説明

基板処理装置

【課題】基板とそれに対向する対向部材との間の気流の乱れを抑制できる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3と、基板Wの上面周縁部の一部に向けて処理液を吐出するノズル5と、ノズル5を回転軸線L2まわりに自転させるノズル回転機構35と、ノズル5に処理液を供給する処理液供給機構6と、基板Wの上面に対向する対向面26、および対向面26で開口し、ノズル5が挿入されるノズル挿入孔29を有する遮断板4とを含む。ノズル5は、ノズル5の下面5aに形成された吐出口を有している。ノズル5の吐出口は、回転軸線L2から離れた位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、特許文献1および2に記載されている。この枚葉式の基板処理装置は、半導体ウエハなどの基板の表面の周縁部を処理液によって処理するように構成されている。
【0003】
具体的には、前記枚葉式の基板処理装置は、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックの上方に配置された遮断板と、基板の上面周縁部に向けて処理液を吐出するノズルとを備えている。ノズルは、アームにより支持されている。ノズルおよびアームは、駆動機構によって水平方向および鉛直方向に一体的に移動される。また、遮断板は、スピンチャックに保持された基板の上面に対向する下面と、遮断板を厚み方向に貫通し、遮断板の下面で開口するノズル挿入孔とを有している。ノズル挿入孔は、スピンチャックに保持された基板の上面周縁部に対向する位置に形成されている。ノズル挿入孔の大きさは、ノズル挿入孔の中でノズルが所定量移動できるように設定されている。
【0004】
前記枚葉式の基板処理装置によって基板の表面の周縁部が処理液によって処理されるときには、スピンチャックに保持された基板の上面(表面)に遮断板の下面が近接された状態で、ノズルがノズル挿入孔に挿入される。そして、この状態で、回転状態の基板の上面周縁部に向けてノズルから処理液が吐出される。これにより、基板上面の環状の領域(処理領域)に処理液が供給され、基板の上面周縁部が処理される。また、処理幅(環状の処理領域の内周縁から基板の周端面までの基板に平行な方向への最短距離)が変更されるときは、ノズルが駆動機構によってノズル挿入孔の中で移動され、基板に対する処理液の供給位置(処理液の吹き付け位置)が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−142077号公報
【特許文献2】特開2009−21339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に係る基板処理装置では、処理幅が変更されるときに、ノズルがノズル挿入孔の中で移動される。そのため、ノズル挿入孔の大きさは、ノズルとノズル挿入孔の内壁面との間に比較的大きな隙間が形成されるように設定されている。したがって、スピンチャックに保持された基板の上面と遮断板の下面との間の気流が、この隙間によって乱されるおそれがある。
【0007】
また、基板の処理中に生じた処理液のミストが、基板と遮断板との間の気流の乱れによって、ノズルとノズル挿入孔との隙間を通ってノズル挿入孔の中に入るおそれがある。ノズル挿入孔の中に入ったミストは、たとえば、液滴に変化して基板の上面周縁部に落下する場合がある。さらに、この液滴が、基板の上面周縁部よりも内側の領域(たとえば、デバイス形成領域)に移動して、基板にダメージが加わる場合がある。
【0008】
さらに、処理幅は、ノズル挿入孔内におけるノズルの位置に依存する。ノズルの位置は、駆動機構の移動精度に依存する。しかし、ノズルがアームを介して駆動機構に接続されているので、ノズル挿入孔内におけるノズルの位置を精密に制御するには、非常に高い移動精度が駆動機構に要求される。そのため、処理幅を精密に制御するには、精度の高い部品の使用が必要となり、駆動機構のコストが増加してしまう。その結果、基板処理装置のコストが増加してしまう
そこで、この発明の目的は、基板とそれに対向する対向部材との間の気流の乱れを抑制できる基板処理装置を提供することである。
【0009】
また、この発明の他の目的は、コストの増加が抑制された基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を保持する基板保持機構(3)と、前記基板保持機構に保持された基板の主面を通る所定の回転軸線(L2)まわりに自転できるように構成され、前記回転軸線から離れた位置に配置された吐出口(56a、56b、57a、57b、256a、256b、257a、257b、367)を有し、前記基板保持機構に保持された基板の主面の周縁部の一部に向けて処理液を吐出するノズル(5、205、305、405、805)と、基板に対する処理液の供給位置が当該基板の主面の周縁部に沿って移動するように、前記基板保持機構に保持された基板および前記ノズルを相対移動させる相対移動機構(10)と、前記ノズルを前記回転軸線まわりに自転させるノズル回転機構(35、535、635)と、前記ノズルに処理液を供給する処理液供給機構(6、306)と、前記基板保持機構に保持された基板の主面に対向する対向面(26)、および前記対向面で開口し、前記ノズルが挿入されるノズル挿入孔(29、429、829)を有する対向部材(4、904)とを含む、基板処理装置(1、601、701、901)である。なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
【0011】
この構成によれば、対向部材の対向面が基板保持機構に保持された基板の主面に対向され、かつ対向部材に設けられたノズル挿入孔にノズルが挿入されている状態で、処理液供給機構からノズルに供給された処理液が、スピンチャックに保持された基板の主面の周縁部に向けてノズルから吐出される。さらに、ノズルから処理液が吐出されている状態で、基板保持機構に保持された基板およびノズルが、相対移動機構によって相対移動される。基板に対する処理液の供給位置(処理液の吹き付け位置)は、基板およびノズルの相対移動によって、基板の主面の周縁部に沿って移動する。したがって、基板に供給された処理液が基板の主面に沿って外方(基板の中心から離れる方向)に広がっていくように基板処理装置が構成されている場合には、基板に対する処理液の供給位置およびその外側の領域を含む環状の領域(処理領域)に処理液が供給される。これにより、基板の主面が対向部材の対向面によって覆われた状態で、基板の主面の周縁部が処理される。
【0012】
処理幅(環状の処理領域の内周縁から基板の周端面までの基板に平行な方向への最短距離)の調整は、ノズルの自転により行われる。具体的には、ノズルは、基板保持機構に保持された基板の主面を通る所定の回転軸線まわりに自転できるように構成されている。ノズルの吐出口は、回転軸線から離れた位置に配置されている。ノズルがノズル回転機構によって自転されると、基板に対する処理液の供給位置が、基板の中心から離れる方向または基板の中心に近づく方向に移動する。したがって、処理幅は、ノズルの回転によって調整される。
【0013】
このように、処理幅がノズルの回転によって調整されるため、ノズル挿入孔内でのノズルの移動により処理幅が調整される従来の構成のような大きな隙間が、ノズルとノズル挿入孔の内壁面との間に必要とされない。これにより、基板と対向部材との間の気流の乱れが抑制される。したがって、ノズル挿入孔内への処理液のミストの進入が抑制される。さらに、処理幅は回転軸線まわりのノズルの回転角に依存するので、ノズルを自転させるための簡単な構成で高精度な調整が可能である。したがって、ノズル挿入孔内でのノズルの移動により処理幅が調整される従来の構成に比べて、処理幅を調整するための機構(ノズル回転機構)が簡素化される。これにより、基板処理装置のコストが低減される。
【0014】
前記相対移動機構は、前記基板保持機構に保持された基板のみ、または前記ノズルのみを移動させるように構成されていてもよいし、前記基板および前記ノズルの両方を移動させるように構成されていてもよい。また、前記相対移動機構は、前記基板保持機構に保持された基板の主面を通る軸線まわりに当該基板を回転させる基板回転機構(10)を含んでいてもよい。この場合、基板の主面の周縁部に供給された処理液は、基板の回転による遠心力によって外方に広がっていく。したがって、ノズルから吐出された処理液は、基板に対する処理液の供給位置およびその外側の領域を含む環状の領域(処理領域)に供給される。
【0015】
また、前記ノズルは、前記基板保持機構に保持された基板の主面の周縁部に対して垂直に処理液が吹き付けられるように構成された垂直ノズル(5、205、305、405)を含んでいてもよいし、前記基板の主面の周縁部に対して斜めに処理液が吹き付けられるように構成された傾斜ノズル(805)を含んでいてもよい。具体的には、前記傾斜ノズルは、前記基板保持機構に保持された基板の主面の周縁部に対して、前記基板の中心から離れる方向に斜めに処理液が吹き付けられるように構成されていてもよい。この場合、基板に吹き付けられた処理液は、基板の主面に沿って外方に広がっていく。したがって、前記傾斜ノズルから吐出された処理液は、基板に対する処理液の供給位置およびその外側の領域を含む環状の領域(処理領域)に供給される。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記処理液供給機構は、前記ノズルに薬液およびリンス液を含む複数種の処理液を供給するように構成されており、前記基板処理装置は、前記ノズル回転機構を制御して、基板に対する薬液の供給位置よりも基板の中心側にリンス液が供給されるように、前記ノズルの回転角を制御する回転角制御装置(66)をさらに含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0017】
この構成によれば、薬液およびリンス液を含む複数種の処理液が、処理液供給機構からノズルに供給される。これにより、薬液およびリンス液を含む複数種の処理液が、ノズルの吐出口から吐出され、基板の主面の周縁部に供給される。また、回転角制御装置によりノズル回転機構が制御されることにより、回転軸線まわりのノズルの回転角が、基板に対する薬液の供給位置よりも基板の中心側にリンス液が供給されるように調整される。したがって、基板に供給された処理液が基板の主面に沿って外方に広がっていくように基板処理装置が構成されている場合には、薬液が基板に供給された後にリンス液が基板に供給されることにより、薬液が供給された全ての領域(基板の主面の一部)にリンス液が供給される。これにより、基板に付着している薬液がリンス液によって確実に洗い流される。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記吐出口は、前記ノズルの回転方向(D1)に配列された薬液吐出口(56a、57a、256a、257a)およびリンス液吐出口(56b、57b、256b、257b)を含む、請求項2記載の基板処理装置である。
この構成によれば、薬液吐出口およびリンス液吐出口が、ノズルの回転方向に配列されている。すなわち、薬液吐出口およびリンス液吐出口は、回転軸線に直交する平面上において、回転軸線上に中心を有する円周上に配置されている。したがって、薬液吐出口およびリンス液吐出口のそれぞれが基板の中心に最も近づく位置(近接位置)が一致している。同様に、薬液吐出口およびリンス液吐出口のそれぞれが基板の中心から最も離れる位置(離間位置)が一致している。そのため、薬液処理およびリンス処理のいずれの処理においても、広く、かつ互いに等しい調整範囲(処理幅の調整範囲)が確保される。また、近接位置以外の位置で薬液吐出口から薬液が吐出されれば、基板に対する薬液の供給位置よりも基板の中心側にリンス液を供給することができる。これにより、薬液が供給された全ての領域(基板の主面の一部)にリンス液が供給され、基板に付着している薬液がリンス液によって確実に洗い流される。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記処理液供給機構は、前記ノズルに第1薬液および第2薬液を含む複数種の処理液を供給するように構成されており、前記吐出口は、前記第1薬液を吐出する第1薬液吐出口(56a、256a)と、前記第2薬液を吐出する第2薬液吐出口(57a、257a)とを含み、前記ノズルは、前記第1薬液吐出口に接続された第1薬液流路(52)と、前記第2薬液吐出口に接続され、前記第1薬液流路とは独立して設けられた第2薬液流路(54)とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0020】
この構成によれば、第1薬液および第2薬液を含む複数種の処理液が、処理液供給機構からノズルに供給される。ノズルに供給された第1薬液は、第1薬液流路を通って第1薬液吐出口に供給される。また、ノズルに供給された第2薬液は、第2薬液流路を通って第2薬液吐出口に供給される。第1薬液流路および第2薬液流路は、互いに独立して設けられているから、ノズルに供給された第1薬液および第2薬液が、ノズル内で混ざり合うことはない。したがって、薬液の種類が切り替えられるときに、たとえば、種類の異なる薬液の混ざり合いを防ぐための流路の洗浄が不要である。したがって、このような処理を経ることなく、薬液の種類が切り替えられる。これにより、第1薬液および第2薬液の両方の薬液を用いて基板を処理するときの処理時間が短縮される。
【0021】
請求項5記載の発明は、前記ノズル挿入孔の内壁面(51、451)の一部と、前記ノズル挿入孔に挿入された前記ノズルの一部との間を前記対向面近傍において非接触でシールする非接触シール構造をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装である。
この構成によれば、対向部材の対向面近傍において、ノズル挿入孔の内壁面とノズルとの間とが非接触でシールされる。したがって、ノズルとノズル挿入孔との隙間への流体の進入がさらに抑制される。これにより、基板と対向部材との間の気流の乱れがさらに抑制される。また、ノズル挿入孔とノズルとの間とが非接触でシールされるから、ノズル挿入孔に挿入されている状態でノズルが回転されるときに、ノズルの一部がノズル挿入孔の内壁面の一部に摺動することはない。これにより、摺動による異物(たとえば、パーティクル)の発生が防止される。さらに、対向部材の対向面近傍において、ノズル挿入孔の内壁面の一部とノズルの一部との間とがシールされるから、シールされる部分以外の部分が高い寸法精度で加工されていなくてもよい。これにより、ノズル挿入孔およびノズルの製造コストが低減される。
【0022】
請求項6記載の発明は、前記ノズルは、前記回転軸線上に位置する中心軸線(L2)、および前記吐出口が形成された端面(5a)を有する円柱状ノズル(5、205、305、405、805)を含み、前記ノズル挿入孔の内壁面(51、451)は、全周にわたって前記円柱状ノズルの外周面に近接するように形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0023】
この構成によれば、ノズルが、円柱状であり、中心軸線まわりに回転される。処理液供給機構からノズルに供給された処理液は、ノズルがノズル挿入孔に挿入されている状態で、ノズルの端面に形成された吐出口から吐出される。ノズルがノズル挿入孔に挿入されている状態では、ノズル挿入孔の内壁面がノズルの外周面に近接しているから、ノズルとノズル挿入孔との隙間への流体の進入がさらに抑制される。また、ノズルが円柱状であり、中心軸線まわりに回転されるから、ノズルが回転されても、ノズルとノズル挿入孔との隙間の大きさが殆ど変化しない。したがって、回転軸線まわりのノズルの回転角がどのような値であっても、気流の乱れが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置に備えられた遮断板の底面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るスピンチャックおよびこれに関連する構成の平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る支持ピンおよびこれに関連する構成の側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る支持ピンおよびこれに関連する構成の側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るノズルが処理位置にある状態でのノズルおよびこれに関連する構成の部分断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るノズルが処理位置にある状態でのノズルの下面および遮断板の下面の一部を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置による基板の処理の一例を説明するための工程図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るノズルが処理位置にある状態でのノズルの下面および遮断板の下面の一部を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るノズルが処理位置にある状態でのノズルの下面および遮断板の下面の一部を示す図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るノズルが処理位置にある状態でのノズルおよびこれに関連する構成の部分断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係るノズル回転機構およびこれに関連する構成の側面図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る基板処理装置の一部の側面図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係る基板処理装置の一部の側面図である。
【図16】本発明の第8実施形態に係るノズルが処理位置にある状態でのノズルおよびこれに関連する構成の部分断面図である。
【図17】本発明の第9実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1に備えられた遮断板4の底面図である。以下では、図1を参照して、基板処理装置1の概略構成について説明する。また、以下の説明において、図2を適宜参照する。
【0026】
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円形の基板Wを処理するための装置である。基板処理装置1は、デバイス形成面である基板Wの表面の周縁部、非デバイス形成面である基板Wの裏面、および基板Wの周端面を処理するように構成された装置である。基板処理装置1は、図示しない隔壁で区画された処理室2内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3(基板保持機構)と、スピンチャック3の上方に配置された遮断板4(対向部材)と、基板Wの上面周縁部に向けて処理液を吐出する2つのノズル5(円柱状ノズル)と、ノズル5に処理液を供給する処理液供給機構6とを備えている。
【0027】
スピンチャック3は、鉛直に延びる回転軸7と、回転軸7の上端に水平に取り付けられた円盤状のスピンベース8と、スピンベース8上に配置された複数の支持ピン9と、回転軸7に結合されたチャック回転機構10(相対移動機構)とを備えている。複数の支持ピン9は、スピンベース8の上面周縁部においてスピンベース8の周方向に等間隔を空けて配置されている(図3参照)。スピンチャック3は、複数の支持ピン9の上端部を基板Wの下面周縁部に当接させることにより、スピンベース8の上方で基板Wを水平に支持するように構成されている。後述するように、複数の支持ピン9に支持された基板Wは、遮断板4から吹きつけられる気体によって複数の支持ピン9に押しつけられる。そして、この状態で、チャック回転機構10の駆動力が回転軸7に入力される。これにより、複数の支持ピン9に支持された基板Wが、複数の支持ピン9との間に生じる摩擦力によって複数の支持ピン9と一体回転する。これにより、複数の支持ピン9に支持された基板Wが、鉛直軸線(回転中心L1)まわりに回転される。チャック回転機構10は、モータなどのアクチュエータを含む。チャック回転機構10は、アクチュエータに加えて、歯車機構やプーリ・ベルト機構などの伝達機構を備えていてもよい。
【0028】
また、各支持ピン9は、鉛直に延びるロッド11と、ロッド11の上端部に連結された第1支持部12と、ロッド11を取り囲む筒状のベローズ13と、ロッド11および第1支持部12を一体的に昇降させるピン昇降機構14とを含む。各第1支持部12は、基板Wの下面周縁部に点接触するように構成されている。各第1支持部12は、対応するピン昇降機構14によって、支持位置と、支持位置の真下の位置である退避位置との間で鉛直方向に昇降される。各第1支持部12の支持位置は、同じ高さであり、各第1支持部12の退避位置は、同じ高さである。複数の支持ピン9により支持された基板Wは、複数の支持ピン9が同期して昇降されることにより、スピンベース8の上方で鉛直方向に昇降される。複数の支持ピン9は、それぞれ3つ以上の支持ピン9により構成される第1支持ピン群9aおよび第2支持ピン群9bに二分される(図3参照)。第1支持ピン群9aを構成する複数の支持ピン9は、同期して昇降される。同様に、第2支持ピン群9bを構成する複数の支持ピン9は、同期して昇降される。第1支持ピン群9aを構成する複数の支持ピン9と、第2支持ピン群9bを構成する複数の支持ピン9とは、スピンベース8の周方向に交互に配置されている。
【0029】
また、回転軸7は中空に形成されている。下側処理液供給管15は、回転軸7の内周を挿通している。筒状の下側気体供給路16は、回転軸7の内周面と下側処理液供給管15の外周面との間に形成されている。下側気体供給路16の上端は、スピンベース8の上面中央部に位置する環状の下側気体吐出口17を形成している。また、下面ノズル18は、下側処理液供給管15の上端に連結されている。下面ノズル18の吐出口18aは、スピンベース8の上方に配置されている。下面ノズル18は、吐出口18aが複数の支持ピン9により支持された基板Wの下面中央部に対向するように構成されている。
【0030】
また、下側薬液供給管19および下側リンス液供給管20は、下側処理液供給管15に接続されている。下側薬液バルブ21および下側リンス液バルブ22は、それぞれ、下側薬液供給管19および下側リンス液供給管20に介装されている。薬液およびリンス液は、それぞれ下側薬液供給管19および下側リンス液供給管20を介して下側処理液供給管15に供給される。薬液およびリンス液は、下側薬液バルブ21および下側リンス液バルブ22の開閉が制御されることにより選択的に下側処理液供給管15に供給される。下面ノズル18は、下側処理液供給管15から供給された薬液またはリンス液を基板Wの下面中央部に向けて吐出するように構成されている。
【0031】
下側処理液供給管15に供給される薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。また、下側処理液供給管15に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール)、HFE(ハイドロフロロエーテル)や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0032】
また、下側気体供給管23は、下側気体供給路16に接続されている。下側気体バルブ24は、下側気体供給管23に介装されている。気体の一例である窒素ガスは、下側気体供給管23を介して下側気体供給路16に供給される。そして、下側気体供給路16に供給された窒素ガスは、下側気体吐出口17から吐出される。下側気体吐出口17から吐出された窒素ガスは、スピンベース8の上面中央部と下面ノズル18との間を通って、スピンベース8の上方を放射状に広がっていく。下側気体供給路16への窒素ガスの供給は、下側気体バルブ24の開閉により制御される。下側気体供給路16に供給される気体は、窒素ガスに限らず、窒素ガス以外の不活性ガス、乾燥空気、清浄空気であってもよい。
【0033】
遮断板4は、中空に形成された円板状の部材である。遮断板4は、中空に形成された支軸25の下端に水平な姿勢で連結されている。遮断板4の内部空間は、支軸25の内部空間に連通している。図2に示すように、遮断板4の中心軸線は、スピンチャック3の回転中心L1上に配置されている。遮断板4は、円形で平坦な下面26(対向面)と、遮断板4の下面26に形成された複数の気体吐出口27と、遮断板4の内部に設けられた流通空間28と、遮断板4の周縁部に形成された2つのノズル挿入孔29とを含む。遮断板4の下面26は、基板Wとほぼ同じ直径、あるいは基板Wよりも少し大きい直径を有している。遮断板4は、遮断板4の下面26が水平になるように配置されている。遮断板4は、遮断板4の下面26がスピンチャック3に保持された基板Wの上面に対向するように構成されている。
【0034】
また、図2に示すように、複数の気体吐出口27は、遮断板4の中心軸線上に中心を有する所定の円周上で間隔を空けて配置されている。各気体吐出口27は、遮断板4の径方向に関して中央部よりも外側に配置されている。各気体吐出口27は、それぞれ、流通空間28に連通している。また、流通空間28は、対応する連通路30を介して各ノズル挿入孔29に連通している。各ノズル挿入孔29は、遮断板4の周縁部を遮断板4の厚み方向(図1では上下方向)に貫通している。後述するように、2つのノズル5は、それぞれ、2つのノズル挿入孔29に挿入される。図2に示すように、2つのノズル挿入孔29は、遮断板4の中心軸線に関して対称に配置されている。これにより、遮断板4の重心の偏りが防止されている。
【0035】
また、上側気体供給管31は、支軸25の上端部に接続されている。上側気体バルブ32は、上側気体供給管31に介装されている。気体の一例である窒素ガスは、上側気体供給管31を介して支軸25に供給される。そして、支軸25に供給された窒素ガスは、遮断板4の流通空間28を介して複数の気体吐出口27から下方に吐出される。また、遮断板4の流通空間28に供給された窒素ガスは、各連通路30を介して各ノズル挿入孔29に供給される。各ノズル挿入孔29に供給された窒素ガスは、各ノズル挿入孔29の上端および下端からそれぞれ上方および下方に吐出される。複数の支持ピン9によって基板Wが支持されており、かつ遮断板4が近接位置(図1に示す位置)にある状態で、複数の気体吐出口27から窒素ガスが吐出されると、当該基板Wは、遮断板4から吹きつけられる窒素ガスによって各支持ピン9に押しつけられる。遮断板4に供給される気体は、窒素ガスに限らず、窒素ガス以外の不活性ガス、乾燥空気、清浄空気であってもよい。
【0036】
また、遮断板昇降機構33および遮断板回転機構34は、支軸25に結合されている。支軸25および遮断板4は、遮断板昇降機構33の駆動力が支軸25に入力されることにより、遮断板4の下面26がスピンチャック3に保持された基板Wの上面に近接する近接位置と、遮断板4がスピンチャック3の上方に大きく退避した退避位置との間で一体的に昇降される。また、支軸25および遮断板4は、遮断板回転機構34の駆動力が支軸25に入力されることにより、スピンチャック3の回転中心L1まわりに一体的に回転される。遮断板回転機構34は、遮断板4の回転角を精密に制御できるように構成されている。遮断板回転機構34は、たとえば、サーボモータを含む。遮断板回転機構34は、たとえば、遮断板4の回転が基板Wの回転と同期するように、または基板Wの回転速度とは異なる速度で遮断板4が回転するように制御されてもよい。また、遮断板回転機構34は省略されてもよく、遮断板4は、非回転状態で固定されていてもよい。
【0037】
各ノズル5は、たとえば、円柱状に形成されている。各ノズル5は、鉛直に配置されている。各ノズル5は、処理液供給機構6から供給された処理液をノズル5の下面5a(端面)に形成された吐出口から下に吐出するように構成されている。各ノズル5の上端部は、対応するノズル回転機構35に連結されている。また、各ノズル回転機構35は、対応するノズルアーム36に連結されている。各ノズル5は、対応するノズルアーム36によって支持されている。各ノズル5は、対応するノズル回転機構35によって、ノズル5の中心軸線L2(回転軸線)まわりに回転される。各中心軸線L2は、スピンチャック3に保持された基板Wの上面を通る鉛直な軸線である。各ノズル回転機構35は、モータなどのアクチュエータを含む。
【0038】
また、各ノズルアーム36は、対応するアーム回転機構37に連結されている。各アーム回転機構37は、対応するアーム昇降機構38に連結されている。各アーム回転機構37は、スピンチャック3の周囲に設けられた鉛直な回動軸線L3まわりに対応するノズルアーム36を回動させるように構成されている。また、各アーム昇降機構38は、対応するノズルアーム36を鉛直方向に昇降させるように構成されている。各ノズルアーム36が回動軸線L3まわりに回動されることにより、各ノズル5が水平移動される。また、各ノズルアーム36が鉛直方向に昇降されることにより、各ノズル5が鉛直方向に移動される。
【0039】
各ノズル5は、対応するアーム回転機構37によって、退避位置と中間位置(図1において二点鎖線で示す位置)との間で水平移動される。また、各ノズル5は、対応するアーム昇降機構38によって、中間位置と処理位置(図1において実線で示す位置)との間で鉛直方向に移動される。退避位置は、スピンチャック3および遮断板4から大きく離れた位置である。また、中間位置は、遮断板4の真上の位置である。また、処理位置は、各ノズル5がノズル挿入孔29内に配置され、かつ、各ノズル5の下面5aが遮断板4の下面26と同一平面上に配置される位置である。各ノズル5が処理位置に配置されるとき、遮断板4は、遮断板回転機構34によって回転されて、ノズル挿入位置(図1に示す位置)に配置される。ノズル挿入位置は、2つのノズル挿入孔29がそれぞれ2つのノズル5の中間位置の真下にくる位置である。各ノズル5は、遮断板4がノズル挿入位置に配置された状態で降下される。これにより、各ノズル5が対応するノズル挿入孔29に入り込んで、各ノズル5が処理位置に配置される。
【0040】
また、各ノズル5は、退避位置から中間位置に移動されるときに、たとえば、当該ノズル5や対応するノズルアーム36がストッパ39に当接されることにより、中間位置に位置決めされる。図1では、一方のノズル5に対応するストッパ39のみが示されている。各ストッパ39の位置は、対応するノズル5が精度よく中間位置に位置決めされるように設定されている。したがって、各アーム回転機構37は、ノズル5またはノズルアーム36をストッパ39に当接させることができるように構成されていれば、ノズル5を精度よく中間位置に配置させる高い移動精度が要求されない。これにより、アーム回転機構37の構造が簡素化され、アーム回転機構37のコストが低減される。
【0041】
図3は、スピンチャック3およびこれに関連する構成の平面図である。また、図4および図5は、それぞれ、支持ピン9およびこれに関連する構成の側面図である。図4は、支持ピン9が支持位置にある状態を示しており、図5は、支持ピン9が退避位置にある状態を示している。
基板処理装置1は、基板Wを所定位置に位置決めするように構成された位置決め機構40をさらに備えている。図3に示すように、位置決め機構40は、スピンベース8上に配置された2つの固定ピン41および2つのストッパ42と、押圧ブロック43と、ブロック移動機構44とを含む。2つの固定ピン41および2つのストッパ42は、それぞれ、スピンベース8の上面周縁部において隣接する支持ピン9の間に配置されている。一方の固定ピン41は、一方のストッパ42に対して、回転軸線まわりの位相が概ね180度異なる位置に配置されている。同様に、他方の固定ピン41は、他方のストッパ42に対して、回転軸線まわりの位相が概ね180度異なる位置に配置されている。
【0042】
各固定ピン41は、当該固定ピン41の上端部に設けられた第2支持部45を有している。また、図3に示すように、各ストッパ42は、当該ストッパ42の上端部に設けられた第3支持部46と、基板Wの周端面に当接されるストッパ面47とを有している。各第2支持部45および各第3支持部46は、同じ高さで基板Wの下面周縁部に点接触するように構成されている。2つの第2支持部45および2つの第3支持部46は、基板Wの下面周縁部に当接することにより協働して基板Wを支持するように構成されている。また、各ストッパ面47は、2つの固定ピン41および2つのストッパ42に支持された基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置されているときに、当該基板Wの周端面に当接する位置に設けられている。したがって、2つの固定ピン41および2つのストッパ42に支持された基板Wの周端面が2つのストッパ面47に当接されることにより、当該基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置される。
【0043】
図4に示すように、各第2支持部45の上端位置は、支持位置に配置された各第1支持部12の上端位置より低い。また、図5に示すように、各第2支持部45の上端位置は、退避位置に配置された各第1支持部12の上端位置より高い。図示はしないが、各第3支持部46の上端位置も、各第2支持部45と同様に、支持位置に配置された各第1支持部12の上端位置より低く、かつ退避位置に配置された各第1支持部12の上端位置より高い。したがって、図4および図5を併せて参照すると分かるように、複数の支持ピン9が同期して昇降されることにより、複数の支持ピン9と2つの固定ピン41および2つのストッパ42との間で基板Wの受け渡しが行われる。
【0044】
また、押圧ブロック43は、たとえば、円柱状に形成されている。押圧ブロック43は、スピンベース8よりも高い位置で鉛直に配置されている。押圧ブロック43は、ブロック移動機構44によって、当接位置(図3において二点鎖線で示す位置)と非当接位置(図3において実線で示す位置)との間で水平移動される。当接位置は、2つの固定ピン41および2つのストッパ42に支持された基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置されているときに、押圧ブロック43の外周面が基板Wの周端面に当接する位置である。また、非当接位置は、当接位置よりもスピンチャック3の回転中心L1から離れた位置である。2つの固定ピン41および2つのストッパ42に支持された基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1に対してずれている状態で、押圧ブロック43が非当接位置から当接位置に移動されると、基板Wが押圧ブロック43によって2つのストッパ面47の方へ水平に押される。
【0045】
図示しない搬送ロボットからスピンチャック3に基板Wが渡されるとき、たとえば、全ての支持ピン9が予め退避位置に配置される。そして、この状態で、スピンチャック3に基板Wが渡される。すなわち、2つの固定ピン41および2つのストッパ42に基板Wが載置される。基板Wが載置された後は、押圧ブロック43がブロック移動機構44によって当接位置に向けて水平移動させられる。このとき、基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1に対してずれていれば、押圧ブロック43が基板Wの周端面に当接して、基板Wが水平に押される。そして、基板Wの周端面が2つのストッパ面47に当接するまで基板Wが水平に移動される。これにより、基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置される。そして、押圧ブロック43が非当接位置まで戻された後、複数の支持ピン9が支持位置まで上昇される。2つの固定ピン41および2つのストッパ42に支持された基板Wは、複数の支持ピン9が支持位置まで上昇される過程で、当該複数の支持ピン9に支持される。これにより、基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置された状態で、当該基板Wが複数の支持ピン9により支持される。
【0046】
図6は、ノズル5が処理位置にある状態でのノズル5およびこれに関連する構成の部分断面図である。また、図7は、ノズル5が処理位置にある状態でのノズル5の下面5aおよび遮断板4の下面26の一部を示す図である。
前述のように、各ノズル5は、円柱状に形成されている。具体的には、各ノズル5は、当該ノズル5の下端部49の外径が他の部分の外径よりも小さくなるように形成されている。各ノズル5は、概ね一定の外径を有する円柱状の主体部48と、主体部48の外径よりも小さな外径を有する円柱状の下端部49とを含む。主体部48の下端および下端部49の上端は、同軸的に連結されている。各ノズル5は、下端部の外径が相対的に小さくなるように階段状に折れ曲がった円筒状の外周面5bを有している。各ノズル挿入孔29は、ノズル5の外周面5bに対応する円筒状に形成された内壁面51を有している。すなわち、各ノズル挿入孔29は、下端部の外径が相対的に小さくなるように階段状に折れ曲がった円筒状の内壁面51を有している。各ノズル挿入孔29の内壁面51は、概ね一定の直径を有する円筒状の大径部51aと、大径部51aよりも小さい直径を有する円筒状の小径部51bと、大径部51aの下端と小径部51bの上端とを全周にわたって連結する環状の連結部51cとを含む。
【0047】
各ノズル5が処理位置に配置されているとき、各ノズル挿入孔29の内壁面51は、いずれの場所においてもノズル5の外周面5bに近接している。またこのとき、下端部の外径が相対的に小さくなるように階段状に折れ曲がった円筒状の微小隙間G1が、各ノズル挿入孔29の内壁面51と対応するノズル5の外周面5bとの間に形成されている。すなわち、各ノズル挿入孔29の大径部51aおよび小径部51bは、それぞれ、対応するノズル5の主体部48および下端部49を取り囲んでいる。また、各ノズル挿入孔29の連結部51cの内周部は、対応する主体部48の下面50の外周部に対向している。各小径部51bと対応するノズル5の下端部49との隙間、および各連結部51cと対応する主体部48の下面50との隙間は、たとえば、各大径部51aと対応するノズル5の主体部48との隙間よりも小さい。微小隙間G1に対して下から進入した流体は、階段状に折れ曲がった微小隙間G1の下端部によって減速されて、微小隙間G1の下端部またはその近傍に留められる。このようにして、各ノズル5の一部と対応するノズル挿入孔29の内壁面51の一部との間が非接触でシールされている。すなわち、この実施形態では、各ノズル挿入孔29の内壁面51の下端部(大径部51aの下端部、小径部51b、および連結部51c)および対応するノズル5の下端部49を含む非接触シール構造が設けられている。
【0048】
また、各ノズル5は、複数の処理液流路と、複数の処理液吐出口とを備えている。図6に示すように、前記複数の処理液流路は、ノズル5の内部においてそれぞれ独立して設けられた第1薬液流路52、第1リンス液流路53、第2薬液流路54、および第2リンス液流路55を含む。また、前記複数の処理液吐出口は、二対の薬液吐出口およびリンス液吐出口を含む。一方の対の薬液吐出口およびリンス液吐出口は、第1薬液吐出口56a(吐出口、薬液吐出口)および第1リンス液吐出口56b(吐出口、リンス液吐出口)であり、他方の対の薬液吐出口およびリンス液吐出口は、第2薬液吐出口57a(吐出口、薬液吐出口)および第2リンス液吐出口57b(吐出口、リンス液吐出口)である。第1薬液流路52、第1リンス液流路53、第2薬液流路54、および第2リンス液流路55は、それぞれ、第1薬液吐出口56a、第1リンス液吐出口56b、第2薬液吐出口57a、および第2リンス液吐出口57bに接続されている。各流路52〜55は、対応する吐出口56a、56b、57a、57bからたとえば真下に処理液が吐出されるように構成されている。
【0049】
また、図7に示すように、各ノズル5は、円形の下面5aを有している。各ノズル5の4つの吐出口(第1薬液吐出口56a、第1リンス液吐出口56b、第2薬液吐出口57a、および第2リンス液吐出口57b)は、それぞれ、ノズル5の下面5aの周縁部に配置されている。各ノズル5の4つの吐出口は、ノズル5の下面5a(中心軸線L2に直交する平面)上において、中心軸線L2上に中心を有する円周上に配置されている。各ノズル5の4つの吐出口は、第1リンス液吐出口56b、第1薬液吐出口56a、第2薬液吐出口57a、第2リンス液吐出口57bの順番でノズル5の周方向D1(ノズル5の回転方向)に配列されている。対を形成する薬液吐出口およびリンス液吐出口は、互いに近接している。また、一方の対の薬液吐出口およびリンス液吐出口と、他方の対の薬液吐出口およびリンス液吐出口とは、ノズル5の周方向D1に離れて配置されている。
【0050】
また、図6に示すように、処理液供給機構6は、第1薬液供給管58、第1リンス液供給管59、第2薬液供給管60、および第2リンス液供給管61と、第1薬液供給管58、第1リンス液供給管59、第2薬液供給管60、および第2リンス液供給管61にそれぞれ介装された第1薬液バルブ62、第1リンス液バルブ63、第2薬液バルブ64、および第2リンス液バルブ65とを含む。第1薬液供給管58内の第1薬液は、第1薬液流路52を介して第1薬液吐出口56aに供給される。また、第2薬液供給管60内の第2薬液は、第2薬液流路54を介して第2薬液吐出口57aに供給される。第1および第2薬液は、互いに異なる種の薬液である。また、第1リンス液供給管59内を流れるリンス液は、第1リンス液流路53を介して第1リンス液吐出口56bに供給される。また、第2リンス液供給管61内を流れるリンス液は、第2リンス液流路55を介して第2リンス液吐出口57bに供給される。各供給管58〜61から対応する吐出口56a、56b、57a、57bへの処理液を供給は、各バルブ62〜65の開閉により制御される。
【0051】
第1薬液および第2薬液としては、それぞれ、エッチング液、無機薬液、有機薬液、ポリマー除去液などを例示することができる。具体的には、第1薬液および第2薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、リン酸、酢酸、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。また、ノズル5に供給されるリンス液としては、純水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール)、HFE(ハイドロフロロエーテル)や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0052】
各ノズル5が処理位置にある状態でいずれかの吐出口(各ノズル5の4つの吐出口のいずれか)から処理液を吐出させながら、スピンチャック3によって基板Wを回転させると、基板Wの上面周縁部の全周に処理液が供給される。また、このとき基板Wに供給された処理液は、基板Wの回転による遠心力を受けて外方に広がっていく。したがって、回転状態の基板Wの上面周縁部に向けて各ノズル5から処理液を吐出させると、基板Wに対する処理液の供給位置(処理液が吹き付けられる位置)およびその外側を含む環状の領域(処理領域)に処理液が供給される。これにより、基板Wの上面周縁部が処理される。
【0053】
また、各ノズル5が、中心軸線L2まわりに回転されると、各ノズル5の4つの吐出口が、中心軸線L2まわりに回転して、スピンチャック3の回転中心L1から各吐出口までの距離が変化する。各ノズル5の各吐出口は、スピンチャック3の回転中心L1に最も近づく位置(近接位置)と、スピンチャック3の回転中心L1から最も離れる位置(離間位置)との間で移動される。各ノズル5の各吐出口の近接位置および離間位置は、中心軸線L2まわりに180度位相が異なる位置である。基板Wの上面周縁部に対する処理液の供給位置は、中心軸線L2まわりのノズル5の回転により変更される。これにより、基板Wの上面周縁部において処理液によって処理される環状の処理領域の幅(処理幅)が変更される。処理幅とは、環状の処理領域の内周縁から基板Wの周端面までの基板Wに平行な方向への最短距離である。
【0054】
図8は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、制御装置66(回転角制御装置)を備えている。制御装置66は、チャック回転機構10、ピン昇降機構14、遮断板昇降機構33、遮断板回転機構34、ノズル回転機構35、アーム回転機構37、アーム昇降機構38、ブロック移動機構44などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられた各バルブの開閉は、制御装置66によって制御される。
【0055】
図9は、基板処理装置1による基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。
以下では、図1、図3、図6および図9を参照して、表面に形成された複数枚の薄膜を有する基板W(半導体ウエハ)を処理するときの処理の一例について説明する。具体的には、基板Wの表面に形成された薄膜の周縁部をエッチングして除去するとともに、基板Wの裏面および周端面を洗浄するときの処理の一例について説明する。
【0056】
未処理の基板Wは、遮断板4などの処理室2内の構成がそれぞれの退避位置に配置された状態で、図示しない搬送ロボットによって処理室2に搬入され、表面をたとえば上に向けて2つの固定ピン41および2つのストッパ42に載置される(ステップS1)。そして、制御装置66によりブロック移動機構44が制御されて、押圧ブロック43が当接位置に向けて水平移動させられる。このとき、基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1に対してずれていれば、押圧ブロック43が当接位置に移動する過程で基板Wが水平に押されて、基板Wの周端面が2つのストッパ面47に当接される。これにより、基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置される(ステップS2)。
【0057】
次に、制御装置66によりブロック移動機構44が制御されて、押圧ブロック43が非当接位置に向けて水平移動させられる。その後、制御装置66によりピン昇降機構14が制御されて、複数の支持ピン9が支持位置まで上昇される(ステップS3)。2つの固定ピン41および2つのストッパ42に支持された基板Wは、複数の支持ピン9が支持位置まで上昇される過程で、当該複数の支持ピン9に支持される。これにより、基板Wの中心がスピンチャック3の回転中心L1上に配置された状態で、当該基板Wが複数の支持ピン9により支持される。
【0058】
次に、制御装置66により上側気体バルブ32が開かれて、遮断板4の下面26に形成された複数の気体吐出口27から下方に窒素ガスが吐出される(ステップS4)。また、制御装置66により遮断板昇降機構33が制御されて、遮断板4が退避位置から近接位置まで降下される(ステップS5)。これにより、複数の気体吐出口27から吐出された窒素ガスがスピンチャック3に保持された基板Wの上面に吹き付けられ、当該基板Wが各支持ピン9に押しつけられる。そして、この状態で、制御装置66によりチャック回転機構10が制御されて、チャック回転機構10の駆動力がスピンチャック3の回転軸7に入力される。これにより、複数の支持ピン9に支持された基板Wが、複数の支持ピン9との間に生じる摩擦力によって複数の支持ピン9と一体回転する(ステップS6)。
【0059】
次に、制御装置66により遮断板回転機構34が制御されて、遮断板4がノズル挿入位置に配置される(ステップS7)。そして、制御装置66により2つのアーム回転機構37および2つのアーム昇降機構38が制御されて、各ノズル5が、退避位置から中間位置を通って処理位置に移動される(ステップS8)。これにより、2つのノズル5がそれぞれ2つのノズル挿入孔29に挿入される。遮断板4は、この処理例のように近接位置に配置された後にノズル挿入位置に配置されてもよいし、近接位置に配置される前にノズル挿入位置に配置されてもよい。
【0060】
次に、基板Wの上面周縁部が第1薬液(エッチング液)によって第1処理幅でエッチングされる。具体的には、制御装置66により各ノズル回転機構35が制御されて、各ノズル5の回転角が第1処理角になるように、各ノズル5が中心軸線L2まわりに回転される(ステップS9)。各ノズル5は、この処理例のように処理位置に配置された後に回転されてもよいし、処理位置に配置される前に回転されてもよい。各ノズル5の回転角が第1処理角に設定されることにより、第1薬液吐出口56aから吐出された第1薬液が基板Wの上面周縁部の所定位置に吹き付けられるように調整される。またこのとき、各ノズル5の回転角は、第1リンス液吐出口56bが第1薬液吐出口56aよりも基板Wの中心側(スピンチャック3の回転中心L1側)に位置するように設定されている。
【0061】
制御装置66は、各ノズル5の回転角が第1処理角に設定されている状態で、各処理液供給機構6に設けられた第1薬液バルブ62を開いて、回転状態の基板Wの上面周縁部に向けて各第1薬液吐出口56aから第1薬液を吐出させる(ステップS10)。これにより、第1処理幅を有する環状の領域(処理領域)に第1薬液が供給される。基板Wの最表面に位置する薄膜が金属膜である場合、第1薬液は、たとえば、フッ硝酸(フッ酸と硝酸の混合液)である。基板Wの最表面に位置する薄膜の周縁部は、第1薬液によってエッチングされ、基板Wから除去される。このようにして、基板Wの上面周縁部が第1薬液によって処理される。そして、第1薬液が吐出されてから所定時間が経過すると、制御装置66により各第1薬液バルブ62が閉じられて、第1薬液の吐出が停止される。
【0062】
次に、基板Wに付着している第1薬液がリンス液によって洗い流される。具体的には、ノズル5の回転角が第1処理角に維持された状態で、制御装置66により各処理液供給機構6に設けられた第1リンス液バルブ63が開かれて、回転状態の基板Wの上面周縁部に向けて各第1リンス液吐出口56bからリンス液(たとえば、純水)が吐出される(ステップS11)。第1処理角では、第1リンス液吐出口56bが第1薬液吐出口56aよりも基板Wの中心側に配置されている。したがって、各第1リンス液吐出口56bから吐出されたリンス液は、基板Wの上面周縁部において第1薬液が供給された領域よりも基板Wの中心側に吹き付けられる。これにより、第1薬液が供給された領域全体にリンス液が供給され、基板Wに付着している第1薬液がリンス液によって洗い流される。そして、リンス液が吐出されてから所定時間が経過すると、制御装置66により各第1リンス液バルブ63が閉じられて、リンス液の吐出が停止される。
【0063】
次に、基板Wの上面周縁部が第2薬液(エッチング液)によって第2処理幅でエッチングされる。具体的には、制御装置66により各ノズル回転機構35が制御されて、各ノズル5の回転角が第2処理角になるように、各ノズル5が中心軸線L2まわりに回転される(ステップS12)。各ノズル5は、第1および第2処理幅の大きさが異なる場合には、この処理例のように回転されてもよいし、第1および第2処理幅の大きさが等しい場合には、回転されなくてもよい。各ノズル5の回転角が第2処理角に設定されることにより、各第2薬液吐出口57aから吐出された第2薬液が基板Wの上面周縁部の所定位置に吹き付けられるように調整される。またこのとき、各ノズル5の回転角は、第2リンス液吐出口57bが第2薬液吐出口57aよりも基板Wの中心側(スピンチャック3の回転中心L1側)に位置するように設定されている。
【0064】
制御装置66は、各ノズル5の回転角が第2処理角に設定されている状態で、各処理液供給機構6に設けられた第2薬液バルブ64を開いて、回転状態の基板Wの上面周縁部に向けて各第2薬液吐出口57aから第2薬液を吐出させる(ステップS13)。これにより、第2処理幅を有する環状の領域(処理領域)に第2薬液が供給される。基板Wの最表面の薄膜の下に形成された薄膜が酸化膜である場合には、第2薬液は、たとえば、希フッ酸(DHF)である。基板Wの最表面の薄膜の下に形成された薄膜の周縁部は、第2薬液によってエッチングされ、基板Wから除去される。このようにして、基板Wの上面周縁部が第2薬液によって処理される。そして、第2薬液が吐出されてから所定時間が経過すると、制御装置66により各第2薬液バルブ64が閉じられて、第2薬液の吐出が停止される。
【0065】
次に、基板Wに付着している第2薬液がリンス液によって洗い流される。具体的には、各ノズル5の回転角が第2処理角に維持された状態で、制御装置66により各処理液供給機構6に設けられた第2リンス液バルブ65が開かれて、回転状態の基板Wの上面周縁部に向けて各第2リンス液吐出口57bからリンス液(たとえば、純水)が吐出される(ステップS14)。第2処理角では、第2リンス液吐出口57bが第2薬液吐出口57aよりも基板Wの中心側に配置されている。したがって、各第2リンス液吐出口57bから吐出されたリンス液は、基板Wの上面周縁部において第2薬液が供給された領域よりも基板Wの中心側に吹き付けられる。これにより、第2薬液が供給された領域全体にリンス液が供給され、基板Wに付着している第2薬液がリンス液によって洗い流される。そして、リンス液が吐出されてから所定時間が経過すると、制御装置66により各第2リンス液バルブ65が閉じられて、リンス液の吐出が停止される。
【0066】
次に、基板Wの裏面および周端面が洗浄される。具体的には、制御装置66により2つのアーム回転機構37および2つのアーム昇降機構38が制御されて、各ノズル5が、退避位置に移動される(ステップS15)。これにより、各ノズル5がノズル挿入孔29から抜け出る。そして、各ノズル5が退避位置に移動した後に、制御装置66により遮断板回転機構34が制御されて、遮断板4が、たとえば、基板Wの回転速度と同じ回転速度で同じ方向に回転される(ステップS16)。また、制御装置66により下側気体バルブ24が開かれて、スピンベース8の上面中央部に形成された下側気体吐出口17から窒素ガスが吐出される。制御装置66は、下側気体吐出口17から窒素ガスを吐出させた状態で下側薬液バルブ21を開いて、回転状態の基板Wの下面中央部に向けて下面ノズル18の吐出口18aから薬液(洗浄液)を吐出させる(ステップS17)。また、制御装置66は、ピン昇降機構14を制御して、下面ノズル18の吐出口18aから薬液を吐出させながら、第1支持ピン群9aおよび第2支持ピン群9bを交互に昇降させる。
【0067】
下面ノズル18の吐出口18aから吐出された薬液は、基板Wの下面中央部に吹き付けられた後、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの下面に沿って外方に広がっていく。そして、基板Wの下面周縁部に達した薬液は、基板Wの周囲に振り切られる。また、基板Wの下面周縁部に達した薬液の一部は、基板Wの下面を伝って基板Wの周端面に達した後に基板Wの周囲に振り切られる。また、第1支持ピン群9aおよび第2支持ピン群9bが交互に昇降されることにより、基板Wの支持状態が、第1支持ピン群9aだけに支持された状態と、第2支持ピン群9bだけに支持された状態とに交互に切り替えられる。すなわち、第1支持ピン群9aおよび第2支持ピン群9bが基板Wの下面から交互に離れる。そのため、基板Wの下面周縁部に達した薬液は、基板Wの下面周縁部において各支持ピン9が当接される部分にも供給される。このようにして、基板Wの下面全域および基板Wの周端面全域に薬液が供給される。これにより、基板Wの裏面および周端面が洗浄される。そして、薬液が吐出されてから所定時間が経過すると、制御装置66により下側薬液バルブ21が閉じられて、薬液の吐出が停止される。
【0068】
次に、基板Wに付着している薬液(洗浄液)がリンス液によって洗い流される。具体的には、制御装置66は、下側気体吐出口17から窒素ガスを吐出させた状態で下側リンス液バルブ22を開いて、回転状態の基板Wの下面中央部に向けて下面ノズル18の吐出口18aからリンス液(たとえば、純水)を吐出させる(ステップS18)。また、制御装置66は、ピン昇降機構14を制御して、下面ノズル18の吐出口18aからリンス液を吐出させながら、第1支持ピン群9aおよび第2支持ピン群9bを交互に昇降させる。下面ノズル18の吐出口18aから吐出されたリンス液は、薬液(洗浄液)の場合と同様に、基板Wの下面全域および基板Wの周端面全域に供給される。これにより、基板Wの裏面および周端面に付着している薬液がリンス液によって洗い流される。そして、リンス液が吐出されてから所定時間が経過すると、制御装置66により下側リンス液バルブ22が閉じられて、リンス液の吐出が停止される。
【0069】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御装置66は、複数の気体吐出口27および下側気体吐出口17から窒素ガスを吐出させた状態で、チャック回転機構10および遮断板回転機構34を制御して、基板Wおよび遮断板4を高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる(ステップS19)。これにより、基板Wに付着している処理液に大きな遠心力が作用して、処理液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから処理液が除去され、基板Wが乾燥する。そして、乾燥処理が所定時間にわたって行われた後は、制御装置66によりチャック回転機構10および遮断板回転機構34が制御されて、基板Wおよび遮断板4の回転が停止される(ステップS20)。また、制御装置66により遮断板昇降機構33が制御され、遮断板4が退避位置に向けて上昇される(ステップS21)。さらに、制御装置66により上側気体バルブ32および下側気体バルブ24が閉じられて、複数の気体吐出口27および下側気体吐出口17からの窒素ガスの吐出が停止される(ステップS22)。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによって処理室2から搬出される(ステップS23)。
【0070】
以上のように本実施形態では、遮断板4の下面26がスピンチャック3に保持された基板Wの上面に近接され、各ノズル5がノズル挿入孔29に挿入されている状態で、各ノズル5に供給された処理液が、回転状態の基板Wの上面周縁部に向けて吐出される。基板Wに対する処理液の供給位置は、基板Wの回転によって、基板Wの上面周縁部に沿って移動される。したがって、基板Wに対する処理液の供給位置およびその外側の領域を含む環状の領域(処理領域)に処理液が供給される。これにより、基板Wの上面が遮断板4の下面26によって覆われた状態で、基板Wの上面周縁部が処理される。したがって、基板Wの上面が遮断板4によって保護された状態で、基板Wの上面周縁部が処理される。
【0071】
また、処理幅(環状の処理領域の内周縁から基板Wの周端面までの基板Wに平行な方向への最短距離)の調整は、中心軸線L2まわりのノズル5の自転により行われる。そのため、ノズル挿入孔内でのノズルの移動により処理幅が調整される従来の構成のような大きな隙間が、ノズル5とノズル挿入孔29の内壁面51との間に必要とされない。これにより、基板Wと遮断板4との間の気流の乱れが抑制される。したがって、ノズル挿入孔29内への処理液のミストの進入が抑制される。さらに、処理幅は、中心軸線L2まわりのノズル5の回転角に依存する。したがって、ノズル挿入孔内でのノズルの移動により処理幅が調整される従来の構成に比べて、処理幅を調整するための機構(ノズル回転機構35)が簡素化および小型化される。すなわち、簡単な構成で処理幅を精度良く調整できる。これにより、基板処理装置1のコストが低減される。
【0072】
また、本実施形態では、薬液およびリンス液を含む複数種の処理液が、各ノズル5に供給される。これにより、薬液およびリンス液を含む複数種の処理液が、各ノズル5の4つの吐出口(第1薬液吐出口56a、第1リンス液吐出口56b、第2薬液吐出口57a、および第2リンス液吐出口57b)から吐出され、基板Wの上面の周縁部に供給される。また、制御装置66により各ノズル回転機構35が制御されることにより、中心軸線L2まわりの各ノズル5の回転角が、基板Wに対する薬液の供給位置よりも基板Wの中心側にリンス液が供給されるように設定される。したがって、薬液が基板Wに供給された後にリンス液が基板Wに供給されることにより、薬液が供給された全ての領域(基板Wの上面の一部)にリンス液が供給される。これにより、基板Wに付着している薬液がリンス液によって確実に洗い流される。
【0073】
また、本実施形態では、各ノズル5の4つの吐出口が、ノズル5の回転方向に配列されている。すなわち、各ノズル5の4つの吐出口は、ノズル5の下面5a(中心軸線L2に直交する平面)上において、中心軸線L2上に中心を有する円周上に配置されている。したがって、各ノズル5において、各吐出口が基板Wの中心に最も近づく位置(近接位置)が一致している。同様に、各ノズル5において、各吐出口が基板Wの中心から最も離れる位置(離間位置)が一致している。そのため、薬液処理およびリンス処理のいずれの処理においても、広く、かつ互いに等しい調整範囲(処理幅の調整範囲)が確保される。また、近接位置以外の位置で薬液吐出口56a,57aから薬液が吐出されれば、基板Wに対する薬液の供給位置よりも基板Wの中心側にリンス液を供給することができる。これにより、薬液が供給された全ての領域(基板Wの上面の一部)にリンス液が供給され、基板Wに付着している薬液がリンス液によって確実に洗い流される。
【0074】
また、本実施形態では、第1薬液および第2薬液を含む複数種の処理液が、各ノズル5に供給される。各ノズル5に供給された第1薬液は、第1薬液流路52を通って第1薬液吐出口56aに供給される。また、各ノズル5に供給された第2薬液は、第2薬液流路54を通って第2薬液吐出口57aに供給される。各ノズル5の第1薬液流路52および第2薬液流路54は、互いに独立して設けられているから、各ノズル5に供給された第1薬液および第2薬液が、ノズル5内で混ざり合うことはない。したがって、薬液の種類が切り替えられるときに、たとえば、種類の異なる薬液の混ざり合いを防ぐための流路52、54の洗浄が不要である。したがって、このような処理を経ることなく、薬液の種類が切り替えられる。これにより、第1薬液および第2薬液の両方の薬液を用いて基板Wを処理するときの処理時間が短縮される。
【0075】
また、本実施形態では、遮断板4の下面26近傍において、ノズル挿入孔29の内壁面51とノズル5との間とが非接触でシールされる。したがって、ノズル5とノズル挿入孔29との微小隙間G1への流体の進入がさらに抑制される。これにより、基板Wと遮断板4との間の気流の乱れがさらに抑制される。また、ノズル挿入孔29の内壁面51とノズル5との間とが非接触でシールされるから、ノズル挿入孔29に挿入されている状態でノズル5が回転されるときに、ノズル5の一部がノズル挿入孔29の内壁面51の一部に摺動することはない。これにより、摺動による異物(たとえば、パーティクル)の発生が防止される。さらに、遮断板4の下面26近傍において、ノズル挿入孔29の内壁面51の一部とノズル5の一部との間とがシールされるから、シールされる部分以外の部分が高い寸法精度で加工されていなくてもよい。これにより、ノズル挿入孔29およびノズル5の製造コストが低減される。
【0076】
また、本実施形態では、各ノズル5が、円柱状であり、中心軸線L2まわりに回転される。各ノズル5に供給された処理液は、ノズル5がノズル挿入孔29に挿入されている状態で、ノズル5の下面5aに形成された4つの吐出口から吐出される。各ノズル5がノズル挿入孔29に挿入されている状態では、ノズル挿入孔29の内壁面51がノズル5の外周面5bに近接しているから、ノズル5とノズル挿入孔29との微小隙間G1への流体の進入がさらに抑制される。また、各ノズル5が円柱状であり、中心軸線L2まわりに回転されるから、各ノズル5が回転されても、ノズル5とノズル挿入孔29との微小隙間G1の大きさが殆ど変化しない。したがって、中心軸線L2まわりの各ノズル5の回転角がどのような値であっても、気流の乱れが抑制される。
【0077】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、各ノズル5が円柱状である場合について説明した。しかし、各ノズル5の形状は、円柱状に限らず、たとえば角柱状などのその他の形状であってもよい。この場合、各ノズル挿入孔29の内壁面51の形状は、ノズル5の形状に合わせて、微小隙間G1が小さくなるように形成されていればよい。
【0078】
また、前述の実施形態では、ノズル5が2つ設けられている場合について説明した。しかし、ノズル5の数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。また、ノズル挿入孔29は、ノズル5の数に合わせて、1つ、または3つ以上設けられていてもよい。
また、前述の実施形態では、二対の薬液吐出口およびリンス液吐出口が各ノズル5に形成されており、一方の対と他方の対とがノズル5の周方向D1に離れて配置されている場合について説明した。しかし、たとえば図10に示すノズル205(円柱状ノズル)のように、4つの吐出口(第1薬液吐出口256a(吐出口、薬液吐出口)、第1リンス液吐出口256b(吐出、リンス液吐出口)、第2薬液吐出口257a(吐出口、薬液吐出口)および第2リンス液吐出口257b(吐出、リンス液吐出口))が、連続して(接近して)ノズル205の周方向D1に配列されていてもよい。ノズル205の構成は、4つの吐出口の位置を除き、前述のノズル5と同様である。複数の吐出口から処理液を吐出させて、複数の処理幅で基板Wを処理するときに、ノズル205が用いられれば、前述のノズル5が用いられる場合よりも全体として少ない回転量で処理幅が調整される。したがって、処理幅の調整に要する時間が短縮される。これにより、基板Wの処理時間が短縮される。
【0079】
また、前述の実施形態では、薬液吐出口およびリンス液吐出口が2つずつ各ノズル5に形成されている場合について説明した。しかし、薬液吐出口の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。同様に、リンス液吐出口の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、薬液吐出口の数と、リンス液吐出口の数とが異なっていてもよい。図7を参照して具体的に説明すると、たとえば、第1リンス液吐出口56bまたは第2リンス液吐出口57bが設けられていなくてもよい。
【0080】
また、前述の実施形態では、各ノズル5において、薬液およびリンス液が異なる吐出口から吐出される場合について説明した。すなわち、薬液を吐出するための専用の吐出口と、リンス液を吐出するための専用の吐出口とが各ノズル5に設けられている場合について説明した。しかし、各ノズル5は、薬液およびリンス液が同一の吐出口から吐出されるように構成されていてもよい。
【0081】
具体的には、たとえば図11に示すノズル305(円柱状ノズル)のように、1つの処理液吐出口367(吐出口)がノズル305の下面5aに形成されていてもよい。図示はしないが、ノズル305は、処理液吐出口367に接続された処理液流路を有している。また、処理液供給機構306は、処理液流路に接続された薬液供給管369およびリンス液供給管370と、薬液供給管369およびリンス液供給管370にそれぞれ介装された薬液バルブ371およびリンス液バルブ372とを有している。薬液供給管369およびリンス液供給管370からノズル305に供給された薬液およびリンス液は、処理液吐出口367から選択的に吐出される。ノズル305の構成は、処理液吐出口367および処理液流路を除き、前述のノズル5と同様である。このノズル305では、吐出口を1つ形成できる面積が、ノズル305の下面5aの周縁部に確保されていればよいから、複数の吐出口が形成された前述のノズル5、205に比べて、ノズルの外径を小さくできる。これにより、遮断板4の下面26に形成された開口(ノズル挿入孔29により形成された開口)を小さくして、基板Wと遮断板4との間の気流の乱れをさらに抑制できる。
【0082】
また、前述の実施形態では、下端部の外径が相対的に小さくなるように階段状に折れ曲がった円筒状の微小隙間G1が、各ノズル挿入孔29の内壁面51と対応するノズル5の外周面5bとの間に形成される場合について説明した。しかし、微小隙間G1は、たとえば、折り曲げられた部分のない円筒状に形成されていてもよい。具体的には、各ノズル挿入孔29の内壁面51および各ノズル5の外周面5bが円筒面に形成されていてもよい。
【0083】
また、図12に示すように、下端部が迷路状に形成された円筒状の微小隙間G2が、各ノズル挿入孔429の内壁面451と対応するノズル405(円柱状ノズル)の外周面405bとの間に形成されてもよい。具体的には、中心軸線L2を取り囲む環状の凹部473が、各ノズル405の環状部50に形成されていてもよい。また、ノズル挿入孔429の中心軸線を取り囲む環状の凸部474が、各ノズル挿入孔429の連結部51cに形成されていてもよい。各凸部474は、各ノズル405が処理位置にある状態で、非接触状態で凹部473に入り込むように構成されていてもよい。微小隙間G2に対して下から進入した流体は、迷路状に形成された微小隙間G2の下端部によって減速されて、微小隙間G2の下端部またはその近傍に留められる。すなわち、各ノズル挿入孔429の内壁面451の下端部(大径部51aの下端部、小径部51b、連結部51c、および凸部474)、ならびに対応するノズル405の下端部49および凹部473を含むラビリンスシール(非接触シール構造)が設けられている。
【0084】
また、前述の実施形態では、各ノズル回転機構35がモータなどのアクチュエータを含む場合について説明した。しかし、各ノズル回転機構35は、アクチュエータに加えて、アクチュエータの駆動力をノズル5に伝達する伝達機構をさらに含んでいてもよい。具体的には、たとえば図13に示すように、ノズル回転機構535は、アクチュエータ575と、駆動部材576、従動部材577、および伝達部材578を有する伝達機構579を含んでいてもよい。駆動部材576および従動部材577は、それぞれ、アクチュエータ575およびノズル5に連結されている。駆動部材576は、図13に示すようにアクチュエータ575に内蔵されていてもよいし、アクチュエータ575の外に配置されていてもよい。アクチュエータ575の駆動力は、駆動部材576に入力される。伝達部材578は、駆動部材576に入力された駆動力を従動部材577に伝達するように構成されている。伝達機構579としては、たとえば、プーリ・ベルト機構が挙げられる。
【0085】
また、前述の実施形態では、各ノズル5が、遮断板4とは独立して設けられている場合について説明した。しかし、図14に示す基板処理装置601のように、ノズル5が、支軸25に連結された遮断板アーム680に連結されていてもよい。同様に、図15に示す基板処理装置701のように、ノズル5が、支軸25に連結された遮断板アーム680に連結されていてもよい。
【0086】
図14に示す基板処理装置601では、ノズル5の上端部にハウジング681が連結されている。ノズル回転機構635およびノズル昇降機構682は、ハウジング681内に収容されている。ノズル回転機構635は、ノズル5の中心軸線まわりにノズル5を回転させるように構成されている。また、ノズル昇降機構682は、ノズル5を鉛直方向に昇降させるように構成されている。ノズル回転機構635は、たとえば、モータを含む。また、ノズル昇降機構682は、たとえば、エアシリンダ等の流体機器を含む。ハウジング681は、ノズルアーム636を介して遮断板アーム680に支持されている。
【0087】
また、図15に示す基板処理装置701では、ノズル5の上端部にハウジング681が連結されている。ノズル回転機構635は、ハウジング681内に収容されている。ノズル昇降機構782は、遮断板アーム680に連結されている。ハウジング681は、ノズルアーム636およびノズル昇降機構682を介して遮断板アーム680に支持されている。ノズル昇降機構782は、ノズル5、ハウジング681、ノズル回転機構635、およびノズルアーム636を一体的に鉛直方向に昇降させるように構成されている。ノズル昇降機構782は、たとえば、エアシリンダ等の流体機器を含む。
【0088】
また、前述の実施形態では、ノズル5から吐出された処理液が、基板Wの上面周縁部に対して垂直に処理液が吹き付けられる場合について説明した。しかし、図16に示すように、ノズル805は、基板Wの上面周縁部に対して、基板Wの中心から離れる方向に斜めに処理液が吹き付けられるように構成されていてもよい。また、ノズル挿入孔829は、ノズル805が鉛直方向に対して斜めに挿入されるように構成されていてもよい。この場合、基板Wに吹き付けられた処理液は、基板Wの上面に沿って外方に広がっていく。したがって、ノズル805から吐出された処理液は、基板Wに対する処理液の供給位置およびその外側の領域を含む環状の領域(処理領域)に供給される。
【0089】
また、前述の実施形態では、処理対象となる基板Wが、半導体ウエハである場合について説明した。しかし、処理対象となる基板Wは、半導体ウエハに限らず、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板であってもよい。すなわち、処理対象となる基板Wは、半導体ウエハなどの円形基板であってもよいし、液晶表示装置用基板などの多角形基板であってもよい。
【0090】
処理対象となる基板Wがたとえば長方形基板である場合、図17に示すように、基板処理装置901は、基板Wの上面周縁部とノズル5とを直線的に相対移動させることにより、基板Wに対する処理液の供給位置を基板Wの上面周縁部に沿って移動させるように構成されていることが好ましい。また、この基板処理装置901に備えられた遮断板904(対向部材)は、ノズル5から吐出された処理液が基板Wの上面周縁部に供給されているときに、常に基板Wの上面全域を覆う大きさに形成されていてもよいし、基板Wの上面の少なくとも一部を覆う大きさに形成されていてもよい。また、この基板処理装置901に備えられたノズル5は、図16に示すノズル805のように、基板Wの上面周縁部に対して、基板Wの中心から離れる方向に斜めに処理液が吹き付けられるように構成されていていることが好ましい。この場合、基板Wを通る所定の軸線まわりに基板Wを回転させることなく、基板Wに対する処理液の供給位置およびその外側の領域を含む環状の領域(処理領域)に処理液が供給される。
【0091】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 基板処理装置
3 スピンチャック(基板保持機構)
5 ノズル(円柱状ノズル)
5a ノズルの下面(端面)
4 遮断板(対向部材)
6 処理液供給機構
10 チャック回転機構(相対移動機構)
26 遮断板の下面(対向面)
29 ノズル挿入孔
35 ノズル回転機構
51 内壁面
52 第1薬液流路
54 第2薬液流路
56a 第1薬液吐出口(吐出口、薬液吐出口)
56b 第1リンス液吐出口(吐出口、リンス液吐出口)
57a 第2薬液吐出口(吐出口、薬液吐出口)
57b 第2リンス液吐出口(吐出口、リンス液吐出口)
66 制御装置(回転角制御装置)
205 ノズル(円柱状ノズル)
256a 第1薬液吐出口(吐出口、薬液吐出口)
256b 第1リンス液吐出口(吐出口、リンス液吐出口)
257a 第2薬液吐出口(吐出口、薬液吐出口)
257b 第2リンス液吐出口(吐出口、リンス液吐出口)
305 ノズル(円柱状ノズル)
306 処理液供給機構
367 処理液吐出口(吐出口)
405 ノズル(円柱状ノズル)
429 ノズル挿入孔
451 内壁面
535 ノズル回転機構
601 基板処理装置
635 ノズル回転機構
701 基板処理装置
805 ノズル(円柱状ノズル)
829 ノズル挿入孔
901 基板処理装置
904 遮断板(対向部材)
D1 ノズルの周方向(回転方向)
L2 中心軸線(回転軸線)
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された基板の主面を通る所定の回転軸線まわりに自転できるように構成され、前記回転軸線から離れた位置に配置された吐出口を有し、前記基板保持機構に保持された基板の主面の周縁部の一部に向けて処理液を吐出するノズルと、
基板に対する処理液の供給位置が当該基板の主面の周縁部に沿って移動するように、前記基板保持機構に保持された基板および前記ノズルを相対移動させる相対移動機構と、
前記ノズルを前記回転軸線まわりに自転させるノズル回転機構と、
前記ノズルに処理液を供給する処理液供給機構と、
前記基板保持機構に保持された基板の主面に対向する対向面、および前記対向面で開口し、前記ノズルが挿入されるノズル挿入孔を有する対向部材とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記処理液供給機構は、前記ノズルに薬液およびリンス液を含む複数種の処理液を供給するように構成されており、
前記基板処理装置は、前記ノズル回転機構を制御して、基板に対する薬液の供給位置よりも基板の中心側にリンス液が供給されるように、前記ノズルの回転角を制御する回転角制御装置をさらに含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記吐出口は、前記ノズルの回転方向に配列された薬液吐出口およびリンス液吐出口を含む、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液供給機構は、前記ノズルに第1薬液および第2薬液を含む複数種の処理液を供給するように構成されており、
前記吐出口は、前記第1薬液を吐出する第1薬液吐出口と、前記第2薬液を吐出する第2薬液吐出口とを含み、
前記ノズルは、前記第1薬液吐出口に接続された第1薬液流路と、前記第2薬液吐出口に接続され、前記第1薬液流路とは独立して設けられた第2薬液流路とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ノズル挿入孔の内壁面の一部と、前記ノズル挿入孔に挿入された前記ノズルの一部との間を前記対向面近傍において非接触でシールする非接触シール構造をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記回転軸線上に位置する中心軸線、および前記吐出口が形成された端面を有する円柱状ノズルを含み、
前記ノズル挿入孔の内壁面は、全周にわたって前記円柱状ノズルの外周面に近接するように形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2011−135014(P2011−135014A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295566(P2009−295566)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】