変位検出装置
【課題】被測定面の面粗度の影響による測定誤差を緩和させ、測定目的に適した精度で被測定面の変位を検出することが可能な変位検出装置を提供する。
【解決手段】変位検出装置10Aは、光源102から出射された光を第1の対物レンズ114で集光して被測定面TGに結像させる照射光学系103aと、被測定面TGで反射した光を集光して受光素子120に入射させる受光光学系103bを有した非接触センサ100Aを備え、非接触センサ100Aは、光源102と第1の対物レンズ114との間に、被測定面TGに照射される光を分光して複数点に結像させる回折格子130Aを備える。被測定面TGに複数のビームを照射することで、被測定面TGの変位を平均化して、面粗度の影響を受けにくくする。
【解決手段】変位検出装置10Aは、光源102から出射された光を第1の対物レンズ114で集光して被測定面TGに結像させる照射光学系103aと、被測定面TGで反射した光を集光して受光素子120に入射させる受光光学系103bを有した非接触センサ100Aを備え、非接触センサ100Aは、光源102と第1の対物レンズ114との間に、被測定面TGに照射される光を分光して複数点に結像させる回折格子130Aを備える。被測定面TGに複数のビームを照射することで、被測定面TGの変位を平均化して、面粗度の影響を受けにくくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズの焦点位置に被測定面があるかどうかを光学的非点収差法を用いて検出し、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように対物レンズを変位させたときの対物レンズの変位量から、被測定面を測定できるようにした変位検出装置に関する。詳しくは、光源と対物レンズの間に分光素子を配置することで、被測定面の面精度を正確に測定できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被測定面の変位や形状を測定する装置として変位検出装置が広く利用されている。変位検出装置では、光源から出射した光を対物レンズで被測定面に集光し、被測定面で反射した反射光を非点光学素子で集光して受光素子に入射させて、非点収差法によりフォーカスエラー信号を生成する非接触センサを備える。そして、非接触センサで生成したフォーカスエラー信号を用いてサーボをかけて、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように対物レンズを変位させ、対物レンズに連結部材を介して一体的に取り付けられたリニアスケールの目盛を読み取ることで、被測定面の変位を検出する。
【0003】
しかし、上述した変位検出装置ではフォーカスエラー信号自体のリニアリティが悪いため、高い検出精度が得られないという問題があった。そこで、非接触センサのフォーカスエラー信号に対応する校正された出力信号を校正テーブルから出力するようにした変位検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この変位検出装置においては、変位検出の高精度化を図るために、対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)を大きくして被測定面に集光させる光ビーム径を小さくしている。被測定面に結像される光のビーム径を例えば2μm程度とすることで、リニアスケールの検出精度は、数nm〜100数nm程度となる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−89480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に開示される変位検出装置では、被測定面に結像される光のビーム径を小さくして高分解能化が図られることで、被測定面に結像される光が被測定面の面粗度によって散乱してしまい、測定誤差を生じるという問題がある。また、被測定面の表面に付着した微細なゴミ等を検出する場合があり、本来求められる被測定面の変位や形状等の変位情報が正確に得られないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、被測定面の面粗度の影響による測定誤差を緩和させ、測定目的に適した精度で被測定面の変位を検出することが可能な変位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、光源から出射された光を対物レンズで集光して被測定面に照射する照射光学系、及び照射光学系で被測定面に結像され、被測定面で反射した光を集光して受光素子に入射させる受光光学系を有し、受光素子に入射した光の像の変化で、被測定面の変位情報を検出する非接触センサと、非接触センサにより検出された被測定面の変位情報に基づいて対物レンズを変位させ、対物レンズの焦点位置と被測定面を合わせる制御部と、非接触センサの対物レンズに連結部材を介して取り付けられたリニアスケールを有し、被測定面の変位情報に基づいて制御部により対物レンズを変位させたときのリニアスケールの変位量を測定する変位量測定部とを備え、非接触センサは、光源と対物レンズとの間に、被測定面に照射される光を分光する分光素子が配置された変位検出装置である。
【0008】
本発明の変位検出装置では、非接触センサで光源から出射された光が、照射光学系の分光素子で分光され、分光された光が対物レンズで集光されて、被測定面の所望の範囲、例えば複数点に結像される。被測定面の複数点に結像された光は、被測定面で反射され、受光光学系で集光されて受光素子に入射される。
【0009】
非接触センサでは、受光素子に入射される光の像が、被測定面の対物レンズとの距離に応じて変化し、受光素子に入射される光の像に応じて、被測定面の変位情報が検出される。
【0010】
非接触センサでは、被測定面の複数点に結像された光の反射光が受光素子に入射されることで、被測定面の平均化された変位情報が得られる。そして、変位検出装置では、非接触センサで検出された被測定面の平均化された変位情報に応じて、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように、対物レンズを変位させたときのリニアスケールの変位量を測定することで、被測定面の形状等が検出される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の変位検出装置によれば、被測定面の所望の範囲に光を結像させることで、受光素子に入射される光の像は、被測定面で光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。これにより、非接触センサで被測定面の平均化された変位情報を検出することができるので、測定目的に応じた最適な検出精度により被測定面の変位を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の変位検出装置の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図1は、本発明の第1の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。図1に示すように、変位検出装置10Aは、非接触センサ100Aと、制御部200と、サーボ制御部210と、アクチュエータ300と、変位量測定部400と、信号処理部404と、表示部140とを備える。なお、図1では、非接触センサ100A、アクチュエータ300及び変位量測定部400の構成を便宜上簡略化して図示している。
【0013】
図2は、第1の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。図2に示すように、非接触センサ100Aは、光源102と、コリメートレンズ104と、回折格子130Aと、偏光ビームスプリッタ108と、λ/4板110と、ミラー112と、第1の対物レンズ114と、第2の対物レンズ116と、非点生成レンズ118と、受光素子120とを有する。
【0014】
非接触センサ100Aは、コリメートレンズ104と、回折格子130Aと、偏光ビームスプリッタ108と、λ/4板110と、ミラー112と、第1の対物レンズ114によって、照射光学系103aが構成される。また、非接触センサ100Aは、第1の対物レンズ114と、ミラー112と、λ/4板110と、偏光ビームスプリッタ108と、第2の対物レンズ116と、非点生成レンズ118によって、受光光学系103bが構成される。
【0015】
光源102は、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、発光ダイオード等から構成される。光源102は、レーザ光等の光をコリメートレンズ104に向けて出射する。コリメートレンズ104は、光源102から出射された光を平行光に変換する。平行光に変換された光は回折格子130Aに入射される。
【0016】
回折格子130Aは分光素子の一例で、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。回折格子130Aは、本例では透過型の回折格子が用いられ、コリメートレンズ104で平行光に変換された光が透過することで、0次及び±m次(m=整数)の回折光が得られる。ここで、回折格子130Aは、透過型でシート状の回折格子を第1の対物レンズ114に貼り付けても良いし、反射型の回折格子をミラー112に配置しても良い。
【0017】
偏光ビームスプリッタ108は、回折格子130Aで回折された回折光である照射光Laを透過させてλ/4板110に入射させる。λ/4板110は、入射された直線偏光である照射光Laを、例えば右回りに回転する円(楕円)偏光に変換する。λ/4板110を通過した照射光Laは、ミラー112によって測定対象物の被測定面TGに向けて反射され、第1の対物レンズ114に入射される。
【0018】
第1の対物レンズ114は、所定の開口数を有するレンズ等からなる光学素子であり、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせられるように、被測定面TGに対して接近及び離間する方向に移動可能に構成される。第1の対物レンズ114に入射された照射光Laは被測定面TGに集光される。回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laは、第1の対物レンズ114で集光されることで、被測定面TGの複数点に結像される。
【0019】
図3は、回折格子を有した照射光学系による照射パターンの一例を示す図である。回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laを、第1の対物レンズ114によって被測定面TGに集光することにより、被測定面TGには、例えば十字状に光のビームスポットBが形成される。
【0020】
第1の対物レンズ114の焦点位置が被測定面TGに合わせられることで、回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laのそれぞれは被測定面TGに結像され、回折格子130Aのパターン等に応じて、被測定面TGにおける例えば数mmの範囲内に、所望のパターンで光が結像される。
【0021】
被測定面TGに集光された照射光Laは、被測定面TGで反射される。被測定面TGで反射された反射光Lrは、第1の対物レンズ114を通過して平行光に変換され、ミラー112で反射されてλ/4板110に入射される。
【0022】
λ/4板110は、入射された例えば右回りの円(楕円)偏光である反射光を更に右回りに回転させて、照射光Laに対して直線偏光方向が90度回転した直線偏光に変換する。λ/4板110を通過した反射光Lrは、偏光ビームスプリッタ108に再び入射される。
【0023】
偏光ビームスプリッタ108は、入射された反射光Lrが照射光Laに対して直線偏光方向が90度回転しているため、反射光Lrを第2の対物レンズ116方向に反射させる。偏光ビームスプリッタ108で反射された反射光Lrは第2の対物レンズ116に入射される。
【0024】
第2の対物レンズ116は、所定の開口数を有するレンズ等からなる光学素子であり、入射された反射光を所定のビーム径で非点生成レンズ118に集光させる。非点生成レンズ118は、円柱を軸方向に2つに割った形状をなし、曲率がある断面では光を集光させ、平面の断面内では光をそのまま透過させる。非点生成レンズ118に入射された反射光Lrは受光素子120に集光される。
【0025】
受光素子120は、非点生成レンズ118により集光された反射光Lrに基づいてフォーカスエラー信号(変位情報)SFEを生成してサーボ制御部210に供給する。受光素子120は、4分割ダイオードにより構成されている。
【0026】
図4(A)〜(C)は、4分割ダイオードに集光される反射光Lrの像を示す図である。非接触センサ100Aでは、図3に示すように被測定面TGの複数点に結像された光の反射光が、受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGで光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。
【0027】
被測定面TGが第1の対物レンズ114の焦点位置f1(図1参照)にあるときには、図4(A)に示すように、集光された光が円形の光スポットLRになる。また、第1の対物レンズ114が被測定面TGに対して焦点位置f1より遠ざかると、図4(B)に示すように、横に広がった楕円形の光スポットLRXになり、焦点位置f1より近づくと図4(C)に示すように、縦に広がった楕円形の光スポットLRYになる。
【0028】
ここで、分割された各フォトダイオードから出力される出力信号をA,B,C,Dとすると、焦点位置f1からのずれを表すフォーカスエラー信号SFEは、以下の式(1)で与えられる。
SFE=(A+C)−(B+D)・・・(1)
【0029】
図5は、フォーカスエラー信号の特性を示す図である。式(1)で与えられるフォーカスエラー信号SFEは図5のグラフに示すような特性を有する。図5の特性において、原点Oを合焦位置とし、第1の対物レンズ114と被測定面TGとの間の距離をdとするとき、原点Oにおいて、焦点距離と距離dとが等しくなる。
【0030】
図1に戻り、サーボ制御部210は、制御部の一例であり、受光素子120から出力されるフォーカスエラー信号SFEに基づいて、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせる制御を行う。このサーボ制御部210は、図示しないサーボアンプと比較回路とを有する。サーボアンプは、供給されたフォーカスエラー信号SFEを増幅して比較回路に供給する。比較回路は、予め設定されている基準値とフォーカスエラー信号SFEとを比較する。基準値は、焦点位置f1に対する誤差が許容できる範囲内に設定され、例えば比較回路のROMに記憶されている。サーボ制御部210は、基準値とフォーカスエラー信号SFEとを比較した結果、フォーカスエラー信号SFEの値が基準値の許容範囲を超える場合、フォーカスエラー信号SFEがゼロ値となるような駆動信号(電流信号)Sdを生成してアクチュエータ300に供給する。
【0031】
アクチュエータ300は、可動コイル302と永久磁石304と連結部材500とを有する。この可動コイル302には連結部材500が取り付けられる。連結部材500には第1の対物レンズ114が取り付けられる。可動コイル302は、サーボ制御部210から供給された駆動信号Sdに従ってフォーカスエラー信号SFEがゼロ値となるように連結部材500を矢印D1,D2方向に移動させる。この移動に連動して、連結部材500に一体的に取り付けられている第1の対物レンズ114も矢印D1,D2方向に移動し、第1の対物レンズ114の焦点位置f1を被測定面TGに合わせて、被測定面TGとの間の距離dが常に第1の対物レンズ114の焦点距離に等しい値となるようにフィードバック制御される。
【0032】
アクチュエータ300としてボイスコイルモータを使用しているので、被測定面TGの変位に対する直線性が高い。ボイスコイルモータは、可動コイル302に供給される電流に対して直線的に変位するモータだからである。したがって、可動コイル302に供給される電流を測定することにより簡易に変位量の検出も行うこともできる。なお、アクチュエータ300としては、ボイスコイルモータに限られず、DCサーボモータ、ステッピングモータあるいは圧電素子等に代替しても良い。
【0033】
変位量測定部400は、リニアスケール408と格子干渉計402とを有する。リニアスケール408は、目盛406が所定ピッチで形成されたものであり、連結部材500の所定位置に取り付けられる。リニアスケール408には、目盛406の略中央位置に原点410が設けられる。ここで、リニアスケール408の目盛406は、第1の対物レンズ114の光軸Loの延長線Oa上に合わせて取り付けられている。言い換えれば、リニアスケール408が第1の対物レンズ114の光軸Loに対して同軸(インライン)上に配置されていることになる。なお、リニアスケール408としては、例えば、光の干渉縞を目盛406として記録した光学式スケール(ホログラムスケール)を用いることができる。光学式スケールに代替して、磁気式スケールまたは容量式スケールを用いても良い。
【0034】
格子干渉計402は、図示しないシャーシ等に固定され、リニアスケール408の目盛406を読み取って目盛読み取り信号Svを生成し、生成した目盛読み取り信号Svを信号処理部404に供給する。被測定面TGが変位したときには、第1の対物レンズ114の焦点位置f1を被測定面TGに保持するように第1の対物レンズ114とリニアスケール408とが同一方向に同一距離だけ変位するので、格子干渉計402はこの変位量をリニアスケール408の目盛406から読み取る。
【0035】
信号処理部404は、格子干渉計402から出力された目盛読み取り信号Svに基づいて被測定面TGの変位量を算出する。そして、信号処理部404は、制御部200からの制御信号SSに基づいて所定の画像信号処理を行い、算出した変位量に基づく画像信号Siを生成して表示部140に出力する。信号処理部404により生成された画像信号Siは図示しないデータロガーに記憶しても良い。
【0036】
表示部140は、例えばLCD(Liquid Crystal Display),PDP(Plasma Display Panel)またはEL(Electro Luminescence)等から構成される。表示部140は、信号処理部404から出力された画像信号Siに基づく表示を行い、表示部140の画面上に被測定面TGの変位を表示する。これにより、容易に自動計測が可能になる。
【0037】
制御部200は、サーボ制御部210および信号処理部404の動作を制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)とROM(Read-Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とから構成される。
【0038】
以上説明したように、第1の実施の形態の変位検出装置10Aによれば、光源102と第1の対物レンズ114との間に回折格子130Aを配置するため、回折格子130Aで0次及び±m次の回折光である照射光Laを得て、被測定面TGを照射することができる。
【0039】
照射光Laを集光する第1の対物レンズ114の焦点位置が被測定面TGに合わせられることで、回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laのそれぞれは、被測定面TGにおける例えば数mmの範囲内の複数点で、回折格子130Aの格子パターン等に応じた任意のパターンで被測定面TGに結像される。
【0040】
これにより、回折格子130Aを有した照射光学系103aでは、被測定面TGを照射する光のビーム径を、解像度を落とさずにμm単位からmm単位まで拡げることと同等の効果が得られる。
【0041】
すなわち、非接触センサ100Aでは、図3に示すように被測定面TGの複数点に結像された光の反射光が、受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGで光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。
【0042】
このように、非接触センサ100Aで被測定面TGの平均化された変位情報が検出され、照射光Laの数や照射光Laが照射される範囲を、測定目的に応じて設定することで、最適な検出精度により被測定面TGの変位を検出することができる。
【0043】
従って、被測定面TGに複数のビームを照射することで、被測定面TGにおいて複数のビームが照射される範囲の変位を光学的に平均化することができ、面粗度の影響を受けにくくして、高精度に被測定面TGの変位を検出することができる。
【0044】
これにより、被測定面TGの表面に付着した微細な異物等に過敏に反応した変位情報が検出されることがなく、また、被測定面TGの表面粗さを本来より大きく測定した変位情報が検出されることなく、被測定面TGの本来の平面状態を測定した変位情報を検出することができる。
【0045】
また、上述した変位検出装置10Aによって得られた変位量は、第1の対物レンズ114と一体的に移動するようにされたリニアスケール408が第1の対物レンズ114の光軸Loと同軸上、いわゆるインライン上に配置されていることから、アッベ誤差が発生しない。このため、リニアスケール408の変位量と第1の対物レンズ114の変位量とが1:1に対応するので、きわめて高精度に変位量を検出することができる。
【0046】
また、リニアスケール408の検出範囲(目盛406のフルスケール)内であれば、検出精度を損なうことなく広い検出範囲が得られる。
【0047】
また、フィードバック制御としているので、被測定面TGの反射率によってフォーカスエラー信号SFEの感度が変わってしまっても測定誤差が生じないうえサーボ系やアクチュエータ300の素子のばらつきやドリフトを原因として誤差が発生することがなく、調整・校正の手間が省略できて長期に渡って安定した検出を行うことができる。
【0048】
更に、リニアスケール408に原点410を形成することにより、その原点410の位置を基準位置として被測定面TGの変位量を検出することができるという利点を有する。
【0049】
<第2の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図6は、本発明の第2の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図、図7は、第2の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施の形態で説明した変位検出装置10A、非接触センサ100Aと共通する構成要素には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
第2の実施の形態の変位検出装置10Bは、非接触センサ100Bに光散乱体130Bを有する。光散乱体130Bは分光素子の一例で、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。光散乱体130Bは、ランダムパターン形状をもった透過光学素子であり、光を散乱させる目的であるため、すりガラスや、ソフトフィルタ、乳化材を混入した白色の樹脂材料等でも良い。
【0051】
第2の実施の形態の変位検出装置10Bは、光源102から出射された光をコリメートレンズ104で平行光に変換する。平行光に変換された光は、光散乱体130Bに入射されて散乱される。
【0052】
光散乱体130Bで散乱された散乱光である照射光Lbは、偏光ビームスプリッタ108を透過し、λ/4板110で円(楕円)偏光に変換されて、ミラー112によって被測定面TGに向けて反射され、第1の対物レンズ114に入射される。
【0053】
第1の対物レンズ114に入射された照射光Lbは、被測定面TGに集光される。光散乱体130Bを有した照射光学系103aでは、光が光散乱体130Bで散乱されることで様々な方向に進むことから、第1の対物レンズ114で集光されて被測定面TGに結像されるビーム径が、光散乱体130Bが無い場合と比較して拡げられる。
【0054】
被測定面TGに集光された照射光Lbは、被測定面TGで反射される。被測定面TGで反射された反射光Lrは、第1の対物レンズ114を通過して平行光に変換され、ミラー112で反射されてλ/4板110に入射され、照射光Lbに対して直線偏光方向が90度回転した直線偏光に変換される。λ/4板110を通過した反射光Lrは、偏光ビームスプリッタ108に再び入射される。
【0055】
偏光ビームスプリッタ108は、入射された反射光Lrが照射光Lbに対して直線偏光方向が90度回転しているため、反射光Lrを第2の対物レンズ116方向に反射させる。偏光ビームスプリッタ108で反射された反射光Lrは第2の対物レンズ116に入射され、所定のビーム径で非点生成レンズ118に集光される。非点生成レンズ118では、曲率がある断面では光を集光させ、平面の断面内では光をそのまま透過させて、反射光Lrが受光素子120に集光される。
【0056】
非接触センサ100Bでは、光散乱体130Bを有した照射光学系103aで被測定面TGに照射された照射光Lbの反射光が、受光光学系103bで受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGに照射されるビーム径の範囲における変位を平均化した形状となる。
【0057】
受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGが第1の対物レンズ114の焦点位置にあるときには、図4(A)に示す形状となり、第1の対物レンズ114が被測定面TGに対して焦点位置より遠ざかると、図4(B)に示す形状となり、焦点位置より近づくと、図4(C)に示す形状となる。
【0058】
受光素子120では、第1の対物レンズ114と被測定面TGとの距離に応じて変化する入射される光の像に基づいてフォーカスエラー信号(変位情報)SFEが生成される。サーボ制御部210は、受光素子120から出力されるフォーカスエラー信号SFEに基づいて、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせるフィードバック制御が行われる。
【0059】
第1の対物レンズ114には、連結部材500を介してリニアスケール408が取り付けられており、被測定面TGの変位に第1の対物レンズ114を追従させたときの第1の対物レンズ114の変位量が、リニアスケール408の目盛406を格子干渉計402で読み取ることで検出され、信号処理部404で被測定面TGの変位量が算出される。
【0060】
被測定面TGに結像される光のビーム径を小さく絞ることで、高分解能化が図られる。一方、被測定面TGに結像されるビーム径を絞ると、被測定面TGの面粗度が大きい等の要因で、表面の凹凸を過剰に検出してしまうような場合がある。
【0061】
光散乱体130Bを有した照射光学系103aでは、光散乱体が無い場合のビーム径が例えば2μm程度に絞られる光学系で、光散乱体130Bを入れることでビーム径を例えば4μm程度に拡大することができる。
【0062】
これにより、被測定面TGの面粗度が大きい等の要因で、被測定面TGを照射するビーム径を絞ると表面の凹凸を過剰に検出してしまうような場合でも、面粗度の影響を受けにくくして、高精度に被測定面TGの変位を検出することができる。
【0063】
すなわち、照射光学系103aに光散乱体130Bを備えることで、被測定面TGに結像されるビーム径を、被測定面TGの面祖度等に応じて変えることができ、被測定面TGの表面粗さを本来より大きく測定した変位情報が検出されることなく、被測定面TGの本来の平面状態を測定した変位情報を検出することができる。また、測定レンジを変える、つまり測定分解能を変える場合に容易に対応可能であり、測定目的に応じた最適な検出精度により、被測定面TGの変位を検出することができる。
【0064】
<第3の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図8は、本発明の第3の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図、図9は、第3の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施の形態で説明した変位検出装置10A、非接触センサ100Aと共通する構成要素には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0065】
第3の実施の形態の変位検出装置10Cは、非接触センサ100Cにマイクロプリズム130Cを有する。マイクロプリズム130Cは分光素子の一例で、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。
【0066】
図10は、マイクロプリズムの一例を示す斜視図である。マイクロプリズム130Cは、規則的なパターン形状で複数のプリズム131が形成された透過光学素子であり、入射された光がプリズム131の面の数に応じて分光される。
【0067】
第3の実施の形態の変位検出装置10Cは、光源102から出射された光をコリメートレンズ104で平行光に変換する。平行光に変換された光は、マイクロプリズム130Cに入射されて、プリズム131の面の数及び向きに応じて分光される。
【0068】
マイクロプリズム130Cで分光された照射光Lcは、偏光ビームスプリッタ108を透過し、λ/4板110で円(楕円)偏光に変換されて、ミラー112によって被測定面TGに向けて反射され、第1の対物レンズ114に入射される。
【0069】
第1の対物レンズ114に入射された照射光Lcは、被測定面TGに集光される。マイクロプリズム130Cを有した照射光学系103aでは、マイクロプリズム130Cで分光された照射光Lcが第1の対物レンズ114で集光されることで、被測定面TGの複数点に結像される。
【0070】
被測定面TGに集光された照射光Lcは、被測定面TGで反射される。被測定面TGで反射された反射光Lrは、第1の対物レンズ114を通過して平行光に変換され、ミラー112で反射されてλ/4板110に入射され、照射光Lcに対して直線偏光方向が90度回転した直線偏光に変換される。λ/4板110を通過した反射光Lrは、偏光ビームスプリッタ108に再び入射される。
【0071】
偏光ビームスプリッタ108は、入射された反射光Lrが照射光Lcに対して直線偏光方向が90度回転しているため、反射光Lrを第2の対物レンズ116方向に反射させる。偏光ビームスプリッタ108で反射された反射光Lrは第2の対物レンズ116に入射され、所定のビーム径で非点生成レンズ118に集光される。非点生成レンズ118では、曲率がある断面では光を集光させ、平面の断面内では光をそのまま透過させて、反射光Lrが受光素子120に集光される。
【0072】
非接触センサ100Cでは、マイクロプリズム130Cを有した照射光学系103aで被測定面TGに照射された照射光Lcの反射光が、受光光学系103bで受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGで光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。
【0073】
受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGが第1の対物レンズ114の焦点位置にあるときには、図4(A)に示す形状となり、第1の対物レンズ114が被測定面TGに対して焦点位置より遠ざかると、図4(B)に示す形状となり、焦点位置より近づくと、図4(C)に示す形状となる。
【0074】
受光素子120では、第1の対物レンズ114と被測定面TGとの距離に応じて変化する入射される光の像に基づいてフォーカスエラー信号(変位情報)SFEが生成される。サーボ制御部210は、受光素子120から出力されるフォーカスエラー信号SFEに基づいて、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせるフィードバック制御が行われる。
【0075】
第1の対物レンズ114には、連結部材500を介してリニアスケール408が取り付けられており、被測定面TGの変位に第1の対物レンズ114を追従させたときの第1の対物レンズ114の変位量が、リニアスケール408の目盛406を格子干渉計402で読み取ることで検出され、信号処理部404で被測定面TGの変位量が算出される。
【0076】
被測定面TGに結像される光のビーム径を小さく絞ることで、高分解能化が図られる。一方、被測定面TGに結像されるビーム径を絞ると、被測定面TGの面粗度が大きい等の要因で、表面の凹凸を過剰に検出してしまうような場合がある。
【0077】
マイクロプリズム130Cを有した照射光学系103aでは、被測定面TGに複数のビームを照射することで、被測定面TGにおいて複数のビームが照射される範囲の変位を光学的に平均化することができ、面粗度の影響を受けにくくして、高精度に被測定面TGの変位を検出することができる。
【0078】
被測定面TGに結像される照射光Lcの数や範囲は、マイクロプリズム130Cのプリズム131の面の数や向き、大きさ等により設定可能であり、測定目的に応じた最適な検出精度により、被測定面TGの変位を検出することができる。
【0079】
<第4の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図11は、本発明の第4の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図、図12は、第4の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施の形態で説明した変位検出装置10A、非接触センサ100Aと共通する構成要素には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0080】
第4の実施の形態の変位検出装置10Dは、図12に示すように、非接触センサ100Dに分光素子切替部材130Dを備える。分光素子切替部材130Dは、被測定面TGに結像される光のパターンや、ビーム径等を異ならせる複数種類の分光素子130D1〜130Dnを備え、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。
【0081】
分光素子切替部材130Dの複数の分光素子130D1〜130Dnは、例えば、第1の実施の形態の回折格子として、格子パターン等の異なる回折格子を備える。また、第2の実施の形態のランダムパターン形状をもった透過光学素子として、パターン形状の異なる透過光学素子を備える。あるいは、第3の実施の形態の規則的なパターン形状をもった透過光学素子として、パターン形状の異なる透過光学素子を備える。なお、回折格子とランダム形状をもった透過光学素子と規則的なパターン形状をもった透過光学素子を組み合わせて備えても良い。
【0082】
分光素子切替部材130Dは、複数の分光素子130D1〜130Dnが軸ORに対して同軸上に配置され、軸ORを中心に回転駆動されることで、照射光学系103aによる光源102から被測定面TGまでの光軸上に、分光素子130D1〜130Dnの何れかが配置される。
【0083】
第4の実施の形態の変位検出装置10Dは、図11に示すように、上述した非接触センサ100Dと、制御部200と、サーボ制御部210と、アクチュエータ300と、変位量測定部400と、信号処理部404と、表示部140と、操作部142とを備える。
【0084】
操作部142は、例えばキーボードやリモートコントローラ等から構成され、分光素子切替部材130Dの複数の分光素子130D1〜130Dnから何れかを選択するためのものである。操作部142は、ユーザにより所定操作が行われると、所定操作に対応した操作信号Soを生成して制御部200に出力する。
【0085】
制御部200は、操作部142から出力された操作信号Soに基づいて駆動部122を回転駆動するための駆動信号SCを生成して駆動部122に出力する。制御部200は、ユーザの操作部142の操作により分光素子130Diが選択された場合には、分光素子130Diが照射光Lの光軸Lo上に位置するような駆動信号SCを生成する。
【0086】
駆動部122は、制御部200から供給される駆動信号SCに基づいて、駆動部122に軸ORを介して連結された分光素子切替部材130Dを回転駆動させて所定位置で停止させる。例えば、分光素子130Diに対応した駆動信号SCが供給された場合には、分光素子130Diが光軸Lo上に位置するように分光素子切替部材130Dを回転させて停止させる。
【0087】
第4の実施の形態の変位検出装置10Dによれば、操作部142を操作することで、例えば被測定面TGの特性や形状等に応じて、これらに適合した分光素子130D1〜130Dnを選択することができる。これにより、被測定面TGに応じた最適な検出精度によって被測定面TGの変位の測定をすることができ、測定目的に合った被測定面TGの変位情報を得ることができる。従って、様々な測定対象物に対応できるようになる。
【0088】
<実験データ比較例>
次に、従来の変位検出装置を用いて被測定面TGを測定した場合と本発明に係る各実施の形態の変位検出装置10A〜10Dを用いて被測定面TGを測定した場合の測定結果について説明する。
【0089】
図13は、従来の変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフ、図14は、本発明を適用した変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフである。ここで、図14は、分光素子として、図6及び図7で説明した光散乱体130Bを使用した測定結果例である。図13,図14では、変位検出装置10A〜10Dの表示部140の画面に表示された測定結果の一例を示し、縦軸が面粗度であり、横軸が被測定面TGの測定位置である。また図13,図14では、被測定面TGの基準位置(0mm)から所定方向に向かって照射光Lを走査していくものとする。
【0090】
従来の変位検出装置では、光源から出射される光を、ビーム径を小さく絞って被測定面TGに照射するため、分解能が高くなることで、被測定面TGの表面粗さを本来より大きく測定した変位情報が検出され、図13のグラフに示すように凹凸波形が大きく表れてしまい、被測定面TGの本来の平面状態を測定できなかった。
【0091】
これに対して、本発明を適用した変位検出装置では、被測定面TGの表面粗さ等による変位を平均化して測定する効果を有し、従来と同一試料を測定した結果、図14のグラフに示すように波形の凹凸が小さくなり、被測定面TGの本来の平面状態を測定した結果を出力できることがわかる。
【0092】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0093】
例えば、各実施の形態では、フォーカスエラー信号SFEを得るために非点収差法を利用しているが、これに限らず、臨界角法、ナイフエッジ法等に代替しても良い。いずれの方法においても、フォーカスエラー信号SFEがゼロ値になるように制御するので、被測定面TGの反射率が異なっても精度良く変位を検出することができる。
【0094】
また、光源102,偏光ビームスプリッタ108,ミラー112,受光素子120から構成される光学系は、連結部材500に取り付けて、第1の対物レンズ114と一体的に移動するように構成しても良く、図示しないシャーシに固定しても良い。第1の対物レンズ114と一体的に移動するように構成することにより、変位量の検出範囲がリニアスケール408のフルスケールに拡大する。シャーシに固定するようにした場合、すなわち、分散型に構成した場合には、アクチュエータ300を比較的小さくすることができ、第1の対物レンズ114等を含む変位検出装置の重量を軽くすることができる。これによって、変位量をより高速に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】回折格子を有した照射光学系による照射パターンの一例を示す図である。
【図4】受光素子に集光される反射光の像を示す図である。
【図5】フォーカスエラー信号の特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図9】第3の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図10】マイクロプリズムの一例を示す斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図12】第4の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図13】従来の変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフである。
【図14】本発明を適用した変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0096】
10A〜10D・・・変位検出装置、100A〜100D・・・非接触センサ、102・・・光源、108・・・偏光ビームスプリッタ、114・・・第1の対物レンズ、120・・・受光素子、130A・・・回折格子、130B・・・光散乱体、130C・・・マイクロプリズム、130D・・・分光素子切替部材、200・・・制御部、210・・・サーボ制御部、400・・・変位量測定部、408・・・リニアスケール、SFE・・・フォーカスエラー信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズの焦点位置に被測定面があるかどうかを光学的非点収差法を用いて検出し、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように対物レンズを変位させたときの対物レンズの変位量から、被測定面を測定できるようにした変位検出装置に関する。詳しくは、光源と対物レンズの間に分光素子を配置することで、被測定面の面精度を正確に測定できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被測定面の変位や形状を測定する装置として変位検出装置が広く利用されている。変位検出装置では、光源から出射した光を対物レンズで被測定面に集光し、被測定面で反射した反射光を非点光学素子で集光して受光素子に入射させて、非点収差法によりフォーカスエラー信号を生成する非接触センサを備える。そして、非接触センサで生成したフォーカスエラー信号を用いてサーボをかけて、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように対物レンズを変位させ、対物レンズに連結部材を介して一体的に取り付けられたリニアスケールの目盛を読み取ることで、被測定面の変位を検出する。
【0003】
しかし、上述した変位検出装置ではフォーカスエラー信号自体のリニアリティが悪いため、高い検出精度が得られないという問題があった。そこで、非接触センサのフォーカスエラー信号に対応する校正された出力信号を校正テーブルから出力するようにした変位検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この変位検出装置においては、変位検出の高精度化を図るために、対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)を大きくして被測定面に集光させる光ビーム径を小さくしている。被測定面に結像される光のビーム径を例えば2μm程度とすることで、リニアスケールの検出精度は、数nm〜100数nm程度となる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−89480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に開示される変位検出装置では、被測定面に結像される光のビーム径を小さくして高分解能化が図られることで、被測定面に結像される光が被測定面の面粗度によって散乱してしまい、測定誤差を生じるという問題がある。また、被測定面の表面に付着した微細なゴミ等を検出する場合があり、本来求められる被測定面の変位や形状等の変位情報が正確に得られないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、被測定面の面粗度の影響による測定誤差を緩和させ、測定目的に適した精度で被測定面の変位を検出することが可能な変位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、光源から出射された光を対物レンズで集光して被測定面に照射する照射光学系、及び照射光学系で被測定面に結像され、被測定面で反射した光を集光して受光素子に入射させる受光光学系を有し、受光素子に入射した光の像の変化で、被測定面の変位情報を検出する非接触センサと、非接触センサにより検出された被測定面の変位情報に基づいて対物レンズを変位させ、対物レンズの焦点位置と被測定面を合わせる制御部と、非接触センサの対物レンズに連結部材を介して取り付けられたリニアスケールを有し、被測定面の変位情報に基づいて制御部により対物レンズを変位させたときのリニアスケールの変位量を測定する変位量測定部とを備え、非接触センサは、光源と対物レンズとの間に、被測定面に照射される光を分光する分光素子が配置された変位検出装置である。
【0008】
本発明の変位検出装置では、非接触センサで光源から出射された光が、照射光学系の分光素子で分光され、分光された光が対物レンズで集光されて、被測定面の所望の範囲、例えば複数点に結像される。被測定面の複数点に結像された光は、被測定面で反射され、受光光学系で集光されて受光素子に入射される。
【0009】
非接触センサでは、受光素子に入射される光の像が、被測定面の対物レンズとの距離に応じて変化し、受光素子に入射される光の像に応じて、被測定面の変位情報が検出される。
【0010】
非接触センサでは、被測定面の複数点に結像された光の反射光が受光素子に入射されることで、被測定面の平均化された変位情報が得られる。そして、変位検出装置では、非接触センサで検出された被測定面の平均化された変位情報に応じて、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように、対物レンズを変位させたときのリニアスケールの変位量を測定することで、被測定面の形状等が検出される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の変位検出装置によれば、被測定面の所望の範囲に光を結像させることで、受光素子に入射される光の像は、被測定面で光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。これにより、非接触センサで被測定面の平均化された変位情報を検出することができるので、測定目的に応じた最適な検出精度により被測定面の変位を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の変位検出装置の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図1は、本発明の第1の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。図1に示すように、変位検出装置10Aは、非接触センサ100Aと、制御部200と、サーボ制御部210と、アクチュエータ300と、変位量測定部400と、信号処理部404と、表示部140とを備える。なお、図1では、非接触センサ100A、アクチュエータ300及び変位量測定部400の構成を便宜上簡略化して図示している。
【0013】
図2は、第1の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。図2に示すように、非接触センサ100Aは、光源102と、コリメートレンズ104と、回折格子130Aと、偏光ビームスプリッタ108と、λ/4板110と、ミラー112と、第1の対物レンズ114と、第2の対物レンズ116と、非点生成レンズ118と、受光素子120とを有する。
【0014】
非接触センサ100Aは、コリメートレンズ104と、回折格子130Aと、偏光ビームスプリッタ108と、λ/4板110と、ミラー112と、第1の対物レンズ114によって、照射光学系103aが構成される。また、非接触センサ100Aは、第1の対物レンズ114と、ミラー112と、λ/4板110と、偏光ビームスプリッタ108と、第2の対物レンズ116と、非点生成レンズ118によって、受光光学系103bが構成される。
【0015】
光源102は、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、発光ダイオード等から構成される。光源102は、レーザ光等の光をコリメートレンズ104に向けて出射する。コリメートレンズ104は、光源102から出射された光を平行光に変換する。平行光に変換された光は回折格子130Aに入射される。
【0016】
回折格子130Aは分光素子の一例で、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。回折格子130Aは、本例では透過型の回折格子が用いられ、コリメートレンズ104で平行光に変換された光が透過することで、0次及び±m次(m=整数)の回折光が得られる。ここで、回折格子130Aは、透過型でシート状の回折格子を第1の対物レンズ114に貼り付けても良いし、反射型の回折格子をミラー112に配置しても良い。
【0017】
偏光ビームスプリッタ108は、回折格子130Aで回折された回折光である照射光Laを透過させてλ/4板110に入射させる。λ/4板110は、入射された直線偏光である照射光Laを、例えば右回りに回転する円(楕円)偏光に変換する。λ/4板110を通過した照射光Laは、ミラー112によって測定対象物の被測定面TGに向けて反射され、第1の対物レンズ114に入射される。
【0018】
第1の対物レンズ114は、所定の開口数を有するレンズ等からなる光学素子であり、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせられるように、被測定面TGに対して接近及び離間する方向に移動可能に構成される。第1の対物レンズ114に入射された照射光Laは被測定面TGに集光される。回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laは、第1の対物レンズ114で集光されることで、被測定面TGの複数点に結像される。
【0019】
図3は、回折格子を有した照射光学系による照射パターンの一例を示す図である。回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laを、第1の対物レンズ114によって被測定面TGに集光することにより、被測定面TGには、例えば十字状に光のビームスポットBが形成される。
【0020】
第1の対物レンズ114の焦点位置が被測定面TGに合わせられることで、回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laのそれぞれは被測定面TGに結像され、回折格子130Aのパターン等に応じて、被測定面TGにおける例えば数mmの範囲内に、所望のパターンで光が結像される。
【0021】
被測定面TGに集光された照射光Laは、被測定面TGで反射される。被測定面TGで反射された反射光Lrは、第1の対物レンズ114を通過して平行光に変換され、ミラー112で反射されてλ/4板110に入射される。
【0022】
λ/4板110は、入射された例えば右回りの円(楕円)偏光である反射光を更に右回りに回転させて、照射光Laに対して直線偏光方向が90度回転した直線偏光に変換する。λ/4板110を通過した反射光Lrは、偏光ビームスプリッタ108に再び入射される。
【0023】
偏光ビームスプリッタ108は、入射された反射光Lrが照射光Laに対して直線偏光方向が90度回転しているため、反射光Lrを第2の対物レンズ116方向に反射させる。偏光ビームスプリッタ108で反射された反射光Lrは第2の対物レンズ116に入射される。
【0024】
第2の対物レンズ116は、所定の開口数を有するレンズ等からなる光学素子であり、入射された反射光を所定のビーム径で非点生成レンズ118に集光させる。非点生成レンズ118は、円柱を軸方向に2つに割った形状をなし、曲率がある断面では光を集光させ、平面の断面内では光をそのまま透過させる。非点生成レンズ118に入射された反射光Lrは受光素子120に集光される。
【0025】
受光素子120は、非点生成レンズ118により集光された反射光Lrに基づいてフォーカスエラー信号(変位情報)SFEを生成してサーボ制御部210に供給する。受光素子120は、4分割ダイオードにより構成されている。
【0026】
図4(A)〜(C)は、4分割ダイオードに集光される反射光Lrの像を示す図である。非接触センサ100Aでは、図3に示すように被測定面TGの複数点に結像された光の反射光が、受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGで光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。
【0027】
被測定面TGが第1の対物レンズ114の焦点位置f1(図1参照)にあるときには、図4(A)に示すように、集光された光が円形の光スポットLRになる。また、第1の対物レンズ114が被測定面TGに対して焦点位置f1より遠ざかると、図4(B)に示すように、横に広がった楕円形の光スポットLRXになり、焦点位置f1より近づくと図4(C)に示すように、縦に広がった楕円形の光スポットLRYになる。
【0028】
ここで、分割された各フォトダイオードから出力される出力信号をA,B,C,Dとすると、焦点位置f1からのずれを表すフォーカスエラー信号SFEは、以下の式(1)で与えられる。
SFE=(A+C)−(B+D)・・・(1)
【0029】
図5は、フォーカスエラー信号の特性を示す図である。式(1)で与えられるフォーカスエラー信号SFEは図5のグラフに示すような特性を有する。図5の特性において、原点Oを合焦位置とし、第1の対物レンズ114と被測定面TGとの間の距離をdとするとき、原点Oにおいて、焦点距離と距離dとが等しくなる。
【0030】
図1に戻り、サーボ制御部210は、制御部の一例であり、受光素子120から出力されるフォーカスエラー信号SFEに基づいて、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせる制御を行う。このサーボ制御部210は、図示しないサーボアンプと比較回路とを有する。サーボアンプは、供給されたフォーカスエラー信号SFEを増幅して比較回路に供給する。比較回路は、予め設定されている基準値とフォーカスエラー信号SFEとを比較する。基準値は、焦点位置f1に対する誤差が許容できる範囲内に設定され、例えば比較回路のROMに記憶されている。サーボ制御部210は、基準値とフォーカスエラー信号SFEとを比較した結果、フォーカスエラー信号SFEの値が基準値の許容範囲を超える場合、フォーカスエラー信号SFEがゼロ値となるような駆動信号(電流信号)Sdを生成してアクチュエータ300に供給する。
【0031】
アクチュエータ300は、可動コイル302と永久磁石304と連結部材500とを有する。この可動コイル302には連結部材500が取り付けられる。連結部材500には第1の対物レンズ114が取り付けられる。可動コイル302は、サーボ制御部210から供給された駆動信号Sdに従ってフォーカスエラー信号SFEがゼロ値となるように連結部材500を矢印D1,D2方向に移動させる。この移動に連動して、連結部材500に一体的に取り付けられている第1の対物レンズ114も矢印D1,D2方向に移動し、第1の対物レンズ114の焦点位置f1を被測定面TGに合わせて、被測定面TGとの間の距離dが常に第1の対物レンズ114の焦点距離に等しい値となるようにフィードバック制御される。
【0032】
アクチュエータ300としてボイスコイルモータを使用しているので、被測定面TGの変位に対する直線性が高い。ボイスコイルモータは、可動コイル302に供給される電流に対して直線的に変位するモータだからである。したがって、可動コイル302に供給される電流を測定することにより簡易に変位量の検出も行うこともできる。なお、アクチュエータ300としては、ボイスコイルモータに限られず、DCサーボモータ、ステッピングモータあるいは圧電素子等に代替しても良い。
【0033】
変位量測定部400は、リニアスケール408と格子干渉計402とを有する。リニアスケール408は、目盛406が所定ピッチで形成されたものであり、連結部材500の所定位置に取り付けられる。リニアスケール408には、目盛406の略中央位置に原点410が設けられる。ここで、リニアスケール408の目盛406は、第1の対物レンズ114の光軸Loの延長線Oa上に合わせて取り付けられている。言い換えれば、リニアスケール408が第1の対物レンズ114の光軸Loに対して同軸(インライン)上に配置されていることになる。なお、リニアスケール408としては、例えば、光の干渉縞を目盛406として記録した光学式スケール(ホログラムスケール)を用いることができる。光学式スケールに代替して、磁気式スケールまたは容量式スケールを用いても良い。
【0034】
格子干渉計402は、図示しないシャーシ等に固定され、リニアスケール408の目盛406を読み取って目盛読み取り信号Svを生成し、生成した目盛読み取り信号Svを信号処理部404に供給する。被測定面TGが変位したときには、第1の対物レンズ114の焦点位置f1を被測定面TGに保持するように第1の対物レンズ114とリニアスケール408とが同一方向に同一距離だけ変位するので、格子干渉計402はこの変位量をリニアスケール408の目盛406から読み取る。
【0035】
信号処理部404は、格子干渉計402から出力された目盛読み取り信号Svに基づいて被測定面TGの変位量を算出する。そして、信号処理部404は、制御部200からの制御信号SSに基づいて所定の画像信号処理を行い、算出した変位量に基づく画像信号Siを生成して表示部140に出力する。信号処理部404により生成された画像信号Siは図示しないデータロガーに記憶しても良い。
【0036】
表示部140は、例えばLCD(Liquid Crystal Display),PDP(Plasma Display Panel)またはEL(Electro Luminescence)等から構成される。表示部140は、信号処理部404から出力された画像信号Siに基づく表示を行い、表示部140の画面上に被測定面TGの変位を表示する。これにより、容易に自動計測が可能になる。
【0037】
制御部200は、サーボ制御部210および信号処理部404の動作を制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)とROM(Read-Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とから構成される。
【0038】
以上説明したように、第1の実施の形態の変位検出装置10Aによれば、光源102と第1の対物レンズ114との間に回折格子130Aを配置するため、回折格子130Aで0次及び±m次の回折光である照射光Laを得て、被測定面TGを照射することができる。
【0039】
照射光Laを集光する第1の対物レンズ114の焦点位置が被測定面TGに合わせられることで、回折格子130Aで得られた0次及び±m次の回折光である照射光Laのそれぞれは、被測定面TGにおける例えば数mmの範囲内の複数点で、回折格子130Aの格子パターン等に応じた任意のパターンで被測定面TGに結像される。
【0040】
これにより、回折格子130Aを有した照射光学系103aでは、被測定面TGを照射する光のビーム径を、解像度を落とさずにμm単位からmm単位まで拡げることと同等の効果が得られる。
【0041】
すなわち、非接触センサ100Aでは、図3に示すように被測定面TGの複数点に結像された光の反射光が、受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGで光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。
【0042】
このように、非接触センサ100Aで被測定面TGの平均化された変位情報が検出され、照射光Laの数や照射光Laが照射される範囲を、測定目的に応じて設定することで、最適な検出精度により被測定面TGの変位を検出することができる。
【0043】
従って、被測定面TGに複数のビームを照射することで、被測定面TGにおいて複数のビームが照射される範囲の変位を光学的に平均化することができ、面粗度の影響を受けにくくして、高精度に被測定面TGの変位を検出することができる。
【0044】
これにより、被測定面TGの表面に付着した微細な異物等に過敏に反応した変位情報が検出されることがなく、また、被測定面TGの表面粗さを本来より大きく測定した変位情報が検出されることなく、被測定面TGの本来の平面状態を測定した変位情報を検出することができる。
【0045】
また、上述した変位検出装置10Aによって得られた変位量は、第1の対物レンズ114と一体的に移動するようにされたリニアスケール408が第1の対物レンズ114の光軸Loと同軸上、いわゆるインライン上に配置されていることから、アッベ誤差が発生しない。このため、リニアスケール408の変位量と第1の対物レンズ114の変位量とが1:1に対応するので、きわめて高精度に変位量を検出することができる。
【0046】
また、リニアスケール408の検出範囲(目盛406のフルスケール)内であれば、検出精度を損なうことなく広い検出範囲が得られる。
【0047】
また、フィードバック制御としているので、被測定面TGの反射率によってフォーカスエラー信号SFEの感度が変わってしまっても測定誤差が生じないうえサーボ系やアクチュエータ300の素子のばらつきやドリフトを原因として誤差が発生することがなく、調整・校正の手間が省略できて長期に渡って安定した検出を行うことができる。
【0048】
更に、リニアスケール408に原点410を形成することにより、その原点410の位置を基準位置として被測定面TGの変位量を検出することができるという利点を有する。
【0049】
<第2の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図6は、本発明の第2の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図、図7は、第2の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施の形態で説明した変位検出装置10A、非接触センサ100Aと共通する構成要素には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
第2の実施の形態の変位検出装置10Bは、非接触センサ100Bに光散乱体130Bを有する。光散乱体130Bは分光素子の一例で、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。光散乱体130Bは、ランダムパターン形状をもった透過光学素子であり、光を散乱させる目的であるため、すりガラスや、ソフトフィルタ、乳化材を混入した白色の樹脂材料等でも良い。
【0051】
第2の実施の形態の変位検出装置10Bは、光源102から出射された光をコリメートレンズ104で平行光に変換する。平行光に変換された光は、光散乱体130Bに入射されて散乱される。
【0052】
光散乱体130Bで散乱された散乱光である照射光Lbは、偏光ビームスプリッタ108を透過し、λ/4板110で円(楕円)偏光に変換されて、ミラー112によって被測定面TGに向けて反射され、第1の対物レンズ114に入射される。
【0053】
第1の対物レンズ114に入射された照射光Lbは、被測定面TGに集光される。光散乱体130Bを有した照射光学系103aでは、光が光散乱体130Bで散乱されることで様々な方向に進むことから、第1の対物レンズ114で集光されて被測定面TGに結像されるビーム径が、光散乱体130Bが無い場合と比較して拡げられる。
【0054】
被測定面TGに集光された照射光Lbは、被測定面TGで反射される。被測定面TGで反射された反射光Lrは、第1の対物レンズ114を通過して平行光に変換され、ミラー112で反射されてλ/4板110に入射され、照射光Lbに対して直線偏光方向が90度回転した直線偏光に変換される。λ/4板110を通過した反射光Lrは、偏光ビームスプリッタ108に再び入射される。
【0055】
偏光ビームスプリッタ108は、入射された反射光Lrが照射光Lbに対して直線偏光方向が90度回転しているため、反射光Lrを第2の対物レンズ116方向に反射させる。偏光ビームスプリッタ108で反射された反射光Lrは第2の対物レンズ116に入射され、所定のビーム径で非点生成レンズ118に集光される。非点生成レンズ118では、曲率がある断面では光を集光させ、平面の断面内では光をそのまま透過させて、反射光Lrが受光素子120に集光される。
【0056】
非接触センサ100Bでは、光散乱体130Bを有した照射光学系103aで被測定面TGに照射された照射光Lbの反射光が、受光光学系103bで受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGに照射されるビーム径の範囲における変位を平均化した形状となる。
【0057】
受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGが第1の対物レンズ114の焦点位置にあるときには、図4(A)に示す形状となり、第1の対物レンズ114が被測定面TGに対して焦点位置より遠ざかると、図4(B)に示す形状となり、焦点位置より近づくと、図4(C)に示す形状となる。
【0058】
受光素子120では、第1の対物レンズ114と被測定面TGとの距離に応じて変化する入射される光の像に基づいてフォーカスエラー信号(変位情報)SFEが生成される。サーボ制御部210は、受光素子120から出力されるフォーカスエラー信号SFEに基づいて、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせるフィードバック制御が行われる。
【0059】
第1の対物レンズ114には、連結部材500を介してリニアスケール408が取り付けられており、被測定面TGの変位に第1の対物レンズ114を追従させたときの第1の対物レンズ114の変位量が、リニアスケール408の目盛406を格子干渉計402で読み取ることで検出され、信号処理部404で被測定面TGの変位量が算出される。
【0060】
被測定面TGに結像される光のビーム径を小さく絞ることで、高分解能化が図られる。一方、被測定面TGに結像されるビーム径を絞ると、被測定面TGの面粗度が大きい等の要因で、表面の凹凸を過剰に検出してしまうような場合がある。
【0061】
光散乱体130Bを有した照射光学系103aでは、光散乱体が無い場合のビーム径が例えば2μm程度に絞られる光学系で、光散乱体130Bを入れることでビーム径を例えば4μm程度に拡大することができる。
【0062】
これにより、被測定面TGの面粗度が大きい等の要因で、被測定面TGを照射するビーム径を絞ると表面の凹凸を過剰に検出してしまうような場合でも、面粗度の影響を受けにくくして、高精度に被測定面TGの変位を検出することができる。
【0063】
すなわち、照射光学系103aに光散乱体130Bを備えることで、被測定面TGに結像されるビーム径を、被測定面TGの面祖度等に応じて変えることができ、被測定面TGの表面粗さを本来より大きく測定した変位情報が検出されることなく、被測定面TGの本来の平面状態を測定した変位情報を検出することができる。また、測定レンジを変える、つまり測定分解能を変える場合に容易に対応可能であり、測定目的に応じた最適な検出精度により、被測定面TGの変位を検出することができる。
【0064】
<第3の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図8は、本発明の第3の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図、図9は、第3の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施の形態で説明した変位検出装置10A、非接触センサ100Aと共通する構成要素には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0065】
第3の実施の形態の変位検出装置10Cは、非接触センサ100Cにマイクロプリズム130Cを有する。マイクロプリズム130Cは分光素子の一例で、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。
【0066】
図10は、マイクロプリズムの一例を示す斜視図である。マイクロプリズム130Cは、規則的なパターン形状で複数のプリズム131が形成された透過光学素子であり、入射された光がプリズム131の面の数に応じて分光される。
【0067】
第3の実施の形態の変位検出装置10Cは、光源102から出射された光をコリメートレンズ104で平行光に変換する。平行光に変換された光は、マイクロプリズム130Cに入射されて、プリズム131の面の数及び向きに応じて分光される。
【0068】
マイクロプリズム130Cで分光された照射光Lcは、偏光ビームスプリッタ108を透過し、λ/4板110で円(楕円)偏光に変換されて、ミラー112によって被測定面TGに向けて反射され、第1の対物レンズ114に入射される。
【0069】
第1の対物レンズ114に入射された照射光Lcは、被測定面TGに集光される。マイクロプリズム130Cを有した照射光学系103aでは、マイクロプリズム130Cで分光された照射光Lcが第1の対物レンズ114で集光されることで、被測定面TGの複数点に結像される。
【0070】
被測定面TGに集光された照射光Lcは、被測定面TGで反射される。被測定面TGで反射された反射光Lrは、第1の対物レンズ114を通過して平行光に変換され、ミラー112で反射されてλ/4板110に入射され、照射光Lcに対して直線偏光方向が90度回転した直線偏光に変換される。λ/4板110を通過した反射光Lrは、偏光ビームスプリッタ108に再び入射される。
【0071】
偏光ビームスプリッタ108は、入射された反射光Lrが照射光Lcに対して直線偏光方向が90度回転しているため、反射光Lrを第2の対物レンズ116方向に反射させる。偏光ビームスプリッタ108で反射された反射光Lrは第2の対物レンズ116に入射され、所定のビーム径で非点生成レンズ118に集光される。非点生成レンズ118では、曲率がある断面では光を集光させ、平面の断面内では光をそのまま透過させて、反射光Lrが受光素子120に集光される。
【0072】
非接触センサ100Cでは、マイクロプリズム130Cを有した照射光学系103aで被測定面TGに照射された照射光Lcの反射光が、受光光学系103bで受光素子120を構成する4分割ダイオードに入射されることで、受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGで光が照射される範囲における変位を平均化した形状となる。
【0073】
受光素子120に入射される光の像は、被測定面TGが第1の対物レンズ114の焦点位置にあるときには、図4(A)に示す形状となり、第1の対物レンズ114が被測定面TGに対して焦点位置より遠ざかると、図4(B)に示す形状となり、焦点位置より近づくと、図4(C)に示す形状となる。
【0074】
受光素子120では、第1の対物レンズ114と被測定面TGとの距離に応じて変化する入射される光の像に基づいてフォーカスエラー信号(変位情報)SFEが生成される。サーボ制御部210は、受光素子120から出力されるフォーカスエラー信号SFEに基づいて、第1の対物レンズ114の焦点位置を被測定面TGに合わせるフィードバック制御が行われる。
【0075】
第1の対物レンズ114には、連結部材500を介してリニアスケール408が取り付けられており、被測定面TGの変位に第1の対物レンズ114を追従させたときの第1の対物レンズ114の変位量が、リニアスケール408の目盛406を格子干渉計402で読み取ることで検出され、信号処理部404で被測定面TGの変位量が算出される。
【0076】
被測定面TGに結像される光のビーム径を小さく絞ることで、高分解能化が図られる。一方、被測定面TGに結像されるビーム径を絞ると、被測定面TGの面粗度が大きい等の要因で、表面の凹凸を過剰に検出してしまうような場合がある。
【0077】
マイクロプリズム130Cを有した照射光学系103aでは、被測定面TGに複数のビームを照射することで、被測定面TGにおいて複数のビームが照射される範囲の変位を光学的に平均化することができ、面粗度の影響を受けにくくして、高精度に被測定面TGの変位を検出することができる。
【0078】
被測定面TGに結像される照射光Lcの数や範囲は、マイクロプリズム130Cのプリズム131の面の数や向き、大きさ等により設定可能であり、測定目的に応じた最適な検出精度により、被測定面TGの変位を検出することができる。
【0079】
<第4の実施の形態の変位検出装置の構成及び動作例>
図11は、本発明の第4の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図、図12は、第4の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施の形態で説明した変位検出装置10A、非接触センサ100Aと共通する構成要素には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0080】
第4の実施の形態の変位検出装置10Dは、図12に示すように、非接触センサ100Dに分光素子切替部材130Dを備える。分光素子切替部材130Dは、被測定面TGに結像される光のパターンや、ビーム径等を異ならせる複数種類の分光素子130D1〜130Dnを備え、光源102と第1の対物レンズ114の間に配置される。
【0081】
分光素子切替部材130Dの複数の分光素子130D1〜130Dnは、例えば、第1の実施の形態の回折格子として、格子パターン等の異なる回折格子を備える。また、第2の実施の形態のランダムパターン形状をもった透過光学素子として、パターン形状の異なる透過光学素子を備える。あるいは、第3の実施の形態の規則的なパターン形状をもった透過光学素子として、パターン形状の異なる透過光学素子を備える。なお、回折格子とランダム形状をもった透過光学素子と規則的なパターン形状をもった透過光学素子を組み合わせて備えても良い。
【0082】
分光素子切替部材130Dは、複数の分光素子130D1〜130Dnが軸ORに対して同軸上に配置され、軸ORを中心に回転駆動されることで、照射光学系103aによる光源102から被測定面TGまでの光軸上に、分光素子130D1〜130Dnの何れかが配置される。
【0083】
第4の実施の形態の変位検出装置10Dは、図11に示すように、上述した非接触センサ100Dと、制御部200と、サーボ制御部210と、アクチュエータ300と、変位量測定部400と、信号処理部404と、表示部140と、操作部142とを備える。
【0084】
操作部142は、例えばキーボードやリモートコントローラ等から構成され、分光素子切替部材130Dの複数の分光素子130D1〜130Dnから何れかを選択するためのものである。操作部142は、ユーザにより所定操作が行われると、所定操作に対応した操作信号Soを生成して制御部200に出力する。
【0085】
制御部200は、操作部142から出力された操作信号Soに基づいて駆動部122を回転駆動するための駆動信号SCを生成して駆動部122に出力する。制御部200は、ユーザの操作部142の操作により分光素子130Diが選択された場合には、分光素子130Diが照射光Lの光軸Lo上に位置するような駆動信号SCを生成する。
【0086】
駆動部122は、制御部200から供給される駆動信号SCに基づいて、駆動部122に軸ORを介して連結された分光素子切替部材130Dを回転駆動させて所定位置で停止させる。例えば、分光素子130Diに対応した駆動信号SCが供給された場合には、分光素子130Diが光軸Lo上に位置するように分光素子切替部材130Dを回転させて停止させる。
【0087】
第4の実施の形態の変位検出装置10Dによれば、操作部142を操作することで、例えば被測定面TGの特性や形状等に応じて、これらに適合した分光素子130D1〜130Dnを選択することができる。これにより、被測定面TGに応じた最適な検出精度によって被測定面TGの変位の測定をすることができ、測定目的に合った被測定面TGの変位情報を得ることができる。従って、様々な測定対象物に対応できるようになる。
【0088】
<実験データ比較例>
次に、従来の変位検出装置を用いて被測定面TGを測定した場合と本発明に係る各実施の形態の変位検出装置10A〜10Dを用いて被測定面TGを測定した場合の測定結果について説明する。
【0089】
図13は、従来の変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフ、図14は、本発明を適用した変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフである。ここで、図14は、分光素子として、図6及び図7で説明した光散乱体130Bを使用した測定結果例である。図13,図14では、変位検出装置10A〜10Dの表示部140の画面に表示された測定結果の一例を示し、縦軸が面粗度であり、横軸が被測定面TGの測定位置である。また図13,図14では、被測定面TGの基準位置(0mm)から所定方向に向かって照射光Lを走査していくものとする。
【0090】
従来の変位検出装置では、光源から出射される光を、ビーム径を小さく絞って被測定面TGに照射するため、分解能が高くなることで、被測定面TGの表面粗さを本来より大きく測定した変位情報が検出され、図13のグラフに示すように凹凸波形が大きく表れてしまい、被測定面TGの本来の平面状態を測定できなかった。
【0091】
これに対して、本発明を適用した変位検出装置では、被測定面TGの表面粗さ等による変位を平均化して測定する効果を有し、従来と同一試料を測定した結果、図14のグラフに示すように波形の凹凸が小さくなり、被測定面TGの本来の平面状態を測定した結果を出力できることがわかる。
【0092】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0093】
例えば、各実施の形態では、フォーカスエラー信号SFEを得るために非点収差法を利用しているが、これに限らず、臨界角法、ナイフエッジ法等に代替しても良い。いずれの方法においても、フォーカスエラー信号SFEがゼロ値になるように制御するので、被測定面TGの反射率が異なっても精度良く変位を検出することができる。
【0094】
また、光源102,偏光ビームスプリッタ108,ミラー112,受光素子120から構成される光学系は、連結部材500に取り付けて、第1の対物レンズ114と一体的に移動するように構成しても良く、図示しないシャーシに固定しても良い。第1の対物レンズ114と一体的に移動するように構成することにより、変位量の検出範囲がリニアスケール408のフルスケールに拡大する。シャーシに固定するようにした場合、すなわち、分散型に構成した場合には、アクチュエータ300を比較的小さくすることができ、第1の対物レンズ114等を含む変位検出装置の重量を軽くすることができる。これによって、変位量をより高速に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】回折格子を有した照射光学系による照射パターンの一例を示す図である。
【図4】受光素子に集光される反射光の像を示す図である。
【図5】フォーカスエラー信号の特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図9】第3の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図10】マイクロプリズムの一例を示す斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の変位検出装置の一例を示すブロック図である。
【図12】第4の実施の形態の非接触センサの構成の一例を示す斜視図である。
【図13】従来の変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフである。
【図14】本発明を適用した変位検出装置での測定結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0096】
10A〜10D・・・変位検出装置、100A〜100D・・・非接触センサ、102・・・光源、108・・・偏光ビームスプリッタ、114・・・第1の対物レンズ、120・・・受光素子、130A・・・回折格子、130B・・・光散乱体、130C・・・マイクロプリズム、130D・・・分光素子切替部材、200・・・制御部、210・・・サーボ制御部、400・・・変位量測定部、408・・・リニアスケール、SFE・・・フォーカスエラー信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された光を対物レンズで集光して被測定面に照射する照射光学系、及び前記照射光学系で前記被測定面に結像され、前記被測定面で反射した光を集光して受光素子に入射させる受光光学系を有し、前記受光素子に入射した光の像の変化で、前記被測定面の変位情報を検出する非接触センサと、
前記非接触センサにより検出された前記被測定面の変位情報に基づいて前記対物レンズを変位させ、前記対物レンズの焦点位置と前記被測定面を合わせる制御部と、
前記非接触センサの前記対物レンズに連結部材を介して取り付けられたリニアスケールを有し、前記被測定面の変位情報に基づいて前記制御部により前記対物レンズを変位させたときの前記リニアスケールの変位量を測定する変位量測定部とを備え、
前記非接触センサは、前記光源と前記対物レンズとの間に、前記被測定面に照射される光を分光する分光素子が配置された変位検出装置。
【請求項2】
前記分光素子は、前記光源から出射された光を回折して複数の回折光を得る回折格子である請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記分光素子は、前記光源から出射された光を散乱させるランダムパターン形状を持った光学素子である請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記分光素子は、前記光源から出射された光を異なる方向に屈折または反射させる規則的なパターン形状を持った光学素子である請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記被測定面に結像される光のパターンとビーム径のいずれかまたは双方を異ならせる複数の前記分光素子が切り替えられる分光素子切替部材を備えた請求項1〜4に何れか記載の変位検出装置。
【請求項1】
光源から出射された光を対物レンズで集光して被測定面に照射する照射光学系、及び前記照射光学系で前記被測定面に結像され、前記被測定面で反射した光を集光して受光素子に入射させる受光光学系を有し、前記受光素子に入射した光の像の変化で、前記被測定面の変位情報を検出する非接触センサと、
前記非接触センサにより検出された前記被測定面の変位情報に基づいて前記対物レンズを変位させ、前記対物レンズの焦点位置と前記被測定面を合わせる制御部と、
前記非接触センサの前記対物レンズに連結部材を介して取り付けられたリニアスケールを有し、前記被測定面の変位情報に基づいて前記制御部により前記対物レンズを変位させたときの前記リニアスケールの変位量を測定する変位量測定部とを備え、
前記非接触センサは、前記光源と前記対物レンズとの間に、前記被測定面に照射される光を分光する分光素子が配置された変位検出装置。
【請求項2】
前記分光素子は、前記光源から出射された光を回折して複数の回折光を得る回折格子である請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記分光素子は、前記光源から出射された光を散乱させるランダムパターン形状を持った光学素子である請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記分光素子は、前記光源から出射された光を異なる方向に屈折または反射させる規則的なパターン形状を持った光学素子である請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記被測定面に結像される光のパターンとビーム径のいずれかまたは双方を異ならせる複数の前記分光素子が切り替えられる分光素子切替部材を備えた請求項1〜4に何れか記載の変位検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−300236(P2009−300236A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154551(P2008−154551)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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