説明

塩、酸発生剤、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】優れたラインエッジラフネスを有するパターンを得ることができるレジスト組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】式(I)で表される塩及びこの塩を含有するレジスト組成物。


[式(I)中、Q及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す;Lは、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい;Rは、ヒドロキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基又は炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基を表す;sは、互いに独立に、1〜3の整数を表す;Zは、有機対イオンを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩、酸発生剤、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、下記式で表される塩を酸発生剤として含むレジスト組成物が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−145824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記の酸発生剤を含むレジスト組成物では、得られるレジストパターンのラインエッジラフネス(LER)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(I)で表される塩。

[式(I)中、
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、ヒドロキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基又は炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基を表す。
sは、1〜3の整数を表す。
は、有機対イオンを表す。]
【0006】
〔2〕前記Lが、*−CO−O−(CHt−(tは0〜6の整数を表す。*は、−C(Q)(Q)−との結合手を表す。)である前記〔1〕記載の塩。
〔3〕前記Rが、ヒドロキシ基又はt−ブトキシカルボニル基である前記〔1〕又は前記〔2〕記載の塩。
〔4〕前記Zが、アリールスルホニウムカチオンである前記〔1〕〜前記〔3〕のいずれか記載の塩。
〔5〕前記〔1〕〜前記〔4〕のいずれか記載の塩を含有する酸発生剤。
〔6〕前記〔5〕記載の酸発生剤と樹脂とを含有し、該樹脂は酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であるレジスト組成物。
【0007】
〔7〕さらに塩基性化合物を含有する前記〔6〕記載のレジスト組成物。
〔8〕(1)前記〔6〕又は〔7〕記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の前記レジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)該組成物層を、露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塩によれば、該塩を含むレジスト組成物により、優れたラインエッジラフネス(LER)を有するレジストパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、各置換基の例示は、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖状、分岐状又は環状をとることができる置換基は、そのいずれをも含み、かつそれらが混在していてもよい。各置換基は、結合部位によって一価又は二価の置換基となり得る。
【0010】
<式(I)で表される塩>
本発明の塩は、式(I)で表される(以下「塩(I)」という場合がある)。

[式(I)中、
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、ヒドロキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基又は炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基を表す。
sは、1〜3の整数を表す。
は、有機対イオンを表す。]
なお、以下の説明において、塩(I)のうち、正電荷を有するZで示される有機カチオンを除去してなる負電荷を有するものを「スルホン酸アニオン」ということがある。
【0011】
1及びQ2で表される炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
1及びQ2は、互いに独立に、トリフルオロメチル基又はフッ素原子であることが好ましく、ともにフッ素原子であることがより好ましい。
【0012】
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表す。かかる2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の脂環式炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイル基に、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、1−メチルシクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,2−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式炭化水素基;
ノルボルナン−2,3−ジイル基、ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,2−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基及びアダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式炭化水素基等;
が挙げられる。
【0013】
で表される2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わった基としては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで表される基が挙げられる。L1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−3)で表される基である。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)は、その左右を式(I)に合わせて記載しており、それぞれ*で示される2つの結合手のうち、下記式で表される基がLを表す場合は、左側の結合手はC(Q1)(Q2)の炭素原子と結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
【0014】

式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は2価の炭素数1〜12の飽和炭化水素基を表す。
b4は、2価の炭素数1〜13の飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b6は、単結合又は2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b7は、2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。但しLb6及びLb7の合計炭素数の上限は16である。
b8は、2価の炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。
b9は、単結合又は2価の炭素数1〜11の飽和炭化水素基を表す。
b10は、2価の炭素数1〜12の飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は12である。
b11は、単結合又は2価の炭素数1〜13の飽和炭化水素基を表す。
b12は、2価の炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。但しLb11及びLb12の合計炭素数の上限は14である。
【0015】
なかでも、Lは、好ましくは、式(b1−1)で表される2価の基であり、より好ましくは、Lb2が単結合又は炭素数1〜6の飽和炭化水素基、つまり、*−CO−O−(CHt−(tは0〜6の整数を表す。*は、−C(Q)(Q)−との結合手を表す)であり、さらに好ましくは、Lb2が単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基、つまり、*−CO−O−である。
【0016】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0017】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0018】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0019】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0020】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0021】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0022】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0023】
で表される炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。中でも、t−ブトキシカルボニル基が好ましい。
【0024】
で表される炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
塩(I)を構成するスルホン酸アニオンの具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0026】
+で表される有機カチオンとしては、例えば、オニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン及びホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらの中でも、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0027】
+で表される有機カチオンとしては、以下の式(b2−1)〜式(b2−4)」のいずれかで表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1)」等と記載することがある〕が好ましい。

【0028】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、互いに独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、該脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。Rb4、Rb5及びRb6から選ばれる2つが一緒になって、イオウ原子を含む環を形成してもよい。
【0029】
b4、Rb5及びRb6から選ばれる2つが一緒になって形成してもよい環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、イオウ原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上のイオウ原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。該環としては、炭素数3〜18の環が好ましく、炭素数4〜13の環がより好ましい。
【0030】
b7及びRb8は、互いに独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、互いに独立に0〜5の整数を表す。m2が2以上である場合、複数のRb7は互いに同一であっても異なってもよく、n2が2以上である場合、複数のRb8は互いに同一であっても異なってもよい。
b9及びRb10は、互いに独立に、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b9〜Rb11は、互いに独立に、脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜12)又は脂環式炭化水素基(好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12)である。
b12は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基を有していてもよい。
b9とRb10及びRb11とRb12は、互いに独立に、互いに結合して3員〜12員(好ましくは3員〜7員)環を形成していてもよく、該環に含まれるメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
【0031】
b13〜Rb18は、互いに独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、互いに独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、互いに独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のRb13は互いに同一であっても異なってもよく、p2が2以上であるとき、複数のRb14は互いに同一であっても異なってもよく、s2が2以上であるとき、複数のRb15は互いに同一であっても異なってもよく、t2が2以上であるとき、複数のRb18は互いに同一であっても異なってもよい。
【0032】
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式及び多環式のいずれでもよい。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基並びに下記に示す基などの多環式炭化水素基が挙げられる。

芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
【0033】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
b9〜Rb12の脂肪族炭化水素基のうち好ましい基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基である。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基のうち好ましい基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基である。
b12の芳香族炭化水素基のうち好ましい基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基である。
b12の脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基は、典型的にはアラルキル基であり、具体的にはベンジル基等が挙げられる。
b9とRb10とが結合して形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環等が挙げられる。
b11とRb12とが結合して形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環等が挙げられる。
【0035】
上述の有機カチオンの中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という場合がある。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。

式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、互いに独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、Rb19、Rb20及びRb21から選ばれる2つが一緒になって単結合、−O−又は炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基を表し、イオウ原子を含む環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、互いに独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は互いに同一でも異なってもよく、w2が2以上のとき、複数のRb20は互いに同一でも異なってもよく、x2が2以上のとき、複数のRb21は互いに同一でも異なってもよい。
【0036】
カチオン(b2−1−1)では、脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。脂肪族炭化水素基は、置換基として、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよい。
脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜18であり、置換基として、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよい。
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、互いに独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0037】
カチオン(b2−1−1)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0038】

【0039】
カチオン(b2−1−1)のうち、イオウ原子を含む環が形成されたカチオンの具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0040】
カチオン(b2−1)のうち、イオウ原子を含む環が形成されたカチオンの具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0041】
カチオン(b2−2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0042】
カチオン(b2−3)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0043】

【0044】
カチオン(b2−4)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】
塩(I)は該スルホン酸アニオン及び該有機カチオンの組合せであり、スルホン酸アニオンと有機カチオンとは、任意に組み合わせることができる。
【0049】
塩(I)としては、例えば、以下の塩が挙げられる。

【0050】

【0051】

【0052】
式(I)で表される塩のうち、式(b1)で表される塩の製造方法を下記に示す。

(式中、Q、Q、R、s及びZは、それぞれ上記と同義である。)
【0053】
まず、式(b1−a)で表される塩と式(b1−b)で表される化合物とを反応させることにより、式(b1−c)で表される塩を得る。
式(b1−a)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。

【0054】
得られた式(b1−c)で表される塩を、式(b1−d)で表される化合物と、溶剤中で反応させることにより、式(b1)で表される塩を得ることができる。
ここでの溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。

式(b1−d)で表される化合物としては、以下で表される化合物等が挙げられる。

【0055】
式(I)で表される塩のうち、式(b2)で表される塩の製造方法を下記に示す。

(式中、Q、Q、R、s及びZは、それぞれ前記と同義である。)
【0056】
まず、式(b2−a)で表される化合物を、溶剤中で還元させることにより、式(b2−b)で表される化合物を得る。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。還元剤としては、リチウムアルミニウムハイドライド等が挙げられる。

【0057】
得られた式(b2−b)で表される化合物と式(b1−c)で表される塩とを、溶剤中で反応させることにより、式(b2)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。

【0058】
<酸発生剤>
本発明の酸発生剤は、塩(I)を含有する。本発明の酸発生剤は、1種又は2種以上の塩(I)を含んでいてもよい。また、本発明の酸発生剤(「以下、酸発生剤(B)」ということがある)は、さらに、塩(I)以外の、酸発生剤として公知の塩(例えば、塩(I)に含まれる有機カチオン及び公知のアニオン(塩(I)に含まれるスルホン酸アニオン以外のアニオン)からなる塩並びに塩(I)に含まれるスルホン酸アニオン及び公知のカチオン(塩(I)に含まれる有機カチオン以外のカチオン)からなる塩等)を含んでいてもよい。
【0059】
酸発生剤(B)としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−17)で表されるものが挙げられる。中でもトリフェニルスルホニウムカチオン、トリトリルスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び式(B1−14)でそれぞれ表される塩がさらに好ましい。
【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】
本発明の酸発生剤は、全量が塩(I)でもよい。
本発明の酸発生剤が塩(I)と任意に酸発生剤(B)とを含む場合、塩(I)の含有量は、酸発生剤全量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上(より好ましくは30質量部以上)、好ましくは100質量部以下(より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下)である。
【0066】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、上述した酸発生剤と樹脂とを含む。
【0067】
<樹脂>
樹脂は、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂(以下、「樹脂(A)」という)である。
「酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る」とは、酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。このような樹脂(A)は、分子内にある親水性基の一部又は全部が、酸との接触により脱離し得る保護基により保護されているものであり、樹脂(A)が酸と接触すると、保護基が脱離して、親水性基が生成することにより、樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶となる。
保護基により保護されている親水性基(以下、「酸不安定基」ということがある)としては、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基がより好ましい。
樹脂(A)は、酸不安定基を有するモノマー(以下、「モノマー(a1)」という)を重合することによって製造できる。かかる重合の際には、モノマー(a1)を1種のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
<モノマー(a1)>
モノマー(a1)における酸不安定基の親水性基がカルボキシ基であるモノマーとしては、カルボキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、オキシ基と結合する有機残基の炭素原子が第三級炭素原子である基(すなわち第三アルコールのエステル)が挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基としては、例えば、以下の式(1)で表されるもの(以下、「酸不安定基(1)」ということがある)が挙げられる。

式(1)中、
a1〜Ra3は、互いに独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、或いは、Ra1及びRa2は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環、該脂肪族炭化水素基又は該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0069】
a1〜Ra3の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。
a1〜Ra3の脂環式炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及びメチルノルボルニル基並びに下記に示す基などが挙げられる。

この脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数が3〜16である。
【0070】
a1及びRa2が互いに結合して環を形成する場合、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、下記式で表される基が挙げられる。

式(1)では、このような環の炭素数は、好ましくは3〜12である。
【0071】
酸に不安定な基(1)の具体例は、
1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3が全てアルキル基である基、このアルキル基のうち、1つはtert−ブトキシカルボニル基であると好ましい)、
2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が互いに結合し、これらが結合する炭素原子とともにアダマンチル環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び
1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0072】
親水性基がヒドロキシ基である場合の酸不安定基は、ヒドロキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、アセタール構造又はケタール構造を含む基となったものが挙げられる。このような酸に不安定な基のうち、好ましい酸に不安定な基は、例えば、以下の式(2)で表されるものが挙げられる(以下、「酸に不安定な基(2)」という場合がある)。

式(2)中、
b1及びRb2は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、或いは、Rb2及びRb3は互いに結合して、それらが各々結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Rb2及びRb3は互いに結合して形成される環又は該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0073】
b1〜Rb3の炭化水素基は、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
b2及びRb3は互いに結合して形成される環は、Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環と同様のものが挙げられる。
b1及びRb2のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
【0074】
酸不安定基(2)としては、以下の基が挙げられる。

【0075】
酸不安定基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0076】
モノマー(a1)は好ましくは、酸不安定基(1)及び/又は酸不安定基(2)と、炭素−炭素二重結合とをともに分子内に有するモノマーであり、より好ましくは、酸不安定基(1)及び/又は酸不安定基(2)と(メタ)アクリル基とをともに分子内に有するモノマーであり、さらに好ましくは、酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有する少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」並びに「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0077】
酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、酸不安定基(1)が、炭素数5〜20の脂環式炭化水素構造を有するものが好ましい。立体的に嵩高い脂環式炭化水素構造を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂(A)を含む本発明のレジスト組成物を用いてレジストパターンを製造すれば、より高解像度でレジストパターンを製造することができる。
【0078】
酸不安定基(1)を有するモノマーの中でも、式(a1−1)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−1)」という場合がある)及び式(a1−2)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−2)」という場合がある)が好ましい。樹脂(A)を製造する際、これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。


式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、互いに独立に、酸素原子又は*−O−(CH2k1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
a4及びRa5は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、互いに独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。
なお、式(a1−1)においてアダマンタン環にある「−(CHm1」の表記は、アダマンタン環に含まれるメチレン基及び/又はメチン基の水素原子が、メチル基に置き換わっており、アダマンタン環に結合しているメチル基の個数がm1個であることを意味する。
【0079】
a1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又は*−O−(CH2f1−CO−O−(但し、f1は1〜4の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である)で表される基であり、より好ましくは酸素原子である。f1は、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基は、アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。Ra6又はRa7の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜8、より好ましくは炭素数3〜6の基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0又は1である。
*は、アダマンタン環又はシクロヘキサン環との結合手を表す。
【0080】
モノマー(a1−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

これらの中でも、モノマー(a1−1)としては、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート及び2−イソプロピルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートが好ましく、2−メチルアダマンタン−2−イルメタクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イルメタクリレート及び2−イソプロピルアダマンタン−2−イルメタクリレートがより好ましい。
【0089】
モノマー(a1−2)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

これらの中でも、モノマー(a1−2)としては、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレートが好ましく、1−エチルシクロヘキサン−1−イルメタクリレートがより好ましい。
【0090】
樹脂(A)が、モノマー(a1−1)及び/又はモノマー(a1−2)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。モノマー(a1−1)及び/又はモノマー(a1−2)は、樹脂(A)を製造する際に、全モノマーの使用量に対してそれぞれ使用量を調整すればよい。
【0091】
さらに、酸不安定基(1)と炭素−炭素二重結合とをともに分子内に有するモノマーとして、以下の式(a1−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマー(以下、「モノマー(a1−3)」という場合がある)が挙げられる。

式(a1−3)中、
a9は、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基又は−COORa13を表す。
a13は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、又は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基と炭素数3〜20の脂環式炭化水素基とからなる基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
a10〜Ra12は、互いに独立に、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、或いは、Ra10及びRa11が互いに結合して、これらが結合している炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基等で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
【0092】
a9の−COORa13としては、例えば、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシ基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。
a9のヒドロキシ基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
a13の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基と炭素数3〜20の脂環式炭化水素基とからなる基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−アダマンチル−1−メチルエチル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
a10〜Ra12は、例えば、メチル基、エチル基、シクロへキシル基、メチルシクロへキシル基、ヒドロキシシクロへキシル基、オキソシクロへキシル基及びアダマンチル基等が挙げられる。
a10及びRa11が互いに結合して形成される環は、脂肪族環が好ましく、具体的には、シクロへキサン環及びアダマンタン環等が挙げられる。
【0093】
モノマー(a1−3)としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル等が挙げられる。
【0094】
モノマー(a1−3)を用いて樹脂(A)を製造した場合、この樹脂(A)にはモノマー(a1−3)に由来する、立体的に嵩高い構造単位が含まれることになる。したがって、この構造単位を有する樹脂(A)を含む本発明のレジスト組成物を用いてレジストパターンを製造すれば、より高解像度でレジストパターンを得ることができる。さらにモノマー(a1−3)を用いることにより、樹脂(A)の主鎖に剛直なノルボルナン環を導入できるため、該樹脂(A)を含む本発明のレジスト組成物から得られるレジストパターンは、ドライエッチング耐性に優れる傾向がある。
【0095】
樹脂(A)が、モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、上述のように、得られるレジストパターンの良好な解像度及び優れたドライエッチング耐性という観点から、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0096】
酸不安定基(2)と炭素−炭素二重結合とをともに分子内に有するモノマーとしては、以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−4)」という場合がある)を用いてもよい。

式(a1−4)中、
a32は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a33は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上である場合、複数のRa33は互いに同一であっても異なってもよい。
a34及びRa35は互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基(−SO−)又は−N(R)−で表される基で置き換わっていてもよい。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a3は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよい。
【0097】
a32及びRa33のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。Ra32及びRa33がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a32及びRa33のハロゲン原子としては例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などが挙げられる。
a32のハロゲン原子を有してもよいアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基などが挙げられる。
a33のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基などが挙げられる。
a33のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基及びブチリルオキシ基などが挙げられる。
a34及びRa35の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0098】
式(a1−4)においては、脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましい。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基及びイソボルニル基等が好ましい。
【0099】
a32及びRa33がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a33のアルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
a34及びRa35の炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基等が好ましい。
【0100】
a2及びYa3は、これらに含まれる水素原子が置換される場合、その置換基は好ましくはヒドロキシ基である。
【0101】
モノマー(a1−4)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0102】

【0103】

【0104】

【0105】

【0106】

【0107】
樹脂(A)が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0108】
さらに、酸不安定基(2)と炭素−炭素二重結合とをともに分子内に有するモノマーとしては、式(a1−5)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−5)」という場合がある)が挙げられる。

式(a1−5)中、
31は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
、L及びLは、互いに独立に、単結合又は2価の炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるに含まれる水素原子はハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、前記飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子又はスルホニル基で置き換わっていてもよい。
は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記飽和炭化水素基に含まれるに含まれる水素原子はハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、前記飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子又はスルホニル基で置き換わっていてもよい。
s1及びs2は、互いに独立に、0〜3の整数を表す。
【0109】
式(a1−5)においては、R31としては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であることが好ましい。
は、酸素原子又は硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s2は、0〜2の整数が好ましい。
は、単結合、*−(CHn4−O−又は*−(CHn4−CO−O−(n4は1〜4の整数であり、1が好ましい。*はLとの結合手を表す)であることが好ましい。
【0110】
モノマー(a1−5)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0111】

【0112】

【0113】

【0114】

【0115】

【0116】
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0117】
<酸安定モノマー>
樹脂(A)は、好ましくは、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)との共重合体である。酸安定モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0118】
樹脂(A)が酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位は、全構造単位100モル%に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。また、アダマンチル基を有するモノマー(特に酸に不安定な基を有するモノマー(a1−1))に由来する構造単位を、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)100モル%に対して15モル%以上とすることが好ましい。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストのドライエッチング耐性が向上する傾向がある。
【0119】
酸安定モノマーとしては、ヒドロキシ基又はラクトン環を分子内に有するものが好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a2)」という場合がある)及び/又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a3)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂(A)は、樹脂(A)を含むレジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜又は塗布膜から得られる組成物層と基板との間の密着性に優れるため、高解像度でレジストパターンを製造することができる。
【0120】
<酸安定モノマー(a2)>
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV光などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2−0)を使用することが好ましい。
一方、短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用することが好ましい。
ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
酸安定モノマー(a2)としては、以下の式(a2−0)で表されるp−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマー(以下、「酸安定モノマー(a2−0)」という)が挙げられる。この式(a2−0)は、フェノール性ヒドロキシ基が適当な保護基で保護されていない形式で示す。

式(a2−0)中、
a30は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31は互いに同一であっても異なってもよい。
【0122】
式(a2−0)においては、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a31のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0123】
このような酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する樹脂(A)を製造する場合は、酸安定モノマー(a2−0)にあるフェノール性ヒドロキシ基が保護基で保護されてなるモノマーを用いることもできる。ここでいう保護基としては、塩基との接触により脱離する保護基が好ましい。かかる保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられ、アセチル基が好ましい。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる
【0124】
酸安定モノマー(a2−0)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。

【0125】

【0126】
なかでも、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが特に好ましい。4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを用いて、樹脂(A)を製造する際、フェノール性ヒドロキシ基が適当な保護基で保護したものを用いることが好ましい。
【0127】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜95モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、15〜80モル%の範囲がさらに好ましい。
【0128】
酸安定モノマー(a2−1)は、以下の式(a2−1)で表されるものが挙げられる。

式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は*−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、互いに独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0129】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、酸素原子又は*−O−(CH2f2−CO−O−(ここでf2は、1〜4の整数である)であり、より好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0130】
酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0131】

【0132】

【0133】

なかでも、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルオキシカルボニル)メチルが好ましく、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート及び3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレートがより好ましく、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメタクリレート及び3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルメタクリレートがさらに好ましい。
【0134】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a2−1)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、3〜40モル%の範囲が好ましく、5〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
【0135】
<酸安定モノマー(a3)>
酸安定モノマー(a3)は、ラクトン環を含有する酸安定モノマーである。かかるラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0136】
酸安定モノマー(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものである。樹脂(A)の製造においては、これらのうち1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で示される酸安定モノマー(a3)を「酸安定モノマー(a3−1)」という場合があり、式(a3−2)で示される酸安定モノマー(a3)を「酸安定モノマー(a3−2)」という場合があり、式(a3−3)で示される酸安定モノマー(a3)を「酸安定モノマー(a3−3)」という場合がある。

式(a3−1)、式(a3−2)及び式(a3−3)中、
a4、La5及びLa6は、互いに独立に、酸素原子又は*−O−(CH2k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18、Ra19及びRa20は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、互いに独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
q1及びr1は、互いに独立に0〜3の整数を表す。p1、q1又はr1が2以上のとき、それぞれ、複数のRa21、Ra22又はRa23は、互いに同一であっても異なってもよい。
【0137】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4、La5及びLa6は、互いに独立に、酸素原子又は*−O−(CH2d1−CO−O−であることが好ましく(ここでd1は、1〜4の整数である)、より好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、互いに独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、互いに独立に、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0138】
酸安定モノマー(a3−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0139】

【0140】

【0141】
酸安定モノマー(a3−2)としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0142】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】
酸安定モノマー(a3−3)は、例えば、以下のものが挙げられる。

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】
酸安定モノマー(a3)の中でも、(メタ)アクリル酸(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル、(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル等のメタクリレートエステル類がより好ましい。
【0153】
樹脂(A)が、モノマー(a3−1)に由来する構造単位、モノマー(a3−2)に由来する構造単位及びモノマー(a3−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位〔酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位〕を有する場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜60モル%の範囲が好ましく、5〜50モル%の範囲がより好ましく、10〜40モル%の範囲がさらに好ましく、15〜40モル%の範囲がとりわけ好ましい。
また、モノマー(a3−1)に由来する構造単位、モノマー(a3−2)に由来する構造単位及びモノマー(a3−3)に由来する構造単位それぞれの含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜55モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。
【0154】
<酸安定モノマー(a4)>
樹脂(A)を製造する際、上述した酸安定モノマー以外の酸安定モノマーを用いてもよい。以下、このような酸安定モノマーを「酸安定モノマー(a4)」という場合がある。
酸安定モノマー(a4)としては、下記式(a4−1)で表される無水マレイン酸、下記式(a4−2)で表される無水イタコン酸及び下記式(a4−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a4−3)」という場合がある)などが挙げられる。

式(a4−3)中、
a25及びRa26は、互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、シアノ基、カルボキシ基又は−COORa27を表すか、或いはRa25及びRa26は互いに結合して−CO−O−CO−を形成する。
a27は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基と炭素数3〜20の脂環式炭化水素基とからなる基を表す。該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。但し−COORa27が酸不安定基となるものは除く(例えば、Ra27は、第三級炭素原子が−O−と結合するものを含まない)
【0155】
a27の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6の基である。脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数4〜12の基である。
【0156】
ノルボルネン環を有する酸安定モノマー(a4−3)としては、例えば、2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0157】
樹脂(A)が、式(a4−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a4−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及びモノマー(a4−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位〔酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位〕を有する場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜30モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
【0158】
さらに、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−4)で表されるスルトン環を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a4−4)」という場合がある)などが挙げられる。

式(a4−4)中、
a7は、酸素原子又は*−O−(CH2k4−CO−O−を表し、
k4は1〜7の整数を表す。*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a28は、水素原子又はメチル基を表す。
16は、置換基を有していてもよいスルトン環を含む残基を表す。
【0159】
スルトン環としては、下記に示すものが挙げられる。スルトン環を含む残基の代表例は、下記スルトン環にある水素原子の1つが、結合手に置き換わったものである。

置換基を有していてもよいスルトン環を含む残基とは、上述の結合手に置き換わった水素原子以外の水素原子がさらに置換基で置換されたものであり、該置換基としては、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ化アルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のアシル基及び炭素数1〜8のアシルオキシ基が挙げられる。
【0160】
フッ化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基等が挙げられる。
【0161】
式(a4−4)で表されるモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0162】

【0163】

【0164】

【0165】

【0166】

【0167】

【0168】

【0169】

【0170】

【0171】

【0172】

【0173】

【0174】

【0175】

【0176】

【0177】

【0178】

【0179】

【0180】

【0181】

【0182】

【0183】

【0184】

【0185】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a4−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
【0186】
また、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、以下に示すようなフッ素原子を有するモノマー〔以下、「モノマー(a4−5)」という場合がある〕も挙げられる。

【0187】
モノマー(a4−5)の中でも、単環式又は多環式の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸5−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸4,4−ビス(トリフルオロメチル)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノニルが好ましい。
【0188】
樹脂(A)が、モノマー(a4−5)に由来する構造単位を有する場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜20モル%の範囲が好ましく、2〜15モル%の範囲がより好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
【0189】
<モノマー(a5)>
酸安定モノマーとしては、式(3)で表される基をモノマー(以下「モノマー(a5)」という場合がある)が挙げられる。

式(3)中、R10は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
【0190】
10のフッ化アルキル基は、その炭素数が1〜4であると好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0191】
式(3)で表される基を有するモノマー(a5)としては、例えば、以下で表されるものが挙げられる。

【0192】

【0193】

【0194】
樹脂(A)が、モノマー(a5)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0195】
<モノマー(a6)>
酸安定モノマーとしては、さらに、式(4)で表される基を有するモノマー(以下「モノマー(a6)」という場合がある)が挙げられる。

式(4)中、
11は置換基を有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表す。
12は、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
は、単結合、*−(CH−SO−O−又は*−(CH−CO−O−を表し、該〔−(CH−〕に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基で置き換わっていてもよく、該〔−(CH−〕に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。*は結合手を表す。
mは、1〜12の整数を表す。
【0196】
11における芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、フェニルオキシ基及びtert−ブチルフェニル基などが挙げられる。
【0197】
11としては、以下の基が挙げられる。なお、*は炭素原子との結合手である。

【0198】
12における炭素数1〜12の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状及び分岐鎖状アルキル基が挙げられ、好ましくはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基及びエチルヘキシル基である。
【0199】
脂環式炭化水素基としては、以下に表される基が挙げられる。

【0200】
12が脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基である場合、これら脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子又は窒素原子などである〔連結基として、スルホニル基、カルボニル基を含む形態でもよい〕。
【0201】
このようなヘテロ原子を含むR12としては、以下の基が挙げられる。

【0202】
としては、下記の基が挙げられる。式(A2−1)で表される基は単結合を表す。

【0203】
式(4)で表される基を含むモノマー(a6)としては、例えば、式(a6−1)で表されるモノマーが挙げられる。

式(a6−1)中、
13は、水素原子又はメチル基を表す。
11、R12及びAは、上記と同義である。
【0204】
式(a6−1)で表されるモノマーとしては、例えば、以下で表される化合物が挙げられる。

【0205】
樹脂(A)が、モノマー(a6−1)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0206】
好ましい樹脂(A)は、モノマー(a1)と、酸安定モノマー(a2)及び/又は酸安定モノマー(a3)とを重合させて得られる共重合体である。この好ましい共重合体において、モノマー(a1)として、上述のモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)の少なくとも1種を用いることが好ましく、モノマー(a1−1)を用いることがさらに好ましい。酸安定モノマー(a2)としては、酸安定モノマー(a2−1)が好ましく、酸安定モノマー(a3)としては、酸安定モノマー(a3−1)及び酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種が好ましい。
【0207】
樹脂(A)は、モノマー(a1)と、必要に応じて、酸安定モノマー(a2)〜(a6)からなる群より選ばれる酸安定モノマーとを用い、これらが上述のとおりの樹脂(A)の全構造単位に対する好適な含有量になるようにして使用量を調節した後、公知の重合法(例えばラジカル重合法)により製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは2,500以上であり、より好ましくは3,000以上である。該重量平均分子量の上限は50,000以下が好ましく、30,000以下がさらに好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
【0208】
<塩基性化合物(以下、「塩基性化合物(C)」という)>
本発明のレジスト組成物は、さらに、塩基性化合物(C)を含有していてもよい。「塩基性化合物」とは、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、既に説明した酸発生剤から発生する酸を捕捉する特性を有する化合物を意味し、当該技術分野ではクエンチャーといわれている。
【0209】
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えば、アミン及びアンモニウムヒドロキシドを挙げることができる。アミンは、脂肪族アミンでも、芳香族アミンでもよい。脂肪族アミンは、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンのいずれもよい。芳香族アミンは、アニリンのような芳香環にアミノ基が結合したものや、ピリジンのような複素芳香族アミンのいずれでもよい。好ましい塩基性化合物(C)として、以下の式(C2)で表される芳香族アミン、特に、以下の式(C2−1)で表されるアニリン類が挙げられる。

ここで、Arc1は、芳香族炭化水素基を表す。
c5及びRc6は、互いに独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である)、脂環式炭化水素基(好ましくは、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基である)又は芳香族炭化水素基(好ましくは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である)を表す。
c7は、脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である。)、炭素数1〜6のアルコキシ基、脂環式炭化水素基(好ましくは、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数5〜10のシクロアルキル基である。)、芳香族炭化水素基(好ましくは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。)又はニトロ基を表す。
c5〜Rc7における脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基にある水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アミノ基はさらに、炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい。
m3は0〜3の整数を表す。m3が2以上のとき、複数のRc7は、互いに同一でも異なってもよい。
【0210】
式(C2)で表される芳香族アミンは、例えば、1−ナフチルアミン及び2−ナフチルアミン等が挙げられる。
式(C2−1)で表されるアニリン類は、例えば、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン及びジフェニルアミン等が挙げられる。
【0211】
また、以下の式(C3)、式(C4)、式(C5)、式(C6)、式(C7)、式(C8)、式(C9)、式(C10)及び式(C11)のいずれかで表される化合物(以下、これらの化合物を、式番号に応じて、「化合物(C3)」〜「化合物(C11)」のように表記する)を用いてもよい。

【0212】
式中、
c8及びRc20、Rc21、Rc23〜Rc28は、互いに独立に、Rc7で説明したいずれかの基を表す。
c9〜Rc14、Rc16、Rc17、c18、Rc19及びRc22は、互いに独立に、Rc5及びRc6で説明したいずれかの基を表す。
c15は、脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である)、脂環式炭化水素基(好ましくは、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基である)又はアルカノイル基(好ましくは、炭素数2〜6のアルカノイル基である)を表す。
o3、p3、q3、r3、s3、t3及びu3は、互いに独立に0〜3の整数を表す。o3が2以上であるとき、複数のRc20は互いに同一でも異なってもよく、p3が2以上であるとき、複数のRc21は互いに同一でも異なってもよく、q3が2以上であるとき、複数のRc24は互いに同一でも異なってもよく、r3が2以上であるとき、複数のRc25は互いに同一でも異なってもよく、s3が2以上であるとき、複数のRc26は互いに同一でも異なってもよく、t3が2以上であるとき、複数のRc27は互いに同一でも異なってもよく、u3が2以上であるとき、複数のRc28は互いに同一でも異なってもよい。
n3は0〜8の整数を表す。n3が2以上のとき、複数のRc15は、互いに同一でも異なってもよい。
c1及びLc2は、互いに独立に、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6程度のアルキレン基である)、カルボニル基、−C(=NH)−、−C(=NRc3)−(但し、Rc3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す)、硫黄原子、ジスルフィド結合(−S−S−)又はこれらの組合せを表す。
【0213】
化合物(C3)としては例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等も用いることができる。
【0214】
化合物(C4)としては例えば、ピペラジン等が挙げられる。
化合物(C5)としては例えば、モルホリン等が挙げられる。
化合物(C6)としては例えば、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
化合物(C7)としては例えば、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
化合物(C8)としては例えば、イミダゾール及び4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
化合物(C9)としては例えば、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
化合物(C10)としては例えば、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン及び2,2’−ジピコリルアミン等が挙げられる。
化合物(C11)としては例えば、ビピリジン等が挙げられる。
【0215】
アンモニウムヒドロキシドとしては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等のアンモニウム塩が挙げられる。
【0216】
本発明のレジスト組成物に用いる塩基性化合物(C)としては、これらの中でもジイソプロピルアニリンが好ましく、2,6−ジイソプロピルアニリンが特に好ましい。
【0217】
<溶剤(以下、「溶剤(D)」という)>
本発明のレジスト組成物は、通常、溶剤(D)を含むことが好ましい。かかる溶剤(D)は、用いる塩(I)の種類及びその量と、樹脂(A)の種類及びその量と、酸発生剤(B)の種類及びその量とに応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上に本レジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
【0218】
好適な溶剤(D)の例としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン等の環状エステル類を挙げることができる。溶剤(D)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0219】
<その他の成分>
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、上記以外の構成成分(以下「成分(F)」という場合がある)を含んでいてもよい。成分(F)としては、特に限定はなく、当該技術分野で公知の添加剤、例えば、樹脂(A)以外の高分子化合物、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料等が挙げられる。
【0220】
<本発明のレジスト組成物及びその調製方法>
本発明のレジスト組成物は、塩(I)、樹脂(A)及び任意に溶剤(D)を混合して調製することができる。さらに、必要に応じて酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及び/又は成分(F)を混合してもよい。塩基性化合物(C)を混合することが好ましい。かかる混合において、その混合順は任意であり、特に限定されるものではない。
混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、用いる塩(I)等の種類や塩(I)等の溶剤(D)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。
混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。
なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。
本発明のレジスト組成物を調製する際に用いる各成分の使用量を選択することにより、本発明のレジスト組成物中の各成分の含有量を調節することができる。
【0221】
溶剤(D)の含有量は、本レジスト組成物総質量に対して90質量%以上が好ましく、より好ましくは92質量%以上であり、さらに好ましくは94質量%以上であり、99.9質量%以下が好ましく、より好ましくは99質量%以下である。このような含有量で溶剤(D)を含む本発明のレジスト組成物は、レジストパターンの製造において、厚み30〜300nm程度の組成物層を形成しやすい。
【0222】
本発明のレジスト組成物における樹脂(A)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総質量に対して、80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
なお本明細書において「組成物の固形分」とは、後述する溶剤(D)を除いたレジスト組成物成分の合計を意味する。例えば、溶剤(D)の含有量が90質量%である本発明のレジスト組成物において、レジスト組成物の固形分は10質量%に相当する。組成物の固形分及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上である。また、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。
塩基性化合物(C)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総質量に対して、0.01〜1質量%程度であると好ましい。なお、塩基性化合物(C)の含有量は、塩(I)及び酸発生剤(B)の合計含有量よりも低くしておくことが好ましい。
【0223】
これら溶剤(D)、塩(I)、樹脂(A)、酸発生剤(B)及び塩基性化合物(C)の各々の好適な含有量は、本レジスト組成物を調製する際の各々の使用量により制御可能である。本レジスト組成物を調製した後には、該本レジスト組成物を、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の公知の分析手段に供して求めることもできる。
【0224】
なお、成分(F)を本発明のレジスト組成物に用いる場合には、当該成分(F)の種類に応じて、適切な含有量を調節可能である。
【0225】
このように、塩(I)、樹脂(A)、溶剤(D)、酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)又は成分(F)の各々を好ましい含有量で混合した後は、孔径0.01〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過するが好ましい。
【0226】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含む。
【0227】
工程(1)における本発明のレジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、塗布膜の膜厚が調整可能であり、適切な予備実験等を行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本発明のレジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本発明のレジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成したりすることもできる。この反射防止膜の形成には、例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0228】
工程(2)においては、基板上に塗布された本発明のレジスト組成物、すなわち塗布膜を乾燥させて、溶剤(D)を除去する。このような乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせることにより行われる。乾燥条件は、本発明のレジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択でき、例えば、ホットプレートを用いる加熱手段では、ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にして行うことが好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。これにより、基板上に組成物層を形成することができる。
【0229】
工程(3)は、得られた組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて露光する工程である。露光には、微細加工を実施しようとする所望のパターンが形成されたマスク(フォトマスク)を介して行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。また、露光機は液浸露光機であってもよい。また、露光機は、電子線、超紫外光(EUV)を照射するものであってもよい。本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。
マスクを介して露光することにより、組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる塩(I)及び酸発生剤(B)が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸の作用により、樹脂(A)にある酸不安定基が脱保護反応により親水性基を生じるため、露光部の組成物層にある樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けないため、樹脂(A)はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。露光により、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性を著しく相違させることができる。
【0230】
工程(4)では、露光後の組成物層に加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)が行われる。加熱処理は前記工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段等が好ましい。工程(4)においてホットプレートを用いる加熱手段を行う場合、ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。当該加熱処理により、上記脱保護反応が促進される。
【0231】
工程(5)は、加熱後の組成物層を現像する工程であり、好ましくは、加熱後の組成物層を現像装置により現像するものである。現像する工程で、加熱後の組成物層をアルカリ水溶液と接触させると、露光部の組成物層は該アルカリ水溶液に溶解して除去され、未露光部の組成物層は基板上に残るため、当該基板上にレジストパターンが製造される。
前記アルカリ水溶液としては、「アルカリ現像液」と称される本技術分野で公知のものを用いることができる。アルカリ水溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液や(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
【0232】
現像後、製造されたレジストパターンは、好ましくは超純水等でリンス処理を行うことが好ましい。さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去することが好ましい。
【0233】
<用途>
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)照射用のレジスト組成物又はEUV露光機用のレジスト組成物、さらに液浸露光用のレジスト組成物として好適である。
【実施例】
【0234】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部は」、特記しないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。なお、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーの分析条件は下記のとおりである。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0235】
化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用い、分子ピークを測定することで確認した。以下の実施例ではこの分子ピークの値を「MASS」で示す。
【0236】
実施例1:式(I1)で表される塩の合成

【0237】
式(I1−a)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(I1−a)で表される塩5.00部及びクロロホルム25部を仕込み、30℃で30分間攪拌し、式(I1−b)で表される化合物1.83部を仕込み、60℃で1時間攪拌することにより、式(I1−c)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0238】

【0239】
得られた式(I1−c)で表される化合物を含む溶液に、式(I1−d)で表される化合物(製品名:HTCDBE ロット:B00−01 NECより入手)2.85部を仕込み、23℃で3時間攪拌した。得られた反応マスに、イオン交換水12.5部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル30.75部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をアセトニトリルに溶解し、濃縮した。その後、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル24.23部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I1)で表される塩2.23部を得た。
【0240】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 435.1
【0241】
実施例2:式(I2)で表される塩の合成

テトラヒドロフラン10部を仕込み、0℃で1時間攪拌した。冷却されたテトラヒドロフランに、リチウムアルミニウムハイドライド0.68部を添加し、次いで、式(I2−a)で表される化合物5.00部をテトラヒドロフラン25部に溶解した溶液を、30分かけて添加した。更に、テトラヒドロフラン20部を添加し、23℃まで昇温し、23℃で3時間攪拌した。得られた反応液に、テトラヒドロフラン10部を仕込み、0℃で1時間攪拌した。得られた反応液に、リチウムアルミニウムハイドライド0.68部を添加し、23℃まで昇温し、23℃で5時間攪拌した。得られた反応液に、10℃以下に冷却しながら、6N塩酸20部を添加し、30分間攪拌した。その後、tert−ブチルメチルエーテル30部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を3回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル29.35部を加えて攪拌し、濃縮することにより、式(I2−b)で表される化合物2.66部を得た。
【0242】

【0243】
式(I1−a)で表される塩5.00部及びクロロホルム25部を仕込み、30℃で30分間攪拌し、式(I1−b)で表される化合物1.83部を仕込み、60℃で1時間攪拌することにより、式(I1−c)で表される化合物を含む溶液を得た。
得られた式(I1−c)で表される化合物を含む溶液に、式(I2−b)で表される化合物2.13部を仕込み、23℃で3時間攪拌した。得られた反応マスに、イオン交換水12.5部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル25.45部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をアセトニトリルに溶解し、濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル21.69部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I2)で表される塩1.96部を得た。
【0244】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 365.1
【0245】
実施例3:式(I3)で表される塩の合成

【0246】
式(I3−a)で表される塩10.96部及びアセトニトリル65.76部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I1−b)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I3−b)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0247】

【0248】
得られた式(I3−b)で表される化合物を含む溶液に、式(I2−b)で表される化合物4.76部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル80部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル60部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I3)で表される塩12.59部を得た。
【0249】
MS(ESI(+)Spectrum):M 305.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 365.1
【0250】
実施例4:式(I4)で表される塩の合成

【0251】
式(I4−a)で表される化合物50.00部及びテトラヒドロフラン250部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した。その後、トリメチルシリルクロリド50.23部を滴下した。得られた混合液を0℃まで冷却し、式(I4−b)で表される化合物(純度32% 東京化成製)157.20部を30分かけて滴下した。さらに、23℃まで昇温し、同温度で1時間攪拌した。得られた反応混合物に、1N塩酸125部を仕込み、攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。回収された水層に、tert−ブチルメチルエーテル125部を加えて攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。回収された水層に、クロロホルム125部を加えて攪拌・静置し、分液することで有機層を回収した。回収された有機層をろ過した後、得られたろ液を濃縮した。濃縮残渣に、アセトニトリル28.33部及びtert−ブチルメチルエーテル354.15部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、析出した結晶をろ過することにより、式(I4−c)で表される化合物53.00部を得た。
【0252】

式(I4−d)で表される化合物13.12部及びクロロホルム73.86部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌し、式(I4−c)で表される塩20.71部及びイオン交換水62.27部を添加した。次いで、35%塩酸6.90部を滴下した後、23℃で12時間攪拌した。得られた反応混合物に、28%アンモニア水12.00部を滴下した後、分液することで有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水50部を仕込み、攪拌、静置及び分液といった水洗操作を計5回行った。得られた有機層に活性炭2.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル30部及びtert−ブチルメチルエーテル150部を加えて攪拌し、ろ過することにより、式(I4−e)で表される塩14.28部を得た。
【0253】

【0254】
式(I4−e)で表される塩10.32部及びアセトニトリル61.91部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I1−b)で表される化合物4.44部を仕込んだ。これを50℃で1時間攪拌することにより、式(I4−f)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(I4−f)で表される化合物を含む溶液に、式(I2−b)で表される化合物4.76部を仕込み、50℃で3時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム120部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル40部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル70部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I4)で表される化合物12.05部を得た。
【0255】
MS(ESI(+)Spectrum):M 277.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 365.1
【0256】
(樹脂(A)の合成)
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。

【0257】
〔樹脂A1の合成〕
モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(D):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%となるように添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより精製し、重量平均分子量が約8.1×10である共重合体を収率65%で得た。この共重合体は、モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A1とする。

【0258】
〔樹脂A2の合成〕
モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%との割合で添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過・回収した。さらに、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約7.8×10である共重合体を収率68%で得た。この共重合体は、モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2とする。

【0259】
〔樹脂A3の合成〕
モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(B):モノマー(C)〕が、50:25:25となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過・回収した。さらに、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約9.2×10である共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)に各々由来する、以下の各モノマーから導かれる構造単位を有するものであり、これを樹脂A3とする。

【0260】
実施例5〜13及び比較例1
<レジスト組成物の調製>
合成例1で得られた樹脂A1、樹脂A2又は樹脂A3と、以下に示す酸発生剤と、以下に示すクエンチャーとを表1に示す質量部で、以下に示す溶剤と混合した。得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0261】
【表1】

【0262】
<樹脂>
樹脂A1〜A3
<酸発生剤>
酸発生剤I1:式(I1)で表される塩
酸発生剤I2:式(I2)で表される塩
酸発生剤I3:式(I3)で表される塩
酸発生剤I4:式(I4)で表される塩
酸発生剤B1:

酸発生剤B2:

【0263】
<塩基性化合物:クエンチャー>
クエンチャーC1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0264】
<レジストパターンの製造及びその評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。この有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を、乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)して、組成物層を形成した。
組成物層(レジスト組成物膜)を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。尚、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0265】
各レジスト組成物からのレジストパターン形成において、50nmのラインアンドスペースパターンの線幅が1:1となる露光量を実効感度とした。
得られたレジストパターンについて、以下の項目を評価した。
【0266】
<ラインエッジラフネス評価(LER)>
実効感度で得られたレジストパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察し、レジストパターンの側壁の凹凸の振れ幅(LER)が、
3.5nmを超え、4nm以下であるものを◎
4nmを超え、4.5nm以下であるものを○、
4.5nmを超えるものを×とした。
以上のようにして求められたラインエッジラフネス評価(LER)の結果を、上述の水準評価で表し、かつ、カッコ内にLER(nm)を数値で記した。結果を表2に示す。
【0267】
【表2】

【0268】
式(I)で表される塩を含有する本発明のレジスト組成物は、そのラインエッジラフネス(LER)が「○」又は「◎」の結果であり、ラインエッジラフネス(LER)が良好なレジストパターンを製造できた。一方、塩(I)を含まない比較例1のレジスト組成物は、ラインエッジラフネス(LER)が不良(×)であった。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本発明の式(I)で表される塩及び該式(I)で表される塩を含むレジスト組成物は、ラインエッジラフネスに優れ、特に、半導体の微細加工に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される塩。

[式(I)中、
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、ヒドロキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基又は炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基を表す。
sは、1〜3の整数を表す。
は、有機対イオンを表す。]
【請求項2】
前記Lが、*−CO−O−(CHt−(tは0〜6の整数を表す。*は、−C(Q)(Q)−との結合手を表す。)である請求項1記載の塩。
【請求項3】
前記Rが、ヒドロキシ基又はt−ブトキシカルボニル基である請求項1又は2記載の塩。
【請求項4】
前記Zが、アリールスルホニウムカチオンである請求項1〜3のいずれか記載の塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の塩を含有する酸発生剤。
【請求項6】
請求項5記載の酸発生剤と樹脂とを含有し、該樹脂は酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であるレジスト組成物。
【請求項7】
さらに塩基性化合物を含有する請求項6記載のレジスト組成物。
【請求項8】
(1)請求項6又は7記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の前記レジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)該組成物層を、露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−97073(P2012−97073A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201665(P2011−201665)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】