説明

塗布ムラ検査装置および塗布ムラ検査方法

【課題】基板に影響を及ぼす可能性が高い塗布ムラの有無を効率的に判定することができる塗布ムラ検査装置を提供する。
【解決手段】第1の端部から第2の端部へ向かって塗布材料が塗布された基板における塗布ムラを検査する塗布ムラ検査装置40は、干渉現象を利用して得られた基板の画像を取得する取得手段431と、基板の画像から、基板の第1の端部から所定距離離れた所定領域に対応する検査画像を抽出する抽出手段432と、検査画像を塗布材料の塗布方向へと投影することによって投影データを取得する投影手段433と、投影データが所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段436A(436B)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルなどの基板上にレジストなどの塗布材料が塗布された場合において塗布ムラの有無を検査する塗布ムラ検査装置および塗布ムラ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質な薄型表示パネルを製造するための品質管理方法として、製造過程における欠陥検査工程が重要な役割を果たしている。近年では、品質の安定化やコストダウンのための目視検査員削減のために、画像処理技術を適用した多種多様な欠陥検査装置が開発されている。
【0003】
コータ装置はガラス基板上にレジストなどを均一な厚さに塗布して膜を生成するための装置である。コータ装置によって塗布されたレジストの膜厚が不均一な領域が存在するガラス基板は欠陥品となる。たとえば、スリットコータ装置を用いた場合には、基板上にレジストの膜厚が不均一な領域が線状に発生する場合がある。そのような線状の欠陥を検出する方法として以下のような技術が提案されている。
【0004】
たとえば、特開2005−172559号公報(特許文献1)には、パネルの線欠陥検出方法及び装置が開示されている。特開2005−172559号公報(特許文献1)によると、被検査対象のパネルを撮像した画像に対して線欠陥を強調して検出するため異なる方向(水平・垂直)に対してそれぞれエッジ検出フィルタをかける工程と、線欠陥が強調されたエッジ検出画像の各画素の輝度値をそれぞれ複数の矩形に分割し、分割領域毎に線欠陥が強調された方向に各画素の輝度値を積算して積算値を取得する分割プロファイル処理を行う工程と、線欠陥が強調された各分割領域における積算値の平均値を移動平均によって求め、且つ積算値及び平均値を用いて統計データを計算する工程と、統計データに基づいて積算値の閾値を設定し、統計データと該閾値から欠陥候補を抽出する工程とを有する。
【0005】
また、特開2000−329532号公報(特許文献2)には、パターンの欠陥抽出方法及びこれに用いられるパラメータ決定方法が開示されている。特開2000−329532号公報(特許文献2)によると、表面にパターンを有する検査対象の画像を取り込み、画像処理によりパターン上の欠陥を抽出する方法では、暗視野照明を用いて検査対象の表面を撮像し、得られた原画像の輝度分布を求め、求めた輝度分布の中で予め定めた第1輝度値DL以上の画素で構成される所定の領域内において、第1輝度値DLより所定値H以上高く且つ予め定めた第2輝度値DH以下の輝度値を有する特定画素が含まれる場合に、所定の領域のうち特定画素を含む所定の幅Wで形成される部分をパターン輪郭線とみなし、このパターン輪郭線部分を原画像から消去する。
【0006】
また、特開平11−23483号公報(特許文献3)には、半導体検査装置及び半導体検査方法が開示されている。特開平11−23483号公報(特許文献3)によると、半導体検査装置は、半導体チップに照明光を照射する落射照明、半導体チップを撮像する撮像手段、落射照明または撮像手段のいずれか一方に設けられ、半導体チップを構成する異なる物質によるそれぞれの反射光量の差が大きくなる光波長領域を透過するフィルタ手段、撮像手段で得られた撮像画像から半導体チップの特定の物質からなる領域を識別する画像処理手段を備える。
【0007】
また、特開2003−289030号公報(特許文献4)には、基板処理装置が開示されている。特開2003−289030号公報(特許文献4)によると、基板処理装置の塗布ユニットに、角形の基板を略水平に載置する保持面を有するステージ、保持面の上方に略水平に掛け渡された架橋構造、および基板の表面を撮像する撮像部が設けられる。架橋構造には、レジストを吐出するスリットノズルを取り付けたノズル支持部を設け、スリットノズルにより基板の表面を走査しつつ、レジストを塗布する。レジストの塗布が終了すると、撮像部が基板の表面を撮像し、画像データを判定部に転送する。判定部は、画像データに画像認識処理を行い、基板にカスレなどの塗布不良が生じていないか塗布状況を判定する。
【0008】
また、特開2000−249658号公報(特許文献5)には、検査装置が開示されている。特開2000−249658号公報(特許文献5)によると、検査装置は、入力された画像について検査領域を設定する検査領域設定メモリと、設定された検査領域に含まれる複数の閉領域の特定位置の配置パターンを照合することで、基準となる対象物の画像と、被検査対象物の画像との間の相対的位置情報を検出するマッチング回路と、検出された基準画像と被検査画像との間の相対的位置情報を基に、被検査画像内で検査領域を設定して検査工程を行う検査アルゴリズム実行回路とを具備する。
【0009】
また、特開2008−134196号公報(特許文献6)には、モフォロジ処理を用いて欠陥候補範囲を算出することが記載されている。
【特許文献1】特開2005−172559号公報
【特許文献2】特開2000−329532号公報
【特許文献3】特開平11−23483号公報
【特許文献4】特開2003−289030号公報
【特許文献5】特開2000−249658号公報
【特許文献6】特開2008−134196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特開2005−172559号公報(特許文献1)に係る検出方法では、背景画像を用いて差分処理を行うことで欠陥以外の情報をキャンセルしようとしているため、その方法はあらかじめ検査領域と同じ場所のデータを用いて作成された背景画像データが必要となる。背景画像データ作成ではあらかじめ欠陥が映っていないことを前提にしたデータ収集が必要であり、機種に応じて設定する必要がある。
【0011】
また、特開2003−289030号公報(特許文献4)においては、塗布開始位置の領域を指定するものであるが、生産基板における表示パネル領域に影響を与える塗布ムラが発生するよりも前に頻繁に塗布ヘッドの洗浄を行うことになるため、塗布装置のメンテナンス回数が多くなり処理タクト遅延およびメンテナンスコストの増大を起こす。つまり、生産基板における表示パネル領域に影響を与える塗布ムラが発生する可能性が低いうちから、レジスト塗布装置の洗浄が行われることになる。
【0012】
加えて、従来の生産基板の塗布ムラ検査方法においては、表示パネルの周辺回路などの画像が含まれる画像に基づいて塗布ムラを検査するため、塗布ムラの検出が困難となる。
【0013】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板に影響を及ぼす可能性が高い塗布ムラの有無を効率的に判定することができる塗布ムラ検査装置および塗布ムラ検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明のある局面に従うと、第1の端部から第2の端部へ向かって塗布材料が塗布された基板における塗布ムラを検査する塗布ムラ検査装置が提供される。塗布ムラ検査装置は、干渉現象を利用して得られた基板の画像を取得する取得手段と、基板の画像から、基板の第1の端部から所定距離離れた所定領域に対応する検査画像を抽出する抽出手段と、検査画像を塗布材料の塗布方向へと投影することによって投影データを取得する投影手段と、投影データが所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段とを備える。
【0015】
好ましくは、基板は、表示パネルとして切り出される表示パネル領域を含む。所定領域は、表示パネル領域と第1の端部との間に位置する。
【0016】
好ましくは、所定領域は、塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有する。第2の所定幅は、基板の塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである。
【0017】
好ましくは、所定領域は、塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有する。第2の所定幅は、パネル領域の塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである。
【0018】
好ましくは、塗布ムラ検査装置は、投影データの移動平均データを算出する平均手段と、移動平均データに基づいて、投影データを強度データに変換する変換手段とをさらに備える。判定手段は、強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定する。
【0019】
好ましくは、塗布ムラ検査装置は、モフォロジ処理を利用することによって、投影データを強度データに変換する変換手段をさらに備える。判定手段は、強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定する。
【0020】
好ましくは、塗布ムラ検査装置は、投影データの統計値を算出する統計値算出手段をさらに備える。判定手段は、統計値が第2の所定範囲内に収まるか否かを判定する。
【0021】
好ましくは、統計値は投影データの分散値である。判定手段は、分散値が所定値未満であるか否かを判定する。
【0022】
この発明の別の局面に従うと、第1の端部から第2の端部へ向かって塗布材料が塗布された基板における塗布ムラを検査する塗布ムラ検査方法が提供される。塗布ムラ検査方法は、干渉現象を利用して得られた基板の画像を取得するステップと、基板の画像から、基板の第1の端部から所定距離離れた所定領域に対応する検査画像を抽出するステップと、検査画像を塗布材料の塗布方向へと投影することによって投影データを取得するステップと、投影データが所定の条件を満たすか否かを判定するステップとを備える。
【0023】
好ましくは、基板は、表示パネルとして切り出される表示パネル領域を含む。所定領域は、表示パネル領域と第1の端部との間に位置する。
【0024】
好ましくは、所定領域は、塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有する。第2の所定幅は、基板の塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである。
【0025】
好ましくは、所定領域は、塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有する。第2の所定幅は、パネル領域の塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである。
【0026】
好ましくは、塗布ムラ検査方法は、投影データの移動平均データを算出するステップと、移動平均データに基づいて、投影データを強度データに変換するステップとをさらに備える。判定するステップは、強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定するステップを含む。
【0027】
好ましくは、塗布ムラ検査方法は、モフォロジ処理を利用することによって、投影データを強度データに変換するステップをさらに備える。判定するステップは、強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定するステップを含む。
【0028】
好ましくは、塗布ムラ検査方法は、投影データの統計値を算出するステップをさらに備える。判定するステップは、統計値が第2の所定範囲内に収まるか否かを判定するステップを含む。
【0029】
好ましくは、統計値は投影データの分散値である。判定するステップは、分散値が所定値未満であるか否かを判定するステップを含む。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明によると、基板に影響を及ぼす可能性が高い塗布ムラの有無を効率的に判定することができる塗布ムラ検査装置および塗布ムラ検査方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0032】
[第1の実施の形態]
本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置が取得する画像のサイズは、たとえば、横400画素、縦500画素である。しかしながら、画像のサイズは、横400画素、縦500画素に限られるものではなく、その他のサイズ(たとえば、横640画素、縦480画素)であってもよい。
【0033】
また、本実施の形態で説明される画像の各画素が有する輝度値は、“0”〜“255”の範囲の値とする。輝度値が“0”の場合、対応する画素は黒色を表示する。一方、輝度値が“255”の場合、対応する画素は白色を表示する。ただし、本実施の形態で使用する画像の各画素の有する輝度値は、“0”〜“255”の範囲に含まれる値に限られるものではなく、その他の範囲に含まれる値であってもよい。
【0034】
<薄型表示パネルの製造工程>
まず、図1を参照して、薄型表示パネルの製造工程について説明する。図1は、薄型表示パネルを製造する工程に係る主たる工程を示すフローチャートである。
【0035】
ステップS100にて、薄膜成膜工程として、基板に薄膜が形成される。
次に、ステップS120にて、レジスト塗布工程として、レジスト塗布装置が上記薄膜上にレジスト膜を形成する。
【0036】
次に、ステップS130にて、露光工程として、露光装置がレジスト膜にパターンを転写する。
【0037】
次に、ステップS140にて、現像工程として、パターン部分以外のレジスト膜が除去される。
【0038】
次に、ステップS150にて、検査工程として、現像後の基板の状態が検査される。当該検査工程は、後述する画像処理技術を利用することによって実現される。
【0039】
次に、ステップS160にて、エッチング工程として、現像後の基板から不要な薄膜が除去される。
【0040】
最後に、ステップS170にて、レジスト除去工程として、基板に残存するレジストが除去される。
【0041】
<製造システム1の全体構成>
図2を参照して、本実施の形態に係る製造システム1の全体構成について説明する。図2は、製造システム1の全体構成を示すブロック図である。製造システム1は、前工程10と、レジスト塗布装置12と、塗布ムラ検査システム14と、次工程16と、システム制御装置18と、洗浄装置20と、搬送装置22,24,26とを備える。
【0042】
前工程10は、ステップS100における薄膜を形成するための装置を含む。前工程10において薄膜が形成されたガラス基板は、搬送装置22によってレジスト塗布装置12に搬入される。
【0043】
レジスト塗布装置12は、薄膜が形成された基板上にレジストを塗布する。本実施の形態に係るレジスト塗布装置12は、代表的にスリットコータ装置のようなスキャニング方式を用いる装置によって構成される。ただし、レジスト塗布装置12は、他の塗布方式を用いる装置であってもよい。レジスト膜が形成されると、露光工程(ステップS130)と現像工程(ステップS140)とが行われ、その後、基板は搬送装置24によって塗布ムラ検査システム14へと搬入される。
【0044】
塗布ムラ検査システム14は、後述するように、撮像装置と塗布ムラ検査装置とを備える。塗布ムラ検査システム14において、白色光がガラス基板に照射され、撮像装置が、その反射光を撮影し、基板の画像データを取得する。塗布ムラ検査装置は、その画像データを用いて画像処理を実行し、ガラス基板に存在し得るレジストの塗布ムラ(欠陥)の有無を判定(判断)する。塗布ムラ検査システム14によって得られた検査結果は、システム制御装置18に送られる。検査が完了した基板は、搬送装置26によって次工程16に搬入される。
【0045】
次工程16は、たとえば、エッチング工程(ステップS160)とレジスト除去工程(ステップS170)とを含む。
【0046】
システム制御装置18は、塗布ムラ検査システム14から与えられる検査結果に基づいて、レジスト塗布装置12および洗浄装置20の動作を制御する。たとえば、塗布ムラ検査システム14による検査の結果、基板にレジストの塗布ムラが存在していることが検出されると、システム制御装置18は、レジスト塗布装置12に対してレジスト塗布を中断するように命令を送る。また、検査の結果、レジスト塗布装置12におけるノズル(図示しない)の洗浄が必要であると判断すると、システム制御装置18は、洗浄装置20に対してレジスト塗布装置12のノズルの洗浄を命令する。この場合、レジスト塗布装置12から洗浄装置20に対してノズルが移動する。
【0047】
<塗布ムラ検査システム14の全体構成>
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る検査装置40を備える塗布ムラ検査システム14について説明する。図3は、塗布ムラ検査システム14の全体構成を表わすイメージ図である。塗布ムラ検査システム14は、ライト46と、ラインセンサ48と、検査装置40と、ディスプレイ50とを備える。検査装置40は、受信部41と、記憶部42と、制御部43と、出力部44と、入力部45とを含む。塗布ムラ検査システム14は、システム制御装置18に電気的に接続されている。
【0048】
検査対象物としての基板30は、レジスト塗布装置12から塗布ムラ検査システム14に搬入され、ステージ300において予め定められた位置に配置される。なお、検査対象物としての基板30は、たとえばガラス基板である。ただし、基板30は、少なくとも薄膜が表面に形成されることによって、基板30に照射された光が薄膜の表面と、薄膜および基板30との境界面とにおいて反射するような材質で構成されていればよい。
【0049】
そして、液晶パネルの製造局面においては、基板30には、レジストが塗布される。基板30は、ラインセンサ48によって撮影され、撮影後、搬送装置26によってステージ300の外部へと搬出される。その後、別の基板30がステージ300に搬入され、前述の処理が繰り返される。
【0050】
ライト46は、検査装置40からの発光命令に基づいて、当該位置に配置された基板30に対して、予め設定された強度を有する光を照射する。照射される光は、たとえば一般白色光である。
【0051】
ラインセンサ48は、基板30からの反射光を受けることによって基板30を撮影し、取得した画像データを検査装置40に出力する。検査装置40は、受信部41を介してその画像データの入力を受け、記憶部42に格納する。
【0052】
より詳しくは、ラインセンサ48は、検査装置40からの撮影命令に応じて、基板30からの反射光を撮影する(干渉画像撮影)。ラインセンサ48は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)方式、CMOS(Complementary Mental Oxide Semiconductor)方式、その他の方式により実現される。また、ラインセンサ48は、検査装置からの撮影命令に応じて、基板30の走査方向への移動しながら基板30からの反射光を撮影する。このとき、ラインセンサ48による干渉画像撮像のために、ライト46も同様に移動する。
【0053】
なお、他の局面において、ラインセンサ48が移動する形態に代えて、基板30が移動する構成が使用されてもよい。
【0054】
記憶部42は、検査装置40の外部から与えられたデータと、検査装置40において生成されたデータとを格納する。外部から与えられたデータは、たとえば、上記画像データ、検査装置40の動作を規定する設定値等を含む。当該生成されたデータは、制御部43によって算出された画像処理のためのデータ、検査結果等を含む。
【0055】
記憶部42は、データを不揮発的および揮発的に格納する。データを不揮発的に格納する記憶部42は、たとえば、大容量のデータを記憶可能なハードディスク等によって実現される。なお、記憶部42は、ハードディスクに限定されることなく、電源を供給されなくてもデータを保持可能な不揮発性の記憶装置(たとえばフラッシュメモリなど)であればよい。
【0056】
具体的には、記憶部42は、データの消去・書き込みを何度でも行えるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、電気的に内容を書き換えることができるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)、紫外線を使ってデータの消去・再書き込みを何度でも行えるUV(Ultra-Violet)−EPROM、その他、不揮発的にデータを記憶保持可能な構成を有する回路のいずれであってもよい。
【0057】
また、データを揮発的に格納する記憶部42は、制御部43によって使用されるデータを一時的に保持するワークメモリとしても機能する。この場合、記憶部42は、たとえば、データを一時的に記憶可能なRAM(Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)、SDRAM(Synchronous DRAM)、ダブルデータレートモードという高速なデータ転送機能を持ったSDRAMであるDDR−SDRAM(Double Data Rate SDRAM)、Rambus社が開発した高速インターフェイス技術を採用したDRAMであるRDRAM(Rambus Dynamic RAM)、Direct−RDRAM(Direct RDRAM)、その他、データを揮発的に記憶保持可能な構成を有する回路を含んでもよい。
【0058】
制御部43は、記憶部42に格納されている画像データと、予め準備されているデータとを用いて、予め規定された画像処理を実行する。制御部43は、記憶部42に記憶されたプログラムに従って、画像を生成したり、生成した画像をディスプレイ50に表示させる指示(以下「描画指示」という)を出力したりする。また、他の局面において、制御部43は、通信インターフェイスを介して、検査装置40の外部の装置(たとえばシステム制御装置18)との通信を制御する。
【0059】
制御部43は、具体的には、マイクロプロセッサ、プログラミングが可能なLSI(Large Scale Integration)であるFPGA(Field Programmable Gate Array)、特定の用途のために設計および製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路により実現される。
【0060】
上記の場合、検査装置40の主たる機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。具体的には、当該機能は、制御部43に相当するCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)その他のプロセッサが、記憶部42に予め記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
【0061】
あるいは、他の局面においては、検査装置40の主たる機能をハードウェアの組み合わせとして実現することもできる。この場合、制御部43は、当該プログラムにより実現される処理を実行するために構成された回路、たとえばFPGA(Fiend Programmable Gate Array)などによって実現され得る。
【0062】
出力部44は、表示部用インターフェイスおよび/または通信インターフェイスであって、制御部43が生成したデータを、ディスプレイ50および/またはシステム制御装置18に出力する。たとえば、制御部43が出力部44を介して出力するデータは、正常(OK)/異常(NG)のような塗布ムラの有無に関する判定結果を表わすデータを含む。
【0063】
ディスプレイ50は、検査装置40のユーザ(オペレータ)に各種の情報を文字や画像等で表示する。ディスプレイ50は、たとえば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、ドットマトリクス等その他の画像表示方式の表示パネルによって実現される。
【0064】
ディスプレイ50は、出力部44から出力される画像データやテキストデータに基づいて画像やテキストを表示する。ディスプレイ50は、たとえば、ラインセンサ48によって撮影された原画像や、画像処理に基づいて検出されたレジストの塗布ムラの有無を示す情報や、塗布ムラの存在箇所を示す情報などを表示する。具体的には、ディスプレイ50は、記憶部42の画像表示領域に格納されているデータを参照して、そのデータに応じた画像を表示する。
【0065】
一方、システム制御装置18は、出力部44から送られたデータに基づいて、動作命令あるいは停止命令を選択的にレジスト塗布装置12に送出する。たとえば、出力部44から送られたデータが異常を表わすデータである場合には、システム制御装置18はレジスト塗布装置12に停止命令を送出し、レジスト塗布装置12のノズル(図示しない)を洗浄する命令を洗浄装置20に対して送出する。
【0066】
入力部45は、外部から、塗布ムラ検査システム14に与えられるデータあるいは指示の入力を受け付ける。入力部45は、たとえばディスプレイ50の表面に装着されるタッチパネル、タッチパッド、キーボード、ペンタブレット、マウスその他のポインティングデバイスなどによって実現される。
【0067】
<干渉現象>
次に、図4を参照して干渉現象について説明する。図4(A)は、ライト46とラインセンサ48とにより基板30を撮影するための構成を示す斜視図である。図4(B)は基板30を示す断面図である。なお、以下では、基板30の屈折率をnとする。
【0068】
図4(A)に示される構成において、波長λの照明光は、レジストが塗布された基板30に対して角度θの方向から、当該基板30に入射する。ラインセンサ48がスキャン方向に走査しながら基板30の塗布面を撮像すると、ラインセンサ48にはレジスト層の表面31で反射する反射光Aと基板30表面にて屈折した透過光Bとが干渉を起こした干渉画像が入力される。より詳しくは、基板30表面にて屈折して基板30を透過した透過光Bは、基板30の下層の境界32にて反射して、再び基板30を透過して基板30表面にて屈折してからラインセンサ48に入射する。
【0069】
なお、反射光Aと透過光Bとから形成される干渉縞の間隔Xは、波長λ、角度θ、屈折率n、膜厚dによって次式(1)のように表される。干渉縞の間の輝度値は、膜厚の差に応じた値となる。
【0070】
【数1】

【0071】
<レジストの塗布処理>
次に、図5および図6を参照して、スリットコータ装置によるレジストの塗布処理について説明する。図5は、基板30にレジストを塗布するスリットコータ装置(図示しない)の塗布方向と基板30との位置関係を表わす図である。スリットコータ装置は、レジスト塗布装置12の一態様である。
【0072】
スリットコータ装置は、スリットコータヘッド510を含む。スリットコータヘッド510は、基板30に対して、塗布開始位置(基板の一端)520から図5に示される塗布方向に塗布終了位置(基板の他端)まで駆動される。このとき、スリットコータヘッド510のスリット上に形成されたノズルからレジストが供給される。図5に示される例においては、領域530は、レジストの塗布が完了した領域に対応する。領域540は、これからレジストが塗布される領域に対応する。
【0073】
スリットコータヘッド510(塗布ノズル)の異常あるいは塗布液の異常と判断されるレジストの塗布ムラは、塗布開始位置520から発生し始める。
【0074】
図6は、基板30にレジストが塗布された状態を示すイメージ図である。基板30のガラス面602において、レジストがレジスト塗布領域604に塗布されている。レジスト塗布領域604の内側の領域は、基板30が液晶テレビに使用される場合の表示パネル領域606として使用される。
【0075】
図6に示すように、塗布ムラ610,630,650,660は、塗布開始位置520から発生している。このうち、表示パネル領域606に達しない塗布ムラ610,630,650は、最終的に製品として出荷される表示パネルの性能には影響を及ぼさない。ただし、塗布ムラ630は表示パネル領域606の直前に存在しており、スリットコータ装置が、最終的に製品として出荷される表示パネルの性能に影響を与える可能性が高い塗布ムラを生じ易い状態であることを示している。
【0076】
なお、塗布ムラ660は、表示パネル領域606に到達しているため、最終的に製品として出荷される表示パネルの性能に影響を及ぼす可能性がある。塗布ムラ660は、スリットコータヘッド510のノズルヘッドの目詰まりなどの異常や、塗布液などの異常が放置されたことにより生じたと考えられる。
【0077】
塗布ムラ660が形成された基板30は、良品として検査工程150の次工程(たとえば、エッチング工程(S160)に搬送することができず、リワーク品として再加工され、あるいは再加工ができない不良品として破棄されることになる。このような基板30が多数検出されると、良品として次工程に送られる基板の数が少なくなる。また、スリットコータ装置を急遽停止させて検査、補修その他のメンテナンスが必要になり、レジスト塗布工程(S120)の稼動が妨げられることになる。その結果、基板30の加工が計画通り実施できなくなり、工場の生産計画の実現が困難になる。
【0078】
ここで、検査画像は、視野角の影響を1次元に抑制可能であって画像品位の点でも有利なラインセンサ48によって取得される。撮像は、撮像素子のムラが影響しないようにX方向(すなわちレジスト塗布方向に対して直交する方向)に沿って走査することにより実行される。
【0079】
<塗布ムラ検査システム14の機能構成>
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る塗布ムラ検査システム14の機能構成について説明する。図7は、塗布ムラ検査システム14の機能構成を表わす機能ブロック図である。塗布ムラ検査システム14は、検査装置40と、ディスプレイ50と、マウス742と、キーボード744と、画像データ取得装置770とを備える。
【0080】
検査装置40は、制御部43と、記憶部42と、データ一時記憶部722と、入力部45と、受信部41と、通信部762とを含む。記憶部42は、塗布ムラ検査工程を実行するためのプログラム780と、受信部41によって取得された画像データ782とを含む。検査装置40は、たとえば、PC(Personal Computer)やワークステーション等のコンピュータにより実現される。
【0081】
画像データ取得装置770は、ステージ300に対して予め定められた位置に配置されている。ステージ300には、検査対象となる基板30が配置される。基板30には、前工程において薄膜が形成されている。当該薄膜は、たとえば、表示パネルの製造に用いられるレジスト膜である。本実施の形態では、レジスト膜を対象として説明を行う。
【0082】
画像データ取得装置770は、ライト46とラインセンサ48とに加えて、制御部772を含む。制御部772は、検査装置40の受信部41と通信し、画像データ取得装置770の動作を規定するためのデータを取得する。制御部772は、そのデータに基づいて後述する各動作の実行を制御する。制御部772は、逆に、画像データ取得装置770の内部において取得されたデータを検査装置40の受信部41に対して送出する。ライト46は、制御部772によって送出された制御信号に基づいて被写体に予め設定された量の光を供給する。
【0083】
ラインセンサ48は、制御部772によって出力された信号に基づいて基板30からの反射光を撮影する。ラインセンサ48は、基板30を走査方向への移動とともに撮影し、取得したデータを画像データとして制御部772に送出する。制御部772は、そのデータを受信部41に対して送信する。受信部41によって受け付けられたデータは、制御部43によって記憶部42に格納される(画像データ782)。
【0084】
画像データ取得装置770は、基板30を撮影に基づく画像を取得する。受信部41は、画像データ取得装置770によって取得された画像データの入力を受け付ける。受信部41によって取得されたデータは、制御部43に伝送される。
【0085】
入力部45は、マウス742あるいはキーボード744から送出された信号の入力を受け付ける。入力部45は、それらの指示に応じた信号を制御部43に対して送出する。
【0086】
制御部43は、記憶部42に格納されているプログラム780と画像データ782とに基づいて検査対象物についての画像データ処理、欠陥抽出処理その他の演算処理を実行する。また、制御部43は、記憶部42に記憶されたプログラム780に従って、画像を生成するための指示と、当該画像をディスプレイ50に表示させる「描画指示」とを出力する。制御部43は、受信部41および通信部762を介して検査装置40の外部との通信を制御する。制御部43は、上述の演算処理によって生成されたデータをデータ一時記憶部722において確保された領域に書き込む。
【0087】
記憶部42は、制御部43に後述する処理を実行させるためのプログラム780、画像データ782、その他各種プログラムおよびデータ等を記憶する。記憶部42は、制御部43によってデータアクセスされる。なお、画像データ782は、各々が異なる複数種類の画像のデータから構成されるデータベースである。
【0088】
データ一時記憶部722は、データを一時的に記憶するワークメモリとして機能する。データ一時記憶部722は、制御部43によってアクセスされる。データ一時記憶部722は、たとえば、データを一時的に記憶可能なRAM(Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)、SDRAM(Synchronous DRAM)、ダブルデータレートモードという高速なデータ転送機能を持ったSDRAMであるDDR−SDRAM(Double Data Rate SDRAM)、Rambus社が開発した高速インターフェイス技術を採用したDRAMであるRDRAM(Rambus Dynamic RAM)、Direct−RDRAM(Direct RDRAM)、その他、データを揮発的に記憶保持可能な構成を有する回路のいずれであってもよい。
【0089】
ディスプレイ50は、ユーザに各種情報を、文字や画像等で表示する機能を有する。ディスプレイ50は、検査装置40から出力された画像データに基づいた画像を表示する。具体的には、ディスプレイ50は、データ一時記憶部722に格納されているデータに基づいてそのデータに応じた表示を実現する。ディスプレイ50は、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro luminescence)ディスプレイ、ドットマトリクス等その他の画像表示方式の表示パネルのいずれであってもよい。
【0090】
マウス742は、ユーザが検査装置40を操作するためのインターフェイスとして機能する。キーボード744は、ユーザが検査装置40を操作するためのインターフェイスとして機能する。
【0091】
なお、ディスプレイ50およびキーボード744の構成は、図7に示されるものに限られず、検査装置40の内部に設けられる構成であってもよい。また、マウス742は、たとえば、タッチパッド等として、検査装置40の内部に設けられる構成であってもよい。また、検査装置40には、ペンタブレットが入力機器として接続されていてもよい。
【0092】
記憶媒体アクセス部750は、着脱可能なデータ記憶媒体755の装着を受け付ける。データ記憶媒体755は、前述の画像処理を実行するためのプログラム781あるいは検査対象となる画像データを含む。
【0093】
記憶媒体アクセス部750は、記憶媒体755から、プログラム781を読み出す機能を有する。記憶媒体755に記憶されているプログラム781は、制御部43の動作(インストール処理)により、記憶媒体アクセス部750から読み出され、記憶部42に、プログラム780として書き込まれる。
【0094】
このインストール処理のためのプログラムは、記憶部42に予め格納されており、インストール処理は、制御部43がインストール処理のためのプログラムを実行することによって実現される。
【0095】
なお、プログラム781によって実現される処理は、プログラム780によって実現される処理を含むが、他の処理が含まれていてもよい。
【0096】
また、記憶部42には、プログラム780が格納されていなくてもよい。この場合、制御部43は、記憶媒体アクセス部750を介して、記憶媒体755に記憶されたプログラム781を読み出し、データ一時記憶部722に実行可能な形式でそのプログラムを保持し、そして、プログラム781に基づいた所定の処理を実行する。これにより、プログラム780により実現される処理と同様の処理が実行可能になる。
【0097】
記憶媒体755は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk ROM)、CD(Compact Disk)−ROM、MO(Magneto Optical Disk)、フレキシブルディスク、CF(Compact Flash)カード、SM(Smart Media(登録商標))、MMC(Multi Media Card)、SD(Secure Digital)メモリカード、メモリスティック(登録商標)、xDピークチャーカードおよびUSB(Universal Serial Bus)メモリ、磁気テープ、その他不揮発性メモリのいずれであってもよい。
【0098】
通信部762は、制御部43によって出力された制御信号に基づいて検査装置40の外部の通信部790と通信する。通信部790は、ネットワーク792に接続されている。
【0099】
受信部41は、制御部43との間でデータの授受を行う。受信部41は、画像データ取得装置770と有線または無線を介してデータの授受を行う。
【0100】
制御部43は、受信部41を介して、画像データ取得装置770を制御するための制御データを送信する。また、制御部43は、画像データ取得装置770から、受信部41を介して、送信した制御データに応じたデータを受信する。
【0101】
受信部41は、USB1.1、USB2.0、その他のシリアル転送を行う通信用インターフェイスのいずれであってもよい。受信部41は、イーサネット(登録商標)を利用した通信用インターフェイスであってもよい。また、受信部41は、セントロニクス仕様、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1284、その他のパラレル転送を行う通信用インターフェイスのいずれであってもよい。また、受信部41は、IEEE1394、その他SCSI(Small Computer System Interface)規格を利用した通信用インターフェイスのいずれであってもよい。
【0102】
また、受信部41は、無線LANの規格であるIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、その他無線技術を利用してデータ通信を行う通信用インターフェイスのいずれであってもよい。
【0103】
通信部762は、制御部43との間でデータの授受を行う。通信部762により実現される処理は、受信部41によって実現される処理と同様である。したがって、当該処理についての詳細な説明は、繰り返さない。
【0104】
通信部790は、通信部762およびネットワーク792とデータの授受を行う。ネットワーク792は、インターネットなどの外部のネットワークである。通信部790は、イーサネット(登録商標)を利用した通信用インターフェイス(たとえば、ルータ)である。また、通信部790と、ネットワーク792とは、無線または有線を介してデータの授受を行う。当該有線は、たとえば、電話線、光ファイバケーブル等である。
【0105】
したがって、本実施の形態における検査装置40は、ネットワーク792から、通信部790および通信部762を介して、プログラムをダウンロード処理を行い、記憶部42に格納することもできる。この場合、当該ダウンロードされたプログラムは、プログラム780に相当する。
【0106】
同様に、本実施の形態における検査装置40は、ネットワーク792から、通信部790および通信部762を介して、画像データのダウンロード処理を行い、記憶部42に格納することもできる。この場合、当該ダウンロードされた画像データは、画像データ782に相当する。
【0107】
<塗布ムラ検査装置40の機能構成>
次に、塗布ムラ検査装置40の機能構成について説明する。図8は、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0108】
図8に示すように、塗布ムラ検査装置40は、記憶部42と、取得部431と、抽出部432と、投影部433と、平均部434と、変換部435と、判定部436Aと、出力部44とを含む。
【0109】
ここで、取得部431と、抽出部432と、投影部433と、平均部434と、変換部435と、判定部436Aとは、制御部43によって実現される機能である。より詳細には、制御部43が有する各機能は、制御部43が記憶部42に記憶される制御プログラムを実行して、図3や図7に示される各ハードウェアを制御することによって実現される機能である。
【0110】
本実施の形態においては、塗布ムラ検査工程を実行するための機能が制御部43上で実行されるソフトウェアによって実現される構成としているが、各ブロックの機能や各ステップの処理をソフトウェアによって実現する代わりに、各々を専用のハードウェア回路等によって実現してもよい。
【0111】
以下、塗布ムラ検査装置40が有する各機能について詳細に説明する。取得部431は、記憶部42の画像データ782を取得して、当該画像データ782を抽出部432へ受け渡す。図9は、本実施の形態に係る画像データ782が表す画像を示すイメージ図である。
【0112】
図9に示すように、画像データ782は、基板30の全体(ガラス面602)を表す。画像データ782が表すガラス面602の画像は、ガラス面602のうちのレジスト塗布領域604の画像を含む。そして、レジスト塗布領域604は、表示パネルとして切り出される表示パネル領域606を含む。
【0113】
図10は、本実施の形態に係る抽出部432が抽出した所定領域608の画像を示すイメージ図である。図8〜図10に示すように、抽出部432は、ガラス面602の画像を表す画像データ782から、レジストの塗布が開始される側の端部(第1の端部)から所定距離離れた所定領域608に対応する検査画像を表す画像データを抽出する。
【0114】
ここで、所定領域608は、レジストの塗布方向(図9における上下方向)に第1の所定幅を有する。所定領域608は、レジストの塗布方向に対して垂直な方向(図9における左右方向)に第2の所定幅を有する。そして、本実施の形態に係る第2の所定幅は、基板30のレジスト塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである。
【0115】
図11(A)は、所定領域608に対応する検査画像を投影した投影データを示すイメージ図である。図11(B)は、投影データの移動平均をプロットした移動平均データを示すイメージ図である。図11(C)は移動平均データと投影データとの差分をプロットした差分データ(強度データ)を示すイメージ図である。
【0116】
図8に示すように、投影部433は、図10に示す検査画像をレジストの塗布方向へと投影することによって、図11(A)に示す投影データを生成する。具体的には、投影部433は、所定領域608に対応する検査画像について、横1画素毎に第1の所定幅分の画素(たとえば10〜20画素)の輝度値などを加算あるいは平均することによって投影データを生成する。
【0117】
平均部434は、図11(A)に示す投影データに基づいて移動平均値を算出することによって図11(B)の移動平均データを生成する。そして、変換部435は、図11(A)に示す投影データと図11(B)に示す移動平均データとに基づいて、図11(C)に示す差分データを生成する。より詳細には、変換部435は、横1画素毎に移動平均データの強度値から投影データの強度値を減じることによって、差分データを生成する。
【0118】
換言すれば、平均部434と変換部435とが、図11(A)に示す投影データにモフォロジ処理を施すことによって所定領域608に対応する強度データを生成する。
【0119】
判定部436Aは、差分データ(強度データ)に基づいて、予め設定された第1の所定値Th1以上の強度値を抽出する。判定部436Aは、第1の所定値Th1以上の強度値が抽出された場合に、所定領域608に塗布ムラが存在すると判断する。
【0120】
そして、判定部436Aは、抽出された強度値が、予め設定された第2の所定値Th2以上であるか否かを判定する。判定部436Aは、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上である場合に、レジスト塗布装置12が異常であると判断する。判定部436Aは、上記の判定結果を出力部44に出力する。すなわち、判定部436Aは、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上である場合に、基板30から切り出される表示パネルの品質に影響を及ぼす塗布ムラが発生する可能性が高いと判断する。
【0121】
出力部44は、判定結果を受け付けて、基板30上に塗布ムラが存在することや、レジスト塗布装置12が異常であることを出力する。すなわち、出力部44は、判定部436Aが、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上であると判断した場合に、ディスプレイ50などにエラー表示を行う。
【0122】
<塗布ムラ検査工程>
次に、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40が実行する塗布ムラ検査工程について説明する。図12は、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40における塗布ムラ検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【0123】
図12に示すように、制御部43は、ラインセンサ48から図9に示す干渉画像(画像データ782)を取得する(ステップS102)。制御部43は、干渉画像から第2の所定幅を有する所定領域608に対応する図10に示す検査画像を抽出する(ステップS104)。制御部43は、検査画像をレジストの塗布方向に投影することによって、図11(A)に示す投影データを生成する(ステップS106)。
【0124】
制御部43は、投影データに基づいて、図11(B)に示す移動平均データを生成する(ステップS108)。制御部43は、投影データと移動平均データとに基づいて、それらの差分データ(図11(C)に示す強度データ)を生成する(ステップS110)。制御部43は、差分データと第1の所定値Th1とに基づいて、塗布ムラの有無を判定する(ステップS112)。また、制御部43は、差分データと第2の所定値Th2とに基づいて、レジスト塗布装置12が異常であるか否かを判定する。制御部43は、出力部44を介してディスプレイ50に判定結果を出力する(ステップS114)。
【0125】
以下、塗布ムラ検査工程について詳述する。ステップS102において、検査装置40は、画像データ取得装置770から干渉画像を取得する。制御部43は、干渉画像を表示するための画像データ782を記憶部42に格納する。その後、制御部43は、記憶部42に格納されている画像データ782を読み出して、その読み出したデータ一時記憶部722に書き込む。
【0126】
ステップS104にて、制御部43は、基板30の設計データに基づいて、取得した干渉画像から、レジスト塗布方向の逆方向のあらかじめ定められた所定幅、かつレジスト塗布方向と垂直方向に全レジスト塗布領域の検査画像を切り出す。本実施の形態においては、図9の点線部が検査画像に対応する切り出し領域(所定領域608)である。つまり、制御部43は、図9の上下方向に第1の所定幅を有し、左右方向に基板30のサイズ幅を有する検査画像を切り出す。
【0127】
ここで、所定領域608は、レジスト塗布の開始位置を含まないエリアに設定される。これは、所定領域がレジスト塗布開始位置を含むことによる塗布ムラの過検出を防ぐためである。
【0128】
検査画像は図10に示すような画像となる。つまり、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40においては、図9に示す塗布開始位置の塗布ムラは塗布ムラの検査の対象外となり、表示パネル領域606へ影響を与える塗布ムラに発展する可能性のある塗布ムラのみが検出される。
【0129】
ステップS106において、ステップS104にて抽出された検査画像をレジスト塗布方向に投影処理する。投影処理されたデータは図11(A)に示す一次元データとなる。ここで、投影データのプロファイルに現れる低周波の輝度勾配は基板のたわみなどの影響によるものである。
【0130】
ステップS110において、制御部43は、ステップS106にて投影処理された一次元データから塗布ムラの強度値を取得する。具体的には、制御部43は、ステップS108において、図11(B)に示すように、塗布ムラとして判定できる既定のムラ検出幅以上の値で一次元データを平均処理することによって平均プロファイルを生成する。そして、制御部43は、一次元データから平均プロファイルの差分を取得する。これによって、既定のムラ検出幅以下の幅の塗布ムラ成分が、図11(C)に示す差分プロファイルに現れる。つまり、差分プロファイルに対してあらかじめ定められたムラ検出閾値(第1の所定値Th1)によって検出されるムラ候補の強度値が得られる。
【0131】
ステップS112において、制御部43は、ステップS110にて検出した塗布ムラ候補の強度値に対して、あらかじめ定められた判定閾値(第2の所定値Th2)よりも大きい値をもつ塗布ムラについて、塗布ムラが発生していると判断する。
【0132】
[第2の実施の形態]
次に、塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法においては所定領域608の横幅(第2の所定幅)が基板30の横幅と同じであったが、本実施の形態に係る塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法においては所定領域の横幅(第2の所定幅)が基板30から切り出される表示パネルの横幅と同じである。
【0133】
本実施の形態に係る塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法は、第1の実施の形態に係る塗布ムラ検査システムと同様のハードウェア構成により実現される。そこで、第1の実施の形態に係る構成と同様の部分については、ここでは説明を繰り返さない。
【0134】
より詳細には、本実施の形態に係る薄型表示パネルの製造工程、製造システム1の全体構成、塗布ムラ検査システム14の全体構成、干渉現象、レジストの塗布処理、塗布ムラ検査システム14の機能構成については、それぞれ実施の形態1に係るそれと同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。以下では、主に、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40の機能構成および塗布ムラ検査工程について説明する。
【0135】
<塗布ムラ検査装置40の機能構成>
まず、塗布ムラ検査装置40の機能構成について説明する。本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40の機能構成は、図8に示す第1の実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40の機能構成と概ね同様であるが、抽出部432が抽出する所定領域が異なるものである。そして、投影部433がそれぞれの所定領域毎に投影データを生成し、平均部434がそれぞれの所定領域毎に移動平均データを生成し、変換部435がそれぞれの所定領域毎に差分データを生成する。判定部436Aは、それぞれの所定領域毎に判定結果を出力してもよいし、すべての所定領域に対する判定結果を出力してもよい。
【0136】
図13は、本実施の形態に係る画像データ782が表す画像を示すイメージ図である。図13に示すように、画像データ782は、基板30の全体(ガラス面602)を表す。画像データ782が表すガラス面602の画像は、ガラス面602のうちのレジスト塗布領域604の画像を含む。そして、レジスト塗布領域604は、表示パネルとして切り出される表示パネル領域606を含む。
【0137】
図8および図13に示すように、本実施の形態に係る抽出部432は、レジストの塗布が開始される側の端部から所定距離離れた第1および第2の所定領域608A,608Bに対応する検査画像を表す画像データを抽出する。第1および第2の所定領域608A,608Bは、レジストの塗布方向(図13における上下方向)に第1の所定幅を有する。そして、本実施の形態に係る第1および第2の所定領域608A,608Bは、レジストの塗布方向に対して垂直な方向(図13における左右方向)に第2の所定幅を有する。そして、本実施の形態に係る第2の所定幅は、基板30から切り出される表示パネルに対応する表示パネル領域606のレジスト塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである。
【0138】
図14は、本実施の形態に係る抽出部432が抽出した第1の所定領域608Aの画像を示すイメージ図である。図15(A)は、第1の所定領域608Aに対応する第1の検査画像を投影した第1の投影データを示すイメージ図である。図15(B)は、第1の投影データの移動平均をプロットした第1の移動平均データを示すイメージ図である。図15(C)は第1の移動平均データと第1の投影データとの差分をプロットした第1の差分データ(強度データ)を示すイメージ図である。
【0139】
本実施の形態に係る投影部433は、図14に示す第1の検査画像をレジストの塗布方向へと投影することによって、図15(A)に示す第1の投影データを生成する。具体的には、投影部433は、第1の所定領域608Aに対応する第1の検査画像について、横1画素毎に第1の所定幅分の画素(たとえば10〜20画素)の輝度値などを加算あるいは平均することによって第1の投影データを生成する。
【0140】
本実施の形態に係る平均部434は、図15(A)に示す第1の投影データに基づいて移動平均値を算出することによって図15(B)の第1の移動平均データを生成する。そして、変換部435は、図15(A)に示す第1の投影データと図15(B)に示す第1の移動平均データとに基づいて、図15(C)に示す第1の差分データを生成する。より詳細には、変換部435は、横1画素毎に移動平均データの強度値から第1の投影データの強度値を減じることによって、第1の差分データを生成する。
【0141】
換言すれば、平均部434と変換部435とが、図15(A)に示す第1の投影データにモフォロジ処理を施すことによって第1の所定領域608に対応する第1の強度データを生成する。
【0142】
本実施の形態に係る判定部436Aは、第1の差分データ(第1の強度データ)に基づいて、予め設定された第1の所定値Th1以上の強度値を抽出する。判定部436Aは、第1の所定値Th1以上の強度値が抽出された場合に、第1の所定領域608Aに塗布ムラが存在すると判断する。
【0143】
そして、判定部436Aは、抽出された強度値が、予め設定された第2の所定値Th2以上であるか否かを判定する。判定部436Aは、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上である場合に、レジスト塗布装置12が異常であると判断する。判定部436Aは、上記の判定結果を出力部44に出力する。すなわち、判定部436Aは、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上である場合に、基板30から切り出される表示パネルの品質に影響を及ぼす塗布ムラが発生する可能性が高いと判断する。
【0144】
出力部44は、判定結果を受け付けて、基板30上に塗布ムラが存在することや、レジスト塗布装置12が異常であることを出力する。すなわち、出力部44は、判定部436Aが、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上であると判断した場合に、ディスプレイ50などにエラー表示を行う。
【0145】
図16は、本実施の形態に係る抽出部432が抽出した第2の所定領域608Bの画像を示すイメージ図である。図17(A)は、第2の所定領域608Bに対応する第2の検査画像を投影した第2の投影データを示すイメージ図である。図17(B)は、第2の投影データの移動平均をプロットした第2の移動平均データを示すイメージ図である。図17(C)は第2の移動平均データと第2の投影データとの差分をプロットした第2の差分データ(強度データ)を示すイメージ図である。
【0146】
本実施の形態に係る投影部433は、図16に示す第2の検査画像をレジストの塗布方向へと投影することによって、図17(A)に示す第2の投影データを生成する。具体的には、投影部433は、第2の所定領域608Bに対応する第2の検査画像について、横1画素毎に第2の所定幅分の画素(たとえば10〜20画素)の輝度値などを加算あるいは平均することによって第2の投影データを生成する。
【0147】
本実施の形態に係る平均部434は、図17(A)に示す第2の投影データに基づいて移動平均値を算出することによって図17(B)の第2の移動平均データを生成する。そして、変換部435は、図17(A)に示す第2の投影データと図17(B)に示す第2の移動平均データとに基づいて、図17(C)に示す第2の差分データを生成する。より詳細には、変換部435は、横1画素毎に移動平均データの強度値から第2の投影データの強度値を減じることによって、第2の差分データを生成する。
【0148】
換言すれば、平均部434と変換部435とが、図17(A)に示す第2の投影データにモフォロジ処理を施すことによって第2の所定領域608に対応する第2の強度データを生成する。
【0149】
本実施の形態に係る判定部436Aは、第2の差分データ(第2の強度データ)に基づいて、予め設定された第1の所定値Th1以上の強度値を抽出する。判定部436Aは、第1の所定値Th1以上の強度値が抽出された場合に、第2の所定領域608Bに塗布ムラが存在すると判断する。
【0150】
そして、判定部436Aは、抽出された強度値が、予め設定された第2の所定値Th2以上であるか否かを判定する。判定部436Aは、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上である場合に、レジスト塗布装置12が異常であると判断する。判定部436Aは、上記の判定結果を出力部44に出力する。すなわち、判定部436Aは、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上である場合に、基板30から切り出される表示パネルの品質に影響を及ぼす塗布ムラが発生する可能性が高いと判断する。
【0151】
出力部44は、判定結果を受け付けて、基板30上に塗布ムラが存在することや、レジスト塗布装置12が異常であることを出力する。すなわち、出力部44は、判定部436Aが、抽出された強度値が第2の所定値Th2以上であると判断した場合に、ディスプレイ50などにエラー表示を行う。
【0152】
このように、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40は、所定領域608A,608Bの横幅を表示パネル領域606の横幅に合わせているため、基板30から切り出される表示パネルに影響を及ぼす塗布ムラが発生する可能性が高いか否かをより効率的に判定することができる。すなわち、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40は、表示パネル領域606の間に存在し、表示パネルに影響を及ぼさない可能性が高い塗布ムラを検査対象から排除することができる。
【0153】
<塗布ムラ検査工程>
次に、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40が実行する塗布ムラ検査工程について説明する。図18は、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40における塗布ムラ検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【0154】
図18に示すように、制御部43は、ラインセンサ48から図9に示す干渉画像(画像データ782)を取得する(ステップS102)。制御部43は、干渉画像から第2の所定幅を有する第1の所定領域608Aに対応する図14に示す第1の検査画像を抽出する(ステップS204)。このとき、制御部43は、干渉画像から第2の所定幅を有する第2の所定領域608Bに対応する図16に示す第2の検査画像も抽出する。
【0155】
制御部43は、第1の検査画像をレジストの塗布方向に投影することによって、図15(A)に示す第1の投影データを生成する(ステップS106)。このとき、制御部43は、第2の検査画像をレジストの塗布方向に投影することによって、図17(A)に示す第2の投影データも生成する。
【0156】
制御部43は、第1の投影データに基づいて、図15(B)に示す第1の移動平均データを生成する(ステップS108)。このとき、制御部43は、第2の投影データに基づいて、図17(B)に示す第2の移動平均データも生成する。
【0157】
制御部43は、第1の投影データと第1の移動平均データとに基づいて、それらの差分データ(図15(C)に示す強度データ)を生成する(ステップS110)。このとき、制御部43は、第2の投影データと第2の移動平均データとに基づいて、それらの差分データ(図17(C)に示す強度データ)も生成する。
【0158】
制御部43は、第1の差分データと第1の所定値Th1とに基づいて、所定領域608Aにおける塗布ムラの有無を判定する(ステップS112)。また、制御部43は、第1の差分データと第2の所定値Th2とに基づいて、レジスト塗布装置12が異常であるか否かを判定する。このとき、制御部43は、第2の差分データと第1の所定値Th1とに基づいて、第2の所定領域608Bにおける塗布ムラの有無を判定する。また、制御部43は、第2の差分データと第2の所定値Th2とに基づいて、レジスト塗布装置12が異常であるか否かを判定する。
【0159】
制御部43は、出力部44を介してディスプレイ50に判定結果を出力する(ステップS114)。
【0160】
以下、本実施の形態に係る塗布ムラ検査工程について詳述する。ステップS102にて、検査装置40は、画像データ取得装置770から干渉画像を取得する。
【0161】
ステップS104にて、制御部43は、基板30の設計データに基づいて、取得した干渉画像からあらかじめ設定された表示パネルの領域に対して、レジスト塗布方向の逆方向のあらかじめ定められた所定幅、かつレジスト塗布方向と垂直方向は表示パネル領域がある部分の画像を切り出す。本実施の形態においては、図13の点線部が切り出し領域である。
【0162】
ここで、制御部43は、Y方向を規定の幅Lとし、X方向は表示パネルがある領域として、全ての対象領域の当該画像を切り出す。ここで既定の幅Lは実施例1と同じである。検査画像は図14および図16に示すように複数発生する。本実施の形態のようにレジスト塗布方向の垂直方向は表示パネル領域606がある部分だけを検査対象とすることにより、表示パネルに影響を与えないムラ発生を検出しないようにできる。その結果、過度なムラ検出によるメンテナンス発生が無くなる。
【0163】
ステップS106において、制御部43は、S104にて切り出した複数の検査画像をレジスト塗布方向に投影処理する。制御部43が、対象とする複数の検査画像に対してそれぞれ取得したプロファイルは図15および図17のようになる。塗布ムラ検査工程の後の処理は実施の形態1のそれと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0164】
[第3の実施の形態]
次に、塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法の第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る塗布ムラ検査システムや塗布ムラ検査方法においては、図11(C)に示す差分データ(強度データ)中に、ムラ検出閾値(第1の所定値Th1)や判定閾値(第2の所定値Th2)を超える強度値が存在するか否かに基づいて、塗布ムラの有無やレジスト塗布装置12の異常の有無を判定する。一方、本実施の形態に係る塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法においては、図11(A)に示す投影データの統計値に基づいて、直接塗布ムラの有無やレジスト塗布装置12の異常の有無を判定する。
【0165】
本実施の形態に係る塗布ムラ検査システムおよび塗布ムラ検査方法は、第1の実施の形態に係る塗布ムラ検査システムと同様のハードウェア構成により実現される。そこで、第1の実施の形態に係る構成と同様の部分については、ここでは説明を繰り返さない。
【0166】
より詳細には、本実施の形態に係る薄型表示パネルの製造工程、製造システム1の全体構成、塗布ムラ検査システム14の全体構成、干渉現象、レジストの塗布処理、塗布ムラ検査システム14の機能構成については、それぞれ実施の形態1に係るそれと同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。以下では、主に、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40の機能構成および塗布ムラ検査工程について説明する。
【0167】
<塗布ムラ検査装置40の機能構成>
まず、塗布ムラ検査装置40の機能構成について説明する。図19は、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0168】
図19に示すように、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40は、記憶部42と、取得部431と、抽出部432と、投影部433と、統計値算出部437と、判定部436Bと、出力部44とを含む。
【0169】
ここで、取得部431と、抽出部432と、投影部433と、統計値算出部437と、判定部436Bとは、制御部43によって実現される機能である。より詳細には、制御部43が有する各機能は、制御部43が記憶部42に記憶される制御プログラムを実行して、図3や図7に示される各ハードウェアを制御することによって実現される機能である。
【0170】
本実施の形態においては、塗布ムラ検査工程を実行するための機能が制御部43上で実行されるソフトウェアによって実現される構成としているが、各ブロックの機能や各ステップの処理をソフトウェアによって実現する代わりに、各々を専用のハードウェア回路等によって実現してもよい。
【0171】
以下、塗布ムラ検査装置40が有する各機能について詳細に説明する。取得部431は、記憶部42の画像データ782を取得して、当該画像データ782を抽出部432へ受け渡す。
【0172】
投影部433は、図10に示す検査画像をレジストの塗布方向へと投影することによって、図11(A)に示す投影データを生成する。
【0173】
統計値算出部437は、図11(A)に示す投影データに基づいて、投影データに対応する統計値、たとえば分散値などを計算する。
【0174】
判定部436Bは、統計値が予め設定された所定値に収まるか否か、たとえば分散値が第3の所定値Th3未満であるか否かを判定する。判定部436Bは、分散値が第3の所定値Th3以上である場合に、所定領域608に塗布ムラが存在すると判断する。あるいは、判定部436Bは、分散値が第3の所定値Th3以上である場合に、レジスト塗布装置12が異常であると判断する。
【0175】
判定部436Bは、上記の判定結果を出力部44に出力する。すなわち、判定部436Bは、分散値が第3の所定値Th3以上である場合に、基板30から切り出される表示パネルの品質に影響を及ぼす塗布ムラが発生する可能性が高いと判断する。
【0176】
出力部44は、判定結果を受け付けて、基板30上に塗布ムラが存在することや、レジスト塗布装置12が異常であることを出力する。すなわち、出力部44は、判定部436Bが、分散値が第3の所定値Th3以上であると判断した場合に、ディスプレイ50などにエラー表示を行う。
【0177】
<塗布ムラ検査工程>
次に、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40が実行する塗布ムラ検査工程について説明する。図20は、本実施の形態に係る塗布ムラ検査装置40における塗布ムラ検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【0178】
図20に示すように、制御部43は、ラインセンサ48から図9に示す干渉画像(画像データ782)を取得する(ステップS102)。制御部43は、干渉画像から第2の所定幅を有する所定領域608に対応する図10に示す検査画像を抽出する(ステップS104)。制御部43は、検査画像をレジストの塗布方向に投影することによって、図11(A)に示す投影データを生成する(ステップS106)。
【0179】
制御部43は、投影データに基づいて、分散値を計算する(ステップS310)。制御部43は、分散値と予め定められた第3の所定値Th3とに基づいて、塗布ムラの有無を判定する、あるいはレジスト塗布装置12が異常であるか否かを判定する(ステップS112)。制御部43は、出力部44を介してディスプレイ50に判定結果を出力する(ステップS114)。
【0180】
[その他の実施の形態]
本実施の形態と実施の形態2の構成とを組み合わせることも可能である。すなわち、所定領域の横幅を表示パネル領域606の横幅と同じにした上で、所定領域608A,608Bに対応する投影データの分散値と第3の所定値Th3とを比較してもよい。
【0181】
また、本発明は、システム或いは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。そして、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0182】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0183】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード(ICメモリカード)、ROM(マスクROM、フラッシュEEPROMなど)などを用いることができる。
【0184】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0185】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0186】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】薄型表示パネルを製造する工程に係る主たる工程を示すフローチャートである。
【図2】製造システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る検査装置を備える塗布ムラ検査システムについて説明する。
【図4】ライトとラインセンサとにより基板を撮影するための構成を示す斜視図と基板を示す断面図である。
【図5】基板にレジストを塗布するスリットコータ装置の塗布方向と基板との位置関係を表わす図である。
【図6】基板にレジストが塗布された状態を示すイメージ図である。
【図7】塗布ムラ検査システムの機能構成を表わす機能ブロック図である。
【図8】実施の形態1に係る塗布ムラ検査装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図9】実施の形態1に係る画像データが表す画像を示すイメージ図である。
【図10】実施の形態1に係る抽出部が抽出した所定領域の画像を示すイメージ図である。
【図11】所定領域に対応する検査画像を投影した投影データと移動平均データと差分データ(強度データ)とを示すイメージ図である。
【図12】実施の形態1に係る塗布ムラ検査装置における塗布ムラ検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る画像データが表す画像を示すイメージ図である。
【図14】実施の形態2に係る抽出部が抽出した第1の所定領域の画像を示すイメージ図である。
【図15】第1の所定領域に対応する第1の検査画像を投影した第1の投影データと第1の移動平均データと第1の差分データ(強度データ)とを示すイメージ図である。
【図16】実施の形態2に係る抽出部が抽出した第2の所定領域の画像を示すイメージ図である。
【図17】第2の所定領域に対応する第2の検査画像を投影した第2の投影データと第2の移動平均データと第2の差分データ(強度データ)とを示すイメージ図である。
【図18】実施の形態2に係る塗布ムラ検査装置における塗布ムラ検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態3に係る塗布ムラ検査装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図20】実施の形態3に係る塗布ムラ検査装置における塗布ムラ検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0188】
1 製造システム、12 レジスト塗布装置、14 塗布ムラ検査システム、18 システム制御装置、20 洗浄装置、22,24,26 搬送装置、30 基板、31 表面、32 境界、40 塗布ムラ検査装置、41 受信部、42 記憶部、43 制御部、44 出力部、45 入力部、46 ライト、48 ラインセンサ、50 ディスプレイ、300 ステージ、431 取得部、432 抽出部、433 投影部、434 平均部、435 変換部、436A 判定部、436B 判定部、437 統計値算出部、510 スリットコータヘッド、520 塗布開始位置、602 ガラス面、604 レジスト塗布領域、606 表示パネル領域、608,608A,608B 所定領域、610,630,650,660 塗布ムラ、708 画像データ、722 データ一時記憶部、742 マウス、744 キーボード、750 記憶媒体アクセス部、755 データ記憶媒体、762 通信部、770 画像データ取得装置、772 制御部、780,781 プログラム、782 画像データ、790 通信部、792 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部から第2の端部へ向かって塗布材料が塗布された基板における塗布ムラを検査する塗布ムラ検査装置であって、
干渉現象を利用して得られた基板の画像を取得する取得手段と、
前記基板の画像から、前記基板の前記第1の端部から所定距離離れた所定領域に対応する検査画像を抽出する抽出手段と、
前記検査画像を前記塗布材料の塗布方向へと投影することによって投影データを取得する投影手段と、
前記投影データが所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段とを備える、塗布ムラ検査装置。
【請求項2】
前記基板は、表示パネルとして切り出される表示パネル領域を含み、
前記所定領域は、前記表示パネル領域と前記第1の端部との間に位置する、請求項1に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項3】
前記所定領域は、
前記塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、
前記塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有し、
前記第2の所定幅は、前記基板の前記塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである、請求項1または2に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項4】
前記所定領域は、
前記塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、
前記塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有し、
前記第2の所定幅は、前記パネル領域の前記塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである、請求項2に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項5】
前記投影データの移動平均データを算出する平均手段と、
前記移動平均データに基づいて、前記投影データを強度データに変換する変換手段とをさらに備え、
前記判定手段は、前記強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項6】
モフォロジ処理を利用することによって、前記投影データを強度データに変換する変換手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項7】
前記投影データの統計値を算出する統計値算出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記統計値が第2の所定範囲内に収まるか否かを判定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項8】
前記統計値は前記投影データの分散値であって、
前記判定手段は、前記分散値が所定値未満であるか否かを判定する、請求項7に記載の塗布ムラ検査装置。
【請求項9】
第1の端部から第2の端部へ向かって塗布材料が塗布された基板における塗布ムラを検査する塗布ムラ検査方法であって、
干渉現象を利用して得られた基板の画像を取得するステップと、
前記基板の画像から、前記基板の前記第1の端部から所定距離離れた所定領域に対応する検査画像を抽出するステップと、
前記検査画像を前記塗布材料の塗布方向へと投影することによって投影データを取得するステップと、
前記投影データが所定の条件を満たすか否かを判定するステップとを備える、塗布ムラ検査方法。
【請求項10】
前記基板は、表示パネルとして切り出される表示パネル領域を含み、
前記所定領域は、前記表示パネル領域と前記第1の端部との間に位置する、請求項9に記載の塗布ムラ検査方法。
【請求項11】
前記所定領域は、
前記塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、
前記塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有し、
前記第2の所定幅は、前記基板の前記塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである、請求項9または10に記載の塗布ムラ検査方法。
【請求項12】
前記所定領域は、
前記塗布材料の塗布方向に第1の所定幅を有し、
前記塗布方向に対して垂直な方向に第2の所定幅を有し、
前記第2の所定幅は、前記パネル領域の前記塗布方向に対して垂直な方向の長さと同じである、請求項10に記載の塗布ムラ検査方法。
【請求項13】
前記投影データの移動平均データを算出するステップと、
前記移動平均データに基づいて、前記投影データを強度データに変換するステップとをさらに備え、
前記判定するステップは、前記強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定するステップを含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の塗布ムラ検査方法。
【請求項14】
モフォロジ処理を利用することによって、前記投影データを強度データに変換するステップをさらに備え、
前記判定するステップは、前記強度データが第1の所定範囲内に収まるか否かを判定するステップを含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の塗布ムラ検査方法。
【請求項15】
前記投影データの統計値を算出するステップをさらに備え、
前記判定するステップは、前記統計値が第2の所定範囲内に収まるか否かを判定するステップを含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の塗布ムラ検査方法。
【請求項16】
前記統計値は前記投影データの分散値であって、
前記判定するステップは、前記分散値が所定値未満であるか否かを判定するステップを含む、請求項15に記載の塗布ムラ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−38544(P2010−38544A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197962(P2008−197962)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】