説明

対象物を3次元スキャンするための装置

本発明は、固定した光センサ(3)を通過する対象物を3次元スキャンするための装置であって、当該装置はスキャンすべき対象物を受容する機能を有し、ヘキサポッドとして構成された6脚の対象物キャリア(2)を有する装置に関する。構成の観点から経済的なだけでなく、スキャンプロセスを実行する際の容易な操作を可能にする装置を作るために、対象物がヘキサポッドに担持されたターンテーブル(5)に位置決めされることが発案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定した光センサーを通過する対象物を3次元スキャンするための装置に関する。この装置は、ヘキサポッド(6脚構造体)又は6脚形の対象物キャリアの形状をし、スキャンすべき対象物を撮影する。
【背景技術】
【0002】
スキャンすべき対象物が例えば光ストライプセンサなどの固定した光センサを通過する、3次元対象物をスキャンするための様々な方法が従来知られている。これらの従来の方法では、スキャナーで捕らえられた情報は全スキャンプロセスの最後に評価され、3次元表現として再生される。特に、記憶された基準値と現在捕らえられた実際の値の比較がなされない未知の対象物をスキャンする際、スキャンすべき対象物の全ての測定ポイントが実際にスキャナーで捕らえられる恐れがある。スキャンプロセスの最後の評価では、対象物の個々の部分領域が捕らえられていない又は完全には捕らえられていないと立証されると、慎重なポストスキャンを行なうために、マイクロメートルの範囲にあるこれらの領域を正確に述べることはほとんど不可能である。
【0003】
スキャンすべき対象物を運搬・ガイドするために、例えば特許文献1は、ヘキサポッド又は6脚形の対象物キャリアの使用を開示する。これにより、その幾何学デザインのために、対象物は全ての6の自由度で移動することができる。しかしながら、従来見慣れた脚がサーボ駆動スピンドルモーターを有する、これらのヘキサポッドの構造及び操作は極めてコストが高く、複雑である。
【0004】
【特許文献1】US2003/0081717A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、スキャン操作を実行するための経済的で容易に操作される装置を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明により、対象物がヘキサポッドに保持されたターンテーブルに位置決めされることで達成される。ヘキサポッドに配置された付加的なターンテーブルを使用することで、スキャンすべき対象物を光センサを通して移動させる一方で、対象物キャリアの6の自由度を使用することが特に容易になる。付加的なターンテーブルを使用することで、スキャンすべき対象物の容易で速い360°回転を可能にし、またこの場合ヘキサポッドの脚は互いに障害になるので、6つのヘキサポッド脚によってのみ生じる対象物キャリアの回転は30°〜40°に制限される。
【0007】
本発明の実用的な実施形態によれば、光センサは光ストライプセンサとして構成される。このタイプのセンサは3次元対象物の操作に適することが判明した。
【0008】
ヘキサポッドとして構成された対象物キャリアの経済的な構造及び取り扱いを保証するために、本発明のヘキサポッドは手動で移動させることができる受動的なヘキサポッドの形態を有する。その脚は縦にのみ伸長するように設計されると好ましい。発案された手動の調節によって、高価で、維持費の高いサーボ・スピンドルドライブを使用する必要はない。
【0009】
本発明によれば、ヘキサポッドの長さ調節は、脚に取り付けられたばね機構によって実現されると好ましい。可能性のある他の変形例は、ヘキサポッドの脚を油圧又は空気圧により長さ調節可能に設計することである。
【0010】
光センサに対するスキャンすべき対象物の空間的位置を確認するために、これらの構成部品の運動を捕らえる測定レセプタが、ヘキサポッドの脚と対象物キャリアのターンテーブルの両方に配置される。これらの測定レセプタは、計測パルスを記録するエンコーダーとして設計されると好ましい。
【0011】
本発明により、スキャンすべき対象物を対象物キャリアに固定し、従って光センサーに対して固定するために、ターンテーブルがスキャンすべき対象物を固定するためのロック装置を有することが提案される。本発明の第1実施形態によれば、ロック装置は把持装置の形態を有する。
【0012】
最後に、本発明により、別な実施形態によればロック装置は磁気的に作動する保持装置として設計されることが提案される。
【0013】
装置のさらなる特徴及び利点は、固定した光センサを通過する対象物の3次元スキャンのための本発明の装置の実施例を描く付属の図面から理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図に示される、固定した光センサを通過する対象物を3次元スキャンするための装置は本質的には、フレーム1、当該フレーム1上に位置決めされた対象物キャリア2、及びフレーム1に固定して位置決めされ対象物キャリア2に指向した光センサ3からなる。
【0015】
ヘキサポッドとして構成された対象物キャリア2は、専ら長さの点で調節できる6つの脚とヘキサポッドの脚4で支持されたターンテーブル5からなる。図から分かるように、ターンテーブル5はさらにスキャンされるべき対象物を固定するためのロック装置6を有する。
【0016】
長さの点でのみ調節でき互いから120°の角度だけずれて設定された脚4のペア装置と、脚4で支持されたターンテーブル5の組み合わせにより、フレーム1内に位置決めされた固定した光センサ3に対して全ての6の自由度で、ロック装置6に固定された対象物を移動させることができる。一方で操作を容易にし、他方で製造費・維持費を最小にするために、ヘキサポッドは、受動的な、すなわち専ら手動で調節できるヘキサポッドとして構成される。
【0017】
図示された実施形態では、ロック装置6は、スキャンすべき対象物がクランプにより固定される把持装置の形態を有する。もちろん、ロック装置6を例えば磁気的に作動される保持装置として構成することも可能である。
【0018】
対象物キャリア2に位置決めされたスキャンすべき対象物の光センサ3に対する位置の捕捉を可能にするために、感知要素7がヘキサポッドの脚4及びターンテーブル5に位置決めされ、これらの構成部品4,5の移動を記録する。これらの感知要素7は計測パルスを記録するエンコーダーとして設計されると好ましい。
【0019】
固定した光センサを通過する対象物を3次元スキャンするための装置は以下のように作動する。
【0020】
スキャンプロセスを開始するために、スキャンすべき対象物、例えば顎の歯のインプリントは対象物キャリア2のロック装置6に固定され、キャリアを対象物キャリア2に動かないように連結する。
【0021】
2次元の測定を行なう好ましくは光ストライプセンサの形式の光センサ3は、それがロック装置6に固定された対象物に常に指向するように、スキャン装置のフレーム1に固定して位置決めされる。
【0022】
次いで、スキャンすべき対象物は、ターンテーブル5を回転させ、ヘキサポッドの伸長可能な脚4を短く及び長くすることにより光センサ3を通過し、当該スキャナーは全ての面でスキャンすべき対象物を捕らえる。
【0023】
スキャン装置の使用者が完成のためにスキャンプロセスを見直すことができるように、ヘキサポッドの脚4及びターンテーブル5上の感知要素7で記録された計測パルスが、ソフトウェアを用いて、光センサ3に対するスキャンすべき対象物の位置を反映する3次元空間座標に変換される。これらの3次元空間座標は、光センサ3のそれぞれ対応する2次元情報に関連して設定され、これらの関連データから、3次元描画がリアルタイムで即座に作られる。これは、例えば、データライン9によりスキャン装置に連結したモニター8において直接、スキャン装置の使用者に示される。
【0024】
スキャンプロセスを3次元描画としてこのように即座に描くことにより、使用者がすぐに、スキャン操作の間スキャンすべき対象物が完全に、すなわち一様に(継目なく)スキャンされたかどうかを確認することができる。使用者が、示された3次元描画を観察する際、測定データにまだギャップ(隙間)が存在すると気づいた場合、この描画は、測定データギャップがどこにあるかを使用者に直接正確に示し、それでこれらの不完全な部分はすぐに慎重に再びスキャンされる。
【0025】
従って、固定した光センサを通過する対象物の3次元スキャンのための図示・説明された装置は、使用者が完成のためにスキャンプロセスをすぐに見直すことができることを特徴とする。加えて、スキャン装置は操作が簡単で、対象物キャリアの手動操作のために経済的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】固定した光センサを通過する対象物を3次元スキャンするための装置である。
【符号の説明】
【0027】
1 フレーム
2 対象物キャリア
3 光センサ
4 脚
5 ターンテーブル
6 ロック装置
7 感知要素
8 モニター
9 データライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定した光センサ(3)を通過する対象物を3次元スキャンするための装置であって、当該装置はスキャンすべき対象物を受容する機能を有するヘキサポッドの形状の6脚形の対象物キャリア(2)を有し、
対象物がヘキサポッドの1つに担持されたターンテーブル(5)に位置決めされることを特徴とする装置。
【請求項2】
光センサ(3)が光ストライプセンサとして構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ヘキサポッドが、手動でのみ調節できる受動的なヘキサポッドとして構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ヘキサポッドの脚(4)が、長さのみ調節できるように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ヘキサポッドの脚(4)が、ばね機構によって調節されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ヘキサポッドの脚(4)が、それらの長さが油圧により調節できるように構成されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
ヘキサポッドの脚(4)が、それらの長さが空気圧により調節できるように構成されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
感知要素(7)が、ヘキサポッドの脚(4)及びターンテーブル(5)に位置決めされ、これらの構成部品(4,5)の移動を検知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
感知要素(7)が、計測パルスを記録するエンコーダーとして設計されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項10】
ターンテーブル(5)が、スキャンすべき対象物を固定するためにロック装置(6)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ロック装置(6)が把持装置として構成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ロック装置(6)が磁気的に作動する保持装置として構成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
スキャンされた対象物の部分をすぐに3次元表示するためのモニター(8)が設けられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−537094(P2008−537094A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554501(P2007−554501)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001146
【国際公開番号】WO2006/084691
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506388613)
【Fターム(参考)】