライン24から供給されたホットN2ガスのみを、IPA蒸気発生部22、処理ガス供給ライン21、各処理ガス供給ノズル71、71を介して乾燥処理部6に導入することもできる。このように処理ガス供給ライン21内にホットN2ガスを通流させることにより、IPA蒸気を通過させる前に、処理ガス供給ライン21内の温度を昇温させることができる。
【0043】
図4に示すように、各N2ガス供給ノズル72、72には、処理ガス供給ノズル71と同様に、N2ガスを吐出する複数の吐出口85が、前後方向に並べて設けられている。また、図3に示すように、各N2ガス供給ノズル72、72の吐出口85は、それぞれ吐出方向が上方に向かうように配置されており、N2ガスが乾燥処理部6内のウェハWの表面に直接吐出されないようになっている。各N2ガス供給ノズル72、72の吐出口85から吐出されたN2ガスは、ウェハWの左側又は右側を通過して、蓋62の内周面上部に向かって上昇する。そして、蓋62の上部中央付近において、左右のN2ガス供給ノズル72、72から供給されたN2ガスが合流しながら下降し、ウェハW同士の間に流入して、ウェハWの表面に沿って流下するようになっている。
【0044】
図1に示すように、各N2ガス供給ノズル72、72には、N2ガス供給ライン25が接続されている。N2ガス供給ライン25には、開閉弁86が介設されている。
【0045】
図5に示すように、排気ノズル73の内部には、円筒状の排気路91が形成されている。排気路91の基端部91a側には第1の排気ライン26が接続され、第1の排気ライン26を介して第2の排気ライン27が接続されている。排気ノズル73の表面には、排気路91に連通する複数個、例えば5個の排気口92(92a〜92e)が、排気路91が向かう方向に沿ったスリット状に形成されている。排気口92a、92b、92c、92d、92eは、排気路91の基端部91a側から乾燥処理部6内部の先端部91b側に向かってこの順に一列に並べて設けられている。このように、各排気口92をスリット状に形成すると、排気が各排気口92に流入しやすく、排気が効率良く行われる。また、排気路91の基端部91a側から先端部91b側に向かうに従い、排気口92a〜92eの開口面積が大きくなるように形成されている。このようにすると、排気路91内で排気が第1の排気ライン26側に円滑に流れ、排気が効率良く行われるので、排気量を大幅に増加させることができる。図示の例では、各排気口92a〜92eにおける排気路91に沿った方向の長さは、排気路91の基端部91a側から先端部91b側に向かうに従い長くなるように形成されている。即ち、排気口92aの長さLa、排気口92bの長さLb、排気口92cの長さLc、排気口92dの長さLd、排気口92eの長さLeの順に長くなるように形成されている。図3に示すように、各排気ノズル73は、排気口92がチャンバ本体61の前後方向に向かって並ぶように配置されており、また、排気が排気口92に略水平方向に流入するように向けられている。
【0046】
図1に示すように、左右の排気ノズル73、73にそれぞれ接続された第1の排気ライン26、26の下流端は、ドレインボックス102に接続されている。ドレインボックス102には、ドレインボックス102から排気を行う排気管103が接続されている。排気管103は、工場の排気系105に接続されている。
【0047】
第2の排気ライン27、27は、左右の排気ノズル73、73にそれぞれ接続された第1の排気ライン26、26の途中にそれぞれ介設されている。各第2の排気ライン27、27には、それぞれ開閉弁118、118が介設されている。第2の排気ライン27、27は、開閉弁118、118の下流側において合流して、イジェクタ120に接続されている。イジェクタ120の下流側は、工場の排気系105に接続されている。
【0048】
開閉弁118、118を閉じた状態では、乾燥処理部6内にIPA蒸気、ホットN2ガス、又は常温のN2ガスが供給されることにより、乾燥処理部6内の雰囲気が排気ノズル73の排気口92に向かって押し出され、第1の排気ライン26によって排気されるようになっている。一方、開閉弁118、118を開いて、イジェクタ120を作動させると、各排気ノズル73、73、各第1の排気ライン26、26、各第2の排気ライン27、27を介して、乾燥処理部6内が強制排気されるようになっている。即ち、第2の排気ライン27によって強制排気を行うことにより、第1の排気ライン26のみで排気を行う場合よりも排気量を増加させることができる。
【0049】
ウェハガイド8は、上下方向に昇降自在に構成されている。図6に示すように、ウェハガイド8は、ガイド部131と、ガイド部131に水平姿勢で固着された4本の平行な保持部材132a、132b、132c、132dとを備えている。各保持部材132a〜132dには、ウェハWの周縁を保持する保持溝133が等間隔で50個形成されている。これにより、50枚のウェハWを等間隔で配列させた状態で保持する構成となっている。
【0050】
ウェハガイド8はさらにガイド部131から上方に延びる支持棒8aを有し、この支持棒8aは蓋62を貫通して延びるとともに支持棒8aと蓋62との間はエアグリップシール8bにより乾燥処理中は密封されている。そして支持棒8aが上下方向に移動することにより、ウェハWを処理槽3と乾燥処理部6との間で移動させることができる。
【0051】
図1に示すように、シャッター移動部11の底部11aには、チャンバ本体61の下面開口61bと連通した開口部11bが形成され、シャッター移動部11の上面11cには、チャンバ本体61の上面開口61aと連通した開口部11dが形成されている。シャッター10の上面には、シャッター移動部11の開口部11dの周囲に密着させるシール部135が設けられている。シャッター10は、図示しない駆動機構の駆動により、シャッター移動部11において、上下方向及び水平方向に移動自在に構成されており、開口部11bと開口部11dの間に移動して開口部11bを塞ぐ閉塞位置PS1(図1において実線)と、開口部11bと開口部11dの間から退避して、ウェハW及びウェハガイド8を処理槽3と乾燥処理部6との間で昇降可能にする待機位置PS2(図1において二点鎖線)とに移動することができる。閉塞位置PS1においては、シール部135が開口部11dの周囲に密着させられ、乾燥処理部6内の雰囲気とシャッター移動部11内の雰囲気を遮断することができるようになっている。
【0052】
シャッター10の待機位置PS2の下方において、シャッター移動部11の底部11aには、シャッター移動部11内から排液及び排気を行う排出路136が設けられている。シャッター10に付着してシャッター移動部11の底部11aに落下した液滴や、シャッター移動部11内のDHF雰囲気、IPA蒸気等は、排出路136を通じてシャッター移動部11から排出される。排出路136には、開閉弁137が介設されている。
【0053】
ボックス13には、排液路141と、排気路142が設けられている。内槽30の排液管36、中槽31の排液管43、シャッター移動部11の排出路136からの排液は、ボックス13内に排出され、排液路141を経由して工場の排液系に排液される。
【0054】
基板処理装置の各機能要素は、基板処理装置全体の動作を自動制御する制御コンピュータ65aに信号ラインを介して接続されている。ここで機能要素とは、蓋昇降機64、ウェハガイド8、シャッター移動部11、IPA蒸気発生部22、インジェクタ120等(これらのみには限定されない)の、所定のプロセス条件を実現するために動作する全ての要素を意味している。制御コンピュータ65aは、典型的には、実行するソフトウエアに依存して任意の機能を実現することができる汎用コンピュータである。
【0055】
制御コンピュータ65aは、中央演算装置(CPU)からなる制御部65と、制御部65に接続された入出力部65bと、入出力部65bに挿着され制御ソフトウエアを格納した記録媒体65cとを有する。制御ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータ65aは、基板処理装置の各機能要素を、所定のプロセスレシピにより定義された様々なプロセス条件(蓋の開度等)が実現されるように制御する。
【0056】
記録媒体65cは、制御コンピュータ65aに固定的に設けられるもの、或いは制御コンピュータ65aに設けられた読み取り装置に着脱自在に装着されて該読み取り装置により読み取り可能なものであってもよい。最も典型的な実施形態においては、記録媒体65cは、基板処理装置のメーカーのサービスマンによって制御ソフトウエアがインストールされたハードディスクドライブである。他の実施の形態においては、記録媒体65cは、制御ソフトウエアが書き込まれたCD−ROMまたはDVD−ROMのようなリムーバブルディスクであり、このようなリムーバブルディスクは制御コンピュータ65aに設けられた光学的読取装置により読み取られる。記録媒体65cは、RAM(random access memory)またはROM(read only memory)のいずれの形式のものであってもよく、また、記録媒体65cは、カセット式のROMのようなものであってもよい。要するに、コンピュータの技術分野において知られている任意のものを記録媒体65cとして用いることが可能である。なお、複数の基板処理装置が配置される工場においては、各基板処理装置の制御コンピュータ65aを統括的に制御する管理コンピュータに制御ソフトウエアが格納されていてもよい。この場合、各基板処理装置は通信回線を介して管理コンピュータにより操作され、所定のプロセスを実行する。
【0057】
次に、以上のように構成された基板処理装置1で行われる洗浄方法について説明する。
【0058】
先ず、ウェハWを基板処理装置1に搬入する前の待機状態においては、図7に示すように、蓋62を閉塞位置P3に配置し、シャッター10を閉塞位置PS1に配置しておく。また、ホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを少流量で供給し、IPA蒸気発生部22、処理ガス供給ライン21、各処理ガス供給ノズル71、71を介して乾燥処理部6に導入させる。そして、乾燥処理部6内の雰囲気を排気ノズル73、73を介して第1の排気ライン26に押し出すように排気する状態にしておく。また、処理槽3内に所定濃度のDHFを貯留させておく。ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば15L/min.程度が良い。
【0059】
ウェハWを基板処理装置1に搬入する際は、図8に示すように、蓋62を搬入出位置P1に移動させ、ウェハガイド8によって保持された例えば50枚のウェハWを、チャンバ本体61の上面開口61aからチャンバ本体61内に搬入する。さらに、シャッター10を待機位置PS2に移動させ、シャッター移動部11の開口部11bと開口部11dの間を開放させる。また、第2の排気ライン27、27に備えた開閉弁118、118を開いて、イジェクタ120を作動させる。即ち、各排気ノズル73、73、各第1の排気ライン26、26、各第2の排気ライン27、27を介して、乾燥処理部6内を強制排気させる。すると、FFU12からのダウンフローが乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。これにより、シャッター10を開いても、処理槽3内に貯留されたDHF雰囲気が、乾燥処理部6に上昇することを防止できる。従って、DHF雰囲気がチャンバ5の内面に付着したり、上面開口61aからチャンバ5の外部に漏れたりすることを防止できる。なお、各排気ノズル73、73の排気口92a〜92eは、強制排気を行って排気量を増加させてもスムーズに排気を吸い込むことができる。
【0060】
こうして、ウェハガイド8を乾燥処理部6から処理槽3の内槽30内に下降させ、内槽30に貯留されたDHFにウェハWを浸漬させ、薬液処理を行う。処理槽3においてウェハWの薬液処理を行う間は、図9に示すように、蓋62を処理位置P2に移動させ、蓋62の下縁とチャンバ本体61の上面開口61aとの間に隙間を形成する。また、ウェハWをチャンバ本体61に搬入するときと同様に、第2の排気ライン27に設けた開閉弁118、118を開き、イジェクタ120を作動させたままにして、第2の排気ライン27によって乾燥処理部6内を強制排気する。このようにすると、薬液処理を行う間も、外部雰囲気、即ち、FFU12からダウンフローされたクリーンエアが、蓋62と上面開口61aとの間の隙間から乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの気流が形成される。これにより、処理槽3内に貯留されたDHF雰囲気が、乾燥処理部6に上昇することを防止できる。従って、DHF雰囲気がチャンバ5の内面に付着したり、上面開口61aからチャンバ5の外部に漏れたりすることを防止できる。また、FFU12から供給されるクリーンエアを利用して乾燥処理部6内に気流を形成するので、経済的である。
【0061】
DHFによるウェハWの薬液処理が終了したら、ウェハWを内槽30内に配置したまま、処理液供給ノズル35から純水を供給し、内槽30内のDHFを純水に置換して、ウェハWを純水によりリンス処理する。内槽30からオーバーフローしたDHFや純水は、中槽31に受け止められ、排液管41によって排液される。
【0062】
内槽30内のDHFを純水に置換する間は、ウェハWの薬液処理を行う間と同様に、蓋62を処理位置P2に配置したまま、第2の排気ライン27による強制排気を継続し、乾燥処理部6内に上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうFFU12からのクリーンエアの気流を形成させる。これにより、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6に上昇することを防止する。その後、内槽30内のDHFが純水に置換され、処理槽3内からDHFが排出されたら、図10に示すように、蓋62を閉塞位置P3に移動させ、チャンバ本体61の上面開口61aを密閉する。なお、処理槽3内のDHFが純水に置換されたか否かは、濃度計53の濃度測定値によって判断することができる。濃度計53の濃度測定値によって、処理槽3内が完全に純水に置換されたことを確認後、蓋62を閉塞位置P3に移動させると良い。
【0063】
また、処理槽3内のDHFが純水に置換されたら、第2の排気ライン27に備えた開閉弁118、118を閉じて、第2の排気ライン27による強制排気を停止させる。即ち、ウェハWを基板処理装置1に搬入して処理槽3に移動させる間、薬液処理工程時及び処理槽3内のDHFを純水に置換する間の各排気量よりも小さい排気量で乾燥処理部6を排気する状態にする。さらに、ホットN2ガス供給ライン24、N2ガス供給ライン25から、それぞれホットN2ガス、常温のN2ガスを大流量で供給する。なお、濃度計53の濃度測定値によって、処理槽3内が完全に純水に置換されたことを確認後、第2の排気ライン27の開閉弁118、118を閉じ、ホットN2ガス供給ライン24の開閉弁83、N2ガス供給ライン25の開閉弁86を開くようにすると良い。ホットN2ガス、N2ガスは、それぞれ処理ガス供給ノズル71、71、N2ガス供給ノズル72、72から乾燥処理部6内に吐出され、蓋62の内面上部に向かって上昇した後、乾燥処理部6内を下降するように流れる。乾燥処理部6内の雰囲気は、各排気ノズル73、73の排気口92に押し出され、第1の排気ライン26によって排気される。こうして、乾燥処理部6にホットN2ガス、N2ガスを供給して、乾燥処理部6内の雰囲気を第1の排気ライン26に排出させることにより、乾燥処理部6内の雰囲気をN2ガス雰囲気に置換する。ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば100L/min.程度が良く、N2ガス供給ライン25から供給するN2ガスの流量は、例えば200L/min.程度が良い。なお、各排気ノズル73、73の排気口92a〜92eは、排気ノズル73の先端部側に向かうに従い開口面積が大きくなるように形成されているため、ホットN2ガス、N2ガスの供給量を増加させても、排気が排気口92a〜92eに効率良く押し出されるようになっている。
【0064】
また、ホットN2ガス供給ライン24から供給されたホットN2ガスは、IPA蒸気発生部22、処理ガス供給ライン21を介して処理ガス供給ノズル71、71に供給される。これにより、処理ガス供給ライン21がホットN2ガスによって昇温されるので、純水によるリンス処理後にIPA蒸気を供給する際、処理ガス供給ライン21内でIPA蒸気の温度が低下することを防止できる。さらに、ホットN2ガスによって乾燥処理部6内が昇温され、純水によるリンス処理後にIPA蒸気を供給する際、乾燥処理部6の内面にIPA蒸気が付着することを抑制できる。従って、IPA蒸気がウェハWに効率良く供給され、IPA蒸気の使用量を低減させることができる。
【0065】
なお、ウェハWをチャンバ本体61に搬入する間、ウェハWの薬液処理を行う間、及び、内槽30内のDHFを純水に置換する間は、開閉弁137を開き、排出路136によってシャッター移動部11内のDHF雰囲気が排気されるようにすると、FFU12からのクリーンエアが乾燥処理部6を通じてシャッター移動部11内にも流入し、シャッター移動部11内にDHF雰囲気が残留することを防止できる。その後、内槽30内のDHFが純水に置換され、処理槽3内からDHFが排出されたら、開閉弁137を閉じ、排出路136による排気を停止させても良い。この場合、濃度計53の濃度測定値によって、処理槽3内が完全に純水に置換されたことを確認後、開閉弁137を閉じるようにすると良い。
【0066】
純水によるウェハWのリンス処理が終了したら、ウェハガイド8を内槽30内から上昇させ、ウェハWを内槽30内から乾燥処理部6に移動させる。なお、ウェハWのリンス処理が終了したら、N2ガス供給ライン25からのN2ガスの供給は停止させ、ホットN2ガス供給ライン24からのホットN2ガスの供給は、ウェハWを移動させる間も継続して、処理ガス供給ライン21を温めるようにすることが好ましい。このときホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、少流量、例えば15L/min.
程度にすれば良く、温度は例えば250℃程度が好ましい。
【0067】
ウェハWを乾燥処理部6に移動させたら、図11に示すように、シャッター10を閉塞位置PS1に移動させ、エアグリップシール8bで支持棒8aと蓋62の間をシールし、乾燥処理部6を密閉する。蓋62は、引き続き閉塞位置P3に配置したままにしておく。そして、IPA供給ライン23からIPAを供給すると共にホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを供給して、IPA蒸気発生部22においてIPA蒸気を発生させ、処理ガス供給ライン21からIPA蒸気を供給する。IPA蒸気は、処理ガス供給ノズル71、71から乾燥処理部6内に吐出され、ウェハWの左側又は右側を通過して、蓋62の内周面上部に向かって上昇した後、各ウェハWの上部からウェハW同士の間に流入して、各ウェハWの表面に沿ってウェハWの下部まで流下する。そして、乾燥処理部6の下部において、各排気ノズル73、73の排気口92に押し出され、第1の排気ライン26によって排気される。こうして、乾燥処理部6内にIPA蒸気を供給して、ウェハWを乾燥処理する。なお、ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば100L/min.程度が良い。ホットN2ガスの温度は、例えば82℃〜110℃程度が好ましい。
【0068】
IPA蒸気によるウェハWの乾燥処理が終了したら、図12に示すように、IPA供給ライン23からのIPAの供給を停止させて処理ガス供給ライン21からのIPA蒸気の供給を停止させ、ホットN2ガス供給ライン24、N2ガス供給ライン25から、それぞれホットN2ガス、N2ガスを供給して、乾燥処理部6内をN2ガスでパージする。ホットN2ガス、N2ガスは、それぞれ処理ガス供給ノズル71、71、N2ガス供給ノズル72、72から乾燥処理部6内に吐出され、蓋62の内面上部に向かって上昇した後、乾燥処理部6内を下降するように流れる。乾燥処理部6内の雰囲気は、各排気ノズル73、73の排気口92に押し出され、第1の排気ライン26によって排気される。こうして、乾燥処理部6内にN2ガスを供給して、乾燥処理部6内のIPA蒸気を第1の排気ライン26に排出させ、乾燥処理部6内の雰囲気がN2ガス雰囲気に置換される。ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば100L/min.程度が良く、N2ガス供給ライン25から供給するN2ガスの流量は、例えば200L/min.程度が良い。
【0069】
乾燥処理部6内がN2ガスによってパージされたら、エアグリップシール8bのシールを解き、蓋62を搬入出位置P1に移動させ、ウェハガイド8をチャンバ本体61の上面開口61aから上昇させ、ウェハWを搬出する。こうして、基板処理装置1におけるウェハWの洗浄処理が終了する。
【0070】
かかる基板処理装置1によれば、第2の排気ライン27によって乾燥処理部6内を強制排気できる構成としたことにより、乾燥処理部6内の排気量を増加させることができる。さらに、処理槽3内にDHFが存在する間、上面開口61aを開口させて乾燥処理部6を外気と連通させた状態にすることにより、FFU12から供給されるクリーンエアを乾燥処理部6内に流入させ、気流を形成することができる。従って、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6に上昇することを防止できる。また、乾燥処理部6内に移動させたウェハWにDHF雰囲気が付着することを防止でき、ウェハの表面にウォーターマークが発生することを防止できる。従って、洗浄処理後、ウェハの表面に膜が良好に形成され、半導体デバイスに電気特性の異常が発生することを防止できる。
【0071】
また、ホットN2ガス供給ライン24とN2ガス供給ライン25によって、乾燥処理部6内にN2ガスを大流量で供給することで、IPA蒸気がチャンバ5の内面に残留することを防止できる。ウェハWにIPAが残留することを防止できる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施の形態の一例を示したが、本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば、基板処理装置1はDHFを薬液として供給し、純水をリンス液として供給し、IPA蒸気を乾燥用の処理ガスとして供給することとしたが、処理液、処理ガスの種類はかかるものに限定されない。また、基板処理装置1は、洗浄以外の他の処理を基板に対して施すものであっても良い。基板は半導体ウェハに限らず、LCD基板用ガラスやCD基板、プリント基板、セラミック基板などであっても良い。
【0073】
チャンバ5には、チャンバ5の内面を昇温させるためのヒータを装着しても良い。この場合、IPA蒸気によるウェハWの乾燥処理の際、ヒータによってチャンバ5の内面を昇温させることで、チャンバ5の内面にIPA蒸気が付着することを効果的に抑制できる。従って、IPA蒸気がウェハWに効率良く供給され、IPA蒸気の使用量を低減させることができる。また、チャンバ5の内面にIPA蒸気が残留することを防止できる。例えば、蓋62やチャンバ本体61の外面にラバーヒータを備えることにより、蓋62の内面やチャンバ本体61の内面を加熱できるようにしても良い。なお、チャンバ5の内面は、ウェハWよりも低温になるようにすることが好ましい。チャンバ5の内面を加熱するヒータの加熱温度は、例えば85℃程度が好ましい。
【0074】
本実施の形態では、処理槽3内に設けた濃度計53の測定値によって、処理槽3内のDHFが純水に置換されたことを確認する構成としたが、処理槽3内に比抵抗計を設け、比抵抗計の比抵抗値によって、処理槽3内が純水に置換されたことを確認する構成としても良い。
【0075】
本実施の形態では、IPA蒸気によるウェハWの乾燥処理後、乾燥処理部6内をN2ガスによってパージする際、第1の排気ライン26によって排気を行うこととしたが、第2の排気ライン27によって強制排気して、乾燥処理部6内を減圧するようにしても良い。この場合、乾燥処理部6内に残留したIPA蒸気が揮発しやすくなり、チャンバ5やウェハWの表面にIPA蒸気が残留することを防止できる。
【0076】
本実施の形態では、薬液処理工程時は乾燥処理部6を第2の排気ライン27によって強制的に排気し、処理槽3内の薬液がリンス液に置換されたら、第1の排気ライン26によって排気する状態に切り換えて薬液処理工程時より小さい排気量で排気することとしたが、第1の排気ライン26内が乾燥処理部6に対して十分に負圧になるように設定されており、乾燥処理部6内にクリーンエアを流入させ気流を形成するために必要な排気量を第1の排気ライン26のみで十分にとることができる場合は、強制排気を行わなくても良く、また、第2の排気ライン27を設けなくても良い。
【0077】
本実施の形態では、ウェハWを基板処理装置1に搬入する前から、純水によるリンス処理後にIPA蒸気を供給するまで、ホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを供給して、処理ガス供給ライン21をホットN2ガスによって温めることとしたが、ウェハWの薬液処理時は、ホットN2ガス供給ライン24からのホットN2ガスの供給を停止させても良い。
【0078】
本実施の形態では、乾燥処理部6内の雰囲気をN2ガス雰囲気に置換する際、ホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを供給し、かつ、N2ガス供給ライン25からN2ガスを供給しながら、乾燥処理部6を排気することとしたが、N2ガス供給ライン25を設けず、ホットN2ガス供給ライン24のみからホットN2ガスを供給するようにしても良い。
【0079】
本実施の形態では、ウェハWを乾燥処理部6に移動させて乾燥処理部6を密閉した後、乾燥処理部6にIPA蒸気を供給して乾燥処理することとしたが、ウェハWを処理槽3から乾燥処理部6に移動させながら、処理ガス供給ライン21からIPA蒸気を供給するようにしても良い。
【0080】
本実施の形態では、蓋62を処理位置P2に移動させることにより、乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、蓋62を閉塞位置P3に移動させることにより、乾燥処理部62を外気と遮断した状態にする構成としたが、乾燥処理部6を外気と連通した状態と遮断させた状態とを切り替える構成は、かかるものに限定されない。例えば、図13に示すように、蓋62に開口(通気口)150を形成し、開口150を開閉する蓋部材151を設け、蓋部材151を昇降移動させる蓋部材昇降機152を設けてもよい。また、蓋部材昇降機152の駆動を制御する制御部153を設けてもよい。即ち、蓋部材昇降機152によって蓋部材151を開口150から上昇させ開口150を開くことにより、乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、蓋部材昇降機152によって蓋部材151を下降させ、蓋部材151によって開口150を閉じることにより、乾燥処理部6を外気と遮断した状態にする構成となっている。この基板処理装置1においては、ウェハWを基板処理装置1に搬入する際は、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気させる。即ち、上面開口61aが開口して乾燥処理部6が外気と連通した状態になっており、FFU12からのダウンフローが上面開口61aから乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。ウェハWを搬入させたら、蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じる。そして、制御部153の制御により蓋部材昇降機152を駆動させ、蓋部材151を上昇させて、開口150を開く。薬液処理時、及び、処理槽3内のDHFを純水に置換する間は、開口150を開いたまま、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気する。これにより、FFU12からのダウンフローが開口150から乾燥処理部6に流入し、開口150から各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。内槽30内のDHFが純水に置換されたら、開口50を閉じる。このようにして、処理槽3内にDHFが存在する間、乾燥処理部6内に気流を形成し、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6内に上昇することを防止できる。
【0081】
また、例えば図14に示すように、蓋62にパイプ160を接続し、パイプ160に開閉弁161を設けた構成としても良い。図14において、パイプ160は、略鉛直に向けられた直管状に形成されている。また、パイプ160の下端を蓋62の上部の内面において開口させている。さらに、開閉弁161の開閉を制御する制御部163を設けてもよい。この基板処理装置1においては、開閉弁161を開くことにより、パイプ160を介して乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、開閉弁161を閉じることにより、乾燥処理部6を外気と遮断する状態にする構成となっている。ウェハWを基板処理装置1に搬入する際は、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気させる。これにより、FFU12からのダウンフローが上面開口61aから乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。ウェハWを搬入させたら、蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じる。そして、制御部163の制御により開閉弁161を開く。薬液処理時、及び、処理槽3内のDHFを純水に置換する間は、開閉弁161を開きながら、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気する。これにより、FFU12からのダウンフローがパイプ160を下降して乾燥処理部6に流入し、パイプ160から各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。処理槽3内のDHFが純水に置換されたら、開閉弁161を閉じる。このようにして、処理槽3内にDHFが存在する間、乾燥処理部6内に気流を形成し、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6内に上昇することを防止できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄処理等する基板処理装置、基板処理方法、記録媒体およびソフトウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)を洗浄する種々の洗浄装置が用いられている。例えば、ウェハの表面にポリシリコンの膜を形成した後、タングステンシリサイド等の膜を形成する前に行う洗浄処理の一例としては、希釈フッ酸(DHF)等の薬液を貯留した処理槽内にウェハを浸漬させて薬液処理した後、純水によってウェハをリンス処理し、その後、ウェハにイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気等を吹き付けて乾燥処理する工程が行われている。
【0003】
従来、このようなウェハの洗浄処理を行う装置として、薬液処理を行う処理槽の上方に、乾燥処理を行う乾燥処理部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。かかる装置においては、チャンバ上部に備えた蓋を開口させてウェハを搬入し、チャンバ内の乾燥処理部を通過させて処理槽内に下降させる。次に処理槽内において薬液処理、リンス処理を行った後、乾燥処理部内にウェハを引き上げながらウェハにIPA蒸気を供給して乾燥処理するようになっている。そして、ウェハを搬出する前にチャンバ内を窒素ガスによってパージした後、蓋を開いてウェハを搬出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3126858号
【0005】
しかしながら、従来の基板処理装置にあっては、乾燥処理部内の気流を制御することが難しく、処理槽の薬液雰囲気が乾燥処理部に上昇して、チャンバの内面に残留する問題があった。また、IPA蒸気がチャンバの内面に付着しやすいため、ウェハWに効率良く供給されず、IPA蒸気の使用量が増大する懸念や、IPA蒸気がチャンバの内面に残留する問題があった。さらに、薬液雰囲気やIPA蒸気がウェハの表面に残留することにより、ウェハの表面にウォーターマークが発生する問題や、洗浄処理後にウェハの表面に形成する膜が正常に形成されず、半導体デバイスに電気特性の異常が発生する原因となる問題があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、処理槽の上方に乾燥処理部を備えた処理装置において、乾燥処理部に薬液雰囲気が流入することを防止でき、さらに、乾燥処理部から処理ガスを確実に排気できる基板処理装置、基板処理方法、記録媒体およびソフトウエアを提供することにある。
【0007】
本発明は、基板を処理液によって処理する処理槽と、処理槽の上方に配置された乾燥処理部と、処理槽と乾燥処理部との間で基板を移動させる移動機構と、乾燥処理部に処理ガスを供給する処理ガス供給ラインと、乾燥処理部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、乾燥処理部から押し出された雰囲気を排気する第1の排気ラインと、乾燥処理部を強制的に排気する第2の排気ラインと、を備えることを特徴とする、基板処理装置である。
【0008】
本発明は、処理ガス供給ラインには、加熱された不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインが接続され、不活性ガス供給ラインは常温の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインからなることを特徴とする、基板処理装置である。
【0009】
本発明は、乾燥処理部には、第1の排気ラインが接続された基端部と、乾燥処理部内の先端部とを有する排気ノズルが設けられ、排気ノズルは、一列に並べて配置された複数の排気口を有し、排気ノズルの排気口は基端部側から先端部側に向かうに従いその開口面積が大きくなることを特徴とする、基板処理装置である。
【0010】
本発明は、乾燥処理部は移動機構によって基板が処理槽内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とを取る構造を有し、乾燥処理部は制御部により外気と連通する状態と外気と遮断した状態とに切り換えられることを特徴とする、基板処理装置である。
【0011】
本発明は、処理槽は、薬液とリンス液によって基板を処理する構造を有し、制御部は、処理槽内に薬液が存在するときは、乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたときは、乾燥処理部を外気と遮断した状態に切り換え、乾燥処理部における乾燥処理の間は乾燥処理部を外気と遮断した状態にするように制御することを特徴とする、基板処理装置である。
【0012】
本発明は、乾燥処理部には開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋と、蓋に設けられ、基板を開口から搬入出させる搬入出位置と、蓋と開口との間に隙間を形成する処理位置と、開口を閉じる閉塞位置とに蓋を移動させる蓋昇降機とを有し、蓋昇降機は制御部によって制御され、制御部は蓋を搬入出位置又は処理位置に移動させることにより、前記乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、蓋を閉塞位置に移動させることにより、乾燥処理部を外気と遮断した状態にする構成としたことを特徴とする、基板処理装置である。
【0013】
本発明は、乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋とを有し、蓋に通気口を形成するとともに、この通気口に通気口開閉部材を設け、この通気口開閉部材を制御部により制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0014】
本発明は、基板を処理液によって処理する処理槽と、処理槽の上方に配置された乾燥処理部と、処理槽と乾燥処理部との間で基板を移動させる移動機構とを備え、乾燥処理部は移動機構によって基板が処理槽内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とを取る構造を有し、乾燥処理部は制御部により外気と連通する状態と外気と遮断した状態とに乗り換えられるとに切り換える制御部を備えることを特徴とする、基板処理装置である。
【0015】
本発明は、処理槽は、薬液とリンス液によって基板を処理する構造を有し、制御部は、処理槽内に薬液が存在するときは、乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたときは、乾燥処理部を外気と遮断した状態に切り換え、乾燥処理部における乾燥処理の間は乾燥処理部を外気と遮断した状態にするように制御することを特徴とする、基板処理装置である。
【0016】
本発明は、乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋と、蓋に設けられ、基板を開口から搬入出させる搬入出位置と、蓋と開口との間に隙間を形成する処理位置と、開口を閉じる閉塞位置とに蓋を移動させる蓋昇降機とを有し、蓋昇降機は制御部によって制御され、制御部は蓋を搬入出位置又は処理位置に移動させることにより、前記乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、蓋を閉塞位置に移動させることにより、乾燥処理部を外気と遮断した状態にする構成としたことを特徴とする、基板処理装置である。
【0017】
本発明は、乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋とを有し、蓋に通気口を形成するとともに、この通気口に通気口開閉部材を設け、この通気口開閉部材を制御部により制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0018】
本発明は、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法である。
【0019】
本発明は、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法である。
【0020】
本発明は、前記薬液処理工程時の前記開口と蓋との間の距離は、基板を搬入するときの前記開口と蓋との間の距離より小さいことを特徴とする、基板処理方法である。
【0021】
本発明は、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部を薬液処理時より小さい排気量で排気するようにことを特徴とする、記載の基板処理方法である。
【0022】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体である。
【0023】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエアである。
【0024】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体である。
【0025】
本発明は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、基板制御方法が、基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエアである。
【0026】
本発明によれば、第2の排気ラインによって強制排気を行うことにより、乾燥処理部から薬液雰囲気や処理ガスを確実に排気させることができる。また、乾燥処理部を外気と連通させた状態にして、外気を流入させながら、第2の排気ラインによって強制排気を行うことにより、乾燥処理部内に気流を形成し、処理槽内の薬液雰囲気が乾燥処理部に上昇することを防止できる。さらに、乾燥処理部に不活性ガスを供給することによって、乾燥処理部内の雰囲気を効果的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による基板処理装置の構成を説明する説明図である。
【図2】処理槽のトラップの断面図である。
【図3】乾燥処理部の断面図である。
【図4】処理ガス供給ノズル、およびN2ガス供給ノズルの斜視図である。
【図5】排気ノズルの斜視図である。
【図6】ウェハガイドの斜視図である。
【図7】ウェハを搬入する前の基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図8】ウェハを搬入するときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図9】ウェハを薬液処理するときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図10】DHFを純水に置換した後の基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図11】ウェハを乾燥処理するときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図12】乾燥処理部をパージするときの基板処理装置の状態を説明する説明図である。
【図13】蓋に開口と蓋部材が設けられた基板処理装置において、ウェハを薬液処理するときの状態を説明する説明図である。
【図14】蓋にパイプと開閉弁が設けられた基板処理装置において、ウェハを薬液処理するときの状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、例えば50枚のウェハWを一括して洗浄するように構成された基板処理装置に基づいて説明する。図1に示すように、本発明にかかる基板処理装置1は、ウェハWの薬液処理とリンス処理を行う処理槽3と、処理槽3の上方に配置されたチャンバ5とを備えている。チャンバ5の内部は、ウェハWの乾燥処理を行う乾燥処理部6となっている。さらに、処理槽3と乾燥処理部6との間で50枚のウェハWを一括して移動させる移動機構としてのウェハガイド8を備えている。処理槽3及び乾燥処理部6において、50枚のウェハWは、表面を略垂直にした姿勢で前後方向(図1において手前から後方に向かう方向)に並べた状態で、ウェハガイド8によって保持されるようになっている。また、処理槽3と乾燥処理部6の間を開閉するシャッター10が設けられている。シャッター10は、処理槽3とチャンバ5の間に形成されたシャッター移動部11内で移動するようになっている。チャンバ5の上方には、クリーンエアをダウンフローさせるファンフィルターユニット(FFU)12が設けられている。また、処理槽3は、ボックス13内に収納されている。
【0029】
また、基板処理装置1には、処理槽3に例えば薬液としてのDHF及びリンス液としての純水(DIW)を処理液として供給するための処理液供給ライン20が備えられている。さらに、乾燥処理部6に例えばIPAとホットN2ガス(窒素ガス)からなるIPA蒸気を乾燥用の処理ガスとして供給する処理ガス供給ライン21が備えられている。処理ガス供給ライン21は、IPA蒸気を発生させるIPA蒸気発生部22に接続されており、IPA蒸気発生部22には、IPAを供給するIPA供給ライン23と、常温より高温に加熱されたホットN2ガスを不活性ガスとして供給する第1の不活性ガス供給ラインとしてのホットN2ガス供給ライン24とが接続されている。また、常温のN2ガスを不活性ガスとして乾燥処理部6に供給する第2の不活性ガス供給ラインとしてのN2ガス供給ライン25が設けられている。さらに、乾燥処理部6内から押し出された雰囲気を排気する第1の排気ライン26と、乾燥処理部6内を強制的に排気する第2の排気ライン27とが設けられている。
【0030】
処理槽3は、ウェハWを収納する内槽30と、内槽30の上部の開口を囲むように形成された中槽31と、中槽31の開口を囲むように形成された外槽32とを備えている。
【0031】
内槽30の上面開口は、シャッター移動部11の底部11aに形成された開口部11bの下方に配置されている。内槽30の下部には、処理液供給ライン20から供給された処理液を吐出する処理液供給ノズル35が設けられている。また、内槽30の下部には、内槽30から処理液を排液するための排液管36が接続されており、排液管36を通じてボックス13内に処理液を排液するようになっている。排液管36には、開閉弁37が介設されている。
【0032】
中槽31は、内槽30の上面開口からオーバーフローした処理液を受け止めるように構成されている。中槽31には、中槽31から処理液を排液するための排液管41が接続されている。排液管41は、トラップ42に接続されている。
【0033】
図2に示すように、トラップ42には、トラップ42から処理液を排液する排液管43が接続されており、排液管43を通じてボックス13内に処理液を排液するようになっている。トラップ42内において、排液管43の上流端は、排液管41の下流端より上方に突出して設けられている。排液管41からトラップ42内に排出された排液は、排液管43の上流端の高さまで貯留され、排液管43から排液されるようになっている。トラップ42内に貯留された排液の上方には気体が溜まっている。かかる構成においては、排液管41の下流端が常に排液に浸漬した状態になっており、排液管43内やボックス13内の雰囲気が排液管41内に流入することを防止できる。例えば、内槽30内にDHFを貯留してウェハWの薬液処理を行った後、内槽30内に純水を供給してウェハWのリンス処理を行う際、ボックス13内の排液から発生した薬液雰囲気が、排液管41を通じて処理槽3内に混入することを防止できる。
【0034】
図1に示すように、外槽32内には、常時純水が溜められていると共に、環状のシール板46が設けられている。シール板46の上縁は、外槽32の上方を覆うように配置されたシャッター移動部11の底部11aの下面に密着されており、シール板46の下縁は、外槽32内の純水に浸漬されている。このため、外槽32は、純水を利用したシール機能を有し、処理槽3内の雰囲気を外部に漏らさないようになっている。
【0035】
処理液供給ライン20は、フッ酸(HF)を供給するフッ酸供給路51と、純水を供給する純水供給路52とを備えている。内槽30内にDHFを供給するときは、純水供給路52から供給された純水を内槽30に貯留させた後、フッ酸供給路51からHFを供給して、内槽30内に所定濃度のDHFを生成するようになっている。内槽30の内部には、DHF中のHF濃度を測定するための濃度計53が設けられている。
【0036】
図3に示すように、チャンバ5は、チャンバ本体61と、チャンバ本体61の上面開口61aを開閉する蓋62によって構成されている。チャンバ本体61の下面開口61bは、シャッター移動部11の上面11cに形成された開口部11dと連通している。上面開口61aは、基板処理装置1外から乾燥処理部6内にウェハWを搬入出するための開口となっている。蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じた際には、上面開口61aと蓋62の間は、Oリング63によって密閉され、乾燥処理部6内の雰囲気が外部に漏れない構成となっている。
【0037】
蓋62の内面は、例えば上に向かって凹状に形成された断面略半円形の曲面状に形成されている。また、蓋62は、蓋62を昇降させる蓋昇降機64によって支持されている。さらに、蓋昇降機64の駆動を制御する制御部65が備えられている。この制御部65により蓋昇降機64の駆動を制御して、図3に示すように、ウェハWをチャンバ本体61内に搬入出させる際の搬入出位置P1と、蓋62の下縁とチャンバ本体61の上面開口61aとの間に隙間を形成する処理位置P2と、蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じる閉塞位置P3とに蓋62を移動させることができる。即ち、蓋62を搬入出位置P1又は処理位置P2に移動させることにより、乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、蓋62を閉塞位置P3に移動させることにより、乾燥処理部6を外気と遮断した状態にする構成となっている。蓋62を搬入出位置P1に配置したとき、上面開口61aの縁部と蓋62の下縁部との間には、ウェハWを搬入出させるために十分な間隙が形成される。蓋62を処理位置P2に配置したときの、上面開口61aの縁部と蓋62の下縁部との間の距離は、蓋62を搬入出位置P1に配置したときの上面開口61aの縁部と蓋62の下縁部との間の距離より小さい。
【0038】
例えば、薬液処理工程、又は、処理槽3内のDHFを純水に置換する工程等、処理槽3内にDHFが存在する間は、上面開口61aを開いて乾燥処理部6を外気と連通させる状態にする。この状態で第2の排気ライン27によって強制排気を行うと、FFU12から供給されるクリーンエアを外気として乾燥処理部6内に流入させて気流を形成することができる。これにより、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6に上昇することを防止できる。薬液処理工程の間、及び、処理槽3内のDHFを純水に置換する工程の間は、蓋62を処理位置P2に配置することが好ましい。一方、乾燥処理部6においてIPA蒸気によって乾燥処理を行う間は、上面開口61aを閉じ、乾燥処理部6を外気と遮断した状態に切り換えて、IPA蒸気が乾燥処理部6から漏れることを防止するようになっている。
【0039】
チャンバ本体61の内部には、処理ガス供給ライン21から供給されたIPA蒸気及びホットN2ガスを吐出する2本の処理ガス供給ノズル71、71が、チャンバ本体61の左右にそれぞれ設けられている。また、N2ガス供給ライン25から供給されたN2ガスを吐出するN2ガス供給ノズル72、72が、各処理ガス供給ノズル71、71の下方に設けられている。さらに、第1の排気ライン26及び第2の排気ライン27に接続された2本の排気ノズル73、73が、チャンバ本体61下部の左右にそれぞれ設けられている。
【0040】
図4に示すように、各処理ガス供給ノズル71、71には、IPA蒸気又はホットN2ガスを吐出する複数の吐出口81が前後方向(図4において左右方向)に一列に並べて設けられている。また、図3に示すように、各処理ガス供給ノズル71、71の吐出口81は、それぞれ吐出方向が上方に向かうように配置されており、IPA蒸気又はホットN2ガスが乾燥処理部6内のウェハWの表面に直接吐出されないようになっている。各処理ガス供給ノズル71、71の吐出口81から吐出されたIPA蒸気又はホットN2ガスは、ウェハWの左側又は右側を通過して、蓋62の内周面上部に向かって上昇する。そして、蓋62の上部中央において、左右の処理ガス供給ノズル71、71から供給されたIPA蒸気又はホットN2ガスが合流して下降し、ウェハW同士の間に流入して、ウェハWの表面に沿って流下するようになっている。
【0041】
図1に示すように、各処理ガス供給ノズル71、71には、処理ガス供給ライン21が接続されている。処理ガス供給ライン21は、IPA蒸気発生部22に接続されている。IPA蒸気発生部22には、IPAを供給するIPA供給ライン23と、ホットN2ガス供給ライン24とが接続されている。IPA供給ライン23には、開閉弁82が介設されている。また、ホットN2ガス供給ライン24には、開閉弁83と、流量コントローラ84が介設されており、ホットN2ガスの流量を変化させることができるようになっている。
【0042】
かかる構成においては、IPA供給ライン23から供給されたIPAと、ホットN2ガス供給ライン24から供給されたホットN2ガスとをIPA蒸気発生部22において混合させることにより、IPA蒸気が生成されるようになっている。生成されたIPA蒸気は、IPA蒸気発生部22から処理ガス供給ライン21を通過して各処理ガス供給ノズル71、71に供給され、各処理ガス供給ノズル71、71から吐出されて乾燥処理部6に導入される構成となっている。また、開閉弁82を閉じ、開閉弁83を開いた状態にすることで、IPA供給ライン23からIPAを供給せず、ホットN2ガス供給ライン24から供給されたホットN2ガスのみを、IPA蒸気発生部22、処理ガス供給ライン21、各処理ガス供給ノズル71、71を介して乾燥処理部6に導入することもできる。このように処理ガス供給ライン21内にホットN2ガスを通流させることにより、IPA蒸気を通過させる前に、処理ガス供給ライン21内の温度を昇温させることができる。
【0043】
図4に示すように、各N2ガス供給ノズル72、72には、処理ガス供給ノズル71と同様に、N2ガスを吐出する複数の吐出口85が、前後方向に並べて設けられている。また、図3に示すように、各N2ガス供給ノズル72、72の吐出口85は、それぞれ吐出方向が上方に向かうように配置されており、N2ガスが乾燥処理部6内のウェハWの表面に直接吐出されないようになっている。各N2ガス供給ノズル72、72の吐出口85から吐出されたN2ガスは、ウェハWの左側又は右側を通過して、蓋62の内周面上部に向かって上昇する。そして、蓋62の上部中央付近において、左右のN2ガス供給ノズル72、72から供給されたN2ガスが合流しながら下降し、ウェハW同士の間に流入して、ウェハWの表面に沿って流下するようになっている。
【0044】
図1に示すように、各N2ガス供給ノズル72、72には、N2ガス供給ライン25が接続されている。N2ガス供給ライン25には、開閉弁86が介設されている。
【0045】
図5に示すように、排気ノズル73の内部には、円筒状の排気路91が形成されている。排気路91の基端部91a側には第1の排気ライン26が接続され、第1の排気ライン26を介して第2の排気ライン27が接続されている。排気ノズル73の表面には、排気路91に連通する複数個、例えば5個の排気口92(92a〜92e)が、排気路91が向かう方向に沿ったスリット状に形成されている。排気口92a、92b、92c、92d、92eは、排気路91の基端部91a側から乾燥処理部6内部の先端部91b側に向かってこの順に一列に並べて設けられている。このように、各排気口92をスリット状に形成すると、排気が各排気口92に流入しやすく、排気が効率良く行われる。また、排気路91の基端部91a側から先端部91b側に向かうに従い、排気口92a〜92eの開口面積が大きくなるように形成されている。このようにすると、排気路91内で排気が第1の排気ライン26側に円滑に流れ、排気が効率良く行われるので、排気量を大幅に増加させることができる。図示の例では、各排気口92a〜92eにおける排気路91に沿った方向の長さは、排気路91の基端部91a側から先端部91b側に向かうに従い長くなるように形成されている。即ち、排気口92aの長さLa、排気口92bの長さLb、排気口92cの長さLc、排気口92dの長さLd、排気口92eの長さLeの順に長くなるように形成されている。図3に示すように、各排気ノズル73は、排気口92がチャンバ本体61の前後方向に向かって並ぶように配置されており、また、排気が排気口92に略水平方向に流入するように向けられている。
【0046】
図1に示すように、左右の排気ノズル73、73にそれぞれ接続された第1の排気ライン26、26の下流端は、ドレインボックス102に接続されている。ドレインボックス102には、ドレインボックス102から排気を行う排気管103が接続されている。排気管103は、工場の排気系105に接続されている。
【0047】
第2の排気ライン27、27は、左右の排気ノズル73、73にそれぞれ接続された第1の排気ライン26、26の途中にそれぞれ介設されている。各第2の排気ライン27、27には、それぞれ開閉弁118、118が介設されている。第2の排気ライン27、27は、開閉弁118、118の下流側において合流して、イジェクタ120に接続されている。イジェクタ120の下流側は、工場の排気系105に接続されている。
【0048】
開閉弁118、118を閉じた状態では、乾燥処理部6内にIPA蒸気、ホットN2ガス、又は常温のN2ガスが供給されることにより、乾燥処理部6内の雰囲気が排気ノズル73の排気口92に向かって押し出され、第1の排気ライン26によって排気されるようになっている。一方、開閉弁118、118を開いて、イジェクタ120を作動させると、各排気ノズル73、73、各第1の排気ライン26、26、各第2の排気ライン27、27を介して、乾燥処理部6内が強制排気されるようになっている。即ち、第2の排気ライン27によって強制排気を行うことにより、第1の排気ライン26のみで排気を行う場合よりも排気量を増加させることができる。
【0049】
ウェハガイド8は、上下方向に昇降自在に構成されている。図6に示すように、ウェハガイド8は、ガイド部131と、ガイド部131に水平姿勢で固着された4本の平行な保持部材132a、132b、132c、132dとを備えている。各保持部材132a〜132dには、ウェハWの周縁を保持する保持溝133が等間隔で50個形成されている。これにより、50枚のウェハWを等間隔で配列させた状態で保持する構成となっている。
【0050】
ウェハガイド8はさらにガイド部131から上方に延びる支持棒8aを有し、この支持棒8aは蓋62を貫通して延びるとともに支持棒8aと蓋62との間はエアグリップシール8bにより乾燥処理中は密封されている。そして支持棒8aが上下方向に移動することにより、ウェハWを処理槽3と乾燥処理部6との間で移動させることができる。
【0051】
図1に示すように、シャッター移動部11の底部11aには、チャンバ本体61の下面開口61bと連通した開口部11bが形成され、シャッター移動部11の上面11cには、チャンバ本体61の上面開口61aと連通した開口部11dが形成されている。シャッター10の上面には、シャッター移動部11の開口部11dの周囲に密着させるシール部135が設けられている。シャッター10は、図示しない駆動機構の駆動により、シャッター移動部11において、上下方向及び水平方向に移動自在に構成されており、開口部11bと開口部11dの間に移動して開口部11bを塞ぐ閉塞位置PS1(図1において実線)と、開口部11bと開口部11dの間から退避して、ウェハW及びウェハガイド8を処理槽3と乾燥処理部6との間で昇降可能にする待機位置PS2(図1において二点鎖線)とに移動することができる。閉塞位置PS1においては、シール部135が開口部11dの周囲に密着させられ、乾燥処理部6内の雰囲気とシャッター移動部11内の雰囲気を遮断することができるようになっている。
【0052】
シャッター10の待機位置PS2の下方において、シャッター移動部11の底部11aには、シャッター移動部11内から排液及び排気を行う排出路136が設けられている。シャッター10に付着してシャッター移動部11の底部11aに落下した液滴や、シャッター移動部11内のDHF雰囲気、IPA蒸気等は、排出路136を通じてシャッター移動部11から排出される。排出路136には、開閉弁137が介設されている。
【0053】
ボックス13には、排液路141と、排気路142が設けられている。内槽30の排液管36、中槽31の排液管43、シャッター移動部11の排出路136からの排液は、ボックス13内に排出され、排液路141を経由して工場の排液系に排液される。
【0054】
基板処理装置の各機能要素は、基板処理装置全体の動作を自動制御する制御コンピュータ65aに信号ラインを介して接続されている。ここで機能要素とは、蓋昇降機64、ウェハガイド8、シャッター移動部11、IPA蒸気発生部22、インジェクタ120等(これらのみには限定されない)の、所定のプロセス条件を実現するために動作する全ての要素を意味している。制御コンピュータ65aは、典型的には、実行するソフトウエアに依存して任意の機能を実現することができる汎用コンピュータである。
【0055】
制御コンピュータ65aは、中央演算装置(CPU)からなる制御部65と、制御部65に接続された入出力部65bと、入出力部65bに挿着され制御ソフトウエアを格納した記録媒体65cとを有する。制御ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータ65aは、基板処理装置の各機能要素を、所定のプロセスレシピにより定義された様々なプロセス条件(蓋の開度等)が実現されるように制御する。
【0056】
記録媒体65cは、制御コンピュータ65aに固定的に設けられるもの、或いは制御コンピュータ65aに設けられた読み取り装置に着脱自在に装着されて該読み取り装置により読み取り可能なものであってもよい。最も典型的な実施形態においては、記録媒体65cは、基板処理装置のメーカーのサービスマンによって制御ソフトウエアがインストールされたハードディスクドライブである。他の実施の形態においては、記録媒体65cは、制御ソフトウエアが書き込まれたCD−ROMまたはDVD−ROMのようなリムーバブルディスクであり、このようなリムーバブルディスクは制御コンピュータ65aに設けられた光学的読取装置により読み取られる。記録媒体65cは、RAM(random access memory)またはROM(read only memory)のいずれの形式のものであってもよく、また、記録媒体65cは、カセット式のROMのようなものであってもよい。要するに、コンピュータの技術分野において知られている任意のものを記録媒体65cとして用いることが可能である。なお、複数の基板処理装置が配置される工場においては、各基板処理装置の制御コンピュータ65aを統括的に制御する管理コンピュータに制御ソフトウエアが格納されていてもよい。この場合、各基板処理装置は通信回線を介して管理コンピュータにより操作され、所定のプロセスを実行する。
【0057】
次に、以上のように構成された基板処理装置1で行われる洗浄方法について説明する。
【0058】
先ず、ウェハWを基板処理装置1に搬入する前の待機状態においては、図7に示すように、蓋62を閉塞位置P3に配置し、シャッター10を閉塞位置PS1に配置しておく。また、ホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを少流量で供給し、IPA蒸気発生部22、処理ガス供給ライン21、各処理ガス供給ノズル71、71を介して乾燥処理部6に導入させる。そして、乾燥処理部6内の雰囲気を排気ノズル73、73を介して第1の排気ライン26に押し出すように排気する状態にしておく。また、処理槽3内に所定濃度のDHFを貯留させておく。ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば15L/min.程度が良い。
【0059】
ウェハWを基板処理装置1に搬入する際は、図8に示すように、蓋62を搬入出位置P1に移動させ、ウェハガイド8によって保持された例えば50枚のウェハWを、チャンバ本体61の上面開口61aからチャンバ本体61内に搬入する。さらに、シャッター10を待機位置PS2に移動させ、シャッター移動部11の開口部11bと開口部11dの間を開放させる。また、第2の排気ライン27、27に備えた開閉弁118、118を開いて、イジェクタ120を作動させる。即ち、各排気ノズル73、73、各第1の排気ライン26、26、各第2の排気ライン27、27を介して、乾燥処理部6内を強制排気させる。すると、FFU12からのダウンフローが乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。これにより、シャッター10を開いても、処理槽3内に貯留されたDHF雰囲気が、乾燥処理部6に上昇することを防止できる。従って、DHF雰囲気がチャンバ5の内面に付着したり、上面開口61aからチャンバ5の外部に漏れたりすることを防止できる。なお、各排気ノズル73、73の排気口92a〜92eは、強制排気を行って排気量を増加させてもスムーズに排気を吸い込むことができる。
【0060】
こうして、ウェハガイド8を乾燥処理部6から処理槽3の内槽30内に下降させ、内槽30に貯留されたDHFにウェハWを浸漬させ、薬液処理を行う。処理槽3においてウェハWの薬液処理を行う間は、図9に示すように、蓋62を処理位置P2に移動させ、蓋62の下縁とチャンバ本体61の上面開口61aとの間に隙間を形成する。また、ウェハWをチャンバ本体61に搬入するときと同様に、第2の排気ライン27に設けた開閉弁118、118を開き、イジェクタ120を作動させたままにして、第2の排気ライン27によって乾燥処理部6内を強制排気する。このようにすると、薬液処理を行う間も、外部雰囲気、即ち、FFU12からダウンフローされたクリーンエアが、蓋62と上面開口61aとの間の隙間から乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの気流が形成される。これにより、処理槽3内に貯留されたDHF雰囲気が、乾燥処理部6に上昇することを防止できる。従って、DHF雰囲気がチャンバ5の内面に付着したり、上面開口61aからチャンバ5の外部に漏れたりすることを防止できる。また、FFU12から供給されるクリーンエアを利用して乾燥処理部6内に気流を形成するので、経済的である。
【0061】
DHFによるウェハWの薬液処理が終了したら、ウェハWを内槽30内に配置したまま、処理液供給ノズル35から純水を供給し、内槽30内のDHFを純水に置換して、ウェハWを純水によりリンス処理する。内槽30からオーバーフローしたDHFや純水は、中槽31に受け止められ、排液管41によって排液される。
【0062】
内槽30内のDHFを純水に置換する間は、ウェハWの薬液処理を行う間と同様に、蓋62を処理位置P2に配置したまま、第2の排気ライン27による強制排気を継続し、乾燥処理部6内に上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうFFU12からのクリーンエアの気流を形成させる。これにより、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6に上昇することを防止する。その後、内槽30内のDHFが純水に置換され、処理槽3内からDHFが排出されたら、図10に示すように、蓋62を閉塞位置P3に移動させ、チャンバ本体61の上面開口61aを密閉する。なお、処理槽3内のDHFが純水に置換されたか否かは、濃度計53の濃度測定値によって判断することができる。濃度計53の濃度測定値によって、処理槽3内が完全に純水に置換されたことを確認後、蓋62を閉塞位置P3に移動させると良い。
【0063】
また、処理槽3内のDHFが純水に置換されたら、第2の排気ライン27に備えた開閉弁118、118を閉じて、第2の排気ライン27による強制排気を停止させる。即ち、ウェハWを基板処理装置1に搬入して処理槽3に移動させる間、薬液処理工程時及び処理槽3内のDHFを純水に置換する間の各排気量よりも小さい排気量で乾燥処理部6を排気する状態にする。さらに、ホットN2ガス供給ライン24、N2ガス供給ライン25から、それぞれホットN2ガス、常温のN2ガスを大流量で供給する。なお、濃度計53の濃度測定値によって、処理槽3内が完全に純水に置換されたことを確認後、第2の排気ライン27の開閉弁118、118を閉じ、ホットN2ガス供給ライン24の開閉弁83、N2ガス供給ライン25の開閉弁86を開くようにすると良い。ホットN2ガス、N2ガスは、それぞれ処理ガス供給ノズル71、71、N2ガス供給ノズル72、72から乾燥処理部6内に吐出され、蓋62の内面上部に向かって上昇した後、乾燥処理部6内を下降するように流れる。乾燥処理部6内の雰囲気は、各排気ノズル73、73の排気口92に押し出され、第1の排気ライン26によって排気される。こうして、乾燥処理部6にホットN2ガス、N2ガスを供給して、乾燥処理部6内の雰囲気を第1の排気ライン26に排出させることにより、乾燥処理部6内の雰囲気をN2ガス雰囲気に置換する。ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば100L/min.程度が良く、N2ガス供給ライン25から供給するN2ガスの流量は、例えば200L/min.程度が良い。なお、各排気ノズル73、73の排気口92a〜92eは、排気ノズル73の先端部側に向かうに従い開口面積が大きくなるように形成されているため、ホットN2ガス、N2ガスの供給量を増加させても、排気が排気口92a〜92eに効率良く押し出されるようになっている。
【0064】
また、ホットN2ガス供給ライン24から供給されたホットN2ガスは、IPA蒸気発生部22、処理ガス供給ライン21を介して処理ガス供給ノズル71、71に供給される。これにより、処理ガス供給ライン21がホットN2ガスによって昇温されるので、純水によるリンス処理後にIPA蒸気を供給する際、処理ガス供給ライン21内でIPA蒸気の温度が低下することを防止できる。さらに、ホットN2ガスによって乾燥処理部6内が昇温され、純水によるリンス処理後にIPA蒸気を供給する際、乾燥処理部6の内面にIPA蒸気が付着することを抑制できる。従って、IPA蒸気がウェハWに効率良く供給され、IPA蒸気の使用量を低減させることができる。
【0065】
なお、ウェハWをチャンバ本体61に搬入する間、ウェハWの薬液処理を行う間、及び、内槽30内のDHFを純水に置換する間は、開閉弁137を開き、排出路136によってシャッター移動部11内のDHF雰囲気が排気されるようにすると、FFU12からのクリーンエアが乾燥処理部6を通じてシャッター移動部11内にも流入し、シャッター移動部11内にDHF雰囲気が残留することを防止できる。その後、内槽30内のDHFが純水に置換され、処理槽3内からDHFが排出されたら、開閉弁137を閉じ、排出路136による排気を停止させても良い。この場合、濃度計53の濃度測定値によって、処理槽3内が完全に純水に置換されたことを確認後、開閉弁137を閉じるようにすると良い。
【0066】
純水によるウェハWのリンス処理が終了したら、ウェハガイド8を内槽30内から上昇させ、ウェハWを内槽30内から乾燥処理部6に移動させる。なお、ウェハWのリンス処理が終了したら、N2ガス供給ライン25からのN2ガスの供給は停止させ、ホットN2ガス供給ライン24からのホットN2ガスの供給は、ウェハWを移動させる間も継続して、処理ガス供給ライン21を温めるようにすることが好ましい。このときホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、少流量、例えば15L/min.
程度にすれば良く、温度は例えば250℃程度が好ましい。
【0067】
ウェハWを乾燥処理部6に移動させたら、図11に示すように、シャッター10を閉塞位置PS1に移動させ、エアグリップシール8bで支持棒8aと蓋62の間をシールし、乾燥処理部6を密閉する。蓋62は、引き続き閉塞位置P3に配置したままにしておく。そして、IPA供給ライン23からIPAを供給すると共にホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを供給して、IPA蒸気発生部22においてIPA蒸気を発生させ、処理ガス供給ライン21からIPA蒸気を供給する。IPA蒸気は、処理ガス供給ノズル71、71から乾燥処理部6内に吐出され、ウェハWの左側又は右側を通過して、蓋62の内周面上部に向かって上昇した後、各ウェハWの上部からウェハW同士の間に流入して、各ウェハWの表面に沿ってウェハWの下部まで流下する。そして、乾燥処理部6の下部において、各排気ノズル73、73の排気口92に押し出され、第1の排気ライン26によって排気される。こうして、乾燥処理部6内にIPA蒸気を供給して、ウェハWを乾燥処理する。なお、ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば100L/min.程度が良い。ホットN2ガスの温度は、例えば82℃〜110℃程度が好ましい。
【0068】
IPA蒸気によるウェハWの乾燥処理が終了したら、図12に示すように、IPA供給ライン23からのIPAの供給を停止させて処理ガス供給ライン21からのIPA蒸気の供給を停止させ、ホットN2ガス供給ライン24、N2ガス供給ライン25から、それぞれホットN2ガス、N2ガスを供給して、乾燥処理部6内をN2ガスでパージする。ホットN2ガス、N2ガスは、それぞれ処理ガス供給ノズル71、71、N2ガス供給ノズル72、72から乾燥処理部6内に吐出され、蓋62の内面上部に向かって上昇した後、乾燥処理部6内を下降するように流れる。乾燥処理部6内の雰囲気は、各排気ノズル73、73の排気口92に押し出され、第1の排気ライン26によって排気される。こうして、乾燥処理部6内にN2ガスを供給して、乾燥処理部6内のIPA蒸気を第1の排気ライン26に排出させ、乾燥処理部6内の雰囲気がN2ガス雰囲気に置換される。ホットN2ガス供給ライン24から供給するホットN2ガスの流量は、例えば100L/min.程度が良く、N2ガス供給ライン25から供給するN2ガスの流量は、例えば200L/min.程度が良い。
【0069】
乾燥処理部6内がN2ガスによってパージされたら、エアグリップシール8bのシールを解き、蓋62を搬入出位置P1に移動させ、ウェハガイド8をチャンバ本体61の上面開口61aから上昇させ、ウェハWを搬出する。こうして、基板処理装置1におけるウェハWの洗浄処理が終了する。
【0070】
かかる基板処理装置1によれば、第2の排気ライン27によって乾燥処理部6内を強制排気できる構成としたことにより、乾燥処理部6内の排気量を増加させることができる。さらに、処理槽3内にDHFが存在する間、上面開口61aを開口させて乾燥処理部6を外気と連通させた状態にすることにより、FFU12から供給されるクリーンエアを乾燥処理部6内に流入させ、気流を形成することができる。従って、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6に上昇することを防止できる。また、乾燥処理部6内に移動させたウェハWにDHF雰囲気が付着することを防止でき、ウェハの表面にウォーターマークが発生することを防止できる。従って、洗浄処理後、ウェハの表面に膜が良好に形成され、半導体デバイスに電気特性の異常が発生することを防止できる。
【0071】
また、ホットN2ガス供給ライン24とN2ガス供給ライン25によって、乾燥処理部6内にN2ガスを大流量で供給することで、IPA蒸気がチャンバ5の内面に残留することを防止できる。ウェハWにIPAが残留することを防止できる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施の形態の一例を示したが、本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば、基板処理装置1はDHFを薬液として供給し、純水をリンス液として供給し、IPA蒸気を乾燥用の処理ガスとして供給することとしたが、処理液、処理ガスの種類はかかるものに限定されない。また、基板処理装置1は、洗浄以外の他の処理を基板に対して施すものであっても良い。基板は半導体ウェハに限らず、LCD基板用ガラスやCD基板、プリント基板、セラミック基板などであっても良い。
【0073】
チャンバ5には、チャンバ5の内面を昇温させるためのヒータを装着しても良い。この場合、IPA蒸気によるウェハWの乾燥処理の際、ヒータによってチャンバ5の内面を昇温させることで、チャンバ5の内面にIPA蒸気が付着することを効果的に抑制できる。従って、IPA蒸気がウェハWに効率良く供給され、IPA蒸気の使用量を低減させることができる。また、チャンバ5の内面にIPA蒸気が残留することを防止できる。例えば、蓋62やチャンバ本体61の外面にラバーヒータを備えることにより、蓋62の内面やチャンバ本体61の内面を加熱できるようにしても良い。なお、チャンバ5の内面は、ウェハWよりも低温になるようにすることが好ましい。チャンバ5の内面を加熱するヒータの加熱温度は、例えば85℃程度が好ましい。
【0074】
本実施の形態では、処理槽3内に設けた濃度計53の測定値によって、処理槽3内のDHFが純水に置換されたことを確認する構成としたが、処理槽3内に比抵抗計を設け、比抵抗計の比抵抗値によって、処理槽3内が純水に置換されたことを確認する構成としても良い。
【0075】
本実施の形態では、IPA蒸気によるウェハWの乾燥処理後、乾燥処理部6内をN2ガスによってパージする際、第1の排気ライン26によって排気を行うこととしたが、第2の排気ライン27によって強制排気して、乾燥処理部6内を減圧するようにしても良い。この場合、乾燥処理部6内に残留したIPA蒸気が揮発しやすくなり、チャンバ5やウェハWの表面にIPA蒸気が残留することを防止できる。
【0076】
本実施の形態では、薬液処理工程時は乾燥処理部6を第2の排気ライン27によって強制的に排気し、処理槽3内の薬液がリンス液に置換されたら、第1の排気ライン26によって排気する状態に切り換えて薬液処理工程時より小さい排気量で排気することとしたが、第1の排気ライン26内が乾燥処理部6に対して十分に負圧になるように設定されており、乾燥処理部6内にクリーンエアを流入させ気流を形成するために必要な排気量を第1の排気ライン26のみで十分にとることができる場合は、強制排気を行わなくても良く、また、第2の排気ライン27を設けなくても良い。
【0077】
本実施の形態では、ウェハWを基板処理装置1に搬入する前から、純水によるリンス処理後にIPA蒸気を供給するまで、ホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを供給して、処理ガス供給ライン21をホットN2ガスによって温めることとしたが、ウェハWの薬液処理時は、ホットN2ガス供給ライン24からのホットN2ガスの供給を停止させても良い。
【0078】
本実施の形態では、乾燥処理部6内の雰囲気をN2ガス雰囲気に置換する際、ホットN2ガス供給ライン24からホットN2ガスを供給し、かつ、N2ガス供給ライン25からN2ガスを供給しながら、乾燥処理部6を排気することとしたが、N2ガス供給ライン25を設けず、ホットN2ガス供給ライン24のみからホットN2ガスを供給するようにしても良い。
【0079】
本実施の形態では、ウェハWを乾燥処理部6に移動させて乾燥処理部6を密閉した後、乾燥処理部6にIPA蒸気を供給して乾燥処理することとしたが、ウェハWを処理槽3から乾燥処理部6に移動させながら、処理ガス供給ライン21からIPA蒸気を供給するようにしても良い。
【0080】
本実施の形態では、蓋62を処理位置P2に移動させることにより、乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、蓋62を閉塞位置P3に移動させることにより、乾燥処理部62を外気と遮断した状態にする構成としたが、乾燥処理部6を外気と連通した状態と遮断させた状態とを切り替える構成は、かかるものに限定されない。例えば、図13に示すように、蓋62に開口(通気口)150を形成し、開口150を開閉する蓋部材151を設け、蓋部材151を昇降移動させる蓋部材昇降機152を設けてもよい。また、蓋部材昇降機152の駆動を制御する制御部153を設けてもよい。即ち、蓋部材昇降機152によって蓋部材151を開口150から上昇させ開口150を開くことにより、乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、蓋部材昇降機152によって蓋部材151を下降させ、蓋部材151によって開口150を閉じることにより、乾燥処理部6を外気と遮断した状態にする構成となっている。この基板処理装置1においては、ウェハWを基板処理装置1に搬入する際は、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気させる。即ち、上面開口61aが開口して乾燥処理部6が外気と連通した状態になっており、FFU12からのダウンフローが上面開口61aから乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。ウェハWを搬入させたら、蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じる。そして、制御部153の制御により蓋部材昇降機152を駆動させ、蓋部材151を上昇させて、開口150を開く。薬液処理時、及び、処理槽3内のDHFを純水に置換する間は、開口150を開いたまま、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気する。これにより、FFU12からのダウンフローが開口150から乾燥処理部6に流入し、開口150から各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。内槽30内のDHFが純水に置換されたら、開口50を閉じる。このようにして、処理槽3内にDHFが存在する間、乾燥処理部6内に気流を形成し、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6内に上昇することを防止できる。
【0081】
また、例えば図14に示すように、蓋62にパイプ160を接続し、パイプ160に開閉弁161を設けた構成としても良い。図14において、パイプ160は、略鉛直に向けられた直管状に形成されている。また、パイプ160の下端を蓋62の上部の内面において開口させている。さらに、開閉弁161の開閉を制御する制御部163を設けてもよい。この基板処理装置1においては、開閉弁161を開くことにより、パイプ160を介して乾燥処理部6を外気と連通させる状態とし、開閉弁161を閉じることにより、乾燥処理部6を外気と遮断する状態にする構成となっている。ウェハWを基板処理装置1に搬入する際は、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気させる。これにより、FFU12からのダウンフローが上面開口61aから乾燥処理部6に流入し、上面開口61aから各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。ウェハWを搬入させたら、蓋62によってチャンバ本体61の上面開口61aを閉じる。そして、制御部163の制御により開閉弁161を開く。薬液処理時、及び、処理槽3内のDHFを純水に置換する間は、開閉弁161を開きながら、排気ノズル73、73を介して乾燥処理部6内を強制排気する。これにより、FFU12からのダウンフローがパイプ160を下降して乾燥処理部6に流入し、パイプ160から各排気ノズル73、73に向かうクリーンエアの流れが形成される。処理槽3内のDHFが純水に置換されたら、開閉弁161を閉じる。このようにして、処理槽3内にDHFが存在する間、乾燥処理部6内に気流を形成し、処理槽3内のDHF雰囲気が乾燥処理部6内に上昇することを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液によって処理する処理槽と、
処理槽の上方に配置された乾燥処理部と、
処理槽と乾燥処理部との間で基板を移動させる移動機構とを備え、
乾燥処理部は移動機構によって基板が処理槽内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とを取る構造を有し、乾燥処理部は制御部により外気と連通する状態と外気と遮断した状態と切り換えられることを特徴とする、基板処理装置。
【請求項2】
処理槽は、薬液とリンス液によって基板を処理する構造を有し、
制御部は、処理槽内に薬液が存在するときは、乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたときは、乾燥処理部を外気と遮断した状態に切り換え、乾燥処理部における乾燥処理の間は乾燥処理部を外気と遮断した状態にするように制御することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋と、蓋に設けられ、基板を開口から搬入出させる搬入出位置と、蓋と開口との間に隙間を形成する処理位置と、開口を閉じる閉塞位置とに蓋を移動させる蓋昇降機とを有し、
蓋昇降機は制御部によって制御され、
制御部は蓋を搬入出位置又は処理位置に移動させることにより、前記乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、蓋を閉塞位置に移動させることにより、乾燥処理部を外気と遮断した状態にする構成としたことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋とを有し、
蓋に通気口を形成するとともに、この通気口に通気口開閉部材を設け、この通気口開閉部材を制御部により制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法。
【請求項6】
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法。
【請求項7】
前記薬液処理工程時の前記開口と蓋との間の距離は、基板を搬入するときの前記開口と蓋との間の距離より小さいことを特徴とする、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部を薬液処理時より小さい排気量で排気するようにことを特徴とする、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項9】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体。
【請求項10】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエア。
【請求項11】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体。
【請求項12】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエア。
【請求項1】
基板を処理液によって処理する処理槽と、
処理槽の上方に配置された乾燥処理部と、
処理槽と乾燥処理部との間で基板を移動させる移動機構とを備え、
乾燥処理部は移動機構によって基板が処理槽内に移送されたとき、外気と連通する状態と、外気と遮断した状態とを取る構造を有し、乾燥処理部は制御部により外気と連通する状態と外気と遮断した状態と切り換えられることを特徴とする、基板処理装置。
【請求項2】
処理槽は、薬液とリンス液によって基板を処理する構造を有し、
制御部は、処理槽内に薬液が存在するときは、乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、処理槽内の薬液がリンス液に置換されたときは、乾燥処理部を外気と遮断した状態に切り換え、乾燥処理部における乾燥処理の間は乾燥処理部を外気と遮断した状態にするように制御することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋と、蓋に設けられ、基板を開口から搬入出させる搬入出位置と、蓋と開口との間に隙間を形成する処理位置と、開口を閉じる閉塞位置とに蓋を移動させる蓋昇降機とを有し、
蓋昇降機は制御部によって制御され、
制御部は蓋を搬入出位置又は処理位置に移動させることにより、前記乾燥処理部を外気と連通させる状態とし、蓋を閉塞位置に移動させることにより、乾燥処理部を外気と遮断した状態にする構成としたことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
乾燥処理部は開口を有するチャンバ本体と、チャンバ本体の開口を開閉する蓋とを有し、
蓋に通気口を形成するとともに、この通気口に通気口開閉部材を設け、この通気口開閉部材を制御部により制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法。
【請求項6】
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、基板処理方法。
【請求項7】
前記薬液処理工程時の前記開口と蓋との間の距離は、基板を搬入するときの前記開口と蓋との間の距離より小さいことを特徴とする、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部を薬液処理時より小さい排気量で排気するようにことを特徴とする、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項9】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体。
【請求項10】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられた乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
基板を乾燥処理部において乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に乾燥処理部に外気を流入させながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら、前記薬液処理工程時より小さい排気量で乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエア。
【請求項11】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアが記録された記録媒体であって、当該ソフトウエアを実行することにより、制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、記録媒体。
【請求項12】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なソフトウエアであって、当該ソフトウエアを実行することにより制御コンピュータが基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
基板制御方法が、
基板を処理する処理槽と、処理槽の上方に設けられ、開口とこの開口を開閉する蓋とを含む乾燥処理部とを有する装置によって基板を処理する方法であって、
蓋を開けて乾燥処理部の開口から基板を搬入して処理槽に移動させる工程と、
処理槽において基板を薬液によって処理する薬液処理工程と、
処理槽内の薬液をリンス液に置換する工程と、
蓋により開口を閉じた状態で、乾燥処理部において基板を乾燥処理する工程とを備え、
薬液処理工程時に、蓋を開いて開口を開いた状態にしながら乾燥処理部を排気し、
処理槽内の薬液がリンス液に置換されたら、蓋によって前記開口を閉じ、乾燥処理部に不活性ガスを供給しながら乾燥処理部を排気することを特徴とする、ソフトウエア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−141383(P2009−141383A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28814(P2009−28814)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【分割の表示】特願2006−512023(P2006−512023)の分割
【原出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【分割の表示】特願2006−512023(P2006−512023)の分割
【原出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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