説明

基板処理装置

【課題】 基板が処理室内に搬入される前にヒータの断線を検知し、ヒータの断線を検知したら基板処理工程を開始することを防止する。
【解決手段】 基板処理装置の各部の搬送動作を制御する搬送制御部と、基板処理装置の各部の処理動作を制御する処理制御部と、搬送制御部及び処理制御部を制御する主制御部と、を備え、主制御部は、所定のエラー処理を実施するエラー処理部を備え、処理制御部は、待機状態からレシピを実行可能な状態へ遷移させる指示を搬送制御部から受けると、断線検知処理を実施し、断線検知処理の結果、断線エラーを受信しなかったら、レシピを実行可能な状態へ移行し、レシピの実行指示を待ち、断線エラーを受信したら、レシピを実行可能な状態へ移行することなく、主制御部へ断線エラーを通知してエラー処理を実施させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やIC(Integrated Circuit)等の半導体装置の製造工程の一工程として、処理条件及び処理手順が定義されたレシピに基づいて基板を処理する基板処理工程が実施されてきた。かかる工程を実施する基板処理装置の各部の動作は、制御部によって制御されていた。この制御部によって実施される基板処理工程では、例えば処理室内の基板をヒータにより加熱して基板に処理を施していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板処理装置では、基板処理工程中に処理室内の温度異常を検出することで、間接的にヒータの断線を検知していた。このため、ヒータが断線していると、基板が処理室内に搬入され基板処理工程が開始した後にヒータ断線によるエラーが発生してしまう。その場合、基板を回収するまで処理室内に取り残された基板が熱による影響を受けてしまい、例えば基板回収時に周囲の酸素と基板の処理面とが反応して基板の処理面に異常酸化等の生じることがあった。
【0004】
本発明は、基板が処理室内に搬入される前にヒータの断線を検知し、ヒータの断線を検知したら基板が処理室内に搬入されないよう基板処理工程が開始することを防止する基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
ヒータにより基板を加熱しつつ、処理条件及び処理手順が定義されたレシピを実行して前記基板に所定の処理を施す基板処理装置であって、
前記基板処理装置の各部の搬送動作を制御する搬送制御部と、
前記基板処理装置の各部の処理動作を制御する処理制御部と、
前記搬送制御部及び前記処理制御部を制御する主制御部と、を備え、
前記主制御部は、所定のエラー処理を実施するエラー処理部を備え、
前記処理制御部は、
待機状態からレシピを実行可能な状態へ遷移させる指示を前記搬送制御部から受けると、断線検知処理を実施し、前記断線検知処理の結果、
断線エラーを受信しなかったら、前記レシピを実行可能な状態へ移行し、前記レシピの実行指示を待ち、
断線エラーを受信したら、前記レシピを実行可能な状態へ移行することなく、前記主制御部へ断線エラーを通知して前記所定のエラー処理を実施させる
基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る基板処理装置によれば、基板が処理室内に搬入される前にヒータの断線を検知し、ヒータの断線を検知したら基板が処理室内に搬入されないよう基板処理工程が開始することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の斜透視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置の側面透視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置の処理炉の縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置が備える制御装置及びその周辺のブロック構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る基板処理装置が備える制御装置の動作を示すブロック構成図である。
【図6】本発明の実施形態に係る基板処理装置が備える主コントローラ、プロセス系コントローラ及び表示制御部の電文シーケンスを示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る基板処理装置が備える主コントローラのブロック構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る状態遷移の概要を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態に係る基板処理装置が備えるヒータ素線検知回路のブロック構成図である。
【図10】本発明の実施形態に係る基板処理工程における待機状態から実行可能状態へと遷移する時に実施する検知処理の概略説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る基板処理工程における実行中状態から終了状態へと遷移する時に実施する検知処理の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の実施形態>
以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態に係る基板処理装置100の構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の斜透視図である。図2は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の側面透視図である。なお、本実施形態にかかる基板処理装置100は、例えばウエハ等の基板に酸化、拡散処理、CVD処理などを行う縦型の装置として構成されている。
【0010】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、耐圧容器として構成された筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設されている。正面メンテナンス口103には、正面メンテナンス口103を開閉する立ち入り機構として一対の正面メンテナンス扉104が設けられている。シリコン等のウエハ(基板)200を収納したポッド(基板収容器)110が、筐体111内外へウエハ200を搬送するキャリアとして使用される。なお、本発明が適用される基板処理装置100では、ポッド(基板収容器)110としてFOUP(Front Opening Unified Pod)が使用される。
【0011】
筐体111の正面壁111aには、ポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が、筐体111内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口112は、フロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、載置部としてロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されている。ロードポート114は、ロードポート114上にポッド110が載置されると共にポッド110が位置合わせされるように構成されている。ポッド110は、OHT(Overhead Hoist Transport)等の工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート114上に搬送されるように構成されている。
【0012】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されている。回転式ポッド棚105上には、複数個のポッド110が保管されるように構成されている。回転式ポッド棚105は、垂直に立設されて水平面内で間欠的に回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117と、を備えている。複数枚の棚板117は、ポッド110を複数個それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0013】
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を相互に搬送するように構成されている。
【0014】
筐体111内の下部には、サブ筐体119が筐体111内の前後方向の略中央部から後端にわたって設けられている。サブ筐体119の正面壁119aには、ウエハ200をサブ筐体119内外に搬送する一対のウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が、垂直方向に上下二段に並べられて設けられている。上下段のウエハ搬入搬出口120には、ポッドオープナ121がそれぞれ設置されている。
【0015】
各ポッドオープナ121は、ポッド110を載置する一対の載置台122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123とを備えている。ポッドオープナ121は、載置台122上に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0016】
サブ筐体119内には、ポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105等が設置された空間から流体的に隔絶された移載室124が構成されている。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図1に示すように、ウエハ移載装置エレベータ125bは、サブ筐体119の移載室124の前方領域右端部と筐体111右側の端部との間に設置されている。ウエハ移載装置125aは、ウエハ200の載置部としてのツイーザ(基板保持体)125cを備えている。これらウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ200をボート(基板保持具)217に対して装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)することが可能に構成されている。
【0017】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部には、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により炉口146が開閉されるように構成されている。
【0018】
図1に示すように、サブ筐体119の待機部126右端部と筐体111右側端部との間には、ボート217を昇降させるボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台には、連結具としてのアーム128が連結されている。アーム128には、蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けら
れている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0019】
主に、回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118,ウエハ移載機構(基板移載機構)125,ボート217及び後述の回転機構254により、本実施形態に係る基板搬送系が構成されている。これら回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118,ウエハ移載機構(基板移載機構)125,ボート217及び回転機構254は、後述の制御装置240に接続される搬送制御部としての搬送系コントローラ11に電気的に接続されている。
【0020】
ボート217は複数本の保持部材を備えている。ボート217は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態でそれぞれ水平に保持するように構成されている。
【0021】
図1に示すように、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、クリーンユニット134が設置されている。クリーンユニット134は、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置(図示せず)が設置されている。
【0022】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、図示しないノッチ合わせ装置、ウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217の周囲を流通した後、図示しないダクトにより吸い込まれて筐体111の外部に排気されるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環されてクリーンユニット134によって移載室124内に再び吹き出されるように構成されている。
【0023】
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置100の動作について、図1、図2を参照しながら説明する。
【0024】
図1、図2に示すように、ポッド110が工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。そして、ロードポート114の上のポッド110が、ポッド搬送装置118によってポッド搬入搬出口112から筐体111内部へと搬入される。
【0025】
筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって回転式ポッド棚105の棚板117上へ自動的に搬送されて一時的に保管される。その後、ポッド110は、棚板117上から一方のポッドオープナ121の載置台122上に移載される。なお、筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって直接ポッドオープナ121の載置台122上に移載されてもよい。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124内にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124内にクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、移載室124内の酸素濃度が例えば20ppm以下となり、大気雰囲気である筐体111内の酸素濃度よりも遥かに低くなるように設定されている。
【0026】
載置台122上に載置されたポッド110は、その開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そ
のキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口が開放される。その後、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてポッド110内からピックアップされ、ノッチ合わせ装置にて方位が整合された後、移載室124の後方にある待機部126内へ搬入され、ボート217内に装填(チャージング)される。ボート217内にウエハ200を装填したウエハ移載装置125aは、ポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217内に装填する。
【0027】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハ200のボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121の載置台122上には、別のポッド110が回転式ポッド棚105上からポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0028】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217内に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217は、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより処理炉202内へ搬入(ローディング)されていく。
【0029】
ローディング後は、処理炉202内にてウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、ノッチ合わせ装置でのウエハの整合工程を除き、上述の手順とほぼ逆の手順で、処理後のウエハ200を格納したボート217が処理炉202内より搬出され、処理後のウエハ200を格納したポッド110が筐体111外へと搬出される。
【0030】
(3)処理炉の構成
続いて、本実施形態にかかる処理炉202の構成について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置100の処理炉202の縦断面図である。
【0031】
図3に示すように、処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ203を備えている。プロセスチューブ203は、内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205と、を備えている。インナーチューブ204は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成されている。インナーチューブ204は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204内の筒中空部には、基板としてのウエハ200を処理する処理室201が形成されている。処理室201内は、後述するボート217を収容可能なように構成されている。アウターチューブ205は、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。アウターチューブ205は、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。
【0032】
プロセスチューブ203の外側には、プロセスチューブ203の側壁面を囲うように、加熱機構としてのヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状に構成されている。なお、ヒータ206は後述するように複数の領域に分割され、これら分割されたヒータ206のそれぞれのヒータ素線に電力が供給されて発熱するように構成されている。ヒータ206は、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0033】
プロセスチューブ203内には、温度検知器としての温度センサ263が設置されてい
る。主に、ヒータ206及び温度センサ263により、本実施形態に係る加熱機構が構成されている。これらヒータ206と温度センサ263とには、温度コントローラ12aが電気的に接続されている。温度コントローラ12aは、後述の制御装置240に接続されている。
【0034】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状になるように、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等により構成されている。マニホールド209は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とにそれぞれ係合している。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。図示しないがマニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209とにより反応容器が形成される。
【0035】
後述するシールキャップ219には、ガス導入部としての処理ガスノズル230a及びパージガスノズル230bが処理室201内に連通するように接続されている。処理ガスノズル230aには、処理ガス供給管232aが接続されている。処理ガス供給管232の上流側(処理ガスノズル230aとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241a、後述するバルブ(図示しない)を介して、図示しない処理ガス供給源等が接続されている。また、パージガスノズル230bには、パージガス供給管232bが接続されている。パージガス供給管232bの上流側(パージガスノズル230bとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241b、後述するバルブ(図示しない)を介して、不活性ガス等の図示しないパージガス供給源等が接続されている。
【0036】
主に、処理ガス供給源(図示しない)、MFC241a、後述するバルブ(図示しない)、処理ガス供給管232a及び処理ガスノズル230aにより、本実施形態に係る処理ガス供給系が構成されている。主に、パージガス供給源(図示しない)、MFC241b、後述するバルブ(図示しない)、パージガス供給管232b及びパージガスノズル230bにより、本実施形態に係るパージガス供給系が構成されている。主に、処理ガス供給系及びパージガス供給系により、本実施形態に係るガス供給系が構成されている。MFC241a,241b及びバルブ(図示しない)には、プロセス系コントローラ12が電気的に接続されている。また、MFC241a、MFC241bを総称して、ガス流量コントローラ12cと呼ぶことがある。
【0037】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されている。排気管231は、筒状空間250に連通している。排気管231の下流側(マニホールド209との接続側と反対側)には、圧力検知器としての圧力センサ245、例えば圧力調整装置としてのAPC(Auto Pressure Contoroller)バルブ242、真空排気装置としての真空ポンプ246が上流側から順に接続されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ242及び真空ポンプ246により、本実施形態に係るガス排気機構が構成されている。圧力センサ245、APCバルブ242及び真空ポンプ246には、後述の制御装置240に接続されるAPCバルブコントローラとしての圧力コントローラ12bが電気的に接続されている。
【0038】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉
口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属により構成されている。シールキャップ219は、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0039】
シールキャップ219の中心部付近であって処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。回転機構254は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させることが可能に構成されている。
【0040】
シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に垂直に設備された基板保持具昇降機構としてのボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されている。シールキャップ219を昇降させることにより、ボート217を処理室201内外へ搬送することが可能に構成されている。上述したように回転機構254及びボートエレベータ115には、後述の制御装置240に接続される搬送系コントローラ11が電気的に接続されている。
【0041】
上述したように、基板保持具としてのボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。ボート217の下部には、断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、円板形状に形成されている。断熱板216は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。断熱板216は、ヒータ206からの熱をマニホールド209側に伝えにくくするように構成されている。
【0042】
主に、ガス排気機構、ガス供給系、加熱機構により、本実施形態に係る基板処理系が構成されている。
【0043】
(4)処理炉の動作
続いて、半導体装置の製造工程の一工程として、上記構成に係る処理炉202を用いてCVD法によりウエハ200上に薄膜を形成する方法について、図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は基板処理用のレシピに従い制御装置240により制御される。また、以下に説明する処理炉202の動作は、後述の実行中状態(RUNモード)における動作に該当する。
【0044】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図3に示すように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される(ボートロードステップ)。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0045】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空排気装置246によって真空排気される。そして、後述するように処理ガスを供給して処理ガスのガス流量を安定させると共に、圧力センサ245が測定した圧力値に基づき、圧力調整装置242(の弁の開度)がフィードバック制御され処理室201内の圧力を所定の処理圧力で一定にする。また、処理室201内が所望の処理温度となるように、ヒータ206によって待機温度から加熱される(準備ステップ)。この際、温度センサ263が検知した温度値に基づき、ヒータ206への通電量がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、
ボート217及びウエハ200が回転させられる。
【0046】
次いで、処理ガス供給源から供給されてMFC241aにて所望の流量となるように制御された処理ガスは、ガス供給管232a内を流通してノズル230aから処理室201内に導入される。導入された処理ガスは処理室201内を上昇し、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250内に流出して排気管231から排気される。処理ガスは、処理室201内を通過する際にウエハ200の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウエハ200の表面上に薄膜が堆積される(処理ステップ)。
【0047】
予め設定された処理時間が経過すると、パージガス供給源から供給されてMFC241bにて所望の流量となるように制御されたパージガスが処理室201内に供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。また、処理炉201内の温度を処理温度から待機温度へ降温する(降温ステップ)。
【0048】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されてマニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200を保持するボート217がマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部へと搬出される(ボートアンロードステップ)。その後、処理済のウエハ200はボート217より取り出され、ポッド110内へ格納される(ウエハディスチャージ)。
【0049】
(5)制御装置の構成
次に、図4を参照して、主制御部としての主コントローラ14を中心とした制御装置240の構成について説明する。図4に示すように、制御装置240は、主コントローラ14と、主コントローラ14に接続されるスイッチングハブ15と、主コントローラ14に接続される操作部としての表示制御部16と、スイッチングハブ15を介して主コントローラ14に接続される副操作部としての副表示制御部17と、搬送制御部としての搬送系コントローラ11と、処理制御部としてのプロセス系コントローラ12と、を備えている。主コントローラ14には、スイッチングハブ15を介して例えば100BASE−T等のLAN(Local Area Network)により搬送系コントローラ11及びプロセス系コントローラ12が電気的に接続されている。また、主コントローラ14には、スイッチングハブ15を介して断線検知部10がシリアル接続されている。断線検知部10の詳細構成は後述する。なお、主コントローラ14には、スイッチングハブ15を介してヒータ断線エラー(ヒータ断線検知エラーともいう)を含む各種エラーの発生を報知するブザー6が接続されている。ブザー6は、後述のエラー処理部の制御により起動されて鳴動される。
【0050】
主コントローラ14には、外部記憶装置としての記録媒体であるUSBメモリ等が挿脱されるUSBポート13が設けられている。主コントローラ14には、USBポート13に対応するOSがインストールされている。また、主コントローラ14は、図示しない外部の上位コンピュータと、例えば通信ネットワーク40を介して接続される。このため、基板処理装置100がクリーンルーム内に設置されている場合であっても上位コンピュータがクリーンルーム外の事務所等に配置されることが可能である。
【0051】
表示制御部16は、例えばビデオケーブル20により表示装置18に接続されている。表示装置18は、例えば液晶表示パネルである。表示装置18には基板処理装置100を操作する操作画面(プロセス画面ともいう)などが表示可能である。かかる操作画面は、基板搬送系11Aや基板処理系の状態を確認したり、基板搬送系11Aや基板処理系(加熱機構12A、ガス排気機構12B及びガス供給系12C)への動作指示を入力したりする各種表示欄及び操作ボタン(システムコマンドボタン、又はPMコマンドボタンともいう)を備えている。なお、本実施形態のコマンドとしては、例えばRESET、IDLE
、STANDBY、START、END、ABORT、SKIP、JUMP、HOLD、RELEASE等がある。操作画面を介して基板処理装置100内で生成される情報を表示させ、表示された情報を主コントローラ14に挿入されたUSBメモリなどに出力させることが出来る。表示制御部16は、表示装置18に表示される主操作画面からの作業者の入力データ(入力指示)を受け付ける入力部(図示しない)を備えている。表示制御部16は、入力部からの入力データ(入力指示)を受け付け、入力データを表示装置18もしくは主コントローラ14に送信する。また、表示制御部16は、後述のRAM1b等に格納された複数のレシピのうち任意の基板処理レシピ(プロセスレシピともいう)を実行させる指示(制御指示)を受け付けるようになっている。なお、図6は、操作画面の表示例である。図6では、関連するSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)スタンダートの、特にE40(コントロールジョブ管理の仕様)、E94(プロセス管理スタンダード)に準拠した操作画面を示すが、操作画面の表示はこれに限られない。なお、表示制御部16及び図示しない入力部と表示装置18はタッチパネルにより構成されていてもよい。又、副表示制御部17及び副表示装置19も上記表示制御部16及び表示装置18と同様な構成である。ここで、表示制御部16と副表示制御部17は主コントローラ14と別体で記載されているが、主コントローラ14に含む構成でもよい。
【0052】
なお、表示装置18及び副表示装置19に表示される操作画面として例えばレシピ進捗画面には、条件待ち要因温度画面が表示される。この条件待ち要因温度画面には、例えばヒータ断線検知(検知処理ともいう)の条件待ち要因が追加可能である。条件待ち要因がある場合には、スタート待ち(WAIT)を示すアイコン(例えば手の平形のアイコン)を表示すると共にヒータ断線検知ボタンに色を付ける(発色させる)。一方、条件待ち要因がない場合には、ヒータ断線検知ボタンを非表示状態にする。
【0053】
搬送系コントローラ11は、主に回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118、ウエハ移載機構(基板移載機構)125、ボート217及び回転機構254により構成される基板搬送系11Aに接続されている。搬送系コントローラ11は、回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118、ウエハ移載機構(基板移載機構)125、ボート217及び回転機構254の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0054】
プロセス系コントローラ12は、温度コントローラ12a、圧力コントローラ12b及びガス供給流量コントローラ12c、入出力コントローラ12dを備えている。
【0055】
温度コントローラ12aには、主にヒータ206及び温度センサ263により構成される加熱機構12Aが接続されている。温度コントローラ12aは、処理炉202のヒータ206の温度を制御することで処理炉202内の温度を調節するように構成されている。なお、温度コントローラ12aは、後述するようにサイリスタのスイッチング(オンオフ)制御を行い、ヒータ素線に供給する電力を制御するように構成されている。
【0056】
圧力コントローラ12bには、主に圧力センサ245、APCバルブ242及び真空ポンプ246により構成されるガス排気機構12Bが接続されている。圧力コントローラ12bは、圧力センサ245により検知された圧力値に基づいて、処理室201内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、APCバルブ242及び真空ポンプ246を制御するように構成されている。
【0057】
ガス流量コントローラ12cは、MFC241a,241bにより構成される。入出力コントローラ12dは、処理ガス供給管232a,パージガス供給管232bからのガスの供給や停止を、バルブ12Dを開閉させることにより制御するように構成されている。
また、プロセス系コントローラ12は、処理室201内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、ガス流量コントローラ12c(MFC241a,241b)、入出力コントローラ12d(バルブ12D)を制御するように構成されている。
【0058】
(6)制御装置の概略動作
(検知処理に至る制御装置の概略動作)
本実施形態では、後述するようにヒータ206のヒータ断線/非断線を検知する検知処理を実施するよう制御装置240(プロセス系コントローラ12)が構成されている。まず、検知処理に至る制御装置240(プロセス系コントローラ12)の概略動作について図5を参照して説明する。例えば、基板処理装置100が基板処理レシピの実行指示を受付可能な後述の待機状態(IDLEモード)である時、例えば作業者がレシピ名称と、投入する(載置される)FOUP情報(種別、番号等)と、を入力部(図示しない)を操作して入力する。この入力を受け、主コントローラ14は表示制御部16を制御し、主コントローラ14が備える記憶部としてのハードディスク(HDD)1cからレシピ名称を参照させて表示装置18に表示させる。また、主コントローラ14はハードディスク(HDD)1cからレシピ名称を読み出し、FOUP材料情報(種別、番号等)に関連付けて主コントローラ14が備えるメモリ(RAM)1b内に書き込み、レシピファイルを作成する。主コントローラ14はレシピファイルを参照し、PMレシピ指示を搬送系コントローラ11及びプロセス系コントローラ12へ送信する。搬送系コントローラ11及びプロセス系コントローラ12は、主コントローラ14にPMレシピ指示を受信した応答を送信する。そして、プロセス系コントローラ12は、レシピ指示を主コントローラ14に要求する。主コントローラ14は、レシピデータをプロセス系コントローラ12に送信する。プロセス系コントローラ12は、受信したレシピデータをプロセス系コントローラ12内に備えるメモリ21内に書き込む。そして、ロードポート114上にポッド110が載置され、図示しない入力部からSTAERボタンの押下操作による基板処理レシピの実行指示が入力されると、搬送系コントローラ11は、基板処理装置100の状態を待機状態(IDLEモード)から後述の実行可能状態(STANDBYモード)を介して基板処理レシピの実行中状態(RUNモード)へ遷移させるPMモード指示をプロセス系コントローラ12に送信する。
【0059】
そして、後述するように、本実施形態ではプロセス系コントローラ12の状態(PMモード)が待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時及び実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時において、ヒータ206のヒータ断線/非断線を検知する検知処理を実施するよう構成されている。すなわち、搬送系コントローラ11は、待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時においてPMモード指示を送信する。プロセス系コントローラ12はPMモード指示を受信し、所定のPMモード(GO STANDBY)に遷移した後、予め設定された検知処理を実施する。なお、検知処理時、プロセス系コントローラ12は条件待ち情報をPMレポートデータとしてレシピ進捗レポートを主コントローラ14に報告するよう構成されている。
【0060】
(エラー処理における制御装置の概略動作)
続いて、エラー処理における主コントローラ14を中心とした制御装置240の概略動作について説明する。なお、検知処理の動作については後述する。図6は、主コントローラ14、プロセス系コントローラ12及び表示制御部16の電文シーケンスを示す説明図である。
【0061】
検知処理の結果、断線エラーを検知したら主コントローラ14は、図6に示すように、エラー処理として基板処理装置100を自動的にメンテナンス作業中とし例えばヒータ2
06の交換作業を作業者に促す。このエラー処理について説明する。
【0062】
断線検知部10から出力される断線エラーのアラーム発生を受け、プロセス系コントローラ12はメンテナンス作業中と判断する。プロセス系コントローラ12はPMレポートデータをメンテナンス作業中とし、主コントローラ14へ送信する。同時に、主コントローラ14は、スケジュール一時停止中としてアラーム発生を報告する。主コントローラ14は、PMレポートデータとしてメンテナンス作業中を受信すると、メモリ1b内に設けた共有エリアの装置管理情報にメンテナンス情報ステータスを追加し、メンテナンス作業中の旨をセットする。そして、主コントローラ14は、PMレポートデータとして装置管理情報のメンテナンス情報ステータスにスタート条件であるメンテナンス作業未実行の追加を禁止する。同時に、主コントローラ14はスケジュール一時停止中としてアラーム発生を報告する。そして、主コントローラ14は、メンテナンス作業中であることを作業者に報知する。装置管理情報のメンテナンス情報ステータスではメンテナンス作業未実行を禁止し、基板処理装置100の状態はメンテナンス作業中となる。主コントローラ14は、スタート待ち要因にジョブ実行禁止要因としてメンテナンス作業中の旨をセットする。そして、表示制御部16は表示装置18の操作画面上に、手の平を表す表示であるスタート待ち(WAIT)を示すアイコン又は、メンテナンス作業中を示す所望のアイコンを表示させる。
【0063】
そして、基板処理装置100内で、作業者がヒータ交換等のメンテナンス作業を行い、このメンテナンス作業の終了を作業者が確認する。ヒータ交換作業が終了し、断線エラーが回復(ヒータ領域1〜5のアラームが全て手動回復)すると、プロセス系コントローラ12はPMレポートデータを装置通常運用(メンテナンス作業解除)とし、その旨を主コントローラ14へ送信する。主コントローラ14はPMレポートデータとして装置通常運用を受信すると、装置管理情報のメンテナンス情報ステータスにメンテナンス作業解除待ちをセットする。表示制御部16は表示装置18に表示されるSchedule Resumeボタンを点滅させ、ボタンタッチを有効にする(なお、Schedule Resumeボタンはメンテナンス作業解除待ちボタン又はエラー解除ボタンともいう)。なお、ここでABORTコマンド又はSTOPコマンドが押下操作されたら、コマンドを実行してウエハ200の回収を自動的に実施する。
【0064】
作業者は点滅しているSchedule Resumeボタンを押下操作する。Schedule Resumeボタンの押下操作により、メンテナンスが終了していれば、表示制御部16はイニシャル完了報告を主コントローラ14に送信する。イニシャル完了報告を受信すると、主コントローラ14は、装置管理情報のメンテナンス情報ステータスをメンテナンス作業解除待ちからメンテナンス作業未実行に変更する。同時に、主コントローラ14はアラーム回復を報告する。そして、主コントローラ14はスタート条件チェックを行う。このとき、メンテナンス情報ステータスがメンテナンス作業未実行であるのでスタート条件が成立し、スタート待ち要因をクリアにする。また、表示制御部16は、スタート待ち要因がクリアされたので、表示装置18に表示される操作画面のスタート待ち(WAIT)を非表示にさせる。
【0065】
(7)主コントローラの構成
続いて、主コントローラ14のブロック構成を、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置100が備える主コントローラ14のブロック構成図である。
【0066】
(主コントローラ)
制御部としての主コントローラ14は、CPU(中央処理装置)1a、メモリ(RAM)1b、記憶部としてのハードディスク(HDD)1c、通信部としての送受信モジュー
ル1d、時計機能(図示せず)を備えたコンピュータとして構成されている。ハードディスク1cには、状態遷移プログラム、ヒータ断線検知プログラム及びエラー処理プログラム、検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータ、処理条件及び処理手順が定義されたレシピとしての基板処理レシピ等のレシピファイルの他、各種画面ファイル、各種アイコンファイル等(いずれも図示せず)が格納されている。なお、本実施形態では、ヒータ断線検知プログラム及びエラー処理プログラムに付随して検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータも主コントローラ14の起動と共にメモリ1bに1回のみ読み出されるコンフィグレーションパラメータとして構成されている。また、メモリ1bには、遷移指示プログラム、ヒータ断線検知プログラム及びエラー処理プログラムの起動と共に、共有メモリ5が確保される。なお、主コントローラ14の送受信モジュール1dには、表示制御部16及びスイッチングハブ15が接続されている。
【0067】
本実施形態では、検知処理及びエラー処理の実施の有無、これら検知処理及びエラー処理の要件パラメータを個別に設定可能に構成すると共に、ヒータ素線206aも個別に断線チェックを実施可能に構成する。さらに、検知処理及びエラー処理のパラメータの変更を、主コントローラ14の電源を落とさずに実施可能に構成する。
【0068】
図7に示すように、本実施形態の主コントローラ14は、メモリ1b内に設けた共有メモリ5に検知処理のパラメータ(検知処理の実施有無、出力電力、断線チェック時間、ヒータ領域番号等)及びエラー処理のパラメータ(エラー処理の実施有無、ブザー報知有無、エラー保持)を読み出し可能に書き込む構成としている。これにより、検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータをファンクションパラメータとすることができ、主コントローラ14の電源を一々オンオフすることなく、リアルタイムに変更した検知処理及びエラー処理のパラメータの値を反映することができる。これらファンクションパラメータの例を以下に示す。
【0069】
PMCファンクション/ヒータ断線検知/ヒータ断線検知機能=無し、有り;
PMCファンクション/ヒータ断線検知/シグナルエラー番号(ヒータゾーン1〜5)(0〜64);
PMCファンクション/ヒータ断線検知/STANDBYチェック時のエラー処理=無し、HOLD;
PMCファンクション/ヒータ断線検知/END直前チェック時のエラー処理=無し、BUZZER、HOLD(エラー保持);
PMCファンクション/ヒータ断線検知/パワー値=0〜100%;
PMCファンクション/ヒータ断線検知/監視時間=00〜99sec;
PMCファンクション/ヒータ断線検知/遅延時間=00〜99sec
なお、PMCとは、プロセスモジュールコントロールの略であり、本実施形態におけるプロセス系コントローラ12である。
【0070】
また、主コントローラ14は、検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータをハードディスク1c内に設けた共有メモリ5aに読み出し可能に格納する構成としている。これにより、上記第1の実施形態ではコンフィグレーションパラメータとして記憶していた検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータを本実施形態ではファンクションパラメータとして記憶することができる。
【0071】
プロセス系コントローラ12は、例えば図8に示すように、初期状態(RESETモード)、待機状態(IDLEモード)、実行可能状態(STANDBYモード)、実行中状態(RUNモード)及び終了状態(ENDモード)の主に5つの状態の間で相互に遷移するように構成されている。なお、各状態間の遷移途中の状態としては、例えばGO RESET,GO STANDBY,GO END等がある。各状態への遷移は、主コントロ
ーラ14又は搬送系コントローラ11が実施する。
【0072】
なお、本実施形態では、後述するようにプロセス系コントローラ12の状態(PMモード)が待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時及び実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時において断線検知部10に検知処理を実施させるように構成されている。
【0073】
図8に示すように、基板処理装置100の電源が投入(POWER ON)されると、主コントローラ14は、状態遷移プログラムが、基板処理装置100の各部の状態を初期状態(RESETモード)にするよう構成されている。
【0074】
初期状態(RESETモード)とは、基板処理装置100の電源が投入された時(POWER ON)、又は基板処理装置100にトラブルが発生した際に基板処理装置100がリセットされた時に遷移する状態である。具体的には、基板搬送系11Aを構成する例えば回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118,ウエハ移載機構(基板移載機構)125,ボート217及び回転機構254は、それぞれ原点位置に移動して停止状態となる。また、基板処理系、例えばガス排気機構、加熱機構、ガス供給系はそれぞれ停止状態となる。また、表示装置18及び副表示装置19には初期画面が表示される。
【0075】
基板処理装置100の各部の状態が初期状態(RESETモード)となったら、基板処理装置100の各部の状態を、基板処理レシピの実行指示を受け付け可能な待機状態(IDLEモード)へ遷移させるように構成されている。
【0076】
待機状態(IDLEモード)とは、レシピの実行指示を受け付け可能な状態である。具体的には、基板処理系、例えば加熱機構のヒータ206への電力供給を停止している(或いは、ヒータ206が常温(デフォルト)になるように電力を供給している)状態や、基板搬送系11Aを構成する例えばウエハ移載機構(基板移載機構)125が、原点位置で駆動停止(フィックス)しており自動的に動作しない状態をいう。
【0077】
基板処理装置100の各部の状態が待機状態(IDLEモード)となったら、例えばレシピや各種パラメータ入力等の操作画面が表示装置18に表示され、所望のレシピや各種パラメータの入力が可能な状態となる。具体的には、基板処理レシピ等の関連データが表示装置18に表示され、それらレシピやパラメータの入力が可能となる。
【0078】
ここで、基板処理レシピは、ウエハ200を処理する処理条件や処理手順等が定義されたレシピである。レシピファイルには、搬送系コントローラ11、温度コントローラ12a、圧力コントローラ12b、ガス供給コントローラ12c等のサブコントローラに送信する設定値(制御値)や送信タイミング等が、基板処理のステップ毎に設定されている。
【0079】
基板処理装置100の各部の状態が待機状態(IDLEモード)となっている間に、ロードポート114上にポッド110が載置され、図示しない入力部から基板処理レシピの実行指示(STARTボタンの押下操作)が入力されると、主コントローラ14は、基板処理装置100の状態又はプロセス系コントローラ12を、実行可能状態(STANDBYモード)を介して基板処理レシピの実行中状態(RUNモード)へ遷移させるように構成されている。
【0080】
実行可能状態(STANDBYモード)とは、レシピの実行が可能な状態である。具体的には、例えば加熱機構のヒータ206への電力供給を開始して処理室201内が予熱状態となる。また、例えばパージガス供給系によるパージガスの供給を開始して処理室20
1内がパージガスによりパージ状態となる。また、基板搬送系11Aを構成する例えばウエハ移載機構(基板移載機構)125が、待機位置で駆動準備している状態となる等、基板処理レシピの実行中状態(RUNモード)へ遷移するのに全ての条件が整うような状態をいう。
【0081】
そして、主コントローラ14は、状態遷移プログラムに従い、基板処理装置100の状態又はプロセス系コントローラ12を基板処理レシピの実行中状態(RUNモード)へ遷移させるように構成されている。
【0082】
実行中状態(RUNモード)とは、レシピファイルに定義された各種レシピを実行中の状態である。実行中状態(RUNモード)になると、ウエハ200を保持したボート217が処理炉202内に搬入される(ローディング)。そして、実行中状態(RUNモード)においては、主コントローラ14は、レシピファイルの記載に基づいて、搬送系コントローラ11、温度コントローラ12a、圧力コントローラ12b、及びガス供給コントローラ12c等のサブコントローラに対し、所定のタイミングで所定の設定値(制御値)を送信するように構成されている。
【0083】
基板処理レシピの実行が完了したら(ウエハ200の処理が終了したら)、主コントローラ14は、基板処理装置100の状態(プロセス系コントローラ12)を、実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へ遷移させる。
【0084】
終了状態(ENDモード)とは、レシピの実行が終了した状態である。なお、終了状態(ENDモード)には、レシピが正常に終了した正常終了状態と、何らかのトラブルによりレシピが異常終了した異常終了状態と、の2つの状態がある。
【0085】
なお、実行可能状態(STANDBYモード)において、例えば表示装置18に表示された操作画面上のIDLEボタンを押下操作することにより、実行可能状態(STANDBYモード)から待機状態(IDLEモード)に強制的に遷移させることが可能である。この場合、例えば、生産ラインが何らかの都合により、一時的に停止してポッド110(ウエハ200)を待つ際などに有効である。また、待機状態(IDLEモード)、実行可能状態(STANDBYモード)、実行中状態(RUNモード)及び終了状態(ENDモード)のうち、いずれか1つの状態において、例えば操作画面上のRESETボタンを押下操作することにより、初期状態(RESETモード)に強制的に遷移させることが可能である。係る機能は、例えば、何らかの装置トラブル等が生じ、基板処理装置100を初期状態(RESETモード)に戻す際に有効である。
【0086】
なお、本実施形態では、プロセス系コントローラ12が待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)への遷移要求(スタンバイ要求)を受けた時及び実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)への遷移要求(エンド要求)を受けた時の両方においてヒータ断線の検知処理の有無を選択できる。また、本実施形態では、検知処理及びエラー処理を実施する場合には、検知処理の要件パラメータ及びエラー処理の要件パラメータを、プロセス系コントローラ12が待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)への遷移要求(スタンバイ要求)を受けた時及び実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)への遷移要求(エンド要求)を受けた時の両方において同じ設定となるよう選択することができる。また、検知処理のパラメータとしては、検知処理の実施有無、後述のヒータ素線に供給する出力電力値(パワー値ともいう)、監視時間、遅延時間、断線チェック時間、ヒータ領域番号(シグナルエラー番号ともいう)等がある。また、エラー処理のパラメータとしては、エラー処理の実施有無、ブザー報知有無、エラー保持(HOLD)等がある。
【0087】
また、待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)への遷移要求(スタンバイ要求)を受けた時、プロセス系コントローラ12は、検知処理を後述する断線検知部10に実施させ、ヒータ断線を検知したら実行可能状態(STANDBYモード)に遷移させないよう構成されている。また、ヒータ断線検知部3は、実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)への遷移要求(エンド要求)を受けた時、同様に、ヒータ断線を検知したら次ロットにおいて実行可能状態(STANDBYモード)に遷移させないよう構成されている。これにより、ヒータ206の断線を、ウエハ200が処理室201内に搬入される前に検知し、ヒータ206の断線を検知したら基板処理レシピが開始することを防止することができる。したがって、プロセスLOT OUT(ロット不良)を未然に防止して装置信頼性を向上させることができる。
【0088】
(断線検知部)
ヒータ断線を検知する検知処理を実施する断線検知部(断線検知システム)10は、例えば図9に示すように構成されている。図9は、複数の領域に分割されたヒータ206のヒータ素線206aの断線/非断線を検知する断線検知部10のブロック構成図である。主に、ヒータ206、電力供給部22、温度コントローラ12a、電流検出器10a、断線警報機10c、シーケンサ12d及びプロセス系コントローラ12により、断線検知部が構成される。ヒータ206は処理室201内の温度特性を上げるため、例えば5つの領域に分割されている。なお、図9では分割された5つの領域のうち1つを代表例として示している。断線検知部10は、ヒータ素線206aのそれぞれに流れる電流を測定する、例えばカレントトランス等の電流検出器10aと、ヒータ素線206aのそれぞれにかかる電圧を測定する、ステップダウントランス等の電圧測定器10bと、電流検出器10aからの電流測定値及び電圧測定器10bからの電圧測定値からヒータ素線206aの断線/非断線を検知する断線警報器10cと、断線警報器10cからインターロック信号として断線エラーの通知を受け、断線したヒータ素線206aの領域を特定可能なヒータ領域番号情報(ヒータ断線結果エリアともいう)を出力する汎用制御部としてのシーケンサ12dと、を備えている。ヒータ素線206aのそれぞれには、AC電源等のヒータ電源21aからの電力を供給する電力供給器としての電力供給部22が接続されている。なお、シーケンサ12dは、プロセス系コントローラ12にDevice Net等でシリアル接続されている。電力供給部22は、温度コントローラ12aに制御されるサイリスタ23によりスイッチング(オンオフ)制御される。なお、温度コントローラ12aは、プロセス系コントローラ12にシリアル接続されている。
【0089】
上記のように構成された電力供給部22及び断線検知部10の動作を説明する。温度コントローラ12aは、サイリスタ23をスイッチング制御し、ヒータ電源21aから所定の出力電力(0〜100%)をヒータ素線206aのそれぞれに供給させる。そして、断線検知部10は、ヒータ素線206aのそれぞれに流れる電流を電流検出器10aで測定すると共に、ヒータ素線206aのそれぞれにかかる電圧を電圧測定器10bで測定する。断線検知部10は、電流検出器10a及び電圧測定器10bの測定結果を受けて断線警報器10cにより断線/非断線を検知する。ここで、ヒータ素線206aに電力が供給された時、ヒータ素線206aには所定の電圧がかかる。この電圧がかかった状態でヒータ素線206aに電流が流れていれば、断線警報器10cはヒータ素線206aが断線していないと判断する。一方、電圧がかかった状態でヒータ素線206aに電流が流れていなければ、断線警報器10cはヒータ素線206aが断線していると判断する。すなわち、電流検出器10a及び電圧測定器10bが測定し、断線警報器10cが測定結果を判断し、この判断結果を断線警報器10cがシーケンサ12dに通知する。シーケンサ12dは、プロセス系コントローラ12に断線エラー又は断線エラー無しの旨及びヒータ領域番号情報を出力する。そして、プロセス系コントローラ12は、断線検知部10のシーケンサ12dから断線エラー及びヒータ領域番号情報を受信し、ヒータ素線206aの断線領域を特定するよう構成されている。これにより、本実施形態では、断線検知部10を設ける
ことでヒータ206の断線を直接検知することができ、処理炉202内の温度異常が発生した場合においても、ヒータ206の断線によるものかそうでないかの判断がし易くなる。
【0090】
なお、実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時に検知処理有りの設定となっていても、以下の条件によって検知処理を実施しない場合がある。検知処理を実施しない場合の条件は、実行中状態(RUNモード)において、現在実施しているレシピステップからエンドステップへJUMP/SKIPした場合である。また、レシピの最終ステップ実行中にアラームレシピが実行され、アラームレシピの最終ステップにエンドコマンドが設定されている場合である。なお、レシピの最終ステップにサブレシピが設定されており、サブレシピの最終ステップにENDコマンドが設定されている場合は検知処理を実施するようにしている。
【0091】
また、以下に記載するような検知処理の終了条件、例えば4つの終了条件によって検知処理を終了させるようプロセス系コントローラ12が構成されている。まず、1つ目の検知処理の終了条件は、検知処理を開始して所定時間経過(監視時間、遅延時間、断線チェック時間)後、ヒータ断線エラー(シーケンサ12dからのシグナルエラー番号が全領域(5つ)ともOFF)が発生しなかった場合である。
【0092】
また、2つ目の検知処理の終了条件はヒータ断線エラー以外のエラーが発生した場合である。例えばGO STANDBYモード時において、RESET/ABORT/ENDのアラームが発生した場合、検知処理を中断し、GO RESET/GO ABORT/GO ENDモードへ移行させて検知処理を実施しない。なお、RESET/ABORT以外のアラームが発生したら、検知処理を継続する。また、検知処理中、ヒータ断線エラーでHOLD処理が予約されている場合には、HOLD処理しない。ヒータ断線エラー無しの場合には、HOLD処理を受け付ける。
【0093】
一方、プロセス系コントローラ12の状態(PMモード)が実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時、すなわち実行中状態(RUN)中の最終ステップ時において、例えばAlarm Recipe(アラームレシピ)のアラームが発生した場合、検知処理を中断し、通常のAlarm Recipe処理を実行し、検知処理を実施しない。なお、例えばMONITOR/BUZZERのアラームが発生したら、検知処理を継続する。また、検知処理中、ヒータ断線エラーでHOLD処理が予約されている場合には、HOLD処理しない(ヒータ断線エラーでHOLD(エラー保持))。ヒータ断線エラー無しの場合には、HOLD処理を実施する。また、実行中状態(RUN)中の最終ステップ時において、JUMPのアラームが発生した場合、検知処理を中断し、通常のJUMPステップ処理を実行し、最終ステップを実行した時に、再度検知処理を実施する。また、実行中状態(RUNモード)中の最終ステップ時において、RESET/ABORTのアラームが発生した場合、検知処理を中断し、GO RESET/GO
ABORTモードへ移行させて、検知処理を実施しない。また、実行中状態(RUNモード)中の最終ステップ時において、ENDアラームが発生した場合、検知処理を中断し、GO ENDモードへ移行させ検知処理を実施しない。
【0094】
また、3つ目の検知処理の終了条件は、ヒータ素線206aの断線チェック中に以下のパラメータを無しにした場合である。検知処理を最後まで実施して終了させ、発生しているヒータ断線エラーを全て手動クリアした後、HOLD処理している場合にはHOLD解除を実施し、ヒータ断線検知無し状態とする。すなわち、検知処理の実施を有りから無しにした場合、待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時及び実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時において、これら両方での検知処理が無しとなる。
【0095】
また、4つ目の検知処理の終了条件は、コマンド指示をした場合である。例えばRESET、ABORT等のコマンド指示をした時、検知処理を実施しない。なお、検知処理中の各コマンドの有効/無効を以下の表1に例示する。
【0096】
【表1】

【0097】
但し、
○:ヒータ断線検知を中断させ、コマンド有効。その後、断線検知を実施しない。
×:コマンド無効
△:断線検知継続させ、断線検知終了後、コマンド有効。
◇:ヒータ断線検知を中断させ、コマンド有効。その後、実行中状態(RUNモード)中の最終ステップ実行後、再度断線検知を実施する。
【0098】
なお、検知処理終了時には、温度コントローラ12aに対する温度設定値を、検知処理する前の設定に戻す。また、検知処理の条件待ちもクリアとする。
【0099】
(エラー処理部)
図7に示すように、エラー処理部4は、ハードディスク(HDD)1cから読み出されたエラー処理プログラムがCPU1aに実行されることにより、主コントローラ14に実現されたものである。エラー処理部4は、プロセス系コントローラ12からの実施指示を受けたら、共有メモリ5からエラー処理のパラメータとしてブザー報知有無、エラー保持等を読み込み、これらのパラメータに応じて所定のエラー処理を実施するよう構成されている。
【0100】
具体的には、エラー処理部4は、プロセス系コントローラ12からのエラー処理の実施指示を受けたら、例えばブザー6を鳴動させてヒータ206の断線を報知する。これにより、ヒータ206が断線していることを作業者が知ることができる。
【0101】
また、エラー処理部4は、ヒータ断線エラーの発生した旨を共有メモリ5内のファイルに読み書き可能に書き込んでヒータ断線エラーの発生した旨を保持するよう構成されている。そして、プロセス系コントローラ12からエラー解除の指示を受信したら、ファイルに書き込んだヒータ断線エラーの発生した旨を削除する。これにより、エラー解除されるまで、作業者が基板処理装置100内に立ち入り、ヒータ交換作業等のメンテナンスを行っている際には、例えば他の画面操作等がブロックされエラー処理状態を継続することができ、安全性を向上させることができる。
【0102】
また、エラー処理部4は、プロセス系コントローラ12からエラー処理の実施指示を受けたら、メンテナンス作業中である旨の表示(スタートWAIT)を表示制御部16及び副表示制御部17に指示することで、表示装置18及び副表示装置19がメンテナンス作業中である旨を操作画面に表示可能である。これにより、作業者にヒータ交換作業等のメンテナンス作業を促すことができる。また、エラー処理部4は、プロセス系コントローラ
12からエラー処理の実施指示を受けたら、メンテナンス作業を解除してエラー処理を解除するエラー解除ボタンの表示を表示制御部16及び副表示制御部17に指示することで、表示装置18及び副表示装置19がエラー解除ボタンを操作画面に表示可能である。そして、表示制御部16は、図示しない入力部からのエラー解除ボタンの操作信号を受信し、エラー処理部4にエラー解除を指示してエラー処理を終了させる。これにより、ヒータ交換作業等のメンテナンス作業が終了され次第、プロセス系コントローラ12の状態(PMモード)を実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させることができる。
【0103】
なお、PMモードが待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時に実施するエラー処理は、ヒータ断線エラーのアラームを全て手動回復させた後、ABORT又はRESETモードへ移行することで、HOLD解除するように構成してもよい。また、実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時に実施するエラー処理は、ヒータ断線エラーのアラームを全て手動回復させた後、JUMP/SKIP/RELEASEコマンドによりHOLD解除され、GO ENDへ移行するように構成してもよい。
【0104】
(8)検知処理及びエラー処理
次に、本実施形態に係る検知処理及びエラー処理について、図10、11を参照しながら説明する。係る動作は、半導体装置の製造工程の一工程として行われる。図10は、待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時に実施する検知処理の概略説明図である。図11は、実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時に実施する検知処理の概略説明図である。
【0105】
図10に示すように、搬送系コントローラ11からのスタンバイ要求に応じて、まず、ヒータ電源21aからの電力供給を出力電力(0〜100%)に設定する指示がプロセス系コントローラ12から温度コントローラ12aに出力される。この出力電力指定を受けた旨の応答として監視時間内に温度コントローラ12aから指定応答=OKを受信しなかった場合(指定応答無し=NG)、又は指定応答=NGを受信した場合、プロセス系コントローラ12は、電力供給部22の回線ダウン等であると判断し、検知処理を中断してヒータ206の全領域をヒータ断線エラーとして主コントローラ14へ送信する。同時に、プロセス系コントローラ12は、シーケンサ12dに対して検知処理終了を指示する。一方、監視時間内に温度コントローラ12aから指定応答=OKを受信した場合、プロセス系コントローラ12は、指定応答=OKの旨を主コントローラ14へ送信する。そして、主コントローラ14は、基板処理装置100の状態をGO STANDBYモードにし、ヒータ断線検知条件待ちとなり、検知処理が正常終了、異常終了又は中断するまでヒータ断線検知条件待ちをホールド(HOLD)する。なお、実行可能状態(STANDBYモード)のステップにサブレシピが設定されている場合、サブレシピの第1ステップの先頭でヒータ断線検知条件待ちにする。但し、ステップ時間の計測は行わないが、ホールド時間は計測される。
【0106】
図9で上述したように、電力供給部22は、複数の領域(例えば5つ)に分割されたヒータ206のヒータ素線206aのそれぞれに電力を供給する。この時、ヒータ電源21aがヒータ素線206aに出力電力を供給するまでの遅延時間の後、ヒータ電源21aが出力電圧を0〜100%までふって電力供給する。断線検知部10は、ヒータ素線206aのそれぞれに流れる電流及び電圧を測定し、断線チェック時間が経過するまで(S202)、断線/非断線を検知する。そして、断線検知部10は、ヒータ素線206a(ヒータ206)が断線していたらヒータ断線エラー及びヒータ領域番号情報をプロセス系コントローラ12へ出力し、ヒータ206が断線していなかったら断線エラー無しの旨をプロセス系コントローラ12へ出力する。なお、検知処理中、表示装置18及び副表示装置19は、検知処理の状況を表示可能な検知処理画面を表示する(S106)。
【0107】
プロセス系コントローラ12は、断線チェック時間が経過し、断線検知部10の検知処理の結果を受けてヒータ206が断線していなかったら、断線エラー無しの旨を主コントローラ14へ送信する。同時に、プロセス系コントローラ12は、シーケンサ12dに対して検知処理終了を指示すると共に、温度設定値を基板処理レシピの温度設定値に復帰させるよう温度コントローラ12aに指示する。プロセス系コントローラ12は、断線検知部10から断線エラー無しを受けたら、プロセス系コントローラ12の状態(PMモード)を実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させる。そして、プロセス系コントローラ12は、レシピのスタート指示(STANDBYモードからRUMモードへ遷移させる指示)を待つ。プロセス系コントローラ12の状態を実行可能状態(STANDBYモード)以降、後述するように実行中状態(RUNモード)、終了状態(ENDモード)へと遷移させる。
【0108】
プロセス系コントローラ12は、断線チェック時間が経過し、断線検知部10の検知処理の結果を受けてヒータ206が断線していたら、ヒータ206の断線領域を特定してヒータ断線エラー及びヒータ領域番号情報を主コントローラ14へ送信する。同時に、断線検知部10は、シーケンサ12dに対して検知処理終了を指示すると共に、温度設定値を基板処理レシピの温度設定値に復帰させるよう温度コントローラ12aに指示する。
【0109】
(エラー処理)
主コントローラ14は、プロセス系コントローラ12からの断線エラーを受けたら、エラー処理部4にエラー処理を指示する。エラー処理部4は、プロセス系コントローラ12からのヒータ断線エラーを受け、共有メモリ5からエラー処理の要件パラメータ(ブザー報知有無、エラー保持)を読み込む。そして、エラー処理部4は、要件パラメータに応じてエラー処理を実施する。エラー処理部4は、ブザー6を鳴動させてヒータ206の断線を報知する。また、エラー処理部4は、ヒータ断線エラーの発生した旨を共有メモリ5内のファイルに読み書き可能に書き込み、表示制御部16からエラー解除の指示を受信するまで、ヒータ断線エラーの発生した旨を保持する。これにより、エラー解除の指示がされるまで、作業者が基板処理装置100内に立ち入り、ヒータ交換作業等のメンテナンスを行っている際には、エラー処理状態を継続することができ、安全性を向上させることができる。
【0110】
また、エラー処理部4は、主コントローラ14からエラー処理の実施指示を受けたら、メンテナンス作業中である旨の表示(スタートWAIT)を表示制御部16及び副表示制御部17に指示する。表示制御部16及び副表示制御部17は、エラー処理部4からの指示を受け、メンテナンス作業中である旨を表示装置18及び副表示装置19の操作画面に表示する。これにより、作業者にヒータ交換作業等のメンテナンス作業を促すことができる。また、エラー処理部4は、特定した断線領域を表示装置18及び副表示装置19の操作画面に表示させる。表示制御部16及び副表示制御部17は、エラー処理部4からの指示を受け、ヒータ断線領域を表示装置18及び副表示装置19の操作画面に表示する。
【0111】
さらに、エラー処理部4は、主コントローラ14からエラー処理の実施指示を受けたら、エラー解除ボタンの表示を表示制御部16及び副表示制御部17に指示する。表示制御部16及び副表示制御部17は、エラー処理部4からの指示を受け、エラー解除ボタンを表示装置18及び副表示装置19の操作画面に表示する。作業者は、表示装置18及び副表示装置19に表示されるメンテナンス作業中である旨の表示を見てヒータ断線エラーが発生したことを知り、例えばヒータ交換作業を行う。そして、ヒータ交換作業の終了後、作業者はエラー解除ボタンを押下操作する。すると、表示制御部16及び副表示制御部17は、エラー解除ボタンの操作信号を主コントローラ14に送信する。主コントローラ14は、表示制御部16及び副表示制御部17からのエラー解除ボタンの操作信号を受信し
、エラー処理部4にエラー解除を指示する。エラー処理部4は、プロセス系コントローラ12からエラー解除の指示を受信したら、ファイルに書き込んだヒータ断線エラーの発生した旨を削除してエラー解除し、エラー処理を終了する。これにより、ヒータ交換作業等のメンテナンス作業が終了され次第、プロセス系コントローラ12の状態を実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させることができ、ウエハ200が処理室201内に搬入される前にヒータ206の断線を検知し、ヒータ206の断線を検知したらウエハ200が処理室201内に搬入されないよう基板処理レシピの開始を防止することができる。
【0112】
(実行可能状態(STANDBYモード))
プロセス系コントローラ12は、エラー処理の終了を受けると共に、所定の条件が整ったら、プロセス系コントローラ12の状態を実行可能状態(STANDBY状態)へ遷移させる。さらに、プロセス系コントローラ12は、実行可能状態(STANDBYモード)において、上述したように基板処理レシピの実行中状態(RUNモード)へ遷移するのに全ての条件が整った状態になったら、プロセス系コントローラ12の状態(PMモード)を実行中状態(RUNモード)へ遷移させる指示を待つ。
【0113】
(実行中状態(RUNモード))
実行中状態(RUNモード)においては、レシピファイルの記載に基づいて、搬送系コントローラ11、温度コントローラ12a、圧力コントローラ12b、及び流量コントローラ12c等のサブコントローラに対し、所定のタイミングで所定の設定値(制御値)を送信し、上述したように基板処理レシピが実施される。なお、表示装置18及び副表示装置19は、基板搬送系11Aや加熱機構12A、ガス排気機構12B、ガス供給系12Cの各動作を表示するレシピ実行中画面等の操作画面を表示する。そして、図11に示すように、実行中状態(RUNモード)中の実施(プロセス)レシピの最終ステップが完了したら、プロセス系コントローラ12は遷移要求(エンド要求)としてレシピの完了通知を受ける。
【0114】
(検知処理)
プロセス系コントローラ12はレシピの完了通知を受け、検知処理の実施の有無を判断する。検知処理を行わない場合には、プロセス系コントローラ12の状態を終了状態(ENDモード)へ遷移させる。そして、基板処理装置100の各部の状態が終了モード(ENDモード)となったら、主コントローラ14は、基板処理装置100の各部の状態を待機状態(IDLEモード)へ遷移させる。さらに、ロードポート114上にポッド110が載置されると、主コントローラ14は、次ロット有りと判断し、以降上述の動作を繰り返す。
【0115】
一方、検知処理を行う場合には、プロセス系コントローラ12が断線検知部10に検知処理を実施させる。この時、図11に示すように、エンド要求に応じて、まず、ヒータ電源21aからの電力供給を出力電力(0〜100%)に設定する指示が温度コントローラ12aに出力される。この出力電力指定を受けた旨の応答として監視時間内に温度コントローラ12aから指定応答=OKを受信しなかった場合(指定応答無し=NG)、又は指定応答=NGを受信した場合、プロセス系コントローラ12は、電力供給部22の回線ダウン等であると判断し、検知処理を中断してヒータ206の全領域を断線エラーとして主コントローラ14へ送信する。同時に、プロセス系コントローラ12は、シーケンサ12dに対して検知処理終了を指示する。一方、監視時間内に温度コントローラ12aから指定応答=OKを受信した場合、プロセス系コントローラ12は、指定応答=OKの旨を主コントローラ14へ送信する。そして、プロセス系コントローラ12は、PMモードをGO ENDモードにし、ヒータ断線検知条件待ちとして、検知処理が正常終了、異常終了又は中断するまでヒータ断線検知条件待ちをホールド(HOLD)する。
【0116】
上述したように、電力供給部22は、ヒータ206のヒータ素線206aのそれぞれに電力を供給する。この時、ヒータ電源21aがヒータ素線206aに出力電力を供給するまでの遅延時間の後、ヒータ電源21aが出力電圧を0〜100%までふって電力供給する。断線検知部10は、ヒータ素線206aのそれぞれに流れる電流及び電圧を測定し、断線チェック時間が経過するまで、断線/非断線を検知する。そして、断線検知部10は、ヒータ素線206aが断線していたらヒータ断線エラー及びヒータ領域番号情報をプロセス系コントローラ12へ出力し、ヒータ206が断線していなかったらヒータ断線エラー無しの旨をプロセス系コントローラ12へ出力する。なお、検知処理中、表示装置18及び副表示装置19は、検知処理の状況を表示可能な検知処理画面を表示する。
【0117】
プロセス系コントローラ12は、断線チェック時間が経過し、断線検知部10の検知処理の結果を受けてヒータ206が断線していなかったら、ヒータ断線エラー無しの旨を主コントローラ14へ送信する。同時に、プロセス系コントローラ12は、ヒータ断線エラー無しの旨を受信した場合、シーケンサ12dに対して検知処理終了を指示すると共に、温度設定値を基板処理レシピの温度設定値に復帰させるよう温度コントローラ12aに指示する。プロセス系コントローラ12は、断線検知部10からヒータ断線エラー無しを受けたら、PMモードを終了状態(ENDモード)へ遷移させる。
【0118】
プロセス系コントローラ12は、断線チェック時間が経過し、断線検知部10の検知処理の結果を受けてヒータ206が断線していたら、ヒータ206の断線領域を特定してヒータ断線エラー及びヒータ領域番号情報を遷移指示部2へ送信する。同時に、プロセス系コントローラ12は、シーケンサ12dに対して検知処理終了を指示する。
【0119】
(終了状態(ENDモード))
検知処理が完了したら、プロセス系コントローラ12は、PMモードの状態を終了状態(ENDモード)へ遷移させる。表示装置18及び福表示装置19は、終了画面等の操作画面を表示する。ここで、検知処理の結果、ヒータ断線エラー無しの旨を受信した場合、基板処理装置100の各部の状態を終了状態(ENDモード)から要件に従って待機状態(STANDBYモード)へ遷移させ、以降上述の動作を繰り返す。
【0120】
(エラー処理)
一方、検知処理の結果、ヒータ断線エラーを受信した場合、主コントローラ14はエラー処理部4にエラー処理を指示し、エラー処理部4がエラー処理を実施する。表示装置18及び副表示装置19は、メンテナンス作業中である旨及びエラー解除ボタンを操作画面に表示すると共に、ヒータ断線領域を操作画面に表示する。ヒータ交換作業の終了後、表示制御部16及び副表示制御部17は、押下操作されたエラー解除ボタンの操作信号を主コントローラ14に送信する。主コントローラ14は入力部からのエラー解除ボタンの操作信号を受信し、エラー処理部4にエラー解除を指示し、エラー処理部4はエラー処理を終了する。これにより、ヒータ交換作業等のメンテナンス作業が終了され次第、基板処理装置100の状態を終了状態(ENDモード)から待機状態(IDLEモード)、実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させることができ、次ロットの基板処理レシピを実施することができる。主コントローラ14は、基板処理装置100の状態を終了状態(ENDモード)から待機状態(IDLEモード)、実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させ、表示制御部16及び福表示制御部17等から次ロット有りとの情報が入力されると、以降、上記動作が繰り返す。
【0121】
(9)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0122】
(a)本実施形態によれば、プロセス系コントローラ12の状態が待機状態(IDLEモ
ード)から実行可能状態(STANDBYモード)への遷移要求を受けた時、断線検知部10に検知処理を実施させ、ヒータ断線エラーを受信しなかったら、プロセス系コントローラ12の状態を実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させ、ヒータ断線エラーを受信したら、基板処理装置100(プロセス系コントローラ12)の状態を実行可能状態(STANDBYモード)へ遷移させることなくエラー処理部4にエラー処理を実施させる。これにより、ウエハ200が処理室201内に搬入される前にヒータ206の断線を検知して、ヒータ206の断線を検知したらウエハ200が処理室201内に搬入されないよう基板処理レシピが開始することを防止することができる。この結果、プロセスLOT OUT(ロット不良)を未然に防止して装置信頼性を向上させることができる。
【0123】
(b)本実施形態によれば、エラー処理部4は、断線エラーの発生した旨を受信したら、メモリ1b内のファイルに断線エラーの発生した旨を書き込んで断線エラーの発生した旨を保持し、表示制御部16からエラー解除の指示を受信したら、ファイルに書き込んだヒータ断線エラーの発生した旨を削除する。これにより、作業者が基板処理装置100内に立ち入り、ヒータ交換作業等のメンテナンスを行っている際には、他の画面操作等がブロックされエラー処理状態を継続することができ、安全性を向上させることができる。
【0124】
(c)本実施形態によれば、表示制御部16及び副表示制御部17は、メンテナンス作業中である旨を操作画面に表示可能であり、エラー処理部4は、主コントローラ14からエラー処理の実施指示を受けたら、表示制御部16及び副表示制御部17にメンテナンス作業中である旨の表示を指示する。これにより、作業者にヒータ交換作業等のメンテナンス作業を促すことができる。
【0125】
(d)本実施形態によれば、表示制御部16及び副表示制御部17はエラー解除ボタンの表示を操作画面に表示可能であり、エラー処理部4は主コントローラ14からエラー処理の実施指示を受けたら、エラー解除ボタンの表示を表示制御部16及び副表示制御部17に指示し、遷移指示部2は表示制御部16及び副表示制御部17からのエラー解除ボタンの操作信号を受信し、エラー処理部4にエラー解除を指示してエラー処理を終了させる。これにより、作業者が確認しながら、ヒータ交換作業等のメンテナンス作業を終了させることができる。
【0126】
(e)本実施形態によれば、複数の領域に分割されたヒータ206のそれぞれのヒータ素線206aに電力を供給する電力供給部22と、電力供給部22に接続され、ヒータ素線206aの断線/非断線を検知する断線検知部10と、を備え、プロセス系コントローラ12は、断線検知部10を制御して検知処理を実施し、断線検知部10が検知した検知結果に基づき、断線したヒータ素線206aの領域を特定する。これにより、断線したヒータ素線206aの領域が分かるので、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0127】
なお、従来、処理室201内の温度制御は、処理室201内に設けた温度センサ263等で測定した温度情報に基づき、PID(P:比例制御,I:積分制御,D:微分制御)制御していた。そして、通常の状態に比べてオーバーシュートやオーバーハンティングが生じることにより、ヒータ206が断線していると推測していた。そして、メンテナンス作業等により実際にヒータ206の断線/非断線を確認していた。つまり、従来では、温度センサ263等で測定した温度情報により間接的にしかヒータ断線を検知できなかった。
【0128】
本実施形態では、ヒータ素線206aのそれぞれに電力を供給して電圧及び電流を測定しているので、ヒータ素線206aの断線/非断線を直接的に検知することができる。
【0129】
(f)本実施形態によれば、メモリ1b内に設けた共有メモリ5に検知処理のパラメータ
(検知処理の実施有無、出力電力、断線チェック時間、ヒータ領域番号等)及びエラー処理のパラメータ(エラー処理の実施有無、ブザー報知有無、エラー保持)を読み出し可能に書き込む構成としている。これにより、検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータをファンクションパラメータとして構成でき、主コントローラ14Bの電源を一々オンオフすることなく、変更した検知処理及びエラー処理のパラメータの値をリアルタイムに反映することができる。
【0130】
(g)本実施形態によれば、検知処理のパラメータ及びエラー処理のパラメータを、ファンクションパラメータとしてハードディスク1c内に設けた共有メモリ5aに読み出し可能に格納する構成としている。これにより、主コントローラ14の電源を落とした後でも、変更した検知処理及びエラー処理のパラメータの値をファンクションパラメータとして記憶保持することができ、起動後速やかに前回設定したファンクションパラメータで検知処理及びエラー処理を実施することができる。
【0131】
(h)本実施形態によれば、検知処理及びエラー処理の実施の有無を個別に設定することができる。すなわち、検知処理及びエラー処理を、待機状態(IDLEモード)から実行可能状態(STANDBYモード)へと遷移する時と、実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時との両方で実施してもよいし、一方だけで実施するようにしてもよい。なお、検知処理の結果、ヒータ断線エラーが検知されたら、検知処理に引き続いてエラー処理を実施することは言うまでもない。この場合、さらに検知処理及びエラー処理の実施を選択することができる。したがって、基板処理レシピを実施するのに、検知処理及びエラー処理を例えば1回のみ実施とすることが可能であり、不要な処理を省いて基板処理装置100の操作性(使い易さ)が向上し、生産性及び安全性を向上させることができる。
【0132】
(i)本実施形態によれば、エラー処理の要件パラメータ(ブザー報知有無、エラー保持)を個別に設定することができる。すなわち、エラー処理において、例えば実行中状態(RUNモード)から終了状態(ENDモード)へと遷移する時において、ブザー報知のみ実施(エラー保持無し)と設定することにより、ヒータ断線エラーが発生してもブザー6を鳴動させて作業者にヒータヒータ断線エラーの発生を報知するのみとすることができ、ウエハ200の回収をするのにエラー処理を待つ必要がない。これにより、処理済みのウエハ200を速やかに回収することができる。
【0133】
(j)本実施形態によれば、検知処理の要件パラメータ(出力電力、断線チェック時間、ヒータ領域番号等)を個別に設定することができる。すなわち、検知処理において、例えばヒータ206の分割された複数の領域(例えば5つ)のうち、所望の領域のヒータ素線206aのみ選択し出力電力を設定することで、例えば取り替えたばかりの領域のヒータ素線206aを検知処理から外すことができる。これにより、検知処理の要件パラメータ(出力電力、断線チェック時間、ヒータ領域番号等)を個別に設定することができるので、所望の検知処理を実施することができる。
【0134】
<本発明の他の実施形態>
なお、本実施形態では、基板処理装置は成膜処理を実施するように構成されているが、成膜処理は例えばCVD、PVD、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理であってもよい。また、他の基板処理装置、例えば露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用したCVD装置にも適用できる。また、基板処理装置の一例として半導体製造装置を示しているが、半導体製造装置に限らず、LCD装置のようなガラス基板を処理する装置であってもよい。
【0135】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0136】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0137】
本発明の第1の態様は、
ヒータにより基板を加熱しつつ、処理条件及び処理手順が定義されたレシピを実行して前記基板に所定の処理を施す基板処理装置であって、
前記基板処理装置の各部の搬送動作を制御する搬送制御部と、
前記基板処理装置の各部の処理動作を制御する処理制御部と、
前記搬送制御部及び前記処理制御部を制御する主制御部と、を備え、
前記主制御部は、所定のエラー処理を実施するエラー処理部を備え、
前記処理制御部は、
待機状態からレシピを実行可能な状態へ遷移させる指示を前記搬送制御部から受けると、断線検知処理を実施し、前記断線検知処理の結果、
断線エラーを受信しなかったら、前記レシピを実行可能な状態へ移行し、前記レシピの実行指示を待ち、
断線エラーを受信したら、前記レシピを実行可能な状態へ移行することなく、前記主制御部へ断線エラーを通知して前記所定のエラー処理を実施させる
基板処理装置である。
【0138】
本発明の第2の態様は、
前記主制御部は、前記基板処理装置の状態が前記待機状態から前記実行可能状態への遷移要求を受けた時、前記断線検知部に前記検知処理を実施させ、
前記断線エラーを受信しなかったら、前記基板処理装置の状態を前記実行可能状態へ遷移させ、
前記断線エラーを受信したら、前記基板処理装置の状態を前記実行可能状態へ遷移させることなく前記エラー処理部に前記エラー処理を実施させる
第1の態様に記載の基板処理装置である。
【0139】
本発明の第3の態様は、
前記断線検知部から通知された前記断線エラーの発生した旨をファイルに読み出し可能に書き込むメモリを備え、
前記エラー処理部は、前記断線エラーの発生した旨を受信したら、前記メモリ内の前記ファイルに前記断線エラーの発生した旨を書き込んで該断線エラーの発生した旨を保持し、前記エラー処理を解除するエラー解除の指示を受信したら、前記ファイルに書き込んだ前記断線エラーの発生した旨を削除する
第2の態様に記載の基板処理装置である。
【0140】
本発明の第4の態様は、
前記断線エラーを報知可能なブザーを備え、
前記エラー処理部は、前記ブザーを鳴動させて前記ヒータの断線を報知する
第1ないし3の態様に記載の基板処理装置である。
【0141】
本発明の第5の態様は、
所定の操作(入力・設定・編集・・・)を受付ける操作画面(表示部)を有する操作部を備え、
前記操作部は、メンテナンス作業中である旨を前記操作画面に表示可能であり、
前記エラー処理の実施指示を受けた前記エラー処理部の指示により前記メンテナンス作業中である旨の表示をする
第1ないし第4の態様に記載の基板処理装置である。
【0142】
本発明の第6の態様は、
前記操作部は、前記エラー処理を解除するエラー解除ボタンの表示を前記操作画面に表示可能であり、
前記エラー処理の実施指示を受けた前記エラー処理部の指示により前記エラー解除ボタンの表示をする
第5の態様に記載の基板処理装置である。
【0143】
本発明の第7の態様は、
前記ヒータがそれぞれヒータ素線を備える複数の領域に分割され、
前記ヒータ素線のそれぞれに電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部に接続され、前記ヒータ素線の断線/非断線を検知する断線検知部と、を備え、
前記断線検知部は、前記検知処理の前記実施指示を受けたら、前記ヒータ素線の少なくとも1つに前記電力供給部からの電力を供給させると共に、前記断線検知部に前記検知処理を実施させ、前記断線検知部が検知した検知結果に基づき、断線した前記ヒータ素線の領域を特定する
第2の態様に記載の基板処理装置である。
【0144】
本発明の第8の態様は、
前記メモリは、前記検知処理の実施の有無及び前記エラー処理の実施の有無を示すデータを読み出し可能に書き込み可能で、
主制御部は、前記メモリから読み込んだ前記検知処理の実施の有無及び前記エラー処理の実施の有無を示すデータに基づいて前記検知処理の実施の要否及び前記エラー処理の実施の要否を判断する
第3の態様に記載の基板処理装置である。
【0145】
本発明の第9の態様は、
複数の領域に分割されたヒータと、
前記ヒータに所定の電力を供給する電力供給器と、
前記電力供給器を制御する温度コントローラと、
前記ヒータに流れる電流を検出する電流検出器と、
前記ヒータにかかる電圧と前記電流検出器が検出する電流とに基づいて、前記ヒータに電力を供給してヒータ素線の断線を検知する断線警報器と、
前記断線警報器が前記ヒータ素線の断線を検知したら出力されるインターロック信号を受け付けるシーケンサと、
前記温度コントローラ及び前記シーケンサを制御する制御部と、
を備えた
断線検知システムである。
【0146】
本発明の第10の態様は、
基板を処理するために基板処理レシピを実行する実行中状態を含む複数の状態(モード)を有する基板処理装置の基板処理方法であって、
前記基板処理レシピを実行するための準備を行う準備工程と、
前記基板を基板保持具により保持して前記基板保持具を処理炉内に投入するボートロードステップと、ヒータにより前記処理炉内の温度を待機温度から処理温度へ昇温し、前記処理炉内へのガスの供給を所定のガス流量に安定させると共に前記処理炉内の圧力を所定
の処理圧力で一定にする準備ステップと、前記処理炉内で前記基板に所定の処理を施すための処理ステップと、前記処理炉内の温度を前記処理温度から前記待機温度へ降温する降温ステップと、前記基板保持具を前記処理炉内から取り出すボートアンロードステップとで構成される基板処理工程と、
前記基板処理レシピの開始前に前記ヒータの断線を検知し、前記ヒータが断線していたらヒータ断線検知エラーを発生するヒータ断線検知工程と、
を有し、
前記ヒータ断線検知工程において、前記ヒータ断線検知エラーが発生したら、前記状態(モード)を実行可能状態へ遷移せずに予め設定された所定のエラー処理を実施する
基板処理方法である。
【符号の説明】
【0147】
4 エラー処理部
11 搬送系コントローラ(搬送制御部)
12 プロセス系コントローラ(処理制御部)
14 主コントローラ(主制御部)
100 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
206 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータにより基板を加熱しつつ、処理条件及び処理手順が定義されたレシピを実行して前記基板に所定の処理を施す基板処理装置であって、
前記基板処理装置の各部の搬送動作を制御する搬送制御部と、
前記基板処理装置の各部の処理動作を制御する処理制御部と、
前記搬送制御部及び前記処理制御部を制御する主制御部と、を備え、
前記主制御部は、所定のエラー処理を実施するエラー処理部を備え、
前記処理制御部は、
待機状態からレシピを実行可能な状態へ遷移させる指示を前記搬送制御部から受けると、断線検知処理を実施し、前記断線検知処理の結果、
断線エラーを受信しなかったら、前記レシピを実行可能な状態へ移行し、前記レシピの実行指示を待ち、
断線エラーを受信したら、前記レシピを実行可能な状態へ移行することなく、前記主制御部へ断線エラーを通知して前記所定のエラー処理を実施させる
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−49429(P2012−49429A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192009(P2010−192009)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】