説明

塗布装置、管状物の製造方法及び管状物

【課題】 高粘度の樹脂溶液を吐出する際の泡の発生を抑え、膜厚勾配の発生を抑え、塗布の際の樹脂溶液の無駄の生じない塗布装置、それを用いた管状物の製造方法及び膜厚ばらつきの少ない管状物を提供すること。
【解決手段】 芯体10の中心軸を水平にして芯体10を回転させる回転手段と、皮膜形成樹脂溶液14を芯体10へ吐出して付着させると共に、その付着部が相対的に芯体10の一端から他の一端へ水平方向に移動する塗布手段であるディスペンサー16と、を有し、ディスペンサー16は、少なくともノズル18と、モーノポンプ20と、を備える塗布装置1、それを用いた管状物の製造方法及びその製造方法により得られた管状物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置及び該塗布装置を用いた管状物の製造方法に関し、さらに詳しくは、芯体に液状の樹脂溶液を塗布する塗布装置及び、この塗布した樹脂溶液を固化又は硬化させて管状物を製造する方法に関する。また、本発明は、このようにして得られた管状物に関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性のフィルムは、磁気テープ、電気機器の絶縁体又はフレキシブルプリント基板など種々の用途に使用されている。これら耐熱性のフィルムの中でも、管状に成形された耐熱フィルムは、プリンター、ファクシミリ又は電子写真複写機などにおける定着用ベルト等として使用されている。
電子写真複写機などにおいては、記録紙上のトナーを加熱溶融させて記録紙上にトナー画像を定着させる必要があるが、その方法の一つとして、フィルム状でエンドレスの定着用ベルト(管状物)を介して、ヒーターにより記録紙上のトナーを直接的に加熱する方法がある。この定着用ベルトには、耐熱性、強度、ヤング率などに優れていることが求められるため、一般に、耐熱性及び機械的強度に優れるポリイミドフィルムが使用されている。
【0003】
ポリイミドフィルムからなる管状物の製造方法としては、円柱状金型などの芯体の外周面もしくはシリンダー状金型の内周面に、ポリイミド又はポリイミド前駆体のワニス、あるいはこれらのワニスに無機フィラーを加えて成る液状の耐熱樹脂を塗布し、この塗布した樹脂溶液を固化又は硬化させて管状物を製造する方法が挙げられる。
樹脂溶液を塗布する方法としては、ディスペンサー先端を芯体の外周面に接触させ、かつディスペンサー供給部の、芯体の回転軸方向への移動速度V(mm/秒)と芯体の回転数R(回転/秒)との比が下記関係式(1)で表される範囲内にある方法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
(V/R)<1.5(mm/回転) (1)
【0005】
しかし、特許文献1には、樹脂溶液を定量的に連続吐出しながら塗布するとの記述はあるものの、その具体的吐出方法の記述がない。一般に、25℃における粘度1〜1500Pa・sの溶液の定量的連続吐出、特に100〜1500Pa・sの高粘度側の溶液の吐出手段は限定されてくるものである。
【特許文献1】特開平9−85756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、高粘度の樹脂溶液を連続吐出する場合、エアー圧送ディスペンサー方式又はギアポンプ送液ディスペンサー方式等があるが、1〜1500Pa・s範囲の、特に高粘度側の溶液を送るには、前者方式では相当高圧な圧縮エアーが必要になり、しかも応答性が悪く制御がし難い。圧縮エアによるディスペンサー方式の場合、非常に高いエア圧力が必要になる。しかも溶液の圧送が可能だとしても経路の管径を大きくし、吐出開始時と終了時の応答性を確保しなければならない。それでも応答性には限界があり吐出開始時は必要な吐出量に達するまで数秒かかる。そのためその時間分捨て出し動作が必要になる。また、終了時は液切れするまで数秒かかる為無駄な塗布部分が発生してしまう。この方式では応答性が悪いことに起因して吐出中徐々に吐出量が増加する傾向にある。よって管状物の塗布開始側と終了側とで膜厚勾配を持つことが頻繁に発生する。この方式では材料効率及び膜厚品質に悪影響を及ぼす。
【0007】
吐出手段として、ギアポンプによるディスペンサー方式の場合、溶液経路中に配置されたギアポンプに溶液が通過するときにギアヘッドにより発生した泡を内在した溶液が、そのまま吐出され塗膜品質に悪影響を及ぼす可能性が非常に高い。一般的にギアポンプは通過溶液を発泡させやすいということは公知である。
ギアポンプの代替ポンプとしてダイヤフラムポンプがあるが、これは脈動が非常に大きい為、吐出できたとしても塗布膜厚の均一性が確保できない。加えて脈動が発生すると泡が発生するため、塗膜品質にも影響を及ぼす。
上記のほかにはチューブポンプがあるが、このポンプ自体低粘度溶液を搬送する用途に用いられるもので、本発明で送液する高粘度溶液は送液すら不可能である。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、高粘度の樹脂溶液を吐出する際の泡の発生を抑え、膜厚勾配の発生を抑え、塗布の際の樹脂溶液の無駄の生じない塗布装置及びそれを用いた管状物の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、膜厚ばらつきの少ない管状物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段により解決される。すなわち、本発明の塗布装置は、円筒状又は円柱状芯体に皮膜形成樹脂溶液を塗布する塗布装置であって、前記芯体の中心軸を水平にして前記芯体を回転させる回転手段と、前記皮膜形成樹脂溶液を前記芯体へ吐出して付着させると共に、その付着部が相対的に前記芯体の一端から他の一端へ水平方向に移動する塗布手段と、を有し、前記塗布手段は、少なくとも前記皮膜形成樹脂溶液を吐出するノズルと、前記ノズルに前記皮膜形成樹脂溶液を供給する第一の一軸回転型体積移動式ポンプと、を備えるものである。
【0010】
本発明の塗布装置に係る塗布手段が備える一軸回転型体積移動式ポンプは、一般に「モーノポンプ」と称されるポンプである。このポンプは回転容積型の1軸偏心ネジポンプであり、特開平6−31212号のように、スプレー塗布においては吐出ポンプとして使用されることが知られている。モーノポンプ内部では、弾性材料の雌ネジ部と金属性の雄ネジ部とが高精度で勘合しており、一定体積移動を可能にしている。このため、皮膜形成樹脂溶液の吐出量はいつも一定で脈動のない連続流であり、溶液自体を攪拌するようなこともないため、溶液に泡を発生させることがない。また、溶液自体に機械的応力がかからないため、分散材料を変質させたり、凝集固化させることもない。
さらに、塗布開始時において、瞬時に所望の吐出量に達することができるため皮膜形成樹脂溶液の捨て出し動作が不要になる。また、塗布終了時においても瞬時に液切れすることができるため、無駄な塗布部分を発生させない。
【0011】
また、モーノポンプは広範囲の溶液粘度に対応でき、雄ネジ軸回転数を制御することにより流量を自由に制御可能である。
本発明においては、モーノポンプの回転数を制御することで、焼成後の膜厚tを式(2)に示す範囲で容易に制御することが可能になった。
【0012】
30μm≦t≦150μm (2)
【0013】
本発明の塗布装置に係る塗布手段は、前記第一の一軸回転型体積移動式ポンプに前記皮膜形成樹脂溶液を供給する、前記第一の一軸回転型体積移動式ポンプよりも前記皮膜形成樹脂溶液の供給能力の高い第二の一軸回転型体積移動式ポンプをさらに備える態様であることが好ましい。これにより、前記皮膜形成樹脂溶液の高速塗布が可能となる。
【0014】
本発明の塗布装置は、前記芯体に付着した前記皮膜形成樹脂溶液を平滑化させると共に、その平滑化部が相対的に前記芯体の一端から他の一端へ水平方向に移動する平滑化手段をさらに有してもよい。
前記平滑化手段を有することにより、前記皮膜形成樹脂溶液の平滑性に依存することなく塗膜を平滑化させることができるため、高速塗布が可能となる。
【0015】
また、前記ノズルは、前記芯体から離間して設けられていてもよい。前記ノズルをこのように配置することにより、多少の回転振れが生じる芯体に対して、ノズル先端と芯体との離間を設けることにより接触による芯体表面上のキズ、打痕等の欠陥を生じさせることなく、平滑化手段を併せ持つことで芯体の振れに追従して一定膜厚を塗布することが可能である。このことで多少の振れを持った芯体でも使用することが可能であり、型精度を緩和しコストを抑制する効果がある。また、高温によるヒートサイクルによって変形し振れを持ったものでも、製品に影響ない程度のものであれば使用可能であり、芯体寿命を延ばす効果がある。
【0016】
また、前記ノズルは複数本からなる場合、当該複数本のノズルにおける前記皮膜形成樹脂溶液の供給口から吐出口までの経路距離は全て同一であることがよい。これにより、複数本の各ノズルの吐出量すなわち吐出速度を同一にでき、塗膜の表面うねりを防止しつつ、ノズルからの溶液吐出量を増大させて高速塗布を実現することができる。
【0017】
また、本発明の管状物の製造方法は、円筒状又は円柱状芯体に、25℃における粘度が1〜1500Pa・sの皮膜形成樹脂溶液を塗布して前記皮膜形成樹脂溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を固化又は硬化させて樹脂皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記樹脂皮膜を前記芯体から剥離する剥離工程と、を有する管状物の製造方法であって、前記皮膜形成樹脂溶液の塗布は、本発明の塗布装置により行なわれるものである。
【0018】
本発明の塗布装置を用いれば、皮膜形成樹脂溶液の塗膜に泡の混入を防ぐことができ、さらに膜厚勾配の発生を抑えることができるため、高品位の管状物を製造することができる。さらに、皮膜形成樹脂溶液の塗布の際の無駄が生じない。
【0019】
本発明の管状物の製造方法では、前記皮膜形成樹脂溶液の塗布量を制御して、前記塗膜の膜厚を調整することができる。前記塗膜の膜厚を調整することにより、管状物の膜厚を任意に調整することができる。
【0020】
前記皮膜形成樹脂溶液は、ポリイミドワニス、ポリイミド前駆体ワニス又は、前記ポリイミドワニス若しくは前記ポリイミド前駆体ワニスに無機フィラーを含有させてなる無機フィラー含有ワニスであることが好ましい。これらのワニスを用いることにより、耐熱性に優れるポリイミド樹脂からなる管状物を得ることができる。
【0021】
本発明の管状物は、本発明の管状物の製造方法により製造されたものである。そのため、本発明の管状物は皮膜形成樹脂溶液中の泡由来の空隙を含まず、また、膜厚ばらつきが少ない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高粘度の皮膜形成樹脂溶液を吐出する際の泡の発生を抑え、膜厚勾配の発生を抑え、塗布の際の皮膜形成樹脂溶液の無駄の生じない塗布装置及びそれを用いた管状物の製造方法を提供できる。さらに本発明によれば、膜厚ばらつきの少ない管状物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の塗布装置、管状物の製造方法及び管状物について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
<塗布装置>
図1は、本発明の第一の実施形態に係る塗布装置の主要部分を示す概略構成図である。第一の実施形態に係る塗布装置1は、被塗布物である芯体10が保持部材12で挟持されている。図示しないが、芯体10は、芯体10が水平に回転可能(矢印A)に支持するアームを有する台座に保持部材12を介して配設されている。また、図示しないが、芯体10は、芯体10を軸回転させるための駆動手段(回転手段)と保持部材12を介して連結されている。
【0025】
芯体10の周辺には、皮膜形成樹脂溶液としてのポリイミド前駆体ワニス14を吐出して芯体10にポリイミド前駆体ワニス14を付着させるディスペンサー16が配置されている。ディスペンサー16は、ポリイミド前駆体ワニス14を吐出するノズル18と、ノズル18にポリイミド前駆体ワニス14を供給する第一の一軸回転型体積移動式ポンプであるモーノポンプ20とを備える。
【0026】
ポリイミド前駆体ワニス14は、ポリイミド前駆体ワニス14を貯蔵する貯蔵タンク24から、第二の一軸回転型体積移動式ポンプであるモーノポンプ26により供給管28を介してディスペンサー16に供給される。モーノポンプ26のポリイミド前駆体ワニス14の供給能力は、モーノポンプ20のポリイミド前駆体ワニス14の供給能力よりも高い。
本発明においては、第二の一軸回転型体積移動式ポンプであるモーノポンプ26は必須の構成要件ではないが、モーノポンプ26を備えることにより、皮膜形成樹脂溶液の塗布速度を向上させることができる。
【0027】
ノズル18と芯体10との距離は任意でよいが、ポリイミド前駆体ワニス14が途切れることがないよう2〜50mm程度が好ましい。液の途切れが生ずると、泡を巻き込むおそれがある。
【0028】
また、芯体10の周辺には、芯体10に付着したポリイミド前駆体ワニス14を平滑化する平滑化手段であるへら22が備えられている。へら22は、ポリイミド前駆体ワニス14に侵されない材料、例えば、ポリエチレンやフッ素樹脂等のプラスチック、又は、真鍮やステンレス等の金属の薄い板から構成することができる。
へら22は、不図示の圧接手段により、一定の圧力で芯体10に圧接される。芯体10とへら22との圧接部が平滑化部を構成する。
本発明においては、平滑化手段は必須の構成要件ではないが、本発明の塗布装置が平滑化手段を有することにより、皮膜形成樹脂溶液の塗布速度を向上させることができる。
【0029】
ディスペンサー16及びへら22は、ポリイミド前駆体ワニス14の芯体10への付着及び平滑化に伴い、芯体の回転毎に付着部及び平滑化部が相対的に芯体10の一端から他の一端へ水平方向(矢印B)に移動される。この構成は、図示しないが、ディスペンサー16及びへら22を移動させる構成としてもよいし、芯体10が移動する構成としてもよく、周知の技術により構成することができる。
【0030】
第一の実施形態に係る塗布装置1では、まず、芯体10を矢印A方向に回転させながら、ディスペンサー16から、ポリイミド前駆体ワニス14を吐出させて芯体10にポリイミド前駆体ワニス14を付着させる。これと共に、芯体10への圧接力が調整されたへら22により芯体10に付着したポリイミド前駆体ワニス14が平滑化される。そして、芯体10の回転毎に付着部及び平滑化部を、芯体10の一端から他の一端へ水平方向(矢印B)に移動させる。このようにして、ポリイミド前駆体ワニス14が芯体10外周面に塗布され、塗膜が形成される。
【0031】
ここで、第一の実施形態に係る塗布装置1では、ノズル18が1本(吐出口が一つ)からなる構成を説明したが、ノズル18からのポリイミド前駆体ワニス14の吐出量を増大させ高速塗布を実現させるためには、ノズル18は複数本(吐出口が複数)からなることがよい。そして、この複数本のノズル18を例えば屈曲或いは屈折させて、ポリイミド前駆体ワニス14の供給口から吐出口までの経路距離を全て同一とする。この経路距離とは、モーノポンプ20と連結されてポリイミド前駆体ワニス14が供給するノズル18の供給口から、ポリイミド前駆体ワニス14が吐出する吐出口までのノズル配管距離である。これにより、各ノズル18からのポリイミド前駆体ワニス14の吐出量が均一となり、塗布むら(表面うねり)が生じ難くなる。
【0032】
複数本のノズル18としては、例えば、図2に示すような2本のノズル18からなる形態、図3に示すような3本のノズル18の形態が挙げられる。無論、それ以上の本数でノズル18を構成してもよい。複数本のノズル18の各吐出口の配列は、直線状に配列させてもよいが、経路距離を全て同一にし易い観点から、同心円周状に配列させてもよい。また、複数本のノズル18の各吐出口の間隔(配列ピッチ)は、均等にすることがよく、これにより吐出されるポリイミド前駆体ワニス14の間隔を一定にし、塗膜のレベリングをし易くすることができる。
【0033】
通常、高速塗布を実現するためには、吐出量の増加が必要であり、例えば塗布速度1000mm/min、吐出量60g/minの塗布条件で、塗布速度2000mm/minに速度を上げて同じ膜厚を得るには、吐出量を120g/minに増量可能な吐出手段が必要になる。さらに脈動のない定量吐出も望まれる。
【0034】
そこで、上記モーノポンプ20と共に複数本のノズル18を採用することで、1本ノズルを採用した場合に比べ、ポリイミド前駆体ワニス14の吐出量をノズル本数倍から数十倍に増大させることができると共に、塗布むら(表面うねり)も生じ難くなり、高速塗布が実現可能となる(例えば、図3に示す3本ノズル18の場合、吐出量3倍で塗布時間1/3)。特に、上記モーノポンプ20及び複数本のノズル18の採用は、従来、1本あたりの塗布時間が長かった大径芯体への塗布には非常に有効となる。また、複数本のノズル18を採用する場合、へら22はその幅(塗膜接触面の幅)を大きくして、高速塗布適性を付与させることがよい。
【0035】
なお、複数本のノズル18の各吐出口の間隔(吐出口配列ピッチ)は、3mm〜5mm(好ましくは4mm程度〜)であり、ノズル18の開口径(吐出口径)はφ1.5mm〜2.5mm(好ましくはφ2.0程度mm〜mm)である。これにより、吐出量の均一化や、へら22による平滑化が容易となる。
【0036】
本発明の塗布装置に用いられる皮膜形成樹脂溶液としては、ポリイミド前駆体ワニスのみならず、ポリイミドワニス又は、ポリイミド前駆体ワニス若しくはポリイミドワニスに無機フィラーを含有させてなる無機フィラー含有ワニスであってもよい。さらに、ポリイミド以外の他の樹脂ワニス又は前駆体ワニスを用いることもできる。
【0037】
<管状物の製造方法>
本発明の管状物の製造方法は、円筒状又は円柱状芯体に、25℃における粘度が1〜1500Pa・sの皮膜形成樹脂溶液を塗布して前記皮膜形成樹脂溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を固化又は硬化させて樹脂皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記樹脂皮膜を前記芯体から剥離する剥離工程と、を有する管状物の製造方法であって、前記皮膜形成樹脂溶液の塗布は、本発明の塗布装置により行なわれるものである。
【0038】
−塗膜形成工程−
本発明の管状物の製造方法に用いることのできる皮膜形成樹脂溶液としては、ポリイミドワニス、ポリイミド前駆体ワニス又は、前記ポリイミドワニス若しくは前記ポリイミド前駆体ワニスに無機フィラーを含有させてなる無機フィラー含有ワニスが好ましい。これらのワニスを用いることにより、ポリイミド樹脂からなる管状物を得ることができる。
【0039】
前記芯体の材質は、アルミニウムや、ニッケル、ステンレス鋼等の金属が好ましいが、熱膨張率が大きいという観点から、アルミニウムが特に好ましい。芯体表面は、クロムやニッケルでメッキしたり、フッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆してもよい。芯体表面には、皮膜が接着しないよう、離型剤を塗布することが好ましい。
【0040】
塗膜の乾燥時に、塗膜中に残留している溶剤、あるいは加熱反応時に樹脂から発生する水等の複生成物が除去しきれない場合、皮膜に膨れが生じることが避けられないことがあり、これは特にポリイミド樹脂皮膜の膜厚が50μmを越えるような厚い場合に顕著であるが、その場合、芯体表面の粗面化が有効である。すなわち、ポリイミド樹脂皮膜から生じる残留溶剤又は水の蒸気は、芯体とポリイミド樹脂皮膜との間にできるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れが生じなくなる。粗面化の粗さは、Raで0.2〜2μm程度が好ましい。
【0041】
芯体表面の粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。特に、皮膜の内面を球状凸形状にするために、芯体の表面は、球状の粒子を用いてブラスト処理を施すのがよい。ブラスト処理とは、直径0.1〜1mm程度のガラス、アルミナ、ジルコニア等からなる粒子を、圧縮空気によって芯体に吹き付けて圧痕を形成させる方法である。ブラスト粒子として、不定形のアルミナ粒子(例えば一般的な研磨粒子)を用いた場合には、芯体表面の粗面形状も不定形となり、特に鋭角の突起や窪みが形成されやすく、作製されるポリイミド樹脂ベルトの内面にも鋭角の突起や窪みが形成されて好ましくない。
【0042】
前記皮膜形成樹脂溶液としては、25℃における粘度が1〜1500Pa・sのものが用いられるが、好ましくは10〜200Pa・sであり、さらに好ましくは30〜150Pa・sである。
【0043】
前記塗膜形成工程においては、前記皮膜形成樹脂溶液の塗布量を制御して、前記塗膜の膜厚を調整することができる。前記皮膜形成樹脂溶液の塗布量は、皮膜形成樹脂溶液の吐出量を制御することにより調整可能である。本発明の塗布装置はモーノポンプを用いるため、皮膜形成樹脂溶液の吐出量を正確に制御することができる。
【0044】
−皮膜形成工程−
皮膜形成工程においては、前記塗膜を固化又は硬化させて樹脂皮膜を形成する。前記塗膜を固化させて樹脂皮膜を形成する場合、前記皮膜形成樹脂溶液としては樹脂溶液が用いられる。また、前記塗膜を硬化させて樹脂皮膜を形成する場合、前記皮膜形成樹脂溶液としては樹脂前駆体溶液が用いられる。
前記塗膜を固化させる場合の加熱条件は、用いられる樹脂及び溶剤の種類により適宜決定される。また、前記塗膜を硬化させる場合の加熱条件は、樹脂前駆体の種類により適宜決定される。
【0045】
前記皮膜形成樹脂溶液として、ポリイミド前駆体溶液が用いられた場合、塗膜の乾燥条件としては、80〜170℃の温度で30〜60分間が好ましい。その際、温度が高いほど、乾燥時間は短くてよい。前記乾燥の後、好ましくは320〜400℃、より好ましくは350℃前後で、20〜60分間、ポリイミド前駆体塗膜を加熱反応させることで、ポリイミド樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、完全に残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、200〜250℃の温度で、10〜30分間加熱して残留溶剤を乾燥させ、続けて、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することが好ましい。
【0046】
−剥離工程−
前記塗膜を固化又は硬化することにより形成された樹脂皮膜は、前記芯体から剥離されて管状物が得られる。得られた管状物には、必要に応じて穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、各実施例は、上記実施の形態に係る塗布装置を用い、塗布条件は各表に従って行った。
【0048】
[実施例1]
25℃での粘度が130Pa・sの耐熱樹脂溶液(Uワニス−S宇部興産製)をφ30mmの芯体に回転塗布した。固化させた後の皮膜膜厚目標を80μmとし、塗布長を500mmとした。
塗布手段として、ディスペンサー用モーノポンプ(ロボディスペンサー兵神装備社製)に200ccの耐熱樹脂溶液が入ったカートリッジを連結したものを用いた。この場合、軸回転数15rpmで10g/分の吐出が問題なく可能であった。また、塗布中の液切れは発生しなかった。芯体軸方向への移動速度は180mm/分だった。なお、ノズルは開口径(内径)φ2.2mmの1本型のものを用いた。
上述のようにして形成された塗膜を、塗布後の芯体を常温環境下で10rpmで15分程度回転させ塗布面をレベリングした後、150℃のオーブン内に1時間回転乾燥させ回転停止してもタレなどの膜変形しない状態にさせた。その後380℃、40分で焼成、固化させ脱型し樹脂皮膜を得た。
得られた樹脂皮膜を芯体から剥離して管状物を得た。管状物の膜厚ばらつきは、5μmという結果となった。結果を表1に示す。
なお、膜厚ばらつきは、カールフィッシャー社製接触式渦電流膜厚測定器を使用し、得られた樹脂円筒体の軸方向5点×円周方向4点、計20点測定して求めた。
【0049】
[比較例1]
塗布手段として、エア圧送用ディスペンサーバルブ(V−10型ユニコントロールズ社製)を用いた以外は実施例1と同様とした。エア圧送経路ではφ15mmのチューブを用い、エア圧約0.6Mpaまで上げて耐熱樹脂溶液を吐出した。結果は3g/分程度の吐出量にとどまった。目標膜厚を確保する為には芯体軸方向への移動速度は50mm/分程度だった。また、吐出途中に液切れが発生した。
上述のようにして形成された塗膜を実施例1と同様の条件で処理することにより樹脂皮膜を得た。得られた樹脂皮膜を芯体から剥離して管状物を得た。
固化した後の管状物の、液切れが発生した部分を除いた膜厚ばらつきは、20μmとなった。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
[実施例2]
実施例1において、ディスペンサー用モーノポンプに耐熱樹脂溶液を供給するために、耐熱樹脂溶液が入った18Lタンクからディスペンサー用モーノポンプに送液する、別のモーノポンプ(送液用モーノポンプ;サニタリー型2NTL15)を使って送液経路を構築した。送液用モーノポンプはディスペンサー用モーノポンプより約10倍の吐出能力のあるポンプを選定した。これにより、ポンプ回転数を低回転にすることが可能となり、送液中の発泡を防止することができた。さらに、ディスペンサー用モーノポンプの吐出量より多い送液量を確保することができた。送液用モーノポンプの吐出量を制御する為に、ディスペンサー用モーノポンプの入り口手前に圧力センサーを配置して送液圧力を制御することにより、一定量の送液量を確保できた。このようにして、送液用モーノポンプの溶液吸い上げ時、及び経路送液中の液切れ等による発泡が無く、芯体上の塗布膜欠陥の発生を防止することができた(以下、実施例2で用いた塗布手段を、モーノポンプ連結タイプと称することがある。)。
芯体の軸回転数が60rpmで、42g/分の吐出が問題なく可能であり吐出量を増加させることができるので、実施例1でのモーノポンプ単独使用より塗布能力が高いことがわかった。塗布中の液切れは発生せず、膜厚ばらつきは、4μmであった。実施例1との比較結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
[実施例3]
実施例2と同一の塗布手段(モーノポンプ連結タイプ)を用いて、ディスペンサー用モーノポンプの軸回転数(耐熱樹脂溶液の吐出量)を変化させ、固化後の管状物の膜厚を測定した。芯体回転数、芯体軸方向の移動速度は実施例2と同一に固定した。目標膜厚は100μm及び120μmとした。結果を表3に示す。表3から明らかなように、管状物の厚膜化に対応できることを確認できた。膜厚ばらつきは、8μmであった。
【0054】
【表3】

【0055】
[実施例4]
実施例3と同様に、ディスペンサー用モーノポンプの軸回転数(耐熱樹脂溶液の吐出量)を変化させ、塗布可能膜厚の上下限探索実験をおこなった。芯体回転数、芯体軸方向の移動速度は実施例2と同一に固定した。
固化膜厚20μm〜180μmまで振った条件で実施した。得られた結果を表4に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
固化膜厚が20μmでは吐出量設定が少量になり、本実験で使用したディスペンサー用モーノポンプでは能力が大きすぎ液切れが発生してしまった。また、180μmでは膜厚ばらつきが、12μmと大きく、実使用に適正でないものとなってしまった。よって、塗布可能範囲は30μm≦t≦150μmであることが明らかになった。
【0058】
[実施例5]
実施例2と同一の塗布手段(モーノポンプ連結タイプ)を用いて、塗布面を平滑化するブレードを使用しないで塗布を実施した。条件としては実施例1のモーノポンプを使用する条件と同一とした。結果は実施例1のモーノポンプ単独の場合と全く同様の結果となり、表1に示すように塗布面状及び膜厚ばらつきは、5μmと良好であった。
【0059】
[実施例6]
実施例2と同一の塗布手段(モーノポンプ連結タイプ)を用いて、吐出量42g/分、芯体回転数を180rpmに固定し、芯体軸方向移動速度を変化させ管状物表面状態、膜厚変化を観察した。結果を表5に示す。
【0060】
【表5】

【0061】
芯体の回転軸方向の移動速度Vと芯体の回転数Rとの比V/Rが1.7の場合、吐出量一定で移動速度が遅い分、膜厚が厚膜化し膜厚ばらつきが17μmと大きくなり、加えてらせん状縞模様も発生した。
また、V/Rが6.0の場合は吐出量一定で移動速度が速い分平滑化してもらせん状縞模様が残ってしまい、膜厚ばらつきが15μmで製品として使用不可であった。
【0062】
[実施例7]
熱硬化性樹脂にカーボンブラックを5質量部分散し、溶液粘度を50Pa・sに調整した皮膜形成樹脂溶液を実施例2と同一の塗布手段(モーノポンプ連結タイプ)を用いてφ30mmの芯体に目標膜厚40μmで塗布した。結果としては固化後の管状物の膜厚は38〜41μm、膜厚ばらつきは3μmで問題なく塗布可能であった。
【0063】
[実施例8]
25℃での粘度が140Pa・sの耐熱樹脂溶液(Uワニス−S宇部興産製)を使用して、塗布条件を下記表に従った以外は、実施例2と同様にして環状物を得た。そして、膜厚ばらつき、と共に、表面うねり量を測定した。結果を表6に示す。
【0064】
ここで、表面うねり量は、 接触式表面形状測定器(特殊形状測定機EP−7型、Kosaka Laboratory Ltd.製)を用いて測定した。
【0065】
[実施例9]
ノズルとして、3本ノズル(すべての経路距離15mm、開口径(内径)φ2.0mm、吐出口配列ピッチ5mm:図3参照)を使用して、塗布条件を下記表に従った以外は、実施例8と同様にして環状物を得た。そして、実施例2と同様にして環状物を得た。そして、膜厚ばらつきと共に、表面うねり量を測定した。結果を表6に示す。
【0066】
【表6】

【0067】
この結果より、3本ノズルを採用することで、1本ノズルに比べ、吐出量を3倍にでき、塗布時間も1/3短縮されることがわかる。しかも、膜厚ばらつきと共に、表面うねり量も良好な値を示した。
【0068】
[実施例10]
芯体としてφ200mmの芯体、ノズルとして2本ノズル(すべての経路距離12mm、開口径(内径)φ2.0mm、吐出口配列ピッチ5mm:図2参照)を使用して、塗布条件を下記表に従った以外は、実施例8と同様にして環状物を得た。そして、膜厚ばらつきと共に、表面うねり量を測定した。結果を表7に示す。
【0069】
[実施例11]
芯体としてφ200mmの芯体、ノズルとして3本ノズル(すべての経路距離15mm、開口径(内径)φ2.0mm、吐出口配列ピッチ5mm:図3参照)を使用して、塗布条件を下記表に従った以外は、実施例8と同様にして環状物を得た。そして、膜厚ばらつきと共に、表面うねり量を測定した。結果を表7に示す。
【0070】
【表7】

【0071】
この結果より、従来、塗布時間が長い大径の芯体を、短時間で可能となることがわかる。しかも、膜厚ばらつきと共に、表面うねり量も良好な値を示した。
【0072】
[実施例12]
ノズルとして、3本ノズル(経路距離が15mm、11mm、14mmと全て異なる。開口径(内径)φ2.0mm、吐出口配列ピッチ4mm、4.5mmも異なる)を使用して、塗布条件を下記表に従った以外は、実施例8と同様にして環状物を得た。そして、実施例2と同様にして環状物を得た。そして、膜厚ばらつきと共に、表面うねり量を測定した。結果を表8に示す。
【0073】
【表8】

【0074】
この結果より、全ての経路距離が同一の3本ノズルを使用した場合に比べ(実施例9)、表面うねり量が悪化した結果となり、複数本のノズルを採用するときは全ての経路距離を同一のほうがよいことがわかる。
【0075】
[実施例13]
上記実施例1及び比較例1の芯体軸方向に対する膜厚分布を、接触式渦電流膜厚計(FISCHER SCOPE mms、FISHER製)により調べた。この結果を図4に示す。この結果から、比較例1では、芯体両端(塗布終始に位置する箇所)の膜厚が一定ではなかったのに対し、実施例1では、芯体両端(塗布終始に位置する箇所)の膜厚が中央部とほぼ同一であり、塗布開始では迅速に必要な液の吐出量に達し、終了時では迅速に液切されていた。特に、実施例9のように塗布手段として、ディスペンサー用モーノポンプ及び複数本ノズルを採用した際には、吐出量を増大させ、高速塗布を行っても、芯体両端(塗布終始に位置する箇所)の膜厚を一定とすることが可能であり、塗布性能が向上することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る塗布装置の主要部分を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る塗布装置における2本ノズルを示す概略構成図であり、(A)は正面図であり、(B)は底面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る塗布装置における3本ノズルを示す概略構成図であり、(A)は正面図であり、(B)は底面図である。
【図4】実施例13における実施例1及び比較例1の芯体軸方向に対する膜厚分布を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 塗布装置
10 芯体
12 保持部材
14 ポリイミド前駆体ワニス
16 ディスペンサー
18 ノズル
20 モーノポンプ(第一の一軸回転型体積移動式ポンプ)
22 へら
24 貯蔵タンク
26 モーノポンプ(第二の一軸回転型体積移動式ポンプ)
28 供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状又は円柱状芯体に皮膜形成樹脂溶液を塗布する塗布装置であって、
前記芯体の中心軸を水平にして前記芯体を回転させる回転手段と、前記皮膜形成樹脂溶液を前記芯体へ吐出して付着させると共に、その付着部が相対的に前記芯体の一端から他の一端へ水平方向に移動する塗布手段と、を有し、
前記塗布手段は、少なくとも前記皮膜形成樹脂溶液を吐出するノズルと、前記ノズルに前記皮膜形成樹脂溶液を供給する第一の一軸回転型体積移動式ポンプと、を備える塗布装置。
【請求項2】
前記芯体に付着した前記皮膜形成樹脂溶液を平滑化させると共に、その平滑化部が相対的に前記芯体の一端から他の一端へ水平方向に移動する平滑化手段をさらに有する請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記塗布手段は、前記第一の一軸回転型体積移動式ポンプに前記皮膜形成樹脂溶液を供給する、前記第一の一軸回転型体積移動式ポンプよりも前記皮膜形成樹脂溶液の供給能力の高い第二の一軸回転型体積移動式ポンプをさらに備える請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記芯体から離間して設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記ノズルは複数本からなり、当該複数本のノズルにおける前記皮膜形成樹脂溶液の供給口から吐出口までの経路距離が全て同一であることを特徴とする請求項請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項6】
円筒状又は円柱状芯体に、25℃における粘度が1〜1500Pa・sの皮膜形成樹脂溶液を塗布して前記皮膜形成樹脂溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜を固化又は硬化させて樹脂皮膜を形成する皮膜形成工程と、
前記樹脂皮膜を前記芯体から剥離する剥離工程と、
を有する管状物の製造方法であって、
前記皮膜形成樹脂溶液の塗布は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗布装置により行なわれる管状物の製造方法。
【請求項7】
前記皮膜形成樹脂溶液の塗布量を制御して、前記塗膜の膜厚を調整する請求項6に記載の管状物の製造方法。
【請求項8】
前記皮膜形成樹脂溶液は、ポリイミドワニス、ポリイミド前駆体ワニス又は、前記ポリイミドワニス若しくは前記ポリイミド前駆体ワニスに無機フィラーを含有させてなる無機フィラー含有ワニスである請求項6又は7に記載の管状物の製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の管状物の製造方法により製造された管状物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−7198(P2006−7198A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62607(P2005−62607)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】