説明

多層印刷配線基板の製造方法

【課題】 3層以上のシールド多層板または触媒入りシールド多層板とを用い、表裏の配線層や層間接続するビアホール及び導通接続穴を有する多層配線基板にあって、薄型化,配線の自由度化,高温多湿な高電界の環境下に耐え得る電食特性及び高密度化対応等が優れ、さらに電気的な接続信頼性の高い多重ビアホール付き多層配線基板の製造方法47を実現することを目的とする。
【解決手段】 上述の課題を実現するために、前記シールド板に穴埋めされた導通接続穴の穴内に穴壁金属膜に接触しないようにレーザドリリングしテーパ角をもつ貫通穴を設け得、これに銅めっきを施し導通接続穴を形成、この穴内に絶縁体を形成した後に、無電解ニッケルと電解銅めっきを併用して導通接続穴を設け、さらに接続用パッドを形成した後に、表裏を層間接続するビアホールを多重形成して、配線の自由度化及び電食特性に優れ得る高密度化からなる多層配線基板の製造方法47を達成しようとするものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型コンピュータや高性能の電子機器等に用いられる層間接続性に優れたビアホールを有する多層配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高集積化技術の急速な開発によって、プリント配線基板に於いても、薄膜化,精細化,高密度化さらには、高速化対応が要求され、この対応としては、一般に回路付内層配線基板を用い、この表裏上に絶縁プリプレグを多層積層化し表層と内層を接続するのにビアホールを形成し、次いで、表裏全面に導体を形成した後、導体をパターニングする。さらに、これをリピートして多層化した後最後に、最外層を接続する導通接続穴を形成する製造方法である。以下、従来の技術に係る製造方法について、図9に基づき説明する。
【0003】まず、図9に示すように、内層銅張り積層基板(FR−4)を用い、選択的にドリリング加工により第1貫通穴55を穿設しこの表裏面上と前記穴55の内壁に化学めっきとパネル銅めっきを施し、第1導通接続穴56を形成し、次いで前記第1導通接続穴56の穴内に樹脂埋め57硬化して形成した後に、表裏導体をパターニングを行い、内層板の回路83,内層板の配線層84,第1接続用パッドになるランド58,第2接続用パッド59等からなるシールド板51を形成する。
【0004】次いで、前記シールド板51の表裏上に銅箔付き接着プリプレグ60及び61を積層して多層圧着化して構成する。これに炭酸ガスレーザビーム加工を行い、ビア半貫通穴62及び63を設け、この穴62及び63内壁及び表裏上に化学めっきとパネル銅めっきを施し、第1ビアホール64及び65を形成した後に、導体をパターニングして第1ビアホールランド66及び67を形成し、外層銅箔,内層導体付き樹脂接着フィルム68及び69を表裏上に多層化構成した後に、ドリリングにより第2半貫通穴70及び71及び第2貫通穴73を設け、これらの穴70・71及び73内壁と表裏面上に化学めっきとパネル銅めっきを施し、第2ビアホール75及び76,第2導通接続穴74を形成した後に、最外層をパターニングして信号用配線層81及び82,第2ビアホールランド77及び78,第2導通接続穴ランド79及び80を形成し、前記第1導通接続穴56と第2導通接続穴74とを別々の位置に配設させている従来の技術に係る多層配線基板85が得られるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の多層配線基板の製造方法85においては、以下に記載するような問題を有していた。
【0006】その第1としては、図9に示すように、シールド板51に存在する第1導通接続穴56と最外層の表裏を接続する第2導通接続穴74とが別々に配設されているため、シールド板51の回路83及びシールド板51の配線層84を配設するのに、前記第2導通接続穴74が隘路になり、これによって配線自由度が阻害され、占有面積も大きく、高密度化の実現が難しいという問題があった。
【0007】その第2としては、図9に示すように、前記第1貫通穴55及び第2貫通穴73を選択的に穿設するのにドリリングを用いているために、最少穴径は、0.2mmφが限界レベルであり、前記55及び73の小径化が難しく、特に第2貫通穴73を穿設する場合に多層配線基板85の板厚が厚くなるため、ドリリングの不具合が生じて小径化できず、また銅めっき付き回り性が悪化し、外部ストレスにより第2導通接続穴74の中央部全周にバレルクラックが生じ、電気的な接続信頼性の劣化を促進させるという問題があった。
【0008】その第3としては、高温多湿な高電界の環境下において、銅イオンの移行や粗化液及び無電解銅めっき液のしみ込み等が生じて、電気的な接続信頼性,電食特性及び高密度化対応とを低下させるという問題があった。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、電食特性及び電気特性との特性に優れ、接続信頼性も高く、第2導通接続穴74の影響がない、高密度配線機能をもつ多層配線基板、またビアホールが容易に形成しうる高密度配線機能を活用でき得るより一層優れた多層配線基板の製造方法47を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、3層以上のシールド多層板または触媒入りシールド多層板の表裏の配線層を導通するための導通接続穴を有する多層配線板にあって、第1貫通穴7を第1UVレーザ照射して穿設し、この穴7内壁と表裏面に下地第1ニッケルめっき8を施し、このニッケルめっき8の上に第1パネル銅めっき9を施すことにより第1導通接続穴10を形成する工程、前記第1導通接続穴10内に第1絶縁体11を穴埋め形成後に、フォトエッチング法によって、第1接続用パッド14及び第1配線層13等を形成させて穴埋め付きシールド多層板1を完成させる工程、前記穴埋め付きシールド多層板1に無機フィラー10%以上を含む第1外層15をラミネート積層して、これに第2UVレーザ照射を用いて、第1半貫通穴17と第2貫通穴18を前記第1導通接続穴10の内壁に接触しないように穿設して、この穴17及び18内壁と表裏面に下地第2パネルニッケルめっき19を施して、この第2ニッケルめっき19上に第2パネル銅めっき20を施すことにより第1ビアホール22及び第2導通接続穴21を形成する工程、前記第2導通接続穴21穴内に第2絶縁体23を穴埋め形成後に、この上に第3ニッケルめっき24Aを施し、さらに第3パネル銅めっき24を施して、しかる後に、フォトエッチング法を用い、第1導通接続穴の内径28よりも小さい第2接続用パッド25を形成する工程、接着剤及び片面銅箔付き内層導体含む無機フィラー10%以上からなる第2外層32を表裏面に積層する工程、これに第3UVレーザドリリングすることにより第2半貫通穴33及び第3半貫通穴34を形成する工程、下地第4ニッケルめっき35を施し、この下地第4ニッケルめっき35の上に第4パネル銅めっき36を施し、第2ビアホール37及び第3ビアホール38を設ける工程、フォトエッチング法により必要外の外層銅箔を除去し、この表裏上の銅箔層以外に無電解用永久レジスト41を形成後に、下地に無電解ニッケルめっきを施しこの上に無電解めっき(cc−41)42を施し、発熱部品45の搭載用第2ビアホール放熱ランド39、第3ビアホール放熱ランド40及び高密度化対応用微細配線層44を形成する工程等を有することによって、優れた電気的な接続信頼性が得られ、さらには電食性が改良され高い高密度化の実現できる多層配線基板の製造方法47である。
【0011】
【発明の実施の形態】3層以上のシールド多層板1または触媒入りシールド多層板1を用いこれに第1貫通穴7をイットニウム,アルミニウム・ガーネットUVレーザビームの第3高調波光源にて、例えば波長330〜370ナノメートル範囲とし、このUVレーザビームのエネルギー密度は、例えば銅箔では、25〜30J/平方センチメートル範囲かつ穴明けレートは、4〜7μm/ショット範囲また樹脂(ガラス布入りも含む)では、10〜15J/平方センチメートル範囲かつ穴明けレートは、8〜12μm/ショット範囲であり、UVレーザビームドリリング方法では、最少径25μm迄穿穴でき得るものであり、連続的に多層構造シールド多層板1を炭化変質層を生じさせなく、さらに穴7内壁粗さを平滑化(15μm以下)に穿穴する方法である(図7参照のこと。)。
【0012】依って後製造工程において、前記炭化変質層の除去のために粗化液例えばクロム酸と硫酸の混合液及び過マンガン酸カリウム液とを用い、この液に浸漬するデスミア処理が短時間に抑制できる事により前記貫通穴7の内壁中への粗化液しみ込み量を防止できることにより銅めっきの付き回り性を一層優れたものにできる(図12参照のこと。)。
【0013】また、多層構造のシールド多層板1をUVレーザビームを用いドリリングを行う場合、貫通穴7との壁面の穴の軸に対するテーパー角を1〜5度範囲にすることが電気的な特性改良に適している(図7及び図11とを参照のこと。)。
【0014】次いで、前記貫通穴7の内壁及び表裏上に無電解第1ニッケルめっき8を約5μm以下に施し、この上に電解第1パネル銅めっき9を約20〜25μm程度に被膜し、第1導通接続穴10を形成する。
【0015】なお、前記無電解第1ニッケルめっき8を施すことにより、銅イオンの移行を抑制することが可能になり高温多湿な環境下での銅マイグレーションの電食現象を防止することが実現可能になるものである(図12参照のこと。)。
【0016】次いで、前記第1導通接続穴10内に第1絶縁体11を形成し、この第1絶縁体11は、第1導通接続穴10内のめっき層に引っ張り応力あるいは圧縮応力が同時に生じることにより金属めっき層が金属疲労し、穴10内の全周にわたって連続するクラック(バレルクラック)の発生を抑制する機能を有するものである。
【0017】なお、前記第1絶縁体11は、変性エポキシ樹脂70%以上,シリコーンコンパウド微粉末3%以上含有して成り、このシリコーンコンパウド微粉末の平均粒子径を0.05〜10μmφ範囲が適していて、この形状は、球状形状でよい。
【0018】なお、前記変性エポキシ樹脂70%未満である場合には、塗布穴埋め作業に不具合が生じる恐れがあり、また前記シリコーンコンパウド微粉末が3.0%未満である場合には、耐熱性及び放熱性が低下する不具合が生じる恐れがあり、いずれも適さないものである。
【0019】さらに、前記シリコーンコンパウド微粉末の平均粒子径が0.05μmφ未満であると、作業中にシリコーンコンパウド微粉末が空気中に浮遊し、経済性に欠点が生じ、10μmφを超えると変性エポキシ樹脂との結合力が低下し、穴埋め性の機能も悪化し、前記導通接続穴内の金属めっき層を保護することが不可能になる恐れが生じ、いずれも適しないものである。
【0020】次いで、前記シールド多層板1上を黒化処理した無機フィラー10%以上を含む銅箔付絶縁樹脂フィルムからなる第1外層15(日立化成工業製(株)商品名:MCF−9000,厚み50μm)を真空ラミネーター(日立エーアイシー(株)社製商品名:HLM−V570)を用いラミネートして形成するものであり、これにUVレーザビームを用い第1半貫通穴17及び第2貫通穴18を穿穴する。
【0021】なお、前記第2貫通穴18の穿穴の方法は、前記第1貫通穴7と同一となり、前記第1導通接続穴10の内径28に接触しないように第2貫通穴18を設け、この第2貫通穴のテーパ角31Aを1〜5度程度が適している(図8参照のこと)。
【0022】次いで、無電解第2ニッケルめっき19を施し後に、電解第2パネル銅めっき20を施し、第1ビアホール22及び第2導通接続穴21を形成、しかる後に前記第2導通接続穴21の穴内のみに第2絶縁体23を穴埋めし、形成した後に、この表裏上に無電解第3ニッケルめっき24Aを施し、これに電解第3パネル銅めっき24を施し形成する。
【0023】次いで、フォトエッチング法により前記第1導通接続穴10の内径28より小さい第2接続用パッド25と第1ビアホールランド26及び27と第2配線層43とを形成する。
【0024】次いで、前記表裏上を黒化処理した後に、接着剤及び銅箔付き内層導体含む無機フィラー10%以上含むものからなる第2外層32を積層形成した後に、UVレーザビームにより第2半貫通穴33及び第3半貫通穴34を穿穴する。
【0025】なお、前記半貫通穴33及び34穿穴するのにUVレーザビームを用いる場合に、前記第1貫通穴7及び第2貫通穴18との加工条件を同一にて穿穴するのが適している(図6参照のこと。)。
【0026】また、前記第2半貫通穴33及び第3半貫通穴34の底面コーナー部及び内壁側とにUVレーザビームの炭化物の残渣が存在しない機能を有する働きをもつものである(図10参照のこと。)。
【0027】次いで、表裏上に無電解第4ニッケルめっき35を施し、これに電解第4パネル銅めっき36を施し、第2ビアホール37A及び37Bと第3ビアホール38A及び38Bを形成した後に、フォトエッチング法を用いて、発熱部品45搭載固定用の第2ビアホール放熱ランド39及び第3ビアホール放熱ランド40のみを形成し、その他導体を除去後に表裏上を黒化処理する。
【0028】次に、無電解めっき用永久レジスト41(日立化成工業製商品名:SR3000,厚さ34μm)を真空ラミネータ(日立エーアイシー(株)社製商品名:HLM−V570)により表裏にラミネートした後に、無電解ニッケルめっき42Aを施し、この上に無電解銅めっき(cc−41めっき)42を厚さ20〜25μm程度に形成して、最外層用の高速信号対応の高密度(図14参照のこと。)第3配線層44A及び44Bとを形成実現した多重ビアホール付き本発明の多層配線基板の製造方法47である。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例の製造工程を示す、図2,図3,図4,図5,図6,図7,図8,図9,図10,図11,図12,図13,図14及び図1に基づいて説明する。
【0030】まず、図2に示すように、3層以上内層銅張積層板(FR−4,銅箔2及び3厚み12μm,35μm導体4及び5,板厚0.4mm,絶縁層6(触媒入りも含む))を用い、図7に示すように第1貫通穴のテーパ角31を1から5度まで、UVレーザビームにより、銅箔2側から絶縁層6,次に導体4より絶縁層6から銅箔3の順に穿穴する。
【0031】なお、前記UVレーザビーム穿穴方法としては、例えば、超高速UVレーザの第3高調波により、波長330〜370ナノメートル(nm)範囲が適しているが本実施例では、350ナノメートル好適であるが故に、これを用い、例えばこのエネルギー密度は、銅箔2及び3,導体4及び5では、25〜30J/平方センチメートル範囲が適しているが27〜28J/平方センチメートルが好適であり、その穴明けレートは、4〜7μm/ショット範囲が適しているが5〜6μm/ショット範囲の方がもっと好適である。前記絶縁層6(ガラス布入りも含む)のエネルギー密度は、10〜15J/平方センチメートル範囲が適しているが12〜13J/平方センチメートル範囲の方がもっと好適であり、その穴明けレートは、8〜12μm/ショット範囲が適しているが10〜11μm/ショット範囲の方がもっと好適である。
【0032】また、前記UVレーザビームドリリング方法では、例えば最少穴径25μm迄穿穴でき、炭化変質層を生成させなく、さらに穴7内壁粗さを平滑に穿穴実現でき得たものである。
【0033】次いで、前記UVレーザビームドリリングの場合の捨板は、例えばアルミニウムシート及び鉄シートとを用いることが好ましい。
【0034】次いで、前記第1貫通穴7の内壁及び表裏上を粗化液(例えば、過マンガン酸液,クロム酸と硫酸の混合液)に浸漬し炭化変質層を除去する工程を有するがこの工程に於いて、上述の粗化液が絶縁層6の内部に浸み込みにより電気的な特性(絶縁)劣化を促進させる原因になるために前記炭化変質層を生成させない本実施例であり高い電気特性が実現可能になるものである。
【0035】また、前記第1貫通穴7及び表裏上に第1パネル銅めっき9の下地に無電解第1ニッケルめっき8を約5μm以下施し、この上に電解第1パネル銅めっき9を約20〜25μm程度に被膜して、第1導通接続穴10を形成するものであり、これにより前記第1貫通穴7の内壁中のガラス布のフィラメントに沿って銅イオンが移行し、銅マイグレーションになる特性不良を防止するものである。
【0036】次に、前記第1導通接続穴10内に第1絶縁体11を塗布,穴埋め,形成する。
【0037】なお、前記の第1絶縁体11は、変性エポキシ樹脂70%以上、シリコーンコンパウド微粉末3%以上含有して成るものであり、この微粉末の平均粒径を0.05〜10μmφ程で0.5〜4.0μmφがよい。これにより、前記第1導通接続穴10の金属めっき層に外部応力(圧縮,引っ張り,応力等)が加わり、金属疲労してクラックが生ずるのを未然に防止できるものである。
【0038】また、フォトエッチング法により第1配線層13及び第1接続用パッド14とを形成する。
【0039】次いで、図3に示すように、前記シールド多層板1の表裏上を黒化処理を施した後に、銅箔付絶縁樹脂フィルム(日立化成工業製商品名:MCF−9000,厚さ50μm)からなる第1外層15を真空ラミネータ(日立エーアイシー(株)製商品名:HLM−V570常圧下加熱ローラ付き)を用いて平滑性(3μm以下)が得られるようにラミネートする。
【0040】また、前記第1外層15の銅箔側より内層シールド多層板1の方へ前記UVレーザービームを用い、ビア第1半貫通穴17及び第2貫通穴18を穿穴する。
【0041】さらに、前記第2貫通穴18は、前記第1導通接続穴10の内径28に接触しないように前記第1外層15Aの表銅箔側より第1導通接続穴10の第1絶縁体11を貫通して裏側の第1外層15の銅箔を貫通し所定の穴径を穿設する。このUVレーザビームのテーパ角1〜5度程度かつ加工条件は前記第1貫通穴7の穿設の場合と同一になり得るものである(図8参照のこと。)。
【0042】次いで、前記第1半貫通穴17及び第2貫通穴18の内壁と表裏上を短時間に粗化液に浸漬した後に、厚さ5μm以下に無電解第2ニッケルめっき19を施しこれに電解第2パネル銅めっき20を施し、約15〜20μm厚みの金属めっき層を形成し第1ビアホール22,及び第2導通接続穴21を設け、第2導通接続穴21の穴内のみに第2絶縁体23を塗布,形成する。
【0043】また、表裏上を粗化液(クロム酸系等)に浸漬して前記第2絶縁体23の表裏上を粗面化した後に、無電解第3ニッケルめっき24Aを施し約厚さ5μm以下に形成する。さらにこれに電解第3パネル銅めっき24を施し、厚さ15〜20μmに形成する。
【0044】次いで、図4に示すように、フォトエッチング法を用いて、第1配線層43,第1ビアホールランド(第3接続用パッド)26及び27,第2接続用パッド25とを形成する。
【0045】次いで、表裏上を黒化処理し、第2外層32を真空ラミネーター(日立エーアイシー)を用い、ラミネート形成する。
【0046】また、前記UVレーザビームを用い、第2半貫通穴33及び第3半貫通穴34を穿設する(図6参照のこと。)。このUVレーザビームの加工手段としては、前記第1貫通穴7と同一にし、最外層になる第2外層32の銅箔上側より、前記接続用パッド26及び27上に到達する迄穿穴するが炭化物の残渣がCO2レーザと比して生成されにくいものである。
【0047】さらに、粗化液に浸漬した後に、無電解第4ニッケルめっき35を施し約厚さ5μm以下に形成し、これに電解第4パネル銅めっき36を施し、厚さ15〜20μm程度に形成して、第3ビアホール38A及び38B,第2ビアホール37A及び37Bを形成する。
【0048】次いで、図5に示すように、フォトエッチング法を用い、発熱部品45搭載固定用の第2ビアホール放熱ランド39及び第3ビアホール放熱ランド40のみを形成し、他の導体部を除去してた後に、粗化,黒化処理を施し、信号用配線層を形成するために無電解めっき用永久レジスト41(日立化成工業(株)製商品名:SR−3000,厚さ34μm)を真空ラミネーター(日立エーアイシー(株)製商品名:HLM−V570:減圧下20〜30トオール)を用いラミネートする。
【0049】また、最外層に無電解ニッケルめっき42Aを厚さ5μm以下に施し、これに無電解銅めっき(日立エーアイシー(株)製商品名:CC−41)42を20〜25μm厚さに形成し、高速対応の高密度ライン/スペース(45/50μm)の第3配線層44A及び44Bとを実現可能にし、また層間接続の電気的特性の改良、さらには耐電食性の改良を実現可能にした多重ビアホール付本発明の多層配線基板の製造方法47が得られるものである。
【0050】次いで、図6は、前記第2半貫通穴33及び第3半貫通穴34とを波長350nmのUVレーザービームにより最小半貫通穴径25μm迄穿穴実現可能な製造方法を示す図である。この穿穴方法としては例えば連続的に厚さ12μmの銅箔側より3ショットで穿穴し、次に厚さ50μm絶縁層を5ショットで穿穴し、次に35μm内層導体(銅)を7ショットで穿穴し、次に、厚さ50μm絶縁層を5ショット穿穴して接続用パッド上に到達する深さまで穿穴する工程を示すものである。
【0051】なお、上述の穿穴条件としては、半貫通穴33及び34,壁面の穴の軸に対するテーパ角(θ)30は、1〜5度範囲が適しているがさらに好適は、3〜4度程であった(図10熱衝撃試験結果を参照のこと。)。
【0052】次いで、図7は、前記第1貫通穴7を波長350nmのUVレーザービームを用い、最小貫通穴径25μm迄穿穴実現可能な製造方法を示す図である。
【0053】また、穿穴方法としては、例えば、まず、厚さ12μmの銅箔を3ショットで、次に、100μmの絶縁層を10ショットで、次に35μmの内層導体を7ショットで、次に100μmの絶縁層を10ショットで、次に100μmの絶縁層を10ショットで、次に12μmの銅箔を3ショットとで穿穴して、捨板(例えば、アルミニウムシート及び鉄シート等)上に到達する深さ迄穿穴する工程を示すものである。
【0054】さらに、上述の穿穴条件としては、第1貫通穴7,壁面の穴の軸に対するテーパ角(θ)31は、1〜5度範囲が適しているがさらに好適は、3度程であった(図11参照のこと。)。
【0055】次いで、図8は、前記第2貫通穴18を波長350nmのUVレーザービームを用い、最小貫通穴径25μm迄穿穴実現可能な製造方法を示す図である。
【0056】また、穿穴方法としては、厚さ12μm銅箔を3ショットで、次に、厚さ400μmの第2絶縁体23を40ショットで、次に、厚さ12μm銅箔を3ショットで穿穴して、捨板(例えば、アルミニウムシート及び鉄シート等)上に到達する深さ迄穿穴する工程を示すものである。
【0057】さらに、上述の穿穴条件としては、第2貫通穴18壁面の穴の軸に対するテーパ角(θ)31Aは、1〜5度範囲が適しているが、さらに好適は、3程度であった(図11参照のこと。)。
【0058】次いで、図10に示すように、ビアホールの従来例75及び76及び本実施例37A及び37B並びに38A及び38Bの熱衝撃試験における接続信頼性を示すものである。このホットオイル試験条件としては、温度260℃オイル糟に浸漬5秒間後移行して流水に5秒間後移行する、これを1サイクルとした。
【0059】また、上述の試験結果より、従来例(ドリル穿穴)に比較し実施例(UVレーザビーム,テーパ角(θ)30:1〜5度範囲)の方が優れたサイクル数を示した本発明の多層配線基板47である。
【0060】次いで、図11に示すように、導通接続穴の従来例56及び74と本実施例10及び21の熱衝撃試験における接続信頼性を示すものである。このホットオイル試験条件は、前記図10と同一とした。
【0061】また、上述の試験より本実施例の方が従来例に比較し、優れたサイクル数を得ることができた。
【0062】次いで、図12に示すように従来例の導通接続穴56及び74,ビアホール75及び76と実施例の導通接続穴10及び21,ビアホール37A及び37B並びに38A及び38B等の耐電食性試験結果を示すものである。
【0063】また、耐電食性試験条件としては、85℃,85%RH,恒温糟内でDC50Vを連続印加1000時間後に、DC100Vを1分間印加し、絶縁抵抗を測定した。
【0064】さらに、上述の試験結果により実施例の方が導通接続穴(10及び21),ビアホール(37A及び37B並びに38A及び38B)ともに優れた絶縁抵抗値を示した多層配線基板の製造方法47である。
【0065】次いで、図13に示すように、従来例の導通接続穴56及び74,ビアホール75及び76と本実施例の導通接続穴10及び21,ビアホール37A,37B,38A,38B等のめっき液浸み込み量を示すものである。
【0066】なお、上述の結果より従来例よりもビアホール及び導通接続穴ともに低い浸み込み量を示した本実施例の多層配線基板の製造方法47を得られるものである。
【0067】次いで、図14に示すように、最外層の高密度配線層(L/S)を示す従来例81及び82と実施例44A及び44Bである。
【0068】なお、上述の結果より従来例(L/S=90/100μm)よりも本実施例(L/S=45/50μm)の方が微細配線層44A及び44Bが実現でき得たものであり、またこの最外層の製造方法により発熱部品45を搭載固定できる放熱用ランド39及び40も形成実現し得多重ビアホール付き多層配線基板の製造方法47が得られたものである。
【0069】次いで、図1は、本実施例であって、これは本発明の多層配線基板の製造方法47により作製されたものを示す模式断面図である。前記実施例の第2ビアホール放熱ランド39及び第3ビアホール放熱ランド40上に占有面積を小さく発熱部品45を搭載してはんだ46により固定した状態を示すものである。
【0070】また、最外層の第2外層32に第3配線層44A及び44B(L/S=45/50μm)を形成し、高密度化の対応を実現可能にしたものである。
【0071】
【発明の効果】(1)本発明によれば、シールド多層板の第1導通接続穴内の穴埋め絶縁体の内部に層間接続する第2導通接続穴を設けて、この穴上に接続用パッドを形成した後にビアホールを形成でき得たことにより設計自由度が可能になり高密度化が図られ、また貫通穴及び半貫通穴の穿設にUVレーザドリリングによって小径化ができ、穴内の炭化物の発生が抑制され、さらに銅めっきの下地にニッケルめっきを形成により、高温多湿の高電界の環境下における電食特性も改良実現でき、産業上寄与する効果は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す模式断面図。
【図2】本発明の実施例の製造工程を示す断面図。
【図3】本発明の実施例の製造工程を示す断面図。
【図4】本発明の実施例の製造工程を示す断面図。
【図5】本発明の実施例の製造工程を示す断面図。
【図6】本発明の実施例半貫通穴のテーパ角を示す模式説明図。
【図7】本発明の実施例の第1貫通穴のテーパ角を示す模式説明図。
【図8】本発明の実施例の第2貫通穴のテーパ角を示す模式説明図。
【図9】従来の技術に係る多層配線基板を示す断面図。
【図10】ビアホールにおける本発明の実施例のテーパ角のレーザドリリングと従来例のドリルとの接続信頼性を示す説明図。
【図11】導通接続穴における従来例と本実施例との接続信頼性を示す説明図。
【図12】従来例と本実施例の導通接続穴とビアホールとの電食特性を示す説明図。
【図13】従来例と本実施例の導通接続穴とビアホールとの粗化液及びめっき液しみ込み量を示す説明図。
【図14】従来例と本実施例の最外層に形成する信号用配線層のライン/スペース(L/S)を示す説明図。
【符号の説明】
1… シールド多層板 2・3…内層銅箔 4・5…導体(厚さ35μm)
6…絶縁層 7…第1貫通穴(レーザ) 8…第1ニッケルめっき(無電解)
9…第1パネル銅めっき(電解) 10…第1導通接続穴 11…第1絶縁体
12…UVレーザービーム 13…第1配線層 14…第1接続用パッド
15…第1外層(銅箔付絶縁樹脂フィルム) 17…第1半貫通穴(レーザ)
18…第2貫通穴(レーザ) 19…第2ニッケルめっき(無電解)
20…第2パネル銅めっき(電解) 21…第2導通接続穴
22…第1ビアホール 23…第2絶縁体 24…第3パネル銅めっき(電解)
24A…第3ニッケルめっき(無電解) 25…第2接続用パッド
26,27…第1ビアホールランド(第3接続用パッド)
28…第1導通接続穴の内径 30…半貫通穴のテーパ角
31…第1貫通穴のテーパ角 31A…第2貫通穴のテーパ角
32…第2外層 33…第2半貫通穴 34…第3半貫通穴
35…第4ニッケルめっき(無電解) 36…第4パネル銅めっき(電解)
37A・37B…第2ビアホール 38…第3ビアホール
38A・38B…第3ビアホール 39…第2ビアホール放熱ランド
40…第3ビアホール放熱ランド 41…無電解めっき用永久レジスト
42…無電解銅めっき(cc−41めっき) 42A…無電解ニッケルめっき
43…第2配線層 44A・44B…第3配線層(最外層)
45…発熱部品(SMD) 46…はんだ
47…本発明の多層配線板の製造方法 51…シールド板
52・53…内層銅箔 54…絶縁層 55…第1貫通穴(ドリル)
56…第1導通接続穴 57…樹脂埋め 58…第1接続用パッド(ランド)
59…第2接続用パッド 60・61…銅箔付接着プリプレグ
62・63…ビア半貫通穴(炭酸ガスレーザー)
64・65…第1ビアホール 66・67…第1ビアホールランド(パット)
68・69…外層銅箔,内層導体付き樹脂接着プリプレグ
70・71…第2半貫通穴(ドリル) 73…第2貫通穴(ドリル)
74…第2導通接続穴 75・76…第2ビアホール
77・78…第2ビアホールランド 79・80…第2導通接続穴ランド
81・82…信号用最外層配線層 83…シールド板の回路
84…シールド板の配線層 85…従来の技術に係る多層配線基板の製造方法
整理番号p2464

【特許請求の範囲】
【請求項1】 3層以上のシールド多層板または触媒入りシールド多層板や層間の表裏の配線層を導通するビアホール及び導通接続穴を有する多層配線板にあって、第1貫通穴(7)を第1UVレーザビーム加工して、この穴(7)内壁と表裏面に下地第1ニッケルめっき(8)を施し、このニッケルめっき(8)の上に第1パネル銅めっき(9)を施すことにより第1導通接続穴(10)を形成する工程、前記第1導通接続穴(10)内に第1絶縁体(11)を穴埋め形成後に、フォトエッチング法によって、第1接続用パッド(14)及び第1配線層(13)等を形成させて穴埋め付きシールド多層板(1)を完成させる工程、前記穴埋め付きシールド多層板(1)に無機フィラー10%以上を含む第1外層(15)をラミネート積層して、これに第2UVレーザビームを用いて、第1半貫通穴(17)と第2貫通穴(18)を前記第1導通接続穴(10)の内壁に接触しないように穿設して、この穴(17)及び(18)内壁と表裏面に下地第2ニッケルめっき(19)を施して、この第2ニッケルめっき(19)上に第2パネル銅めっき(20)を施すことにより第1ビアホール(22)及び第2導通接続穴(21)を形成する工程、前記第2導通接続穴(21)穴内に第2絶縁体(23)を穴埋め形成後に、この上に第3ニッケルめっき(24A)を施し、さらに第3パネル銅めっき(24)を施して、しかる後に、フォトエッチング法を用い、第1導通接続穴の内径(28)よりも小さい第2接続用パッド(25)を形成する工程、接着剤及び銅箔付き内層導体含む無機フィラー10%以上含むものからなる第2外層(32)を表裏面に積層形成する工程、これに第3UVレーザドリリングすることにより第2半貫通穴(33)及び第3半貫通穴(34)を形成する工程、下地第4ニッケルめっき(35)を施し、この下地第4ニッケルめっき(35)の上に第4パネル銅めっき(36)を施し、第2ビアホール(37)及び第3ビアホール(38)を設ける工程、フォトエッチング法により必要外の外層銅箔を除去し、この表裏上の銅箔層以外に無電解用永久レジスト(41)を形成後に下地無電解ニッケルめっきを施しこの上に無電解めっき(cc−41)(42)を施し、発熱部品(45)の搭載用第2ビアホール放熱ランド(39)、第3ビアホール放熱ランド(40)及び高密度化用微細配線層(44A)及び(44B)を形成する工程等からなることを特徴とする多層ビアホール付本発明の多重配線基板の製造方法(47)。
【請求項2】 請求項1において、前記絶縁体(11)及び(23)は、変性エポキシ樹脂を70%以上,シリコーンコンパンド微粉末3%以上含有して成り、このシリコーンコンパンド微粉末の平均粒径を0.05〜10μmφの範囲に形成し得たことを特徴とする本発明の多層配線基板の製造方法(47)。
【請求項3】 請求項1において、前記超高速UVレーザビームの波長を330〜370ナノメートル範囲とし、このエネルギー密度は、銅箔では、25〜30J/平方センチメートル範囲で、穴明けレートは、4〜7μm/ショット範囲、また樹脂(ガラス布入りも含む)では、10〜15J/平方センチメートル範囲で、穴明けレートは、8〜12μm/ショット範囲であることを特徴とする本発明の多層配線基板の製造方法(47)。
【請求項4】 請求項1において、前記ビア半貫通穴(33)及び(34)との壁面の穴の軸に対するテーパ角(30)は、1〜5度範囲、かつ前記貫通穴(7)及び(18)との壁面の穴の軸に対するテーパ角(31)及び(31A)は、1〜5度範囲であることを特徴とする本発明の多層配線基板の製造方法(47)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2000−68648(P2000−68648A)
【公開日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−232411
【出願日】平成10年8月19日(1998.8.19)
【出願人】(000233000)日立エーアイシー株式会社 (153)
【Fターム(参考)】