説明

多層配線基板及びその製造方法

【課題】ICチップ及び受動部品を確実に接続することができる多層配線基板を提供する。
【解決手段】多層配線基板10において、配線積層部30の上面31には、ICチップ接続端子41及びICチップ接続端子41よりも面積の大きいコンデンサ接続端子42の2種類が存在する。コンデンサ接続端子42は、端子上段部42aと端子下段部42bとにより構成される。端子上段部42aは最外層の樹脂絶縁層24上に形成され、端子下段部42bは樹脂絶縁層24において端子上段部42aの内側領域となる複数箇所に形成された開口部36に対応して配置される。端子上段部42aの上面の高さは樹脂絶縁層24の表面よりも高く、ICチップ接続端子41の上面及び端子下段部42bの高さは樹脂絶縁層24の表面よりも低くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方で、両面にビルドアップ層を順次形成していくいわゆるコア基板を製品として有しない多層配線基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1参照)。この多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−117703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、ICチップの搭載面において、ICチップの接続端子に加え、チップコンデンサなどの受動部品の接続端子が形成された多層配線基板が提案されている。つまり、多層配線基板におけるICチップの搭載面には、接続対象の異なる複数種類の接続端子が形成されている。そして、それら複数種類の接続端子の表面は、ICチップの搭載面側の最外層となる絶縁樹脂層の表面と面一となるように形成されている。このように、最外層の絶縁樹脂層の表面と同じ高さで各接続端子が形成されていると、複数種類の部品接続が困難となる場合がある。具体的には、例えばICチップの接続端子に、はんだボールを用いてはんだバンプを形成する場合、ICチップの接続端子の表面と絶縁樹脂層の表面とが面一となっていると、端子上にはんだボールを配置することが困難となる。また、受動部品の接続端子にチップコンデンサをはんだ接続する場合、端子上面のみにしかはんだフィレットを形成することができないため、接続強度が不足してしまうことがある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ICチップ及び受動部品を確実に接続することができる多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記第1主面側には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、前記ICチップ接続端子は、前記積層構造体の前記第1主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部に対応して配置され、前記受動部品接続端子は、前記最外層の樹脂絶縁層上に形成された端子上段部と、前記最外層の樹脂絶縁層において前記端子上段部の内側領域となる複数箇所に形成された開口部に対応して配置された端子下段部とにより構成され、前記最外層の樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、前記端子上段部の上面の高さが前記基準面よりも高く、前記ICチップ接続端子の上面及び前記端子下段部の高さが前記基準面と同じまたはそれよりも低くなっていることを特徴とする多層配線基板がある。
【0009】
従って、手段1に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層が交互に積層され、コア基板を含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。この多層配線基板において、第1主面側には、ICチップ接続端子及びそのICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が第1主面側接続端子として設けられている。受動部品接続端子は、端子上段部と端子下段部とにより構成され、端子上段部は最外層の樹脂絶縁層上に形成されるとともに、端子下段部は最外層の樹脂絶縁層における複数箇所に形成された開口部に対応して配置されている。また、ICチップ接続端子は、最外層の樹脂絶縁層に形成された各開口部に対応して配置されている。この場合、ICチップ接続端子の上面と受動部品接続端子の端子下段部の高さは最外層の樹脂絶縁層の表面(基準面)と同じかそれよりも低くなるよう形成される。このようにすると、最外層の樹脂絶縁層がソルダーレジストとして機能し、ICチップや受動部品を接続するためのはんだを各接続端子上に確実に設けることができる。また、受動部品接続端子において、複数の開口部は端子上段部の内側領域に形成されており、各開口部にはんだを充填することで端子上段部と端子下段部との導通を確実に図ることができる。この場合、受動部品接続端子における端子上段部と端子下段部とがはんだを介して三次元的に接続されることとなり、受動部品接続端子に受動部品を十分な強度ではんだ接続することができる。さらに、受動部品接続端子を構成する端子上段部は基準面よりも高くなっている。つまり、受動部品を接続するための受動部品接続端子(端子上段部)の上面はICチップ接続端子の上面よりも高くなっている。このようにICチップ接続端子と受動部品接続端子とを形成すると、高さの異なる各接続端子にICチップと受動部品とを確実に接続することができる。
【0010】
端子上段部は、最外層の樹脂絶縁層上に形成された銅層と、銅層上に形成された銅以外の金属からなる被覆金属層とを有し、銅層のほうが被覆金属層よりも薄いことが好ましい。このようにすると、最外層の樹脂絶縁層の基準面に対する端子上段部の高さ(突出量)を低くすることができ、端子上段部へのはんだ印刷を容易に行うことができる。またここで、端子上段部を高く形成すると、端子側面の面積が大きくなるため、端子側面に付着したはんだが横方向に膨らんでしまう場合がある。この場合、端子間隔をあけて受動部品接続端子を形成する必要がある。これに対して、端子上段部を低く形成すると、はんだが横方向に膨らむことが防止されるため、受動部品接続端子を比較的狭いピッチで設けることが可能となる。
【0011】
端子上段部を構成する銅層及び被覆金属層の厚さの総和は、15μm以下であることが好ましい。このようにすると、最外層の樹脂絶縁層の基準面に対する端子上段部の高さを確実に低くすることができる。
【0012】
端子上段部における銅層は無電解銅めっき層または銅箔層であり、被覆金属層は無電解銅めっき層上または銅箔層上に形成された無電解ニッケルめっき層及び無電解金めっき層の少なくとも2層からなる被覆金属層であることが好ましい。被覆金属層としては、例えば無電解ニッケルめっき層と無電解金めっき層との間にパラジウム層が設けられていてもよい。銅層及び被覆金属層を無電解めっきにて形成すると、端子上段部を薄く形成することができる。特に、無電解銅めっきにて銅層を形成することにより、電解銅めっきにて銅層を形成する場合と比較して、銅層を薄くすることができる。この結果、最外層の樹脂絶縁層の基準面に対する端子上段部の高さを低くすることができる。
【0013】
端子上段部は、銅層の上面及び側面を被覆金属層で覆った構造を有することが好ましい。このようにすると、端子上段部の銅層の上面及び側面にはんだを確実に形成することができ、受動部品を十分な強度ではんだ接続することができる。
【0014】
最外層の樹脂絶縁層において端子上段部の内側領域となる複数箇所に形成された開口部は、内側面にて樹脂材料を露出させていてもよし、内側面を覆うように銅層や被覆金属層を形成してもよい。ここで、開口部の内側面を銅層や被覆金属層で覆う構成とした場合、受動部品接続端子において、端子上段部と端子下段部とを銅層や被覆金属層で電気的に接続することができる。また、開口部の内側面にて樹脂材料を露出させる構成では、内側面に銅層や被覆金属層を設ける必要がないため、受動部品接続端子を容易に形成することができる。
【0015】
複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第2主面側から第1主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。このようにすると、コア基板を有さないコアレス配線基板を確実に製造することができる。
【0016】
複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、例えば熱硬化性の樹脂絶縁材料の硬化物を用いて形成されたものであることが好ましい。この場合、各接続端子が形成される最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ絶縁性に優れた樹脂絶縁材料で形成されるため、各接続端子の間隔を狭くすることができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0017】
複数の樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。なお、本発明において、「同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層」とは、例えば熱硬化性樹脂に含浸させる上記有機繊維等の添加物に違いがあったとしても、主体となる熱硬化性樹脂が同じであれば、その具体例に該当する。
【0018】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、金属箔を剥離可能な状態で積層配置してなる基材を準備する基材準備工程と、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を前記金属箔上にて交互に積層して多層化することにより、最外層に金属箔付きビルドアップ材が配置された積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、最外層の樹脂絶縁層に対して前記第1主面側接続端子における端子下段部となるべき導体層を露出させる開口部を形成する開口部形成工程と、前記ビルドアップ工程後、前記金属箔付きビルドアップ材上の金属箔を部分的にエッチングして、前記第1主面側接続端子における端子上段部を形成する端子形成工程と、前記開口部形成工程及び前記端子形成工程後、前記基材を除去する基材除去工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法がある。
【0019】
従って、手段2に記載の発明によると、ビルドアップ工程にて複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することで積層構造体が形成される。その後、開口部形成工程において、最外層の樹脂絶縁層に対して開口部を形成することにより、開口部内にて端子下段部となるべき導体層を露出させる。さらに、端子形成工程において、最外層に設けられた金属箔付きビルドアップ材の金属箔が部分的にエッチングされて、端子上段部がパターン形成される。このようにすれば、端子上段部と端子下段部とからなる第1主面側接続端子を確実に形成することができる。そして、第1主面側接続端子において、開口部にはんだを充填することにより、端子上段部と端子下段部との導通を図ることができる。この場合、第1主面側接続端子における端子上段部と端子下段部とがはんだを介して三次元的に接続されることとなり、第1主面側接続端子におけるはんだ接続の強度を十分に確保することができる。
【0020】
ビルドアップ工程では、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物からなる複数の樹脂絶縁層を形成することが好ましい。このようにすると、各接続端子が形成される最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ絶縁性に優れた樹脂絶縁材料で形成されるため、各接続端子の間隔を狭くすることができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0021】
開口部形成工程では、金属箔付きビルドアップ材上の金属箔及び最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことが好ましい。このようにすれば、端子上段部の内側領域となる箇所に開口部を確実に形成することができる。
【0022】
端子形成工程において、金属箔付きビルドアップ材上の金属箔を部分的にエッチングして、第1主面側接続端子における端子上段部を形成した後、開口部形成工程を行って開口部を形成するようにしてもよい。このようにすると、端子形成工程において、開口部に対応した箇所に貫通孔を有する端子上段部を形成することができる。そして、開口部形成工程では、金属箔を加工する必要がなく樹脂絶縁層のみを加工して開口部を容易に形成することができる。
【0023】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、金属箔を剥離可能な状態で積層配置してなる基材を準備する基材準備工程と、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を前記金属箔上にて交互に積層して多層化することで積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、前記最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことによって、前記第1主面側接続端子における端子下段部となるべき導体層を露出させる開口部を形成する開口部形成工程と、前記積層構造体に対して無電解銅めっきを施すことにより前記開口部及び樹脂絶縁層を覆う全面めっき層を形成する全面めっき工程と、前記全面めっき工程後、最外層の樹脂絶縁層上に形成した前記全面めっき層を部分的にエッチングして、前記開口部がある箇所を包囲する領域に前記第1主面側接続端子における端子上段部を形成する端子形成工程と、前記開口部形成工程及び前記端子形成工程後、前記基材を除去する基材除去工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法がある。手段3に記載の発明においても、端子上段部と端子下段部とからなる第1主面側接続端子を確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図2】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図4】第1の実施の形態におけるコンデンサ接続端子を示す上面図。
【図5】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図16】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図17】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図18】第2の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図19】第2の実施の形態におけるコンデンサ接続端子を示す上面図。
【図20】第2の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図21】第2の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図22】第2の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図23】第2の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図24】別の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図25】別の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図26】別の実施の形態におけるコンデンサ接続端子を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を多層配線基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。また、図2は、上面側から見た多層配線基板の平面図であり、図3は、下面側から見た多層配線基板の平面図である。
【0026】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした4層の樹脂絶縁層21,22,23,24と銅からなる導体層26とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0027】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサ(受動部品)であるコンデンサ接続端子42(受動部品接続端子)とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0028】
一方、図1及び図3に示されるように、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0029】
樹脂絶縁層21,22,23,24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では下面側から上面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0030】
配線積層部30の上面31側において、最外層に露出する第4層の樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面(基準面)よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。ICチップ接続端子41は、銅層を主体に構成されており、開口部35内にて露出する銅層の上面のみを銅以外のめっき層46(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、露出したICチップ接続端子41の上面に、図示しないはんだバンプを介してICチップがフリップチップ接続されるようになっている。
【0031】
図1、図2及び図4に示されるように、コンデンサ接続端子42は、最外層の樹脂絶縁層24上に形成された端子上段部42aと、内層の樹脂絶縁層23上に形成された端子下段部42bとにより構成されている。最外層の樹脂絶縁層24において端子上段部42aの内側領域となる複数個所(本実施の形態では2箇所)に開口部36が形成されており、その開口部36に対応して端子下段部42bが配置されている。本実施の形態では、開口部36の内側面にて、樹脂絶縁層24の樹脂材料を露出させている。
【0032】
コンデンサ接続端子42の端子上段部42aは、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面(基準面)よりも高くなるように形成されており、端子下段部42bは、ICチップ接続端子41の上面と同じ高さとなるよう形成されている。つまり、本実施の形態の多層配線基板10において、ICチップ接続端子41の上面とコンデンサ接続端子42の上面との高さは異なっており、相対的に面積の大きいコンデンサ接続端子42の上面の高さが、相対的に面積の小さいICチップ接続端子41の上面の高さよりも高くなっている。
【0033】
コンデンサ接続端子42の端子上段部42aは、最外層の樹脂絶縁層24上に形成された銅層47と銅層47の上面及び側面を覆うように形成されためっき層48(被覆金属層)とを有する。端子上段部42aにおいて、銅層47の厚さ(5μm程度)は、めっき層48の厚さ(8μm程度)よりも薄く、それら銅層47及びめっき層48の厚さの総和は15μm以下となっている。めっき層48は、銅以外の金属からなり、本実施の形態では、無電解ニッケルめっき層及び無電解金めっき層の2層からなる。
【0034】
また、コンデンサ接続端子42の端子下段部42bは、銅層を主体として構成されており、開口部36内にて露出する銅層の上面のみを銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、コンデンサ接続端子42において、開口部36内にはんだ(図示略)が充填されることで端子上段部42a及び端子下段部42bが導通され、そのはんだを介してチップコンデンサの外部端子が接続されるようになっている。
【0035】
図1に示されるように、配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21には複数の開口部37が形成されるとともに、それら複数の開口部37に対応して母基板接続端子45が配置されている。具体的には、母基板接続端子45は、銅層を主体として構成されており、端子外面45aが最外層の樹脂絶縁層21の表面21aよりも内側に位置している。さらに、母基板接続端子45は、開口部37内にて露出する銅層の上面のみを銅以外のめっき層49(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、母基板接続端子45上には、図示しないはんだを介してマザーボードが接続されるようになっている。
【0036】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0037】
先ず、ビルドアップ工程において、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0038】
詳述すると、図5に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、図6に示されるように、下地樹脂絶縁層51の上面に、積層金属シート体54を配置する(基材準備工程)。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0039】
その後、母基板接続端子45となるべき金属導体部を積層金属シート体54上に形成する。具体的には、無電解銅めっきを行い、積層金属シート体54や基材52を覆う全面めっき層を形成する(図示略)。そして、積層金属シート体54の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。その結果、母基板接続端子45に対応した箇所に開口部を有する所定のパターンのめっきレジスト57を形成する(図7参照)。そして、めっきレジスト57を形成した状態で選択的に電解銅めっきを行って、積層金属シート体54上に金属導体部58を形成した後、めっきレジスト57を剥離する(図8参照)。
【0040】
金属導体部58の形成後、樹脂絶縁層との密着性を高めるために金属導体部58表面の粗化(CZ処理)を行う。このとき、金属導体部58表面が粗化されるとともに、金属導体部58のエッジが丸くなる。その後、金属導体部58が形成された積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層21を配置し、樹脂絶縁層21を貼り付ける(図9参照)。ここで、樹脂絶縁層21は、積層金属シート体54及び金属導体部58と密着するとともに、積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。
【0041】
そして、図10に示されるように、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCOレーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層21の所定の位置(金属導体部58の上部の位置)にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばOプラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0042】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層21上に導体層26をパターン形成する(図11参照)。
【0043】
また、第2層〜第4層の樹脂絶縁層22〜24及び導体層26についても、上述した第1層の樹脂絶縁層21及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層21上に積層していく(ビルドアップ工程)。ここで、最外層の樹脂絶縁層24については薄銅箔付きビルドアップ材を用いて形成し、他の樹脂絶縁層22,23については薄銅箔のない通常のビルドアップ材を用いて形成する。この結果、図12に示されるように、複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層した多層化した配線積層体60を形成するとともに、その配線積層体60の上面(最外層となる樹脂絶縁層24の表面)を銅箔62で被覆した状態とする。
【0044】
そして、図13に示されるように、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより、銅箔62を貫通する複数の開口部35,36を樹脂絶縁層24に形成する(開口部形成工程)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やOプラズマなどにて各開口部35,36内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお図13に示されるように、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。また、配線積層体60において開口部35によって露出される導体層26の一部がICチップ接続端子41となり、開口部36によって露出される導体層26の一部がコンデンサ接続端子42の端子下段部42bとなる。
【0045】
デスミア工程後、樹脂絶縁層24表面の銅箔62を部分的にエッチングして、コンデンサ接続端子42の端子上段部42aを形成する(端子形成工程)。具体的には、配線積層体60の上面(銅箔62の表面)において、エッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、端子上段部42aに対応した箇所(開口部36及びその外縁部)を覆う所定のパターンのエッチングレジスト63を形成する。この状態で、配線積層体60に対してエッチングを行って、不要な銅箔62を除去することにより最外層の樹脂絶縁層24上に端子上段部42aを形成した後、エッチングレジスト63を剥離する(図15参照)。
【0046】
開口部形成工程及び端子形成工程後、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。この際、図15に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図15では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層21にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層21との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0047】
ここで、図16に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面31上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。
【0048】
その後、配線積層部30の下面32側において、金属導体部58の一部を残しつつ銅箔55をエッチング除去することによって、母基板接続端子45を形成する。具体的には、配線積層部30の上面31上において、エッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、上面31の表面全体を覆うエッチングレジストを形成する。この状態で、配線積層部30に対してエッチングを行うことで、銅箔55を全体的に除去するとともに、金属導体部58の下側の一部を除去する。この結果、樹脂絶縁層24に開口部37が形成されるとともに、開口部37内に残った金属導体部58が母基板接続端子45となる(図17参照)。
【0049】
その後、ICチップ接続端子41の表面、コンデンサ接続端子42の表面(端子上段部42aの上面及び側面と端子下段部42bの上面)、母基板接続端子45の表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、各端子41,42,45の表面にニッケル−金めっき層46,48,49を形成する。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10を製造する。
【0050】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0051】
(1)本実施の形態の多層配線基板10では、コンデンサ接続端子42は、端子上段部42aと端子下段部42bとにより構成され、端子上段部42aは最外層の樹脂絶縁層24上に形成されるとともに、端子下段部42bは樹脂絶縁層24における複数箇所に形成された開口部36に対応して配置されている。また、ICチップ接続端子41も、樹脂絶縁層24に形成された開口部35に対応して配置されており、ICチップ接続端子41の上面とコンデンサ接続端子42の端子下段部42bの高さは最外層の樹脂絶縁層24の表面よりも低くなるよう形成されている。従って、最外層の樹脂絶縁層24がソルダーレジストとして機能し、ICチップやチップコンデンサを接続するためのはんだを各接続端子41,42に確実に設けることができる。また、コンデンサ接続端子42において、端子上段部42aの内側領域に2つの開口部36が形成されており、各開口部36にはんだを充填することで端子上段部42aと端子下段部42bとの導通を確実に図ることができる。この場合、コンデンサ接続端子42における端子上段部42aと端子下段部42bとがはんだを介して三次元的に接続されることとなり、コンデンサ接続端子42にチップコンデンサを十分な強度ではんだ接続することができる。さらに、コンデンサ接続端子42を構成する端子上段部42aは樹脂絶縁層24の表面よりも高くなっている。つまり、チップコンデンサを接続するためのコンデンサ接続端子42(端子上段部42a)の上面はICチップ接続端子41の上面よりも高くなっている。このようにICチップ接続端子41とコンデンサ接続端子42とを形成すると、高さの異なる各接続端子41,42にICチップとチップコンデンサとを確実に接続することができる。
【0052】
(2)本実施の形態では、コンデンサ接続端子42の端子上段部42aは、銅層47とめっき層48とを有し、銅層47はめっき層48よりも薄く形成されている。このように端子上段部42aを形成すると、最外層の樹脂絶縁層24の表面に対する端子上段部42aの高さ(突出量)を低くすることができ、端子上段部42aへのはんだ印刷を容易に行うことができる。さらに、端子上段部42aを低く形成すると、はんだが横方向に膨らむことがなく、コンデンサ接続端子42を比較的狭いピッチで設けることが可能となる。また、端子上段部42aを厚く形成する場合には、セミアディティブ法による電解銅めっき工程が別途必要となる。これに対して、本実施の形態では、端子上段部42aを構成する銅層47は5μm程度であり薄いため、電解銅めっき工程を省略することができる。この結果、多層配線基板10の製造工程を削減することができる。
【0053】
(3)本実施の形態の多層配線基板10において、コンデンサ接続端子42の端子上段部42aは、銅層47の上面及び側面をめっき層48で覆った構造を有している。このようにすると、端子上段部42aにはんだを確実に形成することができ、チップコンデンサを十分な強度ではんだ接続することができる。
[第2の実施の形態]
【0054】
次に、本発明を多層配線基板に具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図18に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10Aは、配線積層部30の上面31側に形成されるコンデンサ接続端子42、及びその製造方法が上記第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
図18及び図19に示されるように、多層配線基板10Aにおいて、コンデンサ接続端子42は、最外層の樹脂絶縁層24上に形成された端子上段部42aと、内層の樹脂絶縁層23上に形成された端子下段部42bと、端子上段部42aと端子下段部42bとを接続する端子中段部42cとにより構成されている。端子中段部42cは、端子上段部42aと同様に銅層47及びめっき層48によって構成され、開口部36内全体を覆うように形成されている。つまり、本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なり、開口部36の内側面には樹脂絶縁層24の樹脂材料が露出していない。また、第1の実施の形態では、端子上段部42aの銅層47は、薄銅箔付きビルドアップ材の銅箔62により形成されていた。これに対し、本実施の形態では、端子上段部42a及び端子中段部42cを構成する銅層47を、無電解銅めっき層にて形成している。なお、端子上段部42a及び端子中段部42cを構成するめっき層48(被覆金属層)は、第1の実施の形態と同様に無電解ニッケルめっき層及び無電解金めっき層の2層からなる。
【0056】
本実施の形態の多層配線基板10Aは以下の手順で作製される。
【0057】
先ず、第1の実施の形態と同様にビルドアップ工程を行い、図20に示すような配線積層体60Aを形成する。なお、本実施の形態では、最外層の樹脂絶縁層24についても内層側の樹脂絶縁層21〜23と同様に薄銅箔のない通常のビルドアップ材を用いて配線積層体60Aを形成する。
【0058】
そして、ビルドアップ工程後、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより、複数の開口部35,36を樹脂絶縁層24に形成する。さらに、過マンガン酸カリウム溶液やOプラズマなどにて各開口部35,36内のスミアを除去するデスミア工程を行う。その後、図21に示すように、無電解銅めっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35,36内及び各樹脂絶縁層21〜24を覆う全面めっき層71を形成する(全面めっき工程)。
【0059】
全面めっき工程後、全面めっき層71を部分的にエッチングして、コンデンサ接続端子42の端子上段部42a及び端子中段部42cの銅層47を形成する(端子形成工程)。具体的には、配線積層体60Aの上面(全面めっき層71の表面)において、エッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、端子上段部42aに対応した箇所を覆う所定のパターンのエッチングレジスト72を形成する(図22参照)。この状態で、配線積層体60Aに対してエッチングを行って、不要な全面めっき層71を除去することにより最外層の樹脂絶縁層24上及び開口部36内に銅層47を形成した後、エッチングレジスト72を剥離する(図23参照)。なおここで、樹脂絶縁層24上にて開口部36がある箇所を包囲する領域に形成される銅層47が端子上段部42aとなり、開口部36の内側面に形成される銅層47が端子中段部42cとなる。
【0060】
その後、第1の実施の形態と同様に、切断工程及び基材除去工程を行うことにより、複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化した配線積層部30を得る。その後、配線積層部30の下面32側において、金属導体部58の一部を残しつつ銅箔55をエッチング除去することによって、母基板接続端子45を形成する。
【0061】
さらに、ICチップ接続端子41の表面、コンデンサ接続端子42の表面、母基板接続端子45の表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、各端子41,42,45の表面にニッケル−金めっき層46,48,49を形成する。以上の工程を経ることで図18の多層配線基板10Aを製造する。
【0062】
本実施の形態のように多層配線基板10Aを製造した場合でも、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0064】
・上記第1の実施の形態の製造方法では、開口部形成工程にて樹脂絶縁層24に開口部35,36を形成した後に端子形成工程を行い、樹脂絶縁層24上にコンデンサ接続端子42の端子上段部42aを形成するようにしていたが、これに限定されるものではない。第1の実施の形態の製造方法において、端子形成工程後に開口部形成工程を行うように変更してもよい。具体的には、ビルドアップ工程にて図12に示すような配線積層体60を形成した後、端子形成工程を行う。端子形成工程では、配線積層体60の上面(銅箔62の表面)において、端子上段部42aに対応した箇所を覆う所定のパターンのエッチングレジスト74を形成する(図24参照)。エッチングレジスト74には開口部36の形成箇所に対応した貫通孔が形成されている。
【0065】
エッチングレジスト74を形成した状態で、配線積層体60に対してエッチングを行って、不要な銅箔62を除去することにより最外層の樹脂絶縁層24上に端子上段部42aを形成した後、エッチングレジスト74を剥離する(図25参照)。このとき、端子上段部42aには樹脂絶縁層24を露出させる貫通孔が形成される。端子形成工程の後、開口部形成工程を行い、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより、複数の開口部35,36を樹脂絶縁層24に形成する(図15参照)。なおここでは、端子上段部42aに形成されている貫通孔の位置にレーザーが照射されて開口部36が形成される。このようにすれば、レーザー穴加工により銅箔62を加工する必要がないので、レーザー出力を抑えつつ樹脂絶縁層24に開口部36を確実に形成することができる。
【0066】
・上記各実施の形態では、1つのコンデンサ接続端子42について、2つの開口部36を形成していたが、これに限定されるものではなく、図26に示すコンデンサ接続端子42のように、より多くの開口部36を形成してもよい。この場合、個々の開口部36のサイズが小さくなるので、レーザー穴加工を容易に行うことができる。さらに、開口部36の凹凸によるアンカー効果を均一に得ることができるため、コンデンサ接続端子42の接続信頼性を向上することができる。また、1つのコンデンサ接続端子42において、サイズや形状の異なる複数種類の開口部36を形成してもよい。このように、1つのコンデンサ接続端子42について複数の開口部36を形成すると、はんだを介した複数の接続経路が形成されるので、いずれかの開口部36で接続経路が遮断された場合でも、他の開口部36を介した接続経路により端子上段部42aと端子下段部42bとの導通を確実にとることができる。
【0067】
・上記各実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,48,49は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。
【0068】
次に、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0069】
(1)同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成され、前記第1主面側には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、前記ICチップ接続端子は、前記積層構造体の前記第1主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部に対応して配置され、前記受動部品接続端子は、前記最外層の樹脂絶縁層上に形成された端子上段部と、前記最外層の樹脂絶縁層において前記端子上段部の内側領域となる複数箇所に形成された開口部に対応して配置された端子下段部とにより構成され、前記最外層の樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、前記端子上段部の上面の高さが前記基準面よりも高く、前記ICチップ接続端子の上面及び前記端子下段部の高さが前記基準面と同じまたはそれよりも低くなっていることを特徴とする多層配線基板。
【0070】
(2)技術的思想(1)において、前記複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも前記第2主面側から前記第1主面側に向うに従って拡径した形状を有することを特徴とする多層配線基板。
【0071】
(3)同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、金属箔を剥離可能な状態で積層配置してなる基材を準備する基材準備工程と、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を前記金属箔上にて交互に積層して多層化することにより、最外層に金属箔付きビルドアップ材が配置された積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、最外層の樹脂絶縁層に対して前記第1主面側接続端子における端子下段部となるべき導体層を露出させる開口部を形成する開口部形成工程と、前記ビルドアップ工程後、前記金属箔付きビルドアップ材上の金属箔を部分的にエッチングして、前記第1主面側接続端子における端子上段部を形成する端子形成工程と、前記開口部形成工程及び前記端子形成工程後、前記基材を除去する基材除去工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0072】
(4)技術的思想(3)において、前記開口部形成工程では、前記金属箔付きビルドアップ材上の金属箔及び最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0073】
10,10A…多層配線基板
21〜24…樹脂絶縁層
26…導体層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
34…ビア導体
35,36…開口部
41…ICチップ接続端子
42…受動部品接続端子としてのコンデンサ接続端子
42a…端子上段部
42b…端子下段部
45…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
47…銅層
48…被覆金属層としてのめっき層
52…基材
55,62…金属箔としての銅箔
71…全面めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、
前記第1主面側には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、
前記ICチップ接続端子は、前記積層構造体の前記第1主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部に対応して配置され、
前記受動部品接続端子は、前記最外層の樹脂絶縁層上に形成された端子上段部と、前記最外層の樹脂絶縁層において前記端子上段部の内側領域となる複数箇所に形成された開口部に対応して配置された端子下段部とにより構成され、
前記最外層の樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、前記端子上段部の上面の高さが前記基準面よりも高く、前記ICチップ接続端子の上面及び前記端子下段部の高さが前記基準面と同じまたはそれよりも低くなっている
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記端子上段部は、前記最外層の樹脂絶縁層上に形成された銅層と、前記銅層上に形成された銅以外の金属からなる被覆金属層とを有し、前記銅層のほうが前記被覆金属層よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記端子上段部を構成する前記銅層及び前記被覆金属層の厚さの総和は、15μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記端子上段部における前記銅層は無電解銅めっき層または銅箔層であり、前記被覆金属層は前記無電解銅めっき層上または前記銅箔層上に形成された無電解ニッケルめっき層及び無電解金めっき層の少なくとも2層からなる被覆金属層であることを特徴とする請求項2または3に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記端子上段部は、前記銅層の上面及び側面を前記被覆金属層で覆った構造を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記最外層の樹脂絶縁層において前記端子上段部の内側領域となる複数箇所に形成された前記開口部は、内側面にて樹脂材料を露出させていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項7】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、
金属箔を剥離可能な状態で積層配置してなる基材を準備する基材準備工程と、
複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を前記金属箔上にて交互に積層して多層化することにより、最外層に金属箔付きビルドアップ材が配置された積層構造体を形成するビルドアップ工程と、
前記ビルドアップ工程後、最外層の樹脂絶縁層に対して前記第1主面側接続端子における端子下段部となるべき導体層を露出させる開口部を形成する開口部形成工程と、
前記ビルドアップ工程後、前記金属箔付きビルドアップ材上の金属箔を部分的にエッチングして、前記第1主面側接続端子における端子上段部を形成する端子形成工程と、
前記開口部形成工程及び前記端子形成工程後、前記基材を除去する基材除去工程と
を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記端子形成工程において、前記金属箔付きビルドアップ材上の金属箔を部分的にエッチングして、前記第1主面側接続端子における端子上段部を形成した後、前記開口部形成工程を行って前記開口部を形成することを特徴とすることを特徴とする請求項7に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項9】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、
金属箔を剥離可能な状態で積層配置してなる基材を準備する基材準備工程と、
複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を前記金属箔上にて交互に積層して多層化することで積層構造体を形成するビルドアップ工程と、
前記ビルドアップ工程後、前記最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことによって、前記第1主面側接続端子における端子下段部となるべき導体層を露出させる開口部を形成する開口部形成工程と、
前記積層構造体に対して無電解銅めっきを施すことにより前記開口部及び樹脂絶縁層を覆う全面めっき層を形成する全面めっき工程と、
前記全面めっき工程後、最外層の樹脂絶縁層上に形成した前記全面めっき層を部分的にエッチングして、前記開口部がある箇所を包囲する領域に前記第1主面側接続端子における端子上段部を形成する端子形成工程と、
前記開口部形成工程及び前記端子形成工程後、前記基材を除去する基材除去工程と
を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2011−181542(P2011−181542A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41469(P2010−41469)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】