説明

変位検出器

【課題】 板ばねの撓みによる横ずれを抑制し、変位検出を正確にできる変位検出器を提供すること。
【解決手段】 板ばね221A〜Dによって対物レンズ1を光軸方向に変位させる構成の合焦点式変位検出器において、対物レンズ1の横ずれを補正するための板ばね311A〜Dが設けられる。板ばね221A〜Dが撓められると、対物レンズ1は光軸方向と垂直な方向に横ずれするが、このとき、板ばね311A〜Dを撓めることによって、横ずれを相殺する。横ずれを相殺することによって、対物レンズ1の軌道を正確に光軸方向と一致させることができるので、光源から出射され対物レンズ1を通じて被測定物W上に照射される光の照射位置が所期の照射位置Pからずれることがない。そのため、被測定物Wの表面形状が対物レンズ1の光軸に対して大きく傾斜している場合であっても、変位検出を正確にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変位検出器としては、合焦点式変位検出器というものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
合焦点式変位検出器は、光源と、光源からの光を被測定物に照射する対物レンズと、被測定物からの反射光を受光し、その受光情報から対物レンズと被測定物との間の距離を検知する受光素子と、受光素子から出力される信号に基づいて対物レンズを光軸方向に変位させ、対物レンズと被測定物との間の距離を対物レンズの焦点距離と等しくする対物レンズ駆動機構と、このときの対物レンズの光軸方向に沿った変位を検出する変位検出手段とを備えて構成される。
このような構成の合焦点式変位検出器においては、対物レンズと被測定物との間の距離が常に焦点距離と同一に保たれようになっているから、被測定物の表面に凹凸があると、それに応じて対物レンズが光軸方向に変位される。この変位は変位検出手段によって検出されるから、被測定物の表面形状を測定できる。
ここで、対物レンズ駆動機構は、互いに平行配置された一対の平行板ばねを備えて構成され、一方の板ばねには対物レンズが取り付けられる。平行板ばねの撓み方向は対物レンズの光軸方向と一致しており、平行ばねが撓められると、対物レンズが光軸方向に変位されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−293009号公報(図1、3、4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、平行板ばねを用いた対物レンズ駆動機構では、対物レンズの変位方向が光軸方向と厳密には一致されない。すなわち、平行板ばねは基端を支持部として略円弧状に撓められるから、対物レンズの軌道は略円弧曲線状となってしまう。そのため、この対物レンズ駆動機構によると、対物レンズは光軸方向に変位されると同時に、光軸方向に対して垂直な方向にも変位(以下、横ずれ、という)されてしまう。横ずれが生じると、対物レンズを通じて被測定物に照射される光の照射位置が所期の照射位置から横にずれてしまうから、被測定物の表面形状を正確に測定できない。特に、被測定物の表面形状が対物レンズの光軸方向に対して大きく傾斜している場合には、光の照射位置が所期の照射位置からずれることによって、大きな測定誤差が生じてしまう。
【0005】
本発明の目的は、測定手段の横ずれに伴う変位検出誤差の発生を防止し、変位検出を正確にできる変位検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の変位検出器は、基端を支持部として撓むことができる第一の可撓部材と、この第一の可撓部材の先端部に取り付けられ被測定物の測定に関与する測定手段と、前記第一の可撓部材の撓み方向に沿った前記測定手段の変位を検出する変位検出手段とを備える変位検出器において、前記第一の可撓部材と前記測定手段との間には補正手段が設けられ、この補正手段は、前記第一の可撓部材の撓み方向に対して直交し、かつ、前記第一の可撓部材の両端を結ぶ方向に沿って前記測定手段と前記第一の可撓部材とを相対移動させる相対移動機構と、前記測定手段の相対移動量を制御する制御手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
この変位検出器による変位検出時には、測定手段と被測定物との間の距離が一定に保たれるように第一の可撓部材が撓められることによって、測定手段が被測定物の表面形状の凹凸に応じて変位される。この変位が変位検出手段によって検出されることにより、被測定物の表面形状の測定がなされる。
ここで、第一の可撓部材の撓みだけを利用して測定手段を変位させると、前記のように測定手段は横ずれしてしまう。すなわち、第一の可撓部材は基端を支持部として略円弧状に撓められるから、測定手段の軌道も略円弧曲線状となってしまい、横ずれが生じる。
これに対して、本発明では、補正手段によって横ずれを相殺できる。すなわち、補正手段は、制御手段による制御の下に測定手段を第一の可撓部材に対して所定量相対移動させ、横ずれを相殺する。
これによって、第一の可撓部材が撓められる際における測定手段の軌道は直線状となり、その方向は、第一可撓部材の撓み方向と厳密に一致されることとなる。従って、この発明によれば、測定手段の横ずれに伴う測定誤差の発生を防止でき、変位検出を正確にできる。
【0008】
本発明では、前記相対移動機構は、一端が前記第一の可撓部材の先端部に取り付けられるとともに他端が前記測定手段に取り付けられ、前記相対移動方向に撓むことができる第二の可撓部材を備えて構成されることが好ましい。
この発明では、前記制御手段の制御の下で第二の可撓部材が撓められることにより、測定手段の横ずれが相殺される。
【0009】
また、本発明では、前記第一の可撓部材は、所定間隔隔てて互いに平行に配置される第一の平行板ばねと、この第一の平行板ばねの基端部が固定される固定部材と、前記第一の平行板ばねの先端部を連結する連結部材とを備えて構成され、前記第二の可撓部材は、所定間隔隔てて互いに平行に配置されるとともに、一端部が前記第一の可撓部材の先端部に取り付けられ、他端部が前記測定手段に取り付けられる第二の平行板ばねを備えて構成されることが好ましい。
【0010】
本発明では、第一および第二の可撓部材が、いわゆる平行板ばね機構として構成されている。平行板ばね機構を用いると、平行板ばねを撓めて測定手段を変位させる際に、その姿勢を一定に保つことができる。これは、平行板ばねを構成する両板ばねが、互いに一定の間隔を保ったまま、互いに同形状に撓められるためである。
本発明によれば、測定手段の姿勢が一定に保たれるので、測定を精度良くできる。
【0011】
また、本発明では、前記補正手段は、前記第一の可撓部材の撓み方向に対して直交し、かつ、前記第一の可撓部材の両端を結ぶ方向に沿った前記測定手段の位置を感知する位置感知手段を備え、前記制御手段は、前記位置感知手段で感知される前記測定手段の位置が所定の基準位置と一致されるように前記測定手段を前記第一の可撓部材に対して相対移動させることが好ましい。
【0012】
この発明では、第一の可撓部材が撓むことによって測定手段に横ずれが生じると、位置感知手段がそれを感知する。制御手段は、位置感知手段からの情報を基に測定手段を相対移動させて所定の基準位置と一致させることにより、横ずれを相殺する。
この発明によれば、横ずれが生じても、これを自動的に、かつ、迅速に相殺できるから、変位検出誤差の発生をより効果的に防止できる。
【0013】
また、本発明では、前記位置感知手段は、前記測定手段に取り付けられる一方の電極と、移動不可能に設けられ前記一方の電極に対向される他方の電極とを備え、前記一方の電極と前記他方の電極との間の静電容量を通じて前記測定手段の位置を感知し、前記一方および他方の電極は、前記測定手段の相対移動方向を法線方向とする板状の電極であり、前記一方の電極が前記第一の可撓部材の撓み方向に沿って変位される際に、前記一方の電極と前記他方の電極との間の対向面積が一定に保たれるように、前記第一の可撓部材の撓み方向に沿った前記一方の電極の長さ寸法が、当該方向に沿った前記他方の電極の長さ寸法よりも、所定寸法以上長く、あるいは、所定寸法以上短くされていることが好ましい。
【0014】
この発明の位置感知手段によれば、以下に詳しく説明するように、第一の可撓部材の撓み方向に沿った測定手段の変位を感知することなく、当該方向に直交する横ずれ方向に沿った変位のみを感知できる。変位検出時には、第一の可撓部材が撓められ、測定手段は、互いに直交する2方向、すなわち、第一の可撓部材の撓み方向と横ずれ方向とに同時に変位されることになるから、本発明の位置感知手段としては、この2方向の変位のうち横ずれ方向の変位のみを選択的に感知できる構成のものであることが必要である。
【0015】
まず、この発明では、一方および他方の電極の法線方向が測定手段の相対移動方向、すなわち、横ずれ方向と一致している。測定手段が横ずれ方向に変位すると、両電極間の距離が変化して静電容量が変化する。したがって、この発明の位置感知手段によれば、静電容量の変化を通じて、測定手段の横ずれ方向に沿った変位を感知できる。
【0016】
次に、測定手段が第一の可撓部材の撓み方向に沿って変位した際に、当該変位が位置感知手段において感知されないということを説明する。以下、一例として、第一の可撓部材の撓み方向に沿った一方の電極の長さ寸法を、当該方向に沿った他方の電極の長さ寸法よりも、所定寸法以上短くした場合について説明する。以下の説明は、当該方向に沿った一方の電極の長さ寸法を、他方の電極の長さ寸法よりも、所定寸法以上長くした場合にも、ほとんどそのまま当てはまる。なお、以下の説明において、簡略化のため、第一の可撓部材の撓み方向を縦方向と称し、測定手段の横ずれ方向を横方向と称することにする。
【0017】
測定手段が縦方向に変位されると、一方の電極も縦方向に変位される。このとき、一方および他方の電極の法線方向が横方向であるので両電極間の距離は一定に保たれる。
さらに、一方および他方の電極の縦方向寸法に所定の差があることにより、一方の電極が縦方向に変位された場合であっても、短寸の一方の電極の電極面全体を、長寸の他方の電極の電極面に対向させておくことができ、両電極の対向面積を一定に保つことができる。なお、このときの両電極の対向面積は、短寸の一方の電極の電極面積に等しい。
以上のように、測定手段が縦方向に変位されても、一方の電極と他方の電極間との距離および対向面積が一定に保たれるので、両電極間の静電容量が一定に保たれる。したがって、位置感知手段は測定手段の縦方向の変位を感知することがない。
【0018】
以上のように、本発明によれば、一方の電極と他方の電極との間に所定寸法差を設けるという簡便な手段によって、測定手段の縦方向の変位を感知することなく、横方向の変位のみを感知できる位置感知手段を構成できる。そのため、簡素かつ安価な変位検出器を提供できる。
【0019】
なお、本発明において、「所定寸法以上長い」あるいは「所定寸法以上短い」、というときの、所定寸法とは、一方の電極が縦方向における一方の可動限界から他方の可動限界まで変位される間において、一方の電極と他方の電極との間の対向面積が一定に保たれるような寸法差をいうものとする。
【0020】
また、本発明では、前記測定手段は、被測定物に対向されるレンズであり、このレンズを通して被測定物に光を照射する光源と、被測定物からの反射光を受光する受光素子と、この受光素子における受光情報が所定の基準情報と一致されるように前記第一の可撓部材を撓めて前記レンズを変位させるレンズ駆動手段とが設けられることが好ましい。
【0021】
この発明では、受光素子での受光情報が所定の基準情報と一致されるようにレンズが変位され、レンズと被測定物との間の距離が一定に保たれるようになっている。レンズは被測定物の表面形状の凹凸に応じて光軸方向に変位され、この変位は変位検出手段によって検出されるから、被測定物の表面形状を測定できる。
なお、受光素子での受光情報および基準情報としては、例えば、受光素子における受光パターン、受光素子における受光量、に関する情報を採用できる。
また、被測定物からの反射光を二分割するエッジミラー等の二分割光学素子と、一方の分割光を受光する一方の受光素子と、他方の分割光を受光する他方の受光素子とを設けた場合には、一方の受光素子における受光量と他方の受光素子における受光量との差に関する情報を、受光情報および基準情報として採用できる。このときの基準情報は、「一方および他方の受光素子の受光量が一致し、その差が0である」旨の情報とするのが簡便である。この場合には、一方および他方の受光素子の受光量に差が生じると、その差をなくす(0にする)ようにレンズ駆動手段がレンズを変位させることになる。
また、基準情報は、特に、レンズと被測定物との間の距離がレンズの焦点距離に等しいときにおける受光素子での受光情報として設定するのが好ましい。このようにすれば、光源から出射される光がレンズによって被測定物表面の測定点上に集光されるから、表面形状の測定を高精度に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の合焦点式変位検出器の全体を示す斜視図である。図2は、当該合焦点式変位検出器の全体を示す正面図である。
これらの図において、合焦点式変位検出器は、被測定物に対向され測定に関与する測定手段としての対物レンズ1と、対物レンズ1を駆動するレンズ駆動手段としての対物レンズ駆動機構2と、対物レンズ駆動機構2による駆動の際に生じる対物レンズ1の横ずれを補正するための補正手段としての横ずれ補正機構3とを備える。
対物レンズ1は、図2の上方に設けられる図示しない光源からの光を被測定物に照射するとともに、被測定物からの反射光を図2の上方に設けられる図示しない受光素子に導くための光学素子である。受光素子における受光情報は、対物レンズ1と被測定物との間の距離によって決定される。この受光情報が所定の基準情報と一致されるように対物レンズ駆動機構2が対物レンズ1を駆動する結果、対物レンズ1と被測定物との間の距離が一定に保たれる。そのため、対物レンズ1は、被測定物の表面形状に合わせて光軸方向に変位されることとなる。この変位は、図示しない変位検出手段によって検出されるので、この変位検出を通じて被測定物の表面形状を測定できる。なお、変位検出手段としては、静電容量式、光電式等のリニアスケールを用いればよい。
【0023】
対物レンズ駆動機構2は、本発明の第一の可撓部材としての平行板ばね機構21と、平行板ばね機構21における各板ばね211A〜Dを撓めることにより対物レンズ1を略光軸方向に駆動する一対の対物レンズ駆動ボイスコイル22とを備える。
【0024】
平行板ばね機構21は、同形同大の4枚の板ばね211A、B、C、Dを備える。各板ばね211A〜Dの法線方向、すなわち、撓み方向は対物レンズ1の光軸方向と一致している。板ばね211Aおよび211Bは、同一平面内に互いに平行に形成され、また、板ばね211Cおよび211Dも、同一平面内に互いに平行に形成されている。板ばね211Aと板ばね211Cとは、所定間隔隔てて互いに平行に、かつ、対向して配置されて本発明の第一の平行板ばねを構成しており、また、板ばね211Bと板ばね211Dとも、所定間隔隔てて互いに平行に、かつ、対向して配置されて本発明の第一の平行板ばねを構成している。したがって、平行板ばね機構21は、一対の平行板ばねを備えていることになる。
【0025】
各板ばね211A〜Dの基端部(図2においては左端部)は、移動不可能に設けられる直方体形状の固定ブロック212に固定される。固定ブロック212は、本発明の固定部材を構成している。板ばね211A、Bの基端部は、固定ブロック212の上面(図2中)における各端部に、取付板215Aによって固定され、また、板ばね211C、Dの基端部は、固定ブロック212における下面(図2中)における各端部に、取付板215Cによって固定される。
【0026】
板ばね211A、Bの先端部(図2においては右端部)は、移動可能に設けられる略直方体形状の可動ブロック213Aの上面(図2中)に、取付板215Bによって固定される。また、板ばね211C、Dの先端部は、移動可能に設けられる略直方体形状の可動ブロック213Bの下面(図2中)に、取付板215Dによって固定される。
可動ブロック213Aの下面と可動ブロック213Bの上面とは、4本の連結軸214によって互いに連結されている。各連結軸214は、前記各面の長方形状における各頂点部分同士を連結するものであり、その連結方向は、前記各面の法線方向、すなわち、対物レンズ1の光軸方向である。
なお、可動ブロック213A、可動ブロック213Bおよび各連結軸214は、板ばね211Aおよび板ばね211Cの先端部を連結させると同時に、板ばね211Bおよび板ばね211Dの先端部を連結させる本発明の連結部材を構成している。
【0027】
以上のような構成によって、各板ばね211A〜Dは、その基端部を支持部として撓むことができる。各板ばね211A〜Dが撓められると、連結軸214によって互いに連結された両可動ブロック213A、Bは互いに同方向に、かつ、同量だけ変位されることになる。
【0028】
なお、各可動ブロック213A、Bには、図2中上方に設けられる図示しない光源から被測定物に照射される光を通すとともに、被測定物からの反射光であって図2中上方に設けられる図示しない受光素子に向かう光を通す円形孔2131A、Bが、それぞれ穿設されている。この各円形孔の形状に合わせて、取付板215B、Dには、略半円形状の切欠2151B、Dが形成されている。
また、可動ブロック213Aの上面には板ばね211A、Bの撓み代を確保するための直方体形状の切欠2132Aが、可動ブロック213Bの下面には板ばね211C、D
の撓み代を確保するための直方体形状の切欠2132Bが、それぞれ形成されている。
【0029】
一対の対物レンズ駆動ボイスコイル22は、これに近接配置される図示しない磁石との磁気的な相互作用によって各板ばね211A〜Dを撓ませ、それによって、対物レンズ1を駆動するものである。すなわち、対物レンズ駆動ボイスコイル22に電流を流すと、対物レンズ駆動ボイスコイル22は、磁石からフレミングの左手の法則に従う電磁力を受け、変位される。対物レンズ駆動ボイスコイル22の巻き方向、すなわち、対物レンズ駆動ボイスコイル22の変位方向は各板ばね211A〜Dの撓み方向と一致されており、対物レンズ駆動ボイスコイル22が変位されると各板ばね211A〜Dは撓められる。
なお、各対物レンズ駆動ボイスコイル22は、各取付片221によって、可動ブロック213Aの前面および後面(図1中)に取り付けられている。
【0030】
横ずれ補正機構3は、本発明の第二の可撓部材としての平行板ばね機構31と、平行板ばね機構31における各板ばね311A〜Dを撓めることにより、平行板ばね機構21における各板ばね211A〜Dの撓み方向(以下、縦方向、という)に対して直交し、かつ、各板ばね211A〜Dの両端を結ぶ方向(以下、横方向、という)に沿って対物レンズ1を変位させる横ずれ制御用ボイスコイル32と、対物レンズ1の横方向に沿った位置を感知する位置感知手段としての静電容量式変位検出センサ33と、静電容量式変位検出センサ33で感知される対物レンズ1の位置情報に基づいて横ずれ制御用ボイスコイル32に流れる電流の制御を行う制御手段としての横ずれ監視制御部34(図1、2では図示せず)とを備える。
【0031】
平行板ばね機構31は、同形同大の4枚の板ばね311A、B、C、Dを備える。各板ばね311A〜Dの法線方向、すなわち、撓み方向は横方向とされる。板ばね311Aおよび311Bは、同一平面内に互いに平行に形成されており、また、板ばね311Cおよび311Dも、同一平面内に互いに平行に形成されている。板ばね311Aと板ばね311Cとは、所定間隔隔てて互いに平行に、かつ、対向して配置されて本発明の第二の平行板ばねを構成しており、また、板ばね311Bと板ばね311Dとも、所定間隔隔てて互いに平行に、かつ、対向して配置されて本発明の第二の平行板ばねを構成している。したがって、平行板ばね機構31は、一対の平行板ばねを備えていることになる。
【0032】
板ばね311A、Bの上端部は、可動ブロック213Bの右側面(図2中)に、取付板314Aによって固定され、また、板ばね311C、Dの上端部は、可動ブロック213Bの左側面(図2中)に、取付板314Cによって固定される。
【0033】
また、板ばね311A、Bの下端部は、可動ブロック312右側面(図2中)に、取付板314Bによって固定され、板ばね311C、Dの下端部は、可動ブロック312の左側面(図2中)に、取付板314Dによって固定される。
【0034】
可動ブロック312には縦方向の円形孔3121が穿設される。この円形孔3121には対物レンズ1が嵌め込まれている。このような構成において、図2における上方に設けられる前記光源からの光は、対物レンズ1の上面に照射されるようになっており、この光は対物レンズ1によって屈折されて被測定物に照射される。また、被測定物からの反射光は、対物レンズ1によって屈折された後、図2における上方に設けられる前記受光素子へ向かって進行される。
【0035】
なお、以上の構成において、対物レンズ1は、本発明の第一の可撓部材としての平行板ばね機構21の先端部に、本発明の第二の可撓部材としての平行板ばね機構31を間に介して間接的に取り付けられていることになる。対物レンズ1は、平行板ばね機構31の各板ばね311A〜Dが撓められることによって、平行板ばね機構21に対して相対移動可能になっており、本発明の相対移動機構が構成されていることになる。ここで、対物レンズ1と平行板ばね機構21との間の相対移動方向は横方向である。
【0036】
なお、可動ブロック312の右側面、左側面(図2中)には、各板ばね311A、B、C、Dの撓み代を確保するための直方体形状の切欠3122A、Cがそれぞれ形成され、また、可動ブロック213Bの右側面には、板ばね311A、Bの撓み代を確保するための直方体形状の切欠2133Bが形成されている。なお、可動ブロック213Bの左側面に形成される前記の切欠2132Bは、前記のように板ばね211C、Dの撓み代を確保する役割を果たすと同時に、板ばね311C、Dの撓み代を確保する役割も果たしている。
また、可動ブロック312は、縦方向および横方向の双方に対して垂直な方向(図2中紙面に垂直な方向)に沿って長尺の突出部3123を有する。突出部3123は、直方体形状であり、可動ブロック312の前面(図2中)から突出されている。
【0037】
横ずれ制御用ボイスコイル32は、取付板314Bに取り付けられ、近接配置される図示しない磁石との磁気的な相互作用によって各板ばね311A〜Dを撓ませ、それによって、対物レンズ1を横方向に変位させるものである。すなわち、横ずれ制御用ボイスコイル32に電流を流すと、横ずれ制御用ボイスコイル32は、磁石からフレミングの左手の法則に従う電磁力を受け、変位される。横ずれ制御用ボイスコイル32の巻き方向、すなわち、横ずれ制御用ボイスコイル32の変位方向は、横方向と一致されている。そして、横ずれ制御用ボイスコイル32が横方向に変位されると各板ばね311A〜Dは横方向に撓められる。
【0038】
静電容量式変位検出センサ33は、可動ブロック312における突出部3123の先端部の右側面および左側面(図2中)に一枚ずつ配置される板状の可動電極331A、Bと、移動不可能に設けられる固定ブロック333に取り付けられ可動電極331Aと対向される板状の固定電極332Aと、固定ブロック333に取り付けられ可動電極331Bと対向される板状の固定電極332Bとを備えて構成される。各可動電極331A、Bと、各固定電極332A、Bとの間の静電容量の変化から、対物レンズ1の横方向の変位が検出される。
なお、可動電極331A、Bは、本発明の一方の電極を構成し、固定電極332A、Bは、本発明の他方の電極を構成する。また、両可動電極331A、Bは、可動ブロック312を介して対物レンズ1に取り付けられていることになる。
固定ブロック333は、平面略コの字形状で、突出部3123を囲むように配置されており、その各端部における突出部3123と対向される側の面に各固定電極332A、Bが取り付けられている。
【0039】
可動電極331A、B、固定電極332A、Bは、いずれも横方向を法線方向とする長方形状の板電極であり、当該長方形状における一辺は縦方向を向いて形成されている。両可動電極331A、Bは互いに同形であり、また、両固定電極332A、Bも互いに同形である。両固定電極332A、Bの縦方向の長さ寸法は、両可動電極331A、Bの縦方向の長さ寸法よりも所定寸法以上長くなっている。ここで、「所定寸法以上」というときの所定寸法とは、両可動電極331A、Bの縦方向に沿った可動ストローク長と等しい寸法として定義される。したがって、両固定電極332A、Bの縦方向の長さ寸法は、両可動電極331A、Bの縦方向の長さ寸法と両可動電極331A、Bの縦方向の可動ストローク長との和以上の長さ寸法である。
【0040】
このような構成によって、平行板ばね機構21における板ばね211A〜Dが縦方向に撓められるのに伴って両可動電極331A、Bが縦方向に変位される際、常に、各可動電極331A、Bの電極面全体を、各固定電極332A、Bの電極面に対向させた状態に保持しておくことができる。
つまり、前記の所定寸法差を設けることによって、両可動電極331A、Bが縦方向の可動範囲における上端まで移動されたときであっても、両可動電極331A、Bの上辺を両固定電極332A、Bの上辺よりも下方に位置させておくことができるとともに、両可動電極331A、Bが縦方向の可動範囲における下端まで移動されたときであっても、両可動電極331A、Bの下辺を、両固定電極332A、Bの下辺よりも上方に位置させておくことができる。このときの各可動電極331A、Bと、各固定電極332A、Bとの間の対向面積は、各可動電極331A、Bの電極面積と等しく、両可動電極331A、Bが縦方向に移動される間は常に一定である。
【0041】
また、両可動電極331A、Bが縦方向に移動される間は、各可動電極331A、Bと各固定電極332A、Bとの間の距離も一定に保たれるから、静電容量は変化しない。そのため、静電容量式変位検出センサ33は、両可動電極331A、Bの縦方向の変位を感知せず、従って、対物レンズ1の縦方向の変位を感知することがない。
【0042】
続いて、対物レンズ1が横方向に変位する場合について述べる。対物レンズ1が横方向に変位されると、両可動電極331A、Bも、横方向(図2では左右方向)に変位される。すると、各可動電極331A、Bと各固定電極332A、Bとの間の距離が変化され、静電容量が変化される。この静電容量の変化から、対物レンズ1の横方向の変位が検出される。本実施形態では、可動電極331Aと固定電極332Aとの間の静電容量、および、可動電極331Bと固定電極332Bとの間の静電容量の、二つの静電容量の変化を利用することにより、変位検出精度を向上させている。特に、両静電容量の差を通じて変位検出が行われる構成とすれば、センサ出力のドリフトを小さく抑え、高精度に測定することができる。
【0043】
以上のように、静電容量式変位検出センサ33においては、対物レンズ1が縦方向と横方向とに同時に変位される場合であっても、縦方向の変位は感知されずに横方向の変位のみが感知される。
【0044】
なお、本発明では、変位検出センサとして、静電容量式以外の方式のもの、例えば、光電式のものを用いることもできる。しかし、静電容量式の変位センサは、一般に他の方式の変位センサと比べて小型かつ高分解能であるので、コンパクトで高精度な変位検出器を構成するためには、静電容量式とするのが好ましい。
【0045】
図3に、平行板ばね機構21に対する対物レンズ1の横方向の相対移動量を制御するための方法をブロック図として示す。
横ずれ監視制御部34は、対物レンズ1の横方向に沿った位置情報を静電容量式変位検出センサ33から取得し、当該位置情報と対物レンズ1の所定の基準位置情報とを比較する。ここで、基準位置情報とは、対物レンズ1の横方向に沿った所定の基準位置に対応する位置情報をいう。また、この基準位置は、適宜自由に設定可能であるが、例えば、板ばね211A〜Dおよび311A〜Dのいずれもが撓められていない状態における対物レンズ1の横方向に沿った位置、であってもよい。
前記の比較の結果、対物レンズ1の横方向に沿った現在位置が、基準位置情報によって定められる基準位置からずれていると判断すると、横ずれ監視制御部34は所定の電流制御信号を出力し、横ずれ制御用ボイスコイル32に所定量、所定方向の電流を流し、対物レンズ1を横方向に所定量変位させ、基準位置と一致させる。
なお、横ずれ監視制御部34が静電容量式変位検出センサ33から取得する対物レンズ1の位置情報、および、横ずれ監視制御部34における前記基準位置情報としては、例えば、対物レンズ1の横方向に沿った位置座標数値に関する情報や、静電容量式変位検出センサ33における前記各静電容量の数値に関する情報などを採用できる。
以上のような構成により、対物レンズ1の横方向に沿った位置は常に基準位置と一致される。したがって、平行板ばね機構21における各板ばね211A〜Dが撓むことにより対物レンズ1に横ずれが生じても、横ずれ監視制御部34の制御の下、横ずれ制御用ボイスコイル32の駆動力により、対物レンズ1は横方向に所定量移動され、横ずれが相殺される。
【0046】
続いて、本実施形態の変位検出器を用いた被測定物の表面形状の測定について説明する。図4は、変位検出状態を示す正面図である。
この図において、Wは被測定物である。被測定物Wの表面形状の測定は、対物レンズ1と被測定物W上の測定点Pとの間の距離が対物レンズ1の焦点距離に等しくなるように対物レンズ1を光軸方向に変位させ、この変位を図示しない変位検出手段によって検出することにより行われる。このとき、図4において一点鎖線で示されるように、光源からの光は、対物レンズ1によって測定点P上に集光されていることになる。
【0047】
対物レンズ1は、平行板ばね機構21の各板ばね211A〜Dが縦方向(図4においては、上下方向)に撓められることによって、縦方向(光軸方向)に変位されると同時に横方向(図4においては、左右方向)に横ずれする。図4において、横ずれ量はδとして表示されている。対物レンズ1に横ずれδが生じると、被測定物W上における光の照射位置が、所期の照射位置Pから横にδだけずれてしまい、正確な表面形状を行うことができない。すなわち、このときの対物レンズ1の光軸は所期の光軸位置Lに対して左向きにδだけ移動された位置Lδにきてしまっており、光の照射位置(Pδ)はPと一致されない。特に、図4のように、被測定物Wの表面が対物レンズ1の光軸方向に対して大きく傾斜されている場合には、光の照射位置のずれによって発生する測定誤差が大きくなってしまう。
【0048】
横ずれδは、板ばね211A〜Dの長さをL、撓み量(縦方向)をXとして、δ=0.6×X/L、と表される。ここで、実際的なことを考慮して、|X|≦500μm、L=10mm、とすれば、δ≦δmax=15μm、である。一方、対物レンズ1と被測定物Wとの間の距離が焦点距離と略等しいときに、対物レンズ1によって被測定物Wの表面上の一点P上に集光されて生じる光点のサイズは1〜2μm程度である。このように、横ずれの最大値であるδmax(=15μm)は、光点のサイズ(=1〜2μm)の10倍程度にもなるから、正確な変位検出を行う上で横ずれが測定精度に与える影響を無視することはできない。
【0049】
そこで、本実施形態では横ずれ補正機構3によって対物レンズ1の横ずれを相殺し、測定精度の悪化を防止している。すなわち、静電容量式変位検出センサ33は、対物レンズ1の横ずれδを感知し、これに基づく対物レンズ1の位置情報を横ずれ監視制御部34に出力する。横ずれ監視制御部34は、当該位置情報を前記の基準位置情報と比較し、対物レンズ1が基準位置からδだけ横ずれしたことを認識する。そして、横ずれ監視制御部34は、対物レンズ1を横ずれδと同大逆向きに横方向変位させるための電流制御信号を横ずれ制御用ボイスコイル32に向けて出力し、横ずれ制御用ボイスコイル32には当該電流制御信号に基づく電流が流される。すると、横ずれ制御用ボイスコイル32で発生される駆動力によって、対物レンズ1は図4中右方向にδだけ横方変位されて横ずれδが相殺され、横方向に沿った位置が前記の基準位置と一致されることになる。
結果的に、対物レンズ1は、板ばね211A〜Dが撓められても横方向に変位されることはなく、光軸方向(縦方向)にのみ変位される。したがって、被測定物W上における光の照射位置を所期の測定位置(P)に一致できるから、測定精度の悪化を防止できる。
【0050】
本実施形態によれば、以下の作用・効果がある。
(1)横ずれ補正機構3によって対物レンズ1の横ずれを補正することで、対物レンズ1の軌道を縦方向に沿った完全な直線軌道とできる。そのため、被測定物W上における光の照射位置のずれを防止でき、高精度に測定できる。特に、図4のように、被測定物Wの表面形状が対物レンズ1の光軸方向に対して大きく傾斜されている場合であっても、測定誤差を小さく抑えることができる。
【0051】
(2)本実施形態では、対物レンズ1を横方向に変位させるために、簡素な板ばね311A〜Dを用いているから、変位検出器を簡素化できるとともに、安価に製造できる。
【0052】
(3)本実施形態では、本発明の第一および第二の可撓部材として平行板ばね機構21および31を採用している。平行板ばね機構を用いると、各板ばねを撓めて対物レンズ1を変位させる際に、対物レンズ1の姿勢を一定に保つことができ、その向きが傾いてしまうことがない(例えば、図4参照)。そのため、対物レンズ1による被測定物への光の照射を正確にでき、測定精度を高度に維持できる。
【0053】
(4)対物レンズ1が所定の基準位置から少しでも横ずれすると、自動的にその横ずれが相殺されるように対物レンズ1が横方向変位されるから、測定誤差の発生を効果的に、かつ、迅速に防止できる。
【0054】
(5)静電容量式変位検出センサ33は、板ばね211A〜Dが撓められるのに伴って対物レンズ1が縦方向と横方向とに同時に変位される場合、縦方向の変位を感知することなく横方向の変位(横ずれ)のみを感知できる。このことを実現するために、本実施形態では、縦方向に沿った可動電極331A、Bおよび固定電極332A、Bの長さ寸法を調整しているだけであるから、簡素な構成の変位検出器とできる。
【0055】
(6)平行板ばね機構21、31を用いると、対物レンズ1を変位させる際に摩擦抵抗が発生しない。対物レンズを光軸方向(本実施形態における縦方向)に直線的に変位させるための他の機構としては、例えば、対物レンズの直動ガイドを有する滑りガイド機構が考えられるが、当該機構においては、直動ガイドと対物レンズとの間に摩擦抵抗が発生してしまう。摩擦抵抗は、対物レンズの微小な位置決めをする際の障害となるから、当該機構を用いて精度の高い変位検出器を構成するのは困難である。これに対して、本実施形態では、摩擦抵抗がなく、対物レンズ1を滑らかに駆動できるとともに、正確に位置決めできる。そのため、動作性がよく、かつ、高精度の変位検出ができる変位検出器を提供できる。
【0056】
(7)本実施形態では、平行板ばね機構21によって対物レンズ1、可動ブロック213A、213B、312等を縦方向に変位させ、平行板ばね機構31によって対物レンズ1、可動ブロック312等を横方向に変位させる。縦方向と横方向とは互いに直交しているので、対物レンズ1、各可動ブロックの縦方向の動きと横方向の動きとは互いにほとんど干渉しない。そのため、対物レンズ1、各可動ブロックが連成振動するのを抑えることができる。連成振動が発生しやすい場合には、各平行板ばね機構21、31における各板ばね211A〜Dおよび311A〜Dが撓められ駆動力が発生されても、それに対する対物レンズ1、各可動ブロック等の応答性が悪くなり、動作性が悪化するおそれがある。応答性の悪化は、特に、系が連成振動における反共振状態にあるときに顕著であり、動作性を著しく阻害してしまう。これに対して、本実施形態では、連成振動の発生を抑えることができ、系が反共振状態となりにくくできるから、動作性の悪化を防止できる。
また、連成振動が発生しやすいと、対物レンズ1と各可動ブロック等との間に動きの干渉が生じてしまい、対物レンズ1を正確に駆動するのが困難である。これに対して、本実施形態では、連成振動の発生を抑え、対物レンズ1を正確に駆動し位置決めできるので、測定精度を向上できる。
【0057】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明は、前記実施形態で説明した合焦点式の変位検出器に利用できるだけでなく、それ以外の形式の変位検出器にも利用できる。例えば、被測定物に直接接触される接触プローブを有する接触式の変位検出器にも利用できるし、また、被測定物に直接接触されない非接触プローブを有する合焦点式以外の非接触式の変位検出器にも利用できる。非接触式の変位検出器としては、例えば、原子間力顕微鏡が挙げられる。
【0058】
また、前記実施形態では、固定電極332A、Bの縦方向の長さ寸法が、可動電極331A、Bの縦方向の長さ寸法よりも所定寸法以上長くなっていることとしていたが、本発明では、固定電極332A、Bの縦方向の長さ寸法が、可動電極331A、Bの縦方向の長さ寸法よりも所定寸法以上短くなっているのでもよい。ここでいう所定寸法も、前記実施形態と同様に、両可動電極331A、Bの縦方向の可動ストローク長と等しい寸法として定義される。このような構成によっても、可動電極331A、Bが縦方向に変位されても、短尺の各固定電極332A、Bの電極面全体を、長尺の各可動電極331A、Bに対向させておくことができる。そのため、両電極間の対向面積を一定に保つことができるから、両可動電極331A、Bが縦方向に移動されても、各可動電極331A、Bと各固定電極332A、Bとの間の静電容量は変化されない。従って、静電容量式変位検出センサ33は、対物レンズ1の縦方向の変位を感知することはなく、横ずれのみを感知できる。
【0059】
また、前記実施形態では、ボイスコイル22、32によって板ばね211A〜D、311A〜Dを撓めることとしていたが、本発明では、リニアモータ、電動機、圧電素子等、種々のアクチュエータによる駆動によって板ばねを撓めることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は変位検出器にかかり、合焦点式変位検出器、測長スケール、三次元測定機、測定顕微鏡、形状測定機、原子間力顕微鏡等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態にかかる合焦点式変位検出器を示す斜視図。
【図2】前記実施形態にかかる合焦点式変位検出器を示す正面図。
【図3】前記実施形態にかかる合焦点式変位検出器による横ずれ制御の方法を示すブロック図。
【図4】前記実施形態にかかる合焦点式変位検出器による変位検出状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0062】
1…対物レンズ
2…対物レンズ駆動機構
3…横ずれ制御機構
21…平行板ばね機構
31…平行板ばね機構
33…静電容量式変位検出センサ
34…横ずれ監視制御部
211A、B、C、D…板ばね
311A、B、C、D…板ばね
331A、B…可動電極
332A、B…固定電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端を支持部として撓むことができる第一の可撓部材と、
この第一の可撓部材の先端部に取り付けられ被測定物の測定に関与する測定手段と、
前記第一の可撓部材の撓み方向に沿った前記測定手段の変位を検出する変位検出手段とを備える変位検出器において、
前記第一の可撓部材と前記測定手段との間には補正手段が設けられ、
この補正手段は、前記第一の可撓部材の撓み方向に対して直交し、かつ、前記第一の可撓部材の両端を結ぶ方向に沿って前記測定手段と前記第一の可撓部材とを相対移動させる相対移動機構と、前記測定手段の相対移動量を制御する制御手段とを備えて構成されている、
ことを特徴とする変位検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の変位検出器において、
前記相対移動機構は、一端が前記第一の可撓部材の先端部に取り付けられるとともに他端が前記測定手段に取り付けられ、前記相対移動方向に撓むことができる第二の可撓部材を備えて構成されることを特徴とする変位検出器。
【請求項3】
請求項2に記載の変位検出器において、
前記第一の可撓部材は、所定間隔隔てて互いに平行に配置される第一の平行板ばねと、この第一の平行板ばねの基端部が固定される固定部材と、前記第一の平行板ばねの先端部を連結する連結部材とを備えて構成され、
前記第二の可撓部材は、所定間隔隔てて互いに平行に配置されるとともに、一端部が前記第一の可撓部材の先端部に取り付けられ、他端部が前記測定手段に取り付けられる第二の平行板ばねを備えて構成されることを特徴とする変位検出器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の変位検出器において、
前記補正手段は、前記第一の可撓部材の撓み方向に対して直交し、かつ、前記第一の可撓部材の両端を結ぶ方向に沿った前記測定手段の位置を感知する位置感知手段を備え、
前記制御手段は、前記位置感知手段で感知される前記測定手段の位置が所定の基準位置と一致されるように前記測定手段を前記第一の可撓部材に対して相対移動させることを特徴とする変位検出器。
【請求項5】
請求項4に記載の変位検出器において、
前記位置感知手段は、前記測定手段に取り付けられる一方の電極と、移動不可能に設けられ前記一方の電極に対向される他方の電極とを備え、前記一方の電極と前記他方の電極との間の静電容量を通じて前記測定手段の位置を感知し、
前記一方および他方の電極は、前記測定手段の相対移動方向を法線方向とする板状の電極であり、
前記一方の電極が前記第一の可撓部材の撓み方向に沿って変位される際に、前記一方の電極と前記他方の電極との間の対向面積が一定に保たれるように、前記第一の可撓部材の撓み方向に沿った前記一方の電極の長さ寸法が、当該方向に沿った前記他方の電極の長さ寸法よりも、所定寸法以上長く、あるいは、所定寸法以上短くされていることを特徴とする変位検出器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の変位検出器において、
前記測定手段は、被測定物に対向されるレンズであり、
このレンズを通して被測定物に光を照射する光源と、
被測定物からの反射光を受光する受光素子と、
この受光素子における受光情報が所定の基準情報と一致されるように前記第一の可撓部材を撓めて前記レンズを変位させるレンズ駆動手段と、
が設けられることを特徴とする変位検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−17664(P2006−17664A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198091(P2004−198091)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】