説明

報知システム及び放音装置

【課題】似通った報知音がある場合にも、各々の報知音の放音を正確に知らせる。
【解決手段】報知システムは、アラーム音を放音する放音処理を行う目覚まし時計と、報知装置とを備える。目覚まし時計は、ある事象の発生を知らせるアラーム音に対し、そのアラーム音を放音する放音処理を識別する処理IDを重畳し、処理IDが重畳されたアラーム音を放音する。報知装置は、放音されたアラーム音を収音し、そのアラーム音から処理IDを抽出した後、抽出した処理IDと対応付けて動作パターン特定テーブルに記憶されている動作パターンを特定し、特定した動作パターンに従って発光部又は振動部を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知音の発生を知らせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
目覚まし時計のアラーム音、ドアチャイムの音、火災警報器の警報音又は電話機の着信音などのように、或る事象が発生したことを知らせる報知音を、それらの機器とは別の装置が検知し、聴覚に障害を持つ人に対してその報知音の発生を発光や振動で知らせる技術が知られている。例えば、特許文献1〜5には、機器から発せられた報知音をその音の特徴などに基づいて判別することにより、その報知音の発生を発光や振動、情報の表示などで知らせる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−214号公報
【特許文献2】特開2005−96715号公報
【特許文献3】特開2004−207876号公報
【特許文献4】特開2004−61932号公報
【特許文献5】特開平11−120468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1〜5に記載の技術では、各々の報知音の発生を知らせるときの発光パターンや振動パターンなどの動作内容を予め利用者が登録しておかなければならず、不便であった。加えて、これらの技術では、報知音の音としての特徴を解析することによって各々の報知音を判別しているため、似通った報知音がある場合には各々が正しく判別されず、誤った内容の動作が行われる恐れがあった。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、似通った報知音がある場合にも、各々の報知音の放音を正確に知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明の第1の構成は、事象の発生を知らせる報知音を放音する放音処理を行う放音装置と、報知装置とを備え、前記放音装置は、ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報を重畳する重畳手段と、前記重畳手段によって前記処理識別情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段とを備え、前記報知装置は、前記放音装置によって行われる放音処理を識別する処理識別情報と、当該放音処理によって前記報知音が放音されたことを知らせる動作内容を表す動作内容情報とを対応付けて記憶する動作内容記憶手段と、前記放音手段によって放音された報知音を収音する収音手段と、前記収音手段によって収音された報知音から前記処理識別情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を特定する動作内容特定手段と、前記動作内容特定手段によって特定された動作内容情報が表す動作内容で動作手段を動作させる動作制御手段とを備えることを特徴とする。
【0005】
本発明の第2の構成は、上記第1の構成において、前記動作内容情報は、発光又は振動の動作パターンを表す情報であり、前記動作制御手段は、発光又は振動可能な前記動作手段を前記動作パターンに従って発光又は振動させてもよい。
【0006】
本発明の第3の構成は、上記第1の構成において、前記放音装置は、報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と、当該報知音によって報知される事象に関連するメッセージ情報とを対応付けて記憶するメッセージ情報記憶手段と、前記ある事象の発生を知らせる報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と、当該処理識別情報に対応付けて前記メッセージ情報記憶手段に記憶されているメッセージ情報とを含む付加情報を生成する付加情報生成手段とを備え、前記重畳手段は、前記ある事象の発生を知らせる報知音に対し、前記付加情報生成手段によって生成された付加情報を重畳し、前記報知装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって収音された報知音から前記付加情報を抽出し、前記動作内容特定手段は、前記抽出手段によって抽出された付加情報に含まれる前記処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を特定し、さらに、前記報知装置は、前記抽出手段によって抽出された付加情報に含まれる前記メッセージ情報を表示する表示手段を備えてもよい。
【0007】
本発明の第4の構成は、上記第1の構成において、前記放音装置は、前記ある事象が発生したときの当該事象の状況を表す事象状況情報を取得する取得手段を備え、前記放音装置の前記重畳手段は、前記ある事象の発生を知らせる報知音に対し、前記処理識別情報と、前記取得手段によって取得された事象状況情報とを重畳し、前記報知装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって収音された報知音から前記処理識別情報及び前記事象状況情報を抽出し、さらに、前記報知装置は、前記抽出手段によって抽出された事象状況情報を表示する表示手段を備えてもよい。
【0008】
本発明の第5の構成は、上記第4の構成において、前記取得手段は、前記ある事象を表す画像データを事象状況情報として取得してもよい。
本発明の第6の構成は、上記第4の構成において、前記取得手段は、前記ある事象が発生した位置を表す位置情報を事象状況情報として取得してもよい。
本発明の第7の構成は、上記第4の構成において、前記取得手段は、前記ある事象が発生した時刻を表す時刻情報を事象状況情報として取得してもよい。
【0009】
本発明の第8の構成は、上記第3の構成において、前記放音装置は複数あり、各々の前記放音装置の前記付加情報生成手段は、前記処理識別情報及び前記メッセージ情報をそれぞれ共通データフォーマットとして予め決められた位置に配置した前記付加情報を生成し、前記報知装置の前記動作内容特定手段は、前記抽出手段によって抽出された付加情報における前記予め決められた位置から前記処理識別情報を取得して、当該処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を特定し、前記表示手段は、前記抽出手段によって抽出された付加情報における前記予め決められた位置から前記メッセージ情報を取得して、当該メッセージ情報を表示してもよい。
【0010】
また、本発明の第9の構成は、放音装置と、報知装置とを備え、前記放音装置は、ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音が放音されたことを知らせる動作内容を表す動作内容情報を重畳する重畳手段と、前記重畳手段によって前記動作内容情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段とを備え、前記報知装置は、前記放音手段によって放音された報知音を収音する収音手段と、前記収音手段によって収音された報知音から前記動作内容情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された動作内容情報が表す動作内容で動作手段を動作させる動作制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第10の構成は、上記第9の構成において、前記放音手段は、各々の報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と、当該報知音が放音されたことを知らせる動作内容を表す動作内容情報とを対応付けて記憶する動作内容記憶手段を備え、前記重畳手段は、前記ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を重畳してもよい。
【0012】
また、本発明の第11の構成は、事象の発生を知らせる報知音を放音する放音処理を行う放音装置であって、ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報を重畳する重畳手段と、前記重畳手段によって前記処理識別情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第12の構成は、ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音が放音されたことを知らせる動作内容として予め決められた動作内容を表す動作内容情報を重畳する重畳手段と、前記重畳手段によって前記動作内容情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、似通った報知音がある場合にも、各々の報知音の放音を正確に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[構成]
まず、本実施形態に係る報知システムの構成について説明する。この報知システムは、放音装置と報知装置とを備えている。放音装置は、アラーム音などの報知音を発して、利用者に或る事象の発生を知らせる装置である。報知装置は、聴覚に障害を持つ利用者に対して、放音装置から報知音が発せられたことを、発光や振動などの、放音以外の動作で知らせる装置である。この報知システムにおいては、複数種類の放音装置が存在し得るが、本実施形態では、放音装置が目覚まし時計である例を挙げて説明する。
【0016】
(目覚まし時計の構成)
図1は、目覚まし時計1の構成を示す図である。同図に示すように、目覚まし時計1は、制御部11と、計時部12と、操作部13と、表示部14と、信号処理部15と、放音部16とを備えている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリなどを備え、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、目覚まし時計1全体を制御する。計時部12は、水晶振動子、発振回路及び分周回路などを備え、時刻をカウントする。操作部13は、操作ボタンなどを備え、利用者の操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号をCPUに供給する。利用者は、操作部13を操作することにより、例えば、設定した時刻に目覚ましのアラーム音を放音させる目覚まし処理の実行を目覚まし時計1に指示することができる。表示部14は、例えば液晶パネルなどを備え、CPUによって指示されたデータを表示する。信号処理部15は、D/Aコンバータなどを備え、CPUによって供給された音データを音信号にデジタルアナログ変換して、放音部16に供給する。放音部16は、アンプとスピーカなどを備え、信号処理部15から供給される音信号を増幅した後、その音信号に応じた音を出力する。
【0017】
図2は、図1に示した制御部11及び信号処理部15の機能構成を示す図である。図に示した各機能は、制御部11及び信号処理部15のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。
図中の音データD及び付加情報テーブルT1は、制御部11のメモリに記憶されている。音データDは、目覚まし時計1の各種アラーム音を表すデータである。この音データDには、例えば、利用者が指定した時刻に発せられる目覚ましのアラーム音を表す音データDや、正時を知らせるアラーム音を表す音データDなどが含まれている。付加情報テーブルT1は、目覚まし時計1のアラーム音に重畳する付加情報を管理するテーブルである。
【0018】
図3は、付加情報テーブルT1の一例を示す図である。同図に示すように、付加情報テーブルT1においては、「装置種別」と、「処理ID」と、「メッセージ情報」とが対応付けられている。「装置種別」は、装置の種別を表す情報である。図中の「clock」は、目覚まし時計1の種別を表している。「処理ID」は、アラーム音を放音する放音処理を識別する処理識別情報である。例えば図中の「001」は、目覚ましのアラーム音を放音する目覚まし処理を識別する情報であり、図中の「002」は、正時になったことを知らせるアラーム音を放音する処理を識別する情報である。「メッセージ情報」は、アラーム音が放音されることによって報知される事象に関連するメッセージを表す情報である。例えば、目覚ましのアラーム音を放音する目覚まし処理の場合には、報知される事象は“目を覚ます時刻になったこと”であるから、その事象に関連するメッセージ情報として、「起きてください」というメッセージ情報が対応付けられている。
【0019】
図2に示した音データ取得部51は、メモリに記憶されている音データDを読み出して音信号に変換し、この音信号を重畳部54に供給する。付加情報生成部52は、メモリに記憶されている付加情報テーブルT1から「装置種別」,「処理ID」及び「メッセージ情報」を読み出して、これらの情報を含む付加情報を生成する。変調部53は、付加情報生成部52によって生成された付加情報を例えばASK(Amplitude Shift Keying)方式で変調して、付加信号を生成する。重畳部54は、音データ取得部51から供給された音信号に、変調部53によって生成された付加信号を重畳して、放音部16に供給する。すなわち、重畳部54は、ある事象の発生を知らせる報知音に対し、その報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報を重畳することになる。
【0020】
(報知装置の構成)
次に、報知装置2の構成について説明する。図4は、報知装置2の構成を示す図である。同図に示すように、報知装置2は、制御部21と、マイクロホン22と、信号処理部23と、表示部24と、発光部25と、振動部26とを備えている。制御部21は、CPUとメモリなどを備え、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、報知装置2全体を制御する。マイクロホン22は、目覚まし時計1などの放音装置から発せられた音を収音し、収音した音を表す音信号を出力する。信号処理部23は、A/Dコンバータなどを備え、マイクロホン22から出力された音信号を音データにアナログデジタル変換する。表示部24は、例えば液晶パネルなどを備え、CPUによって指示されたデータを表示する。発光部25は、光源などを備え、CPUの制御に従って発光する。振動部26は、モータなどの駆動手段の駆動軸に取り付けられた偏心重りを回転させることで振動を発生させる機構などを備え、CPUの制御に従って振動する。
【0021】
図5は、図4に示した制御部21及び信号処理部23の機能構成を示す図である。図に示した各機能は、制御部21及び信号処理部23のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。
図中の動作パターン特定テーブルT2は、発光部25又は振動部26の動作内容を特定するためのテーブルであり、制御部21のメモリに記憶されている。図6は、動作パターン特定テーブルT2の一例を示す図である。同図に示すように、動作パターン特定テーブルT2においては、「装置種別」と、「処理ID」と、「動作パターン」とが対応付けられている。「装置種別」は、前述したように、目覚まし時計1などの放音装置の種別を表す情報である。「処理ID」は、前述したように、目覚まし時計1などの放音装置によって行われる放音処理を識別する処理識別情報である。「動作パターン」は、その放音処理によってアラーム音などの報知音が放音されたことを利用者に知らせる動作内容を示す動作内容情報である。例えば、図中の「発光パターン1+振動パターン1」は、短い間隔で点滅を繰り返すとともに、短い間隔で振動と無振動とを繰り返すという動作パターンを表している。
【0022】
図5に示した抽出部61は、マイクロホン22によって出力された音信号から付加信号を抽出し、抽出した付加信号を復調部62に供給する。復調部62は、抽出部61から供給された付加信号を復調して、付加情報を生成する。すなわち、抽出部61と復調部62とが協働することにより、マイクロホン22によって収音された報知音から付加情報を抽出することになる。動作パターン特定部63は、復調部62によって生成された付加情報から装置種別と処理IDとを取得し、メモリに記憶されている動作パターン特定テーブルT2において、取得した装置種別及び処理IDと対応付けて記憶されている動作パターンを特定する。動作制御部64は、動作パターン特定部63によって特定された動作パターンで発光部25を発光させる又は振動部26を振動させる。表示制御部65は、復調部62によって生成された付加情報からメッセージ情報を取得し、取得したメッセージ情報を表示部24に表示させる。
【0023】
[動作]
次に、報知システムの動作について説明する。
まず、図7に示すフロー図を参照して、目覚まし時計1の動作について説明する。ここでは、利用者によって目覚まし時計1の操作部13が操作されて、7:00に目覚ましのアラーム音を放音させる目覚まし処理が指示された場合を想定する。
計時部12が7:00をカウントすると、音データ取得部51は、メモリから目覚ましのアラーム音を表す音データDを読み出し(ステップSA10)、読み出した音データDを音信号に変換して重畳部54に供給する。
【0024】
これとともに、付加情報生成部52は、メモリに記憶されている付加情報テーブルT1から、目覚まし時計1の装置種別と、目覚まし処理の処理IDと、その処理IDと対応付けて記憶されているメッセージ情報とを読み出し、読み出したこれらの情報に基づいて付加情報を生成する(ステップSA20)。この例では、図3に示した付加情報テーブルT1から、「clock」という装置種別と、目覚まし処理を表す「001」という処理IDと、「起きてください」というメッセージ情報とが読み出され、これらの情報を含む付加情報が生成される。この付加情報は、予め決められた共通フォーマットに従って生成される。図8は、この共通フォーマットFの一例を示す図である。この例では、データ列の先頭の位置にある領域f1には、「clock」という装置種別が配置され、その次の位置にある領域f2には、「001」という処理IDが配置され、さらにその次の位置にある領域f3には、「起きてください」というメッセージ情報が配置される。領域f1〜f3は、それぞれ固定長であるため、装置種別,処理ID,メッセージ情報は、各々予め決められた位置に配置されることになる。そして、付加情報生成部52は、生成した付加情報を変調部53に供給する。
【0025】
変調部53は、付加情報生成部52から供給された付加情報を変調して、付加信号を生成する(図7のステップSA30)。図9は、付加情報の変調を説明する図である。図中の付加情報a1は、付加情報生成部52から供給された付加情報を表しており、図中の搬送波bは、特定の周波数及び振幅を有する正弦波を表している。この例では、「01101・・・」という付加情報a1と搬送波bとが乗算されることにより、付加信号a2が生成される。このとき、付加信号a2は、付加情報a1が1のところは搬送波bの波形となり、付加情報a1が0のところは0となる。なお、搬送波bの周波数帯域と振幅はメモリに予め記憶されている。この搬送波bの周波数帯域は、アラーム音とは重ならない周波数帯域であり、搬送波bの振幅は、アラーム音を表す音信号の振幅と比較して小さくなっている。変調部53は、これらの周波数帯域及び振幅の範囲内で変調を行う。そして、変調部53は、生成した付加信号a2を重畳部54に供給する。
【0026】
重畳部54は、音データ取得部51から供給された音信号に、変調部53から供給された付加信号a2を重畳する(図7のステップSA40)。図10は、付加信号が重畳された音信号を説明する図である。図中の音信号c1は、音データ取得部51から供給された音信号を表している。また、図中の付加信号a2は、変調部53から供給された付加信号を表しており、図9に示した付加信号a2と同様のものである。この例では、音信号c1に付加信号a2が重畳されて、音信号c2が生成される。そして、重畳部54は、生成した音信号c2を放音部16に供給する。放音部16は、重畳部54から供給された音信号c2に基づいて、目覚ましのアラーム音を放音する(図7のステップSA50)。
【0027】
次に、図11に示すフロー図を参照して、報知装置2の動作について説明する。上述したようにして、目覚まし時計1の放音部16から目覚ましのアラーム音が放音されると、報知装置2のマイクロホン22は、その目覚ましのアラーム音を収音し(ステップSB10)、そのアラーム音を表す音信号を出力する。これにより、図10に示した音信号c2と同様の波形の音信号がマイクロホン22から出力される。続いて、抽出部61は、マイクロホン22によって出力された音信号から、重畳されている付加信号を抽出する(ステップSB20)。このとき、抽出部61は、搬送波bに用いられた周波数を中心とする所定幅の帯域の成分を透過するバンドパスフィルタで音信号を処理することによって、付加信号を抽出する。これにより、図10に示した付加信号a2と同様の波形の付加信号が抽出される。そして、抽出部61は、抽出した付加信号を復調部62に供給する。
【0028】
復調部62は、抽出部61から供給された付加信号を復調し、付加情報を生成する(ステップSB30)。これにより、図9に示した付加情報a1と同様の「01101・・・」という付加情報が生成される。続いて、動作パターン特定部63は、まず、復調部62によって生成された付加情報から装置種別と処理IDとを取得する。この例では、図8に示した領域f1から「clock」という装置種別が取得され、領域f2から「001」という処理IDが取得される。すなわち、動作パターン特定部63は、共通フォーマットFによって予め決められた位置から装置種別及び処理IDを取得することになる。続いて、動作パターン特定部63は、メモリに記憶されている動作パターン特定テーブルT2を参照して、取得した「clock」という装置種別と「001」という処理IDとに対応付けて記憶されている動作パターンを特定する(ステップSB40)。この例では、図6に示した動作パターン特定テーブルT2において、「clock」という装置種別と「001」という処理IDとに対応付けられている「発光パターン1+振動パターン1」という動作パターンが特定される。
【0029】
続いて、動作制御部64は、動作パターン特定部63によって特定された「発光パターン1+振動パターン1」という動作パターンに従って、発光部25又は振動部26を動作させる(図11のステップSB50)。これにより、発光部25は、「発光パターン1」に従って短い間隔で点滅を繰り返すように発光し、振動部26は、「振動パターン1」に従って短い間隔で振動と無振動とを繰り返すように振動する。これとともに、表示制御部65は、ステップSB30において復調部62によって生成された付加情報からメッセージ情報を取得し、このメッセージ情報を表示部24に表示させる(ステップSB60)。この例では、図8に示した領域f3から「起きてください」というメッセージ情報が取得され、このメッセージ情報が表示部24に表示される。すなわち、表示制御部65は、共通フォーマットFによって予め決められた位置からメッセージ情報を取得することになる。これにより、利用者は、7:00になり、目覚まし時計1によって目覚ましのアラーム音が放音されたことを認識することができる。
【0030】
以上説明した実施形態では、目覚まし時計1から放音されるアラーム音に重畳された装置種別や処理IDに基づいて、動作パターンの特定が行われている。そのため、たとえ目覚まし時計1において異なる事象の発生を知らせる、似通った音のアラーム音があったとしても、どの事象の発生を知らせるアラーム音が放音されたのかを利用者に正確に知らせることができる。さらに、他の放音装置から放音される報知音が目覚まし時計1のアラーム音と似通っていても、装置種別を用いてそれらを正確に判別し、どの放音装置のアラーム音が放音されたのかを利用者に正確に知らせることができる。すなわち、本実施形態によれば、似通った報知音がある場合にも、各々の報知音の放音を利用者に正確に知らせることができる。
【0031】
また、上述した実施形態では、付加情報が所定の共通フォーマットに従って生成されている。そのため、装置種別や処理IDなどを各メーカで共通のものにすれば、例えば、利用者によって目覚まし時計が異なるメーカのものに買い変えられたり、旅行先などで通常使用しているものと違う目覚まし時計が使用されたとしても、目覚ましのアラーム音が放音されたことを利用者に報知することができる。上述したように、動作パターンの特定は、アラーム音に重畳された装置種別や処理IDなどに基づいて行われているため、このような場合でも、利用者が、アラーム音の登録や動作パターンの設定などを行う必要はない。
【0032】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の各変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した実施形態では、報知装置2が自身の動作パターンを決定していたが、目覚まし時計1が報知装置2における動作パターンを決定し、その動作パターンを表す動作内容情報含むアラーム音を放音してもよい。この場合、目覚まし時計1の制御部11のメモリには、アラーム音の放音処理を識別する処理IDと、そのアラーム音が放音されたことを知らせる動作パターンを表す動作内容情報とが対応付けられた動作パターン特定テーブルが記憶される。そして、付加情報生成部52は、メモリに記憶されている動作パターン特定テーブルから、アラーム音を放音する処理を識別する処理IDに対応付けて記憶されている動作内容情報を読み出し、読み出した動作内容情報を含む付加情報を生成する。この動作内容情報は、共通フォーマットにおいて、動作パターンが配置される領域として予め定められた領域に配置されてもよいし、自由に内容を定義し得る領域として予め定められた拡張領域に配置されてもよい。これにより、放音部16からは、動作内容情報を含む付加情報が重畳されたアラーム音が放音される。この場合、報知装置2の動作制御部64は、変調部62によって生成された付加情報から動作内容情報を取得し、取得した動作内容情報が表す動作パターンに従って発光部25又は振動部26を動作させる。この構成によれば、目覚まし時計1のメモリに記憶されている動作パターン特定テーブルを書き換えるだけで、報知装置2の動作パターンを自由に変更することができる。
【0033】
(変形例2)
上述した実施形態において、メッセージ情報は予めメモリに記憶された固定的な情報であったが、このメッセージ情報を、発生した事象の状況に応じて動的に変化させてもよい。この発生した事象の状況を表す情報としては、例えば、計時部12がカウントしている時刻を表す時刻情報が考えられる。この場合、目覚まし時計1は、その機能構成として、計時部12から時刻を表す時刻情報を取得する取得部を備える。この機能は、制御部11及び信号処理部15のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。
【0034】
例えば、上述のように、7:00に目覚ましのアラーム音を放音させる目覚まし処理が指示された場合、計時部12が7:00をカウントすると、取得部は、計時部12から「7:00」という時刻情報を取得する。この場合、付加情報生成部52は、取得部によって取得された時刻情報をさらに含む付加情報を生成する。例えば、付加情報生成部52は、取得部によって取得された時刻情報に基づいた「7:00です」という時刻情報を含む付加情報を生成する。この場合、重畳部54は、目覚ましのアラーム音を表す音信号に対し、時刻情報を含む付加情報を重畳する。これにより、放音部16からは、時刻情報を含む付加情報が重畳された目覚ましのアラーム音が放音される。
【0035】
そして、報知装置2の表示制御部65は、変調部62によって生成された付加情報から「7:00です」という時刻情報と、「起きてください」というメッセージ情報とを取得し、これらを表示部24に表示させる。これにより、表示部24には、例えば「7:00です 起きてください」というメッセージが表示される。この構成によれば、利用者は、今何時なのかを知ることができる。さらに、報知される事象の状況を表す情報は、このような現在時刻を表す時刻情報だけに限らない。上記の例で言えば、“目を覚ます時刻になったこと”という事象に関連する状況であれば良く、例えば、その事象が発生したときの温度や湿度を計測し、その計測結果を、発生した事象の状況を表す情報としてもよい。
【0036】
(変形例3)
上述した実施形態では、放音装置の一つである目覚まし時計1を例に挙げて説明したが、放音装置が適用される装置は目覚まし時計1に限らない。例えば、地震の発生を知らせる地震情報受信装置であってもよい。この場合、地震情報受信装置は、地震情報配信装置とネットワークを介して接続されており、上述した制御部11と、操作部13、表示部14、信号処理部15、放音部16の他に、地震情報配信装置と通信を行う通信部を備える。この地震情報配信装置は、地震が発生した際に地震情報を配信する装置である。この地震情報配信装置から送信されてくる地震情報には、地震の震度や震源地などの情報が含まれている。また、この場合、付加情報テーブルの「装置種別」には、地震情報受信装置の種別を表す情報が記述され、「処理ID」には、地震の発生を知らせるアラーム音を放音する放音処理を識別する処理識別情報が記述され、「メッセージ情報」には、アラーム音の放音によって利用者に報知される事象に関連するメッセージを表す情報が記述される。ここでは、装置種別が「quake−alarm」であり、処理IDが「003」であり、メッセージ情報が「地震が発生しました」である場合を想定する。
【0037】
次に、この変形例に係る報知システムの動作について説明する。地震情報配信装置から地震が発生したことを表す地震情報が配信されてくると、地震情報受信手段の通信部は、この地震情報を受信する。通信部が地震情報を受信すると、付加情報生成部52は、メモリに記憶されている付加情報テーブルT1から、自装置の種別を表す「quake−alarm」という装置種別と、地震の発生を表すアラーム音を放音する処理を識別する「003」という処理IDと、その処理IDと対応付けて記憶されている「地震が発生しました」というメッセージ情報とを読み出し、読み出したこれらの情報を含む付加情報を生成する。これにより、放音部16からは、「quake−alarm」という装置種別と、「003」という処理IDと、「地震が発生しました」というメッセージ情報とを含む付加情報が重畳されたアラーム音が放音される。
【0038】
この場合、報知装置2の動作パターン特定部63は、まず、変調部62によって生成された付加情報から「quake−alarm」という装置種別と「003」という処理IDとを取得する。続いて、動作パターン特定部63は、図6に示した動作パターン特定テーブルT2において、これらの情報に対応付けて記憶されている「発光パターン3+振動パターン3」という動作パターンを特定する。これにより、発光部25は、「発光パターン3」に従って発光し、振動部26は、「振動パターン3」に従って振動する。これとともに、表示制御部65は、変調部62によって生成された付加情報から「地震が発生しました」というメッセージ情報を取得し、これを表示部24に表示させる。これにより、利用者は、地震が発生し、地震受信装置からアラーム音が放音されたことを認識することができる。
【0039】
また、この変形例において、地震情報受信装置は、その機能構成として、通信部から地震情報を取得する取得部を備えてもよい。この機能は、制御部11、信号処理部15及び通信部のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。
例えば、各地の震度を表す「A市:震度5、B市:震度3、C市:震度2」という地震情報が地震情報配信装置から配信されてきた場合、取得部は、通信部からこの地震情報を取得する。この場合、付加情報生成部52は、取得部によって取得された地震情報をさらに含む付加情報を生成し、重畳部54は、アラーム音を表す音信号に対し、地震情報を含む付加情報を重畳する。これにより、放音部16からは、地震情報を含む付加情報が重畳されたアラーム音が放音される。そして、報知装置2の表示制御部65は、変調部62によって生成された付加情報から「A市:震度5、B市:震度3、C市:震度2」という地震情報と、「地震が発生しました」というメッセージ情報とを取得し、これらを表示部24に表示させる。これにより、表示部24には、例えば「地震が発生しました A市:震度5、B市:震度3、C市:震度2」という情報が表示される。この構成によれば、利用者は、地震の詳細な状況を知ることができる。
【0040】
(変形例4)
上述した実施形態では、放音装置の一つである目覚まし時計1を例に挙げて説明したが、放音装置が適用される装置は目覚まし時計1に限らない。例えば、来客を知らせる来客報知装置であってもよい。この場合、来客報知装置は、上述した制御部11と、操作部13、表示部14、信号処理部15、放音部16の他に、訪問者を撮像する撮像部を備える。この撮像部は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラであり、撮像した画像データを制御部11に供給するようになっている。また、この場合、付加情報テーブルの「装置種別」には、来客報知装置の種別を表す情報が記述され、「処理ID」には、来客を表すチャイム音を放音する放音処理を識別する処理識別情報が記述され、「メッセージ情報」には、チャイム音の放音によって利用者に報知される事象に関連するメッセージを表す情報が記述される。ここでは、装置種別が「doorchime」であり、処理IDが「004」であり、メッセージ情報が「ドアチャイムが鳴りました」である場合を想定する。
【0041】
次に、この変形例に係る報知システムの動作について説明する。訪問者によってチャイムボタンが押されると、付加情報生成部52は、メモリに記憶されている付加情報テーブルT1から、自装置の種別を表す「doorchime」という装置種別と、来客を表すチャイム音を放音する処理を識別する「004」という処理IDと、その処理IDと対応付けて記憶されている「ドアチャイムが鳴りました」というメッセージ情報とを読み出し、読み出したこれらの情報を含む付加情報を生成する。これにより、放音部16からは、「doorchime」という装置種別と、「004」という処理IDと、「ドアチャイムが鳴りました」というメッセージ情報とを含む付加情報が重畳されたアラーム音が放音される。この場合、報知装置2の動作パターン特定部63は、まず、変調部62によって生成された付加情報から「doorchime」という装置種別と「004」という処理IDとを取得する。続いて、動作パターン特定部63は、図6に示した動作パターン特定テーブルT2において、これらの情報に対応付けて記憶されている「発光パターン4+振動パターン4」という動作パターンを特定する。これにより、発光部25は、「発光パターン4」に従って発光し、振動部26は、「振動パターン4」に従って振動する。これとともに、表示制御部65は、抽出された付加情報から「ドアチャイムが鳴りました」というメッセージ情報を取得し、これを表示部24に表示させる。これにより、利用者は、来客があり、来客報知装置からチャイム音が放音されたことを認識することができる。
【0042】
また、この変形例において、来客報知装置は、その機能構成として、訪問者を撮像した画像データを撮像部から取得する取得部を備えてもよい。この機能は、制御部11、信号処理部15及び撮像部のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。
撮像部が訪問者を撮像し、その訪問者を表す画像データを生成すると、取得部は、この画像データを撮像部から取得する。この場合、付加情報生成部52は、取得部によって取得された画像データをさらに含む付加情報を生成し、重畳部54は、チャイム音を表す音信号に対し、この画像データを含む付加情報を重畳する。これにより、放音部16からは、訪問者を表す画像データを含む付加情報が重畳されたチャイム音が放音される。そして、報知装置2の表示制御部65は、変調部62によって生成された付加情報から、訪問者を表す画像データと、「ドアチャイムが鳴りました」というメッセージ情報とを取得し、これらを表示部24に表示させる。これにより、表示部24には、予め記憶されている「ドアチャイムが鳴りました」というメッセージ情報とともに、訪問者を表す画像データが表示される。この構成によれば、利用者は、訪問者がどのような人であるかを知ることができる。
【0043】
(変形例5)
上述した実施形態において、報知システムは、聴覚に障害を持つ利用者に対して、放音装置から報知音が発せれたことを発光や振動で知らせるためのシステムに適用されていたが、これに限らない。報知システムは、放音装置から報知音が発せられたことを発光や振動で報知するとともに、その事象に関する詳細な情報を表示するシステムに適用されてもよい。この報知システムとしては、車の運転する人に緊急車両の接近を報知するためのシステムが考えられる。この場合、放音装置は、緊急車両に搭載され、報知装置2は、利用者の車に搭載される。そして、放音装置は、上述した制御部11と、信号処理部15と、放音部16の他に、GPS(Global Positioning System)などの測位部を備える。また、この放音装置は、その機能構成として、測位部が測位した位置を表す位置情報を取得する取得部を備える。この機能は、制御部11及び信号処理部15のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。
【0044】
次に、この変形例に係る報知システムの動作について説明する。サイレン音の放音が指示されると、取得部は、緊急車両の位置を表す位置情報を測位部から取得する。この場合、付加情報生成部52は、取得部によって取得された位置情報をさらに含む付加情報を生成し、重畳部54は、サイレン音を表す音信号に対し、この位置情報を含む付加情報を重畳する。これにより、放音部16からは、緊急車両の位置を表す位置情報を含む付加情報が重畳されたサイレン音が放音される。この場合、報知装置2の表示制御部65は、変調部62によって生成された付加情報から緊急車両の位置を表す位置情報を取得し、取得した位置情報を表示部24に表示させる。これにより、利用者は、緊急車両の接近とその位置を認識することができる。
【0045】
また、この変形例において、報知装置2の制御部21は、緊急車両が位置する方向や緊急車両までの距離などを算出して、これを表示部24に表示させてもよい。この場合、報知装置2には、GPSなどの測位部が設けられる。そして、制御部21は、変調部62によって生成された付加情報から緊急車両の位置を表す位置情報を取得するとともに、自装置の測位部から利用者の車の位置を表す位置情報を取得し、これらの位置情報に基づいて、緊急車両が位置する方向や利用者の車から緊急車両までの距離などを算出する。この場合、表示制御部65は、緊急車両の位置を表す位置情報とともに、算出された緊急車両の方向や緊急車両までの距離などの情報を表示部24に表示させる。これにより、利用者は、緊急車両が位置する方向や緊急車両までの距離などを知ることができる。
【0046】
(変形例6)
上述した実施形態において、報知システムは、聴覚に障害を持つ利用者に対して、放音装置から報知音が発せれたことを発光や振動で知らせるためのシステムに適用されていたが、これに限らない。報知システムは、放音装置から報知音が発せられたことを発光や振動で報知するとともに、その事象に関する詳細な情報を表示するシステムに適用されてもよい。この報知システムとしては、音の発生が制限される録音スタジオなどの場所において、電話の着信を報知するためのシステムが考えられる。この場合、放音装置は、録音スタジオ内の実際に録音が行われる録音ブース以外の場所に配置された電話機であり、上述した制御部11と、信号処理部15と、放音部16の他に、通信網を介して通信を行うための通信部を備える。また、報知装置は、録音スタジオ内の録音ブースから見える場所に配置される。
【0047】
電話機は、通信部が着信すると、上述と同様にして、電話機の装置種別と、着信音を放音する処理を識別する処理IDと、その処理IDに対応するメッセージ情報とを含む付加情報を生成し、生成した付加情報を重畳した着信音を放音する。報知装置2は、上述と同様にして、着信音を収音して付加情報を抽出し、抽出した付加情報に含まれる装置種別と処理IDに応じた動作パターンで発光又は振動するとともに、抽出した付加情報に含まれるメッセージ情報を表示する。これにより、利用者は、電話機が着信し、着信音が放音されたことを認識することができる。
【0048】
また、この変形例において、電話機は、その機能構成として、通信部から発信者の電話番号を取得する取得部を備えてもよい。この機能は、制御部11、信号処理部15及び通信部のハードウェア又はソフトウェアによって実現される。通信部が着信すると、取得部は、通信部から発信者の電話番号を取得する。この場合、付加情報生成部52は、取得部によって取得された発信者の電話番号を含む付加情報を生成し、重畳部54は、着信音を表す音信号に対し、発信者の電話番号を含む付加情報を重畳する。これにより、放音部16からは、発信者の電話番号を含む付加情報が重畳された着信音が放音される。そして、報知装置2の表示制御部65は、変調部62によって生成された付加情報から発信者の電話番号を取得し、これを表示部24に表示させる。これにより、利用者は、発信者の電話番号を知ることができる。
【0049】
(変形例7)
上述した実施形態において、付加情報には、装置種別、処理ID及びメッセージ情報が含まれており、装置種別及び処理IDが、報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報として機能していた。これは、1つの放音装置が複数種類の報知音を放音する処理を行い得ることから、装置種別と処理IDとの組み合わせで、放音処理を識別しなければならなかったためである。これに限らず、例えば、放音装置が1種類の報知音を放音する処理しか行わない場合には、付加情報には装置種別だけが含まれていれば、報知音を放音する放音処理を識別することができるので、それで十分である。この場合、報知装置2の動作パターン特定テーブルT2においては、「装置種別」と「動作パターン」のみが対応付けられていればよい。
【0050】
また、付加情報には、放音装置の固体を識別する固体識別IDやメーカ識別情報などが含まれていてもよい。この場合、報知装置2の動作パターン特定テーブルT2において、各々の情報と「動作パターン」とを対応付けておけば、放音装置の固体やメーカ毎に異なる動作パターンで動作させることができる。
【0051】
(変形例8)
上述した動作パターン特定テーブルT2の内容は、利用者の操作又は動作パターン特定テーブルT2の更新を行う更新プログラムに従って更新されてもよい。利用者の操作に従って更新が行われる場合、報知装置2には、利用者の操作を受け付ける操作部が設けられる。利用者は、この操作部を操作することによって、動作パターン特定テーブルT2の「装置種別」や「処理ID」、「動作パターン」を変更したり、追加したりすることができる。すなわち、報知装置2は、利用者の操作を受け付ける操作手段と、操作手段が受け付けた操作に従って、動作内容記憶手段に記憶されている処理識別情報及び動作内容情報を更新する更新手段とを備える。
また、更新プログラムに従って更新が行われる場合、報知装置2の制御部21は、メモリに記憶されているこの更新プログラムに従って、動作パターン特定テーブルT2の「装置種別」、「処理ID」、「動作パターン」を変更又は追加する。例えば、新たな放音装置を設置した場合、利用者は、この放音装置の操作部13を操作して、放音装置の「装置種別」と、放音装置において行われる処理の「処理ID」の送信を指示する。放音装置の制御部11は、この操作に応じて、「装置種別」と「処理ID」とを重畳した報知音を放音部16から放音させる。報知装置2の制御部21は、マイクロホン22がこの報知音を収音すると、メモリに記憶されている更新プログラムに従って、収音した報知音から新たな放音装置の「装置種別」と「処理ID」とを抽出する。そして、制御部21は、抽出した「装置種別」と「処理ID」と、その「装置種別」又は「処理ID」に対応する動作パターンとして予め決められた「動作パターン」とを対応付けて動作パターン特定テーブルT2に追加する。すなわち、放音装置2は、収音手段によって収音された処理識別情報又は装置種別と、当該処理識別情報又は装置種別に対応する動作内容として予め決められた動作内容を表す動作内容情報とを対応付けて動作内容記憶手段に書き込む書込手段を有する。
これにより、報知装置は、新たな放音装置が設けられたときに利用者によってその放音装置の報知音に対応する動作パターンが登録されなくても、新たな放音装置の報知音の放音を知らせることができる。
【0052】
(変形例9)
上述した実施形態において、目覚まし時計1のCPU又は報知装置2のCPUによって実行されるプログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係る目覚まし時計の構成を示す図である。
【図2】同目覚まし時計の機能構成を示す図である。
【図3】付加情報テーブルの一例を示す図である
【図4】本実施形態に係る報知装置の構成を示す図である。
【図5】同報知装置の機能構成を示す図である。
【図6】動作パターン特定テーブルの一例を示す図である。
【図7】上記目覚まし時計の動作を示すフロー図である。
【図8】共通フォーマットの一例を示す図である。
【図9】付加情報の変調を説明する図である。
【図10】付加信号が重畳された音信号を説明する図である。
【図11】上記報知装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0054】
1…目覚まし時計、11…制御部、12…計時部、13…操作部、14…表示部、15…信号処理部、16…放音部、51…音データ取得部、52…付加情報生成部、53…変調部、54…重畳部、2…報知装置、21…制御部、22…マイクロホン、23…信号処理部、24…表示部、25…発光部、26…振動部、61…抽出部、62…復調部、63…動作パターン特定部、64…動作制御部、65…表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事象の発生を知らせる報知音を放音する放音処理を行う放音装置と、報知装置とを備え、
前記放音装置は、
ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報を重畳する重畳手段と、
前記重畳手段によって前記処理識別情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段とを備え、
前記報知装置は、
前記放音装置によって行われる放音処理を識別する処理識別情報と、当該放音処理によって前記報知音が放音されたことを知らせる動作内容を表す動作内容情報とを対応付けて記憶する動作内容記憶手段と、
前記放音手段によって放音された報知音を収音する収音手段と、
前記収音手段によって収音された報知音から前記処理識別情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を特定する動作内容特定手段と、
前記動作内容特定手段によって特定された動作内容情報が表す動作内容で動作手段を動作させる動作制御手段とを備える
ことを特徴とする報知システム。
【請求項2】
前記動作内容情報は、発光又は振動の動作パターンを表す情報であり、
前記動作制御手段は、発光又は振動可能な前記動作手段を前記動作パターンに従って発光又は振動させる
ことを特徴とする請求項1記載の報知システム。
【請求項3】
前記放音装置は、
報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と、当該報知音によって報知される事象に関連するメッセージ情報とを対応付けて記憶するメッセージ情報記憶手段と、
前記ある事象の発生を知らせる報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と、当該処理識別情報に対応付けて前記メッセージ情報記憶手段に記憶されているメッセージ情報とを含む付加情報を生成する付加情報生成手段とを備え、
前記重畳手段は、前記ある事象の発生を知らせる報知音に対し、前記付加情報生成手段によって生成された付加情報を重畳し、
前記報知装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって収音された報知音から前記付加情報を抽出し、
前記動作内容特定手段は、前記抽出手段によって抽出された付加情報に含まれる前記処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を特定し、
さらに、前記報知装置は、
前記抽出手段によって抽出された付加情報に含まれる前記メッセージ情報を表示する表示手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の報知システム。
【請求項4】
前記放音装置は、
前記ある事象が発生したときの当該事象の状況を表す事象状況情報を取得する取得手段を備え、
前記放音装置の前記重畳手段は、前記ある事象の発生を知らせる報知音に対し、前記処理識別情報と、前記取得手段によって取得された事象状況情報とを重畳し、
前記報知装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって収音された報知音から前記処理識別情報及び前記事象状況情報を抽出し、
さらに、前記報知装置は、
前記抽出手段によって抽出された事象状況情報を表示する表示手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の報知システム。
【請求項5】
前記取得手段は、前記ある事象を表す画像データを事象状況情報として取得する
ことを特徴とする請求項4記載の報知システム。
【請求項6】
前記取得手段は、前記ある事象が発生した位置を表す位置情報を事象状況情報として取得する
ことを特徴とする請求項4記載の報知システム。
【請求項7】
前記取得手段は、前記ある事象が発生した時刻を表す時刻情報を事象状況情報として取得する
ことを特徴とする請求項4記載の報知システム。
【請求項8】
前記放音装置は複数あり、
各々の前記放音装置の前記付加情報生成手段は、前記処理識別情報及び前記メッセージ情報をそれぞれ共通データフォーマットとして予め決められた位置に配置した前記付加情報を生成し、
前記報知装置の前記動作内容特定手段は、前記抽出手段によって抽出された付加情報における前記予め決められた位置から前記処理識別情報を取得して、当該処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を特定し、
前記表示手段は、前記抽出手段によって抽出された付加情報における前記予め決められた位置から前記メッセージ情報を取得して、当該メッセージ情報を表示する
ことを特徴とする請求項3記載の報知システム。
【請求項9】
放音装置と、報知装置とを備え、
前記放音装置は、
ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音が放音されたことを知らせる動作内容を表す動作内容情報を重畳する重畳手段と、
前記重畳手段によって前記動作内容情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段とを備え、
前記報知装置は、
前記放音手段によって放音された報知音を収音する収音手段と、
前記収音手段によって収音された報知音から前記動作内容情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された動作内容情報が表す動作内容で動作手段を動作させる動作制御手段とを備える
ことを特徴とする報知システム。
【請求項10】
前記放音手段は、
各々の報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と、当該報知音が放音されたことを知らせる動作内容を表す動作内容情報とを対応付けて記憶する動作内容記憶手段を備え、
前記重畳手段は、前記ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報と対応付けて前記動作内容記憶手段に記憶されている動作内容情報を重畳する
ことを特徴とする請求項9記載の報知システム。
【請求項11】
事象の発生を知らせる報知音を放音する放音処理を行う放音装置であって、
ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音を放音する放音処理を識別する処理識別情報を重畳する重畳手段と、
前記重畳手段によって前記処理識別情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段と
を備えることを特徴とする放音装置。
【請求項12】
ある事象の発生を知らせる報知音に対し、当該報知音が放音されたことを知らせる動作内容として予め決められた動作内容を表す動作内容情報を重畳する重畳手段と、
前記重畳手段によって前記動作内容情報が重畳された前記報知音を放音する放音手段と
を備えることを特徴とする放音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−175028(P2009−175028A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14778(P2008−14778)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】