説明

基板搬送装置及び基板搬送方法並びに記憶媒体

【課題】基板載置部から基板を受け取ったときに基板の姿勢が異常な状態であるか否かを確実に検出すること。
【解決手段】前記フォーク3Aを基体31に沿って前進させ、ウエハWを保持する突き上げピン73に対して上昇させることにより、当該突き上げピン73上のウエハWをフォーク3Aに受け取る。このときに前記保持爪30A〜30Dの各々に設けられた歪みセンサ4A〜4Dにより、保持爪30A〜30Dに上から荷重が加わったときの当該保持爪30A〜30Dの歪み量を検出する。各々の歪みセンサの歪み量に基づいて、ウエハWの姿勢が正常であるか否かを判断し、ウエハWの姿勢が異常であると判断したときに、前記フォーク3Aの後退を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板載置部に対して基板の受け渡しを行う基板搬送装置及び基板搬送方法並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板の製造プロセスにおいては、装置内に基板に対して処理を行うモジュールを複数個設け、これらモジュールに基板搬送装置により基板を順次搬送して、所定の処理を行うことが行なわれている。前記基板搬送装置は、例えば図13に示すように、基板を保持するフォーク11,12が基体13に沿って進退自在に設けられると共に、前記基体13が鉛直軸周りに回転自在、昇降自在に構成されている。
【0003】
また基板搬送装置には、図13及び図14に示すように、モジュールからフォーク11,12がウエハWを受け取ったか否かを確認するために光センサ14が設けられている。前記複数のモジュールの中には、例えば300℃程度の高温でウエハWに対して熱処理を行う加熱モジュールも含まれており、光センサ14はこのような高温部位には対処できないことから、フォーク11,12ではなく、基体13の先端側にアーム15を介して取り付けられている。
【0004】
図13及び図14に示す例では、フォーク11,12が基体13の基端側まで後退したときに、光電センサ14によりフォーク11,12先端側にてウエハWが存在するか否かを検出できるように構成されている。例えばこの例では投光部14aから発光され、ウエハ表面にて反射された光を受光部14bにて受光したときにはウエハWが存在し(図14(a)参照)、受光部14bにて受光しないときにはウエハWが存在しない(図14(b)参照)と判定して、ウエハWの有無を検出するようになっている。
【0005】
しかしながら、フォーク11,12が基体13の基端側まで後退したときに、フォーク11,12上のウエハWの有無を検出する構成では、フォーク11,12が正常にウエハWを受け取ったか否かが不明な状態で後退動作が行われてしまう。このため例えばモジュール内においてウエハが破損したり、ウエハの受け渡し位置がずれる等のトラブルが発生した場合においても、フォーク11,12がウエハを受け取った後、そのまま後退動作を続行されるため、当該ウエハが落下して、ウエハや基板搬送装置を破損してしまうといった2次災害を引き起こす懸念がある。
【0006】
また既述の構成では、フォーク11,12上にウエハWが存在しないと検出されたときに、トラブルがどのタイミングで発生したのかを直ちに判断できない。つまりフォーク11,12上にウエハWが存在しないというトラブルは、モジュール内にて発生する場合、モジュールとフォーク11,12との間でのウエハWの受け渡し時に発生する場合、ウエハWの搬送中に発生する場合がある。ところが既述の構成では、モジュール内にてトラブルが発生した場合であっても、引き続き後退動作が続行されてしまうため、トラブル発生直後の状況検分ができず、原因の特定が困難になるおそれがある。
【0007】
このようなことから、モジュール内にてフォーク11,12がウエハWを受け取ったタイミングにて、フォーク11,12がウエハWを正常に保持しているか否かを検出することができる基板搬送装置の開発が要請されている。
【0008】
また近年スループット向上を目的として、モジュールを多段化する傾向にあるが、多数のモジュールを積層すると、実際に組み立てたときの誤差により、モジュールとフォーク11,12との間におけるウエハWの受け渡し位置が設計データと異なる場合が発生する。さらにトラブル発生時に、基板搬送装置側に原因がある場合には当該基板搬送装置のメンテナンスを行い、引き続いてモジュールに対するウエハの受け渡し位置のティーチングを行うこともある。従ってモジュール毎にウエハWの受け渡し位置のティーチングを行わなければならないことがあるが、通常のティーチングではティーチング用の治具が必要であり、モジュール毎にティーチングを行おうとすると、ティーチング治具の着脱等に手間と時間がかかり、作業が煩雑となる。このためティーチング治具を用いずに前記ティーチングを行うことができる基板搬送装置があれば活用度が高く、便利である。
【0009】
ここで特許文献1には、外側から内側へ放射状に動いてウエハの周辺端を把持するグリッパーフィンガーを備えたグリッパーアームにおいて、グリッパーフィンガーの支持体の一つに歪みゲージを設けた構成が記載されている。この例においてグリッパーアームは、グリッパーフィンガーがウエハの周辺端を把持したときに歪みゲージによりウエハが正しい位置にあるか否かが検出されるように構成されている。但し当該グリッパーアームでは、ウエハWの受け渡し時における高さ位置検出のために歪みゲージを利用する場合、モジュール内へウエハWを受け渡すまでに少しずつアームの高さ位置を変えていくことは理論的には可能であるが、実際には非常に煩雑な作業になるため現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000-330164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、基板載置部から基板を受け取ったときに基板の姿勢が異常であるか否かを確実に検出することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため本発明の基板搬送装置は、駆動部により昇降、進退自在に構成され、基板の周囲を囲むように設けられた保持枠と、
この保持枠の内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記基板の裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部と、
これら保持部の各々に設けられ、保持部に上から荷重が加わったときの当該保持部の歪み量を検出する歪みセンサと、
前記保持枠を前進させ、前記基体を前記基板載置部に対して相対的に上昇させてから、その上に基板が載置される基板載置部上の基板を受け取ったときに、各々の歪みセンサの歪み量に基づいて、基板の姿勢が正常であるか否かを判断する判断手段と、
基板の姿勢が異常であると判断したときに、前記保持枠の後退を禁止する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また本発明の基板搬送方法は、駆動部により昇降、進退自在に構成され、基板の周囲を囲むように設けられた保持枠と、この保持枠の内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記基板の裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部と、を備えた基板搬送装置を用いて、その上に基板が載置される基板載置部に対して基板の受け渡しを行う基板搬送方法において、
前記保持枠を前進させ、前記基体を前記基板載置部に対して相対的に上昇させてから、前記基板載置部上の基板を受け取る工程と、
前記保持部の各々に設けられた歪みセンサにより、保持部に上から荷重が加わったときの当該保持部の歪み量を検出する工程と、
各々の歪みセンサの歪み量に基づいて、基板の姿勢が正常であるか否かを判断する工程と、
基板の姿勢が異常であると判断したときに、前記保持枠の後退を禁止する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明の記憶媒体は、駆動部により昇降、進退自在に構成され、基板の周囲を囲むように設けられた保持枠と、この保持枠の内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記基板の裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部と、を備えた基板搬送装置を用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、既述の基板搬送方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保持部に歪みセンサを設け、基板載置部から保持部上に基板を受け取ったときの基板の荷重による歪みセンサの歪み量に基づいて、保持部上の基板の姿勢が正常であるか否かを判断しているので、基板載置部から基板を受け取ったときに基板の姿勢が異常であるか否かを確実、かつ容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るレジストパターン形成装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】前記レジストパターン形成装置を示す斜視図である。
【図3】前記レジストパターン形成装置を示す側部断面図である。
【図4】前記レジストパターン形成装置に設けられた第3のブロックを示す概略斜視図である。
【図5】前記第3のブロックに設けられた搬送アームを示す斜視図である。
【図6】前記搬送アームを示す平面図である。
【図7】前記搬送アームに設けられた歪みセンサの回路図である。
【図8】前記レジストパターン形成装置に設けられた制御部を示す構成図である。
【図9】前記レジストパターン形成装置の作用を説明する工程図である。
【図10】ウエハの姿勢が異常である場合の具体例を示す平面図及び正面図である。
【図11】ウエハの姿勢が異常である場合の具体例を示す平面図である。
【図12】歪みセンサの検出データを示す特性図である。
【図13】従来の基板搬送装置を示す斜視図である。
【図14】従来の基板搬送装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の基板搬送装置を備えた基板処理装置を、塗布、現像装置に適用した場合を例にして説明する。先ず前記塗布、現像装置に露光装置を接続したレジストパターン形成装置について、図面を参照しながら簡単に説明する。図1は、前記レジストパターン形成装置の一実施の形態の平面図を示し、図2は同概略斜視図である。この装置には、キャリアブロックS1が設けられており、このブロックS1では、載置台21上に載置された密閉型のキャリア20から受け渡し手段CがウエハWを取り出して、当該ブロックS1に隣接された処理ブロックS2に受け渡すと共に、前記受け渡し手段Cが、処理ブロックS2にて処理された処理済みのウエハWを受け取って前記キャリア20に戻すように構成されている。
【0018】
前記処理ブロックS2は、図2に示すように、この例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行なうための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成処理を行なうための第4のブロック(TCT層)B4を下から順に積層して構成されている。
【0019】
第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、各々反射防止膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する塗布モジュールと、この塗布モジュールにて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群と、前記塗布モジュールと処理モジュール群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行なう搬送アームA2,A4と、を備えている。第3のブロック(COT層)B3においても、前記薬液がレジスト液であることを除けば同様の構成である。
【0020】
一方、第1の処理ブロック(DEV層)B1については、一つのDEV層B1内に現像モジュール22が2段に積層されている。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像モジュール22にウエハWを搬送するための搬送アームA1が設けられている。つまり2段の現像モジュール22に対して搬送アームA1が共通化されている構成となっている。なお搬送アームA1〜A4は、本発明の基板搬送装置に相当するものであり、後述する。
【0021】
さらに処理ブロックS2には、図1及び図3に示すように、棚ユニットU1が設けられ、この棚ユニットU1の各部同士の間では、前記棚ユニットU1の近傍に設けられた昇降自在な受け渡しアームDによってウエハWが搬送される。キャリアブロックS1からのウエハWは前記棚ユニットU1の一つの受け渡しモジュール、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しモジュールCPL2に受け渡し手段Cによって順次搬送される。第2のブロック(BCT層)B2内の搬送アームA2は、この受け渡しモジュールCPL2からウエハWを受け取って各モジュール(反射防止膜モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群)に搬送し、これらモジュールにてウエハWには反射防止膜が形成される。
【0022】
その後、ウエハWは棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF2、受け渡しアームD、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL3及び搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、レジスト膜が形成される。こうしてレジスト膜が形成されたウエハWは、搬送アームA3を介して、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF3に受け渡される。なおレジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロック(TCT層)B4にて更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しモジュールCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、反射防止膜が形成された後、搬送アームA4により受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0023】
一方DEV層B1内の上部には、棚ユニットU1に設けられた受け渡しモジュールCPL11から棚ユニットU2に設けられた受け渡しモジュールCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームEが設けられている。レジスト膜やさらに反射防止膜が形成されたウエハWは、受け渡しアームDにより受け渡しモジュールBF3、TRS4を介して受け渡しモジュールCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームEにより棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。なお図3中のCPLが付されている受け渡しモジュールは、温調用の冷却モジュールを兼ねており、BFが付されている受け渡しモジュールは、複数枚のウエハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。
【0024】
次いで、ウエハWはインターフェイスアームFにより露光装置S4に搬送され、所定の露光処理が行われた後、棚ユニットU2の受け渡しモジュールTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行われ、搬送アームA1により棚ユニットU1における受け渡し手段Cのアクセス範囲の受け渡し台に搬送され、受け渡し手段Cを介してキャリア20に戻される。
【0025】
ここで図4は、第3のブロック(COT層)B3を示すものであるが、図1及び図4においてU3は加熱モジュールや冷却モジュール等の熱系モジュール群を含む複数のモジュールを積層して設けた棚ユニットである。これら棚ユニットU3は塗布モジュール23と対向するように配列され、塗布モジュール23と棚ユニットU3との間に搬送アームA3が配置されている。図4中24は、各モジュールと搬送アームA3との間でウエハWの受け渡しを行うための搬送口である。
【0026】
続いて前記搬送アームA1〜A4について説明するが、これら搬送アームA1〜A4は同様に構成されているので、第3のブロック(COT層)B3に設けられた搬送アームA3を例にして説明する。この搬送アームA3は、図4〜図6に示すように、ウエハWの周囲を囲むように設けられた保持枠をなす複数枚例えば2枚のフォーク3(3A,3B)が夫々基体31に沿って進退自在(図4中X軸方向に移動自在)に構成されると共に、前記基体31が回転機構32により鉛直軸まわりに回転自在に構成されている。前記フォーク3A,3Bは、その基端側が夫々進退機構33A,33Bに支持され、これら進退機構33A,33Bが基体31内部に設けられたタイミングベルトを用いた駆動機構(図示せず)により基体31に沿って移動するように構成されている。
【0027】
前記回転機構32の下方側には昇降台34が設けられており、この昇降台34は上下方向(図4中Z軸方向)に直線状に伸びる図示しないZ軸ガイドレールに沿って駆動部をなす昇降機構により昇降自在に設けられている。例えば昇降機構としては、ボールネジ機構やタイミングベルトを用いた機構等、周知の構成を用いることができる。これらボールネジ機構やタイミングベルトを用いた機構は、いずれもモータMの回転により昇降台34が昇降自在に構成されるようになっている。この例ではZ軸ガイドレール及び昇降機構は夫々カバー体35により覆われており、これらカバー体35は例えば上部側にて接続されて一体となっている。また前記カバー体35はY軸方向に直線状に伸びるY軸ガイドレール36に沿って摺動移動するように構成されている。
【0028】
なお後述する図8には図示の便宜上、昇降台34を省略して基体31の下方側に昇降機構37を描いている。この例の昇降機構37は前記Z軸ガイドレールの内部に設けられた図示しない昇降軸をモータMより回転させることによって、基体31をZ軸ガイドレールに沿って昇降させるように構成されており、前記モータMはエンコーダ38に接続されている。図8中39はエンコーダ38のパルス数をカウントするカウンタである。
【0029】
前記フォーク3A,3Bは円弧状に形成され、図5及び図6に示すように、このフォーク3A,3Bの内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記ウエハWの裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部をなす保持爪30が設けられている。この例では、ウエハWの周縁部の4か所を保持するために4個の保持爪30A、30B,30C,30Dが設けられている。これら保持爪30A〜30Dの各々には、保持爪30A〜30Dに上から荷重が加わったときの当該保持爪30A〜30Dの歪み量を検出する歪みセンサ(歪みゲージ)4A,4B,4C,4Dが設けられている。この例では歪みセンサ4A〜4Dは保持爪30A〜30Dの各々の裏面側に取り付けられているが、保持爪30A〜30Dの各々の内部に設けるようにしてもよい。
【0030】
これら歪みセンサ4A〜4Dは、薄い絶縁体状上に細い金属抵抗体を所定のパターンで形成することにより構成されている。例えば前記保持爪30A〜30Dの裏面側に夫々絶縁体側が例えば接着されることにより取り付けられ、非測定物である保持爪30A〜30Dの変形による得られる電気抵抗の変化を測定し、歪み量として換算するように構成されている。この場合にはウエハWの荷重により保持爪30A〜30Dが変形すると、この変形と同率で歪みセンサ4A〜4Dも変形し、この変形により抵抗値が増加するため、これを測定に利用している。この際、歪みセンサ4A〜4Dの抵抗値は微小な値なので、ホイートストンブリッジ回路を用いて、電圧に変換している。
【0031】
具体的には、図7に示すように、歪みセンサ4A〜4Dを各々検出部本体41A〜41Dに接続することにより、ホイートストンブリッジ回路が構成されるようになっている。この検出部本体41A〜41Dでは、バッテリー42からブリッジ回路の入力電圧(ブリッジ電源)が供給されると、ブリッジ回路の出力電圧が電圧検出部43により検出され、歪み量の検出値として信号処理部44に出力されるようになっている。この信号処理部44は、検出部本体41A〜41Dに接続された各チャンネル毎にA/Dを備えると共に、その後段にP/Sを備えており、各チャンネルの電圧信号をシリアル信号で順次送信部45を介して、基体31側の受信部46に送信するように構成されている。
【0032】
ここで前記検出部本体41A〜41D、バッテリー42、信号処理部44、送信部45は回路ユニット47を構成しており、この回路ユニット47はフォーク3A,3B毎に用意され、フォーク3A,3B側に設けられている。一方前記受信部46及び、回路ユニット47内のバッテリー42を充電するために設けられる充電部48もフォーク3A,3B毎に用意され、これらは基体31側に設けられている。
【0033】
この例では、前記回路ユニット47(47A,47B)はフォーク3A,3Bの基端側に設けられている。この例では、例えばフォーク3A,3Bの進退機構33A,33Bの側部に夫々設けられた突片36A,36Bに回路ユニット47A,47Bが設けられている。また回路ユニット47A,47Bの検出部本体41と各歪みセンサ4A〜4Dとはフォーク3A,3Bの内部にて配線されている。
【0034】
一方基体31の側部には、その基端側において、フォーク3A,3B毎に受信部46A,46Bが設けられると共に、フォーク3A,3B毎に充電部48A,48Bが設けられている。この例では、フォーク3A,3Bが基体31から伸び出した状態で歪みセンサ4A〜4Dにより歪み量が検出され、回路ユニット47A,47Bの送信部45A,45Bを介して受信部46A,46Bに赤外線通信や無線通信等周知の構成により送信される。このためフォーク3A,3Bが基体31の先端側へ前進した位置であるウエハWの受け渡し位置にあるときに、回路ユニット47A,47Bの送信部45A,45Bと、受信部46A,46Bとが夫々互いに一直線上に設けられ、こうして送信部45A,45Bと受信部46A,46Bとの間において、データの送受信が非接触にて行われるようになっている。
【0035】
但し、基体31の側部における、その先端側にフォーク3A,3B毎に受信部46A,46Bが設け、フォーク3A,3Bが前記前進位置にあるときに、回路ユニット47A,47Bの送信部45A,45Bと、受信部46A,46Bが夫々対向するように設けてもよい。このとき送信部45A,45Bと受信部46A,46Bとの間のデータの送受信は、前記送信部45A,45Bと受信部46A,46Bとを互いに接触させて行うようにしてもよいし、近接させて行うようにしてよい。
【0036】
またこの例では、フォーク3A,3Bが基体31の基端側に後退する位置である待機位置にあるときに、回路ユニット47A,47Bのバッテリー42A,42Bと、充電部48A,48Bと、が夫々互いに接触して、バッテリー42の充電が行われるように構成されている。
【0037】
続いて前記レジストパターン形成装置に設けられる制御部5について図8を参照して説明する。この制御部5は、例えばコンピュータからなり、プログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部を備えていて、前記プログラムには制御部5からレジストパターン形成装置の各部に制御信号を送り、レジストパターン形成処理や、後述のウエハWの受け渡し状態の検査処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部5にインストールされる。
【0038】
前記プログラムには、検査モードを実行するための検査プログラム51や、ティーチングモードを実行するためのティーチングプログラム52、アライメントモードを実行するためのアライメントプログラム53等が含まれている。また制御部5には基準データ記憶部55が含まれており、基体31の受信部46A,46B、コンピュータの表示手段61、アラーム発生手段62、搬送アームA1〜A4の進退機構33A,33Bや駆動機構のモータM、搬送アームA1〜A4のエンコーダ38やカウンタ39に対しても所定の制御信号が送られるように構成されている。
【0039】
前記表示手段61は例えばコンピュータの画面よりなり、この表示手段61では、検査モードやアライメントモード、ティーチングモードが選択されるようになっている。またこの表示手段61によって、所定の基板処理や検査処理の選択や、各処理におけるパラメータの入力操作を行うことができるように構成されると共に、後述する検査結果やアライメント情報等が表示されるようになっている。
【0040】
前記検査プログラム51は、基板載置部上のウエハWをフォーク3A,3Bが受け取ったときにウエハWの姿勢が正常あるか否かを検査するプログラムであり、搬送アームA1〜A4の駆動を制御する手段や、歪みセンサ4A〜4Dの歪み量に基づいてフォーク3A,3B上に受け渡されたウエハWの姿勢が正常であるか否かを判断する判断手段を備えている。前記基準データ記憶部55には、前記ウエハWの姿勢が正常であるときの、各歪みセンサの歪み量(電圧値)に基づいて設定されたしきい値が基準データとして格納されている。ここでウエハに施された処理によってウエハの重量が変わるため、処理毎に対応する基準データを格納しておく。
【0041】
前記検査プログラム51に格納された判断手段は、前記基準データ記憶部55に格納された基準データ(しきい値)と、歪みセンサの歪み量とを比較し、少なくとも一つの歪みセンサ4の歪み量が前記しきい値以下であるときには、ウエハWの姿勢が異常であると判断すると共に、正常であるときには搬送アームA1〜A4に搬送処理の続行指令を出力する一方、異常が発見されたときに搬送アームA1〜A4に後退動作の禁止指令と、所定のアラーム表示指令とを出力する手段である。ここでアラーム表示とは、この例ではアラーム発生手段62例えばランプの点灯やアラーム音の発生、コンピュータの表示手段61へのアラーム表示等をいう。
【0042】
前記ティーチングプログラム52は、前記フォーク3A,3Bによる基板載置部に対するウエハWの受け渡し動作をティーチングするティーチンモードを実行するためのプログラム、前記アライメントプログラム53は、基板載置部とフォーク3A,3Bとの間でウエハWの受け渡しを行ったときに、保持爪30A〜30D上のウエハWの位置を確認するためのアライメントモードを実行するためのプログラムであるが、これらについては後述する。
【0043】
続いて本発明において検査モードを実行する場合の作用を説明する。この検査モードは、通常のウエハWの処理時に選択されるモードであり、例えば通常の処理をする際に自動的に選択されるようになっている。また処理の行う際にオペレータにより表示手段61に基づいて選択されるようにしてもよい。このように検査モードが選択されると、検査プログラム51が実行される。
【0044】
ここではモジュールとして、ウエハWに対して熱処理を行う加熱モジュールを用い、当該加熱モジュールにフォーク3AによりウエハWの受け渡しを行う場合を例にして説明する。この加熱モジュールは、第1のブロック(DEV層)B1、第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、第4のブロック(TCT層)B4の夫々において、既述のように棚ユニットU3に組み込まれている。
【0045】
この加熱モジュールは、図8に示すように、処理容器71内に熱板72を備えると共に、この熱板72にはウエハWの突き上げピン73が設けられている。図中74は突き上げピン73の昇降機構である。このような構成では、フォーク3A,3Bから熱板72にウエハWを受け渡すときには、突き上げピン73を熱板72の上方側の上方位置まで上昇させておき、ウエハWを保持したフォーク3A,3Bを突き上げピン73の上方側における前記前進位置から下降させる。こうして当該突き上げピン73上にウエハWを受け渡し、次いで突き上げピン73を下降させることによって、熱板72にウエハWを受け渡す。また熱板72からフォーク3A,3BにウエハWを受け渡すときには、突き上げピン73を前記上方位置まで上昇させて、ウエハWを熱板72から浮上させ、フォーク3A,3BをウエハWの下方側における前記前進位置から上昇させることによって、フォーク3A,3B上にウエハWを受け渡すことが行われる。従ってこの例では突き上げピン73が基板載置部に相当する。図8中70はウエハWの搬送口である。
【0046】
先ず処理を行うに先立ち、例えばコンピュータの表示手段61により所定の基準データを選択しておく。そして図9(a)に示すように、加熱モジュール7において突き上げピン73によりウエハWを突き上げ、ウエハWを熱板72の上方位置まで浮上させる。次いで図9(b)に示すように、ウエハWの下方側にフォーク3Aを前進させてから、フォーク3Aを上昇させ、ウエハWを下方側から掬い上げるようにして、保持爪30A〜30Dに保持させる。こうしてウエハWを保持爪30A〜30Dに保持させると、保持爪30A〜30DがウエハWの荷重により変形するので、この変形の程度を4つの歪みセンサ4A〜4Dにより既述のように歪み量(電圧値)として検出する。
【0047】
ここでウエハWの受け渡し時には、既述のようにフォーク3AをウエハWの下方側から突き上げピン73の上方側まで上昇させることにより、突き上げピン73からウエハWを受け取り、その後後退する動作が行われる。一方制御部5側では、突き上げピン73から保持爪30A〜30DへウエハWが受け渡されるタイミングを予め把握している。このため前記突き上げピン73上のウエハWを保持爪30A〜30Dが受け取ったタイミングT1より僅かに後のタイミングT2(例えばタイミングT1よりも50ミリ秒後のタイミング)にて各歪みセンサ4A〜4Dからの歪み量を取得する。このように前記タイミングT2にて各歪みセンサ4A〜4Dの歪み量を取得するのは、突き上げピン73からウエハWを保持爪30A〜30Dが確実に受け取ったタイミングでデータを取得するためである。従って「前記突き上げピン73上のウエハWを保持爪30A〜30Dが受け取ったとき」には、実際に受け取ったタイミングT1のみならず、当該タイミングT1から例えば1秒以内の時間が経過したタイミングも含まれる。
【0048】
ここでフォーク3Aが前進位置(受け渡し位置)にあるときには、回路ユニット47Aの送信部45Aと、基体31の受信部46Aとは離隔するが、これらが一直線上にあるため、既述のように前記4つの歪みセンサ4A〜4Dにて検出された歪み量が、フォーク3Aの送信部45Aから基体31側の受信部46Aへ送信され、次いで制御部5へ送られる。制御部5では、検査プログラム51の判断手段により、前記歪み量としきい値とを比較し、歪み量がしきい値を超えていれば「ON」、しきい値以下であればOFFとしてデータを取得する。
【0049】
そして4つの歪みセンサ4A〜4Dからの取得データが全てONであればウエハWの姿勢が正常であると判断して、処理を続行する。この場合、搬送アームA3では先ず図9(c)に示すように、フォーク3Aを基体5の後退位置(待機位置)まで引き込んだ後、次の搬送先まで移動するが、フォーク3Aが後退位置にあるときには、フォーク3Aのバッテリー42Aと基体5の充電部48Aとが接続されるので、前記バッテリー42Aの充電が行われる。
【0050】
一方4つの歪みセンサ4A〜4Dからの取得データの内少なくとも1つがOFFであればウエハWの姿勢が異常であると判断して、アラーム発生手段62に対してアラーム発生を行うように指令を出力し、フォーク3Aの後退を禁止するように搬送アームA3に指令を出力すると共に、加熱モジュール7にて処理を停止するように指令を出力する。
【0051】
このフォーク3Aの後退の禁止指令が出力されたときには、搬送アームA3は、図9(d)に示すように、前記後退位置への後退が禁止されるので、加熱モジュール7内にてウエハWを受け取った状態で、駆動が停止されることになる。そして当該禁止指令が出力されたときには、オペレータにより、ウエハWの姿勢に異常が発生した原因の特定や、リカバリ処理、メンテナンス等が行なわれる。
【0052】
ここでウエハWの姿勢に異常がある場合の一例について、図10に基づいて説明する。ウエハの姿勢に異常がある場合には、例えばウエハが破損している場合(図10(a))や、ウエハに反りが生じている場合(図10(b))等、ウエハWの形状変化(変形)が起きている場合、図10(c)に示すように保持爪30A〜30D上のウエハWの受け渡し位置がずれている場合が含まれる。
【0053】
例えば図10(a)のようにウエハWが破損しているときには、ウエハWを保持しない保持爪30A,30Bに設けられた歪みセンサ4A,4Bからの取得データが「OFF」として出力されるので、異常が発見される。また図10(b)のようにウエハWに反りが生じているときには、保持爪30A〜30DによってウエハWを保持する状態が異なり、荷重がかかる保持爪30Aと荷重がそれ程かからない保持爪30Bが発生する。このため荷重がかかる保持爪30Aに設けられた歪みセンサ4Aからの取得データは「ON」となるが、荷重がそれ程かからない保持爪30Bに設けられた歪みセンサ4Bからの取得データは「OFF」となるので、異常が発見される。
【0054】
さらに図10(c)のように保持爪30A〜30D上のウエハWの受け渡し位置がずれているときには、例えば図11(a)に示すように、ウエハWが横方向にずれている場合や、例えば11(b)に示すように、ウエハWが横方向にずれている場合がある。このような状態では保持爪30A〜30DによってウエハWを保持する状態が異なり、保持爪30A〜30Dへの荷重のかかり方が異なってくるため、歪みセンサ4A〜4Dからの歪み量がしきい値以下になる場合が発生する。例えばウエハWが横方向にずれている場合(図11(a)参照)には、歪みセンサ4C,4Dからの取得データは「ON」、歪みセンサ4A,4Bからの取得データは「OFF」となるので、ウエハWの姿勢に異常があると判断される。またウエハWが縦方向にずれている場合には、歪みセンサ4B,4Cからの取得データは「ON」、歪みセンサ4A,4Dからの取得データは「OFF」となるので、ウエハWの姿勢に異常があると判断される。
【0055】
以上において上述の実施の形態では、保持爪30A〜30Dに歪みセンサ4A〜4Dを設けることにより、突き上げピン73から保持爪30A〜30D上にウエハWを受け取ったときの、当該ウエハWの荷重による歪みセンサ4A〜4Dの歪み量に基づいて、保持爪30A〜30D上のウエハWの姿勢が正常であるか否かを判断しているので、突き上げピン73から保持爪30A〜30DにウエハWを受け取ったときにウエハWの姿勢が異常であるか否かを確実、かつ容易に検出することができる。
【0056】
この歪みセンサ4A〜4Dは、光センサ等と比較して耐熱性があり、例えば熱モジュール7との間でウエハWの受け渡しを行う場合に350℃程度の温度が高い雰囲気に曝されても、精度よく荷重による歪み量を検出することができる。このため歪みセンサ4A〜4Dを保持爪30A〜30Dに設けることができて、突き上げピン73から保持爪30A〜30DにウエハWを受け取ったタイミングでウエハWの姿勢が異常であるか否かを確実に検出することができる。また回路ユニット47はフォーク3A,3Bの基端側に設けられており、熱源からは遠い位置にあるため、フォーク3A,3B先端側に比べて熱影響を受けにくく、この点からも精度よく保持爪30A〜30Dの変形量を検出することができる。
【0057】
また突出ピン73から保持爪30A〜30DにウエハWを受け渡した時に、ウエハWの姿勢に異常があると判断したときには、フォーク3Aが待機位置まで後退することを禁止しているので、2次災害の発生を抑制できる。つまりフォーク3A上のウエハWの姿勢に異常がある状態で、フォーク3Aを後退させると、ウエハWが落下したり、落下したウエハWと搬送アームA3が衝突したりといった2次災害が発生するおそれがあるが、これを防止しているからである。このように2次災害を防止することにより、仮に受け渡し時におけるウエハWの姿勢に異常がある場合であっても、当該ウエハWの姿勢を正常に戻す対応を行えば済み、当該対応後に速やかに処理を再開することができる。
【0058】
さらにウエハWを突き上げピン73からフォーク3Aが受け取ったときに、ウエハWの姿勢が正常であるか否かを判断しているので、モジュール内にてウエハが破損するなどのトラブルがあったときには、リアルタイムでトラブルの原因を把握できる。ウエハWの姿勢が異常であると判断したときには、フォーク3Aの後退を禁止しているので、トラブル発生時の状態を保存、観察でき、トラブル発生直後のフォーク3Aやモジュール内の様子を確認しやすいからである。従ってトラブルの原因がモジュールにあるのか、モジュールとフォーク3A,3Bとの間でのウエハWの受け渡し時に発生しているのかについて、原因を特定しやすいため、トラブル再発が抑えられる。
【0059】
さらにまた保持爪30A〜30Dにより、突き上げピン73上のウエハWを掬い上げるといった単純な動作でウエハWの受け渡しを行っている。このためウエハWを外側から押圧して保持する場合のように、ウエハWに外部から力を加えることがない。これによりウエハWを受け取るときにウエハWが割れるといったことが起こりにくく、モジュールの状態が反映されやすい。つまりフォーク3A,3BがウエハWを受け取ったタイミングで当該ウエハWや破損や反りが発生している場合には、モジュール側に原因があると予想がつきやすく、トラブルの原因特定が容易となる。また保持爪30A〜30D上のウエハ位置の位置ずれにおいても、トラブルが発生した直後にトラブルの原因究明ができるため、モジュール側が原因となっているのか、搬送アームA3側が原因となっているのかについて判断がしやすく、この点からもトラブルの再発防止に貢献できる。
【0060】
なお上述の実施の形態では、全ての歪みセンサ4からの取得データが「ON」である場合には、ウエハWの姿勢が正常であると判断したが、3つの歪みセンサ4からの取得データが「ON」である場合には、残りの1つの歪みセンサ4からの取得データも「ON」であると仮定して、ウエハWの姿勢が正常であると判断するようにしてもよい。
【0061】
またウエハWの姿勢が正常であるか否かの判断については、予めウエハWの姿勢が正常であるときの各歪みセンサ4A〜4Dの歪み量に基づいて、歪み量の適正範囲を求めておき、検出された歪み量がこの適正範囲内であれば「ON」、適正範囲から外れていれば「OFF」として、判断するようにしてもよい。
【0062】
続いてティーチングモード及びアライメントモードについて説明する。これらは、例えば装置の立ち上げ時や、メンテナンス時、または上述の実施の形態においてウエハWの姿勢に異常があると判断された場合等に実行される。通常は既述の検査モードが実行されているので、ティーチングモードやアライメントモードを実行するときには、オペレータが表示手段61により夫々のモードの選択を行う。これによりティーチングプログラム52やアライメントプログラム53が読み出され、検査モードからティーチングモードやアライメントモードへモードが切り替わるように構成されている。
【0063】
先ずティーチングモードについて説明する。このティーチングモードは、保持爪30A〜30Dによる基板載置部に対するウエハWの受け渡し動作をティーチングするときに選択されるモードである。
【0064】
そして前記ティーチングプログラム53は、保持爪30A〜30Dによる基板載置部に対するウエハWの受け渡し動作をティーチングするときに、前記歪みセンサ4A〜4Dの歪み量の変化のタイミングで、前記昇降機構37の駆動量を管理する高さ方向の座標位置を読み取って、ウエハWの受け渡しの高さ位置として記憶するように構成されている。
【0065】
例えば前記加熱モジュール7に対するティーチングを例にして、当該ティーチングモードを実行する場合について説明する。保持爪30A〜30Dによる突き上げピン73(基板載置部)に対するウエハWの受け渡し動作をティーチングするときとは、突き上げピン73からフォーク3A,3BにウエハWを受け渡す場合と、フォーク3A,3Bから突き上げピン73にウエハWを受け渡す場合がある。
【0066】
例えば突き上げピン73からフォーク3A,3BにウエハWを受け渡すときには、フォーク3A,3Bを基体31に沿って前進位置(受け渡し位置)まで移動させ、次いでフォーク3A,3Bを上昇させるが、フォーク3A,3Bを上昇させて突き上げピン73からウエハWを受け取ると、歪みセンサ4A〜4Dの歪み量に基づく取得データは「OFF」から「ON」に変化する。この歪みセンサ4A〜4Dの歪み量の変化のタイミングで、前記昇降機構37の駆動量を管理する高さ方向の座標位置であるエンコーダ38のパルス数をカウンタ39により読み取って、これを制御部5における取得データ記憶部(図示せず)にウエハWの受け渡しの高さ位置として記憶する。
【0067】
またフォーク3A,3Bから突き上げピン73にウエハWを受け渡すときには、ウエハWを保持したフォーク3A,3Bを基体31に沿って前進位置まで移動させ、次いでフォーク3A,3Bを下降させるが、フォーク3A,3Bを下降させて突き上げピン73にウエハWを受け渡すと、歪みセンサ4A〜4Dの歪み量に基づく取得データは「ON」から「OFF」に変化する。この歪みセンサ4A〜4Dの歪み量の変化のタイミングで、前記昇降機構37のエンコーダ38のパルス数をカウンタ39により読み取って、これを制御部5における取得データ記憶部にウエハWの受け渡しの高さ位置として記憶する。そしてこれらウエハWの受け渡しの高さ位置に基づいて、モジュール内へのフォーク3A,3Bの進入高さ位置を設定する。
【0068】
このような構成では、モジュール毎にウエハWの受け渡しの高さ位置を容易に取得できる。モジュール内の突き上げピン73上のウエハWの高さ位置は設計データからある程度は把握できるが、モジュールを多段化したときなど、実際に組み立てたときの誤差によりウエハWの受け渡し高さ位置は設計データとは異なってくる。このためフォーク3A,3Bのティーチング時に各モジュール毎にウエハWの受け渡し高さ位置を正確に把握することが必要であり、この高さ位置がわかることにより、モジュール内へのフォーク3A,3Bの進入高さ位置が設定できる。本発明の搬送アームA1〜A4を用いれば、例えばフォーク3A,3B上にウエハWを載せて、突き上げピン73の上方側から下降させることにより、ウエハWがフォーク3A,3Bから突き上げピン73に受け渡された高さ位置を知ることができるので有効である。
【0069】
続いてアライメントモードについて説明する。このアライメントモードは、保持爪30A〜30Dと基板載置部との間におけるウエハWの受け渡し位置の確認を行うときに選択されるモードである。
【0070】
そしてアライメントモードが選択されると、前記アライメントプログラム53が実行され、このアライメントプログラム53は、保持爪30A〜30Dと基板載置部との間でウエハWの受け渡しを行ったときの、前記歪みセンサ4A〜4Dの歪み量について各歪みセンサ4A〜4D毎に取得された「ON」,「OFF」データを表示手段61に表示すると共に、前記保持爪30A〜30D上のウエハWの位置が正常であるか否かを判定して表示手段61に表示し、ウエハWの位置が正常である場合には、表示手段61に前記位置が正常である旨を表示し、フォーク3A,3Bを後退位置(待機位置)に後退させてアライメントの確認を終了する。ここで保持爪30A〜30D上のウエハWの位置が正常である場合とは、全ての歪みセンサ4A〜4Dからの取得データが「ON」であることをいう。
【0071】
一方前記保持爪30A〜30D上のウエハWの位置が異常である場合には、アラーム発生手段62によりアラーム表示を行うと共に、フォーク3A,3Bの後退位置への後退を禁止するように構成されている。その後オペレータの判断により補正作業を行うようにしてもよい。アラーム表示としては、例えば表示手段61に、前記保持爪30A〜30D上のウエハW位置が異常である旨を表示することが行われる。ここで保持爪30A〜30D上のウエハWの位置が正常である場合とは、歪みセンサ4A〜4Dからの取得データの少なくとも一つが「OFF」であることをいう。
【0072】
例えばモジュールから搬送アームがウエハWを受け取ったときに、保持爪30A〜30D上におけるウエハWの位置が横にずれている場合や縦にずれている場合については既に図11(a),(b)に示してある。これらの場合には、2個の歪みセンサからの取得データが「OFF」となるので、前記保持爪30A〜30D上のウエハW位置が異常であると判定され、歪みセンサ4A〜4D毎にON/OFFデータと、前記受け渡し位置が異常である旨を表示手段61に表示し、そしてフォーク3A,3Bが後退位置まで後退することを禁止する。
【0073】
このように歪みセンサ4A〜4D毎にON/OFFデータを表示することにより、図11(a)に示すように、フォーク3A,3Bの進行方向に対して左側の歪みセンサ4C,4Dからのデータが「ON」となり、右側の歪みセンサ4A,4Bからのデータが「OFF」となる場合には、ウエハWがフォーク3A,3Bの進行方向に対して左側にずれていると予測することができる。
【0074】
また図11(b)に示すように、フォーク3A,3Bの進行方向に対して後ろ側の歪みセンサ4B,4Cからのデータが「ON」となり、前側の歪みセンサ4A,4Dからのデータが「OFF」となる場合には、ウエハWがフォーク3A,3Bの進行方向に対して後ろ側にずれていると予測することができる。
【0075】
前記補正作業は例えば表示手段61により補正モードを実行する補正プログラム54を選択することにより実行される。この補正プログラム54が選択されると、フォーク3A,3Bが進退方向に小さく数回動かされ、次いで所定時間経過後(フォーク3A,3Bを最後に動かしてから所定時間例えば0.5秒経過後)、再び各歪みセンサ4A〜4Dセンサからの歪み量に基づくON/OFFデータを獲得し、3つ以上の歪みセンサ4からのデータが「ON」であれば、保持爪30A〜30D上のウエハW位置が正常であるとして補正作業を終了し、それ以外の場合例えば2つ以上の歪みセンサ4からのが「OFF」であれば、補正動作を繰り返すように構成されている。
【0076】
このアライメントは、保持爪30A〜30Dから基板載置部にウエハWを受け渡した場合や、基板載置部から保持爪30A〜30DにウエハWを受け渡した場合に実施されるが、仮に保持爪30A〜30D上のウエハWの位置に異常がある場合でも早期に発見できるので、受け渡し位置の位置ずれ量が小さい内に対応でき、位置ずれの修正が容易となる。また補正作業を行った場合には、容易に受け渡し位置の修正を行うことができる。
【0077】
さらにアライメントモードでは、各保持爪30A〜30Dにおける歪みセンサ4A〜4Bの歪み量(電圧値)を、保持爪30A〜30Dとフォーク3A,3Bとの間でウエハWの受け渡しを行ったタイミングT1から前記検査モードにおける歪み量取得のタイミングT2に亘って継続的に取得し、このデータに基づいて前記保持爪30A〜30D上のウエハWの位置の確認を行うようにしてもよい。図12に示す例は、保持爪30C、30Dでは、保持爪30A、30Bより少し遅れたタイミングでウエハWが保持される例であるが、このように複数の保持爪30A〜30Dにおいて、ウエハWを保持するタイミングが異なる場合には、表示手段61にその旨を表示するようにしてもよい。この場合には、基板載置部と保持爪30A〜30Dとの間におけるウエハWの受け渡しに異常が発生する前に、メンテナンスや定期点検を行うことができるので、事故防止を図ることができる。
【0078】
また図12に示すデータは、表示手段61に表示するように構成してもよい。図12(c)、(d)において点線で示したデータは、一旦保持爪30C,30Dに保持された後、はねて保持爪30A〜30Dから外れてしまった場合や、ウエハWに反りが発生している場合である。このような場合には、当該データを表示することにより、保持爪30A〜30D上のウエハW位置に異常がある場合でも原因究明が容易となる。
【0079】
ここで本発明においては、保持部の個数については3個以上であればいくつでもよく、また歪みセンサを設ける保持部が3個以上あれば、歪みセンサを設けない保持部があってもよい。また検査モードとティーチングモードとアライメントモードとを備えることにより、搬送アームの機能が充実し、搬送アームの活用度が高くなるが、検査モードとティーチングモードとアライメントモードのいずれか一つを行うように構成してもよいし、検査モードとティーチングモード又はティーチングモードとアライメントモード並びに検査モードとアライメントモードのいずれか一つを行うように構成してもよい。
【0080】
また検査モードにおいても、歪みセンサ4から取得されたの「ON」,「OFF」データや、図12に示すようなデータを表示手段61に表示するようにしてもよいし、検査モードの後に補正モードを選択して、保持爪30A〜30D上のウエハWの位置を補正するようにしてもよい。
【0081】
さらに本発明の基板搬送装置は、第1〜第4の処理ブロックB1〜B4に設けられた搬送アームA1〜A4のみならず、受け渡し手段Cや受け渡しアームD、インターフェイスアームF、シャトルアームEに適用することもできる。また基板載置部としては、全てのモジュールにおける突き上げピン73やスピンチャック等、フォーク3A,3Bとの間でウエハWの受け渡しを行うもの全てが含まれる。この際、ウエハWを保持したフォーク3A,3Bを基板載置部の上方側に位置させ、基板載置部を上昇させてフォーク3A,3B上のウエハWを基板載置部側が受け取ったり、ウエハWを保持した基板載置部をフォーク3A,3Bの上方側に位置させ、基板載置部を下降させてフォーク3A,3B上にウエハWを受け渡すようにしてもよい。さらに本発明は、レジストパターン形成装置のみならず、基板載置部に対して基板の受け渡しを行う、保持枠を備えた全ての基板搬送装置に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
W 半導体ウエハ
C 受け渡し手段
A1〜A4 搬送アーム
D 受け渡しアーム
E シャトルアーム
F インターフェイスアーム
3A,3B フォーク
30A〜30D 保持爪
4A〜4D 歪みセンサ
5 制御部
52 検査プログラム
53 ティーチングプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部により昇降、進退自在に構成され、基板の周囲を囲むように設けられた保持枠と、
この保持枠の内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記基板の裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部と、
これら保持部の各々に設けられ、保持部に上から荷重が加わったときの当該保持部の歪み量を検出する歪みセンサと、
前記保持枠を前進させ、前記基体を前記基板載置部に対して相対的に上昇させてから、その上に基板が載置される基板載置部上の基板を受け取ったときに、各々の歪みセンサの歪み量に基づいて、基板の姿勢が正常であるか否かを判断する判断手段と、
基板の姿勢が異常であると判断したときに、前記保持枠の後退を禁止する手段と、を備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記判断手段は、基板の姿勢が正常であるときの各歪みセンサの歪み量に基づいて設定されたしきい値と、各歪みセンサの歪み量の検出値とを比較し、少なくとも1個の歪みセンサの歪み量がしきい値以下のときには、基板の姿勢が異常であると判断することを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記保持部による基板載置部に対する基板の受け渡し動作をティーチングするときに、前記歪みセンサの歪み量の変化のタイミングで、前記駆動部の駆動量を管理する高さ方向の座標位置を読み取って、基板の受け渡しの高さ位置として記憶する制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
駆動部により昇降、進退自在に構成され、基板の周囲を囲むように設けられた保持枠と、この保持枠の内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記基板の裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部と、を備えた基板搬送装置を用いて、その上に基板が載置される基板載置部に対して基板の受け渡しを行う基板搬送方法において、
前記保持枠を前進させ、前記基体を前記基板載置部に対して相対的に上昇させてから、前記基板載置部上の基板を受け取る工程と、
前記保持部の各々に設けられた歪みセンサにより、保持部に上から荷重が加わったときの当該保持部の歪み量を検出する工程と、
各々の歪みセンサの歪み量に基づいて、基板の姿勢が正常であるか否かを判断する工程と、
基板の姿勢が異常であると判断したときに、前記保持枠の後退を禁止する工程と、を含むことを特徴とする基板搬送方法。
【請求項5】
前記基板の姿勢を判断する工程は、基板の姿勢が正常であるときの各歪みセンサの歪み量に基づいて設定されたしきい値と、各歪みセンサの歪み量の検出値とを比較し、少なくとも1個の歪みセンサの歪み量がしきい値以下のときには、基板の姿勢が異常であると判断することを特徴とする請求43記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記保持部による基板載置部に対する基板の受け渡し動作をティーチングするときに、前記歪みセンサの歪み量の変化のタイミングで、前記駆動部の駆動量を管理する高さ方向の座標位置を読み取って、基板の受け渡しの高さ位置として記憶する工程と、を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の基板搬送方法。
【請求項7】
駆動部により昇降、進退自在に構成され、基板の周囲を囲むように設けられた保持枠と、この保持枠の内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記基板の裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持部と、を備えた基板搬送装置を用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、請求項4ないし6記載の基板搬送方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−161521(P2011−161521A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23502(P2010−23502)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】