説明

塗布方法および塗布装置

【課題】塗布液例えばレジスト液の供給量が少ない場合でも、基板の表面に均一に塗布膜を形成することができる技術を提供する。
【解決手段】塗布方法は、基板(W)の中心にプリウエット液を供給するとともに基板を回転させてプリウエット液を第1の基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、プリウエット液が供給された基板に塗布液(例えばレジスト液)を供給し、これを乾燥させることにより前記第1の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程とを備える。プリウエット液として、塗布膜成分(例えばレジスト成分)を溶解しうる溶剤と、この溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体とを混合することにより得た塗布液よりも表面張力が高い混合液体を用いる。溶剤と高表面張力液体とを別個に用意し、プリウエット液を供給する際に溶剤と高表面張力液体とを混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的にはレジスト等の塗布液の塗布技術に関するものであり、特に、塗布液に先行して基板に供給されるプリウエット液の表面張力を調整することにより塗布液の被覆性を改善する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィープロセスにおいては、半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という。)上にレジスト液を塗布しレジスト膜を形成するレジスト塗布工程、レジスト膜を所定のパターンに露光する露光工程、露光されたレジスト膜を現像する現像工程などが順次行われ、ウエハ上に所定のレジストパターンが形成されている。
【0003】
レジスト塗布工程では、回転中のウエハ表面の中心部にノズルからレジスト液を供給し、そのレジスト液を遠心力により半径方向外側に拡散させることによってウエハの表面全体をレジスト液で覆うようにする、いわゆるスピン塗布法が多く用いられている。
【0004】
近時の半導体デバイスの回路のさらなる微細化に伴い、レジスト塗布処理におけるレジスト膜の薄膜化が進められている。また、レジスト液は高価であり、使用量を可能な限り減らす必要がある。また、少量のレジスト液でウエハ表面全体を覆う場合には、レジスト液膜厚の面内均一性の向上がより重要となってくる。
【0005】
少ないレジスト液の吐出量で均一なレジスト塗布を達成するための手段として、プリウエット技術が知られている。プリウエットは、少量のレジスト液でウエハ表面全体を均一に覆うことを容易にするため、レジスト液をウエハに供給する前に、ウエハ上に「プリウエットシンナー」と呼ばれるレジストを溶解しうる溶剤を供給するものである。プリウエットを行うことにより、少量のレジスト液を用いた場合でも、レジスト液がウエハ上で均一に拡散しやすくなる。
【0006】
しかし、プリウエットを行った場合でも、ウエハ表面全体にレジスト液が均一に塗布できなくなる場合がある。例えば、ウエハ半径方向に拡散してゆくレジスト液がウエハの周辺部において分岐して、半径方向に延びる多数の細長いスジが現れ、隣接するスジ間にはレジストが塗布されないという現象が生じる。この現象は「フィンガリング」と呼ばれる。
【0007】
少ないレジスト液の吐出量で均一なレジスト塗布を達成するための他の手段として、ウエハの回転制御技術がある。このレジスト液供給および拡散時にウエハの回転速度および回転加速度を適宜時間制御することにより、無駄にレジスト液が基板外に飛散しないようにし、かつ、高い遠心力を受けるウエハ外周部における膜厚の減少傾向を緩和する技術である。
【0008】
しかし、回転制御技術だけでは、大幅な省レジストを達成するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−279476号
【特許文献2】特開2009−078250号
【特許文献3】特開2003−086489号
【特許文献4】特開2003−059825号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、レジスト液等の塗布液の供給量が少ない場合でも、塗布液により基板の表面を確実に被覆することができ、基板の表面に均一に塗布膜を形成することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の基板の中心にプリウエット液を供給するとともに前記第1の基板を回転させて前記プリウエット液を基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、前記プリウエット液が供給された前記第1の基板に塗布液を供給し、これを乾燥させることにより第1の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、を備え、前記塗布膜形成工程は、前記第1の基板を回転させた状態で、前記第1の基板の中心部に塗布液を供給する第1段階と、その後、前記第1の基板の回転速度を減少させ、引き続き前記第1の基板を回転させる第2段階と、その後、前記第1の基板の回転速度を増加させ、前記第1の基板上の塗布液を乾燥させる第3段階と、を有し、前記第1段階において、前記塗布液を前記第1の基板上に供給する直前においては、第1の一定の回転速度で前記第1の基板を回転させて、前記塗布液の供給を開始した後に前記基板の回転速度が連続的に次第に増加するようにし、前記塗布液の吐出の終了前に、前記第1の基板の回転の加速度を次第に減少させて、基板の回転を前記第1の速度より速い第2の速度に収束させるようにし、前記プリウエット工程において、塗布膜成分を溶解しうる溶剤と、前記溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体とを混合することにより得た前記塗布液よりも表面張力が高い混合液体を前記プリウエット液として用いる塗布方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、第1の基板の中心にプリウエット液を供給するとともに前記第1の基板を回転させて前記プリウエット液を前記第1の基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、前記プリウエット液が供給された前記第1の基板に塗布液を供給し、これを乾燥させることにより前記第1の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、を備え、塗布膜成分を溶解しうる溶剤と、前記溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体とを混合することにより得た前記塗布液よりも表面張力が高い混合液体を前記プリウエット液として用いるとともに、前記溶剤と前記高表面張力液体とを別個に用意し、前記プリウエット液を供給する際に前記溶剤と前記高表面張力液体とを混合する塗布方法を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、基板を保持して回転させるスピンチャックと、前記スピンチャックにより保持された基板の表面に塗布液を供給する少なくとも1つの塗布液ノズルと、前記スピンチャックにより保持された基板の表面にプリウエット液を供給する少なくとも1つのプリウエットノズルと、前記塗布液ノズルに塗布液を供給する塗布液供給機構と、前記プリウエットノズルにプリウエット液を供給するプリウエット液供給機構と、を備え、前記プリウエット液供給機構は、塗布膜成分を溶解しうる溶剤の供給源と前記溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体の供給源に接続され、前記溶剤と前記高表面張力液体とを混合して前記プリウエットノズルに供給するプリウエット液供給制御部を有しており、前記プリウエット液供給制御部は前記前記溶剤と前記高表面張力液体との混合比を可変に調整することができるように構成されている塗布装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高表面張力液体を、塗布膜成分を溶解しうる溶剤に添加することによってプリウエット液の表面張力を調整することにより、基板表面に均一に塗布液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】レジスト塗布装置の構成を示す概略縦断面図である。
【図5】レジスト塗布装置の構成を示す概略横断面図である。
【図6】レジスト塗布処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図7】レジスト塗布処理の各工程おけるウエハの回転速度をプリウエット液およびレジスト液の供給タイミングと一緒に示すグラフである。
【図8】プリウエット液の表面張力調整の効果の原理を説明する模式図である。
【図9】実験1の結果を示すグラフである。
【図10】実験1の結果を示す写真の写しである。
【図11】実験2の結果を示す表である。
【図12】実験3の結果を示すグラフである。
【図13】プリウエット液供給機構の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
まず、基板にレジストを塗布するための塗布装置が組み込まれた塗布現像処理システムの全体構成について図1〜図3を参照して説明する。
【0018】
塗布現像処理システム1は、図1に示すように例えば外部から塗布現像処理システム1に対して複数枚のウエハWをカセット単位で搬入出するためのカセットステーション2と、フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光装置4との間でウエハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0019】
カセットステーション2には、カセット載置台10が設けられ、当該カセット載置台10には、複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置できる。カセットステーション2には、搬送路11上をX方向に沿って移動可能なウエハ搬送装置12が設けられている。ウエハ搬送装置12は、カセットCに収容されたウエハWの配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、カセットC内の複数枚のウエハWに対して選択的にアクセスできる。またウエハ搬送装置12は、鉛直方向の軸周り(θ方向)に回転可能であり、後述する処理ステーション3の第3の処理装置群G3の各処理装置に対してアクセスしてウエハWを搬送できる。
【0020】
処理ステーション3は、複数の処理装置が多段に配置された、例えば5つの処理装置群G1〜G5を備えている。処理ステーション3のX方向負方向(図1中の下方向)側には、カセットステーション2側からインターフェイスステーション5側に向けて第1の処理装置群G1と、第2の処理装置群G2が順に配置されている。処理ステーション3のX方向正方向(図1中の上方向)側には、カセットステーション2側からインターフェイスステーション5側に向けて第3の処理装置群G3、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5が順に配置されている。第3の処理装置群G3と第4の処理装置群G4の間には、第1の搬送装置20が設けられている。第1の搬送装置20は、第1の処理装置群G1、第3の処理装置群G3及び第4の処理装置群G4内の各装置に対し選択的にアクセスしてウエハWを搬送できる。第4の処理装置群G4と第5の処理装置群G5の間には、第2の搬送装置21が設けられている。第2の搬送装置21は、第2の処理装置群G2、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5内の各装置に対して選択的にアクセスしてウエハWを搬送できる。
【0021】
図2に示すように第1の処理装置群G1には、ウエハWに所定の液体を供給して処理を行う液処理装置、例えば塗布装置としてのレジスト塗布装置30、31、32と、露光処理時の光の反射を防止する反射防止膜を形成するボトムコーティング装置33、34が下から順に5段に重ねられている。第2の処理装置群G2には、液処理装置、例えばウエハWに現像液を供給して現像処理する現像処理装置40〜44が下から順に5段に重ねられている。また、第1の処理装置群G1及び第2の処理装置群G2の最下段には、各処理装置群G1、G2内の前記液処理装置に各種処理液を供給するためのケミカル室50、51がそれぞれ設けられている。
【0022】
例えば図3に示すように第3の処理装置群G3には、ウエハWを温調板上に載置してウエハWの温度調節を行う温調装置60、ウエハWの受け渡しを行うためのトランジション装置61、温調装置62〜64及びウエハWを加熱処理する加熱処理装置65〜68が下から順に9段に重ねられている。
【0023】
第4の処理装置群G4には、例えば温調装置70、レジスト塗布処理後にウエハWを加熱処理するプリベーク装置71〜74及び現像処理後にウエハWを加熱処理するポストベーク装置75〜79が下から順に10段に重ねられている。
【0024】
第5の処理装置群G5には、ウエハWを熱処理する複数の熱処理装置、例えば温調装置80〜83、露光後にウエハWを加熱処理する露光後ベーク装置84〜89が下から順に10段に重ねられている。
【0025】
図1に示すように第1の搬送装置20のX方向正方向側には、複数の処理装置が配置されており、例えば図3に示すようにウエハWを疎水化処理するためのアドヒージョン装置90、91が下から順に2段に重ねられている。図1に示すように第2の搬送装置21のX方向正方向側には、例えばウエハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光装置92が配置されている。
【0026】
インターフェイスステーション5には、例えば図1に示すようにX方向に延伸する搬送路100上を移動するウエハ搬送装置101と、バッファカセット102が設けられている。ウエハ搬送装置101は、Z方向に移動可能でかつθ方向にも回転可能であり、インターフェイスステーション5に隣接した露光装置4と、バッファカセット102及び第5の処理装置群G5の各装置に対してアクセスしてウエハWを搬送できる。
【0027】
なお、本実施形態における露光装置4は、液浸露光装置であり、ウエハWの表面に液体、例えば純水の液膜を滞留させた状態で、当該純水の液膜を介在してウエハWの表面のレジスト膜を露光することができる。但し、露光装置4は他の方式の露光を行うものであってもよい。また、レジスト塗布現像システムの構成は、図示例に限定されるものではなく、本明細書において説明するレジストの塗布および現像のための各種処理を実行することが可能な任意の他の構成を採用することができる。
【0028】
次に、レジスト塗布装置30〜32の構成について図4〜図5を参照して説明する。レジスト塗布装置30〜32の構成は互いに実質的に同一であるため、代表してレジスト塗布装置30の構成について説明することとする。
【0029】
レジスト塗布装置30は、例えば図4に示すようにケーシング120を有し、そのケーシング120内の中央部には、ウエハWを保持して回転させる回転保持部としてのスピンチャック130が設けられている。スピンチャック130は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウエハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウエハWをスピンチャック130上に吸着保持できる。
【0030】
スピンチャック130は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構131を有し、そのチャック駆動機構131により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動機構131には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック130は上下動可能である。なお、スピンチャック130の回転速度は、後述する制御部160により制御されている。
【0031】
スピンチャック130の周囲には、ウエハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ132が設けられている。カップ132の下面には、回収した液体を排出する排出管133と、カップ132内の雰囲気を排気する排気管134が接続されている。
【0032】
図5に示すように、カップ132のX方向負方向(図5の下方向)側には、Y方向(図5の左右方向)に沿って延伸するレール140が形成されている。レール140は、例えばカップ132のY方向負方向(図5の左方向)側の外方からY方向正方向(図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール140には、2本のアーム141、142が取り付けられている。
【0033】
第1のアーム141には、第1のレジスト液を吐出する第1のレジストノズル143Aおよび第2のレジスト液を吐出する第2のレジストノズル143Bが支持されている。第1のアーム141は、図5に示すノズル駆動部144により、レール140上を移動自在である。これにより、レジストノズル143A、143Bは、カップ132のY方向正方向側の外方に設置された各々の待機部145A、145Bからカップ132内のウエハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウエハWの表面上をウエハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム141は、ノズル駆動部144によって昇降自在であり、レジストノズル143A、143Bの高さを調整できる。第1のアーム141とノズル駆動部144によりレジストノズル移動機構が構成されている。
【0034】
図4に示すように、第1のレジストノズル143Aには、第1のレジスト液供給源146Aに連通する第1の供給管147Aが接続されている。また、第2のレジストノズル143Bには、第2のレジスト液供給源146Bに連通する第2の供給管147Bが接続されている。第1のレジスト液供給源146Aには、第1のレジスト液として例えば表面張力が28.8[mN/m]のArF液浸露光用レジストAが貯留されている。例えば、第1のレジスト液は、薄いレジスト膜例えば150nm以下のレジスト膜を形成するための低粘度(例えば2cp以下)に調整されている。
【0035】
第2のレジスト液供給源146Bには第1のレジスト液と表面張力が異なる第2のレジスト液が貯留されている。なお、第2のレジスト液は、第1のレジスト液とレジスト成分が同じで、溶剤含有量の相違により第1のレジスト液と表面張力が異なるものであってもよい。あるいは、第2のレジスト液は、第1のレジスト液とレジスト成分が異なるものであってもよい。
【0036】
第1および第2の供給管147A、147Bにはそれぞれ、バルブ148A、148Bが設けられており、これらのバルブ148A、148Bの開閉により、第1および第2のレジストノズル143A、143Bからのレジスト液の吐出および吐出停止を行うことができる。
【0037】
レジスト成分が同一で粘度のみが異なる二種類以上のレジストを塗布する場合には、レジストノズルは唯一つだけ設けてもよい。この場合、レジスト液の貯留部と溶剤の貯留部に接続された溶剤含有率調整機構(例えば混合率可変のミキサー等)を介して前記1つのレジストノズルに供給することができる。なお、本明細書における「レジスト液の表面張力」はレジスト液全体の表面張力を意味するものであり、レジスト液中に含まれる溶剤の含有率が変化すれば当然にそのレジスト液の表面張力は変化する。
【0038】
第2のアーム142には、第1のプリウエットノズル150Aおよび第2のプリウエットノズル150Bが支持されている。第2のアーム142は、図5に示すノズル駆動部151によってレール140上を移動自在であり、プリウエットノズル150A、150Bを、カップ132のY方向負方向側の外方に設けられた各々の待機部152A、152Bからカップ132内のウエハWの中心部上方まで移動させることができる。また、ノズル駆動部151によって、第2のアーム142は昇降自在であり、プリウエットノズル150A、150Bの高さを調節できる。第2のアーム142とノズル駆動部151によりレジストノズル移動機構が構成されている。
【0039】
第1および第2のプリウエットノズル150A、150Bには、プリウエット液供給機構によりプリウエット液が供給される。プリウエット液供給機構は、高表面張力液体(HSTL)の供給源154Aと、レジストを溶解しうる溶剤(以下「レジスト溶解性溶剤」とも呼ぶ)(SOLVENT)の供給源(溶剤供給源)154Bを有している。なお、「レジスト溶解性溶剤」は、レジスト液中にレジスト成分の溶媒として含まれている溶剤に限らず、レジスト成分を溶解しうる一般的な溶剤の中から選択することができる。高表面張力液体は、レジスト溶解性溶剤よりも高い表面張力を有しており、この意味において本明細書において「高」表面張力液体と称される。レジスト溶解性溶剤としては、例えばOK73(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶液(混合比は7:3);表面張力は27.7mN/m;東京応用化学工業株式会社製)、CHN(シクロシクロヘキサノン、表面張力は33.5mN/m)が例示される。OK73よりも高い表面張力を有する流体としては、DIW(純水)、GBL(γ−ブチルラクトン)が例示される。高表面張力液体供給源154Aは、第1のライン155Aを介して第1のプリウエットノズル150Aに接続されている。溶剤供給源154Bは、第2のライン155Bを介して第2のプリウエットノズル150Bに接続されている。
【0040】
プリウエット液供給機構は、さらに、第1および第2のプリウエットノズル150A、150Bからのプリウエット液の供給状態を制御する供給制御部156を有している。供給制御部156は、第1のライン155Aと第2のライン155Bとを接続する接続ライン157と、接続ライン157への接続点より下流側において第2のライン155Bに介設されたバルブ158と、接続ライン157への接続点より上流側において第1のライン155Aに介設されたバルブ159と、接続ライン157に介設されたバルブ160とを有している。また、接続ライン157は、第1のライン155Aとの接続点を超えて延びてドレンライン157Aをなし、ドレンライン157Aは図示しないドレン部に通じている。ドレンライン157Aには、バルブ161が介設されている。バルブ158,159,160,161は、好ましくは自動エアーオペレーションバルブであり、後述する制御部160により制御される。バルブ158,159,160は、開閉機能に加えて流量調整機能を有するバルブ、好ましくは自動エアーオペレーションバルブである。バルブ160,161は開閉機能だけを持つ遮断弁であってもよい。なお、図4に示すプリウエット液供給機構において、Fはフィルタ、FMはフローメータである。
【0041】
図4に示す構成より明らかなように、プリウエット液供給機構においては、第1のプリウエットノズル150Aからレジスト溶解性溶剤と高表面張力液体との混合液体からなるプリウエット液が供給される状態と、第2のプリウエットノズル150Bからレジスト溶解性溶剤のみからなるプリウエット液が供給される状態を選択的に実現することができる。すなわち、バルブ160、161、162を閉じ、バルブ158を開くことにより、第2のプリウエットノズル152Bからレジスト溶解性溶剤をプリウエット液としてウエハWに供給することができる。また、バルブ158、161を閉じ、バルブ162を開き、バルブ159、160をそれぞれ適当な開度で開くことにより、レジスト溶解性溶剤と高表面張力液体との調整された所望の混合比を有する混合液体をプリウエット液としてウエハWに供給することができる。なお、ドレンライン157Aのバルブ161は、混合液体の混合比を変更したい場合などに、供給制御部156の部分に滞留した混合液体をドレンに排出するために用いることができる。
【0042】
なお、プリウエット液供給に用いられる部材の名称に付けられた「第1の」、「第2の」は、特許請求の範囲の記載と一致していないこともある点に注意されたい。
【0043】
なお、各ノズルと各アームの関係は図示されたものに限定されるものではない。例えば、第1のレジストノズル143Aと第2のレジストノズル143Bとが別個のアームにより支持されていてもよい。また、第1のプリウエットノズル150Aと第2のプリウエットノズル150Bが別々のアームに支持されていてもよい。また、全てのノズルを共通アームにより支持することも可能である。
【0044】
上述のスピンチャック130の回転動作、ノズル駆動部144によるレジストノズル143A、143Bの移動動作、バルブ148A、148Bによるレジストノズル143A,143Bのレジスト液の吐出動作、ノズル駆動部151による第1および第2のプリウエットノズル150A、150Bの移動動作、バルブ158〜162による第1および第2のプリウエットノズル150A、150Bのプリウエット液の吐出動作は、制御部160により制御されている。制御部160は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、レジスト塗布装置30におけるレジスト塗布プロセスを実現できる。なお、レジスト塗布装置30におけるレジスト塗布プロセスを実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なCDなどの記憶媒体Hに記憶されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部160にインストールされたものが用いられている。
【0045】
次に、以上のように構成されたレジスト塗布装置30で行われる塗布プロセスを、塗布現像処理システム1全体で行われるウエハ処理プロセスと共に説明する。
【0046】
まず図1に示すウエハ搬送装置12によって、カセット載置台10上のカセットC内から未処理のウエハWが一枚ずつ取り出され、処理ステーション3に順次搬送される。ウエハWは、処理ステーション3の第3の処理装置群G3に属する温調装置60に搬送され、所定温度に温度調節される。その後ウエハWは、第1の搬送装置20によって例えばボトムコーティング装置34に搬送されて、反射防止膜が形成される。その後ウエハWは、第1の搬送装置20によって例えば加熱処理装置65、温調装置70に順次搬送され、各処理装置において所定の処理が施される。その後ウエハWは、第1の搬送装置20によって複数のレジスト塗布装置30〜32の一つ、例えばレジスト塗布装置30に搬送される。
【0047】
レジスト塗布装置における塗布処理の一連の工程について、レジスト塗布装置30における塗布処理の主な工程を示すフローチャートである図6、各工程におけるウエハWの回転速度を示すグラフである図7を参照して説明する。
【0048】
まず、レジスト塗布装置30に搬入後、ウエハWは、図4に示すようにスピンチャック130に吸着保持される。
【0049】
ここで、これから塗布しようとするレジスト液が前述したArF液浸露光用レジストAであるものとする。このレジスト液の表面張力は28.8[mN/m]である。そして、溶剤供給源154Bに貯留されているレジスト溶解性溶剤は前述したOK73であるものとする。OK73の表面張力は27.7[mN/m]であり、レジスト液の表面張力よりも小さい。この状況は、後に詳述する原理によれば、フィンガリングが生じやすい状況である。この場合、OK73に高表面張力液体を混合し、OK73よりも表面張力の高い混合液体を作成し、これをプリウエット液としてウエハに供給する。
【0050】
すなわち、第2のアーム142により待機部152Aにあった第1のプリウエットノズル150AがウエハWの中心部の上方まで移動する。そして、バルブ158,161が閉じた状態で、バルブ162が開かれ、バルブ159、160が所定の開度で開かれる。バルブ159、160の開度は、その結果として得られる混合液体の表面張力がレジスト液の表面張力である28.8[mN/m]を上回る適当な値例えば30.4[mN/m]となるように調整される。なお、後述する各実験例に示したような実験結果に基づいて予めプロセスレシピにおいてレジスト溶解性溶剤および高表面張力液体との混合比を定めておき、当該プロセスレシピに基づいて制御部160がプリウエット液供給制御部156を自動制御するように塗布装置30〜32を構成することができる。
【0051】
ウエハWが停止している状態で、第1のプリウエットノズル150Aから上記の混合液体からなるプリウエット液が所定量、ウエハの中心部に供給される(図6のプリウエット液吐出工程S1)。その後、図7に示すようにスピンチャック130によりウエハWが例えば500rpm程度の第1の速度V1で回転され、ウエハW上のプリウエット液がウエハWの表面の全面に拡散されて、ウエハWの表面全体がプリウエット液により濡れた状態になる(図6のプリウエット液拡散工程S2)。プリウエット液拡散工程S2の間、第1のプリウエットノズル150AはウエハW上から退避し、第1のアーム141により待機部145Aにあった第1のレジストノズル143AがウエハWの中心部の上方まで移動する。
【0052】
その後、バルブ148Aが開放されて、図7に示すように第1のレジストノズル143Aからレジスト液の吐出が開始され、ウエハWの中心部にレジスト液が供給され始める。こうして、レジスト液塗布工程S3(レジスト膜形成工程の第1段階)が開始される。このレジスト液塗布工程S3では、ウエハWの回転速度が第1の速度V1から、高速の例えば2000〜4000rpm程度の第2の速度V2まで上げられる。レジスト液塗布工程S3の開始前に第1の速度V1であったウエハWの回転は、その後速度が連続的に滑らかに変動するように徐々に加速される。このとき、ウエハWの回転の加速度は、例えば零から次第に増加する。そして、レジスト液塗布工程S3の終了時には、ウエハWの回転の加速度が次第に減少され、ウエハWの回転速度が第2の速度V2に滑らかに収束する。こうして、レジスト液塗布工程S3時においては、ウエハWの回転速度が第1の速度V1から第2の速度V2に、図7のグラフ上でS字状に推移するように変動する。レジスト液塗布工程S3では、ウエハWの中心部に供給されたレジスト液が遠心力によりウエハWの表面の全面に拡散されて、ウエハWの表面にレジスト液が塗布される。
【0053】
なお、レジスト液塗布工程S3における第1のレジストノズル143Aによるレジスト液の吐出を平坦化工程S4の途中まで継続してもよい。またこのとき、レジスト液の吐出を終了させる際に、第1のレジストノズル143Aを移動させてレジスト液の吐出位置をウエハWの中心部からずらしてもよい。
【0054】
レジスト液塗布工程S3が所定時間継続されそれが終了すると、図7に示すようにウエハWの回転が低速の例えば300rpm程度の第3の速度V3に減速され、ウエハW上のレジスト液が均されて平坦化される(図6の平坦化工程S4(レジスト膜形成工程の第2段階))。
【0055】
平坦化工程S4が所定時間継続されそれが終了すると、図7に示すようにウエハWの回転が中速の例えば1500rpm程度の第4の速度V4に加速され、ウエハW上のレジスト液が乾燥される(図6の乾燥工程S5(レジスト膜形成工程の第3段階))。こうして、ウエハW上に薄いレジスト膜(フォトレジスト膜)が形成される。
【0056】
ウエハWの乾燥終了後、ウエハWの回転が停止されて、スピンチャック130上からウエハWが搬出されて、一連のレジスト塗布処理が終了する。
【0057】
レジスト塗布処理後、ウエハWは、第1の搬送装置20によって例えばプリベーク装置71に搬送され、プリベークされる。続いてウエハWは、第2の搬送装置21によって周辺露光装置92、温調装置83に順次搬送されて、各装置において所定の処理が施される。その後、ウエハWは、インターフェイスステーション5のウエハ搬送装置101によって露光装置4に搬送され、液浸露光される。その後ウエハWは、ウエハ搬送装置101によって例えば露光後ベーク装置84に搬送され、露光後ベークされ、その後第2の搬送装置21によって温調装置81に搬送されて温度調節される。その後、ウエハWは、現像処理装置40に搬送され、ウエハW上のレジスト膜が現像される。現像後、ウエハWは、第2の搬送装置21によってポストベーキング装置75に搬送されポストベークされる。その後ウエハWは、第1の搬送装置20によって温調装置63に搬送され温度調節される。そしてウエハWは、第1の搬送装置20によってトランジション装置61に搬送され、ウエハ搬送装置12によってカセットCに戻されて、一連のウエハ処理が終了する。
【0058】
なお、塗布現像処理システムのプロセススケジュール次第では、あるウエハWに対して第1のレジストノズル143Aを用いて第1のレジスト液(上記実施形態では表面張力が28.8[mN/m]のArF液浸露光用レジストA)の塗布が行われた後、他のウエハWに対して第2のレジストノズル143Bを用いて第1のレジスト液と異なる第2のレジスト液の塗布を行うことが考えられる。塗布プロセスの全体の流れは第1のレジスト液と第2のレジスト液とで同じにすることができる。このとき、第2のレジスト液の表面張力が第1のレジスト液の表面張力よりも低いのであれば、第2のレジスト液の表面張力とOK73との表面張力差に応じて、第1のプリウエットノズル150Aから高表面張力液体の含有率が低い混合液体からなるプリウエット液を供給してもよく、あるいは第2のプリウエットノズル150Bから高表面張力液体を混合していないOK73のみからなるプリウエット液を供給してもよい。また、第2のレジスト液の表面張力が第1のレジスト液の表面張力よりも高いのであれば、第2のレジスト液の表面張力とOK73との表面張力差に応じて、第1のプリウエットノズル150Aから高表面張力液体の含有率が高い混合液体からなるプリウエット液を供給することができる。
【0059】
上記実施形態によれば、レジスト液塗布工程S3において、開始前に第1の速度V1であったウエハWの回転を、開始後にその速度が連続的に変動するように次第に加速させ、終了時には、ウエハWの回転の加速度を次第に減少させて、ウエハWの回転を第2の速度V2に収束させるようにしたので、少量のレジスト液を塗布した場合であっても、塗布斑を抑制できる。したがって、レジスト液の使用量を減らすことができ、より薄い膜を形成できる。また、コストの削減を図ることができる。なお、このようにウエハ回転速度を変動させることにより削減できるレジストの使用量は10%程度であることが、実験により確認されている。
【0060】
従来のようにレジスト吐出時にウエハWの回転速度を一気に上昇させ、ウエハWを初めから高速回転させた場合、レジスト液RがウエハWの中心部に供給された直後に、当該レジスト液Rに強い遠心力がかかる。このため、レジスト液Rが外側方向に不規則に広げられ、レジスト液Rが少量の場合に特にフィンガリングが生じやすくなる。一方、本実施の形態のように、ウエハWの回転速度をS字状に制御した場合、レジスト液がウエハWの中心部に供給された直後には、ウエハWの回転速度が低速のままあまり変動しないので、強い遠心力がかからず、レジスト液Rが外側方向に均等に広げられる。また、その後ウエハWの回転速度が連続的に変動するので、ウエハW上のレジスト液Rが滑らかに広げられ、レジスト液が少量であってもフィンガリングが発生しないものと考えられる。
【0061】
なお、このようなレジスト塗布時のウエハ回転速度の変動による省レジスト技術については、本件特許出願と発明者が一部共通し、かつ譲受人(出願人)が共通する特許出願、特願2008−131495号に係る公開特許公報、特開2009−279476号に詳細に記載されているため、本願明細書においてはこれ以上の説明は行わない。
【0062】
また、上記実施形態によれば、レジスト液の表面張力よりも高い表面張力のプリウエット液を用いることにより、レジスト液の供給量が同一であってかつウエハ回転速度(特に第2の速度V2)が同一の条件下において、フィンガリング発生の可能性を大幅に低減することができる。その結果、少量のレジスト液により、薄くかつ均一なレジスト膜を形成することができる。上記のウエハ回転速度を変動させる技術と、このプリウエット液の表面張力を調整する技術を組み合わせることにより、更にレジスト液の使用量を削減することが可能となる。なお、このプリウエット液の表面張力を調整する技術により削減できるレジスト液の使用量は、条件にもよるが約60〜70%と非常に大きい。
【0063】
なお、上述のプリウエット液の表面張力を調整する技術に基づくレジスト液の使用量の削減効果は非常に大きいため、上述のプリウエット液の表面張力を調整する技術と上述のウエハの回転速度を変動させる技術とを併用することは好ましいのであるが、場合によっては併用しないことも考えられる。
【0064】
発明者は、プリウエット液の表面張力調整により上記の有利な効果が生じる理由を以下のように考えている。
【0065】
図8(a)は、レジスト液PRの表面張力がプリウエット液PWの表面張力よりも大きい場合について、図中白抜き矢印で示すように遠心力により半径方向外側に拡散するレジスト液PRとプリウエット液PWとの界面Iの状況を模式的に示している。(なお、レジスト液PRとプリウエット液PWとの境界部では両者の相互溶解があるため、明瞭な界面は存在しないが、説明の便宜上「界面I」と称している。)この場合、表面張力差により、レジスト液PRは界面Iの手前で盛り上がる。そして、半径方向外方向の遠心力を受けているレジスト液PRの盛り上がり部は、図中実線矢印で示すように、ウエハ周方向の至るところで局所的にプリウエット液PWとの界面Iを乗り越えて、プリウエット液PWの液膜の表面上に進む。これによりフィンガリングが発生するものと考えられる。
【0066】
図8(a)のような事象が生じる具体的事例として、レジスト液として表面張力が28.8[mN/m]のArF液浸露光用レジストA、プリウエット液として表面張力が27.4[mN/m]のOK73との組合せがある。この場合、塗布レシピの最適化(具体的には、レジスト液塗布タイミング、ウエハ回転速度等の調整)を行っても、フィンガリングを発生させないためにはレジスト液は最低でも約0.60mlは供給しなければならない。
【0067】
これに対して、プリウエット液PWの表面張力がレジスト液PRの表面張力よりも大きい場合には、図8(b)に示すように界面Iの近傍においてプリウエット液PWが盛り上がる。この場合、プリウエット液PWの盛り上がり部は、半径方向外方向の遠心力を受けているため、レジスト液PRとの界面Iを乗り越えるまでには至らず、そのまま半径方向外側に移動してゆく。このため、フィンガリングが発生しないものと考えられる。このときレジストはウエハ中心部から周縁部に至るまで同心円状に均一に拡散する。
【0068】
図8(b)のような事象が生じる具体的事例として、レジスト液として表面張力が28.8[mN/m]のArF液浸露光用レジストA、プリウエット液として表面張力が33.5[mN/m]のCHNとの組合せがある。この場合、塗布レシピの最適化を行えば、レジスト液を少なくとも0.25〜0.35ml程度供給すればフィンガリングは発生しない。もちろん、図8(b)のような事象が生じる具体的事例には、上記実施形態のようにして表面張力が調整されたプリウエット液を用いた場合が含まれる。
【0069】
レジスト液の表面張力とプリウエット液の表面張力とがほぼ等しい場合には、レジスト液側にもプリウエット液側にも上述したような顕著な盛り上がりは生じない。しかし、レジスト液の表面張力がプリウエット液の表面張力よりも小さい場合と比較すれば、フィンガリングが発生しやすい状況ではある。このような状況となる具体的事例としては、ArFドライ(液浸露光用ではない通常露光用の)レジスト液とOK73プリウエット液との組合せがある。この場合、塗布レシピの最適化を行えば、レジスト液を少なくとも0.35〜0.40ml程度供給すればフィンガリングは発生しない。
【0070】
なお、レジスト液の表面張力とプリウエット液の表面張力との関係に関わらず、十分に多いレジスト液を供給すれば、フィンガリングは発生しない。仮に図8(a)のような事象が生じたとしても、レジスト液の量が十分に多ければ、レジスト液は均等にプリウエット液との界面を乗り越えるからと推定される。
【0071】
上記のことから確実に言えることは、プリウエット液の表面張力がレジスト液の表面張力よりも大きいことがフィンガリング防止のために好ましいということである。プリウエット液の表面張力をどの程度レジスト液の表面張力より大きくするかについては、レジスト液の目標吐出量、塗布レシピ、レジスト液の組成、プリウエット液、高表面張力液体の組成等の種々の条件を勘案して決定すべきである。
【実施例】
【0072】
次に具体的実験例に基づき、発明の有利な効果について説明する。
【0073】
[実験例1]
実験には12インチウエハWを用いた。レジスト液として前述したArF液浸露光用レジストA(表面張力:28.8[mN/m])を、レジスト溶解性溶剤として前述したOK73(表面張力:27.7[mN/m])を、そして高表面張力液体としてDIW(表面張力:約72[mN/m])を用いた。プリウエット液およびレジスト液の供給は、図7を参照して説明した実施の形態と同じ手順で行った。なお、レジスト塗布工程S3における第2の速度V2は2000rpmとした。プリウエット液として、DIW含有率(DIW量/(OK73量+DIW量)(体積比))が、0%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、100%となるように調整したものを用意した。プリウエット液の供給量は2.5mlとした。各DIW含有率毎に、レジスト液の吐出量を0.3mlから段階的に増大させてゆき、ウエハを被覆できるレジスト液の吐出量の最小値を調べた。
【0074】
図9のグラフはその結果を示している。グラフ横軸はDIWの含有率、グラフ左縦軸はウエハWを被覆できるレジスト液吐出量の最小値(グラフ中、縦棒で示す)、グラフ右縦軸はDIWの含有率に対応するプリウエット液の表面張力(グラフ中、白抜き四角で示す)である。図9のグラフより明らかなように、DIWの含有率が15〜25%において、最も良好な塗布性が確認でき、このときレジスト液吐出量は0.40mlまで削減できた。なお、DIW含有率が10%以上の場合、プリウエット液の表面張力はレジスト液の表面張力を上回っている。また、DIW含有率の増大に対する表面張力の増大は概ねリニアであることが確認できた。このことは、所望の表面張力のプリウエット液を得るために必要なDIW含有量を計算で求めやすいことを意味する。
【0075】
図10は、レジスト液の吐出量を0.40mlで一定とし、DIW含有率を0%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、100%を変化させていったときのレジストの塗布状況を示す、写真の写しである。DIW含有率が0%のときはフィンガリングが顕著であり、DIW含有率が10%のときにもウエハ最外周部にフィンガリングが少し認められた。DIW含有率が15%、20%、25%のときにはフィンガリングは全く認められなかった。DIW含有率が30%になるとウエハ最外周部にフィンガリングがわずかに認められるようになり、50%になるとフィンガリングが明瞭に認められるようになった。DIW含有率が100%になると酷いフィンガリングが認められた。
【0076】
なお、DIW含有率が高くなり過ぎるとフィンガリングが発生することについては以下のように考えられる。高表面張力液体であるDIWの含有率が高くなりすぎてプリウエット液の表面張力が高くなりすぎると、プリウエット液とレジスト液との界面での挙動が不安定になるのではないかと考えられる。具体的には、例えば、図8(b)においてプリウエット液PWの盛り上がりが大きくなりすぎて、盛り上がりが崩れてレジスト液PR側に移動し、レジスト液の均一性が損なわれることが考えられる。また、DIWのようにレジスト液と十分な相溶性が無い高表面張力流体を用いた場合、高表面張力液体の含有率が高くなりすぎると、相溶性に基づき本来期待されているプリウエット効果が失われるものと考えられる。従って、レジスト液の種類、レジスト液塗布条件、レジスト溶解性溶剤および高表面張力液体の種類に依存して、レジスト溶解性溶剤と高表面張力液体との混合比の適正な範囲が変化するものと考えられる。
【0077】
[実験例2]
プリウエット液の表面張力調整の有無によるレジスト液の被覆性の差異を確認する試験を行った。プリウエット液としてOK73にDIWを混合してDIW含有率(DIW量/(OK73量+DIW量)(体積比))が0%(比較例)、20%(実施例)となるように調整したものを用意した。レジスト液塗布工程S3において、第2の速度V2は、2000rpm、3000rpm、4000rpmとした。他の条件は、実験例1と同じである。レジスト液の吐出量を0.3mlから段階的に増大させてゆき、各第2の速度V2に対してフィンガリングの発生を防止できるレジスト液の吐出量の最小値を調べた。
【0078】
その結果を図11の表に示す。表中「○」はフィンガリングの発生が無くウエハ全表面にレジストが均一に塗布されたことを意味しており、「×」はフィンガリングが発生したことを意味している。実施例では、第2の速度V2に関わらず、レジスト液の吐出量が少なくとも0.4mlあればフィンガリングの発生が無く、ウエハ表面に均一な塗布を行うことができた。これに対して比較例では、フィンガリングの発生の防止のためにはレジスト液の吐出量が少なくとも1.05ml必要であり、しかも、第2の速度V2が高くなる程、必要なレジスト液の吐出量が増大した。
【0079】
[実験例3]
レジスト溶解性溶剤と高表面張力液体との他の組合せについても検討した。
レジスト溶解性溶剤としてOK73およびCHN(表面張力:33.5mN/m)の二種類を用い、高表面張力液体としてGBL(表面張力:約45mN/m)を用いた。なお、CHNもレジストの溶剤として比較的よく用いられる物質であり、それ自体プリウエット液として使用することができる物質である。
【0080】
上記2種類のレジストの溶剤に対して、GBL含有率(GBL量/(溶剤量+GBL量)、体積比)が0%、20%、40%、60%、100%となるように混合し、GBL含有率の変化に対する混合液体の表面張力の変化を調べた。その結果を図12のグラフに示す。上記2種類のレジスト溶解性溶剤のいずれにおいても、GBL含有率の増大に対する表面張力の増大は比較的リニアであり、線形近似を十分な信頼性(R二乗値がいずれも0.9以上)で行えることが確認できた。このことは、所望の表面張力のプリウエット液を得るために必要なGBL含有量を計算で求めやすいことを意味する。
【0081】
なお、図12のグラフより明らかなように、CHNの表面張力(33.5mN/m)はArF液浸露光用レジストAの表面張力(28.8[mN/m])より高いため、レジスト液がArF液浸露光用レジストAの場合、CHNは単体で使用可能である。しかしながら、ArF液浸露光用レジストAよりも表面張力の高いレジスト液を使用する場合には、CHNへのGBLの混合は有効であるものと考えられる。
【0082】
[実施形態の効果]
上記のプリウエット液の表面張力調整技術によれば、以下の有利な効果が得られる。
(1)プリウエット液の表面張力をレジスト液の表面張力より高く調整することにより、フィンガリングの発生を効果的に抑制することができ、少ない量のレジスト液でも均一なレジスト膜を作成することができる。
(2)1種類のレジスト溶解性溶剤と1種類の高表面張力液体とを別個に用意し、プリウエット液を供給する際にレジスト溶解性溶剤と高表面張力液体とを適当な混合比で混合することにより、様々なレジスト液に対応するプリウエット液を容易にその場で作成することができる。これにより、予め様々な表面張力を有するプリウエット液を準備しておく必要がなくなり、ひいては塗布装置に多数の処理液貯留部を設ける必要がなくなる。
(3)上記(2)に示した利点は、一つの塗布装置が多種類(例えば3種以上)のレジスト液を塗布するように構成されている場合により顕著となる。なお、前述した実施形態において、第1のレジスト液および第2のレジスト液をそれぞれ吐出する第1および第2のレジストノズルに加えて、更に他の1または複数のレジストノズル例えば第3のレジスト液を吐出する第3のレジストノズルを設けても良いことはもちろんである。
(4)高表面張力にDIWを使用すれば、廉価に表面張力調整を行うことができる。また、DIWは塗布現像システムの様々なユニットで使用されるため、高表面張力液体の供給専用のDIW供給源を設ける必要はない。
(5)装置のユーザーの負担を軽減することができる。例えばプリウエット液としてOK73を原則として使用しているユーザーにとって、それを例えばCHN等の他のプリウエット液に変更するとなると、液の切り換えのための工数、液の切り換えに伴い必要となる品質確認試験の工数が必要となる。これに対して、高表面張力液体添加により表面張力を調整することにすれば、基礎となるプリウエット液を変更する必要が無い点、および上記品質確認試験が容易に行えるという点において、ユーザーの負担はかなり小さくなる。
(6)上記実施形態の塗布装置のように、高表面張力液体を含まないレジスト溶解性溶剤をプリウエット液として吐出するノズルと、レジスト溶解性溶剤と高表面張力液体との混合液体を吐出するためのノズルを別々にすることにより、高表面張力液体を含まない純度の高いレジストの溶剤をウエハに供給することができる。
【0083】
以上、実施形態および実施例(実験例)に基づいて本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されるものではない。
【0084】
例えばプリウエット液供給機構は、図13に示すようなものであってもよい。すなわち、唯一つのプリウエットノズル150’に、レジスト溶解性溶剤の供給源154Bと高表面張力液体の供給源154Aとを混合機構(プリウエット液供給制御部)156’を介して接続して、プリウエットノズル150’に、レジスト溶解性溶剤のみからなるプリウエット液またはレジスト溶解性溶剤と高表面張力液体との混合液体(混合比可変)からなるプリウエット液を供給できるようにしてもよい。なお、図12において、符号FCVは流量調整弁、SVは遮断弁、DRはドレン、各部材を接続する実線は液体が流れるラインである。
【0085】
また、レジスト溶解性溶剤と高表面張力液体とを混合した状態で保存しても問題ないのであれば、ウエハへの供給前に予めレジスト溶解性溶剤と高表面張力液体とを混合して予めプリウエット液を調整しておくことも可能である。
【0086】
なお、上記の実施の形態では、塗布液はレジスト液であったが、これに限定されるものではなく、上記の実施形態に係る技術は、レジスト液以外の塗布液、例えば反射防止膜、SOG(Spin On Glass)膜、SOD(Spin On Dielectric)膜を形成するための塗布液の塗布にも適用することができる。また、塗布の対象は、ウエハWに限定されるものではなく、ウエハ以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
上記の実施の形態は、半導体装置製造における様々な塗布処理において有用である。
【符号の説明】
【0088】
W ウエハ(基板)
30 レジスト塗布装置(塗布装置)
130 スピンチャック
143A,143B 第1および第2のレジストノズル(塗布液ノズル)
152A,152B 第1および第2のプリウエットノズル
154A 高表面張力流体の供給源
154B 溶剤の供給源
156 プリウエット液供給制御部
155A,155B 第1および第2のライン
157 接続ライン
158,159,160 流量調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の中心にプリウエット液を供給するとともに前記第1の基板を回転させて前記プリウエット液を基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、
前記プリウエット液が供給された前記第1の基板に塗布液を供給し、これを乾燥させることにより第1の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、を備え、
前記塗布膜形成工程は、
前記第1の基板を回転させた状態で、前記第1の基板の中心部に塗布液を供給する第1段階と、
その後、前記第1の基板の回転速度を減少させ、引き続き前記第1の基板を回転させる第2段階と、
その後、前記第1の基板の回転速度を増加させ、前記第1の基板上の塗布液を乾燥させる第3段階と、を有し、
前記第1段階において、前記塗布液を前記第1の基板上に供給する直前においては、第1の一定の回転速度で前記第1の基板を回転させて、前記塗布液の供給を開始した後に前記基板の回転速度が連続的に次第に増加するようにし、前記塗布液の吐出の終了前に、前記第1の基板の回転の加速度を次第に減少させて、基板の回転を前記第1の速度より速い第2の速度に収束させるようにし、
前記プリウエット工程において、塗布膜成分を溶解しうる溶剤と、前記溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体とを混合することにより得た前記塗布液よりも表面張力が高い混合液体を前記プリウエット液として用いる
ことを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記溶剤と前記高表面張力液体とを別個に用意し、前記プリウエット液を供給する際に前記溶剤と前記高表面張力液体とを混合することを特徴とする、請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
第2の基板の中心にプリウエット液を供給するとともに前記第2の基板を回転させて前記プリウエット液を基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、
前記プリウエット液が供給された前記第2の基板に前記第1の基板に供給した塗布液と表面張力が異なる塗布液を供給し、これを乾燥させることにより第2の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、を更に備え、
前記第1の基板に対する前記プリウエット工程および前記塗布膜形成工程と、前記第2の基板に対する前記プリウエット工程および前記塗布膜形成工程とは同一の塗布装置により実行され、
前記第2の基板に対する前記プリウエット工程において用いられる前記プリウエット液の表面張力は、前記第1の基板に対する前記プリウエット工程において用いられる前記プリウエット液の表面張力と異なっており、これらの表面張力が異なるプリウエット液は、同じ溶剤および同じ高表面張力液体を異なる混合比で混合することにより得られたものである
ことを特徴とする請求項2に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記高表面張力液体がGBL(γ−ブチルラクトン)であることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記高表面張力液体が純水であることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項6】
前記溶剤がPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)とPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)との混合物であることを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項7】
前記溶剤がCHN(シクロヘキサノン)であることを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項8】
第1の基板の中心にプリウエット液を供給するとともに前記第1の基板を回転させて前記プリウエット液を前記第1の基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、
前記プリウエット液が供給された前記第1の基板に塗布液を供給し、これを乾燥させることにより前記第1の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、を備え、
塗布膜成分を溶解しうる溶剤と、前記溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体とを混合することにより得た前記塗布液よりも表面張力が高い混合液体を前記プリウエット液として用いるとともに、前記溶剤と前記高表面張力液体とを別個に用意し、前記プリウエット液を供給する際に前記溶剤と前記高表面張力液体とを混合する
ことを特徴とする塗布方法。
【請求項9】
第2の基板の中心にプリウエット液を供給するとともに前記第2の基板を回転させて前記プリウエット液を基板の表面全体に拡散させるプリウエット工程と、
前記プリウエット液が供給された前記第2の基板に前記第1の基板に供給した塗布液と表面張力が異なる塗布液を供給し、これを乾燥させることにより第2の基板の表面に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、を更に備え、
前記第1の基板に対する前記プリウエット工程および前記塗布膜形成工程と、前記第2の基板に対する前記プリウエット工程および前記塗布膜形成工程とは同一の塗布装置により実行され、
前記第2の基板に対する前記プリウエット工程において用いられる前記プリウエット液の表面張力は、前記第1の基板に対する前記プリウエット工程において用いられる前記プリウエット液の表面張力と異なっており、これらの表面張力が異なるプリウエット液は、同じ溶剤および同じ高表面張力液体を異なる混合比で混合することにより得られたものである
ことを特徴とする請求項8に記載の塗布方法。
【請求項10】
基板を保持して回転させるスピンチャックと、
前記スピンチャックにより保持された基板の表面に塗布液を供給する少なくとも1つの塗布液ノズルと、
前記スピンチャックにより保持された基板の表面にプリウエット液を供給する少なくとも1つのプリウエットノズルと、
前記塗布液ノズルに塗布液を供給する塗布液供給機構と、
前記プリウエットノズルにプリウエット液を供給するプリウエット液供給機構と、
を備え、
前記プリウエット液供給機構は、塗布膜成分を溶解しうる溶剤の供給源と前記溶剤よりも表面張力が高い高表面張力液体の供給源に接続され、前記溶剤と前記高表面張力液体とを混合して前記プリウエットノズルに供給するプリウエット液供給制御部を有しており、前記プリウエット液供給制御部は前記溶剤と前記高表面張力液体との混合比を可変に調整することができるように構成されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
前記塗布装置は、前記少なくとも1つのプリウエットノズルとして、第1のプリウエットノズルおよび第2のプリウエットノズルを有しており、
前記プリウエット液供給機構は、
一端が前記溶剤の供給源に接続されるとともに他端が前記第1のプリウエットノズルに接続された第1のラインと、
一端が前記高表面張力液体の供給源に接続されるとともに他端が前記第2のプリウエットノズルに接続された第2のラインと、
前記第2のラインと前記第1のラインとを接続する接続ラインと、
前記プリウエット液供給制御部は、前記第1のプリウエットノズルから前記溶剤のみからなるプリウエット液が供給される第1の状態と、前記第2のプリウエットノズルから前記溶剤と前記高表面張力液体との混合液体からなるプリウエット液が供給される第2の状態とを選択的に実現でき、かつ、前記第2の状態において前記溶剤と前記高表面張力液体との混合比を可変に調整することができるように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記プリウエット液供給制御部は、前記第1のラインに設けられた第1の流量調整弁、前記第2のラインに設けられた第2の流量調整弁および前記接続ラインに設けられた第3の流量調整弁を有することを特徴とする請求項11に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記塗布液供給機構は、前記少なくとも1つの塗布液ノズルを介して、互いに表面張力が異なる少なくとも2種類の塗布液を前記スピンチャックにより保持された基板の表面に供給することができるように構成されていることを特徴とする、請求項10から12のうちのいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記高表面張力液体がGBL(γ−ブチルラクトン)であることを特徴とする、請求項10から13のうちのいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項15】
前記高表面張力液体が純水であることを特徴とする、請求項10から13のうちのいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項16】
前記溶剤がPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)とPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)との混合物であることを特徴とする、請求項10から15のうちのいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項17】
前記溶剤がCHN(シクロヘキサノン)であることを特徴とする、請求項10から15のうちのいずれか一項に記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−589(P2012−589A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139410(P2010−139410)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】