説明

太陽電池用途のためのシリコン表面のドライクリーニング

太陽電池基板の層を洗浄するための方法および装置が開示される。基板が反応性ガスに露出されるもので、この反応性ガスは、窒素およびフッ素を含む中性ラジカルを含むことができるか、あるいは無水HFおよび水、アルコール、または水とアルコールとの混合物を含むことができる。さらに、反応性ガスは、キャリアガスを含みうる。反応性ガスは、太陽電池基板表面をエッチングして、酸素および他の不純物を除去する。中性ラジカルに露出されると、基板は、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムを含有する薄膜を成長させ、この薄膜はその後熱処理によって除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池を製造するための方法および装置に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、太陽電池基板の層を洗浄するための方法および装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
光起電力(PV)電池または太陽電池は、太陽光を直流(DC)電力に変換するデバイスである。典型的なPV電池は、典型的には厚さ約0.3mm未満のp型シリコンウェハ、基板、またはシートを含み、p型基板の上にn型シリコン材料の薄層が配置されている。光起電力デバイスによって発生される電圧または光電圧、および発生される電流は、p−n接合の材料特性、堆積層間の境界面特性、およびデバイスの表面積によって決まる。(光子からのエネルギーからなる)太陽光に露出されるとき、PV電池のp−n接合は、自由電子と正孔の対を発生する。p−n接合の枯渇領域にわたって生成される電場が、自由電子と正孔を分離して、電圧を生じる。n側からp側への回路は、PV電池が電気的負荷に接続されるときに電子が流れることができるようにする。電力は、電圧と、電子と正孔が外部負荷を通って移動し、場合によっては再結合するときに発生される電流との積である。太陽電池は、特定の量の電力を発生し、電池は、所望の量のシステム電力を送達するようにサイズ設定されたモジュールとなるように並べられる。太陽電池モジュールは、いくつかの太陽電池を接続することによって作製され、次いで、特定のフレームおよびコネクタによってパネルに接合される。
【0003】
ここ10年間、太陽光発電(PV)市場の成長率は年間30%を超えている。いくつかの記事では、近い将来、世界中での太陽電池発電が10GWpを超える可能性があることが示唆されている。すべての光起電力モジュールの90%超がシリコンウェハベースのものであると概算されている。高い市場成長率により、太陽光発電コストを大幅に削減させる必要性とあいまって、太陽光発電用のシリコンウェハ製造の発展に関する多くの重要な課題が出てきている。
【0004】
一般に、シリコン基板ベースの太陽エネルギー技術は、PV太陽電池の使用による太陽光発電のコストを削減するために2つの主要な戦略に従っている。一方の手法は、単接合デバイスの変換効率(すなわち単位面積当たりの電力出力)を高めることであり、他方の手法は、太陽電池の製造に関わるコストを低減することである。変換効率による効果的なコスト削減は、基本的な熱力学的および物理的属性によって制限されるので、さらなる改良が得られるかどうかは、本明細書で開示する本発明の態様など、効率的な製造プロセスを提供するための基本的な技術的進歩にかかっている。
【0005】
典型的な太陽電池製造プロセスでは、酸化および他の不純物を除去するために基板が時々洗浄される。すべての太陽電池製造プロセスと同様に、太陽電池基板を洗浄するためのプロセスは効率的であることが好ましく、効率的な全製造システムに良好に組み込まれる効率的な洗浄プロセスが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、太陽電池基板の層を処理する方法であって、壁を有するプロセスチャンバ内で基板支持体の上に太陽電池基板を配置することと、プロセスチャンバに、中性ラジカルを含む反応性ガス混合物を供給することと、反応性ガス混合物を基板に向けることと、基板上に薄膜を形成するために、中性ラジカルを基板からの酸素と反応させることと、薄膜の形成中に、基板の温度をチャンバ壁の温度未満に維持することと、薄膜を除去することとを含む方法を提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態は、太陽電池基板を処理する方法であって、プロセスチャンバ内で基板支持体の上に基板を配置することと、活性化チャンバに前駆体ガス混合物を供給することと、反応性ガス混合物を生成するために、前駆体ガス混合物に解離エネルギーを印加することによって前駆体ガス混合物を活性化させることと、反応性ガス中の荷電活性種の少なくとも90%を中性化するのに十分な時間間隔にわたって、プロセスチャンバに反応性ガス混合物を流すことと、基板上に薄膜を形成しながら、酸素ガスを解放するために基板を反応性ガスに露出することと、基板を反応性ガスに露出しながら、基板を冷却することと、薄膜を加熱することによって、露出した半導体表面を形成するために薄膜を除去し、露出された半導体表面上に水素、フッ素、またはそれら両方を堆積させることとを含む方法を提供する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、太陽電池基板を処理する方法であって、基板上に第1の層を形成することと、ドライクリーンチャンバ内に太陽電池基板を配置することと、第1の層の上に薄膜を形成するために、ドライクリーンチャンバ内に配置された基板に、窒素およびフッ素を含む中性ラジカルを向けることと、真空を破壊せずに、基板をドライクリーンチャンバからアニールチャンバに移動させることと、アニールチャンバ内で、薄膜に熱を加えることによって薄膜を除去することと、基板上に第2の層を形成することとを含む方法を提供する。
【0009】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上に簡単にまとめた本発明を、実施形態を参照しながらより詳細に説明することができ、それらの実施形態のいくつかを添付図面に示す。しかし、本発明は他の同等に効果的な実施形態も包含することができるので、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示し、したがって本発明の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】Aは、本発明の一実施形態による方法を要約する流れ図である。B〜Dは、図1Aの方法の様々な段階での基板の概略側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による太陽電池基板を処理するためのチャンバの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による太陽電池基板を処理するためのシステムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通の同一の要素を表すために同一の参照符号が使用されている。一実施形態で開示される要素は、特に言及がなければ他の実施形態にも有益に利用することができると考えられる。
【0012】
本発明の実施形態は、一般に、太陽電池製造プロセスの様々な段階中に、太陽電池デバイスの一部分を洗浄するための方法および装置を提供する。太陽電池製造プロセス中、基板は、時々空気または酸素に露出されることがある。露出時に、基板表面上に酸化物の薄層が生じることがある。本発明の実施形態を使用して、酸化物の層を、他の不純物と共に太陽電池基板表面から除去することができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、アモルファスシリコン層、結晶シリコン層、高品質パッシベーション層、または反射防止コーティング層など1つまたは複数の層を上に形成する前に、シリコン基板から酸化物を除去するのに有益であることがある。また、本発明の実施形態は、薄膜または結晶系太陽電池デバイスの一部を形成するために使用される堆積層の表面から天然酸化物を除去するのにも有用であることがある。また、本発明のいくつかの実施形態は、パッシベーション層との境界面での太陽電池の結晶構造を改良することによって、太陽電池のパッシベーションを改良することもできる。
【0013】
一実施形態では、太陽電池基板が、処理チャンバ内で支持体の上に位置決めされる。窒素およびフッ素含有ラジカルが処理チャンバに供給されて、基板の表面と反応して基板上に薄層を生成するようにされる。その後、層を基板から除去するために、層に熱が加えられる。層の除去は、層に含まれる酸化物および不純物を基板から除去するものであり、いくつかの実施形態では、フッ素原子、水素原子、またはそれら両方で終端処理された基板の表面を残すものである。
【0014】
別の実施形態では、太陽電池基板を、フッ化水素(HF)蒸気への露出を含むドライクリーニングプロセスに通すことができる。無水HFおよび水蒸気を含む、場合によってはアルコールおよびキャリアガスを含むプロセスガスが、基板を収容しているチャンバに供給される。HF蒸気は、基板表面から酸化物をエッチングして、水素原子で終端処理された表面を残す。
【0015】
太陽電池で使用される被膜
典型的には、ほとんどの太陽電池層は、一般にシリコンなどの半導体材料を含む。太陽電池での電荷、一般に、シリコン層などバルク半導体層によって発生される。p−i−nタイプの太陽電池接合では、バルク層は、形成される太陽電池に存在する様々なドープ層と区別するために真性層と呼ばれることもある。真性層は、任意の所望の結晶度を有することができ、結晶度は層の吸光特性に影響を及ぼす。例えば、アモルファスシリコンなどのアモルファス真性層は、一般に、マイクロ結晶シリコンなど異なる結晶度を有する真性層とは異なる波長での光を吸収する。このため、ほとんどの太陽電池は、できるだけ広い吸収特性を得るために両タイプの層を使用する。いくつかの例では、真性層は、2つの異なる層タイプ間の緩衝層として使用することができ、2つの層間の光学的または電気的特性をより滑らかに遷移させる。
【0016】
シリコンおよび他の半導体は、様々な組織を有する固体として形成することができる。固体シリコンのいくつかの一般的な同素体には、アモルファス、準結晶、および結晶が含まれる。これらの形態のシリコンの相違は、秩序立った結晶格子が広がる距離である。均一な格子が長距離にわたって広がる場合、材料は結晶である。非常に短い距離の秩序しか存在しない、または秩序がない場合、材料はアモルファスである。これらの両極端の間では、材料は準結晶である。
【0017】
準結晶材料のうち、所与の種は、ナノ結晶、マイクロ結晶、またはポリ結晶でよい。ナノ結晶固体とマイクロ結晶固体は、アモルファスマトリックス中に懸濁した結晶粒を含む。これら2つの差は結晶粒のサイズにあるが、マイクロメートル範囲内に広がる結晶粒を有するほとんどの準結晶材料が実際に微粒のポリ結晶材料であるので、ほとんどの目的で用語「マイクロ結晶」が使用される。準結晶材料は、アモルファスマトリックスを有さずに粒界のみによって分離された結晶粒からなる。
【0018】
バルクシリコン層は、一般に、基板を収容する処理チャンバにシリコン源化合物を供給することによって形成される。基板は、一般に、シリコン源化合物に露出するために、処理チャンバ内で支持体の上に配置される。シリコン源化合物を含むガス混合物がチャンバに導入される。シリコン源化合物は、多くの場合にはシランであるが、置換シラン、オリゴシランまたはポリシラン、環状シランなど他の化合物を使用することもできる。いくつかの適したシリコン源化合物は、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、四フッ化ケイ素(SiF)、四塩化ケイ素(SiCl)、およびジクロロシラン(SiHCl)である。結晶度を制御するために水素ガスを供給することもでき、結晶度は一般に、ガス混合物中の水素とシリコンの比率と共に増減する。また、反応物を希釈または濃縮することによって全体の反応を制御するために不活性ガスを使用することもできる。また、反応速度を高め、被膜形成に必要とされる温度を下げるために、イオン化によって反応物を活性化させることもできる。バルクシリコンまたは半導体は「真性」と呼ばれることも多く、ドープされており、真性半導体の特性とは異なる特性を有する「不純物」半導体と区別される。
【0019】
いくつかの実施形態では、真性シリコン層は、基板を収容する処理チャンバにシランと水素ガスを含むガス混合物を供給することによって形成することができる。ガス混合物は、約5:1〜約500:1の間、またはそれよりも大きい水素とシランの比で、約0.5sccm/L(反応体積1リットル当たりの標準立方センチメートル毎分)〜約1000sccm/Lの間の流量で供給することができる。反応体積は、一般に、中で反応が行われる処理チャンバによって画定される。多くの実施形態において、反応体積は、チャンバの壁と、基板支持体と、一般に基板支持体の上に配置されるガス分散器とによって画定される。水素ガスとシランの比には理論上の制限はないが、所与の反応において、この比が増加するにつれて堆積速度が減少する。これは、シリコンの有効性が反応速度を制限するからである。約12:1以下の水素とシランの比を用いて行う堆積により、アモルファスシリコン層を堆積させることができる。約100:1以上の水素とシランの比を用いて行う堆積により、一般に、約60%以上の結晶度分率を有するマイクロ結晶被膜が堆積される。当然、正確な遷移点は、温度および圧力など他の反応条件によっても決まる。いくつかの実施形態では、堆積された被膜の様々な部分での結晶度分率を調節するために、堆積中に比を変えることが有利となることがある。例えば、堆積中に反応条件を変えることによって、1回の堆積でバルクシリコン層と緩衝層を堆積させることが望ましいことがある。
【0020】
チャンバ圧力は、約0.1Torr〜約100Torrの間で維持することができる。圧力がより高いと、一般に堆積速度および結晶度が高まるが、反応物の所与のイオン化度を維持するために、より多くのパワーが必要となる。したがって、ほとんどの実施形態に関して、約4Torr〜約12Torrの間の圧力が好ましい。一般に、約15mW/cm(表面積1平方センチメートル当たりのミリワット)〜約500mW/cmの間の無線周波数(RF)パワーを印加すると、100Å/min(オングストローム毎分)以上の速度で真性シリコンが堆積される。
【0021】
約12:1以下の比での水素ガスとシランガスのガス混合物を供給することによって、真性アモルファスシリコン層を堆積させることができる。シランガスは、約0.5sccm/L〜約7sccm/Lの間の流量で供給することができる。水素ガスは、約5sccm/L〜60sccm/Lの間の流量で供給することができる。15mW/cm〜約250mW/cmの間のRFパワーをシャワーヘッドに提供することができる。チャンバの圧力は、約0.1Torr〜20Torrの間、好ましくは約0.5Torr〜約5Torrの間で維持することができる。真性タイプのアモルファスシリコン層の堆積速度は、約100Å/min以上である。例示的実施形態では、約2:1の水素とシランの比で、真性タイプのアモルファスシリコン層が堆積される。
【0022】
約50:1以下、例えば約30:1未満、例えば約20:1〜約30:1の間、例えば約25:1の比での水素ガスとシランガスのガス混合物を供給することによって、p−i緩衝タイプの真性アモルファスシリコン(PIB)層を堆積させることができる。シランガスは、約0.5sccm/L〜約5sccm/Lの間、例えば約2.3sccm/Lの流量で供給することができる。水素ガスは、約5sccm/L〜約80sccm/Lの間、例えば約20sccm/L〜約65sccm/Lの間、例えば約57sccm/Lの流量で供給することができる。約15mW/cm〜約250mW/cmの間、例えば約30mW/cmのRFパワーをシャワーヘッドに提供することができる。チャンバの圧力は、約0.1Torr〜約20Torrの間、好ましくは約0.5Torr〜約5Torrの間、例えば約3Torrで維持することができる。PIB層の堆積速度は、約100Å/min以上である。
【0023】
約20:1〜約200:1の間の水素とシランの比でのシランガスと水素ガスのガス混合物を供給することによって、真性タイプのマイクロ結晶シリコン層を堆積させることができるシランガスは、約0.5sccm/L〜約5sccm/Lの間の流量で供給することができる。水素ガスは、約40sccm/L〜約400sccm/Lの間の流量で供給することができる。特定の実施形態では、シラン流量は、堆積中に第1の流量から第2の流量に逓増させることができる。特定の実施形態では、水素流量は、堆積中に第1の流量から第2の流量に逓減させることができる。一般に、約1Torr〜約100Torrの間、好ましくは約3Torr〜約20Torrの間、より好ましくは約4Torr〜約12Torrの間のチャンバ圧力で,約300mW/cm以上、好ましくは600mW/cm以上のRFパワーを印加すると、約200Å/min以上、好ましくは約500Å/minの速度で、約20パーセント〜約80パーセントの間、好ましくは約55パーセント〜約75パーセントの間の結晶性分率を有する真性タイプのマイクロ結晶シリコン層が堆積される。いくつかの実施形態では、堆積中に、印加されるRFパワーのパワー密度を、第1のパワー密度から第2のパワー密度に推移させることが有利であることがある。
【0024】
真性タイプのマイクロ結晶シリコン層は、各々が異なる結晶分率を有する複数のステップで堆積させることができる。例えば、一実施形態では、水素とシランの比を、4つのステップで、100:1から、95:1に、90:1に、次いで85:1に減少させることができる。一実施形態では、シランガスは、約0.1sccm/L〜約5sccm/Lの間、例えば約0.97sccm/Lの流量で供給することができる。水素ガスは、約10sccm/L〜約200sccm/Lの間、例えば約80sccm/L〜約105sccm/Lの間の流量で供給することができる。堆積が4つのステップなど複数のステップを含む例示的実施形態では、水素ガス流は、第1のステップにおいて約97sccm/Lで始まり、後続のプロセスステップで、それぞれ約92sccm/L、88sccm/L、および83sccm/Lに徐々に減少させることができる。約1Torr〜約100Torrの間、例えば約3Torr〜約20Torrの間、例えば約4Torr〜約12Torrの間、例えば約9Torrのチャンバ圧力で、約300mW/cm以上、例えば約490mW/cmのRFパワーを印加すると、約200Å/min以上、例えば400Å/minの速度で、真性タイプのマイクロ結晶シリコン層が堆積される。
【0025】
一般に、電荷は、p型またはn型ドーパントでドープされたシリコン層などドープ半導体層によって収集される。p型ドーパントは、一般に、ホウ素またはアルミニウムなどIII族元素である。N型ドーパントは、一般に、リン、ヒ素、アンチモンなどV族元素である。ほとんどの実施形態において、p型ドーパントとしてホウ素が使用され、n型ドーパントとしてリンが使用される。これらのドーパントは、ホウ素含有またはリン含有化合物を反応混合物中に含めることによって、上述した層に添加することができる。適したホウ素およびリン化合物は、一般に、置換および非置換の低級ボランおよびホスフィンオリゴマーを含む。いくつかの適したホウ素化合物としては、トリメチルホウ素(B(CHまたはTMB)、ジボラン(B)、三フッ化ホウ素(BF)、およびトリエチルホウ素(B(CまたはTEB)が挙げられる。ホスフィンが最も一般的なリン化合物である。ドーパントは、一般に、水素、ヘリウム、アルゴン、および他の適切なガスなどキャリアガスと共に供給される。水素がキャリアガスとして使用される場合、反応混合物中の総水素量に加わる。したがって、水素比率は、ドーパント用のキャリアガスとして使用される水素を含む。
【0026】
ドーパントは、一般に、不活性ガス中の希釈ガス混合物として供給される。例えば、ドーパントは、キャリアガス中に約0.5%の分子または体積濃度で供給することができる。1.0sccm/Lで流れるキャリアガス中に0.5%の体積濃度でドーパントが供給される場合、得られるドーパント流量は0.005sccm/Lになる。ドーパントは、望まれるドーピングの度合いに応じて、約0.0002sccm/L〜約0.1sccm/Lの流量で反応チャンバに供給することができる。一般に、ドーパント濃度は、約1018原子/cm〜約1020原子/cmの間で維持される。
【0027】
約200:1以上、例えば1000:1以下、例えば約250:1〜約800:1の間、さらなる例では約601:1または約401:1の水素とシランの比での水素ガスとシランガスのガス混合物を供給することによって、p型マイクロ結晶シリコン層を堆積させることができる。シランガスは、約0.1sccm/L〜約0.8sccm/Lの間、例えば約0.2sccm/L〜約0.38sccm/Lの間の流量で供給することができる。水素ガスは、約60sccm/L〜約500sccm/Lの間、例えば約143sccm/Lの流量で供給することができる。TMBは、約0.0002sccm/L〜約0.0016sccm/Lの間、例えば約0.00115sccm/Lの流量で供給することができる。TMBが、キャリアガス中に0.5%分子または体積濃度で供給される場合、ドーパント/キャリアガス混合物は、約0.04sccm/L〜約0.32sccm/Lの間、例えば約0.23sccm/Lの流量で供給することができる。約1Torr〜約100Torrの間、好ましくは約3Torr〜約20Torrの間、より好ましくは約4Torr〜約12Torrの間、例えば約7Torrまたは約9Torrのチャンバ圧力で、約50mW/cm〜約700mW/cmの間、例えば約290mW/cm〜約440mW/cmの間のRFパワーを印加すると、約100Å/min以上、例えば約143Å/min以上で、マイクロ結晶層に対して約20パーセント〜約80パーセントの間、好ましくは50パーセント〜約70パーセントの間の結晶性分率を有するp型マイクロ結晶層が堆積される。
【0028】
約20:1以下の比での水素ガスとシランガスのガス混合物を供給することによって、p型アモルファスシリコン層を堆積させることができる。シランガスは、約1sccm/L〜約10sccm/Lの間の流量で供給することができる。水素ガスは、約5sccm/L〜60sccm/Lの間の流量で供給することができる。トリメチルホウ素は、約0.005sccm/L〜約0.05sccm/Lの間の流量で供給することができる。トリメチルホウ素が、キャリアガス中に0.5%分子または体積濃度で供給される場合、ドーパント/キャリアガス混合物は、約1sccm/L〜約10sccm/Lの間の流量で供給することができる。約1Torr〜20Torrの間、好ましくは約1Torr〜約4Torrの間のチャンバ圧力で約15mWatt/cm〜約200mWatt/cmの間のRFパワーを印加すると、約100Å/min以上でp型アモルファスシリコン層が堆積される。
【0029】
約100:1以上、例えば約500:1以下、例えば約150:1〜約400:1の間、例えば約304:1または約203:1の比での水素ガスとシランガスのガス混合物を供給することによって、n型マイクロ結晶シリコン層を堆積させることができる。シランガスは、約0.1sccm/L〜約0.8sccm/Lの間、例えば約0.32sccm/L〜約0.45sccm/Lの間、例えば約0.35sccm/Lの流量で供給することができる。水素ガスは、約30sccm/L〜約250sccm/Lの間、例えば約68sccm/L〜約143sccm/Lの間、例えば約71.43sccm/Lの流量で供給することができる。ホスフィンは、約0.0005sccm/L〜約0.006sccm/Lの間、例えば約0.0025sccm/L〜約0.015sccm/Lの間、例えば約0.005sccm/Lの流量で供給することができる。すなわち、ホスフィンが、キャリアガス中に0.5%分子または体積濃度で提供される場合、ドーパント/キャリアガスは、約0.1sccm/L〜約5sccm/Lの間、例えば約0.5sccm/L〜約3sccm/Lの間、例えば約0.9sccm/L〜約1.088sccm/Lの間の流量で供給することができる。約1Torr〜約100Torrの間、好ましくは約3Torr〜約20Torrの間、より好ましくは約4Torr〜約12Torrの間、例えば約6Torrまたは約9Torrのチャンバ圧力で、約100mW/cm〜約900mW/cmの間、例えば約370mW/cmのRFパワーを印加すると、約50Å/min以上、例えば約150Å/min以上の速度で、約20パーセント〜約80パーセントの間、好ましくは約50パーセント〜約70パーセントの間の結晶性分率を有するn型マイクロ結晶シリコン層が堆積される。
【0030】
約20:1以下、例えば約5.5:1または7.8:1の比での水素ガスとシランガスのガス混合物を供給することによって、n型アモルファスシリコン層を堆積させることができる。シランガスは、約0.1sccm/L〜約10sccm/Lの間、例えば約1sccm/L〜約10sccm/Lの間、約0.1sccm/L〜約5scm/Lの間、または約0.5sccm/L〜約3sccm/Lの間、例えば約1.42sccm/Lまたは約5.5sccm/Lの流量で供給することができる。水素ガスは、約1sccm/L〜約40sccm/Lの間、例えば約4sccm/L〜約40sccm/Lの間、または約1sccm/L〜約10sccm/Lの間、例えば約6.42sccm/Lまたは約27sccm/Lの流量で供給することができる。ホスフィンは、約0.0005sccm/L〜約0.075sccm/Lの間、例えば約0.0005sccm/L〜約0.0015sccm/Lの間、または約0.015sccm/L〜約0.03sccm/Lの間、例えば約0.0095sccm/Lまたは約0.023sccm/Lの流量で供給することができる。ホスフィンが、キャリアガス中に0.5%分子または体積濃度で供給される場合、ドーパント/キャリアガス混合物は、約0.1sccm/L〜約15sccm/Lの間、例えば約0.1sccm/L〜約3sccm/Lの間、約2sccm/L〜約15sccm/Lの間、または約3sccm/L〜約6sccm/Lの間、例えば約1.9sccm/Lまたは約4.71sccm/Lの流量で供給することができる。約0.1Torr〜約20Torrの間、好ましくは約0.5Torr〜約4Torrの間、例えば約1.5Torrのチャンバ圧力で、約25mW/cm〜約250mW/cm、例えば約60mW/cm〜約80mW/cmの間のRFパワーを印加すると、約100Å/min以上、例えば約200Å/min以上、例えば約300Å/minまたは約600Å/minの速度でn型アモルファスシリコン層が堆積される。
【0031】
いくつかの実施形態では、層は、高速で、例えば上述した範囲の上のほうの速度でドーパント化合物を供給することによって、高ドープまたは縮退ドープすることができる。縮退ドーピングは、低い抵抗の接触接合を提供することによって電荷収集を改良すると考えられる。また、縮退ドーピングは、アモルファス層などいくつかの層の導電性を改良すると考えられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、シリコンと、酸素、炭素、窒素、およびゲルマニウムなど他の元素との合金が有用であることがある。これらの他の元素は、それぞれの源を反応物ガス混合物に追加することによって、シリコン被膜に添加することができる。例えば、炭素は、ガス混合物にメタン(CH)などの炭素源を添加することによって被膜に添加することができる。一般に、ほとんどのC〜C炭化水素を炭素源として使用することができる。あるいは、オルガノシラン、オルガノシロキサン、オルガノシラノールなど、当技術分野で知られている有機ケイ素が、シリコン源と炭素源のどちらとしても働くことができる。ゲルマンやオルガノゲルマンなどのゲルマニウム化合物、ならびにシリルゲルマンやゲルミルシランなどシリコンとゲルマニウムを含む化合物が、ゲルマニウム源として働くことができる。酸素ガス(O)が、酸素源として働くことができる。他の酸素源としては、限定はしないが、窒素の酸化物(亜酸化窒素NO、一酸化窒素NO、三酸化二窒素N、二酸化窒素NO、四酸化二窒素N、五酸化二窒素N、および三酸化窒素NO)、過酸化水素(H)、一酸化炭素または二酸化炭素(COまたはCO)、オゾン(O)、酸素原子、酸素ラジカル、およびアルコール(ROH、ここでRは、任意の有機またはヘテロ有機ラジカル基)が挙げられる。窒素源としては、窒素ガス(N)、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、アミン(RNR’3−x、ここでxは0〜3であり、各RとR’は、互いに独立して、任意の有機またはヘテロ有機ラジカル基)、アミド((RCO)NR’3−x、ここでxは0〜3であり、各RとR’は、互いに独立して、任意の有機またはヘテロ有機ラジカル基、イミド(RCONCOR’、ここで各RとR’は、互いに独立して、任意の有機またはヘテロ有機ラジカル基))、エナミン((RC=CRNR)、ここで、各R〜Rは、互いに独立して、任意の有機またはヘテロ有機ラジカル基)、および窒素原子およびラジカルが挙げられる。
【0033】
また、本発明の実施形態は、結晶シリコンベースの太陽電池を形成するための方法を提供し、この太陽電池は、典型的には、1つまたは複数のドープシリコン層、パッシベーション層、反射防止コーティング(ARC)層、および/またはメタライゼーション層を結晶シリコン基板上に堆積させることによって形成される。したがって、本発明の実施形態は、結晶系太陽電池形成プロセスの様々な段階中に、酸化物の層を、他の不純物と共に結晶系太陽電池基板表面から除去するために使用することができる。例えば、本発明の実施形態は、アモルファスシリコン層、結晶シリコン層、高品質パッシベーション層、または反射防止コーティング層など1つまたは複数の層を上に形成する前に、結晶シリコン基板から酸化物を除去するのに有益となることがある。別の例では、ヘテロ接合太陽電池デバイスの一部分を上に形成するために使用される層の1つまたは複数を形成する前に、結晶シリコン基板の表面を洗浄することが望ましいことがある。結晶シリコン基板上に層を形成するために使用される層形成プロセスは、一般に、上述したプロセスと同様である。本発明から利益を得ることがある結晶系太陽電池基板は、限定はしないが、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ポリ結晶シリコン、または太陽光を電力に変換するために使用することができる他の同様の基板材料から形成された太陽電池デバイスの活性領域の一部分を有する基板を含む。
【0034】
多くの実施形態において、上の層の堆積のために基板および/または反応チャンバを準備するために、事前洗浄プロセスを使用することができることに留意すべきである。水素またはアルゴンプラズマ事前処理プロセスを行うことができ、約10sccm/L〜約45sccm/Lの間、例えば約15sccm/L〜約40sccm/Lの間、例えば約20sccm/L〜約36sccm/Lの間で水素ガスまたはアルゴンガスを処理チャンバに供給することによって、基板および/またはチャンバ壁から汚染物質を除去する。一例では、水素ガスを約21sccm/Lで供給することができ、またはアルゴンガスを約36sccm/Lで供給することができる。処理は、水素処理のためには約10mW/cm〜約250mW/cmの間、例えば約25mW/cm〜約250mW/cmの間、例えば約60mW/cmまたは約80mW/cm、アルゴン処理のためには約25mW/cmのRFパワーを印加することによって達成される。多くの実施形態において、p型アモルファスシリコン層を堆積させる前にアルゴンプラズマ事前処理プロセスを行い、他のタイプの層を堆積させる前に水素プラズマ事前処理プロセスを行うことが有利であることがある。
【0035】
太陽電池層のドライクリーニング
天然層を上に形成された太陽電池層は、ドライクリーニングプロセスを使用して洗浄することができる。一般に、窒素およびフッ素含有ガスが、基板から離れた位置で解離エネルギーを受けて、ラジカルなど中性電荷の活性種を生成する。中性電荷の活性種は、基板に向けられ、基板表面と反応して被膜を形成し、この被膜を除去するために基板が熱処理される。
【0036】
図1Aは、本発明の一実施形態による方法100を要約する流れ図である。図1B〜図1Dは、方法100の様々な段階での太陽電池基板150の概略断面図である。ステップ110で、太陽電池基板160の上に太陽電池接合の層170が形成される。層170は、上述した層の任意のものでよい。多くの実施形態では、太陽電池基板での堆積層には、1つの処理位置から別の処理位置への輸送中に、天然酸化物層などの天然層175が生成される。多くの実施形態において、これは、p型またはn型ドープ層など太陽電池接合の最後の層の形成後に生じる。他の実施形態では、これは、高ドープまたは縮退ドープp型層が形成された後など、1つまたは複数の導体層を形成する前に生じる。本明細書で説明する本発明の様々な実施形態は、層170など堆積層の表面の洗浄に関して論じるが、この構成は、本発明の範囲を限定する意図はないことに留意すべきである。本明細書で説明する装置および(1つまたは複数の)洗浄プロセスは、本明細書で説明する本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、太陽電池形成プロセスの任意の段階中に使用することができる。一例では、本明細書で説明するプロセスを使用して、結晶シリコン基板など基板160の表面を、上に層170を堆積させる前に準備することができる。
【0037】
プロセスチャンバ内で基板支持体の上に基板を配置した後、ステップ120で、天然層175の上に薄膜180を形成するために、天然層175が反応性ガスに露出される。反応性ガスは、窒素、フッ素、および水素を含む。いくつかの実施形態では、反応性ガスは、窒素、フッ素、またはそれら両方を含有する中性ラジカルを含み、基板が中に配置されたプロセスチャンバに供給され、基板に向けられる。薄膜は、一般に、中性ラジカルと天然層175からの酸素との反応によって形成される固体化合物を含む。
【0038】
ステップ130で、薄膜180を層170から除去するために、薄膜180が熱処理される。いくつかの実施形態では、熱処理はアニーリングプロセスでよい。薄膜は、層170から昇華し、酸素および他の不純物を取り除き、水素で終端処理された層190を残す。いくつかの実施形態では、ステップ130の熱処理後に、層190は、微量のフッ素原子などフッ素を有することもある。
【0039】
次に、処理チャンバ内部で行われる、アンモニア(NH)と三フッ化窒素(NF)のガス混合物を使用して基板の表面上の天然酸化物を除去するための例示的な反応性洗浄プロセスを説明する。反応性洗浄プロセスは、処理チャンバ内に基板を配置することから始まる。処理中、基板は、約65℃未満、例えば約15℃〜約50℃の間に冷却することができる。別の例では、基板は、約22℃〜約40℃の間、例えば約35℃の温度で維持される。典型的には、基板支持体は、所望の基板温度を得られるように約22℃未満で維持される。いくつかの実施形態では、反応性ガスからの反応性種がチャンバ壁で凝縮するのを防止するために、薄膜の形成中、基板の温度をチャンバ壁の温度未満に維持することが有用である。
【0040】
洗浄ガス混合物を生成するために、アンモニアガスと三フッ化窒素ガスを含む前駆体ガス混合物がドライエッチングチャンバ内に導入される。チャンバ内に導入される各ガスの量は可変であり、例えば除去すべき酸化物層の厚さ、洗浄される基板の幾何形状、反応性ガス混合物の体積容量、およびチャンバ本体の体積容量に対応するように調節することができる。一態様では、ガスは、少なくとも1:1のモル比のアンモニアと三フッ化窒素を含む前駆体ガス混合物を供給するために添加される。別の態様では、ガス混合物のモル比は、少なくとも約3〜約1(アンモニア対三フッ化窒素)である。好ましくは、ガスは、約1:1(アンモニア対三フッ化窒素)〜約30:1の間、より好ましくは約5:1(アンモニア対三フッ化窒素)〜約30:1の間のモル比でドライエッチングチャンバ内に導入される。より好ましくは、ガス混合物のモル比は、約5:1(アンモニア対三フッ化窒素)〜約10:1の間である。また、ガス混合物のモル比は、約10:1(アンモニア対三フッ化窒素)〜約20:1の間に入ることもある。1つの例示的実施形態では、アンモニアと三フッ化窒素は、約5:1の体積比でチャンバに供給される。あるいは、好ましいモル比の予備混合された前駆体ガス混合物が、反応性洗浄プロセス中に使用されることがある。
【0041】
また、パージガスまたはキャリアガスが、前駆体ガス混合物に添加されることもある。アルゴン、ヘリウム、水素、窒素、フォーミングガス、またはそれらの混合物など、任意の適切なパージ/キャリアガスを使用することができる。典型的には、前駆体ガス混合物中のアンモニアとフッ化窒素の体積分率は、約0.05%〜約20%の範囲内である。前駆体ガス混合物の残りはキャリアガスにすることができる。一実施形態では、まず、チャンバ本体内部の圧力を安定させるために、反応性ガスの前にパージまたはキャリアガスがチャンバ本体に導入される。
【0042】
チャンバ本体内部の動作圧は変えることができる。この圧力は、約500mTorr〜約30Torrの範囲内、好ましくは約1Torr〜約10Torrの範囲内、より好ましくは約3Torr〜約6Torrの範囲内、例えば約3Torrで維持することができる。反応性ガス混合物を生成するために、前駆体ガス混合物に解離エネルギーが印加される。プラズマキャビティ内部で前駆体ガス混合物のプラズマに点火するために、約5ワット〜約600ワットの範囲内のRFパワーを印加することができる。好ましくは、RFパワーは約100ワット未満である。より好ましくは、パワーが印加される周波数が非常に低く、例えば約100kHz未満であり、より好ましくは約50kHz〜約90kHzの範囲内である。ほとんどの実施形態において、基板の表面は、約3Å/秒〜約10Å/秒の間の速度、例えば約5Å/秒の速度でエッチングされる(すなわち、アニール前駆体の薄膜に変換される)。
【0043】
プラズマエネルギーは、アンモニアおよび三フッ化窒素ガスを反応性種に解離し、これらの反応性種が結合して、非常に反応性の高いフッ化アンモニウム(NHF)化合物および/または酸性フッ化アンモニウム(NHF−HF)を生成し、これらが基板表面と反応する。ガスが解離して、荷電反応性種と未荷電反応性種を生成し、荷電種は再び結合して、未荷電反応性種を生成する。一実施形態では、反応性ガス混合物は、窒素、フッ素、および水素を含み、電荷を有さない。一実施形態では、前駆体ガス混合物に解離エネルギーを印加することによって生成される反応性ガス混合物が、反応性ガス中の荷電活性種の少なくとも約90%を中性化するのに十分な時間間隔にわたってプロセスチャンバに流される。他の実施形態では、荷電活性種の少なくとも約99%が中性化される。一実施形態では、まず、キャリアガスがドライエッチチャンバ内に導入され、キャリアガスのプラズマが発生され、次いで反応性ガス、アンモニア、および三フッ化窒素がプラズマに添加される。
【0044】
理論に拘束されることなく、エッチャントガスNHFおよび/またはNHF−HFは、天然酸化物表面と反応して、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NHSiF)、アンモニア、および水を生成し、酸素ガスを解放する。アンモニアおよび水は、いくつかの処理条件では蒸気であり、チャンバに取り付けられた真空ポンプによってチャンバから除去される。ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムの薄層は、基板表面上に残される。
【0045】
アニールプロセス中に、基板表面上のヘキサフルオロケイ酸アンモニウムの薄層を除去して、下にある基板表面を露出することができる。処理チャンバは、熱を放射して、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムの薄層を解離または昇華して、揮発性のSiF、NH、およびHF生成物にする。次いで、これらの揮発性生成物は、システムに取り付けられた真空ポンプによってチャンバから除去される。一例では、薄膜を効果的に昇華して基板から除去するために、約75℃以上の基板温度が使用される。好ましくは、約100℃以上、例えば約115℃〜約300℃の範囲内、例えば約120℃の温度が使用される。温度がより高いと、昇華がより速くなる。一実施形態では、基板をアニールするために、ガス分散プレートが約180℃の温度に加熱され、基板から約100ミル離隔される。被膜が基板から除去されると、洗浄された基板を取り外す前に、チャンバはパージされて排気される。実施形態に応じて、アニールプロセス中、基板を真空化で維持することも、水素ガスに露出することもできる。薄膜の除去は、基板表面から酸素を除去し、水素、フッ素、またはそれら両方を基板表面上に堆積させるものである。
【0046】
いくつかの実施形態では、アニールプロセスを、洗浄被膜が堆積される側と逆の基板の側で行うことができる。例えば、基板の第1の側が上述した中性ラジカルドライクリーンプロセスを受け、薄膜が基板の第1の側に形成される場合、第1の側と逆の基板の第2の側を、アニールプロセスを行うために加熱することができる。第2の側からのアニーリングは、第1の側の薄膜が昇華されるときに層内での拡散および結晶格子秩序化を促進することによって、洗浄処理を受けた層の結晶化を改良することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、プロセスガスに水素(H)を追加することが有用であることがある。プロセスガスへの水素の添加は、反応性ガス中の水素ラジカルおよびフッ化水素の濃度を高める。反応混合物中にこれら2種が存在することにより、ドープシリコン層の一部分がエッチングされるとともに、フッ化アンモニウム種が基板の表面上にヘキサフルオロケイ酸を生成する。これは洗浄を改良することができ、また、実施形態によって必要とされる場合には、基板の表面単層からのドーパントの除去を行うこともできる。いくつかの実施形態では、基板の表面単層からのドーパントの除去は、2つの層間の境界面での電気特性の滑らかな遷移をもたらすことによって有用となることがある。いくつかの実施形態では、約0.1〜約1.0の間のH:NHのモル比を使用してドライクリーンプロセス中に表面の適度なエッチングを促進することができ、この比がより高いと、エッチングがより多く、またはより速くなる。反応性ガス混合物中の水素とアンモニアのモル比が、酸化ケイ素層よりもドープシリコン層をエッチングするためのガスの選択性を制御する。アンモニアに対する水素のモル比を高めることにより、酸化物層に比べて速いドープ層のエッチングが行われ、その逆も成り立つ。また、水素を添加すると、水素が反応性ガス混合物中でHFを生成し、HFが非ドープシリコン層をエッチングするので、酸化物に比べて非ドープシリコン層を選択的にエッチングできるようにすることもできる。
【0048】
いくつかの実施形態では、アンモニアの代わりに、窒素および水素ガスを用いることもできる。解離されたとき、窒素と水素が結合して、上述したアンモニウムラジカルを生成することができる。約3:1のモル比で水素と窒素を供給することが、特定の圧力およびパワーレベルでのアンモニアの効果を近似する。実施形態によっては、比を変えることで有益な副作用を得られることもある。例えば、ドープまたは高ドープ表面を洗浄するとき、水素の比率をより高くすると、ドーパントを除去するためにより多くの水素ラジカルを供給することによってドープ表面のエッチング速度を改良することができる。
【0049】
本明細書で説明するプロセスは、結晶系太陽電池または薄膜太陽電池の表面を様々な製造段階で洗浄するのに有用であることがある。いくつかの実施形態では、洗浄される層は、p型ドープシリコン層、真性シリコン層、またはn型ドープシリコン層など、太陽電池の一部を形成するp−i−n接合の層でよい。例えば、タンデム薄膜太陽電池デバイスにおいて、第2のp−i−n接合を形成する前に、第1のp−i−n接合の最後の層を本明細書で説明した実施形態に従って処理することができる。さらに、高ドープp型層または縮退ドープp型層を、不活性化層を形成する前に洗浄することができる。洗浄後に水素および微量のフッ素で高ドープp型層を終端処理することが、パッシベーション層の形成の助けとなると考えられる。
【0050】
装置
選択性エッチングプロセスは、Applied Materials, Inc.(米国カリフォルニア州サンタクララ)から市販されているSICONI(商標)チャンバなどの真空チャンバを使用して行うことができる。図2は、本発明の一実施形態による処理チャンバ200の部分断面図である。この実施形態では、処理チャンバ200は、チャンバ本体209の上端部に配置された蓋アセンブリ250と、チャンバ本体209内部に少なくとも部分的に配置された支持アセンブリ211とを含む。処理チャンバ200および関連のハードウェアは、好ましくは、例えば1つまたは複数のプロセス適合性材料、例えばアルミニウム、アルマイト(anodized aluminum)、ニッケルめっきアルミニウム、ニッケルめっきアルミニウム6061−T6、ステンレス鋼、およびそれらの組合せおよび合金から形成される。
【0051】
チャンバ本体209は、処理チャンバ200の内部への進入を可能にするために、その側壁に形成されたスリット弁開口205を含む。スリット弁開口205は、適切な基板取扱いロボット(図示せず)がチャンバ本体209の内部に進入できるように選択的に開閉される。一実施形態では、基板は、スリット弁開口205を通して処理チャンバ200に出し入れし、隣接する移送チャンバおよび/またはロードロックチャンバ、またはクラスタツール内部の別のチャンバに輸送することができる。
【0052】
1つまたは複数の実施形態では、チャンバ本体209は、伝熱流体を流すために中に形成されたチャネル216を含む。伝熱流体は、加熱流体または冷却剤でよく、処理および基板移送中のチャンバ本体209の温度を制御するために使用される。チャンバ本体209の温度は、チャンバ壁でのガスまたは副生成物の望ましくない凝縮を防止するように選択される。例示的な伝熱流体は、水、エチレングリコール、またはそれらの混合物を含む。また、例示的な伝熱流体は、窒素ガスを含むこともできる。
【0053】
さらに、チャンバ本体209は、支持アセンブリ211を取り囲むライナ204を含むことができる。ライナ204は、整備および洗浄のために取外し可能であることが好ましい。ライナ204は、アルミニウムなどの金属、またはセラミック材料から形成することができる。しかし、ライナ204は、任意のプロセス適合性材料でよい。ライナ204は、上に堆積される任意の材料の接着性を高めるためにビードブラスト処理することができ、それにより、処理チャンバ200の汚染をもたらす材料の剥落を防止する。1つまたは複数の実施形態では、ライナ204は、中に形成された1つまたは複数のアパーチャ201およびポンピングチャネル202を含み、ポンピングチャネル202は真空システムと流体連絡する。アパーチャ201は、ポンピングチャネル202内へのガスの流路を提供し、ポンピングチャネル202は、処理チャンバ200内部のガスの出口を提供する。
【0054】
真空システムは、処理チャンバ200を通るガスの流れを調整するために、真空ポンプ226およびスロットル弁223を含むことができる。真空ポンプ226は、チャンバ本体209に設けられた真空ポート218に結合され、したがって、ライナ204内部に形成されたポンピングチャネル202と流体連絡する。用語「ガス」は、特に断りのない限り、単数と複数を交換可能に使用され、1つまたは複数の前駆体、反応物、触媒、キャリアガス、パージガス、洗浄ガス、それらの組合せ、およびチャンバ本体209内に導入される任意の他の流体を表す。
【0055】
図2の実施形態では、ライナ204は、上側部分228と下側部分229を含む。チャンバ本体209の側壁に設けられたスリット弁開口205と位置合わせされたアパーチャ206がライナ204内部に形成されて、チャンバ本体209への/からの基板の出し入れを可能にする。典型的には、ポンピングチャネル202が上側部分228内部に形成される。また、上側部分228は、そこを通して形成された1つまたは複数のアパーチャ201を含み、ポンピングチャネル202内へのガスの経路または流路を提供する。
【0056】
アパーチャ201は、ポンピングチャネル202がチャンバ本体209の内部の処理区域203と流体連絡することができるようにする。処理区域203は、蓋アセンブリ250の下面と支持アセンブリ211の上面によって画定され、ライナ204によって取り囲まれる。アパーチャ201は、均一なサイズにして、ライナ204の周りに均等に離隔して設けることができる。しかし、任意の数、位置、サイズ、または形状のアパーチャを使用することができ、それらのアパーチャの各設計パラメータは、以下により詳細に論じるように、基板受取り表面にわたるガスの所望の流れパターンに応じて変えることができる。さらに、アパーチャ201のサイズ、数、および位置は、処理チャンバ200から出るガスの均一な流れを実現するように構成される。さらに、アパーチャのサイズおよび位置は、チャンバ200からのガスの急速な排出を容易にするために、高速または高容量ポンピングを提供するように構成することができる。例えば、真空ポート218の近傍にあるアパーチャ201の数およびサイズは、真空ポート218から離れた位置に位置決めされたアパーチャ201のサイズよりも小さくすることができる。
【0057】
ライナ204の下側部分229は、中に設けられた流路または真空チャネル231を含む。真空チャネル231は、上述した真空システムと流体連絡する。また、真空チャネル231は、凹部またはポート(図2の断面には図示せず)を介してポンピングチャネル202と流体連絡し、凹部またはポートは、ライナ204の外径に形成され、真空チャネル231とポンピングチャネル202を接続する。一般に、2つのそのようなポータルは、上側部分228と下側部分229の間でライナ204の外径に形成される。ポータルは、ポンピングチャネル202と真空チャネル231の間の流路を提供する。各ポータルのサイズおよび位置は、設計上の問題であり、所望の被膜の化学量論、形成されるデバイスの幾何形状、処理チャンバ200の体積容量、および処理チャンバ200に結合された真空システムの能力によって決定される。典型的には、ポータルは、ライナ204の外径の周りで互いに向かい合わせに、すなわち180度離して配置される。
【0058】
動作時、処理チャンバ200から出た1種または複数種のガスは、ライナ204の上側部分228を通して形成されたアパーチャ201を通ってポンピングチャネル202内に流れる。次いで、ガスは、ポンピングチャネル202内部および真空チャネル231内に流れる。ガスは、真空チャネル231から出て、真空ポート218を通って真空ポンプ226内に流れる。
【0059】
支持アセンブリ211は、チャンバ本体209内部に部分的に配置され、処理のために基板を位置決めする。支持部材217を備える支持アセンブリ211は、ベロー224によって取り囲まれたシャフト222によって上下動される。チャンバ本体209は、チャンバ本体209の側壁に形成されたスリット弁開口205を含み、処理チャンバ200内部への進入を可能にする。スリット弁開口205は、基板取扱いロボット(図示せず)がチャンバ本体209の内部に進入できるように選択的に開閉される。一実施形態では、基板は、スリット弁開口205を通して処理チャンバに出し入れし、隣接する移送チャンバおよび/またはロードロックチャンバ(図示せず)またはクラスタツール内部の別のチャンバに輸送することができる。例示的なクラスタツールとしては、限定はしないが、Applied Materials, Inc.(米国カリフォルニア州サンタクララ)から市販されているPRODUCER(登録商標)、CENTURA(登録商標)、ENDURA(登録商標)、およびENDURA SL(商標)プラットフォームが挙げられる。
【0060】
また、チャンバ本体209は、伝熱流体を流すために中に形成されたチャネル216を含む。伝熱流体は、加熱流体または冷却剤でよく、処理および基板移送中にチャンバ本体209の温度を制御するために使用される。チャンバ本体209の温度は、チャンバ壁でのガスまたは副生成物の望ましくない凝縮を防止するように選択される。例示的な伝熱流体は、水、エチレングリコール、またはそれらの混合物を含む。また、例示的な伝熱流体は、窒素ガスを含むこともできる。
【0061】
さらに、チャンバ本体209はライナ204を含み、ライナ204は、支持アセンブリ211を取り囲み、整備および洗浄のために取外し可能である。ライナ204は、好ましくは、アルミニウムなどの金属、またはセラミック材料からなる。しかし、適合性のある他の材料をプロセス中に使用することもできる。ライナ204は、上に堆積される任意の材料の接着性を高めるためにビードブラスト処理することができ、それにより、処理チャンバ200の汚染をもたらす材料の剥落を防止する。典型的には、ライナ204は、中に形成された1つまたは複数のアパーチャ201およびポンピングチャネル202を含み、ポンピングチャネル202は真空システムと流体連絡する。アパーチャ201は、ポンピングチャネル202内へのガスの流路を提供し、ポンピングチャネルは、ライナ204を通る流路を提供し、したがってガスは処理チャンバ200から出ることができる。
【0062】
真空システムは、処理チャンバ200内部のガスの流れを調整するために、真空ポンプ226およびスロットル弁223を含むことができる。真空ポンプ226は、チャンバ本体209に設けられた真空ポート218に結合され、ライナ204内部に形成されたポンピングチャネル202と流体連絡する。真空ポンプ226とチャンバ本体209は、処理チャンバ200内部でのガスの流れを調整するために、スロットル弁223によって選択的に隔離される。用語「ガス」は、特に断りのない限り、単数と複数を交換可能に使用することができ、1つまたは複数の前駆体、反応物、触媒、キャリアガス、パージガス、洗浄ガス、それらの組合せ、およびチャンバ本体209内に導入される任意の他の流体を表す。
【0063】
蓋アセンブリ250は、プラズマ体積またはキャビティを間に形成するように構成された少なくとも2つの積層構成要素を含む。1つまたは複数の実施形態では、蓋アセンブリ250は、第2の電極232(「下側電極」)の垂直上側に配置された第1の電極210(「上側電極」)を含み、電極間にプラズマ体積またはキャビティ225を画定する。2つの電極210、232間に静電容量を発生するために、第1の電極210はRF電源などの電源215に接続され、第2の電極232は接地される。
【0064】
1つまたは複数の実施形態では、蓋アセンブリ250は、1つまたは複数のガス入口212(1つのみ図示する)を含み、ガス入口212は、第1の電極210の上側区域213内部に少なくとも部分的に形成される。1つまたは複数のプロセスガスは、1つまたは複数のガス入口212を通って蓋アセンブリ250に入る。1つまたは複数のガス入口212は、その第1の端部でプラズマキャビティ225と流体連絡し、その第2の端部で、ガスミキサなど、1つまたは複数の上流ガス源および/または他のガス送達構成要素に結合される。1つまたは複数のガス入口212の第1の端部は、隆出区域220の内径230の最上部でプラズマキャビティ225に通じることができる。同様に、1つまたは複数のガス入口212の第1の端部は、隆出区域220の内径230に沿って、任意の高さ間隔でプラズマキャビティ225に通じることができる。図示していないが、2つのガス入口212を隆出区域220の両側に設けることができ、隆出区域220内への渦巻き流れパターンまたは「渦流」を生成し、これは、プラズマキャビティ225内部でガスを混合する助けとなる。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、第1の電極210は、プラズマキャビティ225を収容する隆出区域220を有する。隆出区域220は、上述したようにガス入口212と流体連絡する。1つまたは複数の実施形態において、隆出区域220は、その上部220Aから下部220Bへ徐々に増加する内面または内径230を有する環状部材である。したがって、第1の電極210と第2の電極232の間の距離は変えることができる。その変化する距離は、プラズマキャビティ225内部で発生されるプラズマの発生および安定性を制御する助けとなる。
【0066】
1つまたは複数の実施形態では、隆出区域220は、円錐または「漏斗」に似た形である。1つまたは複数の実施形態では、隆出区域220の内面230は、隆出区域220の上部220Aから下部220Bに徐々に傾く。内径230の傾きまたは角度は、プロセス要件および/またはプロセス制限に応じて変えることができる。また、隆出区域220の長さまたは高さも、特定のプロセス要件および/または制限に応じて変えることができる。1つまたは複数の実施形態では、内径230の傾き、または隆出区域220の高さ、またはそれら両方を、処理に必要とされるプラズマの体積に応じて変えることができる。例えば、内径230の傾きは、少なくとも1:1、または少なくとも1.5:1、または少なくとも2:1、または少なくとも3:1、または少なくとも4:1、または少なくとも5:1、または少なくとも10:1でよい。1つまたは複数の実施形態では、内径230の傾きは、低くて2:1〜高くて20:1の範囲でよい。
【0067】
図面には示さないが、1つまたは複数の実施形態では、隆出区域220は湾曲していてよく、または弧状でもよい。例えば、隆出区域220の内面230は、凸形または凹形となるように湾曲させる、または弧状にすることができる。1つまたは複数の実施形態では、隆出区域220の内面230は、それぞれ傾斜付き、テーパ付き、凸形、または凹形である複数の区域を有することができる。
【0068】
上述したように、第1の電極210の隆出区域220は、徐々に増大する第1の電極210の内面230により、第1の電極210と第2の電極232の間の垂直距離を変える。この変化する距離は、プラズマキャビティ225内部のパワーレベルに直接関係付けられる。理論に拘束されることなく、2つの電極210、232の間の距離を変えることにより、プラズマキャビティ225全体ではなくても、プラズマキャビティ225の一部においてプラズマを持続するのに必要なパワーレベルを見出すことができるようになる。したがって、プラズマキャビティ225内部のプラズマは、圧力にあまり依存せず、より広い動作窓で発生および持続させることができる。したがって、より再現性があり信頼性の高いプラズマを蓋アセンブリ250内部で生成することができる。
【0069】
第1の電極210は、例えば、アルミニウム、アルマイト、ニッケルめっきアルミニウム、ニッケルめっきアルミニウム6061−T6、ステンレス鋼、およびそれらの組合せおよび合金など、任意のプロセス適合性材料から構成することができる。1つまたは複数の実施形態では、望ましくない粒子の発生を減少させるために、第1の電極210全体またはその一部分にニッケルコーティングが施される。好ましくは、隆出区域220の少なくとも内面230にニッケルめっきが施される。
【0070】
第2の電極232は、1つまたは複数の積層プレートを含むことができる。2つ以上のプレートが望まれるとき、プレートは互いに電気的に連絡すべきである。プラズマキャビティ225からの1種または複数種のガスが流れることができるように、各プレートが複数のアパーチャまたはガス経路を含むべきである。
【0071】
さらに、蓋アセンブリ250は、第1の電極210を第2の電極232から電気的に絶縁するために、絶縁体リング240を含むことができる。絶縁体リング240は、酸化アルミニウム、または任意の他の絶縁性のプロセス適合性材料から形成することができる。好ましくは、絶縁体リング240は、少なくとも隆出区域220を取り囲む、または実質的に取り囲む。
【0072】
第2の電極232は、上部プレート260、分散プレート270、およびブロッカプレート280を含む。上部プレート260、分散プレート270、およびブロッカプレート280は、チャンバ本体209に接続された蓋縁部290の上に積層および配置される。ヒンジアセンブリ(図示せず)を使用して蓋縁部290をチャンバ本体209に結合することができる。蓋縁部290は、伝熱媒体を収容するための埋込チャネルまたは経路292を含むことができる。プロセス要件に応じて、加熱、冷却、またはそれら両方のための伝熱媒体を使用することができる。例示的な伝熱媒体は上に列挙した。
【0073】
1つまたは複数の実施形態では、上部プレート260は、プラズマキャビティ225の下に形成された複数のガス経路またはアパーチャ265を含み、プラズマキャビティ225からのガスがそこを通って流れることができるようにする。1つまたは複数の実施形態では、上部プレート260は凹部262を含むことができ、この凹部262は、第1の電極210の少なくとも一部分を収容する。1つまたは複数の実施形態では、アパーチャ265は、凹部262の下で、上部プレート260の断面を通っている。上部プレート260の凹部262は、より良い封止係合を間に提供するために階段状にすることができる。さらに、上部プレート260の外径は、分散プレート270の外径に装着または位置されるように設計することができる。第1の電極210との液密接触を保証するために、上部プレート260の凹部262の内部に、エラストマーOリング263などOリングタイプのシールを少なくとも部分的に配置することができる。同様に、Oリングタイプのシール266を使用して、上部プレート260の外周縁と分散プレート270の間の液密接触を提供することができる。
【0074】
1つまたは複数の実施形態では、分散プレート270は、実質的に円板状であり、複数のアパーチャ275または経路を含み、アパーチャ275を通してガスの流れを分散させる。アパーチャ275は、処理すべき基板が位置されるチャンバ本体209への制御された一様な流れ分散を提供するように、分散プレート270の周りでサイズ設定および位置決めすることができる。さらに、アパーチャ275は、流れるガスの速度プロファイルを遅くして向きを変えること、および基板の表面にわたってガスを一様に分散させるためにガスの流れを一様に分散させることによって、基板表面上に(1種または複数種の)ガスが直接当たるのを防止する。
【0075】
また、分散プレート270は、その外周縁に形成された環状取付けフランジ272を含むこともできる。取付けフランジ272は、蓋縁部290の上面に位置するようにサイズ設定することができる。蓋縁部290との液密接触を保証するために、環状取付けフランジ272の内部に、エラストマーOリングなどOリングタイプのシールを少なくとも部分的に配置することができる。
【0076】
1つまたは複数の実施形態では、分散プレート270は、蓋アセンブリ250の温度制御を可能するために加熱器または加熱流体を収容するための1つまたは複数の埋込チャネルまたは経路274を含む。上述した蓋アセンブリ250と同様に、分散プレート270を加熱するために、経路274の内部に抵抗加熱要素を挿入することができる。熱電対を分散プレート270に接続して、分散プレート270の温度を調整することができる。熱電対は、上述したように加熱要素に印加される電流を制御するためにフィードバックループで使用することができる。
【0077】
あるいは、経路274を通して伝熱媒体を流すことができる。1つまたは複数の経路274は、必要であれば冷却媒体を含むことができ、チャンバ本体209内部でのプロセス要件に応じて分散プレート270の温度をより良く制御する。上述したように、例えば窒素、水、エチレングリコール、またはそれらの混合物など任意の伝熱媒体を使用することができる。
【0078】
1つまたは複数の実施形態では、蓋アセンブリ250は、1つまたは複数のヒートランプ(図示せず)を使用して加熱することができる。典型的には、ヒートランプは、分散プレート270を含めた蓋アセンブリ250の構成要素を放射により加熱するために、分散プレート270の上面の周りに配置される。
【0079】
ブロッカプレート280は、任意選択であり、上部プレート260と分散プレート270の間に配置される。好ましくは、ブロッカプレート280は、上部プレート260の下面に着脱可能に取り付けられる。ブロッカプレート280は、上部プレート260と良好な熱的接触および電気的接触を成すべきである。1つまたは複数の実施形態では、ブロッカプレート280は、ボルトや同様の固定具を使用して上部プレート260に結合することができる。また、ブロッカプレート280は、上部プレート260の外径にねじ嵌合またはねじ留めすることもできる。
【0080】
ブロッカプレート280は、上部プレート260から分散プレート270への複数のガス経路を提供するために複数のアパーチャ285を含む。アパーチャ285は、分散プレート270への制御された一様な流れ分散を提供するように、ブロッカプレート280の周りでサイズ設定して位置決めすることができる。
【0081】
プラズマキャビティ225内部でのプラズマの閉じ込め、および閉じ込められたプラズマの中心位置付けが、解離された(1種または複数種の)ガスのチャンバ本体209内への一様な再現性のある分散を可能にする。特に、プラズマキャビティ225から出たガスは、上部プレート260のアパーチャ265を通ってブロッカプレート280の上面に流れる。ブロッカプレート280のアパーチャ285は、分散プレート270の裏面にガスを分散し、ガスは、分散プレート270のアパーチャ275を通してさらに分散され、その後、チャンバ本体209内部の基板(図示せず)に接触する。中心に位置されたプラズマキャビティ225内部でのプラズマの閉じ込め、および第1の電極210と第2の電極232の間の変化する距離により、蓋アセンブリ250内部での安定した信頼性の高いプラズマが発生されると考えられる。
【0082】
支持アセンブリ211は、チャンバ本体209内部に少なくとも部分的に配置することができる。支持アセンブリ211は、チャンバ本体209内部での処理のために基板(図示せず)を支持するために、支持部材217を含むことができる。支持部材217は、チャンバ本体209の底面に形成された中心に位置された開口221を通って延在するシャフト222を介してリフト機構227に結合させることができる。リフト機構227は、シャフト222の周りからの真空漏れを防止するベロー224によって、チャンバ本体209に柔軟性を有するて封止することができる。リフト機構227は、支持部材217を、チャンバ本体209内部で、プロセス位置と下側移送位置との間で垂直方向で移動させることができるようにする。移送位置は、チャンバ本体209の側壁に形成されたスリット弁205の開口のわずかに下にある。
【0083】
1つまたは複数の実施形態では、支持部材217は、処理対象の基板を上に支持するための平坦な円形表面、または実質的に平坦な円形表面を有する。支持部材217は、好ましくはアルミニウムから構成される。支持部材217は、例えば基板の裏面汚染を減少させるために、シリコンまたはセラミック材料など何らかの他の材料から形成された着脱可能な上部プレート233を含むことができる。
【0084】
1つまたは複数の実施形態では、支持部材217または上部プレート233は、その上面に設けられた複数の延出部または窪み(図示せず)を含むことができる。窪みは、上部プレート233が望ましくない場合には、支持部材217の上面に設けることができる。窪みは、接触を最小限にすることが望まれる場合に、基板の下面と、支持アセンブリ211の支持表面(すなわち支持部材217または上部プレート233)との接触を最小限にする。
【0085】
1つまたは複数の実施形態では、基板(図示せず)は、真空チャックを使用して支持アセンブリ211に固定することができる。上部プレート233は、支持部材217に形成された1つまたは複数の溝235と流体連絡する複数の穴234を含むことができる。溝235は、シャフト222および支持部材217内部に設けられた真空管路236を介して真空ポンプ(図示せず)と流体連絡する。特定の条件下では、真空管路236は、基板が支持部材217の上に配置されていないときに堆積を防止するために、支持部材217の表面にパージガスを供給するために使用することができる。また、真空管路236は、処理中に反応性ガスまたは副生成物が基板の裏面に接触するのを防止するためにパージガスを通すことができる。
【0086】
1つまたは複数の実施形態では、基板(図示せず)は、静電チャックを使用して支持部材217に固定することができる。1つまたは複数の実施形態では、基板は、従来のクランプリングなど機械的クランプ(図示せず)によって支持部材217上で定位置に保持することができる。
【0087】
好ましくは、基板は、静電チャックを使用して固定される。静電チャックは、典型的には、電極(図示せず)を取り囲む誘電体材料を少なくとも含み、誘電体材料は、支持部材217の上面に位置させることができ、または支持部材217の一部として形成することができる。チャックの誘電体部分は、チャック電極を基板および支持アセンブリ211の残りの部分から電気的に絶縁する。
【0088】
1つまたは複数の実施形態では、チャック誘電体の外周は、基板の外周よりもわずかに小さくすることができる。すなわち、基板は、チャック誘電体の外周をわずかに越え出ており、それにより、基板がチャックの上に位置決めされるときに中心がずれた場合でさえ、チャック誘電体が基板によって完全に覆われる。基板がチャック誘電体を完全に覆うことを保証することにより、基板は、チャンバ本体209内部の場合によっては腐食性の物質または有害な物質への露出からチャックを確実に遮蔽する。
【0089】
静電チャックを動作させるための電圧は、個別の「チャック」電源(図示せず)によって供給することができる。チャック電源の1つの出力端子がチャック電極に接続される。他の出力端子は、典型的には接地されるが、あるいは支持アセンブリ211の金属本体部分に接続させることもできる。動作時、基板が誘電体部分と接触して配置され、直流電圧が電極に加えられて、静電引力またはバイアスを生成して、基板を支持部材217の上面に引き付ける。
【0090】
支持部材217は、リフトピン207を収容するために、中を通して形成された1つまたは複数の穴208を含むことができる。各リフトピン207は、典型的にはセラミックまたはセラミック含有材料から構成され、基板取扱いおよび輸送のために使用される。各リフトピン207は、穴208内部で摺動可能に取り付けられる。一態様では、穴208は、リフトピン207を自由に摺動させる助けとなるようにセラミックスリーブでライニングされる。リフトピン207は、チャンバ本体209内部に配置された環状リフトリング219に係合することによって、それぞれの穴208内部で移動可能である。リフトリング219は、リフトリング219が上側位置にあるときにリフトピン207の上面を支持部材217の基板支持表面よりも上に位置させることができるように移動可能である。逆に、リフトリング219が下側位置にあるときには、リフトピン207の上面は支持部材217の基板支持表面よりも下に位置される。したがって、リフトリング219が下側位置から上側位置に移動するとき、各リフトピン207の一部が、支持部材217のそれぞれの穴208を通過する。
【0091】
作動されるとき、リフトピン207は、基板の下面を押し、基板を支持部材217から持ち上げる。逆に、リフトピン207を作動停止させて基板を下げることができ、それにより基板を支持部材217上に載せる。リフトピン207は、ピン207が支持部材217から抜け落ちるのを防止するために、肥大した上端部または円錐ヘッドを含むことができる。他のピン設計も利用することができ、当業者によく知られている。
【0092】
一実施形態では、リフトピン207の1つまたは複数が、上に配置されたコーティングまたは付着物を含み、これは、滑り止めまたは高摩擦材料からなり、基板がリフトピンの上に支持されたときに摺動するのを防止する。好ましい材料は高温ポリマー材料であり、この材料は、基板の裏面を擦傷または何らかの他の損傷を加えない。そのような損傷は、処理チャンバ200内部に汚染物質を生成することになる。好ましくは、コーティングまたは付着物は、DuPontから市販されているKALREZ(商標)コーティングである。
【0093】
リフトリング219を押し進めるために、一般に、従来の空気圧シリンダまたはステッパモータ(図示せず)などのアクチュエータが使用される。ステッパモータまたはシリンダは、上昇位置または下降位置にリフトリング219を押し進め、これはさらにリフトピン207を押し進め、リフトピン207が基板を上昇または下降させる。特定の実施形態では、基板(図示せず)は、約120度離散されてリフトリング219から突出する3つのリフトピン207(図示せず)によって支持部材217上に支持される。
【0094】
支持アセンブリ211は、支持部材217の周りに配置された縁部リング237を含むことができる。縁部リング237は、とりわけセラミック、水晶、アルミニウム、および鋼など、様々な材料から形成することができる。1つまたは複数の実施形態では、縁部リング237は、支持部材217の外周縁を覆い、支持部材217を堆積から保護する環状部材である。縁部リング237は、支持部材217上に位置決めすることができ、または支持部材217に隣接して位置決めすることができ、支持部材217の外径と縁部リング237の内径の間に環状パージガスチャネル238を形成する。環状パージガスチャネル238は、支持部材217およびシャフト222を通して形成されたパージガス管路239と流体連絡することができる。好ましくは、パージガス管路239は、パージガスチャネル238にパージガスを供給するためにパージガス供給機構(図示せず)と流体連絡する。窒素、アルゴン、またはヘリウムなど任意の適切なパージガスを、単独で、または組み合わせて使用することができる。動作時、パージガスは、管路239を通して、パージガスチャネル238内に流れ、さらに支持部材217の上に配置された基板の縁部の周りに流れる。したがって、縁部リング237と協働して働くパージガスが、基板の縁部および/または裏面での堆積を防止する。
【0095】
支持アセンブリ211の温度は、支持部材217の本体に埋込流体チャネル214を通して循環される流体によって制御される。1つまたは複数の実施形態では、流体チャネル214は、支持アセンブリ211のシャフト222を通して設けられた伝熱管路241と流体連絡する。好ましくは、流体チャネル214は、支持部材217を一周するように位置決めされて、支持部材217の基板受取り表面に均一に熱を伝達できるようにする。流体チャネル214および伝熱管路241は、支持部材217を加熱または冷却するために伝熱流体を流すことができる。水、窒素、エチレングリコール、またはそれらの混合物など任意の適切な伝熱流体を使用することができる。さらに、支持アセンブリ211は、支持部材217の支持表面の温度を監視するための埋込式の熱電対(図示せず)を含むことができる。例えば、流体チャネル214を通して循環される流体の温度または流量を制御するために、熱電対からの信号をフィードバックループで使用することができる。
【0096】
支持部材217は、チャンバ本体209内部で垂直方向で移動させることができ、それにより支持部材217と蓋アセンブリ250の間の距離を制御することができる。センサ(図示せず)が、チャンバ200内部の支持部材217の位置に関する情報を供給することができる。
【0097】
動作時、処理される基板の温度を制御するために、支持部材217を蓋アセンブリ250の近傍まで上昇させることができる。それにより、チャネル274に含まれる流体の加熱要素によって制御された分散プレート270から放出される放射によって、基板を加熱することができる。あるいは、リフトリング219によって作動されるリフトピン207を使用して、基板を、支持部材217から、加熱された蓋アセンブリ250の近傍に持ち上げることができる。
【0098】
統合
図3は、本発明のいくつかの実施形態を行うのに適した基板処理システム300の平面図である。本明細書で論じる処理ステップおよび/または移送ステップの1つまたは複数を行うことができる1つの適した処理システムは、Applied Materials, Inc.(米国カリフォルニア州サンタクララ)のAKT部門から市販されているGen.5、Gen.6、またはGen8.5処理プラットフォームなどの処理プラットフォームである。基板処理システム300は、典型的には、ロードロックチャンバ302を介して基板輸送インターフェース325に結合された移送チャンバ310を含む。いくつかの実施形態では、基板処理システムは、複数の移送チャンバを備える構成にすることができ、複数の処理チャンバと基板移送インターフェースを接続するために2つ以上の移送チャンバが使用される。移送チャンバ310は、一般に、複数の処理チャンバ(例えば303〜308)の間で基板を移送するロボット311と、一般にスリット弁(図示せず)の使用によって移送チャンバ310の移送領域310Cに選択的に封止結合されたロードロックチャンバ(例えば302)とを含む。各スリット弁は、一般に、各処理チャンバ303〜308内の処理領域を移送領域310Cから選択的に隔離するように構成され、一般に、処理チャンバ303〜308と移送チャンバ310の境界面に隣接して配置される。一実施形態では、移送チャンバ310は真空状態で維持されて、移送チャンバ310と、典型的には真空条件下で基板を処理するために使用される個々の処理チャンバ303〜308との圧力差をなくす、または最小限にする。代替実施形態では、移送チャンバ310および個々の処理チャンバ303〜308は、清浄および不活性雰囲気圧力環境内で基板を処理するために使用される。処理チャンバ(例えば参照番号303〜308)の数および向きは、本発明の範囲を限定することは意図されていないことに留意すべきである。これらの構成上の詳細は、本明細書で説明する本発明の基本的な範囲から逸脱せずに調節することができる。
【0099】
図3の実施形態は、6つの処理チャンバ(例えば参照番号303〜308)と、ロードロックチャンバ302と、移送チャンバ310の移送領域310C内部に配置されたロボット311とを含む基板処理システム300を備える。一構成では、処理チャンバ303〜308は、物理気相成長(PVD)チャンバ、プラズマ化学気相成長(PECVD)チャンバ、ホットワイヤ化学気相成長(HWCVD)チャンバ、プラズマ窒素チャンバ(DPN)、イオン注入/ドーピングチャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、プラズマエッチングチャンバ、レーザアニールチャンバ、急速熱酸化/窒素化(RTO/N)チャンバ、急速熱アニーリング(RTA)チャンバ、基板再配向チャンバ(例えばフリッピングチャンバ)、蒸気エッチングチャンバ、フォーミングガスまたは水素アニーラ、および/またはプラズマ洗浄チャンバからなる群から選択される。本発明の一実施形態によれば、基板処理システム300は、第1のプロセスチャンバ303および第2のプロセスモジュール308を含む。一実施形態では、第1のプロセスチャンバ303は、特定のタイプの被膜を堆積させるように構成され、第2のプロセスモジュール308は、基板表面上に異なるタイプの(1つまたは複数の)被膜を形成するように構成される。例えば、高品質の太陽電池接合を形成するために、第1のプロセスチャンバ303は、1つまたは複数のシリコン含有被膜を処理するために使用することができ、第2のプロセスモジュール308は、1つまたは複数の金属含有被膜を処理するために使用することができる。一実施形態では、1つまたは複数のプロセスモジュール303〜308は、低温プロセスモジュールでよい。例えば、シリコン表面を、第1のプロセスモジュールにおいて低温で中性ラジカルプロセスによって洗浄し、次いで第2のプロセスモジュールにおいて熱処理することができ、またはアモルファスシリコン層を堆積し、次いで窒化ケイ素層を堆積させることができる(前者は、シランの熱分解またはプラズマ分解によって、後者は、アンモニアの添加を伴うシランの熱分解またはプラズマ分解によって生成される)。
【0100】
図3は、処理システム300内部で複数の太陽電池基板(以後、基板「S」)をグループまたはバッチとして移送して処理する基板処理システム300の一実施形態を示す。図3は、キャリア301に位置決めされた基板のバッチを移送して処理する単一移送チャンバタイプの処理システムの平面図である。一実施形態では、キャリア301は、処理システム300内部の基板に対して行われる様々な輸送および処理ステップ中に基板を保持および保定する。この構成では、複数の基板を同時に移送、支持、および処理することができ、システムスループットを改善し、必要な移送ステップの数を減少し、太陽電池デバイスの処理および形成に関連する所有コストを改善する。
【0101】
処理システム300の一実施形態では、ロードロックチャンバ302は、結合部材302Aおよび302Bによって、移送チャンバ310および基板移送インターフェース325に結合される。一般に、基板移送インターフェース325は、ロボット322A、322Bなど1つまたは複数のロボットを含み、これらのロボットは、モジュールコンベア323から基板を受け取り、各基板を一度に、またはグループとして、受渡し位置321内部の所望の位置に移送し、それによりローディングロボットデバイス309がロードロックチャンバ302内に基板を移動させることができるようになる。一実施形態では、ローディングロボットデバイス309は、ロボット322A、322Bによって、キャリア301上に位置決めされている基板のバッチをロードロックチャンバ302内部に位置決めする。一例では、ロードロックチャンバ302は、複数の隔離可能な領域(図示せず)を備え、これらの領域により、移送チャンバまたは基板輸送インターフェース325からロードロックチャンバ302に出し入れする複数のキャリア301の妨げのない移動を可能にする。いくつかの実施形態では、結合部材302Aおよび302Bはスリット弁でよい。
【0102】
また、基板輸送インターフェース325は、一般に、太陽電池製造工場にある様々な搬送システムから基板Sを受け取るモジュールコンベア323を含む。一般に、モジュールコンベア323は、ツール間コンベアシステムであり、これを使用して、太陽電池工場内に位置決めされて太陽電池デバイスの様々な部分を形成する様々な処理システム300間で、またはシステム内に配置されたウェハのカセットまたはスタックから、太陽電池基板Sを移送する。一例では、モジュールコンベア323は、太陽電池基板Sのスタックを受取り領域324に移送し、受取り領域324は、ロボット322A、322Bとモジュールコンベア323の間での基板Sの移送を可能にするように位置決めされる。
【0103】
上述したものなど統合システムでは、上述したドライクリーニングプロセスの堆積とアニール処理は、同じチャンバ内で行うことも、異なるチャンバ内で行うこともできる。例えば、約10℃〜約50℃の間の低温でのクリーニングチャンバ内でヘキサフルオロケイ酸アンモニウム被膜を生成させ、約200℃〜約300℃の間のより高い温度でのアニールまたは堆積チャンバに基板を移動させて、アニールを行う。次いで、基板を移動させることなく、同じ堆積チャンバ内で、洗浄された基板表面に対して堆積プロセスを行うことができる。そのような統合プロセスは、大きな基板を処理する際に生じることがある加熱および冷却の問題を回避する。
【0104】
一実施形態では、統合処理プラットフォームの1つのチャンバ内で基板上に第1の層を形成することができる。次いで、基板をドライクリーニングチャンバに移動させることができ、このチャンバ内で、上述したように生成された窒素およびフッ素を含む中性ラジカルが基板に当てられ、第1の層上に薄膜を形成する。上述したような薄膜の形成は、低温で進行し、基板から酸素を解放する。次いで、真空を破壊することなく、アニーリングのために基板を高温チャンバに移動させることができる。アニールチャンバ内で、薄膜を除去するために基板に熱が加えられる。次いで、真空を破壊することなく基板を堆積チャンバに移動させることができ、第2の層を形成する。
【0105】
そのような一連のプロセスは、第1の層が、第1のドープ型を有する太陽電池接合の層であり、第2の層が、第1のドープ型とは異なる第2のドープ型を有する太陽電池接合の層である実施形態で有用となることがある。例えば、第1の層をエミッタ層、第2の層をコレクタ層とすることができ、または逆でもよい。別の実施形態では、第1の層をp型ドープ半導体層、第2の層を非ドープ半導体層とすることができる。別の実施形態では、第1の層をn型ドープ半導体層、第2の層をp型ドープ半導体層とすることができる。別の実施形態では、第1の層を高ドープp型層、第2の層を不活性化層とすることができる。
【0106】
一連のプロセスの別の実施形態では、ドープ結晶シリコン基板の表面が、本明細書で論じたステップを使用して洗浄され、その後、逆にドープされた半導体層がその上に堆積される。一例では、p型結晶シリコン基板の表面が洗浄され、その後、n型ドープ半導体層がその上に堆積される。さらに別の実施形態では、ドープ結晶シリコン基板の表面が、本明細書で論じたステップを使用して洗浄され、その後、酸化ケイ素を含むパッシベーション層が、結晶シリコン基板の表面上に形成または堆積される。さらに別の実施形態では、ドープ結晶シリコン基板の表面が、本明細書で論じたステップを使用して洗浄され、その後、窒化ケイ素を含む反射防止コーティング層が、結晶シリコン基板の表面上に堆積される。さらに別の実施形態では、ドープ結晶シリコン基板の表面が、本明細書で論じたステップを使用して洗浄され、その後、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、またはAZO層を含む透明な導電性金属酸化物層が、結晶シリコン基板の表面上に堆積される。
【0107】
HP蒸気プロセス
別のドライクリーニングプロセス実施形態では、天然酸化物層または堆積された酸化物層を有する基板を、HF蒸気プロセスを使用して洗浄することができる。基板がチャンバ内に位置決めされ、プロセスガスがチャンバに供給される。プロセスガスは、一般に、無水HF蒸気および水蒸気を含む。いくつかの実施形態では、水蒸気に加えて、または水蒸気の代わりにアルコールを使用することができる。いくつかの実施形態では、キャリアガスも供給することができる。
【0108】
HF蒸気クリーンプロセス用のプロセスガス混合物は、一般に、約0.5〜約10の間、例えば約1.0〜約3.0の間、例えば約2.0のHFと水酸化物基(OH)のモル比を有する。OHは、水蒸気によって、あるいはメタノール、エタノール、または低級ジオールもしくはシラノールなどのアルコールによって供給することができる。極性OH基が、HFとSiOの酸塩基反応を触媒し、この反応はSiFと水を生成する。水とSiFはガスとして除去されるが、水は、蒸発前に基板の表面に残留する。この残留した水は、さらなるHF/SiO反応を触媒する。
【0109】
HF蒸気クリーンプロセスは、一般に、約10℃〜約100℃の間、例えば約25℃の温度、および約3Torr〜約760Torr(1気圧)の間の圧力でプロセスチャンバ内で行われる。HF蒸気クリーンプロセスは、水素で終端処理された清浄なシリコン表面を残し、RFプラズマの使用により生じることがあるプラズマ損傷を回避する。この種の蒸気洗浄を行うチャンバは、移送チャンバに取り付けられた一群のチャンバに統合することも、独立したチャンバにすることもできる。
【0110】
前述は本発明のいくつかの実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考え出すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池基板の層を処理する方法であって、
壁を有するプロセスチャンバ内で基板支持体の上に太陽電池基板を配置することと、
前記プロセスチャンバに、中性ラジカルを含む反応性ガス混合物を供給することと、
前記反応性ガス混合物を前記基板に向けることと、
前記基板上に薄膜を形成するために、前記中性ラジカルを前記基板からの酸素と反応させることと、
前記薄膜の形成中に、前記基板の温度を前記チャンバ壁の温度未満に維持することと、
前記薄膜を除去することと
を含む方法。
【請求項2】
前記反応性ガス混合物が、窒素、フッ素、および水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応性ガス混合物が、窒素、フッ素、および水素を含み、電荷を有さない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記太陽電池基板が、単結晶シリコン、多結晶シリコン、またはポリ結晶シリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記薄膜を除去することが、前記基板表面から酸素を除去して、水素、フッ素、またはそれら両方を前記基板表面上に堆積させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性ガス混合物を供給することが、荷電反応性種および非荷電反応性種を生成し、前記荷電反応性種を結合させて非荷電反応性種を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
太陽電池基板を処理する方法であって、
プロセスチャンバ内で基板支持体の上に前記基板を配置することと、
活性化チャンバに前駆体ガス混合物を供給することと、
反応性ガス混合物を生成するために、前記前駆体ガス混合物に解離エネルギーを印加することによって前記前駆体ガス混合物を活性化させることと、
前記反応性ガス中の荷電活性種の少なくとも90%を中性化するのに十分な時間間隔にわたって、前記プロセスチャンバに前記反応性ガス混合物を流すことと、
前記基板上に薄膜を形成しながら、酸素ガスを解放するために前記基板を前記反応性ガスに露出することと、
前記基板を前記反応性ガスに露出しながら、前記基板を冷却することと、
露出された基板表面を形成するために前記薄膜を除去し、露出された基板表面上に水素、フッ素、またはそれら両方を堆積させることであって、除去と堆積の両方が、前記薄膜を加熱することによって行われること
を含む方法。
【請求項8】
前記基板の表面がp−i−n接合の層である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板の表面がp型ドーパントを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基板の表面がヘテロ接合太陽電池の第1の電池を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の表面が高ドープp型層を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記フッ素化されて露出された基板表面の上に不活性化層を堆積させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
太陽電池基板を処理する方法であって、
前記基板上に第1の層を形成することと、
ドライクリーンチャンバ内に前記太陽電池基板を配置することと、
前記第1の層の上に薄膜を形成するために、前記ドライクリーンチャンバ内に配置された前記基板に、窒素およびフッ素を含む中性ラジカルを向けることと、
真空を破壊せずに、前記基板を前記ドライクリーンチャンバからアニールチャンバに移動させることと、
前記アニールチャンバ内で、前記薄膜に熱を加えることによって前記薄膜を除去することと、
前記基板上に第2の層を形成することと
を含む方法。
【請求項14】
前記第1の層がn型ドープ半導体層であり、前記第2の層がp型ドープ半導体層である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の層が、第1のドープ型を有するp−i−n接合の層であり、前記第2の層が、前記第1のドープ型とは異なる第2のドープ型を有するp−i−n接合の層である、請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−514337(P2012−514337A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543649(P2011−543649)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069251
【国際公開番号】WO2010/078160
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】