説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】洗浄後の吐出ヘッドから基板上に洗浄液が落下するのを防止することができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板に処理液を吐出する処理が終了して待機位置に帰還した処理液ノズルの吐出ヘッド61を下降させて待機ポット70の収容部75に収容する。洗浄液噴出部76から吐出ヘッド61に向けて洗浄液を噴出し、処理中に吐出ヘッド61に付着した処理液を洗い流す。続いて、洗浄液噴出を停止し、待機ポット70に設けられた乾燥ガス噴出部77から斜め下方に向けて乾燥用ガスを噴出する。そして、収容部75から吐出ヘッド61を徐々に引き上げる。その吐出ヘッド61に乾燥用ガスを吹き付けることによって、吐出ヘッド61に付着していた洗浄液を吹き飛ばして乾燥させる。洗浄後に処理位置に移動した吐出ヘッド61から基板上に洗浄液が落下するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に処理液を供給する吐出ヘッドを洗浄する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の製造工程において、薬液を用いた薬液処理および純水を用いたリンス処理などの基板の表面処理を行ってから乾燥処理を行う基板処理装置が使用されている。このような基板処理装置としては、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の装置と、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の装置とが用いられている。枚葉式の基板処理装置は、通常、回転する基板の表面に薬液を供給しての薬液処理、純水を供給しての純水リンス処理を行った後、基板を高速回転させて振り切り乾燥を行う。このような枚葉式の基板処理装置は、例えば特許文献1,2に開示されている。
【0003】
特許文献1,2に開示される基板処理装置は、基板を略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板の上面に処理液を供給するノズル(吐出ヘッド)と、スピンチャックの周囲を取り囲んで基板から飛散した処理液を受け止めるカップと、を備えている。特許文献2に開示の装置は、さらにこれらの構成要素を収容する処理室と、カップの周囲において処理室内を上下に仕切る仕切板と、を備えている。
【0004】
特許文献1,2に開示の装置においては、処理中に回転する基板およびスピンチャックから飛散した処理液が吐出ヘッドに付着することがある。このような付着した処理液をそのまま放置すると、基板上に落下して汚染源となったり、乾燥してパーティクルの発生源となることがある。特許文献3には、スピンチャックの外方の待機ポットにて吐出ヘッドに洗浄液を噴出して洗浄する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−91717号公報
【特許文献2】特開2010−192686号公報
【特許文献3】特開2007−149891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に開示される技術を用いて吐出ヘッドを洗浄したとしても、吐出ヘッドには洗浄に用いた洗浄液が付着することとなり、洗浄後に新たな基板を処理するときに、吐出ヘッドに付着した洗浄液が基板上に落下するという新たな問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、洗浄後の吐出ヘッドから基板上に洗浄液が落下するのを防止することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板処理装置であって、基板を略水平姿勢に保持して回転させる基板保持手段と、前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップと、前記基板保持手段に保持された基板に処理液を吐出する吐出ヘッドを先端に備えたノズルアームと、前記基板保持手段に保持された基板の上方の処理位置と前記カップよりも外側の待機位置との間で前記吐出ヘッドが移動するように前記ノズルアームを旋回させる旋回駆動部と、前記待機位置に配置され、前記吐出ヘッドを収容する待機ポットと、前記待機ポットに設けられ、前記待機ポットに収容された前記吐出ヘッドに洗浄液を供給して洗浄する洗浄手段と、前記待機ポットに設けられ、前記洗浄手段によって洗浄された後の前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させる乾燥手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記ノズルアームおよび前記吐出ヘッドを昇降させる昇降駆動部をさらに備え、前記乾燥手段は、前記昇降駆動部によって前記待機ポットから引き上げられている前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記ノズルアームに乾燥用ガスを吹き付けるアーム乾燥手段を前記待機ポットにさらに設けることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、基板処理方法であって、吐出ヘッドを先端に備えたノズルアームを旋回させて前記吐出ヘッドを基板保持手段に略水平姿勢に保持されて回転される基板の上方の処理位置に移動させ、前記吐出ヘッドから前記基板に処理液を吐出する処理工程と、前記ノズルアームを旋回させて前記吐出ヘッドを前記処理位置から前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップよりも外側の待機位置に帰還させ、前記待機位置に配置された待機ポットに前記吐出ヘッドを収容する帰還工程と、前記待機ポットに設けられた洗浄手段から前記待機ポットに収容された前記吐出ヘッドに洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程と、前記待機ポットに設けられた乾燥手段から前記洗浄工程にて洗浄された前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させる乾燥工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る基板処理方法において、前記乾燥工程では、前記待機ポットから前記吐出ヘッドを引き上げつつ、前記乾燥手段から前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明に係る基板処理方法において、前記乾燥工程は、前記待機ポットに設けられたアーム乾燥手段から前記ノズルアームに乾燥用ガスを吹き付けるアーム乾燥工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から請求項3の発明によれば、待機ポットに収容された吐出ヘッドに洗浄液を供給して洗浄し、その洗浄された後の吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させるため、洗浄後の吐出ヘッドが処理位置に移動したときにも、吐出ヘッドから基板上に洗浄液が落下するのを防止することができる。
【0015】
特に、請求項2の発明によれば、待機ポットから引き上げられている吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けるため、吐出ヘッドから洗浄液を効率良く吹き飛ばして乾燥させることができる。
【0016】
特に、請求項3の発明によれば、ノズルアームに乾燥用ガスを吹き付けるアーム乾燥手段をさらに設けるため、処理液が付着したノズルアームによる汚染をも防止することができる。
【0017】
請求項4から請求項6の発明によれば、待機ポットに収容された吐出ヘッドに洗浄液を供給して洗浄し、その洗浄された吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させるため、洗浄後の吐出ヘッドが処理位置に移動したときにも、吐出ヘッドから基板上に洗浄液が落下するのを防止することができる。
【0018】
特に、請求項5の発明によれば、待機ポットから吐出ヘッドを引き上げつつ、その吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けるため、吐出ヘッドから洗浄液を効率良く吹き飛ばして乾燥させることができる。
【0019】
特に、請求項6の発明によれば、待機ポットに設けられたアーム乾燥手段からノズルアームに乾燥用ガスを吹き付けるため、処理液が付着したノズルアームによる汚染をも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の基板処理装置の縦断面図である。
【図3】上面処理液ノズルの動作の概略を示す平面図である。
【図4】上面処理液ノズルおよび待機ポットの側面模式図である。
【図5】二流体ノズルの動作の概略を示す平面図である。
【図6】二流体ノズルおよび待機ポットの側面模式図である。
【図7】上面処理液ノズルの吐出ヘッドの洗浄処理の手順を説明する図である。
【図8】上面処理液ノズルの吐出ヘッドの洗浄処理の手順を説明する図である。
【図9】上面処理液ノズルの吐出ヘッドの洗浄処理の手順を説明する図である。
【図10】上面処理液ノズルの吐出ヘッドの洗浄処理の手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は、基板処理装置1の縦断面図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0023】
この基板処理装置1は、半導体の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置であり、円形のシリコンの基板Wに薬液処理および純水を用いたリンス処理を行ってから乾燥処理を行う。なお、図1はスピンチャック20に基板Wが保持されていない状態を示し、図2はスピンチャック20に基板Wが保持されている状態を示している。
【0024】
基板処理装置1は、チャンバー10内に、主たる要素として基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)に保持して回転させるスピンチャック20と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための上面処理液ノズル60と、処理液の液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する二流体ノズル80と、スピンチャック20の周囲を取り囲む処理カップ40と、を備える。また、チャンバー10内における処理カップ40の周囲には、チャンバー10の内側空間を上下に仕切る仕切板15が設けられている。なお、本明細書において、処理液は、薬液および純水の双方を含む総称である。
【0025】
チャンバー10は、鉛直方向に沿う側壁11、側壁11によって囲まれた空間の上側を閉塞する天井壁12および下側を閉塞する床壁13を備える。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。また、チャンバー10の側壁11の一部には、チャンバー10に対して基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
【0026】
チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置1が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。ファンフィルタユニット14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を備えており、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けるようにしても良い。
【0027】
スピンチャック20は、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定された円板形状のスピンベース21と、スピンベース21の下方に配置されて回転軸24を回転させるスピンモータ22と、スピンモータ22の周囲を取り囲む筒状のカバー部材23と、を備える。円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。よって、スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する保持面21aを有している。
【0028】
スピンベース21の保持面21aの周縁部には複数(本実施形態では4個)のチャック部材26が立設されている。複数のチャック部材26は、円形の基板Wの外周円に対応する円周上に沿って均等な間隔をあけて(本実施形態のように4個のチャック部材26であれば90°間隔にて)配置されている。複数のチャック部材26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、複数のチャック部材26のそれぞれを基板Wの端縁に当接させて基板Wを挟持することにより、当該基板Wをスピンベース21の上方で保持面21aに近接した水平姿勢にて保持することができるとともに(図2参照)、複数のチャック部材26のそれぞれを基板Wの端縁から離間させて挟持を解除することができる。
【0029】
スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバー10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。複数のチャック部材26による挟持によってスピンチャック20が基板Wを保持した状態にて、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部3によって制御される。
【0030】
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に備えている。
【0031】
内壁部45は、内カップ41が最も上昇された状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
【0032】
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有している。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
【0033】
廃棄溝49には、この廃棄溝49に集められた処理液を排出するとともに、廃棄溝49内を強制的に排気するための図示省略の排気液機構が接続されている。排気液機構は、例えば、廃棄溝49の周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。また、内側回収溝50および外側回収溝51には、内側回収溝50および外側回収溝51にそれぞれ集められた処理液を基板処理装置1の外部に設けられた回収タンクに回収するための回収機構(いずれも図示省略)が接続されている。なお、内側回収溝50および外側回収溝51の底部は、水平方向に対して微少角度だけ傾斜しており、その最も低くなる位置に回収機構が接続されている。これにより、内側回収溝50および外側回収溝51に流れ込んだ処理液が円滑に回収される。
【0034】
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを一体的に備えている。
【0035】
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状をなす下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部52cとを有している。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部52bの先端を下方に折り返して形成される折返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なるような長さとされている。
【0036】
また、第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されており、処理液分離壁53は上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有している。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
【0037】
外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cとを有している。
【0038】
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。また、上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cは、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折返し部43cが第2案内部52の折返し部52cと水平方向に重なるように形成されている。
【0039】
また、内カップ41、中カップ42および外カップ43は互いに独立して昇降可能とされている。すなわち、内カップ41、中カップ42および外カップ43のそれぞれには個別に昇降機構(図示省略)が設けられており、それによって別個独立して昇降される。このような昇降機構としては、例えばボールネジ機構やエアシリンダなどの公知の種々の機構を採用することができる。
【0040】
図3は、上面処理液ノズル60の動作の概略を示す平面図である。また、図4は、上面処理液ノズル60および待機ポット70の側面模式図である。上面処理液ノズル60は、互いに平行に設けられた3本のノズルアーム62のそれぞれの先端に吐出ヘッド61を取り付けて構成されている。3本のノズルアーム62の基端側は旋回駆動部63に連結されている。旋回駆動部63には、3本のノズルアーム62が水平方向に沿って互いに平行となるように連結されている。旋回駆動部63は、処理カップ40よりも外側に設置されている。旋回駆動部63は、内蔵する旋回モータ(図示省略)によって鉛直方向軸まわりに旋回動作が可能とされており、水平面内(XY平面内)にて3本のノズルアーム62を一括して旋回させることができる。
【0041】
図3に示すように、旋回駆動部63は、スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で吐出ヘッド61が円弧状に移動するようにノズルアーム62を水平面内にて旋回させる。吐出ヘッド61が処理位置に到達しているときの3本のノズルアーム62を位置を図3の点線にて示す。また、吐出ヘッド61が待機位置に到達しているときの3本のノズルアーム62の位置を図3の実線にて示す。なお、処理位置と待機位置との間で吐出ヘッド61が移動するようにノズルアーム62を旋回させる動作を、処理位置と待機位置との間でノズルアーム62を旋回させるとも表記する。
【0042】
図4に示すように、3本のノズルアーム62のそれぞれは、旋回駆動部63から水平方向に沿って延びるように基端側が旋回駆動部63に連結される。各ノズルアーム62の先端側は滑らかな円弧を描きつつ下側に向かう。そして、鉛直方向下側((−Z)側)に向かう各ノズルアーム62の先端に、スピンチャック20に保持された基板Wに処理液を吐出する吐出ヘッド61が取り付けられる。吐出ヘッド61には、図外の処理液供給機構からノズルアーム62の内側を経由して複数種の処理液(少なくとも純水を含む)が供給されるように構成されている。吐出ヘッド61に供給された処理液は、吐出ヘッド61から鉛直方向下方に向けて吐出される。スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置にて吐出ヘッド61から吐出された処理液は当該基板Wの上面に着液する。一方、吐出ヘッド61が処理カップ40よりも外側の待機位置に移動しているときには、ノズルアーム62も処理カップ40よりも外側にてY方向に沿って待機している(図1,図3参照)。
【0043】
また、旋回駆動部63は昇降駆動部64に取り付けられている。昇降駆動部64は、内蔵する昇降モータ(図示省略)によって、旋回駆動部63とともに3つの吐出ヘッド61および3本のノズルアーム62を一括して鉛直方向に沿って昇降する。
【0044】
吐出ヘッド61の待機位置には待機ポット70が設置されている。待機ポット70には凹部である収容部75が設けられている。待機ポット70は、待機位置にて上面処理液ノズル60の吐出ヘッド61を収容部75に収容する。吐出ヘッド61は、基板Wに処理液を供給する直前に、ヘッド内に一定時間以上滞留して変質したり温度が低下した所定量の処理液を待機ポット70の収容部75内に吐出する(プリディスペンス)。なお、待機ポット70には、3つの吐出ヘッド61をまとめて収容する横長の収容部75を設けるようにしても良いし、3つの吐出ヘッド61を個別に収容する3つの収容部75を設けるようにしても良い。
【0045】
収容部75の底部には廃棄ライン71が接続されている。廃棄ライン71には廃棄バルブ72が介挿されている。廃棄バルブ72を開放することによって、収容部75内の液体を廃棄ライン71を通して外部に排出することができる。
【0046】
また、待機ポット70の収容部75には洗浄液噴出部76が設けられている。洗浄液噴出部76は収容部75の側壁に固定設置されている。洗浄液噴出部76には、収容部75の内側に向かう複数の噴出孔が設けられている。洗浄液噴出部76には、図外の洗浄液供給機構から洗浄液(本実施形態では純水)が供給されるように構成されている。その洗浄液供給機構から供給された洗浄液は、洗浄液噴出部76の噴出孔から収容部75の内側に向けて噴出される。なお、洗浄液噴出部76としては、複数の噴出孔を設けた部材に限定されるものではなく、吐出ノズルなどの液体を噴出することができる公知の種々の機構を採用することができる。
【0047】
待機ポット70の上面であって、収容部75の上部開口近傍には、乾燥ガス噴出部77が設けられている。乾燥ガス噴出部77には、斜め下方である収容部75の上部開口近傍へと向かう複数の噴出孔が設けられている。乾燥ガス噴出部77には、図外の乾燥ガス供給源から乾燥用ガス(本実施形態では窒素ガス(N2))が供給されるように構成されている。その乾燥ガス供給源から供給された乾燥用ガスは、乾燥ガス噴出部77の噴出孔から収容部75の上部開口近傍に向けて噴出される。なお、乾燥ガス噴出部77としては、複数の噴出孔を設けた部材に限定されるものではなく、ガスノズルなどの気体を噴出することができる公知の種々の機構を採用することができる。
【0048】
待機ポット70には、さらにアーム乾燥部78が設けられている。アーム乾燥部78は、待機ポット70の上面であって、乾燥ガス噴出部77よりもノズルアーム62の基端側((−Y)側)に設けられている。アーム乾燥部78は、上記の乾燥ガス供給源から供給された乾燥用ガスを斜め上方、すなわち待機位置のノズルアーム62に向けて噴出できるように構成されている。なお、アーム乾燥部78としても、気体を噴出することができる公知の種々の機構を採用することができる。
【0049】
基板処理装置1には、上面処理液ノズル60とは別に二流体ノズル80が設けられている。図5は、二流体ノズル80の動作の概略を示す平面図である。また、図6は、二流体ノズル80および待機ポット90の側面模式図である。二流体ノズル80は、純水などの処理液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する洗浄ノズルである。二流体ノズル80は、ノズルアーム82の先端に吐出ヘッド81を取り付けるとともに、ノズルアーム82から分岐するように設けられた支持部材86に気体ヘッド85を取り付けて構成されている。ノズルアーム82の基端側は旋回駆動部83に連結されている。旋回駆動部83は、処理カップ40よりも外側に配置されている。旋回駆動部83は、内蔵する旋回モータ(図示省略)によって鉛直方向軸まわりに旋回動作が可能とされており、水平面内(XY平面内)にてノズルアーム82を旋回させることができる。
【0050】
図5に示すように、旋回駆動部83は、スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で吐出ヘッド81が円弧状に移動するようにノズルアーム82を水平面内にて旋回させる。吐出ヘッド81が処理位置に到達しているときのノズルアーム82を位置を図5の点線にて示す。また、吐出ヘッド81が待機位置に到達しているときのノズルアーム82の位置を図8の実線にて示す。なお、上記の上面処理液ノズル60についてと同様に、処理位置と待機位置との間で吐出ヘッド81が移動するようにノズルアーム82を旋回させる動作を、処理位置と待機位置との間でノズルアーム82を旋回させるとも表記する。
【0051】
図6に示すように、ノズルアーム82は、旋回駆動部83から水平方向に沿って延びるように基端側が旋回駆動部83に連結される。ノズルアーム82の先端側は滑らかな円弧を描きつつ下側に向かう。そして、鉛直方向下側((−Z)側)に向かうノズルアーム82の先端に、スピンチャック20に保持された基板Wに向けて処理液を吐出する吐出ヘッド81が取り付けられる。吐出ヘッド81には、図外の処理液供給機構からノズルアーム82の内側を経由して処理液(本実施形態では純水)が供給されるように構成されている。
【0052】
ノズルアーム82の途中には支持部材86が取り付けられている。支持部材86には気体ヘッド85が取り付けられる。気体ヘッド85は、吐出ヘッド81の側方に位置するように支持部材86に設けられる。気体ヘッド85には加圧された不活性ガス(本実施形態では窒素ガス)が供給される。処理位置にて吐出ヘッド81から処理液を吐出しつつ、気体ヘッド85から加圧された不活性ガスを噴出して吐出ヘッド81からの処理液に混合することにより、処理液の液滴が生成され、その液滴と不活性ガスとの混合流体がスピンチャック20に保持された基板Wの上面に噴射される。一方、吐出ヘッド81が処理カップ40よりも外側の待機位置に移動しているときには、ノズルアーム82も処理カップ40よりも外側にてX方向に沿って待機している(図1,図5参照)。
【0053】
また、旋回駆動部83は昇降駆動部84に取り付けられている。昇降駆動部84は、内蔵する昇降モータ(図示省略)によって、旋回駆動部83とともに吐出ヘッド81、気体ヘッド85およびノズルアーム82を一括して鉛直方向に沿って昇降する。
【0054】
吐出ヘッド81の待機位置には待機ポット90が設置されている。待機ポット90には凹部である収容部95が設けられている。待機ポット90は、待機位置にて二流体ノズル80の吐出ヘッド81および気体ヘッド85を収容部95に収容する。吐出ヘッド81は、基板Wに処理液を供給する直前に、上記の吐出ヘッド61と同様のプリディスペンスを待機ポット90の収容部95内に行う。
【0055】
収容部95の底部には廃棄ライン91が接続されている。廃棄ライン91には廃棄バルブ92が介挿されている。廃棄バルブ92を開放することによって、収容部95内の液体を廃棄ライン91を通して外部に排出することができる。
【0056】
待機ポット90の収容部95には洗浄液噴出部96が設けられている。洗浄液噴出部96は収容部95の側壁に固定設置されている。洗浄液噴出部96には、収容部95の内側に向かう複数の噴出孔が設けられている。洗浄液噴出部96には、図外の洗浄液供給機構から洗浄液が供給されるように構成されている。その洗浄液供給機構から供給された洗浄液は、洗浄液噴出部96の噴出孔から収容部95の内側に向けて噴出される。なお、洗浄液噴出部96としては、複数の噴出孔を設けた部材に限定されるものではなく、吐出ノズルなどの液体を噴出することができる公知の種々の機構を採用することができる。
【0057】
待機ポット90の上面であって、収容部95の上部開口近傍には、乾燥ガス噴出部97が設けられている。乾燥ガス噴出部97には、斜め下方である収容部95の上部開口近傍へと向かう複数の噴出孔が設けられている。乾燥ガス噴出部97には、図外の乾燥ガス供給源から乾燥用ガスが供給されるように構成されている。その乾燥ガス供給源から供給された乾燥用ガスは、乾燥ガス噴出部97の噴出孔から収容部95の上部開口近傍に向けて噴出される。なお、乾燥ガス噴出部97としては、複数の噴出孔を設けた部材に限定されるものではなく、ガスノズルなどの気体を噴出することができる公知の種々の機構を採用することができる。
【0058】
さらに、待機ポット90にはアーム乾燥部98が設けられている。アーム乾燥部98は、待機ポット90の上面であって、乾燥ガス噴出部97よりもノズルアーム82の基端側((+X)側)に設けられている。アーム乾燥部98は、上記の乾燥ガス供給源から供給された乾燥用ガスを斜め上方、すなわち待機位置のノズルアーム82に向けて噴出できるように構成されている。なお、アーム乾燥部98としても、気体を噴出することができる公知の種々の機構を採用することができる。
【0059】
一方、上面処理液ノズル60および二流体ノズル80に加えて、回転軸24の内側を挿通するようにして鉛直方向に沿って下面処理液ノズル28が設けられている(図2参照)。下面処理液ノズル28の上端開口は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面中央に対向する位置に形成されている。下面処理液ノズル28にも複数種の処理液が供給されるように構成されている。下面処理液ノズル28から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの下面に着液する。
【0060】
図1,2に示すように、仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であっても良いし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであっても良い。また、仕切板15には、厚さ方向に貫通する貫通孔や切り欠きが形成されていても良く、本実施形態では上面処理液ノズル60および二流体ノズル80の昇降駆動部64,84を支持するための支持軸を通すための貫通穴が形成されている。
【0061】
仕切板15の外周端はチャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
【0062】
また、チャンバー10の側壁11の一部であって、床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に連通接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15と間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
【0063】
基板処理装置1に設けられた制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、基板処理装置1の各動作機構が制御部3に制御され、基板処理装置1における処理が進行する。
【0064】
次に、上記の構成を有する基板処理装置1における動作について説明する。基板処理装置1における一般的な基板Wの処理手順の概略は、基板Wの表面に薬液を供給して所定の薬液処理を行った後、純水を供給して純水リンス処理を行い、その後基板Wを高速回転させて振り切り乾燥処理を行うというものである。基板Wの処理を行う際には、スピンチャック20に基板Wを保持するとともに、処理カップ40が昇降動作を行う。薬液処理を行うときには、例えば外カップ43のみが上昇し、外カップ43の上端部43bと中カップ42の第2案内部52の上端部52bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口が形成される。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル60および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に薬液が供給される。上面処理液ノズル60は、ノズルアーム62を旋回させて吐出ヘッド61をスピンチャック20に水平姿勢に保持されて回転される基板Wの上方の処理位置に移動させ、その吐出ヘッド61から基板Wに薬液を吐出する。供給された薬液は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの薬液処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した薬液は外カップ43の上端部43bによって受け止められ、外カップ43の内面を伝って流下し、外側回収溝51に回収される。
【0065】
また、純水リンス処理を行うときには、例えば、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが上昇し、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲が内カップ41の第1案内部47によって取り囲まれる。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル60および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に純水が供給される。上記と同様に、上面処理液ノズル60は、ノズルアーム62を旋回させて吐出ヘッド61をスピンチャック20に水平姿勢に保持されて回転される基板Wの上方の処理位置に移動させ、その吐出ヘッド61から基板Wに純水を吐出する。供給された純水は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの純水リンス処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した純水は第1案内部47の内壁を伝って流下し、廃棄溝49から排出される。なお、純水を薬液とは別経路にて回収する場合には、中カップ42および外カップ43を上昇させ、中カップ42の第2案内部52の上端部52bと内カップ41の第1案内部47の上端部47bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口を形成するようにしても良い。
【0066】
また、振り切り乾燥処理を行うときには、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが下降し、内カップ41の第1案内部47の上端部47b、中カップ42の第2案内部52の上端部52bおよび外カップ43の上端部43bのいずれもがスピンチャック20に保持された基板Wよりも下方に位置する。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに高速回転され、基板Wに付着していた水滴が遠心力によって振り切られ、乾燥処理が行われる。
【0067】
このような処理液を基板Wに供給しての表面処理を行うときに、回転する基板Wから飛散した処理液が上面処理液ノズル60の吐出ヘッド61に付着する。また、大きく飛散した処理液の一部はノズルアーム62にも付着することがある。また、二流体ノズル80を用いて基板Wの表面処理を行うときには、飛散した処理液が吐出ヘッド81および気体ヘッド85に付着する。これら吐出ヘッド61などに付着した処理液をそのまま放置すると、吐出ヘッド61が処理位置に移動したときに付着した処理液が基板Wの上面に落下(いわゆるボタ落ち)して汚染源となったり、或いは付着した処理液が乾燥してパーティクル発生源となるおそれがある。
【0068】
このため、本実施形態においては、以下のようにして上面処理液ノズル60の吐出ヘッド61の洗浄処理を行っている。このような吐出ヘッド61の洗浄処理を行うタイミングとしては、1枚の基板Wに処理液を吐出する処理が終了して吐出ヘッド61が処理位置から待機位置に帰還する毎に行うことが好ましい。1枚の基板Wを処理する毎に吐出ヘッド61の洗浄処理を行うようにすれば、ある基板Wに処理液を吐出したときに吐出ヘッド61に付着した処理液が次の基板Wを処理するときに汚染源となるのを防止することができる。
【0069】
図7から図10は、上面処理液ノズル60の吐出ヘッド61の洗浄処理の手順を説明する図である。まず、ある基板Wについての上述のような処理が終了し、旋回駆動部63がノズルアーム62を旋回させて処理後の吐出ヘッド61を処理位置から処理カップ40よりも外側の待機位置に移動させる。待機位置には待機ポット70が配置されている。よって、待機位置にまで帰還した吐出ヘッド61は、図7に示すように、待機ポット70の直上にて停止することとなる。この処理直後の吐出ヘッド61およびノズルアーム62の一部には処理中に回転する基板Wから飛散した処理液が付着している。
【0070】
次に、昇降駆動部64がノズルアーム62および吐出ヘッド61を鉛直方向に沿って下降させ、吐出ヘッド61を待機ポット70の収容部75に嵌入させる。そして、図8に示すように、待機ポット70に設けられた洗浄液噴出部76から収容部75に収容された吐出ヘッド61に向けて洗浄液を噴出する。これによって、処理中に吐出ヘッド61に付着した処理液が洗い流される。
【0071】
洗浄液噴出部76から吐出ヘッド61に向けて噴出された洗浄液は洗い流された処理液とともに収容部75内に落下する。収容部75内に落下した洗浄液は、廃棄バルブ72が開放されることによって廃棄ライン71から外部へと排出される。
【0072】
洗浄液噴出部76から洗浄液を所定時間噴出した時点で洗浄液噴出を停止する。そして、図9に示すように、待機ポット70に設けられた乾燥ガス噴出部77から斜め下方である収容部75の上部開口近傍へと向けて乾燥用ガスが噴出される。また、待機ポット70の上面に設けられたアーム乾燥部78からノズルアーム62に向けて乾燥用ガスが噴出される。
【0073】
乾燥ガス噴出部77およびアーム乾燥部78から乾燥用ガスを噴出しつつ、昇降駆動部64がノズルアーム62および吐出ヘッド61を鉛直方向に沿って徐々に上昇させる。これにより、図10に示すように、待機ポット70の収容部75から吐出ヘッド61を引き上げつつ、その引き上げられている吐出ヘッド61に乾燥ガス噴出部77から乾燥用ガスが吹き付けられることとなる。そして、吐出ヘッド61を引き上げつつ、乾燥ガス噴出部77から乾燥用ガスを吹き付けることによって、吐出ヘッド61に付着していた洗浄液を吹き飛ばして乾燥させる。
【0074】
また、アーム乾燥部78から噴出された乾燥用ガスはノズルアーム62に吹き付けられることとなる。これによって、ノズルアーム62に付着していた処理液も乾燥される。
【0075】
ノズルアーム62および吐出ヘッド61が所定の高さ位置まで上昇した時点で昇降駆動部64によるノズルアーム62および吐出ヘッド61の上昇が停止される。そして、スピンチャック20に保持された次の基板Wの処理を行うために、旋回駆動部63がノズルアーム62を旋回させて清浄化された吐出ヘッド61を待機位置から再び処理位置に移動させる。吐出ヘッド61は、待機位置からの移動を開始する直前に、待機ポット70の収容部75にプリディスペンスを行う。
【0076】
また、二流体ノズル80を用いて基板Wの表面処理を行った場合には、その吐出ヘッド81および気体ヘッド85に処理液が付着するため、これらの洗浄処理を行う。二流体ノズル80の吐出ヘッド81および気体ヘッド85の洗浄処理の手順は、上述した上面処理液ノズル60の吐出ヘッド61の洗浄処理手順と概ね同じである。すなわち、処理が終了して待機位置に帰還した吐出ヘッド81および気体ヘッド85を下降させて待機ポット90の収容部95に収容する。そして、待機ポット90に設けられた洗浄液噴出部96から吐出ヘッド81および気体ヘッド85に向けて洗浄液を噴出し、処理中に吐出ヘッド81および気体ヘッド85に付着した処理液を洗い流す。
【0077】
次に、洗浄液噴出部96からの洗浄液噴出を停止し、待機ポット90に設けられた乾燥ガス噴出部97から斜め下方である収容部95の上部開口近傍へと向けて乾燥用ガスを噴出する。続いて、待機ポット90の収容部95から吐出ヘッド81および気体ヘッド85を徐々に引き上げる。その吐出ヘッド81および気体ヘッド85に乾燥ガス噴出部97から乾燥用ガスを吹き付けることによって、吐出ヘッド81および気体ヘッド85に付着していた洗浄液を吹き飛ばして乾燥させる。
【0078】
また、待機ポット90の上面に設けられたアーム乾燥部98からもノズルアーム82に向けて乾燥用ガスが噴出され、これによってノズルアーム82に付着していた処理液も乾燥される。
【0079】
本実施形態においては、基板Wの処理中に上面処理液ノズル60の吐出ヘッド61に処理液が付着したとしても、待機ポット70にてその吐出ヘッド61に洗浄液を噴出して洗浄した後に、待機ポット70に設けられた乾燥ガス噴出部77から吐出ヘッド61に乾燥用ガスを噴出して洗浄液を乾燥させている。このため、吐出ヘッド61に付着した処理液に起因した汚染を防止することができる。
【0080】
また、待機ポット70にて吐出ヘッド61に洗浄液を噴出して洗浄するだけでなく、洗浄後の洗浄液が付着している吐出ヘッド61に乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させている。このため、洗浄後の吐出ヘッド61が処理位置に移動したときに、吐出ヘッド61から基板W上に洗浄液が落下するのを防止することができる。
【0081】
また、待機ポット70の収容部75内にて洗浄液噴出部76から洗浄液を噴出して吐出ヘッド61を洗浄するようにすれば、その洗浄液が待機ポット70の外部に飛散してスピンチャック20などのチャンバー10内の機構に洗浄液が付着するのを防止することができる。
【0082】
また、待機ポット70から吐出ヘッド61を引き上げつつ、乾燥ガス噴出部77から斜め下方に向けて乾燥用ガスを噴出して吐出ヘッド61に吹き付けている。このため、吐出ヘッド61から洗浄液を下方に向けて効率良く吹き飛ばして乾燥させることができる。
【0083】
さらに、待機ポット70の上面に設けられたアーム乾燥部78からノズルアーム62に乾燥用ガスを吹き付け、ノズルアーム62に付着した処理液をも乾燥させている。このため、処理液が付着したノズルアーム62による汚染をも防止することができる。
【0084】
また、二流体ノズル80の吐出ヘッド81および気体ヘッド85を待機ポット90に収容し、それらに洗浄液を噴出して洗浄した後に、乾燥ガス噴出部97から乾燥用ガスを噴出して洗浄液を乾燥させる場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、待機ポット70の洗浄液噴出部76から吐出ヘッド61に向けて洗浄液を噴出して洗浄するようにしていたが、これに代えて、収容部75内に洗浄液を供給して貯留し、その貯留された洗浄液中に吐出ヘッド61を浸漬して洗浄するようにしても良い。また、収容部75内に洗浄液のミストを供給し、それによって吐出ヘッド61を洗浄するようにしても良い。すなわち、待機ポット70の収容部75に収容された吐出ヘッド61に洗浄液を供給して洗浄する形態であれば良い。
【0086】
また、上記実施形態においては、1枚の基板Wを処理する毎に吐出ヘッド61の洗浄処理を行うようにしていたが、1つのロットの処理が終了してから次のロットの処理が開始されるまでの間に吐出ヘッド61の洗浄処理を行うようにしても良い。吐出ヘッド61に付着した処理液に起因した汚染を防止する観点からは1枚の基板Wを処理する毎に吐出ヘッド61の洗浄処理を行うのが好ましいが、スループットを向上させるためにはロット毎に洗浄処理を行った方が有利である。
【0087】
また、基板処理装置1によって処理対象となる基板は半導体基板に限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 基板処理装置
3 制御部
10 チャンバー
11 側壁
15 仕切板
20 スピンチャック
21 スピンベース
22 スピンモータ
28 下面処理液ノズル
40 処理カップ
41 内カップ
42 中カップ
43 外カップ
60 上面処理液ノズル
61,81 吐出ヘッド
62,82 ノズルアーム
63,83 旋回駆動部
64,84 昇降駆動部
70,90 待機ポット
75,95 収容部
76,96 洗浄液噴出部
77,97 乾燥ガス噴出部
78,98 アーム乾燥部
80 二流体ノズル
85 気体ヘッド
86 支持部材
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平姿勢に保持して回転させる基板保持手段と、
前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップと、
前記基板保持手段に保持された基板に処理液を吐出する吐出ヘッドを先端に備えたノズルアームと、
前記基板保持手段に保持された基板の上方の処理位置と前記カップよりも外側の待機位置との間で前記吐出ヘッドが移動するように前記ノズルアームを旋回させる旋回駆動部と、
前記待機位置に配置され、前記吐出ヘッドを収容する待機ポットと、
前記待機ポットに設けられ、前記待機ポットに収容された前記吐出ヘッドに洗浄液を供給して洗浄する洗浄手段と、
前記待機ポットに設けられ、前記洗浄手段によって洗浄された後の前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させる乾燥手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記ノズルアームおよび前記吐出ヘッドを昇降させる昇降駆動部をさらに備え、
前記乾燥手段は、前記昇降駆動部によって前記待機ポットから引き上げられている前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、
前記ノズルアームに乾燥用ガスを吹き付けるアーム乾燥手段を前記待機ポットにさらに設けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
吐出ヘッドを先端に備えたノズルアームを旋回させて前記吐出ヘッドを基板保持手段に略水平姿勢に保持されて回転される基板の上方の処理位置に移動させ、前記吐出ヘッドから前記基板に処理液を吐出する処理工程と、
前記ノズルアームを旋回させて前記吐出ヘッドを前記処理位置から前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップよりも外側の待機位置に帰還させ、前記待機位置に配置された待機ポットに前記吐出ヘッドを収容する帰還工程と、
前記待機ポットに設けられた洗浄手段から前記待機ポットに収容された前記吐出ヘッドに洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程と、
前記待機ポットに設けられた乾燥手段から前記洗浄工程にて洗浄された前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させる乾燥工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
請求項4記載の基板処理方法において、
前記乾燥工程では、前記待機ポットから前記吐出ヘッドを引き上げつつ、前記乾燥手段から前記吐出ヘッドに乾燥用ガスを吹き付けることを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の基板処理方法において、
前記乾燥工程は、前記待機ポットに設けられたアーム乾燥手段から前記ノズルアームに乾燥用ガスを吹き付けるアーム乾燥工程を含むことを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−26381(P2013−26381A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158896(P2011−158896)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】