説明

塗布処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び塗布処理装置

【課題】スピン塗布法を用いて塗布液を基板に塗布する場合において、塗布液の塗布量を少量にしつつ、塗布液を基板面内に均一に塗布する。
【解決手段】塗布処理方法は、ウェハを加速回転させた状態で、そのウェハの中心部にノズルからレジスト液を吐出して、ウェハ上にレジスト液を塗布する塗布工程S3と、その後、ウェハの回転を減速し、ウェハ上のレジスト液を平坦化する平坦化工程S4と、その後、ウェハの回転を加速して、ウェハ上のレジスト液を乾燥させる乾燥工程S5と、を有する。塗布工程S3では、ウェハの回転の加速度を第1の加速度、前記第1の加速度よりも大きい第2の加速度、前記第2の加速度よりも小さい第3の加速度の順に変化させ、当該ウェハを常に加速回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の塗布処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板の塗布処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、例えばウェハ上にレジスト液を塗布しレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を所定のパターンに露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成されている。
【0003】
上述のレジスト塗布処理では、高速回転されたウェハの中心部にノズルからレジスト液を供給し、遠心力によりウェハ上でレジスト液を拡散することによってウェハの表面にレジスト液を塗布する、いわゆるスピン塗布法が多く用いられている。このスピン塗布法において、レジスト液を均一に塗布する方法として、例えば高速回転のウェハにレジスト液を供給し、その後ウェハの回転を一旦減速して、ウェハ上のレジスト液を平坦化し、その後ウェハの回転を再び上げて、ウェハ上のレジスト液を乾燥させる方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−115936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体デバイスの回路のさらなる微細化に伴い、レジスト塗布処理におけるレジスト膜の薄膜化が進められている。また、レジスト液は高価であり、使用量を可能な限り減らす必要がある。かかる観点から、ウェハに対するレジスト液の供給量を減らすことが考えられているが、この場合、従来のように高速回転のウェハの中心にレジスト液を供給すると、レジスト液がウェハの中心から外側方向に急激に広げられ、ウェハの中心付近にスジ状の塗布斑できることがある。このような塗布斑ができると、例えば露光処理における焦点がずれて最終的にウェハ上に所望の寸法のレジストパターンが形成されなくなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、スピン塗布法を用いてレジスト液などの塗布液をウェハなどの基板に塗布する場合において、塗布液の塗布量を少量にしても、塗布液を基板面内に均一に塗布することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板の塗布処理方法であって、基板を加速回転させた状態で、その基板の中心部にノズルから塗布液を吐出して、基板上に塗布液を塗布する第1の工程と、その後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させる第2の工程と、その後、基板の回転を加速して、基板上の塗布液を乾燥させる第3の工程と、を有し、前記第1の工程では、基板の回転の加速度を第1の加速度、前記第1の加速度よりも大きい第2の加速度、前記第2の加速度よりも小さい第3の加速度の順に変化させ、当該基板を常に加速回転させることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、第1の工程において基板を常に加速回転させているので、第1の工程の開始時に基板は相対的に低速回転された後、第1の工程の終了時に基板は相対的に高速回転される。このように塗布液が基板の中心部に吐出された直後には、基板の回転速度が低速であるので、基板上の塗布液に強い遠心力がかからない。しかも、このときの基板の回転の加速度が第2の加速度より小さい第1の加速度であるので、基板上の塗布液にかかる遠心力を抑えられる。このため、塗布液が外側方向に均等に拡げられる。その後、第1の加速度よりも大きい第2の加速度で基板を加速回転させているので、基板上の塗布液が滑らかに且つ迅速に拡げられる。その後、第2の加速度よりも小さい第3の加速度で基板を加速回転させているので、基板の外周部に到達した塗布液を滑らかに拡げつつ、塗布液が基板の外部に飛散する量を極めて少量に抑えることができる。しかも、第1の工程では基板を常に加速回転させているので、塗布液を迅速に拡散させることができ、塗布液を基板の表面全面に拡散させるための塗布量を少量に抑えることができる。したがって、本発明によれば、塗布液の塗布量を少量にした場合でも、塗布液を均一に塗布することができる。したがって、基板上により従来よりも薄い塗布膜を形成することができる。また、この塗布処理に要するコストも低廉化することができる。
【0009】
前記第3の加速度は前記第1の加速度よりも大きくてもよい。
【0010】
前記塗布処理方法は、前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を吐出し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を有し、前記第4の工程の後であって前記第1の工程の前に基板の回転を減速させ、前記第4の工程における基板の回転速度より低速の回転速度で、前記第1の工程を開始するようにしてもよい。
【0011】
前記塗布処理方法は、前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を供給し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を有し、前記第4の工程における基板の回転速度を維持した状態で、前記第1の工程を開始するようにしてもよい。
【0012】
前記第1の工程におけるノズルによる塗布液の吐出は、前記第2の工程の途中まで継続して行われるようにしてもよい。
【0013】
前記第2の工程において、当該第2の工程の途中まで前記塗布液の吐出を行って当該塗布液の吐出を停止した後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させてもよい。
【0014】
前記第2の工程におけるノズルによる塗布液の吐出を終了させる際には、ノズルの移動により塗布液の吐出位置が基板の中心部からずらされるようにしてもよい。
【0015】
前記ノズルの移動は、前記第1の工程の終了と同時に開始するようにしてもよい。なお、ここでいう「同時」には、第1の工程の終了時の前後の0.5秒以内のほぼ同時のものも含まれる。
【0016】
別な観点による本発明によれば、前記塗布処理方法を塗布処理装置によって実行させるために、当該塗布処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0017】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0018】
さらに別な観点による本発明は、基板の塗布処理装置であって、基板を保持して回転させる回転保持部と、基板に塗布液を吐出するノズルと、前記回転保持部により基板を加速回転させた状態で、その基板の中心部に前記ノズルから塗布液を吐出して、基板上に塗布液を塗布する第1の工程と、その後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させる第2の工程と、その後、基板の回転を加速して、基板上の塗布液を乾燥させる第3の工程とを実行し、前記第1の工程では、基板の回転の加速度を第1の加速度、前記第1の加速度よりも大きい第2の加速度、前記第2の加速度よりも小さい第3の加速度の順に変化させ、当該基板を常に加速回転させるように、前記回転保持部と前記ノズルの動作を制御する制御部と、を有することを特徴としている。
【0019】
前記第3の加速度は前記第1の加速度よりも大きくてもよい。
【0020】
前記塗布処理装置は、基板に塗布液の溶剤を吐出する他のノズルをさらに有し、前記制御部は、前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を吐出し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を実行し、前記第4の工程の後であって前記第1の工程の前に基板の回転を減速させ、前記第4の工程における基板の回転速度より低速の回転速度で、前記第1の工程を開始するように、前記回転保持部、前記ノズル及び前記他のノズルの動作を制御してもよい。
【0021】
前記塗布処理装置は、基板に塗布液の溶剤を吐出する他のノズルをさらに有し、前記制御部は、前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を供給し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を実行し、前記第4の工程における基板の回転速度を維持した状態で、前記第1の工程を開始するように、前記回転保持部、前記ノズル及び前記他のノズルの動作を制御してもよい。
【0022】
前記第1の工程における前記ノズルによる塗布液の吐出は、前記第2の工程の途中まで継続して行われるようにしてもよい。
【0023】
前記第2の工程において、当該第2の工程の途中まで前記塗布液の吐出を行って当該塗布液の吐出を停止した後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させてもよい。
【0024】
前記塗布処理装置は、前記ノズルを、基板の中心部の上方から基板の径方向に移動させるノズル移動機構をさらに有し、前記制御部は、前記第2の工程における前記ノズルによる塗布液の吐出を終了させる際には、前記ノズルを移動させて塗布液の吐出位置を基板の中心部からずらすように、前記回転保持部、前記ノズル及び前記ノズル移動機構の動作を制御してもよい。
【0025】
前記ノズルの移動は、前記第1の工程の終了と同時に開始するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、スピン塗布法を用いて塗布液を基板に塗布する場合において、塗布液の塗布量を少量にしても、塗布液を基板面内に均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかるレジスト塗布装置を搭載した、塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】本実施の形態にかかる塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】レジスト塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】レジスト塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図6】レジスト塗布処理の主な工程を示すフロー図である。
【図7】レジスト塗布処理の各工程おけるウェハの回転速度と、レジスト液の吐出タイミングを示すグラフである。
【図8】他の実施の形態にかかるレジスト塗布処理の各工程おけるウェハの回転速度と、レジスト液の吐出タイミングを示すグラフである。
【図9】他の実施の形態にかかるレジスト塗布処理の各工程おけるウェハの回転速度と、レジスト液の吐出タイミングを示すグラフである。
【図10】第1のノズルを移動させてレジスト液の吐出位置をウェハの中心部からずらした状態を示す説明図である。
【図11】他の実施の形態にかかるレジスト塗布処理の各工程おけるウェハの回転速度と、レジスト液の吐出タイミングを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる塗布処理装置が搭載された塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、塗布現像処理システム1の正面図であり、図3は、塗布現像処理システム1の背面図である。
【0029】
塗布現像処理システム1は、図1に示すように例えば外部から塗布現像処理システム1に対して複数枚のウェハWをカセット単位で搬入出するためのカセットステーション2と、フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光装置4との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0030】
カセットステーション2には、カセット載置台10が設けられ、当該カセット載置台10には、複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置できる。カセットステーション2には、搬送路11上をX方向に沿って移動可能なウェハ搬送装置12が設けられている。ウェハ搬送装置12は、カセットCに収容されたウェハWの配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、カセットC内の複数枚のウェハWに対して選択的にアクセスできる。またウェハ搬送装置12は、鉛直方向の軸周り(θ方向)に回転可能であり、後述する処理ステーション3の第3の処理装置群G3の各処理装置に対してアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0031】
処理ステーション3は、複数の処理装置が多段に配置された、例えば5つの処理装置群G1〜G5を備えている。処理ステーション3のX方向負方向(図1中の下方向)側には、カセットステーション2側からインターフェイスステーション5側に向けて第1の処理装置群G1と、第2の処理装置群G2が順に配置されている。処理ステーション3のX方向正方向(図1中の上方向)側には、カセットステーション2側からインターフェイスステーション5側に向けて第3の処理装置群G3、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5が順に配置されている。第3の処理装置群G3と第4の処理装置群G4の間には、第1の搬送装置20が設けられている。第1の搬送装置20は、第1の処理装置群G1、第3の処理装置群G3及び第4の処理装置群G4内の各装置に対し選択的にアクセスしてウェハWを搬送できる。第4の処理装置群G4と第5の処理装置群G5の間には、第2の搬送装置21が設けられている。第2の搬送装置21は、第2の処理装置群G2、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5内の各装置に対して選択的にアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0032】
図2に示すように第1の処理装置群G1には、ウェハWに所定の液体を供給して処理を行う液処理装置、例えば本実施の形態にかかる塗布処理装置としてのレジスト塗布装置30、31、32と、露光処理時の光の反射を防止する反射防止膜を形成するボトムコーティング装置33、34が下から順に5段に重ねられている。第2の処理装置群G2には、液処理装置、例えばウェハWに現像液を供給して現像処理する現像処理装置40〜44が下から順に5段に重ねられている。また、第1の処理装置群G1及び第2の処理装置群G2の最下段には、各処理装置群G1、G2内の前記液処理装置に各種処理液を供給するためのケミカル室50、51がそれぞれ設けられている。
【0033】
例えば図3に示すように第3の処理装置群G3には、ウェハWを温度調節板上に載置してウェハWの温度調節を行う温度調節装置60、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジション装置61、温度調節装置62〜64及びウェハWを加熱処理する加熱処理装置65〜68が下から順に9段に重ねられている。
【0034】
第4の処理装置群G4には、例えば温度調節装置70、レジスト塗布処理後にウェハWを加熱処理するプリベーク装置71〜74及び現像処理後にウェハWを加熱処理するポストベーク装置75〜79が下から順に10段に重ねられている。
【0035】
第5の処理装置群G5には、ウェハWを熱処理する複数の熱処理装置、例えば温度調節装置80〜83、露光後にウェハWを加熱処理する露光後ベーク装置84〜89が下から順に10段に重ねられている。
【0036】
図1に示すように第1の搬送装置20のX方向正方向側には、複数の処理装置が配置されており、例えば図3に示すようにウェハWを疎水化処理するためのアドヒージョン装置90、91が下から順に2段に重ねられている。図1に示すように第2の搬送装置21のX方向正方向側には、例えばウェハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光装置92が配置されている。
【0037】
インターフェイスステーション5には、例えば図1に示すようにX方向に延伸する搬送路100上を移動するウェハ搬送装置101と、バッファカセット102が設けられている。ウェハ搬送装置101は、Z方向に移動可能でかつθ方向にも回転可能であり、インターフェイスステーション5に隣接した露光装置4と、バッファカセット102及び第5の処理装置群G5の各装置に対してアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0038】
なお、本実施の形態における露光装置4は、例えば液浸露光処理を行うものであり、ウェハWの表面に液体、例えば純水の液膜を滞留させた状態で、当該純水の液膜を介在してウェハWの表面のレジスト膜を露光できる。
【0039】
次に、上述したレジスト塗布装置30〜32の構成について説明する。図4は、レジスト塗布装置30の構成の概略を示す縦断面の説明図であり、図5は、レジスト塗布装置30の構成の概略を示す横断面の説明図である。
【0040】
レジスト塗布装置30は、例えば図4に示すようにケーシング120を有し、そのケーシング120内の中央部には、ウェハWを保持して回転させる回転保持部としてのスピンチャック130が設けられている。スピンチャック130は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック130上に吸着保持できる。
【0041】
スピンチャック130は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構131を有し、そのチャック駆動機構131により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動機構131には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック130は上下動可能である。なお、スピンチャック130の回転速度は、後述する制御部160により制御されている。
【0042】
スピンチャック130の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ132が設けられている。カップ132の下面には、回収した液体を排出する排出管133と、カップ132内の雰囲気を排気する排気管134が接続されている。
【0043】
図5に示すようにカップ132のX方向負方向(図5の下方向)側には、Y方向(図5の左右方向)に沿って延伸するレール140が形成されている。レール140は、例えばカップ132のY方向負方向(図5の左方向)側の外方からY方向正方向(図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール140には、例えば二本のアーム141、142が取り付けられている。
【0044】
第1のアーム141には、図4及び図5に示すように塗布液としてのレジスト液を吐出する第1のノズル143が支持されている。第1のアーム141は、図5に示すノズル駆動部144により、レール140上を移動自在である。これにより、第1のノズル143は、カップ132のY方向正方向側の外方に設置された待機部145からカップ132内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム141は、ノズル駆動部144によって昇降自在であり、第1のノズル143の高さを調整できる。なお、本実施の形態においては、上記第1のアーム141とノズル駆動部144により「ノズル移動機構」が構成されている。
【0045】
第1のノズル143には、図4に示すようにレジスト液供給源146に連通する供給管147が接続されている。本実施の形態におけるレジスト液供給源146には、例えば薄いレジスト膜例えば150nm以下のレジスト膜を形成するための低粘度のレジスト液が貯留されている。また、供給管147には、バルブ148が設けられており、このバルブ148の開閉により、レジスト液の吐出をON・OFFできる。
【0046】
第2のアーム142には、レジスト液の溶剤、例えばシンナーを吐出する第2のノズル150が支持されている。第2のアーム142は、例えば図5に示すノズル駆動部151によってレール140上を移動自在であり、第2のノズル150を、カップ132のY方向負方向側の外方に設けられた待機部152からカップ132内のウェハWの中心部上方まで移動させることができる。また、ノズル駆動部151によって、第2のアーム142は昇降自在であり、第2のノズル150の高さを調節できる。
【0047】
第2のノズル150には、図4に示すように溶剤供給源153に連通する供給管154が接続されている。なお、以上の構成では、レジスト液を吐出する第1のノズル143と溶剤を吐出する第2のノズル150が別々のアームに支持されていたが、同じアームに支持され、そのアームの移動の制御により、第1のノズル143と第2のノズル150の移動と吐出タイミングを制御してもよい。
【0048】
上述のスピンチャック130の回転動作、ノズル駆動部144による第1のノズル143の移動動作、バルブ148による第1のノズル143のレジスト液の吐出のON・OFF動作、ノズル駆動部151による第2のノズル150の移動動作などの駆動系の動作は、制御部160により制御されている。制御部160は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、レジスト塗布装置30におけるレジスト塗布処理を実現できる。なお、レジスト塗布装置30におけるレジスト塗布処理を実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なCDなどの記憶媒体Hに記憶されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部160にインストールされたものが用いられている。
【0049】
なお、レジスト塗布装置31、32の構成は、上述のレジスト塗布装置30と同じであるので、説明を省略する。
【0050】
次に、以上のように構成されたレジスト塗布装置30で行われる塗布処理プロセスを、塗布現像処理システム1全体で行われるウェハ処理のプロセスと共に説明する。
【0051】
先ず図1に示すウェハ搬送装置12によって、カセット載置台10上のカセットC内から未処理のウェハWが一枚ずつ取り出され、処理ステーション3に順次搬送される。ウェハWは、処理ステーション3の第3の処理装置群G3に属する温度調節装置60に搬送され、所定温度に温度調節される。その後ウェハWは、第1の搬送装置20によって例えばボトムコーティング装置34に搬送されて、反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、第1の搬送装置20によって例えば加熱処理装置65、温度調節装置70に順次搬送され、各処理装置において所定の処理が施される。その後ウェハWは、第1の搬送装置20によって例えばレジスト塗布装置30に搬送される。
【0052】
図6は、レジスト塗布装置30における塗布処理プロセスの主な工程を示すフローチャートである。図7は、この塗布処理プロセスの各工程におけるウェハWの回転速度と、レジスト液の吐出タイミングを示すグラフである。なお、図7におけるプロセスの時間の長さは、技術の理解の容易さを優先させるため、必ずしも実際の時間の長さに対応していない。
【0053】
先ず、レジスト塗布装置30に搬入後、ウェハWは、図4に示すようにスピンチャック130に吸着保持される。続いて第2のアーム142により待機部152の第2のノズル150がウェハWの中心部の上方まで移動する。次に、例えばウェハWが停止している状態で、第2のノズル150から所定量の溶剤が吐出され、ウェハWの中心部に溶剤が供給される(図6及び図7の溶剤吐出工程S1)。その後、図7に示すようにスピンチャック130によりウェハWが例えば2000rpm程度の第1の速度V1で回転され、ウェハW上の溶剤がウェハWの表面の全面に拡散されて、ウェハWの表面に溶剤が塗布される(図6及び図7の溶剤拡散工程S2)。例えばこのとき、第1のアーム141により待機部145の第1のノズル143がウェハWの中心部の上方まで移動する。なお、本実施の形態においては、溶剤吐出工程S1と溶剤拡散工程S2により、本発明における第4の工程が構成されている。
【0054】
ウェハWの表面に溶剤が塗布されると、ウェハWの回転が第1の速度V1より低速の例えば300rpm程度の第2の速度V2に減速される。
【0055】
その後、バルブ148が開放されて、図7に示すように第1のノズル143からレジスト液の吐出が開始され、ウェハWの中心部にレジスト液が供給され始める。こうして、レジスト液の塗布工程S3(本発明における第1の工程)が開始される。
【0056】
塗布工程S3では、先ず、ウェハWの回転が第2の速度V2から例えば500rpm程度の第3の速度V3に加速される(図7の工程S3−1)。この工程S3−1では、ウェハの回転の加速度は、例えば500rpm/s以下、より好ましくは100rpm/sの第1の加速度である。このようにレジスト液がウェハWの中心部に吐出された直後には、ウェハWの回転速度が低速であるので、ウェハW上のレジスト液に強い遠心力がかからない。しかも、このときのウェハWの回転の第1の加速度も小さいので、ウェハW上のレジスト液にかかる遠心力を抑えられる。このため、レジスト液が外側方向に均等に拡げられる。
【0057】
続いて、ウェハWの回転が第3の速度V3から例えば3800rpm程度の第4の速度V4に加速される(図7の工程S3−2)。この工程S3−2では、ウェハの回転の加速度は、第1の加速度よりも大きい例えば5000rpm/s〜30000rpm/s、より好ましくは10000rpm/sの第2の加速度である。このように第1の加速度よりも大きい第2の加速度でウェハWを加速回転させているので、ウェハW上のレジスト液が滑らかに且つ迅速に拡げられる。
【0058】
続いて、ウェハWの回転が第4の速度V4から例えば4000rpm程度の第5の速度V5に加速される(図7の工程S3−3)。この工程S3−3では、ウェハの回転の加速度は、第2の加速度よりも小さい例えば500rpm/s以下、より好ましくは100rpm/sの第3の加速度である。このように第2の加速度よりも小さい第3の加速度で基板を加速回転させているので、基板の外周部に到達した塗布液を滑らかに拡げつつ、塗布液が基板の外部に飛散する量を極めて少量に抑えることができる。
【0059】
以上のように塗布工程S3では、ウェハWの回転の加速度が第1の加速度、第2の加速度、第3の加速度の順に変化し、ウェハWは常に加速回転する。そして、塗布工程S3では、ウェハWの中心部にレジスト液が供給され続ける。そうすると、供給されたレジスト液は遠心力によりウェハWの表面の全面に拡散されて、ウェハWの表面にレジスト液が塗布される。
【0060】
レジスト液の塗布工程S3が終了すると、図7に示すようにウェハWの回転が例えば200rpm程度の第6の速度V6に減速され、ウェハW上のレジスト液が均されて平坦化される(図6及び図7の平坦化工程S4(本発明における第2の工程))。
【0061】
平坦化工程S4が終了すると、図7に示すようにウェハWの回転が例えば1500rpm程度の第7の速度V7に加速され、ウェハW上のレジスト液が乾燥される(図6及び図7の乾燥工程S5(本発明における第3の工程))。こうして、ウェハW上に薄いレジスト膜が形成される。
【0062】
ウェハWの乾燥終了後、ウェハWの回転が停止されて、スピンチャック130上からウェハWが搬出されて、一連のレジスト塗布処理が終了する。
【0063】
レジスト塗布処理後、ウェハWは、第1の搬送装置20によって例えばプリベーク装置71に搬送され、プリベークされる。続いてウェハWは、第2の搬送装置21によって周辺露光装置92、温度調節装置83に順次搬送されて、各装置において所定の処理が施される。その後、ウェハWは、インターフェイスステーション5のウェハ搬送装置101によって露光装置4に搬送され、液浸露光される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置101によって例えば露光後ベーク装置84に搬送され、露光後ベークされ、その後第2の搬送装置21によって温度調節装置81に搬送されて温度調節される。その後、ウェハWは、現像処理装置40に搬送され、ウェハW上のレジスト膜が現像される。現像後、ウェハWは、第2の搬送装置21によってポストベーキング装置75に搬送されポストベークされる。その後ウェハWは、温度調節装置63に搬送され温度調節される。そしてウェハWは、第1の搬送装置20によってトランジション装置61に搬送され、ウェハ搬送装置12によってカセットCに戻されて、一連のウェハ処理が終了する。
【0064】
以上の実施の形態によれば、塗布工程S3において、ウェハWを常に加速回転させているので、レジスト液を迅速に拡散させることができ、レジスト液をウェハWの表面全面に拡散させるための塗布量を少量に抑えることができる。また、工程S3−1において、レジスト液がウェハWの中心部に吐出された直後には、ウェハWの回転速度が低速であるので、ウェハW上のレジスト液に強い遠心力がかからない。しかも、このときのウェハWの回転の加速度が第2の加速度より小さい第1の加速度であるので、ウェハW上のレジスト液にかかる遠心力を抑えられる。このため、従来のようにウェハ上に塗布斑が出現することなく、レジスト液が外側方向に均等に拡げられる。その後工程S3−2において、第1の加速度よりも大きい第2の加速度でウェハWを加速回転させているので、ウェハW上のレジスト液が滑らかに且つ迅速に拡げられる。その後工程S3−3において、第2の加速度よりも小さい第3の加速度でウェハWを加速回転させているので、ウェハWの外周部に到達したレジスト液を滑らかに拡げつつ、レジスト液がウェハWの外部に飛散する量を極めて少量に抑えることができる。したがって、本実施の形態によれば、レジスト液の塗布量を少量にした場合でも、レジスト液を均一に塗布することができる。これにより、ウェハW上により従来よりも薄い塗布膜を形成することができる。また、この塗布処理に要するコストも低廉化することができる。
【0065】
以上の実施の形態では、工程S3−1におけるウェハWの回転の第1の加速度と、工程S3−3におけるウェハWの回転の第3の加速度とは同一であったが、第3の加速度は第1の加速度よりも大きくてもよい。かかる場合、例えば第1の加速度が100rpm/sであって、第3の加速度が200rpm/sである場合が例示できる。このように第1の加速度が小さいので、工程S3−1においてウェハW上のレジスト液にかかる遠心力をより小さくすることができ、レジスト液を外側方向により確実に均等に拡げられる。また、第3の加速度が第1の加速度よりも大きいので、工程S3−3においてウェハWの外周部に到達したレジスト液を滑らかに且つ迅速に拡げることができる。したがって、本実施の形態によれば、従来のウェハ上の塗布斑を確実に無くし、ウェハW上にレジスト液を均一に塗布することができる。
【0066】
以上の実施の形態では、溶剤拡散工程S2において、ウェハWを第1の速度V1で回転させてウェハWの表面に溶剤を塗布した後、ウェハWの回転を第2の速度V2に減速していたが、図8に示すようにウェハWの回転を減速せずに塗布工程S3を開始してもよい。かかる場合、ウェハWの回転を例えば2000rpm程度の第1の速度V1に維持した状態で、塗布工程S3が開始される。
【0067】
塗布工程S3では、先ず、ウェハWの回転が第1の速度V1から例えば2200rpm程度の第8の速度V8に加速される(図8の工程S3−1)。この工程S3−1では、ウェハの回転の加速度は、前記実施の形態と同様に例えば500rpm/s以下、より好ましくは100rpm/sの第1の加速度である。続いて、ウェハWの回転が第8の速度V8から例えば3800rpm程度の第4の速度V4に加速される(図8の工程S3−2)。この工程S3−2では、ウェハの回転の加速度は、第1の加速度よりも大きい例えば5000rpm/s〜30000rpm/s、より好ましくは10000rpm/sの第2の加速度である。続いて、ウェハWの回転が第4の速度V4から例えば4000rpm程度の第5の速度V5に加速される(図8の工程S3−3)。この工程S3−3では、ウェハの回転の加速度は、第2の加速度よりも小さい例えば500rpm/s以下、より好ましくは200rpm/sの第3の加速度である。
【0068】
以上のように塗布工程S3では、ウェハWの回転の加速度が第1の加速度、第2の加速度、第3の加速度の順に変化し、ウェハWは常に加速回転する。そして、塗布工程S3では、ウェハWの中心部にレジスト液が供給され続ける。そうすると、供給されたレジスト液は遠心力によりウェハWの表面の全面に拡散されて、ウェハWの表面にレジスト液が塗布される。
【0069】
その後、ウェハWにレジスト液の平坦化工程S4及びレジスト液の乾燥工程S5が行われる。なお、本実施の形態における平坦化工程S4及び乾燥工程S5は、例えば前記実施の形態の平坦化工程S4及び乾燥工程S5と同様のレシピでそれぞれ行われるので説明を省略する。
【0070】
本実施の形態によれば、溶剤拡散工程S2でウェハWの表面に溶剤を塗布した後、ウェハWの回転を減速せずに塗布工程S3を開始しているので、塗布工程S3におけるウェハWの回転が、前記実施の形態に比して比較的高速に維持される。このため、ウェハ上の塗布液に比較的強い遠心力が作用し、ウェハ面内におけるレジスト液の膜厚均一性をより向上させることができる。
【0071】
ここで、ウェハW上のレジスト液の塗布斑を無くすこと、すなわちレジスト液の被覆性と、ウェハ面内におけるレジスト液の膜厚均一性とは、トレードオフの関係にある。したがって、レジスト液の被覆性を重視する場合には、図7に示した前記実施の形態の方法でレジスト液を塗布するのが好ましい。一方、レジスト液の被覆性が十分に確保されているが、ウェハ面内におけるレジスト液の膜厚均一性を確保したい場合には、図8に示した本実施の形態でレジスト液を塗布するのが好ましい。
【0072】
また、本実施の形態においても、塗布工程S3においてウェハWの回転の加速度を第1の加速度、第2の加速度、第3の加速度の順に変化させ、ウェハWを常に加速回転させているので、レジスト液は円滑且つ迅速にウェハWの表面に拡散されて塗布される。
【0073】
以上の実施の形態において、塗布工程S3における第1のノズル143によるレジスト液の吐出は、図9に示すように平坦化工程S4の途中まで継続して行われるようにしてもよい。かかる場合、平坦化工程S4において、ウェハWの回転が低速なので、ウェハW上のレジスト液の乾燥を抑えつつ、平坦化工程S4で吐出されたレジスト液によって、ウェハW上のレジスト液の流動性を向上させることができる。したがって、ウェハW上のレジスト液の膜厚をより均一にすることができる。
【0074】
また、この場合、塗布工程S3における第1のノズル143によるレジスト液の吐出を終了させる際に、第1のノズル143を移動させてレジスト液の吐出位置をウェハWの中心部からずらすようにしてもよい。
【0075】
例えば、塗布工程S3の終了と同時に、第1のノズル143が、図10に示すようにレジスト液Rを引き続き吐出した状態で、ウェハWの中心部Aの上方からウェハWの径方向に所定距離、例えば3mm以上、より好ましくは5〜30mm程度移動する。これにより、ウェハWの表面におけるレジスト液の吐出位置PがウェハWの中心部Aからずらされる。なお、このときのウェハWの回転速度は、低速の200rpm程度の第6の速度V6に変更されている。第1のノズル143は、ウェハWの中心部A上方から所定距離ずれたところで停止し、このときバルブ148が閉鎖されてレジスト液の吐出が停止される。その後、引き続きウェハWが第6の速度V6で回転され、ウェハW上のレジスト液が均されて平坦化される。つまりレジスト液の吐出は、レジスト液の塗布工程S3からレジスト液の平坦化工程S4の途中まで行われ、その平坦化工程S4においてレジスト液の吐出が終了する際に、第1のノズル143が移動してレジスト液の吐出位置PがウェハWの中心部Aからずらされる。
【0076】
本実施の形態によれば、例えば第1のノズル143の液切れ時のレジスト液が平坦化工程S4の低速度で回転しているウェハWに落下するので、そのレジスト液の急激な乾燥が防止される。加えてそのレジスト液がウェハWの中心部Aよりずれた位置Pに落下するので、ウェハWの中心部よりも強い遠心力によりウェハ面内に適正に拡げられる。この結果、第1のノズル143の吐出終了時の不安定な量や形のレジスト液が吐出された場合であっても、ウェハWの中心部A付近に塗布斑ができることなく、少量のレジスト液を使用した場合であっても、最終的にウェハWの表面の全面において均一なレジスト膜を形成できる。
【0077】
以上の実施の形態では、第1のノズル143の移動開始時が塗布工程S3の終了と同時であったが、その移動開始タイミングは、塗布工程S3の終了前であってもよい。こうすることにより、より早い段階で第1のノズル143の移動を終了させることができ、その分平坦化工程S4時のより早い段階でレジスト液の吐出を終了させることができる。この結果、プロセス全体のレジスト液の使用量を減らすことができるので、コストを低減できる。なお、第1のノズル143の移動は、ウェハ全面へのレジスト液の拡散を考慮すると、塗布工程S3の50%以上が終了した後に開始するとなおよい。
【0078】
以上の実施の形態の平坦化工程S4において、図11に示すように当該平坦化工程S4の途中まで第1のノズル143によるレジスト液の吐出を行って当該レジスト液の吐出を停止した後、ウェハWの回転を減速し、引き続きウェハWを回転させてもよい。かかる場合、平坦化工程S4において、第6の速度V6でウェハWを回転させながらレジスト液を吐出する(図11の工程S4−1)。続いて、レジスト液の吐出を停止した直後に、ウェハWの回転が例えば10rpm〜50rpm、より好ましくは10rpmの第9の速度V9に減速され、引き続きウェハWが第9の速度で回転される(図11の工程S4−2)。なお、その他の溶剤吐出工程S1、溶剤拡散工程S2、塗布工程S3、乾燥工程S5は、前記実施の液体の工程S1、S2、S3、S5と同様のレシピでそれぞれ行われるので説明を省略する。
【0079】
ここで、例えばレジスト液として表面張力が高いレジスト液、例えばシクロヘキサノン等の溶媒を含むレジスト液を用いた場合、レジスト液の吐出終了時に、第1のノズル143から球状のレジスト液の液滴が落下する、いわゆる液切れの問題が生じる。かかる場合、上記レジスト液の液滴によって、ウェハW上に塗布されたレジスト液が波立ち、当該レジスト液の表面が乱れる。そうすると、ウェハW上に塗布斑が生じ、ウェハ面内でレジスト液を均一に塗布することができない。
【0080】
この点、本実施の形態によれば、工程S4−1においてレジスト液の吐出を停止した直後に、工程S4−2においてウェハWの回転を第9の速度V9まで減速させているので、当該工程S4−2においてウェハW上のレジスト液の拡散を抑制することができる。そうすると、上述したようにレジスト液の吐出終了時に第1のノズル143からレジスト液の液滴が落下した場合でも、ウェハW上のレジスト液の表面の乱れを軽減し、ウェハW上の塗布斑を抑制することができる。したがって、ウェハ面内におけるレジスト液の膜厚均一性をより向上させることができる。
【0081】
以上の実施の形態では、乾燥工程S5が予め設定された一定時間行われていたが、少なくとも乾燥工程S5時に、センサによりウェハW上のレジスト液の膜厚を継続的に検出し、膜厚の変動がなくなった時点で乾燥を終了するようにしてもよい。レジスト液が乾燥すると、膜厚変動が収束し一定になることが確認されているので、この方法によれば、乾燥の終点を正確に把握できる。また、かかる場合、例えばレジスト液の種類やウェハWの乾燥時の回転速度に応じて、個別に乾燥時間を管理することができるので、従前のように乾燥時間を長めに設定する必要がなく、より早くウェハ処理を次の工程に移行できる。この結果、ウェハ処理のスループットを向上できる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば以上の実施の形態では、レジスト液の塗布処理を例に採って説明したが、本発明は、レジスト液以外の他の塗布液、例えば反射防止膜、SOG(Spin On Glass)膜、SOD(Spin On Dielectric)膜などを形成する塗布液の塗布処理にも適用できる。また、以上の実施の形態では、ウェハWに塗布処理を行う例であったが、本発明は、ウェハ以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板の塗布処理にも適用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 塗布現像処理システム
30〜32 レジスト塗布装置
130 スピンチャック
141 第1のアーム
143 第1のノズル
144 ノズル駆動部
150 第2のノズル
160 制御部
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の塗布処理方法であって、
基板を加速回転させた状態で、その基板の中心部にノズルから塗布液を吐出して、基板上に塗布液を塗布する第1の工程と、
その後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させる第2の工程と、
その後、基板の回転を加速して、基板上の塗布液を乾燥させる第3の工程と、を有し、
前記第1の工程では、基板の回転の加速度を第1の加速度、前記第1の加速度よりも大きい第2の加速度、前記第2の加速度よりも小さい第3の加速度の順に変化させ、当該基板を常に加速回転させることを特徴とする、塗布処理方法。
【請求項2】
前記第3の加速度は前記第1の加速度よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の塗布処理方法。
【請求項3】
前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を吐出し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を有し、
前記第4の工程の後であって前記第1の工程の前に基板の回転を減速させ、
前記第4の工程における基板の回転速度より低速の回転速度で、前記第1の工程を開始することを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗布処理方法。
【請求項4】
前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を供給し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を有し、
前記第4の工程における基板の回転速度を維持した状態で、前記第1の工程を開始することを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗布処理方法。
【請求項5】
前記第1の工程におけるノズルによる塗布液の吐出は、前記第2の工程の途中まで継続して行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の塗布処理方法。
【請求項6】
前記第2の工程において、当該第2の工程の途中まで前記塗布液の吐出を行って当該塗布液の吐出を停止した後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させることを特徴とする、請求項5に記載の塗布処理方法。
【請求項7】
前記第2の工程におけるノズルによる塗布液の吐出を終了させる際には、ノズルの移動により塗布液の吐出位置が基板の中心部からずらされることを特徴とする、請求項5又は6に記載の塗布処理方法。
【請求項8】
前記ノズルの移動は、前記第1の工程の終了と同時に開始することを特徴とする、請求項7に記載の塗布処理方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずかに記載の塗布処理方法を塗布処理装置によって実行させるために、当該塗布処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
基板の塗布処理装置であって、
基板を保持して回転させる回転保持部と、
基板に塗布液を吐出するノズルと、
前記回転保持部により基板を加速回転させた状態で、その基板の中心部に前記ノズルから塗布液を吐出して、基板上に塗布液を塗布する第1の工程と、その後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させる第2の工程と、その後、基板の回転を加速して、基板上の塗布液を乾燥させる第3の工程とを実行し、前記第1の工程では、基板の回転の加速度を第1の加速度、前記第1の加速度よりも大きい第2の加速度、前記第2の加速度よりも小さい第3の加速度の順に変化させ、当該基板を常に加速回転させるように、前記回転保持部と前記ノズルの動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする、塗布処理装置。
【請求項12】
前記第3の加速度は前記第1の加速度よりも大きいことを特徴とする、請求項11に記載の塗布処理装置。
【請求項13】
基板に塗布液の溶剤を吐出する他のノズルをさらに有し、
前記制御部は、前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を吐出し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を実行し、前記第4の工程の後であって前記第1の工程の前に基板の回転を減速させ、前記第4の工程における基板の回転速度より低速の回転速度で、前記第1の工程を開始するように、前記回転保持部、前記ノズル及び前記他のノズルの動作を制御することを特徴とする、請求項11又は12に記載の塗布処理装置。
【請求項14】
基板に塗布液の溶剤を吐出する他のノズルをさらに有し、
前記制御部は、前記第1の工程の前に、基板に塗布液の溶剤を供給し、基板を回転させながら基板上に溶剤を塗布する第4の工程を実行し、前記第4の工程における基板の回転速度を維持した状態で、前記第1の工程を開始するように、前記回転保持部、前記ノズル及び前記他のノズルの動作を制御することを特徴とする、請求項11又は12に記載の塗布処理装置。
【請求項15】
前記第1の工程における前記ノズルによる塗布液の吐出は、前記第2の工程の途中まで継続して行われることを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項16】
前記第2の工程において、当該第2の工程の途中まで前記塗布液の吐出を行って当該塗布液の吐出を停止した後、基板の回転を減速し、引き続き基板を回転させることを特徴とする、請求項15に記載の塗布処理装置。
【請求項17】
前記ノズルを、基板の中心部の上方から基板の径方向に移動させるノズル移動機構をさらに有し、
前記制御部は、前記第2の工程における前記ノズルによる塗布液の吐出を終了させる際には、前記ノズルを移動させて塗布液の吐出位置を基板の中心部からずらすように、前記回転保持部、前記ノズル及び前記ノズル移動機構の動作を制御することを特徴とする、請求項15又は16に記載の塗布処理装置。
【請求項18】
前記ノズルの移動は、前記第1の工程の終了と同時に開始することを特徴とする、請求項17に記載の塗布処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−230113(P2011−230113A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25967(P2011−25967)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】